(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169252
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】端子台
(51)【国際特許分類】
H01R 4/38 20060101AFI20221101BHJP
H01R 9/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H01R4/38 C
H01R9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075174
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高田 理悟
【テーマコード(参考)】
5E012
5E086
【Fターム(参考)】
5E012BA12
5E086CC43
5E086CC47
5E086DD04
5E086DD49
5E086LL10
(57)【要約】
【課題】ケースとの間の公差を吸収できる端子台を提供する。
【解決手段】端子台10は、複数の端子20,30,40と、ブラケット50と、樹脂製のハウジング70とを備える。端子20,30,40は、ハウジング70から突出する第1接続部22,32,42と、ハウジング70から第1接続部22,32,42とは反対側に突出する第2接続部23,33,43とをそれぞれ有する。ブラケット50は、ハウジング70から突出するとともにケースに固定される固定部52を有する。第1接続部22,32,42は、ボルトが挿入される接続孔22c,32c,42cをそれぞれ有する。固定部52は、ボルトが挿入される固定孔52dを有する。各接続孔22c,32c,42cの軸線方向と、固定孔52dの軸線方向とは一致している。固定部52の曲げ剛性は、第1接続部22,32,42の各々の曲げ剛性よりも小さい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器のケースに設けられた複数の相手端子と複数の導電部材とを電気的に接続する端子台であって、
前記複数の相手端子の各々と前記複数の導電部材の各々とを電気的に接続する金属板製の複数の端子と、
前記ケースに固定される金属板製のブラケットと、
前記複数の端子及び前記ブラケットが埋設される樹脂製のハウジングと、を備え、
前記複数の端子の各々は、前記ハウジングから突出するとともに前記相手端子に接続される第1接続部と、前記ハウジングから前記第1接続部とは反対側に突出するとともに前記導電部材に接続される第2接続部と、を有し、
前記ブラケットは、前記ハウジングから突出するとともに前記ケースに固定される固定部を有し、
前記第1接続部は、前記相手端子への接続に用いられるボルトが挿入される接続孔を有し、
前記固定部は、前記ケースへの固定に用いられるボルトが挿入される固定孔を有し、
前記接続孔の軸線方向と、前記固定孔の軸線方向とは一致しており、
前記固定部の曲げ剛性は、複数の前記第1接続部の各々の曲げ剛性よりも小さい、
端子台。
【請求項2】
前記固定部の厚さは、前記複数の第1接続部の各々の厚さよりも小さい、
請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記複数の第1接続部の突出方向を第1方向とし、前記第1方向に交差する方向を第2方向とするとき、
前記複数の第1接続部は、前記第2方向において互いに並列しており、
前記複数の第2接続部は、前記第2方向において互いに並列している、
請求項1または請求項2に記載の端子台。
【請求項4】
前記複数の端子の各々における前記第1接続部と前記第2接続部とは、前記第2方向において互いに異なる位置に設けられている、
請求項3に記載の端子台。
【請求項5】
複数の前記ブラケットを備えている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の端子台。
【請求項6】
前記第1方向と前記第2方向との双方に直交する方向を第3方向とするとき、
前記第1接続部は、前記ハウジングから前記第1方向に突出する第1突出部と、前記第1突出部から屈曲して前記第3方向に延びる第1延在部と、を有し、
前記固定部は、前記ハウジングから前記第3方向に直交する面方向に突出する第2突出部と、前記第2突出部から屈曲して前記第3方向において前記第1延在部とは反対側に延びる第2延在部と、を有し、
前記第2突出部は、前記第3方向に貫通する貫通部を有している、
請求項3または請求項4に記載の端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータのコイルから延びるリード線と、モータのケースに設けられた相手端子とを接続する中継部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の中継部材は、リード線に接合される可撓部材と、可撓部材に連結されて相手端子に接続される端子とを有している。
【0003】
