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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168992
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】制御装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 12/069 20210101AFI20221101BHJP
   G06F 21/44 20130101ALI20221101BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20221101BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20221101BHJP
【FI】
H04W12/069
G06F21/44
H04W84/10 110
H04W76/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074728
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】栗下 拓也
(72)【発明者】
【氏名】前川 周哉
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE25
(57)【要約】
【課題】認証処理の利便性をさらに向上することが可能な制御装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】他の装置との認証処理に用いられる認証情報を含む情報を1以上記憶する記憶部と、無線通信を行う通信部を介して通信する他の装置との間で、前記認証情報を用いる認証処理を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記他の装置から受信する信号に含まれる、前記認証処理を行うための通信接続の方法である接続方法の識別情報に従って、当該識別情報に対応付けられる接続方法により前記他の装置と接続する処理を実行する、制御装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の装置との認証処理に用いられる認証情報を含む情報を1以上記憶する記憶部と、
無線通信を行う通信部を介して通信する他の装置との間で、前記認証情報を用いる認証処理を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記他の装置から受信する信号に含まれる、前記認証処理を行うための通信接続の方法である接続方法の識別情報に従って、当該識別情報に対応付けられる接続方法により前記他の装置と接続する処理を実行する、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記識別情報に対応付けられる接続方法として、明示的な指示が行われた際に接続を開始する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記明示的な指示として、利用者によるボタン操作を検出する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記識別情報に対応付けられる接続方法として、前記他の装置からの前記情報の受信をトリガとして接続を開始する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、さらに前記他の装置と前記制御装置との間の距離が規定の距離内の場合に、前記接続を開始する、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記他の装置との無線通信の接続が確立すると、前記認証情報を用いて前記他の装との間で認証処理を行う、請求項1~5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記記憶部に記憶される情報は、前記認証情報と、利用が許可されている対象物の識別情報を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記他の装置から受信する信号に含まれる、当該他の装置が搭載されている前記対象物の識別情報と一致する識別情報を含む前記記憶部に記憶される前記情報に含まれる認証情報を選出し、前記認証処理に用いる、請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記記憶部に記憶される1以上の情報は、それぞれ、前記対象物の利用予約に基づいてサーバにより生成され、通信を介して前記制御装置に取得される、請求項7または8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記接続方法の識別情報は、BLE(Bluetooth Low Energy)のアドバタイズパケットに含まれる制御コードである、請求項1~9のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記認証情報は、前記認証処理で用いられる暗号化または復号化に使用される暗号鍵である、請求項1~10のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記他の装置は、対象物に搭載され、前記認証処理による認証が成功した際に前記対象物に設けられる鍵の解錠を制御する装置である、請求項1~11のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項13】
