IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 帝人フロンティア株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169029
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】耐熱性防護シートおよび衣料
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/4342 20120101AFI20221101BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20221101BHJP
   A41D 13/05 20060101ALI20221101BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
D04H1/4342
A41D13/00 102
A41D13/05
A41D13/05 106
B32B5/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074789
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】501270287
【氏名又は名称】帝人フロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】田邨 光規
【テーマコード(参考)】
3B011
4F100
4L047
【Fターム(参考)】
3B011AA00
3B011AB01
3B011AC14
4F100AK47A
4F100AK47B
4F100BA02
4F100DG01A
4F100DG03A
4F100DG12B
4F100DG13B
4F100DG15A
4F100EC09A
4F100GB72
4F100JJ03A
4L047AA24
4L047AB02
4L047AB08
4L047BA01
4L047BA03
4L047BA04
4L047CA04
4L047CA19
4L047CB05
4L047CC01
4L047CC12
(57)【要約】
【課題】燃焼時に有毒ガスが発生するおそれがなく、耐熱性および力学特性にも優れる、耐熱性防護シートおよび衣料を提供する。
【解決手段】単繊維繊度0.3~1.0dtexのメタ型アラミド短繊維を用いて交絡処理した不織布を得て、耐熱性防護シートおよび衣料とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単繊維繊度0.3~1.0dtexのメタ型アラミド短繊維を含みかつ交絡処理した不織布を含むことを特徴とする耐熱性防護シート。
【請求項2】
前記不織布が、水流交絡および機械交絡のうち少なくともどちらか一方を施してなる、請求項1に記載の耐熱性防護シート。
【請求項3】
耐熱性防護シートが、前記不織布からなる捕集層と、織物または編物からなる補強層とを含み、前記捕集層を前記補強層で覆ってなる、請求項1または請求項2に記載の耐熱性防護シート。
【請求項4】
耐熱性防護シートを構成する繊維が全てアラミド繊維である、請求項1~3のいずれかに記載の耐熱性防護シート。
【請求項5】
目付けが800g/m以下である、請求項1~4のいずれかに記載の耐熱性防護シート。
【請求項6】
厚さが4mm以下である、請求項1~5のいずれかに記載の耐熱性防護シート。
【請求項7】
空隙率が90%以下である、請求項1~6のいずれかに記載の耐熱性防護シート。
【請求項8】
針刺し後における大気塵0.3μmの捕集率が40%以上である、請求項1~7のいずれかに記載の耐熱性防護シート。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の耐熱性防護シートを用いてなる衣料。
【請求項10】
衣料が防塵フードである、請求項9に記載の衣料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼時に有毒ガスが発生するおそれがなく、耐熱性および力学特性にも優れる、耐熱性防護シートおよび衣料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耐熱性を有する防護シートとして、モダアクリル繊維などの耐熱性繊維を用いたものが提案されている(例えば特許文献1)。また近年では、消防士が消火作業中に浴びる粉塵、ばい煙などの有毒微粒子が消防服を透過するのを防止するため、PTFE膜を用いて頭部、首回りの対策がなされている(例えば特許文献2)。
