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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169139
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】廃棄物処理システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
B25J15/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074988
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】川本 直哉
(72)【発明者】
【氏名】大野 誠太
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS10
3C707BS26
3C707CY40
3C707DS01
3C707FS01
3C707FT12
3C707KT01
3C707KV01
3C707LW11
3C707LW12
3C707LW13
3C707NS02
(57)【要約】
【課題】ロボットアームの1回の仕分け動作において、複数の廃棄物を一度に吸着することによって効率よく廃棄物を仕分け処理することが可能な廃棄物処理システムを提供する。
【解決手段】この廃棄物処理システム100は、複数種類の廃棄物を搬送する搬送部10と、廃棄物を撮像する撮像部40と、廃棄物を仕分けするロボット20と、ロボット20による廃棄物の仕分け動作を制御するシステム制御部30と、を備える。ロボット20のロボット用吸着ハンド80は、廃棄物を吸着する第1吸着部81と、第1吸着部81の周りに配置された複数の第2吸着部82と、を有する。システム制御部30は、取得した複数の廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンド80の第1吸着部81の中心を複数の廃棄物の各々の吸着点の中間位置に下降させて、複数の廃棄物を同時に吸着する制御を行う。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の廃棄物を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される廃棄物を撮像する撮像部と、
前記搬送部により搬送される廃棄物を仕分けするロボットと、
前記ロボットによる廃棄物の仕分け動作を制御する制御部と、を備え、
前記ロボットは、ロボットアームと、前記ロボットアームの先端に接続されたロボット用吸着ハンドと、を含み、
前記ロボット用吸着ハンドは、廃棄物を吸着する第1吸着部と、平面視において前記第1吸着部の周りに配置され、廃棄物を吸着する複数の第2吸着部と、を有し、
前記制御部は、前記撮像部により撮像された画像に基づいて、複数の廃棄物の各々の吸着点を取得するとともに、取得した複数の廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、前記ロボット用吸着ハンドの前記第1吸着部の中心を複数の廃棄物の各々の吸着点の中間位置に下降させて、複数の廃棄物を同時に吸着する制御を行うように構成されている、廃棄物処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、同じ種類の複数の廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、前記ロボット用吸着ハンドの前記第1吸着部の中心を、同じ種類の複数の廃棄物の各々の吸着点の中間位置に下降させて、同じ種類の複数の廃棄物を同時に吸着する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の廃棄物処理システム。
【請求項3】
前記第1吸着部および前記第2吸着部は、互いに独立して負圧が発生されるように構成されており、
前記制御部は、同じ種類の複数の廃棄物を同時に吸着する場合に、前記第1吸着部および前記第2吸着部の両方に負圧を発生させる制御を行うとともに、1つの廃棄物を吸着する場合に、前記第1吸着部のみに負圧を発生させる制御を行うように構成されている、請求項2に記載の廃棄物処理システム。
【請求項4】
前記制御部は、異なる種類の複数の廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、前記ロボット用吸着ハンドの前記第1吸着部の中心を、仕分ける対象である1つの廃棄物の吸着点の位置に下降させて、前記第1吸着部により1つの廃棄物を吸着する制御を行うように構成されている、請求項3に記載の廃棄物処理システム。
【請求項5】
前記制御部は、取得した2つの廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、前記ロボット用吸着ハンドの前記第1吸着部の中心を2つの廃棄物の各々の吸着点の中点位置に下降させて、2つの廃棄物を同時に吸着する制御を行うように構成されており、取得した3つの廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、前記ロボット用吸着ハンドの前記第1吸着部の中心を3つの廃棄物の各々の吸着点の重心位置に下降させて、3つの廃棄物を同時に吸着する制御を行うように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項6】
複数の前記第2吸着部は、前記第1吸着部を円周状に取り囲むように配置されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項7】
前記第1吸着部は、複数設けられており、
複数の前記第2吸着部は、複数の前記第1吸着部を円周状に取り囲むように配置されている、請求項6に記載の廃棄物処理システム。
【請求項8】
前記第1吸着部および複数の前記第2吸着部は、互いに独立して上下方向に移動可能に構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項9】
廃棄物は、複数の色のビンを含み、