コンピュータを、
無線通信を行う通信部を介して通信する他の装置との間で、他の装置との認証処理に用いられる認証情報を含む情報を1以上記憶する記憶部に記憶される前記認証情報を用いる認証処理を制御する制御部として機能させ、
前記制御部は、前記他の装置から受信する信号に含まれる、前記認証処理を行うための通信接続の方法である接続方法の識別情報に従って、当該識別情報に対応付けられる接続方法により前記他の装置と接続する処理を実行する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、装置間で信号を送受信した結果に従って装置の認証を行う技術が開発されている。例えば、下記特許文献1では、配送される品物を広範囲において追跡、管理するシステムにおいて、品物の受け渡しを行う際の許可方法として認証処理が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-146189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、認証対象が異なる複数の認証処理を使い分けることは想定されていなかった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、認証処理の利便性をさらに向上することが可能な、新規かつ改良された制御装置およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、他の装置との認証処理に用いられる認証情報を含む情報を1以上記憶する記憶部と、無線通信を行う通信部を介して通信する他の装置との間で、前記認証情報を用いる認証処理を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記他の装置から受信する信号に含まれる、前記認証処理を行うための通信接続の方法である接続方法の識別情報に従って、当該識別情報に対応付けられる接続方法により前記他の装置と接続する処理を実行する、制御装置が提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、無線通信を行う通信部を介して通信する他の装置との間で、他の装置との認証処理に用いられる認証情報を含む情報を1以上記憶する記憶部に記憶される前記認証情報を用いる認証処理を制御する制御部として機能させ、前記制御部は、前記他の装置から受信する信号に含まれる、前記認証処理を行うための通信接続の方法である接続方法の識別情報に従って、当該識別情報に対応付けられる接続方法により前記他の装置と接続する処理を実行する、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、認証処理の利便性をさらに向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態によるシステムの概要について説明する図である。
図2】本実施形態に係る利用者端末およびデバイス制御装置の構成例を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係るデジタルキーを用いた解錠処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
<1.概要>
図1は、本発明の一実施形態によるシステムの概要について説明する図である。本実施形態では、車両や自転車、ホームドア、ホテル等の鍵を、スマートフォン等の利用者端末10(制御装置の一例)を用いてロック/アンロックするデジタルキーシステムについて説明する。デジタルキーとは、施解錠を行う際に用いられる情報である。具体的には、装置間の通信に基づいて認証処理が行われ、認証が成功した場合に解錠される。本実施形態では、かかる認証処理に用いられる認証情報を少なくとも含む情報を、デジタルキーと称する。
【0012】
また、本実施形態では、一例として、利用者が予約システムから車両等の利用予約を行うことを想定する。図1に示すように、例えば、社用車の予約管理を行う社用車予約システムサーバ40A、宅配BOXの予約管理を行う宅配BOX予約システムサーバ40B、車両のシェア利用の予約管理を行うカーシェア予約システムサーバ40C、およびホテルの予約官吏を行うホテル予約システムサーバ40D等の、様々な予約システムが想定される。これらは、それぞれ異なる事業者により運営され得る。
【0013】
