(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169159
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】収納キャビネット
(51)【国際特許分類】
A47K 1/00 20060101AFI20221101BHJP
A47B 67/02 20060101ALI20221101BHJP
A47K 1/02 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
A47K1/00 B
A47B67/02 502L
A47K1/02 A
A47K1/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075016
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
(57)【要約】
【課題】室内側の面が一平面状に形成された収納キャビネットにおいて、その内部に洗面装置を使用性良く配設し意匠性と使用性の両立を図った収納キャビネットを提供する。
【解決手段】壁面取付タイプの収納キャビネット1である。室内側の面である表面Sが一平面状に形成されるとともに表面Sの端縁部を含まない一部に開口5を有する室内と反対側に凹む凹部5Dが設けられている。凹部5Dの中に洗面ボウル7と水栓8が配設されており、洗面ボウル7はその一部が表面Sより室内側に向けて突出してしている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面取付タイプの収納キャビネットであって、
室内側の面である表面が一平面状に形成されるとともに前記表面の端縁部を含まない一部に開口を有する室内と反対側に凹む凹部が設けられ、
該凹部の中に洗面ボウルと水栓が配設されており、
前記洗面ボウルはその一部が前記表面より室内側に向けて突出してしている収納キャビネット。
【請求項2】
請求項1において、前記開口は室内側から見て矩形状をしている収納キャビネット。
【請求項3】
請求項1において、前記開口は室内側から見て円形又は楕円形をしている収納キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納キャビネットに関する。詳しくは、壁面に設置し内部に洗面装置を備えた収納キャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、居室内や玄関内等に配置される収納キャビネットにおいて、内部に手や顔を洗うための洗面装置を配設したものが知られている。特許文献1には、このような収納キャビネットのうちで玄関に配置されるものが開示されている。この収納キャビネットにおいては、通常は扉が閉められて室内側の面が一平面状に形成されており、洗面装置を使用する時はこの扉を開けて内部に配設された洗面ボウルをスライドレールによって手前に引き出して使用するようになっている。洗面ボウルを手前に引き出せるようになっているのは、手や顔を洗いやすくするためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された技術においては、洗面装置を使用する時に洗面ボウルをスライドレールによって手前に引き出せるようになっているので、収納キャビネットの奥行寸法が小さく内部に配置される洗面ボウルの奥行寸法が小さくても手や顔を洗う際の使用性の悪化を抑止できる。しかし、洗面ボウルをスライドさせるためのスライドレールの設置や洗面ボウルに対する給水管及び排水管をフレキブルなものにしておく必要がある等構造が複雑化してコスト増を招きやすいという問題があった。
【0005】
このような問題に鑑み本発明の課題は、室内側の面が一平面状に形成された収納キャビネットにおいて、その内部に洗面装置を使用性良く配設し意匠性と使用性の両立を図った収納キャビネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、壁面取付タイプの収納キャビネットであって、室内側の面である表面が一平面状に形成されるとともに前記表面の端縁部を含まない一部に開口を有する室内と反対側に凹む凹部が設けられ、該凹部の中に洗面ボウルと水栓が配設されており、前記洗面ボウルはその一部が前記表面より室内側に向けて突出してしていることを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、開口の外周部分の表面は一平面状に形成されているので収納キャビネットとしての一体感が醸成されて意匠性が良い。また、凹部の中に収納キャビネットの奥行寸法より大きい奥行寸法の洗面ボウルを配設できるのでスライド機構を設けなくても洗面ボウルを使用者に近い位置に配置でき、手や顔を洗いやすい。これによって、意匠性と洗面ボウルの使用性の両立を図った収納キャビネットを提供することができる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記開口は室内側から見て矩形状をしていることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、凹部の周囲における収納キャビネットの内部を収納棚として区画しやすいので便宜である。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第1発明において、前記開口は室内側から見て円形又は楕円形をしていることを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、収納キャビネットの外観意匠に特異性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態である収納キャビネットを室内側から見た正面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態である収納キャビネットを室内側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る収納キャビネット1の構成について、
