IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大和ハウス工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-パネル配置装置 図1
  • 特開-パネル配置装置 図2
  • 特開-パネル配置装置 図3
  • 特開-パネル配置装置 図4
  • 特開-パネル配置装置 図5
  • 特開-パネル配置装置 図6
  • 特開-パネル配置装置 図7
  • 特開-パネル配置装置 図8
  • 特開-パネル配置装置 図9
  • 特開-パネル配置装置 図10
  • 特開-パネル配置装置 図11
  • 特開-パネル配置装置 図12
  • 特開-パネル配置装置 図13
  • 特開-パネル配置装置 図14
  • 特開-パネル配置装置 図15
  • 特開-パネル配置装置 図16
  • 特開-パネル配置装置 図17
  • 特開-パネル配置装置 図18
  • 特開-パネル配置装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169240
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】パネル配置装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/44 20060101AFI20221101BHJP
   B66C 1/28 20060101ALI20221101BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B66C1/44 P
B66C1/28 C
E04G21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075149
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】中村 知行
(72)【発明者】
【氏名】野村 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】南川 達浩
(72)【発明者】
【氏名】星野 雅一
【テーマコード(参考)】
2E174
3F004
【Fターム(参考)】
2E174AA03
2E174BA01
2E174CA03
2E174CA09
2E174CA35
3F004AA08
3F004AB15
3F004AD05
3F004EA27
(57)【要約】
【課題】複数のパネルを移動し、一枚ずつパネルを配置ができ、パネルの配置の高速化が可能なパネル配置装置を提供する。また、移動式クレーンの占有時間を短くでき、一つの入力操作によりパネル配置が可能で、配置に要する人手を軽減することが可能なパネル配置装置を提供する。
【解決手段】本発明のパネル配置装置Sは、所定の面領域にパネルPを配置するものである。間隔をおいて対向して配置される把持部10と、対向する把持部間の間隔を調整すると共に把持部10を吊上げるときの接続を担う調整接続手段20を備えている。把持部10及び調整接続手段20との隣接領域には、把持部10により保持したパネルPを、把持部10間で水平且つ上下方向に移動可能にする動力伝達手段30を有している。そして、把持部10は、調整接続手段20の下部側で連結されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の面領域にパネルを配置するパネル配置装置であって、
間隔をおいて対向して配置された把持部と、
対向する前記把持部間の間隔を調整すると共に前記把持部を吊り上げるときの接続を担う調整接続手段と、を備え、
前記把持部及び前記調整接続手段との隣接領域には、前記把持部により保持した前記パネルを、前記把持部間で水平且つ上下方向に移動可能にする動力伝達手段を有し、
前記把持部は、前記調整接続手段の下部側で連結されていることを特徴とするパネル配置装置。
【請求項2】
前記把持部は、対向して配置された二つの枠体からなる把持フレームと、
該把持フレーム間に配置され前記パネルの端面が当接するパネル受け部と、
前記把持フレームの長手方向両端部側にそれぞれ配設された原動軸と従動軸の間で、前記パネル受け部の少なくとも一部を覆うように懸架されたベルトと、を有し、
前記パネル受け部の前記動力伝達手段側と反対側の端部側が、前記パネル受け部の前記動力伝達手段側と同じ側の端部側より、対向する前記把持部の中心側に位置していることを特徴とする請求項1記載のパネル配置装置。
【請求項3】
前記調整接続手段は、パンタグラフ機構と、間隔規制機構とを備え、
前記パンタグラフ機構は、
上部側に位置する間隔をおいて形成された2組の上部リンクからなる上部リンク部と、
2組の上部リンクの上部側を連結する上部連結部と、上部リンクの下部側を連結する中間連結部と、前記上部リンク部と連結された下部リンク部と、を有し、
前記間隔規制機構は、
前記中間連結部に配設された水平吊クランプ部を有し、
前記水平吊クランプ部は、前記上部リンク部の下部側の可動範囲を規制することで、前記上部リンク部及び前記下部リンク部の前記可動範囲を規制し、前記上部リンク部と前記下部リンク部とが連動して前記把持部の間隔を調整することを特徴とする請求項1又は2記載のパネル配置装置。
【請求項4】
前記上部リンク部には、吊り上げ手段と連結する係合部を有していることを特徴とする請求項3記載のパネル配置装置。
【請求項5】
前記下部リンク部は、間隔をおいて形成された2組の下部リンクと、前記下部リンク部と前記把持部を連結する下部リンク固定部と、を有し、
前記下部リンク部の上部側は、前記中間連結部で連結され、前記下部リンク部の下部側は、前記下部リンク固定部と連結され、前記下部リンク部は、略X字状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のパネル配置装置。
【請求項6】
前記動力伝達手段は、前記把持部間で前記パネルを上下方向に移動するベルト駆動機構を備え、
該ベルト駆動機構は、動力の入力部と、前記入力部の動力の出力部と、
前記入力部からの駆動力が前記出力部を介して前記把持部の上部側に配設された駆動軸側プーリー部と、前記把持部の下部側に設置された従動軸側プーリー部と、前記把持部の略中央部に設置されるたるみ防止プーリー部と、を有し、
