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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016922
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】草刈装置
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20220118BHJP
   A01D 34/64 20060101ALI20220118BHJP
   A01D 34/81 20060101ALI20220118BHJP
   A01D 34/835 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
A01B69/00 303J
A01D34/64 Z
A01B69/00 303G
A01D34/81
A01D34/835
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020119920
(22)【出願日】2020-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【弁理士】
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100102015
【弁理士】
【氏名又は名称】大澤 健一
(72)【発明者】
【氏名】中村 太秋
(72)【発明者】
【氏名】田中 健
【テーマコード(参考)】
2B043
2B083
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043BA02
2B043BB01
2B043BB11
2B043DC03
2B043EB07
2B043EB09
2B043EB13
2B043EC02
2B043EC14
2B043EC20
2B043ED12
2B083AA02
2B083BA12
2B083BA20
2B083CA09
2B083CA28
2B083GA01
2B083GA06
2B083HA02
2B083HA52
(57)【要約】
【課題】
障害物を検知する手段を簡易な構成としながら、障害物を検知する位置によらず障害物を確実に検出することができる草刈装置を提供する。
【解決手段】
水平移動可能な作業部24と、前記作業部24に近接して設けるともに前記作業部24の側方に突出するように位置させ、側部が障害物に接触することによって、障害物を検知することが可能な検知部5と、を備え、前記検知部5は、水平回動可能に設けた複数のセンサアーム51からなり、前記センサアーム51は、複数のセンサアーム51中の一のセンサアーム51である第1センサアーム511の一端部を、複数のセンサアーム51中の他のセンサアーム51である第2センサアーム512の中間部に連結するための連結部55と、を備えたことを特徴とする作業機A。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平移動可能な作業部と、
前記作業部に近接して設けるとともに前記作業部の側方に突出するように位置させ、側部が障害物に接触することによって、障害物を検知することが可能な検知部と、を備え、
前記検知部は、水平回動可能に設けた複数のセンサアームからなり、
前記センサアームは、複数のセンサアーム中の一のセンサアームの一端部を、複数のセンサアーム中の他のセンサアームの中間部に連結するための連結部、
を備えたことを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記連結部は、一のセンサアームである第1センサアームに形成した摺動部と、
該摺動部に対して摺動可能で、前記摺動部に向けて突出させるように他のセンサアームである第2センサアームに設けたピンと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記検知部は、前記センサアームを、前記作業部の外側の側方に向けて付勢する付勢体と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機。
【請求項4】
前記センサアームは、前記作業部に沿って湾曲するように形成した湾曲部と、を備え、
前記湾曲部の外側の側面は、前記検知部が検知状態の平面視において、前記作業部の側面の外周縁に大略一致するように位置する、または、前記作業部の側面の外周縁より内側に位置する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の作業機。
【請求項5】
前記検知部は、前記センサアームが回動したか否かの信号を発することが可能なスイッチと、
