IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友理工株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-コネクタ 図1
  • 特開-コネクタ 図2
  • 特開-コネクタ 図3
  • 特開-コネクタ 図4
  • 特開-コネクタ 図5
  • 特開-コネクタ 図6
  • 特開-コネクタ 図7
  • 特開-コネクタ 図8
  • 特開-コネクタ 図9
  • 特開-コネクタ 図10
  • 特開-コネクタ 図11
  • 特開-コネクタ 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169100
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   F02M 55/02 20060101AFI20221101BHJP
   F02M 55/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
F02M55/02 310Z
F02M55/02 330C
F02M55/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074935
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田原 智史
(72)【発明者】
【氏名】鐘ヶ江 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】小高 義紀
(72)【発明者】
【氏名】坂崎 一茂
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066BA22
3G066CB03
3G066CB18
(57)【要約】
【課題】簡易な構成により脈動を吸収することができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、金属製の筒部材により形成されたコネクタ本体10を備える。コネクタ本体10は、筒部材における第一開口10aと第二開口10bとの中間に、コネクタ本体10における他の部位に比べて薄肉に形成され、内部を流通する流体の脈動により筒部材の径方向に弾性変形する変形部13を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の筒部材により形成されたコネクタ本体を備えるコネクタであって、
前記コネクタ本体は、前記筒部材における第一開口と第二開口との中間に、前記コネクタ本体における他の部位に比べて薄肉に形成され、内部を流通する流体の脈動により前記筒部材の径方向に弾性変形する変形部を備える、コネクタ。
【請求項2】
前記変形部は、全周に亘って形成される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記変形部の内周面の径方向断面形状は、円形であり、
前記変形部の外周面の径方向断面形状は、前記変形部の内周面と同心の円形である、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記コネクタ本体は、
周方向に断続的に設けられた複数の前記変形部と、
周方向に隣り合う前記変形部の間に設けられ、流体流通方向に延在し、前記変形部の最も薄い部位よりも厚肉に形成された複数のリブと、
を備える、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
複数の前記リブは、前記コネクタ本体の周方向において、等間隔に形成されている、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記リブは、前記変形部の外周面よりも径方向外側に突出するように形成されている、請求項4または5に記載のコネクタ。
【請求項7】
さらに、筒状に形成され、前記変形部の外周面に対して径方向に対向して設けられ、前記変形部が変形していない場合に前記変形部の外周面との間に径方向隙間を形成し、前記変形部が径方向外側に変形した場合に前記変形部が当接することにより径方向外側へ所定値より大きく変形することを規制する変形規制部材を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記コネクタ本体は、
前記変形部の流体流通方向の一端に隣り合う位置に設けられ、前記変形部の最も薄い部位よりも厚肉に形成された環状の第一肩部と、
前記変形部の流体流通方向の他端に隣り合う位置に設けられ、前記変形部の最も薄い部位よりも厚肉に形成された環状の第二肩部と、
