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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169133
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/02 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
F24C3/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074982
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 駿
(72)【発明者】
【氏名】大脇 将太
(57)【要約】
【課題】バーナの燃焼性能に影響を生じさせることなく、バーナの作動時における天板の温度上昇を抑制可能な加熱調理器を提供する。
【解決手段】本発明のガスコンロ100は、天板1と、第1~3バーナ3a~3cと、ペルチェ素子9と、給電手段11とを備えている。天板1は板状に形成されている。天板1には、表面1aと裏面1bとが形成されている。第1~3バーナ3a~3cは天板1に設けられている。ペルチェ素子9には、吸熱面91と、吸熱面91の反対側に位置する放熱面92とが形成されている。吸熱面91は熱を吸収可能である。放熱面92は、吸熱面91が吸収した熱を外部に放出可能である。給電手段11はペルチェ素子9に給電を行う。このガスコンロ100において、ペルチェ素子9は、吸熱面91を天板1の裏面1bに向けた状態で天板1に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状をなし、表面と前記表面の反対側に位置する裏面とが形成された天板と、
前記天板に設けられ、被加熱物を加熱可能なバーナと、
熱を吸収可能な吸熱面と、前記吸熱面の反対側に位置し、前記吸熱面が吸収した前記熱を外部に放出可能な放熱面とが形成された熱電素子と、
前記熱電素子に給電を行う給電手段とを備え、
前記熱電素子は、前記吸熱面を前記裏面に向けた状態で前記天板に設けられていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記給電手段は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とが形成され、前記第1面と前記第2面との温度差によって発電可能な発電体を有し、
前記発電体は、前記第1面を前記裏面に向けた状態で前記天板に設けられている請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記給電手段は、前記発電体とは別体をなして前記熱電素子に給電可能な給電装置と、
前記給電装置から前記熱電素子に給電を行う場合と、前記発電体から前記熱電素子に給電を行う場合とを少なくとも切り替え可能な切替装置とを有している請求項2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記発電体は、前記熱電素子よりも前記バーナに近接して配置されている請求項2又は3記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記裏面と前記吸熱面との間には第1金属板が設けられ、
前記裏面と前記第1面との間には第2金属板が設けられている請求項2乃至4のいずれか1項記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記天板及び前記バーナよりも下方に配置された加熱グリルを備え、
前記発電体は、前記裏面において前記加熱グリルと対向する個所を避けて配置されている請求項2乃至5のいずれか1項記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記天板の温度を報知可能な報知手段を備え、
前記給電手段は、前記報知手段に給電を行う請求項1乃至6のいずれか1項記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の加熱調理器が開示されている。この加熱調理器は、天板と、複数のバーナと、複数の発電体と、送風機とを備えている。天板は矩形の板状をなしている。天板には、表面と、表面の反対側に位置する裏面とが形成されている。各バーナは、それぞれ天板に設けられている。各バーナは、被加熱物を加熱可能である。
【0003】
各発電体には、それぞれ第1面と第2面とが形成されている。各発電体は、第1面と第2面との温度差によって発電可能である。各発電体は、第1面を天板の裏面に向けた状態で天板に設けられている。送風機は、天板及び各バーナの下方に配置されており、各発電体と電気的に接続されている。
【0004】
この種の加熱調理器では、各バーナが作動して被加熱物を加熱する過程において、天板が不可避的に加熱されてしまうため、天板の温度が上昇してしまう。この点、この加熱調理器では、天板の温度が上昇することにより、各発電体において第1面と第2面とに温度差が生じて各発電体が発電を開始する。そして、この加熱調理器では、各発電体が送風機を作動可能な電力を発電すれば送風機が作動する。こうして、この加熱調理器では、送風機が生じさせた風によって天板の冷却を行うことにより、天板の温度が過度に上昇することが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-85388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の加熱調理器では、送風機が送風を開始することにより、天板の下方における空気の流れが変化する。これにより、この加熱調理器では、バーナの燃焼性能に影響が生じ、バーナによる被加熱物の加熱が好適に行われないことが懸念される。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、バーナの燃焼性能に影響を生じさせることなく、バーナの作動時における天板の温度上昇を抑制可能な加熱調理器を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の加熱調理器は、板状をなし、表面と前記表面の反対側に位置する裏面とが形成された天板と、
