(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169330
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 41/02 20060101AFI20221101BHJP
F04B 41/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
F04B41/02 Z
F04B41/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075302
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 裕介
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 広明
【テーマコード(参考)】
3H076
【Fターム(参考)】
3H076AA35
3H076BB01
3H076BB07
3H076CC46
3H076CC94
3H076CC99
(57)【要約】
【課題】騒音低減と吸気温度の低減を両立させる圧縮機を提供する。
【解決手段】本発明の圧縮機S1は、筐体101と、気体を圧縮する圧縮機本体102と、駆動用のモータ103と、モータ103を制御する制御基板104と、圧縮機本体102の吐出気体を貯留するタンク105とを備え、筐体101内には、圧縮機本体102、モータ103を格納する機械室201と、圧縮機本体102とタンク105とを接続する配管108が配設されるB室204と、タンク105を格納するA室203と、機械室201とA室203及びB室204とを区切るA隔壁202と、A室203とB室204とに分割するB隔壁205とを有し、A室203は、外気の吸気口206を有し、A隔壁202は、機械室201とA室203とを連通する穴であるA通気口301を有し、その近傍に、圧縮機本体102の吸込み口109が位置している。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭を形成する筐体と、気体を圧縮する圧縮機本体と、前記圧縮機本体を駆動するモータと、前記モータを制御する制御基板と、前記圧縮機本体からの吐出気体を貯留するタンクとを備え、
前記筐体内には、前記圧縮機本体および前記モータを格納する機械室と、前記圧縮機本体と前記タンクとを接続する配管が配設されるB室と、前記タンクを格納するA室と、前記機械室と前記A室および前記B室とを区切るA隔壁と、前記A室と前記B室とに分割するB隔壁とを有し、
前記A室は、外気を導入する吸気口を有し、
前記A隔壁は、前記機械室と前記A室とを連通する穴であるA通気口を有し、
前記A通気口の近傍に、前記圧縮機本体の吸込み口が位置している圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮機において、
前記A通気口から前記モータの冷却ファンへの流路と、前記A通気口から前記吸込み口への流路とが異なるように構成されている圧縮機。
【請求項3】
請求項1において、
前記A隔壁は、B室と連通するB通気口と、前記機械室と前記B室とを連通するスリットとを有し、
前記スリットは、前記圧縮機本体の吸込み口近傍に位置している圧縮機。
【請求項4】
請求項1において、
前記A隔壁は、B室と連通するB通気口と、前記機械室と前記B室とを連通するスリットとを有し、
前記スリットは、前記圧縮機本体の吸込み口近傍に位置し、
前記スリットは、前記配管に沿った流れを吸い込むことができる位置であって、前記吸込み口のフィルタに近い位置である圧縮機。
【請求項5】
請求項1において、
前記A隔壁は、B室と連通するB通気口と、前記機械室と前記B室とを連通するスリットとを有し、
前記スリットは、前記圧縮機本体の吸込み口近傍に位置し、
前記スリットは、縦寸法と横寸法とが異なる形状である圧縮機。
【請求項6】
請求項1において、
前記A隔壁は、B室と連通するB通気口と、前記機械室と前記B室とを連通するスリットとを有し、
前記スリットは、前記圧縮機本体の吸込み口近傍に位置し、
前記スリットは、一つの前記吸込み口に対して複数ある圧縮機。
【請求項7】
請求項1において、
前記A隔壁は、B室と連通するB通気口と、前記機械室と前記B室とを連通するスリットとを有し、
前記スリットは、前記圧縮機本体の吸込み口近傍に位置し、
前記スリットは、側方から見て前記吸込み口と前記モータとの間にある圧縮機。
【請求項8】
請求項1に記載の圧縮機おいて、
前記B室には、前記圧縮機本体と前記タンクとが接続されるゴムホースと、制御用の電気部品とが格納されている圧縮機。
