IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社GSユアサの特許一覧

<>
  • 特開-蓄電装置 図1
  • 特開-蓄電装置 図2
  • 特開-蓄電装置 図3
  • 特開-蓄電装置 図4
  • 特開-蓄電装置 図5
  • 特開-蓄電装置 図6
  • 特開-蓄電装置 図7
  • 特開-蓄電装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169025
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/244 20210101AFI20221101BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20221101BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20221101BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20221101BHJP
   H01M 50/249 20210101ALN20221101BHJP
   H01M 50/251 20210101ALN20221101BHJP
【FI】
H01M50/244 A
H01M50/211
H01G11/12
H01G11/78
H01M50/249
H01M50/251
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074784
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 延言
(72)【発明者】
【氏名】河手 謙志
(72)【発明者】
【氏名】和田 彬
(72)【発明者】
【氏名】奥田 隼輔
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 一志
【テーマコード(参考)】
5E078
5H040
【Fターム(参考)】
5E078AA10
5E078AB01
5E078HA21
5E078JA02
5H040AA03
5H040AA07
5H040AS01
5H040AS04
5H040AS05
5H040AS06
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040AY12
5H040CC05
5H040CC13
5H040CC33
5H040CC38
5H040FF02
5H040JJ03
5H040JJ06
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】蓄電ユニットと外装体との一体性が高められる蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置1は、蓄電素子21を有する蓄電ユニット20と、蓄電ユニット20を収容する外装体10と、蓄電ユニット20及び外装体10の間に介在し、蓄電ユニット20及び外装体10を接着する接着部90とを備えている。外装体10は、第一方向の一端部に開口部111を有している。蓄電ユニット20の外側面及び外装体10の内側面の一方には、他方における第一方向への移動を規制する規制部70が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子を有する蓄電ユニットと、
前記蓄電ユニットを収容する外装体と、
前記蓄電ユニット及び前記外装体の間に介在し、前記蓄電ユニット及び前記外装体を接着する接着部とを備え、
前記外装体は、第一方向の一端部に開口部を有し、
前記蓄電ユニットの外側面及び前記外装体の内側面の一方には、他方における前記第一方向への移動を規制する規制部が設けられている
蓄電装置。
【請求項2】
前記規制部は、前記他方における前記第一方向に交差する第二方向への移動を規制する
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記他方には、前記規制部により係止される凸部が形成されており、
前記規制部は、前記蓄電ユニットにおける前記開口部に対する挿抜時に、前記凸部における前記第一方向の移動をガイドするガイド部を有する
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記ガイド部と、前記凸部とは、前記蓄電ユニットが前記外装体に正規な向きで収容される際には前記ガイド部が前記凸部をガイドするとともに、前記蓄電ユニットが前記外装体に非正規な向きで収容される際には、前記ガイド部に前記凸部が干渉する位置関係で配置されている
請求項3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記蓄電ユニットは、前記蓄電素子を保持する保持部材を有し、
前記規制部は、前記保持部材の外側面及び前記外装体の内側面の一方に設けられていて、
前記接着部は、前記保持部材及び前記外装体の間に介在している
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記保持部材は、少なくとも1つの前記蓄電素子を収容する収容部である
請求項5に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記収容部は、第一部材と、当該第一部材に組み付けられて前記第一部材とともに前記蓄電素子を収容する第二部材とを有し、