【0003】
しかしながら、モダアクリル繊維やPTFE膜を使用した衣料では、消火作業中に一部でも衣料が燃焼すると有毒ガスが発生するおそれがある。一方、微粒子捕集性の低い衣料を着用する場合は火事現場で発生している有毒微粒子が肌まで透過するおそれがある。また、PTFE膜は微粒子捕集性に優れるものの薄いため、力学的特性が低く、例えば針を貫通させると空孔がふさがらず、微粒子が透過しやすくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-224648号公報
【特許文献2】特開2020-128022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、燃焼時に有毒ガスが発生するおそれがなく、耐熱性および力学特性(例えば針で貫通させても防塵性が極端に低下することがない。)にも優れた、耐熱性防護シートおよび衣料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記課題を達成するため鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0007】
かくして、本発明によれば「単繊維繊度0.3~1.0dtexのメタ型アラミド短繊維を含みかつ交絡処理した不織布を含むことを特徴とする耐熱性防護シート。」が提供される。
その際、前記不織布が、水流交絡および機械交絡のうち少なくともどちらか一方を施していることが好ましい。また、耐熱性防護シートが、前記不織布からなる捕集層と、織物または編物からなる補強層とを含み、前記捕集層を前記補強層で覆っていることが好ましい。また、耐熱性防護シートを構成する繊維が全てアラミド繊維であることが好ましい。
【0008】
本発明の耐熱性防護シートにおいて、目付けが800g/m以下であることが好ましい。また、厚さが4mm以下であることが好ましい。また、空隙率が90%以下であることが好ましい。また、針刺し後における大気塵0.3μmの捕集率が40%以上であることが好ましい。
また、本発明によれば、前記耐熱性防護シートを用いてなる衣料が提供される。かかる衣料としては防塵フードが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、燃焼時に有毒ガスが発生するおそれがなく、耐熱性および力学特性にも優れる、耐熱性防護シートおよび衣料を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。まず、本発明の耐熱性防護シートは、単繊維繊度0.3~1.0dtexのメタ型アラミド短繊維を含む不織布を含む。ここで、該単繊維繊度が1.0dtexより大きいと針刺し前後に関係なく捕集率が低下し好ましくない。逆に、該該単繊維繊度が0.3dtexより小さいと、繊維自体の強度が小さくなりやすく、シートを製造する際に交絡処理などにより繊維が断裂しやすく不織布強度が低下するおそれがある。
【0011】
また、前記メタ型アラミド短繊維において、引張強度が2.2cN/dtex以上(より好ましくは2.2~6.0cN/dtex)であることが好ましい。該引張強度が2.2cN/dtexよりも小さいと、繊維自体の強度が小さくなりやすく、シートを製造する際に交絡処理などにより繊維が断裂しやすく不織布強度が低下するおそれがある。
【0012】
前記メタ型アラミド短繊維において、伸度が25%以上(より好ましくは25~50%)であることが好ましい。伸度が25%より小さいと、シートを製造する際に交絡処理などにより繊維が断裂しやすく不織布強度が低下するおそれがある。
【0013】
前記メタ型アラミド短繊維において、捲縮が付与されていると微粒子を捕集しやすく好ましい。その際、捲縮数が6~30ケ/2.54cmの範囲内であることが好ましい。また、捲縮率が8~40%の範囲内であることが好ましい。
前記メタ型アラミド短繊維において、繊維長(カット長)が20~80mmの範囲内であることが好ましい。
【0014】
メタ型アラミド短繊維はメタ型アラミド繊維(メタ型全芳香族ポリアミド繊維)であり、その繰返し単位の85モル%以上がm-フェニレンイソフタルアミドであるポリマー(メタ型全芳香族ポリアミド)からなる繊維である。かかるメタ型全芳香族ポリアミドは、15モル%未満の範囲内で第3成分を含んだ共重合体であっても差しつかえない。
【0015】