前記センサアームに接続し、前記スイッチに当接可能な当接片と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の作業機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、草刈装置に係る。
【背景技術】
【0002】
草刈装置は、道路の路肩の植物を、路肩に存在する支柱等の障害物の周囲を刈る装置であり、特許文献1によって知られている。この装置は、旋回装置が草刈装置のついた2本の支えアームを互いに独立して制御し、障害物に衝突、あるいはその周囲部分を旋回させることにより、障害物の周囲を刈るものである。
詳細には、作業車により近い内側の草刈装置の中心が、障害物に達すると、内側の支えアームが旋回する。外側の草刈装置は、探査棒の発する信号によって旋回するとされている。また、探知棒は、内側の草刈装置の中心を軸にして回動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開1709857号公報
【特許文献2】特開2002―315417号公報
【特許文献3】特開2019―187386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の実施形態で採用されている探査棒を用いて、単純な回動の有無のみを検知するスイッチを用いた構成とした場合、構造が単純である。しかし、信号を発するまでの回動角度は一定であるため、障害物が探査棒の先端接触した場合と、探知棒の中間位置に接触した場合では、障害物の草刈装置に対する相対的な移動距離が異なることから、信号を発するまでに差が生じる問題がある。
また、ボリュームスイッチ等を用いて、探査棒の回動そのものを検知する構成とした場合、制御装置の構成が複雑となる問題がある。
【0005】
検知部の従来例として、特許文献2(特開2002―315417)が知られている。特許文献2のような検知部である接触センサ27は、水平軸である軸ピン272によって回動可能にしている。
しかし、この形態では、直線状にしか配置できないため、仮に、作業部であるカッターユニット2の周囲が湾曲状に構成されていて、この周囲すべてに接触センサ27を配置する場合、複数個の接触センサ27を個別に配置する必要があり、構造が複雑化したり、各接触センサ27の連結部に段差や隙間が生じたりする。これに、障害物が水平方向に摺動すると、段差や隙間に障害物が挟まり、作業に支障をきたす虞がある。
【0006】
本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、障害物を検知する手段を簡易な構成としながらも、障害物を検知する位置によらず障害物を確実に検出することができる草刈装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、
水平移動可能な作業部と、
前記作業部に近接して設けるとともに前記作業部の側方に突出するように位置させ、側部が障害物に接触することによって、障害物を検知することが可能な検知部と、を備え、
前記検知部は、水平回動可能に設けた複数のセンサアームからなり、
前記センサアームは、複数のセンサアーム中の一のセンサアームの一端部を、複数のセンサアーム中の他のセンサアームの中間部に連結するための連結部、
を備えたことを特徴とする作業機、
に係る。
【0008】
この発明は、更に、
前記連結部は、一のセンサアームである第1センサアームに形成した摺動部と、
該摺動部に対して摺動可能で、前記摺動部に向けて突出させるように他のセンサアームである第2センサアームに設けたピンと、
を備えたことを特徴とする作業機、
に係る。
【0009】
この発明は、更に、
前記検知部は、前記センサアームを、前記作業部の外側の側方に向けて付勢する付勢体と、
を備えたことを特徴とする作業機、
に係る。
【0010】
この発明は、更に、
前記センサアームは、前記作業部に沿って湾曲するように形成した湾曲部と、を備え、
前記湾曲部の外側の側面は、前記検知部が検知状態の平面視において、前記作業部の側面の外周縁に大略一致するように位置する、または、前記作業部の側面の外周縁より内側に位置する、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【0011】
この発明は、更に、
前記検知部は、前記センサアームが回動したか否かの信号を発することが可能なスイッチと、
前記センサアームに接続し、前記スイッチに当接可能な当接片と、
を備えたことを特徴とする作業機、
に係る。
【発明の効果】
【0012】
障害物を検知する手段を簡易な構成としながらも、障害物を検知する位置によらず障害物を確実に検出することができる草刈装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の実施例に係る草刈装置の平面図であって図中左が前、図中右が後ろ、図中上が右、図中下が左である。