前記駆動軸側プーリー部と前記従動軸側プーリー部の間に懸架された前記ベルトにより、把持された前記パネルを1枚ずつ上下方向に移動可能としていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパネル配置装置。
【請求項7】
前記動力伝達手段は、前記パネルを水平に保持するベルト同期機構を備え、
前記下部リンク部がX字状に交差する下部リンク連結部を有し、
前記ベルト同期機構は、前記下部リンク連結部の近傍に配設される同期ギア部と、
前記把持部の上部側又は前記下部リンク連結部の近傍に配設される同期プーリー部及びアイドラー部と、を備え、
前記同期プーリー部と前記アイドラー部との間に懸架された同期ベルトにより、前記同期ギア部同士を同期回転させ、前記パネルの水平保持を可能としていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載のパネル配置装置。
【請求項8】
前記パネルは、ALC床パネルであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のパネル配置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル配置装置に係り、特に、床面、屋根面など所定の面領域にパネルを配置するときに好適なパネル配置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅などの建築現場では、建築物を構成する床面などの面領域に、ALCパネルを配置する(敷き込み)ことが行われている。
一般に、床面にALCパネルを配置(敷き込み)する例を挙げると、ALCパネルを工場で製作した後、工場から建築現場まで搬送し、工事現場内に設けた移動式クレーンなどの吊上げ装置を用いて、複数枚重ねた状態のままALCパネルを吊り上げ、移送し、梁上の所定位置に仮置し、その後、床面にALCパネルの敷き込み作業を行っている。
【0003】
例えば、特許文献1には、従来、クレーン等の吊揚げ機械を用いて、吊り込みして、ALC板の据え付けに関する技術が開示されている。
そこでは、各ALC板を複数枚重ねたままの状態で、吊揚げ機械と連結したワイヤーやナイロンスリングにより吊り揚げ、仮置き場へ移動させ、この仮置き場から手運びにより所定位置に搬送し敷込み・据え付けを行う技術、各ALC板を吊揚げ機械により一枚ずつ吊揚げて、そのまま床面の所定位置へ、一枚ずつ敷き込み、据え付けを行う技術などが開示されている。
【0004】
上記のように、ALCパネルを積み重ねた状態で複数枚吊り上げ、作業者が一枚ずつ間配りし、床面に敷き込む作業においては、例えば、ナイロンスリングを利用する場合には、2本のナイロンスリングを、積み重ねたALCパネルの下面における所望の位置を通過させて、両端を吊揚げ機械である移動式クレーンのフックに引っ掛け玉掛けし、ALCパネルを吊上げて移送し、床面に配置している。
【0005】
また、例えば、三角スリングを利用する場合には、三角スリングの中央部を吊揚げ機械である移動式クレーンのフックに引っ掛けて係止し、ワイヤーを用いて、三角スリングを構成するフック状の保持部材を、ALCパネルの長手方向の両端部下面に引っ掛け固定し、ALCパネルを移送し、床面に配置している。
【0006】
さらに、ALCパネルの製作工場や一部の建築現場では、輪木等の設置に影響されることなく、ALCパネルを吊ることができるクランプを利用した技術がある。
このクランプを利用した技術では、作業者がALCパネルを1枚ずつ吊り上げ、床面の所定位置に一枚ずつに配置して(敷き込んで)いる。
【0007】
この他にも、ALCパネルに形成された孔に、吊り上げのための治具を挿入し、治具先端部の形状を変更しながら、ALCパネルを吊り上げ、一枚ずつ配置(敷き込み)するALC吊治具技術、建築物の梁上にミニクレーンを設置し、ALCパネルの重量をミニクレーンが負担し、重量のある移動式クレーンを用いないミニクレーン技術もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7-157274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ベルトスリングや三角スリングを利用したALCパネルの吊技術では、ALCパネルは、30~70〔kg/枚〕の重量物であり、移動式クレーンを使用してALCパネルを4枚~6枚を梁上に吊り上げ、所定位置に仮置きし、床面に作業者が配置(敷き込む)作業を行う場合には、2人の作業者でALCパネル1枚を持ち上げて、間配りするなど、人力で行う必要があり、非常に肉体的に負担の大きい作業である。
【0010】
また、ベルトスリングを利用したALCパネルの吊技術では、複数枚のALCパネルが置かれた輪木の隙間に、ベルトスリングを通す必要があり、重量物であり、隙間に通すなど、大変な作業である。
このとき、ALCパネルを配置(敷き込み)する際、足場はなく、梁上を移動しながら、重量物を運ぶという作業が必要である。
【0011】
また、クランプを利用したALCパネルの吊技術による敷き込みでは、従来のクランプでは、1枚ずつしか吊り上げができないため、複数枚のALCパネルを吊り上げることができず、1枚ずつの敷き込みで、作業時間が長くなってしまう。
さらに、ALC吊治具技術は、特定のALC形状のみに対応が可能なものである。例えば、ALCパネルに孔が形成されている形状である必要があり、また孔位置にALC吊治具を挿入する作業に時間がかかり、移動式クレーンの占有時間が長くなってしまう。
【0012】
ミニクレーンを用いた技術では、クレーン等の吊揚げ機械に比して、形状が単純でコスト面に優れる利点はあるが、ミニクレーンの組立、設置、盛替に長時間を要し、ミニクレーンを用いない場合に比して、ミニクレーンを用いることによるコスト面で課題がある。
なお、従来公知のパンタグラフ式の把持具では、把持するときに、その都度、把持幅が変化するため、パンタグラフ式の把持具では、複数枚把持するときや、異なる幅のパネルを把持することには適さない。
【0013】
本発明の目的は、複数のパネルを移動し、一枚ずつパネルを配置ができ、パネル配置の高速化が可能なパネル配置装置の提供にある。