【請求項9】
請求項1に記載の圧縮機おいて、
前記A隔壁の一部または全部が取り外し可能であり、前記A隔壁の取り外しできる部分に把手を有している圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特許文献1および特許文献2がある。
特許文献1には、電動モータ(9)を駆動するインバータ装置(11)の冷却手段として、インバータ装置専用の冷却風ダクト(12)とそのダクト(12)内に専用の冷却ファン(10)を設けることで、インバータ装置(11)を冷却ファン(10)により冷却すると共に、冷却後の空気を外部に排気して圧縮部(8)、電動モータ(9)等の冷却効率も高めることができる圧縮機が記載されている。
【0003】
特許文献2は、パッケージ内に圧縮機本体(2)と圧縮機本体(2)を駆動するモータ(3)と、モータ(3)の回転制御をおこなうインバータ(4)を収容したパッケージ型圧縮機の冷却に関し、インバータ(4)の冷却を確保しつつ、各部品配置の制約を少なくして生産性を向上させたパッケージ型圧縮機を提供することを目的としている。そして、パッケージ型圧縮機であって、空気の圧縮を行う圧縮機本体(2)と、圧縮機本体(2)を駆動するモータ(3)と、モータ(3)の回転速度を制御するインバータ(4)と、圧縮機本体(2)に設けた冷却ファン(5)を備え、インバータ(4)を圧縮機本体(2)に設けた冷却ファン(5)による冷却風の吸気経路中に設けた構成とする圧縮機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-324615号公報(
図1、
図2、
図3、段落0025、0079等)
【特許文献2】特開2016-75159号公報(
図2、
図3、
図5、段落0010、0012等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1、2には、パッケージ型圧縮機において、騒音低減と吸気温度の低減を両立させる技術については記載されていない。
本発明は上記実状に鑑み創案されたものであり、騒音低減と吸気温度の低減を両立させる圧縮機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の圧縮機は、外郭を形成する筐体と、気体を圧縮する圧縮機本体と、前記圧縮機本体を駆動するモータと、前記モータを制御する制御基板と、前記圧縮機本体からの吐出気体を貯留するタンクとを備え、前記筐体内には、前記圧縮機本体および前記モータを格納する機械室と、前記圧縮機本体と前記タンクとを接続する配管が配設されるB室と、前記タンクを格納するA室と、前記機械室と前記A室および前記B室とを区切るA隔壁と、前記A室と前記B室とに分割するB隔壁とを有し、前記A室は、外気を導入する吸気口を有し、前記A隔壁は、前記機械室と前記A室とを連通する穴であるA通気口を有し、前記A通気口の近傍に、前記圧縮機本体の吸込み口が位置している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、騒音低減と吸気温度の低減を両立させる圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】実施形態1におけるスクロール式圧縮機を斜め前上方から見た模式図。
【
図1B】実施形態1におけるスクロール式圧縮機の筐体を形成する外部板および前A隔壁を取り外した状態の模式図
【
図2A】実施形態1におけるスクロール式圧縮機の筐体の外部板の一部を取り外した状態の模式図。
【
図2B】スクロール式圧縮機の筐体の外部板の一部を取り外した状を左斜め上後方から見た模式図。
【
図2C】スクロール式圧縮機の筐体の後板を取り外した状を左斜め上後方から見た模式図。
【
図3】実施形態1におけるスクロール式圧縮機の筐体の外部板と空気タンクとを取り外した状態を右側から見た模式図。
【
図4A】実施形態1におけるスクロール式圧縮機の筐体の外部板の一部を取り外した状態の模式図。
【
図4B】実施形態1におけるスクロール式圧縮機の筐体の左側板の一部を取り外し、前A隔壁を外した状態を左側から見た模式図。
【
図5】実施形態2のスクロール式圧縮機を上方から見た配置模式図。
【
図6】実施形態2の他例1のスクロール式圧縮機を上方から見た配置模式図。
【
図7】実施形態2の他例2のスクロール式圧縮機をA室、B室の側から見た模式図。
【
図8】変形例1の前A隔壁のスリットとスクロール圧縮機本体の吸込み口とを左側方から見た模式図。
【
図9】変形例2の前A隔壁のスリットとスクロール圧縮機本体の吸込み口とを左側方から見た模式図。
【