前記天板に設けられ、被加熱物を加熱可能なバーナと、
熱を吸収可能な吸熱面と、前記吸熱面の反対側に位置し、前記吸熱面が吸収した前記熱を外部に放出可能な放熱面とが形成された熱電素子と、
前記熱電素子に給電を行う給電手段とを備え、
前記熱電素子は、前記吸熱面を前記裏面に向けた状態で前記天板に設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の加熱調理器では、給電手段から熱電素子に給電が開始されることにより、天板の裏面側において、熱電素子の吸熱面による天板の熱の吸収が行われる。このように、この加熱調理器では、熱電素子の吸熱作用によって、バーナの作動時における天板の冷却を行う。そして、熱電素子は、天板の冷却を行うに当たって、天板の裏面側における空気の流れをほぼ変化させることはない。
【0010】
したがって、本発明の加熱調理器によれば、バーナの燃焼性能に影響を生じさせることなく、バーナの作動時における天板の温度上昇を抑制できる。
【0011】
給電手段は、第1面と、第1面反対側に位置する第2面とが形成され、第1面と第2面との温度差によって発電可能な発電体を有し得る。そして、発電体は、第1面を裏面に向けた状態で天板に設けられていることが好ましい。
【0012】
この場合には、天板の温度上昇に起因して第1面と第2面とに温度差が生じるため、発電体が発電する。そして、発電体が発電した電力を熱電素子に供給することにより、この加熱調理器では、熱電素子を作動させるための電力コストを低減することが可能となる。
【0013】
また、この場合、給電手段は、発電体とは別体をなして熱電素子に給電可能な給電装置と、給電装置から熱電素子に給電を行う場合と、発電体から熱電素子に給電を行う場合とを少なくとも切り替え可能な切替装置とを有していることが好ましい。
【0014】
この場合、給電手段において、切替装置が給電装置から熱電素子に給電を行うように切り替えを行うことにより、例えば、バーナの作動開始直後のように、発電体が十分に発電し得ない状態にあっても、熱電素子を作動させて天板の吸熱を行うことが可能となる。
【0015】
一方、給電手段において、切替装置が発電体から熱電素子に給電を行うように切り替えを行うことにより、例えば、バーナによって被加熱物を長時間加熱する際には、給電装置から熱電素子に給電を行うことなく、熱電素子が天板の吸熱を行うことが可能となる。これにより、熱電素子を作動させるための電力コストを好適に低減することができる。
【0016】
また、発電体は、熱電素子よりもバーナに近接して配置されていることが好ましい。この場合には、発電体において第1面と第2面との温度差を大きくし易いため、発電体が好適に発電可能となる。
【0017】
裏面と吸熱面との間には第1金属板が設けられ、裏面と第1面との間には第2金属板が設けられていることが好ましい。
【0018】
これにより、この加熱調理器では、第1金属板によって天板と熱電素子との間における熱伝導率を大きくすることができるため、熱電素子による天板の吸熱効果を向上させることができる。これにより、バーナの作動時における天板の温度上昇を好適に抑制できる。また、この加熱調理器では、第2金属板によって天板と発電体との間における熱伝導率も大きくすることができるため、第1面の温度を高くし易い。このため、この加熱調理器では、発電体の発電効率も高くすることができる。さらに、この加熱調理器では、裏面に対して、熱電素子及び発電体を直接設ける場合に比べて、裏面に対して、熱電素子及び発電体を好適に設けることが可能となる。
【0019】
本発明の加熱調理器は、天板及びバーナよりも下方に配置された加熱グリルを備え得る。そして、発電体は、裏面において加熱グリルと対向する個所を避けて配置されていることが好ましい。この場合には、加熱グリルで生じた熱が発電体に伝わり難くなるため、発電体の発電効率が低下し難くなる。
【0020】
また、本発明の加熱調理器は、天板の温度を報知可能な報知手段を備え得る。そして、給電手段は、報知手段に給電を行うことが好ましい。この場合には、加熱調理器の使用者等が不意に高温の天板に触れてしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の加熱調理器によれば、バーナの燃焼性能に影響を生じさせることなく、バーナの作動時における天板の温度上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施例の加熱調理器を示す斜視図である。
図2図2は、実施例の加熱調理器を示す上面図である。
図3図3は、実施例の加熱調理器に係り、図2のA-A断面を示す断面図である。
図4図4は、実施例の加熱調理器に係り、熱電素子、報知手段及び給電手段等を示す模式図である。
図5図5は、実施例の加熱調理器に係り、熱電素子、報知手段及び給電手段等を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1図3に示すように、実施例のガスコンロ100は、天板1、第1バーナ3a、第2バーナ3b、第3バーナ3c、筐体5、加熱グリル7、ペルチェ素子9、給電手段11及び報知ランプ13を備えている。ガスコンロ100は、本発明における「加熱調理器」の一例である。また、第1~3バーナ3a~3cは、本発明における「バーナ」の一例である。さらに、ペルチェ素子9は、本発明における「熱電素子」の一例である。そして、報知ランプ13は、本発明における「報知手段」の一例である。
