(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169053
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】エンジン作業機
(51)【国際特許分類】
F02B 63/00 20060101AFI20221101BHJP
F16M 1/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
F02B63/00 C
F02B63/00 B
F16M1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074844
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】水谷 智哉
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 勇人
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単な構造でエンジンなどから漏洩した液体の流出防止を図ることが可能な架台を備えたエンジン作業機を提供する。
【解決手段】架台13,14の上部に作業機と該作業機を駆動するエンジンとを備え、架台の下部にエンジンの燃料タンクと、該燃料タンクを収容し、外部への漏洩物の漏洩を遮断する箱形の防油堤20とを備えたエンジン作業機において、架台は、上向きに開放した断面コ字状のチャンネル部材22を防油堤の上部開口縁に着脱可能に掛け渡してなり、チャンネル部材の底板には、板面に付着した漏液を防油堤の内部に流下させる抜き穴22aと、架台を固定するボルト締結部22bとが設けられ、チャンネル部材の内側空間は、互いに対面して設けられた一対の仕切板24,24により、抜き穴22aが位置する漏液受け空間S1と、ボルト締結部22bが位置するボルト締付け空間S2とに区画されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台の上部に作業機と該作業機を駆動するエンジンとを備え、前記架台の下部に前記エンジンの燃料タンクと、該燃料タンクを収容し、外部への漏洩物の漏洩を遮断する箱形の防油堤とを備えたエンジン作業機において、
前記架台は、上面が開放されたチャンネル部材を前記防油堤の上部開口縁に着脱可能に掛け渡してなり、
前記チャンネル部材の底板には、板面に付着した漏液を前記防油堤の内部に流下させる抜き穴と、前記架台を固定するボルト締結部とが設けられ、
前記チャンネル部材の内側空間は、互いに対面して設けられた一対の仕切板により、前記抜き穴が位置する漏液受け空間と、前記ボルト締結部が位置するボルト締付け空間とに区画されていることを特徴とするエンジン作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンによって発電機や油圧ユニットなどの作業機を駆動するエンジン作業機に関し、詳しくは、架台の下部に燃料タンクと防油堤とをそれぞれ備えたエンジン作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機や油圧ユニットなどの各種作業機と、これらを駆動するエンジンとをケーシングの内部に収容したエンジン作業機では、エンジンや作業機を支持する架台の下部に燃料タンクが配置され、この燃料タンクを覆うように取り付けた防油堤により、燃料やエンジンオイル、冷却水などの漏洩物が外部に漏洩することを防止している。こうしたエンジン作業機では、保守における燃料タンクの交換を考慮して、架台が取り外し可能なボルト締結構造になっている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたエンジン作業機の架台は、エンジンなどの重量物に耐える強度が確保されており、その取付けに関しても、防油堤の上部に掛け渡された両持ち支持構造となっている。しかしながら、このような架台の取付構造は、エンジンやラジエータで漏洩した液体が架台の上面を伝って機体外部へ流出するおそれがあった。
【0005】
そこで本発明は、簡単な構造でエンジンなどから漏洩した液体の流出防止を図ることが可能な架台を備えたエンジン作業機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のエンジン作業機は、架台の上部に作業機と該作業機を駆動するエンジンとを備え、前記架台の下部に前記エンジンの燃料タンクと、該燃料タンクを収容し、外部への漏洩物の漏洩を遮断する箱形の防油堤とを備えたエンジン作業機において、前記架台は、上面が開放されたチャンネル部材を前記防油堤の上部開口縁に着脱可能に掛け渡してなり、前記チャンネル部材の底板には、板面に付着した漏液を前記防油堤の内部に流下させる抜き穴と、前記架台を固定するボルト締結部とが設けられ、前記チャンネル部材の内側空間は、互いに対面して設けられた一対の仕切板により、前記抜き穴が位置する漏液受け空間と、前記ボルト締結部が位置するボルト締付け空間とに区画されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエンジン作業機によれば、チャンネル部材の内側空間を漏液受け空間とボルト締付け空間とに区画する簡単な仕切板構造により、架台に付着した漏液を機体外部へ流出させることなく、抜き穴から落として防油堤内に溜め込むことができる。しかも、漏液受け空間内の漏液に対して、ボルト締付け空間への流入が阻止され、ボルト締結部に油分が付着してしまう不具合をなくせることから、燃料タンクの交換や防油堤内の清掃を行う際の作業性向上にも資するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一形態例を示すエンジン作業機の断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1乃至
