(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169183
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】取付枠及び器具
(51)【国際特許分類】
H02G 3/02 20060101AFI20221101BHJP
H01H 9/02 20060101ALI20221101BHJP
H02G 3/12 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H02G3/02
H01H9/02 N
H02G3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075046
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】吉村 庸
【テーマコード(参考)】
5G052
5G357
5G361
【Fターム(参考)】
5G052AA12
5G052BB03
5G052HC08
5G357CA06
5G357CB04
5G357CC01
5G357CD03
5G357CE01
5G357CF02
5G361AA02
5G361AC01
5G361AD01
(57)【要約】
【課題】製造コストの高騰化と、壁からの浮き上がりとを抑制することができる取付枠及び器具を提供する。
【解決手段】取付枠10は、配線器具1の化粧カバー20が取り付けられる取付枠10であって、第一の孔11aと、スイッチ本体2が配置された貫通孔10aとが形成された枠本体11と、貫通孔10aの周囲の少なくとも一部から、枠本体11の厚み方向に突出する第一の壁部12とを備えている。また、枠本体11には、第一の凹部13が形成されている。そして、第一の凹部13は、第一の孔11aと枠本体11の端縁との間に形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具の化粧カバーが取り付けられる取付枠であって、
第一の孔と、前記器具の本体が配置される貫通孔とが形成された枠本体と、
前記貫通孔の周囲の少なくとも一部から、前記枠本体の厚み方向に突出する第一の壁部とを備え、
前記枠本体には、第一の凹部が形成され、
前記第一の凹部は、前記第一の孔と前記枠本体の端縁との間に形成されている
取付枠。
【請求項2】
前記第一の凹部は、前記第一の孔の両側にそれぞれ形成され、前記第一の孔と前記貫通孔との並び方向と直交する方向に沿って並んでいる
請求項1に記載の取付枠。
【請求項3】
前記枠本体には、第二の凹部が形成され、
前記第二の凹部は、前記第一の孔と前記貫通孔との並び方向上に配置され、前記第一の孔と前記枠本体の端縁との間に形成されている
請求項1又は2に記載の取付枠。
【請求項4】
前記第一の凹部と前記第二の凹部とは、前記第一の孔を囲み、かつ、連なるように形成されている
請求項3に記載の取付枠。
【請求項5】
前記第一の凹部及び前記第二の凹部は、前記貫通孔の両側にそれぞれ形成されている
請求項3又は4に記載の取付枠。
【請求項6】
前記第一の壁部の少なくとも一部は、前記枠本体から突出する方向に向けて次第に薄くなっている
請求項1~5のいずれか1項に記載の取付枠。
【請求項7】
前記第一の壁部において、前記第一の孔と対向する前記第一の壁部の部分の厚みは、前記第一の壁部の他の部分の厚みよりも薄い
請求項1~6のいずれか1項に記載の取付枠。
【請求項8】
前記枠本体には、前記第一の壁部が形成されている側の第一面とは反対側の面である第二面において、前記第一の孔を囲み、かつ、前記第一の孔と一体的に形成された第三の凹部が形成されている
請求項1~7のいずれか1項に記載の取付枠。
【請求項9】
前記第一の孔は、前記貫通孔の両側にそれぞれ形成され、
前記第三の凹部は、前記貫通孔の両側にそれぞれ形成されている
請求項8に記載の取付枠。
【請求項10】
前記枠本体は、前記貫通孔を囲む、格子構造状の格子部を有している
請求項1~9のいずれか1項に記載の取付枠。
【請求項11】
前記取付枠は、樹脂で構成されている
請求項1~10のいずれか1項に記載の取付枠。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の取付枠と、
