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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168960
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】表面実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
H05K13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074685
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高間 和志
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353BB01
5E353CC04
5E353CC21
5E353EE02
5E353EE24
5E353EE25
5E353EE61
5E353GG01
5E353GG05
5E353GG31
5E353HH30
5E353JJ21
5E353JJ45
5E353JJ48
5E353JJ56
5E353KK02
5E353KK03
5E353KK11
5E353KK21
5E353KK25
5E353LL04
5E353LL06
5E353MM04
5E353MM08
5E353QQ12
5E353QQ14
(57)【要約】
【課題】部品を搭載する前の搭載位置の画像あるいは部品を搭載した後の搭載位置の画像から実装エラーの原因を調査し易くすること。
【解決手段】基板Pに部品Eを実装する表面実装機1であって、部品Eを吸着及び解放する実装ヘッド19と、実装ヘッド19を昇降させるZ軸リニアモータ49と、を有するロータリーヘッド13と、ロータリーヘッド13に固定されており、基板Pを斜めから撮像する基板撮像カメラ16と、ロータリーヘッド13を基板Pの板面に平行な方向に移動させるヘッド移動部14と、制御部39と、を備え、制御部39は、実装ヘッド19に吸着されている部品Eを基板P上の搭載位置に搭載する前後に、搭載位置を基板撮像カメラ16によって撮像する撮像処理を実行し、撮像処理において、搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置を部品Eの種類及び実装ヘッド19の種類の少なくとも一方に応じて異ならせる、表面実装機1。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する表面実装機であって、
前記部品を保持及び解放する部品保持部材と、前記部品保持部材を昇降させる昇降部と、を有するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットに固定されており、前記基板を斜めから撮像する撮像部と、
前記ヘッドユニットを前記基板の板面に平行な方向に移動させる移動部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記部品保持部材に保持されている前記部品を前記基板上の搭載位置に搭載する前、搭載した後又は搭載前後に、前記搭載位置を前記撮像部によって撮像する撮像処理を実行し、
前記撮像処理において、前記搭載位置を撮像するときの前記部品保持部材の上下方向の位置を前記部品の種類及び前記部品保持部材の種類の少なくとも一方に応じて異ならせる、表面実装機。
【請求項2】
基板に部品を実装する表面実装機であって、
前記部品を保持及び解放する部品保持部材と、前記部品保持部材を昇降させる昇降部と、を有するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットに固定されており、前記基板を斜めから撮像する撮像部と、
前記ヘッドユニットを前記基板の板面に平行な方向に移動させる移動部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記部品保持部材に保持されている前記部品を前記基板上の搭載位置に搭載する前、及び、搭載した後に、前記移動部によって前記ヘッドユニットを移動させながら前記搭載位置を前記撮像部によって撮像する撮像処理を実行し、
前記撮像処理において、前記搭載位置を撮像するときの前記部品保持部材の上下方向の位置を前記部品の種類及び前記部品保持部材の種類の少なくとも一方に応じて異ならせる、表面実装機。
【請求項3】
基板に部品を実装する表面実装機であって、
前記部品を保持及び解放する部品保持部材と、前記部品保持部材を昇降させる昇降部と、を有するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットに固定されており、前記基板を斜めから撮像する撮像部と、
前記ヘッドユニットを前記基板の板面に平行な方向に移動させる移動部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記部品保持部材に保持されている前記部品を前記基板上の搭載位置に搭載する際に、前記搭載位置を前記撮像部によって動画撮像する撮像処理と、
前記撮像処理によって撮像された動画の中から画像を抽出して出力する出力処理であって、前記部品の種類及び前記部品保持部材の種類の少なくとも一方に応じて、前記搭載位置を撮像したときの前記部品保持部材の上下方向の位置が異なる画像を出力する出力処理と、
を実行する、表面実装機。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の表面実装機であって、
前記制御部は、サイズが大きい種類の前記部品ほど前記部品保持部材が高い位置にあるときに前記搭載位置を撮像する、表面実装機。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表面実装機であって、
前記制御部は、厚みが厚い種類の前記部品ほど前記部品保持部材が高い位置にあるときに前記搭載位置を撮像する、表面実装機。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の表面実装機であって、
前記部品保持部材は水平方向に張り出す鍔部を有し、前記部品保持部材の種類によって前記鍔部の大きさが異なっており、
前記制御部は、前記鍔部が大きい種類の前記部品保持部材ほど前記部品保持部材が高い位置にあるときに前記搭載位置を撮像する、表面実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、表面実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に部品を実装する表面実装機において、部品が搭載される前の基板や部品が搭載された後の基板を撮像部によって撮像する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、特許文献1には、電子部品が搭載される前の基板と電子部品が搭載された後の基板とを撮像して電子部品の装着状態の良否を判定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4865496号公報(段落0006、0010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、部品が搭載される前の基板の画像や部品が搭載された後の基板の画像を記憶部に記憶させておき、部品の実装エラーが発生した場合にそれらの画像からエラーの原因を調査する試みも行われている。しかしながら、従来の表面実装機によって撮像される画像は、実装エラーの原因を調査し易くする上で改善の余地があった。
