(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169048
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】コンテナの床構造
(51)【国際特許分類】
B65D 88/12 20060101AFI20221101BHJP
B60P 1/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B65D88/12 E
B60P1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074838
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000155573
【氏名又は名称】株式会社矢野特殊自動車
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】江藤 弘
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA21
3E170AB21
3E170DA01
3E170HA07
3E170HB10
3E170VA16
3E170WE04
(57)【要約】
【課題】フロア面に敷設されたローダレールがコンテナ内へ進入載置される貨物や作業者に干渉することなく、コンテナ内への貨物の安定した積荷作業を行うことのできるコンテナの床構造を提供する。
【解決手段】ローダレールは、内側でローダを走行させる上方開放コ字状のレール本体部と、レール本体部の幅方向両端で前記フロアの幅方向へ外側に突出する一対のフランジ部と、を有し、フランジ部の上面は、フロア面と略面一となる水平面部と、水平面部から外側下方傾斜すると共にフロア面よりも下方に位置する傾斜面部と、を有してなることとした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナの長手方向に沿ってフロアで凹状に伸延するレール溝と、前記レール溝に嵌着されると共に前記フロアに敷設され、前記コンテナの長手方向に沿って伸延するローダレールと、を備え、
前記ローダレールは、
内側でローダを走行させる上方開放コ字状のレール本体部と、
前記レール本体部の幅方向両端で前記フロアの幅方向へ外側に突出する一対のフランジ部と、を有し、
前記フランジ部の上面は、
前記フロア面と略面一となる水平面部と、
前記水平面部から外側下方傾斜すると共に前記フロア面よりも下方に位置する傾斜面部と、を有することを特徴とするコンテナの床構造。
【請求項2】
前記ローダレールは、所定厚みの板部材を折曲することにより前記レール本体部と一対の前記フランジ部とを形成したものであり、
前記傾斜面部は、前記フランジ部の外側縁部を下方傾斜して折曲することにより形成した傾斜縁部の上面であることを特徴とする請求項1に記載のコンテナの床構造。
【請求項3】
前記フロア面と前記傾斜面部とによりなす傾斜角度αが10.0°≦α<90.0°であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンテナの床構造。
【請求項4】
前記フロアは、複数の凸部を幅方向に配置して前記凸部の上面部同士によりなす仮想平坦面を前記フロア面に形成してなり、
複数の前記凸部のうち、少なくとも隣接する一対の凸部を互いの間で前記レール溝をなすためのレール設置用凸部とし、
一対の前記レール設置用凸部はそれぞれ、
前記レール溝に前記ローダレールが嵌着した状態で、
上面部を前記フランジ部により上方から覆われると共に、
凸高さを前記フランジ部の前記水平面部と前記フロア面とが略面一となるように形成したことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のコンテナの床構造。
【請求項5】
前記レール設置用凸部の角部は、前記傾斜面部に対応した面取部を有することを特徴とする請求項4に記載のコンテナの床構造。
【請求項6】
前記フロアは、チャンネル材、ハット型材、Z型材、L型材、T型材、キーストン材のいずれかから選択されたパネル材により形成されるものであり、複数の前記凸部は、前記パネル材の凸部であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のコンテナの床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンテナの床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラックや列車などの輸送車両に搭載されるコンテナには、リフトにより積み降ろされる貨物を、コンテナ内のフロアの長手方向に沿って前後往復搬送するローダ設備を有するものがある。
【0003】
ローダ設備は、基本的には、コンテナの長手方向に沿ってフロアに形成したレール溝と同レール溝に嵌合して敷設されるローダレールとで構成した床構造を備え、同床構造のローダレール内に遊嵌されると共に底部の回転ローラを介して移動し、上面に貨物の載置面を有した厚板状のローダと、で構成している。
【0004】
これにより、未使用時には載置面をフロア面より下方に位置づけてローダを埋没収納形態とし、使用時には挺子によりローダを持ち上げ載置面をフロア面より上方に位置づけてローダを突出搬送形態とし、コンテナ内での貨物の往復搬送作業を容易に行う。
【0005】
このようなローダ設備を備えたコンテナの床構造として、ビス等でフロアに固定するために幅方向両端で一対のフランジ部を有した逆ハット型のローダレールと、同ローダレールに外嵌対応してフランジ部の上面とフロア面とを面一となるように形成したレール溝と、で構成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
