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特開2022-169096スペーサ及び該スペーサの使用方法、並びに格子状体の敷設方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169096
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】スペーサ及び該スペーサの使用方法、並びに格子状体の敷設方法
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/18 20060101AFI20221101BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
E04C5/18 104
E04G21/12 105D
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074929
(22)【出願日】2021-04-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年3月9日~3月12日に第27回「建築・建材展2021」にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】517386642
【氏名又は名称】ライズバレー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156959
【弁理士】
【氏名又は名称】原 信海
(72)【発明者】
【氏名】米澤 一
【テーマコード(参考)】
2E164
【Fターム(参考)】
2E164AA01
2E164BA45
2E164BA50
2E164CB11
(57)【要約】
【課題】 作業員に重労働を強いることなく、短時間で取り付けることができるスペーサ、スペーサの使用方法、格子状体を敷設する方法を提供する。
【解決手段】 第1側部11及び第2側部12は、壁部10の両端から頂部に向かうに従って底部20からの高さ寸法を漸次低くしてあり、第1側部11と第2側部12との間には、柱状の第1挟持部31が架設してある。第1側部11及び第2側部12の天井であって、第1挟持部31より少し壁部10の両端側の位置には、第2挟持部32,32が立設してある。この第2挟持部32と第1挟持部31との間の寸法は条材の直径に応じて定めてあり、両第2挟持部32,32及び前記第1挟持部31によって、条材を回動自在に挟持する条材挟持部30が構成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状に配した複数の縦条材及び複数の横条材が交差する部分を接合してなる格子状体に取り付けられ、当該格子状体と格子状体を施工する施工対象面との間に間隙を設けるスペーサにおいて、
格子状体を担持すべく、異なる方向へ延設された少なくとも2つの側部を有する壁部と、
該壁部に支持され、前記縦条材又は横条材を回動自在に挟持する条材挟持部と、
該条材挟持部に設けられ、条材挟持部内に挟持された縦条材又は横条材に外嵌係合する外嵌係合部と
を備え、
前記条材挟持部又は/及び外嵌係合部は可撓性を有する
ことを特徴とするスペーサ。
【請求項2】
前記壁部は、回転対称に配された第1側部及び第2側部を具備しており、
前記条材挟持部は、第1側部及び第2側部上に当接配置される前記縦条材又は横条材を挟持するように構成してある
請求項1記載のスペーサ。
【請求項3】
前記条材挟持部は、前記回転対称の中心側に配された第1挟持部と、それとは反対側に配された第2挟持部とを具備しており、
第1挟持部は前記第1側部と第2側部との間に架設してあり、
第2挟持部は前記第1側部及び第2側部にそれぞれ前記第1挟持部と対向配置してある
請求項2記載のスペーサ。
【請求項4】
前記第1側部及び第2側部には、その天井から底側の適宜位置に亘って設けられ、当該天井の長手方向へ互いに距離を隔てて配した2本の溝状凹部が形成してあり、
前記第2挟持部は両溝状凹部間に形成された支持部を具備する
請求項3記載のスペーサ。
【請求項5】
前記第2挟持部は、前記第1側部及び第2側部の天井にそれぞれ立設して構成してある請求項3記載のスペーサ。
【請求項6】
前記第1側部及び第2側部の底には底部が、当該第1側部と第2側部との間隙を塞止するように展設してあり、
前記壁部は、第1側部及び第2側部にてく字状に構成してあり、
該壁部の第1挟持部より先端側の部分は、他のスペーサの第1側部、第2側部、第1挟持部及び底部で囲まれる部分に嵌入させて、相互に連結し得るように構成してある
請求項3から5のいずれかに記載のスペーサ。
【請求項7】
前記壁部及び条材挟持部は、相互に連結された際に、各条材挟持部に挟持される縦条材又は横条材の中心軸が面一になるように構成してある請求項6記載のスペーサ。
【請求項8】
条材挟持部は、相互に連結された際に、各条材挟持部に挟持される縦条材又は横条材の中心軸が、当該縦条材又は横条材の外径に応じた寸法だけ異なるように構成してある請求項6又は7記載のスペーサ。
【請求項9】
前記条材挟持部は、前記回転対称の中心側に配された第1挟持部と、それとは反対側に配された第2挟持部とを具備しており、
対をなす第1挟持部及び第2挟持部が、前記第1側部及び第2側部にそれぞれ設けてある
請求項2記載のスペーサ。
【請求項10】
前記第1側部及び第2側部は板材で形成してあり、
対をなす第1挟持部及び第2挟持部は、対応する第1側部及び第2側部を切込んで形成してある
請求項9記載のスペーサ。
【請求項11】
前記第1側部及び第2側部には、その天井から底側の適宜位置に亘って設けられ、当該天井の長手方向へ互いに距離を隔てて配した2本の溝状凹部が形成してあり、
前記第2挟持部は両溝状凹部間に形成された支持部を具備する
請求項9記載のスペーサ。
【請求項12】
前記第1側部及び第2側部の外面にはそれぞれ、壁部の外側へ延出させた延出部が第1側部及び第2側部の長手方向の一端から他端に亘って設けてあり、両延出部の長手方向の適宜位置にはそれぞれ少なくとも2つの突出部が、延出部と面一に設けてあり、
更に、第1側部及び第2側部には他のスペーサに設けられた前記各突出部を嵌入させる嵌入部が設けてあり、
第1側部及び第2側部の嵌入部に他のスペーサに設けられた各突出部を嵌入させて、相互に連結し得るように構成してある
請求項9から11のいずれかに記載のスペーサ。
【請求項13】
前記第1側部及び第2側部の底には底部が、当該第1側部と第2側部との間隙を塞止するように展設してあり、
前記延出部及び突出部は前記底部にそれと面一に設けてある
請求項12記載のスペーサ。
【請求項14】
前記壁部及び条材挟持部は、相互に連結された際に、各条材挟持部に挟持される縦条材又は横条材の中心軸が面一になるように構成してある請求項12又は13記載のスペーサ。
【請求項15】
前記条材挟持部は、相互に連結された際に、各条材挟持部に挟持される縦条材又は横条材の中心軸が、当該縦条材又は横条材の外径に応じた寸法だけ異なるように構成してある請求項12から14のいずれかに記載のスペーサ。
【請求項16】
前記外嵌係合部は第2挟持部又は第1挟持部に設けてある
請求項3から15のいずれかに記載のスペーサ。
【請求項17】
前記外嵌係合部、及び外嵌係合部が設けられていない第1挟持部又は第2挟持部にはそれぞれ、挟持する縦条材又は横条材を条材挟持部の内部へ案内する案内部が設けてある請求項16記載のスペーサ。
【請求項18】
請求項6から8、又は、12から15のいずれかに記載のスペーサ複数を相互に連結させ、
重畳された複数の格子状体の縦条材又は横条材に、連結させた各スペーサの条材挟持部をそれぞれ対向配置させ、
各スペーサそれぞれに、その条材挟持部に対向する縦条材又は横条材へ向かう力を印加することによって、各スペーサの条材挟持部に、対向する縦条材又は横条材を挟持させて、各スペーサを対応する格子状体にそれぞれ取り付ける
ことを特徴とするスペーサの使用方法。
【請求項19】
請求項6から8、又は、12から15のいずれかに記載のスペーサ複数を相互に連結させ、
重畳された複数の格子状体の縦条材又は横条材に、連結させた各スペーサの条材挟持部をそれぞれ対向配置させ、
各スペーサそれぞれに、その条材挟持部に対向する縦条材又は横条材へ向かう力を印加することによって、各スペーサの条材挟持部に、対向する縦条材又は横条材を挟持させて、各スペーサを対応する格子状体にそれぞれ取り付け、
その後、重畳された各格子状体の内、最も上段に位置する格子状体を他の格子状体の上方へ引き上げることによって、当該格子状体に取り付けたスペーサを連結された他のスペーサから分離させ、引き上げた格子状体を施工対象面の適宜位置まで搬送して、その位置に設置する操作を繰り返す