本明細書では、部品を搭載する前の搭載位置の画像あるいは部品を搭載した後の搭載位置の画像から実装エラーの原因を調査し易くする技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
基板に部品を実装する表面実装機であって、前記部品を保持及び解放する部品保持部材と、前記部品保持部材を昇降させる昇降部と、を有するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットに固定されており、前記基板を斜めから撮像する撮像部と、前記ヘッドユニットを前記基板の板面に平行な方向に移動させる移動部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記部品保持部材に保持されている前記部品を前記基板上の搭載位置に搭載する前、搭載した後又は搭載前後に、前記搭載位置を前記撮像部によって撮像する撮像処理を実行し、前記撮像処理において、前記搭載位置を撮像するときの前記部品保持部材の上下方向の位置を前記部品の種類及び前記部品保持部材の種類の少なくとも一方に応じて異ならせる。
【発明の効果】
【0006】
部品を搭載する前の搭載位置の画像あるいは部品を搭載した後の搭載位置の画像から実装エラーの原因を調査し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る表面実装機の上面図
図2】ヘッドユニット及びヘッド移動部の側面図
図3】撮像部の電気的構成を示すブロック図
図4】表面実装機の電気的構成を示すブロック図
図5】部品を搭載する前及び搭載した後に搭載位置を撮像するタイミングを示すグラフ
図6】部品を搭載する前に搭載位置を撮像するタイミングを示す模式図
図7】部品を搭載する前の搭載位置を撮像した画像を示す模式図
図8】部品を搭載した後の搭載位置を撮像した画像を示す模式図
図9】実施形態2に係るロータリーヘッドの移動方向と実装ヘッドの上下方向の位置との関係を示すグラフ
図10】大きい部品を搭載する前後の搭載位置を撮像した画像の模式図
図11】小さい部品を搭載する前後の搭載位置を撮像した画像の模式図
図12】実施形態4に係る部品を搭載する前に搭載位置を撮像するタイミングを示す模式図
図13】実施形態5に係る部品を搭載する前に搭載位置を撮像するタイミングを示す模式図
図14】部品を搭載する前及び搭載した後に搭載位置を撮像する場合の課題を説明するための模式図
図15】部品を搭載する前に搭載位置を撮像する場合の課題を説明するための模式図
図16】部品を搭載する前に搭載位置を撮像する場合の課題を説明するための模式図
図17】部品を搭載する前に搭載位置を撮像する場合の課題を説明するための模式図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本実施形態の概要)
【0009】
(1)本開示に係る表面実装機は、基板に部品を実装する表面実装機であって、前記部品を保持及び解放する部品保持部材と、前記部品保持部材を昇降させる昇降部と、を有するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットに固定されており、前記基板を斜めから撮像する撮像部と、前記ヘッドユニットを前記基板の板面に平行な方向に移動させる移動部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記部品保持部材に保持されている前記部品を前記基板上の搭載位置に搭載する前、搭載した後又は搭載前後に、前記搭載位置を前記撮像部によって撮像する撮像処理を実行し、前記撮像処理において、前記搭載位置を撮像するときの前記部品保持部材の上下方向の位置を前記部品の種類及び前記部品保持部材の種類の少なくとも一方に応じて異ならせる。
【0010】
図14から図17を参照して、従来の課題についてより具体的に説明する。図14に示す画像501は、大きい部品が搭載される前の基板上の搭載位置を撮像した従来の画像の一例である。画像501において点線505で囲む領域が搭載位置である。大きい部品の場合は基板上の半田ペースト506も大きい上、広い範囲に1つの部品が搭載されるので、オペレータは画像上で部品の搭載位置を比較的把握し易い。
これに対し、図14に示す画像502は、小さい部品が搭載される前の搭載位置を撮像した従来の画像の一例である。画像502において点線507で囲む領域が搭載位置である。小さい部品の場合は基板上の半田ペースト508が小さい上、狭い範囲に小さい部品がいくつも搭載されることも多いため、オペレータは画像を見てもどこが部品の搭載位置であるかを把握することが難しい。
【0011】
これについて検討した本願発明者は、部品保持部材が低い位置にあるときに搭載位置を撮像すると、部品保持部材に保持されている部品がその部品の搭載位置の近くに写り込むので、写り込んだ部品の周囲に注目することにより、どこが部品の搭載位置であるかを画像上で把握し易くなることを見出した。
しかしながら、図15に示すように、本願発明者は、大きい部品Eの場合も小さい部品Eの場合も部品保持部材601が低い位置にあるときに搭載位置を撮像すると、大きい部品Eの場合に部品Eによって搭載位置が隠れてしまい、搭載位置の状態を確認し難くなるという課題があることも見出した。ここで、図15に示す部品保持部材601は、図示しないヘッドユニットに昇降可能に支持されているシャフト601Aと、シャフト601Aの下端部に着脱可能に取り付けられている吸着ノズル601Bとを有している。矩形枠605は搭載位置に印刷されている半田ペーストを示している。図15において2本の実線602の内側のハッチングされた範囲は、撮像部の撮像範囲ではなく、撮像範囲のうち搭載位置が写り込む範囲を示している。
【0012】
ここでは大きい部品や小さい部品を例に説明したが、図16に示すように部品Eの厚みによっても同様の課題が生じる。具体的には、厚みが厚い部品Eの場合は部品保持部材601が低い位置にあるときに搭載位置を撮像すると部品Eによって搭載位置が隠れてしまう。厚みが厚い部品Eの場合も厚みが薄い部品Eの場合も部品保持部材601が高い位置にあるときに搭載位置を撮像すると、厚みの厚い部品Eによって搭載位置が隠れないようにすることができる。しかしながら、厚みが薄い部品Eの場合は部品保持部材601が高い位置にあるときに搭載位置を撮像すると、小さい部品Eの場合に搭載位置を把握し難いという課題がある。
【0013】
