(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169189
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】バイオイナート配管
(51)【国際特許分類】
G01N 30/26 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
G01N30/26 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075059
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】柳林 潤
(72)【発明者】
【氏名】保永 研壱
(57)【要約】
【課題】金属チューブの内径公差及び樹脂チューブの外径公差が分析に与える影響の小さいバイオイナート配管を提供する。
【解決手段】内部に流路(2)が設けられ、両端部(8、8)の間に本体部(10)を有するバイオイナート配管(1)であって、前記流路(2)の全長にわたって前記流路(2)の内壁を形成する樹脂チューブ(4)と、少なくとも前記本体部(10)の全長にわたって前記樹脂チューブ(4)の外周を覆うように前記樹脂チューブ(4)を内側に収容する金属チューブ(6)と、を備え、前記金属チューブ(6)が内周側に向けて塑性変形しており、前記樹脂チューブ(4)の外周面と前記金属チューブ(6)の内周面とが液密に接している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置に使用され、内部に流路が設けられ、両端部と、前記両端部の間に設けられた本体部とを有するバイオイナート配管であって、
前記流路の全長にわたって前記流路の内壁を形成する樹脂チューブと、
少なくとも前記本体部の全長にわたって前記樹脂チューブの外周を覆うように前記樹脂チューブを内側に収容する金属チューブと、を備え、
前記金属チューブが内周側に向けて塑性変形しており前記樹脂チューブの外周面と前記金属チューブの内周面とが液密に接している、バイオイナート配管。
【請求項2】
前記本体部において、前記金属チューブの前記流路に対して垂直な断面の外形が多角形に塑性変形している、請求項1に記載のバイオイナート配管。
【請求項3】
前記本体部において、前記金属チューブの前記流路に対して垂直な断面が六角形に塑性変形している、請求項2に記載のバイオイナート配管。
【請求項4】
分析装置に使用され、内部に流路が設けられ、両端部と、前記両端部の間に設けられた本体部を有するバイオイナート配管を製造する方法であって、
樹脂チューブ、及び前記樹脂チューブを挿通可能な程度に前記樹脂チューブの外径よりも大きい内径を有する金属チューブを用意するステップと、
前記用意するステップの後で、前記樹脂チューブを前記金属チューブの内側に挿通するステップと、
前記挿通するステップの後で、前記金属チューブにおいて前記本体部に相当する部分の外周面を加圧することによって、前記金属チューブを内周側に向けて塑性変形させ、前記バイオイナート配管の前記本体部における前記樹脂チューブの外周面と前記金属チューブの内周面とを液密に接触させるステップと、を備えている方法。
【請求項5】
前記接触させるステップにおいては、前記金属チューブにおいて前記本体部に相当する部分の外周面に対して複数の方向から均等に加圧することによって前記金属チューブの前記流路に対して垂直な断面の外形を多角形に塑性変形させ、前記バイオイナート配管の前記本体部における前記樹脂チューブの外周面と前記金属チューブの内周面とを液密に接触させる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記接触させるステップでは、前記金属チューブの外周面に対して複数の方向から同時にローラを押し当てて前記本体部の全長にわたって連続的に前記外周面を加圧する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記接触させるステップでは、V字状の溝を備えた複数のローラを前記金属チューブの外周面に押し当てて加圧する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記接触させるステップでは、V字状の溝を備えた3つのローラを前記金属チューブの外周面に押し当てて加圧することにより、前記金属チューブの前記流