本発明の他の目的は、移動式クレーンの占有時間を短くでき、一つの入力操作によりパネル配置が可能で、配置に要する人手を軽減することが可能なパネル配置装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題は、本発明の請求項1のパネル配置装置によれば、所定の面領域にパネルを配置するパネル配置装置であって、間隔をおいて対向して配置された把持部と、対向する前記把持部間の間隔を調整すると共に前記把持部を吊り上げるときの接続を担う調整接続手段と、を備え、前記把持部及び調整接続手段との隣接領域には、前記把持部により保持した前記パネルを、前記把持部間で水平且つ上下方向に移動可能にする動力伝達手段を有し、前記把持部は、前記調整接続手段の下部側で連結されていること、により解決される。
【0015】
このように構成すると、複数のパネルを移動し、一枚ずつパネルを配置でき、パネルの配置の高速化が可能になる。
また、移動式クレーンの占有時間を短くでき、一つの入力操作によりパネル配置が可能で、パネルの配置に要する人手を軽減することが可能になる。
【0016】
このとき、前記把持部は、対向して配置された二つの枠体からなる把持フレームと、該把持フレーム間に配置され前記パネルの端面が当接するパネル受け部と、前記把持フレームの長手方向両端部側にそれぞれ配設された原動軸と従動軸の間で、前記パネル受け部の少なくとも一部を覆うように懸架されたベルトと、を有し、前記パネル受け部の前記動力伝達手段側と反対側の端部側が、前記パネル受け部の前記動力伝達手段側と同じ側の端部側より、前記対向する把持部の中心側に位置していると、好適である。
【0017】
このように、前記パネル受け部の前記動力伝達手段側と反対側の端部側が、前記動力伝達手段側の端部側より、前記対向する把持部の中心側に位置しているので、端部側が逆ハの字状に構成でき、最下段のパネルを掴んだときに、それより上部にあるパネルとパネル受け部の接触が緩くなり、最下段のパネルを掴みやすく、また、既に把持したパネルの上方側への移動を円滑に行い、複数枚吊上げることができる。
また、複数のパネルを掴んで移送し、移送した複数のパネルを一枚ずつ配置でき、パネル配置の高速化、効率化を図ることが可能になる。
また、移動式クレーンの占有時間を短くでき、一つの入力操作によりパネル配置が可能で、配置に要する人手を軽減することができ、省人化、省力化を図ることが可能になる。
【0018】
このとき、前記調整接続手段は、パンタグラフ機構と、間隔規制機構とを備え、前記パンタグラフ機構は、上部側に位置する間隔をおいて形成された2組の上部リンクからなる上部リンク部と、2組の上部リンクの上部側を連結する上部連結部と、上部リンク部の下部側を連結する中間連結部と、前記上部リンク部と連結された下部リンク部と、を有し、前記間隔規制機構は、前記中間連結部に配設される水平吊クランプ部を有し、前記水平吊クランプ部は、前記2組の上部リンク部の下部側の可動範囲を規制することで、前記上部リンク部及び下部リンク部の前記可動範囲を規制し、前記上部リンク部と前記下部リンク部とが連動して前記把持部の間隔を調整すると、好適である。
【0019】
このように構成すると、水平吊クランプ部を操作することにより、2組の上部リンク部の下部側の可動範囲を規制でき、上部リンク部と下部リンク部とが連動して把持部の間隔を調整でき、様々な任意のサイズ(幅)のパネル配置を効率化、高速化することが可能となる。特に、同一サイズであれば、複数枚のパネルの移動に対応して、パネルを一枚ずつ配置できる。
【0020】
前記上部リンク部には、吊り上げ手段と連結する係合部を有していると良い。このように、クレーン装置などのパネル配置装置を吊り上げる手段と、係合部を連結することで、パネル配置装置を吊り上げることができる。
【0021】
前記下部リンク部は、間隔をおいて形成された2組の下部リンクと、前記下部リンク部と前記把持部を連結する下部リンク固定部と、を有し、前記下部リンク部の上部側は、前記中間連結部で連結され、前記下部リンク部の下部側は、前記下部リン固定部と連結され、前記下部リンク部は、略X字状に形成されていると、好適である。
【0022】
このように構成することで、把持部は下部リンク部の下部側の把持フレーム連結部に取り付けられ、また下部リンク部は、略X字状に形成されているので、2組の下部リンク部を平行に維持させることができる。
【0023】
前記動力伝達手段は、前記把持部間で前記パネルを上下方向に移動するベルト駆動機構を備え、該ベルト駆動機構は、動力の入力部と、前記入力部の動力の出力部と、前記入力部からの駆動力が前記出力部を介して前記把持部の上部側に配設された駆動軸側プーリー部と、前記把持部の下部側に設置された従動軸側プーリー部と、前記把持部の略中央部に設置されるたるみ防止プーリー部と、を有し、前記駆動軸側プーリー部と前記従動軸側プーリー部の間に懸架された前記ベルトにより、把持された前記パネルを1枚ずつ上下方向に移動可能としていると、好適である。
【0024】
このように構成すると、パネル受け部で把持されたパネルを1枚ずつ上下方向に移動できるため、複数のパネルを効率よく移動しても、パネルを所定の位置に一枚ずつ配置や吊上げができ、パネルの配置の効率化、高速化を図ることが可能になる。
また、一つの入力操作で、パネル配置が可能であり、パネル配置に要する人手を軽減でき、省人化、省力化を図ることが可能になる。
【0025】
このとき、前記動力伝達手段は、前記パネルを水平に保持するベルト同期機構を備え、
前記下部リンク部がX字状に交差する下部リンク連結部を有し、前記ベルト同期機構は、前記下部リンク連結部の近傍に配設される同期ギア部と、前記把持部の上部側又は前記下部リンク連結部の近傍に配設される同期プーリー部及びアイドラー部とを備え、前記同期プーリー部と前記アイドラー部との間に懸架された同期ベルトにより、前記同期ギア部同士を同期回転させ、前記パネルの水平保持を可能としているように構成すると、好適である。
【0026】
このように構成すると、一つの入力操作で入力された動力を同期ベルトで伝達し、同期ギア部同士を同期回転させることができ、把持されたパネルの水平を保持できるため、パネルを水平に保持したまま配置できるため、精度を向上させ、パネルの敷き込み作業の効率化を図ることができる。
【0027】
このとき、前記パネルは、ALC床パネルであると、好適である。このように、本発明のパネル配置装置をALC床パネルに用いると、複数のALC床パネルを移動し、ALC床パネルを一枚ずつ配置でき、ALC床パネルの配置の高速化、効率化が可能になる。移動式クレーンの占有時間を短くでき、一つの入力操作によりALC床パネルの配置が可能であり、ALC床パネルの配置に要する人手を軽減することができ、ALC床パネルの敷き込み作業の省人化、省力化を図ることが可能になる。