このようなメタ型全芳香族ポリアミドは、従来から公知の界面重合法により製造することができる。そのポリマーの重合度としては、0.5g/100mlの濃度のN-メチル-2-ピロリドン溶液で測定した固有粘度(I.V.)が1.3~1.9dl/gの範囲のものが好ましく用いられる。メタ型アラミド繊維の市販品としては、コーネックス(商標名)、コーネックスネオ(商標名)、ノーメックス(商標名)などが例示される。
【0016】
本発明において、不織布は、前記メタ型アラミド短繊維を含む交絡処理した不織布である。ここで、交絡処理の方法として、機械交絡(ニードルパンチ、「ニーパン」ということもある。)、水流交絡(スパンレース)またはこれらの両方が施されていることが好ましい。交絡処理による繊維同士の絡みで形態を保持させるため、繊維材料は一部または全ての繊維が捲縮加工されていると絡みやすくなり、針などで一時的な細い貫通孔ができたとしても、構造体内の繊維移動によって貫通孔がふさがりやすく、捕集性の低下が抑制される。
【0017】
また、交絡処理の際に、前記メタ型アラミド繊維を含むウエブを単独で用いて交絡処理を施して捕集層としてもよいし、スクリムと称される基布(織物が好ましい。)の両面に前記メタ型アラミド繊維を含むウエブを積層して交絡処理を施して捕集層としてもよい。
【0018】
ここで、例えば、スクリムを用いずに原綿(短繊維)をカーディングしてクロスレイ積
層後、直接、交絡処理すると、短繊維同士の交絡のみにより、進行方向に伸長しやすくなって目付けの調整が難しく、斑も生じやすい。逆にクロスレイ後にスクリムを積層させると交絡処理時に短繊維がスクリムに絡むことで進行方向の伸長が一定になりやすく、目付けの調整しやすく、斑も生じにくくなる。また、厚さを調整する際は、上下熱処理できるメタルローラー仕様である熱カレンダー処理を施すことが好ましい。その際、温度としては100~250℃、線圧50~200kgf/cmの範囲内でカレンダー加工により厚さを調整して空隙率を前記範囲とすることが好ましい。カレンダー処理する際の温度が低すぎると繊維種によってはつぶれにくく、高すぎると融点に達してつぶれすぎるおそれがある。線圧も低すぎるとつぶれにくく、高すぎるとシートが破断したり、空隙率が低くなりすぎるおそれがある。例えば、ニーパン処理のみで厚さを調整する際、パンチ数を多くしすぎると不織布の孔径が大きくなったり、繊維が切れたりして引張強力が低くなりすぎるおそれがある。逆に、ニーパン等の交絡処理後に熱カレンダーで熱と圧力をかけて所定の厚さ、空隙率となるようにすれば、交絡のし過ぎによる繊維の破断や孔径大の懸念を抑制でき、かつ厚さを調整することで通気度や孔径も狙いに応じて調整しやすい。
【0019】
本発明の耐熱性防護シートにおいて、前記捕集層単独(前記不織布単独)でシートを構成してもよいし、前記捕集層と、他の布帛(例えば、織物、編物、不織布)からなる補強層とでシートを構成してもよい。その際、前記捕集層の片面または両面を前記補強層で覆うことが好ましい。また、例えば、面積比率で5%以上(好ましくは5~30%)の余尺を持たせて、捕集層を、伸縮性のある編物や織物で覆った積層体からなる耐熱性防護シートを用いてフードとすれば伸縮性を得て頭部や顔を覆いやすくなる。なお、余尺(%)とは、((補強層面積)-(捕集層面積))/(補強層面積)×100である。
【0020】
本発明の耐熱性防護シートを構成する材料としては、全てアラミド繊維(より好ましくは全てメタ型アラミド繊維)であることが好ましい。燃焼時の有毒ガス発生を抑制する上でモダアクリル繊維やPTFE膜は用いないことが好ましい。
【0021】
ここで、本発明の耐熱性防護シートにメタ型アラミド繊維以外の繊維を含ませる場合は、融点が400℃以上である耐熱性繊維がシート重量対比80重量%以上(より好ましくは85重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上)とすることが好ましい。かかる耐熱性繊維は、さらにJIS L 1091 E-2法に規定される限界酸素指数(LOI)が26以上(より好ましくは28以上、さらに好ましくは30以上)であることが好ましい。メタ型アラミド繊維以外の繊維としては、パラ型アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリベンゾイミダゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリエーテルイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、炭素繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリ塩化ビニル繊維、難燃レーヨン、難燃アクリル繊維、難燃ポリエステル繊維、難燃ビニロン繊維、メラミン繊維、フッ素繊維、難燃ウール、難燃コットンなどが例示され、これらの中から選ばれる1種類以上の繊維を単独もしくは混合して用いてもよい。