前記取付枠の前記貫通孔に設けられるスイッチ本体と、
前記取付枠に取り付けられる化粧カバーとを備えている
器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、取付枠及び器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の特許文献1には、合成樹脂等からなる取付枠本体と、取付枠本体の中央部に形成された配線器具取付孔と、配線器具取付孔の巾方向両側端縁に形成された係止部とからなる配線器具取付枠が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のコンセントの配線器具取付枠では、壁に設置する際に、ネジ等によって固定されるが、ネジによって配線器具取付枠を固定する際の締結力によって壁から浮き上がってしまうことがある。
【0005】
そこで、固定する際に配線器具取付枠が壁から浮き上がらないように、配線器具取付枠に金属板を重ねて、金属板とともに配線器具取付枠を、ネジ等によって壁に固定することが考えられる。この場合、金属板を用いなければならず、配線器具取付枠との組み立て性、及び、部品点数の増加によって製造コストが高騰化してしまう。
【0006】
また、取付枠本体の厚みを増すことで、配線器具取付枠の強度を確保することも考えられる。この場合、配線器具取付枠の厚みが増した分だけ製造コストが高騰化してしまう。また、配線器具取付枠を壁に固定した際に、配線器具取付枠が壁から大きく浮き上がってしまい、見栄えが悪くなる。
【0007】
そこで、本開示は、製造コストの高騰化と、壁からの浮き上がりとを抑制することができる取付枠及び器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る取付枠は、器具の化粧カバーが取り付けられる取付枠であって、第一の孔と、前記器具の本体が配置される貫通孔とが形成された枠本体と、前記貫通孔の周囲の少なくとも一部から、前記枠本体の厚み方向に突出する第一の壁部とを備え、前記枠本体には、第一の凹部が形成され、前記第一の凹部は、前記第一の孔と前記枠本体の端縁との間に形成されている。
【0009】
また、本開示の一態様に係る器具は、取付枠と、前記取付枠の前記貫通孔に設けられるスイッチ本体と、前記取付枠に取り付けられる化粧カバーとを備えている。
【発明の効果】
【0010】
本開示の取付枠及び器具によれば、製造コストの高騰化と、壁からの浮き上がりとを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る配線器具の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る取付枠、及び、化粧カバーを示す分解斜視図、及び、スイッチ収容体を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る取付枠の裏面を示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る取付枠の表面を示す平面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る取付枠を示す側面図である。
【
図6】
図6は、従来の取付枠の第一の孔に応力を付加した場合と、実施の形態の取付枠の第一の孔に応力を付加した場合とにおいて、枠本体に加わる応力と、枠本体の変位量とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0013】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略矩形状等の表現を用いている。例えば、略矩形状は、完全に矩形状であることを意味するだけでなく、実質的に矩形状である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略矩形状は、本開示による効果を奏し得る範囲において矩形状という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0014】
