(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169035
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】マスクホルダ
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074806
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】595130816
【氏名又は名称】株式会社北原産業
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北原 忠
(57)【要約】
【課題】利用者が着用していたマスクをそのまま利用しながら、会食中にマスクを着脱自在にできるマスクホルダを提供する。
【解決手段】マスク2のフィルターシート21の左右長さより少し狭い左右長さで、マスクのフィルターシートの上下長さの2倍より少し短い上下長さである略長方形の開口12を有する弾性シートの枠体11に、開口12を上下方向に挟んだ位置で一対の差し込み片111及び差し込み片用スリット113を設けてなり、差し込み片111及び差し込み片用スリット113が掛合するように枠体11を上下方向に二つ折りして外側枠115及び内側枠116を構成し、開口12の上縁が開放された状態で、掛け紐22が左右へ突出するようにマスク2を外側枠115及び内側枠116により挟み、マスク2のフィルターシート21で開口12を塞いだ状態で利用されるマスクホルダ1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクのフィルターシートの左右長さより少し狭い左右長さで、マスクのフィルターシートの上下長さの2倍より少し短い上下長さである略長方形の開口を有する弾性シートの枠体に、開口を上下方向に挟んだ位置で一対の掛合部及び被掛合部を設けてなり、
掛合部及び被掛合部が掛合するように枠体を上下方向に二つ折りして外側枠及び内側枠を構成し、開口の上縁が開放された状態で、掛け紐が左右へ突出するようにマスクを外側枠及び内側枠により挟み、マスクのフィルターシートで開口を塞いだ状態で利用されるマスクホルダ。
【請求項2】
請求項1記載のマスクホルダの枠体と、マスクホルダの開口を外縁とし、枠体を二つ折りして構成される外側枠及び内側枠の一方又は双方の一部が差し込める受け口を有するスタンドとを、切り離し線を挟んで分離自在に設けた弾性シートであるマスクホルダ用型紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掛け紐を耳に掛けて着用するマスクを、会食等に際し、手に持って移動させて適宜口を覆ったり、外したりできるようにするマスクホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
新型ウイルス感染症の感染対策として、複数人での会食中でも、マスクを極力着用することが求められている。マスクは、例えば鼻及び口を覆う正面視長方形のフィルターシート(不織布等の積層シート)の左右に掛け紐が設けられた構成で、左右の掛け紐をそれぞれ耳に掛けることで着用する。このため、会食中にマスクを極力着用しようとすると、食事を口に運ぶ度に、マスクを完全に取り外す又は掛け紐の一方を外し、食事を口に入れた直後にマスクを着用し直すという煩雑な作業が求められることになる。
【0003】
こうした会食中のマスクの着脱の繰り返しが面倒なことから、手に持ったマスクを、鼻及び口を覆う位置にあてがったり、外したりすることが検討される。特許文献1は、手に持つことを前提として、正面視Y字状の紙製枠体にフィルターシート(紙製又は不織布のマスク)を固定した構成のマスク(テーブルマナー・マスク)を提案する(特許文献1・[請求項1])。特許文献1が開示するマスクは、食事を口に運ぶ際、テーブル上に置くとしている。マスクをどのように置くかが明示されていないことから、外面をテーブルに接面させるように寝かせて置くものと思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示するマスクは、利用者が着用していたマスクとは別に用いられるもので、来店に際して利用者が着用していたマスクを外して保管しなければならない問題がある。また、外面とはいえ、マスクをテーブルに直接触れるように置くことは衛生的に問題があり、感染対策として不十分である。これから、利用者が着用していたマスクをそのまま利用しながら、会食中にマスクを着脱自在にでき、着用しない間のマスクをテーブルに接することなく置くことができるようにする補助具を検討した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
検討の結果、マスクのフィルターシートの左右長さより少し狭い左右長さで、マスクのフィルターシートの上下長さの2倍より少し短い上下長さである略長方形の開口を有する弾性シートの枠体に、開口を上下方向に挟んだ位置で一対の掛合部及び被掛合部を設けてなり、掛合部及び被掛合部が掛合するように枠体を上下方向に二つ折りして外側枠及び内側枠を構成し、開口の上縁が開放された状態で、掛け紐が左右へ突出するようにマスクを外側枠及び内側枠により挟み、マスクのフィルターシートで開口を塞いだ状態で利用されるマスクホルダを開発した。内側枠は利用者の顔に面する側の枠体、外側枠は外側に面する側の枠体を意味するが、説明の便宜上の区別で、使用上逆になっても問題はない。
