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特開2022-169243発電システム、及び、アスファルトプラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169243
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】発電システム、及び、アスファルトプラント
(51)【国際特許分類】
   H02K 35/04 20060101AFI20221101BHJP
   H02N 2/18 20060101ALI20221101BHJP
   E01C 19/05 20060101ALI20221101BHJP
   H01L 41/12 20060101ALI20221101BHJP
   H01L 41/20 20060101ALI20221101BHJP
   H01L 41/06 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H02K35/04
H02N2/18
E01C19/05
H01L41/12
H01L41/20
H01L41/06
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075158
(22)【出願日】2021-04-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000201515
【氏名又は名称】前田道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】上野 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】浅川 眞二
【テーマコード(参考)】
2D052
5H681
【Fターム(参考)】
2D052AA03
2D052AA04
2D052BA03
2D052BA23
5H681BB08
5H681BB14
5H681DD30
5H681EE20
5H681FF02
5H681GG32
(57)【要約】
【課題】起振体が発生させる振動エネルギーを有効に利用することができる発電システム、及び、アスファルトプラントを提供することである。
【解決手段】発電システム100は、アスファルト及び骨材Xを含むアスファルト混合物を製造するアスファルトプラント200で用いられる発電システムであって、骨材Xをふるい分けるスクリーン13を振動させるための振動エネルギーを発生させる起振体120と、起振体120に取り付けられ、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置1とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト及び骨材を含むアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントで用いられる発電システムであって、
前記骨材をふるい分けるスクリーンを振動させるための振動エネルギーを発生させる起振体と、
前記起振体に取り付けられ、前記振動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置とを備える、発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の発電システムであって、
前記発電装置は、前記起振体に着脱可能に取り付けられる取付部材を介して、前記起振体に固定される、発電システム。
【請求項3】
請求項2に記載の発電システムであって、
前記取付部材は、
前記発電装置が固定される固定部と、
前記起振体に巻き付けられ、両端が前記固定部に着脱可能に取り付けられる帯状のバンド部とを有する、発電システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の発電システムであって、
前記発電装置は、
一端が固定端であり、他端が自由端である梁部材と、
前記梁部材の前記固定端と前記自由端との間の変換部が変形することによって前記振動エネルギーを前記電気エネルギーに変換する発電部とを有する、発電システム。
【請求項5】
請求項4に記載の発電システムであって、
前記発電部は、前記梁部材の前記変換部に固定される磁歪部材を有し、
前記磁歪部材の両端のうち少なくとも一端は、前記梁部材に溶接される、発電システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の発電システムであって、
前記発電装置は、前記梁部材の前記変換部が前記起振体の振動方向に直交する方向に延びるように、前記起振体に取り付けられる、発電システム。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか一項に記載の発電システムであって、