端子を相手端子に接続する際、可撓部材が変形することで端子と端子相手との間の公差が吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、中継部材として、複数の端子と樹脂製のハウジングとがインサート成形によって一体化された端子台が用いられることがある。こうした端子台においては、端子台の振動を抑制すべく、ハウジングがケースに固定されることが好ましい。この場合、端子が相手端子に接続されるとともに、ハウジングがケースに固定されることとなるため、端子台とケースとの間に製造公差や組付公差に起因する隙間が生じる場合がある。このため、端子台とケースとの間の公差を吸収することが望まれている。
【0006】
本開示の目的は、端子台とケースとの間の公差を吸収することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の端子台は、機器のケースに設けられた複数の相手端子と複数の導電部材とを電気的に接続する端子台であって、前記複数の相手端子の各々と前記複数の導電部材の各々とを電気的に接続する金属板製の複数の端子と、前記ケースに固定される金属板製のブラケットと、前記複数の端子及び前記ブラケットが埋設される樹脂製のハウジングと、を備え、前記複数の端子の各々は、前記ハウジングから突出するとともに前記相手端子に接続される第1接続部と、前記ハウジングから前記第1接続部とは反対側に突出するとともに前記導電部材に接続される第2接続部と、を有し、前記ブラケットは、前記ハウジングから突出するとともに前記ケースに固定される固定部を有し、前記第1接続部は、前記相手端子への接続に用いられるボルトが挿入される接続孔を有し、前記固定部は、前記ケースへの固定に用いられるボルトが挿入される固定孔を有し、前記接続孔の軸線方向と、前記固定孔の軸線方向とは一致しており、前記固定部の曲げ剛性は、複数の前記第1接続部の各々の曲げ剛性よりも小さい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、端子台とケースとの間の公差を吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態の端子台とケースとを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、型締め前の製造装置を示す断面図である。
【
図8】
図7は、型締め後の製造装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示の端子台は、機器のケースに設けられた複数の相手端子と複数の導電部材とを電気的に接続する端子台であって、前記複数の相手端子の各々と前記複数の導電部材の各々とを電気的に接続する金属板製の複数の端子と、前記ケースに固定される金属板製のブラケットと、前記複数の端子及び前記ブラケットが埋設される樹脂製のハウジングと、を備え、前記複数の端子の各々は、前記ハウジングから突出するとともに前記相手端子に接続される第1接続部と、前記ハウジングから前記第1接続部とは反対側に突出するとともに前記導電部材に接続される第2接続部と、を有し、前記ブラケットは、前記ハウジングから突出するとともに前記ケースに固定される固定部を有し、前記第1接続部は、前記相手端子への接続に用いられるボルトが挿入される接続孔を有し、前記固定部は、前記ケースへの固定に用いられるボルトが挿入される固定孔を有し、前記接続孔の軸線方向と、前記固定孔の軸線方向とは一致しており、前記固定部の曲げ剛性は、複数の前記第1接続部の各々の曲げ剛性よりも小さい。
【0011】
同構成によれば、接続孔の軸線方向と固定孔の軸線方向とが一致しているため、端子における相手端子への取付方向と、ブラケットにおけるケースへの取付方向とが一致する。
ここで、固定部の曲げ剛性は、複数の第1接続部の各々の曲げ剛性よりも小さい。このため、第1接続部をボルトによって相手端子に接続した際に、固定部とケースとの間に隙間が生じている場合であっても、固定孔に挿入されたボルトをケースに締結することで、固定部をケースに向かって変形させやすくなる。したがって、端子台とケースとの間の公差を吸収できる。
【0012】
[2]前記固定部の厚さは、前記複数の第1接続部の各々の厚さよりも小さいことが好ましい。
同構成によれば、固定部の曲げ剛性を複数の第1接続部の各々の曲げ剛性よりも容易に小さくできる。
【0013】
[3]前記複数の第1接続部の突出方向を第1方向とし、前記第1方向に交差する方向を第2方向とするとき、前記複数の第1接続部は、前記第2方向において互いに並列しており、前記複数の第2接続部は、前記第2方向において互いに並列していることが好ましい。
【0014】
同構成によれば、第1方向と第2方向との双方に直交する第3方向における端子台の体格を小さくできる。
[4]前記複数の端子の各々における前記第1接続部と前記第2接続部とは、前記第2方向において互いに異なる位置に設けられていることが好ましい。
【0015】
同構成によれば、相手端子の各々と導電部材の各々との位置が第2方向において異なる場合であっても、端子台によって、これらを電気的に接続することができる。
