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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169034
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】回路基板保護ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20221101BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20221101BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20221101BHJP
   H01R 12/71 20110101ALN20221101BHJP
【FI】
B60K35/00 A
H05K5/03 D
H05K9/00 Q
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074802
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】森 凌太郎
【テーマコード(参考)】
3D344
4E360
5E223
5E321
【Fターム(参考)】
3D344AA08
3D344AC25
3D344AD13
4E360BA03
4E360BA11
4E360BB22
4E360BC03
4E360BD03
4E360EA03
4E360EA18
4E360EA24
4E360ED03
4E360ED07
4E360ED13
4E360FA14
4E360GA60
4E360GB99
4E360GC02
4E360GC08
5E223AA21
5E223AB18
5E223AB59
5E223AC04
5E223BA07
5E223CD01
5E223DB08
5E321AA02
5E321CC16
5E321GG01
5E321GG05
(57)【要約】
【課題】コネクタの接続不良を抑制できる回路基板保護ユニットを提供する。
【解決手段】回路基板保護ユニット50は、ヘッドアップディスプレイ装置などの車載表示装置に設けられる。回路基板保護ユニット50は、コネクタ61を有する回路基板と、回路基板を覆う金属製のシールドカバー70と、コネクタ61を囲む枠状部81を有する樹脂製のコネクタカバー80と、を備える。シールドカバー70は、コネクタ61を露出させる開口部71を有する。コネクタカバー80は、シールドカバー70の開口部71に固定される。例えば、コネクタカバー80は、枠状部81よりも回路基板の近くに位置するフック部を備え、フック部が開口部に掛けられることで開口部71に固定される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタを有する回路基板と、
前記コネクタを露出させる開口部を有し、前記回路基板を覆う金属製のシールドカバーと、
前記コネクタを囲む枠状部を有し、前記開口部に固定される樹脂製のコネクタカバーと、を備え、車載表示装置に設けられる、
回路基板保護ユニット。
【請求項2】
前記コネクタカバーは、前記枠状部よりも前記回路基板の近くに位置するフック部を備え、前記フック部が前記開口部に掛けられることで前記開口部に固定される、
請求項1に記載の回路基板保護ユニット。
【請求項3】
前記開口部の開口端は、第1の方向に沿うとともに対をなす第1の辺及び第2の辺と、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿うとともに対をなす第3の辺及び第4の辺とを有し、
前記コネクタは、前記第1の辺に沿う第1側面と、前記第2の辺に沿う第2側面と、前記第3の辺に沿う第3側面と、前記第4の辺に沿う第4側面とを有し、
前記フック部は、前記開口部に前記第1の辺から掛けられる第1フックと、前記開口部に前記第2の辺から掛けられる第2フックと、前記開口部に前記第3の辺から掛けられる第3フックとを備え、
前記コネクタカバーは、前記第4側面を弾性力で押す弾性部をさらに備え、
前記第3フックは、前記弾性部の弾性力を受けた前記コネクタの前記第3側面に押されて前記開口部に掛けられる、
請求項2に記載の回路基板保護ユニット。
【請求項4】
前記第3フックが前記第3側面に接触する部分と、前記弾性部が前記第4側面に接触する部分とは、前記第2の方向において対向するとともに前記コネクタの高さ方向における位置が同じである、
請求項3に記載の回路基板保護ユニット。
【請求項5】
前記コネクタカバーは、前記第2の方向において前記コネクタを挟んで対向するとともに、弾性力によって前記シールドカバーを前記回路基板に向かって押す第1ばね部及び第2ばね部をさらに備え、
