IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルプス電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電子装置 図1
  • 特開-電子装置 図2
  • 特開-電子装置 図3
  • 特開-電子装置 図4
  • 特開-電子装置 図5
  • 特開-電子装置 図6
  • 特開-電子装置 図7
  • 特開-電子装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169030
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20221101BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20221101BHJP
   G06F 3/04845 20220101ALI20221101BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B60R11/02 C
G06F3/0481
G06F3/0484 150
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074790
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】荒川 和也
【テーマコード(参考)】
3D020
3D344
5E555
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC04
3D020BD09
3D020BE03
3D344AC25
5E555AA74
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC01
5E555CA42
5E555CB65
5E555DA01
5E555DB53
5E555DC26
5E555DC27
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】 運転の障害とならないように天井に画像を表示する機能を備えた電子装置を提供する。
【解決手段】 本発明の車載装置は、車両の天井200に画像を表示する表示手段と、車両が走行しているか否かを検出する検出手段と、表示手段を制御する制御手段とを含む。制御手段は、車両の走行が検出された場合、縮小された画像を天井200に表示させ、停車が検出された場合、拡大された画像を天井に表示させる。これにより、走行中にドライバーU1の視界に天井の画像が入らないようにする。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の天井に画像を表示する表示手段と、
車両が走行しているか否かを検出する検出手段と、
前記表示手段を制御する制御手段とを含み、
前記制御手段は、車両の走行が検出された場合、縮小された画像を天井に表示させ、停車が検出された場合、拡大された画像を天井に表示させる、電子装置。
【請求項2】
車両の天井に画像を表示する表示手段と、
車両が自動運転か否かを判定する判定手段と、
前記表示手段を制御する制御手段とを含み、
前記制御手段は、自動運転と判定された場合、拡大された画像を天井に表示させ、自動運転でないと判定された場合、縮小された画像を天井に表示させる、電子装置。
【請求項3】
車両の天井に画像を表示する表示手段と、
運転者の視界の天井の上限位置を決定する決定手段と、
前記上限位置に基づき前記表示手段の画像の表示領域を制御する制御手段と、
を含む電子装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記天井の上限位置に画像が入らないように前記表示領域を制御する、請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記表示手段に画像を縮小させる、請求項3または4に記載の電子装置。
【請求項6】
電子装置はさらに、座席の位置および座席の背もたれの角度を検出する検出手段を含み、
前記決定手段は、前記検出手段の検出結果に基づき前記天井の上限位置を決定する、請求項3に記載の電子装置。
【請求項7】
電子装置はさらに、運転者を撮像する撮像手段を含み、