【0025】
本実施例では、図1に示す矢印によって、ガスコンロ100の上下方向を規定している他、ガスコンロ100の幅方向に相当する左右方向と、ガスコンロ100の奥行方向に相当する前後方向とを規定している。そして、図2以降では、図1に対応してガスコンロ100の上下方向、左右方向及び前後方向を規定している。これらの上下方向、左右方向及び前後方向は、互いに直交している。
【0026】
図1及び図2に示すように、天板1は、ガスコンロ100の上部に配置されている。天板1は金属製であり、左右方向及び前後方向に延びる矩形の板状に形成されている。より具体的には、天板1は、前後方向の長さに比べて左右方向の長さが長い矩形状に形成されている。なお、天板1の形状は適宜設計可能である。また、天板1は、無機ガラス等で形成されても良い。
【0027】
図3に示すように、天板1には、表面1aと裏面1bとが形成されている。表面1aは、天板1の上方に面している。裏面1bは、表面1aの反対側に位置しており、天板1の下方、すなわち、筐体5の内部に面している。
【0028】
また、天板1における後部、すなわち、天板1において第3バーナ3cよりも後方となる個所には、通気口1cが形成されている他、通気口カバー15が設けられている。通気口1cは、天板1を表面1aから裏面1bまで貫通している。通気口カバー15は、表面1aに設置されており、通気口1cを表面1a側から覆っている。
【0029】
図1及び図2に示すように、第1バーナ3aは、天板1における右部に配置されている。第2バーナ3bは、天板1における左部に配置されている。第3バーナ3cは、天板1における左右方向の略中央であって、第1バーナ3a及び第2バーナ3bよりも後方に配置されている。第1バーナ3aと第2バーナ3bとは同形状である。一方、第3バーナ3cは、第1バーナ3a及び第2バーナ3bよりも小型となっている。なお、第1~3バーナ3a~3cの形状は適宜設計可能である。また、図2では、説明を容易にするため、第1~3バーナ3a~3cを簡略化して図示している。
【0030】
また、天板1の表面1aには、第1~3五徳17a~17cが設置されている。第1五徳17aは第1バーナ3aを囲んでおり、第2五徳17bは第2バーナ3bを囲んでいる。そして、第3五徳17cは第3バーナ3cを囲んでいる。第1~3五徳17a~17cには、食材が収容された調理容器19(図3参照)が載置される。調理容器19は、本発明における「被加熱物」の一例である。なお、調理容器19としては、例えば鍋やフライパンの他、焼き網等が挙げられる。また、本発明における「被加熱物」には、調理容器19だけでなく、食材自体も含まれる。
【0031】
第1~3バーナ3a~3cは、いずれも公知のバーナと同様の構成であり、ガスコンロ100の外部から供給された燃料ガスを燃焼させる。これにより、第1~3バーナ3a~3cは、第1~3五徳17a~17cに載置された調理容器19等を加熱可能である。
【0032】
図1に示すように、筐体5は、天板1に固定されて天板1の下方に配置されている。これにより、天板1は、筐体5を上方から覆っている。筐体5は矩形の箱状に形成されている。また、筐体5には、加熱グリル7が設けられている。
【0033】
加熱グリル7は、加熱庫7aと、グリル扉7bと、グリルトレー7cとを有している。詳細な図示を省略するものの、加熱庫7aは、前後方向及び左右方向に延びる略矩形状に形成されている。
【0034】
加熱庫7aは、筐体5の内部において、左右方向の略中央であって、筐体5の前端から前後方向の略中央となる個所にわたって配置されている。これにより、ガスコンロ100において、天板1の裏面1bと加熱庫7a、ひいては、天板1と加熱グリル7とは、上下方向で対向している。より具体的には、天板1の裏面1bは、左右方向の略中央であって、前端から前後方向の略中央となる個所にわたって、加熱グリル7と上下方向で対向している。
【0035】
グリル扉7bは、筐体5に対して前後方向に移動可能に設けられている。グリルトレー7cは、グリル扉7bと連結されており、グリル扉7bの前後方向に伴って、筐体5に対して前後方向に移動可能となっている。第1~3五徳17a~17cと同様、グリルトレー7cには、調理容器19等が載置される。これにより、加熱グリル7では、加熱庫7a内において、グリルトレー7cに載置された調理容器19の加熱を行う。
【0036】
図1の仮想線で示すように、グリル扉7bは、筐体5から前方に引き出されることにより、加熱庫7aを開放するとともに、加熱庫7a内からグリルトレー7cを脱出させる。一方、グリル扉7bは、後方に移動して筐体5の前面5aと略面一となることにより、グリルトレー7cを加熱庫7aの内部に位置させた状態で加熱庫7aを閉鎖する。
【0037】
また、筐体5の前面5aには、電源スイッチ18の他、操作部20が設けられている。電源スイッチ18は、ガスコンロ100の電源のONとOFFとの切り替えを行う。操作部20は、第1~4操作ダイヤル21~24及び操作パネル25によって構成されている。
【0038】
第1操作ダイヤル21は、第1バーナ3aに対する点火操作及び消火操作の他、第1バーナ3aの火力調節等を行う。同様に、第2、3操作ダイヤル22、23は、それぞれ第2、3バーナ3b、3cに対する点火操作及び消火操作の他、第2、3バーナ3b、3cの火力調節等を行う。第4操作ダイヤル24は、加熱グリル7の作動や停止の他、加熱グリル7の加熱出力調整等を行う。
【0039】