図10】変形例3の前A隔壁のスリットとスクロール圧縮機本体の吸込み口とを左側方から見た模式図。
【
図11A】変形例4の前A隔壁のスリットとスクロール圧縮機本体の吸込み口とを左側方から見た模式図。
【
図11B】変形例4の前A隔壁のスリットとスクロール圧縮機本体の吸込み口とを左側方から見た模式図。
【
図12A】変形例5の前A隔壁のスリットとスクロール圧縮機本体の吸込み口とを左側方から見た模式図。
【
図12B】変形例5の前A隔壁のスリットとスクロール圧縮機本体の吸込み口とを左側方から見た模式図。
【
図13A】変形例6の前A第1隔壁と前A第2隔壁とを取り外した状態のスクロール式圧縮機を、B室、A室の側から見た図。
【
図13B】変形例6の前A第1隔壁を取り外さず、前A第2隔壁を取り外した状態のスクロール式圧縮機を、B室、A室の側から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の圧縮機としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
<<実施形態1>>
【0010】
図1Aに、実施形態1におけるスクロール式圧縮機S1を斜め前上方から見た模式図を示す。
図1Bに、実施形態1におけるスクロール式圧縮機S1の筐体101を形成する側板1i1、前板101mおよび前A隔壁202a(
図2A参照)を取り外した状態の模式図を示す。
【0011】
図1Aに示すように、実施形態1のスクロール式圧縮機S1は、筐体101によって外郭が形成されている。
筐体101は、前板101m、天板101t、後板101u(
図2B参照)、側板1i1、1i2、および底板101oを有している。側板1i1の内側には、スクロール式圧縮機S1の制御を担う電気部品204d(
図2C参照)が収納された電気品箱204bが設置されている。側板1i1には、吸気口101aが設けられている。
【0012】
図1Bに示す筐体101の内部には、スクロール圧縮機本体102、モータ103、制御基板104、空気タンク105、電動ファン106、およびエアードライヤー107が設置されている。
スクロール圧縮機本体102は、吸込み口109から供給される空気の圧縮を行う。モータ103は、スクロール圧縮機本体102を駆動する。
制御基板104は、スクロール式空気圧縮機S1の運転を制御する。空気タンク105は、スクロール圧縮機本体102で生成した圧縮空気を貯留する。
【0013】
電動ファン106は、高温の圧縮空気を貯留する空気タンク105を冷却する。エアードライヤー107は、空気タンク105に貯留される圧縮空気を除湿する。エアードライヤー107は、圧縮空気の流路となる配管108によって空気タンク105と接続されている。
スクロール圧縮機本体102は、空気を吸い込むための吸い込み口109を有する。吸込み口109はその周面109sに、空気中の塵埃を除去するためのフィルタ109fが設置されている。なお、本実施形態では、吸い込み口109とフィルタ109fを2つの場合を例に挙げているが、吸い込み口109とフィルタ109fの数は2つに限らない。例えば、吸い込み口109、フィルタ109fは1つでもよいし、3つ以上としてもよい。
【0014】
スクロール圧縮機本体102と、スクロール圧縮機本体102で生成された圧縮空気を貯留する空気タンク105とは、ゴムホース110によって接続されている。
筐体101の天板101tには、エアードライヤー107の排気口101eとスクロール圧縮機本体102の排気口101sが開口されている。
排気口101eからは、エアードライヤー107を冷却した空気が排出される。排気口101sからは、スクロール圧縮機本体102を冷却した空気が排出される。
【0015】
図2Aに、実施形態1におけるスクロール式圧縮機S1の筐体101の前板101mと側板101iを取り外した状態の模式図を示す。
図2Bに、スクロール式圧縮機S1の筐体101の前板101mと側板101iを取り外した状態を左斜め上後方から見た模式図を示す。
【0016】
図2Cに、スクロール式圧縮機S1の筐体101の後板101uを取り外した状を左斜め上後方から見た模式図を示す。なお、
図2Cでは電気品箱204bの蓋を外した状態を示している。
【0017】
<機械室201>
図2Aに示すように、筐体101の内部は、機械室201とA室203とB室204とに区分けされている。
筐体101内には、機械室201とそれ以外の空間である後側のA室203、前側のB室204とを区切る前A隔壁202aと後A隔壁202b(
図3参照)が設置されている。
A隔壁202は、前A隔壁202aと後A隔壁202bとを有する。後A隔壁202bは、筐体101に固定されている。
