(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169337
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
B41J 2/145 20060101AFI20221101BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B41J2/145
B41J2/14 611
B41J2/14 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075312
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】相羽 貴司
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF25
2C057AG15
2C057AG44
2C057AG91
2C057AN05
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】延在部を有する共通電極をそれぞれ含む複数の単位ヘッドを配列した場合において、濃度ムラを抑制する。
【解決手段】ヘッド1は、2つのヘッドユニット1xを有する。各ヘッドユニット1xを構成する4つの単位ヘッド1uは、高電位電極52が第2方向D2に互いに隣接するように、配列されている。第2方向D2に互いに隣接する2つの高電位電極52において、延在方向A(延在部523が幹部521(即ち、高電位受容部522との接続部)から延びる方向)が互いに逆である。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位ヘッドを備えた液体吐出ヘッドであって、
前記複数の単位ヘッドは、それぞれ、第1圧電層と、前記第1圧電層の表面に配置された複数の駆動電極であって、それぞれ第1電位及び前記第1電位と異なる第2電位のいずれかが選択的に付与される複数の駆動電極と、前記第1圧電層の厚み方向である第1方向において前記第1圧電層に対して前記複数の駆動電極と反対側に配置された共通電極と、を有し、
前記共通電極は、前記第1電位及び前記第2電位のいずれかを受ける電位受容部と、前記複数の駆動電極と前記第1方向に重なるように前記電位受容部との接続部から前記第1方向と直交する延在方向に延びる延在部と、を含み、
前記複数の単位ヘッドは、前記共通電極が前記第1方向と直交する第2方向に互いに隣接するように、配列され、
前記第2方向に互いに隣接する2つの前記共通電極において、前記延在方向が互いに逆であることを特徴とする、液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記複数の単位ヘッドは、それぞれ前記共通電極の前記延在方向が前記第2方向と平行であり、前記第2方向に千鳥状に配列されていることを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記複数の単位ヘッドでそれぞれ構成される2つのヘッドユニットが、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向に並んでおり、
前記2つのヘッドユニットにおいて、前記第3方向に重なる2つの前記共通電極の前記延在方向が互いに逆であることを特徴とする、請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記複数の単位ヘッドは、それぞれ前記共通電極の前記延在方向が前記第2方向に対して斜めの第4方向であり、前記第2方向に一列に配列されていることを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記複数の単位ヘッドは、それぞれ、複数のノズルを含む流路が形成されかつ前記流路に連通する開口が表面に形成された、流路部材を有し、
前記第2方向に互いに隣接する2つの前記単位ヘッドにおいて、前記延在方向における前記開口の前記共通電極に対する配置が互いに逆であり、
前記複数の単位ヘッドの前記開口が、前記第2方向に並んでいることを特徴とする、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記複数の単位ヘッドは、それぞれ、前記第1圧電層と、前記第1圧電層に対して前記第1方向に積層された第2圧電層と、前記第1圧電層及び前記第2圧電層に対して前記第1方向に積層され、前記第1圧電層との間に前記第2圧電層を挟む第3圧電層と、前記第1方向において前記第1圧電層の前記第2圧電層と反対側の面に配置された第1電極層と、前記第1方向において前記第1圧電層と前記第2圧電層との間に配置された第2電極層と、前記第1方向において前記第2圧電層と前記第3圧電層との間に配置された第3電極層と、を有し、
前記第1電極層は、前記複数の駆動電極を含み、
前記第2電極層は、前記第1電位に保持される第1電位電極を含み、
前記第3電極層は、前記第2電位に保持される第2電位電極を含み、
前記第1電位電極及び前記第2電位電極の少なくとも一方が、前記共通電極であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記第1電位電極及び前記第2電位電極の両方が、前記共通電極であり、