利用者は、スマートフォン等の利用者端末10を用いて、利用したいサービスの予約を、予約システムサーバに対して行う。例えば、仕事のため自社の社用車予約システムサーバ40Aにより社用車の予約を行う。社用車予約システムサーバ40A、例えば利用者情報、利用期間、および利用車両の識別情報を登録する。そして、社用車予約システムサーバ40Aは、予約を受け付けると、発行サーバ20にデジタルキーの発行を依頼する。
【0014】
発行サーバ20は、デジタルキーを生成し、利用者に発行する処理を行う。具体的には、例えば発行サーバ20は、社用車予約システムサーバ40Aからの依頼に応じてデジタルキー22Aを生成し、利用者端末10に送信する。デジタルキーとは、上述したように、認証処理に用いられる認証情報を少なくとも含む電子情報である。認証情報は、例えば所定の情報を暗号化または復号化する際に用いられるアルゴリズムを示す情報から成る暗号鍵であってもよい。暗号鍵は、共通鍵暗号方式を使用する場合の共通鍵であってもよいし、公開鍵暗号方式を使用する場合の秘密鍵であってもよい。また、認証情報は、暗号鍵を生成するための情報であってもよい。また、デジタルキーには、利用権限に関する情報も含まれ得る。発行サーバ20は、予約システムサーバから取得した情報に基づいて、利用者の操作権限情報、利用期間、利用対象の識別情報、利用するサービスの情報、および認証のための通信接続の方法示す情報等を、デジタルキーに含めてもよい。利用者の操作権限情報とは、人(個人またはグループ)の権限に関する情報や、機能の権限に関する情報を含んでもよい。また、利用者の操作権限情報は、誰から、またはどのシステムから与えられた権限であるかに関する情報を含んでいてもよい。
【0015】
そして利用者は、予約した対象物を利用する際、利用者端末10にダウンロードされたデジタルキーを用いて対象物の鍵の施錠等を行う。予約される対象物とは、所有者(個人または事象者)により貸し出される対象物が想定される。例えば、車両(シェアカー、レンタカー、社用車、重機等)、自転車(レンタサイクル、シェアサイクル等)、電動キックボード、宅配BOX、ホテル、家、会議室、オフィス、スーツケース等が挙げられる。図1に示す例では、利用者端末10は、社用車予約システムサーバ40Aからの依頼に応じて発行サーバ20により生成されたデジタルキー22Aを用いて、予約した社用車である車両3Aのドアの解錠を行い得る。
【0016】
より具体的には、利用者端末10(制御装置の一例)は、車両3Aに搭載され、車両3Aのドアの施解錠を制御するデバイス制御装置30A(他の装置の一例)と無線通信を行い、デバイス制御装置30Aとの間で、デジタルキー22Aを用いた認証処理を行う。デバイス制御装置30Aは、他の装置と無線通信によりデータの送信および受信を行う無線通信機能を有する。具体的には、デバイス制御装置30Aは、利用者端末10と無線通信を行い得る。また、デバイス制御装置30Aは、利用者端末10から受信した情報に基づいて、利用者端末10を認証する認証処理を行う。デバイス制御装置30Aには、デジタルキー22Aが、発行サーバ20または社用車予約システムサーバ40Aから予め送信されていてもよい。デバイス制御装置30Aは、デジタルキー22Aを用いて利用者端末10の認証を行い得る。そして、認証が成功した場合、デバイス制御装置30Aは、車両3Aのドアロックの解錠や、車両3Aに設けられた所定の照明の点灯、また、エンジンの始動といった、車両3Aの動作を許可する。車両3Aの動作制御は、デバイス制御装置30Aで行ってもよいし、車両3Aに搭載された他の装置により行われてもよい。
【0017】
ここで、利用者が複数の予約システムを利用して予約を行った場合、利用者端末10には複数のデジタルキーが保存されることとなる。例えば、利用者が社用車である車両3Aを運転して宅配業務を行っている際に、届け先の宅配BOXの利用予約を行うことが想定される。利用者は、利用者端末10を用いて、宅配BOX予約システムサーバ40Bに対して届け先の宅配BOXの利用予約を行う。予約方法の詳細については限定しないが、例えば利用者は、宅配BOX予約システムサーバ40Bから提供される現在の空き状況を参照し、利用する宅配BOXを選択して利用予約を行う。予約を受け付けると、宅配BOX予約システムサーバ40Bは、発行サーバ20に対してデジタルキーの発行を依頼する。
【0018】
発行サーバ20は、宅配BOX予約システムサーバ40Bからの依頼に応じて、デジタルキー22Bを生成し、利用者端末10に送信する。利用者端末10は、宅配BOX3Bに搭載されている宅配BOXの施解錠を制御するデバイス制御装置30Bとの認証処理ではデジタルキー22Bを利用し、予約した宅配BOXを解錠することが可能となる。
【0019】
このように、本実施形態による利用者端末10は、様々な予約システムを予約することで発行された複数のデジタルキーを適宜使い分ける制御を行うことで、様々なサービスを利用する際の利用者の手間を軽減し、認証処理を用いたサービスの利便性を向上させることが可能となる。従来は、サービス毎に異なる専用のアプリケーション(例えば社用車予約システムアプリ、宅配BOX予約システムアプリ等)を利用者が利用者端末10にダウンロードし、利用する度に立ち上げ、画面操作等を行う必要があった。また、利用者は、対象物を利用する度にスマートフォン等のアプリケーション一覧画面(アイコンが並ぶホーム画面やランチャー画面)から、適切なアプリケーションを選び出すといった操作負担も生じていた。本実施形態では、一のアプリケーション(プログラム)により複数のデジタルキーを対象物に応じて適切に使い分け、認証処理を実行することで、利用者の操作負担を軽減し、様々なサービスを利用する際の利便性を向上させることができる。