ことを特徴とする格子状体の敷設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート内に埋設される溶接金網又は網状のフェンス等、縦条材と横条材とを格子状に構成してなる格子状体を施工対象面から離隔した位置に保持するためのスペーサ、及び該スペーサを使用する方法、並びに、該スペーサを取り付けて格子状体を敷設する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の床といった構造物を建造すべくコンクリートを打設する場合、当該構造物の強度を増大させ、また構造物にクラックが発生することを防止するために、コンクリート内に複数枚の溶接金網を埋設させている。
【0003】
図23は従来の溶接金網の施工方法を説明する説明図であり、図中、WMは溶接金網である。溶接金網WMは、複数の縦条材W1,W1,…と横条材W2,W2,…とを格子状に配してなり、縦条材W1,W1,…と横条材W2,W2,…とが交差する部分を相互に溶接にて固定してある。
【0004】
施工対象領域の周囲に図示しない型枠を立設しておき、当該型枠内の全域に複数の溶接金網WM,WM,…を敷設する。このとき、相隣る溶接金網WM,WMはその縁部が複数の枡目(図23にあっては1枡目)ずつ重畳するようにしてある。次に、溶接金網WM,WM,…を順に持ち上げ、図23に示したように、施工対象面と溶接金網WM,WM,…との間にブロック片又は石片といったスペーサ130,130,…を介装させ、スペーサ130,130,…上に溶接金網WM,WM,…を載置する。このようにスペーサ130,130,…上に溶接金網WM,WM,…を担持することによって、施工対象面から所定寸法だけ隔てた位置に溶接金網WM,WM,…を保持する。
【0005】
そして、相隣る溶接金網WM,WMの重畳部分に、例えば溶接金網上で作業する作業員によって踏まれた場合であっても相互ズレが発生することを防止するために、針金等の短寸の条材を用いてなる結束材B,B,…によって、重畳する両溶接金網WM,WMを相互に結束する。このようにして施工対象領域に溶接金網WM,WM,…への施工が終了した後、型枠内へコンクリートを溶接金網WM,WM,…が埋入する所定深さまで投入し、投入したコンクリートの表面を均すのである。
【0006】
しかし、前述した施工方法では、溶接金網WM,WM,…はスペーサ130,130,…上に載置されているだけであるため、前述した結束材B,B,…による結束作業中に各溶接金網WM,WM,…にずれが発生した場合、当該部分に配されたスペーサ130,130,…の位置を再度調整しなければならないという問題があった。そのため、後記する特許文献1には次のようなスペーサが開示されている。
【0007】
図24は特許文献1に開示されたスペーサの使用様態を示す斜視図である。スペーサ131は、5~6mm程度の直径の金属線材を屈曲成形してなり、所定距離を隔てて立ち上げた2本の立ち上がり部131c,131cと、両立ち上がり部131c,131cの間に形成され、溶接金網を構成する鉄線を支持する鉄線支持部131gと、両立ち上がり部131c,131cの下端からそれぞれ水平に折曲され、デッキプレートDP上に載置される載置部131b,131bとを備えている。また、前記鉄線支持部131gには、両立ち上がり部131c,131cの上端から水平方向へ延設した下側横向き部131d,131dと、両下側横向き部131d,131dからそれぞれ湾曲して立ち上がった弧状部131e,131eと、両弧状部131e,131eの上端間を繋ぐ水平な上側横向き部131fとを有し、側面視が扁平な螺旋状になしてある。ここで、両下側横向き部131d,131dと上側横向き部131fとの間の内寸は、溶接金網を構成する鉄線の外径より大きくしてある。
【0008】
このようなスペーサ131にあっては、デッキプレートDP上に敷設された溶接金網WMを持ち上げ、当該溶接金網WMを構成する鉄線を螺旋状の鉄線支持部131g内へ挿入し、その状態で当該溶接金網WMを下すことによって、スペーサ131の載置部131b,131bをデッキプレートDPに当接させ、スペーサ131をデッキプレートDP上に立脚させる。このとき、鉄線支持部131g内へ挿入された鉄線は、当該スペーサ131の両下側横向き部131d,131d上に担持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010-189855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されたスペーサ131にあっては、スペーサ131の鉄線支持部131g内へ溶接金網WMの鉄線を挿入させる作業は、前同様、一部を重畳させた各溶接金網WM,WM,…を作業員が持ち上げて行わなければならないため、作業員に重労働を強いるのに加え、溶接金網WMの鉄線へのスペーサ131の取り付け作業に比較的長い時間を要するという問題があった。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、作業員に重労働を強いることなく、短時間で取り付けることができるスペーサ、及び該スペーサを使用する方法、並びに、前記スペーサを取り付けて格子状体を敷設する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明に係るスペーサは、格子状に配した複数の縦条材及び複数の横条材が交差する部分を接合してなる格子状体に取り付けられ、当該格子状体と格子状体を施工する施工対象面との間に間隙を設けるスペーサにおいて、格子状体を担持すべく、異なる方向へ延設された少なくとも2つの側部を有する壁部と、該壁部に支持され、前記縦条材又は横条材を回動自在に挟持する条材挟持部と、該条材挟持部に設けられ、条材挟持部内に挟持された縦条材又は横条材に外嵌係合する外嵌係合部とを備え、前記条材挟持部又は/及び外嵌係合部は可撓性を有することを特徴とする。
【0013】
本発明のスペーサにあっては、格子状に配した複数の縦条材及び複数の横条材が交差する部分を接合してなる格子状体に取り付けられ、当該格子状体と格子状体を施工する施工対象面との間に間隙を設ける。ここで、スペーサは、異なる方向へ延設された少なくとも2つの側部を有する壁部を備えており、これによって壁部は施工対象面上に安定してその姿勢を保持することができ、従って、格子状体は壁部によって安定に担持される。
【0014】
更に、かかる壁部には格子状体の縦条材又は横条材を回動自在に挟持する条材挟持部が支持されており、この条材挟持部には、条材挟持部内に挟持された縦条材又は横条材に外嵌係合する外嵌係合部が設けられている。
【0015】
この条材挟持部又は/及び外嵌係合部は可撓性を有しており、これによって、条材挟持部に格子状体の縦条材又は横条材を対向させた状態で、当該条材挟持部に縦条材又は横条材へ向かう押力を印加すると、ワンタッチで縦条材又は横条材を条材挟持部に挟持させて、スペーサを格子状体に取り付けることができる。このとき、外嵌係合部が条材挟持部内に挟持された縦条材又は横条材に外嵌係合するので、挟持された縦条材又は横条材が条材挟持部から抜出することが防止される。これによって、作業員に重労働を強いることなく、短時間でスペーサを格子状体に取り付けることができる。
【0016】
(2)本発明に係るスペーサは、前記壁部は、回転対称に配された第1側部及び第2側部を具備しており、前記条材挟持部は、第1側部及び第2側部上に当接配置される前記縦条材又は横条材を挟持するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
本発明のスペーサにあっては、前述した壁部は、三角形の2斜辺、台形の2斜辺等、回転対称に配された第1側部及び第2側部を具備している。格子状体の縦条材又は横条材は、これら第1側部及び第2側部上を通るようにそれらの上に当接配置されるようになっており、条材挟持部は、第1側部及び第2側部上に当接配置される前記縦条材又は横条材を挟持するように構成してある。
【0018】
これによって、条材挟持部は、格子状体の縦条材又は横条材を回動自在に挟持するのに加え、スペーサの重心が条材挟持部より壁部の底側に存在するため、格子状体に取り付けられたスペーサは壁部の底が鉛直方向に位置した姿勢になるように、条材挟持部に挟持された縦条材又は横条材の中心軸回りに回動する。従って、施工対象面と平行な姿勢になした格子状体にあっては、それに取り付けられたスペーサの壁部の底が鉛直方向に位置しているため、格子状体をそのまま施工対象面上に設置することによって、その壁部が施工対象面上に立設された姿勢でスペーサが施工対象面上に設置され、当該スペーサの壁部によって格子状体が担持される。これによって、作業員の労力を更に低減することができる。
【0019】
(3)本発明に係るスペーサは、前記条材挟持部は、前記回転対称の中心側に配された第1挟持部と、それとは反対側に配された第2挟持部とを具備しており、第1挟持部は前記第1側部と第2側部との間に架設してあり、第2挟持部は前記第1側部及び第2側部にそれぞれ前記第1挟持部と対向配置してあることを特徴とする。