[5]複数の前記ブラケットを備えていることが好ましい。
【0016】
同構成によれば、端子台を1つのブラケットのみによりケースに固定する場合に比べて、端子台をケースに対して安定して固定することができる。したがって、端子台のケースに対する振動を抑制できる。
【0017】
[6]前記第1方向と前記第2方向との双方に直交する方向を第3方向とするとき、前記第1接続部は、前記ハウジングから前記第1方向に突出する第1突出部と、前記第1突出部から屈曲して前記第3方向に延びる第1延在部と、を有し、前記固定部は、前記ハウジングから前記第3方向に直交する面方向に突出する第2突出部と、前記第2突出部から屈曲して前記第3方向において前記第1延在部とは反対側に延びる第2延在部と、を有し、前記第2突出部は、前記第3方向に貫通する貫通部を有していることが好ましい。
【0018】
同構成によれば、ブラケットの第2延在部は、第3方向において端子の第1接続部の第1延在部とは反対側に延びている。ここで、端子台のインサート成形に際して、端子については、第1延在部を固定型の凹部に挿入することで固定型に対して位置決めする場合がある。この場合、ブラケットについては、第2延在部が第3方向において固定型から離れる側に延びることとなるため、固定型に対して位置決めすることが困難となる。このため、固定型に対するブラケットの位置がずれやすくなる。こうした問題は、例えばロータリ式の射出成形機のように、固定型が移動することに伴って固定型に配置された端子及びブラケットに対して慣性力や振動が作用する装置においては、特に顕著となる。
【0019】
この点、上記構成によれば、第2突出部は、第3方向に貫通する貫通部を有している。これにより、同貫通部に挿入される支持ピンを固定型に設けることで、ブラケットを固定型に対して容易に位置決めすることができる。これにより、上述した不都合を回避することができる。
【0020】
また、上記構成によれば、第2突出部に貫通部が設けられているため、ブラケットの曲げ剛性が小さくなり、ブラケットをケースに向かって変形させやすくなる。したがって、端子台のケースへの取付作業を円滑に行うことができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の端子台の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本明細書における「平行」や「直交」は厳密に平行や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれる。
【0022】
(端子台10の構成)
図1に示すように、端子台10は、例えば、モータなどの機器のケース100に設けられた複数の相手端子110と、複数の導電部材120とを電気的に接続するものである。本実施形態では、端子台10によって3つの相手端子110と3つの導電部材120とが電気的に接続されている。
【0023】
端子台10は、複数の端子20,30,40と、ケース100に固定される複数のブラケット50,60と、樹脂製のハウジング70とを備えている。各端子20,30,40、各ブラケット50,60、及びハウジング70は、インサート成形によって一体化されている。各端子20,30,40の一部、及び各ブラケット50,60の一部は、ハウジング70に埋設されている。端子台10は、各ブラケット50,60によってケース100に固定されている。
【0024】
図1及び
図2に示すように、ケース100は、端子台10をケース100に固定するための2つのボルト141,142が締結される2つのねじ孔101を有している。2つのねじ孔101の軸線方向は一致している。ケース100は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料により形成されている。
【0025】
相手端子110は、例えば、L字状をなしている。相手端子110は、ケース100の内外を貫通する樹脂部材102に一体に設けられている。相手端子110の一端は、ケース100の内部に位置している。相手端子110の他端は、樹脂部材102に設けられた開口103を通じてケース100の外部に露出している。相手端子110の一端は、各端子20,30,40を固定するためのボルト131が挿入される挿入孔111を有している。ケース100の内部のうち、各相手端子110の一端に板厚方向において隣接する部分には、挿入孔111と同軸上に位置し、ボルト131が締結されるナットが設けられている。各挿入孔111の軸線方向と、各ねじ孔101の軸線方向とは一致している。
【0026】
導電部材120は、例えば、モータのコイルに電力を供給するリード線である。リード線は、可撓性を有している。
図1では、リード線の先端を構成する接続端子のみが図示されている。
【0027】
(端子20,30,40の構成)
図3及び
図4に示すように、端子30及び端子40は、端子20と共通する構造を有している。このため、以降では端子20の構成について詳述する。端子30及び端子40の構造については、端子20の構成を示す符号「2*」に「10」及び「20」を加算した符号「3*」及び「4*」をそれぞれ付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。