前記制御部は、ビンの色を判別して、前記ロボットにより廃棄物としてのビンを色に応じて仕分けさせる制御を行うように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の廃棄物処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、廃棄物処理システムに関し、特に、廃棄物を吸着するロボット用吸着ハンド(ロボット用のエンドエフェクタ)が設けられた廃棄物処理システム(廃棄物選別ロボットシステム)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸着対象物を吸着するロボット用吸着ハンドが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、吸着対象物を吸着する真空吸着装置(ロボット用吸着ハンド)が開示されている。この特許文献1の真空吸着装置は、近接して配置された複数の吸着パッドを含み、複数の吸着パッドの各々に発生させる真空を制御して、吸着対象物のみを吸着して、不要な物体を同時に吸着しないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-318369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の真空吸着装置(ロボット用吸着ハンド)では、複数の吸着パッドの各々に発生させる真空を制御して、吸着対象物のみを吸着して、不要な物体を同時に吸着しないようにすることができるものの、ワークが平板状の物体に限定されているため、高さや形状が異なるワークを複数同時に吸着することは困難である。また、複数の吸着対象物を吸着する際の各吸着パッドの真空の制御について記載されておらず、複数の吸着対象物を同時に吸着して搬送することが困難であるという不都合があると考えられる。このため、吸着対象物の仕分けを行う際に、吸着および搬送動作を多く行う必要があり、効率よく仕分け作業を行うことが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ロボットアームの1回の仕分け動作において、複数の廃棄物を一度に吸着することによって効率よく廃棄物を仕分け処理することが可能な廃棄物処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による廃棄物処理システムは、複数種類の廃棄物を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される廃棄物を撮像する撮像部と、搬送部により搬送される廃棄物を仕分けするロボットと、ロボットによる廃棄物の仕分け動作を制御する制御部と、を備え、ロボットは、ロボットアームと、ロボットアームの先端に接続されたロボット用吸着ハンドと、を含み、ロボット用吸着ハンドは、廃棄物を吸着する第1吸着部と、平面視において第1吸着部の周りに配置され、廃棄物を吸着する複数の第2吸着部と、を有し、制御部は、撮像部により撮像された画像に基づいて、複数の廃棄物の各々の吸着点を取得するとともに、取得した複数の廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンドの第1吸着部の中心を複数の廃棄物の各々の吸着点の中間位置に下降させて、複数の廃棄物を同時に吸着する制御を行うように構成されている。
【0008】
この発明の一の局面による廃棄物処理システムでは、取得した複数の廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンドの第1吸着部の中心を複数の廃棄物の各々の吸着点の中間位置に下降させて、複数の廃棄物を同時に吸着することにより、ロボットアームの1回の仕分け動作において、複数の廃棄物を一度に吸着することによって効率よく廃棄物を仕分け処理することができる。また、複数の廃棄物のうち1つの廃棄物の吸着点に合わせてロボット用吸着ハンドを下降させる場合と異なり、複数の廃棄物の各々の吸着点の中間位置に、複数の第2吸着部に囲まれた第1吸着部の中心を下降させるので、複数の廃棄物の各々を確実に吸着することができる。また、複数の廃棄物を同時に吸着することにより、安全柵が必要な仕分けスピードの速いロボットを採用する必要がなく、人との協働作業が可能な仕分けスピードが比較的遅いロボットを採用することができる。また、ロボットの台数を増やす必要がないので、仕分けを行うロボットを配置する台数を最小限にすることができる。
【0009】
上記一の局面による廃棄物処理システムにおいて、好ましくは、制御部は、同じ種類の複数の廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンドの第1吸着部の中心を、同じ種類の複数の廃棄物の各々の吸着点の中間位置に下降させて、同じ種類の複数の廃棄物を同時に吸着する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、同じ種類の廃棄物を同時に吸着して、複数の廃棄物を同じ仕分け先に搬送することができるので、廃棄物の仕分け作業をより効率よく行うことができる。
【0010】
この場合、好ましくは、第1吸着部および第2吸着部は、互いに独立して負圧が発生されるように構成されており、制御部は、同じ種類の複数の廃棄物を同時に吸着する場合に、第1吸着部および第2吸着部の両方に負圧を発生させる制御を行うとともに、1つの廃棄物を吸着する場合に、第1吸着部のみに負圧を発生させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、複数の廃棄物を、第1吸着部および第1吸着部の周りに配置された複数の第2吸着部により安定して吸着することができる。また、1つの廃棄物を吸着する場合には、第1吸着部の周りに配置された第2吸着部には負圧が発生しないので、異なる種類の廃棄物が同時に吸着されるのを効果的に抑制することができる。
【0011】
上記第1吸着部および第2吸着部が互いに独立して負圧が発生される構成において、好ましくは、制御部は、異なる種類の複数の廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンドの第1吸着部の中心を、仕分ける対象である1つの廃棄物の吸着点の位置に下降させて、第1吸着部により1つの廃棄物を吸着する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、複数の第2吸着部に囲まれて、中央に配置された第1吸着部により、仕分け対象の廃棄物のみを確実に吸着することができる。
【0012】
上記一の局面による廃棄物処理システムにおいて、好ましくは、制御部は、取得した2つの廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンドの第1吸着部の中心を2つの廃棄物の各々の吸着点の中点位置に下降させて、2つの廃棄物を同時に吸着する制御を行うように構成されており、取得した3つの廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンドの第1吸着部の中心を3つの廃棄物の各々の吸着点の重心位置に下降させて、3つの廃棄物を同時に吸着する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、2つの廃棄物を同時に吸着する場合に、2つの廃棄物の各々の吸着点の中点位置に、複数の第2吸着部に囲まれて中央に配置された第1吸着部を下降させるので、2つの廃棄物をより確実に吸着することができる。また、3つの廃棄物を同時に吸着する場合に、3つの廃棄物の各々の吸着点の重心位置に、複数の第2吸着部に囲まれて中央に配置された第1吸着部を下降させるので、3つの廃棄物をより確実に吸着することができる。