前記規制部は、前記第一部材及び前記第二部材のそれぞれの外側面と、前記外装体の内側面における前記第一部材及び前記第二部材のそれぞれに対応した位置との一方に設けられている
請求項6に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電池セル(蓄電ユニット)と、複数の電池セルを保持するハウジング(外装体)と、各電池セルをハウジングに対して接着する接着部を備える組電池(蓄電装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-63887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、蓄電ユニットと外装体との間に接着部を介在させてこれらを接合する場合には、当該接合が安定するまでに蓄電ユニットが浮いてしまい、蓄電ユニットと外装体との一体性が損なわれて、設計通りの接合強度が得られないおそれがある。
【0005】
本発明は、蓄電ユニットと外装体との一体性が高められる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子を有する蓄電ユニットと、蓄電ユニットを収容する外装体と、蓄電ユニット及び外装体の間に介在し、蓄電ユニット及び外装体を接着する接着部とを備え、外装体は、第一方向の一端部に開口部を有し、蓄電ユニットの外側面及び外装体の内側面の一方には、他方における第一方向への移動を規制する規制部が設けられている。
【0007】
これによれば、外装体の内側面及び蓄電ユニットの外側面の一方に形成された規制部が、他方における第一方向への移動を規制するので、接合が安定するまでの蓄電ユニットの不安定な状態を、他の治具などを用いることなく抑制することができる。したがって、外装体と蓄電ユニットとを安定して接合することができ、両者の一体性を高めることができる。
【0008】
規制部は、他方における第一方向に交差する第二方向への移動を規制する、としてもよい。
【0009】
これによれば、他方における第二方向への移動を規制部が規制するので、接合が安定するまでの蓄電ユニットの不安定な状態を、第一方向だけでなく第二方向においても規制することができる。したがって、外装体と蓄電ユニットとをより安定して接合することができ、両者の一体性を高めることができる。
【0010】
他方には、規制部により係止される凸部が形成されており、規制部は、蓄電ユニットにおける開口部に対する挿抜時に、凸部における第一方向の移動をガイドするガイド部を有する、としてもよい。
【0011】
これによれば、ガイド部が、蓄電ユニットの挿抜時に凸部の第一方向の移動をガイドするので、凸部を規制部で規制される位置までスムーズに移動させることができる。したがって、凸部を規制部でより確実に規制することができる。
【0012】
ガイド部と、凸部とは、蓄電ユニットが外装体に正規な向きで収容される際にはガイド部が凸部をガイドするとともに、蓄電ユニットが外装体に非正規な向きで収容される際には、ガイド部に凸部が干渉する位置関係で配置されている、としてもよい。
【0013】
これによれば、蓄電ユニットが外装体に非正規な向きで収容される際には、ガイド部に凸部が干渉するので、凸部が規制部で係止される位置まで到達せず、蓄電ユニットが外装体から浮くことになる。このため、誤挿入されていることを作業者に認識させることができる。
【0014】
蓄電ユニットは、蓄電素子を保持する保持部材を有し、規制部は、保持部材の外側面及び外装体の内側面の一方に設けられていて、接着部は、保持部材及び外装体の間に介在している、としてもよい。
【0015】
これによれば、蓄電ユニットが蓄電素子を保持する保持部材を有していて、この保持部材と外装体との間に接着部が介在しているので、接着部を起因とした保持部材の浮きを規制部で抑制することができる。
【0016】
保持部材は、少なくとも1つの蓄電素子を収容する収容部である、としてもよい。
【0017】
これによれば、保持部材が蓄電素子を収容する収容部であるので、予め少なくとも1つの蓄電素子を収容部で収容した状態で外装体に収容することができる。この場合、収容部の外底面は蓄電素子の外底面よりも広くなるので、例えば接着剤の使用量も増加する。つまり、収容部は、接着剤から大きな浮力を受けることとなり、第一方向へ移動しやすくなる。また、接着剤の使用量が多ければ、固化するまでの時間も長くなり、収容部が不安定な状態も長時間化する。このような場合においても、規制部が収容部の凸部の第一方向への移動を規制しているので、収容部における第一方向の移動を抑制することができる。
【0018】
収容部は、第一部材と、当該第一部材に組み付けられて第一部材とともに蓄電素子を収容する第二部材とを有し、規制部は、第一部材及び第二部材のそれぞれの外側面と、外装体の内側面における第一部材及び第二部材のそれぞれに対応した位置との一方に設けられている、としてもよい。
【0019】
これによれば、第一部材及び第二部材のそれぞれの外側面と、外装体の内側面における第一部材及び第二部材のそれぞれに対応した位置との一方に規制部が設けられているので、第一部材及び第二部材のそれぞれの移動を各規制部で規制することができる。したがって、接合が安定するまでの第一部材及び第二部材の不安定な状態を、抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る蓄電装置によれば、蓄電ユニットと外装体との一体性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る蓄電装置を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
