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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169232
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20221101BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20221101BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20221101BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20221101BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20221101BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20221101BHJP
   G09G 5/26 20060101ALI20221101BHJP
   G09G 5/32 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H04N1/387
H04N1/387 110
B41J21/00 Z
B41J29/42 F
G09G5/00 550H
G09G5/36 520F
G09G5/38 A
G09G5/26 630B
G09G5/32 640
G09G5/00 510H
G09G5/36 530Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075134
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】坂本 悠理
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
5C076
5C182
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AR01
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061CQ27
2C061CQ34
2C187AD14
2C187AE01
2C187BF42
2C187BH08
2C187CD17
2C187DB27
5C076AA17
5C076AA21
5C076BA06
5C076CB02
5C182AA03
5C182AC02
5C182AC03
5C182AC12
5C182AC32
5C182BA01
5C182BA06
5C182BA12
5C182BA72
5C182BC26
5C182CA32
5C182CA35
5C182CB13
5C182CB14
5C182CB26
5C182CB27
5C182CB42
5C182CB52
5C182DA52
5C182FA61
5C182FA71
(57)【要約】
【課題】文字と図・表が混在した文書であっても、従来よりもレイアウトが見やすいように拡大表示できる画像処理装置を提供する。
【解決手段】
文字および図形を含む画像データを解析して予め定められた画像処理を行う画像処理部と、前記画像処理部を制御する制御部とを備え、前記画像処理部が画像データ中の文字のサイズを予め定められた指定サイズ以上に拡大する拡大編集処理を行う場合、前記制御部は、前記画像処理部に前記画像データを解析して文字情報および図形情報を別々に抽出させ、前記図形内に前記指定サイズ未満の文字が含まれる場合、前記図形内に収まる範囲で前記文字を拡大した後、前記図形内に再配置することを特徴とする画像処理装置。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字および図形を含む画像データを解析して予め定められた画像処理を行う画像処理部と、
前記画像処理部を制御する制御部とを備え、
前記画像処理部が画像データ中の文字のサイズを予め定められた指定サイズ以上に拡大する拡大編集処理を行う場合、前記制御部は、前記画像処理部に前記画像データを解析して文字情報および図形情報を別々に抽出させ、
前記図形内に前記指定サイズ未満の文字が含まれる場合、前記図形内に収まる範囲で前記文字を拡大した後、前記図形内に再配置することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
ユーザーからの指令を受け付ける操作部をさらに備え、