図2】この発明の実施例に係る草刈装置の側面図であって図中左が前、図中右が後ろである。
図3】この発明の実施例に係る草刈装置の底面図であって、図中左が前、図中右が後ろ、図中上が左、図中下が右である。
図4】この発明の実施例に係る草刈装置の当接片及びスイッチを表した拡大底面図である。
図5】この発明の実施例に係る仮刃部及び検知部を模式的に表した説明図であって、平面図である図1D-E―F-G断面図であって図中左が右、図中右が左である。
図6】この発明の実施例に係る草刈装置の、検知部が検知状態である平面図であって、図中左が前、図中右が後ろ、図中上が右、図中下が左である。
図7】この発明の実施例に係る草刈装置の、検知部が検知状態である底面図であって、図中左が前、図中右が後ろ、図中上が左、図中下が右である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
Aは、作業機としての草刈装置である。草刈装置Aは、1又は複数の草刈装置取付け用アームにより、トラクタ等からなる走行機体に取り付けられる。
【0015】
草刈装置Aにおいて、11は基部材、21は第1アーム、31は第2アームである。
基部材11は、草刈装置Aに設ける。第1アーム21、第2アーム31は、それぞれ基部材11に設ける。
第1アーム21、第2アーム31は、それぞれ略板状体からなる。12は、旋回軸である。旋回軸12は、基部材11に設けた鉛直方向の軸からなる。
【0016】
第1アーム21、第2アーム31は、図2図5に図示するように、積層して、基部材11に取り付けた旋回軸12を軸として水平方向に旋回可能に基部材11に取り付ける。
25、36は、モータ基部である。モータ基部25は、第1アーム21の裏面に取り付ける。モータ基部36は、第2アーム31の裏面に取り付ける。
【0017】
第1アーム21及び第2アーム31は、複数の部材である、草刈装置取付け用アームを介してトラクタ等からなる走行機体に装着し、草刈装置Aは走行機体の前方又は後方又は側方に位置して作業する。
草刈装置Aは、複数の草刈装置取付け用アームを介して走行機体の側方に位置させて装着する場合、あるいは、走行機体の左右に移動可能な草刈装置取付け用アームを介して走行機体の後方及び側方に位置させて装着する場合、あるいは、左右に移動可能な草刈装置取付け用アームを介して走行機体の後方及び側方に位置させて装着する場合の選択が可能である。
草刈装置Aは、草刈装置取付け用アームにより進行方向に向けられる。
【0018】
13は、ローラである。ローラ13は、基部材11に設けた第1アーム21及び第2アーム31の後方の基部材11に、回転軸を進行方向と直交する向きで水平に設ける。ローラ13は、第1アーム21及び第2アーム31に取り付ける刈刃の高さを一定に保つ。
14は、動作手段である。動作手段14は、この実施例では油圧シリンダからなる。動作手段14は、基部材11中央部に取り付ける。141は、動作手段14先端に設けるロッドである。ロッド141は、油圧シリンダにより伸縮する。動作手段14は、第1アーム21を旋回駆動する。
【0019】
15は、第1リンク部材である。16は、第2リンク部材である。
第1リンク部材15は、円弧状からなり、一端は動作手段14の先端に取り付け、他端は、第1アーム21の旋回軸12付近に取り付ける。
第2リンク部材16は、第1リンク部材15より半径の小さい円弧状からなる。第2リンク部材16の一端は、第1リンク部材15の中間部に取り付け、他端は、第1アーム21に取り付ける。
第1リンク部材15、第2リンク部材16は、基部材11、第1アーム21、動作手段14をそれぞれ連結し、動作手段14の動作を第1アーム21に伝動する。
【0020】
動作手段14のロッド141を伸長することで、第1リンク部材15および第2リンク部材16を介して第1アーム21が旋回する。
第1リンク部材15、第2リンク部材16に連結するため、第1アーム21の旋回駆動に連動させて、第2アーム31も旋回する。第1アーム21が後方に向けて回転すると、第2アーム31も連動して後方に向けて旋回する。
22は、旋回規制手段ガイドである。旋回規制手段ガイド22は、第1アーム21に設ける。旋回規制手段ガイド22は、旋回軸12を中心とする円弧状からなる。
【0021】
23は、当接部である。当接部23は、第1アーム21の旋回軸12と作業部である第1刈刃部24との間に設ける。当接部23は、旋回軸12と第1アーム21の先端側の作業部である第1刈刃部24を結んだ図1に図示する線分FGより後方側に位置して障害物Wを受け止めるように、凹状に設ける。
【0022】
24は、第1刈刃部である。第1刈刃部24は、刈刃あるいは刈刃部あるいは作業部である。第1刈刃部24は、第1アーム21の下部に取り付ける。第1アーム21は、1つ以上の刈刃部を下部に有する。
