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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169063
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】穿刺装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074860
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】502394243
【氏名又は名称】小山 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】小山 淳一
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601FF04
4C601GA01
4C601GA06
4C601KK38
(57)【要約】
【課題】簡単な構造で皮膚下の血管等に穿刺角度を変えずに穿刺できるようにする。
【解決手段】対象部7の距離Lを検出するための超音波プローブ3と、検出された対象部の陰影11を超音波プローブの先端の位置を原点としての距離Lに対応する点に表示するモニタ15と、基点位置17から距離Lの方向に移動可能に取り付けられるニードルガイド23と、ニードルガイドの移動に対応して表示画面29上の陰影11に向かって移動するターゲット指針部27とを有し、ターゲット指針部27が、表示画面29上の陰影11に重なっていない場合に、ニードルガイド23を移動させることでターゲット指針部27と陰影11とを重なる状態にし、重なる状態でニードルガイドの挿通孔21を介して針19を挿通したときに針の先端39が皮膚下の距離Lの位置にある対象部7を通るように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブであって、皮膚下の対象部の該超音波プローブの先端からの距離Lを検出するための超音波を送受信する超音波プローブと、
前記超音波プローブで検出された前記対象部の陰影を、前記超音波プローブの先端の位置を原点として該原点からの距離Lに対応する点に表示する表示画面を有するモニタと、
前記超音波プローブに基点位置から前記距離Lの方向に移動可能に取り付けられ、針を挿通可能な挿通孔を有するニードルガイドと、
前記ニードルガイドの前記移動に対応して前記表示画面上に表示される前記陰影に向かう線上を該陰影に対して相対移動するターゲット指針部と、を有し、
前記ニードルガイドと前記ターゲット指針部と前記表示画面上の前記陰影と前記針の穿刺位置の位置関係は、
前記ターゲット指針部が、前記表示画面上の前記陰影に重なっていない場合に、前記ニードルガイドを移動させることで前記ターゲット指針部の位置と前記陰影の位置とを重なる状態にし、
前記重なる状態で前記ニードルガイドの前記挿通孔を介して前記針を挿通したときに前記針の先端が皮膚下の前記距離Lの位置にある前記対象部を通るように構成されている、
ことを特徴とする穿刺装置。
【請求項2】
請求項1に記載の穿刺装置において、
前記モニタは、
前記超音波プローブに固定されており、
前記表示画面には前記ニードルガイドの前記移動に対応して同方向に移動する透明カバーが設けられ、
前記ターゲット指針部は、前記透明カバーに付されており、
前記ターゲット指針部と前記表示画面上の前記陰影とは、前記ターゲット指針部が前記表示画面上の前記陰影に向かって移動することで前記重なる状態になるよう構成され、
前記重なる状態は、前記透明カバーを介して視認可能である、
ことを特徴とする穿刺装置。
【請求項3】
請求項1に記載の穿刺装置において、
前記モニタは、前記超音波プローブに固定されており、
前記ターゲット指針部は、前記ニードルガイドと一体に移動するように構成され、
前記ターゲット指針部と前記表示画面上の前記陰影とは、前記ターゲット指針部が前記表示画面上の前記陰影に向かって移動することで前記重なる状態になる、
ことを特徴とする穿刺装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の穿刺装置において、
前記ニードルガイドが前記超音波プローブの前記基点位置に位置する状態で前記挿通孔を介して針を挿通したときに、前記針の先端が前記超音波プローブの先端から一定距離Cのデフォルト位置を通るように構成されており、
前記ターゲット指針部と前記表示画面上の前記陰影とが重なっていない場合に、前記ニードルガイドの位置をL-C=Dの距離移動させると、前記表示画面上の前記陰影と前記ターゲット指針部とが重なるように構成されている、
ことを特徴とする穿刺装置。
【請求項5】
請求項1に記載の穿刺装置において、
前記ニードルガイドは、前記超音波プローブに駆動部によって移動可能に取り付けられ、
前記駆動部の動作及び前記モニタの表示を制御する制御部を備え、
前記ニードルガイドが前記超音波プローブの前記基点位置に位置する状態で前記挿通孔を介して針を挿通したときに前記針の先端が前記超音波プローブの先端から一定距離Cのデフォルト位置を通るように構成されており、
前記表示画面は、前記ターゲット指針部の位置も表示しており、
前記制御部は、
前記表示画面上において前記陰影が前記ターゲット指針部と重なっていない場合に、前記駆動部によって前記ニードルガイドの位置を前記基点位置から移動させ、該移動に連動して前記表示画面に表示されている前記陰影と前記ターゲット指針部の一方を他方に向かって移動させ、
前記ニードルガイドの位置をL-C=Dの距離移動させると、前記表示画面上の前記陰影と前記ターゲット指針部とが重なるように構成されている、
ことを特徴とする穿刺装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の穿刺装置において、
前記ニードルガイドの移動量と前記ターゲット指針部の移動量又は前記陰影の移動量は、1:1の関係に構成されている、