前記第2方向に互いに隣接する2つの前記第1電位電極、及び、前記第2方向に互いに隣接する2つの前記第2電位電極のそれぞれにおいて、前記延在方向が互いに逆であることを特徴とする、請求項6に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記第1圧電層における前記第1方向において前記駆動電極と前記第1電位電極とで挟まれた部分に、1つの第1活性部が設けられ、
前記第1圧電層及び前記第2圧電層における前記第1方向において前記駆動電極と前記第2電位電極とで挟まれた部分に、前記第1方向と直交する方向において前記1つの第1活性部を挟む、2つの第2活性部が設けられたことを特徴とする、請求項6又は7に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記共通電極は、前記電位受容部と、前記電位受容部に接続する幹部と、前記幹部から分岐した複数の前記延在部とを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延在部を有する共通電極をそれぞれ含む複数の単位ヘッドを備えた液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧電層及び圧電層の表面に配置された導電パターンを有するヘッドが示されている。導電パターンは、複数の個別電極(駆動電極)と、櫛歯状の2つの導電パターン(共通電極)とを含む。櫛歯状の2つの導電パターンは、それぞれ、圧電層のスルーホールを介して電源に接続された部分(電位受容部)と、複数の個別電極(駆動電極)と圧電層の厚み方向(第1方向)に重なるように上記部分との接続部から搬送方向の下流側(延在方向)に延びる部分(延在部)とを含む。当該ヘッドには、複数の個別電極(駆動電極)のそれぞれに対応する複数のアクチュエータ部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のヘッド(単位ヘッド)を複数用いて、1つの液体吐出ヘッドを形成することが考えられる。ただし、上記電極の構成においては、共通電極の延在部において、延在方向の下流側ほど、電気抵抗が大きくなる。特に、吐出デューティが高く、電荷量が多くなるほど、延在部における延在方向の上流側と下流側とで、電気抵抗の差が大きくなる。延在部における延在方向の下流側ほど、パルスの立ち上がりタイミングが遅くなり(ひいては、対応するノズルからの吐出タイミングが遅れ)、さらに、対応するアクチュエータ部の変形量が小さくなる(ひいては、対応するノズルから吐出される液滴の体積が小さくなる)。そのため、複数の単位ヘッドを配列方向(第2方向)に配列した場合において、第2方向に互いに隣接する2つの共通電極の延在方向が互いに同じであると、当該2つの共通電極の境界部分に電気抵抗が大きい部分(延在部の下流端に対応する部分)と電気抵抗が小さい部分(延在部の上流端に対応する部分)とが存在することとなり、境界部分における液滴の体積差が濃度ムラとして表れてしまう。
【0005】
本発明の目的は、延在部を有する共通電極をそれぞれ含む複数の単位ヘッドを配列した場合において、濃度ムラを抑制できる液体吐出ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、複数の単位ヘッドを備えた液体吐出ヘッドであって、前記複数の単位ヘッドは、それぞれ、第1圧電層と、前記第1圧電層の表面に配置された複数の駆動電極であって、それぞれ第1電位及び前記第1電位と異なる第2電位のいずれかが選択的に付与される複数の駆動電極と、前記第1圧電層の厚み方向である第1方向において前記第1圧電層に対して前記複数の駆動電極と反対側に配置された共通電極と、を有し、前記共通電極は、前記第1電位及び前記第2電位のいずれかを受ける電位受容部と、前記複数の駆動電極と前記第1方向に重なるように前記電位受容部との接続部から前記第1方向と直交する延在方向に延びる延在部と、を含み、前記複数の単位ヘッドは、前記共通電極が前記第1方向と直交する第2方向に互いに隣接するように、配列され、前記第2方向に互いに隣接する2つの前記共通電極において、前記延在方向が互いに逆であることを特徴とする、液体吐出ヘッドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るヘッド1を含むプリンタ100の平面図である。
【
図2】
図1のヘッド1を構成する単位ヘッド1uを示す平面図である。
【
図6】
図5の断面におけるアクチュエータ部90の動作を示す図である。
【
図7】
図2の圧電アクチュエータ22を構成する3つの圧電層41~43のうち、最も上方の圧電層41の上面を示す平面図である。
【
図8】
図2の圧電アクチュエータ22を構成する3つの圧電層41~43のうち、中間の圧電層42の上面を示す平面図である。
【
図9】
図2の圧電アクチュエータ22を構成する3つの圧電層41~43のうち、最も下方の圧電層43の上面を示す平面図である。
【
図10】
図1のヘッド1の各ヘッドユニット1xにおいて高電位電極52の延在方向Aが第2方向に交互に配置された状態を示す平面図である。
【