図3】実施の形態に係る蓄電ユニットの概略構成を示す分解斜視図である。
図4】実施の形態に係る凸部の概略構成を示す説明図である。
図5】実施の形態に係る規制部の概略構成を示す説明図である。
図6】実施の形態に係る凸部と、規制部とにおける係合時の状態を示す部分断面図である。
図7】変形例1に係るガイド部及び凸部を模式的に示す上面図である。
図8】変形例2に係る規制部を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0023】
以下の説明及び図面中において、蓄電装置に備わる蓄電素子の電極端子の突出方向をX軸方向と定義する。また、複数の蓄電素子の並び方向、収容部をなす第一部材と第二部材との並び方向をY軸方向と定義する。蓄電装置の外装体における本体部と外蓋との並び方向、本体部に対する収容部の挿抜方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(以下実施の形態及びその変形例では、直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対側を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。本実施の形態では、Z軸方向は第一方向の一例であり、Y軸方向は第二方向の一例である。さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0024】
[蓄電装置の全般的な説明]
まず、図1及び図2を用いて、実施の形態に係る蓄電装置1の全般的な説明を行う。図1は、実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。図2は、実施の形態に係る蓄電装置1を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0025】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置1は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及びガソリン自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール及びリニアモーターカーが例示される。また、蓄電装置1は、家庭用または発電機用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0026】
図1及び図2に示すように、蓄電装置1は、蓄電ユニット20と、蓄電ユニット20を収容する外装体10とを備えている。外装体10は、蓄電ユニット20を収容する本体部11と、蓄電ユニット20の上方を覆う外蓋12とを有する。
【0027】
外装体10は、蓄電装置1の外装体を構成する矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体10は、蓄電ユニット20等を所定の位置に固定し、これら要素を衝撃などから保護する部材である。
【0028】
本体部11は、上部が開放された有底矩形筒状の部材であり、その開放部分が開口部111である。つまり、開口部111は、本体部11においてZ軸プラス方向の一端部に設けられている。開口部111は、平面視において略四角形状である。本体部11は、X軸方向両側の側面に2つの第一壁部112を有し、Y軸方向両側の側面に2つの第二壁部113を有し、Z軸マイナス方向側に第三壁部114を有している。具体的には、第一壁部112は、本体部11の短側面を形成する矩形状かつ板状の短側面部である。第二壁部113は、本体部11の長側面を形成する矩形状かつ板状の長側面部である。第三壁部114は、本体部11の底面を形成する矩形状かつ板状の底壁部である。
【0029】
2つの第一壁部112のそれぞれの内側面には、蓄電ユニット20のZ軸方向への移動を規制する規制部70が設けられている。具体的には、2つの第一壁部112のうち、X軸マイナス方向の第一壁部112には、X軸プラス方向を向く壁面(内側面)に、Y軸方向に並んだ2つの規制部70が設けられている。一方、X軸プラス方向の第一壁部112には、X軸マイナス方向を向く壁面(内側面)に、Y軸方向に並んだ2つの規制部70が設けられている(図6参照)。規制部70についての詳細は後述する。
【0030】
本体部11の開口部111内には、蓄電ユニット20に加えて、蓄電ユニット20に保持された複数のバスバー33、ヒューズ34及び制御基板35が収容されている。
【0031】
外蓋12は、本体部11の開口部111を閉塞する部材であり、本体部11の開口部111を覆った状態で本体部11に接合されている。外蓋12は、一対(正極側及び負極側)の外部端子81を有している。外部端子81は、各バスバー33、ヒューズ34及び制御基板35を介して、蓄電ユニット20に含まれる複数の蓄電素子21と電気的に接続されている。蓄電装置1は、この外部端子81を介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。外部端子81は、例えば、真鍮などの銅合金、銅、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の導電部材で形成されている。