かかるコンテナの床構造によれば、ローダレールの幅方向両端部を荷役作業の際にコンテナ扉口から進入する貨物やコンテナ内の作業者の足元に不用意に引っ掛かり干渉させることなく、貨物を埋没収納形態としたローダ上に位置付けたり突出搬送形態としたローダを移動したりする往復搬送作業が行えるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、作業者は、リフトによりコンテナ内へ貨物を進入させる際には、リフトの運転席からはその最先端のリフト爪で支持された貨物の底面高さ位置を視認できないため、リフト前方左右側のフロア面位置を基準にして相対的な貨物の載置位置を確認し、同載置位置へ降下進入する作業を行っている。
【0009】
また、リフトによる貨物の支持姿勢は、フロア面に対し、その荷重によりリフト先端側で下方傾斜させて最先端側の下方角部を最下位置とした傾斜姿勢となっていることが殆どである。
【0010】
したがって、リフトによる貨物のフロアでの所望とする載置位置への降下進入時には、傾斜姿勢となった貨物の下方角部がフロア面に不用意に接触することが多々ある。
【0011】
また、コンテナには長手方向の前後側の扉口以外に長手一側に左右側扉口を有したサイドオープン式のものがある。このサイドオープン式コンテナで同左右側扉口を介して貨物の積荷作業を行う場合には、コンテナ内への貨物の進入方向はローダレールの伸延方向に対して直交する方向となる。
【0012】
この点、従来の床構造は、レール溝に沿って設けられたローダレールの一対のフランジ部の上面がフロア面と略面一なっているために、ローダレールの直交方向から進入してくる貨物の下方角部に干渉しないとも思える。
【0013】
しかしながら、実際の輸送現場では、鉄道・トラック・船舶などの各種コンテナ輸送手段の輸送時の振動、扉の開閉に伴うコンテナ内の温度変化、貨物の繰り返し載置による荷重負荷などの輸送環境の影響をローダレールが受けて、同ローダレールのフランジ部に撓み変形部分が不用意に生じる経年劣化の問題がある。
【0014】
このようなフランジ部の撓み変形部分は、ローダレールの直交方向から進入する貨物に対向するフランジ部の外側部や上方角部をフロア面よりも上方へ浮き上がらせてしまい、貨物の下方角部が不用意に接触する可能性がある。
【0015】
すなわち、撓み変形部分に貨物の下方角部を不用意に接触させたままリフトの進入操作するとその進入応力が偏寄応力としてローダレールや貨物にダイレクトに伝達作用することとなり、その結果、ローダレールが座屈変形したり同レールの変形に伴ってレール内側のローダが圧壊したりフランジ部からの反力を受けた貨物が損壊したりするなどの虞があった。
【0016】
このように従来のコンテナの床構造は、実際の現場における貨物の積荷作業や輸送環境の影響を加味したものではなく、したがって、ローダレールが貨物の進入障害となって、荷役作業の効率化を図ることができないばかりか、ローダ設備や貨物の破損事故を生じさせる虞があった。
【0017】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、フロア面に敷設されたローダレールがコンテナ内へ進入載置される貨物や作業者に干渉することなく、コンテナ内への貨物の安定した積荷作業を行うことのできるコンテナの床構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係るコンテナの床構造は、(1)コンテナの長手方向に沿ってフロアで凹状に伸延するレール溝と、前記レール溝に嵌着されると共に前記フロアに敷設され、前記コンテナの長手方向に沿って伸延するローダレールと、を備え、前記ローダレールは、内側でローダを走行させる上方開放コ字状のレール本体部と、前記レール本体部の幅方向両端で前記フロアの幅方向へ外側に突出する一対のフランジ部と、を有し、前記フランジ部の上面は、前記フロア面と略面一となる水平面部と、前記水平面部から外側下方傾斜すると共に前記フロア面よりも下方に位置する傾斜面部と、を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るコンテナの床構造は、以下の点にも特徴を有する。
(2)前記ローダレールは、所定厚みの板部材を折曲することにより前記レール本体部と一対の前記フランジ部とを形成したものであり、前記傾斜面部は、前記フランジ部の外側縁部を下方傾斜して折曲することにより形成した傾斜縁部の上面であること。
(3)前記フロア面と前記傾斜面部とによりなす傾斜角度αが10.0°≦α<90.0°であること。
(4)前記フロアは、複数の凸部を幅方向に配置して前記凸部の上面部同士によりなす仮想平坦面を前記フロア面に形成してなり、複数の前記凸部のうち、少なくとも隣接する一対の凸部を互いの間で前記レール溝をなすためのレール設置用凸部とし、一対の前記レール設置用凸部はそれぞれ、前記レール溝に前記ローダレールが嵌着した状態で、上面部を前記フランジ部により上方から覆われると共に、凸高さを前記フランジ部の前記水平面部と前記フロア面とが略面一となるように形成したこと。
(5)前記レール設置用凸部の角部は、前記傾斜面部に対応した面取部を有すること。
(6)前記フロアは、チャンネル材、ハット型材、Z型材、L型材、T型材、キーストン材のいずれかから選択されたパネル材により形成されるものであり、複数の前記凸部は、前記パネル材の凸部であること。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明によれば、コンテナの長手方向に沿ってフロアで凹状に伸延するレール溝と、前記レール溝に嵌着されると共に前記フロアに敷設され、前記コンテナの長手方向に沿って伸延するローダレールと、を備え、前記ローダレールは、内側でローダを走行させる上方開放コ字状のレール本体部と、前記レール本体部の幅方向両端で前記フロアの幅方向へ外側に突出する一対のフランジ部と、を有し、前記フランジ部の上面は、前記フロア面と略面一となる水平面部と、前記水平面部から外側下方傾斜すると共に前記フロア面よりも下方に位置する傾斜面部と、を有することとしたため、コンテナ内へ進入する貨物の下方角部をローダレールのフランジ部の外側縁部や角部に接触させることなく傾斜面部で受け、同傾斜面部で貨物の下方角部を滑動作用させながら貨物を進入させてフロア上の載置位置としてのローダ上に定置することができる。
【0021】
すなわち、傾斜面部を貨物の受け面部として機能させ、ローダレールの座屈変形やこれに伴うローダの圧壊、貨物の破損などの破損事故を防止しつつ、コンテナ内への貨物の積荷作業を速やかに行うことができる効果がある。
