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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168988
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】振動デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20221101BHJP
   H03H 9/02 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H03B5/32 A
H03B5/32 H
H03H9/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074722
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】野村 記央
【テーマコード(参考)】
5J079
5J108
【Fターム(参考)】
5J079AA04
5J079BA02
5J079BA43
5J079CA12
5J079CB01
5J079HA03
5J079HA06
5J079HA30
5J108AA03
5J108BB02
5J108CC04
5J108DD02
5J108EE03
5J108EE07
5J108EE18
5J108GG03
5J108GG14
5J108JJ04
(57)【要約】
【課題】高精度な発振周波数を出力する振動デバイスを提供する。
【解決手段】振動デバイス1は、第1面11a及び第1面11aの反対側に位置している第2面11bを備えている基板11と、基板11の第1面11a側に設けられているヒーター14と、基板11の第1面11a側に設けられている温度センサー15と、基板11の第1面11a側に配置され、基板11に接合されている第1接合部35を有する振動素子30と、基板11とともに振動素子30を収納するように基板11に接合されているリッド12と、第1面11a及び第2面11bのいずれかに設けられ、温度センサー15の出力に基づいてヒーター14を制御する温度制御回路16Aを備えている回路16と、を有し、第1接合部35は、第1面11aに直交する方向からの平面視において、ヒーター14と重なるように配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面の反対側に位置している第2面を備えている基板と、
前記基板の前記第1面側に設けられているヒーターと、
前記基板の前記第1面側に設けられている温度センサーと、
前記基板の前記第1面側に配置され、前記基板に接合されている第1接合部を有する振動素子と、
前記基板とともに前記振動素子を収納するように前記基板に接合されているリッドと、
前記第1面及び前記第2面のいずれかに設けられ、前記温度センサーの出力に基づいて前記ヒーターを制御する温度制御回路を備えている回路と、を有し、
前記第1接合部は、前記第1面に直交する方向からの平面視において、前記ヒーターと重なるように配置されている、
振動デバイス。
【請求項2】
前記振動素子は、振動部と、前記基板に接合されている第2接合部と、を有し、
前記第2接合部は、前記平面視において、前記振動部を挟んで前記第1接合部と反対側に配置され、且つ前記ヒーターと重なるように配置されている、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記温度センサーは、前記平面視において、前記ヒーターによって囲まれている、
請求項1又は請求項2に記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記回路は、前記第2面に設けられ、
前記基板は、前記第1面と前記第2面とを貫通し、前記ヒーターと前記回路とを電気的に接続している第1貫通電極と、前記第1面と前記第2面とを貫通し、前記温度センサーと前記回路とを電気的に接続している第2貫通電極と、を有する、
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の振動デバイス。
【請求項5】
前記回路は、発振回路を有し、
前記基板は、前記第1面と前記第2面とを貫通し、前記振動素子と前記回路とを電気的に接続している第3貫通電極を有する、
請求項4に記載の振動デバイス。
【請求項6】
前記基板の前記第2面側に設けられ、前記回路を覆う絶縁層を有する、
請求項4又は請求項5に記載の振動デバイス。
【請求項7】
前記リッドは、前記振動素子を収納する側の面に配置された断熱層を有する、