図11】(a)は、本発明の第1実施形態における電気抵抗の分布を示す概略図である。(b)は、本発明の第1参考例における電気抵抗の分布を示す概略図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係るヘッド201を示す平面図である。
【
図13】(a)は、本発明の第2実施形態における電気抵抗の分布を示す概略図である。(b)は、本発明の第2参考例における電気抵抗の分布を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
先ず、
図1を参照し、本発明の第1実施形態に係るヘッド1を含むプリンタ100の全体構成について説明する。
【0009】
なお、以下の説明において、第1方向D1は鉛直方向であり、第2方向D2及び第3方向D3は水平方向である。第2方向D2及び第3方向D3は共に第1方向D1と直交する。第2方向D2は第3方向D3と直交する。
【0010】
プリンタ100は、ヘッド1と、プラテン3と、搬送機構4と、制御部5とを備えている。
【0011】
ヘッド1は、第3方向D3に並ぶ2つのヘッドユニット1xを有する。各ヘッドユニット1xは、第2方向D2に長尺であり、第2方向D2に千鳥状に配列された4つの単位ヘッド1uを含む。各ヘッドユニット1xは、位置が固定された状態でノズル15(
図3及び
図4参照)から用紙9に対してインクを吐出するライン式である。各単位ヘッド1uから吐出されるインクは、互いに同じ色のインク(例えばブラックインク)である。
【0012】
プラテン3は、ヘッド1の下方に配置された平板部材であり、プラテン3の上面に用紙9が載置される。
【0013】
搬送機構4は、第3方向D3にプラテン3を挟んで配置された2つのローラ対4a,4bを有する。制御部5の制御により搬送モータ(図示略)が駆動されると、ローラ対4a,4bが用紙9を挟持した状態で回転し、用紙9が第3方向D3に沿った搬送方向に搬送される。
【0014】
制御部5は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)を有する。ASICは、ROMに格納されたプログラムに従い、記録処理等を実行する。記録処理において、制御部5は、PC等の外部装置から入力された記録指令(画像データを含む。)に基づき、搬送モータ及びドライバIC(共に図示略)を制御することで、搬送機構4による用紙9の搬送と、ヘッド1による用紙9へのインクの吐出とを行わせ、用紙9上に画像を記録する。
【0015】
次いで、単位ヘッド1uの構成について説明する。
【0016】
単位ヘッド1uは、
図2に示すように、流路部材21及び圧電アクチュエータ22を有する。流路部材21及び圧電アクチュエータ22は、共に、第1方向D1と直交する平面において、第2方向D2の長さが第3方向D3の長さよりも長い、矩形状である。
【0017】
流路部材21は、
図4に示すように、第1方向D1に積層された金属製の4枚のプレート31~34で構成されている。
【0018】
プレート31には、複数の圧力室10が形成されている。プレート32には、圧力室10毎に、連通路12,13が形成されている。連通路12,13は、それぞれ、対応する圧力室10の第3方向D3の一端及び他端と第1方向D1に重なっている。プレート33には、連通路13毎に、連通路14が形成されている。連通路14は、対応する連通路13と第1方向D1に重なっている。プレート33には、さらに、12本のマニホールド流路11が形成されている。マニホールド流路11は、第2方向D2に配列された複数の圧力室10からなる圧力室列10R(
図2参照)毎に設けられている。各マニホールド流路11は、第2方向D2方向に延び、対応する圧力室列10Rに属する複数の圧力室10と連通路12を介して連通している。プレート34には、複数のノズル15が形成されている。各ノズル15は、連通路14と第1方向D1に重なっている。
【0019】
プレート31の上面において、圧電アクチュエータ22が配置されない領域に、2つのインク供給口8が形成されている(
図2参照)。各インク供給口8は、チューブを介してインクカートリッジ(図示略)と連通し、かつ、6本のマニホールド流路11と連通している。インクカートリッジからチューブを介して各インク供給口8に供給されたインクは、6本のマニホールド流路11に供給される。各マニホールド流路11から、各圧力室列10Rに属する複数の圧力室10に、連通路12を介してインクが供給される。そして後述のように圧電アクチュエータ22が駆動することで、圧力室10内のインクに圧力が付与され、連通路13,14を通ってノズル15からインクが吐出される。
【0020】
圧電アクチュエータ22は、
図4に示すように、流路部材21の上面に配置されている。圧電アクチュエータ22は、3つの圧電層41~43と、複数の駆動電極51と、高電位電極52と、低電位電極53とを有する。
【0021】
3つの圧電層41~43は、それぞれチタン酸ジルコン酸鉛等を主成分とする圧電材料からなり、第1方向D1に積層されている。圧電層42は、圧電層41に対して第1方向D1に積層されている。圧電層43は、圧電層41及び圧電層42に対して第1方向D1に積層され、圧電層41との間に圧電層42を挟む。圧電層41が本発明の「第1圧電層」に該当し、圧電層42が本発明の「第2圧電層」に該当し、圧電層43が本発明の「第3圧電層」に該当する。