【0022】
また、請求項2に係る発明によれば、前記ローダレールは、所定厚みの板部材を折曲することにより前記レール本体部と一対の前記フランジ部とを形成したものであり、前記傾斜面部は、前記フランジ部の外側縁部を下方傾斜して折曲することにより形成した傾斜縁部の上面であるため、ローダレールが一対のフランジ部の傾斜縁部の折曲方向内側にレール溝を形成するフロアを配置してレール溝に嵌着するため、ローダレールとレール溝との嵌合性が良好となり、レール溝にローダレールを一体固定化することができる効果がある。
【0023】
また、板厚を一定にした状態でローダレールの傾斜面部を折曲形成しているためレールの剛性を確保することができ、貨物の下方角部が傾斜面部で当接摺動したり貨物の荷重が負荷されても、フランジ部が傾斜面部から反り返り変形することを抑制できる。したがって、ローダレールに撓み変形部分が不用意に生起することを可及的防止することができる効果がある。
【0024】
また、請求項3に係る発明によれば、前記フロア面と前記傾斜面部とによりなす傾斜角度αが10.0°≦α<90.0°であることとしたため、リフトによる貨物のコンテナ内への進入角度に対応して、貨物の下方角部をローダレールの傾斜面部で確実に受けることができる効果がある。
【0025】
また、請求項4に係る発明によれば、前記フロアは、複数の凸部を幅方向に配置して前記凸部の上面部同士によりなす仮想平坦面を前記フロア面に形成してなり、複数の前記凸部のうち、少なくとも隣接する一対の凸部を互いの間で前記レール溝をなすためのレール設置用凸部とし、一対の前記レール設置用凸部はそれぞれ、前記レール溝に前記ローダレールが嵌着した状態で、上面部を前記フランジ部により上方から覆われると共に、凸高さを前記フランジ部の前記水平面部と前記フロア面とが略面一となるように形成したため、複数の凸部によりフロアの表面積を拡大して保冷効果を向上させた冷凍・冷蔵用のコンテナであっても、ローダレールの一対のフランジ部を介して一対のレール設置用凸部に跨設した状態でレール本体部を一対のレール設置用凸部の間に配置して、ローダレールをレール溝に嵌合設置することができ、ローダレールの座屈変形やこれに伴う内側に設置されたローダの故障、貨物の破損などの損傷事故を防止できる効果がある。
【0026】
また、請求項5に係る発明によれば、前記レール設置用凸部の角部は、前記傾斜面部に対応した面取部を有することとしため、ローダレールとレール溝を構成するレール設置用凸部の密着嵌合性を良好にして、コンテナの幅方向から進入する貨物の下方角部がローダレールの傾斜面部に突き当たった際のレール溝からのローダレールの不用意な位置ズレを防止することができる効果がある。
【0027】
また、請求項6に係る発明によれば、前記フロアは、チャンネル材、ハット型材、Z型材、L型材、T型材、キーストン材のいずれかから選択されたパネル材により形成されるものであり、複数の前記凸部は、前記パネル材の凸部であることとしたため、所望とする冷凍・冷蔵用のコンテナを選択することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の床構造に係るコンテナの一例を示す模式的説明図である。
【
図2】実施例1に係る床構造の構成を示す模式的断面図及び模式的斜視図である。
【
図3】実施例1に係るローダレールの構成を示す部分拡大端面図である。
【
図4】実施例1に係る床構造における貨物の積み込み過程を示す模式的説明図である。
【
図5】実施例1に係る床構造における貨物の積み込み過程を示す模式的部分拡大説明図である。
【
図6】実施例1に係る床構造における貨物の積み込み過程を示す模式的説明図である。
【
図7】実施例2に係る床構造の構成を示す模式的断面図及び模式的斜視図である。
【
図8】実施例3に係る床構造の構成を示す模式的断面図及び模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の要旨は、コンテナの長手方向に沿ってフロアで凹状に伸延するレール溝と、前記レール溝に嵌着されると共に前記フロアに敷設され、前記コンテナの長手方向に沿って伸延するローダレールと、を備え、前記ローダレールは、内側でローダを走行させる上方開放コ字状のレール本体部と、前記レール本体部の幅方向両端で前記フロアの幅方向へ外側に突出する一対のフランジ部と、を有し、前記フランジ部の上面は、前記フロア面と略面一となる水平面部と、前記水平面部から外側下方傾斜すると共に前記フロア面よりも下方に位置する傾斜面部と、を有することを特徴とするコンテナの床構造を提供することにある。
【0030】
また、前記ローダレールは、所定厚みの板部材を折曲することにより前記レール本体部と一対の前記フランジ部とを形成したものであり、前記傾斜面部は、前記フランジ部の外側縁部を下方傾斜して折曲することにより形成した傾斜縁部の上面であることに特徴を有する。
【0031】
また、前記フロア面と前記傾斜面部とによりなす傾斜角度αが10.0°≦α<90.0°であることに特徴を有する。
【0032】
また、前記フロアは、複数の凸部を幅方向に配置して前記凸部の上面部同士によりなす仮想平坦面を前記フロア面に形成してなり、複数の前記凸部のうち、少なくとも隣接する一対の凸部を互いの間で前記レール溝をなすためのレール設置用凸部とし、一対の前記レール設置用凸部はそれぞれ、前記レール溝に前記ローダレールが嵌着した状態で、上面部を前記フランジ部により上方から覆われると共に、凸高さを前記フランジ部の前記水平面部と前記フロア面とが略面一となるように形成したことに特徴を有する。
【0033】
また、前記レール設置用凸部の角部は、前記傾斜面部に対応した面取部を有することに特徴を有する。
【0034】
また、前記フロアは、チャンネル材、ハット型材、Z型材、L型材、T型材、キーストン材のいずれかから選択されたパネル材により形成されるものであり、複数の前記凸部は、前記パネル材の凸部であることに特徴を有する。
【0035】
[1.本発明の床構造に係るコンテナの概略]
図1は、本発明の床構造に係るコンテナの一例を示す模式的全体斜視図である。本発明の床構造A1が施されるコンテナCは、