第1アーム21、第2アーム31は、旋回軸12を軸として水平方向に旋回可能に基部材11に取り付ける。そのため、第1刈刃部24は、水平移動可能である。
【0023】
第1アーム21には、第1アームの先端部から第2アーム31側に沿った辺の下面に設け、当接部23と連続する第1アーム案内部を設けてもよい。第1アーム案内部は、障害物Wと接触するため、第1アーム21の辺を補強する。
第1アーム案内部は、進行方向に対して後方で第2アーム31側に傾斜させて障害物Wを当接部23に誘導するため、障害物Wを案内するような円弧状あるいは曲線形状からなる。
【0024】
第2アーム31は、1つ以上の刈刃部を下部に有する。この実施例では、第2刈刃部34、第3刈刃部35を第2アーム31下部に有する。第2刈刃部34は、第2アーム31の旋回軸12近くに設ける。第3刈刃部35は、第2アーム31の先端近くに設ける。
第2刈刃部34、第3刈刃部35は、それぞれ刈刃あるいは刈刃部あるいは作業部である。
第1アーム21、第2アーム31は、旋回軸12を軸として水平方向に旋回可能に基部材11に取り付ける。そのため、第2刈刃部34、第3刈刃部35は、水平移動可能である。第1アーム21と第2アーム31の、それぞれ対向する内側で障害物Wを挟みながら、第1刈刃部24及び第2刈刃部34及び第3刈刃部35によって、障害物Wの全周囲の草を刈る。
【0025】
32は、旋回規制突起である。旋回規制突起32は、第2アーム31表面から突設して設ける。旋回規制突起32は、第1アーム21に設けた旋回規制手段である旋回規制手段ガイド22に、嵌め込み、第1アーム21及び第2アーム31の作動を規制する。旋回規制手段ガイド22と旋回規制突起32で、旋回規制手段を構成する。
【0026】
油圧シリンダにより伸縮する動作手段14のロッド141による作動は、旋回規制突起32が旋回規制手段ガイド22内で移動可能な範囲に、第1アーム21及び前記第2アーム31の作動を規制する。
旋回軸12および第1アーム21の端部側の作業部である第1刈刃部24を結んだ図1に図示する線分FG、旋回軸12および第2アーム31の端部側の作業部である第3刈刃部35を結んだ図1に図示する線分で挟まれた角度Θは鋭角である。角度は30乃至70度が望ましい。より好適な角度は50乃至60度が望ましい。
第1アーム21と第2アーム31との開口角度は鋭角であるので、草刈装置Aの作業域が不必要に広がることがなく、円滑に草刈作業を行うことができる。
【0027】
第2アーム31には、第2アーム案内部を設けてもよい。第2アーム案内部は、第2アーム31の先端部から第1アーム21側に沿った辺の下面に設ける。障害物Wと接触するため、辺を補強している。第2アーム案内部は、第1アーム21側に設けられた第1アーム案内部に対向させて設ける。
第2アーム案内部は、進行方向に対して後方で前記第1アーム21側に傾斜させて障害物Wを当接部23に誘導する。
第1アーム21と第2アーム31は取り付け端である旋回軸12で重ねて取り付けている。そのため、第1アーム21に取り付けた第1アーム案内部と、第2アームに取り付けた第2アーム案内部は、上下に配置させている。
【0028】
241、341、351は、それぞれ刈刃である。刈刃241は第1刈刃部24の回転軸に、刈刃341は第2刈刃部34の回転軸に、刈刃351は第3刈刃部35の回転軸にそれぞれに等間隔に4個ずつ設ける。
図1及び図2に図示するように、進行方向から見た第1刈刃部24、第2刈刃部34、第3刈刃部35に設けたそれぞれの刈刃241、刈刃341、刈刃351の回転径は互いに重合していて水平方向に回転する。
【0029】
242、342、352は、油圧モータである。油圧モータ242は、第1アーム21の裏面に取り付けたモータ基部25に、第1刈刃部24の中心に取り付ける。
油圧モータ342及び油圧モータ352は、第2アーム31の裏面に取り付けたモータ基部36に、第2刈刃部34、第3刈刃部35の中心にそれぞれに設ける。
油圧モータ242、油圧モータ342、油圧モータ352は、第1刈刃部24、第2刈刃部34、第3刈刃部35にそれぞれに設けた、刈刃241、刈刃341、刈刃351を回転する。
【0030】
41は、弾性体である。弾性体41は、図1図3に図示するように、両端を第1アーム21及び第2アーム31に取り付ける。弾性体41は、第2アーム31を第1アーム21に寄せる方向に付勢している。弾性体41により、第1アーム21及び前記第2アーム31を、常に近づけようとする。
弾性体41はオイルダンパー、スプリングダンパー、エアダンパーからなる。411は弾性体シリンダである。弾性体シリンダ411は、弾性体41を常時伸長する方向に付勢されている。
弾性体41は、第2アーム31を第1アーム21と連動するための作用を有する。弾性体41は回動軸12の後方側に配置する。
