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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169233
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】鼠捕殺装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/06 20060101AFI20221101BHJP
   A01M 19/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
A01M23/06
A01M19/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075137
(22)【出願日】2021-04-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年8月1日イカリ消毒株式会社エンジニアリングセンター(千葉県習志野市茜浜一丁目13番4号)の商品開発部商品企画課の担当者宛に郵送した書面にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】521183497
【氏名又は名称】晃立電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】川上 皓士
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA03
2B121BA17
2B121BA21
2B121BA51
2B121DA06
2B121FA14
(57)【要約】
【課題】鼠を逃がさず、高確率で捕殺する。
【解決手段】鼠の進入口と捕獲室を有する上部箱体の床部に鼠の進入方向にスライド可能に設けられたスライド式踏板と、鼠の進入方向前側において、進入口から進入した鼠がスライド式踏板上で四足歩行の姿勢から前足を踏板から離す姿勢になるのを促す高さに設置された餌置き台と、上部箱体内の餌置き台よりも高い位置に取り付けられ、前足をスライド式踏板から離した鼠によって検出ビームが遮光され鼠を検出するビーム式位置センサと、ビーム式位置センサからの検出信号に基づいて起動するモータ装置と、モータ装置によって駆動され、ビーム式位置センサが鼠を検出したとき、スライド式踏板を鼠の進入方向にスライドさせ、床部を開いた位置でスライド式踏板を停止させ、所定時間経過後に待機位置にスライド式踏板を戻す踏板スライド装置と、を備える鼠捕殺装置である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼠の進入口と捕獲室と、前記捕獲室の下側に位置し、前記捕獲室から落下した鼠を殺す殺鼠室を形成した箱体、を備えた鼠捕殺装置において、
前記箱体の前記捕獲室の床部に位置する落下口を塞ぐか、または開放するよう前記捕獲室の奥行方向または復帰方向にスライド可能に設けられ、前記奥行方向にスライドしたときに前記落下口を開き、前記鼠を前記殺鼠室に落下させるスライド式踏板と、
前記箱体内で前記スライド式踏板よりも前記鼠の進入方向前側において、前記進入口から進入した前記鼠が前記スライド式踏板の上で四足歩行の姿勢から前足を前記スライド式踏板から離す姿勢になるのを促す高さに設置された餌置き台と、
前記箱体内の前記餌置き台よりも高い位置に取り付けられ、前記前足を前記スライド式踏板から離した前記鼠によって検出ビームが遮光され前記鼠を検出するビーム式位置センサと、
前記ビーム式位置センサからの検出信号に基づいて起動するモータ装置と、
前記モータ装置によって駆動され、前記ビーム式位置センサが前記鼠を検出したとき、前記スライド式踏板を前記奥行方向にスライドさせ、前記落下口を開いた位置で前記スライド式踏板を停止させ、所定時間経過後に、前記落下口を塞ぐ待機位置に前記スライド式踏板を戻す踏板スライド装置と、を備えることを特徴とする鼠捕殺装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鼠捕殺装置において、
前記箱体は、前記殺鼠室に高電圧配線に接続された高電圧電極と接地配線に接続された接地電極とを、有する処理装置を備えることを特徴とする鼠捕殺装置。
【請求項3】
請求項1に記載の鼠捕殺装置において、
捕獲する鼠の種類がドブネズミ、クマネズミ、或いはハツカネズミの成獣である場合、前記餌置き台は、前記スライド式踏板の板面から5~6.5cmの高さに設置されることを特徴とする鼠捕殺装置。
【請求項4】
請求項1に記載の鼠捕殺装置において、
捕獲する鼠の種類がドブネズミ、クマネズミ、或いはハツカネズミである場合、前記ビーム式位置センサは、検出ビームが前記スライド式踏板の板面から6~7.5cmの高さに出射されるように設置されることを特徴とする鼠捕殺装置。
【請求項5】
請求項1に記載の鼠捕殺装置において、
前記モータ装置は三相交流電源で駆動されることを特徴とする鼠捕殺装置。
【請求項6】
請求項1に記載の鼠捕殺装置において、
前記踏板スライド装置は、
前記捕獲室の左右の側部を形成する左右のサイドパネルの下端部に位置し、前記スライド式踏板の左右の側縁部をスライド可能に支持する左右のガイドレールと、