前記操作部が画像データ中の文字のサイズを予め定められた指定サイズ以上に拡大する拡大編集指令を受け付けた場合、前記制御部は、前記画像処理部に前記画像データを解析して文字情報および図形情報を別々に抽出させ、
前記図形内に前記指定サイズ未満の文字が含まれる場合、前記図形内に収まる範囲で前記文字を拡大した後、前記図形内に再配置する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記図形内に収まる範囲で前記文字を拡大しても、前記指定サイズ以上に前記文字を拡大できない場合、前記図形内に収まる範囲で前記文字が前記指定サイズ以上になるよう、前記画像処理部に前記文字および図形を拡大再配置させる請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記図形を拡大しても前記指定サイズ以上に前記文字を拡大できない場合、前記文字および図形を含む画像データが段組構造を有するか否かを判定し、段組構造を有する場合は、前記画像処理部に前記段組構造を解除して、前記図形内に収まる範囲で前記文字が前記指定サイズ以上になるよう、前記文字および図形を拡大再配置させる請求項1~3のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記画像処理部に前記文字および図形を拡大再配置させる場合、前記図形外の文字から前記図形を示すキーワードを抽出し、前記キーワードから予め定められた範囲内に前記図形を再配置させる請求項3または4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記図形を拡大しても前記指定サイズ以上に前記文字を拡大できない場合、前記図形を頁全体に拡大した新たな頁を前記画像処理部に出力させる請求項3または4に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MFP(Multifunction Peripheral:多機能周辺装置)などの画像読取機能を有する画像形成装置において、読み取った原稿画像や文書画像をOCR(Optical Character Recognition/光学的文字認識)処理することによって文字認識をする技術が知られている。
【0003】
このような文字認識技術を用いた発明として、文書中の指定サイズよりも小さい文字を一定の規則で自動的に大きくすることができる文字編集処理装置の発明が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-202362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、学術論文やレポート等の文書は、通常小さい文字と図・表が混在しているが、加齢などにより、これらの文書の文字や図・表が小さくて見えづらいことがある。
【0006】
しかしながら、文字認識技術で認識された文字を拡大すると、図・表と比べて文字のみ大きくなって相対的な位置関係や比率が大きく変わることもあり、その結果、図・表全体のレイアウトが崩れてしまって、拡大前よりもかえって文字が見えづらくなるという問題があった。
【0007】
一方、文字を含む図・表の全体を一律に同じ比率で拡大する方法もあるが、この場合、拡大された文字に対して図・表が必要以上に大きくなることもあり、その結果、図・表の周囲の文章の配列等のレイアウトが崩れてしまって、拡大前よりもかえって文字が見えづらくなるという問題もあった。
【0008】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、文字と図・表が混在した文書であっても、従来よりもレイアウトが見やすいように拡大表示できる画像処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)この発明は、文字および図形を含む画像データを解析して予め定められた画像処理を行う画像処理部と、前記画像処理部を制御する制御部とを備え、前記画像処理部が画像データ中の文字のサイズを予め定められた指定サイズ以上に拡大する拡大編集処理を行う場合、前記制御部は、前記画像処理部に前記画像データを解析して文字情報および図形情報を別々に抽出させ、前記図形内に前記指定サイズ未満の文字が含まれる場合、前記図形内に収まる範囲で前記文字を拡大した後、前記図形内に再配置することを特徴とする画像処理装置を提供するものである。
【0010】