【0022】
圧電層43は、プレート31の上面に配置され、プレート31に形成された全ての圧力室10を覆っている。
【0023】
複数の駆動電極51は、
図3に示すように、圧電層41の上面に、圧力室10のそれぞれに対応して配置されている。各駆動電極51は、主部51aと、突出部51bとを有する。主部51aは、対応する圧力室10の略全域と第1方向D1に重なっている。突出部51bは、主部51aから第3方向D3に突出し、対応する圧力室10と第1方向D1に重なっていない。突出部51bには、COF(Chip On Film)(図示略)と電気的に接続される接点が設けられている。COFに実装されたドライバIC(図示略)は、制御部5の制御により、COFの配線を介して各駆動電極51に対して個別に、高電位(VDD電位)及び低電位(GND電位)のいずれかを選択的に付与する。
【0024】
複数の駆動電極51は、
図7に示すように、第2方向D2に配列されており、圧力室列10R(
図2参照)のそれぞれに対応する複数の駆動電極列51Rを形成している。複数の駆動電極列51Rは、第3方向D3に並んでいる。
【0025】
各駆動電極列51Rに対し、第2方向D2の一方(
図7の上方)及び他方(
図7の下方)のそれぞれに、ダミー電極59が設けられている。ダミー電極59は、対応する駆動電極列51Rに属する駆動電極51と、第1方向D1と直交する平面におけるサイズ及び形状が同じであり、当該駆動電極51と共に第2方向D2に等間隔に配置されている。ダミー電極59は、COFと電気的に接続されず、電位が付与されない。ダミー電極59を設けることで、各駆動電極列51Rにおいて第2方向D2の中央にある駆動電極51と第2方向D2の端部にある駆動電極51とにおける電極形成による収縮量の差を抑制でき、ひいては各駆動電極列51Rに対応する複数のノズル15からの吐出量のばらつきを抑制できる。
【0026】
圧電層41の上面には、駆動電極51及びダミー電極59に加え、2つの高電位接続電極部54と、2つの低電位接続電極部55とが設けられている。
【0027】
2つの高電位接続電極部54は、それぞれ、圧電層41の第3方向D3の一端(
図7の左端)及び他端(
図7の右端)において、圧電層41における第2方向D2の一方側(
図7の上側)に配置されている。2つの低電位接続電極部55は、それぞれ、圧電層41の第3方向D3の一端(
図7の左端)及び他端(
図7の右端)において、圧電層41における第2方向D2の他方側(
図7の下側)に配置されている。
【0028】
高電位接続電極部54及び低電位接続電極部55は、それぞれ、第2方向D2に互いに離隔して配置された複数の接続電極54a,55aで構成されている。接続電極54a,55aは、第1方向D1と直交する平面におけるサイズ及び形状が互いに略同じである。ドライバICは、制御部5の制御により、COFの配線を介して、接続電極54aに高電位(VDD電位)を付与し、接続電極55aに低電位(GND電位)を付与する。接続電極54aは高電位に保持され、接続電極55aは低電位に保持される。
【0029】
高電位電極52は、
図8に示すように、圧電層42の上面に配置されており、幹部521と、幹部521から分岐した複数の延在部523と、各延在部523から分岐した複数の個別部52aと、2つの高電位受容部522とを含む。
【0030】
幹部521は、圧電層42の第2方向D2の一端(
図8の上端)において、第3方向D3に延びている。複数の延在部523は、第3方向D3に並び、それぞれ幹部521から第2方向D2の他方側(
図8の下側)に延びている。各個別部52aは、各圧力室10の第2方向D2の中央部分と第1方向D1に重なり、各駆動電極51と第1方向D1に重なる部分を有する(
図5参照)。
【0031】
2つの高電位受容部522のうち、一方は、幹部521の第3方向D3の一端(
図8の左端)に接続している。2つの高電位受容部522のうち、他方は、幹部521の第3方向D3の他端(
図8の右端)に接続している。2つの高電位受容部522は、それぞれ、圧電層42の第3方向D3の一端(
図8の左端)及び他端(
図8の右端)において、第2方向D2に延びている。
【0032】
2つの高電位受容部522は、それぞれ、高電位接続電極部54を構成するいくつかの接続電極54aと第1方向D1に重なっている。2つの高電位受容部522は、それぞれ、圧電層41に形成された貫通孔を介して当該接続電極54aと電気的に接続されており、当該接続電極54aから高電位を受ける。
【0033】
圧電層42の上面には、高電位電極52に加え、2つの低電位接続電極部56と、2つの浮き電極部64と、浮き電極部65とが設けられている。
【0034】
2つの低電位接続電極部56は、それぞれ、圧電層42の第3方向D3の一端(
図8の左端)及び他端(
図8の右端)において、圧電層42における第2方向D2の他方側(
図8の下側)に配置されている。2つの低電位接続電極部56は、それぞれ、第2方向D2に互いに離隔して配置された2つの接続電極56aと1つの接続電極56bとで構成されている。
【0035】
2つの浮き電極部64は、それぞれ、圧電層42の第3方向D3の一端(
図8の左端)及び他端(