を備え、
前記変形規制部材は、前記第一肩部および前記第二肩部に当接した状態で位置決めされている、請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記変形規制部材は、前記第一肩部および前記第二肩部の少なくとも一方に係止される、請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記変形規制部材は、前記第一肩部および前記第二肩部に係止される、請求項9に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記第一肩部および前記第二肩部は、前記変形部の最小外径よりも大径に形成される、請求項8~10のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記変形部の外周面の軸方向断面形状は、径方向内側に向かって湾曲凹状に形成されている、請求項11に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記変形部は、前記変形部において流体流通方向の中間部が最も薄く、流体流通方向の中間部から両端側に行くに従って厚くなるように形成されている、請求項12に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記変形部は、流体流通方向の全長に亘って同一厚みに形成されている、請求項12に記載のコネクタ。
【請求項15】
前記変形部の外周面の軸方向断面形状は、軸方向に平行な直線状に形成されている、請求項8~11のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項16】
前記変形部の内周面の軸方向断面形状は、軸方向に平行な直線状に形成されている、請求項12または15に記載のコネクタ。
【請求項17】
さらに、前記コネクタ本体の前記第一開口の側に取り付けられ、前記コネクタの接続対象の1つである第一配管に接続されるコネクタヘッド部材を備え、
前記変形規制部材は、前記コネクタヘッド部材とは別体部材である、請求項7~16のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項18】
前記変形規制部材は、前記コネクタ本体の前記第二開口の側から嵌装可能に1つの筒部材により形成される、請求項17に記載のコネクタ。
【請求項19】
前記変形規制部材は、筒形状を周方向に分割した複数の円弧部材により構成される、請求項17に記載のコネクタ。
【請求項20】
前記変形規制部材は、樹脂製である、請求項17~19のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項21】
さらに、前記コネクタ本体の前記第一開口の側に取り付けられ、前記コネクタの接続対象の1つである第一配管に接続されるコネクタヘッド部材を備え、
前記変形規制部材と前記コネクタヘッド部材とは、一体部材として形成されている、請求項7~16のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項22】
前記変形規制部材および前記コネクタヘッド部材は、樹脂製である、請求項21に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の燃料供給系において燃料の脈動を低減する技術が種々知られている。例えば、特許文献1には、燃料供給系に設けられるコネクタの内部に、脈動を吸収するための金属ダイヤフラムを用いた構成が記載されている。特許文献2には、燃料供給系の配管に、ダイヤフラムばねを用いた構成が記載されている。特許文献3には、燃料供給系に用いられるコネクタに、脈動を吸収するための減衰ダイヤフラムを用いた構成が記載されている。特許文献4には、燃料供給系のコネクタの内部に、脈動を吸収するためのベローズを用いた構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62-170895号公報
【特許文献2】特開昭61-59094号公報
【特許文献3】特公平2-43074号公報
【特許文献4】特許第4641387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタや配管において、流体を流通させる要素とは関係のない要素として、脈動を吸収するためのダイヤフラムやベローズを設けている。そのため、コネクタや配管の構成が複雑化し、高コストとなっている。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、簡易な構成により脈動を吸収することができるコネクタを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