ことを特徴とする穿刺装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を送受信することによって人体の皮膚下の血管等の対象部の深さである位置を特定し、該対象部に針を穿刺する穿刺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の穿刺装置の一例として、特許文献1に記載のものがある。この文献には、超音波の送受信によって皮膚下の目的とする血管等の位置を特定し、その特定した血管等に針ガイドを介して針を穿刺する超音波誘導システムが記載されている。前記特定した血管等に対して針を位置合わせして穿刺するために、針ガイドが回動可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公表2009-506830公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の穿刺装置では、前記特定した血管等に対して針を位置合わせして穿刺するために、針ガイドが回動可能に構成されている。更に、針を目的の血管等に正確に穿刺するために角度位置検出器を備えている。
この構造は、血管等の位置が変わると前記針ガイドを回動させることになるので、穿刺する際の針の姿勢すなわち角度が前記回動によって変わり一定しない。穿刺する対象部によっては適正な角度で穿刺することが求められる場合があるが、この場合には対応できない問題がある。
また、針ガイドを回動可能にする構造は、前記角度位置検出器を備えているので複雑である。更に、前記針の姿勢は、針ガイドを回動すると垂直に近い姿勢から水平に近い姿勢まで変わるので、当該穿刺装置の皮膚表面と平行な面内における専有面積が増減変動し、使い勝手が良くない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る穿刺射置は、超音波プローブであって、皮膚下の対象部の該超音波プローブの先端からの距離Lを検出するための超音波を送受信する超音波プローブと、前記超音波プローブで検出された前記対象部の陰影を、前記超音波プローブの先端の位置を原点として該原点からの距離Lに対応する点に表示する表示画面を有するモニタと、前記超音波プローブに基点位置から前記距離Lの方向に移動可能に取り付けられ、針を挿通可能な挿通孔を有するニードルガイドと、前記ニードルガイドの前記移動に対応して前記表示画面上に表示される前記陰影に向かう線上を該陰影に対して相対移動するターゲット指針部とを有する。更に、前記ニードルガイドと前記ターゲット指針部と前記表示画面上の前記陰影と前記針の穿刺位置の位置関係は、前記ターゲット指針部が、前記表示画面上の前記陰影に重なっていない場合に、前記ニードルガイドを移動させることで前記ターゲット指針部の位置と前記陰影の位置とを重なる状態にし、前記重なる状態で前記ニードルガイドの前記挿通孔を介して前記針を挿通したときに前記針の先端が皮膚下の前記距離Lの位置にある前記対象部を通るように構成されていることを特徴とする。
【0006】
ここで、「前記ニードルガイドの前記移動に対応して前記表示画面上に表示される前記陰影に向かう線上を該陰影に対して相対移動するターゲット指針部」における「相対移動」とは、前記ターゲット指針部が、前記表示画面上で位置が固定されている前記陰影に向かう移動と、前記表示画面上の陰影が、位置が固定されている前記ターゲット指針部に向かう移動の両方を含む意味である。
【0007】
本態様によれば、前記ニードルガイドの前記距離Lの方向への直線移動、即ち皮膚表面からの深さ方向への直線移動に対応して、前記ターゲット指針部が前記表示画面上に表示される前記陰影に向かう線上を該陰影に対して相対移動するように構成されている。
そして、前記ニードルガイドと前記したように相対移動するターゲット指針部と前記表示画面上に表示される前記陰影と更に前記針の穿刺位置の位置関係は、前記ニードルガイドを前記距離Lの方向に移動させることにより前記ターゲット指針部の位置と前記陰影の位置とを重なる状態にし、前記「重なる状態」で前記ニードルガイドの前記挿通孔を介して前記針を挿通したときに前記針の先端が皮膚下の前記距離Lの位置にある前記対象部を通るように構成されている。
これにより、前記ニードルガイドを直線移動させて前記ターゲット指針部の位置と前記陰影の位置とを「重なる状態」にすれば、前記ニードルガイドの前記挿通孔を介しての前記針の穿刺位置を皮膚下の前記対象部に位置合わせすることができる。即ち、前記ニードルガイドを前記深さ方向に直線移動させるだけで前記位置合わせを行うことができる。その際、前記ニードルガイドに保持されている針の姿勢すなわち角度は、特許文献1とは違って変化しない。即ち、前記針は同じ角度の状態で前記距離Lの方向へ直線移動する。
従って、本態様によれば、穿刺する対象部によっては適正な角度で穿刺することが求められる場合においても、予めニードルガイドに保持される針の角度を前記適正な角度に設定するようにするだけで、容易に対応することができる。
また、本態様によれば、従来の角度位置検出器のようなセンシング機器を必要とせず、構造を単純化することができる。更に、前記針は同じ姿勢の状態で前記距離Lの方向へ直線移動するので、当該穿刺装置の皮膚表面と平行な面内における専有面積が変動しない。従って、使い勝手が良いと言える。
【0008】
本発明の第2の態様に係る穿刺装置は、第1の態様において、前記モニタは前記超音波プローブに固定されている。更に、前記モニタの表示画面には前記ニードルガイドの前記移動に対応して同方向に移動する透明カバーが設けられ、前記ターゲット指針部は、前記透明カバーに付されている。更に、前記ターゲット指針部と前記表示画面上の前記陰影とは、前記ターゲット指針部が前記表示画面上の前記陰影に向かって移動することで前記重なる状態になるよう構成され、前記重なる状態は、前記透明カバーを介して視認可能であることを特徴とする。
ここで、「透明カバー」における「透明」は、本願明細書では、該透明カバーの後方にある前記モニタ上の前記陰影を視認することが可能であるという条件を満たす範囲の透明度であればよい。
【0009】