この発明において、「図形内に前記指定サイズ未満の文字が含まれる場合」は、表の各セルなどのように図形の内部に文字が含まれる場合に限られず、例えば、「表1」などの見出しや軸のラベル・タイトル、キャプションなど、当該図形の一部と一般的に考えられる要素は、図形の内部に文字が含まれるものとする。
「前記図形内に収まる範囲で前記文字を拡大」は、予め定められた余白の大きさ(例えば、1mmなど)以上を有するように、図形内に収まるように文字を拡大することである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、文字と図・表が混在した文書であっても、従来よりもレイアウトが見やすいように拡大表示する画像処理装置が実現される。
【0012】
従来の図形内の文字の拡大編集処理においては、文字を含む図形全体を一律に同じ比率で拡大していたが、この発明では、文字情報および図形情報を別々に抽出してから、図形内に収まるように文字を拡大再配置するため、拡大前の図形と文字の位置関係にとらわれることなく文字を拡大することができる点で、文字を含む図形全体の一律的な拡大処理よりも有利である。
【0013】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
【0014】
(2)この発明の画像処理装置において、ユーザーからの指令を受け付ける操作部をさらに備え、前記操作部が画像データ中の文字のサイズを予め定められた指定サイズ以上に拡大する拡大編集指令を受け付けた場合、前記制御部は、前記画像処理部に前記画像データを解析して文字情報および図形情報を別々に抽出させ、前記図形内に前記指定サイズ未満の文字が含まれる場合、前記図形内に収まる範囲で前記文字を拡大した後、前記図形内に再配置するものであってもよい。
【0015】
このようにすれば、ユーザーから拡大編集指令を受け付けた場合においても、図形内に収まる範囲で文字が指定サイズ以上になるよう、文字および図形が拡大再配置されるため、文字と図・表が混在した文書であっても、従来よりもレイアウトが見やすいように拡大表示する画像処理装置が実現される。
【0016】
(3)この発明の画像処理装置において、前記制御部は、前記図形内に収まる範囲で前記文字を拡大しても、前記指定サイズ以上に前記文字を拡大できない場合、前記図形内に収まる範囲で前記文字が前記指定サイズ以上になるよう、前記画像処理部に前記図形および前記文字を拡大再配置させるものであってもよい。
【0017】
このようにすれば、図形内に収まる範囲で文字が指定サイズ以上になるよう、文字および図形が拡大再配置されるため、文字と図・表が混在した文書であっても、拡大前の図形と文字の位置関係にとらわれることなく、従来よりもレイアウトが見やすいように拡大表示する画像処理装置を実現できる。
【0018】
(4)この発明の画像処理装置において、前記制御部は、前記図形を拡大しても前記指定サイズ以上に前記文字を拡大できない場合、前記文字および図形を含む画像データが段組構造を有するか否かを判定し、段組構造を有する場合は、前記画像処理部に前記段組構造を解除して、前記図形内に収まる範囲で前記文字が前記指定サイズ以上になるよう、前記文字および図形を拡大再配置させるものであってもよい。
【0019】
このようにすれば、図形を拡大しても、指定サイズ以上に図形内の文字を拡大できない場合であっても、段組構造を有する場合は、段組構造を解除して、図形内に収まる範囲で文字が指定サイズ以上になるよう、文字および図形を拡大再配置するため、文字と図・表が混在した文書であっても、従来よりもレイアウトが見やすいように拡大表示する画像処理装置を実現できる。
【0020】
(5)この発明の画像処理装置において、前記制御部は、前記画像処理部に前記文字および図形を拡大再配置させる場合、前記図形外の文字から前記図形を示すキーワードを抽出し、前記キーワードから予め定められた範囲内に前記図形を再配置させるものであってもよい。
【0021】
「前記図形を示すキーワードを抽出」は、例えば、「図XXに示す」、「図XXを参照」など、図形を示すキーワードである。
「前記キーワードから予め定められた範囲内」は、例えば、キーワードと同じ頁内や、キーワードが頁の上側にある場合は、当該頁の上半分、キーワードが頁の下側にある場合は、当該頁の下半分などである。
【0022】
このようにすれば、文字および図形を拡大再配置する場合、前記図形外の文字から前記図形を示すキーワードを抽出し、前記キーワードから予め定められた範囲内に前記図形を再配置するため、文字と図・表が混在した文書であっても、従来よりもレイアウトが見やすいように拡大表示する画像処理装置を実現できる。
【0023】