前記発電装置は、前記梁部材の前記変換部が変形する方向とは逆向きに前記変換部を付勢する第1の緩衝部材を有する、発電システム。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか一項に記載の発電システムであって、
前記発電装置は、変形時の前記梁部材の前記変換部に対して当接可能に設けられた第2の緩衝部材を有する、発電システム。
【請求項9】
アスファルト及び骨材を含むアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントであって、
請求項1~8のいずれか一項に記載の発電システムと、
前記発電システムが発生させた前記電気エネルギーを蓄電する蓄電装置とを備える、アスファルトプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電システム、及び、アスファルトプラントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アスファルトプラントでは、アスファルト混合物の骨材は、スクリーンを介して粒度に応じた分類ごとにふるい分けられる。特許文献1に示すように、アスファルトプラントは、スクリーンを振動させる起振体を有する。スクリーンが振動することにより、骨材は粒度に応じたふるい目を効率よく通過することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59-177182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すアスファルトプラントでは、起振体が発生させる振動エネルギーを、スクリーンを振動させること以外の用途で有効に利用することができないという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、起振体が発生させる振動エネルギーを有効に利用することができる発電システム、及び、アスファルトプラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]上記課題を解決するために、本発明に係る発電システムは、アスファルト及び骨材を含むアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントで用いられる発電システムであって、前記骨材をふるい分けるスクリーンを振動させるための振動エネルギーを発生させる起振体と、前記起振体に取り付けられ、前記振動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置とを備える。
【0007】
[2]上記発明において、前記発電装置は、前記起振体に着脱可能に取り付けられる取付部材を介して、前記起振体に固定されてもよい。
【0008】
[3]上記発明において、前記取付部材は、前記発電装置が固定される固定部と、前記起振体に巻き付けられ、両端が前記固定部に着脱可能に取り付けられる帯状のバンド部とを有してもよい。
【0009】
[4]上記発明において、前記発電装置は、一端が固定端であり、他端が自由端である梁部材と、前記梁部材の前記固定端と前記自由端との間の変換部が変形することによって前記振動エネルギーを前記電気エネルギーに変換する発電部とを有してもよい。
【0010】
[5]上記発明において、前記発電部は、前記梁部材の前記変換部に固定される磁歪部材を有し、前記磁歪部材の両端のうち少なくとも一端は、前記梁部材に溶接されてもよい。
【0011】
[6]上記発明において、前記発電装置の前記変換部は、前記梁部材が前記起振体の振動方向に直交する方向に延びるように、前記起振体に取り付けられてもよい。
【0012】
[7]上記発明において、前記発電装置は、前記梁部材の前記変換部が変形する方向とは逆向きに前記変換部を付勢する第1の緩衝部材を有してもよい。
【0013】
[8]上記発明において、前記発電装置は、変形時の前記梁部材の前記変換部に対して当接可能に設けられた第2の緩衝部材を有してもよい。
【0014】
[9]上記発明において、上記課題を解決するために、本発明に係るアスファルトプラントは、アスファルト及び骨材を含むアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントであって、上記の発電システムと、前記発電システムは発生させた前記電気エネルギーを蓄電する蓄電装置とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、起振体が発生させる振動エネルギーを電気エネルギーに変換することができるので、起振体の振動エネルギーを有効に利用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る発電システム、及び、発電システムを有するアスファルトプラントの構成を示す図である。
