(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169094
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】手桶
(51)【国際特許分類】
A47K 1/04 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
A47K1/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074925
(22)【出願日】2021-04-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイト(https://www.makuake.com/project/kakeru-bath-chair/)にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】519440113
【氏名又は名称】有限会社ケイテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】華地山 昇治
(72)【発明者】
【氏名】竹内 伸公
(57)【要約】
【課題】入浴者や清掃者などの邪魔にならないように水切りすること。
【解決手段】底壁21に沿って周壁23が設けられた桶部2に柄部4とフック部6が一体に設けられた手桶1において、周壁23を挟んで反対の位置に柄部4とフック部6を設ける。柄部4は、桶部2の開口端部外周面から外向きに突出するように設けられる。フック部6は、柄部4より底壁21に近い位置から底壁21側に向かって設けられ、先端部62が底壁21側に屈曲されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁に沿って周壁が設けられた桶部に柄部とフック部が一体に設けられた手桶において、
前記柄部と前記フック部は、前記周壁を挟んで反対の位置に設けられ、
前記フック部は、前記柄部より底壁に近い位置から底壁側に向かって設けられていること、
を特徴とする手桶。
【請求項2】
請求項1に記載する手桶において、
前記柄部は、前記桶部と同じ方向に開口する凹部を有し
前記凹部の内周面と前記周壁の内周面との接続部分が円弧状に形成されていること、
特徴とする手桶。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する手桶において、
前記桶部は、前記フック部に対応する位置に段差部を有し、
前記フック部は、前記段差部との間にフック溝を形成されていること、
を特徴とする手桶。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか一つに記載する手桶において、
前記フック部を下側にして自立可能であること、
を特徴とする手桶。
【請求項5】
請求項4に記載する手桶において、
前記フック部を下側にして自立した場合に、前記周壁のうち前記フック部に対応する部分が前記底壁と反対に位置する開口端部側を底壁側に位置する閉鎖端部側より下に配置するように、前記フック部が前記周壁に設けられていること、
を特徴とする手桶。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載する手桶において、
前記周壁は、底壁側から前記底壁と反対側へ向かって拡径して設けられ、前記桶部の開口端縁に対して傾斜しており、
前記フック部は、前記桶部の開口端縁に対して垂直方向に設けられていること、
を特徴とする手桶。
【請求項7】
請求項4から請求項6の何れか一つに記載する手桶において、
前記フック部は、屈曲部を有し、前記屈曲部に貫通穴が形成されていること、
を特徴とする手桶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、桶部に柄部を一体に設けた手桶に関する。
【背景技術】
【0002】
桶部に柄部を一体に設けた手桶は、例えば、浴室で使用される。入浴者は、例えば、浴槽の湯水を手桶ですくって体にかけ、石けんや汚れなどを洗い流す。従来、浴槽の縁やタオル掛けに引っ掛けるフック部を桶部に一体に設けた手桶が提案されている(例えば特許文献1~特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60-138491号公報
【特許文献2】実開昭61-118489号公報
【特許文献3】実開昭63-108388号公報
【特許文献4】実開平2-124091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