請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、凹部を有するベース基板と、凹部の底面に固定されているIC基板と、IC基板の上面に導電性接着剤を介して固定されている水晶片と、凹部の開口を塞ぐようにベース基板に接合されているリッドと、を有する水晶振動子が開示されている。また、IC基板の上面には、水晶片の温度を検出するための温度センサーと、水晶片を加熱するためのヒーター回路と、が配置されており、水晶振動子のパッケージ内の温度を一定に保つよう制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-33065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の水晶振動子は、水晶片とIC基板とを接続する接続部と、発熱源であるヒーター回路と、が離れているため、ヒーター回路の熱が効率よく水晶片に伝わらず、速やか且つ正確な温度制御が困難であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
振動デバイスは、第1面及び前記第1面の反対側に位置している第2面を備えている基板と、前記基板の前記第1面側に設けられているヒーターと、前記基板の前記第1面側に設けられている温度センサーと、前記基板の前記第1面側に配置され、前記基板に接合されている第1接合部を有する振動素子と、前記基板とともに前記振動素子を収納するように前記基板に接合されているリッドと、前記第1面及び前記第2面のいずれかに設けられ、前記温度センサーの出力に基づいて前記ヒーターを制御する温度制御回路を備えている回路と、を有し、前記第1接合部は、前記第1面に直交する方向からの平面視において、前記ヒーターと重なるように配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る振動デバイスの概略構造を示す平面図。
図2図1中のA-A線断面図。
図3】振動デバイスの概略構造を示す平面図。
図4】第2実施形態に係る振動デバイスの概略構造を示す平面図。
図5図4中のB-B線断面図。
図6】第3実施形態に係る振動デバイスの概略構造を示す平面図。
図7図6中のC-C線断面図。
図8】振動デバイスの概略構造を示す平面図。
図9】第4実施形態に係る振動デバイスの概略構造を示す平面図。
図10図9中のD-D線断面図。
図11】第5実施形態に係る振動デバイスの概略構造を示す平面図。
図12図11中のE-E線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.第1実施形態
先ず、第1実施形態に係る振動デバイス1について、恒温槽型発振器(OCXO)を一例として挙げ、図1図2、及び図3を参照して説明する。
尚、図1において、振動デバイス1の内部構成を説明する便宜上、リッド12を取り外した状態を図示している。また、図3において、振動デバイス1の内部構成を説明する便宜上、リッド12と振動素子30とを取り外した状態を図示している。また、説明の便宜上、以降の各図には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、及びZ軸を図示している。また、X軸に沿った方向を「X方向」、Y軸に沿った方向を「Y方向」、Z軸に沿った方向を「Z方向」と言う。また、各軸の矢印側を「プラス側」、矢印と反対側を「マイナス側」とも言う。また、Z方向プラス側を「上」、Z方向マイナス側を「下」とも言う。
【0008】
振動デバイス1は、図1及び図2に示すように、ベースとなる基板11とリッド12とで構成されるパッケージ10と、パッケージ10の内部空間29に収納されている振動素子30と、基板11の第1面11a側に設けられているヒーター14、温度センサー15、及び回路16と、を有する。
【0009】
振動素子30は、基板11の第1面11a側に位置し、振動基板31と、振動基板31を振動させる励振電極32と、発振信号を外部に出力し、振動基板31の基板11側の面に配置されている電極端子34と、励振電極32からX方向マイナス側に延在し、励振電極32と電極端子34とを電気的に接続するリード電極33と、を備えている。また、振動基板31は、励振電極32が配置され振動する振動部36と、振動部36のX方向マイナス側に位置し、基板11に接合されている第1接合部35と、を有する。
振動素子30は、金属バンプや導電性接着剤等の導電性接合部材25を介して基板11の第1面11aの上に接合されている。尚、振動基板31としては、ATカット水晶基板、SCカット水晶基板、BTカット水晶基板等が用いられる。
【0010】
パッケージ10は、基板11と、基板11に接合されているリッド12と、を有し、基板11とリッド12との間に形成されている内部空間29に振動素子30を収納している。