また、以下の実施の形態では、第一の穴及び貫通孔が並ぶ方向をZ軸方向と規定し、Z軸方向と直交しかつ枠本体の表面(第二面)に沿う方向をX軸方向と規定し、Z軸方向及びX軸方向と直交する方向をY軸方向と規定する。また、X軸方向において
図1の左側をプラス方向側と規定し、Y軸方向において
図1の上側をプラス方向側と規定し、Z軸方向において
図1のスイッチを押圧する方向側をプラス方向側と規定する。
【0015】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0016】
(実施の形態)
<構成:配線器具1>
図1は、実施の形態に係る配線器具1の外観を示す斜視図である。
【0017】
図1に示すように、配線器具1は、例えば、施設に設置される照明装置、送風装置等の設備システムに電力を供給したり、供給する電力を遮断したりする接続機器である。配線器具1は、天井、壁等の造営物に埋め込み設置される。配線器具1は、例えば、コンセント又はスイッチである。配線器具1は、Y軸方向に沿って縦長の直方体状に形成されている。
【0018】
図2は、実施の形態に係る配線器具1を示す分解斜視図、及び、スイッチ収容体3を示す斜視図である。
【0019】
図2に示すように、配線器具1は、造営物に埋め込み設置される際に、配線器具1のスイッチ本体2がスイッチ収容体3に収容された状態となる。スイッチ収容体3は、スイッチ本体2を収容することで、スイッチ本体2を覆うことができる。スイッチ収容体3は、矩形状をなした有底筒状のカバー体である。スイッチ収容体3は、その内部にネジ等の締結部材と締結するための締結穴3aが形成されている。配線器具1は、器具の一例である。
【0020】
本実施の形態では、締結穴3aは、スイッチ収容体3の内部に形成された一対の突出部3bのそれぞれに形成されている。締結穴3aは、Y軸プラス方向側の端部と、Y軸マイナス方向側の端部とに配置され、一対の締結穴3aは、Y軸方向に沿って並んでいる。スイッチ収容体3も、配線器具1が造営物に設置された際に、造営物に埋め込み設置される。
【0021】
配線器具1は、配線器具1のスイッチ本体2がスイッチ収容体3に収容された状態で、スイッチ収容体3に固定されている。具体的には、締結部材が配線器具1の取付枠10を介してスイッチ収容体3に締結されることで、配線器具1は、スイッチ収容体3に固定されている。より具体的には、取付枠10に形成されている第一の孔11aを締結部材が挿通した状態で、スイッチ収容体3の締結穴3aに締結部材が締結されることで、取付枠10がスイッチ収容体3に固定される。
【0022】
配線器具1は、取付枠10と、取付枠10の貫通孔10aに設けられるスイッチ本体2と、取付枠10に取り付けられる化粧カバー20とを備えている。
【0023】
取付枠10は、造営物に取り付けられる、矩形状の枠体である。取付枠10には、取付枠10の表面10cを覆うための化粧カバー20が取り付けられている。取付枠10には、中央部にスイッチ本体2を取り付けるための貫通孔10aが形成されている。表面10cは、Z軸マイナス方向側の面であり、第二面の一例である。
【0024】
また、取付枠10は、樹脂で構成されている。取付枠10は、例えば、ABS(Acrylonitrile/Butadiene/Styrene)、PC(Polycarbonate)、PC/ABS(Polycarbonate/Acrylonitrile/Butadiene/Styrene)等の樹脂、又は、これらを主成分(例えばガラスフィラー入りの樹脂を含む)とする樹脂である。
【0025】
また、取付枠10は、枠本体11と、第一の壁部12とを備えている。
【0026】
枠本体11は、Y軸方向に沿って長尺な略矩形状の板状である。枠本体11は、X-Y平面に対して略平行である。
【0027】
枠本体11は、Y軸方向に沿って延び、X軸プラス方向側に位置する第1側部31と、Y軸方向に沿って延び、X軸マイナス方向側に位置する第2側部32と、X軸方向に沿って延び、Y軸プラス方向側に位置する第3側部33と、X軸方向に沿って延び、Y軸マイナス方向側に位置する第4側部34とを有している。第1側部31、第2側部32、第3側部33及び第4側部34によって貫通孔10aが形成されている。
【0028】