前記決定手段は、前記撮像手段で撮像された運転者の視点に基づき前記天井の上限位置を決定する、請求項3または6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記決定手段はさらに、前記撮像手段で撮像された運転者の視線方向に基づき前記天井の上限位置を決定する、請求項7に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関し、特に、車内の天井に画像を表示する機能を備えた車載用電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のインスツルメンツパネルには、ナビゲーション画像、電子ミラー、車載カメラで撮像された車両の周辺画像を表示するためのディスプレイを一体に形成するものがある。また、このようなディスプレイとは別に、特許文献1は、車速および周辺環境に基づきカメラで撮影された動画像を車室内の天井に表示する車両用表示装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-14450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車室内の天井一面に大画像を表示する技術を用いることで、現在のリアモニタのように後席の同乗者が各種映像を楽しんだり、自動運転時にドライバーが座席を倒したりして同乗者と一緒に天井大画面を見ながらスポーツ映像や近くの施設の検索等を行うことが想定されている。図1(A)は、車両の模式的な側面図、図1(B)は、図1(A)のX線矢視図である。車両の天井10には、斜線で示すような領域に大画面12が形成される。
【0005】
しかしながら、天井の大画面12は、後方の座席の搭乗者U2にとって迫力のある見やすい映像を楽しむことができる利点がある反面、大画面12が表示されている最中にドライバーU1が運転をすると、大画面12の前方部分がドライバーU1の視界に入ってしまい、運転の妨げまたは障害になってしまう。
【0006】
一般に、人間が前方を見ているときに上方を見ることができる上限の角度θは、眼の中心からおおよそ60度くらいである。このため、天井の大画面12を表示する位置や座席の位置や角度によっては、ドライバーU1の視界または視野内に天井の画像が入り込んでしまう。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決し、運転の障害とならないように天井に画像を表示する機能を備えた電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子装置は、車両の天井に画像を表示する表示手段と、車両が走行しているか否かを検出する検出手段と、前記表示手段を制御する制御手段とを含み、前記制御手段は、車両の走行が検出された場合、縮小された画像を天井に表示させ、停車が検出された場合、拡大された画像を天井に表示させる。
【0009】
本発明に係る電子装置は、車両の天井に画像を表示する表示手段と、車両が自動運転か否かを判定する判定手段と、前記表示手段を制御する制御手段とを含み、前記制御手段は、自動運転と判定された場合、拡大された画像を天井に表示させ、自動運転でないと判定された場合、縮小された画像を天井に表示させる。
【0010】
本発明に係る電子装置は、車両の天井に画像を表示する表示手段と、運転者の視界の天井の上限位置を決定する決定手段と、前記上限位置に基づき前記表示手段の画像の表示領域を制御する制御手段とを含む。
【0011】
ある態様では、前記制御手段は、前記天井の上限位置に画像が入らないように前記表示領域を制御する。ある態様では、前記制御手段は、前記表示手段に画像を縮小させる。ある態様では、電子装置はさらに、座席の位置および座席の背もたれの角度を検出する検出手段を含み、前記決定手段は、前記検出手段の検出結果に基づき前記天井の上限位置を決定する。ある態様では、電子装置はさらに、運転者を撮像する撮像手段を含み、前記決定手段は、前記撮像手段で撮像された運転者の視点に基づき前記天井の上限位置を決定する。ある態様では、前記決定手段はさらに、前記撮像手段で撮像された運転者の視線方向に基づき前記天井の上限位置を決定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、走行中に縮小した画像を天井に表示させるようにしたので、天井に表示された画像が運転者の視界に入ることを抑制し、運転を妨害することなく、車内のエンターテイメント空間の実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】車両の天井に大画面を表示する例を示す図である。
図2】本発明の実施例に係る車両用電子装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施例による表示動作を説明するフローである。
図4図4(A)は、通常サイズの画像を天井に表示する例を示し、図4(B)は、縮小した画像を天井に表示する例を示す図である。
図5】本発明の第2の実施例による表示動作を説明するフローである。
図6】本発明の第3の実施例による縮小画像を表示するための座席情報を説明する図である。
図7】本発明の第3の実施例による縮小画像の生成方法を説明するフローである。
図8】本発明の第4の実施例による縮小画像を表示するためのドライバーの視点や視線方向の検出を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本発明の電子装置は、自動車等の車両に搭載され、車両の天井に画像を表示する機能を備える。本発明の電子装置は、例えば、オーディオ・ビジュアル・ナビゲーション機能を備えた車載用電子装置、地上波デジタル放送やラジオ放送の受信機能を備えた車載用電子装置、サーバーやネットワーク等と無線による接続機能を備えた車載用電子装置などであることができる。