本態様によれば、前記超音波プローブに固定されている前記モニタの表示画面には前記ニードルガイドの前記移動に対応して同方向に移動する透明カバーが設けられ、前記ターゲット指針部は前記透明カバーに付されて一体化されている。そして、前記透明カバーと一体の前記ターゲット指針部を前記表示画面上の前記陰影に向かって移動させると該ターゲット指針部が前記表示画面上の前記陰影の位置と「重なる状態」になるように構成されている。
従って、前記「重なる状態」を、前記ニードルガイドの前記移動に対応して同方向に移動する前記透明カバーの移動によって簡単に実現することができる。言い換えると、前記「重なる状態」を、前記透明カバーを用いた簡単な機械的な構造によって実現することができる。
また、前記表示画面上の前記陰影が前記透明カバーを介して視認できるので、前記「重なる状態」を簡単に確認することができる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る穿刺装置は、第1の態様において、前記モニタは、前記超音波プローブに固定されており、前記ターゲット指針部は、前記ニードルガイドと一体に移動するように構成され、前記ターゲット指針部と前記表示画面上の前記陰影とは、前記ターゲット指針部が前記表示画面上の前記陰影に向かって移動することで前記重なる状態になることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、前記モニタは前記超音波プローブに固定されている。更に、前記ターゲット指針部は前記ニードルガイドと一体に移動するように構成されている。これにより、前記ニードルガイドを移動させて前記ターゲット指針部を前記表示画面上の前記陰影に向かって移動させると、該ターゲット指針部が前記表示画面上の前記陰影の位置と「重なる状態」になる。
従って、前記「重なる状態」を、前記ニードルガイドの移動によって簡単に実現することができる。言い換えると、前記「重なる状態」を、前記ターゲット指針部が前記ニードルガイドと一体に移動するという簡単な構造によって容易に実現することができる。
【0012】
本発明の第4の態様に係る穿刺装置は、第2の態様又は第3の態様において、前記ニードルガイドが前記超音波プローブの前記基点位置に位置する状態で前記挿通孔を介して針を挿通したときに、前記針の先端が前記超音波プローブの先端から一定距離Cのデフォルト位置を通るように構成されており、前記ターゲット指針部と前記表示画面上の前記陰影とが重なっていない場合に、前記ニードルガイドの位置をL-C=Dの距離移動させると、前記表示画面上の前記陰影と前記ターゲット指針部とが重なるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、前記ニードルガイドが前記基点位置に位置する状態で前記挿通孔を介して針を挿通したときに、前記針の先端が前記超音波プローブの先端から一定距離Cのデフォルト位置を通るように構成されている。これにより、前記ターゲット指針部と前記表示画面上の前記陰影とが重なっていない場合に、前記ニードルガイドの位置をL-C=Dの距離移動させると、前記表示画面上の前記陰影と前記ターゲット指針部とを重なる状態にすることが可能になる。
従って、前記超音波プローブによって皮膚下の対象部までの距離Lが検出されれば、前記ニードルガイドの位置をL-C=Dの距離、前記距離Lの方向に移動させることで前記「重なる状態」になり、以って前記ニードルガイドの前記挿通孔を介しての前記針の穿刺位置を皮膚下の前記対象部に簡単に位置合わせすることができる。
【0014】
本発明の第5の態様に係る穿刺装置は、第1の態様において、前記ニードルガイドは、駆動部によって前記超音波プローブに対して移動し、前記駆動部の動作及び前記モニタの表示を制御する制御部を備え、前記ニードルガイドが前記超音波プローブの前記基点位置に位置する状態で前記挿通孔を介して針を挿通したときに前記針の先端が前記超音波プローブの先端から一定距離Cのデフォルト位置を通るように構成されており、前記表示画面は、前記ターゲット指針部の位置も表示しており、前記制御部は、前記表示画面上において前記陰影が前記ターゲット指針部と重なっていない場合に、前記駆動部によって前記ニードルガイドの位置を前記基点位置から移動させ、該移動に連動して前記表示画面に表示されている前記陰影と前記ターゲット指針部の一方を他方に向かって移動させ、前記ニードルガイドの位置をL-C=Dの距離移動させると、前記表示画面上の前記陰影と前記ターゲット指針部とが重なるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、前記表示画面は、前記ターゲット指針部の位置も表示している。そして、前記制御部は、前記表示画面上において前記陰影が前記ターゲット指針部と重なっていない場合に、前記駆動部によって前記ニードルガイドの位置を前記基点位置から移動させ、該移動に連動して前記表示画面に表示されている前記陰影と前記ターゲット指針部の一方を他方に向かって移動させるように構成されている。よって、前記制御部の制御信号によって前記ニードルガイドの位置をL-C=Dの距離移動するように動作させることで、前記表示画面上の前記ターゲット指針部と前記陰影とを重なる状態にすることができる。
これにより、前記超音波プローブによって皮膚下の対象部までの距離Lが検出されれば、前記制御部は前記ニードルガイドの位置をL-C=Dの距離、前記距離Lの方向に移動させるように制御することで前記「重なる状態」になる。言い換えると、前記制御部の制御信号によって自動的に前記「重なる状態」を実現することができる。
従って、前記ニードルガイドの前記挿通孔を介しての前記針の穿刺位置を皮膚下の前記対象部に位置合わせすることを自動的に行うことができ、使用者は前記「重なる状態」になったら前記針を差し込むだけでよく、使い勝手がよい。
【0016】