図2図1に示すアスファルトプラントの起振体の構造を示す図である。
図3図3は、図2に示す起振体に発電装置を取り付けるための取付部材の構成を示す図であり、図3(a)は、起振体の円管部の中心軸方向から取付部材を見た様子を示し、図3(b)は、起振体の円管部の中心軸に直交する方向から取付部材を見た様子を示している。
図4図4は、図1に示す発電システムに用いられる発電装置の構成と振動の様子を示す図であり、図4(a)は、発電装置の梁部材が下向きに変位した状態を示し、図4(b)は、発電装置の梁部材が上向きに変位した状態を示している。
図5図5は、図1に示す発電システムに用いられる発電装置の構成の別例と振動の様子を示す図であり、図5(a)は、発電装置の梁部材が下向きに変位した状態を示し、図5(b)は、発電装置の梁部材が上向きに変位した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、アスファルトプラント200は、アスファルト混合物製造設備50、配電設備80、及び、発電システム100を有している。アスファルト混合物製造設備50は、骨材供給部10、石粉供給部30、アスファルト供給部40、及び、ミキサ60を有している。また、配電設備80は、接続箱81、パワーコンディショナ82、蓄電装置83、及び、分電盤84を有している。また、発電システム100は、起振体120、及び、起振体120に取り付けられる発電装置1を有している。また、アスファルトプラント200は、任意の設備A,Bを有している。任意の設備A,Bは、例えば、アスファルトプラント200のコントロールルームの設備、電気設備等であり、特に限定されない。また、任意の設備A,Bの数は2つに限定されない。
【0018】
アスファルト混合物製造設備50の骨材供給部10は骨材Xを、石粉供給部30は石粉を、アスファルト供給部40はアスファルトを、各々、ミキサ60に供給する。ミキサ60は、骨材、石粉、及び、アスファルトを混合してアスファルト混合物を製造する。アスファルトプラント200で製造されたアスファルト混合物は、トラックに積載され、舗設現場へ運搬される。なお、図1において、骨材、石粉、及び、アスファルトの流れを実線の矢印で示す。
【0019】
骨材供給部10は、ホットビン15、骨材計量槽16、ドライヤ11、ホットエレベータ12及びスクリーン13を有する。ホットビン15の内部は、5つの区画に分割されており、各々の区画は、第1貯蔵ビン15a、第2貯蔵ビン15b、第3貯蔵ビン15c、第4貯蔵ビン15d及び第5貯蔵ビン15eを構成する。なお、ホットビン15が有する貯蔵ビンの数は、上記に特に限定されない。
【0020】
骨材供給部10では、ミキサ60に供給される骨材Xは、まず、ドライヤ11によって加熱される。ドライヤ11によって加熱され乾燥した骨材Xは、ホットエレベータ12によってスクリーン13に運搬される。骨材Xは、振動するスクリーン13によって、粒度に応じた分類ごとにふるい分けられる。スクリーン13は、スクリーン13の上部に設けられた起振体120が発生させる振動によって振動する。スクリーン13によってふるい分けられた骨材Xは、各々、粒度に応じた分類ごとにホットビン15の第1貯蔵ビン15a、第2貯蔵ビン15b、第3貯蔵ビン15c、第4貯蔵ビン15d及び第5貯蔵ビン15eのいずれかに貯蔵される。ホットビン15に貯蔵された骨材Xは、適宜、第1貯蔵ビン15a、第2貯蔵ビン15b、第3貯蔵ビン15c、第4貯蔵ビン15d及び第5貯蔵ビン15eの各々の放出口から骨材計量槽16に放出される。骨材計量槽16に投入された骨材Xは、骨材計量槽16に設けられた計量装置(図示せず)によって累積的に計量される。そして、骨材計量槽16によって計量された骨材Xは、ミキサ60に供給される。
【0021】
石粉供給部30は、石粉サイロ31及び石粉計量槽32を有する。石粉サイロ31に貯蔵された石粉は、石粉サイロ31の放出口311が開状態となることにより、石粉計量槽32に放出される。石粉計量槽32に投入された石粉は、石粉計量槽32に設けられた計量装置(図示せず)によって計量される。そして、石粉計量槽32によって計量された石粉は、ミキサ60に供給される。
【0022】
アスファルト供給部40は、アスファルトタンク41及びアスファルト計量槽42を有する。アスファルトタンク41に貯蔵されたアスファルトは、アスファルトタンク41の放出口411が開状態となることにより、アスファルト計量槽42に放出される。アスファルト計量槽42に投入されたアスファルトは、アスファルト計量槽42に設けられた計量装置(図示せず)によって計量される。そして、アスファルト計量槽42によって計量されたアスファルトは、ミキサ60に供給される。
【0023】