【実施例0015】
次に、本発明の実施例について詳細に説明する。図2は、本発明の実施例に係る車両用電子装置(車載装置)の構成を示すブロック図である。車載装置100は、入力部110、車両情報取得部120、座席情報取得部130、通信部140、メディア再生部150、表示部160、音声出力部170、記憶部180および制御部190を含んで構成される。
【0016】
入力部110は、ユーザーからの入力を受け取り、これを制御部190へ出力する。車両情報取得部120は、車両情報として、例えば、車両の速度情報(車速パルス)、ギアポジション情報、パーキング情報、ウィンカー情報、自車位置情報などを車内バス等を介して取得する。自車位置情報は、例えば、GPS衛星を利用した位置情報、加速度センサは角速度センサを利用した位置情報などを含むことができる。また、自動運転に対応する車両では、車両情報として自動運転に関する情報が含まれる。
【0017】
通信部140は、車両に搭載された電子機器との間で有線または無線による通信を可能にしたり、外部のネットワークを介してサーバー等と無線による通信を可能にする。ある態様では、通信部140は、通信モジュールとしてテレマティクスコントロールユニット(TCU)を含み、TCUによりGPS信号を受信したり、無線LANに接続したり、3G/4G/5G等の公衆無線回線網に接続する。
【0018】
メディア再生部150は、記憶部180やその他の記録媒体に記憶されたオーディオデータやビデオデータを再生し、これを表示部160や音声出力部170から出力させる。また、メディア再生部150は、ナビゲーション機能や地上波デジタル放送やラジオ放送を再生する機能を備えるものであってもよい。
【0019】
表示部160は、メディア再生部150によって再生された画像や通信部140から受信した画像等を車内空間に表示する。本実施例では、表示部160は、少なくとも車両の天井に画像を表示する機能を有する。天井への画像の表示方法は、特に限定されないが、例えば、プロジェクターにより天井に画像を投射したり、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等を天井に取り付け、そこに画像を表示させる。
【0020】
音声出力部170は、メディア再生部150によって再生された音声や通信部140から受信した音声等を車内空間に出力する。記憶部180は、メディア再生部150によって再生するためのデータや、車載装置100にとって必要なデータやアプリケーションソフトウエア等を格納する。
【0021】
制御部190は、車載装置100の全体の動作を制御する。この制御は、ハードウエアおよび/またはソフトウエアにより実施される。ある態様では、制御部190は、ROM/RAMなどを含むマイクロコントローラユニット等を含み、ROM/RAMには、車載装置100の動作を制御するためのプログラムが格納される。本実施例では、制御部190は、車載装置100の一部の機能として包含される天井に画像を表示する機能を表示部160を介して制御する。以下、この表示機能の制御について詳細に説明する。
【0022】
図3は、本発明の第1の実施例による表示機能の動作を説明するフローである。第1の実施例では、表示部160が天井に画像を表示するとき(S100)、制御部190は、車両情報取得部120から取得された車両情報に基づき車両が走行中か否かを判定する(S110)。例えば、車速が一定速度以下であるとき、パーキングブレーキがオンしているとき、あるいはGPS等による単位時間当たりの自車位置の変化が一定以下であるとき、制御部190は、自車が停車していると判定し、それ以外のとき走行中と判定する。
【0023】
制御部190は、車両が停車中と判定したとき、表示部160に通常サイズの画像を天井に表示させ(S120)、他方、車両が走行中と判定したとき、表示部160に縮小した画像を天井に表示させる(S130)。制御部190は、車両が走行中か否かを常時監視し、走行中か否かに応じて天井に表示する画像のサイズを切り替える。
【0024】
図4(A)、(B)は、図1(B)に対応する方向から見た天井の平面図であり、図4(A)は、通常サイズの画像の表示例、図4(B)は、縮小画像の表示例である。制御部190は、図4(A)に示すように、車両が停車中であるとき、予め決められた通常サイズの画像210Aを天井200に表示させる。他方、車両が走行中であるとき、制御部190は、図4(B)に示すように、天井の前方部分に画像の非表示領域Rが形成されるように、通常サイズの画像を一定の割合で縮小した画像210Bを天井200に表示させる。非表示領域Rは、ドライバーにとっての視界または視野に入り込む領域である。縦方向、横方向のそれぞれの縮小の割合は、同じであってもよいし(アスペクト比が同じ)、異なるものであってもよく、この縮小の割合は、事前に設定される。
【0025】