【0007】
本発明のマスクホルダは、枠体を二つ折りにして構成された外側枠及び内側枠に、利用者が着用していたマスクを挟んで利用される。掛合部及び被掛合部は、掛合させることにより、枠体を二つ折りして構成された外側枠及び内側枠によりマスクを挟んだ状態を維持する部位で、差し込み片(掛合部)及びスリット(被掛合部)の組み合わせが例示される。枠体を二つ折りにして構成された外側枠及び内側枠によりマスクを挟んだ状態の開口は、面積がマスクのフィルターシートより少し小さくなる。このため、フィルターシートは、二外側枠及び内側枠に左右縁及び下縁が挟まれて拘束されつつも、上縁を自由状態に保つことができる。利用者は、フィルターシートに触れることなく、枠体を二つ折りにして構成された外側枠及び内側枠の一部を手に持ち、マスクホルダを利用できる。
【0008】
マスクホルダは、弾性シートから切り抜いて、二つ折りにして外側枠及び内側枠を構成して利用される。弾性シートは、枠体を二つ折りして構成された外側枠及び内側枠を利用者の顔に沿わせて湾曲させることのできる程度に弾性を備えた紙製シート又は樹脂製シートを例示できる。開口は、枠体の内側の弾性シートを切り離して形成される。この場合、開口相当の弾性シートを一体の端材として切り離すのではなく、周辺を段階的に分けて切り離せるようにすれば、マスクのフィルターシートの大きさに合わせて開口の大きさを調整できる。外側枠及び内側枠は、一方又は双方の一部を外方に突出させて、利用者が手に掴む保持片を形成してもよい。
【0009】
本発明のマスクホルダは、弾性シートから切り抜いて形成されることから、開口の弾性シートが端材となる。そこで、マスクホルダの枠体と、マスクホルダの開口を外縁とし、枠体を二つ折りして構成される外側枠及び内側枠の一方又は双方の一部が差し込める受け口を有するスタンドとを、切り離し線を挟んで分離自在に設けた弾性シートであるマスクホルダ用型紙から、マスクホルダとスタンドとを切り抜くとよい。スタンドの受け口は、外側枠及び内側枠の一方又は双方の一部(外方に突出させた保持片を含む)を挟む左右長さの開口や差し込むスリットが例示される。受け口が開口の場合、受け口の端材又は端材の一部を補助脚として利用することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマスクホルダにより、利用者が着用していたマスクをそのまま利用しながら、会食中にマスクを着脱自在にできる。マスクは、フィルターシートの左右縁及び下縁がマスクホルダの外側枠及び内側枠に挟まれて安定に保持されながら、開放された開口の上縁に表れるフィルターシートの上縁のノーズクリップを変形させて、利用者の顔にフィルターシートを密着させることができる。こうして、本発明のマスクホルダを利用する場合でも、マスクとしてのフィルター効果は十分に発揮される。
【0011】
開口を形成する弾性シートの端材をスタンドとして利用することにより、着用しない間のマスクを、フィルターシートがテーブルに接することなくテーブル上に置くことができる。スタンドに支持されたマスクホルダは、常に特定の姿勢を取るので、利用者がマスクホルダを手に取りやすい。スタンドは、端材が利用されるので、弾性シートの無駄がなくなる利点もある。スタンドに利用される補助脚は、スタンドの安定性を高め、スタンドの転倒によりマスクのフィルターシートがテーブルに接する虞をなくす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】マスクを挟んで保持したマスクホルダを表す正面図である。
【
図3】マスクを挟んで保持したマスクホルダの使用状態を表す斜視図である。
【
図5】マスクホルダとスタンドとを分離させた状態の正面図である。
【
図6】二つ折りしたマスクホルダにマスクを挟む途中の状態を表す斜視図である。
【
図7】組み立てたスタンドをテーブルに置いた状態を表す斜視図である。
【
図8】マスクを挟んで保持したマスクホルダをスタンドに置いた状態を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明のマスクホルダ1は、例えば
図1に見られるように、鼻及び口を覆う正面視長方形のフィルターシート21の左右に掛け紐22が設けられたマスク2(
図2参照)を、紙製シートである枠体11を二つ折りして外側枠115及び内側枠116を構成し、外側枠115及び内側枠116が囲む開口12からフィルターシート21が覗く状態で挟んで保持する構成である。本例のマスクホルダ1は、
図3に見られるように、マスク2を挟んだ状態で下方に突出する略三角形の保持片112を、利用者5が手51に持って使用する。
【0014】
本例のマスクホルダ1は、