図1に示すようにトラックTの荷台部分に搭載されている。
【0036】
コンテナCの扉口は、長手方向の両端側(コンテナの前後側)にあってもよいのは勿論、短手方向の両端側(コンテナの左右側)にあってもよい。すなわち、本実施例のコンテナCは、
図1に示すように、観音扉式の後扉D1の他に、左右側でウイングハッチ式の横扉D2を有し、左右後側で開閉可能に構成している。
【0037】
また、本実施例の貨物Bは、
図1に示すように、リフトFの爪を挿入可能としたパレットB1に被搬送物B2を載置したものである。すなわち、リフトFにより支持された貨物Bの先端側の下方角部B10とは、方形状の被搬送物B2の下方角部だけでなく、パレットB1の下方角部をも包含する。
【0038】
このようなコンテナCのフロアC10には、レール溝10と、同レール溝10に嵌合して敷設されるローダレール20と、で構成した本発明に係る床構造A1が構成されており、同床構造A1と、ローダレール20内に遊嵌されると共に底部の回転ローラを介して移動する板状のローダL1と、によりローダ設備Lが構築されている。
【0039】
すなわち、本発明は、ローダ設備Lの構成要素である床構造A1について、現場での実際の貨物の積荷作業や輸送環境に配慮してなされたものであり、フロア面に敷設されたローダレール20がコンテナC内へ進入載置される貨物Bや作業者に干渉することなく、貨物Bの安定した積荷作業を行うことを目的とする。
【0040】
[2.実施例1]
以下、本発明に係る床構造の実施例1について、図面を参照しながら詳説する。
図2(a)及び
図2(b)は本実施例の床構造の構成を示す模式的断面図及び模式的斜視図、
図3(a)及び
図3(b)は本実施例のローダレールのフランジ部の構成及びその変形例を示す部分拡大端面図、
図4~
図6(c)は本実施例の床構造における貨物の積み込み過程を示す模式的説明図である。
【0041】
本実施例に係るコンテナの床構造A1は、
図1、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、コンテナCの長手方向に沿ってフロアC10のフロア面C11で下方凹状に伸延するレール溝10と、レール溝10に嵌着されると共にフロアC10に敷設され、コンテナCの長手方向に沿って伸延するローダレール20と、を備えている。
【0042】
本実施例のフロアC10は上面全域を平坦状のフロア面C11とした、いわゆる平張り床に構成しており、同フロアC10に対しレール溝10はフロア面C11から下方に向けて逆ハット外形で下方に凹ませた凹条としてローダレール20を嵌め込み可能に形成している。
【0043】
レール溝10は、
図2(a)に示すように、断面視において、逆ハット状の中央溝部分に相当し、底深コ字状とした溝本体部11と、逆ハット状の鍔溝部分に相当し、溝本体部11の幅方向上端縁から外方へ向けて底浅凹状とした左右一対の凹状段部12L、12Rと、で構成している。
【0044】
ローダレール20は、レール溝10よりも一回り小さい相似形の断面視逆ハット状としたステンレス製のいわゆるハット型鋼であり、内側でローダレール20を走行させる上方開放コ字状のレール本体部30と、レール本体部30の幅方向両端でフロアC10の幅方向へ外側に突出する一対のフランジ部40L、40Rと、を有して形成している。
【0045】
特に本実施例のローダレール20は、所定厚みの板部材を折曲することによりレール本体部30と一対のフランジ部40L、40Rとを形成している。なお、レール本体部30とフランジ部40L、40Rとによりなす内側角部は面取りR状にしている。
【0046】
ローダレールを形成する板部材としては、剛性を備えた鋼製板であれば特に限定されることはない。特に、板部材としてステンレス鋼板部材を採用すれば、耐食性に優れ、温度変化に伴う熱膨張・熱収縮の影響を受けにくくして経年劣化を可及的抑制することができる。また、板部材の部材厚は、1mm~5mmであればよい。
【0047】
すなわち、レール溝10とローダレール20とはそれぞれ、溝本体部11とレール本体部30とを嵌合対応させると共に、左右凹状段部12Lと左右側のフランジ部40L、40Rとを嵌合対応させるように構成しており、レール溝10にローダレール20を嵌着することによりコンテナCのフロアC10にローダレール20を敷設可能としている。
【0048】
レール本体部30は、
図2(a)に示すように、断面視でレール溝10の溝本体部11よりも一回り小さい相似外形とし、レール溝10の溝本体部11に内嵌可能に形成している。
【0049】
具板的には、レール本体部30は、
図3に示すように、断面視において、ローダL1の走行面を有する幅広の水平帯板状の底板31と、底板31の幅方向の左右端部から立ち上げられ、ローダL1を左右側でガイドする一対の左右ガイド壁32L、32Rと、で構成している。
【0050】
また、一対のフランジ部40L、40Rはそれぞれ、断面視でレール本体部30の一対の左右ガイド壁32L、32Rの上端部から外側へ向けて幅狭帯板状に伸延する部分であって、レール溝10の凹状段部12L、12Rの深さと略同じ板厚とし、凹状段部12L、12Rに内嵌可能に形成している。
【0051】
また、フランジ部40L、40Rには、
図2(b)に示すように、接合孔43L、43Rを長手方向に沿って一定間隔に複数貫通して形成しており、レール溝10に内嵌敷設されたローダレール20をビス又はリベットなどの接合部材44を介してフロアC10に固定できるようにしている。
【0052】
ここで本発明に特筆すべき点は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、一対のフランジ部40L、40Rのうち、少なくともコンテナCの横扉D2側、すなわち貨物Bの進入側に位置するフランジ部40L、40Rの先端面部を、フロア面C11位置(図中、一点鎖線で示す。)よりも下方に位置付けた傾斜面部42a、42a’に形成していることにある。
【0053】
すなわち、フランジ部40L、40Rの上面40a、40a’には、
図2(a)~