前記スライド式踏板の左右の側縁部の前端部に係止具がそれぞれ取り付けられ、前記左右のガイドレールの後端部に固定具がそれぞれ取り付けられ、前記スライド式踏板が前記床部の落下口を閉じる待機位置にあるときテンションが最小となる左右のスライドスプリングと、
前記モータ装置によって回転駆動されるプーリと、
前記プーリに巻き取り、巻き出し可能に一端が取り付けられ、前記スライド式踏板の前端部に他端が接続され、前記プーリの回転駆動時に前記プーリに巻き取られ、前記スライド式踏板を前記スライドスプリングのバネ力に抗して前記左右のガイドレールに沿ってスライドさせるスチールワイヤと、
前記左右のガイドレールの前側に設けられ、前記スライド式踏板が前記左右のガイドレールに沿って前記床部の落下口を開く位置までスライドしたとき、前記スライド式踏板を停止させるストッパと、
前記ビーム式位置センサからの検出信号に基づいて前記モータ装置に所定時間だけ回転させる駆動信号を送信する制御装置と、有することを特徴とする鼠捕殺装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼠捕殺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、誘導トンネル内に進入した鼠を、誘導トンネルの側面に置かれた一対のセンサで検出し、センサからの検出信号で起動したソレノイドによって観音開き方式の床板のストッパを外し、ばねの力で床板を下向きに開き、床板に乗っていた鼠を下方の水槽内に落下させ、電気ショック死或いは窒息溺死させて捕殺する電気鼠捕り器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4-106988
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電気鼠捕り器において、誘導トンネル内に進入した鼠は床板上を四足歩行の姿勢で移動する。通常、鼠は周辺の危険性を察知すると、四足歩行の姿勢から即座に大きくジャンプすることができる。従って、誘導トンネルの床が開いたとき、鼠は瞬時にジャンプして、誘導トンネル外へと逃げてしまう可能性がある。
【0005】
また、特許文献1では、危険性を察知した鼠を外部に逃がさないようにするため、誘導トンネルの出入口に扉を設けることも提案している。しかし、このように出入口に扉を設けた場合は、一匹の鼠を捕獲した後も、連続して次の鼠を捕獲することを可能とするため、扉を開閉するための開閉機構(扇形歯車やその駆動機構)を設けることが必要となり、構造が複雑となる。
【0006】
本発明の目的は、簡単な構成で捕獲室に進入した鼠を逃がさずに確実に捕獲し、かつ複数の鼠を効率よく連続して捕獲して捕殺することができる鼠捕殺装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の鼠捕殺装置は、鼠の進入口と捕獲室と、前記捕獲室の下側に位置し、前記捕獲室から落下した鼠を殺す殺鼠室と、を形成した箱体、を備えた鼠捕殺装置において、前記箱体の前記捕獲室の床部に位置する落下口を塞ぐか、または開放するよう前記捕獲室の奥行方向または復帰方向にスライド可能に設けられ、前記奥行方向にスライドしたときに前記落下口を開き、前記鼠を前記殺鼠室に落下させるスライド式踏板と、前記箱体内で前記スライド式踏板よりも前記鼠の進入方向前側において、前記進入口から進入した前記鼠が前記スライド式踏板の上で四足歩行の姿勢から前足を前記スライド式踏板から離す姿勢になるのを促す高さに設置された餌置き台と、前記箱体内の前記餌置き台よりも高い位置に取り付けられ、前記前足を前記スライド式踏板から離した前記鼠によって検出ビームが遮光され前記鼠を検出するビーム式位置センサと、前記ビーム式位置センサからの検出信号に基づいて起動するモータ装置と、前記モータ装置によって駆動され、前記ビーム式位置センサが前記鼠を検出したとき、前記スライド式踏板を前記奥行方向にスライドさせ、前記落下口を開いた位置で前記スライド式踏板を停止させ、所定時間経過後に、前記落下口を塞ぐ待機位置に前記スライド式踏板を戻す踏板スライド装置と、を備えるものとする。
【0008】
このように構成した本発明において、箱体の進入口に進入した鼠は、捕獲室内で餌を取るためにスライド式踏板から前足を離した瞬間に、ビーム式位置センサによって検出される。ビーム式位置センサからモータ装置に検出信号が伝えられ、スライド式踏板が鼠の進入方向にスライドする。このとき、スライド式踏板は踏板の板面に平行な方向に移動するため、空気抵抗を受けることがなく従来技術の観音開き方式の踏板よりも高速に動作し、鼠は餌を取ろうとして踏板から前足を離した瞬間に足元の踏板がなくなる。しかも、スライド式踏板は鼠の進入方向にスライドするので、鼠は進入方向に後ろ足をすくわれる。
【0009】
そのため、ジャンプ能力が高く俊敏に反応できる鼠であっても逃げることができず、捕獲室の床部の落下口から箱体の下部にある殺鼠室へと落下し、殺処分される。
【0010】
このように箱体に一旦進入した鼠を逃すことなく確実に捕獲し、殺鼠することができる。
【0011】
また、スライド式踏板がスライドして床部の落下口を開いた位置で停止し、所定時間経過後に、床部の落下口を塞ぐ待機位置にスライド式踏板は戻される。このため、その後、次の鼠が箱体の進入口に進入したとき、その鼠は同様に、捕獲、殺鼠され、複数の鼠を連続して効率よく捕獲し殺鼠することができる。