表示部160がプロジェクターにより天井に画像を投射する場合、表示部160は、倍率を変えて天井に投射するエリアを縮小することができる。あるいは、非表示領域Rに対応する領域に、黒、白または天井と同系色を投射させ、事実上、非投射のときと同様の効果を生じさせるようにしてもよい。また、表示部160が、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイにより天井に画像を表示する場合、表示部160は、液晶ディスプレイの非表示領域Rに対応する領域を駆動せずに非表示にする。この場合、非表示領域には、液晶ディスプレイのノーマリーブラックまたはノーマリーホワイトが表示される。あるいは非表示領域Rに対応する領域を駆動して、黒、白または天井と同系色で表示し、事実上、非駆動のときと同様の効果を生じさせるようにしてもよい。
【0026】
このように本実施例によれば、車両の走行中に縮小画像210Bを天井200に表示することで天井200の前方に非表示領域Rを形成し、これにより、ドライバーの視界の上方に天井の画像が入り込むのを防止することができる。その結果、ドライバーは、天井の画像によって運転に支障をきたすことなく、他の同乗者は、車内エンターテイメントを楽しむことができる。
【0027】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図5は、本発明の第2の実施例による表示機能の動作を説明するフローである。表示部160が天井に画像を表示するとき(S200)、制御部190は、車両情報取得部120から取得された自動運転情報に基づき車両が自動運転中か否かを判定する(S210)。自動運転情報には、自動運転のレベルを識別する情報が含まれている。例えば、自動運転情報は、レベル0:常時、ドライバーが運転の操作を行う、レベル1:操舵/制動または加速の支援を行うが操舵/制動/加速の全てを支援しない(特定機能の自動化)、レベル2:ドライバーは安全運転の責任を持つが操舵/制動/加速の全ての支援を行う(複合機能の自動化)、レベル3:機能限界になった場合のみ、ドライバーが自ら運転操作を行う(半自動運転)、レベル4:運転操作、周辺監視を全てシステムに委ねる(完全自動運転)を含む。
【0028】
制御部190は、自動運転情報のレベルに基づき自動運転か否かを判定する(S210)。例えば、制御部190は、自動運転情報がレベル4であるとき、自動運転中と判定する。制御部190は、自動運転中と判定した場合、表示部160に通常サイズの画像210Aを天井200に表示させ(S220)、自動運転中でないと判定した場合、表示部160に縮小した画像210Bを天井200に表示させる(S230)。制御部190は、車両が自動運転中か否かを常時監視し、自動運転中か否かに応じて天井に表示する画像サイズを切り替える。
【0029】
このように本実施例によれば、自動運転中でないときに縮小画像210Bを表示することで天井200の前方に非表示領域Rを形成し、これにより、ドライバーの視界の上方に天井の画像が入り込むのを防止することができる。その結果、ドライバーは、天井の画像によって運転に支障をきたすことなく、他の同乗者は、車内エンターテイメントを楽しむことができる。
【0030】
なお上記実施例では、自動運転情報がレベル4のときに自動運転と判定するようにしたが、これは一例であり、制御部190は、レベル3の半自動運転のときに自動運転と判定し、レベル3よりも低いレベルのときに通常サイズの画像を縮小画像に切替えるようにしてもよい。また、制御部190は、自動運転のレベルに応じて縮小画像のサイズを可変するようにしてもよい。例えば、レベル4のときに通常サイズの画像を表示させ、レベル3、2のとき第1の割合で縮小した画像を表示させ、レベル1、0のとき第1の割合よりも大きい第2の割合で縮小した画像を表示させるようにしてもよい。
【0031】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第3の実施例は、天井に表示する縮小画像の生成方法に関する。制御部190は、座席情報取得部130から座席の位置および背もたれの角度に関する情報を取得し、取得した情報に基づきドライバーの視点の位置を推定し、この推定結果に基づき縮小画像のサイズを決定する。
【0032】
図6に、座席とドライバーの概略側面図を示す。同図に示すように、制御部190は、座席情報取得部130を介して、座席220のX方向の位置情報A(例えば、基準位置からの移動量)と、座席220の背もたれの角度情報B(基準角からの傾斜量)とを取得する。ある態様では、車両には、座席220のX方向の位置を検出するセンサ、座席220の背もたれの角度を検出するセンサが設けられ、これらのセンサで検出された位置情報Aおよび角度情報Bが車内バスを介して座席情報取得部130に提供される。
【0033】
