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特開2022-168958停電統計基礎データ生成装置および停電統計基礎データ生成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168958
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】停電統計基礎データ生成装置および停電統計基礎データ生成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20221101BHJP
   G16Y 10/35 20200101ALI20221101BHJP
【FI】
G06Q50/06
G16Y10/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074680
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】若林 良茂
(72)【発明者】
【氏名】森安 邦
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 悦生
(72)【発明者】
【氏名】中田 肇
(72)【発明者】
【氏名】山口 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小山 英彦
(72)【発明者】
【氏名】松井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】日下 稔浩
(72)【発明者】
【氏名】上 敬次
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】多数のデータ項目を含む停電統計基礎データを生成することが可能な停電統計基礎データ生成装置および停電統計基礎データ生成プログラムを提供する。
【解決手段】電力事業者の事業管理システム2、計画課サーバ3、配電自動化システム4、配電地図情報システム5などから、契約戸数情報21、電力需要想定情報31、配電設備情報41、および配電地図情報51を取得する情報取得タスク651と、取得した情報に基づいて、停電統計基礎データを生成する停電統計基礎データ生成タスク652とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
停電回数および停電時間を含む所定の地域の停電統計をとるために、前記停電統計の基礎となる停電統計基礎データを生成する停電統計基礎データ生成装置であって、
電力事業者の情報管理システムから、所定の地域における電力供給先の契約戸数を示す契約戸数情報と、前記所定の地域における配電設備に関する配電設備情報とを取得する情報取得手段と、
前記契約戸数情報と、前記配電設備情報とに基づいて、前記停電統計基礎データを生成する停電統計基礎データ生成手段とを備えることを特徴とする停電統計基礎データ生成装置。
【請求項2】
前記停電統計基礎データは、前記所定の地域内の地区毎の契約戸数と、前記所定の地域全体のバンク数と、フィーダ毎の契約戸数と、前記フィーダ毎のバンクナンバーと、前記フィーダ毎の高圧線亘長と、前記フィーダ毎の遠方制御・操作機能付き開閉器の個数と、前記フィーダ毎の手動式開閉器の個数と、前記フィーダ毎の最大電力とを含み、
前記停電統計基礎データ生成手段は、前記契約戸数情報および前記配電設備情報から前記停電統計基礎データに関するデータを抽出して、前記停電統計基礎データを生成することを特徴とする請求項1に記載の停電統計基礎データ生成装置。
【請求項3】
前記配電設備情報には、地図情報上に配電系統を表示する配電地図情報が含まれており、前記停電統計基礎データ生成手段は、前記配電地図情報に基づいて、異なる地域に跨がって配置されている配電設備がどの地域の設備であるかを特定することを特徴とする請求項1または2に記載の停電統計基礎データ生成装置。
【請求項4】
生成された前記停電統計基礎データを報告する報告手段を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の停電統計基礎データ生成装置。
【請求項5】
過去に生成された前記停電統計基礎データを含む実績データに基づいて機械学習された学習済みモデルを用いて、生成された前記停電統計基礎データの妥当性を判定する判定手段を備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の停電統計基礎データ生成装置。
【請求項6】