【0028】
端子20は、金属板を曲げ加工することにより形成されている。端子20は、例えば、銅系またはアルミニウム系などの金属材料により形成されている。本実施形態の端子20は、銅系の金属材料により形成されている。
【0029】
端子20は、ハウジング70に埋設された埋設部21と、ハウジング70から突出した第1接続部22と、ハウジング70から第1接続部22とは反対側に突出した第2接続部23とを有している。第1接続部22は、埋設部21の一端に連なっている。第2接続部23は、埋設部21の他端に連なっている。
図1に示すように、第1接続部22は、ボルト131によって相手端子110に接続されている。第2接続部23は、ボルト132によって導電部材120に接続されている。
【0030】
図4に示すように、複数の第1接続部22,32,42は、これらの突出方向に直交する方向において互いに並列している。複数の第1接続部22,32,42は、平行をなしている。複数の第2接続部23,33,43は、これらの突出方向に直交する方向において並列している。複数の第2接続部23,33,43は、平行をなしている。
【0031】
以降において、各第1接続部22,32,42の突出方向を第1方向Xと称する。第1方向Xに直交する方向を第2方向Yと称する。第1方向Xと第2方向Yとの双方に直交する方向を第3方向Zと称する。なお、第2方向Yは、複数の第1接続部22,32,42が互いに並列するとともに、複数の第2接続部23,33,43が互いに並列する方向である。
【0032】
第1接続部22と第2接続部23とは、第2方向Yにおいて互いに異なる位置に設けられている。
埋設部21は、第2方向Yに延びる直線部21aと、第1接続部22に連なる第1連結部21bと、第2接続部23に連なる第2連結部21cとを有している。
【0033】
第1連結部21bは、直線部21aの一端から屈曲して第1方向Xにおいて第1接続部22に向かって延びている。第2連結部21cは、直線部21aの他端から屈曲して第1方向Xにおいて第2接続部23に向かって延びている。
【0034】
図3に示すように、第1接続部22は、ハウジング70から第1方向Xの一方に突出する突出部22aと、突出部22aから屈曲して第3方向Zの一方に延びる延在部22bとを有している。各突出部22a,32a,42aは、[本開示の実施形態の説明]における第1突出部に相当する。各延在部22b,32b,42bは、[本開示の実施形態の説明]における第1延在部に相当する。
【0035】
第1接続部22は、相手端子110への接続に用いられるボルト131が挿入される接続孔22cを有している。接続孔22cは、第1方向Xにおいて延在部22bを貫通している。
【0036】
第2接続部23は、ハウジング70から第1方向Xの一方とは反対の他方に延びる突出部23aと、突出部23aから屈曲して第3方向Zの一方とは反対の他方に延びる延在部23bと、延在部23bから屈曲して第1方向Xの他方に延びる延在部23cとを有している。
【0037】
突出部23aは、ハウジング70から第1方向Xにおいて突出部22aとは反対側に突出している。延在部23bは、突出部23aから第3方向Zにおいて延在部22bとは反対側に延びている。延在部23cは、延在部23bから第1方向Xにおいて突出部23aとは反対側に延びている。
【0038】
図4に示すように、第2接続部23は、導電部材120への接続に用いられるボルト132が挿入される接続孔23dを有している。接続孔23dは、第3方向Zにおいて延在部23cを貫通している。延在部23cにおける第3方向Zの一方の面には、ボルト132が締結されるナット24が取り付けられている。ナット24は、接続孔23dと同軸上に設けられている。
【0039】
次に、
図3及び
図4を参照して、各端子30,40と端子20との相違点について説明する。
端子30の第1連結部31bは、端子20の第1連結部21bよりも短い。端子30の第2連結部31cは、端子20の第2連結部21cよりも長い。端子30の延在部33bは、端子20の延在部23bよりも長い。端子30の埋設部31は、延在部33bと延在部23bとの差の分だけ第3方向Zにおいて端子20の埋設部21から離れた位置に設けられている。
【0040】
端子40の延在部43bは、端子20の延在部23bよりも長い。なお、端子40の延在部43bは、端子30の延在部33bよりも長い。端子40の埋設部41は、延在部43bと延在部23bとの差の分だけ第3方向Zにおいて端子20の埋設部21から離れた位置に設けられている。
【0041】
各延在部23c,33c,43cは、第3方向Zにおいて同一の位置に設けられている。
(ブラケット50の構成)
図3に示すように、ブラケット50は、金属板を曲げ加工することにより形成されている。ブラケット50は、例えば、鉄系またはアルミニウム系などの金属材料により形成されている。本実施形態のブラケット50は、鉄系の金属材料により形成されている。
【0042】