金属製の筒部材により形成されたコネクタ本体を備えるコネクタであって、
前記コネクタ本体は、前記筒部材における第一開口と第二開口との中間に、前記コネクタ本体における他の部位に比べて薄肉に形成され、内部を流通する流体の脈動により前記筒部材の径方向に弾性変形する変形部を備える、コネクタにある。
【発明の効果】
【0007】
コネクタ本体が変形部を備えることにより、コネクタ本体を流通する流体に脈動が生じた場合に、変形部が筒部材の径方向に弾性変形することで、脈動を吸収することができる。そして、コネクタ本体が、金属製の筒部材により形成されており、変形部は、コネクタ本体の一部位として構成される。従って、変形部は、流体を流通させる流路を構成するとともに、金属弾性により弾性変形することができる。
【0008】
このように、流体を第一開口と第二開口との間で流通させる金属製のコネクタ本体そのものが、脈動を吸収することができる変形部を備えている。従って、脈動を吸収する要素が、コネクタ本体そのものにより構成されているため、コネクタ本体と別要素により構成される場合に比べて簡易な構成となる。その結果、コネクタを低コストに製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一実施形態のコネクタについての流体流通方向の断面図(縦断面図)である。
図2図1のII-II断面図である。
図3】第一実施形態のコネクタであって、変形部が弾性変形した状態を示す縦断面図である。
図4】第二実施形態のコネクタであって、図1のII-II断面図に相当する図である。
図5】第三実施形態のコネクタであって、図1のII-II断面図に相当する図である。
図6】第四実施形態のコネクタの縦断面図である。
図7】第五実施形態のコネクタの縦断面図である。
図8】第六実施形態のコネクタの縦断面図である。
図9】第七実施形態のコネクタの縦断面図である。
図10】第七実施形態のコネクタであって、変形部が弾性変形した状態を示す縦断面図である。
図11】第七実施形態の変形態様のコネクタの縦断面図である。
図12】第八実施形態のコネクタの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1.第一実施形態)
(1-1.コネクタ1の適用対象)
コネクタ1は、例えば、自動車の燃料供給系や冷却水の流路などの一部を構成する。例えば、図1に示すように、コネクタ1は、燃料供給系において、エンジンのインジェクタに接続されるフューエルデリバリパイプである第一配管2と、燃料タンクからポンプにより圧送される流体燃料を流通させる長尺状の樹脂チューブである第二配管3とを連結する。インジェクタの開閉状態が制御されることにより、エンジンのシリンダ内に所望量の流体燃料が噴射される。
【0011】
コネクタ1は、流体燃料を流通させる流路を形成しており、一端に第一配管2としてのフューエルデリバリパイプが接続され、他端に第二配管3としての樹脂チューブが接続される。本形態においては、例えば、流体燃料は、第二配管3としての樹脂チューブから、コネクタ1を介して、第一配管2としてのフューエルデリバリパイプに向かって流通する。
【0012】
そして、インジェクタの開閉動作によって、コネクタ1、第一配管2および第二配管3を流通する流体燃料に脈動が生じる。ただし、コネクタ1は、燃料供給系以外であっても、脈動を生じる流体の流通経路に適用可能である。
【0013】
(1-2.コネクタ1の構成)
コネクタ1の構成について、図1および図2を参照して説明する。コネクタ1は、上述したように、筒状に形成され、一端から他端に向かって流体を流通する。ここで、筒状とは、流路の中心線が直線状である場合に限らず、流路の中心線が屈曲した形状である場合も含む。コネクタ1は、コネクタ本体10、コネクタヘッド部材20、シールユニット30、および、変形規制部材40を備える。
【0014】
コネクタ本体10は、鋼材、アルミニウムなどの金属製の筒部材により形成されている。本形態においては、コネクタ本体10は、中心線が直線状である筒状に形成されている。コネクタ本体10は、一端側(図1の右側)に第一開口10aを有し、他端側(図1の左側)に第二開口10bを有する。コネクタ本体10の第一開口10aは、コネクタ1の接続対象の1つである第一配管2が接続される部位である。本形態においては、第一開口10aの側には、第一配管2の先端が挿入される。第二開口10bは、コネクタ1の接続対象の1つである第二配管3が接続される部位である。本形態においては、第二開口10bの側には、第二配管3の先端が嵌装される。