路に対して垂直な断面の外形を六角形に塑性変形させる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか一項に記載のバイオイナート配管によって構成要素が流体接続された液体クロマトグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフ等の分析装置の配管として使用されるバイオイナート配管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフ(以下、LC)は、送液ポンプ、インジェクタ、カラム、検出器などの構成要素が配管によって接続されて構成されるが、特に高圧状態で移動相が流れる経路を構成する部分には機械的な強度が必要なため、金属材料が用いられることが一般的である。
【0003】
一方で、サンプル中には、金属と相互作用する成分が含まれていることがある。例えば、タンパク質、ペプチド、核酸といった成分のほか、特定種類の農薬成分は、金属と錯体を形成して強く相互作用する。そのため、そのような成分を含むサンプルが金属に接するとその成分が金属と相互作用して吸着が発生し、クロマトグラムにおける成分ピークがテーリングしたり、検出感度が低下したり、あるいはその成分がまったく検出されなかったりするなど望ましくない効果を引き起こし得る。
【0004】
そのため、インジェクタ、カラム、検出器及び配管の接液部に金属を用いず、樹脂、セラミックなどの低吸着性材料のみで構成することが提案されている。提案の方法によれば、サンプル中の成分は、インジェクタ、カラム、検出器、配管の内部を流れる間に金属と接触しないので、上記のような吸着とそれによる望ましくない効果が発生するリスクを低減できる。
【0005】
上記のようにサンプルとの接液部に金属を存在させないLCシステムは、バイオイナートLCと称される。バイオイナートLCに使用する配管として、樹脂チューブの外側を金属チューブで被覆することによって配管内部でのサンプルの吸着を抑制しつつ機械的強度を向上させたバイオイナート配管が提案されている(特許文献1-5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭62-115175号公報
【特許文献2】US9056264B2
【特許文献3】US2016/116088A1
【特許文献4】US10018604B2
【特許文献5】US9494563B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バイオイナート配管は、一般的には、金属チューブの内側に樹脂チューブを挿通し、両端部において樹脂チューブを金属チューブに対して固定することで形成されている。金属チューブの内側に樹脂チューブを挿通する構造のため、金属チューブの内周面と樹脂チューブの外周面との間には、金属チューブの内径公差と樹脂チューブの外径公差を考慮して、20~50μm程度の隙間が形成されるように設計される。
【0008】
LCでは、移動相の流れる配管内に数十MPa以上の内圧がかかる場合がある。上記のようなバイオイナート配管を使用して高圧条件で分析を行なった場合、樹脂チューブは、金属チューブとの間の隙間がなくなるまで弾性的及び/又は塑性的に変形し、金属チューブとの間の隙間がなくなって金属チューブによって機械的に支持されることで、数十MPa以上の内圧に耐えることができるようになる。
【0009】
しかし、上記のような樹脂チューブの変形は分析に対して望ましくない影響をもたらす。その1つとして、配管内の流路径の拡大による影響が挙げられる。例えば、本来の樹脂チューブの内径が100μmに設計されていた場合、樹脂チューブの内径が20~50μm拡大するとそれだけ流路内径が拡大することになり、サンプルの分離において無視できない悪影響を与える。さらに、内圧による配管内の流路径の拡大幅は、金属チューブの内径公差と樹脂チューブの外径公差によって決まるものであるから配管ごとに個体差が生じる。その結果、LCとしての分離性能に悪影響を与えるだけでなく、装置間再現性も悪化する。
【0010】