【0013】
上記一の局面による廃棄物処理システムにおいて、好ましくは、複数の第2吸着部は、第1吸着部を円周状に取り囲むように配置されている。このように構成すれば、第1吸着部に対して、複数の第2吸着部をバランスよく取り囲んで配置することができるので、第1吸着部および第2吸着部により複数の廃棄物をバランスよく吸着することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、第1吸着部は、複数設けられており、複数の第2吸着部は、複数の第1吸着部を円周状に取り囲むように配置されている。このように構成すれば、複数の第2吸着部に囲まれて中央に配置された第1吸着部を複数設けることにより、第1吸着部のみによって廃棄物を安定して吸着することができる。また、複数の第1吸着部および複数の第2吸着部をバランスよく配置することができるので、複数の第1吸着部および複数の第2吸着部により複数の廃棄物をよりバランスよく吸着することができる。
【0015】
上記一の局面による廃棄物処理システムにおいて、好ましくは、第1吸着部および複数の第2吸着部は、互いに独立して上下方向に移動可能に構成されている。このように構成すれば、高さが異なる複数の廃棄物の各々の上面に当接するように、第1吸着部および第2吸着部を互いに独立して上下方向に移動させることができるので、高さの異なる複数の廃棄物を容易に同時に吸着することができる。
【0016】
上記一の局面による廃棄物処理システムにおいて、好ましくは、廃棄物は、複数の色のビンを含み、制御部は、ビンの色を判別して、ロボットにより廃棄物としてのビンを色に応じて仕分けさせる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、廃棄物としての複数の色のビンをロボットにより仕分けることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、ロボットアームの1回の仕分け動作において、複数の廃棄物を一度に吸着することによって効率よく廃棄物を仕分け処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による廃棄物処理システムが設けられた廃棄物処理施設の全体構成を示した図である。
図2】本発明の一実施形態によるロボットが設けられた廃棄物処理システムの概略を示した平面図である。
図3】本発明の一実施形態によるロボットが設けられた廃棄物処理システムの制御的な構成を示したブロック図である。
図4】本発明の一実施形態によるロボットを示した側面図である。
図5】本発明の一実施形態によるロボット用吸着ハンドを示した斜視図である。
図6】本発明の一実施形態によるロボット用吸着ハンドを示した側面図である。
図7】本発明の一実施形態によるロボット用吸着ハンドを示した底面図である。
図8】本発明の一実施形態による廃棄物処理システムの廃棄物の吸着点取得処理を説明するための図である。
図9】本発明の一実施形態による廃棄物処理システムの1つの廃棄物を吸着する場合の例を説明するための図である。
図10】本発明の一実施形態による廃棄物処理システムの2つの廃棄物を吸着する場合の例を説明するための図である。
図11】本発明の一実施形態による廃棄物処理システムの3つの廃棄物を吸着する場合の例を説明するための図である。
図12】本発明の一実施形態による廃棄物処理システムのシステム制御部による廃棄物吸着処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1図12を参照して、本発明の一実施形態による廃棄物処理システム100の構成について説明する。
【0021】
(廃棄物処理施設の全体構成)
図1に示すように、本発明の一実施形態による廃棄物処理システム100は、廃棄物処理施設200に設けられている。廃棄物処理施設200では、収集された廃棄物を仕分け処理するように構成されている。具体的には、廃棄物処理施設200では、廃棄物としてのビンが仕分けられて、仕分けられたビンがそれぞれ処理される。廃棄物処理施設200は、不適物除去部210と、コンテナ反転装置220と、コンテナ搬送部230aと、ビン搬送部230bと、コンテナ洗浄部240と、を備えている。
【0022】
不適物除去部210では、コンテナ201に収容された廃棄物から、ビン以外の廃棄物(不適物(たとえば、ペットボトルなどのプラスチックごみや、金属ごみなど))が作業者Wにより除去される。なお、不適物除去部210では、不適物が完全に取り除かれなくてもよい。つまり、不適物除去部210では、ビン以外の廃棄物のうち目立つものが取り除かれる。不適物が除去されたコンテナ201は、コンテナ搬送部230aによりコンテナ反転装置220に搬送される。
【0023】
コンテナ反転装置220は、コンテナ201を反転させて、コンテナ201内に収容された廃棄物(ビン)をビン搬送部230b上に移す。コンテナ反転装置220により反転されたコンテナ201は、コンテナ搬送部230aにより再び搬送されて、コンテナ洗浄部240に移動される。コンテナ洗浄部240は、コンテナ201を洗浄するように構成されている。
【0024】
ビン搬送部230bは、廃棄物(ビン)を廃棄物処理システム100に向けて搬送するように構成されている。ビン搬送部230bは、廃棄物(ビン)(コンテナ201)が搬入される下層階から、廃棄物処理システム100の仕分け作業が行われる上層階に、廃棄物(ビン)を搬送する。
【0025】
(廃棄物処理システムの構成)
廃棄物処理システム100では、廃棄物としてのビンB(図2参照)が、ガラスの色毎に仕分けられて処理される。つまり、廃棄物は、複数の色のビンを含んでいる。また、廃棄物は、互いに異なる形状のビンBを含んでいる。また、廃棄物は、互いに異なる大きさのビンBを含んでいる。そして、廃棄物処理システム100では、ビンBの大きさおよび形状に関わらず、ビンBが色毎に仕分けられる。たとえば、廃棄物処理システム100では、ビンBが、茶色、無色、その他の色(緑、青など)の色毎に収容部50(図1参照)に仕分けられる。なお、廃棄物処理システム100では、茶色、無色、緑、およびその他の色に色毎にビンBが仕分けられてもよい。収容部50は、その他の色のカレット(ガラス屑)が仕分けられるカレット収容部51と、茶色のカレットが仕分けられるカレット収容部52と、無色のカレットが仕分けられるカレット収容部53と、われ等により仕分けられなかった残渣が収容される残渣収容部54とを含んでいる。収容部50(カレット収容部51、52、53および残渣収容部54)は、仕分け作業が行われる上層階に対して、下層階に配置されている。つまり、仕分けられた廃棄物(ビン)は、下層階に落とされて、収容部50(カレット収容部51、52、53または残渣収容部54)に収容される。
