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  • 特開-網戸用フィルタシート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169021
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】網戸用フィルタシート
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/52 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
E06B9/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074776
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 祐也
(57)【要約】
【課題】構成を簡単にする。
【解決手段】網戸用フィルタシート10は、通気性を有するポリウレタンフォーム12と、網戸SDに対して着脱可能な係止手段14とを備えている。ポリウレタンフォーム12としては、連続気泡構造のものを用いることができる。また、係止手段14としては、例えば、網戸SDの網NTに引っ掛け可能な面ファスナーを用いることができる。そして、ポリウレタンフォーム12には、凹凸模様などの装飾16を設けることができる。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性を有するポリウレタンフォームと、
網戸に対して着脱可能な係止手段と、を備えている
ことを特徴とする網戸用フィルタシート。
【請求項2】
前記係止手段は、網戸の網に引っ掛け可能な面ファスナーである請求項1記載の網戸用フィルタシート。
【請求項3】
前記ポリウレタンフォームに、装飾が形成されている請求項1または2記載の網戸用フィルタシート。
【請求項4】
前記装飾は、凹凸模様を有している請求項3記載の網戸用フィルタシート。
【請求項5】
前記ポリウレタンフォームが抗菌処理されている請求項1~4の何れか一項に記載の網戸用フィルタシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、網戸に取り付ける網戸用フィルタシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、室内の換気を行うことに対する要請が強くなっている。これに伴って、網戸で阻むことができない花粉などが室内に侵入してしまうことが問題になっている。そこで、特許文献1のように、網戸を外フレームと内フレームとの2重構造とし、外フレームと内フレームとの間に不織布を挟むことで、花粉等の侵入を防止することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-192932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の網戸は、外フレームおよび内フレームを有する特殊な構造であり、構造が複雑である。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、簡単に花粉等の侵入を防止できる網戸用フィルタシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係る網戸用フィルタシートは、
通気性を有するポリウレタンフォームと、
網戸に対して着脱可能な係止手段と、を備えていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る網戸用フィルタシートによれば、簡単に花粉等の侵入を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例に係る網戸用フィルタシートが取り付けられた網戸を概略的に示す斜視図である。
図2】実施例の網戸用フィルタシートを取り外した網戸を概略的に示す斜視図である。
図3図1のA-A線に対応する位置で切断した端面図であり、(a)は網戸用フィルタシートを取り付けた状態であり、(b)は網戸用フィルタシートを取り外した状態である。
図4】実施例の網戸用フィルタシートを網戸への取り付け面側から示す背面図である。
図5図1のB-B線に対応する位置で切断した端面図であり、(a)は網戸用フィルタシートを取り付けた状態であり、(b)は網戸用フィルタシートを取り外した状態である。
