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特開2022-169332圧抜きプラグ及び油圧配管の圧抜き方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169332
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】圧抜きプラグ及び油圧配管の圧抜き方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/07 20060101AFI20221101BHJP
   F16L 37/38 20060101ALI20221101BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20221101BHJP
   F16K 24/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
F16L55/07 C
F16L37/38
F16L55/00 Z
F16K24/00 U
F16L55/07 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075304
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 光夫
(72)【発明者】
【氏名】田口 博子
【テーマコード(参考)】
3H055
3J106
【Fターム(参考)】
3H055AA04
3H055AA22
3H055CC04
3H055GG22
3H055GG36
3H055HH08
3H055JJ18
3J106BC12
3J106GA05
3J106GA13
3J106GA23
(57)【要約】
【課題】油圧配管にねじれがあるような場合でも、油圧配管の残圧を容易に抜けるようにする。
【解決手段】油圧配管1のカプラ2に圧抜きプラグ20の配管接続部材21を接続し、圧抜きプラグ20に設けたポペット当接部材23を配管接続部材21の内部を接続方向に螺進させてカプラ2のポペット3に当接させ、油圧配管1の内部と接続部側油溜まり部22とを連通させ、接続部側油溜まり部22の作動油を、ポペット当接部材23の接続部側連通孔23bを介して接続方向に延びる接続部側貫通孔23aを通じて接続方向に放出する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧配管のカプラに接続して該油圧配管の内部の作動油を排出させる圧抜きプラグであって、
上記油圧配管のカプラに脱着可能に接続され、該カプラの接続方向に延在する配管接続部材と、
上記配管接続部材の内部に、上記接続方向の一方側が開放されるように凹陥された接続部側油溜まり部と、
上記接続方向に延びる本体の内部に、上記接続方向に延びる接続部側貫通孔が形成され、上記接続方向の一方側端部が、上記接続部側油溜まり部内に上記接続方向に貫通するように設けられた雌ネジ部を上記カプラ側に螺進して上記カプラのポペットに当接することにより、上記油圧配管の内部と上記接続部側油溜まり部とを連通させるポペット当接部材とを備え、
上記ポペット当接部材は、少なくとも上記ポペットに当接した状態において上記接続部側油溜まりと上記接続部側貫通孔とを連通する接続部側連通孔を有し、
上記ポペット当接部材が上記ポペットに当接した状態において、上記油圧配管の内部の作動油が上記接続部側貫通孔の他方側端部から放出される
ことを特徴とする圧抜きプラグ。
【請求項2】
請求項1に記載の圧抜きプラグにおいて、
上記ポペット当接部材は、
上記接続部側貫通孔が形成された接続部側締結部材と、
上記接続方向に延びる放出側貫通孔及び該放出側貫通孔に交わる放出側連通孔が形成され、上記接続部側締結部材の上記接続方向の他方側に締結される放出側締結部材と、
上記接続部側締結部材と上記放出側締結部材との間に収容され、上記接続部側貫通孔の周縁に当接して該接続部側貫通孔を封止する封止部材とを備えており、
上記放出側締結部材を上記接続部側締結部材に締め込むことにより、上記封止部材を押圧して上記接続部側貫通孔を塞ぐ一方、
上記放出側締結部材を後退させて上記封止部材による封止を解除した状態で、上記油圧配管の内部の作動油が、上記放出側連通孔を通って該放出側貫通孔の他方側端部から放出される
ことを特徴とする圧抜きプラグ。
【請求項3】
請求項2に記載の圧抜きプラグにおいて、
上記封止部材は、上記接続部側締結部材と上記放出側締結部材との間に収容されるボール部材よりなる