【0026】
廃棄物処理システム100は、作業者Wとロボット20とが協働して廃棄物(ビン)を仕分けるように構成されている。廃棄物処理システム100は、図1に示すように、搬送部10と、ロボット20と、を備えている。搬送部10は、複数種類の廃棄物(ビン)を搬送するように構成されている。搬送部10は、コンベアにより構成されている。ロボット20は、搬送部10により搬送される廃棄物を仕分けするとともに、作業者Wと協働可能に構成されている。
【0027】
また、廃棄物処理システム100は、図2に示すように、システム制御部30と、撮像部40と、複数のシュート50aと、シュート50bおよび50cと、センサ60と、仕切部70と、を備えている。なお、システム制御部30は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0028】
ロボット20は、図2に示すように、複数(2つ)のロボットアーム22および23を含んでいる。また、ロボット20は、ロボット制御部21を含んでいる。
【0029】
ロボット制御部21は、ロボットアーム22および23の動作を制御するように構成されている。具体的には、図3に示すように、ロボット制御部21は、CPU(中央演算処理装置)21aと、不揮発性のメモリ21bと、を含んでいる。ロボット制御部21は、CPU21aによりメモリ21bに記憶されているプログラムを実行することにより、ロボットアーム22および23の動作を制御するように構成されている。
【0030】
また、ロボット制御部21は、システム制御部30から送信される位置情報を含む仕分け指令に基づいて、廃棄物としてのビンBを色に応じて仕分けるロボットアーム22および23の動作を制御するように構成されている。つまり、ロボット制御部21は、システム制御部30から送信される仕分け指令に基づいて、ロボットアーム22および23を、ビンBを保持する位置に移動させるように制御するように構成されている。また、ロボット制御部21は、アーム駆動部22aの駆動を制御して、ロボットアーム22の動作を制御するように構成されている。また、ロボット制御部21は、アーム駆動部23aの駆動を制御して、ロボットアーム23の動作を制御するように構成されている。アーム駆動部22aおよび23aは、各々モータと、モータの駆動量(回転角度)を検出するためのエンコーダと、を含んでいる。また、モータおよびエンコーダを含むアーム駆動部22a(23a)は、ロボットアーム22(23)の複数の関節毎に設けられている。
【0031】
図4に示すように、ロボットアーム22は、リンク221と、リンク222と、上下移動部223とを有している。上下移動部223には、ロボット用吸着ハンド80aが取り付けられている。ロボットアーム22は、リンク221が基部20aに対して回転軸線A1を中心に回転するように構成されている。また、ロボットアーム22は、リンク222がリンク221に対して回転軸線A2を中心に回転するように構成されている。これにより、ロボットアーム22は、回転軸線A1およびA2において各リンクを回転させることにより、ロボット用吸着ハンド80aを、所望の水平方向の位置に移動させることが可能である。ロボットアーム22は、上下移動部223がリンク222に対してA3方向に上下移動するように構成されている。これにより、ロボットアーム22は、ロボット用吸着ハンド80aを、所望の高さ位置(上下方向の位置)に移動させることが可能である。
【0032】
ロボットアーム23は、リンク231と、リンク232と、上下移動部233とを有している。上下移動部233には、ロボット用吸着ハンド80bが取り付けられている。ロボットアーム23は、リンク231が基部20aに対して回転軸線A1を中心に回転するように構成されている。また、ロボットアーム23は、リンク232がリンク231に対して回転軸線A4を中心に回転するように構成されている。これにより、ロボットアーム23は、回転軸線A1およびA4において各リンクを回転させることにより、ロボット用吸着ハンド80bを、所望の水平方向の位置に移動させることが可能である。ロボットアーム23は、上下移動部233がリンク232に対してA5方向に上下移動するように構成されている。これにより、ロボットアーム23は、ロボット用吸着ハンド80bを、所望の高さ位置(上下方向の位置)に移動させることが可能である。
【0033】
また、ロボットアーム22および23は、互いに干渉しないように、駆動するように構成されている。
【0034】
システム制御部30は、撮像部40により撮像した廃棄物の画像に基づいて、機械学習を用いて、廃棄物を判別して、ロボット20により廃棄物の仕分けを行わせるように構成されている。具体的には、システム制御部30は、機械学習を用いて、ビンBの色を判別して、ロボット20により廃棄物としてのビンを色に応じて仕分けさせるように構成されている。
【0035】
図3に示すように、システム制御部30は、CPU(中央演算処理装置)31と、不揮発性のメモリ32と、を含んでいる。システム制御部30は、CPU31によりメモリ32に記憶されているプログラムを実行して、処理を行うように構成されている。
【0036】
システム制御部30は、撮像部40により撮像した廃棄物の画像に基づいて、機械学習を用いて、廃棄物を判別するとともに、判別した廃棄物の位置を特定する。また、システム制御部30は、判別した廃棄物の位置情報を含む仕分け指令をロボット制御部21に送信する。
【0037】
システム制御部30は、撮像部40による撮像処理を制御する。システム制御部30は、撮像部40により、搬送部10上の廃棄物を所定時間毎に撮像する。また、システム制御部30は、撮像部40により撮像した廃棄物の画像を取得する。
【0038】
システム制御部30は、搬送部10のコンベヤ軸に設置したエンコーダの信号に基づいて搬送部10の搬送速度を取得する。また、システム制御部30は、搬送部10の搬送速度に同期させるようにして、ロボットアーム22および23の搬送部10の流れ方向の動作を制御する。なお、システム制御部30は、搬送部10による廃棄物の搬送速度を所定の速度となるように制御してもよい。また、システム制御部30は、搬送部10の搬送速度と、撮像部40により撮像した画像に基づく廃棄物の位置情報とに基づいて、ロボットアーム22または23により取り上げる廃棄物の位置情報(座標情報)および保持するタイミングの情報(時間情報)を算出して、仕分け指令として、ロボット制御部21に送信する。
【0039】
なお、廃棄物を判別するための機械学習は、予め、複数の種類のビンBが撮像された画像と、この画像に対して人がビンBの色を教示した教示情報と、に基づいて行われる。この機械学習は、システム制御部30により予め行われてもよいし、別の制御部(コンピュータ)により行われた上で、機械学習の結果がシステム制御部30に反映されてもよい。