なお、前A隔壁202aと後ろA隔壁202bを総称して、A隔壁202と称することがある。
【0018】
A隔壁202としての前A隔壁202aは、利用者が取り外しできる構成である。
図3に、実施形態1におけるスクロール式圧縮機S1の筐体101の外部板と空気タンク105(
図2A参照)とを取り外した状態を右側から見た模式図を示す。
前A隔壁202aの手前上部には、利用者が把持するための把手402が設置されている。
【0019】
図1Bに示すように、筐体101内には、機械室201以外の空間であるA室203とB室204とを分割するB隔壁205が設置されている。
機械室201には、スクロール圧縮機本体102およびモータ103が設置されている。
【0020】
<A室203>
A室203には、空気タンク105が配置されている。
後側のA室203の後下部には、外気を導入する吸気口206が形成されている。吸気口206を空気タンク105の下部後方に配置することで、吸気口206を通過した冷たい空気で空気タンク105を冷却する。
図4Aに示すように、A室203のタンク室内に電動ファン106によって気流を起こすことで、下から上に冷たい空気が流れる。また、冷たい空気が下の方に溜まり易いことから、吸気口206は下部に配置した方が効果が高い。
【0021】
図2Bに示すように、電動ファン106の後方にある筐体101の後板101uの上部には、排気口101fが設置されている。その他、筐体101の後板101uには、スクロール圧縮機本体102のための吸気口101hとエアードライヤー107のための吸気口101d1、101d2とが設置されている。
これにより、後板101uの吸気口101hから入る空気でスクロール圧縮機本体102を冷却している。後板101uの吸気口101d1、101d2から入る空気でエアードライヤー107を冷却する。
【0022】
<B室204>
図1Bに示す前側のB室204には、エアードライヤー107と空気タンク105とが接続される配管108と、スクロール圧縮機本体102と空気タンク105とが接続されるゴムホース110が設置されている。
図2Cに示すように、B室204には電気部品204dを格納する電気品箱204b、ドレン排出用の電磁弁(図示しない)等が設置されている。こうして、比較的空きスペースが多いB室204に配管108、ゴムホース110、電気品箱204b、ドレン排出用の電磁弁等の各種構成要素を収容することができる。
【0023】
図3に示すように、A隔壁202を成す前A隔壁202aおよび後A隔壁202bは、機械室201と、後側のA室203および前側のB室204と区切っている。
<排気ダクト111>
【0024】
図2Cに示すように、後A隔壁202b、ダクト側隔壁111a、ダクト上隔壁111b、底板101o、および天板101tに囲われて排気ダクト111が形成されている。
排気ダクト111の内部には、整流板111oが設置されている。整流板111oは、排気ダクト111に送られる空気の速度を落として吸熱を促進する。
排気ダクト111の空気流れについて説明する。
【0025】
図2Bに示す後板101uの吸気口101hから外部の冷たい空気が筐体101の内部に吸気される(
図2Cの黒矢印α21)。内部に入った空気は、筐体101の前側に回り込んで、筐体101の前下部に設置されるスクロール圧縮機本体102(
図1B参照)を冷却した後に筐体101の後下部に流れる(
図2Cの破線白抜き矢印α22)。筐体101の後下部に入った空気は、スクロール圧縮機本体102を冷却するためのシロッコファン102Cが送風していることから上昇気流となる(
図2Cの白抜き矢印α23)。上昇する空気は、整流板111oに当たり速度を落としつつ上昇し(
図2Cの白抜き矢印α24)、天板101tの排気口101sから外部に排出される(
図2Cの灰色矢印α25)。
さらに、整流板111oは、排気口101sから下方向を覗き込んだ際に、筐体101の底板101oを目視できないように配置することで、上昇気流α23が通る経路を遮ることができ、騒音低減の効果もある。つまり、空気が流れる経路がある、ということはそこから振動も空気を伝わって伝達される。そこで、空気流路が一直線にならないようにすることで騒音を軽減できる。
【0026】
<通気口301>
図3に示すように、後A隔壁202bには、少なくとも機械室201とA室203とを連通する穴である通気口301(A通気口)が設けられている。A室203のタンク室内に電動ファン106(
図4A参照)によって気流を起こすことで、下から上に冷たい空気が流れる、また、冷たい空気が下の方へ溜まり易いことから、通気口301(A通気口)は下部に配置した方が効果が高い。なお、「下部」とは、中央より下、気流の上流側等を含む。