ことを特徴とする圧抜きプラグ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の圧抜きプラグにおいて、
上記接続部側締結部材の上記接続方向の他端側には、上記接続部側貫通孔と同心状に連通し該接続部側貫通孔よりも内径の小さい第2接続部側貫通孔を有する小径部材が同心状に設けられており、
上記第2接続部側貫通孔の周縁が上記封止部材によって封止される
ことを特徴とする圧抜きプラグ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つの圧抜きプラグを用いて油圧配管の内部の作動油を排出させる油圧配管の圧抜き方法であって、
上記油圧配管のカプラに上記配管接続部材を接続し、
上記ポペット当接部材の接続方向の一方側端部を上記カプラ側に螺進させて上記カプラのポペットに当接させ、上記油圧配管の内部と上記接続部側油溜まり部とを連通させ、
上記接続部側油溜まり部の作動油を、上記ポペット当接部材の接続部側連通孔及び上記接続部側貫通孔を通じて該接続部側貫通孔の他方側端部から上記接続方向に放出させる
ことを特徴とする油圧配管の圧抜き方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧配管のカプラに接続して油圧配管の内部の作動油を排出させる圧抜きプラグ及び油圧配管の圧抜き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、解体機のような組立及び分解式の作業機械において、単位配管同士を接続する継手には、ワンタッチでの着脱が可能である点に加えて着脱時の油漏れが殆どないという特長を備えたクイックカプラ、セルフシールカップリング等と呼ばれる密閉式の継手が用いられる。
【0003】
ところが、この種の継手は、ポペット式又はスプール式のバルブを内蔵し、結合操作力によってバルブが開く構造であるため、単位配管を切り離した状態で配管内に圧力が残り、接続時に、この残った圧力(残圧)が抵抗となって継手同士の接続がし難くなるという問題がある。
【0004】
特に外気温の上昇により、閉じ込められた油(残油)の温度が上がって残圧が高くなった場合や大型の継手の場合に、この現象が顕著となる。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1のように、セルフシーリングカップリングにおけるソケットに、これら両者に具備されているロック機構の一部を用いて連結状態にロック可能な筒状部材と、その先端に固着され、かつ、中央部に筒状部材の軸芯に沿うねじ孔が形成された蓋状部材と、ねじ孔に軸芯方向移動自在に螺着され、かつ、外端部に回転操作部を有する雄ネジ付ロンドと、筒状部材に連通した残圧排出パイプとを備え、筒状部材をプラグ又はソケットに連結した状態でロンドを軸芯方向に前進させることにより、ソケットの内部に具備された弁体をロンドの先端で押し開けるように構成したセルフシーリングカップリングの残圧抜取り治具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭57-40787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の圧抜きプラグでは、作動油が排出される残圧排出パイプが蓋状部材の径方向に延びているため、油圧配管がねじれた場合などに作動油の排出方向が変化して非常に扱いにくいという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、油圧配管にねじれがあるような場合でも、油圧配管の残圧を容易に抜けるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明では、簡単な構成で油圧配管の作動油を、圧抜きプラグの接続方向に放出させるようにした。
【0010】
具体的には、第1の発明では、油圧配管のカプラに接続して該油圧配管の内部の作動油を排出させる圧抜きプラグを対象とし、
上記圧抜きプラグは、
上記油圧配管のカプラに脱着可能に接続され、該カプラの接続方向に延在する配管接続部材と、
上記配管接続部材の内部に、上記接続方向の一方側が開放されるように凹陥された接続部側油溜まり部と、
上記接続方向に延びる本体の内部に、上記接続方向に延びる接続部側貫通孔が形成され、上記接続方向の一方側端部が、上記接続部側油溜まり部内に上記接続方向に貫通するように設けられた雌ネジ部を上記カプラ側に螺進して上記カプラのポペットに当接することにより、上記油圧配管の内部と上記接続部側油溜まり部とを連通させるポペット当接部材とを備え、