【発明の効果】
【0028】
平積みされている複数のパネルのうち、任意の複数枚のパネルを短時間で効率よく移送し、パネルを一枚ずつ配置でき、パネルの配置作業の高速化、効率化することができる。
また、移動式クレーンの占有時間を短くでき、一つの入力操作によりパネルの配置が可能であり、パネルの配置に要する人手を軽減することができ、パネル敷き込み作業の省力化、省人化を図ることが可能となる。
また、同一形状のパネルであれば、複数枚のパネルを移送できるため、様々なサイズのパネルの移送に対応でき、パネル敷き込み作業全体の効率化を図ることが可能となる。
また、パネルを、ALC床パネルにすると、床面領域における敷き込み作業を高速化、効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係るパネル配置装置の説明図である。
図2】パンタグラフリンク部の説明図である。
図3】パンタグラフリンク部の説明図である。
図4】把持部材間を大きくしたときの説明図である。
図5】把持部材間を小さくしたときの説明図である。
図6】把持部材の構成を説明する図である。
図7】把持部とパネルとの接触を説明する図である。
図8】動力伝達機構の動力入出力部の説明図である。
図9】動力伝達機構のベルト作動の説明図である。
図10】ベルト同期機構の説明図である。
図11】(a)、(b)はパネル配置装置の動作説明図である。
図12】(c)、(d)はパネル配置装置の動作説明図である。
図13】(e)、(f)はパネル配置装置の動作説明図である。
図14】(g)、(h)はパネル配置装置の動作説明図である。
図15】(i)、(j)はパネル配置装置の動作説明図である。
図16】(k)、(l)はパネル配置装置の動作説明図ある。
図17】(m)、(n)はパネル配置装置の動作説明図である。
図18】(o)、(p)はパネル配置装置の動作説明図である。
図19】(q)はパネル配置装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態(以下、本実施形態)を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変できる。
【0031】
本実施形態では、パネルとしてALC床パネルPを例にして説明するが、以下の説明において、パネルとしてALC床パネルPの表記、パネル配置装置とALC床パネル敷込装置Sの表記は、それぞれ混在する場合がある。またパネル配置装置は、平積みされた複数枚のALC床パネルPのうち、最上部から1枚、又は、最上部から複数枚を把持し、移送し、面領域としての床面上に直接配置(即ち敷込)する場合を例にして説明する。
【0032】
本実施形態のパネル配置装置としてのALC床パネル敷込装置Sは、把持部10と、調整接続手段20と、動力伝達手段30を主たる構成要素としている。
そして、把持部10の上部には、調整接続手段20が配置されている。すなわち、本実施形態では、調整接続手段20としてのパンタグラフ機構の一部を構成する一対の下部リンク部40A,40Bの下端部には、下方に延在する把持部10を構成する一対の把持フレーム11の上部連結部12A(12B)が配設されている。
【0033】
本実施形態の把持部10は、複数枚のALC床パネルPの端面を左右両側から把持するもので、把持部10は、把持フレーム11(11A,11B,12A,12B,13A,
13B)と、パネル受け部15(パネル受け部15A,パネル受け部15B)と、ALC床パネルPを上下移動させるベルト16と、を備えている。
【0034】
把持フレーム11は、略長方形の金属製であり、ALC床パネル敷込装置Sの下部側に左右一対となっている。より詳しくは、把持フレーム11は、側部連結部11A,11Bと、上部連結部12A,12Bと、下部連結部13A,13Bとからなり、全体として略長方形の枠状フレームとして形成されている。
把持フレーム11を構成する上部連結部12A,12Bは、後述するパンタグラフを構成する下部リンク部40A,40Bと接合して構成されている。図1で示すように、把持部10を構成する把持フレーム11は、ALC床パネルPを掴む前である作動前の状態では、下端側が開いたハの字状に形成されている。
【0035】
本例のパネル受け部15(15A,15B)は、角柱形状の部材であり、把持部10に沿って、配設されている。
そして、図7で示すように、パネル受け部15(15A,15B)は、動力伝達手段30側と反対側の端部側が、動力伝達手段30側の端部側より、対向する把持部10の中心側(図7の一点鎖線側)に位置している。
例えば、パネル受け部15(15A,15B)の板厚を、動力伝達手段30側と反対側の端部側とで異なるようにして、動力伝達手段30側の端部側より、対向する把持部10の中心側に位置するように厚く構成する。或いは、パネル受け部15(15A,15B)の板厚を変更せずに、把持フレーム11に対して、動力伝達手段30側と反対側の端部側が、動力伝達手段30側の端部側より、対向する把持部10の中心側に位置するように、若干斜めに傾斜させて配置する。
【0036】
このように、前記パネル受け部15(15A,15B)の動力伝達手段30側と反対側の端部側が、前記動力伝達手段30側の端部側より、前記対向する把持部10の中心側に位置しているので、端部側が逆ハの字状に構成することができる。最下段のALC床パネルPを掴んだときに、それより上部にあるALC床パネルPと受け部(15A,15B)の接触が緩くなり、最下段のALC床パネルPを掴みやすい。また、既に把持したALC床パネルPの上方側への移動を円滑に行い、複数枚吊上げることができる。
なお、逆に、パネル受け部15(15A,15B)の上端部側が対向する把持部10間で若干中央部側に位置するように取付けられると、ALC床パネルPとの接触ポイントが上方にずれてしまい複数枚のパネルを確実に把持することが出来なくなるという不都合がある。
【0037】
図7で示すように、パネル受け部15(15A,15B)は、ALC床パネルPの左右の端面に当接し、ALC床パネルPを左右から支持することができる。
パネル受け部15(15A,15B)は、ALC床パネルPと直接接触する部分であるため、木製など、ALC床パネルPを傷めない素材で形成された部材が用いられている。