本発明の第6の態様に係る穿刺装置は、第1の態様から第5の態様にいずれか一つの態様において、前記ニードルガイドの移動量と前記ターゲット指針部の移動量又は前記陰影の移動量は、1:1の関係に構成されていることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、前記1:1の関係によって前記ニードルガイドの移動量と前記ターゲット指針部の移動量又は前記陰影の移動量が同じになる。ここで、前記ニードルガイドの移動量は、前記表示画面上での移動量ではなく、穿刺装置の実物上での実際の移動量であるので、実寸になる。使用者は前記ニードルガイドの移動量を実物の穿刺装置上で直に目にする。前記ターゲット指針部又は前記陰影の移動量は前記ニードルガイドの移動量と同じであるので、使用者が目にするそれぞれの寸法が全て実寸で示されることになり、感覚的に操作し易いという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態1に係るモニタ一体型の穿刺装置の概略の側面図(A)と正面図(B)である。
図2】同実施形態1のニードルガイド部分の斜視図である。
図3】同実施形態1の穿刺装置の分解図で、モニタ一体の超音波プローブの側面図(A)と正面図(B)とニードルガイドの正面図(C)である。
図4】同実施形態1でニードルガイドが基点位置にいる状態の概略の側面図(A)と正面図(B)である。
図5】同実施形態1で対象部がデフォルト位置より浅い位置にある場合のニードルガイドの位置を示す概略の側面図(A)と正面図(B)である。
図6図5の状態から対象部に針を押し込んで穿刺した状態の概略の側面図(A)と正面図(B)である。
図7】同実施形態1で対象部がデフォルト位置より深い位置にある場合のニードルガイドの位置を示す概略の側面図(A)と正面図(B)である。
図8】本発明の実施形態2に係るモニタ一体型の穿刺装置のニードルガイド部分の斜視図である。
図9】本発明の実施形態3に係るモニタがニードルガイドと一体型である穿刺装置で対象部が異なる位置にある各状態を示す概略の側面図(A)(B)(C)である。
図10】本発明の実施形態4に係るモニタが別体型の穿刺装置で対象部が異なる位置にある各状態を示す概略の側面図(A)(B)(C)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施形態1]
以下に、本発明の実施形態1に係る穿刺装置について、図1から図7に基づいて詳細に説明する。
図1図3に示したように、本実施形態に係る穿刺装置1は、超音波プローブ3であって、皮膚5の下の対象部7の超音波プローブ3の先端9からの距離Lを検出するための超音波2を送受信する超音波プローブ3と、超音波プローブ3で検出された対象部7の陰影11(図3(B))を、超音波プローブ3の先端3の位置を原点13として原点13からの距離Lに対応する点に表示する表示画面29を有するモニタ15と、超音波プローブ3に基点位置17から前記距離Lの方向に移動可能に取り付けられ、針19を挿通可能な挿通孔21を有するニードルガイド23と、ニードルガイド23の前記移動に対応して表示画面29上に表示される陰影11に向かう線25上(図1(B)、図3(B))を陰影11に対して相対移動するターゲット指針部27とを有する。
そして、ニードルガイド23とターゲット指針部27と表示画面29上に表示される陰影11と針19の穿刺位置の位置関係は、ターゲット指針部27が、表示画面29上の陰影11に重なっていない場合に、ニードルガイド23を移動させることでターゲット指針部27の位置と陰影11の位置とを重なる状態にし、前記重なる状態でニードルガイド23の挿通孔21を介して針19を挿通したときに針19の先端39が皮膚5の下の距離Lの位置にある対象部7を通るように構成されている。
【0020】
以下、穿刺装置の各構成要素について詳しく説明する。
以下の説明においては、互いに直交する3つの軸を、各図に示すように、それぞれX軸、Y軸、Z軸とする。
本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(重力が作用する方向)に相当する。X軸方向及びY軸方向は、水平方向に相当する。ここでは、X軸方向は対象部である血管の長手方向に対応し、Y軸方向は前記血管の断面方向に対応する。
【0021】
<超音波プローブ>
超音波プローブ3は、上記したように、皮膚5の下の対象部7である血管7(対象部と同じ符号を用いる)のその先端9からの距離Lを検出するための超音波2を送受信する。
本実施形態では、超音波プローブ3は、超音波2を送受信する複数の超音波素子(図示せず)がY軸方向に1列に並んで配置されている。これにより、超音波プローブ3は、X軸方向には1個の超音波素子に対応して幅が小さくなり(図1(A))、Y軸方向には複数個の超音波素子に対応して幅が大きくなる(図1(B))。
図1において、符号2は、超音波プローブ3の先端9から照射された超音波を示している。超音波2は、図1(A)に示したようにX軸方向には広がりの無い略直線状の照射線となり、図1(B)に示したようにY軸方向には広がりのある照射面となる。
【0022】
<モニタ>
図3(A)(B)に示したように、モニタ15は、表示画面29を有し、その表示画面29に超音波プローブ3により検出された血管7の陰影11を、超音波プローブ3の先端9の位置を原点13として該原点13からの距離Lに対応する点に表示する。また、表示画面29には、皮膚5の位置、即ち超音波プローブ3の先端9の位置を示すライン8が表示されている。従って、原点13はライン8上に位置することになる。
本実施形態では、モニタ15は、超音波プローブ3に固定されている。具体的には、モニタ15は、超音波プローブ3の先端9と反対側に公知の固定構造によって固定されて該超音波プローブ3と一体化されている。
【0023】
<ニードルガイド>
ニードルガイド23は、上記したように、超音波プローブ3に、基点位置17から前記距離Lの方向に移動可能に取り付けられている。即ち、ニードルガイド23は、前記距離Lの方向において往復する方向に移動可能である。更に、ニードルガイド23は、針19を挿通可能な挿通孔21を有している。
ここで、ニードルガイド23を超音波プローブ3に移動可能にする取付構造は、ラックアンドピニオン構造、LMガイド構造、レールとガイド溝の組合せ等、公知の構造を用いることができる。また、ニードルガイド23の超音波プローブ3に対する移動は、手動による移動機構と電動移動機構のいずれでもよい。