通気口301は、機械室201に設置されるスクロール圧縮機本体102の吸込み口109(
図1B参照)の近傍に位置している。通気口301から冷たい空気がスクロール圧縮機本体102に流れる。そのため、スクロール圧縮機本体102を効果的に冷却でき、効率を向上し性能を上げることができる。
【0027】
<通気口302>
前A隔壁202aは、B室204に連通する通気口302(B通気口)を有する。B室204の内部の空気は、通気口302を通って機械室201に入り、スクロール圧縮機本体102を冷却する。
【0028】
図2Aに示すように、通気口302には、スクロール圧縮機本体102と空気タンク105とが接続されるゴムホース110が通っている。そのため、通気口302を通る空気でゴムホース110を冷却できる。
【0029】
<スリット303>
前A隔壁202aは、機械室201とB室204とが連通するスリット303を有する。スリット303は、
図3に示す後A隔壁202bの通気口301(A通気口)および前A隔壁202aの通気口302(B通気口)とは異なるものである。スリット303は、スクロール圧縮機本体102の吸込み口109のフィルタ109f近くに設置されている。これにより、スリット303から吸込み口109に設置されるフィルタ109fに冷たい空気を効果的に供給できる。即ち、スクロール圧縮機本体109は、フィルタ109fを介して吸込み口109から冷たい空気(モータ103等の機器で暖められる前の空気)を取り入れることができるので、圧縮効率も向上し性能を上げることができる。
【0030】
スリット303は、縦寸法が短く横寸法が長い矩形形状をもつ。2つのスリット303は、それぞれスクロール圧縮機本体102の吸込み口109よりも上方に位置している。これは、B室204の空気をスリット303を通過させることで層状にすることで、スクロール圧縮機本体102の上方に設置されるモータ103で温められた空気を、遮ぎるためである。そして、B室204の空気を、スリット303を通してスクロール圧縮機本体102の吸込み口109に供給する。これにより、B室204の冷たい空気をスリット303から吸込み口109に供給できる。
【0031】
図3に示すように、2つあるスリット303は、エアードライヤー107と空気タンク105とが接続される配管108の平行部108hの下方に、平行部108hと平行に、かつ、スクロール圧縮機本体102の吸込み口109の上部に配置している。なお、上側のスリット303は、側方から見て下側のスリット303とモータ103との間に配置している。
スリット303の形状と配置により、層状の空気でモータ103からの気流と、B室204からの空気とを分けることができる。こうして、スリット303をエアードライヤー107の配管108とモータ103の近くに設置している。これにより、配管108とモータ103とを冷却できる。
【0032】
機械室201で発生するスクロール圧縮機本体102等の騒音は、前A隔壁202aと後A隔壁202bを通して、A室203またはB室204の筐体101の内壁面で反響してから筐体101外部へと放出される。そのため、スクロール式圧縮機S1の騒音値の低減が可能となる。
【0033】
図4Aに、実施形態1におけるスクロール式圧縮機S1の筐体101の側板1i1、前板101mの一部を取り外した状態の模式図を示す。
図4Bに、実施形態1のスクロール式圧縮機S1の筐体101の側板1i1を取り外し、前A隔壁202aを外した状態を左側から見た模式図を示す。
後板101uの吸気口206から取り込まれた外気の一部は、
図3に示すように、A室203を通過して、後A隔壁202bの通気口301(A通気口)から機械室201に入る。
A通気口301からの気流は分岐してモータ103の側と吸い込み口109とへ流れる。具体的には、A通気口301からモータ103を介してモータ冷却ファン(電動ファン106)への流路と、A通気口301から吸い込み口109への流路が異なる。こうして、A通気口301を通して、冷たい空気がスクロール圧縮機本体102に供給される。
つまり、吸込み口109は、シロッコファン103cとの位置関係で、吸気口206に近くなるよう配置されている。このため、吸込み口109からは吸気口206からの冷たい空気(モータ103等の機器で暖められる前の空気)を吸い込むことができ、圧縮効率が向上する。
【0034】
また、
図3に示す後A隔壁202bの通気口301は、モータ103(
図1B参照)の冷却ファンの電動ファン106と吸込み口109との間に配置する。これらの方策により、吸込み口109の吸気抵抗を低減することで性能の向上が可能となる。つまり、電動ファン106との位置関係で、吸込み口109は通気口301からの冷たい空気(モータ103等の機器で暖められる前の空気)を吸い込むことができる位置にあり、圧縮効率の向上に寄与する。