また、図17に示すように部品保持部材601が備える鍔部601Cのサイズによっても同様の課題が生じる。具体的には、鍔部601Cが大きい場合は部品保持部材601が低い位置にあるときに搭載位置を撮像すると鍔部601Cによって搭載位置が隠れてしまう。鍔部601Cが大きい部品保持部材601の場合も鍔部601Cが小さい部品保持部材601の場合も部品保持部材601が高い位置にあるときに搭載位置を撮像すると、鍔部601Cによって搭載位置が隠れないようにすることができる。しかしながら、鍔部601Cが小さい場合は、部品保持部材601が高い位置にあるときに搭載位置を撮像すると、小さい部品Eの場合に搭載位置を把握し難いという課題がある。
【0014】
ここでは部品が搭載される前の搭載位置の画像について説明したが、部品が搭載された後の搭載位置を撮像した画像についても同様の課題がある。具体的には、小さい部品の場合は、部品保持部材が高い位置にあるときに部品を撮像すると、どこが搭載位置であるかをオペレータが把握し難い。一方、大きい部品の場合は、部品保持部材が低い位置にあるときに撮像すると部品保持部材の下端部によって搭載位置が隠れてしまい、オペレータが搭載位置を確認し難いという課題がある。
【0015】
従来はこのような課題について十分に検討されておらず、部品を搭載する前の搭載位置の画像あるいは部品を搭載した後の搭載位置の画像から実装エラーの原因を調査し易くする上で改善の余地があった。
本開示に係る表面実装機によると、部品を基板に搭載する前、搭載した後又は搭載前後に搭載位置を撮像するとき、搭載位置を撮像するときの部品保持部材の上下方向の位置を部品の種類及び部品保持部材の種類の少なくとも一方に応じて異ならせる。このため本開示に係る表面実装機によると、部品を搭載する前の搭載位置の画像あるいは部品を搭載した後の搭載位置の画像から実装エラーの原因を調査し易くなる。
【0016】
ここで、部品の搭載位置を撮像するときの部品保持部材の上下方向の位置は、部品の種類毎や部品保持部材の種類毎に予めオペレータが設定し、制御部は設定されている位置で撮像してもよい。あるいは、部品に関する情報(例えば部品のサイズや厚み)や部品保持部材に関する情報(例えば部品保持部材の鍔部のサイズ)などから、部品の搭載位置を撮像するときの部品保持部材の上下方向の位置を制御部が自動で判断してもよい。
【0017】
(2)本開示に係る表面実装機は、基板に部品を実装する表面実装機であって、前記部品を保持及び解放する部品保持部材と、前記部品保持部材を昇降させる昇降部と、を有するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットに固定されており、前記基板を斜めから撮像する撮像部と、前記ヘッドユニットを前記基板の板面に平行な方向に移動させる移動部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記部品保持部材に保持されている前記部品を前記基板上の搭載位置に搭載する前、及び、搭載した後に、前記移動部によって前記ヘッドユニットを移動させながら前記搭載位置を前記撮像部によって撮像する撮像処理を実行し、前記撮像処理において、前記搭載位置を撮像するときの前記部品保持部材の上下方向の位置を前記部品の種類及び前記部品保持部材の種類の少なくとも一方に応じて異ならせる。
【0018】
ヘッドユニットを移動させながら部品を搭載する前の搭載位置と搭載した後の搭載位置とを撮像する場合、搭載位置を撮像したときのヘッドユニットの位置が異なることから、搭載前後の画像で撮像範囲にずれが生じる。撮像範囲にずれが生じると、オペレータはそれらの画像を比較したとき、搭載位置が写り込んでいる場所がずれていることにより、搭載前後の搭載位置を比較し難いという課題がある。
【0019】
これについて検討した本願発明者は、部品保持部材が低い位置にあるときに搭載位置を撮像すると、搭載前後の画像の撮像範囲のずれが小さくなるので、搭載前後の搭載位置を比較し易くなることを見出した。
しかしながら、本願発明者は、大きい部品の場合も小さい部品の場合も部品保持部材が低い位置にあるときに搭載位置を撮像すると、大きい部品の場合に部品によって搭載位置が隠れてしまうという課題があることも見出した。
ここでは大きい部品や小さい部品を例に説明したが、部品の厚みによっても同様の課題が生じる。また、部品保持部材が備える鍔部のサイズによっても同様の課題が生じる。
【0020】
従来はこのような課題について十分に検討されておらず、部品を搭載する前の搭載位置の画像あるいは部品を搭載した後の搭載位置の画像から実装エラーの原因を調査し易くする上で改善の余地があった。
本開示に係る表面実装機によると、部品保持部材に保持されている部品が搭載される前、及び、搭載した後に、移動部によってヘッドユニットを移動させながら搭載位置を撮像するとき、搭載位置を撮像するときの部品保持部材の上下方向の位置を部品の種類及び部品保持部材の種類の少なくとも一方に応じて異ならせる。このため、部品や部品保持部材によって搭載位置が隠れないようにしつつ小さい部品の場合に撮像範囲のずれを低減できる。このため本開示に係る表面実装機によると、部品を搭載する前の搭載位置の画像あるいは部品を搭載した後の搭載位置の画像から実装エラーの原因を調査し易くなる。
【0021】
(3)本開示に係る表面実装機は、基板に部品を実装する表面実装機であって、前記部品を保持及び解放する部品保持部材と、前記部品保持部材を昇降させる昇降部と、を有するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットに固定されており、前記基板を斜めから撮像する撮像部と、前記ヘッドユニットを前記基板の板面に平行な方向に移動させる移動部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記部品保持部材に保持されている前記部品を前記基板上の搭載位置に搭載する際に、前記搭載位置を前記撮像部によって動画撮像する撮像処理と、前記撮像処理によって撮像された動画の中から画像を抽出して出力する出力処理であって、前記部品の種類及び前記部品保持部材の種類の少なくとも一方に応じて、前記搭載位置を撮像したときの前記部品保持部材の上下方向の位置が異なる画像を出力する出力処理と、を実行する。
【0022】
本開示に係る表面実装機によると、部品の種類及び部品保持部材の種類の少なくとも一方に応じて、搭載位置を撮像したときの部品保持部材の上下方向の位置が異なる画像を出力する。このため本開示に係る表面実装機によると、部品を搭載する前の搭載位置の画像あるいは部品を搭載した後の搭載位置の画像から実装エラーの原因を調査し易くなる。
【0023】
(4)前記制御部は、サイズが大きい種類の前記部品ほど前記部品保持部材が高い位置にあるときに前記搭載位置を撮像してもよい。
【0024】
上記のサイズは上から見た部品の面積であってもよいし、上から見た部品の縦横の幅であってもよい。上から見た縦横の幅の場合は、例えば縦横の幅のうちいずれか大きい方をその部品のサイズとしてもよい。あるいは、縦横の幅がいずれも基準値以上である場合は大きい部品とし、縦横の幅の少なくとも一方が基準値未満である場合は小さい部品としてもよい。あるいは、縦横の幅の少なくとも一方が基準値以上である場合は大きい部品としてもよい。
本開示に係る表面実装機によると、部品によって搭載位置が隠れないようにしつつ小さい部品の搭載位置を把握し易くすることができる。