上記ポペット当接部材は、少なくとも上記ポペットに当接した状態において上記接続部側油溜まりと上記接続部側貫通孔とを連通する接続部側連通孔を有し、
上記ポペット当接部材が上記ポペットに当接した状態において、上記油圧配管の内部の作動油が上記接続部側貫通孔の他方側端部から放出される。
【0011】
上記の構成によると、油圧配管のカプラに圧抜きプラグの配管接続部材を接続し、ポペット当接部材をカプラ側に螺進させてカプラのポペットに当接させることにより、油圧配管の内部と接続部側油溜まり部とが連通する。このとき、残圧の残る作動油は、接続部側油溜まり部に流れ込むことにより、残圧が低下する。そして、この接続部側油溜まり部の作動油を、ポペット当接部材に設けた接続部側連通孔及び接続方向に延びる接続部側貫通孔を通じて接続方向に放出することにより、油圧配管がねじれた場合でも、作動油の放出方向が接続方向から変化しないので、放出した作動油の扱いが容易である。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、
上記ポペット当接部材は、
上記接続部側貫通孔が形成された接続部側締結部材と、
上記接続方向に延びる放出側貫通孔及び該放出側貫通孔に交わる放出側連通孔が形成され、上記接続部側締結部材の上記接続方向の他方側に締結される放出側締結部材と、
上記接続部側締結部材と上記放出側締結部材との間に収容され、上記接続部側貫通孔の周縁に当接して該接続部側貫通孔を封止する封止部材とが設けられており、
上記放出側締結部材を上記接続部側締結部材に締め込むことにより、上記封止部材を押圧して上記接続部側貫通孔を塞ぐ一方、
上記放出側締結部材を後退させて上記封止部材による封止を解除した状態で、上記油圧配管の内部の作動油は、上記放出側連通孔を通って該放出側貫通孔の他方側端部から放出される構成とする。
【0013】
上記の構成によると、封止部材によって接続部側貫通孔を塞ぐことができるので、油圧配管のカプラに圧抜きプラグの配管接続部材を接続してポペット当接部材を螺進させて油圧配管のポペットによる封止を解除してもすぐに作動油が噴き出さない。このため、作動油の回収流路を確保した状態で、封止部材による接続部側貫通孔の封止を解除することにより、作動油がいきなり噴き出して周囲を汚すことはない。
【0014】
第3の発明では、第2の発明において、
上記封止部材は、上記接続部側締結部材と上記放出側締結部材との間に収容されるボール部材よりなる。
【0015】
上記の構成によると、簡単かつ確実な構成で接続部側貫通孔を封止できる。
【0016】
第4の発明では、第2又は第3の発明において、
上記接続部側締結部材の上記接続方向の他端側には、上記接続部側貫通孔と同心状に連通し該接続部側貫通孔よりも内径の小さい第2接続部側貫通孔を有する小径部材が同心状に設けられており、
上記第2接続部側貫通孔の周縁が上記封止部材によって封止される。
【0017】
上記の構成によると、接続部側貫通孔よりも内径の小さい第2接続部側貫通孔であれば、より小さな封止部材によって作動油を封止できる。
【0018】
第5の発明の油圧配管の圧抜き方法は、第1から第4のいずれか1つの発明の圧抜きプラグを用いて油圧配管の内部の作動油を排出させる油圧配管の圧抜き方法を対象とし、
上記油圧配管の圧抜き方法は、
上記油圧配管のカプラに上記配管接続部材を接続し、
上記ポペット当接部材の接続方向の一方側端部を上記カプラ側に螺進させて上記カプラのポペットに当接させ、上記油圧配管の内部と上記接続部側油溜まり部とを連通させ、
上記接続部側油溜まり部の作動油を、上記ポペット当接部材の接続部側連通孔及び上記接続部側貫通孔を通じて該接続部側貫通孔の他方側端部から上記接続方向に放出させる構成とする。
【0019】
上記の構成によると、残圧のかかった作動油は、接続部側油溜まり部に流れ込むことにより、残圧が低下する。そして、この接続部側油溜まり部の作動油を、接続部側貫通孔を通じて圧抜きプラグの接続方向に放出することができるので、油圧配管がねじれた場合でも、作動油の放出方向が接続方向から変化せず、放出した作動油の扱いが容易である。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、油圧配管にねじれがあるような場合でも、油圧配管の残圧を容易に抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】油圧配管のポペットに当接した状態の実施形態1に係る圧抜きプラグを示す断面図である。