【0015】
コネクタ本体10は、第一配管嵌装部11、第二配管嵌装部12、変形部13、第一肩部14、第二肩部15を備える。第一配管嵌装部11は、第一開口10aを一端とする筒状に形成されている。第一配管嵌装部11は、中心線が直線状であり、円筒内周面を有する筒状に形成されている。第一配管嵌装部11は、流通する流体の圧力によっては変形しない厚みを有する。第一配管嵌装部11には、第一配管2の先端が挿入される。第一配管嵌装部11の外周面には、全周に亘って凹状の係止部11aが形成されている。
【0016】
第二配管嵌装部12は、第二開口10bを一端とする筒状に形成されている。本形態においては、第二配管嵌装部12は、中心線が直線状の筒状に形成されている。第二配管嵌装部12の外周面の軸方向断面形状が、波状に形成されている。第二配管嵌装部12は、第一配管嵌装部11に比べて小径に形成されている。第二配管嵌装部12は、流通する流体の圧力によっては変形しない厚みを有する。第二配管嵌装部12の外周面には、第二配管3である樹脂チューブが拡径した状態で嵌装される。第二配管3が、第二配管嵌装部12の外周面の突出部分に軸方向に対して係止される。
【0017】
変形部13は、第一配管嵌装部11と第二配管嵌装部12との間に位置する。つまり、変形部13は、コネクタ本体10を構成する筒部材における第一開口10aと第二開口10bとの中間に位置する。変形部13は、コネクタ本体10における他の部位、すなわち、第一配管嵌装部11、第二配管嵌装部12、第一肩部14および第二肩部15に比べて薄肉に形成されている。そして、変形部13は、内部を流通する流体の脈動により、コネクタ本体10である筒部材の径方向に弾性変形する。
【0018】
本形態においては、図1および図2に示すように、変形部13は、全周に亘って形成されている。つまり、変形部13は、中心線が直線状の筒状に形成されている。変形部13の内周面の径方向断面形状は、円形であり、かつ、変形部13の外周面の径方向断面形状は、内周面と同心の円形である。
【0019】
変形部13の内周面の軸方向断面形状は、軸方向に平行な直線状に形成されている。変形部13の内径は、第一配管嵌装部11の内径より小さく、第二配管嵌装部12の内径より大きい。つまり、第一配管嵌装部11の内周面から変形部13の内周面へ、縮径する階段状に形成され、変形部13の内周面から第二配管嵌装部12の内周面へ、縮径する階段状に形成される。
【0020】
変形部13の外周面の軸方向断面形状は、径方向内側に向かって湾曲凹状に形成されている。つまり、変形部13の流体流通方向(軸方向)の中間部13aが、最も薄く形成されている。本形態においては、変形部13の中間部13aは、軸方向に亘って同一厚みに形成されている。また、変形部13の第一端部13bは、中間部13aから変形部13の一方端の側に行くに従って厚くなるように形成されている。同様に、変形部13の第二端部13cは、中間部13aから変形部13の他方端の側に行くに従って厚くなるように形成されている。つまり、変形部13は、中間部13aが最も薄く、中間部13aから両端側に行くに従って厚くなるように形成されている。
【0021】
第一肩部14は、環状に形成されており、変形部13の流体流通方向の一端(図1の右端)に隣り合う位置に設けられ、第一配管嵌装部11に隣接する。つまり、第一肩部14は、変形部13と第一配管嵌装部11との間に位置する。第一肩部14は、変形部13の最も薄い部位よりも厚肉に形成されている。第一肩部14は、流通する流体の圧力によっては変形しない厚みを有する。第一肩部14は、変形部13の最小外径よりも大径に形成される。第一肩部14の内周面は、変形部13と同一内径に形成されている。さらに、第一肩部14の外周面には、全周に亘って凹状の係止部14aが形成されている。
【0022】
第二肩部15は、環状に形成されており、変形部13の流体流通方向の他端(図1の左端)に隣り合う位置に設けられ、第二配管嵌装部12に隣接する。つまり、第二肩部15は、変形部13と第二配管嵌装部12との間に位置する。第二肩部15は、変形部13の最も薄い部位よりも厚肉に形成されている。第二肩部15は、流通する流体の圧力によっては変形しない厚みを有する。第二肩部15は、変形部13の最小外径よりも大径に形成される。第二肩部15の内周面は、変形部13と同一内径に形成されている。さらに、第二肩部15の外周面には、全周に亘って凹状の係止部15aが形成されている。
【0023】