また、金属チューブの内周面と樹脂チューブの外周面との間の隙間が大きい場合、内圧による樹脂チューブの塑性変形の度合いが限度を超えて部分的な破断を生じることもあり得る。その場合、移動相及びサンプルが樹脂チューブの外側へ漏出して分析に悪影響が出る。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、金属チューブの内径公差及び樹脂チューブの外径公差が分析に与える影響の小さいバイオイナート配管を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るバイオイナート配管は、分析装置に使用され、内部に流路が設けられ、両端部と、両端部の間に設けられた本体部を有するバイオイナート配管であって、前記流路の全長にわたって前記流路の内壁を形成する樹脂チューブと、少なくとも前記本体部の全長にわたって前記樹脂チューブの外周を覆うように前記樹脂チューブを内側に収容する金属チューブと、を備え、前記金属チューブが、内周側にむけて塑性変形して前記樹脂チューブの外周面と前記金属チューブの内周面とが液密に接している。
【0013】
本発明に係る方法は、分析装置に使用され、内部に流路が設けられ、両端部と、両端部の間に設けられた本体部を有するバイオイナート配管を製造する方法であって、樹脂チューブ、及び前記樹脂チューブを挿通可能な程度に前記樹脂チューブの外径よりも大きい内径を有する金属チューブを用意するステップと、前記用意するステップの後で、前記樹脂チューブを前記金属チューブの内側に挿通するステップと、前記挿通するステップの後で、前記金属チューブにおいて前記本体部に相当する部分の外周面を加圧することによって前記金属チューブを内周側に向けて塑性変形させ、前記バイオイナート配管の前記本体部における前記樹脂チューブの外周面と前記金属チューブの内周面とを液密に接触させるステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るバイオイナート配管によれば、前記金属チューブが、内周側にむけて塑性変形して、それによって樹脂チューブの外周面と前記金属チューブの内周面とが液密に接しているので、金属チューブの内径公差及び樹脂チューブの外径公差が分析に与える影響の小さいバイオイナート配管が提供される。
【0015】
本発明に係る方法によれば、金属チューブの内側に樹脂チューブを挿通した後で、前記金属チューブの外周面を加圧することによって前記金属チューブを塑性変形させ、当該バイオイナート配管の本体部における前記樹脂チューブの外周面と前記金属チューブの内周面とを液密に接触させるので、金属チューブの内径公差及び樹脂チューブの外径公差が分析に与える影響の小さいバイオイナート配管が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】バイオイナート配管の一実施例を示す図であり、(A)は流路に沿った方向における断面図、(B)は(A)のX-X位置における断面図である。
【
図2】同実施例のバイオイナート配管の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】絞り加工に使用するローラの構成の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る分析装置の一例としての液体クロマトグラフは、送液ポンプ、インジェクタ、カラム、および、検出器などの構成要素が、本発明に係るバイオイナートと配管によって接続されて構成されている。以下、図面を参照しながら、本発明に係るバイオイナート配管及びその製造方法について説明する。
【0018】
図1(A)に示されているように、バイオイナート配管1は、移動相を流すための流路2の内壁面が樹脂チューブ4によって形成され、その樹脂チューブ4の外周面が金属チューブ6によって被覆された構造を備える。このバイオイナート配管1は、別の配管等に接続される両端部8と両端部8の間の本体部10を備えている。両端部8及び本体部10は、いずれも、樹脂チューブ4と金属チューブ6との二重構造により形成されている。配管が細いほど屈曲性が良くなり配管の接続作業が容易になるが、両端部8は接続先のポートの大きさに合わせる必要があるために、両端部8における金属チューブ6の外径は本体部10の外径よりも大きくなっている。
【0019】
バイオイナート配管1の両端では、金属チューブ6から突出した樹脂チューブ4が金属チューブ6の端面の形状に沿って流路2の半径方向へ折り曲げられてフランジ部12を形成しており、それによって両端における樹脂チューブ4と金属チューブ6との間の隙間が封止され、かつ、移動相との接液部分に金属が表出しないようになっている。
【0020】