図3(b)に示すように、フロア面C11と略面一となる基端側の水平面部41a、41a’と、水平面部41a、41a’から外側下方へ傾斜すると共にフロア面C11よりも下方に位置する先端側の傾斜面部42a、42a’と、を形成している。
【0054】
傾斜面部42a、42a’は、フランジ部40L、40Rの外方側の先端部で、先端方向へ漸次下方へ傾斜して形成している。この傾斜面部42a、42a’は、
図2(a)に示すように、レール溝10にローダレール20を嵌着固定した状態で、フロア面C11とローダレール20との境界部に配置され、フロア面C11上をローダレール20の伸延方向に直交する方向から進入してくる貨物Bの下方角部B10を受けるための受け面部として機能する。
【0055】
傾斜面部42a、42a’は、レール溝10にローダレール20を嵌着固定した状態で、フロア面C11,よりも下方に位置して先端方向へ漸次下方へ傾斜してフランジ部40L、40Rの先端部に形成されていればよい。本実施例の傾斜面部42a、42a’は、フランジ部40L、40Rの外側縁部を下方傾斜して折曲することにより形成した傾斜縁部42、42’の上面として形成している。
【0056】
換言すれば、フランジ部40L、40Rは、
図3(a)に示すように、その大部分を基端側から水平に伸延する水平部41、41’とすると共に先端部を同水平部41、41’から下方傾斜した傾斜縁部42、42’とし、水平部41、41’の上面をフロア面C11と略面一にする水平面部41a、41a’とすると共に傾斜縁部42、42’の上面を傾斜面部42a、42a’に構成している。
【0057】
これにより、ローダレール20が、左右一対のフランジ部40L、40Rで下方傾斜する傾斜縁部42、42’の間でレール溝10を配置して敷設されることとなるため、ローダレール20とレール溝10との嵌合性が良好となり、レール溝10にローダレール20を一体固定化することができる。
【0058】
さらには、板厚を一定にした状態でローダレール20の各部位を折曲形成しているためレールの剛性を確保することができ、貨物Bの下方角部B10が傾斜面部42a、42a’で当接摺動したり貨物Bの荷重がレールに負荷されても、フランジ部40L、40Rが傾斜面部42a、42a’から反り返り変形することを抑制でき、したがって、撓み変形部分が不用意に生起することを可及的防止することができる。
【0059】
また、傾斜面部42a、42a’は、他の実施例として、
図3(b)に示すように、フランジ部40L、40Rの先端部を屈曲することなく、その上方角部を面取りした面取り部として形成することもできる。すなわち、フランジ部40L、40Rは水平状とし、その先端部の上方角部を切欠することにより、同先端部を上面側から先端側へ向かって先端先鋭傾斜状とし、同上面を傾斜面部42a、42a’として形成することもできる。
【0060】
このように、傾斜面部42a、42a’は、フランジ部40L、40Rの幅方向先端部で、貨物Bの進入方向に板面を傾斜状に臨ませて、傾斜姿勢で進入してくる貨物Bの下方角部を受け止めるように形成している。
【0061】
また、フロア面C11には、傾斜縁部42、42’に嵌着対応する傾斜凹部を形成してもよい。すなわち、レール溝10の凹状段部12L、12Rの上面に傾斜縁部42、42’の下面に沿う傾斜凹部を形成する。
【0062】
また、フロア面C11と傾斜面部42a、42a’とによりなす傾斜角度αは、10.0°≦α<90.0°となるようにしている。すなわち、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、フロア面C11位置(
図3中、一点鎖線で示す。)を基準として、フランジ部40L、40Rの外側の先端面部を10.0°≦α<90.0°で下方傾斜するように傾斜面部42a、42a’を形成している。
【0063】
この傾斜面部42a、42a’の傾斜角度αを10.0°よりも小さくすると、ローダレール20が温度変化や貨物の重力付加を受けた際にフランジ部40L、40Rの端面がフロア面C11により上方に浮き上がりやすくなり、同傾斜面部42a、42a’が貨物の下方角部B10の受け面部として正しく機能しない虞がある。
【0064】
一方で、傾斜面部42a、42a’の傾斜角度αを90.0°以上とすると、貨物Bの下方角部B10の進入方向に対して傾斜面部42a、42a’が直交方向となり、却って傾斜面部42a、42a’が貨物Bの摺動を阻害し、やはり傾斜面部42a、42a’が貨物の下方角部B10の受け面部として正しく機能しない虞がある。
【0065】
したがって、フランジ部40L、40Rの傾斜面部42a、42a’の傾斜角度αは、10.0°≦α<90.0°より好ましくは15°≦α≦60°とすることによりリフトFによる貨物BのコンテナC内への進入角度に対応して、貨物Bの下方角部B10を確実に受けて摺動させることができる。
【0066】
このようなフランジ部40L、40Rの幅方向において、水平面部41a、41a’と傾斜面部42a、42a’との幅員比率は、所望とする傾斜面部42a、42a’の面積に応じて適宜変更できることは勿論であるが、少なくとも水平面部の幅員:傾斜面部の幅員=6:1又は5:1とすることにより、傾斜面部が貨物Bの下方角部B10の受け面部機能を果たすことができる。
【0067】
また、レール溝10とローダレール20との間には、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、レール溝10の断面視外形より一回り小さい相似形にすると共にローダレール20の外形よりも一回り大きい相似形の断面視逆ハット状としたレール基台50を介設している。
【0068】
換言すれば、本実施例の床構造A1は、レール溝10の内側にレール基台50を、さらにレール基台50の内側にローダレール20を、順次挿嵌して配置した入れ子構造としている。
【0069】
このレール基台50は、レール溝10とローダレール20との密着嵌合性を向上させるフィラー機能を果たすと共にレール溝10とローダレール20との間でローダレール20内で走行するローダL1や同ローダL1により載置された貨物Bの荷重を受けるショックアブソーバ機能を果たし、本床構造A1のロバスト性を向上する。
【0070】