前記判定部により、生成された前記停電統計基礎データが妥当ではないと判定された場合に、警告を行う警告手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の停電統計基礎データ生成装置。
【請求項7】
停電回数および停電時間を含む所定の地域の停電統計をとるために、前記停電統計の基礎となる停電統計基礎データを生成する停電統計基礎データ生成プログラムであって、
コンピュータを、
電力事業者の情報管理システムから、所定の地域における電力供給先の契約戸数を示す契約戸数情報と、前記所定の地域における配電設備に関する配電設備情報とを取得する情報取得手段と、
前記契約戸数情報と、前記配電設備情報とに基づいて、前記停電統計基礎データを生成する停電統計基礎データ生成手段として機能させることを特徴とする停電統計基礎データ生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、停電統計基礎データ生成装置および停電統計基礎データ生成プログラムに関し、具体的には、停電回数および停電時間を含む所定の地域の停電統計をとるために、この停電統計の基礎となる停電統計基礎データを生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電力事業者は、停電回数や停電時間などを含む所定の地域の年間の停電統計をとるために、例えば、会計年度の始めの月に、停電統計の基礎となる停電統計基礎データを生成している。この停電統計基礎データは、例えば、電力事業者の事業所毎に生成され、地区毎の契約戸数と、事業所全体のバンク数と、フィーダ毎の契約戸数と、フィーダ毎のバンクナンバーと、フィーダ毎の高圧線亘長と、フィーダ毎の遠方制御・操作機能付き開閉器の個数と、フィーダ毎の手動式開閉器の個数と、フィーダ毎の最大電力などを含んでいる。
【0003】
従来、電力事業者の各事業所では、事業本部から通知された停電統計基礎データの作成依頼に応じて、停電統計基礎データを生成している。各事業所は、事業本部から提供されたデータや、各種システムにて管理されているデータなどを収集し、これらのデータから必要な値を抽出し、抽出したデータから各種計算などを行って停電統計基礎データを生成している。また、フィーダによっては、1つのフィーダに回線が2つあるような大容量フィーダが存在するため、それぞれの回線毎にデータの集計を行っている。さらに、複数の事業所を跨いで設置されているフィーダについては、資料を確認して、どの事業所に属するのかを検討し、事業所間でフィーダ数を調整する作業なども行われていた。このような停電統計基礎データの生成作業は、従来は手作業によって行われていたため、常に煩雑で手間がかかるという問題があった。
【0004】
ところで、特許文献1には、サーバから各種データを取得して分析を行うシステム、すなわち、各種データを自動取得して、必要なデータを生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-170778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、停電統計基礎データには多数のデータ項目が含まれており、各データ項目は電力会社に特有なデータであるため、特許文献1に記載の技術を適用して停電統計基礎データを生成するのは容易ではない。
【0007】
そこで、この発明は、多数のデータ項目を含む停電統計基礎データを生成することが可能な停電統計基礎データ生成装置および停電統計基礎データ生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、停電回数および停電時間を含む所定の地域の停電統計をとるために、前記停電統計の基礎となる停電統計基礎データを生成する停電統計基礎データ生成装置であって、電力事業者の情報管理システムから、所定の地域における電力供給先の契約戸数を示す契約戸数情報と、前記所定の地域における配電設備に関する配電設備情報とを取得する情報取得手段と、前記契約戸数情報と、前記配電設備情報とに基づいて、前記停電統計基礎データを生成する停電統計基礎データ生成手段とを備えることを特徴とする停電統計基礎データ生成装置である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の停電統計基礎データ生成装置において、前記停電統計基礎データは、前記所定の地域内の地区毎の契約戸数と、前記所定の地域全体のバンク数と、フィーダ毎の契約戸数と、前記フィーダ毎のバンクナンバーと、前記フィーダ毎の高圧