(6)この発明の画像処理装置において、前記制御部は、前記図形を拡大しても前記指定サイズ以上に前記文字を拡大できない場合、前記図形を頁全体に拡大した新たな頁を前記画像処理部に出力させるものであってもよい。
【0024】
このようにすれば、図形を拡大しても指定サイズ以上に図形内の文字を拡大できない場合、前記図形を頁全体に拡大した新たな頁を出力するため、文字と図・表が混在した文書であっても、従来よりもレイアウトが見やすいように拡大表示する画像処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明の実施形態1に係るデジタル複合機の外観を示す斜視図である。
図2図1のデジタル複合機の電気的構成を示すブロック図である。
図3】従来のデジタル複合機の画像編集処理の一例を示す説明図である。図3(A)(B)はそれぞれ、画像編集前および画像編集後の画像データの編集の一例を示す説明図である。
図4】この発明の実施形態1に係るデジタル複合機の画像編集処理の一例を示すフローチャートである。
図5図1のデジタル複合機の画像編集処理の一例を示す説明図である。図5(A)(B)はそれぞれ、画像編集前および画像編集後の画像データの編集の一例を示す説明図である。
図6】従来のデジタル複合機の画像編集処理の別の一例を示す説明図である。図6(A)(B)はそれぞれ、画像編集前および画像編集後の画像データの編集の一例を示す説明図である。
図7図1のデジタル複合機の画像編集処理の別の一例を示す説明図である。図7(A)(B)はそれぞれ、画像編集前および画像編集後の画像データの編集の一例を示す説明図である。
図8】この発明の実施形態2に係るデジタル複合機の画像編集処理の一例を示すフローチャートである。
図9】この発明の実施形態2に係るデジタル複合機の画像編集処理の一例を示す説明図である。図9(A)(B)はそれぞれ、画像編集前および画像編集後の画像データの編集の一例を示す説明図である。
図10】この発明の実施形態2に係るデジタル複合機の画像編集後の画像データの別の一例を示す説明図である。図10(A)(B)はそれぞれ、画像編集後の画像データの編集の例を示す説明図である。
図11】この発明の実施形態3に係るデジタル複合機の画像編集処理の一例を示すフローチャートである。
図12】この発明の実施形態3に係るデジタル複合機の画像編集処理の一例を示す説明図である。図12(A)(B)はそれぞれ、画像編集前および画像編集後の画像データの編集の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔実施形態1〕
以下、図1および図2に基づき、この発明の画像処理装置の一実施形態であるデジタル複合機1の概略構成について説明する。
【0027】
図1は、この発明の実施形態1に係るデジタル複合機1の外観を示す斜視図である。
【0028】
デジタル複合機1は、画像データをデジタル処理し、複写機能やスキャナ機能、ファクシミリ機能を有する複合機やMFPなどの装置である。
【0029】
デジタル複合機1は、操作部172(図2参照)や通信部15(図2参照)を介して受付けたユーザーからの指示に基づいてスキャナ、印刷およびコピーのジョブを実行する。
【0030】
続いて、図2に基づき、デジタル複合機1の電気的な構成を簡単に説明する。
【0031】
図2は、図1のデジタル複合機1の電気的構成を示すブロック図である。
【0032】
図2に示すように、デジタル複合機1は、制御部10、画像データ取得部11、画像形成部12、記憶部13、画像処理部14、通信部15、給紙部16および操作パネル17を備える。
【0033】
以下、デジタル複合機1の各構成要素について説明する。
【0034】
制御部10は、デジタル複合機1を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース回路等からなる。
制御部10は、デジタル複合機1全体の動作をコントロールするために、各センサの検知、モーター、クラッチ、操作パネル17等、あらゆる負荷の監視・制御を行う。
【0035】
画像データ取得部11は、原稿台に置かれた原稿や原稿トレイから搬送されてきた原稿を検知して読み取り、画像データを生成する部分である。
また、画像データ取得部11は、ネットワークを介して外部の情報処理装置から画像データを取得するものであってもよい。
また、画像データ取得部11は、USB等に記録された画像データを取得するものであってもよい。
【0036】
画像形成部12は、画像データ取得部11によって取得され、画像処理部14によって処理された画像データを用紙上に印刷出力する部分であり、LSU121を備える。