第1側部31は、Z軸方向に沿って見た場合に、スイッチ収容体3の一方側(X軸プラス方向側)に配置され、スイッチ収容体3の前面(Z軸マイナス方向側の面)と当接している。
【0029】
第2側部32は、Z軸方向に沿って見た場合に、スイッチ収容体3の他方側(X軸マイナス方向側)に配置され、スイッチ収容体3の前面と当接している。
【0030】
第3側部33は、第1側部31のY軸プラス方向側の端部と、第2側部32のY軸プラス方向側の端部とに接続されている。第3側部33は、Z軸方向に沿って見た場合に、スイッチ収容体3の一方側(Y軸プラス方向側)に配置され、スイッチ収容体3の前面と当接している。
【0031】
第4側部34は、第1側部31のY軸マイナス方向側の端部と、第2側部32のY軸マイナス方向側の端部とに接続されている。第4側部34は、Z軸方向に沿って見た場合に、スイッチ収容体3の他方側(Y軸マイナス方向側)に配置され、スイッチ収容体3の前面と当接している。
【0032】
また、枠本体11には、第一の孔11aと、スイッチ本体2が配置された貫通孔10aとが形成されている。
【0033】
第一の孔11aは、第3側部33及び第4側部34のそれぞれに形成されているネジ孔である。つまり、第一の孔11aは、貫通孔10aの両側にそれぞれ形成されている。複数の第一の孔11aは、配線器具1がスイッチ収容体3に固定される際に、スイッチ収容体3の締結穴3aと一対一で対応している。複数の第一の孔11aは、締結部材が挿通される孔である。本実施の形態では、第一の孔11aは、第3側部33及び第4側部34のそれぞれに1つずつ形成されている。
【0034】
貫通孔10aは、枠本体11の中央部分に形成され、スイッチ本体2に回動可能に設けられるハンドル4を露出させる開口である。
【0035】
また、枠本体11には、第一の凹部13が形成されている。第一の凹部13は、第一の孔11aと枠本体11の端縁との間に形成されている。具体的には、第一の凹部13は、第一の孔11aの両側にそれぞれ形成され、第一の孔11aと貫通孔10aとの並び方向と直交する方向に沿って並んでいる。言い換えれば、一方の第一の凹部13と、第一の孔11aと、他方の第一の凹部13とが、X軸方向に沿って一列に並んでいる。第一の凹部13は、第3側部33及び第4側部34のそれぞれに形成されている。つまり、第一の凹部13は、貫通孔10aの両側にそれぞれ形成されている。本実施の形態では、第一の凹部13は、第一の孔11aと第3側部33及び第4側部34のX軸プラス方向側の端縁との間、及び、第一の孔11aと第3側部33及び第4側部34のX軸マイナス方向側の端縁との間のそれぞれに形成されている。
【0036】
また、第一の凹部13は、枠本体11の表面10c、又は、裏面10bに形成されている。本実施の形態では、第一の凹部13は、枠本体11の裏面10bに形成されている。裏面10bは、Z軸プラス方向側の面であり、第一面の一例である。
【0037】
また、枠本体11には、第二の凹部14が形成されている。第二の凹部14は、第一の孔11aと貫通孔10aとの並び方向上に配置され、第一の孔11aと枠本体11の端縁との間に形成されている。第二の凹部14は、第3側部33及び第4側部34のそれぞれに形成されている。つまり、第二の凹部14は、貫通孔10aの両側にそれぞれ形成されている。本実施の形態では、第二の凹部14は、第3側部33の第一の孔11aと第3側部33のY軸プラス方向側の端縁との間、第4側部34の第一の孔11aと第4側部34のY軸マイナス方向側の端縁との間にそれぞれ形成されている。
【0038】
また、第二の凹部14は、枠本体11の表面10c、又は、裏面10bに形成されている。本実施の形態では、第二の凹部14は、枠本体11の裏面10bに形成されている。
【0039】
図3は、実施の形態に係る取付枠10の裏面10bを示す平面図である。
【0040】
また、