線亘長と、前記フィーダ毎の遠方制御・操作機能付き開閉器の個数と、前記フィーダ毎の手動式開閉器の個数と、前記フィーダ毎の最大電力とを含み、前記停電統計基礎データ生成手段は、前記契約戸数情報および前記配電設備情報から前記停電統計基礎データに関するデータを抽出して、前記停電統計基礎データを生成することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の停電統計基礎データ生成装置において、前記配電設備情報には、地図情報上に配電系統を表示する配電地図情報が含まれており、前記停電統計基礎データ生成手段は、前記配電地図情報に基づいて、異なる地域に跨がって配置されている配電設備がどの地域の設備であるかを特定することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1~3のいずれか1項に記載の停電統計基礎データ生成装置において、生成された前記停電統計基礎データを報告する報告手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1~4のいずれか1項に記載の停電統計基礎データ生成装置において、過去に生成された前記停電統計基礎データを含む実績データに基づいて機械学習された学習済みモデルを用いて、生成された前記停電統計基礎データの妥当性を判定する判定手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5に記載の停電統計基礎データ生成装置において、前記判定部により、生成された前記停電統計基礎データが妥当ではないと判定された場合に、警告を行う警告手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、停電回数および停電時間を含む所定の地域の停電統計をとるために、前記停電統計の基礎となる停電統計基礎データを生成する停電統計基礎データ生成プログラムであって、コンピュータを、電力事業者の情報管理システムから、所定の地域における電力供給先の契約戸数を示す契約戸数情報と、前記所定の地域における配電設備に関する配電設備情報とを取得する情報取得手段と、前記契約戸数情報と、前記配電設備情報とに基づいて、前記停電統計基礎データを生成する停電統計基礎データ生成手段として機能させることを特徴とする停電統計基礎データ生成プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1および請求項7の発明によれば、従来、煩雑な手作業によって行われていた停電統計基礎データの生成を、情報管理システムから取得した契約戸数情報および配電設備情報に基づいて、容易に生成することが可能である。これにより、年に1度しか行われていなかった停電統計基礎データの生成を、1年よりも短い所定間隔で、あるいは任意のタイミングで行うことができる。また、配電設備の変更などに応じて停電統計基礎データの生成を行えば、現状の配電系統に則した精度の高い停電統計基礎データを得ることができる。
【0016】
また、請求項2の発明によれば、契約戸数情報および配電設備情報を用いて、多数の項目データからなる停電統計基礎データを生成することができる。したがって、多数の項目データ間の整合性などについて調整しながら手作業によって行われていた停電統計基礎データの生成を簡易化することが可能である。
【0017】
請求項3の発明によれば、配電地図情報に基づいて、異なる地域に跨がって配置されている配電設備の所属地域を特定することができるので、従来、手作業によって行われていた停電統計基礎データの生成作業を簡易化することが可能である。
【0018】
請求項4の発明によれば、生成された停電統計基礎データの報告を自動で行えるようにすることができ、従来、手作業によって行われていた停電統計基礎データの生成作業を簡易化することが可能である。
【0019】
請求項5の発明によれば、過去に生成された停電統計基礎データを含む実績データに基づいて機械学習された学習済みモデルを用いて、生成された停電統計基礎データの妥当性を判定するので、精度の高い停電統計基礎データを得ることが可能である。
【0020】
請求項6の発明によれば、生成された停電統計基礎データが妥当ではないと判定された場合に警告が行われるので、停電統計基礎データの見直しを見落としすることなく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施の形態に係る停電統計基礎データ生成装置および停電統計基礎データ生成プログラムを適用した停電統計基礎データ生成システムの概略構成図である。