【0032】
ここで、各バスバー33は、外部端子81と蓄電素子21とを電気的に接続する板状部材である。各バスバー33は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の導電部材で形成されている。
【0033】
ヒューズ34は、定格以上の大電流から制御基板35及び複数の蓄電素子21等を保護する部材である。ヒューズ34は、定格以上の電流が流れると溶断することで電流の流れを遮断する。
【0034】
制御基板35は、複数の電気部品を有し、これら複数の電気部品により、各蓄電素子21の状態を検出する検出回路、及び、充電及び放電を制御する制御回路等が形成されている。
【0035】
また、外装体10の本体部11及び外蓋12は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、絶縁塗装をした金属等により形成されている。外装体10は、これにより、蓄電素子21等が外部の金属部材等に接触することを回避する。なお、蓄電素子21等の電気的絶縁性が保たれる構成であれば、外装体10は、金属等の導電部材で形成されていてもよい。
【0036】
[蓄電ユニット]
図3は、実施の形態に係る蓄電ユニット20の概略構成を示す分解斜視図である。図3に示すように、蓄電ユニット20は、複数の蓄電素子21と、これらの複数の蓄電素子21を収容する収容部22とを備えている。
【0037】
蓄電素子21は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。本実施の形態では、蓄電素子21は、扁平な形状を有するパウチタイプの蓄電素子であり、複数(本実施の形態では、4個)のパウチタイプの蓄電素子21がY軸方向に並んで配列されている。蓄電素子21は、パウチタイプの蓄電素子ではなく、扁平な直方体形状(角形)、円柱形状、長円柱形状または楕円柱形状等の蓄電素子でもよく、その大きさ及び形状は限定されない。配列される蓄電素子21の個数についても、特に限定されない。蓄電素子21は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子21は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。
【0038】
蓄電装置1が有する蓄電素子21は全て同様の構成を有するため、以下では、1つの蓄電素子21の構成について詳細に説明する。図3では、全ての蓄電素子21が重ねられた状態を図示している。蓄電素子21は、容器210と、一対(正極側及び負極側)の電極端子220とを有し、容器210の内方には、電極体(図示せず)、及び、電解液(非水電解質)(図示せず)等が収容されている。当該電解液としては、蓄電素子21の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、適宜公知の材料を用いることができる。
【0039】
容器210は、ラミネートフィルムで形成されたシート状の外装体(外装フィルム)であり、内部に電極体及び電解液等を減圧状態で密閉して収容している。容器210は、矩形状の2枚のラミネートフィルムが、Y軸方向に重ねられて構成されている。当該2枚のラミネートフィルムは、一対の電極端子220を挟んで熱溶着等により接合(シール)されている。ラミネートフィルムは、アルミニウム等の金属層と、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)等の樹脂層とを含む複数層からなるフレキシブルなフィルムであり、溶着箇所(シール部)には、樹脂層が配置されている。なお、容器210は、1枚のラミネートフィルムを袋状に形成して、当該ラミネートフィルムの端部同士を熱溶着により接合することで構成されていてもよい。蓄電素子21がパウチタイプの蓄電素子でない場合には、容器210は、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板等の金属製の板状部材により形成されてもよい。
【0040】
電極端子220は、電極体に電気的に接続された導電性の板状部材(リード板)であり、容器210を貫通した状態で容器210から露出して配置されている。本実施の形態では、Z軸方向に並ぶ一対の電極端子220が、容器210のX軸マイナス方向の端部からX軸マイナス方向に突出して配置されている。具体的には、正極側の電極端子220は、電極体の正極板に電気的に接続されたリード端子であり、負極側の電極端子220は、電極体の負極板に電気的に接続されたリード端子である。つまり、電極端子220は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子21の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子21の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。なお、電極端子220は、一方(例えば正極側)がX軸プラス方向の端部から突出し、他方(例えば負極側)がX軸マイナス方向の端部から突出していてもよい。電極端子220は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等で形成されている。
【0041】