図3に示すように、第一の凹部13と第二の凹部14とは、第一の孔11aを囲み、かつ、連なるように形成されている。本実施の形態では、第一の凹部13と第二の凹部14とは、繋がっている。具体的には、第一の凹部13は、第一の孔11aの両側に形成され、第二の凹部14は、一方の第一の凹部13と他方の第一の凹部13とを繋いでいる。一対の第一の凹部13と第二の凹部14とをZ軸方向に沿って見た場合、例えば、C文字状、U文字状、V文字状、又は、コの字状となっている。なお、一対の第一の凹部13と第二の凹部14とをZ軸方向に沿って見た場合の形状はあくまでも一例であり、これには限定されない。一対の第一の凹部13と第二の凹部14とをZ軸方向に沿って見た場合の形状は、例えば、円弧状、又は、方形状等であってもよい。
【0041】
第一の孔11aは、一対の第一の凹部13と第二の凹部14とによって、貫通孔10a側を除いて、囲まれている。なお、本実施の形態では、第一の孔11aと貫通孔10aとの間に、第一の凹部13及び第二の凹部14のような凹部が形成されていないが、当該凹部が形成されていてもよい。
【0042】
また、枠本体11は、貫通孔10aを囲む、格子構造状(ラティス状)の格子部16を有している。格子部16は、複数のZ軸方向に貫通した孔(網状)であってもよく、突起状であってもよい。なお、枠本体11は、格子部16を有していなくてもよく、格子部16は、必須の構成要件ではない。なお、
図2の取付枠10では格子部16の図示を省略している。
【0043】
図4は、実施の形態に係る取付枠10の表面10cを示す平面図である。
【0044】
また、
図4に示すように、枠本体11には、第一の壁部12が形成されている側の裏面10bとは反対側の面である表面10cにおいて、第一の孔11aを囲み、かつ、第一の孔11aと一体的に(繋がるように)形成された第三の凹部15が形成されている。第三の凹部15は、貫通孔10aの両側にそれぞれ形成されている。
【0045】
第三の凹部15には、
図2の板バネ等の金属板39が挿入された状態で配置される。
図2の金属板39には、締結部材を挿通可能な挿入孔が形成されている。挿入孔は、第一の孔11aと対応している。
【0046】
図2に示すように、第一の壁部12は、貫通孔10aの周囲の少なくとも一部から、枠本体11の厚み方向(Z軸方向)に突出している。第一の壁部12は、貫通孔10aを形成する開口部から立ち上がるように、Z軸プラス方向に突出している。本実施の形態では、第一の壁部12は、貫通孔10aの全周に渡って、Z軸プラス方向に突出している。つまり、本実施の形態では、第一の壁部12は、第1側部31、第2側部32、第3側部33及び第4側部34に形成されている。
【0047】
図5は、実施の形態に係る取付枠10を示す側面図である。
【0048】
図5に示すように、第一の壁部12の少なくとも一部は、枠本体11から突出する方向に向けて次第に薄くなっている。第一の壁部12の少なくとも一部は、テーパー状である。具体的には、第3側部33及び第4側部34に形成されている第一の壁部12の少なくとも一部は、枠本体11から突出する方向に向けて次第に薄くなる傾斜面12aを有している。本実施の形態では、第3側部33及び第4側部34のそれぞれの第一の壁部12には、X軸プラス方向の端部と、X軸マイナス方向の端部とに傾斜面12aが形成されている。言い換えれば、X軸方向における第一の壁部12の中央部分には、傾斜面12aが形成されていない。
【0049】
第一の壁部12は、スイッチ収容体3に配線器具1が固定された際に、スイッチ収容体3の内部に収容される。このとき、第3側部33及び第4側部34のそれぞれの第一の壁部12の凹部12bには、スイッチ収容体3に形成されている一対の突出部3bが対応するため、第一の壁部12は、スイッチ収容体3と干渉しないように構成されている。つまり、第一の壁部12において、第一の孔11aと対向する第一の壁部12の部分(凹部12b)の厚みは、第一の壁部12の他の部分の厚みよりも薄い。第一の壁部12の他の部分は、第一の壁部12における傾斜面12aの部分であり、言い換えれば、第一の壁部12におけるコーナ側の部分である。
【0050】
スイッチ本体2は、電気的に接続される電線に対して電気的に接続する、又は、遮断するスイッチ装置である。スイッチ本体2は、器具の本体の一例である。
【0051】
例えば、スイッチ本体2は、筐体、一対の端子、鎖錠ばね等で構成されている。筐体は、X軸方向に沿って長尺な直方体状をなし、一対の端子、鎖錠ばね等を収容している。一対の端子のそれぞれは、導電性に優れた金属材料で形成された速結端子である。鎖錠ばねは、電線を端子に押し付けることで、端子と電線とを電気的に接続させる接続状態に変位したり、電線を端子に押し付けることが解除されると、電線を端子から引き抜けるような解除状態に変位したりする。