【0040】
図2に示すように、撮像部40は、搬送部10により搬送される廃棄物を撮像するように構成されている。撮像部40は、搬送部10の上方に設けられている。また、撮像部40は、搬送部10の搬送方向において、ロボット20よりも上流側に設けられている。撮像部40は、1回の撮像により撮像範囲40aを撮像するように構成されている。撮像部40は、撮像した画像を、システム制御部30に送信するように構成されている。撮像部40は、搬送部10の搬送速度に応じて、時間間隔をあけて撮像するように構成されている。
【0041】
シュート50aは、作業者Wにより仕分けられた廃棄物(ビン)が投入されるように構成されている。シュート50aは、対応する収容部50(カレット収容部51、52または53)に接続されており、投入された廃棄物を対応する収容部50に導くように構成されている。シュート50aは、搬送部10に対して、作業者Wの作業位置(立ち位置)とは反対側に設けられている。
【0042】
シュート50bおよび50cは、ロボット20により仕分けられた廃棄物(ビン)が投入されるように構成されている。シュート50bおよび50cは、それぞれ、対応する収容部50(カレット収容部51、52または53)に接続されており、投入された廃棄物を対応する収容部50に導くように構成されている。シュート50bおよび50cは、ロボット20の側方に設けられている。シュート50bは、ロボット20のロボットアーム22側に設けられている。シュート50cは、ロボット20のロボットアーム23側に設けられている。また、ロボット20の複数のロボットアーム22および23は、互いに異なるシュート50bおよび50cに廃棄物を仕分けるように構成されている。具体的には、ロボットアーム22は、シュート50bに廃棄物を仕分けるように構成されている。また、ロボットアーム23は、シュート50cに廃棄物を仕分けるように構成されている。
【0043】
図2に示すように、センサ60は、ロボット20の動作範囲の境界近傍に設けられている。また、センサ60は、ロボット20の動作範囲内への作業者Wの侵入を検知するように構成されている。
【0044】
仕切部70は、ロボット20の動作範囲の一部の境界近傍に設けられている。仕切部70は、ロボット20の動作範囲内に作業者Wが侵入しないように、空間を仕切っている。仕切部70は、搬送部10の搬送方向と交差する水平方向および上下方向に沿って延びるように配置されている。仕切部70は、搬送部10に対して上方に離間した位置に配置されている。これにより、搬送部10と仕切部70との間を廃棄物が通過することが可能である。また、仕切部70は、透明な部材により形成されている。これにより、搬送部10により搬送される廃棄物を、作業者Wが目視により確認することが可能である。たとえば、仕切部70は、透明なアクリル板を含んでいる。
【0045】
(ロボット用吸着ハンドの構成)
ロボットアーム22の先端に接続されたロボット用吸着ハンド80aと、ロボットアーム23の先端に接続されたロボット用吸着ハンド80bとは、同様の構成を有している。以下では、ロボット用吸着ハンド80aおよび80bを、ロボット用吸着ハンド80として、まとめて説明する。
【0046】
ロボット用吸着ハンド80(80a、80b)は、廃棄物(ビン)を吸着して保持するように構成されている。ロボット用吸着ハンド80は、下方の先端部に発生させる負圧により、廃棄物(ビン)を吸着するように構成されている。ロボット用吸着ハンド80は、各々に設けられた負圧発生器24aおよび24b(図3および図6参照)により負圧が発生させられる。
【0047】
ロボット用吸着ハンド80は、図5図7に示すように、廃棄物を吸着する第1吸着部81と、平面視において第1吸着部81の周りに配置され、廃棄物を吸着する複数の第2吸着部82と、を備えている。また、第1吸着部81は、複数設けられている。また、ロボット用吸着ハンド80は、図6に示すように、複数の第1吸着部81を支持する支持部83を備えている。また、ロボット用吸着ハンド80は、支持部83から上方に延びる柱部84aを備えている。また、ロボット用吸着ハンド80は、複数の第2吸着部82の各々を支持し、上方に延びる複数の柱部84bを備えている。また、ロボット用吸着ハンド80は、ロボット20に接続される接続部85aと、接続部85aに接続された支持部85bと、支持部85bの下方に接続された基部85dと、接続部85aに対して基部85dを下方に付勢するバネ85cとを備えている。基部85dは、柱部84aおよび複数の柱部84bを上下方向に移動可能に支持するように構成されている。
【0048】
第1吸着部81および第2吸着部82は、廃棄物としてのビンBを吸着するように構成されている。第1吸着部81および第2吸着部82は、基部85dの下方に設けられている。第1吸着部81は、図7に示すように、基部85dの略中央に複数(3つ)設けられている。また、第2吸着部82は、第1吸着部81を円周状に取り囲むように複数設けられている。具体的には、第2吸着部82は、複数の第1吸着部81を取り囲むように6つ設けられている。また、第2吸着部82は、略等角度間隔(略60度間隔)に円周状に配置されている。
【0049】
第1吸着部81は、図6に示すように、各々下方の先端部に伸縮可能なベローズ部86aが設けられている。ベローズ部86aは、弾性変形可能なゴムなどの材料により形成されている。また、ベローズ部86aの内側には、負圧を伝達する流路861aが設けられている。
【0050】
第2吸着部82は、各々下方の先端部に伸縮可能なベローズ部86bが設けられている。ベローズ部86bは、弾性変形可能なゴムなどの材料により形成されている。また、ベローズ部86bの内側には、負圧を伝達する流路861bが設けられている。
【0051】
また、複数の第1吸着部81および複数の第2吸着部82の各々には、負圧の伝達を調整する複数の負圧調整弁87が設けられている。負圧調整弁87は、たとえば、チェッキバルブまたはスロットルバルブなどである。負圧調整弁87は、負圧発生器24a(25b)により負圧が供給されている場合に、ベローズ部86a(86b)の先端が廃棄物に接触していない場合でも、負圧が漏れるのを抑制するために設けられている。負圧調整弁87は、圧力損失が生じるように流路87aが狭まるように形成されている。
【0052】
第1吸着部81および第2吸着部82は、上下方向に伸縮するように構成されている。具体的には、第1吸着部81の先端に設けられたベローズ部86aおよび第2吸着部82の先端に設けられたベローズ部86bが各々上下方向に伸縮するように構成されている。
【0053】
図7に示すように、平面視において(上下方向に見て)、第1吸着部81の直径D1は、第2吸着部82の直径D2よりも小さい。
【0054】