コネクタヘッド部材20は、中心線が直線状の筒状に形成されている。コネクタヘッド部材20は、鋼材やアルミニウムなどの金属製、または、樹脂製である。コネクタヘッド部材20が樹脂により成形される場合には、母材樹脂は、例えば、ポリプロピレン、ポリアミドなどが好適であるが、これらに限定されるものではなく種々の樹脂材料を適用できる。
【0024】
コネクタヘッド部材20は、コネクタ本体10の第一開口10aの側に取り付けられる。つまり、コネクタヘッド部材20は、コネクタ本体10の第一配管嵌装部11に取り付けられる。そして、コネクタヘッド部材20は、第一配管2に接続される。
【0025】
本形態においては、コネクタヘッド部材20は、第一配管2を嵌装可能に形成され、かつ、第一配管2を係止する構成を有する。ただし、コネクタヘッド部材20は、連結対象部材に応じて適宜変更可能である。
【0026】
本形態においては、コネクタヘッド部材20は、内部に第一配管2を挿入可能に形成される。ここで、第一配管2は、先端から距離を隔てた位置に、径方向外側に全周に亘って突出する環状フランジ2aを有する。第一配管2は、例えば、金属配管または硬質の樹脂配管などである。
【0027】
コネクタヘッド部材20は、第一配管2の環状フランジ2aに対して、コネクタヘッド部材20の軸方向に係止する係止部材21を備える。係止部材21は、第一配管2の環状フランジ2aが挿入可能となるように弾性変形可能に設けられている。つまり、第一配管2がコネクタヘッド部材20の正規位置まで挿入されることで、第一配管2の環状フランジ2aが係止部材21に係止され、第一配管2がコネクタヘッド部材20から引き抜かれることが規制される。
【0028】
なお、係止部材21は、公知のクイックコネクタの構成を適用することができる。公知のクイックコネクタには、種々のタイプの係止構造が知られている。上記においては、係止部材21が、コネクタヘッド部材20の一部として設けられる場合を例にあげたが、これに限られるものではない。例えば、係止部材21は、コネクタヘッド部材20に嵌め込まれるリテーナ部材に設けられるようにしても良い。
【0029】
コネクタヘッド部材20は、内周面に全周に亘って、径方向内側に突出する係止部22を備える。コネクタヘッド部材20の係止部22は、第一配管嵌装部11の係止部11aに嵌め込まれて係止される。つまり、係止部11a,22が係止されることにより、コネクタヘッド部材20が、第一配管嵌装部11に位置決めされる。
【0030】
シールユニット30は、コネクタ本体10の第一配管嵌装部11の内周面と第一配管2の先端側の外周面との径方向間に設けられている。シールユニット30は、第一配管嵌装部11の内周面と第一配管2の先端部の外周面とをシールする一対の弾性リング31,33と、一対の弾性リング31,33の軸方向間に配置される円筒状のカラー部材32と、弾性リング31,33およびカラー部材32を位置決めするための円筒状のブッシュ34とにより構成される。なお、シールユニット30は、上記に限られず、種々の構成を適用することができる。また、第一配管2の種類によっては、シールユニット30が不要な場合も存在する。
【0031】
変形規制部材40は、筒状に形成されている。変形規制部材40は、鋼材やアルミニウムなどの金属製、または、樹脂製である。変形規制部材40が樹脂により成形される場合には、母材樹脂は、例えば、ポリプロピレン、ポリアミドなどが好適であるが、これらに限定されるものではなく種々の樹脂材料を適用できる。
【0032】
変形規制部材40は、変形部13の外周面に対して、コネクタ本体10である筒部材の径方向に対向して設けられている。変形規制部材40は、変形部13が変形していない場合に、変形部13の外周面との間に径方向隙間を形成する。径方向隙間は、全周に亘って形成されている。さらに、変形規制部材40は、変形部13が径方向外側に変形した場合に、変形部13が当接することにより径方向外側へ所定値より大きく変形することを規制する。
【0033】
本形態においては、変形規制部材40は、1つの筒部材により形成されている。そして、変形規制部材40は、コネクタ本体10およびコネクタヘッド部材20とは別体部材である。変形規制部材40は、コネクタ本体10の第二開口10bの側から嵌装可能に形成されている。
【0034】
本形態においては、図1および図2に示すように、変形規制部材40は、円筒状に形成されている。変形規制部材40は、第一肩部14および第二肩部15に当接した状態で位置決めされている。さらに、変形規制部材40は、内周面の一端側(図1の右側)に、全周に亘って、径方向内側に突出する係止部41を備える。変形規制部材40は、内周面の他端側(図1の左側)に、全周に亘って、径方向内側に突出する係止部42を備える。
【0035】