【0052】
スイッチ本体2のZ軸マイナス方向側の面には、操作部が取り付けられている。また、操作部のZ軸マイナス方向側の面には、ハンドル4が回動自在に配置されている。スイッチ本体2は、例えば、操作部がハンドル4によって押操作されると、一対の端子のうちの一方の端子の可動接点と一対の端子のうちの他方の端子の固定接点とが接触することで、電気的に接続することができる。また、スイッチ本体2は、その後もう一度、操作部がハンドル4によって押操作されると、端子の可動接点と別の端子の固定接点とが離れることで遮断することができる。つまり、ハンドル4の押操作に応じて、スイッチ本体2に内蔵される上述の接点のオン状態及びオフ状態が切り替わることで、照明装置等の機器と商用交流電源等の電源とのオン状態及びオフ状態が切り替えられる。つまり、スイッチ本体2は、ハンドル4の切り替え操作に応じて接点のオン状態及びオフ状態を切り替える開閉装置である。
【0053】
化粧カバー20は、取付枠10の表面10cに取り付けられることで、取付枠10の表面10cを覆う外装カバーである。また、化粧カバー20には、取付枠10の貫通孔10aと対応する孔である貫通孔20aが形成されている。化粧カバー20の貫通孔20aは、化粧カバー20を取付枠10に重ねたときに、取付枠10の貫通孔10aと重なっている。
【0054】
化粧カバー20は、樹脂で構成されている。化粧カバー20は、Y軸方向に沿って長尺な略矩形状の板状をなしている。化粧カバー20は、X-Y平面に対して略平行である。
【0055】
<実験結果>
次に、取付枠10をスイッチ収容体3に締結部材で締結した場合と同様の応力を第一の孔11aに付与したときにおける枠本体11の変化をシミュレーションした実験結果について説明する。
【0056】
図6は、従来の取付枠の第一の孔に応力を付加した場合と、実施の形態の取付枠10の第一の孔11aに応力を付加した場合とにおいて、枠本体11に加わる応力と、枠本体11の変位量とを示す図である。
【0057】
図6のa、bは、従来の取付枠の第一の孔に応力(Z軸プラス方向への応力)を付加した場合において、枠本体に加わる応力(
図6のa)と、枠本体の変位量(
図6のb)とを示す図である。
図6のc、dは、実施の形態の取付枠10の第一の孔11aに応力を付加した場合において、枠本体11に加わる応力(
図6のc)と、枠本体11の変位量(
図6のd)とを示す図である。
【0058】
図6のaに示すように、従来の取付枠では、第一の孔に応力を付加した場合、第一の孔の周辺において、枠本体に加わる応力が大きく広がっていることが判る。これに対し、
図6のcに示すように、本実施の形態の取付枠10では、第一の孔11aに応力を付加した場合、第一の孔11aの周辺において、枠本体11に加わる応力が、
図6のaほど広がっていないことが判る。
【0059】
図6のbに示すように、従来の取付枠では、第一の孔に応力を付加した場合、第一の孔に対してY軸マイナス方向側の端縁では、大きく反り上がっていることが判る。これに対し、
図6のdに示すように、本実施の形態の取付枠10では、第一の孔11aに応力を付加した場合であっても、
図6のbほど反り上がっていないことが判る。具体的には、
図6のbにおける従来の取付枠では、1.143(mm)の反りが発生しているのに対して、
図6のdにおける本実施の形態の取付枠10では、0.491(mm)の反りが発生していることが判った。
【0060】
従来の取付枠では、第一の孔に加えられる応力によって、第一の孔の近くの枠本体の端縁が反り上がるように応力が加えられることで、枠本体の端縁が浮いてしまう。しかしながら、本実施の形態の取付枠10では、第一の孔11aに応力が加えられると、第一の凹部13及び第二の凹部14が形成されている枠本体11の部分において、第一の凹部13及び第二の凹部14の開口面が小さくなるように曲がるため、第一の孔11aの近くの枠本体11の端縁が反り上がるように応力が加えられても、枠本体11の端縁の浮き上がりが抑制されると考えられる。これにより、従来の取付枠に対して本実施の形態の取付枠10の方が浮き上がりを抑制することができている。