【0020】
また、本実施形態による発行サーバ20は、予約システムを提供する事業者とは異なる事業者により運営されてもよい。対象物の貸し出しを行って予約システムを提供する事業者は、対象物の施解錠等を行うための認証システムについては、発行サーバ20を運営する事業者により提供されるサービスを利用することが可能である。これにより、貸し出し事業者は、認証システムや利用者端末10で施解錠のために利用される専用アプリケーションの開発が不要となり、時間や費用のコストを他の領域に活用することができる。
【0021】
また、本実施形態では、デジタルキーが、貸し出しされる対象物の施解錠に用いられる旨を説明したが、本発明は貸し出し対象物に限定されない。例えば利用者が購入して所有している対象物に用いられるデジタルキーであってもよい。
【0022】
以上、本実施形態によるシステムの概要について説明した。続いて、本システムに含まれる利用者端末10およびデバイス制御装置30の各構成について図面を用いて順次説明する。
【0023】
<2.構成例>
図2は、本実施形態に係る利用者端末10およびデバイス制御装置30の構成例を示すブロック図である。
【0024】
<2-1.利用者端末10>
図2に示すように、利用者端末10は、通信部110と、制御部120と、操作表示部130と、記憶部140と、を有する。利用者端末10は、利用者に携帯されることを想定する。利用者端末10は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ウェアラブルデバイス、小型の専用端末(携帯機)、またはカード型のデバイス等であってもよい。
【0025】
通信部110は、他の装置とデータの送受信を行う機能を有する。例えば通信部110は、デバイス制御装置30との間で、所定の無線通信規格に準拠した通信を行う。例えば通信部110は、短い通信距離で他の装置とデータの送受信を行う通信デバイスであってもよい。短い通信距離とは、例えば、5cm、10cm、1m、または10m程度内であってもよい。本実施形態では、一例として、BLE(登録商標)(Bluetooth Low Energy)を用いて説明する。なお、本発明はこれに限らず、通信部110は、NFC(Near field communication)、Bluetooth(登録商標)、UWB(Ultra-Wide Band)、Wi-Fi(登録商標)、またはTransferJet(登録商標)等を用いてもよい。また、通信部110は、インターネットに通信接続し、インターネットを介して外部装置(例えば発行サーバ20や各種の予約システムのサーバ等)とデータの送受信を行ってもよい。
【0026】
制御部120は、演算処理装置又は制御装置として機能し、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、または記憶部140等に記録された各種プログラムに基づいて、利用者端末10の各構成要素の動作全般又はその一部を制御する。制御部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や、MCU(Micro Controller Unit)等のプロセッサによって実現され得る。
【0027】
本実施形態による制御部120は、例えばデバイス制御装置30から発信された要求信号に応じて、認証情報を用いて所定の応答信号を生成して返信する等、デバイス制御装置30との間で認証処理を実行し得る。また、制御部120は、かかる認証処理に先立って、デバイス制御装置30と無線通信の接続処理を行い得る。かかる接続処理は、認証処理の第一段階の処理として認証処理に含めてもよい。本実施形態では、例えばBLE通信により通信接続が行われ得る。制御部120は、デバイス制御装置30から発信されるBLEのアドバタイズパケットを受信してデバイス制御装置30を認識する。ここで、利用者端末10がデバイス制御装置30と通信接続する方法は、利用が許可されている対象物(デバイス制御装置30が搭載されている対象物)に応じて切り替え得る。例えば、自動的にBLE接続を行う方法と、利用者の明示的な指示があった場合にBLE接続を行う方法が挙げられる。利用者の明示的な指示とは、例えば、操作表示部130に表示した「解錠ボタン」画像がタップされる等の操作が想定される。いずれの接続方法を用いるかは、対象物に応じて予め設定され得る。本実施形態による接続方法の切り替えについては、図3を参照して後述する。
【0028】
操作表示部130は、利用者端末10への利用者による操作入力の受け付け機能、および各種操作画面等を表示する機能を有する。操作表示部130は、操作入力の受け付け機能と表示機能とが一体に実現されてもよいし、別体で実現されてもよい。操作入力の受け付け機能としては、例えば、ボタンやスイッチ、タッチパネル等が挙げられる。また、表示部240は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)装置、またはOLED(Organic Light Emitting Diode)装置等によって実現され得る。操作表示部130は、例えばタッチパネルディスプレイにより実現されてもよい。