金属チューブ6は、内周側に向けて加圧加工され塑性変形されている。この塑性変形に起因して、樹脂チューブ4の外周面と金属チューブ6の内周面とが液密に接している。好ましい実施形態においては、
図1(B)に示されているように、バイオイナート配管1の本体部10は、流路2に対して垂直な方向における金属チューブ6の断面の外形が多角形(より好ましくは六角形)になるように加圧加工されて内周側に向けて塑性変形されている。樹脂チューブ4は、内部の流路2を移動相が流れていない状態、すなわち、樹脂チューブ4に内圧がかかっていない状態において、樹脂チューブ4の外周面が金属チューブ6によって支持された状態となっており、樹脂チューブ4に数十MPaのような内圧がかかっても樹脂チューブ4が変形して流路2の内径が拡大することが抑制される。なお、この実施例では、本体部10における金属チューブ6の断面の外形が六角形であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、円形や、六角形以外の多角形でもよい。
【0021】
上記のバイオイナート配管1の製造方法の一例について、
図2及び
図3を用いて説明する。
【0022】
まず、円筒状の樹脂チューブ4と樹脂チューブ4よりも流路方向に短い円筒状の金属チューブ6を用意する(
図2:ステップ101、
図3(A))。用意された金属チューブ6は、内側に樹脂チューブ4を挿通することができるように内径が樹脂チューブ4の外形よりも僅かに大きく設計されたものである。
【0023】
金属チューブ6の両端から樹脂チューブ4の両端部が突出するように、金属チューブ6の内側に樹脂チューブ4を挿通する(
図2:ステップ102、
図3(B))。この状態では、樹脂チューブ4の外周面と金属チューブ6の内周面との間には数十μm程度の隙間が存在し、樹脂チューブ4と金属チューブ6は互いに固定されていない。
【0024】
次に、金属チューブ6の絞り加工を行って、本体部10における樹脂チューブ4の外周面と金属チューブ6の内周面とを液密に接触させる。具体的には、複数のローラ14を使用して、樹脂チューブ4の外周面と金属チューブ6の内周面との間の隙間を圧し潰すように、本体部10における金属チューブ6の外周面を周方向から均一に加圧して金属チューブ6を塑性変形させ、断面の外形を六角形にする(
図2:ステップ103、
図3(C))。
図3(c)では端部も含めて塑性変形させているが,本体部のみの塑性変形でも十分な効果が得られる。
【0025】
その後、金属チューブ6の両端から突出した樹脂チューブ4に熱を加えて金属チューブ6の端面に沿って変形させることで、樹脂チューブ4の両端にフランジ部12からなる封止構造を形成する(
図2:ステップ104、
図3(D)。
【0026】
金属チューブ6の絞り加工は、
図4に示されているように、ローラ面にV字状の溝が設けられた3つのローラ14-1~14-3を互いに120度の角度をなす3方向から金属チューブ6の外周面に対して均等に押し当てることによって行なうことができる。なお、これは一例であり、本体部10における金属チューブ6の外周面を均一に加圧して外径形状を多角形にすることができるものであれば、どのような方法であってもよい。
【0027】
本発明者らは、円弧状のローラ面を有する複数のローラを金属チューブ6に押し当てる方法等、種々の絞り加工の方法を試した結果、断面が多角形になるように加工することで、安定した加工精度が得られるとの知見が得られた。金属チューブ6の断面の外形形状を円形に保ったままで外径を絞るように加工しようとすると不定箇所で座屈変形が生じることがあった。これに対し、金属チューブ6の断面の外形が複数の頂点を有する多角形となるように加工すると、金属チューブ6の座屈が複数の頂点部分に分散し、不定箇所での座屈変形が抑制される。特に、
図4のように金属チューブ6の断面の外形形状が正六角形になるように加工することで、そのような不定箇所での座屈変形が起こりにくいとの知見が得られている。
【0028】
上記のバイオイナート配管1は、液体クロマトグラフの各構成要素の間を接続する配管として使用することができる。液体クロマトグラフの配管としてバイオイナート配管1を使用することで、サンプル中の成分が配管の内壁面に吸着することを防止しつつ、分析中の内圧による流路の内径の拡大を抑制することができる。
【0029】
以上において説明した実施例は、本発明に係るバイオイナート配管及びその製造方法の実施形態の一例にすぎず、本発明に係るバイオイナート配管及びその製造方法の実施形態は以下のとおりである。