また、第1吸着部81および複数の第2吸着部82は、互いに独立して上下方向に移動可能に構成されている。具体的には、複数の第1吸着部81は、支持部83を介して柱部84aに接続され、柱部84aは、基部85dに対して上下方向に移動可能に構成されている。また、複数の第2吸着部82は、各々、柱部84bに接続されている。複数の柱部84bの各々は、基部85dに対して、互いに独立して上下方向に移動可能に構成されている。
【0055】
また、第1吸着部81および第2吸着部82は、互いに独立して負圧が発生されるように構成されている。具体的には、複数の第1吸着部81は、負圧発生器24aにより負圧が発生される。また、複数の第2吸着部82は、負圧発生器24bにより負圧が発生される。
【0056】
支持部83は、図6に示すように、複数の第1吸着部81の上方に設けられている。また、支持部83は、円柱形状に形成されている。また、支持部83の上部は、柱部84aに接続されている。また、支持部83の内部には、負圧を伝達する内部空間83aが設けられている。
【0057】
つまり、複数の第1吸着部81の各々に負圧を伝達する流路は、支持部83の内部空間83aに接続されている。また、内部空間83aは、柱部84aの内部に設けられた流路842aに接続されている。つまり、内部空間83aにより、流路842aから供給される負圧が、複数の第1吸着部81に分配して伝達される。
【0058】
柱部84aは、基部85dに対して上下方向に移動可能に構成されている。また、柱部84aの内部に設けられた流路842aは、チューブ241aを介して負圧発生器24aに接続されている。
【0059】
バネ841aは、基部85dに対して、支持部83(複数の第1吸着部81)を下方に付勢するように構成されている。
【0060】
柱部84bは、複数の第2吸着部82の各々の上方に設けられている。また、柱部84bの内部には、負圧を伝達する流路842bが設けられている。
【0061】
柱部84bは、基部85dに対して上下方向に移動可能に構成されている。また、柱部84bの内部に設けられた流路842bは、チューブ241bを介して負圧発生器24bに接続されている。複数の第2吸着部82の各々に接続されたチューブ241bは、合流部242bにより互いに接続され、共通の負圧発生器24bに接続されている。
【0062】
バネ841bは、基部85dに対して、柱部84b(第2吸着部82)を下方に付勢するように構成されている。
【0063】
(廃棄物の吸着点取得処理)
図8を参照して、システム制御部30による廃棄物(ビン)の吸着点の取得処理について説明する。
【0064】
図8に示すように、システム制御部30は、撮像部40により撮像した廃棄物の画像に基づいてヒートマップを取得するように構成されている。具体的には、システム制御部30は、図8(A)に示すように、撮像部40により撮像した画像を取得する。そして、システム制御部30は、図8(B)に示すように、人口知能により推論して、廃棄物に対してヒートマップH1~H4を作成する。ヒートマップH1~H4は、廃棄物の中心と推論される部分に対して値が大きくなるように作成される。また、システム制御部30は、取得したヒートマップH1~H4に基づいて、それぞれ、廃棄物の吸着点P1~P4を取得するように構成されている。具体的には、システム制御部30は、図8(C)に示すように、ヒートマップH1~H4の値が大きい場所を、それぞれ、廃棄物の吸着点P1~P4に設定する。なお、ヒートマップの値は、しきい値により処理される。また、システム制御部30は、取得した吸着点P1~P4に基づいて、ロボット20により廃棄物の仕分けを行わせるように構成されている。つまり、システム制御部30は、吸着点P1~P4に基づく廃棄物の位置情報を、ロボット制御部21に送信する。
【0065】
(廃棄物の吸着処理)
次に、システム制御部30による廃棄物(ビン)の吸着制御処理について説明する。
【0066】
ここで、本実施形態では、システム制御部30は、撮像部40により撮像された画像に基づいて、複数の廃棄物(ビン)の各々の吸着点を取得するとともに、取得した複数の廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンド80の第1吸着部81の中心を複数の廃棄物の各々の吸着点の中間位置に下降させて、複数の廃棄物を同時に吸着する制御を行うように構成されている。なお、第1吸着部81の中心は、この場合、平面視における3つの第1吸着部81の中心の位置である。つまり、第1吸着部81の中心は、3つの第1吸着部81を支持する円柱状の支持部83の中心位置である。また、複数の廃棄物の各々の吸着点の中間位置は、中点でなくてもよく、複数の廃棄物の各々の吸着点の間の位置である。また、所定の距離は、ロボット用吸着ハンド80の大きさに基づいて設定される。たとえば、所定の距離は、複数の第2吸着部82のうち互いに離れた位置にある2つの第2吸着部82の中心間距離よりも小さい。
【0067】
また、システム制御部30は、同じ種類の複数の廃棄物(ビン)の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンド80の第1吸着部81の中心を、同じ種類の複数の廃棄物の各々の吸着点の中間位置に下降させて、同じ種類の複数の廃棄物を同時に吸着する制御を行うように構成されている。
【0068】
また、システム制御部30は、同じ種類の複数の廃棄物(ビン)を同時に吸着する場合に、第1吸着部81および第2吸着部82の両方に負圧を発生させる制御を行うとともに、異なる種類の複数の廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、第1吸着部81のみに負圧を発生させる制御を行うように構成されている。つまり、複数の廃棄物を同時に吸着する場合には、第1吸着部81および第2吸着部82により、複数の廃棄物を吸着する。また、異なる種類の複数の廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合には、第1吸着部81のみにより廃棄物を吸着する。
【0069】
また、システム制御部30は、異なる種類の複数の廃棄物(ビン)の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンド80の第1吸着部81の中心を、仕分ける対象である1つの廃棄物の吸着点の位置に下降させて、第1吸着部81により1つの廃棄物を吸着する制御を行うように構成されている。
【0070】
また、システム制御部30は、取得した2つの廃棄物(ビン)の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンド80の第1吸着部81の中心を2つの廃棄物の各々の吸着点の中点位置に下降させて、2つの廃棄物を同時に吸着する制御を行うように構成されている。また、システム制御部30は、取得した3つの廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンド80の第1吸着部81の中心を3つの廃棄物の各々の吸着点の重心位置に下降させて、3つの廃棄物を同時に吸着する制御を行うように構成されている。