【0012】
さらに、箱体の進入口に扉やその扉を開閉する開閉機構を設ける必要がないため、簡単な構成で確実にねずみを連続的に捕獲することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な構成で捕獲室に進入した鼠を逃がさずに確実に捕獲し、かつ複数の鼠を効率よく連続して捕殺することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る鼠捕殺装置の透過斜視図である。
図2】第1実施形態に係る鼠捕殺装置の正面図である。
図3】第1実施形態の鼠捕殺装置の側面図である。
図4】第1実施形態のスライド式踏板が待機位置にあるときの状態を示す模式的平面図である。
図5】第1実施形態のスライド式踏板の落下口全開位置にあるときの状態を示す模式的平面図である。
図6】第1実施形態の鼠捕殺装置の回路図である。
図7】捕獲室に進入する鼠の状態を示す模式的側面図である。
図8】捕獲室における四足状態の鼠を示す模式的斜視図である。
図9】捕獲室における二足状態の鼠を示す模式的斜視図である。
図10】捕獲室における落下寸前の状態の鼠を示す模式的斜視図である。
図11】第2実施形態の鼠捕殺装置の側面図である。
図12】第2実施形態の鼠捕殺装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
~全体構成~
図1は、第1実施形態に関わる鼠捕殺装置を模式的に示した透過斜視図である。図2は、図3のB3-B4矢視線から見た鼠捕殺装置の側面図である。図3は、図2のA1-A2矢視線から見た鼠捕殺装置の正面図である。
【0016】
図1~3において、本実施形態の鼠捕殺装置51は、鼠の進入口11Dと捕獲室11と、前記捕獲室11の下側に位置し、前記捕獲室11から落下した鼠30-a、30-b、30-cを殺す殺鼠室を形成した箱体20、を備えている。
【0017】
~箱体~
本実施形態では、箱体20は、上部箱体22と下部箱体21とを備え、上部箱体22に捕獲室11が形成され、下部箱体21に殺鼠室13が形成されている。下部箱体21と上部箱体22は連結部材(図示せず)により一体化されている。また、連結部材を解除することにより上部箱体22と下部箱体21の二つに分割することができる。
【0018】
上部箱体22は、取り外し可能な上蓋22T(図2及び図3参照)を有し、上部箱体22の上蓋22Tには、鼠捕殺装置51を持ち運びするためのハンドルが取り付けることができる。下部箱体21から上部箱体22を取り外した場合に、下部箱体21にもハンドルを備えた取り外し可能な上蓋を取り付けることができ、下部箱体21と上部箱体22とを別々に持ち運びできるようにしてもよい。
【0019】
これらの構造は、利用者が鼠捕殺装置51を可搬型の装置として簡便に使用し、内部の電気回路や作動機構の調整を容易にし、餌箱3の餌置き台3B(後述)に置かれた餌2を短時間で交換し、または捕殺した鼠30aを外部に取り出すのに便利である。
【0020】
上部箱体22と下部箱体21には、外寸が504mm×341mm×168mmであり、内寸が460mm×305mm×160mmであり、同サイズのものを段重ねすることが可能なプラスチック製ケースが用いられている。
【0021】
図2及び図3に示すように、上部箱体22は底板22Fを有し、底板22F上にスペーサ22Sを介して、幅30cm、長さ46cm、厚み5mmの床板22Pが敷設されている。床板22Pの捕獲室11が位置する部分は、捕獲室11の床部を形成しており、この床板22Pと底板22Fの捕獲室11が位置する部分は、くり抜かれ、捕獲室11内の鼠を殺鼠室13に落下させる落下口11Xを形成している。
~捕獲室~
捕獲室11の容積は、捕殺対象とする一匹の鼠30をちょうど収容できるサイズであるか、やや大きめに設定されている。本実施形態の捕獲室11のサイズは、例えば、奥行長が約17cm、幅が約10cm、高さが約14cmである。捕獲室11の奥行長は、スライド式踏板1の有効長さである踏板長Wpにほぼ等しく、捕獲室11は、頭胴長が約20cm以内の体格を持つ一匹の鼠30を収容することができる。鼠30を、捕獲室11内で捕獲するためには、鼠30の後ろ足がスライド式踏板1の上に載ることが前提となる。鼠30は、例えば、ハツカネズミまたはクマネズミである。表1にクマネズミとハツカネズミの成獣の平均的なサイズを示す。ドブネズミの場合は、サイズが大きい成獣が上記の設定の捕獲室11に進入することは難しい。小さなドブネズミの幼獣であれば、捕獲室11に進入することができる。
【0022】
【表1】
【0023】
捕獲室11の左側面は左サイドパネル11Lにより区切られ、右側面は右サイドパネル11Rにより区切られている。左サイドパネル11Lは、捕獲室11の床部に立設された前後一対の支持フレーム11PLにより支持され、右サイドパネル11Rは、同じく捕獲室11の床部に立設された前後一対の支持フレーム11PRにより支持されている。
【0024】
上述したように、捕獲室11の下方に殺鼠室13が配置され、落下口11Xを通って、鼠30が落下する。
【0025】
~特徴的構成~