【0029】
記憶部140は、利用者端末10の動作のための各種情報を記憶する機能を有する。また、記憶部140は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等によって実現され得る。
【0030】
また、記憶部140は、利用者端末10の動作のためのプログラム、並びに、デバイス制御装置30との認証処理に用いられるデジタルキー(認証情報を含む)を記憶する。本実施形態では、図1を参照して説明したように、予約毎に(少なくとも予約した対象物毎に)デジタルキーが発行され、利用者端末10の記憶部140には、複数のデジタルキーが保存され得る。
【0031】
以上、本実施形態による利用者端末10の構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、利用者端末10は、さらにマイクやスピーカ、カメラ、各種センサ等を有していてもよい。
【0032】
<2-2.デバイス制御装置30>
図2に示すように、デバイス制御装置30は、通信部310、制御部320、および記憶部330を有する。デバイス制御装置30は、利用者が利用する対象物に搭載され、利用者端末10との無線通信に基づいて認証処理を行い、認証結果に従って対象物の施解錠制御を行う。なお、デバイス制御装置30が対象物に搭載される場所は特に限定しない。
【0033】
(通信部310)
通信部310は、他の装置とデータの送受信を行う機能を有する。例えば通信部310は、利用者端末10との間で、所定の無線通信規格に準拠した通信を行う。例えば通信部310は、短い通信距離で他の装置とデータの送受信を行う通信デバイスであってもよい。短い通信距離とは、例えば、5cm、10cm、1m、または10m程度内であってもよい。本実施形態では、一例として、BLEを用いて説明する。なお、本発明はこれに限らず、通信部310は、NFC、Bluetooth、UWB、Wi-Fi、またはTransferJet等を用いてもよい。また、通信部310は、インターネットに通信接続し、インターネットを介して外部装置(例えば発行サーバ20や各種の予約システムのサーバ等)とデータの送受信を行ってもよい。
【0034】
(制御部320)
制御部320は、演算処理装置又は制御装置として機能し、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、または記憶部330等に記録された各種プログラムに基づいて、デバイス制御装置30の各構成要素の動作全般又はその一部を制御する。制御部320は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や、MCU(Micro Controller Unit)等のプロセッサによって実現され得る。なお、デバイス制御装置30が、対象物の一例である車両に搭載される場合、制御部320は、車両に搭載されるECU(Electronic Control Unit)や、ECUに搭載されるマイコン等によって実現されてもよい。
【0035】
また本実施形態による制御部320は、利用者端末10との間で無線通信を行い、認証情報を用いた認証処理を実行し、認証結果に応じて解錠の制御を行い得る。認証処理の方法は特に限定しないが、例えば以下のような例が挙げられる。
【0036】
例えば制御部320は、まず、乱数を生成して認証要求信号として利用者端末10に送信する。次いで、利用者端末10において、当該乱数を、認証情報(デジタルキー)を用いて暗号化し、認証応答信号としてデバイス制御装置30に返信する。そして、デバイス制御装置30の制御部320は、記憶部330に予め記憶された認証情報(デジタルキー)を用いて復号化し、上記生成した乱数と一致するか否かを判断する。このような認証を、要求応答認証とも称する。デバイス制御装置30および利用者端末10は、かかる要求応答認証を互いに行う相互認証を行ってもよい。また、暗号化と復号化に用いる認証情報は異なるものであってもよい。また、相互認証を行う際に用いる認証情報は異なるものであってもよい。
【0037】
なお、本実施形態では、認証情報の一例として、暗号化や復号化を行うためのアルゴリズムから成る暗号鍵を用いる旨を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば認証情報は、所定のパスワード、固有ID、数値、算出式、またはプログラム等であってもよい。
【0038】