【0025】
(5)前記制御部は、厚みが厚い種類の前記部品ほど前記部品保持部材が高い位置にあるときに前記搭載位置を撮像してもよい。
【0026】
本開示に係る表面実装機によると、部品によって搭載位置が隠れないようにしつつ厚みが薄い部品の搭載位置を把握し易くすることができる。
【0027】
(6)前記部品保持部材は水平方向に張り出す鍔部を有し、前記部品保持部材の種類によって前記鍔部の大きさが異なっており、前記制御部は、前記鍔部が大きい種類の前記部品保持部材ほど前記部品保持部材が高い位置にあるときに前記搭載位置を撮像してもよい。
【0028】
本開示に係る表面実装機によると、部品保持部材の鍔部によって搭載位置が隠れないようにしつつ小さい部品の搭載位置を把握し易くすることができる。
【0029】
本明細書によって開示される発明は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【0030】
<実施形態1>
実施形態1を図1ないし図8に基づいて説明する。以降の説明では図1に示す左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向、図2に示す上下方向をZ軸方向という。また、以降の説明では図1に示す右側を上流側、左側を下流側という。また、以降の説明では同一の構成要素には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0031】
(1)表面実装機の構成
図1を参照して、実施形態1に係る表面実装機1の構成について説明する。表面実装機1はスクリーン印刷機によって半田ペーストが印刷された基板Pに電子部品などの部品Eを実装する装置である。表面実装機1は基台10、搬送コンベア11、図示しないバックアップ装置、4つのテープ部品供給装置12、ロータリーヘッド13(ヘッドユニットの一例)、ヘッド移動部14(移動部の一例)、2つの部品撮像カメラ15、2つの基板撮像カメラ16(撮像部の一例)、後述する制御部39(図4参照)、操作部40(図4参照)などを備えている。
【0032】
基台10は平面視長方形状を呈している。図1において二点鎖線で示す矩形枠Aは基板Pに部品Eを実装するときの作業位置(以下、作業位置Aという)を示している。
搬送コンベア11は基板PをX軸方向の上流側から作業位置Aに搬入し、作業位置Aで部品Eが実装された基板Pを下流側に搬出する。搬送コンベア11は基板Pを上流側に搬送することも可能である。搬送コンベア11はX軸方向に循環駆動する一対のコンベアベルト11A及び11B、それらのコンベアベルトを駆動するコンベア駆動モータ52(図4参照)などを備えている。後側のコンベアベルト11Aは前後方向に移動可能であり、基板Pの幅に応じて2つのコンベアベルト11Aと11Bとの間隔を調整できる。
【0033】
図示しないバックアップ装置は作業位置Aの下方に配されている。バックアップ装置は作業位置Aに搬送された基板Pを作業位置Aに固定するとともに、複数のバックアップピンによって基板Pを下から支持する。
テープ部品供給装置12は搬送コンベア11のY軸方向の両側においてX軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。これらのテープ部品供給装置12には複数のフィーダ17がX軸方向に横並び状に整列して取り付けられている。各フィーダ17は所謂テープフィーダであり、複数の部品Eが収容された部品テープが巻回されたリール、及び、リールから部品テープを引き出す電動式のテープ送出装置等を備えており、作業位置A側の端部に設けられた部品供給位置から部品Eを一つずつ供給する。
ここでは部品供給装置としてテープ部品供給装置12を例に説明するが、部品供給装置は部品Eが載置されているトレイを供給する所謂トレイフィーダであってもよいし、半導体ウェハを供給する構造であってもよい。
【0034】
ロータリーヘッド13は、鉛直線周りに回転する回転体18と、回転体18に昇降可能に支持されている複数の実装ヘッド19(部品保持部材の一例)とを備えている。ロータリーヘッド13の具体的な構成については後述する。ここではヘッドユニットとしてロータリーヘッド13を例に説明するが、ヘッドユニットは実装ヘッド19が一列に配列された所謂インライン型のヘッドユニットであってもよい。
【0035】
ヘッド移動部14はロータリーヘッド13を所定の可動範囲内でX軸方向及びY軸方向に移動させる構造体である。ヘッド移動部14はロータリーヘッド13をX軸方向に往復移動可能に支持しているビーム20、ビーム20をY軸方向に往復移動可能に支持している一対のY軸ガイドレール21、ロータリーヘッド13をX軸方向に往復移動させるX軸サーボモータ47、ビーム20をY軸方向に往復移動させるY軸サーボモータ48などを備えている。
【0036】
2つの部品撮像カメラ15はそれぞれX軸方向に並んだ2つのテープ部品供給装置12の間に設けられている。部品撮像カメラ15は基台10に設けられており、実装ヘッド19に吸着(保持の一例)されている部品Eを下から撮像する。
2つの基板撮像カメラ16はロータリーヘッド13の後述する固定体22(図2参照)に固定されている。基板撮像カメラ16は基板Pに付されている図示しないフィデューシャルマークの撮像に用いられる。基板撮像カメラ16は、基板P上の搭載位置に部品Eを搭載するときに、部品Eを搭載する前の搭載位置や部品Eを搭載した後の搭載位置の撮像にも用いられる。
【0037】
(1-1)ロータリーヘッド
図2に示すように、ロータリーヘッド13は固定体22、回転体18、複数の実装ヘッド19、図示しない2つのZ軸駆動装置、N軸サーボモータ50(図4参照)、R軸サーボモータ51(図4参照)などを備えている。ロータリーヘッド13は耐屈曲ケーブル23(所謂フレキシブルケーブル)を介して制御部39と接続されている。
【0038】
図2に示す例では、固定体22はアーム状を呈しており、X軸方向に往復移動可能にビーム20に支持されている。回転体18は略円柱状であり、鉛直線周りに回転可能に固定体22に支持されている。
複数の実装ヘッド19は回転体18の回転軸線を中心とする円周上に等間隔に配されている。実装ヘッド19はノズルシャフト19Aと、ノズルシャフト19Aの下端部に着脱可能に取り付けられている吸着ノズル19Bとを有している。ノズルシャフト19Aは図示しないコイルばねによって上に付勢されている。吸着ノズル19Bにはノズルシャフト19Aを介して図示しない空気供給装置から負圧及び正圧が供給される。吸着ノズル19Bは負圧が供給されることによって部品Eを吸着し、正圧が供給されることによってその部品Eを解放する。
【0039】
図示しない2つのZ軸駆動装置は固定体22に固定されている。Z軸駆動装置は実装ヘッド19が配されている円周上に設定されている所定の押圧位置の上方に配されている。Z軸駆動装置は可動子が上下方向に移動するZ軸リニアモータ49(図4参照)を備えており、押圧位置に回転移動してきた実装ヘッド19を下に向けて押圧する。Z軸リニアモータ49は昇降部の一例である。実装ヘッド19はZ軸駆動装置によって押圧されなくなるとコイルばねの付勢力によって上昇する。