なお、アスファルト混合物製造設備50は、舗装廃材等に含まれる再生骨材をミキサ60に供給して、アスファルト混合物を製造してもよい。また、再生骨材を用いてアスファルト混合物を製造する場合は、アスファルト混合物製造設備50は、再生骨材に含まれるアスファルトの針入度等の性状を回復させるために、再生用添加剤をミキサ60に供給する。
【0024】
配電設備80は、後述する発電システム100が発電した電力をアスファルトプラント200の任意の設備A,Bに配電する設備である。接続箱81は、発電システム100の発電装置1とパワーコンディショナ82とを電気的に接続させるための設備である。また、パワーコンディショナ82は、電圧を一定に保つコンバータ機能を有している。また、蓄電装置83はパワーコンディショナ82と電気的に接続しており、発電システム100が発電した電力を蓄電することができる。また、分電盤84は、パワーコンディショナ82及び蓄電装置83に電気的に接続しており、発電システム100が発電した電力、及び、蓄電装置83が蓄電している電力を任意の設備A,Bに分配する。また、発電システム100が発電した電力は、配電設備80を介して売電してもよい。
【0025】
次に、図2~4を用いて、アスファルトプラント200の発電システム100について詳細に説明する。発電システム100は、スクリーン13を振動させるための振動エネルギーを発生させる起振体120と、起振体120に取り付けられ、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置101とを備える。
【0026】
図2に示すように、起振体120は、起振体本体21、モータ22、第1回転部23、第2回転部24、第1ベルト25、第2ベルト26、及び、円管部27を有している。また、円管部27には発電装置101が取り付けられている。起振体本体21は、互いに対向するように設置された一対の壁状の構造を有する。モータ22は、起振体本体21に設けられている。モータ22は、起振体本体21に回転可能に設けられた一対のプーリ22aを回転駆動する。第1回転部23は、起振体本体21に回転可能に支持された第1回転軸部23aと、第1回転軸部23aの一端に設けられた第1回転部プーリ23bを有する。また、第2回転部24は、起振体本体21に回転可能に支持された第2回転軸部24aと、第2回転軸部24aの一端に設けられた第2回転部プーリ24bを有する。第1回転部プーリ23bと第2回転部プーリ24bとは起振体本体21の側面の外側に、互いに反対側に配置されている。一方のプーリ22aと第1回転部23の第1回転部プーリ23bとの間には、第1ベルト25が架け渡されている。また、他方のプーリ22aと第2回転部24の第2回転部プーリ24bとの間には、第2ベルト26が架け渡されている。また、第1回転軸部23aの回転中心軸と第2回転軸部24aの回転中心軸は互いに平行に延びている。第1回転軸部23a及び第2回転軸部24aは、各々、回転中心軸に対して偏心した偏芯錘(図示せず)を有している。また、第1回転軸部23a及び第2回転軸部24aは、略円筒形状の円管部27の内側に設けられている。円管部27は、起振体本体21の一対の壁状の構造の間に振動可能に設けられている。
【0027】
モータ22が一対のプーリ22aを各々、回転駆動させることにより、第1回転部23と第2回転部24とは互いに反対方向に回転する。これにより、第1回転軸部23a及び第2回転軸部24aの偏芯錘に遠心力が発生し、第1回転軸部23a及び第2回転軸部24aの外側に設けられた円管部27は、振動方向Dに振動する。すなわち、起振体120には振動エネルギーが発生する。振動方向Dは、第1回転軸部23aの回転中心軸と第2回転軸部24aの回転中心軸とを結んだ直線に対して垂直な方向である。また、振動方向Dは、起振体120の円管部27に発生する振動の振幅が最も大きい方向である。具体的には、この実施形態において、振動方向Dは起振体120の取付面に対する角度θが55°をなす方向であるが、これに限定されない。また、一般的に、起振体120の円管部27に発生する振動の振動数は、15~20Hzであり、振動加速度5G以上であるが、これに限定されない。また、発電装置101は、円管部27に対して振動方向Dに位置するように取り付けられている。すなわち、発電装置101は、起振体120の円管部27において、振動の振幅が最大となる仮想直線Lmax(第1回転軸部23aの回転中心軸と第2回転軸部24aの回転中心軸との間の中点を通過し、かつ、振動方向Dに沿った仮想直線)上に配置されている。
【0028】