図8の右端)において、第2方向D2において高電位受容部522と低電位接続電極部56との間に配置されている。2つの浮き電極部64は、それぞれ、第2方向D2に互いに離隔して配置された複数の浮き電極64aで構成されている。
【0036】
浮き電極部65は、圧電層42の第2方向D2の他端(
図8の下端)に配置されている。浮き電極部65は、第3方向D3に互いに離隔して配置された複数の浮き電極65aで構成されている。浮き電極65aは、第1方向D1と直交する平面におけるサイズ及び形状が互いに略同じであり、第3方向D3に等間隔に配置されている。
【0037】
低電位接続電極部56の接続電極56aと、浮き電極部64の浮き電極64aとは、第1方向D1と直交する平面におけるサイズ及び形状が互いに略同じであり、圧電層42の第3方向D3の一端(
図8の左端)及び他端(
図8の右端)のそれぞれにおいて、第2方向D2に等間隔に配置されている。一方、低電位接続電極部56の接続電極56bは、接続電極56aよりも第2方向D2の長さが長い。
【0038】
接続電極56a,56bは、低電位接続電極部55を構成するいくつかの接続電極55aと第1方向D1に重なっている。接続電極56a,56bは、圧電層41に形成された貫通孔を介して当該接続電極55aと電気的に接続されている。
【0039】
浮き電極部64,65の各浮き電極64a,65aは、いずれの電極とも電気的に接続されず、電位が付与されない。
【0040】
低電位電極53は、
図9に示すように、圧電層43の上面に配置されており、幹部531と、幹部531から分岐した複数の延在部533と、各延在部533から分岐した複数の個別部53aと、2つの低電位受容部532とを含む。
【0041】
幹部531は、圧電層43の第2方向D2の他端(
図9の下端)において、第3方向D3に延びている。複数の延在部533は、第3方向D3に並び、それぞれ幹部531から第2方向D2の一方側(
図9の上側)に延びている。複数の個別部53aのうち、第2方向D2の一端及び他端に位置する個別部53aを除き、各個別部53aは、第2方向D2に互いに隣接する2つの圧力室10に跨り、上記2つの圧力室10と第1方向D1に重なる部分を有する(
図5参照)。上記第2方向D2の一端及び他端に位置する個別部53aは、1つの圧力室10と第1方向D1に重なる部分を有する。また、各個別部53aは、各駆動電極51と第1方向D1に重なる部分を有する。
【0042】
2つの低電位受容部532のうち、一方は、幹部531の第3方向D3の一端(
図9の左端)に接続している。2つの低電位受容部532のうち、他方は、幹部531の第3方向D3の他端(
図9の右端)に接続している。2つの低電位受容部532は、それぞれ、圧電層43の第3方向D3の一端(
図9の左端)及び他端(
図9の右端)において、第2方向D2に延びている。
【0043】
2つの低電位受容部532は、それぞれ、低電位接続電極部55を構成するいくつかの接続電極55a(
図7参照)及び低電位接続電極部56を構成するいくつかの接続電極56a,56b(
図8参照)と第1方向D1に重なっている。2つの低電位受容部532は、それぞれ、圧電層42に形成された貫通孔を介して当該接続電極56a,56bと電気的に接続されている。当該接続電極56a,56bは、それぞれ、上述のように、低電位接続電極部55の接続電極55aと電気的に接続されている。したがって、各低電位受容部532は、低電位接続電極部56(
図8参照)を介して低電位接続電極部55(
図7参照)と電気的に接続されており、低電位接続電極部55から低電位を受ける。
【0044】
圧電層43の上面には、低電位電極53に加え、高電位接続電極部57と、2つの浮き電極部66とが設けられている。
【0045】
高電位接続電極部57は、第3方向D3に延びる部分57aと、第2方向D2に延びる2つの部分57bとを有する。部分57aは、圧電層43の第2方向D2の一端(
図9の上端)において、第3方向D3に延びている。2つの部分57bのうち、一方は、部分57aの第3方向D3の一端(
図9の左端)に接続している。2つの部分57bのうち、他方は、部分57aの第3方向D3の他端(
図9の右端)に接続している。
【0046】
2つの部分57bは、それぞれ、高電位接続電極部54を構成するいくつかの接続電極54a(
図7参照)及び高電位電極52の各高電位受容部522(
図8参照)と第1方向D1に重なっている。2つの部分57bは、それぞれ、圧電層42に形成された貫通孔を介して各高電位受容部522と電気的に接続されている。各高電位受容部522は、上述のように、高電位接続電極部54の接続電極54aと電気的に接続されている。したがって、各部分57bは、高電位受容部522(
図8参照)を介して高電位接続電極部54(
図7参照)と電気的に接続されており、高電位接続電極部54から高電位を受ける。
【0047】
2つの浮き電極部66は、それぞれ、圧電層43の第3方向D3の一端(
図9の左端)及び他端(
図9の右端)において、第2方向D2において部分57bと低電位受容部532との間に配置されている。2つの浮き電極部66は、それぞれ、第2方向D2に互いに離隔して配置された複数の浮き電極66aで構成されている。浮き電極66aは、第1方向D1と直交する平面におけるサイズ及び形状が互いに略同じであり、第2方向D2に等間隔に配置されている。