また、本実施形態の鼠捕殺装置51は、上部箱体22(箱体20)の捕獲室11の床部に位置する落下口11Xを塞ぐか、または開放するよう捕獲室11の奥行方向8Qまたは復帰方向8Rにスライド可能に設けられ、奥行方向にスライドしたときに落下口11Xを開き、鼠30を殺鼠室13に落下させるスライド式踏板1と、上部箱体22(箱体20)内でスライド式踏板1よりも鼠30の進入方向前側において、進入口11Dから進入した鼠30がスライド式踏板1の上で四足歩行の姿勢から前足30Fをスライド式踏板1から離す姿勢になるのを促す高さに設置された餌置き台3Bと、上部箱体22(箱体20)内の餌置き台3Bよりも高い位置に取り付けられ、前足をスライド式踏板1から離した鼠30によって検出ビーム6Bが遮光され鼠30を検出するビーム式位置センサ6と、ビーム式位置センサ6からの検出信号に基づいて起動するモータ装置4と、モータ装置4によって駆動され、ビーム式位置センサ6が鼠30を検出したとき、スライド式踏板1を奥行方向8Qにスライドさせ、落下口11Xを開いた位置でスライド式踏板1を停止させ、所定時間経過後に、落下口11Xを塞ぐ待機位置にスライド式踏板1を戻す踏板スライド装置10と、を備えている。
【0026】
また、下部箱体21(箱体20)は、殺鼠室13の床面と側面に取り付けられ、高電圧配線P1に接続された高電圧電極9Aと接地配線P2に接続された接地電極9B、9C、9D、9Eとを有する処理装置23を備えている。
【0027】
~スライド式踏板1~
スライド式踏板1は、スライド式踏板1の板面と平行な方向にスライドするように設けられている。そのため、スライド式踏板1はスライド動作に伴う空気抵抗を受けることがほとんどなく、小さな駆動力によって素早くスライド動作させ、短時間で落下口11Xが全開する位置までスライドすることができる。
【0028】
落下口11Xの下方であって、下部箱体21の底面板21Fの上に、サイズが20cm×36cmの高電圧電極9A(処理装置23)が置かれている。また、スライド方式であるため、開閉動作を完了する迄の機械的動作音が小さい。その結果、捕獲室11に進入した鼠30は、スライド式踏板1が一旦スライドすると、進入口11Dから脱出することは困難であり、捕獲室11に侵入した鼠30は、捕獲室11から落下口11Xを通って殺鼠室13に落下する。また、スライド式踏板1がスライドした後、殺鼠室13に落下するまでの時間が短く、鼠30の落下後、スライド式踏板1は速やかに元の位置に戻って落下口11Xは閉じられる(後述)。このため、捕獲室11から外部に鼠30の声が漏れ出ることがほとんどなくなる。さらに、上述したように、スライド式踏板1がスライド動作を完了するまでの機械的動作音が小さい。このため、鼠捕殺装置51は、電子・機械装置として動作する際の発生音が小さく、鼠捕殺装置51の外部にいる鼠30が鼠捕殺装置51の危険性を察知し、鼠捕殺装置51の周囲から逃げ出す可能性を大幅に低減することができる。
【0029】
スライド式踏板1の材料は、表面をアルミニウム塗工したアクリル板である。アクリル板のサイズは、踏板長Wpが16.0cm(先端部を含む全長は17.6cm)、幅が10.5cm、厚みが3mmである。全体として軽量であり、表面がアルミニウム加工されているので一定の剛性を有している。そのため、鼠30を載せて瞬時に牽引するスライド式踏板1の素材として、アルミニウム塗工したアクリル板は好適である。
【0030】
~餌置き台3B~
捕獲室11の進入口11Dの反対側に餌箱3が設置され、餌置き台3Bは、餌箱3の床面に設けられている。餌箱3は、前面が開放された箱状体であり、図2図3に示すように、箱状体の底部の前後エッジ部が前後一対の横水平支持フレーム7M、7Nにより支持され、横水平支持フレーム7M、7Nの両端が縦水平支持フレーム7A、7Bにより支持されている。
【0031】
縦水平支持フレーム7A、7B前端は、ブラケット7E、7Fにより支持されている。図2図7に示すように、縦水平支持フレーム7A、7B後端は、ブラケット7C、7Dによって支持されている。これらのブラケット7C、7D、7E、7Fは、床板22Pにネジ止めされている。
【0032】
また、餌箱3の前面(捕獲室11の奥行面部分)に金網3Aが取り付けられ、鼠30は餌置き台3Bにまかれた餌2を取ることができないようになっている。
【0033】
ここで、餌置き台3Bは、後述する検出ビーム6Bの高さとの兼ね合いで、捕獲室11の床面(スライド式踏板1の板面)から所定の高さになるように設定されている。この餌置き台3Bの床面からの高さである餌置き台高さHeは、日本に多く生息しているハツカネズミ、ドブネズミまたはクマネズミの体格に合わせて、スライド式踏板1の板面から5~6.5cmの高さに設定することが好ましい。
【0034】
本実施形態において、餌置き台3Bのサイズは、幅が約12cm、奥行が約12cm、内部の高さが約8cmである。餌置き台高さHeは5.4cmに設定されている。
【0035】
餌2は、鼠30が住み着いている領域で、鼠30が常食としている物質で香りが強いものであることが好ましい。例えば、雑穀、魚、腐った肉、パンくず、バター、ピーナッツ、残飯、コメ、等である。あるいは、食物以外として、人口合成された誘引剤や釣り用の餌、等であってもよい。
【0036】
~ビーム式位置センサ6~
ビーム式位置センサ6は、捕獲室11の左サイドパネル11Lに設置され、検出ビーム6Bを水平に(捕獲室11の床部と平行に)出射する検出ビーム発光器6Tと、捕獲室11の右サイドパネル11Rに設置され、検出ビーム発光器6Tが出射した検出ビーム6Bを受光する検出ビーム受光器6Rとで構成されている。