また、本実施形態による制御部320は、上述した認証処理を実行する際に先立って、利用者端末10と無線通信の接続処理を行い得る。かかる接続処理は、認証処理の第一段階の処理として認証処理に含めてもよい。本実施形態では、例えばBLE通信により通信接続が行われ得る。制御部320は、例えばBLEのアドバタイズパケットを定期的に発信し、利用者端末10から送信される接続要求信号を待つ。ここで、上述したように、本実施形態では、対象物に応じて予め接続方法が設定され得る。具体的には、デバイス制御装置30から発信する信号(例えばBLEのアドバタイズパケット)に、接続方法(認証処理を行うための通信接続の方法である接続方法)を示す識別情報(いわゆる制御コード)を埋め込むことで、利用者端末10側で適切な接続方法を判断できるようにする。制御コードの埋め込みは、例えばデバイス制御装置30の出荷時や初期設定時に管理者により行われ得る。また、かかる制御コードは、インターネット経由で管理者により更新されてもよい。また、かかる制御コードは、業者向けのアプリケーションを搭載したスマートフォンや専用端末を用いてデバイス制御装置30に通信接続して管理者により更新されてもよい。接続方法の切り替え等の詳細については、図3を参照して後述する。
【0039】
(記憶部330)
記憶部330は、各種情報を記憶する構成である。例えば、記憶部330は、制御部320によって使用されるプログラムやパラメータ等を記憶する。また、記憶部330は、制御部320による処理結果等を記憶してもよい。また、記憶部330は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等によって実現され得る。
【0040】
また、記憶部330は、利用者端末10との認証処理に用いられるデジタルキー(認証情報を含む)を記憶する。本実施形態では、例えば予約システムサーバにおいて利用予約が行われた際に、発行サーバ20により生成されたデジタルキーが、発行サーバ20から、または予約システムサーバから、デバイス制御装置30に送信される。
【0041】
以上、本実施形態によるデバイス制御装置30の構成例について説明した。なお、本実施形態によるデバイス制御装置30の構成は図2に示す例に限定されない。例えば、デバイス制御装置30は、複数の装置により構成されてもよい。
【0042】
<3.動作処理>
図3は、本実施形態に係るデジタルキーを用いた解錠処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0043】
図3に示すように、まず、利用者端末10は、予約システムサーバ40に対してデバイス(対象物)の対象物の利用予約を行う(ステップS103)。例えば利用者端末10は、予約システムサーバ40により提供される予約用のWEBサイト、またはアプリケーションを用いて利用者情報や利用期間の入力、利用対象の選択等を行う。
【0044】
次に、利用者端末10は、予約システムサーバ40の依頼に基づいて生成され、発行されるデジタルキーを、発行サーバ20から取得(ダウンロード)する(ステップS106)。
【0045】
利用者は、上記予約と予約に伴うデジタルキーの取得を、対象物の利用前に予め行う。デジタルキーの取得処理は、予約毎に行われ、利用者端末10は、複数のデジタルキーを取得し得る。続いて、利用者が対象物を利用する際の動作処理について説明する。
【0046】
対象物に搭載されるデバイス制御装置30からは、自身の存在を周囲に伝える信号を定期的が送信される(ステップS109)。かかる信号は、例えばBLEのアドバタイズパケットであってもよい。また、かかる信号には、利用が許可されている対象物の名前を示す情報(デバイスID)、当該対象物を提供しているサービスを示す情報(サービスID)、および接続方法を指定する情報(制御コード)が含まれる。例えばBLEのアドバタイズパケットが用いられる場合、デバイス制御装置30は、デバイスIDとサービスIDを含むアドバタイズパケットと、デバイスIDと制御コードを含むアドバタイズパケットとを交互に発信するようにしてもよい。
【0047】
次いで、利用者端末10は、デバイス制御装置30から受信した信号に基づいて、採用する接続方法を判断する(ステップS112)。具体的には、利用者端末10の制御部120は、デバイス制御装置30から受信した信号に含まれる制御コードに対応付けられる接続方法を、採用する接続方法として判断する。制御コードと接続方法の対応付けは、予め利用者端末10の記憶部140に記憶され得る。また、かかる対応付けは、デジタルキー取得の際に併せて取得されてもよい。
【0048】
次に、利用者端末10の制御部120は、制御コードで示される接続方法に従って接続処理を行う(ステップS115)。
【0049】
例えば、制御コードで示される接続方法が自動接続の場合、制御部120は、デバイス制御装置30からの信号受信をトリガとして、接続要求信号をデバイス制御装置30に送信し、1対1の接続通信を確立する。自動接続は、例えば利用者が対象物に近付いた際に自動的に解錠まで行われることが好ましい場合等に用いられる。一例として、宅配BOX3Bのデバイス制御装置30Bとの接続方法が、自動接続に設定されていてもよい。
【0050】
また、制御コードで示される接続方法が、利用者の明示的な指示を必要する接続方法の場合、例えば制御部120は、解錠ボタン画像を操作表示部130に表示する。そして、制御部120は、利用者により解錠ボタン画像がタップされた場合に、接続要求信号をデバイス制御装置30に送信し、1対1の接続通信を確立する。明示的な指示を必要する接続方法は、例えば利用者が対象物に近付いた際に自動的に解錠まで行われることが好ましくない場合等に用いられる。一例として、車両3Aのデバイス制御装置30Aとの接続方法が、ボタン押下をトリガ条件とする接続方法に設定されていてもよい。