前記第1フック及び前記第2フックは、互いに離れる方向の弾性力を有することで前記開口部に押しつけられ、
前記第1フックが有する爪は、前記第1ばね部の弾性力によって前記開口部に掛けられ、
前記第2フックが有する爪は、前記第2ばね部の弾性力によって前記開口部に掛けられる、
請求項3又は4に記載の回路基板保護ユニット。
【請求項6】
前記コネクタの外形は、前記第1の方向に長尺の直方体状であり、
前記コネクタカバーは、前記第1側面と対向する第1壁部と、前記第2側面と対向する第2壁部とをさらに備える、
請求項3~5のいずれか1項に記載の回路基板保護ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路基板保護ユニットに関し、詳しくは、車載表示装置に設けられる回路基板保護ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、車載表示装置としてヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)装置が記載されている。このHUD装置は、コネクタを有する回路基板と、回路基板の周囲を囲む金属製のシールドカバーとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-46570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回路基板が有するコネクタに対し、当該コネクタと嵌まり合う対応コネクタを抜き差しすることでコネクタが倒れる方向に外力が加わることがある。この外力によって、回路基板におけるコネクタの実装部分とコネクタとの間に看過できない応力が生じると、コネクタの接続不良に繋がる虞がある。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、コネクタの接続不良を抑制できる回路基板保護ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る回路基板保護ユニットは、
コネクタを有する回路基板と、
前記コネクタを露出させる開口部を有し、前記回路基板を覆う金属製のシールドカバーと、
前記コネクタを囲む枠状部を有し、前記開口部に固定される樹脂製のコネクタカバーと、を備え、車載表示装置に設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コネクタの接続不良を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ(HUD)装置の車両への搭載態様を示す図。
図2】同上実施形態に係るHUD装置の概略構成図。
図3】同上実施形態に係る回路基板保護ユニットの斜視図。
図4】同上実施形態に係る回路基板保護ユニットの分解斜視図。
図5】同上実施形態に係るシールドカバーの開口部近傍の拡大斜視図。
図6】同上実施形態に係るコネクタカバーの斜視図。
図7】同上実施形態に係るコネクタカバーをコネクタの周囲に設ける際の組み付け方法を説明するための図。
図8】同上実施形態に係るコネクタカバーをコネクタの周囲に設ける際の組み付け方法を説明するための図。
図9】同上実施形態に係るコネクタカバーをコネクタの周囲に設ける際の組み付け方法を説明するための図。
図10】同上実施形態に係るコネクタカバーをコネクタの周囲に設ける際の組み付け方法を説明するための図。
図11】同上実施形態に係るコネクタカバーをコネクタの周囲に設ける際の組み付け方法を説明するための図。
図12】変形例に係るコネクタカバーの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置(HUD)装置1は、図1に示すように、例えば、車両2のダッシュボードに設けられ、ウインドシールド3に向けて表示光Lを放射する。ウインドシールド3で反射した表示光Lは、ユーザ4に表示光Lが表す画像の虚像Vを視認させる。虚像Vは、車両2に関する各種情報を示し、ウインドシールド3を介して車両2の前方に表示される。
【0011】
図2に示すように、HUD装置1は、表示部10と、第1ミラー20と、第2ミラー30と、筐体40と、回路基板60を含む回路基板保護ユニット50と、を備える。
【0012】
表示部10は、画像を表す表示光Lを放射する。表示部10は、液晶表示パネル11と、液晶表示パネル11を背後から照明するバックライトユニット12と、を備える。液晶表示パネル11は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)型であり、回路基板60と電気的に接続されている。液晶表示パネル11は、回路基板60に実装された制御部の制御で、バックライトユニット12に照明されつつ画像を表示する。バックライトユニット12は、複数のLED(Light Emitting Diode)12aが実装された光源用基板12bと、光学素子12cとを有する。光源用基板12bは、回路基板60と電気的に接続され、制御部の制御で複数のLED12aを発光させる。光学素子12cは、複数のLED12aからの光を効率良く液晶表示パネル11に到達させる構成であり、例えば、コンデンサレンズ、フィールドレンズ等からなる。