【0037】
LSU121は、デジタル信号からなる画像データの情報に対応するレーザー光を帯電状態にある図示しない感光体ドラムの表面に照射して、静電潜像を形成する装置である。
【0038】
記憶部13は、デジタル複合機1の各種機能を実現するために必要な情報や、制御プログラムなどを記憶する素子や記憶媒体である。例えば、RAMやROM等の半導体素子、ハードディスク、フラッシュ記憶部、SSD等の記憶媒体が用いられる。
【0039】
記憶部13は、印刷等のジョブに関する情報や画像データなどジョブの実行に必要なデータを記憶する。
また、記憶部13は、実行されたジョブデータを履歴情報として記憶する。
また、記憶部13は、ユーザー認証用に記憶されたユーザーのログイン名やパスワードなどの情報を記憶する。
【0040】
なお、データを保持する領域をハードディスクドライブで、プログラムを保持する領域をフラッシュ記憶部で構成するといったように、プログラムとデータが異なる装置に保持されてもよい。
【0041】
画像処理部14は、操作部172を通じて取得された印刷等のジョブの指令の解析結果に基づき、画像データ取得部11から入力された画像データを適正な電気信号に変換して拡大・縮小等の出力に適するように処理を行う部分である。
【0042】
また、画像処理部14は、図・表を拡大しても当該図・表内の文字が見えにくい場合は、当該図・表を頁全体まで拡大した新たな頁の画像データを出力するように画像データの処理を行う。
【0043】
通信部15は、ネットワークを介して、外部の携帯端末2等と通信を行い、ジョブの履歴状況や当該ジョブの再送信や削除等の指示など、種々の情報を送受信する部分である。
【0044】
給紙部16は、給紙カセット、手差トレイに格納された用紙を画像形成部12まで搬送する部分である。
【0045】
操作パネル17は、液晶パネル等から構成された表示パネルと、表示パネルに重ねて配置され、指がタッチされた位置を検出する静電容量方式等のタッチパネルとから構成され、表示部171および操作部172を備える。
【0046】
表示部171は、各種情報の表示を行う部分である。
表示部171は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどで構成され、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアが処理状態など電子的なデータを表示するためのモニタやラインディスプレイなどの表示装置である。
【0047】
制御部10は、表示部171を通じて、デジタル複合機1の動作および状態の表示を行う。
【0048】
操作部172は、デジタル複合機1を操作するためのインターフェースであり、ユーザーからの指令を受け付ける部分である。
【0049】
<この発明の実施形態1に係るデジタル複合機1の画像編集処理の流れ>
次に、図3図7に基づき、この発明の実施形態1に係るデジタル複合機1の画像編集処理の流れについて説明する。
【0050】
<従来の画像編集処理の問題点>
最初に、図3に基づき、従来の画像編集処理の問題点について説明する。
【0051】
図3は、従来のデジタル複合機の画像編集処理の一例を示す説明図である。
図3(A)(B)はそれぞれ、画像編集前および画像編集後の画像データの編集の一例を示す説明図である。
【0052】
図3(A)において、図形(長方形の枠)内に文字情報が含まれる画像データにおいて、当該文字情報を拡大する場合を想定する。
【0053】
この場合、従来の画像拡大処理では、図3(B)に示すように、文字情報を図形ごと一定の比率で拡大するのが通常であった。
【0054】
しかしながら、ユーザーにとっては、図形内の一部の文字情報が小さくて見えづらいために、ユーザーが見やすい大きさに当該文字情報を拡大できれば十分であることが多い。
それゆえ、すでに大きくて見やすい文字情報や図形までも大きくする必要はない。
【0055】
また、図形も大きくすると、当該図形の周囲の文字情報C3(図3の網掛け部分)の配列も大きく変わってしまう。
【0056】
例えば、図3(A)に示すように、図形の右側に「左の枠内の文字情報によると~」と表示され、ページの一番下に「ここで、上の枠内の文字情報をもう一度参照してほしい。~」と表示されているものとする。
【0057】
ここで、図3(B)に示すように、文字情報を図形ごと拡大すると、当該図形の周囲の文字情報の配列が大きく変わってしまう。
その結果、図形の下側に「左の枠内の文字情報によると~」と表示され、ページの一番下の「ここで、上の枠内の文字情報をもう一度参照してほしい。~」が次ページに表示されてしまうため、拡大前よりもかえって情報が把握しづらくなるおそれがある。