ブラケット50は、ハウジング70に埋設された埋設部51と、ハウジング70から突出した固定部52とを有している。固定部52は、埋設部51に連なっている。
図1に示すように、固定部52は、ボルト141によってケース100に固定されている。固定部52は、ハウジング70から第1方向Xにおいて第1接続部22と同じ側に突出している。
【0043】
図4に示すように、埋設部51は、第2方向Yにおいて第2接続部33と第2接続部43との間に位置している。
図5に示すように、埋設部51は、端子40の埋設部41よりも第3方向Zの一方側に位置している。
【0044】
図3に示すように、固定部52は、ハウジング70から第1方向Xの一方に突出する突出部52aと、突出部52aから屈曲して第3方向Zの一方に延びる延在部52bと、延在部52bから屈曲して第2方向Yの一方に延びる延在部52cとを有している。
【0045】
突出部52aは、ハウジング70から第1方向Xにおいて第1接続部22の突出部22aと同じ側に突出している。延在部52cは、延在部52bから第2方向Yにおいて各端子20,30,40に向かう側に延びている。延在部52bの長さは、突出部52aの長さよりも大きい。
【0046】
固定部52は、ケース100への固定に用いられるボルト141が挿入される固定孔52dを有している。固定孔52dは、延在部52cを第1方向Xにおいて貫通している。すなわち、各接続孔22c,32c,42cの軸線方向と、固定孔52dの軸線方向とは一致している。
【0047】
ブラケット50の厚さは、端子20,30,40の各々の厚さよりも小さい。これにより、固定部52の曲げ剛性は、端子20,30,40の各々の曲げ剛性よりも小さくされている。
【0048】
本実施形態では、各端子20,30,40が各相手端子110に接続された状態において、固定部52とケース100との間に隙間が生じるようにハウジング70からの固定部52の突出量が設定されている。このため、固定部52は、ケース100に向かって僅かに変形した状態でケース100に固定されている。本実施形態の固定部52は、塑性変形した状態でケース100に固定されている。なお、固定部52は、弾性変形した状態でケース100に固定されるものであってもよい。
【0049】
(ブラケット60の構成)
ブラケット60は、金属板を曲げ加工することにより形成されている。ブラケット60は、例えば、鉄系またはアルミニウム系などの金属材料により形成されている。本実施形態のブラケット60は、鉄系の金属材料により形成されている。
【0050】
ブラケット60は、ハウジング70に埋設された埋設部61と、ハウジング70から突出した固定部62とを有している。固定部62は、埋設部61に連なっている。
図1に示すように、固定部62は、ボルト142によってケース100に固定されている。固定部62は、ハウジング70から第1方向Xにおいて第1接続部22とは反対側、すなわち、第2接続部23と同じ側に突出している。
【0051】
図4に示すように、埋設部61は、第2方向Yにおいて第1接続部22に重なる位置に設けられている。
図6に示すように、埋設部61は、端子20の埋設部21よりも第3方向Zの他方側に位置している。
【0052】
図3に示すように、固定部62は、ハウジング70から第1方向Xの他方に突出する突出部62aと、突出部62aから屈曲して第3方向Zの他方に延びる延在部62bとを有している。
【0053】
突出部62aは、ハウジング70から第1方向Xにおいて第1接続部22の突出部22aとは反対側、すなわち、第2接続部23の突出部23aと同じ側に突出している。延在部62bの長さは、突出部62aの長さよりも大きい。
【0054】
固定部62は、突出部62aを第3方向Zに貫通する貫通孔62cを有している。貫通孔62cは、[本開示の実施形態の説明]における貫通部に相当する。
固定部62は、ケース100への固定に用いられるボルト142が挿入される固定孔62dを有している。固定孔62dは、延在部62bを第1方向Xにおいて貫通している。すなわち、各接続孔22c,32c,42cの軸線方向と、固定孔62dの軸線方向とは一致している。したがって、固定孔62dの軸線方向は、ブラケット50における固定孔52dの軸線方向とも一致している。
【0055】
ブラケット60の厚さは、端子20,30,40の各々の厚さよりも小さい。これにより、固定部62の曲げ剛性は、端子20,30,40の各々の曲げ剛性よりも小さくされている。なお、ブラケット60の厚さは、例えば、ブラケット50の厚さとは同一である。
【0056】
本実施形態では、各端子20,30,40が各相手端子110に接続された状態において、固定部62とケース100との間に隙間が生じるように固定部62のハウジング70からの突出量が設定されている。このため、固定部62は、ケース100に向かって僅かに変形した状態でケース100に固定されている。本実施形態の固定部62は、塑性変形した状態でケース100に固定されている。なお、固定部62は、弾性変形した状態でケース100に固定されるものであってもよい。
【0057】
(ハウジング70の構成)