【0048】
浮き電極部66の各浮き電極66aは、いずれの電極とも電気的に接続されず、電位が付与されない。
【0049】
図5に示すように、圧電層41のうち、第1方向D1において駆動電極51と高電位電極52の個別部52aとに挟まれた部分を、第1活性部91という。圧電層42,43のうち、第1方向D1において駆動電極51と低電位電極53の個別部53aとに挟まれた部分を、第2活性部92という。第1活性部91は主に上向きに分極され、第2活性部92は主に下向きに分極されている。圧電アクチュエータ22は、圧力室10毎に、1つの第1活性部91と、第2方向D2に第1活性部91を挟む2つの第2活性部92とから構成される、アクチュエータ部90を有する。
【0050】
ここで、
図6を参照し、あるノズル15からインクを吐出させる際の、当該ノズル15に対応するアクチュエータ部90の動作について説明する。
【0051】
プリンタ100が記録動作を開始する前は、
図6(a)に示すように、各駆動電極51に低電位(GND電位)が付与されている。このとき、駆動電極51と高電位電極52との電位差によって、第1活性部91にその分極方向に等しい上向きの電界が生じ、第1活性部91が面方向(第2方向D2及び第3方向D3に沿った方向)に収縮している。これにより、圧電層41~43からなる積層体における圧力室10と第1方向D1に重なる部分が、圧力室10に向かって(下向きに)凸となるように撓んでいる。このとき圧力室10は、上記積層体がフラットな場合と比べ、容積が小さくなっている。
【0052】
プリンタ100が記録動作を開始し、あるノズル15からインクを吐出させる際には、先ず、
図6(b)に示すように、当該ノズル15に対応する駆動電極51の電位が低電位(GND電位)から高電位(VDD電位)に切り替えられる。このとき、駆動電極51と高電位電極52との電位差がなくなることで、第1活性部91の収縮が解消される。一方、駆動電極51と低電位電極53との電位差が生じることで、第2活性部92にその分極方向に等しい下向きの電界が生じ、第2活性部92が面方向に収縮する。ただし、第2活性部92は、クロストーク(ある圧力室10におけるアクチュエータ部90の変形に伴う圧力変動が、当該圧力室10に隣接する別の圧力室10に伝わる現象)を抑制する機能を有するものであり、アクチュエータ部90の変形にほとんど寄与しない。つまり、このとき上記積層体は、圧力室10と第1方向D1に重なる部分が圧力室10から離れる方向に(上向きに)凸となるように撓まず、フラットな状態となる。これにより、圧力室10の容積は、
図6(a)に比べて大きくなる。
【0053】
その後、
図6(a)に示すように、当該ノズル15に対応する駆動電極51の電位が高電位(VDD電位)から低電位(GND電位)に切り替えられる。このとき、駆動電極51と低電位電極53との電位差がなくなることで、第2活性部92の収縮が解消される。一方、駆動電極51と高電位電極52との電位差が生じることで、第1活性部91にその分極方向に等しい上向きの電界が生じ、第1活性部91が面方向に収縮する。これにより、上記積層体における圧力室10と第1方向D1に重なる部分が、圧力室10に向かって(下向きに)凸となるように撓む。このとき、圧力室10の容積が大きく減少することで、圧力室10内のインクに大きな圧力が付与され、ノズル15からインクが吐出される。
【0054】
ここで、圧電層41の上面(第1方向D1において圧電層41の圧電層42と反対側の面)に配置された、駆動電極51、ダミー電極59、高電位接続電極部54及び低電位接続電極部55が、第1電極層71を構成する(
図7参照)。圧電層42の上面(第1方向D1において圧電層41と圧電層42との間)に配置された、高電位電極52、低電位接続電極部56、浮き電極部64,65が、第2電極層72を構成する(
図8参照)。圧電層43の上面(第1方向D1において圧電層42と圧電層43との間)に配置された、低電位電極53、高電位接続電極部57、及び、浮き電極部66が、第3電極層73を構成する(
図9参照)。
【0055】
高電位が本発明の「第1電位」に該当し、高電位電極52が本発明の「第1電位電極」に該当する。低電位が本発明の「第2電位」に該当し、低電位電極53が本発明の「第2電位電極」に該当する。高電位電極52及び低電位電極53の両方が、本発明の「共通電極」に該当する。高電位受容部522及び低電位受容部532の両方が、本発明の「電位受容部」に該当する。
【0056】
図10に示すように、各ヘッドユニット1xにおいて、4つの単位ヘッド1uは、高電位電極52が第2方向D2に互いに隣接するように、配列されている。4つの単位ヘッド1uそれぞれにおいて、高電位電極52の延在方向A(延在部523が幹部521(即ち、高電位受容部522との接続部)から延びる方向)は第2方向D2と平行であるが、第2方向D2に互いに隣接する2つの高電位電極52において、延在方向Aは互いに逆である。
【0057】
また、2つのヘッドユニット1xにおいて、第3方向D3に重なる2つの高電位電極52の延在方向Aは、互いに逆である。
【0058】
各単位ヘッド1uにおいて、高電位電極52の延在方向Aと低電位電極53の延在方向とは、互いに逆である(