【0020】
本発明のスペーサにあっては、前述した条材挟持部は、回転対称の中心側に配された第1挟持部と、それとは反対側に配された第2挟持部とを具備しており、これら第1挟持部と第2挟持部との間に格子状体の縦条材又は横条材を嵌入させ、第1挟持部及び第2挟持部によって当該縦条材又は横条材を挟持する。これによって条材挟持部は、比較的簡単な構成で縦条材又は横条材を回動自在に挟持することができる。
【0021】
ここで、前記第1挟持部は、第1側部と第2側部との間に架設してあり、これによって、条材挟持部の構成をより単純化し得る一方、壁部の構造強度を増大させることができる。
【0022】
これに対して、第2挟持部は、第1側部及び第2側部にそれぞれ第1挟持部と対向するように配置してあり、条材挟持部に嵌入される縦条材又は横条材の長手方向の異なる2箇所で、当該縦条材又は横条材を挟持するため、本スペーサは、条材挟持部に嵌入された縦条材又は横条材の中心軸回りに、一定の姿勢で回動することができる。
【0023】
(4)本発明に係るスペーサは、前記第1側部及び第2側部には、その天井から底側の適宜位置に亘って設けられ、当該天井の長手方向へ互いに距離を隔てて配した2本の溝状凹部が形成してあり、前記第2挟持部は両溝状凹部間に形成された支持部を具備することを特徴とする。
【0024】
本発明のスペーサにあっては、前述した第1側部及び第2側部には、その天井から底側の適宜位置に亘って設けられ、当該天井の長手方向へ互いに距離を隔てて配した2本の溝状凹部が形成してある。そして、第2挟持部は両溝状凹部間に形成された支持部を具備する。かかる支持部にあっては可撓性を有しており、格子状体の縦条材又は横条材を条材挟持部内に嵌入させる場合、第2挟持部の支持部が撓むので、嵌入作業をスムーズに行うことができる。従って、作業員の労力をより低減し得、より短い時間でスペーサを格子状体に取り付けることができる。
【0025】
(5)本発明に係るスペーサは、前記第2挟持部は、前記第1側部及び第2側部の天井にそれぞれ立設して構成してあることを特徴とする。
【0026】
本発明のスペーサにあっては、前述した第2挟持部は、第1側部及び第2側部の天井にそれぞれ立設して構成してあり、両第1側部及び第2側部と対応する第2挟持部とを一体的に形成することができる。
【0027】
(6)本発明に係るスペーサは、前記第1側部及び第2側部の底には底部が、当該第1側部と第2側部との間隙を塞止するように展設してあり、前記壁部は、第1側部及び第2側部にてく字状に構成してあり、該壁部の第1挟持部より先端側の部分は、他のスペーサの第1側部、第2側部、第1挟持部及び底部で囲まれる部分に嵌入させて、相互に連結し得るように構成してあることを特徴とする。
【0028】
本発明のスペーサにあっては、前述した第1側部及び第2側部の底には底部が、当該第1側部と第2側部との間隙を塞止するように展設してある。一方、壁部は、第1側部及び第2側部にてく字状に構成してあり、この壁部の第1挟持部より先端側の部分は、他のスペーサの第1側部、第2側部、第1挟持部及び底部で囲まれる部分に嵌入させて、相互に連結し得るように構成してある。かかる構成は、第1側部及び第2側部の長手方向における高さ寸法を、底部の厚さ寸法に応じて調整することによって実施することができる。
【0029】
このように複数のスペーサを相互に連結させることによって、複数の格子状体を重畳させ、重畳された各格子状体に複数のスペーサを一度に取り付けることが可能になる。これによって、作業員の労力を更に低減し得、更に短い時間で複数のスペーサを複数の格子状体に取り付けることができる。
【0030】
一方、前述したように壁部の第1挟持部より先端側の部分は、他のスペーサの第1側部、第2側部、第1挟持部及び底部で囲まれる部分に嵌入させて、相互に連結し得るように構成してあるため、連結された各スペーサは連結方向とは逆の一方向へ移動させることによって連結を解除することができるが、これによって、複数連結させた各スペーサを、互いに分離することを防止して、容易に搬送することができる。
【0031】
(7)本発明に係るスペーサは、前記壁部及び条材挟持部は、相互に連結された際に、各条材挟持部に挟持される縦条材又は横条材の中心軸が面一になるように構成してあることを特徴とする。
【0032】
本発明のスペーサにあっては、前述した壁部及び条材挟持部は、相互に連結された際に、各条材挟持部に挟持される縦条材又は横条材の中心軸が面一になるように構成してあるため、相互に連結された各スペーサの内、任意のスペーサの条材挟持部を、重畳された各格子状体の内の任意の格子状体の縦条材又は横条材に対向させることによって、他の各スペーサの条材挟持部も対応する格子状体の縦条材又は横条材に対向させることができ、これによって、複数の格子状体に複数のスペーサを取り付ける作業をより容易に実施することができる。
【0033】
(8)本発明に係るスペーサは、条材挟持部は、相互に連結された際に、各条材挟持部に挟持される縦条材又は横条材の中心軸が、当該縦条材又は横条材の外径に応じた寸法だけ異なるように構成してあることを特徴とする。
【0034】
本発明のスペーサにあっては、条材挟持部は、相互に連結された際に、各条材挟持部に挟持される縦条材又は横条材の中心軸が、当該縦条材又は横条材の外径に応じた寸法だけ異なるように構成してある。
【0035】
ここで、複数の格子状体をそれぞれ重畳させる場合、例えば、複数の格子状体を表裏交互に重畳させるが、このとき、各格子状体の各縦条材又は各横条材が、重畳方向において一段おきに面一になすことによって、重畳させた複数の格子状体の高さ寸法を可及的に小さくすることができる。例えば、表の格子状体の上に裏の格子状体を載置させる際、載置面上における表の格子状体の各横条材の位置と、載置面における裏の格子状体の各横条材の位置とが一致し、また、表の格子状体の各縦条材と裏の格子状体の各縦条材とが面一になるように載置するのである。また、裏の格子状体の上に表の格子状体を重畳させる際は、載置面上における裏の格子状体の各縦条材の位置と、載置面における表の格子状体の各縦条材の位置とが一致し、また、裏の格子状体の各横条材と表の格子状体の各横条材とが面一になるように配設する。
【0036】
本発明に係るスペーサにあっては、複数のスペーサを相互に連結させた場合、各スペーサの条材挟持部は各条材挟持部に挟持される縦条材又は横条材の中心軸が、当該縦条材又は横条材の外径に応じた寸法だけ異なるように構成してあるため、前述した如く重畳された複数の格子状体の内、一段おきに面一になされた縦条材又は横条材に対応して、各スペーサの条材挟持部にそれらを嵌合挟持することができる。
【0037】
(9)本発明に係るスペーサは、前記条材挟持部は、前記回転対称の中心側に配された第1挟持部と、それとは反対側に配された第2挟持部とを具備しており、対をなす第1挟持部及び第2挟持部が、前記第1側部及び第2側部にそれぞれ設けてあることを特徴とする。
【0038】
本発明のスペーサにあっては、前述した条材挟持部は、前記回転対称の中心側に配された第1挟持部と、それとは反対側に配された第2挟持部とを具備しており、対をなす第1挟持部及び第2挟持部が、前記第1側部及び第2側部にそれぞれ設けてあり、これによって、相対的に薄い材料で壁部を構成することができる。
【0039】
(10)本発明に係るスペーサは、前記第1側部及び第2側部は板材で形成してあり、対をなす第1挟持部及び第2挟持部は、対応する第1側部及び第2側部を切込んで形成してあることを特徴とする。
【0040】
本発明のスペーサにあっては、前述した壁部を構成する第1側部及び第2側部は板材で形成してあり、対をなす第1挟持部及び第2挟持部は、対応する第1側部及び第2側部を切込んで形成してある。これによって、スペーサの製造コストを可及的に廉価にすることができる。
【0041】
(11)本発明に係るスペーサは、前記第1側部及び第2側部には、その天井から底側の適宜位置に亘って設けられ、当該天井の長手方向へ互いに距離を隔てて配した2本の溝状凹部が形成してあり、前記第2挟持部は両溝状凹部間に形成された支持部を具備することを特徴とする。
【0042】
本発明のスペーサにあっては、壁部を構成する第1側部及び第2側部には、その天井から底側の適宜位置に亘って設けられ、当該天井の長手方向へ互いに距離を隔てて配した2本の溝状凹部が形成してあり、前記第2挟持部は両溝状凹部間に形成された支持部を具備する。かかる支持部にあっては可撓性を有しており、格子状体の縦条材又は横条材を条材挟持部内に嵌入させる場合、第2挟持部の支持部が撓むので、嵌入作業をスムーズに行うことができる。従って、作業員の労力をより低減し得、より短い時間でスペーサを格子状体に取り付けることができる。
【0043】