図3に示すように、発電装置101は、取付部材70を介して起振体120の円管部27に着脱可能に取り付けられている。取付部材70は、互いに平行に設けられた一対の直線状部材71(71a,71b)を有している。また、取付部材70は、直線状部材71a,71bの各々に取り付けられた第1のネジ部材72(72a,72b)、第2のネジ部材73(73a,73b)及び帯状のバンド部74(74a,74b)を有している。また、取付部材70は、一対の直線状部材71a,71bの間に固定された固定板部75を有している。第1のネジ部材72a,72bの各々の上端部は、直線状部材71a,71bの各々の一端にナット(図示せず)によって固定されている。また、第2のネジ部材73a,73bの各々の上端部は、直線状部材71a,71bの各々の他端にナット(図示せず)によって固定されている。また、バンド部74a,74bの各々の一端は、第1のネジ部材72a,72bの各々の下端部に取り付けられている。さらに、バンド部74a,74bの各々の他端は、第1のネジ部材72a,72bの各々の下端部に取り付けられている。すなわち、バンド部74a,74bの各々の両端は、第1のネジ部材72a,72b、及び、第2のネジ部材73a,73bを介して、直線状部材71a,71bに着脱可能に取り付けられている。なお、バンド部74a,74bは伸縮性を有する材料、例えば、ゴム等で形成されている。これにより、バンド部74a,74bは、起振体120の円管部27に発生する振動の一部を吸収し、過大な振動によって取付部材70、又は、発電装置101が破損することを防止することができる。また、発電装置101は、固定板部75に固定されている。
なお、直線状部材71a,71b、及び、固定板部75は、固定部を構成する。
【0029】
取付部材70を円管部27に取り付けるときは、バンド部74a,74bを起振体120の円管部27の外周に巻き付けて、第1のネジ部材72a,72b及び第2のネジ部材73a,73bを直線状部材71a,71bをナットで固定する。これにより、発電装置101は、取付部材70を介して起振体120に取り付けられる。また、第1のネジ部材72a,72bに螺合されたナット及び第2のネジ部材73a,73bに螺合されたナットを取り外すことにより、発電装置101及び取付部材70は、起振体120の円管部27から取り外される。また、直線状部材71a,71bを振動方向Dに対して直交するように配置することにより、発電装置101を、円管部27に対して振動方向Dに位置するように取り付けることができる。
【0030】
なお、図3に示す例では、直線状部材71(71a,71b),第1のネジ部材72(72a,72b)、第2のネジ部材73(73a,73b)及びバンド部74(74a,74b)は、各々、一対ずつ設けられているが、これに限定されず、各々、1つずつ設けられていてもよく、3つ以上ずつ設けられていてもよい。また、発電装置101を起振体120に固定するための取付部材は、図3に示す例に限定されず、起振体120に着脱可能に取り付けられるものであればよい。
【0031】
次に、図4を用いて、発電装置101の構造について説明する。
図4(a),(b)に示すように、発電装置101は、梁部材2、磁歪部材4、磁石5、コイル6、及び、錘7を有する。
【0032】
梁部材2は、平面形状の矩形の板状部材である第1平面板部2aと、略U字形状の断面を有する曲面板部2bと、第1平面板部2aに対向するように設けられた平面形状の細長い矩形の板状部材である第2平面板部2cとを有する。曲面板部2bの一端は、第1平面板部2aに一体的に固定されている。曲面板部2bの他端には、第2平面板部2cが一体的に固定されている。なお、第2平面板部2cの幅は、第1平面板部2aの幅、及び、曲面板部2bの幅よりも狭い。また、第2平面板部2cの中央部分には、平面板形状の磁歪部材4が固定されている。具体的には、磁歪部材4の下面と第2平面板部2cの上面とは、はんだ付けによって面接合し、磁歪部材4の両端部は第2平面板部2cに溶接されている。すなわち、磁歪部材4の両端部の溶接によって、磁歪部材4と第2平面板部2cとの面接合の強度が補強される。また、これに限定されず、磁歪部材4の下面と梁部材2の上面とは、エポキシ樹脂等の接着剤によって面接合され、磁歪部材4の両端部が第2平面板部2cに溶接されていてもよい。なお、磁歪部材4の両端のうちいずれか一端のみが第2平面板部2cに溶接されていてもよい。また、磁歪部材4は、鉄ガリウム合金等の磁歪材料によって形成されている。
【0033】
梁部材2の第1平面板部2aは、固定板部75に固定される固定端を構成する。また、第2平面板部2cの端部2dは、自由振動可能な自由端を構成する。すなわち、梁部材2は、一端(第1平面板部2a)が固定端であり、他端(第2平面板部2cの端部2d)が自由端である。また、梁部材2の第2平面板部2cは、梁部材2の固定端(第1平面板部2a)と自由端(端部2d)との間に設けられた変換部を構成する。第2平面板部2c(変換部)は、起振体120が振動していない状態で起振体120の振動方向Dに直交する方向Sに延びている。
【0034】