具体的には、レール基台50は、レール溝10の溝本体部11に内嵌対応すると共にローダレール20のレール本体部30に外嵌対応する断面視上方開放コ字状の基台本体部51と、レール溝10の左右凹状段部12L、12Rに内嵌対応すると共にローダレール20のフランジ部40L、40Rに外嵌対応する左右一対の基台フランジ部52L、52Rと、で構成している。
【0071】
レール基台50の基台フランジ部52L、52Rの幅員は、ローダレール20のフランジ部40L、40Rの幅員よりも長くなるように形成しており、本実施例では約2倍としている。
【0072】
レール基台50の基台フランジ部52L、52Rの上面には、上述の如く折り曲げ形成したローダレール20の傾斜縁部42、42’が嵌り込む傾斜凹部53L、53Rが形成されている。
【0073】
また、レール基台50の基台フランジ部52L、52Rの下底面の所定位置には、左右凹状段部12L、12Rの段部面に接地して基台フランジ部52L、52Rを下方支持する基台フランジ支持部54L、54Rを下方凸状に突出すると共に長手方向に伸延して形成している。
【0074】
具体的には、基台フランジ支持部54L、54Rは、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、基台フランジ部52L、52Rの下底面において、幅方向中央部、すなわちローダレール20の傾斜縁部42が嵌り込む傾斜凹部53L位置で下方突出する内側支持部54aL、54aRと、先端部、すなわちローダレール20の傾斜縁部42が嵌り込む傾斜凹部53L位置よりも幅方向外側位置で下方突出する外側支持部54bL、54bRと、の2つで構成している。
【0075】
これにより、レール基台50のレール溝10への嵌合状態では、各基台フランジ支持部54L、54Rが基台フランジ部52L、52Rを下方支持して同基台フランジ部52L、52Rの基台フランジ支持部54L、54R以外の下底面部と左右凹状段部12L、12Rの上面との間に一定のクリアランス空間を形成する。
【0076】
したがって、ローダレール20が貨物Bの荷重を受けた際には、その下方位置に配置したレール基台50の基台フランジ部52L、52Rが2つの基台フランジ支持部54L、54Rを支点としてクリアランス空間で撓み変形することにより荷重応力を吸収してショックアブソーバ機能を果たす。
【0077】
このような床構造A1を備えたコンテナCにおいて、作業者は、横扉D2を開放し、傾斜姿勢の貨物BをリフトFからコンテナ内のフロアC10のローダ設備L、すなわちローダレール20内のローダL1上に跨った状態で載置する貨物Bの積荷作業を行う。
【0078】
すなわち、
図4に示すように、作業者は、リフト爪F10により支持された貨物Bをローダレール20の近傍位置までリフトFを降下進入させる。この際、
図5及び
図6(a)に示すように、傾斜姿勢の貨物Bの下方角部B10は、ローダレール20のフランジ部40L、40Rの傾斜面部42a、42a’に当接することとなる。
【0079】
すなわち、貨物Bの下方角部B10は、
図5~
図6(c)に示すように、フランジ部40L、40Rの傾斜面部42a、42a’に受けられて、ローダレール20上面に沿って進入方向へ摺動することとなる。
【0080】
具体的には、
図6(a)に示すように傾斜姿勢の貨物Bの下方角部B10を傾斜面部42a、42a’に当接させた状態で貨物Bを進入させると、
図6(b)に示すように下方角部B10はフランジ部40L、40Rの傾斜面部42a、42a’に沿って上昇摺動し、
図6(c)に示すように水平面部41a、41a’へと移動する。
【0081】
そして、ローダレール20の近傍位置へ貨物Bを位置付けた作業者は、最終的にはリフトFをやや上昇操作してローダレール20のフランジ部40L、40Rから貨物Bの下方角部B10を上方位置に離反させ、さらに進入操作して貨物BをコンテナC内へ進入させることにより、ローダレール20を跨いだ位置、すなわちローダL1の上方位置に貨物Bを載置することができる。
【0082】
以上のように、リフトFによる貨物Bの進入の際に、傾斜姿勢となった貨物Bの下方角部B10が、ローダレール20のフランジ部40L、40Rの外側部や上方角部に不用意に干渉することがなく、傾斜面部42a、42a’で受け取られることで、ローダレール20が貨物Bの進入障害となることがない。
【0083】
また、本実施例では、傾斜面部42a、42a’を、所定厚みの板部材を折曲することにより形成した傾斜縁部42、42’の上面としているため、折り曲げ加工の加工硬化も相俟って高い剛性が確保されており、コンテナ輸送手段の輸送時の振動、扉の開閉に伴うコンテナC内の温度変化、貨物Bの繰り返し載置による荷重負荷などの輸送環境の影響を受けにくい。
【0084】
仮にローダレール20が輸送環境の影響を受けて撓み変形部分が生じたとしても、フランジ部40L、40Rの幅方向先端部に相当する傾斜面部42a、42a’がフロア面C11よりも下方位置に形成されているために、フロア面C11よりも上方にフランジ部40L、40Rの外側部や上方角部を露出させる可能性が低い。
【0085】
すなわち、本発明によれば、傾斜面部42a、42a’を貨物Bの受け面部として機能させ、ローダレール20の座屈変形やこれに伴うローダL1の圧壊、貨物Bの破損などの破損事故を防止しつつ、コンテナC内への貨物Bの積荷作業を速やかに行うことができる効果がある。
【0086】
[3.実施例2]
次に、実施例2に係る床構造A2について、図面を参照しながら説明する。
図7(a)及び
図7(b)はそれぞれ、本実施例の床構造の構成を示す模式的断面図及び模式的斜視図である。なお、以下において、実施例1と同様の構成については、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0087】
本実施例の床構造A2は、表面積を拡大して保冷効果を高めた冷凍冷蔵用のコンテナCのフロアC100にローダ設備Lを構築するための構造である。
【0088】
フロアC100は、
図7(a)に示すように、複数の凸部C20を幅方向に配置して凸部C20の上面部C20a同士によりなす仮想平坦面をフロア面C110(
図7(a)中、一点鎖線で示す。)に形成している。
【0089】