基点位置17は、ニードルガイド23が移動する範囲内のどこかの位置を基点として設定することでよい。その理由は後述する。
【0024】
本実施形態では、モニタ15の表示画面29にはニードルガイド23の前記移動に対応して同方向に移動する透明カバー31が設けられている。
具体的には、図2に示したように、ニードルガイド23は、モニタ15を前後左右及び上から囲い下面が開放されている形状の箱体4と、箱体4に前面側の下部位置に固定される針ホルダー6とを備えている。針ホルダー6は、針19を対象部7に差し込む際にセットする挿通孔21を有する。本実施形態では、箱体4は全体が透明材料で形成されており、透明カバー31は、箱体4の前面、即ちモニタ15の表示画面29と対向する前面によって構成されている。尚、箱体4の前記前面以外の面は透明でなくてもよい。
これにより、ニードルガイド23が移動することで透明カバー31がモニタ15の表示画面29と対向する前方位置において前記距離Lの方向に移動する。
【0025】
<ターゲット指針部>
ターゲット指針部27は、上記したように、ニードルガイド23の前記手動又は電動の移動に対応して表示画面29上に表示される陰影11に向かう線25上を陰影11に対して相対移動する。ここでは、前記相対移動は、ターゲット指針部27が移動し、陰影11が表示画面29上で位置が固定されている構成で実現されている。即ち、ターゲット指針部27が表示画面29上で位置固定されている陰影11に向かって線25上を機械的に移動する構成である。
【0026】
また、本実施形態では、ターゲット指針部27は、透明カバー31に、図2に一例として示すマーク10として付されている。ここでは、マーク10は、プラス記号「+」を円「〇」で囲ったものが使われている。これにより、透明カバー31が移動することによってターゲット指針部27が表示画面29上の陰影11に向かって線25上を移動することになる。この透明カバー31の前記移動により前記重なる状態を実現することができる。
ターゲット指針部27と表示画面29上の陰影11とが重なる状態は、上記説明から明らかであるが、透明カバー31を介して使用者が正面側から視認可能である。
【0027】
<ニードルガイドとターゲット指針部と表示画面上の陰影と針の穿刺位置の位置関係>
ニードルガイド23とターゲット指針部27と表示画面29上の陰影11と針19の穿刺位置の位置関係は、次のように構成されている。
図1(B)に示したように、ターゲット指針部27が、表示画面29上の陰影11に重なっていない場合、ニードルガイド23を移動させることでターゲット指針部27を、線25上を移動させ、ターゲット指針部27の位置と陰影11の位置とを、図4(B)等に示したように重なる状態にする。そして、その重なる状態でニードルガイド23の挿通孔21に針19をセットし、更に押し込んで挿通したときに、図4(A)(B)に示したように、針19の先端39が皮膚5の下の距離Lの位置にある対象部7を通るように構成されている。
一方、ターゲット指針部27が、表示画面29上の陰影11に重なっている場合は、ニードルガイド23を移動させることなく、挿通孔21を介して針19を挿通すれば針19の先端39が皮膚5の下の距離Lの位置にある対象部7を通る。
【0028】
<ニードルガイドの基点位置、デフォルト位置>
図4に示したように、本実施形態では、ニードルガイド23は基点位置17を有する。基点位置17は、ニードルガイド23が超音波プローブ3の基点位置17に位置する状態で挿通孔21を介して針19を挿通したときに、針19の先端39が超音波プローブ3の先端9から一定距離Cのデフォルト位置33を通るように構成するためのものである。
即ち、ニードルガイド23が基点位置17に位置する状態で、ニードルガイド23の挿通孔21を介して針19を挿通したときに、針19の先端39が超音波プローブ3の先端9から一定距離Cのデフォルト位置33を通るように構造的に設定されている。
【0029】
超音波プローブ3で検出された皮膚5の下の対象部7の距離Lがデフォルト位置33に対応する距離Cである場合、即ちL=Cである場合は、対象部7がデフォルト位置33を通る深さにあることになる。従って、ニードルガイド23は移動する必要はなく、その位置で針19を挿通すれば、針19の先端39が対象部7を通る。
対象部7の距離Lがデフォルト位置33と異なる場合、即ちL≠Cである場合は、ニードルガイド23を基点位置17からLとCの差であるL-C=Dの距離移動させると、表示画面29上の陰影11とターゲット指針部27とが重なることになる。従って、この重なる位置にあるニードルガイド23の挿通孔21を介して針19を挿通すれば、針19の先端39が対象部7を通ることになる。
【0030】
上記説明から理解できるように、基点位置17及びそれに対応する一定距離Cは、特定の位置及び寸法に限定されないで設定することが可能である。
具体的には、ニードルガイド23の移動が想定される範囲内のどこかの位置を基点位置17として設定すれば、それに対応した一定距離C及びデフォルト位置33が決まることになる。
【0031】
また、本実施形態では、以上の説明から理解できるように、ニードルガイド23の移動量とターゲット指針部27の移動量とは、1:1の関係に構成されている。即ち、ニードルガイド23が1cm移動すると、ターゲット指針部27も1cm移動し、ニードルガイド23が2.5cm移動すると、ターゲット指針部27も2.5cm移動する関係に構成されている。
尚、ニードルガイド23の移動量とターゲット指針部27の移動量とは、1:1の関係に限定されないことは勿論であり、一定の相関をもって構成されていればよい。
前記一定の相関は、ターゲット指針部27をニードルガイド23とは別体に構成し、且つターゲット指針部27がニードルガイド23の移動に連動する構造とすることにより実現することができる。即ち、前記一定の相関を持ってターゲット指針部27がニードルガイド23の移動に連動する構造にすることで実現することができる。
【0032】
<実施形態1の作用の説明>