(12)本発明に係るスペーサは、前記第1側部及び第2側部の外面にはそれぞれ、壁部の外側へ延出させた延出部が第1側部及び第2側部の長手方向の一端から他端に亘って設けてあり、両延出部の長手方向の適宜位置にはそれぞれ少なくとも2つの突出部が、延出部と面一に設けてあり、更に、第1側部及び第2側部には他のスペーサに設けられた前記各突出部を嵌入させる嵌入部が設けてあり、第1側部及び第2側部の嵌入部に他のスペーサに設けられた各突出部を嵌入させて、相互に連結し得るように構成してあることを特徴とする。
【0044】
本発明のスペーサにあっては、壁部を構成する第1側部及び第2側部の外面にはそれぞれ、壁部の外側へ延出させた延出部が第1側部及び第2側部の長手方向の一端から他端に亘って設けてあり、両延出部の長手方向の適宜位置にはそれぞれ少なくとも2つの突出部が、延出部と面一に設けてある。更に、第1側部及び第2側部には、他のスペーサに設けられた前記各突出部をそれぞれ嵌入させる複数の嵌入部が設けてあり、第1側部及び第2側部の各嵌入部に他のスペーサに設けられた各突出部をそれぞれ嵌入させて、相互に連結し得るように構成してある。
【0045】
このように複数のスペーサを相互に連結させることによって、複数の格子状体を重畳させ、重畳された各格子状体に複数のスペーサを一度に取り付けることが可能になる。これによって、作業員の労力を更に低減し得、更に短い時間で複数のスペーサを複数の格子状体に取り付けることができる。
【0046】
一方、前述したように一方のスペーサの両延出部にそれぞれ少なくとも2つ設けた突出部を、他のスペーサの対応する各嵌入部に嵌入させて、両スペーサを相互に連結させるようになしてあるため、連結された両スペーサは連結方向とは逆の一方向へ移動させることによって連結を解除することができるが、これによって、複数連結させた各スペーサを、互いに分離することを防止して、容易に搬送することができる。
【0047】
(13)本発明に係るスペーサは、前記第1側部及び第2側部の底には底部が、当該第1側部と第2側部との間隙を塞止するように展設してあり、前記延出部及び突出部は前記底部にそれと面一に設けてあることを特徴とする。
【0048】
本発明のスペーサにあっては、壁部を構成する第1側部及び第2側部の底には底部が、当該第1側部と第2側部との間隙を塞止するように展設してあるため、施工対象面上に安定してその姿勢を保持することができ、従って、格子状体はスペーサによって安定に支持される。
【0049】
また、前述した延出部及び突出部は前記底部にそれと面一に設けてあるため、延出部及び突出部は底部と一体的に形成することができる。
【0050】
(14)本発明に係るスペーサは、前記壁部及び条材挟持部は、相互に連結された際に、各条材挟持部に挟持される縦条材又は横条材の中心軸が面一になるように構成してあることを特徴とする。
【0051】
本発明のスペーサにあっては、前述した壁部及び条材挟持部は、相互に連結された際に、各条材挟持部に挟持される縦条材又は横条材の中心軸が面一になるように構成してあるため、相互に連結された各スペーサの内、任意のスペーサの条材挟持部を、重畳された各格子状体の内の任意の格子状体の縦条材又は横条材に対向させることによって、他の各スペーサの条材挟持部も対応する格子状体の縦条材又は横条材に対向させることができ、これによって、複数の格子状体に複数のスペーサを取り付ける作業をより容易に実施することができる。
【0052】
(15)本発明に係るスペーサは、前記条材挟持部は、相互に連結された際に、各条材挟持部に挟持される縦条材又は横条材の中心軸が、当該縦条材又は横条材の外径に応じた寸法だけ異なるように構成してあることを特徴とする。
【0053】
本発明のスペーサにあっては、前述した条材挟持部は、相互に連結された際に、各条材挟持部に挟持される縦条材又は横条材の中心軸が、当該縦条材又は横条材の外径に応じた寸法だけ異なるように構成してある。
【0054】
本発明に係るスペーサにあっては、複数のスペーサを相互に連結させた場合、各スペーサの条材挟持部は各条材挟持部に挟持される縦条材又は横条材の中心軸が、当該縦条材又は横条材の外径に応じた寸法だけ異なるように構成してあるため、前述した如く重畳された複数の格子状体の内、一段おきに面一になされた縦条材又は横条材に対応して、各スペーサの条材挟持部にそれらを嵌合挟持することができる。
【0055】
(16)本発明に係るスペーサは、前記外嵌係合部は第2挟持部又は第1挟持部に設けてあることを特徴とする。
【0056】
本発明のスペーサにあっては、前述した外嵌係合部は第2挟持部又は第1挟持部に設けてあるため、第1挟持部と第2挟持部との間に回動自在に挟持された縦条材又は横条材が、第1挟持部及び第2挟持部から抜出することが防止される。
【0057】
(17)本発明に係るスペーサは、前記外嵌係合部、及び外嵌係合部が設けられていない第1挟持部又は第2挟持部にはそれぞれ、挟持する縦条材又は横条材を条材挟持部の内部へ案内する案内部が設けてあることを特徴とする。
【0058】
本発明のスペーサにあっては、前述した外嵌係合部、及び外嵌係合部が設けられていない第1挟持部又は第2挟持部にはそれぞれ、挟持する縦条材又は横条材を条材挟持部の内部へ案内する案内部が設けてあるため、格子状体の縦条材又は横条材を条材挟持部内へ嵌入させる操作をよりスムーズに行うことができる。かかる案内部は、例えば、外嵌係合部、及び外嵌係合部が設けられていない第1挟持部又は第2挟持部の天井をテーパになすことによって構成することができる。
【0059】
(18)本発明に係るスペーサの使用方法は、(6)から(8)、又は、(12)から(15)のいずれかに記載のスペーサ複数を相互に連結させ、重畳された複数の格子状体の縦条材又は横条材に、連結させた各スペーサの条材挟持部をそれぞれ対向配置させ、各スペーサそれぞれに、その条材挟持部に対向する縦条材又は横条材へ向かう力を印加することによって、各スペーサの条材挟持部に、対向する縦条材又は横条材を挟持させて、各スペーサを対応する格子状体にそれぞれ取り付けることを特徴とする。
【0060】
本発明のスペーサの使用方法にあっては、前述した(6)から(8)、又は、(12)から(15)のいずれかに記載のスペーサ複数を相互に連結させ、重畳された複数の格子状体の縦条材又は横条材に、連結させた各スペーサの条材挟持部をそれぞれ対向配置させ、各スペーサそれぞれに、その条材挟持部に対向する縦条材又は横条材へ向かう力を印加することによって、各スペーサの条材挟持部に、対向する縦条材又は横条材を挟持させて、各スペーサを対応する格子状体にそれぞれ取り付ける。これによって、複数の格子状体を重畳させ、重畳された各格子状体に複数のスペーサを一度に取り付けることが可能になるため、作業員の労力を更に低減し得、更に短い時間で複数のスペーサを複数の格子状体に取り付けることができる。
【0061】
(19)本発明に係る格子状体の敷設方法は、(6)から(8)、又は、(12)から(15)のいずれかに記載のスペーサ複数を相互に連結させ、重畳された複数の格子状体の縦条材又は横条材に、連結させた各スペーサの条材挟持部をそれぞれ対向配置させ、各スペーサそれぞれに、その条材挟持部に対向する縦条材又は横条材へ向かう力を印加することによって、各スペーサの条材挟持部に、対向する縦条材又は横条材を挟持させて、各スペーサを対応する格子状体にそれぞれ取り付け、その後、重畳された各格子状体の内、最も上段に位置する格子状体を他の格子状体の上方へ引き上げることによって、当該格子状体に取り付けたスペーサを連結された他のスペーサから分離させ、引き上げた格子状体を施工対象面の適宜位置まで搬送して、その位置に設置する操作を繰り返すことを特徴とする。
【0062】
本発明の格子状体の敷設方法にあっては、前述した(6)から(8)、又は、(12)から(15)のいずれかに記載のスペーサ複数を相互に連結させ、重畳された複数の格子状体の縦条材又は横条材に、連結させた各スペーサの条材挟持部をそれぞれ対向配置させ、各スペーサそれぞれに、その条材挟持部に対向する縦条材又は横条材へ向かう力を印加することによって、各スペーサの条材挟持部に、対向する縦条材又は横条材を挟持させて、各スペーサを対応する格子状体にそれぞれ取り付ける。前同様、複数の格子状体を重畳させ、重畳された各格子状体に複数のスペーサを一度に取り付けることが可能になるため、作業員の労力を更に低減し得、更に短い時間で複数のスペーサを複数の格子状体に取り付けることができる。
【0063】
本発明にあっては、その後、重畳された各格子状体の内、最も上段に位置する格子状体を他の格子状体の上方へ引き上げることによって、当該格子状体に取り付けたスペーサを連結された他のスペーサから分離させる。このようにして最上段の格子状体引き上げて、相互に連結された複数のスペーサから、当該格子状体に取り付けられたスペーサが分離されると、当該スペーサは自重によってスペーサの条材挟持部が外嵌挟持する縦条材又は横条材の中心軸回りにその壁部の底側が当該格子状体より下側になるように回動し、その姿勢で保持される。そのため、引き上げた格子状体を施工対象面の適宜位置まで搬送して、その位置に設置すると、当該格子状体に取り付けられたスペーサが敷設対象面上に所定の姿勢で設置され、このスペーサによって当該格子状体が敷設対象面から離隔した位置に担持される。