特に本実施例のフロアC100は、床張りのパネル材として、一定間隔で並設した複数の凹凸部分で凹凸面を形成したキーストン材により構成したものである。
【0090】
すなわち、フロアC100は、
図7(a)及び
図7(b)に示すように底板C111から上方突出すると共に長手方向へ細長方形状に伸延する断面視略ロ字状の凸部C20を、底板C111の幅方向に一定間隔で複数配置して凹凸面をなし、表面積を拡大させて保冷効果を増大している。
【0091】
なお、フロアC100を構成するパネル材の素材は、一定の剛性と耐食性を備えたものであれば特に限定されることはないが、アルミ製にすれば軽量で加工性及び熱伝導率に優れ、また、低温脆性がなく冷凍冷蔵の極寒環境であっても経年劣化を可及的抑制することができる。
【0092】
フロアC100の複数の凸部C20はそれぞれ、内部中空であって、底板C111で一定間隔で立設した一対の左右側壁C21、C22と、左右側壁C21、C22の上端同士の間で水平状に伸延する上側壁C23と、で構成しており、同上側壁C23の上面は平坦面に形成している。
【0093】
このような複数の凸部C20のうち、少なくとも隣接する一対の凸部を互いの間でレール溝100をなすレール設置用凸部60L、60Rに構成している。
【0094】
レール設置用凸部60L、60Rはそれぞれ、
図7(a)に示すように、底板C111から所定間隔で立設した一対の左右側壁61、61’、62、62’と、左右側壁61、61’、62、62’の上端同士の間で水平状に伸延する上側壁63、63’と、で構成している。
【0095】
また、レール設置用凸部60L、60Rは、レール溝100にローダレール20を嵌着した状態で面対向して接触する当接面部を肉厚に形成している。
【0096】
具体的には、一対のレール設置用凸部60L、60Rにおいて、
図7(a)に示すように、間でレール溝100をなしてローダレール20のレール本体部30の左右ガイド壁32L、32Rにそれぞれ面対向して接触すると共に互いに対向する左右側壁62、61’と、ローダレール20のフランジ部40L、40Rに面対応して接触する上側壁63、63’と、をそれぞれ肉厚に形成している。
【0097】
これにより、ローダレール20を介して貨物Bの荷重がレール設置用凸部60L、60Rに負荷された場合であっても、下方からしっかりとローダレール20と貨物Bを支持する剛性を担保できる。
【0098】
また、一対のレール設置用凸部60L、60Rはそれぞれ、
図7(a)に示すようにレール溝100にローダレール20を嵌着した状態で、上面部60aL、60aR、すなわち上側壁63、63’の上面全域をフランジ部40L、40Rにより上方から覆われると共に、凸高さHをフランジ部40L、40Rの水平面部41a、41a’とフロア面C110とが略面一となるように形成している。
【0099】
すなわち、レール設置用凸部60L、60Rは、その突出高さをローダレール20のフランジ部40L、40Rの水平面部41a、41a’の厚み分だけ複数の凸部C20の突出高さよりも低くなるように形成している。
【0100】
これにより、ローダレール20の一対のフランジ部40L、40Rを介して一対のレール設置用凸部60L、60Rに跨設した状態でレール本体部30を一対のレール設置用凸部60L、60Rの間に配置し、ローダレール20をレール溝100に嵌合設置することができ、ローダレール20の座屈変形やこれに伴う内側に設置されたローダL1の故障、貨物Bの破損などの損傷事故を防止できる。
【0101】
また、レール設置用凸部60L、60Rの角部は、フランジ部40L、40Rのおける傾斜面部42a、42a’に対応した面取部64、64’を有している。
【0102】
具体的には、面取部64、64’は、実施例1の凹状段部12L、12Rに相応し、レール溝100にローダレール20を嵌着した状態で、傾斜面部42a、42a’に略平行とすると共に傾斜縁部42、42’の下底面に面対向して当接する当接面部に形成している。
【0103】
換言すれば、レール設置用凸部60L、60Rの上側壁63、63’は、上面を水平面部にすると共にフランジ部40L、40Rの水平部41、41’に嵌着対応する水平部63a、63a’と、上面を傾斜面部にすると共にフランジ部40L、40Rの傾斜縁部42、42’に嵌着対応する傾斜部63b、63b’と、により、その上面全域をフランジ部40L、40Rにより覆われるように形成している。
【0104】
これにより、ローダレール20とレール溝100を構成するレール設置用凸部60L、60Rとの密着嵌合性を良好とし、コンテナCの幅方向から進入する貨物Bの下方角部B10がローダレール20の傾斜面部42a、42a’に突き当たった際に、レール溝100からローダレール20が不用意に位置ズレすることを防止することができる。
【0105】
[4.実施例3]
次に、実施例3に係る床構造A3について、図面を参照しながら説明する。
図8(a)及び
図8(b)はそれぞれ、本実施例の床構造の構成を示す模式的断面図及び模式的斜視図である。
【0106】
本実施例の床構造A3は、実施例2と同様に、表面積を拡大して保冷効果を高めた冷凍冷蔵用のコンテナCのフロアC300にローダ設備Lを構築するための構造であり、同フロアC300は、
図8(a)及び
図8(b)に示すようにパネル材としてT型材を選択している。
【0107】
すなわち、フロアC300は、
図8(a)及び
図8(b)に示すように底板C311から上方突出すると共に長手方向へ細長方形状に伸延する断面視T字状の凸部C40を、底板C311の幅方向に一定間隔で複数配置して凹凸面をなし、表面積を拡大させて保冷効果を増大している。
【0108】
フロアC300の複数の凸部C40はそれぞれ、底板C311で立設したウェブ壁C41と、ウェブ壁C41の上端に中央部分で接続して水平状に伸延するフランジ壁C42と、で断面視略T字に構成しており、フランジ壁C42の上面は平坦面に形成している。
【0109】
すなわち、本実施例のフロア面C310は、複数の凸部C40のフランジ壁C42の上面C42a同士によりなす略面一状とした仮想平坦面で形成している。
【0110】