変形規制部材40の係止部41は、第一肩部14の係止部14aに嵌め込まれて係止される。また、変形規制部材40の係止部42は、第二肩部15の係止部15aに嵌め込まれて係止される。つまり、変形規制部材40の係止部41,42とコネクタ本体10の係止部14a,15aとが係止されることにより、変形規制部材40が、コネクタ本体10に位置決めされる。なお、変形規制部材40における係止部41,42は、全周に亘って形成される場合に限られず、周方向の一部に形成されるようにしても良い。
【0036】
(1-3.作用および効果)
コネクタ1の作用について図1および図3を参照して説明する。図3に示すように、コネクタ1を流通する流体の圧力が高くなると、変形部13が径方向外側に変形する。一方、コネクタ1を流通する流体の圧力が低くなると、変形部13は、弾性力によって、図1に示すように元の形状に戻る。
【0037】
このように、コネクタ本体10が変形部13を備えることにより、コネクタ本体10を流通する流体に脈動が生じた場合に、変形部13がコネクタ本体10である筒部材の径方向に弾性変形することで、脈動を吸収することができる。そして、コネクタ本体10が、金属製の筒部材により形成されており、変形部13は、コネクタ本体10の一部位として構成される。従って、変形部13は、流体を流通させる流路を構成するとともに、金属弾性により弾性変形することができる。
【0038】
このように、流体を第一開口10aと第二開口10bとの間で流通させる金属製のコネクタ本体10そのものが、脈動を吸収することができる変形部を備えている。従って、脈動を吸収する要素が、コネクタ本体10そのものにより構成されているため、コネクタ本体10と別要素により構成される場合に比べて簡易な構成となる。その結果、コネクタを低コストに製造できる。
【0039】
また、変形部13が全周に亘って形成されることで、変形部13全体を膨張するように変形させやすくなる。従って、確実に、脈動を吸収できる。特に、変形部13の内周面の径方向断面形状を円形とし、変形部13の外周面の径方向断面形状を、内周面と同心の円形とする。これにより、変形部13全体を安定して変形させることができる。
【0040】
さらに、コネクタ1は、変形規制部材40を備える。従って、変形部13は、径方向外側に変形した場合に、変形規制部材40によってその変形量が規制されている。これにより、変形部13の耐久性を確保することができる。
【0041】
変形規制部材40は、第一肩部14および第二肩部15に係止されている。これにより、変形規制部材40は、コネクタ本体10に位置決めすることができる。なお、変形規制部材40は、第一肩部14と第二肩部15の一方のみに係止されるようにしても良い。
【0042】
第一肩部14および第二肩部15は、変形部13の最小外径よりも大径に形成されている。つまり、変形部13の外周面、第一肩部14の軸方向端面、第二肩部15の軸方向端面により、径方向内側に向かって凹状に形成されている。これにより、変形部13の外周面と変形規制部材40の内周面との径方向間に隙間を形成することができ、変形部13の変形領域を確保することができる。
【0043】
また、変形部13の外周面の軸方向断面形状は、径方向内側に向かって湾曲凹状に形成されている。つまり、変形部13の第一端部13bの外周面が、軸方向端に行くに従って大径となり、変形部13の第二端部13cの外周面が、軸方向端に行くに従って大径となる。これにより、変形部13の中間部13aが、径方向外側に変形しやすくなる。つまり、確実に脈動を吸収することができる。
【0044】
さらに、変形部13は、中間部13aが最も薄く、中間部13aから両端側に行くに従って厚くなるように形成されている。これにより、変形部13が変形する際に、変形部13の両端部分である第一端部13bおよび第二端部13cに応力が集中することを抑制できる。従って、変形部13の耐久性を高くすることができる。
【0045】
また、変形部13の内周面の軸方向断面形状は、軸方向に平行な直線状に形成されている。これにより、変形部13の形成時において、変形部13の部分がアンダーカット形状ではないため、変形部13、つまりはコネクタ本体10全体を容易に形成することができる。
【0046】
変形規制部材40は、コネクタヘッド部材20とは別体部材であって、コネクタ本体10の第二開口10bの側から嵌装可能に1つの筒部材により形成されている。従って、変形規制部材40は、容易に、コネクタ本体10に装着することができる。また、コネクタヘッド部材20と変形規制部材40とを別体部材とすることで、コネクタ本体10の形状の自由度が高くなる。
【0047】
(2.第二実施形態)