【0037】
図2図3に示すように、検出ビーム6Bは、検出ビーム発光器6Tから出射され、左サイドパネル11Lのビーム貫通孔を通り捕獲室11の空間を横切り、右サイドパネル11Rのビーム貫通孔を通って検出ビーム受光器6Rに到達する。ビーム貫通孔が設けられている床面高さが、検出ビーム6Bのビーム床面高さHsに相当する。また、検出ビーム発光器6Tと検出ビーム受光器6Rは、検出ビーム6Bが餌箱3の金網3Aから、水平方向に離隔距離Weだけ離れるように設置されている。
【0038】
つまり、ビーム式位置センサ6の検出ビーム発光器6T及び検出ビーム受光器6Rは、検出ビーム6Bのビーム床面高さHsが捕殺対象とする鼠30の種別に合わせて、捕獲室11の床面(スライド式踏板の板面)に対して平行であり、床面から所定の高さになるように設置されている。なお、図3図6に示すように検出ビーム発光器6Tと検出ビーム受光器6Rに対して、制御装置15から電源供給のための電源線が接続されている。
【0039】
本実施形態において、捕殺対象とする鼠30の種別、例えば、クマネズミやハツカネズミ等であり、その場合、ビーム式位置センサ6の検出ビーム発光器6T及び検出ビーム受光器6Rは、検出ビーム6Bのビーム床面高さHsが6~7.5cmの範囲にはいるように設置すればよい。本実施形態では、共立電子産業社製の赤外線型のセンサであるSY-852Gが用いられ、そのビーム床面高さHsが6.2cmに、離隔距離Weが3.2cmに設定されている。
【0040】
なお、検出ビーム6Bは、外乱の影響を受けにくく、捕獲室11の空間で乱反射を起こさず、鼠30の存在を的確に検出できるものであればよい。例えば、検出ビーム6BにLEDレーザ等、より指向性の高い光ビームを用いてもよい。
【0041】
~モータ装置~
モータ装置4は、例えば応答性に優れ、動作音が小さいモータである。本実施形態では、電源の投入に対して自動的に回転を開始する三相交流駆動のインダクションモータ(日本電産サーボ株式会社製 型番:IH6S3N、出力 3W、1300rpm、起動トルク 22mN・m)が用いられている。また、各種のモータ装置の中でも、動作音が小さいシンクロナスモータを用いることがより好ましい。
【0042】
~踏板スライド装置~
図4は、スライド式踏板が待機位置にあるときの状態を示す模式的平面図である。この待機状態にある位置から、スライド式踏板1は、奥行方向8Qに向かって、スライド移動が可能となっている。図5は、スライド式踏板の落下口全開位置にあるときの状態を示す模式的平面図である。スライド式踏板1は、この状態から復帰方向8Rに向かってスライド移動が可能となっている。
【0043】
踏板スライド装置10は、図3に示すように、捕獲室11の左右の側部を形成する左右のサイドパネル11R、11Lの下端部に位置し、スライド式踏板1の左右の側縁部をスライド可能に支持する左右のガイドレール1A、1Bと、図1図2図4図5に示すように、スライド式踏板1の左右の側縁部の前端部に係止具1E、1Fがそれぞれ取り付けられ、左右のガイドレール1A、1Bの後端部に固定具1G、1Hがそれぞれ取り付けられ、スライド式踏板1が床部の落下口11Xを閉じる待機位置にあるときテンションが最小となる左右のスライドスプリング1K、1Lと、モータ装置4によって回転駆動されるプーリPUと、プーリPUに巻き取り、巻き出し可能に一端が取り付けられ、スライド式踏板1の前端部に他端が接続され、プーリPUの回転駆動時にプーリPUに巻き取られ、スライド式踏板1を左右のスライドスプリング1K、1Lのバネ力に抗して左右のガイドレール1A、1Bに沿ってスライドさせるスチールワイヤ1Cと、左右のガイドレール1A、1Bの前側に設けられ、スライド式踏板1が左右のガイドレール1A、1Bに沿って床部の落下口11Xを開く位置までスライドしたとき、スライド式踏板1を停止させるストッパ1Jと、ビーム式位置センサ6からの検出信号に基づいてモータ装置4を所定時間だけ回転させる駆動信号を送信する制御装置と有している。
【0044】
~左右のガイドレール~
図1図2及び図11に示すように、左右のガイドレール1A、1Bはそれぞれ左右のサイドパネル11R、11Lの下部に沿って左右のサイドパネル11R、11Lに平行に設けられ、ストッパ1J付近まで敷設されている。また、左右のガイドレール1A、1Bは床板22P上にネジ止めされている。
【0045】
図5の下側に、C1-C2矢視線における右ガイドレール1Aとその周辺構造の断面図を示す。この図からわかるように、当該断面内で見て左右のガイドレール1A、1BはE字状を示している。E字状の断面の横幅は8mm、高さは12mmである。
【0046】
スライド式踏板1は、その左右両側の端部が、右ガイドレール1Aと左ガイドレール1BのE字状の上側溝部に挿入され、その底部によって支持されている。これにより、スライド式踏板1は、ガイドレール1A、1Bから外れることなく滑らかにスライドすることができる。
【0047】
左右のガイドレール1A、1Bは、上部箱体22の底板22Fに敷設された床板22P上に設けられている。
【0048】
~左右のスライドスプリング~
右スライドスプリング1Kは、スライド式踏板1の奥行方向8Q側の右側端部の右係止具1Eと、復帰方向8R側の右側端部の右固定端1Gとの間に配置されている。
【0049】
左スライドスプリング1Lは、スライド式踏板1の奥行方向8Q側の左側端部の左係止具1Fと、復帰方向8R側の左側端部の左固定端1Hとの間に配置されている。