【0013】
第1ミラー20は、平面鏡又は曲面鏡からなり、表示部10が放射した表示光Lを第2ミラー30に向けて反射させる。第2ミラー30は、例えば凹面鏡からなり、第1ミラー20からの表示光Lをウインドシールド3に向けて反射する。凹面鏡の機能により、虚像Vは、表示部10に表示されている画像が拡大されたサイズでユーザ4に視認される。第2ミラー30は、図示せぬ回転駆動部により、筐体40に対して軸線30a周りに回転駆動される。回路基板40に実装された制御部は、第2ミラー30を回転駆動することで、ユーザ4から見た虚像Vの表示位置を調整可能である。
【0014】
筐体40は、上記の各部を収容する構成であり、合成樹脂、金属等から遮光性を有して箱状に形成される。なお、筐体40は、複数の部材の組み合わせで構成されてもよい。筐体40には、ウインドシールド3に向かって開口し、第2ミラー30で反射した表示光Lが通過する通過口40aが設けられている。筐体40には、通過口40aを塞ぐ透光板40bが取り付けられる。第2ミラー40で反射した表示光Lは、透光板40bを透過してウインドシールド3に向かう。また、筐体40は、図2での下方に位置し、回路基板60が固定される基板固定部41を備える。
【0015】
回路基板保護ユニット50は、回路基板60と、シールドカバー70と、コネクタカバー80と、を備える。
【0016】
回路基板60は、表示部10及び前述の回転駆動部の動作を制御する制御部等の電子部品が実装されたPCB(Printed Circuit Board)である。制御部は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ等から構成される。
【0017】
回路基板60は、回路基板60の基材から図2の下方に突出したコネクタ61を有する。コネクタ61には、コネクタ61と嵌まり合う対応コネクタを有するケーブルが接続される。例えば、コネクタ61はメス型で、対応コネクタはオス型である。コネクタ61は、例えば、電源入力用の端子、映像信号入力用の端子などとして機能する。
【0018】
コネクタ61は、図3図4に示すように、直方体状の外形をなす。図3は、図2に示す矢視Aから見た回路基板保護ユニット50の斜視図である。図4は、回路基板保護ユニット50の分解斜視図である。以下では、コネクタ61の幅方向に沿うX軸、コネクタ61の奥行きの長さ方向に沿うY軸、コネクタ61の高さ方向に沿うZ軸を用いて、回路基板保護ユニット50の構成を説明する場合がある。なお、X、Y及びZの各軸を示す矢印が向く方向を各軸の「+」(プラス)方向とし、その逆方向を「-」(マイナス)方向とする。
【0019】
コネクタ61の外周面は、YZ平面と平行であって互いにX方向で対向する第1側面61a及び第2側面61bと、ZX平面と平行であって互いにY方向で対向する第3側面61c及び第4側面61dと、を備える。この実施形態では、第1側面61a及び第2側面61bのY方向の長さが、第3側面61c及び第4側面61dのX方向の長さよりも長い。つまり、コネクタ61の外形は、Y方向に長尺な直方体状である。
【0020】
シールドカバー70は、金属製の蓋状部材であり、図2の下方から回路基板60を覆う。シールドカバー70は、その外縁部がビス等の固定手段によって基板固定部41又は回路基板60に固定される。シールドカバー70は、回路基板60の図示せぬグランドパターンと電気的に接続され、電磁波シールドとして機能する。なお、回路基板保護ユニット50は、図2の上方から回路基板60を覆う、図示せぬシールドカバーをさらに備えていてもよい。このシールドカバーは、シールドカバー70と回路基板60のグランドパターンとの少なくともいずれかと電気的に接続されていればよい。
【0021】
シールドカバー70は、図3に示すように、コネクタ61を露出させる開口部71を有する。開口部71は、図5に示すように、シールドカバー70の主面70aから回路基板60に向かって窪む窪部72に設けられている。なお、主面70aは、コネクタ61が突出する方向(+Z方向)に向く面である。図3に示すように、シールドカバー70が固定された状態では、コネクタ61は開口部71を通って、その先端部がシールドカバー70の主面70aよりも+Z方向に位置する。
【0022】