浴室で使用される手桶は、石けんや垢などの汚れが付着し、しかも、使用後も湿度の高い浴室に置かれることが多い。カビや雑菌の増殖あるいは繁殖を防ぐため、使用した手桶は、水切りして乾燥させることが望ましい。しかし、特許文献2、特許文献3、特許文献4に記載される手桶は、浴槽の縁にフック部を引っ掛けた際に桶部の開口部が上向きにされていた。この状態では、石けんや垢などの汚れを含む湯水が桶部に残り、カビや雑菌が手桶で増殖あるいは繁殖しやすかった。
【0005】
これに対して、特許文献1に記載される手桶は、例えば、浴室の壁面に固定されたタオル掛けにフック部を引っ掛けた際に桶部の開口部が斜め下向きになり、水切りされる。しかし、特許文献1に記載される手桶は、柄部から桶部の底壁側に真っ直ぐずれた位置、つまり、柄部の真下、にフック部が設けられ、そのフック部の先端部が柄部側に向かって屈曲していた。このような構成を有する手桶は、例えば、タオル掛けにフック部を引っ掛けた場合、桶部が浴室側に大きく出っ張ってしまい、入浴時や風呂掃除時に邪魔になることがあった。
【0006】
また、特許文献1には、桶部を挟んで柄部と対向する位置にフック部を設ける手桶が開示されている。そのフック部は、桶部の開口端部から桶部の底壁と反対向き、つまり、桶部の上方、に突き出し、先端部が桶部側に向かって屈曲するように設けられていた。このような構成を有する手桶は、桶部の開口部を浴室の壁面側に向けた姿勢で、フック部がタオル掛けに引っ掛けられるため、浴室の壁面から浴室側に大きく出っ張ってしまい、入浴時や風呂掃除時に邪魔になることがあった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、柄部とフック部が桶部に一体に設けられた手桶において、入浴者や清掃者などの邪魔にならないように水切りする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、次のような構成を有している。(1)底壁に沿って周壁が設けられた桶部に柄部とフック部が一体に設けられた手桶において、前記柄部と前記フック部は、前記周壁を挟んで反対の位置に設けられ、前記フック部は、前記柄部より底壁に近い位置から底壁側に向かって設けられていること、を特徴とする。
【0009】
このような構成を有する手桶は、例えば、桶部の開口部を浴室側に向け、さらに、底壁を斜め下向きとする姿勢で、フック部がタオル掛けに引っ掛けられる。手桶に付着した湯水は、自重によって桶部から柄部へ流下し、柄部の先端部から外部に排出され、手桶1が水切りされる。手桶は、フック部が桶部の底壁付近に設けられているので、柄部の真下にフック部を設けたり、桶部を挟んで柄部と反対側の位置に桶部の開口端部から上方に突き出すようにフック部を設けたりする場合と比べ、フック部をタオル掛けに引っ掛けたときに桶部が浴室の壁面から浴室側に出っ張る量を小さくできる。よって、上記構成の手桶によれば、入浴者や清掃者などの邪魔にならないようにタオル掛け等に吊り下げて水切りすることができる。
【0010】
(2)(1)に記載する手桶において、前記柄部は、前記桶部と同じ方向に開口する凹部を有し前記凹部の内周面と前記周壁の内周面との接続部分が円弧状に形成されていること、が好ましい。
【0011】
このような構成を有する手桶は、例えばフック部を介してタオル掛けに吊り下げた場合に、桶部の内周面に付着した湯水を柄部の凹部に集め、柄部の先端部から排出しやすい。
【0012】
(3)(1)または(2)に記載する手桶において、前記桶部は、前記フック部に対応する位置に段差部を有し、前記フック部は、前記段差部との間にフック溝を形成されていること、が好ましい。
【0013】
このような構成を有する手桶は、フック部を桶部の開口端縁より内側に設けやすくなり、例えば、フック部をタオル掛けに引っ掛けたときに、桶部が浴室の壁面から浴室側に出っ張る量を小さくできる。
【0014】
(4)(1)から(3)の何れか一つに記載する手桶において、前記フック部を下側にして自立可能であること、が好ましい。
【0015】
このような構成を有する手桶は、例えばタオル掛けがない、或いは、タオル掛けを使用しない場合でも、手桶を自立させて水切りできる。
【0016】
(5)(4)に記載する手桶において、前記フック部を下側にして自立した場合に、前記周壁のうち前記フック部に対応する部分が前記底壁と反対に位置する開口端部側を底壁側に位置する閉鎖端部側より下に配置するように、前記フック部が前記周壁に設けられていること、が好ましい。
【0017】
このような構成を有する手桶は、自立したときに、桶部の周壁のうちフック部に対応する部分に流下した湯水が桶部の開口部から外部へ自然に流出し、水切りしやすい。
【0018】
(6)(4)または(5)に記載する手桶において、前記周壁は、底壁側から前記底壁と反対側へ向かって拡径して設けられ、前記桶部の開口端縁に対して傾斜しており、前記フック部は、前記桶部の開口端縁に対して垂直方向に設けられていること、が好ましい。
【0019】