図2図1に示す事業管理システムの契約個数情報のデータレイアウトの一例を示す図である。
図3図1に示す計画課サーバの電力需要想定情報のデータレイアウトの一例を示す図である。
図4図1に示す配電自動化システムの配電設備情報のデータレイアウトの一例を示す図である。
図5図1に示す配電地図情報システムの配電地図情報の一例を示す図である。
図6図1に示す停電統計基礎データ生成装置により生成された停電統計基礎データの一例を示す図である。
図7図1に示す教師データDBの実績データの一例を示す図である。
図8】停電統計基礎データ生成装置による停電統計基礎データの生成手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0023】
図1は、この発明の実施の形態に係る停電統計基礎データ生成装置および停電統計基礎データ生成プログラムを含む、停電統計基礎データ生成システム1の概略構成を示す機能ブロック図である。本実施形態の停電統計基礎データ生成システム1は、停電回数および停電時間を含む所定の地域の停電統計をとるために、停電統計の基礎となる停電統計基礎データを生成するためのシステムである。
【0024】
停電統計基礎データ生成システム1は、電力事業者の事業管理システム2と、計画課サーバ3と、配電自動化システム4と、配電地図情報システム5と、停電統計基礎データ生成装置6などから構成されている。これらの事業管理システム2、計画課サーバ3、配電自動化システム4、配電地図情報システム5、および停電統計基礎データ生成装置6は、例えば、電力事業者に設置されている。
【0025】
事業管理システム2、計画課サーバ3、配電自動化システム4、配電地図情報システム5、および停電統計基礎データ生成装置6は、詳しくは図示しないが、CPU(Central Processing Unit)などの中央処理部、RAM(Random Access Memory)などのメモリ、ハードディスクなどの記憶部、キーボードやマウス等の入力部、ディスプレイ等の表示部、通信部などを備えた汎用のコンピュータにより構成されている。事業管理システム2、計画課サーバ3、配電自動化システム4、配電地図情報システム5、および停電統計基礎データ生成装置6は、相互に信号・情報の送受信を行うことができるように、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)を含む各種の無線/有線の通信回線網NWを介して接続されている。
【0026】
事業管理システム2は、電力事業者による電力の送配電事業に関する各種情報を記憶、管理するためのシステムである。事業管理システム2には、例えば、電力事業者から電気の供給を受けるための契約を行っている契約戸数などが登録された契約戸数情報などが管理されている。
【0027】
図2は、事業管理システム2にて管理されている契約戸数情報21のデータレイアウトの一例を示す。契約戸数情報21には、電力事業者が管轄している複数の県毎に、各県に設置されている各事業所の総お客様数(総契約戸数)と、各事業所において区分けされた地区毎のお客様数(契約数)などが登録されている。例えば、O山県のO山事業所の総お客様数は、467,599戸であり、このO山事業所のA地区、B地区およびC地区の各お客様数は、それぞれ、126,614戸、242,161戸、および98,824戸となっている。なお、A地区、B地区およびC地区は、例えば、大都市部、都市部および郡部などの人口密度に応じた区分となっている。なお、地区の区分けは、人口密度に応じた区分けに限定されない。
【0028】
計画課サーバ3は、電力事業者において、電気の送配電事業に関する各種計画を行う計画課という部署で利用されるサーバである。計画課サーバ3には、例えば、翌年度の電力需要の想定に関する情報などが記憶・管理されている。
【0029】
図3は、計画課サーバ3にて管理されている電力需要想定情報31のデータレイアウトの一例を示す。電力需要想定情報31には、電力事業者の各事業所の電気所に接続されている配電線(フィーダ)毎に、翌年度に想定されている電力需要の最大電力(MVA)が登録されている。例えば、O山事業所のO元電気所のI村配電線に想定されている電力需要の最大電力は、1700MVAとなっている。
【0030】
配電自動化システム4は、配電系統運転業務の省力化・効率化や供給信頼度向上を目的としたシステムである。配電自動化システム4は、配電系統の区分開閉器を遠隔監視制御することにより、配電系統の計画的な切り替えや、配電線事故などの突発的な停電発生時に事故区間以外の区間に送電を行うように配電系統の自動的な切り替えなどを行う。配電自動化システム4には、例えば、電力事業者の管轄地域の配電設備に関する情報などが記憶・管理されている。
