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特開2022-169345情報処理システム、情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169345
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20221101BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20221101BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/06
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075323
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】591015511
【氏名又は名称】高千穂交易株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 大良
(72)【発明者】
【氏名】坂本 昌也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB21
5L049CC11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】店舗間で被害情報を容易に共有する情報処理システム、情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】通信装置25と情報処理装置10とを含む情報処理システムであって、通信装置25は、通信装置25と関連付けられた店舗において発生した事案に関する被害情報の入力を受け付ける受付部と、受付部により受け付けられた被害情報を情報処理装置10へ送信する送信部とを備える。情報処理装置10は、通信装置25から被害情報を受信する受信部と、被害情報に基づいて速報情報を作成する制御部と、速報情報を他の通信装置25へ送信する送信部とを備える。制御部は、速報情報の送信先に応じて、第1の速報情報と、第1の速報情報よりも情報量が少ない第2の速報情報と、を作成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置と情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記通信装置は、
前記通信装置と関連付けられた店舗において発生した事案に関する被害情報の入力を受け付ける入力受付手段と、
前記入力受付手段により受け付けられた前記被害情報を前記情報処理装置へ送信する被害情報送信手段と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記通信装置から前記被害情報を受信する被害情報受信手段と、
前記被害情報に基づいて速報情報を作成する制御手段と、
前記速報情報を他の通信装置へ送信する速報情報送信手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記速報情報の送信先に応じて、第1の速報情報と、前記第1の速報情報よりも情報量が少ない第2の速報情報とを作成する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記速報情報送信手段は、
前記通信装置と関連付けられた前記店舗を運営する会社と同じ会社の他の店舗と関連付けられた通信装置及び関連会社の店舗と関連付けられた通信装置の何れかが送信先である場合、前記第1の速報情報を送信し、
前記通信装置と関連付けられた前記店舗を運営する会社と関連しない他の会社の店舗と関連付けられた通信装置が送信先である場合、前記第2の速報情報を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1の速報情報は、所定の情報を閲覧可能な情報であり、
前記第2の速報情報は、前記所定の情報を閲覧不可能な情報である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記所定の情報は、前記被害情報のうちの、前記店舗の名称、前記店舗を運営する会社の名称、前記会社内部への連絡事項を含むことを特徴とする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記所定の情報は、前記事案の発生に関与した人物の画像の顔画像部分の画像、又は、前記顔画像部分にモザイク処理が施された前記人物の画像を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記被害情報のうちの一部が自動入力され、
前記被害情報のうちの他の一部が選択入力され、
前記被害情報のうちのさらに他の一部が記入入力される
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記通信装置を含む複数の通信装置から受信した複数の被害情報に基づいて、前記事案が発生したエリアごとに、前記事案の発生件数を統計情報としてさらに作成することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記統計情報は、前記複数の通信装置の各々においてグラフ表示又はマップ表示の形態で閲覧可能であることを特徴とする請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記通信装置から受信した前記被害情報に基づいて、前記事案に関連する帳票データをさらに作成することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記帳票データは、前記事案が発生した店舗による当該店舗を運営する会社への前記事案に関する報告書データ、警察へ提出する被害届データ、及び保険会社へ提出する受付票データの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記事案は、窃盗、返金詐欺、釣銭詐欺、又はクレジット詐欺のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記通信装置は、
前記通信装置と関連付けられた撮影装置により撮影された画像を前記情報処理装置へ送信する画像送信手段をさらに備え、
前記情報処理装置は、
前記情報処理装置に蓄積された過去に事案の発生に関与した人物の画像と、前記通信装置から受信した画像とを照合する照合手段と、
前記照合手段により人物が照合された場合、前記通信装置へアラートを送信するアラート送信手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項13】
通信装置と通信可能な情報処理装置であって、
前記通信装置と関連付けられた店舗において発生した事案に関する被害情報を、前記通信装置から受信する被害情報受信手段と、