【0061】
なお、本実施の形態では、第一の凹部13及び第二の凹部14は、枠本体11の裏面10bに形成されているが、枠本体11の表面10cに形成されている場合も同様の効果を奏すると考えられる。つまり、第一の孔11aに応力が加えられると、第一の凹部13及び第二の凹部14が形成されている枠本体11の部分において、第一の凹部13及び第二の凹部14の開口面が大きくなるように曲がるため、第一の孔11aの近くの枠本体11の端縁が反り上がるように応力が加えられても、枠本体11の端縁の浮き上がりが抑制されると考えられる。
【0062】
<作用効果>
次に、本実施の形態における取付枠10及び配線器具1の作用効果について説明する。
【0063】
上述したように、本実施の形態の取付枠10は、配線器具1の化粧カバー20が取り付けられる取付枠10であって、第一の孔11aと、器具の本体(スイッチ本体2)が配置される貫通孔10aとが形成された枠本体11と、貫通孔10aの周囲の少なくとも一部から、枠本体11の厚み方向に突出する第一の壁部12とを備えている。また、枠本体11には、第一の凹部13が形成されている。そして、第一の凹部13は、第一の孔11aと枠本体11の端縁との間に形成されている。
【0064】
これによれば、第一の孔11aを挿通した締結部材によって、取付枠10が例えばスイッチ収容体3に固定された場合、締結部材の締結力によって、枠本体11には、第一の孔11a周辺が反り上がるように、応力が加わる。特に、
図6のdに示すように、第一の孔11a周辺に設けられている、枠本体11の端部が反ることで、浮き上がろうとする。しかし、第一の孔11aと枠本体11の端縁との間には、第一の凹部13が形成されている枠本体11の部分が、第一の凹部13の開口面が小さくなるように曲がるため、第一の凹部13がその反りを抑制することができる。
【0065】
したがって、この取付枠10では、製造コストの高騰化と、壁からの浮き上がりとを抑制することができる。
【0066】
また、本実施の形態の配線器具1は、取付枠10と、取付枠10の貫通孔10aに設けられるスイッチ本体2と、取付枠10に取り付けられる化粧カバー20とを備えている。
【0067】
この配線器具1においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0068】
また、本実施の形態の取付枠10において、第一の凹部13は、第一の孔11aの両側にそれぞれ形成され、第一の孔11aと貫通孔10aとの並び方向と直交する方向に沿って並んでいる。
【0069】
これによれば、第一の孔11aから一方の第一の凹部13を跨いだ枠本体11の端縁までの反りを抑制することができるとともに、第一の孔11aから他方の第一の凹部13を跨いだ枠本体11の端縁までの反りを抑制することができる。つまり、本実施の形態の取付枠10では、より広範囲の枠本体11の壁からの浮き上がりを抑制することができる。
【0070】
また、本実施の形態の取付枠10において、枠本体11には、第二の凹部14が形成されている。そして、第二の凹部14は、第一の孔11aと貫通孔10aとの並び方向上に配置され、第一の孔11aと枠本体11の端縁との間に形成されている。
【0071】
これによれば、第一の孔11aから第二の凹部14を跨いだ枠本体11の端縁までの反りを緩和することができるとともに、第一の孔11aから第一の凹部13を跨いだ枠本体11の端縁までの反りを緩和することができる。つまり、本実施の形態の取付枠10では、より広範囲の枠本体11の壁からの浮き上がりを抑制することができる。
【0072】
また、本実施の形態の取付枠10において、第一の凹部13と第二の凹部14とは、第一の孔11aを囲み、かつ、連なるように形成されている。
【0073】
これによれば、第一の孔11aから貫通孔10a側を除いた、第一の孔11aから枠本体11の端縁までの間の反りを緩和することができる。つまり、本実施の形態の取付枠10では、より広範囲の枠本体11の壁からの浮き上がりを抑制することができる。
【0074】
また、本実施の形態の取付枠10において、第一の凹部13及び第二の凹部14は、貫通孔10aの両側にそれぞれ形成されている。
【0075】