このような構成を有する手桶は、フック部を下側にして自立したときに、桶部及びフック部と設置面との間に隙間が形成され、通気性を確保できる。また、手桶の自立時にフック部が設置面に接触する面積を小さくできる。よって、上記構成を有する手桶によれば、自立時に衛生的に水切りすることができる。
【0020】
(7)(4)から(6)の何れか一つに記載する手桶において、前記フック部は、屈曲部を有し、前記屈曲部に貫通穴が形成されていること、が好ましい。
【0021】
このような構成を有する手桶は、自立した場合に、湯水がフック部に溜まりにくく、フック部にカビや雑菌等が増殖あるいは繁殖することを抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、フック部を介してタオル掛け等に引っ掛けることが可能な手桶において、入浴者や清掃者などの邪魔にならないように水切りする技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る手桶の外観斜視図である。
【
図8】手桶を吊り下げて水切りする場合について説明する図である。
【
図9】手桶を自立させて水切りする場合について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本形態の手桶について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本明細書では、浴室で使用される手桶について開示する。
図1は、本発明の一実施形態に係る手桶1の外観斜視図である。
図2は手桶1の側面図である。
図3は、
図2のA方向矢視図である。
図4は、
図2のB方向矢視図である。
図5は、
図5のC方向矢視図である。
図6は、
図2のB方向矢視図である。
図7は、
図3のE-E断面図である。
【0025】
図1及び
図2に示すように、手桶1は、プラスチック成形品であり、桶部2に柄部4とフック部6が一体に設けられている。柄部4とフック部6は桶部2を挟んで反対の位置に設けられている。
【0026】
図3に示すように、桶部2は、底壁21に沿って周壁23が設けられ、一方に開口するコップ形状をなす。
図7に示すように、底壁21は桶部2の開口端縁2bに対して略平行に設けられている。周壁23は、底壁21側から底壁21と反対側(桶部2の開口部側)に向かって拡径して設けられ、桶部2の開口端縁2bに対して傾斜している。
【0027】
図2及び
図4に示すように、周壁23は、底壁21と反対側に位置する端部の外周面に、柄部4が外向きに突出して設けられている。柄部4は、桶部2の開口端縁2bと面一に設けられている。
図4に示すように、柄部4は、先端側から見た形状が半円形状あるいはD形状となるように形成され、手で握りやすくされている。
【0028】
図3及び
図7に示すように、柄部4は、桶部2と同じ方向に開口する凹部41を有し、凹部41の内周面41aが円弧状あるいはD形状に形成されている。凹部41は、柄部4の先端部に対応する位置に緩やかな傾斜面41cを備えている。凹部41の内周面41aと桶部2の内周面2a(周壁23の内周面23a)とが接続する接続部分5は、円弧状に形成され、凹部41の内周面41aと桶部2の内周面2a(周壁23の内周面23a)とがなだらかに接続している。
【0029】
図2及び
図7に示すように、周壁23は、柄部4に対して周壁23の周方向反対側となる位置に、フック部6が設けられている。フック部6は、柄部4より底壁21に近い位置から、底壁21側に向かって設けられている。
図2及び
図6に示すように、フック部6は、桶部2の開口端縁2bより内側に設けられており、
図3に示すように、桶部2の開口端縁2bが円形状に設けられている。
【0030】
図2及び
図7に示すように、桶部2は、フック部6に対応する位置に段差部25を有している。段差部25は、周壁23に対して径方向内側に凹むように設けられている。フック部6は、段差部25との間にフック溝61を形成されている。フック部6は、桶部2の開口端縁2bに対して垂直方向に設けられている。フック部6は、先端部62が底壁21側に屈曲し、底壁21の側方に先端部62を配置している。
【0031】
図5に示すように、手桶1は、フック部6を下側にして自立できるように、フック部6の横幅W1が設定されている。例えば、フック部6の横幅W1は、
図4に示す柄部4の横幅W2以上にされている。なお、
図6及び
図7に示すように、フック部6は、貫通穴63が先端部62に形成されている。
【0032】
続いて、手桶1の使用方法について説明する。例えば、入浴者は、浴室で体を洗う際に、一方の手で柄部4を握って浴槽の湯水を桶部2で掬い、体にかける。入浴者は、一方の手で柄部4を持ち、他方の手の指を柄部4と桶部2を挟んで反対側に設けたフック部6に引っ掛けることで、手桶1を両手でしっかり持つことができるので、柄部4の肉厚や柄部4と桶部2との接続部分5の肉厚が薄くても、手桶1を扱い易い。なお、手桶1は、
図2に示すように、フック部6と桶部2との間が補強部7によって補強されているので、使用時にフック部6が変形したり、破損したりしにくい。