なお、図3では、電極端子220は、容器210からX軸マイナス方向に突出しただけの簡略化された状態で図示されているが、電極端子220は、延設されて隣り合う蓄電素子21に向けて折れ曲がり、当該隣り合う蓄電素子21が有する電極端子220に接続(接合)されてもよい。または、電極端子220は、バスバー等の導電部材に接続(接合)されることで、当該隣り合う蓄電素子21が有する電極端子220に電気的に接続されてもよい。これにより、複数の蓄電素子21が直列または並列に接続される。さらに、端部の蓄電素子21が有する電極端子220は、蓄電装置1が備える外部端子まで延設されて当該外部端子に接続(接合)されてもよいし、バスバー等の導電部材によって当該外部端子に電気的に接続されてもよいし、当該電極端子220自体が外部端子となってもよい。
【0042】
電極体は、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された蓄電要素(発電要素)である。正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属からなる集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。負極板は、銅または銅合金等の金属からなる集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。正極活物質層及び負極活物質層に用いられる活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。セパレータは、樹脂からなる微多孔性のシートまたは不織布等を用いることができる。本実施の形態では、電極体は、極板(正極板及び負極板)がZ軸方向に積層されて形成されている。なお、電極体は、極板(正極板及び負極板)が巻回されて形成された巻回型の電極体、複数の平板状の極板が積層されて形成された積層型(スタック型)の電極体、または、極板を蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の電極体等、どのような形態の電極体でもよい。
【0043】
収容部22は、複数の蓄電素子21を収容し、当該複数の蓄電素子21を保持する箱形(略直方体形状)の容器(筐体)である。つまり、収容部22は、蓄電素子21を保持する保持部材の一例である。収容部22は、本体部11の内底面に設けられた接着剤からなる接着部90により当該内底面に接着されている。
【0044】
収容部22は、第一部材23と、第一部材23に組み付けられて第一部材23とともに複数の蓄電素子21を収容する第二部材24とを有している。第一部材23及び第二部材24は、複数の蓄電素子21の外方に配置され、複数の蓄電素子21を所定の位置で固定し、衝撃等から保護する。例えば、複数の蓄電素子21が第一部材23及び第二部材24により保持されることで、複数の蓄電素子21が第一部材23及び第二部材24の内方で固定される。第一部材23及び第二部材24は、接着剤、ヒートシール、超音波溶着またはネジ締結等によって互いに接合される。
【0045】
第一部材23及び第二部材24は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ABS樹脂、または、それらの複合材料等の絶縁部材により形成されている。これにより、第一部材23及び第二部材24は、複数の蓄電素子21が外部の金属部材等の導電部材と導通することを抑制するが、そのような必要がない場合等には、第一部材23及び第二部材24は、金属等の導電部材で形成されていてもよい。
【0046】
第一部材23は、第二部材24のY軸プラス方向に配置される、Y軸マイナス方向の面の全面が開口した有底矩形筒状のハウジングである。第一部材23は、X軸方向両側の側面に、対向する一対の第一側壁部231を有し、Z軸方向両側の側面に、対向する一対の第二側壁部232を有し、Y軸プラス方向側に、底壁部233を有している。
【0047】
第一側壁部231は、第一部材23の短側面(短側壁)を形成する、YZ面に平行な平板状かつ矩形状の壁部であり、X軸方向において複数の蓄電素子21を挟む位置に配置される。第一側壁部231は、第二側壁部232及び底壁部233に隣接する壁部である。
【0048】
一対の第一側壁部231の外側面には、規制部70により係止される凸部80aが設けられている。具体的には、一対の第一側壁部231のうち、X軸マイナス方向の第一側壁部231には、X軸マイナス方向を向く壁面(外側面)に凸部80aが設けられている(図示省略)。一方、X軸プラス方向の第一側壁部231には、X軸プラス方向を向く壁面(外側面)に凸部80aが設けられている。
【0049】
第二側壁部232は、第一部材23の長側面(長側壁)を形成する、XY面に平行な平板状かつ矩形状の壁部であり、Z軸方向において複数の蓄電素子21を挟む位置に配置される。第二側壁部232は、第一側壁部231及び底壁部233に隣接する壁部である。底壁部233は、第一部材23の底面(底壁)を形成する、XZ面に平行な平板状かつ矩形状の壁部であり、Y軸プラス方向端部の蓄電素子21とY軸方向において対向し、かつ、当該蓄電素子21と当接する。
【0050】
一対の第一側壁部231のうち、X軸マイナス方向に配置された第一側壁部231には、複数の蓄電素子21の電極端子220を露出させる切欠234が形成されている。この切欠234を介してY軸プラス方向端部の蓄電素子21の電極端子220と、外部端子81とを電気的に接続する導電経路(図示省略)が配置される。
【0051】