図1B】開放状態の実施形態1に係る圧抜きプラグを示す断面図である。
図2A】実施形態1に係る圧抜きプラグを上側から見た斜視図である。
図2B】実施形態1に係る圧抜きプラグを下側から見た斜視図である。
図3】実施形態1の変形例に係る圧抜きプラグを示す断面図である。
図4A】実施形態1の変形例に係る圧抜きプラグを上側から見た斜視図である。
図4B】実施形態1の変形例に係る圧抜きプラグを下側から見た斜視図である。
図5A】油圧配管のポペットに当接する位置にある実施形態2に係る圧抜きプラグを示す断面図である。
図5B】開放状態の実施形態2に係る圧抜きプラグを示す断面図である。
図6A】実施形態2に係る圧抜きプラグを上側から見た斜視図である。
図6B】実施形態2に係る圧抜きプラグを下側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(実施形態1)
詳細は図示しないが、本発明の実施形態1の圧抜きプラグ20が用いられる例としての大型解体機は、例えば、下部走行体と、作動油タンク及び油圧源を含む上部旋回体と、下部ブーム、ブームフットシリンダ、アーム、アームシリンダ、破砕機等を含むアタッチメントとを有する。解体作業等を行うアタッチメントには、油圧シリンダ等の複数の油圧アクチュエータが含まれており、寸法制限、重量制限などの理由で分割して搬送する際には、クイックカップリングを用いた油圧配管の内部に残圧が残り安い。このままの状態では、油圧配管を再接続する場合に残圧が抵抗となって接続できないという問題が生じる。
【0024】
図1Aに示すように、本発明に係る圧抜きプラグ20は、このような残圧の残った油圧配管1のカプラ2に接続し、この油圧配管1の内部の作動油を容易に排出させることができるものである。
【0025】
図1A図2Bにも示すように、この圧抜きプラグ20は、油圧配管1のカプラ2に脱着可能に接続される配管接続部材21を備えている。本実施形態の配管接続部材21は、例えば、その接続方向一端側外周に雄ネジ部21aを有し、接続方向他端側には六角部21bが設けられており、ねじ込む形状の、いわゆる雄型となっている。カプラ2側がいわゆるクイックカップラになっていれば、この雄ネジ部21aもそれに合わせた形状とすればよい。後述する変形例のように配管接続部材21はカップラ2にねじ込まれる形状の雌型でもよい。
【0026】
配管接続部材21の雄ネジ部21aの内部には、接続方向一端側(接続する方向、図1Aの下側)が開口するように凹陥された接続部側油溜まり部22が設けられている。この接続部側油溜まり部22に連続するように中央に圧抜きプラグ20の接続方向(軸方向)に貫通する雌ネジ部21cが形成されている。
【0027】
この雌ネジ部21cに、締結部側締結部材としての当接部材本体23cに形成した雄ネジ部が螺合するポペット当接部材23が、配管接続部材21の内部を螺進又は螺退(ねじ込んで進む又は緩めて後退する)可能となっている。
【0028】
図1Aに示すように、ポペット当接部材23は、その内部に上記接続方向に延びる接続部側貫通孔23aが形成され、配管接続部材21の内部を接続方向に螺進してカプラ2のポペット3に当接して押し下げることにより、ポペット3の封止を解除し、油圧配管1の内部と接続部側油溜まり部22とを連通させるようになっている。
【0029】
接続部側油溜まり部22の作動油は、ポペット当接部材23に設けた接続部側貫通孔23aに連通する、径方向に延びる接続部側連通孔23bを介し、この接続部側貫通孔23aを通って接続方向他端側(反対側)より放出されるようになっている。接続部側連通孔23bは、例えば、一直線上に延びる1本のキリ孔で構成されているが、2本の直交するキリ孔で構成してもよい。
【0030】
ポペット当接部材23の接続方向反対側には、放出側油溜まり部25が形成された接続部側締結部材としての小径部材24が締結されている。小径部材24は、接続部側貫通孔23aよりも内径の小さい第2接続部側貫通孔24aを有する、少なくとも一部外周に雄ネジ部が形成された締結部材よりなる。この小径部材24の接続方向反対側に、この接続方向反対側が開放された放出側油溜まり部25が凹陥されている。
【0031】