【0031】
図4は、配電自動化システム4にて管理されている配電設備情報41のデータレイアウトの一例を示す。配電設備情報41には、各電気所の地区区分(A地区、B地区およびC地区)と、各電気所に接続されている配電線(フィーダ)毎に、バンクナンバーと、お客様数と、高圧線亘長と、設置されている変圧器の容量と、遠方制御・操作機能付き開閉器(以下、DMともいう)の個数と、手動式開閉器(以下、ASともいう)の個数とが登録されている。例えば、O元電気所の地区区分はA地区である。また、O元電気所に接続されているI村配電線のバンクナンバーは「1」、お客様数は「1222戸」、高圧線亘長は「3km」、変圧器の容量は「25KVA」、DMの個数は「2個」、ASの個数は「13個」となっている。
【0032】
また、配電設備情報41では、1つの配電線に複数の回線が存在するような大容量配電線(大容量フィーダ)についても、同様に各種データが登録されている。例えば、F松電気所に接続されているS田配電線は、上下の2回線に分けて各種データが登録されている。
【0033】
配電地図情報システム5は、地図画像上に高圧配電系統に関する情報を重ね合わせて表示することにより、配電設備の種類や数、設置位置などの確認や、配電系統の設計支援などを行うためのシステムである。配電地図情報システム5には、電力事業者の間隔地域の地図情報と、配電設備に関する情報とが記憶されており、地図情報上の各配電設備の設置位置に、各種配電設備を示す図形や記号などが表示される。
【0034】
図5は、配電地図情報システム5により表示部に表示される配電地図情報51の一例を示している。配電地図情報51には、利用者による入力部の操作によって選択された地図画像52が示される。地図画像52には、建物や道路などが示されている地図上に、配電線52aや電柱52b、電灯52cなどの記号や、設置されている柱上変圧器の容量52d、配電線名52eなどが重ね合わせるようにして表示されている。なお、地図画像52では、O元事業所とF松事業所との境界52fを跨ぐようにY坂配電線が設置されている状態を示している。
【0035】
なお、事業管理システム2、計画課サーバ3、配電自動化システム4、および配電地図情報システム5は、本発明における電力事業者の情報管理システムに相当する。また、電力需要想定情報31、配電設備情報41および配電地図情報51は、本発明における配電設備情報の一部に相当する。また、図2~5では各データを文字列で表記しているが、実際には、電算処理において利用可能であるように、適当なコード化処理が施される場合がある。
【0036】
停電統計基礎データ生成装置6は、主として、入力部61、表示部62、記憶部63、メモリ64、メインタスク65、通信部66、およびこれらを制御などする中央処理部67などを備える。停電統計基礎データ生成装置6は、例えば、パーソナルコンピュータなどに、装置全体の制御プログラムや、停電統計基礎データを生成するための各種処理を行うためのアプリケーション(停電統計基礎データ生成プログラム631)がインストールされて構成される。
【0037】
入力部61は、利用者の命令などを受けて停電統計基礎データ生成装置6へ情報を入力する機能を備えるインターフェースであり、例えばキーボードやマウスによって構成される。
【0038】
表示部62は、入力部61を介して入力される情報を表示したり、停電統計基礎データ生成装置6としての処理結果である停電統計基礎データを表示して担当者に報告する機能を備え、例えば液晶ディスプレイによって構成される。
【0039】
記憶部63は、各種の情報、プログラム、およびデータなどを記憶する機能を備える記憶領域/記憶装置であり、例えばハードディスクによって構成される。記憶部63には、停電統計基礎データ生成装置6全体の制御プログラムや停電統計基礎データ生成プログラム631などが格納されている。また、記憶部63には、過去に生成された停電統計基礎データを含む教師データ(実績データ)633に基づいて機械学習された学習済みモデル632が格納されている。学習済みモデル632は、生成された停電統計基礎データの妥当性の判定に用いられる。
【0040】
メモリ64は、中央処理部67が停電統計基礎データを生成するための各種処理を実行する際に生成される情報・データを一時的に記憶などするための作業領域となる機能を備える記憶領域/記憶装置であり、例えばRAMにより構成される。
【0041】