第二部材24は、第一部材23のY軸マイナス方向に配置される、Y軸プラス方向の面の全面が開口した有底矩形筒状のハウジングである。第二部材24は、X軸方向両側の側面に、対向する一対の第一側壁部241を有し、Z軸方向両側の側面に、対向する一対の第二側壁部242を有し、Y軸マイナス方向側に、底壁部243を有している。
【0052】
第一側壁部241は、第二部材24の短側面(短側壁)を形成する、YZ面に平行な平板状かつ矩形状の壁部であり、X軸方向において複数の蓄電素子21を挟む位置に配置される。第一側壁部241は、第二側壁部242及び底壁部243に隣接する壁部である。
【0053】
一対の第一側壁部241の外側面には、規制部70により係止される凸部80bが設けられている。具体的には、一対の第一側壁部241のうち、X軸マイナス方向の第一側壁部241には、X軸マイナス方向を向く壁面(外側面)に凸部80bが設けられている(図示省略)。一方、X軸プラス方向の第一側壁部241には、X軸プラス方向を向く壁面(外側面)に凸部80bが設けられている。
【0054】
第二側壁部242は、第二部材24の長側面(長側壁)を形成する、XY面に平行な平板状かつ矩形状の壁部であり、Z軸方向において複数の蓄電素子21を挟む位置に配置される。第二側壁部242は、第一側壁部241及び底壁部243に隣接する壁部である。底壁部243は、第二部材24の底面(底壁)を形成する、XZ面に平行な平板状かつ矩形状の壁部であり、Y軸マイナス方向端部の蓄電素子21とY軸方向において対向し、かつ、当該蓄電素子21と当接する。
【0055】
底壁部243の外面(Y軸マイナス方向を向く面)は、複数のバスバー33、ヒューズ34及び制御基板35が取り付けられる取付面25である。取付面25には、制御基板35がネジ止めされる複数のボス部26と、ヒューズ34が取り付けられるヒューズ取付部27と、各バスバー33が個別に取り付けられる複数のバスバー取付部28とが設けられている。
【0056】
[凸部及び規制部]
次に、凸部80a、80b及び規制部70の詳細について説明する。なお、本実施の形態では、外装体10の本体部11に4つの規制部70が設けられており、これらの各規制部70と組となるように、4つの凸部80a、80bが蓄電ユニット20の収容部22に設けられている。各組の凸部80a、80b及び規制部70はいずれも同構成であるので、ここでは一組の凸部80a及び規制部70を例示して説明し、その他の組についての説明は省略する。具体的には、4つの規制部70のうち、本体部11のX軸プラス方向であって、Y軸プラス方向に配置された規制部70と、4つの凸部80a、80bのうち、第一部材23におけるX軸プラス方向に配置された凸部80aとを例示して説明する。
【0057】
図4は、実施の形態に係る凸部80aの概略構成を示す説明図である。具体的には、図4の(a)は凸部80aの平面図であり、図4の(b)は凸部80aの側面図である。
【0058】
図4に示すように、凸部80aは、第一部材23におけるX軸プラス方向の第一側壁部231の外側面から突出しており、平面視略十字状に形成されている。具体的には、凸部80aは、Z軸方向に長尺なリブ部83と、リブ部83のZ軸方向の中間部であってY軸方向両側からY軸方向に延在する一対の被係合部82とを有している。リブ部83は、X軸方向視においてZ軸マイナス方向に進むにつれて幅が細くなる形状となっている。リブ部83は、Z軸マイナス方向の端部がR形状となっており、Z軸プラス方向の端部が平坦状となっている。リブ部83は厚み(X軸方向の長さ)がZ軸方向の全長にわたって均一となっている。
【0059】
被係合部82は、厚みがZ軸マイナス方向に進むにつれて薄くなるように傾斜面821を有している。傾斜面821は、第一側壁部231の外側面に連続するようにZ軸方向に沿って延びている。被係合部82の上端面は、XY面に平行な平坦面となっている。この被係合部82の上端面には、後述する規制部70の係合部72が係合されることで、蓄電ユニット20のZ軸プラス方向の移動が規制される。
【0060】
図5は、実施の形態に係る規制部70の概略構成を示す説明図である。具体的には、図5の(a)は規制部70の平面図であり、図5の(b)は規制部70の側面図である。
【0061】
図5に示すように、規制部70は、Y軸方向に並んで配置された一対のガイド部71を有している。各ガイド部71は、本体部11においてX軸プラス方向の第一壁部112の内側面から突出し、Z軸方向に長尺状に形成されている。各ガイド部71のY軸方向の間隔には、凸部80aのリブ部83が挿入される。各ガイド部71の内側面は、各ガイド部71の間隔がZ軸マイナス方向に進むにつれて小さくなる形状となっている。
【0062】
各ガイド部71の上端部には、凸部80aの被係合部82に係合する係合部72が設けられている。具体的には、係合部72は、上端面及び下端面がXY平面に平行であり、上端面と下端面との間では、厚みがZ軸マイナス方向に進むにつれて厚くなるように傾斜面721を有している。係合部72の下端面は、被係合部82の上端面に係合することで、蓄電ユニット20のZ軸プラス方向の移動を規制する。
【0063】
各ガイド部71において係合部72の直下には、凸部80aの各被係合部82を収容する収容凹部73が形成されている。収容凹部73は、被係合部82を収容できる形状であれば如何様でもよい。また、各ガイド部71において収容凹部73よりも下方の部分は、厚みがZ軸方向の全長にわたって均一となっている。
【0064】
[蓄電ユニットの挿入方法]