図5に示すように、開口部71の開口端71aは、略長方形状をなし、Y方向に沿うとともに対をなす第1の辺S1及び第2の辺S2と、X方向に沿うとともに対をなす第3の辺S3及び第4の辺S4とを有する。なお、開口部71の中に位置するコネクタ61は、第1側面61aが第1の辺S1に沿い、第2側面61bが第2の辺S2に沿い、第3側面61cが第3の辺S3に沿い、第4側面61dが第4の辺S4に沿う。
【0023】
コネクタカバー80は、コネクタ61を保護する樹脂製の部材であり、シールドカバー70の開口部71に固定される。コネクタカバー80は、図6に示すように、枠状部81と、フック部90と、弾性部94と、梁部82a~82cと、第1ばね部83と、第2ばね部84と、第1壁部85と、第2壁部86と、を備える。
【0024】
枠状部81は、コネクタ61を囲む略長方形状の枠であり、第1側面61aと対向する第1部分81aと、第2側面61bと対向する第2部分81bと、第3側面61cと対向する第3部分81cと、第4側面61dと対向する第4部分81dとを有する。
【0025】
フック部90は、枠状部81よりも回路基板60の近くに位置する。コネクタカバー80は、フック部90が開口部71に掛けられることで開口部71に固定される。フック部90は、第1フック91と、第2フック92と、第3フック93とを備える。第1フック91及び第2フック92は、X方向で対をなす。
【0026】
第1フック91は、開口部71に第1の辺S1から掛けられる。第1フック91は、梁部82aを介して枠状部81の第1部分81aと繋がる。梁部82aは、図6に示すように、概ね矩形の板状をなし、第1部分81aから-X方向に迫り出してその先端部が-X方向に向く。第1フック91は、梁部82aと接続された脚部91aと、図7に示すように脚部91aの先端に設けられて+X方向に向く爪N1とを有する。図7は、シールドカバー70にコネクタカバー80が取り付けられた状態であって、コネクタカバー80にコネクタ61が挿入される前の状態を示す。なお、図7では第1フック91及び第2フック92をZX平面に沿った断面で表している。脚部91aは、梁部82aの先端部から概ね-Z方向に延びている。脚部91aは、基端(梁部82aに近い端)よりも先端が+X方向に偏る位置にあることで、若干傾斜している。このように脚部91aが傾斜していることにより、第1フック91は、+X方向の弾性力F1を有する。
【0027】
第2フック92は、開口部71に第2の辺S2から掛けられる。第2フック92は、梁部82bを介して枠状部81の第2部分81bと繋がる。梁部82bは、図6に示すように、概ね矩形の板状をなし、第2部分81bから+X方向に迫り出してその先端部が+X方向に向く。第2フック92は、梁部82bと接続された脚部92aと、図7に示すように脚部92aの先端に設けられて-X方向に向く爪N2とを有する。脚部92aは、梁部82bの先端部から概ね-Z方向に延びている。脚部92aは、基端(梁部82bに近い端)よりも先端が-X方向に偏る位置にあることで、若干傾斜している。このように脚部92aが傾斜していることにより、第2フック92は、-X方向の弾性力F2を有する。
【0028】
第1フック91及び第2フック92は、以上のように、互いに離れる方向の弾性力F1、F2を有することで開口部71に押しつけられる。
【0029】
第3フック93は、開口部71に第3の辺S3から掛けられる。第3フック93は、梁部82cを介して枠状部81の第3部分81cと繋がる。梁部82cは、図6に示すように、概ね矩形の板状をなし、第3部分81cから+Y方向に迫り出してその先端部が+Y方向に向く。第3フック93は、梁部82cと接続された脚部93aと、図9に示すように脚部93aの先端に設けられて-Y方向に向く爪N3とを有する。図9は、シールドカバー70に取り付けられたコネクタカバー80にコネクタ61が挿入された後の状態を示す。なお、図9では第3フック93及び弾性部94をYZ平面に沿った断面で表している。脚部93aは、梁部82cの先端部から-Z方向に延びている。脚部93aは、コネクタ61の第3側面61cと対向する傾斜面93bを有する。傾斜面93bは、脚部93aの基端(梁部82cに近い端)から先端に向かって第3側面61cと離れていくように傾斜している。第3フック93は、傾斜面93bの一部がコネクタ61の第3側面61cと接触する。第3フック93は、第3側面61cに押圧力F3で押されて開口部71に掛けられる。
【0030】
弾性部94は、図9に示すように、枠状部81の第4部分81dと接続された、断面U字状の部分である。弾性部94は、-Y方向の弾性力F4を有し、この弾性力F4でコネクタ61の第4側面61dを押す。前述の第3フック93は、弾性部94の弾性力F4を受けたコネクタ61の第3側面61cに押されて開口部71に掛けられる。このように、Y方向において第3フック93と弾性部94でコネクタ61を弾性的に挟み込むことにより、コネクタ61に対するコネクタカバー80のY方向のガタツキを低減することができる。