【0031】
5は検知部である。検知部5は、作業部である第1刈刃部24に近接して設けるともに、図1以下に図示するように、作業部である第1刈刃部24の側方に突出するように位置させ、側部が障害物Wに接触することによって、障害物を検知することが可能である。
51は、センサアームである。センサアーム51は、検知部5に設ける。センサアーム51は、接触センサであって、第1アーム21の前方外周に沿って設ける。
【0032】
センサアーム51は、第1センサアーム511と、第2センサアーム512とからなる。検知部5を構成する第1センサアーム511と、第2センサアーム512は、水平回動可能に設ける。
図1図3図6図7に図示するように、第1センサアーム511は、一端は第1アーム21の進行方向左側である外側に取り付ける。第2センサアーム512は、一端は第1センサアームの第1アームへの取り付端より第1アーム21の障害物Wが通過する側である内側に取り付ける。第1センサアーム511と、第2センサアーム512は、一部重複して設置する。第1センサアーム511は、進行方向左側である外側端部に設けた回動支点軸511aで、第2センサアーム512は進行方向左側である外側端部に設けた回動支点軸512aによって、それぞれ水平方向に回動自在である。
図1に示すように、非検知状態のセンサアーム51である第1センサアーム511、第2センサアーム512は、平面視において、作業部である第1刈刃部24から外側に突出した状態である。
【0033】
検知部5のセンサアーム51を、第1センサアーム511、第2センサアーム512の複数で構成することによって、第1センサアーム511の回動支点軸511aから離れた先端部と作業部である第1刈刃部24との離間距離を一定以内に保ちながら、検出精度を向上させることができる。
センサアーム51の先端部は、作業部である第1刈刃部24と一定の距離以内に保てるので、作業部である第1刈刃部24から一定の距離内で障害物を検知することができる。
【0034】
52は、スイッチである。スイッチ52は、当接片53に接触可能に検知部5に設ける。
53は、当接片である。検知部5は、センサアーム51に接続し、前記スイッチ52に当接可能な当接片53を備える。当接片53は、所謂カム片からなる。当接片53は、図4に図示するように、第1センサアーム511に設ける第1センサアームの回動支点軸511aに、自由端が回動自在に一端を取り付ける。
当接片53は周縁の形状を変更すれば、スイッチ52が発する信号の発信時期を変更することができる。
【0035】
54は、付勢体である。検知部5に設ける付勢体54は、センサアーム51を、作業部である第1刈刃部24の外側の側方に向けて付勢する。
スイッチ52は当接片53に接触することで、センサアーム51が回動したか否かの信号を発することが可能である。
【0036】
55は、連結部である。連結部55は、摺動部551と、ピン552とからなる。摺動部551は、一方のセンサアームである第1センサアーム511に長孔状に形成する。
連結部55は、センサアーム51である第1センサアーム511の一端部を、第2センサアーム512の中間部に連結する。連結部55によって、第1センサアーム511の一端部と、第2センサアーム512の中間部を連結する。
ピン552は、摺動部551に向けて突出させるように他方のセンサアームである第2センサアーム512に設け、摺動部551に嵌合する。ピン552は、摺動部551に設けた長孔の範囲で、摺動部551に対して摺動可能である。
【0037】
摺動部551は長孔状であり、第1センサアーム511に設ける。摺動部551は長径方向に向かうにつれて、第1センサアーム511の回動支点軸511aから遠くなるように設ける。他のセンサアームである第2センサアーム512に設けたピン552は、摺動部551の長孔内周を摺動することによって、互いのセンサアーム511、512の回動を連動させることができる。なお、摺動部551の形状や、摺動部551及びピン552の位置は、検知感度や作業部である第1刈刃部24の形状等を勘案し、自由に設定ができる。
【0038】
56は、湾曲部である。湾曲部56は、作業部である第1刈刃部24に沿って湾曲するように、センサアーム51に形成する。
湾曲部56の外側の側面は、前記検知部5が検知状態の平面視において、作業部である第1刈刃部24の側面の外周縁に大略一致するように位置するように設ける。または、作業部である第1刈刃部24の側面の外周縁より内側に位置するように設ける。
【0039】
平面視における、第1アーム21の先端部は第1刈刃部24を覆うように設けているため、第1刈刃部24は第1アーム21から突出することがなく、障害物Wに第1刈刃部24が接触することがない。実施例の場合、第1アーム21の先端部は円弧状に湾曲しているので、第1アーム21の外周縁が障害物Wに接触しながら回動することで、障害物Wをスムーズに当接部へ案内できる。