ハウジング70は、例えば、熱可塑性樹脂などの樹脂材料により形成されている。
ハウジング70は、埋設部21を保持する第1保持部71と、埋設部31を保持する第2保持部72と、埋設部41を保持する第3保持部73とを有している。各保持部71~73は、一体に形成されている。各保持部71~73は、各埋設部21,31,41の外周を全体にわたって覆っている。
【0058】
なお、ブラケット50は、第3保持部73から突出している。ブラケット60は、第1保持部71から突出している。
(端子台10の製造手順)
まず、端子台10を製造する際に用いる製造装置200について説明する。
【0059】
図7に示すように、製造装置200は、固定型210と、固定型210に対して進退可能に設けられた可動型220と、回転軸Lを中心として回転可能に構成されたロータリテーブル230とを備えている。製造装置200は、所謂ロータリ式の射出成形機である。
【0060】
固定型210は、ロータリテーブル230における回転軸Lよりも外周側の部分に設置されている。固定型210は、ロータリテーブル230の回転に伴って、可動型220に対して回転軸Lを中心とする周方向に移動可能に構成されている。
【0061】
図8に示すように、固定型210と可動型220との間には、これらが型締めされることによってキャビティCが形成される。キャビティCには、各端子20,30,40及び各ブラケット50,60が配置されるとともに、図示しない射出装置によってハウジング70の原料となる熱可塑性の樹脂材料が射出される。
【0062】
固定型210は、各端子20,30,40の各延在部22b,32b,42bが挿入される1つまたは複数の凹部211を有している。また、図示は省略するが、固定型210は、ブラケット50の固定部52が挿入される凹部を有している。
【0063】
固定型210は、可動型220に向かって突出するとともにブラケット60の貫通孔62cに挿入される支持ピン212を有している。支持ピン212は、固定型210に対する可動型220の進退方向に延びている。
【0064】
可動型220は、ブラケット60の延在部62bが挿入される凹部221を有している。また、図示は省略するが、可動型220は、各端子20,30,40の各第2接続部23,33,43が挿入される1つまたは複数の凹部を有している。
【0065】
次に、
図7及び
図8を参照して、端子台10の製造手順について説明する。なお、以降では、便宜上、
図7及び
図8において端子20とブラケット60とを図示して説明することで、各端子30,40とブラケット50との図示を省略する。
【0066】
図7に示すように、端子台10を製造する際は、まず、固定型210に各端子20,30,40と、各ブラケット50,60とを配置する。
このとき、各端子20,30,40は、各延在部22b,32b,42bが凹部211に挿入されることにより固定型210に対して位置決めされている。ブラケット50は、固定部52が図示しない凹部に挿入されることにより固定型210に対して位置決めされている。ブラケット60は、貫通孔62cに支持ピン212が挿入されることにより固定型210に対して位置決めされている。
【0067】
次に、ロータリテーブル230を回転させることにより、固定型210と可動型220とを対向させる。そして、
図8に示すように、固定型210及び可動型220を型締めしてキャビティCを形成する。このとき、キャビティCには、各埋設部21,31,41,51,61が配置されている。そして、射出装置によりキャビティCに樹脂材料を射出する。その後、樹脂材料を冷却して固化させることで、ハウジング70を形成する。これにより、各端子20,30,40、各ブラケット50,60、及びハウジング70が一体に形成された端子台10が製造される。
【0068】
最後に、端子台10を固定型210及び可動型220から取り外す。
(端子台10のケース100への取付手順)
図1に示すように、端子台10をケース100に取り付ける際は、まず、各端子20,30,40の各第1接続部22,32,42に各ボルト131を挿入して各相手端子110に対して仮締めする。また、各ブラケット50,60の各固定部52,62に各ボルト141,142を挿入してケース100に対して仮締めする。
【0069】
次に、各ボルト131を本締めすることで、各端子20,30,40を各相手端子110に対して固定する。これにより、各端子20,30,40と各相手端子110とが電気的に接続される。
【0070】
次に、各ボルト141,142を本締めすることで、各ブラケット50,60をケース100に対して固定する。
ここで、上述したように、各端子20,30,40が各相手端子110に接続された状態において、各固定部52,62とケース100との間には隙間が生じている。このため、各ボルト141,142を本締めすることによって、各ブラケット50,60は、上記隙間を埋めるようにケース100に向かって塑性変形する。これにより、各ブラケット50,60は、ケース100に向かって塑性変形した状態でケース100に固定される。
【0071】