第二実施形態のコネクタ101について図4を参照して説明する。本形態のコネクタ101は、第一実施形態のコネクタ1に対して、コネクタ本体110が相違する。コネクタ本体110は、周方向に断続的に設けられた複数の変形部113を備える。それぞれの変形部113は、中間部113a、第一端部13b(図1に示す)、第二端部13c(図1に示す)を備える。さらに、コネクタ本体110は、周方向に隣り合う変形部113の間に設けられ、流体流通方向に延在し、変形部113の最も薄い部位よりも厚肉に形成された複数のリブ116を備える。リブ116は、流通する流体の圧力によっては変形しない厚みを有する。
【0048】
本形態においては、リブ116は、変形部113の中間部113aの外周面よりも径方向外側に突出するように形成されている。また、複数のリブ116は、コネクタ本体110の周方向において、等間隔に形成されている。従って、複数の変形部113も、コネクタ本体110の周方向において、等間隔に形成されている。リブ116の周方向幅は、変形部113の周方向幅よりも狭い。従って、変形部113を変形させることができる。
【0049】
(3.第三実施形態)
第三実施形態のコネクタ201について図5を参照して説明する。本形態のコネクタ201は、第一実施形態のコネクタ1に対して、変形規制部材240が相違する。変形規制部材240は、筒形状を周方向に分割した複数の円弧部材241,242により構成される。
【0050】
一方の円弧部材241は、円弧の一端に形成された第一係止部241aと、円弧の他端に形成された第二係止部241bとを備える。他方の円弧部材242は、円弧の一端に形成された第一係止部242aと、円弧の他端に形成された第二係止部242bとを備える。そして、一方の円弧部材241の第一係止部241aと、他方の円弧部材242の第二係止部242bとが係止される。一方の円弧部材241の第二係止部241bと、他方の円弧部材242の第一係止部242aとが係止される。これにより、変形規制部材240は、コネクタ本体110の径方向外側から組み付けることができる。
【0051】
なお、本形態においては、変形規制部材240を2つに分割した部材により構成したが、3以上に分割した部材により構成しても良い。また、分割された各部材を同一形状とすることで、部品種の数を増加させることなく実現できる。
【0052】
(4.第四実施形態)
第四実施形態のコネクタ301について図6を参照して説明する。本形態のコネクタ301は、第一実施形態のコネクタ1に対して、変形部313が相違する。変形部313の外周面の軸方向断面形状は、軸方向に平行な直線状に形成されている。また、変形部313の内周面の軸方向断面形状は、軸方向に平行な直線状に形成されている。さらに、変形部313の内周面の径方向断面形状は、円形であり、かつ、変形部313の外周面の径方向断面形状は、内周面と同心の円形である。
【0053】
従って、変形部313は、流体流通方向の全長に亘って同一厚みに形成されている。さらに、第一肩部14および第二肩部15は、変形部313の外径よりも大径に形成されている。つまり、変形部313の外周面、第一肩部14の軸方向端面、第二肩部15の軸方向端面により、径方向内側に向かって凹状に形成されている。これにより、変形部313の外周面と変形規制部材40の内周面との径方向間に隙間を形成することができ、変形部313の変形領域を確保することができる。
【0054】
(5.第五実施形態)
第五実施形態のコネクタ401について図7を参照して説明する。本形態のコネクタ401は、第一実施形態のコネクタ1に対して、変形部413が相違する。変形部413の外周面の軸方向断面形状は、径方向内側に向かって湾曲凹状に形成されている。変形部413は、流体流通方向の全長に亘って同一厚みに形成されている。つまり、変形部413の内周面の軸方向断面形状は、径方向内側に向かって湾曲凸状に形成されている。
【0055】
変形部413の流体流通方向の中間部413aが、径方向内側に位置する。変形部413の第一端部413bは、中間部413aから変形部413の一方端の側に行くに従って径方向外側に傾斜している。また、変形部413の第二端部413cは、中間部413aから変形部413の他方端の側に行くに従って径方向外側に傾斜している。これにより、変形部413が変形しやすくなる。
【0056】
(6.第六実施形態)
第六実施形態のコネクタ501について図8を参照して説明する。本形態のコネクタ501は、第一実施形態のコネクタ1に対して、変形部513、第一肩部514、第二肩部515、変形規制部材540が相違する。
【0057】