【0033】
手桶1は、桶部2の開口端縁2bより内側に、つまり、桶部2の外側に張り出さないように、フック部6が桶部2に一体に設けられている。そのため、入浴者が手桶1を使用する際にフック部6が邪魔になりにくい。
【0034】
例えば、
図2に示すように、手桶1は、段差部25により底壁21と周壁23との間に段差が設けられており、底壁21の面積が段差部25を備えない場合より小さくされている。そのため、例えば、湯水を桶部2に入れた状態で浴室の床や洗面台などの設置面14に手桶1を置いた場合、手桶1が段差部25側に傾く虞がある。しかし、手桶1は、段差部25に対応する位置にフック部6が設けられ、そのフック部6の先端部62が底壁21の側方に位置している。そのため、フック部6は、底壁21の横で先端部62を設置面14に当接させ、手桶1が段差部25側に傾かないように桶部2を支えることができる。よって、手桶1は、湯水を桶部2に入れた状態で洗面台などに安定して置くことができ、使い易い。なお、段差部25を備える手桶1は、段差部25を備えない場合より桶部2の容量が少ない。よって、手桶1は、水の使用量を抑制できる。
【0035】
使用された手桶1は、例えば
図8に示すように、浴室の壁面10に固定されたタオル掛け12に吊り下げることで、水切りすることができる。
【0036】
すなわち、手桶1は、フック溝61の開口部からタオル掛け12のバー12aが挿入され、フック部6を介してバー12aに吊り下げられる。フック部6の先端部62が底壁21の側方に位置し、フック溝61が底壁21付近に設けられているので、手桶1は、手桶1の重心より底壁21側にてバー12aに支持される。そのため、手桶1は、桶部2の開口部を浴室側(浴室の壁面10と反対側)に向けた状態で、バー12aを支点に底壁21側(図中K方向)に回転する。バー12aが壁面10から離れた位置にあるため、手桶1は、底壁21と周壁23とが連接する連接部分のうち、フック部6と反対側の部分Pを、浴室の壁面10に当接させるまで回転する。これにより、手桶1は、底壁21が斜め下向きになる姿勢でバー12aに吊り下げられる。
【0037】
手桶1は、フック部6と桶部2を挟んで反対側に設けた柄部4が、桶部2の開口端部外周面(周壁23の底壁21と反対側に位置する端部の外周面)から外向きに突出して設けられている。そのため、手桶1は、柄部4を壁面10に接触させない状態で、柄部4を下側にして、バー12aに吊り下げられる。このとき、柄部4は、凹部41の開口部を斜め下向きに向けている。
【0038】
使用後の手桶1をバー12aに吊り下げた場合、桶部2の内周面2aに付着した湯水は、図中矢印F1に示すように、周壁23のうち柄部4に対応する部分23ayへ向かって自重で流下する。部分23ayが、底壁21と反対側の開口端部側X21を底壁21側の閉鎖端部側X22より下に配置しているので、湯水は、図中矢印F2に示すように柄部4へ向かって流れる。桶部2の内周面2a(周壁23の内周面23a)と柄部4に設けられた凹部41の内周面41aとが円弧状の接続部分5を介してなだらかに接続されているため、湯水は、部分23ayから接続部分5を介して凹部41の内周面41aへ円滑に流下する。
【0039】
凹部41へ流れた湯水は、矢印F3に示すように、内周面41aに沿って自然に流下し、傾斜面41cから外部へ排出される。柄部4が壁面10に接触していないので、湯水は傾斜面41cからそのまま浴室の床に落下する。また、手桶1は、桶部2と凹部41が浴室側に開口しているので、湿度が高い空気が桶部2や凹部41内で淀みにくい。よって、手桶1は、フック部6をタオル掛けに引っ掛けることで、短時間で水切りされ、カビや雑菌の増殖あるいは繁殖が抑制される。
【0040】
使用された手桶1は、例えば
図9に示すように、フック部6を下側にして床や洗面台などの設置面14に自立させることでも、水切りすることができる。
【0041】
すなわち、手桶1は、柄部4と桶部2を挟んで反対側に設けたフック部6が所定の横幅W1で形成されており、フック部6を設置面14に当接させることで自立する。フック部6が桶部2の開口端縁2bより内側に設けられているので、手桶1は、設置面14に対して垂直となる位置L1から底壁21側に所定角度θ1傾いた姿勢で自立する。これにより、手桶1は、自立時には常に、フック部6と反対向きに延設された柄部4によって、底壁21側への力がかかる。その力は、桶部2を挟んで柄部4と反対側に設けたフック部6によって支えられるので、手桶1は、自立時に倒れ難い。
【0042】
手桶1は、自立時に、周壁23のうちフック部6に対応する部分23axが底壁21と反対側に位置する開口端部側X11を底壁21側に位置する閉鎖端部側X12より下に配置するように、フック部6が設けられている。そのため、手桶1に付着した湯水は、図中矢印F11、F12、F13に示すように、凹部41の内周面41aや桶部2の内周面2aから、周壁23のうちフック部6に対応する部分23axへ、自然に流下し、さらに、図中矢印F14に示すように、閉鎖端部側X12から開口端部側X11へ流れて外部に排出される。よって、手桶1は、フック部6を下側にして自立することで、短時間で水切りされ、カビや雑菌などの増殖あるいは繁殖が抑制される。