最後に、各ボルト132によって、各第2接続部23,33,43を各導電部材120に対して固定する。これにより、各第2接続部23,33,43と各導電部材120とが電気的に接続される。
【0072】
ここで、上述したように、各導電部材120は、可撓性を有するリード線である。このため、各導電部材120によって、各第2接続部23,33,43と各導電部材120との間の公差が吸収される。
【0073】
本実施形態の作用について説明する。
端子台10では、各接続孔22c,32c,42cの軸線方向と、各固定孔52d,62dの軸線方向とが一致している。このため、各端子20,30,40における各相手端子110への取付方向と、各ブラケット50,60におけるケース100への取付方向とが一致する。
【0074】
ここで、固定部52,62の各々の曲げ剛性は、第1接続部22,32,42の各々の曲げ剛性よりも小さい。このため、各第1接続部22,32,42を各ボルト131によって各相手端子110に接続した際に、各固定孔52d,62dに挿入された各ボルト141,142をケース100に締結することで、各固定部52,62をケース100に向かって変形させやすくなる。
【0075】
本実施形態の効果について説明する。
(1)端子台10は、複数の端子20,30,40と、複数のブラケット50,60と、複数の端子20,30,40及び複数のブラケット50,60が埋設される樹脂製のハウジング70とを備える。端子20,30,40は、ハウジング70から突出する第1接続部22,32,42と、ハウジング70から第1接続部22,32,42とは反対側に突出する第2接続部23,33,43とをそれぞれ有する。ブラケット50,60は、ハウジング70から突出する固定部52,62をそれぞれ有する。第1接続部22,32,42は、相手端子110への接続に用いられるボルト131が挿入される接続孔22c,32c,42cをそれぞれ有する。固定部52,62は、ケース100への固定に用いられるボルト141,142が挿入される固定孔52d,62dをそれぞれ有する。各接続孔22c,32c,42cの軸線方向と、各固定孔52d,62dの軸線方向とは一致している。固定部52,62の各々の曲げ剛性は、第1接続部22,32,42の各々の曲げ剛性よりも小さい。
【0076】
こうした構成によれば、上述した作用を奏することから、端子台10とケース100との間の公差を吸収できる。
また、上記構成によれば、端子台10を1つのブラケットのみによりケース100に固定する場合に比べて、端子台10をケース100に対して安定して固定することができる。したがって、端子台10のケース100に対する振動を抑制できる。
【0077】
(2)固定部52,62の各々の厚さは、第1接続部22,32,42の各々の厚さよりも小さい。
こうした構成によれば、固定部52,62の各々の曲げ剛性を第1接続部22,32,42の各々の曲げ剛性よりも容易に小さくできる。
【0078】
(3)複数の第1接続部22,32,42は、第2方向Yにおいて互いに並列している。複数の第2接続部23,33,43は、第2方向Yにおいて互いに並列している。
こうした構成によれば、第3方向Zにおける端子台10の体格を小さくできる。
【0079】
(4)端子20,30,40の各々における第1接続部22,32,42と第2接続部23,33,43とは、第2方向Yにおいて互いに異なる位置に設けられている。
こうした構成によれば、各相手端子110と各導電部材120との位置が第2方向Yにおいて異なる場合であっても、端子台10によって、これらを電気的に接続することができる。
【0080】
(5)第1接続部22,32,42は、ハウジング70から第1方向Xに突出する突出部22a,32a,42aと、突出部22a,32a,42aから屈曲して第3方向Zに延びる延在部22b,32b,42bとをそれぞれ有する。固定部62は、ハウジング70から第1方向Xにおいて各突出部22a,32a,42aとは反対側に突出する突出部62aと、突出部62aから屈曲して第3方向Zにおいて各延在部22b,32b,42bとは反対側に延びる延在部62bとを有する。突出部62aは、第3方向Zに貫通する貫通孔62cを有する。
【0081】
こうした構成によれば、ブラケット60の延在部62bは、第3方向Zにおいて各端子20,30,40の各延在部22b,32b,42bとは反対側に延びている。ここで、端子台10のインサート成形に際して、各端子20,30,40については、本実施形態のように、各延在部22b,32b,42bを固定型210の凹部211に挿入することで固定型210に対して位置決めする場合がある。この場合、ブラケット60については、延在部62bが第3方向Zにおいて固定型210から離れる側に延びることとなるため、固定型210に対して位置決めすることが困難となる。このため、固定型210に対するブラケット60の位置がずれやすくなる。こうした問題は、ロータリ式の射出成形機である本実施形態の製造装置200のように、固定型210が移動することに伴って固定型210に配置された各端子20,30,40及び各ブラケット50,60に対して慣性力や振動が作用する装置においては、特に顕著となる。更に、こうした問題は、本実施形態のようにブラケット60における延在部62bの長さが、突出部62aの長さよりも大きい場合においても、特に顕著となる。