梁部材2の第1平面板部2aの上面には、磁歪部材4に対向するように磁石5が配置されている。磁石5は、永久磁石であるが、これに限定されず、電磁石であってもよい。また、梁部材2の第2平面板部2c、及び、磁歪部材4の外側には、コイル6が設けられている。また、梁部材2の自由端である端部2dには、錘7が固定されている。梁部材2の自由端(端部2d)が振動するときは、錘7に慣性力が発生する。また、磁石5は、磁歪部材4に磁気バイアスを与える。これにより、発電装置101には、コイル6を貫く磁気回路Eが構成される。
なお、磁歪部材4、磁石5、及び、コイル6は、発電部を構成し、梁部材2の第2平面板部2c(変換部)が変形することによって振動エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0035】
次に、図4を用いて、発電装置101による発電方法について説明する。
図4(a)に示すように、起振体120の振動により梁部材2の第2平面板部2cに振動方向Dの変形が発生した場合であって、梁部材2の自由端(端部2d)が振動方向Dにおいて下向きに変位した場合、すなわち、梁部材2の第2平面板部2cが下向きにたわんだ場合は、磁歪部材4に引っ張り応力が発生する。これにより、コイル6を貫く磁気回路Eの磁束密度は、梁部材2に変形が発生していない場合に比べて大きくなる。一方、図4(b)に示すように、梁部材2の第2平面板部2cに振動方向Dの変形が発生した場合であって、梁部材2の自由端(端部2d)が振動方向Dにおいて上向きに変位した場合、すなわち、梁部材2の第2平面板部2cが上向きにたわんだ場合は、磁歪部材4に圧縮応力が発生する。これにより、コイル6を貫く磁気回路Eの磁束密度は、梁部材2の第2平面板部2cに変形が発生していない場合に比べて小さくなる。すなわち、梁部材2の自由端(端部2d)が振動方向Dにおいて上下に振動することにより、コイル6を貫く磁気回路Eの磁束密度が変化し、コイル6に起電力が発生する。換言すれば、梁部材2の第2平面板部2c(変換部)が変形することによって、磁歪部材4の逆磁歪効果により、振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。なお、逆磁歪効果とは、磁化している磁歪材料に応力を加えることで磁束密度が変化する効果である。
なお、発電装置101は、図4の例に限定されず、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する装置であればよい。
【0036】
以上より、本実施形態に係る発電システム100は、骨材Xをふるい分けるスクリーン13を振動させるための振動エネルギーを発生させる起振体120と、起振体120に取り付けられ、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置101とを備える。これにより、アスファルトプラント200において、起振体120がスクリーン13を振動させるために発生させる振動エネルギーを有効に利用して発電をすることができる。
【0037】
また、発電装置1は、起振体120に着脱可能に取り付けられる取付部材70を介して、起振体120に固定される。これにより、発電装置1を簡易に起振体120に取り付けることができる。また、発電装置1を、起振体120に直接固定しないことにより、溶接部分を減らすことができ、過大な振動によるクラックの発生を防止することができる。また、着脱可能な取付部材70を介して、発電装置1を起振体120に取り付ける位置、及び、角度を自在に調整することができる。
【0038】
また、取付部材70は、発電装置1が固定される固定部(直線状部材71,固定板部75)と、起振体120に巻き付けられ、両端が直線状部材71に着脱可能に取り付けられる帯状のバンド部74とを有する。これにより、起振体120の円管部27のように曲面を有する部分にも、発電装置1を固定することができる。また、バンド部74を起振体120に巻き付けて発電装置1を固定するため、溶接部分を減らすことができ、過大な振動によるクラックの発生を防止することができる。
【0039】
また、発電装置1は、一端(第1平面板部2a)が固定端であり、他端(第2平面板部2cの端部2d)が自由端である梁部材2と、梁部材2の固定端と自由端との間の第2平面板部2c(変換部)が変形することによって振動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電部(磁歪部材4、磁石5、コイル6)とを有する。これにより、簡易な構造で、起振体120が発生させる振動エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
【0040】
また、発電装置1の発電部は、梁部材2の第2平面板部2c(変換部)に固定される磁歪部材4を有し、磁歪部材4の両端は、梁部材2に溶接される。これにより、磁歪部材4を梁部材2の第2平面板部2cに固定するための接合の強度を補強することができ、振動によって磁歪部材4が梁部材2から剥離することを防止することができる。すなわち、発電装置1の耐久性を向上させることができる。なお、梁部材2には、磁歪部材4の両端に限定されず、磁歪部材4の両端のうち少なくとも一端が溶接されていればよい。