図7に縮小画像の生成方法を説明するための動作フローを示す。まず、制御部190は、座席情報取得部130を介して座席の位置情報Aおよび角度情報Bを取得する(S300)。次に、制御部190は、取得した位置情報Aおよび角度情報Bに加えて、標準的な人物が着座したときの座面から視点EまでのZ方向の高さ情報Cとヘッドレストから視点EまでのX方向の頭部情報Dとを用いて(座席220の大きさや形状は既知)、視点Eが含まれるXZ空間(平面)におけるドライバーU1の視点Eの座標を算出する(S310)。標準的な人物の高さ情報Cおよび頭部情報Dは、予め記憶部180に格納するようにしてもよいし、あるいはユーザーが入力部110から入力するようにしてもよい。
【0034】
次に、制御部190は、ドライバーU1の視界の上方に入り込まない天井の上限位置Pを算出する(S320)。一般に、人間が前方を見ているときに上方を見ることができる上限の角度θは約60度である。天井200はX方向において概ね水平であるとし、座席または車両の底部から天井200までのZ方向の全体の高さは既知であるとする。制御部190は、視点Eから天井200までのZ方向の距離Fを算出し、さらに距離Fと上限の角度θとの関係から、ドライバーU1が見ることができる天井200の上限位置Pを算出する。
【0035】
次に、制御部190は、天井200の上限位置Pを超えないように表示部160に画像の縮小処理を実行させ(S330)、縮小した画像を天井200に表示させる(S340)。
【0036】
このように本実施例によれば、座席情報およびドライバイーの視点に基づき天井の上限位置を正確に算出することができ、これにより、上限位置を超えない精度の良い縮小画像を生成することができる。その結果、ドライバーの視界の上方に天井の画像が入り込むのを高精度の防止することができる。
【0037】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。上記第3の実施例では、標準的な人間が着座したときの視点の高さCや頭部情報Dを用いて視点Eの座標位置を算出したが、第4の実施例では、車内に搭載された撮像カメラを用いてドライバーの視点Eや視線方向を検出する。さらに、座席情報取得部130からの座席情報に変えて、撮像カメラにより撮像された撮像データから座席220の位置情報Aおよび角度情報Bを検出するようにしてもよい。
【0038】
撮像カメラの取り付け位置は、特に限定されないが、例えば、撮像カメラは、天井200からドライバーU1の顔や座席220を撮像することができる位置に取り付けられ、あるいは図8に示すように、ステアリング320の後方のコラムカバー310上に取り付けられ、ステアリング320の合間を通してドライバーU1の顔を撮像する。撮像カメラ300は、ステレオカメラのように複数であってもよいし、RGBカメラまたは赤外線カメラであってもよい。
【0039】
撮像カメラ300によって撮像されたデータは、制御部190へ提供される。制御部190は、受け取った撮像データを画像解析し、ドライバーU1の顔画像を切り出し、切り出した顔画像の左眼または右眼の黒い部分を視点Eと認識し、この座標位置を算出する。また、制御部190は、眼の黒い部分とこれを取り囲む白い部分との面積の関係などから視線方向(例えば、ドライバーが下方を見ている、あるいは上方を見ているなど)を検出する。例えば、座高が低いドライバーあるいは背もたれをより傾斜した場合には、ドライバーU1の視線方向は幾分上向きになり、反対に、座高が高いドライバーあるいは背もたれをあまり傾斜させない場合には、ドライバーU1の視線方向は幾分下向きになる。さらに制御部190は、撮像カメラ300の撮像データから座席220を認識し、座席220のX方向の位置や背もたれの角度を検出する。視点Eの位置、座席220の位置あるいは背もたれの角度は、撮像カメラ300の撮像空間の座標と車内のXYZ空間の座標との既知の対応関係から算出することが可能である。
【0040】
制御部190は、画像データから算出した座席の位置情報A、角度情報B、ドライバーU1の視点E、視線方向に基づき天井の上限位置Pを算出する。図8の例では、ドライバーU1の視線方向が水平方向Hであるときの上限位置P、視線方向が斜め下方向H1であるときの上限位置P1、視線方向が斜め上方向H2であるときの上限位置P2を示している。制御部190は、第3の実施例のときと同様に、天井の上限位置P1、P2、P3を超えないように表示部160に縮小画像を生成させ、これを天井200に表示させる。
【0041】
このように本実施例によれば、撮像カメラ300の撮像データから座席情報、ドライバーの視点や視線方向を検出することで、ドライバーの運転環境に応じた天井の上限位置をより正確に算出することができ、上限位置に応じた縮小サイズの画像を精度良く生成することができる。その結果、ドライバーの視界の上方に天井の画像が入り込むのを高精度の防止することができる。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
100:車載装置 110:入力部
120:車両情報取得部 130:座席情報取得部
140:通信部 150:メディア再生部
160:表示部 170:音声出力部
180:記憶部 190:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8