【0082】
この点、上記構成によれば、突出部62aは、第3方向Zに貫通する貫通孔62cを有している。これにより、貫通孔62cに挿入される支持ピン212を固定型210に設けることで、ブラケット60を固定型210に対して容易に位置決めすることができる。これにより、上述した不都合を回避することができる。
【0083】
また、上記構成によれば、突出部62aに貫通孔62cが設けられているため、ブラケット60の曲げ剛性が小さくなり、ブラケット60をケース100に向かって変形させやすくなる。したがって、端子台10のケース100への取付作業を円滑に行うことができる。なお、ブラケット60は、端子台10における導電経路を形成するものではないため、ブラケット60に貫通孔62cを設けることにより、当該導電経路の断面積が減少することを回避できる。
【0084】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0085】
・ブラケット60の突出部62aは、貫通孔62cに代えて、貫通部としての切り欠きを有するものであってもよい。
・各端子20,30,40及び各ブラケット50,60の形状は、各相手端子110及び各導電部材120の位置や、ケース100の形状に応じて適宜変更できる。例えば、端子20,30,40から延在部22b,32b,42bをそれぞれ省略し、ブラケット50から延在部52b,52cをそれぞれ省略し、ブラケット60から延在部62bを省略することができる。この場合、例えば、突出部22a,32a,42aに接続孔22c,32c,42cをそれぞれ設け、突出部52aに固定孔52dを設け、突出部62aに固定孔62dを設ければよい。
【0086】
・各固定部52,62は、ハウジング70から第1方向Xに突出するものに限定されない。各固定部52,62は、第3方向Zに直交する面方向であれば、ハウジング70から任意の方向に突出するものであってもよい。
【0087】
・端子台10は、各ブラケット50,60に加えて、ケース100に固定される他のブラケットを備えるものであってもよい。
・端子台10からブラケット50及びブラケット60のどちらか一方を省略することができる。
【0088】
・各固定孔52d,62dは長穴であってもよい。
・端子20,30,40の各々における第1接続部22,32,42と第2接続部23,33,43とは、第2方向Yにおいて同一の位置に設けられていてもよい。この場合、各端子20,30,40を同一の形状にすることができる。
【0089】
・固定部52,62の各々の厚さは、第1接続部22,32,42の各々の厚さと同一であってもよい。この場合、固定部52,62の各々の幅を第1接続部22,32,42の各々の幅よりも小さくすることで、固定部52,62の各々の曲げ剛性を第1接続部22,32,42の各々の曲げ剛性よりも小さくしてもよい。また、固定部52,62の各々に、貫通孔、切り欠き、及び薄肉部などを設けることにより、固定部52,62の各々の曲げ剛性を第1接続部22,32,42の各々の曲げ剛性よりも小さくしてもよい。
【0090】
・端子台10は、2つの端子を備えるものであってもよいし、3つ以上の端子を備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0091】
C キャビティ
L 回転軸
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向
10 端子台
20 端子
21 埋設部
21a 直線部
21b 第1連結部
21c 第2連結部
22 第1接続部
22a 突出部
22b 延在部
22c 接続孔
23 第2接続部
23a 突出部
23b 延在部
23c 延在部
23d 接続孔
24 ナット
30 端子
31 埋設部
31a 直線部
31b 第1連結部
31c 第2連結部
32 第1接続部
32a 突出部
32b 延在部
32c 接続孔
33 第2接続部
33a 突出部
33b 延在部
33c 延在部
33d 接続孔
34 ナット
40 端子
41 埋設部
41a 直線部
41b 第1連結部
41c 第2連結部
42 第1接続部
42a 突出部
42b 延在部
42c 接続孔
43 第2接続部
43a 突出部
43b 延在部
43c 延在部
43d 接続孔
44 ナット
50 ブラケット
51 埋設部
52 固定部
52a 突出部
52b 延在部
52c 延在部
52d 固定孔
60 ブラケット
61 埋設部
62 固定部
62a 突出部
62b 延在部
62c 貫通孔
62d 固定孔
70 ハウジング
71 第1保持部
72 第2保持部
73 第3保持部
100 ケース
101 ねじ孔
102 樹脂部材
103 開口
110 相手端子
111 挿入孔
120 導電部材
131 ボルト
132 ボルト
141 ボルト
142 ボルト
200 製造装置
210 固定型
211 凹部
212 支持ピン
220 可動型
221 凹部
230 ロータリテーブル