【0043】
手桶1の外周面に付着した湯水も、自重でフック部6側へ流下する。そのため、フック溝61を形成するフック部6の内周面に湯水が溜まる虞がある。しかし、フック部6には貫通穴63が形成されている。そのため、フック部6の内周面に流下した湯水は、図中矢印F15に示すように貫通穴63から排出され、フック部6の内周面にカビや雑菌などが増殖あるいは繁殖することを抑制できる。
【0044】
また、手桶1は、周壁23が桶部2の開口端縁2bに対して傾斜しているのに対し、フック部6が桶部2の開口端縁2bに対して垂直方向に設けられている。そのため、フック部6を下側にして手桶1を自立させた場合、開口端縁2bの一部P2が設置面14に接触する一方、フック部6の屈曲部P3が設置面14に接触し、開口端縁2bの一部P2とフック部6の屈曲部P3との間に隙間S1が形成される。これにより、手桶1は、設置面14との接触面積を極力小さくして自立することができ、しかも、手桶1と設置面14との間の通気性を確保できるので、フック部6などにカビや雑菌が増殖あるいは繁殖することを抑制できる。
【0045】
ここで、フック部6は、横幅方向に沿って切断した断面がV字あるいはU字形状となるように設けられている。これにより、フック部6を下側にして手桶1を自立させた場合にフック部6と設置面14との接触面積が小さくなり、フック部6にカビや雑菌などが増殖あるいは繁殖しにくい。
【0046】
なお、手桶1は、入浴時に洗面台などに自立させてもよい。この場合、柄部4が上向きにされるので、手桶1を置くスペースを小さくできる。また例えば、小さな子供や老人が入浴する場合、柄部4が入浴者の邪魔にならないように手桶1を洗面台などに置くことができる。これにより、子供や老人が柄部4につまずいて転ぶなどの事故や、手が柄部4に引っ掛かって洗面台から手桶1を落下させるなどの不快さなどを、防ぐことが期待できる。また、そのまま手桶1を放置しても、手桶1は、上述したように水切りされてカビや雑菌などの増殖あるいは繁殖が抑制されるので、使い勝手が良い。
【0047】
以上説明したように、本形態の手桶1は、例えば、桶部2の開口部を浴室側に向け、さらに、底壁21を斜め下向きとする姿勢で、フック部6がタオル掛け12に引っ掛けられる。手桶1の内周面に付着していた湯水は、自重で桶部から柄部へ流下し、柄部の先端部から外部に排出され。手桶が水切りされる。手桶1は、フック部6が桶部2の底壁付近に設けられているので、柄部の真下にフック部を設けたり、桶部を挟んで柄部と反対側の位置に桶部の開口端部から上方に突き出すようにフック部を設けたりする場合と比べ、フック部6をタオル掛けに引っ掛けたときに桶部2が浴室の壁面10から浴室側に出っ張る量を小さくできる。よって、本形態の手桶1によれば、入浴者や清掃者などの邪魔にならないようにタオル掛け12等に吊り下げて水切りすることができる。
【0048】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。例えば、手桶1は、洗面所など、浴室以外の場所で使用されてもよい。この場合、手桶1は、例えば洗面所のタオル掛けに吊り下げられてもよい。
【0049】
例えば、柄部4に凹部41を設けなくてもよい。また、柄部4の形状は図示する形状に限らず、例えば指を引っ掛けやすいように波形に形成してもよい。
【0050】
例えば、桶部2に段差部25を設けなくてもよい。また、段差部25の形状は図示する形状でなくてもよい。ただし、桶部2とフック部6との間にタオル掛け12のバー12aを入れやすいように段差部25を桶部2設けることで、手桶1をタオル掛け12に吊り下げた場合に桶部2が浴室の壁面10から出っ張る量を小さくできる。
【0051】
例えば、手桶1は、フック部6を下側にして自立しなくてもよい。ただし、フック部6を下側にして自立させることで、例えば、入浴時に柄部4が邪魔にならないように、手桶1を洗面台などに置くことができる。
【0052】
例えば、フック部6を桶部2の開口端縁2bに対して垂直方向に設けなくてもよい。また、手桶1を自立させた場合にフック部6と設置面14との間に隙間S1を形成しないようにフック部6を設けてもよい。
【0053】
例えば、フック部6に貫通穴63を形成しなくてもよい。貫通穴63は、長穴ではなく、複数の穴で構成してもよい。
【0054】
例えば、桶部2が、段差部25と開口端縁2bとの間に平坦な面を備え、開口端縁2bをD形状にしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 手桶
2 桶部
4 柄部
6 フック部
21 底壁
23 周壁