この放出側油溜まり部25には、第2接続部側貫通孔24aの周縁に当接し、この第2接続部側貫通孔24aを封止する封止部材としてのボール部材26が収容されている。このボール部材26は、放出側油溜まり部25内で他のどの部品とも連結されていない。封止部材は、放出側油溜まり部25内を自由に動く球形が望ましいが、放出側油溜まり部25内を接続方向に移動可能な半球形部分と円柱状部分とで構成されたものでもよい。本実施形態のように、接続部側貫通孔23aよりも内径の小さい第2接続部側貫通孔24aであれば、より小さなボール部材26によって作動油を封止できる。なお、第2接続部側貫通孔24aにおける、ボール部材26との当接部は、ボール部材26との密着性を向上させるためにテーパ加工を施してもよい。
【0032】
ポペット当接部材23の放出側油溜まり部25の内周面には、雌ネジ部が形成されており、この雌ネジ部に放出側締結部材27が締結されている。この放出側締結部材27は、接続方向に延びる放出側貫通孔27aが形成され、外周の雄ネジ部が放出側油溜まり部25の雌ネジ部に締め込まれることにより、放出側油溜まり部25の内部を螺進し、ボール部材26を押圧して第2接続部側貫通孔24aを塞ぐように構成されている。このように、簡単かつ確実な構成で第2接続部側貫通孔24a(結果として接続部側貫通孔23a)を封止できるようになっている。
【0033】
そして、この放出側油溜まり部25の作動油は、放出側締結部材27を後退させてボール部材26による封止を解除した状態で、放出側締結部材27に設けた放出側貫通孔27aに連通する放出側連通孔27bを介し、放出側貫通孔27aを通り接続方向に放出されるように構成されている。この放出側連通孔27bは、例えば、径方向に延びる1本の貫通孔で構成されており、放出側貫通孔27aに連通しているが、例えば2本の直交する貫通孔で構成してもよい。
【0034】
-油圧配管の圧抜き方法-
次に、本実施形態に係る油圧配管1の圧抜き方法についてアタッチメントの取り外しを含めて説明する。
【0035】
(1)アタッチメントの取り外し(分解)
まず、配管を取り外す対象アタッチメントの油圧配管回路の圧抜きを行った後、アタッチメント側面又は背面にある油圧カプラ2の部分で油圧配管1を分離する。
【0036】
次いで、分離した油圧配管1のカプラ2に、圧抜きプラグ20の配管接続部材21のみを締め込む。このとき六角部21bの部分において工具を用いて締め込むことができる。
【0037】
この配管接続部材21を締め込んだ後に圧抜きプラグ20のポペット当接部材23に取り付けている放出側締結部材27がしっかりと締め込まれた状態であることを確認してポペット当接部材23の雄ネジ部を雌ネジ部21cに確実に締め込む。
【0038】
この締め込む過程で圧抜きプラグ20の当接部材本体23cの接続方向一端側がカプラ2のポペット3に接触した時点からポペット3の反発力により締め込み力が増加する。この場合でも、当接部材本体23cの六角頭部分をレンチなどの工具で締め付ければよいので、締付作業は容易である。
【0039】
当接部材本体23cを完全に締め込むと圧抜きプラグ20の取付は完了する。これにより、圧抜きプラグ20を使って圧抜きできる状態となる。
【0040】
(2)次いで、組付時などに圧抜きプラグ20を使用する方法について説明する。
【0041】
まず、圧抜きプラグ20の放出側締結部材27に図示しない放出用のホースを接続し、その先端をペール缶などの容器に差し込んでおく。
【0042】
本実施形態では、ボール部材26によって接続部側貫通孔23aを塞ぐことができるので、油圧配管1のカプラ2に圧抜きプラグ20の配管接続部材21を接続してポペット当接部材23を螺進させて油圧配管1のポペット3による封止を解除してもすぐに作動油が噴き出さない。このため、作動油の回収流路を確保した状態で、ボール部材26による接続部側貫通孔23aの封止を解除することにより、作動油がいきなり噴き出さず、周囲を汚すことはない。
【0043】
そして放出側締結部材27を緩めたり締めたりすることにより、油圧配管1の内部に残った作動油を排出することで、保管時等に油圧配管1内で増圧した(外気等で上昇した)圧力を調整することができる。このとき、油圧配管1内の残圧のかかった作動油は、接続部側油溜まり部22に流れ込むことにより、残圧が低下する。
【0044】
図1Aに示すように油圧配管1の先端に圧抜きプラグ20を取り付けた状態から、放出側締結部材27を緩め方向に数回転緩めると、作動油が排出され、内部圧力が低下していく。本実施形態では、この接続部側油溜まり部22の作動油を接続方向に延びる接続部側貫通孔23a及び第2接続部側貫通孔24aを通じて接続方向に放出することができるので、油圧配管1がねじれた場合でも、作動油の放出方向が接続方向から変化せず、放出用のホースの扱いが容易である。
【0045】
(3)アタッチメントの取付(組立)