【0040】
障害物Wがセンサアーム51に接触且つ押圧した検知状態のとき、第1アーム21の外周縁と一致あるいは業部である第1刈刃部24の側面の外周縁より内側に位置する。すなわち、第1刈刃部24が障害物Wに可能な限り接近した位置で作業をすることができる。また、障害物Wが作業部である第1刈刃部24の側方を通過する場合において、検知状態のセンサアーム51が作業部から側方に突出しないので、作業部の障害物Wへの可及的な接近を阻害しない。したがって、センサアーム51が邪魔をすることなく、障害物Wの周囲に生える草を障害物Wに可能な限り近接させて刈ることができる。
実施例において、障害物Wが作業部である第1刈刃部24の側方を通過するときに、障害物Wへ接触するのは第1アーム21のみ、あるいは、第1アーム21及びセンサアーム51である。このため、障害物Wを、第1アーム21の外周に沿って、当接部23に案内できる。
【0041】
水平回動するセンサアーム51に湾曲部56を備えているので、センサアーム51が取り付けられている第1アーム21の外周縁が湾曲した状態でも、この湾曲に沿ってセンサアーム51を配置できる。また、検知状態の平面視において、作業部である第1刈刃部24の端縁にほぼ一致するように配置させることができるので、センサアーム51が作業部である第1刈刃部24から障害物方向に突出することがなく、センサアーム51及び障害物に過大な押圧力が加わることを防止できる。複数のセンサアームで構成したセンサアーム51の回動支点から離れた先端において、1つのセンサアームのみで構成したときに比べ、大きく外側に突出することがないので、設置する場所が小さくて済む。スペースを有効的に活用でき、適正な部品配置をすることができる。
【0042】
図1に図示するR1は、第1センサアーム511の回動支点軸511aを回動中心として第1センサアーム511が回動する可動範囲の最外側のときの、摺動部551(51)の移動可能範囲で摺動するピン552(55)の回動支点軸511aからの距離を示す。この時のピン552は、摺動部551の回動支点軸512aに対する最内側に位置し、第2センサアーム512は回動する可動範囲の最外側となる。
R2は、第1センサアーム511の回動支点軸511aを回動中心として第1センサアーム511の回動範囲の最内側のときの、摺動部551(51)の移動可能範囲で摺動するピン552(55)の回動支点軸511aからの距離を示す。この時のピン552は、摺動部551の回動支点軸512aに対する最外側に位置し、第2センサアーム512は、回動する可動範囲の最内側となる。
第1センサアーム511は、回動支点軸511aを回動中心としてR1およびR2の範囲で回動する。第2センサアーム512は、回動支点軸512aを回動中心として、摺動部551(51)をピン552(55)が移動可能範囲内であるR1およびR2の範囲で回動する。第1センサアーム511と第2センサアーム512は、摺動部551(51)及びピン552(55)を介して、互いに連動しながら回動する。
【0043】
センサアーム51に障害物Wが接触すると、センサアーム51が後方に回動する。すると、センサアーム51後方に設置しているスイッチ52は、当接片53を介して押され、スイッチオン状態とする。
センサアーム51は、この実施例では、第1アーム21の前方外周に沿って設けたが、第2アーム31の前方外周に沿うように併せて設けて、同様の作用を行っても良い。
【0044】
検知部5のセンサアーム51は、第1センサアーム511、第2センサアーム512の複数で構成する。しかし、互いのセンサアーム51である第1センサアーム511、第2センサアーム512は連結構造を取っているため、信号を発するスイッチ52は1個のみの配置で済む。そのため、信号を送る配線や回路、及び、この信号を処理する制御部の内部プログラムを簡素化できる。
また、複数のセンサアーム51の連結により、センサアームの先端部の回動に係る移動距離が短縮できる。障害物Wが接触・押圧して各センサアーム51が回動した場合に、各回動支点部511a,512aから障害物Wが押圧した位置までの距離の差によって生じるスイッチ52の検出精度のばらつきを、可能な限り小さくでき、障害物Wの検出の確実性を向上させる。
【0045】
第1センサアーム511の回動は、連結部55を介することによって、他のセンサアームである第2センサアーム512に連動して伝達され、他のセンサアームである第2センサアーム512も同様に同方向に回動する。また、他のセンサアームである第2センサアーム512に障害物Wが押圧して第2センサアーム512が回動する場合は、連結部55を介することによって、他のセンサアームである第2センサアーム512の回動が第1センサアーム511に伝達され、第1センサアーム511も同様に同方向に回動し、スイッチ52を作動させる。