メインタスク65は、記憶部63に格納されている停電統計基礎データ生成プログラム631が実行されることによって実現される、停電統計基礎データを生成するための各種処理を実行するタスク群である。
【0042】
通信部66は、通信回線網NWを介して伝送される信号・情報の送受信/入出力を行う機能を備える通信インターフェースである。
【0043】
中央処理部67は、停電統計基礎データ生成装置6を構成する各部を統制して制御などする機能を備え、例えば、CPUなどの中央演算処理装置を含んで構成され、記憶部63に格納されている制御プログラムや停電統計基礎データ生成プログラム631に従って各機能を実現する。
【0044】
停電統計基礎データ生成装置6は、例えば、1月毎などの定期的に、または入力部61の操作による指示にしたがって、あるいは事業管理システム2などの他のシステムからの通知に応じて、停電統計基礎データを生成するための各種処理を実行する。この処理は、記憶部63に格納されている停電統計基礎データ生成プログラム631が実行されることにより構成される、メインタスク65によって行われる。メインタスク65は、情報取得タスク651、停電統計基礎データ生成タスク652、判定タスク653、報告タスク654、警告タスク655、および学習タスク656などを含む。
【0045】
情報取得タスク651は、電力事業者の情報管理システムから、所定の地域における電力供給先の契約戸数を示す契約戸数情報と、所定の地域における配電設備に関する配電設備情報とを取得する情報取得手段に相当する。停電統計基礎データ生成タスク652は、契約戸数情報と、配電設備情報とに基づいて、停電統計基礎データを生成する停電統計基礎データ生成手段に相当する。判定タスク653は、過去に生成された停電統計基礎データを含む実績データに基づいて機械学習された学習済みモデルを用いて、生成された停電統計基礎データの妥当性(契約戸数情報や配電設備情報との整合性や関連性なども含む)を判定する判定手段に相当する。報告タスク654は、生成された停電統計基礎データを報告する報告手段に相当する。警告タスク655は、生成された停電統計基礎データが妥当ではないと判定された場合に警告を行う警告手段に相当する。
【0046】
また、学習タスク656は、配電設備情報および地図情報が入力されると、事故点探査装置が取り付け可能な電柱が出力されるように、教師データDB633に格納された過去の実績データを用いて学習済みモデル632を機械学習する手段に相当する。
【0047】
情報取得タスク651は、停電統計基礎データ生成プログラム631が実行されると、通信回線網NWを介して、事業管理システム2から契約戸数情報21を取得し、計画課サーバ3から電力需要想定情報31を取得し、配電自動化システム4から配電設備情報41を取得し、配電地図情報システム5から配電地図情報51を取得する。取得された契約戸数情報21、電力需要想定情報31、配電設備情報41、および配電地図情報51は、メモリ64に一時的に記憶される。
【0048】
停電統計基礎データ生成タスク652は、契約戸数情報21、電力需要想定情報31、配電設備情報41、および配電地図情報51から停電統計基礎データに関するデータを抽出し、A地区、B地区およびC地区毎の契約戸数と、事業所全体のバンク数(柱上変圧器の個数)と、フィーダ毎の契約戸数と、フィーダ毎のバンクナンバーと、フィーダ毎の高圧線亘長と、フィーダ毎のDMの個数と、フィーダ毎のASの個数と、フィーダ毎の最大電力などを含む停電統計基礎データを生成する。生成された停電統計基礎データは、メモリ64に一時的に記憶される。
【0049】
図6は、停電統計基礎データ生成タスク652により生成された、O山事業所の停電統計基礎データ68を示している。A地区、B地区およびC地区毎の契約戸数は、契約戸数情報21から抽出された値である。バンク数は、配電設備情報41の変圧器の個数を集計した値である。フィーダ毎の契約戸数と、フィーダ毎のバンクナンバーと、フィーダ毎の高圧線亘長と、フィーダ毎のDMの個数と、フィーダ毎のASの個数は、配電設備情報41から抽出した値である。また、図5に示すように、電柱52gと電柱52hとの間に設置されたY坂配電線は、O元事業所とF松事業所との境界52fに跨がるように設置されている。このような場合、停電統計基礎データ生成タスク652は、境界52fに対して配線長がより長いほうの事業所に属するものと判定する。図5に示す例では、Y坂配電線は、O元事業所に存在する配線長のほうが長いため、O元事業所の配電線として処理される。
【0050】