図1~
図3を用いて説明する。各図において使用者を基準とした前後左右上下の各方向を矢印で示し、方向に関する説明はこの矢印で示す方向に基づいて行う。
【0014】
図1~
図3に示すように、本実施形態に係る収納キャビネット1は、居室や玄関等の壁面に設置される、いわゆる壁面収納タイプのキャビネットとして構成されている。収納キャビネット1は、間隔をあけて配置された左右の側部ユニット2と、左右の側部ユニット2の間に配置された下部ユニット3及び上部ユニット4と、を有し、左右の側部ユニット2と下部ユニット3と上部ユニット4に囲まれた領域に後方である室内側と反対方向に凹む凹部5Dが設けられた構造をしている。
【0015】
左側の側部ユニット2は、2枚の側板2aと背板2bと天板(図示せず)と底板(図示せず)で囲われた前側に開口したボックス2Bに開閉可能な前板2cが取付けられた構造をしている。前板2cは、その左側端部を上下に延びる軸(図示せず)を中心に前後方向に回動可能にボックス2Bに対し取付けられている。ボックス2Bの内部には複数の棚板(図示せず)が配置されている。右側の側部ユニット2も左側の側部ユニット2と同一構造であるが、前板2cが、その右側端部を上下に延びる軸(図示せず)を中心に前後方向に回動可能にボックス2Bに対し取付けられている点でのみ異なる。ボックス2Bの内部には棚板(図示せず)が配置されている。
【0016】
下部ユニット3は、2枚の側板(図示せず)と背板3bと天板3dと底板3eで囲われた前側に開口したボックス3Bに2枚の開閉可能な前板3cが取付けられた構造をしている。左側の前板3cは、その左側端部を上下に延びる軸(図示せず)を中心に前後方向に回動可能にボックス3Bに対し取付けられている。右側の前板3cは、その右側端部を上下に延びる軸(図示せず)を中心に前後方向に回動可能にボックス3Bに対し取付けられている。すなわち、左右の前板3cはボックス3Bに対し観音開きとなるように取付けられている。ボックス3Bの内部には棚板3fが配置されている。
【0017】
上部ユニット4は、2枚の側板(図示せず)と背板4bと天板4dと底板4eで囲われた前側に開口したボックス4Bに2枚の開閉可能な前板4cが取付けられた構造をしている。左側の前板4cは、その左側端部を上下に延びる軸(図示せず)を中心に前後方向に回動可能にボックス4Bに対し取付けられている。右側の前板4cは、その右側端部を上下に延びる軸(図示せず)を中心に前後方向に回動可能にボックス4Bに対し取付けられている。すなわち、左右の前板4cはボックス4Bに対し観音開きとなるように取付けられている。ボックス4Bの内部には棚板4fが配置されている。
【0018】
ボックス2Bとボックス3Bとボックス4Bの前後長である奥行は等しく、左右のボックス2Bに対して閉じられた左右の前板2cの前側の面と、ボックス3Bに対して閉じられた左右の前板3cの前側の面と、ボックス4Bに対して閉じられた左右の前板4cの前側の面と、は一平面状の表面Sとなるように構成されている。そして、この表面Sの中央部に矩形状の開口5が形成される。
【0019】
図1~
図3に示すように、左側の側部ユニット2の右側の側板2aの右側面と、右側の側部ユニット2の左側の側板2aの左側面と、下部ユニット3の天板3dの上面と、上部ユニット4の底板4eの下面と、開口5に対向する背面5gと、で前方に向かって開口する開口5を有する凹部5Dが形成されている。凹部5Dの左右側面には側化粧板5aが配設され、凹部5Dの上側面には上化粧板5dが配設され、凹部5Dの下側面には下化粧板5eが配設されている。具体的には、左側の側化粧板5aは左側の側部ユニット2の右側の側板2aの右側面に面当たりで取付けられ、右側の側化粧板5aは右側の側部ユニット2の左側の側板2aの左側面に面当たりで取付けられ、上化粧板5dは上部ユニット4の底板4eの下面に面当たりで取付けられ、下化粧板5eは下部ユニット3の天板3dの上面に面当たりで取付けられている。
【0020】
下化粧板5eの上には、板状のカウンター6が載置されている。カウンター6は、上方から見て後側が下化粧板5eと同一形状をしているとともに、前側は前方に向けて円弧状に張り出す突出部6aとして形成されている。そして、カウンター6の上には、上方から見て円形をした洗面ボウル7が載置されている。洗面ボウル7の直径は、凹部5Dの前後長より大きくその一部が表面Sより前方に突出している。洗面ボウル7の左側のカウンター6には、洗面ボウル7の中に水を吐出する水栓8が配設されている。水栓8への給水管及び洗面ボウル7からの排水管は、図示しないが下部ユニット3の中に配設されている。
【0021】
以上のように構成される本実施形態の収納キャビネット1は、以下のような作用効果を奏する。開口5の外周部分を構成する表面Sは一平面状に形成されているので収納キャビネットとしての一体感が醸成されて意匠性が良い。また、凹部5Dの中のカウンター6上に収納キャビネット1の奥行寸法より大きい奥行寸法の洗面ボウル7を配設して、洗面ボウル7の一部は表面Sより前方に突出しているのでスライド機構を設けなくても洗面ボウル7を使用者に近い位置に配置でき、手や顔を洗いやすい。これによって、意匠性と洗面ボウル7の使用性の両立を図った収納キャビネット1を提供することができる。また、開口5は室内側から見て矩形状をしているので、凹部5Dの周囲に配置された左側の側部ユニット2、下部ユニット3及び上部ユニット4の内部を収納棚として区画しやすく便宜である。