図8及び
図9参照)。
【0059】
したがって、
図10には示されていないが、低電位電極53についても上記と同様であり、4つの単位ヘッド1uは、低電位電極53が第2方向D2に互いに隣接するように、配列されている。4つの単位ヘッド1uそれぞれにおいて、低電位電極53の延在方向(延在部533が幹部531(即ち、低電位受容部532との接続部)から延びる方向)は第2方向D2と平行であるが、第2方向D2に互いに隣接する2つの低電位電極53において、延在方向は互いに逆である。
【0060】
また、2つのヘッドユニット1xにおいて、第3方向D3に重なる2つの低電位電極53の延在方向は、互いに逆である。
【0061】
以上に述べたように、本実施形態によれば、第2方向D2に互いに隣接する2つの高電位電極52において、延在方向Aが互いに逆である(
図10参照)。仮に、
図11(b)に示す第1参考例のヘッドユニット1yのように、第2方向D2に互いに隣接する2つの高電位電極52において、延在方向Aが互いに同じであると、第2方向D2に互いに隣接する2つの高電位電極52の境界部分Bに、電気抵抗が大きい部分(延在部523の下流端に対応する部分)及び電気抵抗が小さい部分(延在部523の上流端に対応する部分)の両方が存在することとなり、境界部分Bにおけるインク滴の体積差が濃度ムラとして表れてしまう。これに対し、本実施形態では、
図11(a)に示すように、第2方向D2に互いに隣接する2つの高電位電極52の境界部分Bに、電気抵抗が大きい部分(延在部523の下流端に対応する部分)及び電気抵抗が小さい部分(延在部523の上流端に対応する部分)の一方のみが存在する。したがって、境界部分Bに電気抵抗の差が大きい部分が存在しなくなり、濃度ムラを抑制できる。
【0062】
また、
図10には示されていないが、各単位ヘッド1uにおいて高電位電極52の延在方向Aと低電位電極53の延在方向とは互いに逆であり、第2方向D2に互いに隣接する2つの低電位電極53においても、延在方向が互いに逆である。このような低電位電極53の延在方向の構成により、上述した高電位電極52の延在方向Aの構成による効果と同様の効果が得られる。
【0063】
4つの単位ヘッド1uは、それぞれ延在方向Aが第2方向D2と平行であり、第2方向D2に千鳥状に配列されている。この場合、後述の第2実施形態(
図12参照)のように延在方向Aが第2方向D2に対して斜めの第4方向D4である単位ヘッド1uを第2方向D2に一列に配列した場合に比べ、同じ解像度を実現するのに必要な単位ヘッド1uの数が少なくてすむ。したがって、単位ヘッド1uの数の低減化に伴うコストダウンを実現できる。
【0064】
2つのヘッドユニット1xにおいて、第3方向D3に重なる2つの高電位電極52の延在方向Aが、互いに逆である(
図10参照)。この場合、第3方向D3に重なる2つの高電位電極52において、電気抵抗が相補的に作用し、当該電極に対応する部分の画像の濃度ムラを効果的に抑制できる。
【0065】
各単位ヘッド1uは、圧力室10毎に1つの第1活性部91と2つの活性部92とからなるアクチュエータ部90が形成された、3層構成の圧電アクチュエータ22を有する。このような3層構成の圧電アクチュエータ22では、第1活性部91の変形に伴う圧力変動が、隣接する圧力室10に伝達される際に、第2活性部92の変形によってキャンセルされることで、クロストークを効果的に抑制できる。
【0066】
本実施形態では、高電位電極52及び低電位電極53のそれぞれにおいて、延在方向A(
図10参照)が互いに逆になっている。この場合、高電位電極52の電気抵抗の大小による濃度ムラ、及び、低電位電極53の電気抵抗の大小による濃度ムラを、共に抑制できる。
【0067】
高電位電極52及び低電位電極53は、それぞれ、電位受容部522,532と、電位受容部522,532に接続する幹部521,531と、幹部521,531から分岐した複数の延在部523,533とを含む。このような電極52,53の構成は、幹部521,531に対して延在方向の下流側に圧力室10が高密度に配置された場合に、特に好適である。
【0068】
<第2実施形態>
続いて、
図12及び
図13を参照し、本発明の第2実施形態に係るヘッド201について説明する。
【0069】
第1実施形態(
図10参照)に係るヘッド1は、2つのヘッドユニット1xを有し、各ヘッドユニット1xを構成する4つの単位ヘッド1uは、それぞれ延在方向Aが第2方向D2と平行であり、第2方向D2に千鳥状に配列されている。これに対し、第2実施形態(
図12参照)に係るヘッド201は、1つのヘッドユニット201xを有し、ヘッドユニット201xを構成する7つの単位ヘッド1uは、それぞれ延在方向Aが第4方向D4(第2方向D2に対して斜めの方向)であり、第2方向D2に一列に配列されている。この場合、延在方向Aが第2方向D2と平行である単位ヘッド1uを第2方向D2に一列に配列した構成に比べ、解像度を上げることができる。
【0070】
さらに、第2実施形態(