【0031】
また、第3フック93が第3側面61cに接触する部分と、弾性部94が第4側面61dに接触する部分とは、Y方向において対向するとともにコネクタ61の高さ方向(Z方向)における位置が同じに設定されている。この構成により、コネクタ61にY方向成分以外の無用な外力が加わることを抑制でき、コネクタ61への負担を軽減することができる。
【0032】
図6に示すように、第1ばね部83は、枠状部81の第1部分81aから外側に迫り出した板ばね状の部分である。第2ばね部84は、枠状部81の第2部分81bから外側に迫り出した板ばね状の部分である。
【0033】
図10に示すように、第1ばね部83と第2ばね部84は、X方向においてコネクタ61を挟んで対向する。図10は、シールドカバー70に取り付けられたコネクタカバー80にコネクタ61が挿入された後の状態を示す。なお、図10では第1ばね部83及び第2ばね部84をZX平面に沿った断面で表している。第1ばね部83は、-Z方向の弾性力F5を有し、この弾性力F5によりシールドカバー70の主面70aを押す。第2ばね部84は、-Z方向の弾性力F6を有し、この弾性力F6によりシールドカバー70の主面70aを押す。つまり、第1ばね部83及び第2ばね部84は、弾性力F5、F6によってシールドカバー70を回路基板50に向かって押す。これにより、コネクタカバー80における第1ばね部83及び第2ばね部84以外の部分は、シールドカバー70に対して+Z方向に付勢される。この+Z方向の付勢力によって、第1フック91の爪N1及び第2フック92の爪N2は、シールドカバー70に対して+Z方向に持ち上げられ、図7に示すように開口部71に掛けられる。具体的に、第1フック91が有する爪N1は、第1ばね部83の弾性力F5によって開口部71に掛けられる。また、第2フック92が有する爪N2は、第2ばね部84の弾性力F6によって開口部71に掛けられる。
【0034】
図6に示すように、第1壁部85は、枠状部81の第1部分81aから+Z方向に立って設けられている。第2壁部86は、枠状部81の第2部分81bから+Z方向に立って設けられている。第1壁部85及び第2壁部86は、X方向において互いに対向する。また、図11に示すように、第1壁部85はコネクタ61の第1側面61aと対向し、第2壁部86はコネクタ61の第2側面61bと対向する。図11の状態については後述する。第1壁部85及び第2壁部86により、前述の対応コネクタをコネクタ61に対して抜き差しする際に、コネクタ61が倒れやすい方向に過度に動くことを抑制することができる。HUD装置1及びHUD装置1に設けられる回路基板保護ユニット50の構成の説明は以上である。
【0035】
続いて、コネクタカバー80をコネクタ61の周囲に設ける際の組み付け方法の一例について、図7図11を参照して説明する。
【0036】
まず、図7に示すように、シールドカバー70の開口部71に、第1フック91及び第2フック92を掛けることで、シールドカバー70にコネクタカバー80を取り付ける。第1フック91の弾性力F1と第2フック92の弾性力F2により、シールドカバー70に対するコネクタカバー80のX方向における位置が決められる。
【0037】
また、開口部71に第1フック91及び第2フック92を掛けた際には、図10に示すように、第1ばね部83及び第2ばね部84が弾性力F5、F6によって第1フック91及び第2フック92を+Z方向に付勢する。この付勢力によって、第1フック91の爪N1と第2フック92の爪N2とが開口部71に+Z方向に押し当てられる。この作用によりシールドカバー70に対するコネクタカバー80のZ方向における位置が決められる。
【0038】
なお、シールドカバー70の開口部71に第1フック91及び第2フック92が掛けられているが、コネクタカバー80の中にコネクタ61が挿入されていない状態では、図8に示すように、第3フック93は、開口部71と離れており開口部71には掛けられていない状態である。
【0039】
続いて、コネクタカバー80が取り付けられたシールドカバー70を、図8に示すように、コネクタ61がコネクタカバー80の中に挿入されていくように移動させる。この移動の過程で、第3フック93は第3側面61cを摺動し、弾性部94は第4側面61dを摺動する。この摺動に伴い、第3フック93は、傾斜面93bがコネクタ61の第3側面61cに押されて-Y方向に撓む。そして、シールドカバー70及びコネクタカバー80がコネクタ61に対して図9に示す状態になると、第3フック93は、弾性部94の弾性力F4を受けたコネクタ61の第3側面61cに押されて開口部71に掛けられる。この作用によりシールドカバー70に対するコネクタカバー80のZ方向における位置が決められる。
【0040】