【0041】
また、発電装置1は、梁部材2第2平面板部2c(変換部)が起振体120の振動方向Dに直交する方向Sに延びるように、起振体120に取り付けられる。これにより、発電システム100は、起振体120の振動の振幅が最も大きい方向に合わせて、効率よく振動エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
【0042】
また、アスファルトプラント200は、発電システム100と、発電システム100が発生させた電気エネルギーを蓄電する蓄電装置83とを備える。これにより、蓄電装置83に蓄電した電気エネルギーをアスファルトプラント200の任意の設備A,Bで利用したり、売電したりすることができる。
【0043】
発電装置1は、図5に示すように、第1の緩衝部材8、及び、第2の緩衝部材9を有していてもよい。第1の緩衝部材8は、磁歪部材4が固定された梁部材2の第2平面板部2cに圧縮力、又は、引っ張り力を付与し、振動による磁歪部材4の破損や梁部材2の破損を防止し、発電装置1の耐久性を向上させることができる。また、第2の緩衝部材9は、梁部材2の過度な変形を抑止するストッパとして機能し、振動による発電装置1の破損を防止し、発電装置1の耐久性を向上させることができる。特に、アスファルトプラント200で使用される起振体120は、一般的に、振動数15~20Hz、振動加速度5G以上の大きな振動を発生させるため、第1の緩衝部材8、及び、第2の緩衝部材9を設置することにより、梁部材2に過大な負荷がかかることを防止することができる。
【0044】
第1の緩衝部材8は、梁部材2の第1平面板部2aと第2平面板部2cとの間に取り付けられたバネ部材である。第1の緩衝部材8は、梁部材2の第2平面板部2cが変形する方向とは逆向きに第2平面板部2cを付勢する。具体的には、図5(a)に示すように、梁部材2の自由端(端部2d)が下向きに変位するとき(第2平面板部2cが下向きにたわむように変形するとき)は、第1の緩衝部材8には圧縮力が働くため、第1の緩衝部材8は第2平面板部2cを上向きに付勢する。一方、図5(b)に示すように、梁部材2の自由端(端部2d)が上向きに変位するとき(第2平面板部2cが上向きにたわむように変形するとき)は、第1の緩衝部材8には引っ張り力が働くため、第1の緩衝部材8は第2平面板部2cを下向きに付勢する。これにより、第1の緩衝部材8は、変形時の梁部材2、及び、磁歪部材4に過大な負荷がかかることを防止し、梁部材2の破損、及び、磁歪部材4の破損を防止することができる。
【0045】
また、第2の緩衝部材9は、例えば、弾力性を有するゴム部材によって形成される。図5の例において、第2の緩衝部材9は、第1平面板部2aに対して垂直に設けられた補助フレーム3の上部に下向きに取り付けられている。第2の緩衝部材9は、変形していない状態の梁部材2の第2平面板部2c及び磁歪部材4からは離間し、かつ、変形時の第2平面板部2cに対しては当接可能であるように設けられている。なお、「第2の緩衝部材9が梁部材2の第2平面板部2c(変換部)に当接する」とは、第2の緩衝部材9が、梁部材2に固定された磁歪部材4に当接することも含むものとする。具体的には、図5(b)に示すように、梁部材2の自由端(端部2d)が上向きに変位するとき(第2平面板部2cが上向きにたわむように変形するとき)に、第2の緩衝部材9の下端は第2平面板部2cに固定された磁歪部材4に当接する。これにより、第2の緩衝部材9は、梁部材2の自由端(端部2d)の上向きの変位を抑制するストッパとして機能し、梁部材2の過度な変形を抑止することができる。
【0046】
なお、図5に示す例では、発電装置1は、第1の緩衝部材8、及び、第2の緩衝部材9の両方を有しているが、これに限定されず、いずれか一方のみを有していてもよい。また、補助フレーム3と第2平面板部2cとの間に第1の緩衝部材8が設けられていてもよく、第1平面板部2aの上面に第2の緩衝部材9が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…発電装置
2…梁部材
2a…第1平面板部(固定端)
2c…第2平面板部(変換部)
2d…端部(自由端)
4…磁歪部材(発電部)
5…磁石(発電部)
6…コイル(発電部)
8…第1の緩衝部材
9…第2の緩衝部材
13…スクリーン
70…取付部材
71…直線状部材(固定部)
74…バンド部
75…固定板部(固定部)
83…蓄電装置
100…発電システム
200…アスファルトプラント
D…振動方向