基板11は、単結晶シリコンを含む半導体基板であり、特に、本実施形態ではシリコン基板である。尚、基板11としては、特に限定されず、シリコン以外の半導体基板、例えば、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化ガリウム、窒化ガリウム、炭化珪素等の半導体基板を用いてもよいし、セラミック基板のような半導体基板以外の基板を用いてもよい。
【0011】
基板11は、板状であり、振動素子30が配置されている第1面11aと、第1面11aの反対側に位置している第2面11bと、を有する。また、基板11のリッド12との接合領域を除く表面には、絶縁膜17が形成されている。尚、絶縁膜17は、基板11を熱酸化することにより形成することができる。
【0012】
基板11の第1面11aには、絶縁膜18に形成されたヒーター14及び温度センサー15と、温度制御回路16Aを備える回路16と、を電気的に接続し、絶縁膜18の上に接合された振動素子30と、発振回路16Bを備える回路16と、を電気的に接続する複数の配線19が配置されている。また、絶縁膜17及び配線19の上にヒーター14、温度センサー15、及び回路16を形成する絶縁膜18が配置されている。更に、図2及び図3に示すように、ヒーター14と重なる位置の絶縁膜18の上に導電性接合部材25を介して振動素子30を接合する接合端子23が配置されている。振動素子30の基板11への接合とは、具体的には、基板11上に設けられた接合端子23と、振動素子30の第1接合部35において基板11と対向する面に設けられた電極端子34と、を導電性接合部材25により接合することである。
【0013】
本実施形態では、第1面11aに直交する方向であるZ方向からの平面視において、振動素子30を接合する接合端子23がヒーター14と重なる位置に配置されているため、電極端子34が設けられている振動素子30の第1接合部35をヒーター14と重なるように配置することができる。そのため、ヒーター14の熱が効率良く振動素子30に伝わるので、高精度な温度制御が可能となり、発振周波数精度を向上させることができる。
【0014】
回路16は、温度センサー15の出力に基づいてヒーター14を制御する温度制御回路16Aと、振動素子30の出力信号を増幅し、増幅した信号を振動素子30にフィードバックすることにより振動素子30を発振させる発振回路16Bと、を備えている。
温度制御回路16Aは、温度センサー15から出力される温度情報に基づいてヒーター14を流れる電流量を制御することにより、振動素子30を一定温度に保つための回路である。例えば、温度制御回路16Aは、温度センサー15の出力信号から判定される現在の温度が設定された基準温度よりも低い場合には、ヒーター14に所望の電流を流し、現在の温度が基準温度よりも高い場合にはヒーター14に電流が流れないように制御する。
【0015】
尚、本実施形態では、回路16を第1面11a側に配置しているが、第2面11b側に配置しても構わない。また、回路16に温度センサー15から出力される温度情報に基づいて、発振回路16Bの発振信号の周波数変動が振動素子30自身の周波数温度特性よりも小さくなるように温度補償する温度補償回路を備えていても構わない。
【0016】
基板11の第2面11bには、第1面11a側に設けられた回路16と配線19等を介して電気的に接続されている複数の外部端子22が形成されている。
【0017】
また、基板11には、基板11を厚さ方向に貫通する一対の貫通孔20が形成されている。貫通孔20内には導電性材料が充填され、貫通電極21が形成されている。そのため、外部端子22は、貫通電極21及び配線19を介して回路16と電気的に接続され、外部端子22から通電することで、発振回路16Bから振動素子30の励振電極32に電圧が印加され、振動素子30を発振させることができる。また、発振回路16Bから出力される発振信号を外部端子22から外部へ出力することができる。
【0018】
リッド12は、基板11と同様、シリコン基板である。これにより、基板11とリッド12との線膨張係数が等しくなり、熱膨張に起因する熱応力の発生が抑えられ、優れた振動特性を有する振動デバイス1となる。また、振動デバイス1を半導体プロセスによって形成することができるため、振動デバイス1を精度よく製造することができるとともに、その小型化を図ることができる。ただし、リッド12としては、特に限定されず、シリコン以外の半導体基板、例えば、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化ガリウム、窒化ガリウム、炭化珪素等の半導体基板を用いてもよい。また、例えば、コバール等の金属基板、ガラス基板等の半導体基板以外の基板を用いることもできる。
【0019】