次に、図1図5から図7に基づいて、実施形態1の穿刺装置1を用いて対象部7としての血管7に穿刺する場合を説明する。
先ず、血管7の位置である皮膚5の表面からの深さがデフォルト位置33より浅い場合、即ちL<Cである場合を説明する。次いで、血管7の位置がデフォルト位置33より深い場合、即ちL>Cである場合を説明する。
【0033】
[ L<Cである場合 ]
図5に示したように、穿刺装置1の超音波プローブ3の先端9を皮膚5に接する状態にして該超音波プローブ3の位置を保持するようにする。ここでは、ニードルガイド23がデフォルト位置33に対応する基点位置17に位置する状態で行う場合を説明する。
穿刺装置1をONすると、超音波プローブ3は、その先端9から超音波2を対象部7に向けて送信し、更に反射波を受信する。この超音波2の送受信よって血管7の皮膚5の表面からの深さ位置に対応する距離Lが求まる。
【0034】
求められた血管7の位置は、図5(B)に示したように、モニタ15の表示画面29上で、原点13から距離Lに対応する点に陰影11として表示される。この時点では、図5に示したように、針19は針ホルダー6にセットされていない。
同図に表れているように、L<Cであるので、陰影11とターゲット指針部27は重なっていない。別の言い方をすると、陰影11とターゲット指針部27はL-C=Dだけ位置がずれている。
そこで、ニードルガイド23をターゲット指針部27が陰影11に近づく方向、即ち上方に移動させる。ニードルガイド23のこの上方への移動により透明カバー31が一体に移動し、透明カバー31に付されたマーク10としてのターゲット指針部27が陰影11に向かって線25上を移動する。ニードルガイド23がL-C=Dだけ上方に移動すると、ターゲット指針部27と陰影11が正面視で重なった状態になる。この重なった位置でニードルガイド23の移動を停止する。
【0035】
図6は、ニードルガイド23が基点位置17から上記移動をすることによって、ターゲット指針部27と陰影11が重なった状態を示している。図6(B)には、ターゲット指針部27と陰影11が正面視で重なっている状態が示されている。また、図6(A)には、説明を解り易くするために、破線12によって、ニードルガイド23が基点位置17に位置する状態に対応する一定距離Cの位置が血管7に沿う形で示されている。
この状態で、針19をニードルガイド23の針ホルダー6の挿通孔21にセットし(図1(A)の針19の位置)、更に押し込むと、図6に示したように、針19の先端39が超音波プローブ3の先端9から距離Lの位置にある血管7を通るので、該血管7に穿刺することができる。
針19の先端39が血管7に到達すると、それが超音波プローブ3の超音波2によって検出され、モニタ15の表示画面29に針19の先端39が映る。従って、確認が容易である。
尚、ニードルガイド23の基点位置17と超音波プローブ3の先端9との距離をQ(図4)とすると、図6の状態では、ニードルガイド23は、基点位置17からDだけ上方に移動して超音波プローブ3の先端9との距離がQ+Dになっている。
【0036】
[ L>Cである場合 ]
超音波プローブ3が超音波2を送受信することによって血管7の深さ位置に対応する距離Lを求めること、その求めた血管7の位置をモニタ15の表示画面29に陰影11として表示することについては、上記した「L<Cである場合」と同様なので、その説明は省略する。
ニードルガイド23をターゲット指針部27が陰影11に近づく方向に移動させるが、ニードルガイド23の移動方向は、上記の「L<Cである場合」と逆で、下方に移動させる。
ニードルガイド23の下方への移動によってターゲット指針部27と陰影11が正面視で重なった状態になったら、その重なった位置でニードルガイド23の移動を停止する。
【0037】
図7は、ニードルガイド23が基点位置17から下方に移動することによって、ターゲット指針部27と陰影11が重なった状態を示している。図7(B)には、ターゲット指針部27と陰影11が正面視で重なっている状態が示されている。
この状態で、針19をニードルガイド23の針ホルダー6の挿通孔21にセットして押し込むと、図7(A)に示したように、針19の先端39が超音波プローブ3の先端9から距離Lの位置にある血管7を通るので、該血管7に穿刺することができる。
尚、図7の状態では、ニードルガイド23は、基点位置17からDだけ下方に移動しているので、超音波プローブ3の先端9との距離がQ-Dになっている。
【0038】
<実施形態1の効果の説明>
(1)本実施形態によれば、ニードルガイド23の距離Lの方向への直線移動、即ち皮膚5の表面からの深さ方向への直線移動に対応して、ターゲット指針部27が表示画面29上に表示される陰影11に向かう線25上を該陰影11に向かって移動する。そして、ニードルガイド23とターゲット指針部と表示画面29上の陰影11と針19の穿刺位置の位置関係は、ニードルガイド23を距離Lの方向に移動させることによりターゲット指針部27の位置と陰影11の位置とを重なる状態にし、前記「重なる状態」でニードルガイド23の挿通孔21を介して針19を挿通したときに針19の先端39が皮膚5の下の距離Lの位置にある対象部7である血管7を通るように構成されている。
これにより、ニードルガイド23を直線移動させてターゲット指針部27の位置と陰影11の位置とを「重なる状態」にすれば、ニードルガイド23の挿通孔21を介しての針19の穿刺位置を皮膚5の下の対象部7である血管7に位置合わせすることができる。その際、ニードルガイド23に保持されている針19の姿勢すなわち角度は、変化しない。即ち、針19は同じ角度の状態で距離Lの方向へ直線移動する。
従って、本実施形態によれば、穿刺する対象部7によっては適正な角度で穿刺することが求められる場合においても、予めニードルガイド23に保持される針19の角度、即ち挿通孔21の角度を前記適正な角度に設定するようにするだけで、容易に対応することができる。
また、従来の角度位置検出器のようなセンシング機器を必要としないので、構造を単純化することができる。更に、針19は同じ姿勢の状態で距離Lの方向へ直線移動するので、当該穿刺装置1の皮膚5の表面と平行な面内における専有面積が変動しない。従って、使い勝手が良いと言える。