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-08-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト及び骨材を含むアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントで用いられる発電システムであって、
前記骨材をふるい分けるスクリーンを振動させるための振動エネルギーを発生させる起振体と、
前記起振体に取り付けられ、前記振動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置とを備え
前記起振体は、
起振体本体と、
前記起振体本体に振動可能に設けられる円管部であって、軸方向に垂直な所定の振動方向に15~20Hzの振動数及び振動加速度5G以上で振動する円管部とを有し、
前記発電装置は、伸縮性を有する帯状のバンド部によって、前記円管部に対して前記振動方向に位置するように取り付けられる、発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の発電システムであって、
前記発電装置は、前記起振体に着脱可能に取り付けられる前記バンド部を有する取付部材を介して、前記起振体に固定される、発電システム。
【請求項3】
請求項2に記載の発電システムであって、
前記取付部材は、
前記発電装置が固定される固定部と、
前記起振体に巻き付けられ、両端が前記固定部に着脱可能に取り付けられる前記バンド部とを有する、発電システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の発電システムであって、
前記発電装置は、
一端が固定端であり、他端が自由端である梁部材と、
前記梁部材の前記固定端と前記自由端との間の変換部が変形することによって前記振動エネルギーを前記電気エネルギーに変換する発電部とを有する、発電システム。
【請求項5】
請求項4に記載の発電システムであって、
前記発電部は、前記梁部材の前記変換部に固定される磁歪部材を有し、
前記磁歪部材の両端のうち少なくとも一端は、前記梁部材に溶接される、発電システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の発電システムであって、
前記発電装置は、前記梁部材の前記変換部が前記起振体の前記振動方向に直交する方向に延びるように、前記起振体に取り付けられる、発電システム。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか一項に記載の発電システムであって、
前記発電装置は、前記梁部材の前記変換部が変形する方向とは逆向きに前記変換部を付勢する第1の緩衝部材を有する、発電システム。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか一項に記載の発電システムであって、
前記発電装置は、変形時の前記梁部材の前記変換部に対して当接可能に設けられた第2の緩衝部材を有する、発電システム。
【請求項9】
アスファルト及び骨材を含むアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントであって、
請求項1~8のいずれか一項に記載の発電システムと、
前記発電システムが発生させた前記電気エネルギーを蓄電する蓄電装置とを備える、アスファルトプラント。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
[1]上記課題を解決するために、本発明に係る発電システムは、アスファルト及び骨材を含むアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントで用いられる発電システムであって、前記骨材をふるい分けるスクリーンを振動させるための振動エネルギーを発生させる起振体と、前記起振体に取り付けられ、前記振動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置とを備え、前記起振体は、起振体本体と、前記起振体本体に振動可能に設けられる円管部であって、軸方向に垂直な所定の振動方向に15~20Hzの振動数及び振動加速度5G以上で振動する円管部とを有し、前記発電装置は、伸縮性を有する帯状のバンド部によって、前記円管部に対して前記振動方向に位置するように取り付けられる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
[2]上記発明において、前記発電装置は、前記起振体に着脱可能に取り付けられる前記バンド部を有する取付部材を介して、前記起振体に固定されてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
[3]上記発明において、前記取付部材は、前記発電装置が固定される固定部と、前記起振体に巻き付けられ、両端が前記固定部に着脱可能に取り付けられる前記バンド部とを有してもよい。