操作パネル25には、操作ボタン25a~25cが設けられている他、ディスプレイ25d及びスピーカ25eが設けられている。操作ボタン25a~25cは、ガスコンロ100における各種の設定や選択入力を行う。ディスプレイ25dは、ガスコンロ100の作動状態や各種の設定情報等を表示する。スピーカ25eは、ガスコンロ100の作動状態や各種の設定情報を音声で発する。なお、前面5aにおける電源スイッチ18等の配置を含め、操作部20の構成は適宜設計可能である。また、図3では、説明を容易にするため、筐体5の形状を簡略化して図示しているとともに、加熱グリル7、電源スイッチ18及び操作部20の図示を省略している。
【0040】
図1及び図2に示すように、ペルチェ素子9は、前後方向の長さに比べて左右方向の長さが長い矩形状をなしている。図3に示すように、ペルチェ素子9には、吸熱面91と放熱面92とが形成されている。吸熱面91は、ペルチェ素子9の上部に位置しており、ペルチェ素子9の上面を構成している。放熱面92は、ペルチェ素子9の厚さ方向において吸熱面91の反対側、すなわち、ペルチェ素子9の下部に位置している。これにより、放熱面92は、ペルチェ素子9の下面を構成している。なお、ペルチェ素子9の形状や個数は適宜設計可能である。
【0041】
ペルチェ素子9は、電力が供給されることによって作動する。これにより、吸熱面91は熱を吸収し、放熱面92は吸熱面91が吸収した熱をペルチェ素子9の外部に放出する。
【0042】
ペルチェ素子9は、吸熱面91を天板1の裏面1bに向けた状態で筐体5の内部に配置されている。ここで、ペルチェ素子9と天板1の裏面1bとの間には、第1金属板27aが設けられている。図1及び図2に示すように、第1金属板27aは、前後方向の長さ及び左右方向の長さがそれぞれペルチェ素子9よりも長い矩形状をなしている。
【0043】
図3に示すように、第1金属板27aは、第1バーナ3a及び第2バーナ3bよりも前方となる個所で裏面1bに固定されている。そして、筐体5の内部において、ペルチェ素子9は、吸熱面91を第1金属板27aに当接させた状態で第1金属板27aに固定されている。これにより、ペルチェ素子9は、第1金属板27aを介して天板1の裏面1bに固定されている。つまり、ペルチェ素子9は、第1金属板27aを介しつつ、裏面1bにおいて、第1バーナ3a及び第2バーナ3bよりも前方となる個所に固定されている。
【0044】
ここで、このガスコンロ100は、天板1や筐体5の前方がガスコンロ100の使用者(図示略)と対向する状態でキッチン等に設置される。このため、ペルチェ素子9は、前後方向において、第1~3バーナ3a~3cよりも使用者に近い位置に配置されている。
【0045】
また、図1及び図2に示すように、天板1の裏面1bにおいて、ペルチェ素子9及び第1金属板27aの後方であって、第1バーナ3aの前方となる個所には、第1温度センサ29aが設けられている。一方、裏面1bにおいて、ペルチェ素子9及び第1金属板27aの後方であって、第2バーナ3bの前方となる個所には、第2温度センサ29bが設けられている。第1温度センサ29a及び第2温度センサ29bは公用品であり、天板1の温度を検出可能となっている。なお、裏面1bにおける第1温度センサ29a及び第2温度センサ29bの配置位置は適宜設計可能である。また、第2温度センサ29bを省略したり、第1温度センサ29a及び第2温度センサ29bの他に温度センサを設けたりしても良い。
【0046】
また、図3に示すように、筐体5の内部には、制御装置31が設けられている他、火力調整弁を含む複数の制御弁(図示略)が設けられている。各制御弁は、第1~3バーナ3a~3cに対する燃料ガスの供給量等を調整可能である。
【0047】
制御装置31は、図1に示す操作部20、第1~3バーナ3a~3c及び加熱グリル7と電気的に接続されている他、各制御弁と電気的に接続されている。これにより、制御装置31は、操作部20における各種操作に基づいて第1~3バーナ3a~3cの点火や消火を行う他、各制御弁の作動制御を行う。こうして、制御装置31は、操作部20における各種操作に基づいて第1~3バーナ3a~3cの作動制御を行う。さらに、制御装置31は、操作部20における各種操作に基づいて加熱グリル7の作動制御を行う。
【0048】
また、図4及び図5に示すように、制御装置31は、リード線41によって第1温度センサ29aと接続されているとともに、リード線42によって第2温度センサ29bと電気的に接続されている。これにより、制御装置31は、第1温度センサ29a及び第2温度センサ29bが検出した天板1の温度を受信可能となっている。なお、図3では、説明を容易にするため、リード線41、42の図示を省略している。
【0049】
給電手段11は、第1~12ゼーベック素子33a~33lと、電源ユニット35と、切替スイッチ37とを有している。第1~12ゼーベック素子33a~33lは、本発明における「発電体」の一例である。また、電源ユニット35は、本発明における「給電装置」の一例である。そして、切替スイッチ37は、本発明における「切替装置」の一例である。
【0050】
第1~12ゼーベック素子33a~33lは、いずれも同一の構成である。以下、第1ゼーベック素子33aを例に説明する。図1及び図2に示すように、第1ゼーベック素子33aは、前後方向の長さと左右方向の長さとがほぼ等しい矩形状をなしている。図3に示すように、第1ゼーベック素子33aには、第1面331と第2面332とが形成されている。第1面331は、第1ゼーベック素子33aの上部に位置しており、第1ゼーベック素子33aの上面を構成している。第2面332は、第1ゼーベック素子33aの厚さ方向において第1面331の反対側、すなわち、第1ゼーベック素子33aの下部に位置している。これにより、第2面332は、第1ゼーベック素子33aの下面を構成している。なお、第1~12ゼーベック素子33a~33lの形状や個数は適宜設計可能である。
【0051】