図4は本発明のエンジン作業機の一形態例を示すものである。エンジン作業機11は、
図1乃至
図3に示すように、防音構造を有するケーシング12の下部に設けられている架台13,14,15の上に、発電機や圧縮機、油圧ユニットなどの作業機(図示せず)や、該作業機を駆動するエンジン16、付設のラジエータ17などの機器を収容したものであって、ケーシング12は、略直方体の箱状に形成され、側壁12aには、機器の保守を行うための点検扉18が設けられている。
【0010】
エンジン16及びラジエータ17の位置に対応する架台13,14の下部には、エンジン16の燃料タンク19が配設され、該燃料タンク19の周囲は、燃料やエンジンオイル、冷却水などの漏洩物が外部に漏洩しないように防油堤20で覆われている。
【0011】
防油堤20は、ケーシング12の支持枠を兼ねる前後左右4枚の側板20aと、内部に溜まった液体をドレン21に導く傾斜状の底板20bとを有する上部が開口した箱状に形成されている。また、防油堤20の上部開口縁となる側板20aの上端部は、開口外側に折り曲げたフランジ形状を有し、機体幅方向(
図3の上下方向)に対向する側板20a,20a同士のフランジ上面間において、エンジン16を支持するためのエンジン架台13と、ラジエータ17を支持するためのラジエータ架台14とがそれぞれ平行に掛け渡されている。
【0012】
エンジン架台13及びラジエータ架台14は、それぞれ板厚の異なる部材から製作した専用部品であるが、
図4からも見てとれるように、上向きに開放した断面コ字状のチャンネル部材22を共通に備えている。そして、両架台13,14は、前記チャンネル部材22を防油堤20の上部開口縁(フランジ上面)に着脱可能に掛け渡した状態で、長さ方向両端が防油堤20にて支持された両持ち支持構造をなしている。
【0013】
チャンネル部材22は、底幅の大きい溝形鋼あるいは曲げ鋼板からなり、底板中央部には、底板面に付着したエンジンオイルなどの漏液(漏れ出した液体)を防油堤20の内部に流下させるための抜き穴22aが設けられている。また、チャンネル部材22の底板両端部には、複数の取付ボルト23を使用して架台13,14を防油堤20に固定するためのボルト締結部(ボルト孔ないしスリット孔)22b,22bが設けられている。
【0014】
さらに、チャンネル部材22における断面コ字形状の内側空間は、互いに対面して設けられた一対の仕切板24,24により、中央部に抜き穴22aが位置した受け皿形状からなる漏液受け空間S1と、その両外側部においてボルト締結部22b,22bが位置してなるボルト締付け空間S2,S2とに区画されている。
【0015】
一対の仕切板24,24は、架台13,14の補強部材を兼ね、
図3などに示すように、互いの間隔をエンジン16及びラジエータ17の幅と同等以上に設定してチャンネル部材22の内面に溶接されている。これにより、エンジン16やラジエータ17から架台13,14の漏液受け空間S1に落下した漏液は、チャンネル部材22の底板に一定量溜まると、抜き穴22aを通じて防油堤20内へと流れ落ちる。ここで、底板に溜まった漏液に対して抜き穴22aから遠ざかる流れが生じても、その流れは仕切板24の介在によって阻止される。
【0016】
このように、本発明のエンジン作業機11によれば、チャンネル部材22の内側空間を漏液受け空間S1とボルト締付け空間S2とに区画する簡単な仕切板構造により、架台13,14に付着した漏液を機体外部へ流出させることなく、抜き穴22aから落として防油堤20内に溜め込むことができる。しかも、漏液受け空間S1内の漏液に対して、ボルト締付け空間S2への流入が阻止され、ボルト締結部22bに油分が付着してしまう不具合をなくせることから、燃料タンク19の交換や防油堤20内の清掃を行う際の作業性向上にも資するものである。
【0017】
また、上向きに開放した断面コ字状のチャンネル部材22を用いることで、必要な強度を得ながら、仕切板24による漏液受け空間S1の形成を極めて容易に行うことができる。とりわけ、外側にも開放されているボルト締付け空間S2により、取付ボルト23の締付け作業をスパナなどの標準の締付け工具で行えることから、架台13,14を着脱する際に作業条件を選ばないという利点がある。
【0018】
なお、本発明は、前記形態例に限定されるものではなく、受け皿形状に設けた抜き穴は複数でもよく、架台に付着した漏液を防油堤内に案内できれば種々の構成を採用することができる。また、エンジンや作業機の配置など、架台上の構成や機器の配置は任意であり、据置式の他、可搬式のエンジン作業機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0019】
11…エンジン作業機、12…ケーシング、12a…側壁、13,14,15…架台、16…エンジン、17…ラジエータ、18…点検扉、19…燃料タンク、20…防油堤、20a…側板、20b…底板、21…ドレン、22…チャンネル部材、22a…抜き穴、22b…ボルト締結部、23…取付ボルト、24…仕切板