また、コネクタカバー80の中にコネクタ61が挿入されると、第1フック91、第2フック92、第3フック93及び弾性部94は、それぞれコネクタ61と接触する。これにより、コネクタ61に対するコネクタカバー80のX及びY方向の位置が決められる。なお、コネクタ61に対するコネクタカバー80のZ方向の位置は、シールドカバー70が基板固定部41又は回路基板60に固定されることにより決められる。
【0041】
ここで、コネクタカバー80の中にコネクタ61を挿入すると、図9に示すようにコネクタ61が第3フック93及び弾性部94によって良好に挟み込まれた状態とならずに、第3フック93又は弾性部94がコネクタ61から離れてしまう場合もある。この場合、組み付けを行う作業者は、コネクタカバー80をシールドカバー70に対して-Z方向に押すことで、図11に示すように第1フック91及び第2フック92の開口部71に対する掛止を解除する。つまり、コネクタカバー80における第1ばね部83及び第2ばね部84以外の部分を-Z方向に移動させる。そして、作業者は、コネクタカバー80をシールドカバー70に対して-Z方向に押しつつY方向に移動させて、シールドカバー70に対するコネクタカバー80のY方向の位置を調整する。この調整により、図9に示すようにコネクタ61が第3フック93及び弾性部94によって良好に挟み込まれた状態を実現できる。なお、作業者がコネクタカバー80をシールドカバー70に対して-Z方向に押すことを止めれば、第1ばね部83及び第2ばね部84の復元力により、第1フック91及び第2フック92は、開口部71に再び掛止される。
【0042】
以上のようにコネクタカバー80の中にコネクタ61を挿入した後に、シールドカバー70の外縁部を基板固定部41又は回路基板60にビス等で固定することで、回路基板保護ユニット50が組み付けられる。
【0043】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、実施形態に適宜の変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0044】
(変形例)
以上の実施形態では、フック部90によってシールドカバー70の開口部71に固定されるコネクタカバー80を説明したが、固定手段はフック部90に限られない。他の固定手段によってシールドカバー70に固定される、変形例に係るコネクタカバー80mについて図12を参照して説明する。コネクタカバー80mは、上記実施形態と同様の枠状部81、第1壁部85及び第2壁部86に加えて、ボス87,88と、接着部89と、を備える、なお、変形例に係るコネクタカバー80mは、フック部90、弾性部94、梁部82a~82c、第1ばね部83及び第2ばね部84を備えていない。
【0045】
ボス87は、枠状部81の第1部分81aから外側に迫り出して設けられた円筒状の部分である。ボス88は、枠状部81の第2部分81bから外側に迫り出して設けられた円筒状の部分である。ボス87,88の各々に通される図示せぬビスによって、コネクタカバー80mは、シールドカバー70に固定される。
【0046】
接着部89は、例えば、両面テープ、接着剤からなり、枠状部81の-Z方向に向く面に設けられている。コネクタカバー80mは、この接着部89によってもシールドカバー70に固定される。
【0047】
なお、ボス87,88を利用してビスで固定する手法と、接着部89で固定する手法のいずれかを省略することもできる。つまり、コネクタカバー80mは、ボス87,88と、接着部89の少なくともいずれかを備えていればよい。ここで、変形例に係るコネクタカバー80mが固定される位置である開口部71とは、シールドカバー70に形成された開口の周囲であって、シールドカバー70においてボス87,88と接触する部分と、接着部89と接触する部分とを含む。コネクタカバー80mの説明は以上である。
【0048】
回路基板保護ユニット50が設けられる車載表示装置は、HUD装置1に限られず任意である。車載表示装置は、計器、CID(Center Information Display)等であってもよい。また、車両2に対する回路基板60の姿勢と、回路基板60に対するコネクタ61の位置は、任意に変更可能である。
【0049】
また、HUD装置1が搭載される車両2の種類は限定されない。HUD装置1は、自動四輪車、自動二輪車など様々な車両に搭載可能である。
【0050】
以下、回路基板保護ユニット50の効果を説明する。
【0051】
(効果)
(1)回路基板保護ユニット50は、コネクタ61を有する回路基板60と、コネクタ61を露出させる開口部71を有し、回路基板60を覆う金属製のシールドカバー70と、コネクタ61を囲む枠状部81を有し、開口部71に固定される樹脂製のコネクタカバー80,80mと、を備え、車載表示装置に設けられる。
【0052】