第1~12ゼーベック素子33a~33lは、それぞれ第1面331と第2面332との温度差によって発電を行うことが可能となっている。第1~12ゼーベック素子33a~33lは、リード線61に通電可能に接続されている。また、図示を省略するものの、第1~12ゼーベック素子33a~33lは、制御装置31と通電可能に接続されている。これにより、制御装置31は、第1~12ゼーベック素子33a~33lの発電量を検出可能となっている。
【0052】
第1~12ゼーベック素子33a~33lは、それぞれ第1面331を天板1の裏面1bに向けた状態で筐体5の内部に配置されている。ここで、第1~12ゼーベック素子33a~33lと天板1の裏面1bとの間には、第2金属板27bが設けられている。図1及び図2に示すように、第2金属板27bは、第1金属板27aよりも大きい矩形状をなしている。より具体的には、第2金属板27bは、左右方向の長さについて、第1金属板27aの左右方向の長さとほぼ同じ長さで形成されている一方、前後方向の長さについて、第1金属板27aの前後方向の長さよりも長く形成されている。これらの第1金属板27a及び第2金属板27bは銅製であり、熱伝導性に優れている。なお、第1金属板27a及び第2金属板27bを銅以外の金属で形成しても良い。
【0053】
第2金属板27bは、第1金属板27a及びペルチェ素子9よりも後方となる個所で裏面1bに固定されている。そして、筐体5の内部において、第1~12ゼーベック素子33a~33lは、第1面331を第2金属板27bに当接させた状態で第2金属板27bに固定されている。これにより、第1~12ゼーベック素子33a~33lは、第2金属板27bを介して天板1の裏面1bに固定されている。つまり、第1~12ゼーベック素子33a~33lは、第2金属板27bを介しつつ、裏面1bにおいて、第1金属板27a及びペルチェ素子9よりも後方となる個所に固定されている。
【0054】
より具体的には、第1~12ゼーベック素子33a~33lのうち、第1~5ゼーベック素子33a~33eは、裏面1bにおいて、第1バーナ3aの周囲となる個所に配置されている。また、第6~10ゼーベック素子33f~33jは、裏面1bにおいて、第2バーナ3bの周囲となる個所に配置されている。そして、第11ゼーベック素子33kは、裏面1bにおいて、第3バーナ3cの右方となる個所に配置されており、第12ゼーベック素子33lは、裏面1bにおいて、第3バーナ3cの左方となる個所に配置されておる。
【0055】
ここで、第1~5ゼーベック素子33a~33eは、裏面1bにおいて、ペルチェ素子9よりも第1バーナ3aに接近して配置されている。同様に、第6~10ゼーベック素子33f~33jは、裏面1bにおいて、ペルチェ素子9よりも第2バーナ3bに接近して配置されている。さらに、第11ゼーベック素子33k及び第12ゼーベック素子33lは、裏面1bにおいて、ペルチェ素子9よりも第3バーナ3cに接近して配置されている。
【0056】
さらに、第1~12ゼーベック素子33a~33lは、いずれも裏面1bにおける中央部分、すなわち、裏面1bにおいて、加熱グリル7の加熱庫7aと上下方向で対向する個所を避けて配置されている。
【0057】
電源ユニット35は、筐体5の内部に配置されている。電源ユニット35は、電源ケーブル35aを通じて、ガスコンロ100の外部に設けられた電源と通電可能に接続されている。また、電源ユニット35は、リード線43によって制御装置31と通電可能に接続されている。これにより、電源ユニット35は、制御装置31の他、制御装置31を通じて操作部20、第1~3バーナ3a~3c、加熱グリル7及び第1、2温度センサ29a、29b等に給電可能となっている。
【0058】
切替スイッチ37は、筐体5の内部に配置されている。切替スイッチ37は公用品である。切替スイッチ37は、リード線62~64とそれぞれ接続されている。ここで、リード線62は、切替スイッチ37とは反対側で電源ユニット35と接続されている。リード線63は、切替スイッチ37とは反対側でペルチェ素子9と接続されている。リード線64は、切替スイッチ37とは反対側でリード線61と接続されている。
【0059】
また、図示を省略するものの、切替スイッチ37は、制御装置31と通電可能に接続されている。これにより、切替スイッチ37は、制御装置31によって作動制御されることにより、リード線62~64の接続の切り替えを行う。具体的には、切替スイッチ37は、図4に示すようにリード線62とリード線63とを接続させる場合と、図5に示すようにリード線63とリード線64とを接続させる場合とを切り替える。
【0060】
ここで、図4に示すように、切替スイッチ37がリード線62とリード線63とを接続させることにより、リード線62、切替スイッチ37及びリード線63を通じて、電源ユニット35とペルチェ素子9とが通電可能に接続される。これにより、電源ユニット35は、ペルチェ素子9に対する給電が可能となる。
【0061】
一方、図5に示すように、切替スイッチ37がリード線63とリード線64とを接続させることにより、リード線61、リード線64、切替スイッチ37及びリード線63を通じて、第1~12ゼーベック素子33a~33lとペルチェ素子9とが通電可能に接続される。これにより、第1~12ゼーベック素子33a~33lが発電した電力をペルチェ素子9に供給可能となる。
【0062】
図1及び図2に示す報知ランプ13は、天板1の前端であって、左右方向の略中央に配置されている。図4及び図5に示すように、報知ランプ13は、筐体5の内部でリード線65と接続されている。また、リード線65は、報知ランプ13とは反対側でリード線61と接続されている。これにより、報知ランプ13は、リード線65及びリード線61を通じて、第1~12ゼーベック素子33a~33lと通電可能に接続されている。報知ランプ13は、第1~12ゼーベック素子33a~33lから給電されることによって発光する。なお、報知ランプ13の形状や個数は適宜設計可能である。また、報知ランプ13は、筐体5の前面5a等に設けられても良い。