次いで、残圧と残油を解放した油圧配管1のカプラ2から圧抜きプラグ20を取り外す。油圧配管1内に残っている作動油は、ポペットの作用により吹き出さない。
【0046】
その後、アタッチ側の油圧配管と本体側の油圧配管1をカプラ2にて接続する。このときには、残圧と残油を開放しているので、大きな抵抗もなく、容易に接続を行うことができる。これにより油圧配管1の接続が完了する。
【0047】
したがって、本実施形態に係る圧抜きプラグ20及び油圧配管1の圧抜き方法によると、油圧配管1にねじれがあるような場合でも、油圧配管1の残圧を容易に抜くことができる。
【0048】
-変形例-
図3図4A及び図4Bは、本発明の実施形態の変形例に係る圧抜きプラグ20’を示し、配管接続部材21’の形状が異なる点で実施形態と異なる。なお、以下の変形例及び実施形態2では、図1A図2Bと同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0049】
本変形例の圧抜きプラグ20’では、配管接続部材21’が雌型の形状を有する点が上記実施形態1と異なる。配管接続部材21’の外周のほぼ全体が六角部21bで構成されいている。また、接続部側油溜まり部22の内周面に雌ネジ部21a’が設けられている。
【0050】
その他の構成及び作用効果は上記実施形態1と同様であるため、その説明は省略する。
【0051】
(実施形態2)
図5A図6Bは、本発明の実施形態2に係る圧抜きプラグ120を示し、主としてボール部材26及び放出側締結部材27を有さない点で上記実施形態1と異なる。
【0052】
本実施形態に係る圧抜きプラグ120では、接続部側締結部材124が、ボール部材26及び放出側締結部材27を有さない簡易な構造となっている。
【0053】
本実施形態では、配管接続部材21を油圧配管1のカップラ2に接続し、ポペット当接部材23を締め込んでポペット3による封止が解除されると、油圧配管1内の作動油が流れ込むようになっている。
【0054】
このため、本実施形態では、ポペット当接部材23を締め込む前に、図示しない排出用ホース等を接続部側締結部材の接続方向反対側に接続しておき、その先端を、作動油を排出するためのペール缶等の容器に挿入しておけばよい。又は、作業機械のタンクに戻る配管を排出用ホースとして接続すれば作動油を捨てる必要もなくなる。
【0055】
なお、当接部材本体23cの接続方向反対側に放出側油溜まり部125を設け、この放出側油溜まり部125にボール部材26を設け、接続部側締結部材124を放出側締結部材として締結することで、接続部側貫通孔23aを封止できるようにしてもよい。この変形例は、上記実施形態1で小径部材24がない場合に対応する。
【0056】
したがって、本実施形態に係る圧抜きプラグ120においても、油圧配管1にねじれがあるような場合でも、油圧配管1の残圧を容易に抜くことができる。
【0057】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0058】
すなわち、上記実施形態では、残圧の残る油圧配管1は、作業機械のアタッチメントの油圧配管1としているが、それに限定されない。本発明は、作業機械に限定されず、油圧機器に接続された残圧の残る油圧配管1のカプラ2に接続する場合に適用可能である。
【0059】
上記実施形態1では、ポペット当接部材23の接続方向反対側に、放出側油溜まり部25が形成された小径部材24が締結された構成としたが、この小径部材24が設けられず、接続部側締結部材としての当接部材本体23cの接続方向反対側に、放出側油溜まり部25を形成してボール部材26を設け、放出側締結部材27を締結するようにしてもよい。この場合には、ボール部材26の外径が大きくなる。
【0060】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0061】
1 油圧配管
2 カプラ
3 ポペット
20,20’ プラグ
21,21’ 配管接続部材
21a 雄ネジ部
21a’ 雌ネジ部
21b 六角部
21c 雌ネジ部
22 接続部側油溜まり部
23 ポペット当接部材
23a 接続部側貫通孔
23b 接続部側連通孔
23c 当接部材本体(接続部側締結部材)
24 小径部材(接続部側締結部材)
24a 第2接続部側貫通孔
25 放出側油溜まり部
26 ボール部材(封止部材)
27 放出側締結部材
27a 放出側貫通孔
27b 放出側連通孔
120 プラグ
124 接続部側締結部材
125 放出側油溜まり部
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B