次に、外装体10の本体部11に蓄電ユニット20を挿入する際の挿入方法について説明する。まず、作業者は、外装体10の本体部11の内底面に接着剤の塗布を行うことで、接着部90を配置する。
【0065】
その後、作業者は、蓄電ユニット20を本体部11の上方からZ軸マイナス方向に移動させて本体部11の開口部111内に挿入する。このとき、蓄電ユニット20の各凸部80aのリブ部83は、各規制部70の一対のガイド部71間に挿入される。挿入時には、リブ部83が一対のガイド部71の内側面上を摺動する場合もある。これにより、リブ部83が一対のガイド部71によってZ軸マイナス方向にガイドされる。挿入中に、蓄電ユニット20がY軸方向に移動しようとしたとしても、一対のガイド部71の内側面がリブ部83に干渉することで、当該蓄電ユニット20のY軸方向の移動が規制される。なお、蓄電ユニット20を本体部11から抜く際においても、一対のガイド部71がリブ部83をZ軸プラス方向にガイドすることになる。
【0066】
その後、凸部80aの被係合部82がガイド部71の係合部72に到達すると、被係合部82の傾斜面821が係合部72の傾斜面721を摺動しながら、Z軸マイナス方向に移動する。この摺動時には、被係合部82の傾斜面821は、係合部72の傾斜面721によって徐々にX軸マイナス方向に押されるので、被係合部82もX軸マイナス方向に押し動かされる。その後、被係合部82の傾斜面821が係合部72の傾斜面721を通過すると、被係合部82への押圧力も解除されるので、被係合部82が元の状態に戻り、ガイド部71の収容凹部73内に収容される。この状態では、係合部72の下端面が被係合部82の上端面に対向している。図6は、実施の形態に係る凸部80a、80bと、規制部70とにおける係合時の状態を示す部分断面図である。
【0067】
このとき、接着部90からの浮力により蓄電ユニット20がZ軸プラス方向に浮こうとすると、被係合部82の上端面が係合部72の下端面に当接する。これにより、係合部72が被係合部82に係合するので、蓄電ユニット20のそれ以上の浮きが規制される。また、接着部90をなす接着剤が固化するまでの間に、蓄電ユニット20がY軸方向に移動しようとしたとしても、一対のガイド部71の内側面がリブ部83に干渉することで、当該蓄電ユニット20のY軸方向の移動が規制される。その後、接着剤が固化した後においても、振動または衝撃などにより蓄電ユニット20がZ軸方向またはY軸方向に移動しようとしたとしても、規制部70による規制によって蓄電ユニット20の移動が規制される。
【0068】
[効果など]
以上のように、本実施の形態によれば、本体部11の内側面に形成された規制部70が、蓄電ユニット20におけるZ軸方向(第一方向)への移動を規制する。このため、接着部90での接合が安定するまでの蓄電ユニット20の不安定な状態が、他の治具などを用いることなく抑制される。したがって、外装体10の本体部11と蓄電ユニット20とを安定して接合することができ、両者の一体性を高めることができる。
【0069】
規制部70が、蓄電ユニット20のおけるY軸方向(第二方向)への移動を規制するので、接着部90での接合が安定するまでの蓄電ユニット20の不安定な状態を、第一方向だけでなく第二方向においても規制することができる。したがって、外装体10と蓄電ユニット20とをより安定して接合することができ、両者の一体性を高めることができる。
【0070】
規制部70に備わる一対のガイド部71が、蓄電ユニット20の挿抜時に凸部80a、80bの第一方向の移動をガイドするので、凸部80a、80bを規制部70で規制される位置までスムーズに移動させることができる。したがって、凸部80a、80bを規制部70でより確実に規制することができる。
【0071】
蓄電ユニット20が蓄電素子21を収容する保持する収容部22(保持部材)を有していて、この収容部22と外装体10との間に接着部90が介在しているので、接着部90を起因とした収容部22の浮きを規制部70で抑制することができる。
【0072】
特に、保持部材が蓄電素子21を収容する収容部22であるので、予め少なくとも1つの蓄電素子21を収容部22で収容した状態で外装体10に収容することができる。この場合、収容部22の外底面は蓄電素子21の外底面よりも広くなるので、接着剤の使用量も増加する。つまり、収容部22は、接着剤から大きな浮力を受けることとなり、Z軸方向へ移動しやすくなる。また、接着剤の使用量が多ければ、固化するまでの時間も長くなり、収容部22が不安定な状態も長時間化する。このような場合においても、規制部70が収容部22の凸部80a、80bのZ軸方向への移動を規制しているので、収容部22におけるZ軸方向の移動を抑制することができる。
【0073】
本体部11の内側面における、第一部材23の凸部80a及び第二部材24の凸部80bのそれぞれに対応した位置に規制部70が設けられているので、第一部材23及び第二部材24のそれぞれの移動を各規制部70で規制することができる。したがって、接着部90での接合が安定するまでの第一部材23及び第二部材24の不安定な状態を、抑制することができる。
【0074】
[変形例1]
上記実施の形態では、Z軸方向視におけるガイド部71と凸部80a、80bとの位置関係については言及しなかったが、変形例1では、ガイド部71と凸部80a、80bとの位置関係について説明する。
【0075】