【0051】
続いて、利用者端末10の制御部120は、複数のデジタルキーのうち、対象物に応じて利用するデジタルキーを選出し(ステップS118)、デバイス制御装置30との間で認証処理を行う(ステップS121)。デジタルキーの選出では、例えばデバイス制御装置30から受信した信号に含まれるデバイスIDと一致するデバイスIDを含むデジタルキーを、認証処理に利用するデジタルキーとして選出する。また、制御部120は、デバイスIDのみならず、デバイスIDおよびサービスIDが一致するデジタルキーを選出してもよい。デジタルキーには、利用が許可されている対象物を示すデバイスIDと、当該対象物を提供するサービスを示すサービスIDが含まれている。
【0052】
認証処理の詳細については、上述した通りである。なお、認証処理では、利用者端末10とデバイス制御装置30との間の距離に基づく認証がさらに行われてもよい。例えば利用者端末10とデバイス制御装置30との間の距離が規定の距離以下の場合に(第1段階の認証処理の成功)、デバイス制御装置30が、認証情報を用いて利用者端末10を認証する処理(第2段階の認証処理)を行ってもよい。本実施形態では、どのような認証処理を用いるかも、制御コードにより利用者端末10に通知されてもよい。すなわち、デバイス制御装置30から発信される信号に埋め込まれる制御コードには、接続方法および認証処理方法が対応付けられ得る。
【0053】
そして、デバイス制御装置30の制御部320は、認証が成功すると、対象物のロックを解錠する制御を行う(ステップS124)。なお、制御部320は、利用者による明示的な指示があった場合に解錠するようにしてもよい。例えば、デバイス制御装置30は、認証が成功したことを利用者端末10に通知する。利用者端末10の制御部120は、通知に応じて、解錠ボタン画像を操作表示部130に表示する。次いで、利用者により解錠ボタン画像がタップされた場合、利用者端末10は、解錠指示をデバイス制御装置30に送信する。デバイス制御装置30は、かかる解錠指示を受信した場合に、解錠制御を実行する。本実施形態では、どのような解除方法を用いるかも、制御コードにより利用者端末10に通知されてもよい。すなわち、デバイス制御装置30から発信される信号に埋め込まれる制御コードには、接続方法および解除方法が対応付けられ得る。
【0054】
以上、本実施形態に係る解錠処理の流れの一例について説明した。なお、本発明による動作処理は図3に示す例に限定されない。例えばステップS112に示す接続方法の判断処理と、ステップS118に示すデジタルキーの選出処理は並行して行われてもよい。
【0055】
<4.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0056】
例えば、制御コードに対応付けられる接続方法の一つとして、デバイス制御装置30と利用者端末10との間の距離が規定の距離内の場合に、自動的に接続を開始する方法も挙げられる。例えば利用者端末10は、距離に相関する信号強度に基づいて、接続処理を制御してもよい。具体的には、例えば利用者端末10は、デバイス制御装置30から発信されるアドバタイズパケットの信号強度を測定し、規定値を上回る場合は、デバイス制御装置30に接続要求を送信してBLE通信を確立してもよい。
【0057】
また、デバイス制御装置30において認証処理が成功した際に実行される制御は、対象物の鍵の解錠に限定されない。例えばデバイス制御装置30は、利用者端末10の認証が成功した際には、対象物を利用するために必要な制御を許可する。本実施形態で説明した解錠制御は、かかる対象物を利用するために必要な制御の一例である。
【0058】
また、上記では、デバイス制御装置30が搭載される移動体の一例として車両を用いたが、本実施形態に係る移動体は車両に限定されず、船舶(例えば、旅客船、貨物船、又は潜水艦等)や航空機(例えば、飛行機、ヘリコプター、グライダー、又は飛行船等)などであってもよい。また、車両は自動車に限定されず、バス、バイク、機関車、又は電車等であってもよい。また、移動体は、必ずしも上記の例に限定されず、移動可能な物体であればよい。
【0059】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0060】
また、コンピュータに内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、利用者端末10、またはデバイス制御装置30が有する構成と同等の機能を発揮させるための1以上のプログラムも作成可能であり、当該1以上のプログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。
【符号の説明】
【0061】
10:利用者端末、110:通信部、120:制御部、130:操作表示部、140:記憶部、30:デバイス制御装置、310:通信部、320:制御部、330:記憶部
図1
図2
図3