【0039】
(2)また、本実施形態によれば、超音波プローブ3に固定されているモニタ15の表示画面にはニードルガイド23の前記移動に対応して同方向に移動する透明カバー31が設けられ、ターゲット指針部27は透明カバー31に付されて一体化されている。そして、透明カバー31と一体のターゲット指針部27を表示画面29上の陰影11に向かって移動させるとターゲット指針部27が表示画面29上の陰影11の位置と「重なる状態」になるように構成されている。
従って、前記「重なる状態」を、ニードルガイド23の前記移動に対応して同方向に移動する透明カバー31の移動によって簡単に実現することができる。言い換えると、前記「重なる状態」を透明カバー31を用いた簡単な機械的な構造によって実現することができる
また、表示画面29上の陰影11が透明カバー31を介して視認できるので、前記「重なる状態」を簡単に確認することができる。
【0040】
(3)また、本実施形態によれば、ニードルガイド23が基点位置17に位置する状態で挿通孔21を介して針19を挿通したときに、針19の先端39が超音波プローブ3の先端9から一定距離Cのデフォルト位置33を通るように構成されている。これにより、ターゲット指針部27と表示画面29上の陰影11とが重なっていない場合に、ニードルガイド23の位置をL-C=Dの距離移動させると、表示画面29上の陰影11とターゲット指針部27とを重なる状態にすることが可能になる。
従って、超音波プローブ3によって皮膚5の下の対象部7までの距離Lが検出されれば、ニードルガイド23の位置をL-C=Dの距離、前記距離Lの方向に移動させることで前記「重なる状態」になり、以ってニードルガイド23の挿通孔21を介しての針19の穿刺位置を皮膚5の下の対象部7に簡単に位置合わせすることができる。
【0041】
(4)また、本実施形態によれば、ニードルガイド23の移動量とターゲット指針部27の移動量の移動量が同じになるので、使用者が目にする寸法が全て実寸で示されることになり、感覚的に操作し易いという効果が得られる。
【0042】
[実施形態2]
次に、本発明の実施形態2に係る穿刺装置1について、図8に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の穿刺装置1は、透明カバー31を用いない点だけが実施形態1と異なり、モニタ15は超音波プローブ3に固定されていること等、その他の構造は同様であるので、その同じ部分の説明は省略する。
本実施形態では、図8に示したように、ターゲット指針部27はニードルガイド23と一体に移動するように構成されている。具体的には、箱体4の前面が開口されており、この開口部分にターゲット指針部27は配置されている。ここでは箱体4の右側面14の前面側にアーム16を介して取り付けられている。
ターゲット指針部27と表示画面29上の陰影11とは、ターゲット指針部27が表示画面29上の陰影11に向かって線25上を移動することで前記重なる状態になることも、実施形態1と同様である。
【0043】
ターゲット指針部27をニードルガイド23と一体に移動するようにする構成は、箱体4の右側面14の前面側にアーム16を介して取り付けられる構造に限定されないことは勿論である。例えば、ターゲット指針部27をニードルガイド23の針ホルダー6に取り付けてもよい。
【0044】
本実施形態によれば、モニタ15は超音波プローブ3に固定されており、更に、ターゲット指針部27はニードルガイド23と一体に移動するように構成されている。これにより、ニードルガイド23を移動させてターゲット指針部27を表示画面29上の陰影11に向かって移動させると該ターゲット指針部27が表示画面29上の陰影11の位置と「重なる状態」になる。
従って、前記「重なる状態」を、ニードルガイド23の移動によって簡単に実現することができる。言い換えると、前記「重なる状態」を、ターゲット指針部27がニードルガイド23と一体に移動するという簡単な構造によって容易に実現することができる。
【0045】
[実施形態3]
次に、本発明の実施形態3に係る穿刺装置1について、図9に基づいて詳細に説明する。図9(A)は対象部7の深さである距離Lが大きい場合、図9(B)は対象部7の深さである距離Lが図9(A)よりは浅い場合、図9(C)は対象部7の深さである距離Lが図9(B)より浅い場合を示している。
本実施形態の穿刺装置1は、ターゲット指針部27をモニタ15の表示画面29内に陰影11と一緒に表示させた点が実施形態1や実施形態2と相違する。
【0046】
本実施形態では、ニードルガイド23は、超音波プローブ3に駆動部35によって移動可能に取り付けられ、駆動部35の動作及びモニタ15の表示を制御する制御部37を備えている。更に、ニードルガイド23が超音波プローブ3の基点位置17に位置する状態で挿通孔21を介して針19を挿通したときに針19の先端39が超音波プローブ3の先端9から一定距離Cのデフォルト位置33を通るように構成されている。
【0047】
更に本実施形態では、表示画面29はターゲット指針部27の位置も表示している。
制御部37は、表示画面29上において陰影11がターゲット指針部27と重なっていない場合に、駆動部35によってニードルガイド23の位置を基点位置17から移動させ、該移動に連動して表示画面29に表示されている陰影11とターゲット指針部27の一方を他方に向かって移動させる。
ここでは、ターゲット指針部27が表示画面29上で位置が固定され、陰影11がターゲット指針部27に向かって線25上を移動するように構成されている。尚、陰影11が表示画面29上で位置が固定され、ターゲット指針部27が陰影11に向かって線25上を移動するように逆の構成にしてもよい。
そして、ニードルガイド23の位置をL-C=Dの距離移動させると、表示画面29上の陰影11とターゲット指針部27とが重なるように構成されている。
【0048】
更に本実施形態では、モニタ15は、超音波プローブ23ではなく、ニードルガイド23に固定され、ニードルガイド23の移動と一体に移動する構造である点も実施形態1や実施形態2と相違する。