【0050】
スライド式踏板1の復帰方向8Rの端が、ラバークッション1Mに当接された待機状態において、左右のスライドスプリング1K、1Lのテンションが最小となっている。
【0051】
スライド式踏板1が待機位置にある状態からモータ装置4が回転する場合、左右のスライドスプリング1K、1Lのテンションより、モータ装置4の牽引力が相対的に大きいので、スライド式踏板1は奥行方向8Qにスライドする。制御装置15からモータ装置4に送られた駆動信号にプリセットされた所定時間が経過すると、モータ装置4は停止する。モータ装置4が回転駆動力を失うので、スライド式踏板1は、モータ装置4の牽引力に拮抗している左右のスライドスプリング1K、1Lのテンションによって、待機位置まで復帰方向8Rに向かってスライドする。スライド式踏板1が、待機位置に戻るまでの所要時間は、凡そ3~6秒、好ましくは2~3秒以内である。スライド式踏板1の復帰方向8Rの端部が、捕獲室11の進入口11Dの下部に配置されたラバークッション1Mに当接することで、スライド式踏板1の復帰動作が完了する。ラバークッション1Mは、スライド式踏板1が待機位置に復帰する時の異音の発生を防止する機能も有している。
【0052】
スライド式踏板1が、左右のスライドスプリング1K、1Lによって復帰方向8Rに向かうスライド移動は静粛である。従って、スライド式踏板1の動作に伴って鼠捕殺装置51の外部に大きな音が漏れることがない。
【0053】
本実施形態の鼠捕殺装置51は静かな状態を保ったまま、一連の動作を完了することができる。
【0054】
~プーリ、スチールワイヤ、ストッパ~
スライド式踏板1の奥行方向8Qの先端部に、スライド式踏板1を牽引するための牽引用金具1Dが取り付けられている。牽引用金具1Dは、スチールワイヤ1Cによってモータ装置4のプーリPUに接続されている。スライド式踏板1は、モータ装置4の回転軸に取り付けられたプーリPUに巻き取られるスチールワイヤ1Cによって奥行方向8Qに牽引される。スライド式踏板1は左右のガイドレール1A、1Bの溝部を摺動しながら、高速で奥行方向8Qに向かってスライドを開始し、最終的にスライド式踏板1の奥行方向8Qの先端部がストッパ1Jに当接しスライド移動が完了する。ストッパ1Jは、スライド式踏板1の先端部が当接されるラバー部と、スチールワイヤ1Cが通る貫通孔を有するL型金具とが一体となって構成され、床板22Pにネジ止めされている。
【0055】
~制御装置~
図6は、鼠捕殺装置51の制御装置15を含む回路図である。電源回路5に、商用電源のACコンセントに接続するための電源プラグ5b、鼠捕殺装置51の電源をオン・オフする電源スイッチ5a、及び漏電を検出した際に電源を遮断する漏電ブレーカが備えられている。外部から給電されたAC100Vは、電源回路5から制御装置15のDCコンバータに供給され、DCコンバータによって直流電圧(出力:12V、50mA)に変換される。
【0056】
制御装置15は、AC100VをDCコンバータで変換した直流電圧で動作し、さらにビーム式位置センサ6に直流電圧を供給する。制御装置15は、鼠捕殺装置51の捕殺動作の中核的動作を担当する。捕獲室11内で、ビーム式位置センサ6が鼠30を検出すると、検出ビーム受光器6R(ビーム式位置センサ6)から検出信号が検出信号線6sig(ビーム式位置せンサ6)を介して制御装置15に送信される。
【0057】
制御装置15は、モータ装置4に対して、予めプリセットされた所定時間だけリレーをオンさせることによって、AC100Vの駆動電圧を上記の所定時間だけモータ装置4に供給する。モータ装置4は、リレーを介して供給されたAC100Vの給電を受けた所定時間だけ、その回転動作を継続する。所定時間が経過すると、モータ装置4は回転動作を停止する。制御装置15、モータ装置4、及び電源回路5は、上部箱体22内の捕獲室11に隣接する制御装置室12に配置されている。
【0058】
~鼠捕殺装置の設置~
図6に示すように、鼠捕殺装置51は、電源プラグを商用電源(100V)の電源コンセントに接続することで、鼠30を捕殺するための待機状態にセットされる。鼠捕殺装置51の動作を確保するのに必要となるリレー動作の設定値は、例えば、制御装置15内のタイマー回路にプリセットされている。
【0059】
鼠30は、上部箱体22の側面に一か所設けられた進入口11Dから、捕獲室11に進入する。そのため、利用者が、鼠捕殺装置51を家屋等の床面に設置する場合には、床面から進入口11Dに至る斜面路または階段を別途準備することが必要となる。
【0060】
鼠30の基本的な習性の一つに遊戯性があり、鼠30は、鼠捕殺装置51が設置された床面から進入口11Dが位置する高さまで、幅が狭い階段等を問題なく登って到達する。
【0061】
また、利用者は、鼠捕殺装置51を、屋内等の段差構造がある箇所に設置し使用することもできる。例えば、鼠捕殺装置51の底を、段差構造の下段面に置き、進入口11Dの床面を段差構造の上段面の位置にほぼ合わせて設置すれば、鼠捕殺装置51は所定の捕殺動作を実行することができる。
【0062】
鼠30は、餌2の匂いを嗅ぎつけて進入口11Dに接近するので、鼠捕殺装置51は、鼠30が頻繁に現れる通路、出入口等に設置することが好ましい。
【0063】
~作用効果~