各センサアーム51(第1センサアーム511、第2センサアーム512)の回動は水平方向に回動し、且つ、水平方向に互いの一部を重複させながら重ねて複数配置している。センサアーム51(第1センサアーム511、第2センサアーム512)同士の水平方向の隙間や段差がなくなるため、障害物Wが挟まったり、引っ掛かったりすることがない。
本願発明は、センサアーム51に対し、障害物Wが水平方向に摺動しながら作業をするため、この点は重要である。
【0046】
スイッチ52がオン状態をとると、動作手段14の油圧制御バルブの電磁弁を作動させて動作手段14のロッド141を伸長させる。スイッチ52がオフ状態をとると、動作手段14の油圧制御バルブの電磁弁を作動させて動作手段14のロッド141を縮小させる。このようなロッド141の作動の制御に、センサアーム51を使用する。
動作手段14のロッド141の伸縮によって、第1アーム21ひいては第2アーム31を障害物Wの周囲で回転動作させて、障害物Wへのアーム衝突による損傷を防ぐ。
センサアーム51は障害物Wに対して装置側が能動的に旋回する為の感知機構となる。
【0047】
草刈装置Aの作動を説明する。図1乃至図7に図示するように、草刈装置Aは、走行機体に押されあるいは引っ張られて駆動され草刈りをする。作業中には、障害物Wが存在する場合がある。
弾性体41は、第2アーム31を第1アーム21に寄せる方向に付勢しているため、第1アーム21と第2アーム31とは近接され、両者間は閉鎖されている。
旋回規制突起32は、旋回規制手段ガイド22に沿って進行方向側に移動しており、旋回規制手段ガイド22の進行方向側端部まで、移動して、旋回規制突起32と旋回規制手段ガイド22は係止している。
第1アーム21と第2アーム31との開口角度は鋭角となるので、草刈装置Aの作業域が不必要に広がることがなく、円滑に草刈作業を行うことができる。
【0048】
通常の草刈作業状態では、第2アーム31を第1アーム21に寄せる方向に付勢する弾性体41は伸びている。このとき、動作手段14のロッド141は、縮状態を取っている。
センサアーム51(第1センサアーム511、第2センサアーム512)は、障害物Wに接触しておらず、障害物Wを感知していない。
第1アーム21、第2アーム31、センサアーム51は、このような状態をとって、走行機体は、草刈装置Aを移動する。
【0049】
草刈装置Aは、進行中に障害物Wがあると、図1図3図6図7に図示するように障害物Wが第1アーム21に当接する。
弾性体41は、第2アーム31を第1アーム21に寄せる作用を有するため、第1アーム21と第2アーム31の先端は、近接したままで、すんなりとそのまま第1アーム21と第2アーム31の間に障害物Wが入りこみ難い。
障害物Wが第1アーム21に当接するとともに、障害物Wがセンサアーム51に接触して感知し、センサアーム51が後方に回動する。センサアーム51後方に設置しているスイッチ52を押し、スイッチオン状態とする。
【0050】
センサアーム51(第1センサアーム511、第2センサアーム512)が障害物Wに接触して感知し、スイッチ52がオン状態をとると、動作手段14の油圧制御バルブの電磁弁を作動させて動作手段14のロッド141を伸長させる。以下ロッド141を伸長までの一連の作動の制御に、センサアーム51を使用する。
障害物Wが第1アーム21と第2アーム31の間に入り込むと、第2アームは、旋回軸12を旋回中心として第1アーム21から離れる方向に旋回する。
【0051】
すると、弾性体41の弾性体シリンダ411は縮み、第2アーム31表面から突設して
設ける旋回規制突起32は、第1アーム21に設けた旋回規制手段ガイド22に沿って、旋回規制手段ガイド22先端側から旋回規制手段ガイド22中央側へ移動する。
動作手段14のロッド141の伸長によって、第1アーム21ひいては第1リンク部材15、第2リンク部材16により第1アーム21に連結する第2アーム31を障害物Wの周囲で回転動作させて、障害物Wへのアーム衝突による損傷を防ぐ。
【0052】
草刈装置Aは、第1アーム21と第2アーム31との間で障害物Wを挟んで更に進行する。すると、障害物Wが当接部23、センサアーム51(第1センサアーム511、第2センサアーム512)に当接する。同時に、障害物Wは、当接部23を押圧する。第1アーム21が旋回軸12を回転中心として回転する。第1リンク部材15、第2リンク部材16により第1アーム21に連結する第2アーム31も第1アーム21に連動して回転する。
第2アーム31表面から突設して設ける旋回規制突起32は、第1アーム21に設けた旋回規制手段ガイド22に沿って、旋回規制手段ガイド22先端側から中央側への移動状態を維持する。
【0053】
走行機体、草刈装置Aは、更に進行する。走行機体の進行と共に、動作手段14は、ロッド141が伸びると、旋回軸12を回転中心として更に第1アーム21は、回転する。