図6図1のB-B線に対応する位置で切断した端面図であり、(a)は変更例の係止手段により網戸用フィルタシートを取り付けた状態であり、(b)は網戸用フィルタシートを取り外した状態である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明に係る網戸用フィルタシートにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例0010】
図1および図2に示す実施例に係る網戸用フィルタシート(以下、単にフィルタシートという。)10は、ポリウレタンフォーム12を主体としている。また、フィルタシート10は、網戸SDに着脱可能な係止手段14を有している(図4参照)。フィルタシート10は、係止手段14により網戸SDの網NTや枠FLに取り付けられ、ポリウレタンフォーム12が網NTに重なるように配置される(図3(a)および図5(a)参照)。フィルタシート10は、網戸SDの室内側および室外側の何れに取り付けてもよいが、室内側に取り付けると、仮に網戸SDから外れても屋外に落ちてしまうことを回避できるので好ましい。
【0011】
ポリウレタンフォーム12は、軟質、半硬質、硬質の何れであってもよい。ここで、軟質のポリウレタンフォーム12であると、丸めたり、折ったりすることなどが可能な可撓性を有することから、取り付け時や搬送時や使わないときの収納性などの取り扱い性がよいので好ましい。
【0012】
ポリウレタンフォーム12は、シート状に形成されている。ポリウレタンフォーム12は、例えば網戸SDの網NT(枠FLの開口)と同じまたは網NT(枠FLの開口)よりも大きく設定される。ポリウレタンフォーム12の厚みは、例えば2mm~4mmの範囲に設定すると、光の透過を許容し、軽量で、取り扱い易いことから好ましい。また、ポリウレタンフォーム12の密度(JIS K7222)は、例えば25kg/m~80kg/mの範囲であると、軽量で、取り扱い易いことから好ましい。
【0013】
ポリウレタンフォーム12は、通気性を有している。ポリウレタンフォーム12は、例えば、隣り合うセル同士が繋がっている連続気泡構造であることや、通気孔を形成することなどにより、通気性を確保することができる。ここで、連続気泡構造のポリウレタンフォームとしては、例えば、セル膜を溶解や爆風処理等により除去したものや、EO(エチレンオキサイド)高含有ポリオールとEO低含有ポリオールとを併用して、反応時の破泡の促進によりセル膜を形成し難くすることで三次元網目構造にしたもの(例えば特許第5906040号)や、シロキサン化合物を用いた製法により三次元網目構造にしたもの(例えば特開2011-037987号公報)などを用いることができる。これにより、ポリウレタンフォーム12の厚み方向に空気の流通が許容される。
【0014】
ポリウレタンフォーム12の通気性(JIS K6400-7(A法))は、例えば50L/min~200L/minの範囲であると、室内への花粉などの異物の侵入を防止できると共に、光の透過を許容して適切な換気を行うことができるので好ましい。また、ポリウレタンフォーム12のセル数(JIS K6400-1附属書1)は、例えば20個/25mm~80個/25mmの範囲であると、室内への花粉などの異物の侵入を防止できると共に、光の透過を許容して適切な換気を行うことができるので好ましい。
【0015】
ポリウレタンフォーム12の引張強度(JIS K6400-5)は、例えば80kPa~200kPaの範囲であると、適当な取り扱い性と耐久性とを両立できるので好ましい。また、ポリウレタンフォーム12の伸び(JIS K6400-5)は、例えば80%~100%の範囲であると、適当な取り扱い性と耐久性とを両立できるので好ましい。
【0016】
図1図4に示すように、装飾16が、ポリウレタンフォーム12に形成されている。ポリウレタンフォーム12に装飾16があることで、フィルタシート10のデザイン性が向上し、網戸SDと比べて窓周りの雰囲気が良くなる。装飾16は、例えば、色、模様、飾り、形状などの1つまたはこれらの組み合わせで構成することが可能である。また、装飾16は、ポリウレタンフォーム12の一部範囲にあっても(実施例)、ポリウレタンフォーム12の全体にあっても、何れであってもよい。図3(b)に示すように、実施例の装飾16は、凹凸模様である。実施例の装飾16は、ポリウレタンフォーム12における室内側となる一面から凹むように形成される一方で、ポリウレタンフォーム12における網戸SD側となる他面が平坦である。実施例の装飾16は、凹みが浅い第1凹部16aと、第1凹部16aよりも凹みが深い第2凹部16bとの組み合わせにより、立体的な凹凸模様になっている。ポリウレタンフォーム12に凹凸模様の装飾16があることで、フィルタシート10のデザイン性がより向上し、網戸SDと比べて窓周りの雰囲気が更に良くなる。なお、装飾16の凹凸模様は、1段であっても、3段以上の多段であってもよい。