判定タスク653は、学習済みモデル632を用いて、生成された停電統計基礎データの妥当性(契約戸数情報や配電設備情報との整合性や関連性なども含む)を判定する。なお、停電統計基礎データの妥当性の判定結果としては、生成された停電統計基礎データの値が、そのもととなった契約戸数情報21、電力需要想定情報31、配電設備情報41、および配電地図情報51に対して妥当ではないこと、より具体的には、どの項目データがどのように妥当ではないか(例えば、妥当と考えられる値よりも大きい、または小さいなど)の判定結果を出力する。
【0051】
学習済みモデル632は、学習タスク656によって作成される。学習タスク656は、記憶部63に格納されている教師データDB633に記録・蓄積されている過去の実績データを用いて、ニューラルネットワーク等の公知の機械学習アルゴリズムにより学習済みモデル632を作成する。教師データDB633には、契約戸数情報21、電力需要想定情報31、配電設備情報41、および配電地図情報51と、これらの情報から生成された停電統計基礎データと、契約戸数情報21、電力需要想定情報31、配電設備情報41、および配電地図情報51に対する停電統計基礎データの妥当性の判定結果とが対応付けられた実績データ(図7参照)が記録・蓄積されているデータベースである。
【0052】
学習タスク656は、ニューラルネットワークを利用した機械学習・深層学習を用い、教師データDB633に記録されている実績データに基づいて、例えば、契約戸数情報21、電力需要想定情報31、配電設備情報41、および配電地図情報51と、これらの情報から生成された停電統計基礎データ68とを入力層とするとともに、停電統計基礎データ68の妥当性に関する判定結果を出力層とする、中間層を含むニューラルネットワークを作成する。そして、学習タスク656は、教師データDB633の実績データを学習データとして用いて、中間層における各種パラメータについて学習を行う。学習タスク656は、契約戸数情報21、電力需要想定情報31、配電設備情報41、および配電地図情報51と、これらの情報から生成された停電統計基礎データ68から迅速、かつ、精度よく停電統計基礎データ68の妥当性が判定されるように、中間層における各種パラメータの学習を行う。
【0053】
報告タスク654は、生成された停電統計基礎データが判定タスク653によって妥当であると判定された場合に、表示部62などに生成された停電統計基礎データを表示して、担当者への報告を行う。また、報告タスク654は、通信回線網NWを介して、事業管理システム2や計画課サーバ3、配電自動化システム4、配電地図情報システム5などに停電統計基礎データを送信して報告を行うようにしてもよい。
【0054】
警告タスク655は、生成された停電統計基礎データが判定タスク653によって妥当ではないと判定された場合に、表示部62などに生成された停電統計基礎データが妥当ではない旨を警告表示する。担当者は、この警告表示を確認して、停電統計基礎データの見直しを行うことができる。
【0055】
次に、図8に示すフローチャートに基づいて、上記実施の形態の作用について説明する。停電統計基礎データ生成装置6は、定期的、または入力部61の操作による指示にしたがって、あるいは事業管理システム2などの他のシステムからの通知に応じて、停電統計基礎データ生成プログラム631を実行する。停電統計基礎データ生成プログラム631の実行により構成されるメインタスク65は、情報取得タスク651により、通信回線網NWを介して、事業管理システム2から契約戸数情報21を取得し、計画課サーバ3から電力需要想定情報31を取得し、配電自動化システム4から配電設備情報41を取得し、配電地図情報システム5から配電地図情報51を取得する(ステップS1)。取得された契約戸数情報21、電力需要想定情報31、配電設備情報41、および配電地図情報51は、メモリ64に一時的に記憶される。
【0056】
停電統計基礎データ生成タスク652は、契約戸数情報21、電力需要想定情報31、配電設備情報41、および配電地図情報51から停電統計基礎データに関するデータを抽出し、A地区、B地区およびC地区毎の契約戸数と、事業所全体のバンク数(柱上変圧器の個数)と、フィーダ毎の契約戸数と、フィーダ毎のバンクナンバーと、フィーダ毎の高圧線亘長と、フィーダ毎のDMの個数と、フィーダ毎のASの個数と、フィーダ毎の最大電力などを含む停電統計基礎データを生成する(ステップS2)。生成された停電統計基礎データは、メモリ64に一時的に記憶される。
【0057】