【0022】
さらには、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリノジック繊維、リヨセル繊維、ビニロン繊維、コットン、麻、ウールなどのその他の繊維を1種類以上用いることもできる。
【0023】
本発明の耐熱性防護シートにおいて、軽量性や着用快適性などの点で目付けが800g/m以下(より好ましくは150~700g/m)であることが好ましい。また、厚さが4mm以下(より好ましくは0.5~3.5mm)であることが好ましい。また、空隙率が90%以下(より好ましくは75~90%)であることが好ましい。該空隙率が90%を超えると、捕集性能が低下するおそれがある。なお、空隙率はカレンダー処理により調整することができる。また、圧力損失(圧損)としては、200Pa以下(より好ましくは5~200Pa、特に好ましくは5~100Pa)であることが好ましい。また、通気度は着用快適性(ムレ防止など)と捕集性を両立する上で3~10cm/cm・secの範囲内であることが好ましい。
【0024】
本発明の耐熱性防護シートは、前記の構成を有するので、燃焼時に有毒ガスが発生するおそれがなく、耐熱性および力学特性にも優れる。例えば針で貫通させても防塵性が極端に低下することがない。ここで、針刺し後における大気塵0.3μmの捕集率が40%以上であることが好ましい。また、針刺し後の捕集率低下率が針刺し前対比30%未満であることが好ましい。
【0025】
次に、本発明の衣料は前記の耐熱性防護シートを用いてなる衣料である。かかる衣料は前記の耐熱性防護シートを用いているので、燃焼時に有毒ガスが発生するおそれがなく、耐熱性および力学特性にも優れる。例えば針で貫通させても防塵性が極端に低下することがない。かかる衣料としては、防塵フード(頭部などを覆うフード)が好ましいが、マスク、防護服など身体に着用する繊維製品を含む。
【実施例0026】
本発明の実施例を挙げて詳述する。測定項目は下記の方法で測定した。
【0027】
(1)目付け
JIS L1096に基づいて測定した。
【0028】
(2)厚さ
JIS L1096に基づいて測定し、測定荷重5g/cmにて行った。
【0029】
(3)密度
目付け(g/m)÷厚さ(mm)とし、単位をg/cmに換算のため1000で割り算した。
【0030】
(4)空隙率
100-100×(密度÷比重1.38)により測定した。
【0031】
(5)細孔径
ASTM-F-316にて最大細孔径、平均細孔径および最小細孔径を求めた。
【0032】
(6)通気度
JIS L1096 8.26 A法(フラジール形法)により通気度を測定した。
【0033】
(7)大気塵捕集率
風速5.1cm/secとなるように調整し、試料透過前後の大気塵をパーティクルカウンターでカウントし、その比によって捕集効率を算出した。
大気塵捕集効率(%)=(1-(試料透過後大気塵数/試料透過前大気塵数))×100
突刺処理は、貫通側に平滑な金属板を設置しその上に布帛を置いて、大気塵測定部位(5cmφ)にJIS S3008の針を700回刺す処理を行った。
【0034】
(8)圧力損失
大気塵捕集効率測定時に試験片通過前後の圧力を測定し、その圧力差を圧力損失として求めた。
【0035】
(9)0.3μm捕集率低下率
突刺未処理と突刺処理後の大気塵0.3μm捕集率の比によって捕集効率を算出した。
0.3μm捕集率低下率(%)=100×(突刺未処理0.3μm捕集効率-突刺処理後0.3μm捕集効率)/突刺未処理0.3μm捕集効率
【0036】
(10)0.1~0.5μmの微粒子捕集率
ISO16900-3により捕集率を測定した。
【0037】
(11)繊維長、単繊維繊度、引張強伸度、捲縮数、捲縮率
JIS L 1015により測定した。
【0038】
(スクリム)
メタ型アラミド短繊維(帝人株式会社製、コーネックス(商品名)、単繊維繊度2.2dtex、繊維長51mm)からなり、経糸は10番手双糸を用い、織密度:20本/2.54cm、緯糸は20番単糸を用い、織密度14本/2.54cmの平織物である。
【0039】
(カレンダー加工)