【0064】
このように、重畳された各格子状体の内、最も上段に位置する格子状体を他の格子状体の上方へ引き上げ、引き上げた格子状体を施工対象面の適宜位置まで搬送して、その位置に設置する操作を繰り返すことによって、敷設対象面の適宜位置に、スペーサに担持された状態の格子状体を敷設することができる。従って、複数の格子状体を敷設するに当たって、作業員による敷設労力を可及的に低減し得、短い時間でより多くの格子状体を敷設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】本発明に係るスペーサの一例を示す斜視図である。
図2図1に示したスペーサの正面図である。
図3図1に示したスペーサの背面図である。
図4図1に示したスペーサの側面図である。
図5図1に示したスペーサの平面図である。
図6図1に示したスペーサの条材挟持部内へ条材を挿入させる様態を説明する説明図である。
図7図1に示したスペーサをタンデムに複数連結させた状態を示す斜視図である。
図8】相互に重畳させた複数の溶接金網に図7に示した如く相互に連結させた各スペーサを取り付けた状態を示す斜視図である。
図9図8の部分斜視図である。
図10】複数の溶接金網を重畳させる手順、及び重畳させた複数の溶接金網に相互に連結させた各スペーサを取り付ける手順を説明する説明図である。
図11】重畳状態にある各溶接金網から溶接金網を搬出している様態を説明する説明図である。
図12】搬出された溶接金網を敷設場所に敷設する様態を説明する説明図である。
図13】発明を実施するための第2の形態に係るスペーサを示す斜視図である。
図14】発明を実施するための第3の形態に係るスペーサを示す斜視図である。
図15図14に示したスペーサの正面図である。
図16図14に示したスペーサの背面図である。
図17図14に示したスペーサの側面図である。
図18図14に示したスペーサ平面図である。
図19図14に示したスペーサの条材挟持部内へ条材を挿入させる様態を説明する説明図である。
図20図14に示したスペーサをタンデムに複数連結させた状態を示す斜視図である。
図21】相互に重畳させた複数の溶接金網に図20に示した如く相互に連結させた各スペーサを取り付けた状態を示す斜視図である。
図22図21の部分斜視図である。
図23】従来の溶接金網の施工方法を説明する説明図である。
図24】特許文献1に開示されたスペーサの使用様態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本発明に係るスペーサを図面に基づいて詳述する。
なお、本発明を実施するための形態で説明するスペーサは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含むことはいうまでもない。
【0067】
(発明を実施するための第1の形態)
図1は本発明に係るスペーサの一例を示す斜視図であり、図2図5図1に示したスペーサ1の正面図、背面図、側面図及び平面図である。スペーサ1は、三角プレート状の底部20の2辺端縁上に、適宜厚さを有する平面視く字状の壁部10を両辺の略全長に亘って立設してなり、該壁部10の一辺側は第1側部11、また他辺側は第2側部12である。なお、底部20の外寸は、後述する溶接金網(格子状体)を構成する枡の内径より小さくしてある。
【0068】
第1側部11及び第2側部12は、壁部10の両端から頂部に向かうに従って底部20からの高さ寸法を漸次低くした側面視横転台形状をなしており、第1側部11及び第2側部12の天井であって、その長手方向の中央より少し壁部10の端部側の位置には、後述する溶接金網を構成する条材を挟持するための柱状の第1挟持部31が、第1側部11と第2側部12との間に架設してある。また、第1側部11及び第2側部12の天井であって、前記第1挟持部31より少し壁部10の両端側の位置にはそれぞれ、第2挟持部32,32が立設してある。この第2挟持部32と前記第1挟持部31との間の寸法は前記条材の直径に応じて定めてあり、両第2挟持部32,32及び前記第1挟持部31によって、前記条材を回動自在に挟持する条材挟持部30が構成されている。
【0069】
前述した第1挟持部31の天井は、その高さ寸法が壁部10の頂部から離隔するに従って小さくなしてあり、これによって前記条材を条材挟持部30内へ案内する第1案内部41が構成されている。
【0070】
一方、第2挟持部32は、第1側部11又は第2側部12の天井に立設した柱状の支持部34を具備してなり、該支持部34の端部は、嘴状をなし前記条材に外嵌係合する外嵌係合部35になしてある。この外嵌係合部35の天井は、その高さ寸法が壁部10の頂部へ向かうに従って低くなしてあり、これによって前記条材を条材挟持部30内へ案内する第2案内部42が構成されている。外嵌係合部35は、条材挟持部30の中心を貫通する軸、即ち条材挟持部30に挟持された条材の中心軸と交わるようになしてあり、従って、外嵌係合部35の先端から第1挟持部31までの寸法は、支持部34から第1挟持部31までの寸法より短い。また、少なくとも外嵌係合部35の嘴状の先端部は、可撓性を有する材料で形成してあり、外嵌係合部35の先端から対応する第1側部11又は第2側部12の天井までの高さ寸法は、前記条材の直径と略同じにしてある。なお、外嵌係合部35の嘴状の先端部のみならず、外嵌係合部35及び支持部34も可撓性を有する材料で形成してもよい。
【0071】
後述するように条材挟持部30内へ条材を挿入させる場合、条材挟持部30上に位置させた縦条材W1又は横条材W2に押圧を印加することによって、外嵌係合部35の先端部を第1挟持部31から離隔する方向へ撓ませ、その状態で、縦条材W1又は横条材W2を条材挟持部30内へ挿入させる。当該縦条材W1又は横条材W2が条材挟持部30内へ挿入されると、撓まされた外嵌係合部35の先端部が元の姿勢に復帰し、図6に示したように、条材挟持部30内へ挿入された縦条材W1又は横条材W2に外嵌係合部35の先端部が外嵌係合するため、当該縦条材W1又は横条材W2が条材挟持部30から抜出することが防止される。
【0072】
なお、かかるスペーサ1にあっては、樹脂材を用いて一体成形することができる。
【0073】
ところで、本発明に係るスペーサ1にあっては、複数のスペーサ1,1,…を相互に連結し得るようになっている。
【0074】
図7は、図1に示したスペーサ1をタンデムに複数連結させた状態を示す斜視図であり、図8は、相互に重畳させた複数の溶接金網に図7に示した如く相互に連結させた各スペーサ1,1,…を取り付けた状態を示す斜視図である。また、図9図8の部分斜視図であり、図10は、複数の溶接金網を重畳させる手順、及び重畳させた複数の溶接金網に相互に連結させた各スペーサ1,1,…を取り付ける手順を説明する説明図である。なお、これら各図中、図1図5に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してその説明を省略する。
【0075】
図7に示したように、先頭のスペーサ1の壁部10内に次のスペーサ1の壁部10が、当該壁部10の外面が先頭のスペーサ1の壁部10の内面に当接するように差し込んであり、先頭のスペーサ1の底部20上に、次のスペーサ1の底部20が載置されている。このとき、両スペーサ1,1を構成する壁部10,10の第1側部11,11及び第2側部12,12の対応する底部20,20からの高さ寸法が、前述したように壁部10の両端から頂部に向かうに従って漸次低くしてあるため、次のスペーサ1の壁部10の先端部分が、先頭のスペーサ1の第1挟持部31と底部20との間に、次のスペーサ1の壁部10の先端が先頭のスペーサ1の壁部10に当接するまで嵌入されている。
【0076】
そして、次のスペーサ1の先端部分は、先頭のスペーサ1の第1側部11及び第2側部12、底部20並びに第1挟持部31によって密に囲繞されており、加えて、前述したように次のスペーサ1の壁部10の先端が先頭のスペーサ1の壁部10に当接しているため、次のスペーサ1を先頭のスペーサ1から分離させる場合、次のスペーサ1を先頭のスペーサ1に連結させた方向とは逆となる一方向のみへ移動させ得るようになされている。
【0077】
一方、各スペーサ1,1,…の第1挟持部31,31,…は、それらが互いに連結した状態において、相互に平行な姿勢になるように構成してあり、更に、連結された一対のスペーサ1,1の第1挟持部31,31の稜線によって形成される一平面に、連結された他のスペーサ1,1,…の第1挟持部31,31,…の稜線も面一になるようになしてある。つまり、連結された一対のスペーサ1,1の条材挟持部30,30の中心軸によって形成される一平面に、連結された他のスペーサ1,1,…の条材挟持部30,30,…の中心軸も面一になるようになしてある。