【0022】
図4には本発明の他の実施形態にかかる収納キャビネット1Aが示されている。収納キャビネット1との違いは、開口50の形状が前方向から見て円形をしていることである。具体的には、収納キャビネット1Aは、間隔をあけて配置された左右の側部ユニット20と、左右の側部ユニット20の間に配置された下部ユニット30及び上部ユニット40と、を有し、左右の側部ユニット20と下部ユニット30と上部ユニット40に囲まれた領域に後方である室内側と反対方向に凹む凹部50Dが設けられた構造をしている。
【0023】
左側の側部ユニット20は、収納キャビネット1のボックス2Bの側方の一部が前方から見て円弧状に切り欠かれた形状のボックス(図示せず)に開閉可能な前板20cが取付けられた構造をしている。前板20cは、その左側端部を上下に延びる軸(図示せず)を中心に前後方向に回動可能にボックスに対し取付けられている。ボックスの内部には複数の棚板(図示せず)が配置されている。右側の側部ユニット20も左側の側部ユニット20と同一構造であるが、前板20cが、その右側端部を上下に延びる軸(図示せず)を中心に前後方向に回動可能にボックスに対し取付けられている点でのみ異なる。
【0024】
下部ユニット30は、収納キャビネット1のボックス3Bの上方の一部が前方から見て円弧状に切り欠かれた形状のボックス(図示せず)に開閉可能な前板30cが取付けられた構造をしている。左側の前板30cは、その左側端部を上下に延びる軸(図示せず)を中心に前後方向に回動可能にボックスに対し取付けられている。右側の前板30cは、その右側端部を上下に延びる軸(図示せず)を中心に前後方向に回動可能にボックスに対し取付けられている。すなわち、左右の前板30cはボックスに対し観音開きとなるように取付けられている。ボックスの内部には棚板(図示せず)が配置されている。
【0025】
上部ユニット40は、収納キャビネット1のボックス4Bの下方の一部が前方から見て円弧状に切り欠かれた形状のボックス(図示せず)に開閉可能な前板40cが取付けられた構造をしている。左側の前板40cは、その左側端部を上下に延びる軸(図示せず)を中心に前後方向に回動可能にボックスに対し取付けられている。右側の前板40cは、その右側端部を上下に延びる軸(図示せず)を中心に前後方向に回動可能にボックスに対し取付けられている。すなわち、左右の前板40cはボックスに対し観音開きとなるように取付けられている。ボックスの内部には棚板(図示せず)が配置されている。
【0026】
左右のボックスに対して閉じられた左右の前板20cの前側の面と、下部のボックスに対して閉じられた左右の前板30cの前側の面と、上部のボックスに対して閉じられた左右の前板40cの前側の面と、は一平面状の表面Sとなるように構成されている。そして、この表面Sの中央部に円形の開口50が形成される。
【0027】
図4に示すように、開口50から後方に向かって延びる筒状の面と、開口50に対向する背面50gと、で前方に向かって開口する開口50を有する凹部50Dが形成されている。凹部50Dの内側の面には化粧板が張られて見栄えが良くされている。左右の側部ユニット20の間には、架け渡し状にカウンター6が配設されている。カウンター6は、上方から見て前側が前方に向けて円弧状に張り出す突出部6aとして形成されている。そして、カウンター6の上には、洗面ボウル7が載置されている。洗面ボウル7の直径は、凹部50Dの前後長より大きくその一部が表面Sより前方に突出している。洗面ボウル7の左側のカウンター6には、洗面ボウル7の中に水を吐出する水栓8が配設されている。水栓8への給水管及び洗面ボウル7からの排水管は、図示しないが下部ユニット30の中に配設されている。
【0028】
以上のように構成される本実施形態の収納キャビネット1Aは、開口50の外周部分を構成する表面Sは一平面状に形成されているので収納キャビネットとしての一体感が醸成されて意匠性が良い。また、凹部50Dの中のカウンター6上に収納キャビネット1Aの奥行寸法より大きい奥行寸法の洗面ボウル7を配設して、洗面ボウル7の一部は表面Sより前方に突出しているのでスライド機構を設けなくても洗面ボウル7を使用者に近い位置に配置でき、手や顔を洗いやすい。これによって、意匠性と洗面ボウル7の使用性の両立を図った収納キャビネット1Aを提供することができる。また、開口50は前方から見て円形をしているので、収納キャビネット1Aの外観意匠に特異性を持たせることができる。
【0029】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0030】
1.上記実施形態においては、凹部の開口を矩形状又は円形として構成した。しかし、これに限らず、楕円形とすることもできるし多角形とすることもできる。
【0031】
2.上記実施形態においては、洗面ボウル7を上方から見て円形のものとしたが、これに限らず上方から見て楕円形のものであってもよいし、矩形状等多角形のものであってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 収納キャビネット
1A 収納キャビネット
5 開口
5D 凹部
6 カウンター
6a 突出部
7 洗面ボウル
8 水栓
50 開口
50D 凹部
S 表面