また、本実施形態では、ニードルガイド23の移動量と陰影11の移動量とは、1:1の関係に構成されている。即ち、ニードルガイド23が1cm移動すると、陰影11も1cm移動し、ニードルガイド23が2.5cm移動すると、陰影11も2.5cm移動する関係に構成されている。
【0049】
尚、ニードルガイド23の移動量と陰影11の移動量とは、1:1の関係に限定されないことは勿論であり、一定の相関をもって構成されていればよい。例えば、ニードルガイド23が1cm移動すると、陰影11は2cm移動するというように、ニードルガイド23の移動量に対して、陰影11は2倍移動する関係、即ち移動量を拡大する関係で構成してもよい。勿論、ニードルガイド23の移動量に対して、陰影11の移動量を0.5倍等のように縮小する関係で構成してもよい
その他の構成は、実施形態1又は実施形態2と同様であるので、同一部分に同一符号を付して、その説明を省略する。また、実施形態1又は実施形態2と同様の作用及び効果についてもその説明は省略する。
【0050】
本実施形態によれば、表示画面29は、ターゲット指針部27の位置も表示している。そして、制御部37は、表示画面29上において陰影11がターゲット指針部27と重なっていない場合に、駆動部35によってニードルガイド23の位置を基点位置17から移動させ、該移動に連動して表示画面29に表示されている陰影11がターゲット指針部27に向かって移動させるように構成されている。よって、制御部37の制御信号によってニードルガイド23の位置をL-C=Dの距離移動するように動作させることで、表示画面29上のターゲット指針部27と陰影11とを重なる状態にすることができる。
これにより、超音波プローブ3によって皮膚5の下の対象部7までの距離Lが検出されれば、制御部37はニードルガイド23の位置をL-C=Dの距離、前記距離Lの方向に移動させるように制御することで前記「重なる状態」になる。言い換えると、制御部37の制御信号によって自動的に前記「重なる状態」を実現することができる。
従って、ニードルガイド23の挿通孔21を介しての針19の穿刺位置を皮膚5の下の対象部7に位置合わせすることを自動的に行うことができ、使用者は前記「重なる状態」になったら針19を差し込むだけでよく、使い勝手がよい。
【0051】
[実施形態4]
次に、本発明の実施形態4に係る穿刺装置1について、図10に基づいて詳細に説明する。図10(A)は対象部7の深さである距離Lが大きい場合、図10(B)は対象部7の深さである距離Lが図10(A)よりは浅い場合、図10(C)は対象部7の深さである距離Lが図10(B)より浅い場合を示している。
本実施形態の穿刺装置1は、モニタ15が超音波プローブ3及びニードルガイド23のいずれとも別体に構成されている点、及びニードルガイド23の移動に連動して表示画面29に表示されているターゲット指針部27が陰影11に向かって移動するように構成されている点が実施形態3と相違する。図10において、符号18は配線を示し、配線18によって超音波プローブ3とモニタ15が電気的に接続されている。尚、配線18ではなく無線で接続してもよい。
【0052】
具体的には、陰影11が表示画面29上で位置が固定され、ターゲット指針部27が陰影11に向かって線25上を移動するように構成されている。尚、ターゲット指針部27が表示画面29上で位置が固定され、陰影11がターゲット指針部27に向かって線25上を移動するように逆の構成にしてもよい。
そして、ニードルガイド23の位置をL-C=Dの距離移動させると、表示画面29上の陰影11とターゲット指針部27とが重なるように構成されている。
その他の構成は、実施形態3と同様であるので、同一部分に同一符号を付して、その説明を省略する。また、本実施形態の効果も実施形態3と同様であるのでその説明は省略する。
【0053】
〔他の実施形態〕
本発明の実施形態に係る穿刺装置1は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことは勿論可能である。
【0054】
(1)上記実施形態の説明では、対象部7は血管であるとして説明したが、対象部7は血管に限定されない。超音波プローブ3によって距離Lを求めることが可能な臓器、治療対象部等も本発明の対象部7に含まれる。
(2)ニードルガイド23の基点位置17は、ニードルガイド23の移動範囲内のどこかの位置でよいとしたが、この基点位置17を皮膚5の表面から最も浅い側、或いは最も深い側に設定するのが好ましい。これにより、対象部7までの距離Lがそれぞれ変わってもニードルガイド23の移動方向を下方、又は上方の一方向への移動で前記重なる状態を実現することができ、使い易い。
(3)実施形態1と実施形態2ではニードルガイド23が箱体4を有する構造として説明したが、この箱体4は必須の構成要素ではない。実施形態1において、箱体4がなくても透明カバー31を上記のように移動できる構造であればよい。また実施形態2において同様である。
(4)上記実施形態では、超音波プローブ3の先端9から超音波2を送受信して距離Lを求める際に、ニードルガイド23は基点位置17に位置するとして説明した。しかし、これに限定されず、ニードルガイド23が任意の位置にある状態で距離Lを求めるようにしてもよい。ニードルガイド23の移動によって陰影11とターゲット指針部27とが重なる状態を実現できればよい。
【符号の説明】
【0055】
1 穿刺装置、2 超音波、3 超音波プローブ、4 箱体、5 皮膚、
6 針ホルダース、7 対象部、8 ライン、9 先端、10 マーク、11 陰影、
12 破線、13 原点、14 箱体の右側面、15 モニタ、16 アーム、
17 基点位置、18 配線、19 針、21 挿通孔、23 ニードルガイド、
25 線、27 ターゲット指針部、29 表示画面、31 透明カバー、
33 デフォルト位置、39 先端、C 一定距離、D L-C、L 距離、
Q 基点位置と超音波プローブの先端との距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10