これらの複数の凸部C40のうち、少なくとも隣接する一対の凸部を互いの間でレール溝300をなすレール設置用凸部70L、70Rに構成している。
【0111】
レール設置用凸部70L、70Rはそれぞれ、
図8(a)に示すように、底板C311から立設した溝用ウェブ壁71L、71Rと、溝用ウェブ壁71L、71Rの上端に基端で接続して外側へ向かって水平状に伸延する溝用フランジ壁72L、72Rと、で断面視略略逆L字状に構成している。
【0112】
また、一対のレール設置用凸部70L、70Rはそれぞれ、実施例2と同様に、
図8(a)に示すようにレール溝300にローダレール20を嵌着した状態で、上面部72aL、72aR、すなわち溝用フランジ壁72L、72Rの上面全域をフランジ部40L、40Rにより上方から覆われると共に、凸高さをフランジ部40L、40Rの水平面部41a、41a’とフロア面C310とが略面一となるように形成している。
【0113】
すなわち、レール設置用凸部70L、70Rは、その突出高さをローダレール20のフランジ部40L、40Rの水平面部41a、41a’の厚み分だけ複数の凸部C40の突出高さよりも低くなるように形成している。
【0114】
また、本実施例の面取部73、73’は、フランジ部40L、40Rの傾斜縁部42、42’と同じ曲率で溝用フランジ壁72L、72Rの幅方向先端部を下方へ傾斜するように折り曲げることにより傾斜面部として形成している。
【0115】
すなわち、レール設置用凸部70L、70Rの溝用フランジ壁72L、72Rは、上面を水平面部にすると共にフランジ部40L、40Rの水平部41、41’に嵌着対応する水平部72a、72a’と、上面を面取部73、73’としての傾斜面部にすると共にフランジ部40L、40Rの傾斜縁部42、42’に嵌着対応する傾斜縁部72b、72b’と、により、その上面全域をフランジ部40L、40Rにより覆われるように形成している。
【0116】
このような構成により、レール溝300にローダレール20を嵌着してローダ設備を設置することができ、しかも、実施例2のフロアC100よりもフロア面積が拡大するためより保冷効果を向上させることができる。
【0117】
なお、本発明の床構造が設置できるフロアの種類は、上述してきた実施例の他に、所望とするものを選択することができる。すなわち、フロアは、上述してきた平張パネル材、キーストン材、T型材のなどの他、チャンネル材、ハット型材、Z型材、L型材から選択されたパネル材により形成されていてもよく、さらに複数の凸部は、パネル材の凸部として形成することもできる。
【0118】
以上、説明してきたように、本発明によれば、コンテナ内へ進入する貨物の下方角部をローダレールのフランジ部の外側縁部や角部に接触させることなく傾斜面部で受け、同傾斜面部で貨物の下方角部を滑動作用させながら貨物を進入させてフロア上の載置位置としてのローダ上に定置することができる。
【0119】
すなわち、傾斜面部を貨物の受け面部として機能させ、ローダレールの座屈変形やこれに伴うローダの圧壊、貨物の破損などの破損事故を防止しつつ、コンテナ内への貨物の積荷作業を速やかに行うことができる効果がある。
【0120】
また、ローダレールは、所定厚みの板部材を折曲することによりレール本体部と一対のフランジ部とを形成したものであり、傾斜面部は、フランジ部の外側縁部を下方傾斜して折曲することにより形成した傾斜縁部の上面であることとしたため、ローダレールが一対のフランジ部の傾斜縁部の折曲方向内側にレール溝を形成するフロアを配置してレール溝に嵌着するため、ローダレールとレール溝との嵌合性が良好となり、レール溝にローダレールを一体固定化することができる効果がある。
【0121】
また、板厚を一定にした状態でローダレールの傾斜面部を折曲形成しているためレールの剛性を確保することができ、貨物の下方角部が傾斜面部で当接摺動したり貨物の荷重が負荷されても、フランジ部が傾斜面部から反り返り変形することを抑制できる。したがって、ローダレールに撓み変形部分が不用意に生起することを可及的防止することができる効果がある。
【0122】
また、フロア面と傾斜面部とによりなす傾斜角度αが10.0°≦α<90.0°であることとしたため、リフトによる貨物のコンテナ内への進入角度に対応して、貨物の下方角部をローダレールの傾斜面部で確実に受けることができる効果がある。
【0123】
また、フロアは、複数の凸部を幅方向に配置して凸部の上面部同士によりなす仮想平坦面をフロア面に形成してなり、複数の凸部のうち、少なくとも隣接する一対の凸部を互いの間で前記レール溝をなすためのレール設置用凸部とし、一対のレール設置用凸部はそれぞれ、レール溝にローダレールが嵌着した状態で、上面部をフランジ部により上方から覆われると共に、凸高さを前記フランジ部の水平面部とフロア面とが略面一となるように形成したため、複数の凸部によりフロアの表面積を拡大して保冷効果を向上させた冷凍・冷蔵用のコンテナであっても、ローダレールの一対のフランジ部を介して一対のレール設置用凸部に跨設した状態でレール本体部を一対のレール設置用凸部の間に配置して、ローダレールをレール溝に嵌合設置することができ、ローダレールの座屈変形やこれに伴う内側に設置されたローダの故障、貨物の破損などの損傷事故を防止できる効果がある。
【0124】
また、レール設置用凸部の角部は、傾斜面部に対応した面取部を有することとしため、ローダレールとレール溝を構成するレール設置用凸部の密着嵌合性を良好にして、コンテナの幅方向から進入する貨物の下方角部がローダレールの傾斜面部に突き当たった際のレール溝からのローダレールの不用意な位置ズレを防止することができる効果がある。
【0125】
すなわち、フロア面に敷設されたローダレールがコンテナ内へ進入載置される貨物や作業者に干渉することなく、コンテナ内への貨物の安定した積荷作業を行うことのできるコンテナの床構造を提供することができる。
【符号の説明】
【0126】
A1 床構造
10 レール溝
20 ローダレール
30 レール本体部
31 底板
32L、32R 左右ガイド壁
40L、40R フランジ部
40a、40a’ 上面
41、41’ 水平部
41a、41a’ 水平面部
42、42’ 傾斜縁部
42a、42a’ 傾斜面部
50 レール基台
C10 フロア
C11 フロア面