N軸サーボモータ50は回転体18を鉛直線周りに回転駆動するモータである。R軸サーボモータ51は各実装ヘッド19をその実装ヘッド19の軸線周りに一斉に自転させるモータである。
【0040】
(1-2)基板撮像カメラ
図2に示すように、基板撮像カメラ16は光軸が基板Pに対して傾いており、基板Pを斜め上方向から撮像する。
図3を参照して、基板撮像カメラ16の電気的構成について説明する。基板撮像カメラ16は撮像部24、FPGA25(Field Programmable Gate Array)、及び、通信部26を備えている。
【0041】
撮像部24は複数の受光素子が二次元配列されたイメージセンサ27、撮像対象物を照明するLEDなどの光源28、光源28から出射されて撮像対象物によって反射された光をイメージセンサ27の受光面に結像させる図示しない光学系などを有している。イメージセンサ27は、入射した光を、その光の強さに応じて電気信号に変換する機器である。イメージセンサ27はCMOS(Comlementary Metal-Oxide Semiconductor)又はCCD(Charge Coupled Devices)である。例えばイメージセンサ27はA/Dコンバータ29を有している。A/Dコンバータ29は各受光素子に蓄積された電荷に応じた電圧を例えば0(黒)~255(白)のデジタルデータ(以下、画像データという)に変換してFPGA25に出力する。FPGA25は出力された画像データを、通信部26を介して後述する画像処理部44(図4参照)に送信する。
基板撮像カメラ16はFPGAに替えてマイクロコンピュータやASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備えていてもよい。
【0042】
(1-3)表面実装機の電気的構成
図4に示すように、表面実装機1は制御部39及び操作部40を備えている。制御部39は演算処理部41、モータ制御部42、記憶部43、画像処理部44、外部入出力部45、フィーダ通信部46などを備えている。
演算処理部41はCPU、ROM、RAMなどを備えており、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することによって表面実装機1の各部を制御する。
【0043】
モータ制御部42は演算処理部41の制御の下でX軸サーボモータ47、Y軸サーボモータ48、Z軸リニアモータ49、N軸サーボモータ50、R軸サーボモータ51、コンベア駆動モータ52などの各モータの運転、停止及び回転速度を制御する。
記憶部43は電源をオフにしてもデータが消えない書き換え可能な記憶装置(ハードディスク等)である。記憶部43には各種のプログラムやデータが記憶されている。各種のデータには、生産が予定されている基板Pの機種、各種の部品Eに関するデータ(部品Eの形状データなど)、各機種を生産する順序、機種ごとのデータ(生産枚数、基板Pの大きさ及び形状、実装される部品E、部品Eの実装順序、部品Eの実装座標、実装角度)などが含まれる。
【0044】
画像処理部44は部品撮像カメラ15や基板撮像カメラ16から送信された画像データを受信し、受信した画像データを演算処理部41のRAMに記憶させる。
外部入出力部45はいわゆるインターフェースであり、表面実装機1の本体に設けられている各種センサ類53から出力される検出信号が取り込まれるように構成されている。また、外部入出力部45は演算処理部41から出力される制御信号に基づいて各種アクチュエータ類54(図示しない空気供給装置、バックアップ装置を含む)に対する動作制御を行うように構成されている。
【0045】
フィーダ通信部46はフィーダ17に接続されており、フィーダ17を統括して制御する。
操作部40は液晶ディスプレイなどの表示部と、タッチパネルやキーボードなどの入力部とを備えている。作業者は操作部40を操作して表面実装機1に対する各種の設定や動作の指示などを行うことができる。
【0046】
(2)部品を実装するときのロータリーヘッド及び実装ヘッドの動作
実施形態1に係る制御部39は、実装ヘッド19に吸着されている部品Eを基板P上の搭載位置に搭載するとき、ロータリーヘッド13を停止させた状態で実装ヘッド19を昇降させる。具体的には、制御部39は、実装ヘッド19が搭載位置の上方となる位置までロータリーヘッド13を移動させ、ロータリーヘッド13を停止させた状態で実装ヘッド19を下降させる。そして、表面実装機1は、基板Pに部品Eを搭載した後、実装ヘッド19を上昇させ、実装ヘッド19が所定の位置まで上昇した後にロータリーヘッド13を移動させる。
【0047】
(3)基板撮像カメラを用いた部品の搭載位置の撮像
制御部39は、実装ヘッド19に吸着されている部品Eを基板Pに搭載する前に、基板P上における当該部品Eの搭載位置を基板撮像カメラ16によって撮像し、撮像した画像を記憶部43に記憶させる(撮像処理の一例)。これは、実装エラーが発生した場合に、搭載位置にゴミが付着していたか否か、搭載位置に半田ペーストが適正に印刷されていたか否かなどをオペレータが画像で確認するためである。
【0048】
また、制御部39は、部品Eを搭載した後に基板撮像カメラ16によってその部品Eの搭載位置を撮像し、撮像した画像を記憶部43に記憶させる。これは、実装エラーが発生した場合に、搭載位置に部品Eが搭載されているか否か、搭載位置に部品Eが正しい姿勢で搭載されているか否かなどをオペレータが画像で確認するためである。
【0049】
以下、基板Pに部品Eを搭載する前に搭載位置を撮像するタイミング、及び、基板Pに部品Eを搭載した後に搭載位置を撮像するタイミングについて説明する。
【0050】
(3-1)部品を搭載する前に搭載位置を撮像するタイミング
制御部39は、実装ヘッド19に吸着されている部品Eによってその部品Eの搭載位置が隠れないようにしつつ小さい部品Eの搭載位置を把握し易くするために、部品Eを搭載する前に搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置(言い換えると搭載位置を撮像する撮像タイミング)を部品Eの種類(言い換えると部品Eのサイズ)に応じて異ならせる。実施形態1では部品Eのサイズとして上から見た部品Eの面積を例に説明する。
【0051】
図5及び図6を参照して、部品Eを搭載する前に搭載位置を撮像するタイミングの一例について説明する。図5において時点Aは大きい部品Eを搭載する前にその部品Eの搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置を示しており、時点Bは小さい部品Eを搭載する前にその部品Eの搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置を示している。図5及び図6に示すように、制御部39は、小さい部品Eの搭載位置を撮像するときは大きい部品Eの搭載位置を撮像するときに比べて実装ヘッド19が低い位置にあるときに撮像する。
【0052】