【0035】
図4Aに示すように、筐体101の前上方のエアードライヤー107の周囲から取り込まれた外気は、C通気口401からB室204に供給される(
図4Aの白抜き矢印α11)。C通気口401から供給された空気(
図4Aの白抜き矢印α11)は配管108に沿った流れを形成し、スリット303および通気口302よりスクロール圧縮機本体102に供給される。配管108は、
図4Aの白抜き矢印α11に示す気流よって冷却されることでエアードライヤー107へ供給される圧縮空気の温度を低減し、エアードライヤー107の負荷を軽減することが可能となる。
【0036】
また、
図4Aに示す前A隔壁202aのスリット303からスクロール圧縮機本体102の吸込み口109へ空気を供給する。これにより、機械室201の内部のモータ103を冷却し熱せられた空気の吸込みを防ぎ、吸気温度を低減することで性能の向上が可能となる。
本実施形態1では、
図4Bに示すように、前A隔壁202aに把手402を設けている。定期点検時には、利用者が把手402を把持して前A隔壁202aを手前に引き出せる。このように、前A隔壁202aに把手402を設けることで、前A隔壁202aを手前に引き出す際の取扱い性を向上している。
【0037】
図2Aに示すように、前A隔壁202aはアクセスし易い前側にボルトb1、嵌合等で固定されている。例えば、前A隔壁202aを固定するに際しては、ボルト締結箇所は正面側に数箇所と前A隔壁202aの下部の突起を底板101oの切欠きに嵌合させ、前A隔壁202aを固定できる。なお、前A隔壁202aはボルトb1を用いることなく固定する構成としてもよい。
前A隔壁202aは、固定に際して、上面と背面側は弾性体202d(
図4B参照)を押し当てることで気密性の確保、振動の抑制、メンテナンス性の向上を図っている。なお、上面側の弾性体101d(
図3参照)は筐体101に設置されている。
【0038】
上記構成によれば、
図3に示すように、前A隔壁202aおよび後A隔壁202bを設け、
図2Aに示すように、機械室201と後側のA室203、前側のB室204とを区切り、B隔壁205を設置けて機械室201以外の空間をA室203とB室204とに分割する。そして、
図2A、
図3に示すように、吸気口206、通気口301、通気口302等を設けている。
これにより、騒音低減と吸気温度の低下を両立させるスクロール式圧縮機を実現できる。
【0039】
なお、通気口301(
図3参照)、通気口302、スリット303の位置、数量、面積を変更してもよい。
<<実施形態2>>
【0040】
図5に、実施形態2のスクロール式圧縮機S2を上方から見た配置模式図を示す。
実施形態2のスクロール式圧縮機S2は、A室203を前側に配置し、B室204を後側に配置したものである。
その他の構成は、実施形態1と同じである。
これにより、内部空間の容積が大きいB室204を後側に配置するので、奥行寸法を削り小型化が可能となる。
【0041】
或いは、内部空間の空き容積が大きいB室204を後側に配置することで、
図2Cに示す排気ダクト111を拡大することができる。これにより、シロッコファン102c(
図1B参照)の冷却性能が向上することで性能が向上し、スクロール式圧縮機S1の性能向上を図れる。
【0042】
図5に示すように、A室203とB室204の側方には、機械室201と排気ダクト111が設けられている。
スクロール式圧縮機S2の筐体101のB室204の後下部には吸気口206(
図2Bを併せて参照)が設けられている。
A室203には、空気タンク105が設置されている。A室203を形成する筐体101の側下部には、A室203の空気タンク105を冷却するための吸気口203kが開口されている。
【0043】
機械室201には、スクロール圧縮機本体102が下部に設けられ、駆動用のモータ103が上部に設けられている。そのため、機械室201では運転音の騒音が発生する。
機械室201から離れた位置かつ、面が大きく取れる位置に吸音材を貼ると防音の効果が大きい。そこで、B室204の側方の筐体101の内面に吸音材204vを貼り付けている。
また、さらに防音効果を高めるために、防音用の仕切り204sを設けてもよい。または、仕切り204sに吸音材204v0を貼り付けてもよい。
【0044】
上記構成によれば、防音効果が高いスクロール式圧縮機S2が得られる。
なお、吸音材204vを設けることなく、防音用の仕切り204sのみを設けてもよいし、或いは、仕切り204sと吸音材204v0のみを設けてもよい。