【0063】
また、リード線65には作動スイッチ39が設けられている。図示を省略するものの、作動スイッチ39は、制御装置31と通電可能に接続されている。作動スイッチ39は、制御装置31によって作動制御されることにより、図5に示すON状態と、図4に示すOFF状態とに切り替わる。
【0064】
作動スイッチ39は、図5に示すON状態となることにより、第1~12ゼーベック素子33a~33lと報知ランプ13とを通電させる。これにより、第1~12ゼーベック素子33a~33lから報知ランプ13への給電が可能となる。一方、作動スイッチ39は、図4に示すOFF状態となることにより、第1~12ゼーベック素子33a~33lと報知ランプ13とを非通電とする。これにより、第1~12ゼーベック素子33a~33lから報知ランプ13への給電が不可能となる。
【0065】
以上のように構成されたガスコンロ100では、使用者が操作部20を通じて、第1~3バーナ3a~3cの操作を行うことにより、第1~3バーナ3a~3cが作動し、第1~3バーナ3a~3cによる調理容器19等の加熱が行われる。また、このガスコンロ100では、使用者が操作部20を通じて、加熱グリル7の操作を行うことにより、加熱グリル7による調理容器19等の加熱が行われる。また、このガスコンロ100では、第1~3バーナ3a~3cの作動時に第1、2温度センサ29a、29bによる天板1の温度の検出が行われる。ここで、第1~3バーナ3a~3cの作動開始直後は、図4に示すように、制御装置31が作動スイッチ39をOFF状態とする。このため、第1~12ゼーベック素子33a~33lから報知ランプ13への給電が行われず、報知ランプ13は消灯する。
【0066】
ところで、このガスコンロ100では、第1~3バーナ3a~3cによる調理容器19等の加熱が行われる際、天板1についても第1~3バーナ3a~3cの作動によって不可避的に加熱されてしまうため、天板1の温度が上昇する。
【0067】
この点、このガスコンロ100では、第1~3バーナ3a~3cの作動が開始されれば、制御装置31が切替スイッチ37の作動制御を行い、図4に示すように、切替スイッチ37によって、リード線62とリード線63とを接続させる。これにより、このガスコンロ100では、電源ユニット35からペルチェ素子9への給電が開始されることで、ペルチェ素子9が作動を開始する。このため、図3の白色矢印で示すように、ペルチェ素子9は、吸熱面91によって天板1の吸熱、すなわち、天板1の冷却を開始する。
【0068】
これにより、天板1では、ペルチェ素子9と接している個所を中心に、第1~3バーナ3a~3cの作動時における温度上昇が抑制される。こうして、このガスコンロ100では、第1~3バーナ3a~3cの作動時に天板1が過度に高温となることが防止されている。
【0069】
特に、このガスコンロ100では、天板1の裏面1bにおいて、ペルチェ素子9は、第1~3バーナ3a~3cよりも前方に位置している。このため、このガスコンロ100では、天板1において利用者に近くなる個所、つまり、天板1において、第1~3バーナ3a~3cの作動時に利用者が触れ易い箇所での温度上昇を好適に抑制できる。なお、吸熱面91によって吸収された天板1の熱は、放熱面92から筐体5の内部に放出される。このように筐体5の内部に放出された天板1の熱を含め、ガスコンロ100の使用時における筐体5の内部の熱は、図3に示す通気口1cを通じて、筐体5の外部に放出される。
【0070】
また、このガスコンロ100では、第1~3バーナ3a~3cの作動によって天板1の温度が上昇することにより、第1~12ゼーベック素子33a~33lの各第1面331には、天板1の温度が伝達される。これにより、各第1面331が各第2面332よりも高温となり、各第1面331と各第2面332とで温度差が生じる。このため、第1~12ゼーベック素子33a~33lは発電を開始する。
【0071】
この際、第1~12ゼーベック素子33a~33lでは、作動している第1~3バーナ3a~3cに近い位置に配置されている第1~12ゼーベック素子33a~33lが中心となって発電を行う。つまり、第1~3バーナ3a~3cのうち、第1バーナ3aのみが作動している場合には、第1~12ゼーベック素子33a~33lでは、第1~5ゼーベック素子33a~33eが中心となって発電する。同様に、第2バーナ3bのみが作動している場合には第6~10ゼーベック素子33f~33jが中心となって発電し、第3バーナ3cのみが作動している場合には第11、12ゼーベック素子33k~33lが中心となって発電する。
【0072】
ここで、第1~3バーナ3a~3cによる調理容器19等の加熱が長時間行われたり、高火力での第1~3バーナ3a~3cによる調理容器19等の加熱が行われたりすれば、たとえペルチェ素子9による吸熱が行われていても、第1~3バーナ3a~3cに近い個所では、天板1の温度が上昇する。これにより、第1~12ゼーベック素子33a~33lでは、各第1面331と各第2面332との温度差が大きくなるため、第1~12ゼーベック素子33a~33lによる発電量が増大する。
【0073】
そして、第1~12ゼーベック素子33a~33lの発電量がペルチェ素子9の作動に必要な電力量に達すれば、制御装置31が切替スイッチ37の作動制御を行い、図5に示すように、切替スイッチ37によって、リード線63とリード線64とを接続させる。これにより、このガスコンロ100では、第1~12ゼーベック素子33a~33lが発電した電力をペルチェ素子9に供給可能となる。つまり、切替スイッチ37がリード線63とリード線64とを接続することにより、電源ユニット35からからペルチェ素子9への給電が終了する一方で、第1~12ゼーベック素子33a~33lからペルチェ素子9への給電が開始される。このため、ペルチェ素子9は引き続き作動し、吸熱面91による天板1の吸熱が継続される。