図7は、変形例1に係るガイド部71及び凸部80a、80bを模式的に示す上面図である。図7の(a)では、蓄電ユニット20が正規な向き(図中、矢印がY軸マイナス方向向き)で本体部11に収容される場合を示し、図7の(b)では、蓄電ユニット20が非正規な向き(図中、矢印がY軸プラス方向向き)で本体部11に収容される場合を示している。図7では、本体部11に濃いドットハッチングを付し、蓄電ユニット20に薄いドットハッチングを付している。
【0076】
図7(a)に示すように、蓄電ユニット20が正規な向きで本体部11に収容される際には、各ガイド部71が各凸部80a、80bをガイドする位置関係となるように、各ガイド部71及び各凸部80a、80bが配置されている。一方、図7(b)に示すように、蓄電ユニット20が本体部11に非正規な向きで収容される際には、各ガイド部71に各凸部80a、80bが干渉する位置関係となるように、各ガイド部71及び各凸部80a、80bが配置されている。
【0077】
これにより、蓄電ユニット20が外装体10の本体部11に非正規な向きで収容される際には、各ガイド部71に各凸部80a、80bが干渉するので、凸部80a、80bが規制部70で係止される位置まで到達せず、蓄電ユニット20が本体部11から浮くことになる。このため、誤挿入されていることを作業者に認識させることができる。
【0078】
なお、蓄電ユニット20が本体部11に非正規な向きで収容される際には、少なくとも1つのガイド部に凸部が干渉させる位置関係であればよい。1つのガイド部に凸部が干渉しさえすれば蓄電ユニットを本体部から浮かせることができる。
【0079】
[変形例2]
上記実施の形態では、外装体10の本体部11に規制部70が設けられ、蓄電ユニット20の収容部22に凸部80a、80bが設けられた蓄電装置1を例示した。しかしながら、規制部が収容部の上端面を係止する構成であれば、収容部に凸部を設けなくともよい。
【0080】
図8は、変形例2に係る規制部70bを示す部分断面図である。図8では、外装体の本体部11b及び接着部90を断面図で示し、蓄電ユニット20bの収容部22bを平面図で示している。図8に示すように、本体部11bの内側面には、規制部70bが設けられている。規制部70bは、本体部11bの内側面から略三角形状に突出している。規制部70bの傾斜面は、蓄電ユニット20bが本体部11bに挿入される際に、収容部22bをガイドするガイド面である。また、規制部70bの底面は、収容部22bの上面に当接することで、蓄電ユニット20bのZ軸方向の移動を規制する。このように、収容部22bに凸部がなくとも、規制部70bが収容部22bの上面に当接することで、蓄電ユニット20bのZ軸方向の移動を規制することが可能である。なお、蓄電ユニットの外側面には、規制部が係合する凹部が形成されていてもよい。
【0081】
[その他]
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0082】
例えば、実施の形態では、外装体10の本体部11の内側面に規制部70が設けられ、蓄電ユニット20の収容部22の外側面に凸部80a、80bが設けられる場合を例示した。しかしながら、外装体の本体部の内側面に凸部が設けられ、蓄電ユニットの収容部の外側面に規制部が設けられていてもよい。
【0083】
実施の形態では、保持部材の一例として、蓄電素子21を収容する収容部22を例示した。しかしながら、保持部材は、蓄電素子を保持するものであれば如何なる部材であってもよい。例えば、保持部材の他の例としては、蓄電素子間または蓄電素子の端部に配置されるスペーサ、蓄電素子を拘束するためのサイドプレートまたはエンドプレートなどが挙げられる。
【0084】
実施の形態では、蓄電ユニット20が複数の蓄電素子21と収容部22とを備えている場合を例示した。しかしながら、蓄電ユニットは収容部を備えていなくてもよい。この場合、蓄電素子の外側面及び外装体の内側面の一方に、他方における第一方向への移動を規制する規制部を設ければよく、蓄電素子の外側面及び外装体の内側面の他方に凸部を設ければよい。
【0085】
実施の形態では、接着部90が接着剤から形成されている場合を例示したが、接着部は、蓄電ユニットと外装体とを接合するものであればその態様は如何様でもよい。例えば、両面テープからなる接着部であってもよい。
【0086】
実施の形態では、収容部22の外底面と、本体部11の内底面との間に接着部90が介在している場合を例示したが、接着部は、蓄電ユニットの外側面と、本体部11の内側面との間に介在していてもよい。
【0087】
実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置に適用できる。
【符号の説明】
【0089】
1 蓄電装置
10 外装体
11、11b 本体部
12 外蓋
20、20b 蓄電ユニット
21 蓄電素子
22、22b 収容部(保持部材)
23 第一部材
24 第二部材
25 取付面
26 ボス部
27 ヒューズ取付部
28 バスバー取付部
33 バスバー
34 ヒューズ
35 制御基板
70、70b 規制部
71 ガイド部
72 係合部
73 収容凹部
80a、80b 凸部
81 外部端子
82 被係合部
83 リブ部
90 接着部
111 開口部
112 第一壁部
113 第二壁部
114 第三壁部
210 容器
220 電極端子
231、241 第一側壁部
232、242 第二側壁部
233、243 底壁部
234 切欠
721、821 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8