パネル受け部15(15A,15B)は、ALC床パネルPの端部を確実に面で当接可能なように、斜め上下に揺動自在に支持されていると好適である。
そして、パネル受け部15(15A,15B)で把持されたALC床パネルPは、ALC床パネルPの配置位置に着地し、把持フレーム11が少し緩んだ状態で、ベルト16の駆動により、ベルト16と摺動して、下方向に移動され、梁上の所定位置に敷き込まれる。なお、ベルト16は、パネル受け部15(15A,15B)のうち、把持フレーム11の長手方向両端部側に原動軸と従動軸がそれぞれ配設され、この間で、前記パネル受け部15(15A,15B)の少なくとも一部を覆うように懸架されている。
変形例として、パネル受け部15(15A,15B)に金属製の部材を使用する際に、衝撃力等の外力によるALC床パネルPの破損防止や滑り防止のために、金属製の部材にゴム等の可撓性部材を貼り付けて部材を形成することが可能である。
【0038】
そして、把持フレーム11の上部には、調整接続手段20が接続されている。
本例の調整接続手段20はパンタグラフ機構から構成されており、ALC床パネルPのパネル幅により把持部10の開放幅が調整され、把持したALC床パネルPの幅に合わせて把持部10の幅を調整し、ALC床パネルPの吊り上げが可能となっている。
すなわち、調整接続手段20は、上部リンク部20A,20Bと下部リンク部40A,40Bとが連結され、上部リンク部20A,20Bと下部リンク部40A,40Bの上下動に応じて、把持部10の開放幅が調整される。移送されるパネル端面を把持・解放可能となるように、パンタグラフ機構を採用している。
そして、パンタグラフ機構の伸縮により、一対の把持部10はパネル受け部15(15A,15B)によってALC床パネルPの端面を両側から把持可能としている。
【0039】
パンタグラフ機構のリンク構成は、それぞれ2組から構成されているが、2組は互いにほぼ同じ構造を有しているので、以下の記載は特に断らない限り、一方のパンタグラフ機構のリンク構成について説明する。
【0040】
調整接続手段20(パンタグラフ機構)は、上部リンク部20A(20B)と、下部リンク部40A(40B)とから構成されている。上部リンク部20A(20B)は、それぞれ上部リンク21A(21B)と、上部リンク連結部(上部リンク接続部)22と、中間接続部(中間連結部)24A(24B)と、間隔規制機構27としての水平吊クランプ部と、を備えている。つまり、本例の調整接続手段(パンタグラフ機構)20は、金属製の板状部材の左右一対の上部リンク部20A(20B)とからなっており、上端部の上部リンク接続部22で、互いに連結されている。
【0041】
より詳細には、図1で示すように、それぞれ金属製の板状部材の左右一対の各上部リンク21A(21B)は、それぞれ二枚のリンク材21a,21a(21b,21b)から構成されている。このリンク材21a,21a(リンク材21b,21b)を上側連結部25A(第1リンク連結部),上側連結部25B(第1リンク連結部)で、回動自在に連結している。
また、上部リンク部20A(20B)を構成する上部リンク21A(21B)の下端部は、下側連結部26A(第2リンク連結部),下側連結部26B(第2リンク連結部)で、回動自在に、後述する下部リンク部40A(40B)と連結されている。
【0042】
二つの上部リンク部20A,20Bを接続する上部リンク接続部22は、金属製の棒状部材で構成され、長手方向の略中央部に、移動式クレーン(不図示)のフックを係合する金属製の係合部(吊環)23が取り付けられている。係合部(吊環)23は丸棒を略U字状に湾曲させた形状であり、この係合部23(吊環)の両端部は、上部リンク接続部22と溶接等で取り付けられている。
また、上部リンク接続部22の両端は、2組の上部リンク21A,21Bのそれぞれの上側連結部(第1リンク連結部)25A,25Bで連結されている。
【0043】
中間接続部24A,24Bは、金属製の棒状部材であり、所定間隔を空けて対向する二組で構成される。また、中間接続部24A,24Bは下側連結部(第2リンク連結部)26A(26B)と連結し、それぞれ二枚のリンク材21a,21a(21b,21b)から構成される上部リンク21A(21B)の下部側を連結する。同時に下部リンク部40A(40B)を構成する下部リンク41A(41B)の一端部(上端)を連結する。
【0044】
間隔規制機構27は、水平吊クランプ部から構成され、上部リンク部20A,20Bの下部側の可動範囲を規制することで、上部リンク部20A,20B及び下部リンク部40A,40Bの可動範囲を規制し、上部リンク部20A,20Bと下部リンク部40A,40Bとが連動して保持部の間隔を調整する構成である。
水平吊クランプ部は、対向する中間接続部24A,24Bの間で、中間接続部24A,24Bの略中央部に配設されている。
本例の水平吊クランプ部(間隔規制機構27)は、ハンドル部27Aと、スクリュー棒27Bと、開閉幅調整部27C(所定範囲に雄ねじ)と、スクリュー棒孔27Dとから構成されている。
スクリュー棒27Bは、金属製の丸棒状部材で構成され二つの対向する中間接続部24A、24Bの、それぞれ略中央部に配設されている。このスクリュー棒27Bには、中間接続部24B側の所定範囲に雄ねじが形成された開閉幅調整部27Cとなっている。
【0045】
ハンドル部27Aは、スクリュー棒27Bを回動操作するものであり、スクリュー棒27Bの一端部(雄ねじが形成された部分と反対側端部)に取り付けられている。
ハンドル部27Aと反対側に位置する中間接続部24Bの略中央部には、スクリュー棒孔27Dが形成されている。このスクリュー棒孔27Dには雌ねじが形成されており、スクリュー棒27Bの雄ねじと、スクリュー棒孔27Dの雌ねじが螺入できるようになっている。
ハンドル部27Aを回転させ、スクリュー棒27Bに形成された雄ねじである開閉幅調整部27Cをスクリュー棒孔27Dに螺入させ、パンタグラフ機構の伸縮範囲を規制し、把持部10の開放幅を調整できる。
【0046】
例えば、図4及び図5で示すように、スクリュー棒27Bの一端部を、中間接続部24Bよりも、中間接続部24Aに近い位置に移動させれば、パンタグラフ機構は規制されて、狭い範囲で可動し、把持部10は、幅の狭いALC床パネルPを把持できる。