ここで、シールドカバー70及びコネクタカバー80,80mに相当する構成を、全て樹脂で成形した場合は成形が容易であるが、電磁波シールドの機能を持たせることは困難である。一方で、シールドカバー70及びコネクタカバー80,80mに相当する構成を、全て金属製にした場合は成形が困難である。上記(1)の構成によれば、コネクタ61を囲むコネクタカバー80,80mによりコネクタ61を保護してコネクタ61の接続不良を抑制できるだけでなく、シールドカバー70に電磁波シールド機能を持たせることができる。
【0053】
(2)特に、上記の実施形態に係るコネクタカバー80は、枠状部81よりも回路基板60の近くに位置するフック部90を備え、フック部90が開口部71に掛けられることで開口部71に固定される。
【0054】
上記(2)の構成によれば、シールドカバー70へのコネクタカバー80の取り付けが容易である。
【0055】
(3)開口部71の開口端71aは、第1の方向(Y方向)に沿うとともに対をなす第1の辺S1及び第2の辺S2と、第2の方向(X方向)に沿うとともに対をなす第3の辺S3及び第4の辺S4とを有する。コネクタ61は、第1の辺S1に沿う第1側面61aと、第2の辺S2に沿う第2側面61bと、第3の辺S3に沿う第3側面61cと、第4の辺S4に沿う第4側面61dとを有する。
フック部90は、開口部71に第1の辺S1から掛けられる第1フック91と、開口部71に第2の辺S2から掛けられる第2フック92と、開口部71に第3の辺S3から掛けられる第3フック93とを備える。コネクタカバー80は、第4側面61dを弾性力F4で押す弾性部94をさらに備える。第3フック93は、弾性部94の弾性力F4を受けたコネクタ61の第3側面61cに押されて開口部71に掛けられる。
【0056】
上記(3)の構成によれば、4つフックを設けた場合に比べて、コネクタカバー80を開口部71に取り付ける際に押し込む力を低減できるため、コネクタカバー80及びシールドカバー70の各々に無用な応力が生じるのを抑制できる。
【0057】
(4)第3フック93が第3側面61cに接触する部分と、弾性部94が第4側面61dに接触する部分とは、第2の方向(Y方向)において対向するとともにコネクタ61の高さ方向(Z方向)における位置が同じである。
【0058】
上記(4)の構成により、コネクタ61に第2の方向以外の無用な外力が加わることを抑制でき、コネクタ61への負担を軽減することができる。
【0059】
(5)コネクタカバー80は、第2の方向(X方向)においてコネクタ61を挟んで対向する第1ばね部83及び第2ばね部84をさらに備える。第1ばね部83及び第2ばね部84は、弾性力F5,F6によってシールドカバー70を回路基板60に向かって押す。第1フック91及び第2フック92は、互いに離れる方向の弾性力F1,F2を有することで開口部71に押しつけられる。第1フック91が有する爪N1は、第1ばね部83の弾性力F5によって開口部71に掛けられ、第2フック92が有する爪N2は、第2ばね部84の弾性力F6によって開口部72に掛けられる。
【0060】
上記(5)の構成によれば、上記(3)の構成によるY方向の弾性だけでなく、X及びZ方向の弾性を有しつつコネクタカバー80及びシールドカバー70の相対位置が決まる。つまり、コネクタカバー80及びシールドカバー70は、X、Y及びZの各方向において相対的に弾性を有しつつ位置が定まるため、各方向のガタツキを抑制できるとともに緩衝性に優れる。
【0061】
(6)コネクタ61の外形は、第1の方向(Y方向)に長尺の直方体状であり、コネクタカバー80は、第1側面61aと対向する第1壁部85と、第2側面61bと対向する第2壁部86とをさらに備える。
【0062】
上記(6)の構成によれば、前述の対応コネクタをコネクタ61に対して抜き差しする際に、コネクタ61が倒れやすい方向に過度に動くことを抑制することができる。
【0063】
以上の説明では、本開示の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【符号の説明】
【0064】
1…HUD装置
10…表示部、20…第1ミラー、30…第2ミラー、40…筐体、41…基板固定部
50…回路基板保護ユニット
60…回路基板
61…コネクタ、61a~61d…第1側面~第4側面
70…シールドカバー
71…開口部、71a…開口端、S1~S4…第1の辺~第4の辺
80…コネクタカバー
81…枠状部、83…第1ばね部、84…第2ばね部、85…第1壁部、86…第2壁部
90…フック部
91…第1フック、N1…爪
92…第2フック、N2…爪
93…第3フック、N3…爪
94…弾性部
F1,F2,F4~F6…弾性力、F3…押圧力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12