図7は、図3のB1-B2矢視線から見た模式的側面図であり、捕獲室11に進入する鼠30の状態を示している。図8は、捕獲室11における四足状態で停止した鼠30を示す模式的斜視図である。図9は、捕獲室11における二足状態の鼠30を示す模式的斜視図である。図10は、捕獲室11における落下寸前の状態の鼠30を示す模式的斜視図である。
【0064】
図7に示すように、外部から捕獲室11に接近した鼠30は、通常四足状態で歩行し、捕獲室11に危険性がないかどうかを見極めながら餌箱3に向かってゆっくり進入する。その場合、鼠30は、上体と首を下げた姿勢をとることが多く捕獲室11に進入したときには、鼠30の首の位置は床面(スライド式踏板1の板面)に近い位置にある。
【0065】
本実施形態の捕獲室11は、進入口11Dから奥行面までの距離(踏板長Wp)が約17cmである。この奥行方向の距離は、平均的体格を有するクマネズミの成獣の頭胴長に等しい。そのため、捕獲室11に進入した鼠30は、上体を低くした姿勢を保持して、数歩以内、例えば、2~3歩程度で餌置き台3Bの近くに到達する。
【0066】
しかし、捕獲室11で、進入方向前側において、餌置き台3Bは床面に対して、前足30Fをスライド式踏板1から離す姿勢になるのを促す餌置き台高さHeに設置されている。
【0067】
そのため、図8に示すように、鼠30は、餌置き台3Bに近づいた位置で、餌置き台3Bに置かれた餌2を確認するために歩行を停止すると共に、四足状態のままで上体と首を持ち上げることもある。しかし、鼠30の眼と鼻の位置が、餌置き台高さHeに届くことがなく、鼠30は餌2を明確に確認することができない。
【0068】
さらに、図9に示すように、餌2に強く誘引された鼠30は、前足30Fを床面(スライド式踏板1の板面)から離し、体重が後ろ足30Rによって支持された姿勢に移行する。すると、前足30Fを床面から離した鼠30の体の一部、例えば、鼠30の耳や首等の上体の一部が、餌置き台3Bの餌置き台高さHeよりも僅かに高く設置されている検出ビーム6B(ビーム式位置センサ6)を、確実に遮光する。
【0069】
鼠30の上体の少なくとも一部が、検出ビーム6B(ビーム式位置センサ6)を遮光すると、図10に示すように、前足30Fをスライド式踏板1から離した鼠30は、奥行方向8Qに向かってスライドするスライド式踏板1の板面によって後ろ足30Rをすくわれる。鼠30は、進入方向(奥行方向8Q)に対して、後ろ向きのモーメントBMを受けて体勢が崩される。
【0070】
その結果、鼠30は、進入方向前側を向く姿勢が大きく崩され、場合によっては、ほぼ仰向けの姿勢になって捕獲室11から落下口11Xを通って、捕獲室11の下方に設置されている殺鼠室13に向かって落下する。
【0071】
そして、図1図2図3に示すように、殺鼠室13に落下した鼠30は、殺鼠室13の床面(底面板21F)の大部分を覆っている高電圧電極9A(処理装置23)や、低電圧電極である接地電極9B、9C、9D、9E(処理装置23)に接触する。なお、図1において、殺鼠室13の側面に置かれている接地電極9D、9Eの図示を省略している。
【0072】
従って、鼠30の体に対して、高電圧(100V)の電気ショックが即座に印加される。一般的に個体差があるものの、数秒、例えば、1~2秒程度で、殺鼠室13に落下した鼠30は感電死させられる。
【0073】
このように、本実施形態の鼠捕殺装置51は、簡単な構成で捕獲室に進入した鼠を逃がさずに確実に捕獲し、かつ複数の鼠を効率よく連続して捕殺することができる。
【0074】
また、装置全体における連携動作の信頼性が高い。従って、本実施形態における鼠捕殺装置51が、鼠30の捕殺に失敗することがほとんどない。
【0075】
また、本実施形態の鼠捕殺装置51は、家屋の屋内や建物の構内に設けられた商用電源のAC100Vを使用するものである。そのため、鼠捕殺装置51の取り扱いとメンテナンスが容易である。
~その他~
上述した第1実施形態は、箱体20が、上部箱体22と下部箱体21の2段構成となる場合であり、上部箱体22と下部箱体21の分離を容易にするため、電源回路5と高電圧配線P1及び接地配線P2との電気的接続を、箱体20の外側を介して行うように構成されている。箱体20内に、分離可能な電源配線用のコネクタを設ければ、箱体20の内部で、電源関係の結線を完了することができる。
【0076】
箱体20が一つの物体である場合には、捕殺した鼠30-a等を箱体20の上面側から取り出すことが難しくなる。捕獲室11や、モータ装置4等が取り出し作業の障害になるからである。
【0077】
捕殺した鼠30-a等を箱体20から容易に取り出すには、箱体20の殺鼠室13の全体が引出しとして、水平方向に移動可能となるように構成すればよい。合わせて、処理装置23の高電圧電極9A(処理装置23)や接地電極9B(処理装置23)等に給電するために、殺鼠室13の引出動作に対応して、電気的な接続が可能となる専用の接続コネクタを内部に設けて、処理装置23から箱体20内の上段部または下段部の電源回路5に電気的な接続が確立するように構成すればよい。
【0078】
[第2実施形態]
第2実施形態について、図11図12を参照し説明する。第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付し説明は省略する。
【0079】