一方、スクリュー棒27Bの一端部を、中間接続部24B側の位置まで移動させれば、パンタグラフ機構は伸長し、把持部10は開いて、幅の広いALC床パネルPを把持できる。
【0047】
下部リンク部40A、40Bは、下部リンク41A,41Bと、下部リンク固定部42A,42Bとから構成されている。下部リンク41A,41Bの一端部(上端)は、前記した上部リンク部20A,20Bの下端と連結されている。下部リンク41A(41B)は、上部リンク21A(21B)のほぼ2倍の長さで構成されている。
一対の下部リンク41A(41B)は、金属製の板状からなる二つのリンク材41a,41a(41b,41b)で構成されている。下部リンク41A(41B)の上端部は、上部リンク部20A(20B)の下側連結部(第2リンク連結部)26A(26B)で、上部リンク21A(21B)と共に、互いに回動自在に連結されている。この下部リンク41A(41B)は、二つのリンク材41a,41a(リンク材41b,41b)が、それぞれ軸44A(軸44B)で略X字状に交差して配設されている。この略X字状交差部は下部リンク連結部43A(X字状連結部),下部リンク連結部43B(X字状連結部)を構成している。
下部リンク41A(41B)は、下部リンク固定部42A,42Bに接合されている。下部リンク固定部42A,42Bは、図2で示すように、L字状のアングル部材で構成されている。下部リンク固定部42A,42Bは、把持フレーム11の上部連結部12A,12Bに形成された接続部と連結され、把持フレーム11の長手方向に設置されている。
【0048】
本実施形態の動力伝達手段30は、手動入力による駆動力によりベルトを駆動させ、2組のベルトを同期させ、把持したALC床パネルPの水平を保持して梁上に敷込み可能に構成されている。動力伝達手段30は、把持部10及び調整接続手段20との隣接領域に構成され、動力伝達手段30は、ベルト駆動機構30Aと、ベルト同期機構50Aとを備えている。
【0049】
ベルト駆動機構30Aは、把持部10に配設されたにパネル受け部15(15A,15B)で把持した複数枚のALC床パネルPが、ベルト16により、1枚ずつ、梁上に敷き込まれていくことを可能にする構成となっている。
ベルト駆動機構30Aは、ギア部(入力部31、出力部32)と、コンベア部(ベルトプーリー部33と、コンベアベルト部34)と、から構成されている。ギア部は、後述する入力棒の一端部への手動入力による駆動力により、入力ギア31bを回転させ、入力ギア31bと噛み合っている出力ギア32bを回転させる構成である。
【0050】
上記入力部31は、インパクトレンチなどによる一つの入力を可能とする構成であり、入力部31は、入力棒31aと、入力ギア31bと、を備えている。
【0051】
入力棒31aは、円柱状の金属製の棒状部材であり、各々の把持部10の上端部側に備えられている。そして、入力棒31aは、各々の把持部10の上端部に設置された入力棒支持具31cに、回転自在に取付けられている。
【0052】
入力ギア31bは、円盤状の金属製部材で構成され、円盤状部材の外周には歯が形成されている。そして、入力ギア31bは、一方の把持部10の上端部側に配置され、入力棒31aの一端部側で入力ギア31bの中心部分を入力棒31aが貫通した状態で固定され、入力棒31aの回転に連動して入力ギア31bが回転する。
【0053】
出力部32は、インパクトレンチなどにより、入力された回転により自転する構成であり、出力部32は、出力棒32aと、出力ギア32bと、を備えている。
出力棒32aは、円柱状の金属製の棒状部材であり、各々の把持部10の上端部側に備えられ、入力ギア31bの下方に配置されている。そして、出力棒32aは、各々の把持部10の上端部に設置された出力棒支持具32cに、回転自在に取付けられている。
【0054】
出力ギア32bは、円盤状の金属製部材で構成され、円盤状部材の外周には歯が形成されている。
そして、出力ギア32bは、一方の把持部10の上端部側に配置され、出力棒32aの一端部側で出力ギア32bの中心部分を出力棒32aが貫通した状態で固定されている。
そして、出力ギア32bの回転に連動して、出力棒32aが回転することになる。
【0055】
変形例として、出力棒32aに手動入力をすることが可能であり、出力棒32aに手動入力した場合には、出力棒32aの回転に連動して出力ギア32bが回転することになる。
【0056】
入力ギア31bと出力ギア32bの関係については、入力ギア31bの下方に出力ギア32bが配置され、入力ギア31bと出力ギア32bは噛み合っている。そして、入力棒31aに手動入力された回転は、入力ギア31bを回転させ、入力ギア31bの回転が入力ギア31bに噛み合った出力ギア32bに伝達される。例えば、入力棒31aが反時計回りに回転し、入力ギア31bが反時計回りに回転すると、出力ギア32bは、時計回りに回転し、把持されたALC床パネルPは、下方に移動することになる。
【0057】
コンベア部は、ベルトプーリー部33と、コンベアベルト部34とを備えている。ベルトプーリー部33は、入力部31から手動入力された回転が、出力部32に伝達された後、出力部32の回転をコンベアベルト部34に伝達する構成である。つまり、ベルトプーリー部33は、後述する駆動軸側プーリー部33aと従動軸側プーリー部33bとを、ベルト部34aで繋いで、駆動軸側プーリー部33aの回転を、従動軸側プーリー部33bに伝達可能な構成である。ベルトプーリー部33は、駆動軸側プーリー部(上部ベルトプーリー部)33aと、従動軸側プーリー部(下部ベルトプーリー部)33bと、たるみ防止プーリー部33cと、を備えている。
【0058】
駆動軸側プーリー部33aは、金属製又は、プラスチック複合材製の円柱状部材で構成され、把持部10の上端部側に設置され、2組の駆動軸側プーリー部33aが出力棒32aに沿って並列に配置されている。
また、駆動軸側プーリー部33aの円柱状部材の外周面には、コンベアベルト部34の滑りを防止するために、溝が形成されている。
2組の駆動軸側プーリー部33aの中心部分には、出力棒32aが貫通し、2組の駆動軸側プーリー部33aは、出力棒32aに固定され、出力棒32aの回転は、2組の駆動軸側プーリー部33aに伝達される。
駆動軸側プーリー部33aは、円筒状部材の端面同志が対向しており、端面の間隙には、後述する第1同期プーリー部51が設置されている。
【0059】