【0078】
また、スペーサ1の壁部10における条材挟持部30の配設位置は、複数のスペーサ1,1,…が連結された際に、相隣る条材挟持部30,30の間の距離が、条材挟持部30の内径、即ち、条材挟持部30内に挟持される前記条材の外径、と略同じ寸法になしてある。
【0079】
一方、図8又は図10に示した如く、溶接金網WMは、一面内に所定の間隔で配した複数の縦条材W1,W1,…と、前記一面と平行をなす他面内に所定の間隔で配した複数の横条材W2,W2,…とを互いに格子状に位置させてなり、縦条材W1,W1,…と横条材W2,W2,…とが交差する部分を相互に溶接固定して形成してある。そして、相隣る縦条材W1,W1及び相隣る横条材W2,W2によって枡Mが形成されている。ここで、例えば縦条材W1,W1,…が上向きの溶接金網WMを表とすると、縦条材W1,W1,…が下向きの溶接金網WMは裏である。なお、表裏は縦条材W1,W1,…の向きで定めてもよいし、横条材W2,W2,…の向きで定めてもよい。従って、縦条材W1,W1,…が上向きの溶接金網WMを裏とし、縦条材W1,W1,…が下向きの溶接金網WMを表としてもよい。
【0080】
複数の溶接金網WM,WM,…をトラックといった搬送手段によって搬送する場合、当該搬送手段の荷台に、溶接金網WM,WM,…を表裏交互になるように複数段重畳させるが、このとき、図8及び図10(a)~(c)に示したように、表の溶接金網WMの上に裏の溶接金網WMを載置させる際、載置面上における表の溶接金網WMの横条材W2,W2,…の位置と、載置面における裏の溶接金網WMの横条材W2,W2,…の位置とが一致し、また、表の溶接金網WMの縦条材W1,W1,…と裏の溶接金網WMの縦条材W1,W1,…とが面一になるように載置する。
【0081】
また、裏の溶接金網WMの上に表の溶接金網WMを重畳させる際は、載置面上における裏の溶接金網WMの縦条材W1,W1,…の位置と、載置面における表の溶接金網WMの縦条材W1,W1,…の位置とが一致し、また、裏の溶接金網WMの横条材W2,W2,…と表の溶接金網WMの横条材W2,W2,…とが面一になるように配設する。
【0082】
そして、かかる操作を繰り返して複数の溶接金網WM,WM,…を表裏交互に重畳させるが、これによって、各溶接金網WM,WM,…の縦条材W1,W1,…、W1,W1,…、…,…,…は、重畳方向において一段おきに面一になっており、また、各溶接金網WM,WM,…の横条材W2,W2,…、W2,W2,…、…,…,…は、前記縦条材W1,W1,…、W1,W1,…、…,…,…とねじれの位置で、一段おきに面一になっている。
【0083】
このように、重畳状態にある各溶接金網WM,WM,…の任意の一辺にあっては、重畳方向と平行な一平面内に各溶接金網WM,WM,…を構成する縦条材W1,W1,…又は横条材W2,W2,…が一段おきに位置する。一方、前述した如く複数のスペーサ1,1,…を互いに連結させた場合、相隣る条材挟持部30,30が、縦条材W1,W1,…又は横条材W2,W2,…の外径と略同じ寸法だけ離隔するように構成してあるため、連結させた各スペーサ1,1,…の先頭の条材挟持部30をより下段に位置する溶接金網WMの縦条材W1又は横条材W2に対向させることによって、図10(a)及び(b)に示したように、他のスペーサ1,1,…の条材挟持部30,30,…をそれより上段の各溶接金網WM,WM,…の縦条材W1,W1,…又は横条材W2,W2,…にそれぞれ対向させることができる。
【0084】
図8図10に示したように、前述した如く重畳させた各溶接金網WM,WM,…の一辺にあっては、重畳方向と平行な一平面内に各溶接金網WM,WM,…を構成する横条材W2,W2,…が一段おきに位置している。前述した如く、連結させた各スペーサ1,1,…の先頭の条材挟持部30を、その頂部を重畳底部へ向けた姿勢で、より下段に位置する溶接金網WMの横条材W2に対向させることによって、他のスペーサ1,1,…の条材挟持部30,30,…をそれより上段の各溶接金網WM,WM,…の横条材W2,W2,…にそれぞれ対向させてあり、その状態で各スペーサ1,1,…にそれぞれ、対向する横条材W2,W2,…へ向かう押圧を印加することによって、スペーサ1,1,…の条材挟持部30,30,…を、それに対向する横条材W2,W2,…にそれぞれワンタッチで外嵌挟持させることができる。
【0085】
これによって、複数の溶接金網WM,WM,…に複数のスペーサ1,1,…を一度に取り付けることができ、従って、作業員に重労働を強いることなく、複数の溶接金網WM,WM,…へのスペーサ1,1,…の取り付けに要する時間を可及的に短くすることができる。
【0086】
一方、重畳状態にある各溶接金網WM,WM,…の一辺と交わる他辺にあっては、重畳方向と平行な一平面内に各溶接金網WM,WM,…を構成する縦条材W1,W1,…が、スペーサ1,1,…が取り付けられた横条材W2,W2,…とねじれの位置になるように一段おきに位置しており、各縦条材W1,W1,…に、互いに連結した複数のスペーサ1,1,…を前同様にして取り付ける。これによって、重畳状態にある複数の溶接金網WM,WM,…に適宜の複数位置にそれぞれ、複数のスペーサ1,1,…を取り付けることができる。
【0087】
更に、必要に応じて、重畳状態にある各溶接金網WM,WM,…の縦条材W1,W1,…又は横条材W2,W2,…の適宜箇所に、スペーサ1,1,…を前同様にして取り付ける。なお、一枚の溶接金網WMについて複数のスペーサ1,1,…が、互いに位置を異ならせて取り付けられるようになっている。
【0088】
ここで、スペーサ1の条材挟持部30の内径には、溶接金網WMの縦条材W1,W1,…及び横条材W2,W2,…の外径より僅かに大きい値を設定して、条材挟持部30が縦条材W1又は横条材W2の外周に遊嵌するように設計してあるが、設計値より少し大きい外径の縦条材及び横条材にて構成した溶接金網にもスペーサ1の条材挟持部30を外嵌させることができる。この場合、相互に連結した各スペーサ1,1,…の内、先頭のスペーサ1の条材挟持部30をより下段に位置する溶接金網の縦条材又は横条材に対向させた場合、他のスペーサ1,1,…の条材挟持部30,30,…はそれより上段の溶接金網WM,WM,…の縦条材W1,W1,…又は横条材W2,W2,…と対向しないため、他の相隣るスペーサ1,1、1,1、…,…間の間隙を拡張させる操作をそれぞれ施しながら、当該スペーサ1,1,…の条材挟持部30,30,…を対応する溶接金網WM,WM,…の縦条材W1,W1,…又は横条材W2,W2,…に外嵌させる。
【0089】
次に、このようにしてスペーサ1,1,…が取り付けられた溶接金網WM,WM,…を各別に搬出し、施設対象面に敷設する操作について説明する。
【0090】
図11は、重畳状態にある各溶接金網から溶接金網WMを搬出している様態を説明する説明図であり、また、図12は搬出された溶接金網WMを敷設場所に敷設する様態を説明する説明図である。なお、両図中、図8図10に示した各部分に対応する部分にはそれぞれ同じ番号が付してある。
【0091】
図8に示した如く、重畳状態にある各溶接金網WM,WM,…にはそれぞれ複数のスペーサ1,1,…(図8の溶接金網WMでは一のスペーサ1以外は省略している。)が取り付けられており、図11(a)に示した如く、作業員は最上段の溶接金網WMを重畳された他の溶接金網の略真上方向へ持ち上げることによって、相互に連結された複数のスペーサから、当該溶接金網WMに取り付けられたスペーサ1を分離させる。
【0092】
このとき、前述したように相互に連結された各スペーサは、連結させた方向とは逆となる一方向のみへ移動させ得るようになっている一方、図8に示した如く相互に連結された各スペーサ1,1,…はその頂部を下へ向けて、略鉛直方向の姿勢になるように各溶接金網WM,WM,…に取り付けられているため、最上段の溶接金網WMを他の溶接金網WM,WM,…の略真上方向へ持ち上げることによって、相互に連結された複数のスペーサ1,1,…から、図11(a)に示した如く、当該溶接金網WMに取り付けられたスペーサ1を分離させることができる。
【0093】
一方、このようにして最上段の溶接金網WMを持ち上げて、相互に連結された複数のスペーサ1,1,…から、当該溶接金網WMに取り付けられたスペーサ1が分離されると、図11(b)に示したように、当該スペーサ1は自重によってスペーサ1の条材挟持部30が外嵌挟持する横条材W2(又は縦条材W1)の中心軸回りにその底部20が当該溶接金網WMより下側になるように回動し、その姿勢で保持される。
【0094】