リッド12は、基板11側に開口し、内部に振動素子30を収納する有底の凹部27を有する。そして、リッド12は、その下面において接合部材13を介して基板11に接合されている。これにより、リッド12は、基板11とともに振動素子30を収納する内部空間29を形成する。尚、基板11とリッド12との接合方法としては、接合部材13を介さず、基板11やリッド12に含む金属同士の拡散を利用した拡散接合等の接合方法でも構わない。
【0020】
また、内部空間29は、気密であり、減圧状態、好ましくはより真空に近い状態となっている。これにより、粘性抵抗が減り、振動素子30の発振特性が向上する。ただし、内部空間29の雰囲気は、特に限定されず、例えば、窒素又はアルゴン等の不活性ガスを封入した雰囲気であってもよく、減圧状態でなく大気圧状態又は加圧状態となっていてもよい。
【0021】
以上述べたように本実施形態の振動デバイス1は、振動素子30の第1接合部35が、Z方向からの平面視において、ヒーター14と重なるように配置されているため、ヒーター14の熱が効率良く振動素子30に伝わる。そのため、振動素子30を高精度に温度制御することができ、振動デバイス1から出力する発振周波数精度を向上させることができる。
【0022】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る振動デバイス1aについて、図4及び図5を参照して説明する。尚、図4において、振動デバイス1aの内部構成を説明する便宜上、リッド12と振動素子30とを取り外した状態を図示している。
【0023】
本実施形態の振動デバイス1aは、第1実施形態の振動デバイス1に比べ、温度センサー15aの配置位置及びヒーター14aの形状が異なること以外は、第1実施形態の振動デバイス1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0024】
振動デバイス1aは、図4及び図5に示すように、基板11の第1面11a側に、振動素子30、ヒーター14a、温度センサー15a、及び回路16を有する。
【0025】
ヒーター14aは、図4に示すように、Z方向からの平面視において、温度センサー15aを取り囲むパターン形状をしている。
温度センサー15aは、Z方向からの平面視において、基板11の略中央に位置し、ヒーター14aによって囲まれて配置されている。
【0026】
このような構成とすることで、振動素子30とヒーター14aと温度センサー15aとの温度差をより抑えることができ、第1実施形態の振動デバイス1と同様の効果を得ることができる。
【0027】
3.第3実施形態
次に、第3実施形態に係る振動デバイス1bについて、図6図7、及び図8を参照して説明する。尚、図6において、振動デバイス1bの内部構成を説明する便宜上、リッド12を取り外した状態を図示している。また、図8において、振動デバイス1bの内部構成を説明する便宜上、リッド12と振動素子30bとを取り外した状態を図示している。
【0028】
本実施形態の振動デバイス1bは、第1実施形態の振動デバイス1に比べ、基板11の振動素子30bとの接合位置が3ヶ所であり、振動素子30b及びヒーター14bの形状と、温度センサー15bの配置位置と、が異なること以外は、第1実施形態の振動デバイス1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0029】
振動デバイス1bは、図6及び図7に示すように、基板11の第1面11a側に、振動素子30b、ヒーター14b、温度センサー15b、及び回路16を有する。
【0030】
振動素子30bは、Z方向からの平面視において、振動部36を挟んで第1接合部35と反対側に配置され、ヒーター14bと重なるように配置された第2接合部37を有する。第2接合部37の基板11と対向する面に設けられた電極端子38と、基板11上に設けられた接合端子24と、が導電性接合部材25を介して接合されている。従って、振動素子30bは、第1接合部35の2ヶ所と第2接合部37の1ヶ所の計3ヶ所で基板11に接合されている。
【0031】
ヒーター14bは、図8に示すように、Z方向からの平面視において、振動素子30bを接合するための3つの接合端子23,24を取り囲むパターン形状をしている。
温度センサー15bは、ヒーター14bのX方向マイナス側に配置されている。
【0032】
このような構成とすることで、基板11に接合する第1接合部35の2ヶ所と、振動部36を挟んで第1接合部35と反対側に配置された第2接合部37の1ヶ所と、からヒーター14bの熱が伝わるので、振動素子30b内の温度ムラを抑制することができる。また、振動素子30bを3ヶ所で保持するので、落下衝撃等に対する耐衝撃性を向上させることができ、第1実施形態の振動デバイス1と同様の効果を得ることができる。