【0030】
本発明に係るバイオイナート配管の一実施形態では、分析装置に使用され、内部に流路(2)が設けられ、両端部(8、8)と、両端部(8、8)の間に設けられた本体部(10)を有するバイオイナート配管(1)であって、前記流路(2)の全長にわたって前記流路(2)の内壁を形成する樹脂チューブ(4)と、少なくとも前記本体部(10)の全長にわたって前記樹脂チューブ(4)の外周を覆うように前記樹脂チューブ(4)を内側に収容する金属チューブ(6)と、を備え、前記金属チューブ(6)が内周側に向けてして前記樹脂チューブ(4)の外周面と前記金属チューブ(6)の内周面とが液密に接している。樹脂チューブ(4)は、内部の流路(2)を流体が流れていない状態、すなわち、樹脂チューブ(4)に内圧がかかっていない状態において、樹脂チューブ(4)の外周面が金属チューブ(6)によって接触して支持された状態となっている。したがって、分析装置の分析時に、樹脂チューブ(4)に流体が流れて内圧がかかったとしても、樹脂チューブ(4)が変形して流路(2)の内径が拡大することが抑制される。その結果、分析装置における分析性能が低下することや、樹脂チューブ(4)の破断を防止することができる。
【0031】
上記一実施形態の具体的態様では、前記金属チューブが、前記本体部において、前記金属チューブの前記流路に対して垂直な断面の外形が多角形に塑性変形している。金属チューブ(6)の断面の外形が複数の頂点を有する多角形となるように加工することにより、金属チューブ(6)の座屈が複数の頂点部分に分散し、不定箇所での座屈変形が抑制されるという付随的効果が得られる。
【0032】
上記一実施形態の具体的態様では前記金属チューブが、前記本体部において、前記金属チューブの前記流路に対して垂直な断面の外形が六角形に塑性変形している。このような態様により、バイオイナート配管の製造の歩留まりを向上させることができる。
【0033】
本発明に係る方法の一実施形態では、分析装置に使用され、内部に流路が設けられ、両端部と、前記両端部の間に設けられた本体部を有するバイオイナート配管を製造する方法であって、樹脂チューブ、及び前記樹脂チューブを挿通可能な程度に前記樹脂チューブの外径よりも大きい内径を有する金属チューブを用意するステップと、前記用意するステップの後で、前記樹脂チューブを前記金属チューブの内側に挿通するステップと、前記挿通するステップの後で、前記金属チューブにおいて前記本体部に相当する部分の外周面を加圧することによって、前記金属チューブを内周側に向けて塑性変形させ、前記バイオイナート配管の前記本体部における前記樹脂チューブの外周面と前記金属チューブの内周面とを液密に接触させるステップと、を備えている。
【0034】
上記方法の一実施形態の第1態様では、前記接触させるステップにおいて、前記金属チューブにおいて前記本体部に相当する部分の外周面に対して複数の方向から均等に加圧することによって前記金属チューブの前記流路に対して垂直な断面の外形を多角形に塑性変形させ、前記バイオイナート配管の前記本体部における前記樹脂チューブの外周面と前記金属チューブの内周面とを液密に接触させる。
【0035】
上記方法の一実施形態の第2態様では、前記接触させるステップにおいて、前記金属チューブ(6)の外周面に対して複数の方向から同時にローラ(14)を押し当てて前記本体部(10)の全長にわたって連続的に前記外周面を加圧する。
【0036】
上記2態様のさらに具体的な態様として、前記接触させるステップにおいて、V字状の溝を備えた複数のローラ(14)を前記金属チューブ(6)の外周面に押し当てて加圧することが挙げられる。このような態様により、金属チューブの流路に対して垂直な断面における外径を容易に多角形に加工することができる。
【0037】
上記の場合、前記接触させるステップでは、V字状の溝を備えた3つのローラ(14-1~14-3)を前記金属チューブ(6)の外周面に押し当てて加圧することにより、前記金属チューブ(6)の前記流路に対して垂直な断面の外形を六角形に塑性変形させることができる。これにより、前記接触させるステップにおいて、金属チューブの不定箇所で座屈変形が発生することを効果的に抑制することができ、バイオイナート配管の製造の歩留まりが向上する。
【符号の説明】
【0038】
1 バイオイナート配管
2 流路
4 樹脂チューブ
6 金属チューブ
8 両端部
10 本体部
12 フランジ部
14、14-1~14-3 ローラ