図4に見られるように、開口12を外縁とするスタンド3と枠体11が一体となった紙製シートであるマスクホルダ用型紙4として提供される。枠体11とスタンド3とは、開口12を形成する切り離し線41を挟んで分離自在である。切り離し線41は、マスクホルダ1を使用するまで枠体11とスタンド3とが一体性を保つように、切断容易でありながら繋がった構造で、例えば各種ミシン目や、部分的に接続部分を残した切断線が利用される。
【0015】
枠体11は、略楕円形の上下方向に長尺な構造で、上端は切り欠いて扁平な略五角形の差し込み片111(掛合部)を形成し、下端はそのままの形状で保持片112を構成しつつ、差し込む差し込み片用スリット113(被掛合部)を開口12との中間位置に設けている。差し込み片用スリット113は、上向きに凸な湾曲した切れ込みである。差し込み片111及び差し込み片用スリット113は、一組の掛合部及び被掛合部として、枠体11を二つ折りした際に掛合させ、枠体11 の二つ折りの状態を維持させる。
【0016】
本例の枠体11は、上下方向に二つ折りするため、左右方向に延びる直線状の枠体用折れ線114を、開口12の上下方向中間位置で、開口12を挟んだ位置に設けている。これにより、枠体11を二つ折りすれば常に同じ形の外側枠115及び内側枠116を構成できる。本例のマスクホルダ1は、外側枠115の下端を突出させて保持片112を形成し、内側枠116を手前に折り返して枠体11を二つ折りしている。マスク2は、例えば外側枠115に内面をあてがって、折り返した内側枠116を重ねることにより、外側枠115及び内側枠116に挟まれる。
【0017】
本例の外側枠115及び内側枠116は、左右方向に屈曲させるため、上下方向に延びる直線状の枠体用折れ線114を、開口12の左右方向中間位置で、開口12を挟んだ位置に設けている。これにより、マスク2を挟んだ外側枠115及び内側枠116を、マスク2と共に左右方向に屈曲させ、開口12から覗くファイルターシート21と利用者の顔との隙間をより小さくできる。また、マスク2は、外側枠115及び内側枠116の開口12が共に上縁が開放されていることにより、ノーズクリップを利用者の鼻に沿わせて変形させることが容易になっている。
【0018】
開口12は、二つ折り前の状態(型紙の状態)の枠体11において、マスク2のフィルターシート21の左右長さより少し狭い左右長さで、フィルターシート21の上下長さの2倍より少し短い上下長さの略長方形である。枠体11を二つ折りすると、外側枠115及び内側枠116に形成される開口12は、上縁を開放し、マスク2のフィルターシート21の左右長さより少し狭い左右長さで、フィルターシート21の上下長さより少し短い上下長さで同じ大きさの略長方形となる。このため、外側枠115及び内側枠116でマスク2を挟むと、フィルターシート21の左右縁及び下縁が外側枠115及び内側枠116に挟まれ、開口12からフィルターシート21の大部分が覗く。
【0019】
マスクホルダ1は、
図5に見られるように、マスクホルダ用型紙4からスタンド3を切り離し、枠体11に開口12を形成する。枠体11は、
図6に見られるように、枠体用折れ線114に従って二つ折りし、枠体用折れ線114にフィルターシート21の上縁を合わせた位置でマスク2を挟み、差し込み片111を差し込み片用スリット113に差し込めば完成する(
図1及び
図3参照)。マスク2は、枠体用折れ線114にフィルターシート21の上縁を合わせ、外側枠115及び内側枠116からの掛け紐22の突出量を等しくすれば、マスクホルダ1における位置決めが容易である。
【0020】
スタンド3は、マスクホルダ1の開口12を外縁とする略長方形の紙製シートである。本例のスタンド3は、切り起こしされる補助脚31を内部に設け、補助脚31を挟んだ左右にスタンド用折れ線34を有し、スタンド用折れ線34を境に二つ折りして前脚32及び後脚33が形成される。補助脚31は、下端部近傍に設けた円弧状の前脚用スリット311に、前脚32の下端部を差し込ませる。こうして、本例のスタンド3は、
図7に見られるように、補助脚31及び後肢33を接地させながら、補助脚31を介して拘束される前脚32及び後脚33が側面視山形を維持することにより、安定して自立する。
【0021】
マスク2を保持したマスクホルダ1は、不使用時には、
図8に見られるように、保持片112を受け口312に差し込んで、テーブルに触れることなく、起立状態でスタンド3に置くことができる。起立状態のマスクホルダ1は、容易に手に取りやすい。本例のスタンド3は、補助脚31の前脚用スリット311に前脚32を差し込んで形成される交差部位に、保持片112を差し込ませて、マスクホルダ1の起立状態を安定に維持させる。本例のマスクホルダ1及びスタンド3は、紙製シートから構成されているので、使用終了後にマスク2を外し、燃えるゴミとして廃棄処分される。
【符号の説明】
【0022】
1 マスクホルダ
11 枠体
111 差し込み片
112 保持片
113 差し込み片用スリット
114 枠体用折れ線
115 内側枠
116 外側枠
12 開口
2 マスク
21 フィルターシート
22 掛け紐
3 スタンド
31 補助脚
311 前脚用スリット
312 受け口
32 前脚
33 後脚
34 スタンド用折れ線
4 マスクホルダ用型紙
41 切り離し線
5 利用者
51 手