図12参照)では、第2方向D2に互いに隣接する2つの単位ヘッド1uにおいて、延在方向Aにおけるインク供給口8(開口)の高電位電極52に対する配置が互いに逆である。具体的には、ある単位ヘッド1uにおいて、インク供給口8は、高電位電極52に対して延在方向Aの上流側に配置されているのに対し、当該単位ヘッド1uと第2方向D2に隣接する単位ヘッド1uでは、インク供給口8は、高電位電極52に対して延在方向Aの下流側に配置されている。そして、7つの単位ヘッド1uのインク供給口8が、第2方向D2に並んでいる。この場合、第2方向D2に互いに隣接する2つの単位ヘッド1uにおいて、延在方向Aにおけるインク供給口8(開口)の高電位電極52に対する配置が互いに同じで、7つの単位ヘッド1uのインク供給口8が第3方向D3に離散した構成に比べ、7つの単位ヘッド1uのインク供給口8に共通に設けられるチューブユニット8x(各インク供給口8に取り付けられるチューブを支持する部材)の第3方向D3のサイズを抑えることができる。
【0071】
また、
図13に示すように、第2実施形態においても、
図11で説明した第1実施形態と同様の効果が得られる。即ち、仮に、
図13(b)に示す第2参考例のヘッドユニット201yのように、第2方向D2に互いに隣接する2つの高電位電極52において、延在方向Aが互いに同じであると、第2方向D2に互いに隣接する2つの高電位電極52の境界部分Bに、電気抵抗が大きい部分(延在部523の下流端に対応する部分)及び電気抵抗が小さい部分(延在部523の上流端に対応する部分)の両方が存在することとなり、境界部分Bにおけるインク滴の体積差が濃度ムラとして表れてしまう。これに対し、本実施形態では、
図13(a)に示すように、第2方向D2に互いに隣接する2つの高電位電極52の境界部分Bに、電気抵抗が大きい部分(延在部523の下流端に対応する部分)及び電気抵抗が小さい部分(延在部523の上流端に対応する部分)の一方のみが存在する。したがって、境界部分Bに電気抵抗の差が大きい部分が存在しなくなり、濃度ムラを抑制できる。
【0072】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0073】
第1電位が高電位、第2電位が低電位であることに限定されず、これとは逆(即ち、第1電位が低電位、第2電位が高電位)であってもよい。この場合、高電位電極52が最下層、低電位電極53が中間層に位置してよい。
【0074】
上述の実施形態では、高電位電極52及び低電位電極53のそれぞれにおいて、延在方向A(
図10参照)を互いに逆にしているが、これに限定されず、高電位電極52及び低電位電極53の一方のみにおいて、延在方向A(
図10参照)を互いに逆にしてもよい。
【0075】
圧電アクチュエータを構成する圧電層の数は、上述の実施形態では3つであるが、これに限定されない。例えば、上述の実施形態(
図4等参照)において、圧電アクチュエータ22の圧電層43と流路部材21のプレート31との間に、別の圧電層が配置されてもよい。また、圧電アクチュエータは、
図5及び
図6に示すような圧力室10毎に1つの第1活性部91と2つの活性部92とからなるアクチュエータ部90が形成された3層構成の圧電アクチュエータ22に限定されず、圧力室毎に1つの活性部を有する2層構成の圧電アクチュエータであってもよい。
【0076】
第1実施形態(
図10参照)では、各単位ヘッド1uの延在方向Aが第2方向D2と平行であるが、これに限定されない。例えば、各単位ヘッド1uの延在方向Aが第3方向D3と平行であってもよい。
【0077】
第1実施形態(
図10参照)では、全ての単位ヘッド1uにおいて、延在方向Aにおけるインク供給口8の高電位電極52に対する配置が互いに同じである(具体的には、全ての単位ヘッド1uにおいて、インク供給口8は、高電位電極52に対して延在方向Aの上流側に配置されている)が、これに限定されず、高電位電極52が第2方向D2に互いに隣接して配置された2つの単位ヘッド1uにおいて、延在方向Aにおけるインク供給口8の高電位電極52に対する配置が互いに逆であってもよい(例えば、各ヘッドユニット1xにおいて、搬送方向下流側の2つの単位ヘッド1uのインク供給口8を、高電位電極52に対して延在方向Aの下流側に配置してもよい)。
【0078】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等にも適用可能である。また、本発明は、画像の記録以外の用途で使用される液体吐出装置(例えば、基板に導電性の液体を吐出して導電パターンを形成する液体吐出装置)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1;201 ヘッド(液体吐出ヘッド)
1u 単位ヘッド
1x;201x ヘッドユニット
8 インク供給口(開口)
15 ノズル
21 流路部材
22 圧電アクチュエータ
41 圧電層(第1圧電層)
42 圧電層(第2圧電層)
43 圧電層(第3圧電層)
51 駆動電極
52 高電位電極(共通電極、第1電位電極)
521 幹部
522 高電位受容部(電位受容部)
523 延在部
53 低電位電極(共通電極、第2電位電極)
531 幹部
532 低電位受容部(電位受容部)
533 延在部
71 第1電極層
72 第2電極層
73 第3電極層
91 第1活性部
92 第2活性部
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第3方向
D4 第4方向