なお、実施形態1と同様のスクロール式圧縮機S1において、下記の他例のように、機械室201、A室203、B室204の位置関係を変更してもよい。
【0045】
<他例1>
図6に、実施形態2の他例1のスクロール式圧縮機S21を上方から見た配置模式図を示す。
他例のスクロール式圧縮機S21は、実施形態2のスクロール式圧縮機S2と機械室201、A室203、B室204の配置は同じである。
そして、防音用の仕切り204s1、204s2、204s3、204s4を互い違いに先端側の一部が重なるように配置している。これにより、防音効果を高められる。
【0046】
なお、防音用の仕切り204s1、204s2、204s3、204s4にそれぞれ吸音材204v1、204v2、204v3、204v4を貼り付けてもよい。これにより、さらに、防音効果を高められる。
なお、実施形態1のスクロール式圧縮機S1において、下記の他例2のように、機械室201内のスクロール圧縮機本体102とモータ103の位置関係を変更してもよい。
【0047】
<他例2>
図7に、実施形態2の他例2のスクロール式圧縮機S22をA室203、B室204の側から見た模式図を示す。
他例2のスクロール式圧縮機S22は、機械室201においてモータ103を下部に配置し、スクロール圧縮機本体102を上部に配置している。
この場合、スクロール圧縮機本体102が上部に配置されるので、吸込み口109が上部に位置する。そのため、2つのスリット303はそれぞれ下部のモータ103側の吸込み口109のやや下方に配置される。縦寸法が短く横寸法が長いスリット303により層状の空気を吸込み口109に送ることで言わば空気のカーテンを形成し、下部のモータ103を冷却して温められた空気が吸込み口109に吸い込まれることを抑制している。
【0048】
つまり、機械室201の内部で、モータ103が下に配置され、スクロール圧縮機本体102が上に配置される場合、モータ側にスリット303がある方が、モータ103を冷やした後の熱い空気が吸込み口109に入るのを抑制できる。
【0049】
<<変形例1~5>>
実施形態1のスクロール式圧縮機S1において、例えば通気口301(
図3参照)、スリット303(
図2A参照)の面積を増加させることで、スクロール圧縮機本体102の吸込み口109(
図1B参照)へ供給する空気量が増加し、性能の向上が可能となる。
実施形態1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
変形例では、実施形態1のスクロール圧縮機本体102の吸込み口109に対するスリット303の変形例を示す。
下記
図8~
図12Bに示すスクロール圧縮機本体102の吸込み口109はその周面109sにフィルタ109fが設置されている。
【0050】
<変形例1>
【0051】
図8に、変形例1の前A隔壁202aのスリット303aとスクロール圧縮機本体102の吸込み口109とを左側方から見た模式図を示す。
変形例1のスリット303aは、吸込み口10の周面109sのフィルタ109f近くに複数の穴を設けることで流路を形成してもよい。複数の穴のスリット303aは、全体として、縦寸法が短く横寸法が長く形成されている。
【0052】
<変形例2>
図9に、変形例2の前A隔壁202aのスリット303bとスクロール圧縮機本体102の吸込み口109とを左側方から見た模式図を示す。
変形例2のスリット303bは、吸込み口10の周面109sのフィルタ109f近くに縦長の穴とした場合である。つまり、スリット303bは横寸法が短く縦寸法が長い穴である。
【0053】
<変形例3>
図10に、変形例3の前A隔壁202aのスリット303cとスクロール圧縮機本体102の吸込み口109とを左側方から見た模式図を示す。
変形例3のスリット303cは、吸込み口10の周面109sのフィルタ109f近くに横長の穴としている。つまり、スリット303cは横寸法が長く縦寸法が短い穴である。
【0054】
<変形例4>
図11A、
図11Bに、変形例4の前A隔壁202aのスリット303d1、303d2とスクロール圧縮機本体102の吸込み口109とを左側方から見た模式図を示す。
【0055】
図11Aに示す変形例4のスリット303d1は、吸込み口10の周面109sのフィルタ109f近くに3つの丸形の穴をとしたものである。丸形のスリット303d1は、3つの丸形の穴全体で縦寸法が長く、横寸法が短いスリットとしている。
【0056】
図11Bに示す変形例4のスリット303d2は、吸込み口10の周面109sのフィルタ109f近くに扁平な曲率をもつ形状の穴としている。
変形例4に示すように、スリット303は矩形の穴である必要はない。
【0057】
<変形例5>
図12A、