【0074】
また、このように、第1~12ゼーベック素子33a~33lからペルチェ素子9への給電が行われる間は、第1、2温度センサ29a、29bが検出する天板1の温度も上昇する。これにより、制御装置31は、第1、2温度センサ29a、29bが検出する天板1の温度が閾値(例えば45°C程度)を超えた場合には、図5に示すように、作動スイッチ39をON状態とする。
【0075】
このため、このガスコンロ100では、第1~12ゼーベック素子33a~33lから報知ランプ13への給電も開始される。これにより、報知ランプ13が発光することで、このガスコンロ100では、ペルチェ素子9による吸熱が行われていても、天板1の温度が高い状態にあることが利用者に報知される。なお、ペルチェ素子9による吸熱により、第1、2温度センサ29a、29bが検出する天板1の温度が閾値よりも低くなれば、制御装置31は作動スイッチ39を再びOFF状態とする。これにより、報知ランプ13は再び消灯する。
【0076】
ここで、このガスコンロ100では、第1~3バーナ3a~3cによる調理容器19等の加熱が終了した後も、天板1の余熱によって第1~12ゼーベック素子33a~33lによる発電が行われている間は、第1~12ゼーベック素子33a~33lからペルチェ素子9及び報知ランプ13への給電が継続される。このため、第1~3バーナ3a~3cによる調理容器19等の加熱が終了した後も、ペルチェ素子9による天板1の吸熱が行われる。この際、報知ランプ13は引き続き発光する。
【0077】
一方、天板1の余熱が下がることで第1面331と第2面332との温度差が小さくなり、第1~12ゼーベック素子33a~33lによる発電量がペルチェ素子9の作動に必要な電力量よりも少なくなれば、ペルチェ素子9の作動が停止する。このため、ペルチェ素子9による天板1の吸熱が終了する。また、この際には、第1、2温度センサ29a、29bが検出する天板1の温度が閾値よりも低くなっているため、制御装置31は、作動スイッチ39をOFF状態とする。これにより、報知ランプ13は消灯する。
【0078】
このように、このガスコンロ100では、ペルチェ素子9の吸熱作用によって、第1~3バーナ3a~3cの作動時における天板1の冷却を行う。この際、ペルチェ素子9では、吸熱面91が吸収した天板1の熱が放熱面92から放出されるものの、ペルチェ素子9は、天板1の冷却を行うに当たって、天板1の裏面1b側における空気の流れ、すなわち、筐体5の内部における空気の流れをほぼ変化させることはない。
【0079】
したがって、実施例のガスコンロ100によれば、第1~3バーナ3a~3cの燃焼性能に影響を生じさせることなく、第1~3バーナ3a~3cの作動時における天板1の温度上昇を抑制できる。
【0080】
特に、このガスコンロ100では、給電手段11が第1~12ゼーベック素子33a~33lと、電源ユニット35と、切替スイッチ37とを有している。このため、このガスコンロ100では、電源ユニット35からペルチェ素子9への給電を行うことにより、第1~3バーナ3a~3cの作動開始直後からペルチェ素子9による天板1の吸熱を開始することが可能となっている。これにより、このガスコンロ100では、第1~3バーナ3a~3cの作動開始と同時期にペルチェ素子9が天板1の吸熱を開始する。この点においても、このガスコンロ100では、第1~3バーナ3a~3cの作動時における天板1の温度上昇を抑制できる。
【0081】
また、このガスコンロ100では、天板1の熱によって第1~12ゼーベック素子33a~33lが発電すれば、この第1~12ゼーベック素子33a~33lが発電した電力をペルチェ素子9に供給できる。これにより、第1~12ゼーベック素子33a~33lからペルチェ素子9への給電が行われる間は、電源ユニット35からペルチェ素子9への給電を行う必要がないため、ペルチェ素子9を作動させるための電力コストを好適に低減させることが可能となっている。
【0082】
さらに、第1~12ゼーベック素子33a~33lのうち、第1~5ゼーベック素子33a~33eは、ペルチェ素子9よりも第1バーナ3aに接近して配置されている。また、第6~10ゼーベック素子33f~33jは、裏面1bにおいて、ペルチェ素子9よりも第2バーナ3bに接近して配置されている。そして、第11ゼーベック素子33k及び第12ゼーベック素子33lは、裏面1bにおいて、ペルチェ素子9よりも第3バーナ3cに接近して配置されている。
【0083】
これらにより、このガスコンロ100では、1~3バーナ3a~3cの作動によって天板1の温度が上昇することにより、第1~12ゼーベック素子33a~33lの各第1面331の温度が上昇し易くなっている。これにより、第1~12ゼーベック素子33a~33lにおいて、第1面331と第2面332との温度差を大きくし易いため、第1~12ゼーベック素子33a~33lが好適に発電可能となっている。
【0084】
また、天板1の裏面1bとペルチェ素子9との間には第1金属板27aが設けられており、裏面1bと第1~12ゼーベック素子33a~33lとの間には第2金属板27bが設けられている。
【0085】
これにより、このガスコンロ100では、第1金属板27aによって天板1とペルチェ素子9との間における熱伝導率を大きくすることができるため、ペルチェ素子9による天板1の吸熱効果が高くなっている。この点においても、このガスコンロ100では、第1~3バーナ3a~3cの作動時における天板1の温度上昇を好適に抑制可能となっている。また、このガスコンロ100では、第2金属板27bによって天板1と第1~12ゼーベック素子33a~33lとの間における熱伝導率も大きくすることができるため、第1面331の温度を高くし易くなっている。このため、このガスコンロ100では、第1~12ゼーベック素子33a~33lの発電効率も高くなっている。また、このガスコンロ100では、裏面1bに対して、ペルチェ素子9及び第1~12ゼーベック素子33a~33lを直接固定する場合に比べて、裏面1bに対して、ペルチェ素子9及び第1~12ゼーベック素子33a~33lを好適に設けることが可能となっている。