従動軸側プーリー部33bは、金属製やプラスチック複合材製の円柱状部材で構成され、把持部10の下端部側に配置され、2組の従動軸側プーリー部33bが下部ベルトプーリー軸棒に沿って並列に配置されている。
また、従動軸側プーリー部33bの円柱状部材の外周面には、コンベアベルト部34の滑りを防止するために、溝が形成されている。
2組の従動軸側プーリー部33bの中心部分には、下部ベルトプーリー軸棒が貫通し、2組の従動軸側プーリー部33bは、下部ベルトプーリー軸棒に固定されている。そして、駆動軸側プーリー部33aの回転は、2組の従動軸側プーリー部33bの回転として伝達され、2組の従動軸側プーリー部33bの回転は、下部ベルトプーリー軸棒に伝達される。そして、下部ベルトプーリー軸棒は、各々の把持部10の下端部に設置された下部ベルトプーリー軸棒支持具に、回転自在に取付けられている。
【0060】
たるみ防止プーリー部33cは、駆動軸側プーリー部33aと従動軸側プーリー部33bとの間を駆動するベルト部34aが、ALC床パネルPにより把持部10の内側から押されたときのベルト部34aのたるみを防止するために設置されている。
たるみ防止プーリー部33cは、金属製やプラスチック複合材製の円柱状部材で構成され、把持部10の略中央部に配置され、2組のたるみ防止プーリー部33cが、たるみ防止プーリー軸棒に沿って並列に配置されている。
また、たるみ防止プーリー部33cの円柱状部材の外周面には、コンベアベルト部34の滑りを防止するために、溝が形成されている。
2組のたるみ防止プーリー部33cの中心部分には、たるみ防止プーリー軸棒が貫通し、2組のたるみ防止プーリー部33cは、たるみ防止プーリー軸棒に固定されている。
そして、たるみ防止プーリー軸棒は、各々の把持部10の略中央部に設置された、たるみ防止プーリー軸棒支持具に回転自在に取付けられている。
【0061】
コンベアベルト部34は、駆動軸側プーリー部33aと従動軸側プーリー部33bとの間に張設されたベルト部34aが、ベルト部34aの駆動により動力を伝達することが可能な構成である。
コンベアベルト部34は、幅広のベルト状で、可撓性を有するゴム製の部材であり、ベルト表面には、滑り防止のために溝が形成されている。
【0062】
ベルト同期機構50Aは、入力部31で手動入力され、出力部32に出力された動力を、第1同期ベルト部58により、第1同期ギア部57に伝達する。その動力は第1同期ギア部57と噛み合っている第2同期ギア部68に伝達され、第2同期ベルト部69により、第4同期プーリー部61に出力し、第1同期ベルト部58と第2同期ベルト部69を同期させる構成である。ALC床パネルPの水平保持を図りつつ、ALC床パネルPを上下方向に移動させることができる。
ベルト同期機構50Aは、同期ギア部50A1と、同期プーリー部50A2と、アイドラー部50A3と、同期ベルト部50A4と、同期ギア等設置部材50A5と、アイドラー設置部材50A6と、から構成されている。
【0063】
同期ギア部50A1は、円盤状の金属製部材で構成され、円盤状部材の外周には歯が形成されている。そして、同期ギア部50A1は、第1同期ギア部57と、第2同期ギア部68とを備え、両ギアを同期させるために、第1同期ギア部57と、第2同期ギア部68とは、同一形状に形成されている。
第1同期ギア部57と、第2同期ギア部68とは、互いに噛み合っている。例えば、第1同期ギア部57が、反時計回りに回転すれば、第2同期ギア部68は、時計回りに回転し、第1同期ギア部57と、第2同期ギア部68を同期させることが可能であり、2組のコンベアベルト部34を同速度で反対方向に回転させることができる。
【0064】
同期プーリー部50A2は、同期プーリーと同期プーリーとの間を同期ベルトで繋いで、一方の同期プーリーの回転を他方の同期プーリーに伝達する構成である。
同期プーリー部50A2は、円盤状の金属製部材で構成され、入力部31で手動入力された動力を伝達する滑車である。そして、第1同期プーリー部51から第3同期プーリー部53、第4同期プーリー部61から第6同期プーリー部63の外周部分には、第1同期ベルト部58、第2同期ベルト部69がかかる溝が形成されている。同期プーリー部50A2は、第1同期プーリー部51から第6同期プーリー部63までを備えている。第1同期プーリー部51は、2組の駆動軸側プーリー部33aの間隙に設置され、出力棒32aに固定されている。
【0065】
アイドラー部50A3は、円盤状の金属製部材で構成され、第1同期ベルト部58、第2同期ベルト部69のガイドギアである。第1アイドラー部54から第3アイドラー部56、第4アイドラー部64から第7アイドラー部67の外周部分には、第1同期ベルト部58、第2同期ベルト部69がかかる溝が形成されている。アイドラー部50A3は、第1アイドラー部54から第7アイドラー部67までを備えている。
【0066】
同期ベルト部50A4は、可撓性を有するゴム製の平ベルト状であり、第1同期ベルト部58と、第2同期ベルト部69とを備えている。第1同期ベルト部58は、第1同期プーリー部51、第1アイドラー部54、第2同期プーリー部52、第2アイドラー部55、第3同期プーリー部53、第3アイドラー部56の順に張設されている。
また、第2同期ベルト部69は、第4同期プーリー部61、第4アイドラー部64、第5同期プーリー部62、第5アイドラー部65、第6同期プーリー部63、第6アイドラー部66、第7アイドラー部67、の順に張設されている。
【0067】
同期ギア等設置部材50A5は、金属製の略四角柱状部材で構成され、第1同期ギア等設置部71、第2同期ギア等設置部73と、を有している。
そして、同期ギア等設置部材50A5は、下部リンク部40A、40Bに形成された略X字状の交差部下方の一方側と他方側に備えられている。そして、同期ギア等設置部材50A5は、略四角柱状の部材が、下部リンク部40A、40Bの一方と他方に沿わせて各々固定されている。そして、略四角柱状の部材間に、第1同期ギア部57、第2同期ギア部68、第1同期プーリー部51から第3同期プーリー部53、第4同期プーリー部61から第6同期プーリー部63、第1アイドラー部54から第3アイドラー部56、第4アイドラー部64から第7アイドラー部67が設置されている。
より具体的には、一方の同期ギア等設置部材50A5には、第1同期ギア部57、第2同期プーリー部52、第3同期プーリー部53、第2アイドラー部55が設置されている。また、他方の同期ギア等設置部材50A5には、第2同期ギア部68、第6同期プーリー部63、第6アイドラー部66、第7アイドラー部67が設置されている。