具体的には、記憶部43には部品Eの種類毎にその種類の部品Eの搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置が予め記憶されている。より具体的には、記憶部43には、部品Eによって搭載位置が隠れない範囲で、サイズが小さい種類の部品Eほど低い位置が対応付けられて記憶されている。制御部39は、部品Eを搭載するとき、記憶部43からその部品Eの種類に対応付けられている位置(実装ヘッド19の上下方向の位置)を読み出し、読み出した位置まで実装ヘッド19が下降したタイミングで搭載位置を撮像する。
【0053】
図7に示す画像101は、小さい部品Eの搭載位置105を撮像した画像である。小さい部品Eの場合は実装ヘッド19が低い位置にあるときに搭載位置105を撮像すると、実装ヘッド19に吸着されている小さい部品Eがその部品Eの搭載位置105の近くに写り込むので、オペレータは写り込んでいる部品Eの周囲に注目することにより、どこがその部品Eの搭載位置であるかを画像上で把握し易くなる。
【0054】
図7に示す画像102は、大きい部品Eの搭載位置106を撮像した画像である。大きい部品Eの場合は高い位置で撮像することにより、搭載位置106が部品Eによって隠れないようにすることができる。また、部品Eが大きいことから、高い位置で撮像してもどこがその部品Eの搭載位置であるかを把握することが比較的容易である。
【0055】
実装ヘッド19が低い位置にあるほどその実装ヘッド19に吸着されている部品Eとその部品Eの搭載位置とが近くなるので、小さい部品Eの場合も大きい部品Eの場合も部品Eによって搭載位置が隠れない範囲で極力低い位置で撮像することが好ましい。
【0056】
(3-2)部品を搭載した後に搭載位置を撮像するタイミング
制御部39は、実装ヘッド19によって搭載位置が隠れないようにしつつ小さい部品Eの搭載位置を把握し易くするために、部品Eを搭載した後に搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置(言い換えると搭載位置を撮像する撮像タイミング)を部品Eのサイズに応じて異ならせる。
【0057】
具体的には、前述したように、記憶部43には部品Eの種類(言い換えると部品Eのサイズ)毎にその種類の部品Eの搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置が予め記憶されている。
制御部39は、搭載位置に部品Eを搭載した後にその部品Eの搭載位置を搭載するとき、記憶部43からその部品Eの種類に対応する実装ヘッド19の位置を読み出し、読み出した位置まで実装ヘッド19が上昇したタイミングで搭載位置を撮像する。
【0058】
図5を参照して、部品Eを搭載した後に搭載位置を撮像するタイミングの一例について説明する。図5において時点Cは小さい部品Eを搭載するときの実装ヘッド19の上下方向の位置を示しており、時点Dは大きい部品Eを搭載するときの実装ヘッド19の上下方向の位置を示している。図5に示すように、制御部39は、小さい部品Eの搭載位置を撮像するときは大きい部品Eの搭載位置を撮像するときに比べて実装ヘッド19が低い位置にあるときに撮像する。
【0059】
図8に示す画像120は、小さい部品Eの搭載位置105を撮像するときに低い位置で撮像した画像である。実装ヘッド19が低い位置にあるときに搭載位置105を撮像すると、実装ヘッド19の下端部が搭載位置105の近くに写り込むので、オペレータは写り込んでいる実装ヘッド19の下端部の周囲に注目することにより、どれが搭載した部品Eであるかを画像上で把握し易くなる。
【0060】
図8に示す画像121は、大きい部品Eの搭載位置106を撮像するときに高い位置で撮像した画像である。大きい部品Eの場合は高い位置で撮像することにより、搭載された部品Eが実装ヘッド19によって隠れないようにすることができる。また、部品Eが大きいことから、高い位置で撮像してもどれが搭載した部品Eであるかを把握することが比較的容易である。
【0061】
図5に示すように、制御部39は、小さい部品Eを撮像するとき、搭載する前に撮像するときと搭載した後に撮像するときとで同じ上下方向の位置で撮像する。大きい部品Eを搭載するときも同様であり、制御部39は搭載する前に撮像するときと搭載した後に撮像するときとで同じ上下方向の位置で撮像する。搭載する前に撮像するときの上下方向の位置と搭載した後に撮像するときの上下方向の位置とは必ずしも同じでなくてもよい。
【0062】
(4)実施形態の効果
表面実装機1によると、部品Eを基板Pに搭載する前に基板P上における当該部品Eの搭載位置を撮像するとき、及び、部品Eを基板Pに搭載した後に基板P上における当該部品Eの搭載位置を撮像するとき、実装ヘッド19の上下方向の位置を部品Eのサイズに応じて異ならせる。このため、実装ヘッド19に吸着されている部品E(搭載した後の場合は実装ヘッド19)によってその部品Eの搭載位置が隠れないようにしつつ小さい部品Eの搭載位置を把握し易くなる。よって表面実装機1によると、部品Eを搭載する前の搭載位置の画像あるいは部品Eを搭載した後の搭載位置の画像から実装エラーの原因を調査し易くなる。
【0063】
<実施形態2>
図9を参照して、実施形態2に係る部品Eの実装について説明する。実施形態2に係る表面実装機1は、実装ヘッド19に吸着されている部品Eを基板P上の搭載位置に搭載するとき、ロータリーヘッド13の移動と実装ヘッド19の下降とを並行して行う。同様に、表面実装機1は、実装ヘッド19に吸着されている部品Eを基板P上の搭載位置に搭載した後、ロータリーヘッド13の移動と実装ヘッド19の上昇とを並行して行う。そして、制御部39は、実装ヘッド19に吸着されている部品Eの搭載位置を、搭載位置に部品Eが搭載される前、及び、搭載された後に、ロータリーヘッド13を移動させながら基板撮像カメラ16によって撮像する。
【0064】
実施形態2に係る制御部39は、部品Eや実装ヘッド19によって搭載位置が隠れないようにしつつ小さい部品Eの場合に撮像範囲のずれを低減するために、搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置を部品Eの種類(言い換えると部品Eのサイズ)に応じて異ならせる。具体的には、実施形態2に係る記憶部43にも、実施形態1と同様に、部品Eの種類毎にその部品Eの搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置が予め記憶されている。制御部39は、搭載位置に部品Eを搭載する前後にその部品Eの搭載位置を撮像するとき、記憶部43からその部品Eの種類に対応する実装ヘッド19の位置を読み出し、読み出した位置まで実装ヘッド19が下降あるいは上昇したタイミングで搭載位置を撮像する。
【0065】
図10に示す画像201は大きい部品Eを搭載する場合の搭載する前の画像であり、画像202は搭載した後の画像である。大きい部品Eの場合は小さい部品Eに比べて実装ヘッド19が高い位置にあるときに撮像するので、搭載前後の画像で撮像範囲のずれが大きくなる。しかしながら、高い位置にあるときに撮像するので、搭載する前の画像において搭載位置が部品Eによって隠れることや、搭載した後の画像において部品Eが実装ヘッド19によって隠れることを抑制できる。
【0066】