次に、図12に示したように、作業員は、当該溶接金網WMを施工対象面Gの所定位置まで搬送し、そこに溶接金網WMを降下設置する。このとき、溶接金網WMに取り付けられたスペーサ1,1,…は当該溶接金網WMより下側へ回動した姿勢に保持されているため、溶接金網WMを降下させるだけで、各スペーサ1,1,…が施工対象面Gに当接し、溶接金網WMと施工対象面Gとの間に介装されたスペーサ1,1,…によって、当該溶接金網WMは施工対象面Gから離隔した位置に担持される。
【0095】
作業員は、重畳状態にある各溶接金網WM,WM,…について、このような作業を、最上段の溶接金網WMから順次繰り返すことによって、全ての溶接金網WM,WM,…を施工対象面Gの所定領域に敷設する。
【0096】
このように、作業員による敷設作業は、重畳状態にある各溶接金網WM,WM,…の最上段の溶接金網WMから順次搬出して、敷設場所の所定位置まで移送し、そこに降下設置するだけでよく、敷設後にスペーサを取り付ける場合のように、溶接金網WM,WM,…の持ち上げ作用等が不要であるので、溶接金網WM,WM,…の敷設作業に要する労力を可及的に低減することができる。
【0097】
(発明を実施するための第2の形態)
図13は発明を実施するための第2の形態に係るスペーサ1aを示す斜視図であり、第2挟持部の構成を変更してある。なお、図中、図1から図5に示した部分に対応する部分には同じ番号を付して、その説明を省略する。
【0098】
図13に示したように、第1側部11及び第2側部12にはそれぞれ、天井から底部20へ向かう一対の溝状凹部52a,52a、52a,52aが設けてあり、対をなす溝状凹部52a,52a、52a,52aの間に、柱状の支持部34a,34aが形成されている。なお、これら溝状凹部52a,52a、52a,52aの幅寸法は、条材挟持部30の内径より小さい。
【0099】
一方、外嵌係合部35a,35aに設けられた第2案内部42a,42aは平面視にあって、対応する第1側部11又は第2側部12の天井と平行になしてある。また、支持部34a,34aの頭部であって壁部10両端側の側面は、支持部34a,34aの幅寸法が当該支持部34a,34aの底側から第2案内部42a側へ向かうに連れて小さくなるテーパ状になしてある。
【0100】
このようなスペーサ1aにあっては、前述した如く第2挟持部32a,32aが対をなす溝状凹部52a,52a、52a,52aの間に形成された支持部34a,34aにて構成されるため、前述したスペーサ1の第2挟持部32,32に比べてより撓み、これによってスペーサ1aの全体を樹脂材にて一体成形した場合であっても、条材挟持部30aを溶接金網の縦条材又は横条材を容易に外嵌させることができる。
【0101】
(発明を実施するための第3の形態)
図14は発明を実施するための第3の形態に係るスペーサ1bを示す斜視図であり、板材を加工して製造し得るようになしてある。また、図15図18図14に示したスペーサ1bの正面図、背面図、側面図及び平面図である。
【0102】
本スペーサ1bは平面視が台形状をなしている。すなわち、台形プレート状の底部20bの2斜辺端縁より少し内側の位置上にそれぞれ、平板状の第1側部11b及び第2側部12bが両斜辺の略全長に亘って立設してあり、第1側部11bの頂部と第2側部12bの頂部との間には、底部20bの上底端縁上に立設した平板状の上底側部13bが架設してある。これら第1側部11b、第2側部12b及び上底側部13bによってスペーサ1bの壁部10bが構成されている。なお、底部20bの外寸は、前述した溶接金網WMを構成する枡M(図8参照)の内径より小さくしてある。
【0103】
前述した第1側部11b及び第2側部12bは、壁部10bの両端から頂部に向かうに従って底部20bからの高さ寸法を漸次低くした側面視横転台形状をなしており、第1側部11b及び第2側部12bの頂部は上底側部13bと面一になしてある。そして、第1側部11b及び第2側部12bの長手方向の適宜位置には、条材挟持部30bを構成する二対の第1挟持部31b,31b及び第2挟持部32b,32bが距離を隔てて配設してある。
【0104】
第1挟持部31bは板材から製造可能にすべく、第1側部11b又は第2側部12bにその天井から底部20bへ向かう一対の切込み51b,51bを入れて形成された略細帯形の第1支持部33bを具備してなり、この第1支持部33bは、第1支持部33bから対応する第1側部11b又は第2側部12bから上方へ延設してある。第1支持部33bはその延設方向の中途位置から対応する第1側部11b又は第2側部12bの外側へく字状に屈曲させてテーパになしてあり、これによって前述した縦条材W1又は横条材W2を条材挟持部30b内へ案内する第1案内部41bが形成されている。
【0105】
前述した両切込み51b,51bの内、壁部10bの頂部側の切込み51bの長さ寸法は、壁部10bの端部側の切込み51bの長さ寸法より大きくしてあり、更に前者の切込み51bは後者の切込み51bの略延長線上までL字状に切込んである。従って、第1支持部33bは、後者の切込み51bの先端から前者の切込み51bのL字先端までの領域において第1側部11b又は第2側部12bに片持ち支持されており、第1挟持部31bは第1支持部33bの片持ち支持領域において、壁部10bのやや内側へ斜めに屈折されている。これによって、第1挟持部31bは条材挟持部30b内へ条材を嵌入させるべく外力が印加された場合、条材挟持部30bの外方へ撓み、前記外力が除去された場合、元の姿勢に復帰する可撓性を有する。
【0106】
一方、第2挟持部32bも板材から製造可能にすべく、第1側部11b又は第2側部12bにその天井から底部20bへ向かう一対の切込み52b,52bを入れて形成された略細帯形の第2支持部34bを具備してなり、この第2支持部34bも第1側部11b又は第2側部12bの上方へ所定寸法だけ延設してある。第2支持部34bの天井は、その高さ寸法が後述する第2外嵌係合部35bへ向かうに従って低くなしてあり、これによって前述した縦条材W1又は横条材W2を条材挟持部30b内へ案内する第2案内部42bが形成されている。ここで、対をなす第2支持部34bと前記第1支持部33bとの間の寸法は前記縦条材W1又は横条材W2の直径に応じて定めてある。
【0107】
また、第2支持部34bの端部は、嘴状をなし前記条材に外嵌係合する第2外嵌係合部35bになしてある。この第2外嵌係合部35bは、条材挟持部30bの中心を貫通する軸、即ち条材挟持部30bに挟持される縦条材W1又は横条材W2条材の中心軸と交わるようになしてあり、従って、第2外嵌係合部35bの先端から第1挟持部31bまでの寸法は、第2支持部34bから第1支持部33bまでの寸法より短い。なお、第2外嵌係合部35bの先端から対応する第1側部11b又は第2側部12bの天井までの寸法は、前記条材の直径と略同じにしてある。
【0108】
第2挟持部32bに係る両切込み52b,52bの内、壁部10bの端部側の切込み52bの長さ寸法は、壁部10bの頂部側の切込み52bの長さ寸法より大きくしてあり、更に前者の切込み52bは後者の切込み52bの略延長線上までL字状に切込んである。従って、第2支持部34bは、後者の切込み52bの先端から前者の切込み52bのL字先端までの領域において第1側部11b又は第2側部12bに片持ち支持されており、第2挟持部32bは第2支持部34bの片持ち支持領域において、壁部10bのやや外側へ斜めに屈折されている。これによって、第2挟持部32bは条材挟持部30b内へ条材を嵌入させるべく外力が印加された場合、条材挟持部30bの外方へ撓み、前記外力が除去された場合、元の姿勢に復帰する可撓性を有する。
【0109】
スペーサ1bの条材挟持部30b内へ条材を挿入させる場合、条材上にスペーサ1bの条材挟持部30bを位置させ、当該スペーサ1bに押圧を印加することによって、第1挟持部31b及び第2挟持部32bを互いに離隔する方向へ撓ませ、その状態で、縦条材W1又は横条材W2を条材挟持部30b内へ挿入させる。縦条材W1又は横条材W2が条材挟持部30b内へ挿入されると、撓んだ第1挟持部31b及び第2挟持部32bが元の姿勢に復帰し、図19に示したように、条材挟持部30b内へ挿入された縦条材W1又は横条材W2に第2外嵌係合部35bが外嵌係合するため、当該縦条材W1又は横条材W2が条材挟持部30bから抜出することが防止される。
【0110】