判定タスク653は、学習済みモデル632を用いて、生成された停電統計基礎データの妥当性を判定する(ステップS3)。生成された停電統計基礎データが判定タスク653によって妥当であると判定された場合(ステップS4でYES)、報告タスク654は、生成された停電統計基礎データが判定タスク653によって妥当であると判定された場合に、表示部62などに生成された停電統計基礎データを表示して、担当者への報告を行う(ステップS5)。また、生成された停電統計基礎データが判定タスク653によって妥当ではないと判定された場合(ステップS4でNO)、警告タスク655は、表示部62などに、生成された停電統計基礎データが妥当ではない旨を警告表示する(ステップS6)。
【0058】
以上のように、この停電統計基礎データ生成装置6および停電統計基礎データ生成プログラム631によれば、従来、煩雑な手作業によって行われていた停電統計基礎データの生成を、事業管理システム2、計画課サーバ3、配電自動化システム4、配電地図情報システム5などから取得した契約戸数情報21、電力需要想定情報31、配電設備情報41、および配電地図情報51に基づいて、容易に生成することが可能である。これにより、年に1度しか行われていなかった停電統計基礎データの生成を、1年よりも短い所定間隔で、あるいは任意のタイミングで行うことができる。また、配電設備の変更などに応じて停電統計基礎データの生成を行えば、現状の配電系統に則した精度の高い停電統計基礎データを得ることができる。
【0059】
また、この停電統計基礎データ生成装置6および停電統計基礎データ生成プログラム631によれば、契約戸数情報21、電力需要想定情報31、配電設備情報41、および配電地図情報51を用いて、多数の項目データからなる停電統計基礎データを生成することができる。したがって、多数の項目データ間の整合性などについて調整しながら手作業によって行われていた停電統計基礎データの生成を簡易化することが可能である。
【0060】
さらに、この停電統計基礎データ生成装置6および停電統計基礎データ生成プログラム631によれば、配電地図情報51に基づいて、異なる地域に跨がって配置されている配電設備の所属地域を特定することができるので、従来、手作業によって行われていた停電統計基礎データの生成作業を簡易化することが可能である。
【0061】
また、この停電統計基礎データ生成装置6および停電統計基礎データ生成プログラム631によれば、生成された停電統計基礎データの報告を自動で行えるようにすることができ、従来、手作業によって行われていた停電統計基礎データの生成作業を簡易化することが可能である。
【0062】
さらに、この停電統計基礎データ生成装置6および停電統計基礎データ生成プログラム631によれば、過去に生成された停電統計基礎データを含む実績データに基づいて機械学習された学習済みモデル632を用いて、生成された停電統計基礎データの妥当性を判定するので、精度の高い停電統計基礎データを得ることが可能である。
【0063】
また、この停電統計基礎データ生成装置6および停電統計基礎データ生成プログラム631によれば、生成された停電統計基礎データが妥当ではないと判定された場合に警告が行われるので、停電統計基礎データの見直しを見落としすることなく行うことができる。
【0064】
上記の実施の形態では、停電統計基礎データの妥当性の判定に、機械学習によって生成された学習済みモデルを用いた。しかしながら、契約戸数情報21、電力需要想定情報31、配電設備情報41、および配電地図情報51から、停電統計基礎データに関連するデータの抽出や計算を行う処理に、機械学習によって生成された学習済みモデルを用いてもよい。また、学習済みモデルを用いて停電統計基礎データの妥当性を判定する例について説明したが、学習済みモデルを利用して、停電統計基礎データから配電系統の電力需給バランスなどを考察し、その考察結果を出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 停電統計基礎データ生成システム
2 事業管理システム
21 契約戸数情報
3 計画課サーバ
31 電力需要想定情報
4 配電自動化システム
41 配電設備情報
5 配電地図情報システム
51 配電地図情報
6 停電統計基礎データ生成装置
63 記憶部
631 停電統計基礎データ生成プログラム
632 学習済みモデル
633 教師データデータベース
65 メインタスク
651 情報取得タスク
652 停電統計基礎データ生成タスク
653 判定タスク
654 報告タスク
655 警告タスク
656 学習タスク
68 停電統計基礎データ
図1
図2
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図6
図7
図8