図11に示す画像203は小さい部品Eを搭載する場合の搭載する前の画像であり、画像204は搭載した後の画像である。小さい部品Eの場合は大きい部品Eに比べて実装ヘッド19が低い位置にあるときに撮像するので、搭載前後の画像で撮像範囲のずれを低減できる。このため、オペレータがそれらの画像を見比べたときに、搭載前後の画像において搭載位置が写り込んでいる場所のずれが小さいことにより、搭載位置を比較し易くなる。
【0067】
更に、小さい部品Eの場合は実装ヘッド19が低い位置にあるときに搭載位置105を撮像するので、実装ヘッド19に吸着されている小さい部品Eが搭載位置105の近くに写り込む。このため、オペレータは写り込んでいる部品Eの周囲に注目することにより、どこがその部品Eの搭載位置であるかを画像上で把握し易くなる。
【0068】
実施形態2に係る表面実装機1によると、実装ヘッド19に吸着されている部品Eが搭載される前、及び、搭載した後に、ロータリーヘッド13を移動させながら基板P上における当該部品Eの搭載位置を撮像するとき、実装ヘッド19の上下方向の位置を部品Eのサイズに応じて異ならせる。このため、部品Eや実装ヘッド19によって搭載位置が隠れないようにしつつ小さい部品Eの場合に撮像範囲のずれを低減できる。よって実施形態2に係る表面実装機1によると、部品Eを搭載する前の搭載位置の画像あるいは部品Eを搭載した後の搭載位置の画像から実装エラーの原因を調査し易くなる。
【0069】
<実施形態3>
実施形態3は実施形態1又は実施形態2の変形例である。ここでは実施形態1の変形例として説明する。前述した実施形態1では、部品Eを搭載する前及び搭載した後に搭載位置を静止画撮像する。これに対し、実施形態3に係る表面実装機1は搭載位置を動画撮像する。
【0070】
実施形態3では、部品Eを搭載する前の搭載位置の画像や部品Eを搭載した後の搭載位置の画像をオペレータが確認するとき、オペレータは操作部40を操作して、部品Eを搭載する前の搭載位置の画像あるいは部品Eを搭載した後の搭載位置の画像の出力を表面実装機1に指示する。
【0071】
制御部39は、オペレータから画像の出力が指示されると、動画撮像した複数の静止画像の中から、部品Eを搭載する前の画像あるいは搭載した後の画像を抽出して出力する。画像の出力は操作部40の画面に表示することによって行われてもよいし、抽出した画像をファイルに書き出すことによって行われてもよい。あるいは、抽出した画像を他のコンピュータに送信することによって行われてもよい。
【0072】
具体的には、実施形態3に係る記憶部43には、部品Eの種類(言い換えると部品Eのサイズ)毎に、実装ヘッド19が上下方向のどの位置にあるときに撮像された画像を出力するかが予め記憶されている。より具体的には、記憶部43には、部品Eによって搭載位置が隠れない範囲で、サイズが小さい種類の部品Eほど低い位置(実装ヘッド19の上下方向の位置)が対応付けられて記憶されている。制御部39は、画像を出力するとき、記憶部43からその部品Eの種類に対応付けられている位置を読み出し、読み出した位置で撮像された画像を出力する。
【0073】
実施形態3に係る表面実装機1によると、部品Eのサイズに応じて、搭載位置を撮像したときの実装ヘッド19の上下方向の位置が異なる画像を出力する。このため実施形態3に係る表面実装機1によると、部品Eを搭載する前の搭載位置の画像あるいは部品Eを搭載した後の搭載位置の画像から実装エラーの原因を調査し易くなる。
【0074】
<実施形態4>
実施形態4は実施形態1から実施形態3の変形例である。ここでは実施形態1の変形例として説明する。前述した実施形態1では、搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置を部品Eのサイズによって異ならせる。これに対し、実施形態4に係る制御部39は、部品Eによって搭載位置が隠れないようにしつつ厚みが薄い部品Eの搭載位置を把握し易くするために、搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置を部品Eの厚みに応じて異ならせる。
【0075】
具体的には、記憶部43には部品Eの種類(言い換えると部品Eの厚み)毎にその部品Eの搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置が予め記憶されている。より具体的には、記憶部43には、部品Eによって搭載位置が隠れない範囲で、厚みが薄い種類の部品Eほど低い位置が対応付けられて記憶されている。制御部39は、部品Eを搭載するとき、記憶部43からその部品Eの種類に対応付けられている位置を読み出し、読み出した位置まで実装ヘッド19が下降したタイミング、及び、読み出した位置まで実装ヘッド19が上昇したタイミングで搭載位置を撮像する。
【0076】
図12に示すように、厚みが薄い部品Eの場合は実装ヘッド19が低い位置にあるときに搭載位置を撮像すると、実装ヘッド19に吸着されている部品Eがその部品Eの搭載位置の近くに写り込むので、オペレータは写り込んだ部品Eの周囲に注目することにより、どこが部品Eの搭載位置であるかを画像上で把握し易くなる。一方、厚みが厚い部品Eの場合は高い位置で撮像することにより、搭載位置が部品Eによって隠れないようにすることができる。
【0077】
実施形態4に係る表面実装機1によると、厚みが厚い種類の部品Eほど実装ヘッド19が高い位置にあるときに搭載位置を撮像する。このため、部品Eによって搭載位置が隠れないようにしつつ厚みが薄い部品Eの搭載位置を把握し易くすることができる。
【0078】
<実施形態5>
前述した実施形態1から実施形態4では、搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置を部品Eの種類(サイズや厚さ)に応じて異ならせる。これに対し、図13に示すように、実施形態5に係る制御部39は、実装ヘッド19の鍔部19Cによって部品Eの搭載位置が隠れないようにしつつ小さい部品Eの搭載位置を把握し易くするために、搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置を実装ヘッド19の鍔部19Cのサイズ(実装ヘッド19の種類の一例)に応じて異ならせる。
【0079】
具体的には、記憶部43には実装ヘッド19の種類毎(言い換えると実装ヘッド19の鍔部19Cのサイズ毎)にその実装ヘッド19に吸着されている部品Eの搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置が予め記憶されている。より具体的には、記憶部43には、鍔部19Cによって搭載位置が隠れない範囲で、鍔部19Cが小さい実装ヘッド19ほど低い位置が対応付けられて記憶されている。制御部39は、基板Pに部品Eを搭載するとき、記憶部43からその部品Eを吸着している実装ヘッド19の種類に対応付けられている上下方向の位置を読み出し、読み出した位置まで実装ヘッド19が下降したタイミング、及び、読み出した位置まで実装ヘッド19が上昇したタイミングで搭載位置を撮像する。
【0080】