第2アーム31は、第1リンク部材15、第2リンク部材16により旋回駆動可能となった第1アーム21に連結するので、第1アーム21に連動して旋回する。また、第2アーム31は、第1アーム21とは別に旋回規制手段の許容する範囲内で旋回自在であるが、弾性体41により第1アーム21側に付勢されているので、障害物Wを挟みながら旋回する。
すると、障害物Wに接触した草刈装置Aの第1アーム21及び第2アーム31の先端部は、後方側を向く。
【0054】
相対的に障害物Wが、後方側を向いた当接部23を離れ、後方を向いた第1アーム21及び第2アーム31の先端部に向かう。
弾性体41の弾性体シリンダ411は縮んだ状態からやや伸び、第2アーム31表面から突設して設ける旋回規制突起32は、第1アーム21に設けた旋回規制手段ガイド22に沿って、旋回規制手段ガイド22中央側から先端側へ移動する。
【0055】
走行機体の進行と共に、障害物Wは、第1アーム21及び第2アーム31から離脱する。
障害物Wが、第1アーム21及び第2アーム31間から離脱すると、弾性体41の第2アーム31を第1アーム21に寄せる作用により、弾性体41の弾性体シリンダ411は縮伸張する。すると、第2アーム31表面から突設して設ける旋回規制突起32は、第1アーム21に設けた旋回規制手段ガイド22に沿って、旋回規制手段ガイド22中央側から先端側へ移動し、第1アーム21及び第2アーム31は近接する。
この状態では、動作手段14は、ロッド141が伸びている。
【0056】
障害物Wが、第1アーム21及び第2アーム31から離脱すると、センサアーム51は、障害物Wと接触しないため、障害物Wを感知しない。
センサアーム51で障害物Wを感知しなくなると、動作手段14の作動スイッチ52はオフ状態をとる。スイッチ52がオフ状態をとると、動作手段14のロッド141が縮まる。すると、第1アーム21は元の位置に復帰する。
第2アーム31は、第1リンク部材15、第2リンク部材16により第1アーム21に連結するので、弾性体41の弾性力で、旋回規制突起32、旋回規制ガイド22の範囲で第1アーム21の移動にともない、第1アーム21に付随して第2アーム31も移動する。
【0057】
本発明の実施例では、図1及び図2に図示するように、進行方向に対する側面視で、進行方向から見たそれぞれの回転径は必ず互いに重合していて水平方向に回転する刈刃を有する。
第1アーム21に設けた第1刈刃部24に取り付けた刈刃241と、第2アームに設けた第2刈刃部34に取り付けた刈刃341、第2アームに設けた第3刈刃部35に取り付けた刈刃351は、進行方向から見たそれぞれの刃部の回転径が重合している状態である。
第1アーム21の刈刃241を第1刈刃部24、第2アーム31の刈刃341の前方側を第2刈刃部34、後方側を第3刈刃部35とすると、前方側面から見た刈刃部の位置は、第3刈刃部35と第1刈刃部24に挟まれるように第2刈刃部34が位置する。
そのため、複数ある刃部241、341、352の間で刈残しが発生しない。
【0058】
本願発明では、第1アーム21、第2アーム31の回動支点軸である旋回軸12は同一軸で足る。
本願発明では、ロッド141の伸縮に合わせて第1リンク部材15、第2リンク部材16を介し、第1アーム21を旋回させる。
第2アーム31は、あくまで第1アーム21に付随して弾性体41によって緩衝しながら旋回する。
【0059】
本発明実施例の当接部23の前方側は第2アーム31が閉じられ閉鎖されている。
動作手段14のロッド141の伸縮によって、第1アーム21ひいては第2アーム31を障害物Wの周囲で回転動作させて、障害物Wへのアーム衝突による損傷を防ぐ。
説明した実施例において、センサアーム51は第1センサアーム511、第2センサアーム512の2つで構成したが、さらに3つ以上のセンサアームを連結させて構成してもよい。この場合、各センサアームの先端部の回動に係る移動距離が短縮できるので、スイッチ52の検出精度のさらなる向上が期待できる。
【符号の説明】
【0060】
11 基部材
12 旋回軸
13 ローラ
14 動作手段
21 第1アーム
22 旋回規制手段ガイド(旋回規制手段)
23 当接部
24 第1刈刃部(刈刃、刈刃部、作業部)
31 第2アーム
32 旋回規制突起(旋回規制手段)
34 第2刈刃部(刈刃、刈刃部、作業部)
35 第3刈刃部(刈刃、刈刃部、作業部)
41 弾性体
5 検知部
51 センサアーム
511 第1センサアーム
511a 第1センサアームの回動支点軸
512 第2センサアーム
512a 第2センサアームの回動支点軸
52 スイッチ
53 当接片
54 付勢体
55 連結部
551 摺動部
552 ピン
56 湾曲部
A 草刈装置(作業機)
W 障害物

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7