これによれば、例えば2つの第一の孔11aを挿通した締結部材によって取付枠10がスイッチ収容体3に2か所で締結されても、取付枠10の両側部分における反りを抑制することができる。
【0076】
また、本実施の形態の取付枠10において、第一の壁部12の少なくとも一部は、枠本体11から突出する方向に向けて次第に薄くなっている。
【0077】
これによれば、枠本体11の先端が薄くなるため、その分だけ枠本体11の材料を少なくすることができるとともに、枠本体11を成形し易くなる。
【0078】
また、第一の壁部12の少なくとも一部は、テーパー状となる。このため、例えば取付枠10をスイッチ収容体3に固定する際に、第一の壁部12によって案内されることで取付枠10をスイッチ収容体3に挿入して固定し易くなる。このため、取付枠10をスイッチ収容体3に容易に組み付けることができるようになる。
【0079】
また、本実施の形態の取付枠10の第一の壁部12において、第一の孔11aと対向する第一の壁部12の部分(凹部12b)の厚みは、第一の壁部12の他の部分の厚みよりも薄い。
【0080】
これによれば、取付枠10が例えばスイッチ収容体3に固定する際に、スイッチ収容体3と干渉しないように組み付けることができる。
【0081】
また、本実施の形態の取付枠10において、枠本体11には、第一の壁部12が形成されている側の第一面(裏面10b)とは反対側の面である第二面(表面10c)において、第一の孔11aを囲み、かつ、第一の孔11aと一体的に形成された第三の凹部15が形成されている。
【0082】
これによれば、第三の凹部15に金属板39を配置することができるため、例えば締結部材を用いて取付枠10をスイッチ収容体3に固定する際、締結部材による締結力を広範囲に緩和させることができる。このため、枠本体11の変形をより抑制することができる。
【0083】
また、本実施の形態の取付枠10において、第一の孔11aは、貫通孔10aの両側にそれぞれ形成されている。そして、第三の凹部15は、貫通孔10aの両側にそれぞれ形成されている。
【0084】
これによれば、取付枠10を例えばスイッチ収容体3に強固に固定することができるとともに、貫通孔10aの両側における枠本体11の浮き上がりをより抑制することもできる。
【0085】
また、本実施の形態の取付枠10において、枠本体11は、貫通孔10aを囲む、格子構造状の格子部16を有している。
【0086】
これによれば、取付枠10に用いられる材料の増加を抑制することができることで、取付枠10の製造コストの高騰化を抑制することができる。取付枠10に格子構造状の格子部16があれば、取付枠10において一定の強度を確保することもできる。
【0087】
また、本実施の形態の取付枠10において、取付枠10は、樹脂で構成されている。
【0088】
これによれば、金属を用いる場合に比べて、取付枠10の製造コストの高騰化を抑制することができるとともに、少なくとも第一の凹部13の開口面が小さくなるように曲がるため、第一の凹部13がその反りを抑制することができる。
【0089】
(その他の変形例)
以上、本開示に係る取付枠及び器具について、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲内に含まれてもよい。
【0090】
例えば、上記実施の形態に係る取付枠及び器具において、第一の凹部13は、第一の孔11aの両側にそれぞれ形成され、第一の孔11aと貫通孔10aとの並び方向と直交する方向に沿って並んでいるが、これには限定されない。つまり、第一の凹部13は、第二の凹部14に位置していてもよく、第二の凹部14が第一の凹部13に位置していてもよい。このため、第一の孔11aと枠本体11の端縁との間に凹部が形成されてさえいればよい。
【0091】
なお、上記の各実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
1 配線器具(器具)
2 スイッチ本体(器具の本体)
10 取付枠
10a 貫通孔
10b 裏面(第一面)
10c 表面(第二面)
11 枠本体
11a 第一の孔
12 第一の壁部
13 第一の凹部
14 第二の凹部
15 第三の凹部
16 格子部
20 化粧カバー
39 金属板