【0033】
4.第4実施形態
次に、第4実施形態に係る振動デバイス1cについて、図9及び図10を参照して説明する。尚、図9において、振動デバイス1cの内部構成を説明する便宜上、リッド12を取り外した状態を図示している。
【0034】
本実施形態の振動デバイス1cは、第1実施形態の振動デバイス1に比べ、回路16cが第2面11b側に配置され、ヒーター14と電気的に接続する第1貫通電極21a、温度センサー15と電気的に接続する第2貫通電極21b、及び振動素子30と電気的に接続する第3貫通電極21cが基板11cに設けられ、回路16cを覆う絶縁層40が設けられていること以外は、第1実施形態の振動デバイス1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0035】
振動デバイス1cは、図9及び図10に示すように、パッケージ10cを構成する基板11cの第2面11b側に温度制御回路16Aと発振回路16Bとを備える回路16cが設けられている。回路16cの上には、回路16cを覆う絶縁層40が設けられている。尚、絶縁層40は、パッシベーション膜として作用し、窒化シリコン、酸化シリコン、及びポリイミドのような有機物材料等が用いられる。
【0036】
基板11cは、第1面11aと第2面11bとを貫通する貫通孔20aに設けられたヒーター14と回路16cとを電気的に接続している第1貫通電極21aと、第1面11aと第2面11bとを貫通する貫通孔20bに設けられた温度センサー15と回路16cとを電気的に接続している第2貫通電極21bと、第1面11aと第2面11bとを貫通する貫通孔20cに設けられた振動素子30と回路16cとを電気的に接続している第3貫通電極21cと、を有する。
【0037】
このような構成とすることで、ヒーター14、温度センサー15、及び振動素子30と回路16cとの電気的な接続が容易となる。また、ヒーター14、温度センサー15、及び振動素子30と回路16cとを電気的に接続するために、内部空間29内から基板11c外に配線を引き回す必要がない。そのため、内部空間29の気密性をより確実に確保することができる。また、絶縁層40で回路16cを覆うことで、振動素子30の熱が基板11cを介して外部に放出されるのを効果的に抑制することができる。そのため、振動素子30の温度をより一定に保ち易くなるとともに、ヒーター14の消費電力を低減することができ、第1実施形態の振動デバイス1と同様の効果を得ることができる。
【0038】
5.第5実施形態
次に、第5実施形態に係る振動デバイス1dについて、図11及び図12を参照して説明する。尚、図11において、振動デバイス1dの内部構成を説明する便宜上、リッド12dを取り外した状態を図示している。
【0039】
本実施形態の振動デバイス1dは、第1実施形態の振動デバイス1に比べ、リッド12dの振動素子30を収納する側の面28に断熱層26が設けられていること以外は、第1実施形態の振動デバイス1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0040】
振動デバイス1dは、図11及び図12に示すように、パッケージ10dを構成するリッド12dの振動素子30を収納する側の面28に断熱層26が設けられている。尚、断熱層26は、基板11やリッド12dより熱伝導率が低い材料から構成されている。このような断熱層26としては、酸化シリコン、多孔質ポリイミド等の多孔質樹脂材料、及び各種ガラス材料、シリカエアロゲル等の無機多孔質材料等が用いられる。
【0041】
このような構成とすることで、断熱層26によって、振動素子30の温度をより一定に保ち易くなるとともに、ヒーター14の消費電力を低減することができ、第1実施形態の振動デバイス1と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0042】
1,1a,1b,1c,1d…振動デバイス、10…パッケージ、11…基板、11a…第1面、11b…第2面、12…リッド、13…接合部材、14…ヒーター、15…温度センサー、16…回路、16A…温度制御回路、16B…発振回路、17…絶縁膜、18…絶縁膜、19…配線、20,20a,20b,20c…貫通孔、21…貫通電極、21a…第1貫通電極、21b…第2貫通電極、21c…第3貫通電極、22…外部端子、23,24…接合端子、25…導電性接合部材、26…断熱層、27…凹部、28…面、29…内部空間、30…振動素子、31…振動基板、32…励振電極、33…リード電極、34…電極端子、35…第1接合部、36…振動部、37…第2接合部、38…電極端子、40…絶縁層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12