図12Bに、変形例5の前A隔壁202aのスリット303e1、303e2とスクロール圧縮機本体102の吸込み口109とを側方から見た模式図を示す。
変形例4は、スクロール圧縮機本体102の吸込み口109とスリット303の位置関係の変形例である。
【0058】
図12Aに示す変形例5のスリット303e1は、吸込み口10の周面109sのフィルタ109f近くの対角線状に横長のスリットとして形成したものである。
図12Bに示す変形例5のスリット303e2は、吸込み口10の周面109sのフィルタ109f近くの一方側に横長のスリットを2つ形成したものである。
上述の変形例1~5によっても、モータ103を冷却した温まった空気を遮りつつ、加温されてない空気をスクロール圧縮機本体102の吸込み口109から吸い込むことができる。
【0059】
<変形例6>
図13Aに、変形例6の前A第1隔壁202a1と前A第2隔壁202a2とを取り外した状態のスクロール式圧縮機s22を、B室204、A室203の側から見た図を示す。
図13Bに、変形例6の前A第1隔壁202a1を取り外さず、前A第2隔壁202a2を取り外した状態のスクロール式圧縮機s22を、B室204、A室203の側から見た図を示す。
【0060】
変形例6は、実施形態で説明した前A隔壁202aを2つのA第1隔壁202a1と前A第2隔壁202a2とに分割した構成である。
変形例6の前A隔壁202aは、機械室201のモータ103の側を隔壁する前A第1隔壁202a1と、機械室201のスクロール圧縮機本体102の側を隔壁する前A第2隔壁202a2とを有している。
前A第1隔壁202a1と前A第2隔壁202a2とは、取り付け、取り外し自在である。
前A第1隔壁202a1には、把持用の把手402aが付いている。
前A第2隔壁202a2には、把持用の把手402bが付いている。
【0061】
利用者は、
図13Aに示すように、前A第1隔壁202a1と前A第2隔壁202a2とをそれぞれ、把手402a、把手402bを把持して、取り外し、取り付け自在である。
また、利用者は、
図13Bに示すように、前A第1隔壁202a1は引き出さず、前A第2隔壁202a2のみを把手402bを把持して、引き出すこともできる。図示しないが、前A第1隔壁202a1のみを、把手402bを把持して、取り外し、取り付けできる。
変形例6によれば、スクロール式圧縮機S22の取り扱い性が向上する。
【0062】
<<その他の実施形態>>
1.前記実施形態では、A隔壁を前A隔壁202aと後A隔壁202bとで構成し、後A隔壁202bを筐体101への固定構造とするとともに前A隔壁202aに把手402(
図3参照)を付けて取り出し可能としたが、A隔壁全体を把手402(
図3参照)を付けた取り出し可能な構成としてもよい。これにより、利用者は、把手402を把持してA隔壁全体を取り出し取り付けでき、メンテナンス性、取り扱い性が向上する
【0063】
2.以上実施形態、変形例等について説明したが、本発明は上記した実施形態、変形例等に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態、変形例等は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態、変形例等の構成の一部を他の変形例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態、変形例等の構成に他の実施形態、変形例等の構成を加えることも可能である。また、各実施形態、変形例等の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0064】
例えば、圧縮機本体はスクロール圧縮機以外の、例えばスクリュー圧縮機やレシプロ圧縮機等に置き換えることも可能である。
或いは、パッケージ全体を特定気体で満たされた空間に配置するなどして、空気以外の気体の水素ガス、窒素ガス、フロンガス等の任意のガスを圧縮することも可能である。
【符号の説明】
【0065】
101 筐体
102 スクロール圧縮機本体(圧縮機本体)
103 モータ
104 制御基板
105 空気タンク(タンク)
106 電動ファン(冷却ファン)
107 エアードライヤー
108 配管
109 吸込み口
109f フィルタ
110 ゴムホース
201 機械室
202 A隔壁
202a 前A隔壁(A隔壁)
202b 後A隔壁(A隔壁)
203 A室
204 B室
204d 電気部品
205 B隔壁
206 吸気口
301 A通気口(連通する穴)
302 B通気口
303 スリット
401 C通気口
402 把手
S1、S2、S21 圧縮機(スクロール式圧縮機)