変形部513の外周面の軸方向断面形状は、軸方向に平行な直線状に形成されている。また、変形部513の内周面の軸方向断面形状は、軸方向に平行な直線状に形成されている。さらに、変形部513の内周面の径方向断面形状は、円形であり、かつ、変形部513の外周面の径方向断面形状は、内周面と同心の円形である。従って、変形部513は、流体流通方向の全長に亘って同一厚みに形成されている。
【0058】
第一肩部514の外径は、変形部513の外径よりも大径に形成される。一方、第一肩部514の内径は、変形部513の内径と同一である。従って、第一肩部514は、変形部513の最も薄い部位よりも厚肉に形成されている。そして、第一肩部514の外周面には、全周に亘って凹状の係止部514aが形成されている。
【0059】
第二肩部515の外径は、変形部513の外径と同一である。一方、第二肩部515の内径は、変形部513の内径よりも小径に形成される。従って、第二肩部515は、変形部513の最も薄い部位よりも厚肉に形成されている。第二肩部515の外周面には、全周に亘って凹状の係止部515aが形成されている。
【0060】
変形規制部材540は、軸方向断面において、L字状に形成されている。つまり、変形規制部材540の軸方向の一方の端部(図8の左側)が、径方向内側に向かって突出する鍔状に形成されている。変形規制部材540は、内周面の一端側(図8の右側)に、全周に亘って、径方向内側に突出する係止部541を備える。また、変形規制部材540は、径方向内側に突出する鍔状部分の内周面に、全周に亘って、径方向内側に突出する係止部542を備える。
【0061】
変形規制部材540の係止部541は、第一肩部514の係止部514aに嵌め込まれて係止される。また、変形規制部材540の係止部542は、第二肩部515の係止部515aに嵌め込まれて係止される。つまり、変形規制部材540の係止部541,542とコネクタ本体10の係止部514a,515aとが係止されることにより、変形規制部材540が、コネクタ本体10に位置決めされる。
【0062】
(7.第七実施形態)
第七実施形態のコネクタ601について図9および図10を参照して説明する。本形態のコネクタ601は、第一実施形態のコネクタ1に対して、変形規制部材640が相違する。
【0063】
変形規制部材640は、コネクタヘッド部材20と一体部材として形成されている。本形態においては、変形規制部材640およびコネクタヘッド部材20は、樹脂製である。そして、変形規制部材640の部位は、コネクタヘッド部材20の部位に対して、軸方向に延在するように形成されている。
【0064】
また、変形規制部材640の部位は、内周面の端部に、全周に亘って、径方向内側に突出する係止部641を備える。変形規制部材640の係止部641は、第二肩部15の係止部15aに嵌め込まれて係止される。なお、本形態においては、第一肩部14に係止部14aを設けず、変形規制部材640に第一肩部14に係止する係止部を設けていない。ただし、これらの係止部を設けるようにしても良い。また、変形規制部材640は、第二肩部15との係止に代えて、第一肩部14との係止としても良い。
【0065】
また、図11に示すように、変形規制部材640の部位は、第二肩部15にも係止されない構成としても良い。変形規制部材640の部位は、コネクタヘッド部材20と一体部材であって、コネクタヘッド部材20の部位が第一配管嵌装部11に係止されている。従って、変形規制部材640とコネクタヘッド部材20との一体部材は、コネクタ本体10に位置決めされている。
【0066】
本形態によれば、変形規制部材640がコネクタヘッド部材20と一体部材であるため、コネクタ601を構成する部品数が少なくなる。従って、コネクタ601を低コストにできる。なお、変形規制部材640をコネクタヘッド部材20と一体部材とする構成については、上述した他の実施形態のコネクタ101,201,301,401,501にも適用可能である。
【0067】
(8.第八実施形態)
第八実施形態のコネクタ701について図12を参照して説明する。本形態のコネクタ701は、第一実施形態のコネクタ1に対して、コネクタ本体710が相違する。第一実施形態のコネクタ本体10は、中心線が直線状の筒状とした。一方、本形態のコネクタ本体710は、中心線がL字状の筒状とした。この場合も、上記と同様の効果を発揮する。
【符号の説明】
【0068】
1,101,201,301,401,501,601,701 コネクタ
10,110,710 コネクタ本体
10a 第一開口
10b 第二開口
13,113,313,413,513 変形部
14,514 第一肩部
15,515 第二肩部
20 コネクタヘッド部材
40,240,540,640 変形規制部材
116 リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12