【0058】
図4は、この発明の実施形態1に係るデジタル複合機1の画像編集処理の一例を示すフローチャートである。
図5は、図1のデジタル複合機1の画像編集処理の一例を示す説明図である。
図5(A)(B)はそれぞれ、画像編集前および画像編集後の画像データの編集の一例を示す説明図である。
【0059】
図4において、図5(A)の文字情報C2のような小さくて見えづらい文字を拡大する拡大編集処理を開始した場合を想定する。
【0060】
なお、制御部10は、操作部172がユーザーから拡大編集指令を受け付けたときも、前記画像処理部に拡大編集処理を実行させるようにしてもよい。
【0061】
図4のステップS1において、制御部10は、画像データ取得部11が取得した画像データの画像解析を画像処理部14に行わせ、当該画像データの文字および図形情報を別々に抽出させる(ステップS1)。
【0062】
図5(A)の例では、長方形の枠状の図形情報D1と、図形情報D1内の2つの文字情報C1,C2と、網掛け部分で示された文字情報C3が抽出されている。
【0063】
次に、図4のステップS2において、制御部10は、抽出した図形情報中に文字情報が含まれるか否かを判定する(ステップS2)。
【0064】
ここで、「図形情報中に文字情報が含まれる」とは、表の各セルなどのように図形の内部に文字が含まれる場合に限られず、例えば、「表1」などの見出しや軸のラベル・タイトル、キャプションなど、当該図形の一部と一般的に考えられる要素は、図形の内部に文字が含まれるものとする。
【0065】
また、数式の場合は、文字のみであっても、図形の内部に文字が含まれる場合としてもよい。
【0066】
抽出した図形情報中に文字情報が含まれない場合(ステップS2の判定がNoの場合)、ステップS3において、制御部10は、所定サイズ未満の文字情報がある場合は、当該文字情報が所定サイズ以上になるように画像処理部14に拡大させる(ステップS3)。
【0067】
一方、抽出した図形情報中に文字情報が含まれる場合(ステップS2の判定がYesの場合)、ステップS4において、制御部10は、図形内の文字サイズと図形の大きさなどを分析する(ステップS4)。
【0068】
続くステップS5において、制御部10は、図形内の文字サイズと図形の大きさなどの分析結果に基づき、図形内に収まる範囲内で所定サイズ以上に文字の拡大再配置が可能か否かを判定する(ステップS5)。
【0069】
ここで、「図形内に収まる範囲内で所定サイズ以上に文字の拡大再配置」とは、予め定められた余白の大きさ(例えば、1mmなど)以上を有するように、図形内に収まるように文字を拡大することである。
【0070】
図形内に収まる範囲内で所定サイズ以上に文字の拡大再配置が可能な場合(ステップS5の判定がYesの場合)、ステップS6において、制御部10は、図形内に収まる範囲内で所定サイズ以上に文字を画像処理部14に拡大再配置させる(ステップS6)。
【0071】
図5(B)の例においては、図5(A)において小さくて見えづらい文字情報C2のみが図形情報D1内に収まる範囲で拡大再配置されている。
【0072】
一方、図4のステップS5において、図形内に収まる範囲内で所定サイズ以上に文字の拡大再配置が可能でない場合(ステップS5の判定がNoの場合)、ステップS7において、制御部10は、図形を拡大後、図形内に収まる範囲内で所定サイズ以上に文字を画像処理部14に拡大再配置させる(ステップS7)。
【0073】
この場合、制御部10は、図形内の文字が所定サイズ以上になるように、図形を画像処理部14に拡大させるものとする。
【0074】
図6は、従来のデジタル複合機の画像編集処理の別の一例を示す説明図である。
図6(A)(B)はそれぞれ、画像編集前および画像編集後の画像データの編集の一例を示す説明図である。
【0075】
図6(A)において、表内に文字情報が含まれる画像データにおいて、当該文字情報を拡大する場合を想定する。
【0076】
この場合、従来の画像拡大処理では、図6(B)に示すように、文字情報を含む表全体を一律に拡大するのが通常であった。
【0077】
しかしながら、文字情報とともに表の枠も大きくすると、当該表の周囲の文字情報(図6の網掛け部分)の配列も大きく変わってしまうため、拡大前よりもかえって情報が把握しづらくなるおそれがある。
【0078】
図7は、図1のデジタル複合機1の画像編集処理の別の一例を示す説明図である。
図7(A)(B)はそれぞれ、画像編集前および画像編集後の画像データの編集の一例を示す説明図である。