ところで、前述した底部20bの第1側部11b及び第2側部12bからそれぞれ延出された両延出領域21b,21bは、後述する如く複数のスペーサ1b,1b,…をタンデムに連結させた際に、内側のスペーサ1bの延出領域21b,21bが外側のスペーサ1bの第1側部11b及び第2側部12bの内面に当接して、相隣るスペーサ1b,1bの第1側部11bと第1側部11bとの間隙、及び第2側部12bと第2側部12bとの間隙を所定の寸法になすべくこれを担保するようなっている。前述したようにスペーサ1bの第1挟持部31b,31bは、それが設けられた第1側部11b及び第2側部12bより壁部10bの内側へ屈折されており、一方、スペーサ1bの第2挟持部32b,32bは、それが設けられた第1側部11b及び第2側部12bより壁部10bの外側へ屈折されているが、底部20bの両延出領域21b,21bによって、内側のスペーサ1bの両第2挟持部32b,32bが、外側のスペーサ1bの第1側部11b及び第2側部12bに当接することが防止され、同様に、外側のスペーサ1bの両第1挟持部31b,31bが、内側のスペーサ1bの第1側部11b及び第2側部12bに当接することが防止されるため、内側のスペーサ1bの第2挟持部32b,32b、及び、外側のスペーサ1bの第1挟持部31b,31bがそれぞれ当初姿勢に保持される。
【0111】
一方、底部20bの延出領域21b,21bにはそれぞれ、複数のスペーサ1b,1b,…をタンデムに連結させ得るべく、平面視倒立直角三角形状の一対の突出部22b,22b、22b,22bが、両延出領域21b,21bの長手方向へそれぞれ適宜の距離を隔てて設けてある。また、これに対応して、第1側部11b及び第2側部12bの長手方向の適宜位置であって底部20bとの境界領域には、前記上底側部13b側の突出部22b,22bを嵌入させるための矩形凹部状の第1切り欠き部16b,16bがそれぞれ開設してある。また、第1側部11b及び第2側部12bの壁部10b端の位置であって、底部20bとの境界領域には、前記上底側部13bとは反対側の突出部22b,22bを進入させるための横転L字状の第2切り欠き部17b,17bがそれぞれ開設してある。
【0112】
図20は、図14に示したスペーサ1bをタンデムに複数連結させた状態を示す斜視図である。なお、図20中、図14図18に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してその説明を省略する。
【0113】
図20に示したように、先頭のスペーサ1bの壁部10b内に次のスペーサ1bの壁部10bが、次のスペーサ1bの両延出領域21b,21bが先頭のスペーサ1bの第1側部11bの内面及び第2側部12bの内面に当接させるとともに、次のスペーサ1bの両延出領域21b,21bに設けられた突出部22b,22b、22b,22bを先頭のスペーサ1bの第1側部11b及び第2側部12bに設けられた第1切り欠き部16b,16b及び第2切り欠き部17b,17bにそれぞれ嵌入させてある。
【0114】
このとき、スペーサ1bの両延出領域21b,21bが先頭のスペーサ1bの第1側部11bの内面及び第2側部12bの内面に当接するため、相隣るスペーサ1b,1bの第1側部11bと第1側部11bとの間隙、及び第2側部12bと第2側部12bとの間隙が所定の寸法に保たれる一方、相隣るスペーサ1b,1bの上底側部13bと上底側部13bとの間隙を所定の寸法に保つことによって、相隣るスペーサ1b,1bの条材挟持部30b,30bの間の寸法が条材の外径と略同じ値ずつ隔てられるようになっている。
【0115】
一方、次のスペーサ1bは、当該スペーサ1bの突出部22b,22b、22b,22bが先頭のスペーサ1bの第1側部11b及び第2側部12bに設けられた第1切り欠き部16b,16b及び第2切り欠き部17b,17bに嵌入させてあるため、次のスペーサ1bを先頭のスペーサ1bから分離させる場合、次のスペーサ1bを先頭のスペーサ1bに連結させた方向とは逆となる一方向のみへ移動させ得るようになされている。
【0116】
また、図20に示したように、各スペーサ1b,1bは、それらが互いに連結した状態において、条材挟持部30b,30bの中心軸が相互に平行な姿勢になるように構成してあり、更に、連結された一対のスペーサ1b,1bの条材挟持部30b,30bの中心軸によって形成される一平面に、連結された他のスペーサ1b,1b,…の条材挟持部30b,30b,…の中心軸も面一になるようになしてある。
【0117】
このように複数が連結されたスペーサ1b,1b,…にあっては、図21に示したように、重畳状態にある複数の溶接金網WM,WM,…の横条材W2,W2,…(又は縦条材W1,W1,…)にそれぞれワンタッチで外嵌挟持させることができる。このように、重畳させた複数の溶接金網WM,WM,…に複数のスペーサ1b,1b,…を一度に取り付けることができるため、作業員に重労働を強いることなく、複数の溶接金網WM,WM,…へのスペーサ1b,1b,…の取り付けに要する時間を可及的に短くすることができる。
【0118】
また、前述したように相互に連結された各スペーサ1b,1b,…は、連結させた方向とは逆となる一方向のみへ移動させ得るようになっている一方、相互に連結された各スペーサ1b,1b,…はその頂部を下へ向けて、略鉛直方向の姿勢になるように各溶接金網WM,WM,…に取り付けられるため、前同様、最上段の溶接金網WMを他の溶接金網WM,WM,…の略真上方向へ持ち上げることによって、相互に連結された複数のスペーサ1b,1b,…から、当該溶接金網WMに取り付けられたスペーサ1bを容易に分離させることができる。
【0119】
一方、このようにして最上段の溶接金網WMを持ち上げて、相互に連結された複数のスペーサ1b,1b,…から、当該溶接金網WMに取り付けられたスペーサ1bが分離されると、当該スペーサ1bは自重によってスペーサ1bの条材挟持部30bが外嵌挟持する横条材W2(又は縦条材W1)の中心軸回りにその底部20bが当該溶接金網WMより下側になるように回動し、その姿勢で保持される。
【0120】
そのため、作業員による敷設作業は、重畳状態にある各溶接金網WM,WM,…の最上段の溶接金網WMから順次搬出して、敷設場所の所定位置まで移送し、そこに降下設置するだけでよく、敷設後にスペーサを取り付ける場合のように、溶接金網WM,WM,…の持ち上げ作用等が不要であるので、溶接金網WM,WM,…の敷設作業に要する労力を可及的に低減することができる。
【0121】
なお、発明を実施するための第3の形態で示したスペーサ1bにあっては、底部20bを備える場合について説明したが、本発明はこれに限らず、底部20bを備えない構成にすることもできる。例えば、前述した延出領域21b,21b、並びに突出部22b,22b、22b,22bを第1側部11b及び第2側部12bの外面底端にそれぞれ設けるとともに、第1側部11b及び第2側部12bの適宜位置に前述した第1切り欠き部16b,16b及び第2切り欠き部17b,17bに対応する開口をそれぞれ開設し、或は、第1側部11b及び第2側部12bの内面に突出部22b,22b、22b,22bを挿入させる横転凹形状の溝を形成する。
【0122】
また、発明を実施するための第3の形態で示したスペーサ1bにあっては、板材を用いて構成し得るようになした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、発明を実施するための第2の形態で示したスペーサ1aのように、壁部10b、第1挟持部31b,31b、及び第2挟持部32b,32bを樹脂材にて適宜の厚さを有するように形成してもよい。その場合、第1切り欠き部16b,16b及び第2切り欠き部17b,17bに代えて、図13に示した如き、対をなす溝状凹部52a,52aを第1側部11b及び第2側部12bの適宜位置にそれぞれ2対ずつ設けることによって、第1挟持部31b,31b及び第2挟持部32b,32bに対応する第1挟持部及び第2挟持部を形成すればよい。なお、かかる第1挟持部及び第2挟持部にあっては、前述した第1挟持部31b,31b及び第2挟持部32b,32bのように壁部10bの内外へ斜めに屈折させず、図13に示した第2挟持部32aのように、第1側部11b又は第2側部12bに倣って構成すればよい。
【0123】
なお、本スペーサ1,1a,1bは溶接金網以外にも、金属製又は樹脂製の網状のフェンスといった他の格子状体にも適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0124】
1 スペーサ
1a スペーサ
1b スペーサ
10 壁部
10b 壁部
11 第1側部
11b 第1側部
12 第2側部
12b 第2側部
16b 第1切り欠き部
17b 第2切り欠き部
20 底部
20b 底部
21b 延出領域
22b 突出部
31 第1挟持部
31a 第1挟持部
31b 第1挟持部
32 第2挟持部
32b 第2挟持部
30 条材挟持部
30a 条材挟持部
30b 条材挟持部
33b 第1支持部
34 支持部
34a 支持部
34b 第2支持部
35 外嵌係合部
35b 第2外嵌係合部
41 第1案内部
41a 第1案内部
41b 第1案内部
42 第2案内部
42a 第2案内部
42b 第2案内部
51b 切込み
52a 溝状凹部
52b 切込み
WM 溶接金網
W1 縦条材
W2 横条材
M 枡
G 施工対象面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24