【0017】
凹凸模様の装飾16は、レーザーなどでポリウレタンフォーム12の一部を溶かす等によって形成したり(実施例)、ポリウレタンフォーム12を熱プレス等することで圧縮成形したりすることなどが可能である。例えばレーザー加工であると、通気性を確保し易くなり、圧縮成形であると、花粉等の異物除去能力を向上できるなど、加工方法からもメリットが生じる。また、インクジェットプリンターなどの印刷等によって装飾16を設けてもよく、印刷であると比較的複雑な装飾16を簡単に設けることができる。
【0018】
装飾16は、ポリウレタンフォーム12における網戸SD側および室内側の両面または何れか一方に形成することが可能であるが、ポリウレタンフォーム12の室内側に設けるのが好ましい。ポリウレタンフォーム12における室内側に装飾16があると、室内と比べて窓側が明るい日中において、装飾16が室内から見易くなる。特に、凹凸模様の装飾16であると、当該装飾16の立体感を向上できる。
【0019】
ポリウレタンフォーム12の一部または全体が着色されていてもよい。着色は、ポリウレタンフォーム12の原料に着色料を加えたり、発泡成形後のポリウレタンフォーム12を染色したり、印刷によって色つけしたりするなど、様々な方法で可能である。
【0020】
ポリウレタンフォーム12は、抗菌処理されていてもよい。例えば、ポリウレタンフォーム12の原料に抗菌剤を加えてポリウレタンフォーム12に抗菌性を持たせたり、抗菌性を有する着色剤を用いてポリウレタンフォーム12を着色したり、抗菌剤をポリウレタンフォーム12に付与したりするなどで抗菌処理を行えばよい。このようにポリウレタンフォーム12が抗菌性を有していることで、カビの発生を抑えることができるので好ましい。
【0021】
図4に示すように、係止手段14は、ポリウレタンフォーム12の縁部に配置するなど、適宜位置に配置可能である。実施例では、係止手段14として面ファスナーが用いられ、面ファスナーのフック14aを網NTの網目に引っ掛けて、フィルタシート10が網戸SDに取り付けられる(図5(a)参照)。また、網目からフック14aを外すことで、フィルタシート10を網戸SDから取り外しできる。このように、係止手段14として面ファスナーを用いることで、簡単な構成で、網戸SDに簡単に着脱することができる。
【0022】
フィルタシート10は、ポリウレタンフォーム12を係止手段14によって網戸SDに取り付ける簡単な構成である。このような簡単な構成のフィルタシート10であるが、換気を行っていても、室内への花粉等の異物の侵入をポリウレタンフォーム12によって抑えることができる。また、フィルタシート10は、ポリウレタンフォーム12特有の断熱性により、室内外の熱の移動を阻むことができることから、室内の冷暖房効果を向上できる。ポリウレタンフォーム12は、直線的に孔があいている網やカーテンと比べて水が通り難いことから、換気を確保しつつ雨が降り込み難くなる。更に、フィルタシート10は、係止手段14により網戸SDに取り付けてあるので、カーテンのように揺れることを抑えることができ、目隠し効果が高い。
【0023】
(変更例)
前述した事項に限らず、例えば以下のようにしてもよい。なお、本発明は、実施例および以下の変更例の具体的な記載のみに限定されるものではない。
(1)係止手段は、実施例の構成に限らず、磁石や係止ピンなど別のものであってもよい。例えば、図6に示す変更例の係止手段18は、係止ピン18aの突起をポリウレタンフォーム12および網NTの網目に通して、反対側に突き出た突起にピン受け18bを取り付けている。このように、係止ピン18aとピン受け18bとにより、ポリウレタンフォーム12および網NTを挟んで、ポリウレタンフォーム12を網戸SDに取り付けることができる。
(2)係止手段が取り付く対象は、実施例のように網に限らず、例えば、網戸の枠であってもよい。この場合、網戸の枠に引っ付く磁石を用いたり、網戸用フィルタシートに設けた面ファスナーを枠に設けた面ファスナーに取り付けたりするなど、様々な係止手段を用いることができる。
【符号の説明】
【0024】
10 網戸用フィルタシート,12 ポリウレタンフォーム,14 係止手段,
16 装飾
図1
図2
図3
図4
図5
図6