【0079】
図7(A)の例では、表全体の図形情報D1と、表内の18の文字情報C1~C18と、網掛け部分で示された文字情報C19が抽出されている。
【0080】
図7(B)の例においては、図7(A)において小さくて見えづらい文字情報C1~C18が図形情報D1内に収まる範囲で拡大再配置されている。
【0081】
ここで、従来の表の拡大と異なる点は、図6(B)に示す例では、表の余白部分も文字情報と同様に拡大されるが、図7(B)では、文字が表内に収まる範囲内で、図形情報D1および文字情報C1~C18が拡大再配置される。
【0082】
それゆえ、従来の表全体の単なる拡大処理と異なり、表の周囲の文字情報C19(図7の網掛け部分)の配列を大きく崩すことなく、文字情報C1~C18のみを見やすいサイズに拡大できる点で、ユーザーの利便性が高い。
【0083】
実際、図6(B)および図7(B)の表内の文字情報のフォントのサイズは同一であるが、図6(B)よりも図7(B)のほうがコンパクトに表内に収まっていることがわかる。
【0084】
(変形例)
なお、実施形態1の変形例として、拡大再配置すべき図形情報がモノクロのグラフを含む場合は、当該モノクロのグラフの濃淡に基づき、カラーのグラフとして拡大再配置するようにしてもよい。
【0085】
一方、拡大再配置すべき図形情報がカラーのグラフを含む場合は、当該カラーのグラフの色彩に基づき、グラフの線の形状の変更や、マーカーの追加など、モノクロのグラフとして拡大再配置するようにしてもよい。
【0086】
このようにして、文字情報および図形情報を別々に抽出してから、図形内に収まるように文字および図形を拡大再配置することにより、拡大前の図形と文字の位置関係にとらわれることなく文字および図形を拡大することができるため、文字と図・表が混在した文書であっても、従来よりもレイアウトが見やすいように拡大表示するデジタル複合機1を実現できる。
【0087】
〔実施形態2〕
<この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1の画像編集処理>
次に、図8図10に基づき、この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1の画像編集処理について説明する。
【0088】
この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1は、図2(実施形態1)のデジタル複合機1と同じ構成を有するため、説明を省略する。
【0089】
図8は、この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1の画像編集処理の一例を示すフローチャートである。
なお、図8のステップS11~S16の処理は、図4(実施形態1)のステップS1~S6の処理にそれぞれ対応するため、説明を省略する。
【0090】
ここでは、実施形態1に記載のない図8のステップS17~S20の処理について説明する。
【0091】
図8のステップS15において、図形内に収まる範囲内で所定サイズ以上に文字の拡大再配置が可能でない場合(ステップS15の判定がNoの場合)、ステップS17において、制御部10は、図形を拡大しても所定サイズ未満か否かを判定する(ステップS17)。
【0092】
図形を拡大すると所定サイズ以上になる場合(ステップS17の判定がNoの場合)、ステップS18において、制御部10は、図形を拡大後、図形内に収まる範囲内で所定サイズ以上に文字を画像処理部14に拡大再配置させる(ステップS18)。
その後、制御部10は、後述するステップS20の処理を行う。
【0093】
一方、図形を拡大しても所定サイズ未満の場合(ステップS17の判定がYesの場合)、ステップS19において、制御部10は、文字情報が段組構造かつ段組構造の解除が可能な場合に、図形を拡大後、図形内に収まる範囲内で所定サイズ以上に文字を画像処理部14に拡大再配置させる(ステップS19)。
【0094】
次に、ステップS20において、制御部10は、文字情報から図形を示すキーワード(例えば、「図XXに示す」、「図XXを参照」など)を抽出し、当該キーワード近くに関連する拡大図形を再配置する(ステップS20)。
【0095】
図9は、この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1の画像編集処理の一例を示す説明図である。図9(A)(B)はそれぞれ、画像編集前および画像編集後の画像データの編集の一例を示す説明図である。
【0096】