上下メタルローラーの仕様であるものを用い、上下ともに温度約200℃~330℃で、線圧約100kg/cmで狙いの厚さ、空隙率となるように上下ローラーの間隔を適宜調整して実施した。
【0040】
[実施例1]
メタ型アラミド短繊維からなる原綿(単繊維繊度0.5dtex、引張強度2.5cN/dtex、引張伸度37%、捲縮数17ケ/2.54cm、捲縮率11%、繊維長38mm)を単独でカーディング後、目付約300g/mになるようニードルパンチを行い、カレンダー加工を施した。得られたものは捕集層単独(不織布単独)の耐熱性防護シートである。評価結果を表1に示す。
【0041】
[実施例2]
実施例1と同じメタ型アラミド短繊維からなる原綿を単独でカーディング後、目付約200g/mになるようニードルパンチを行い、カレンダー加工を施した。得られたものは、捕集層単独の耐熱性防護シートである。評価結果を表1に示す。
【0042】
[実施例3]
メタ型アラミド短繊維からなる原綿(単繊維繊度0.5dtex、引張強度2.5cN/dtex、引張伸度37%、捲縮数17ケ/2.54cm、捲縮率11%、繊維長38mm)と、メタ型アラミド短繊維からなる原綿(単繊維繊度2.2dtex、引張強度4.3cN/dtex、引張伸度44%、捲縮数13ケ/2.54cm、捲縮率19%、繊維長51mm)をそれぞれ単独でカーディング後、ろ過物捕集面側の不織布目付け約200g/m、その反対側の不織布目付け約200g/mで、目付け70g/mのスクリムを基布として中間に配してニードルパンチを行い、カレンダー加工を施した。得られたものは、捕集層単独の耐熱性防護シートである。評価結果を表1に示す。
【0043】
[比較例1]
メタ型アラミド短繊維からなる原綿(単繊維繊度2.2dtex、引張強度4.3cN/dtex、引張伸度44%、捲縮数13ケ/2.54cm、捲縮率19%、繊維長51mm)をそれぞれ単独でカーディング後、ろ過物捕集面側の不織布目付約215g/m、その反対側の不織布目付約215g/mで、目付70g/mのスクリムを基布として中間に積層させてニードルパンチを行い、カレンダー加工を施した。得られたものは、捕集層単独の耐熱性防護シートである。評価結果を表1に示す。
【0044】
[比較例2]
難燃性布帛1:メタ型アラミド原着短繊維(帝人株式会社製)、「コーネックス」(登録商標)、平均単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mm、パラ型アラミド短繊維(帝人株式会社製)、「テクノーラ」(登録商標)、平均単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mmを用いて公知の方法により英式綿番手40番の単糸を製造した。
【0045】
続いて20ゲージ、釜径33インチのシングル丸編機を使用し、上記英式綿番手40番を使用し、天竺組織の丸編物を製編した。次いで常法により精練、熱セットを行って難燃性布帛1を得た。
【0046】
難燃性樹脂膜A:PTFEファインパウダー100重量部に液状潤滑剤(ドデカン)19重量部を均一に混合して混合物を得た。次いで、この混合物を、フィッシュテールダイを装着した押出機を用いてシート状に押し出した。押し出したPTFEシートの厚みは1.5mm、幅は20cmであった。さらに、PTFEシートを1対の金属圧延ロールの間を通過させて圧延した。圧延して得たPTFEシートの厚みは200μmであった。引き続き、テンターを用い、圧延したPTFEシートを、液状潤滑剤を含んだままの状態でその幅方向に延伸し、その後、延伸したPTFEシートを150℃に保持して液状潤滑剤を除去した。次いで、ロール延伸法により280℃の延伸温度でその長手方向に延伸し、さらにテンター延伸法により110℃の延伸温度でその幅方向に延伸し、未焼成PTFE多孔膜を得た。最後に、未焼成PTFE多孔膜を、熱風発生炉を用いて400℃で焼成し、帯状の難燃性樹脂膜A(PTFE多孔膜)を得た。
【0047】
前記難燃性布帛1に前記難燃性樹脂膜Aをホットメルトにより貼り合わせ、難燃性樹脂膜Aが2枚の難燃性布帛1で挟持されるように繊維構造体(シート)を得た。評価結果を表1に示す。
【0048】
[実施例4]
実施例1で得られたシートを捕集層とし、比較例2における耐熱性布帛1を補強層とし、捕集層の両面を補強層で被覆して耐熱性防護シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、燃焼時に有毒ガスが発生するおそれがなく、耐熱性および力学特性にも優れる、耐熱性防護シートおよび衣料が提供され、その工業的価値は極めて大である。