【0068】
アイドラー設置部材50A6は、金属製の略四角柱状で構成され、第1アイドラー設置部72、第2アイドラー設置部74と、を有する。
そして、アイドラー設置部材50A6は、略四角柱状の部材が、同期ギア等設置部材50A5の下方であって、下部リンク固定部42A、42Bから下部リンク41A、41Bに形成された略X字状の交差部下方の間に、下部リンク41A、41Bの下端面に沿って、各々設置されている。
そして、略四角柱状の部材間に、第5同期プーリー部62、第1アイドラー部54,第3アイドラー部56,第4アイドラー部64,第5アイドラー部65が設置されている。
より具体的には、一方のアイドラー等設置部には、第1アイドラー部54、第3アイドラー部56が設置されている。
また、他方のアイドラー等設置部には、第5同期プーリー部62、第4アイドラー部64、第5アイドラー部65が設置されている。
【0069】
次に、本実施形態のALC床パネルPを敷込するときのALC床パネル敷込装置Sの動作について、図9図17を用いて説明する。
【0070】
ALC床パネル敷込装置Sの動作は、図11(a)で示すように、先ず、ALC床パネルPを把持し、移送する前の待機状態では、調整接続手段20、パンタグラフ機構40は収縮状態であり、把持フレーム11はハの字状に開いている。
【0071】
次に、移動式クレーンを使用して、ALC床パネル敷込装置Sを上昇させ、図11(b)で示すように、輪木の上に平積みされているALC床パネルPの真上にALC床パネル敷込装置Sを移動させ、ALC床パネル敷込装置Sを真下に降下させる。
【0072】
次に、図12(c)で示すように、ALC床パネルPは、ALC床パネル敷込装置Sの把持部10で挟み込まれ、ALC床パネルPの端面がパネル受け部15A,15Bに当接する。
【0073】
変形例として、ALC床パネルPのサイズによっては、把持部10は、ALC床パネルPの長辺方向の端面に当接させてもよい。
【0074】
次に、図12(d)で示すように、ALC床パネル敷込装置S自体を、移動式クレーンを使用して吊り上げる。このとき、調整接続手段20、パンタグラフ機構40は僅かに伸長する。
【0075】
次に、図13(e)で示すように、ALC床パネル敷込装置Sを所定の敷込位置の真上に移送し、ALC床パネル敷込装置Sを真下に降下させる。
そして、図13(f)で示すように、把持フレーム11の下部連結部13A,13Bは、梁上に載置される。このとき、調整接続手段20、パンタグラフ機構40は僅かに収縮し、把持フレーム11が僅かに開く。そして、手動入力により、入力部31,出力部32を用いてコンベアベルト部34を稼働させて、把持したALC床パネルPのうち最下部のALC床パネルPは、梁上に解放され敷き込まれる。
【0076】
変形例として、本実施例では、ALC床パネル敷込装置Sを正面に見た場合に、左右方向にALC床パネルPを敷き込む一例を示したが、ALC床パネルPを前後方向に敷き込むことが可能である。この場合には、ALC床パネルPの敷き込み後に、ALC床パネルPの間の隙間は生じない。
【0077】
次に、図14(g)、(h)で示すように、ALC床パネル敷込装置Sを上昇させ、ALC床パネル敷込装置Sを次の所定の敷込位置の真上に移動し、ALC床パネル敷込装置Sを真下に降下させる。
【0078】
その後のALC床パネル敷込装置Sの動作は、図15(i)、(j)、図16(k)、(l)、図17(m)、(n)、図18(o)、(p)で示すように、上述の図11(a)、(b)、図12(c)、(d)、図13(e)、(f)、図14(g)、(h)で示す稼働態様と同様の稼働態様を繰り返すことになる。
【0079】
最後に、図19(q)で示すように、ALC床パネル敷込装置Sを上昇させ、所定位置まで移動し、次のALC床パネル敷込作業まで待機させる。
【符号の説明】
【0080】
10 把持部
11 把持フレーム
11A,11B 側部連結部(把持フレーム)
12A,12B 上部連結部(把持フレーム)
13A,13B 下部連結部(把持フレーム)
15A,15B パネル受け部
16 ベルト
20 調整接続手段(パンタグラフ機構)
20A,20B 上部リンク部
21A,21B 上部リンク
21a,21a,21b,21b リンク材
22 上部リンク接続部
23 係合部(吊環)
24A,24B 中間接続部(中間連結部)
25A,25B 上側連結部(第1リンク連結部)
26A,26B 下側連結部(第2リンク連結部)
27 間隔規制機構(水平吊クランプ部)
27A ハンドル部
27B スクリュー棒
27C 開閉幅調整部(雄ねじ)
27D スクリュー棒孔
30 動力伝達手段
30A ベルト駆動機構
31 入力部(入力ギア部)
31a 入力棒
31b 入力ギア
31c 入力棒支持具
32 出力部(出力ギア部)
32a 出力棒
32b 出力ギア
32c 出力棒支持具
33 ベルトプーリー部
33a 駆動軸側プーリー部(上部ベルトプーリー部)
33b 従動軸側プーリー部(下部ベルトプーリー部)
33c たるみ防止プーリー部
34 コンベアベルト部
34a ベルト部
40 パンタグラフ機構
40A,40B 下部リンク部
41A,41B 下部リンク
41a,41a,41b,41b リンク材
42A,42B 下部リンク固定部
43A,43B 下部リンク連結部(X字状連結部)
44A,44B 軸
50A ベルト同期機構
50A1 同期ギア部
50A2 同期プーリー部
50A3 アイドラー部
50A4 同期ベルト部
50A5 同期ギア等設置部材
50A6 アイドラー設置部材
51 第1同期プーリー部
52 第2同期プーリー部
53 第3同期プーリー部
54 第1アイドラー部
55 第2アイドラー部
56 第3アイドラー部
57 第1同期ギア部
58 第1同期ベルト部
61 第4同期プーリー部
62 第5同期プーリー部
63 第6同期プーリー部
64 第4アイドラー部
65 第5アイドラー部
66 第6アイドラー部
67 第7アイドラー部
68 第2同期ギア部
69 第2同期ベルト部
71 第1同期ギア等設置部
72 第1アイドラー設置部
73 第2同期ギア等設置部
74 第2アイドラー設置部
P ALC床パネル
S ALC床パネル敷込装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19