図9(A)の例では、文字情報C19およびC20の2段組の構造を有する。
そして、予め定められた設定により、段組構造の解除が可能なら、図9(B)の例に示すように段組を解除して文字情報C1~C20および図形情報D1を必要に応じて拡大して再配置する。
【0097】
なお、制御部10は、文頭の位置、文章内の余白や、句点やピリオド等の文章の終端文字の位置に基づき、当該文章が段組構造を有するか否か、またどのような段組構造を有するかを判定するものとする。
【0098】
図9(B)の例では、「表1によると」というキーワードが2頁目の文字情報C20に含まれるため、当該文字情報C20の近くに拡大された表1の図形情報D1が再配置される。
【0099】
図10は、この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1の画像編集後の画像データの別の一例を示す説明図である。
図10(A)(B)はそれぞれ、画像編集後の画像データの編集の例を示す説明図である。
【0100】
図10(A)の例では、「表1によると」というキーワードが1頁目の文字情報C19に含まれるため、当該文字情報C19の近くに拡大された表1の図形情報D1が再配置される。
【0101】
また、図10(B)の例では、「表1によると」というキーワードが2頁目の文字情報C20の下側に含まれるため、当該文字情報C20の近くに拡大された表1の図形情報D1が再配置される。
【0102】
このようにして、文字および図形を拡大再配置する場合、前記図形外の文字から前記図形を示すキーワードを抽出し、前記キーワードから予め定められた範囲内に前記図形を再配置するため、文字と図・表が混在した文書であっても、従来よりもレイアウトが見やすいように拡大表示するデジタル複合機1を実現できる。
【0103】
〔実施形態3〕
<この発明の実施形態3に係るデジタル複合機1の画像編集処理>
次に、図11および図12に基づき、この発明の実施形態3に係るデジタル複合機1の画像編集処理について説明する。
【0104】
この発明の実施形態3に係るデジタル複合機1は、図2(実施形態1)のデジタル複合機1と同じ構成を有するため、説明を省略する。
【0105】
図11は、この発明の実施形態3に係るデジタル複合機1の画像編集処理の一例を示すフローチャートである。
なお、図11のステップS21~S28およびS30の処理は、図8(実施形態2)のステップS11~S18およびS20の処理にそれぞれ対応するため、説明を省略する。
【0106】
ここでは、実施形態2とは異なる図11のステップS29の処理について説明する。
【0107】
図11のステップS27において、図形を拡大しても所定サイズ未満の場合(ステップS27の判定がYesの場合)、ステップS29において、制御部10は、図形を頁全体に拡大した新たな頁を画像処理部14に出力させ、当該別の頁に元の図の参照頁の情報を出力させる(ステップS29)。
【0108】
図12は、この発明の実施形態3に係るデジタル複合機1の画像編集処理の一例を示す説明図である。
図12(A)(B)はそれぞれ、画像編集前および画像編集後の画像データの編集の一例を示す説明図である。
【0109】
図12(A)の例では、文字情報C19およびC20の2段組の構造を有する。
しかしながら、予め定められた設定により、段組構造の解除が可能でないものとする。
【0110】
この場合、段組を解除せずに図形情報D1内の文字情報C1~C18を見やすいサイズまで拡大するのは不可能なので、代わりに図12(B)に示すように図形を頁全体に拡大した新たな頁を出力する。
【0111】
また、図12(B)に示すように、当該別の頁に「表1(第1頁右欄より拡大)」と元の図の参照頁の情報もあわせて出力する。
【0112】
このようにして、図形を拡大しても指定サイズ以上に図形内の文字を拡大できない場合、前記図形を頁全体に拡大した新たな頁を出力するため、文字と図・表が混在した文書であっても、従来よりもレイアウトが見やすいように拡大表示するデジタル複合機1を実現できる。
【0113】
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0114】
1:デジタル複合機、 10:制御部、 11:画像データ取得部、 12:画像形成部、 13:記憶部、 14:画像処理部、 15:通信部、 16:給紙部、 17:操作パネル、 121:LSU、 171:表示部、 172:操作部、 C1~C20:文字情報、 D1:図形情報
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