図13に示すように、鍔部19Cが小さい実装ヘッド19の場合は実装ヘッド19が低い位置にあるときに搭載位置を撮像しても鍔部19Cによって搭載位置が隠れない。実装ヘッド19が低い位置にあるときに搭載位置を撮像すると実装ヘッド19に吸着されている部品Eがその部品Eの搭載位置の近くに写り込むので、オペレータは写り込んだ部品Eの周囲に注目することにより、どこが部品Eの搭載位置であるかを画像上で把握し易くなる。一方、鍔部19Cが大きい実装ヘッド19の場合は高い位置で撮像することにより、搭載位置が鍔部19Cによって隠れないようにすることができる。
【0081】
実施形態5に係る表面実装機1によると、実装ヘッド19の鍔部19Cによって搭載位置が隠れないようにしつつ小さい部品Eの搭載位置を把握し易くすることができる。
【0082】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0083】
(1)上記実施形態1では、部品Eの搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置が部品Eの種類(言い換えると部品Eのサイズ)毎に予め記憶部43に記憶されている場合を例に説明した。これに対し、部品Eの種類毎にその種類の部品Eが大きい部品Eであるか小さい部品Eであるかを示す情報を記憶部43に記憶させておくとともに、大きい部品Eを撮像するときの位置と小さい部品Eを撮像するときの位置とを予め設定しておいてもよい。そして、大きい部品Eの場合は部品Eの種類によらず一律に大きい部品Eを撮像するときの位置で撮像し、小さい部品Eの場合は部品Eの種類によらず一律に小さい部品Eを撮像するときの位置で撮像してもよい。
【0084】
(2)上記実施形態1では、部品Eの種類毎にその部品Eの搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置が予め記憶部43に記憶されている場合を例に説明した。これに対し、搭載位置を撮像するタイミングを制御部39が部品Eのサイズから自動で決定してもよい。具体的には例えば、部品E毎にその部品Eのサイズを記憶部43に記憶させておくとともに、各サイズの部品Eの搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置を予め設定しておいてもよい。そして、制御部39は、搭載位置を撮像するとき、その部品Eのサイズに応じた位置で撮像してもよい。部品Eのサイズは、部品EのX方向の幅とY方向の幅とによって表されてもよいし、部品Eを上から見たときの面積によって表されてもよい。
【0085】
(3)上記実施形態1では基板Pに部品Eを搭載する前及び搭載した後に部品Eの搭載位置を撮像する場合を例に説明したが、搭載する前だけ撮像してもよいし、搭載した後だけ撮像してもよい。
【0086】
(4)上記実施形態2では、小さい部品Eの搭載位置を撮像するとき、実装ヘッド19に吸着されている部品Eが画像に写り込む位置まで実装ヘッド19を下げて撮像する場合を例に説明した。しかしながら、実施形態2の場合は、小さい部品Eを撮像するときに必ずしも部品Eが写り込まなくてもよい。
【0087】
(5)上記実施形態1では搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置を部品Eのサイズに応じて異ならせ、実施形態2では部品Eの厚みに応じて異ならせる場合を例に説明した。これに対し、部品Eのサイズ及び厚みの両方に応じて異ならせてもよい。例えば、部品のサイズが小さく且つ厚みが薄い場合は低い位置で撮像し、部品Eのサイズが大きく且つ厚みが厚い場合は高い位置で撮像し、それ以外の場合(部品Eのサイズは小さいが厚みが厚い場合、部品Eの厚みは薄いがサイズが大きい場合)は上述した低い位置と高い位置との間の位置で撮像してもよい。
【0088】
(6)上記実施形態では部品Eの種類又は実装ヘッド19の種類のどちらかに応じて搭載位置を撮像するときの実装ヘッド19の上下方向の位置を異ならせる場合を例に説明した。これに対し、部品Eの種類及び実装ヘッド19の種類の両方に応じて位置を異ならせてもよい。具体的には例えば、部品Eのサイズが小さく、且つ、鍔部19Cのサイズが小さい場合は低い位置で撮像し、部品Eのサイズが大きく、且つ、鍔部19Cのサイズが大きい場合は高い位置で撮像し、それ以外の場合(部品Eのサイズは小さいが鍔部19Cのサイズが大きい場合、鍔部19Cのサイズは小さいが部品Eのサイズが大きい場合)は上述した低い位置と高い位置との間の位置で撮像してもよい。
【0089】
(7)上記実施形態では固定体22がアーム状を呈している例について説明したが、固定体22の形状は、当然のことながら任意に変更可能である。例えば、本開示の表面実装機1においてインライン型のヘッドユニットが採用される場合、プレート状を呈する固定体22が採用されてもよい。このような場合、例えば基板撮像カメラ16およびZ軸駆動装置は、プレート状の固定体22に固定される。
【0090】
(8)上記実施形態では表面実装機1が実装ヘッド19を上方に付勢するコイルばねを有し、実装ヘッド19がZ軸駆動装置に押圧されなくなるとコイルばねの付勢力により上昇する例について説明した。しかしながら、コイルばねについては表面実装装置の必須ではなく、必要に応じて廃してもよい。この場合、表面実装機は、Z軸リニアモータ49の駆動により実装ヘッド19が上下方向(+Z方向及び-Z方向)に移動する構造となる。更に、上記実施形態ではZ軸駆動装置がZ軸リニアモータ(昇降部49)を有し、そのZ軸リニアモータの駆動によりZ方向に実装ヘッド19を移動させる例について説明した。しかしながら、Z軸駆動装置は、Z軸リニアモータを有する構造に限定されず、例えばZ軸サーボモータおよびZ軸ボールねじを有し、Z軸サーボモータの駆動によりZ方向に延びるZ軸ボールねじに沿って実装ヘッド19を移動させる構造をしていてもよい。言うまでもないが、駆動源としてZ軸サーボモータが採用される場合、Z軸サーボモータは、モータ制御部42により運転、停止及び回転速度が制御される。
【0091】
(9)上記実施形態では部品のサイズとして上から見た部品の面積を例に説明したが、部品のサイズの単位は面積に限定されず、上から見た部品の縦横の幅(すなわちXY方向の幅)であってもよい。上から見た縦横の幅の場合は、例えば縦横の幅のうちいずれか大きい方をその部品のサイズとしてもよい。あるいは、縦横の幅がいずれも基準値以上である場合は大きい部品とし、縦横の幅の少なくとも一方が基準値未満である場合は小さい部品としてもよい。あるいは、縦横の幅の少なくとも一方が基準値以上である場合は大きい部品としてもよい。
【0092】
(10)上記実施形態では部品保持部材として部品Eを吸着する実装ヘッド19を例に説明したが、部品保持部材はこれに限られるものではなく、例えばチャッキングによって部品Eを挟持するものであってもよい。
【符号の説明】
【0093】
1: 表面実装機
13: ロータリーヘッド(ヘッドユニットの一例)
14: ヘッド移動部(移動部の一例)
16: 基板撮像カメラ(撮像部の一例)
19: 実装ヘッド(部品保持部材の一例)
19C: 鍔部
39: 制御部
49: Z軸リニアモータ(昇降部の一例)
E: 部品
P: 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17