本実施形態においては、第1実施形態より大きな捕獲室11を形成するために、上部箱体22と下部箱体21に、例えば、外寸が611mm×421mm×348mmであり、内寸が558mm×368mm×326mmであり、同サイズのものを段重ねすることが可能なプラスチック製ケースが用いられている。
【0080】
第1実施形態の鼠捕殺装置51は、AC100Vの商用電源を用いて、主に、屋内使用を目的とするものである。これに対して、本実施形態の鼠捕殺装置52は、内部に電池等を設けて外部から給電を受けることなく、進入口11D付近に雨水対策を施し、野外で鼠30の捕殺動作を実行できるものである。
【0081】
図11は、第2実施形態の鼠捕殺装置52の模式的側面図、図12は、本実施形態の回路図である。本実施形態では、下部箱体21に、電源スイッチ5a、二次電池5C、高電圧発生器5D、及び昇圧回路5eを含む電源回路5が配置された電源室14と、殺鼠室13とが備えられている。
【0082】
上述した第1実施形態と異なり、第2実施形態の鼠捕殺装置52は、商用電源を用いずに、内蔵した二次電池5Cのみで所定の動作を実行することができる。
二次電池5Cは、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン電池である。
【0083】
また、二次電池5Cの電源電圧を昇圧回路5eで昇圧した直流電圧を、制御装置15で用いる直流電圧にさらに変換する電圧変換回路が別途備えられている。また、本実施形態では、モータ装置として、DC駆動が可能であって、静音動作が可能なDCモータ4Dが用いられている。高トルクを発生し、静音レベルが40dB台程度であれば、本実施形態の鼠捕殺装置52の駆動源としてDCモータ4Dを用いることができる。
【0084】
図12に示す高電圧発生器5Dは、二次電池5Cの直流電圧から数百ボルト以上の高電圧DCパルスを発生し、高電圧配線H1と低電圧配線H2を通して、高電圧電極9A、低電圧電極9B、9C、9D、9Eに給電している。鼠30に電気ショックを印加するためであり、大きな電力を消費する訳ではないので、二次電池5Cから高電圧を問題なく生成することができる。
【0085】
本実施形態における、捕獲室11のサイズは、踏板長Wp(奥行長)が約25cm、幅が約15cm、高さが約22cmである。
【0086】
野外に生息することが多く、頭胴長が23cm±5cm、尾長が18cm±4cm、体重が325g±175gと、平均的な体格が大きいドブネズミを効率よく捕殺することができるように、捕獲室11やスライド式踏板1が構成されている。
【0087】
また、本実施形態における、餌置き台3Bのサイズは、幅が約17cm、奥行が約12cm、内部の高さが約15cmである。ビーム床面高さHsが7.0cm、餌置き台高さHeが6.0cm、離隔距離Weが3.5cmである。
【0088】
本実施形態の鼠捕殺装置52も、第1実施形態と同様に高確率で鼠30を捕獲し、連続的に殺鼠することができる。特に、野外に生息するドブネズミを容易に捕殺することができる。
【0089】
以上、本発明の実施形態や実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、さらなる変形が考えられる。例えば、捕獲室や殺鼠室の構造や配置を変更することができる。
【0090】
また、上述した電気回路の構成も変形することができる。
【0091】
例えば、上記の実施形態において、それぞれの電源回路を商用電源(AC100V)と電池の交直両用の構成に変更することができる。また、商用電源から電池を充電する機構を箱体20内に設けることもできる。
【0092】
例えば、スライド式踏板1が奥行方向8Qへスライドする回数を累積的にカウントし、その回数を外部に表示するカウンタ装置を別途設けることができる。
【0093】
鼠を検出するための検出ビーム6Bの配置も、捕獲室11の構造と組み合わせて変更することができる。上記の実施形態や例示した部品を使用する以外に種々の態様が考えられる
【符号の説明】
【0094】
1…スライド式踏板、 1A…右ガイドレール、 1B…左ガイドレール、 1C…スチールワイヤ、 1D…牽引用金具、 1E…右係止具、 1F…左係止具、 1G…右固定端、 1H…左固定端、 1J…ストッパ、 1K…右スライドスプリング、 1L…左スライドスプリング、 1M…ラバークッション、 2…餌、 3…餌箱、 3B…餌置き台、 3A…金網、 4…モータ装置、 4D…DCモータ、 5…電源回路、 5C…二次電池、 5D…高電圧発生器、 6…ビーム式位置センサ、 6R…検出ビーム受光器、 6T…検出ビーム発光器、 6B…検出ビーム、 8Q…奥行方向、 8R…復帰方向、 9A…高電圧電極、 9B、9C、9D、9E…接地電極(低電圧電極)、 10…踏板スライド装置、 11…捕獲室、 11D…進入口、 11R…右サイドパネル、 11L…左サイドパネル、 11X…落下口、 12…制御装置室、 13…殺鼠室、 14…電源室、 15…制御装置、 20…箱体、 21…下部箱体、 21F…底面板、 22…上部箱体、 22P…床板、 22F…底板、 22T…上蓋、 23…処理装置、 30、30-a、30-b、30-c…鼠、 30F…前足、 30R…後ろ足、 51、52…鼠捕殺装置、 P1…高電圧配線、 P2…接地配線(低電圧配線)、 PU…プーリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12