【0086】
ところで、このガスコンロ100では、加熱グリル7による調理容器19等の加熱が行われることにより、加熱庫7aは高温となる。この点、このガスコンロ100において、第1~12ゼーベック素子33a~33lは、裏面1bにおいて、加熱グリル7の加熱庫7aと上下方向で対向する個所を避けて配置されている。
【0087】
これにより、このガスコンロ100では、筐体5の内部において、加熱グリル7の作動時に加熱庫7aの熱が第1~12ゼーベック素子33a~33lの各第2面332に伝わり難くなっており、各第2面332の温度上昇が抑制されている。このため、このガスコンロ100では、第1~3バーナ3a~3cの作動時に加熱グリル7も作動している場合であっても、第1~12ゼーベック素子33a~33lにおいて、各第1面331と各第2面332との温度差を好適に設けることが可能、すなわち、各第1面331が各第2面332よりも温度が高い状態とすることが可能となっている。このため、このガスコンロ100では、第1~3バーナ3a~3cによる調理容器19等の加熱と、加熱グリル7による調理容器19等の加熱とが並行して行われても、第1~12ゼーベック素子33a~33lの発電効率が低下し難くなっている。
【0088】
また、このガスコンロ100では、天板1の温度が閾値を超えれば、報知ランプ13の発光によって、天板1の温度を使用者に報知することが可能となっている。これにより、使用者が不意に高温の天板1に触れてしまうことを防止可能となっている。ここで、報知ランプ13は、第1~12ゼーベック素子33a~33lから給電される。このため、このガスコンロ100では、報知ランプ13を発光させるための電力コストについても、好適に低減させることが可能となっている。
【0089】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0090】
例えば、実施例のガスコンロ100では、切替スイッチ37は、電源ユニット35からペルチェ素子9に給電を行う場合と、第1~12ゼーベック素子33a~33lからペルチェ素子9に給電を行う場合とを切り替え可能となっている。しかし、これに限らず、切替スイッチ37は、電源ユニット35からペルチェ素子9に給電を行う場合と、第1~12ゼーベック素子33a~33lからペルチェ素子9に給電を行う場合と、電源ユニット35及び第1~12ゼーベック素子33a~33lの両方からペルチェ素子9に給電を行う場合とを切り替え可能となっていても良い。そして、この場合、第1~12ゼーベック素子33a~33lの発電量に応じて、電源ユニット35からペルチェ素子9への給電割合と、第1~12ゼーベック素子33a~33lからペルチェ素子9への給電割合とを変更可能としても良い。
【0091】
また、第1~12ゼーベック素子33a~33l及び切替スイッチ37を省略し、天板1の裏面1bにおいて、第1~12ゼーベック素子33a~33lが設けられていた個所にもペルチェ素子9を設ける構成としても良い。
【0092】
さらに、第1金属板27a及び第2金属板27bを省略し、天板1の裏面1bに対して、ペルチェ素子9の吸熱面91を直接固定するとともに、第1~12ゼーベック素子33a~33lの各第1面331を直接固定する構成としても良い。
【0093】
また、天板1の裏面1bにおいて、加熱グリル7の加熱庫7aと上下方向で対向する個所にも第1~12ゼーベック素子33a~33lが設けられる構成としても良い。
【0094】
さらに、報知ランプ13は、天板1の温度の変化に応じて発光する色彩を変化することにより、天板1の温度を利用者に報知しても良い。
【0095】
また、報知ランプ13に換えて、天板1の温度を表示可能なディスプレイの他、音声や音楽によって天板1の温度を報知可能なスピーカ等を本発明の「報知手段」として採用しても良い。
【0096】
さらに、実施例のガスコンロ100では、第1~12ゼーベック素子33a~33lから報知ランプ13に給電が行われる構成としている。しかし、これに限らず、電源ユニット35から報知ランプ13に給電が行われる構成としても良い。
【0097】
また、第1~3バーナ3a~3cの作動が終了した後、第1~12ゼーベック素子33a~33lによる発電が行われなくなることにより、電源ユニット35からペルチェ素子9に一定期間給電を行う構成としても良い。これにより、第1~3バーナ3a~3cの作動が終了した後も、ペルチェ素子9による天板1の吸熱を好適に継続させることができる。このため、天板1の余熱を十分に低下させることができる。
【0098】
さらに、実施例のガスコンロ100は、筐体5を備えているが、これに限らず、ガスコンロ100をキッチンに一体化させることにより、キッチンが筐体5を兼ねる構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、ガスコンロ100の他、ガスコンロ100が一体に設けられたシステムキッチン等に利用可能である。
【符号の説明】
【0100】
1…天板
1a…表面
1b…裏面
3a~3c…第1~3バーナ(バーナ)
7…加熱グリル
9…ペルチェ素子(熱電素子)
11…給電手段
13…報知ランプ(報知手段)
27a…第1金属板
27b…第2金属板
33a~33l…第1~12ゼーベック素子(発電体)
35…電源ユニット(給電装置)
37…切替スイッチ37(切替装置)
91…吸熱面
92…放熱面
100…ガスコンロ(加熱調理器)
331…第1面
332…第2面
図1
図2
図3
図4
図5