【0071】
たとえば、図9に示すように、搬送部10上の3つのビンB1、ビンB2、ビンB3について、ビンB1とビンB2とが同じ種類(色)のビンであり、ビンB3は、ビンB1およびビンB2とは異なる種類(色)のビンである場合について説明する。吸着対象のビンB1の吸着点P5に対して、ビンB2の吸着点P6は、所定の距離より小さい距離L1だけ離れた位置にある。また、吸着対象のビンB1の吸着点P5に対して、ビンB3の吸着点P7は、所定の距離より小さい距離L2だけ離れた位置にある。この場合、システム制御部30は、吸着対象のビンB1のみを吸着するように制御する。つまり、システム制御部30は、第1吸着部81のみに負圧を発生させるとともに、第1吸着部81の中心をビンB1の吸着点P5の位置(位置PA)に下降させる。
【0072】
また、たとえば、図10に示すように、搬送部10上の2つのビンB4、ビンB5について、ビンB4とビンB5とが同じ種類(色)のビンである場合について説明する。吸着対象のビンB4の吸着点P8に対して、ビンB5の吸着点P9は、所定の距離より小さい距離L3だけ離れた位置にある。この場合、システム制御部30は、吸着対象のビンB4およびビンB5を同時に吸着するように制御する。つまり、システム制御部30は、第1吸着部81および第2吸着部82の両方に負圧を発生させるとともに、第1吸着部81の中心を、ビンB4の吸着点P8とビンB5の吸着点P9の中点の位置PBに下降させる。
【0073】
また、たとえば、図11に示すように、搬送部10上の3つのビンB6、ビンB7、ビンB8について、ビンB6とビンB7とビンB8とが同じ種類(色)のビンである場合について説明する。吸着対象のビンB6の吸着点P10に対して、ビンB7の吸着点P11は、所定の距離より小さい距離L4だけ離れた位置にある。また、吸着対象のビンB6の吸着点P10に対して、ビンB8の吸着点P12は、所定の距離より小さい距離L6だけ離れた位置にある。また、ビンB7の吸着点P11に対して、ビンB8の吸着点P12は、所定の距離より小さい距離L5だけ離れた位置にある。この場合、システム制御部30は、吸着対象のビンB6と、ビンB7およびビンB8とを同時に吸着するように制御する。つまり、システム制御部30は、第1吸着部81および第2吸着部82の両方に負圧を発生させるとともに、第1吸着部81の中心を、ビンB6の吸着点P10とビンB7の吸着点P11とビンB8の吸着点P12との重心の位置PCに下降させる。
【0074】
次に、図12を参照して、システム制御部30による廃棄物吸着処理について説明する。
【0075】
図12のステップS1において、システム制御部30は、搬送部10上の廃棄物(ビン)の画像を取得する。ステップS2において、システム制御部30は、廃棄物(ビン)の種類と代表点(吸着点)の位置とを推定する。
【0076】
ステップS3において、システム制御部30は、指標を生成する。ステップS4において、システム制御部30は、撮像画像と指標とを表示部(図示せず)に表示させる。
【0077】
ステップS5において、システム制御部30は、撮像画像と、推定された廃棄物(ビン)の種類および位置と、を保存する。ステップS6において、システム制御部30は、対象の廃棄物(ビン)から所定の距離以内に対象外(異なる種類)の廃棄物(ビン)があるか否かを判断する。対象外の廃棄物が無ければ、ステップS7に進み、対象外の廃棄物があれば、ステップS9に進む。
【0078】
ステップS7において、システム制御部30は、第1吸着部81および第2吸着部82に負圧を発生させる。また、ステップS8において、システム制御部30は、吸着位置を決定する。つまり、複数の廃棄物(ビン)を吸着する場合には、複数の廃棄物(ビン)の各々の吸着点の中間位置を吸着位置として決定する。その後、ステップS11に進む。
【0079】
ステップS9において、システム制御部30は、第1吸着部81に負圧を発生させる。また、ステップS10において、システム制御部30は、吸着位置を決定する。つまり、対象の廃棄物(ビン)の吸着点を吸着位置として決定する。その後、ステップS11に進む。
【0080】
ステップS11において、システム制御部30は、処理可能な廃棄物(ビン)があるか否かを判断する。処理可能な廃棄物(ビン)があれば、ステップS6に戻る。処理可能な廃棄物(ビン)がなければ、処理が終了される。
【0081】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0082】
本実施形態では、上記のように、取得した複数の廃棄物(ビン)の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンド80の第1吸着部81の中心を複数の廃棄物の各々の吸着点の中間位置に下降させて、複数の廃棄物を同時に吸着することにより、ロボットアーム22(23)の1回の仕分け動作において、複数の廃棄物を一度に吸着することによって効率よく廃棄物を仕分け処理することができる。また、複数の廃棄物のうち1つの廃棄物の吸着点に合わせてロボット用吸着ハンド80を下降させる場合と異なり、複数の廃棄物の各々の吸着点の中間位置に、複数の第2吸着部82に囲まれた第1吸着部81の中心を下降させるので、複数の廃棄物の各々を確実に吸着することができる。また、複数の廃棄物を同時に吸着することにより、安全柵などが必要な仕分けスピードの速いロボットを採用する必要がなく、人と協働作業が可能な仕分けスピードが比較的遅いロボットを採用することができる。また、ロボットの台数を増やす必要がないので、仕分けを行うロボットを配置する台数を最小限にすることができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、システム制御部30は、同じ種類の複数の廃棄物(ビン)の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンド80の第1吸着部81の中心を、同じ種類の複数の廃棄物の各々の吸着点の中間位置に下降させて、同じ種類の複数の廃棄物を同時に吸着する制御を行うように構成されている。これにより、同じ種類の廃棄物を同時に吸着して、複数の廃棄物を同じ仕分け先に搬送することができるので、廃棄物の仕分け作業をより効率よく行うことができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、第1吸着部81および第2吸着部82は、互いに独立して負圧が発生されるように構成されている。また、システム制御部30は、同じ種類の複数の廃棄物(ビン)を同時に吸着する場合に、第1吸着部81および第2吸着部82の両方に負圧を発生させる制御を行うとともに、1つの廃棄物を吸着する場合に、第1吸着部81のみに負圧を発生させる制御を行うように構成されている。これにより、複数の廃棄物を、第1吸着部81および第1吸着部81の周りに配置された複数の第2吸着部82により安定して吸着することができる。また、1つの廃棄物を吸着する場合には、第1吸着部81の周りに配置された第2吸着部82には負圧が発生しないので、異なる種類の廃棄物が同時に吸着されるのを効果的に抑制することができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、システム制御部30は、異なる種類の複数の廃棄物(ビン)の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンド80の第1吸着部81の中心を、仕分ける対象である1つの廃棄物の吸着点の位置に下降させて、第1吸着部81により1つの廃棄物を吸着する制御を行うように構成されている。これにより、複数の第2吸着部82に囲まれて、中央に配置された第1吸着部81により、仕分け対象の廃棄物のみを確実に吸着することができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、システム制御部30は、取得した2つの廃棄物(ビン)の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンド80の第1吸着部81の中心を2つの廃棄物の各々の吸着点の中点位置に下降させて、2つの廃棄物を同時に吸着する制御を行うように構成されている。また、システム制御部30は、取得した3つの廃棄物の各々の吸着点が所定の距離以下にある場合に、ロボット用吸着ハンド80の第1吸着部81の中心を3つの廃棄物の各々の吸着点の重心位置に下降させて、3つの廃棄物を同時に吸着する制御を行うように構成されている。これにより、2つの廃棄物を同時に吸着する場合に、2つの廃棄物の各々の吸着点の中点位置に、複数の第2吸着部82に囲まれて中央に配置された第1吸着部81を下降させるので、2つの廃棄物をより確実に吸着することができる。また、3つの廃棄物を同時に吸着する場合に、3つの廃棄物の各々の吸着点の重心位置に、複数の第2吸着部82に囲まれて中央に配置された第1吸着部81を下降させるので、3つの廃棄物をより確実に吸着することができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、複数の第2吸着部82は、第1吸着部81を円周状に取り囲むように配置されている。これにより、第1吸着部81に対して、複数の第2吸着部82をバランスよく取り囲んで配置することができるので、第1吸着部81および第2吸着部82により複数の廃棄物(ビン)をバランスよく吸着することができる。
【0088】
また、本実施形態では、上記のように、第1吸着部81は、複数設けられており、複数の第2吸着部82は、複数の第1吸着部81を円周状に取り囲むように配置されている。これにより、複数の第2吸着部82に囲まれて中央に配置された第1吸着部81を複数設けることにより、第1吸着部81のみによって廃棄物(ビン)を安定して吸着することができる。また、複数の第1吸着部81および複数の第2吸着部82をバランスよく配置することができるので、複数の第1吸着部81および複数の第2吸着部82により複数の廃棄物をよりバランスよく吸着することができる。
【0089】
また、本実施形態では、上記のように、第1吸着部81および複数の第2吸着部82は、互いに独立して上下方向に移動可能に構成されている。これにより、高さが異なる複数の廃棄物(ビン)の各々の上面に当接するように、第1吸着部81および第2吸着部82を互いに独立して上下方向に移動させることができるので、高さの異なる複数の廃棄物を容易に同時に吸着することができる。
【0090】
また、本実施形態では、上記のように、システム制御部30は、ビンの色を判別して、ロボット20により廃棄物としてのビンを色に応じて仕分けさせる制御を行うように構成されている。これにより、廃棄物としての複数の色のビンをロボット20により仕分けることができる。
【0091】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0092】
たとえば、上記一実施形態では、ロボットは、2つのロボットアームを備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボットは、1つまたは3つ以上のロボットアームを備える構成でもよい。また、ロボットアームは、垂直多関節ロボットであってもよい。
【0093】
また、上記一実施形態では、ロボットが作業者と協働可能である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボットは、作業者と協働可能でなくてもよい。
【0094】
また、上記一実施形態では、廃棄物としてのビンを色毎に仕分ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、廃棄物はビン以外であってもよい。たとえば、廃棄物は、プラスチック、金属、不燃ごみであってもよい。また、廃棄物を素材や大きさごとに仕分けてもよい。
【0095】
また、上記一実施形態では、廃棄物を判別するシステム制御部と、ロボットの動作を制御するロボット制御部とが別個に設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、システム制御部とロボット制御部とを共通にして、廃棄物を判別するシステム制御部が、ロボットの動作を制御するようにしてもよい。
【0096】
また、上記一実施形態では、3つの第1吸着部と、6つの第2吸着部とを設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1、2または4つ以上の第1吸着部と、6つ以外の複数の第2吸着部とを設けてもよい。
【0097】
また、上記一実施形態では、廃棄物処理システムが設けられた廃棄物処理施設に、廃棄物がコンテナに入れられて回収されてくる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、廃棄物はコンテナ以外に入れられて回収されてきてもよい。たとえば、廃棄物は、袋に入れられて回収されてきてもよいし、トラックなどに直接積み込まれて回収されてきてもよい。この場合、廃棄物処理システムの搬送部に廃棄物を投入するための前段階の構成は、廃棄物の回収形態に合わせて適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 搬送部
20 ロボット
22、23 ロボットアーム
30 システム制御部(制御部)
40 撮像部
80、80a、80b ロボット用吸着ハンド
81 第1吸着部
82 第2吸着部
100 廃棄物処理システム
B ビン(廃棄物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12