前記被害情報に基づいて速報情報を作成する制御手段と、
前記速報情報を他の通信装置へ送信する速報情報送信手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記速報情報の送信先に応じて、第1の速報情報と、前記第1の速報情報よりも情報量が少ない第2の速報情報とを作成する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
通信装置と通信可能な情報処理装置の制御方法であって、
前記通信装置と関連付けられた店舗において発生した事案に関する被害情報を、前記通信装置から受信する被害情報受信工程と、
前記被害情報に基づいて速報情報を作成する制御工程と、
前記速報情報を他の通信装置へ送信する速報情報送信工程と、
を有し、
前記制御工程では、前記速報情報の送信先に応じて、第1の速報情報と、前記第1の速報情報よりも情報量が少ない第2の速報情報とを作成する
ことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項15】
情報処理装置と通信可能な通信装置であって、
前記通信装置と関連付けられた店舗において発生した事案に関する被害情報の入力を受け付ける入力受付手段と、
前記入力受付手段により受け付けられた前記被害情報を前記情報処理装置へ送信する被害情報送信手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項16】
情報処理装置と通信可能な通信装置の制御方法であって、
前記通信装置と関連付けられた店舗において発生した事案に関する被害情報の入力を受け付ける入力受付工程と、
前記入力受付工程により受け付けられた前記被害情報を前記情報処理装置へ送信する被害情報送信工程と、
を有することを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項17】
請求項14又は16に記載の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品を販売する店舗(特に小売業店舗)では、万引など窃盗により被害が発生している。近年では、窃盗グループによる組織的な犯罪も増加しており、近隣の店舗で連続して大量に商品が万引被害(以下、大量窃盗とも称する)にあうことがある。
【0003】
これに対し、店舗では、特許文献1に開示されるような防犯カメラ装置を含む監視システムを導入している。そして、万引などの事案が発生した場合に店舗間で窃盗被害の情報を共有することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開特開2000-175086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、同一企業及び関連会社間でのクローズした情報共有に留まっており、近隣の他社店舗等との間で情報を共有することは難しい。そのため、大量窃盗などの事案が発生する可能性を事前に把握することができず、被害を防止するための警戒・対策を行うことが難しいという課題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、店舗間で被害情報を容易に共有するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成する本発明に係る情報処理システムは、
通信装置と情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記通信装置は、
前記通信装置と関連付けられた店舗において発生した事案に関する被害情報の入力を受け付ける入力受付手段と、
前記入力受付手段により受け付けられた前記被害情報を前記情報処理装置へ送信する被害情報送信手段と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記通信装置から前記被害情報を受信する被害情報受信手段と、
前記被害情報に基づいて速報情報を作成する制御手段と、
前記速報情報を他の通信装置へ送信する速報情報送信手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記速報情報の送信先に応じて、第1の速報情報と、前記第1の速報情報よりも情報量が少ない第2の速報情報とを作成する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、店舗間で被害情報を容易に共有することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
図2】(a)本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図であり、(b)本発明の一実施形態に係る通信装置の構成例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの処理シーケンスの一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る通信装置が実施する処理の手順を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係る情報処理装置が実施する処理の手順を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係る通信装置(スマートフォン)での速報受信メールの一例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る通信装置(パソコン)での速報受信メールの一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る通信装置(パソコン)における速報情報の閲覧画面の一例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る通信装置(パソコン)における速報情報の閲覧画面の一例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る通信装置における被害情報の登録画面の一例を示す図である。
図11】本発明の一実施形態に係る通信装置における被害情報の入力項目の一例を示す図である。
図12】本実施形態に係る商品のマスタデータの一例を示す図である。
図13】本実施形態に係る商品カテゴリ(大分類)の一例を示す図である。
図14】本実施形態に係る被害情報の入力画面の一例を示す図である。
図15】本実施形態に係る検索用画面の一例、及び検索結果の表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(実施形態1)
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る情報システムの構成例を示す図である。図1において、10は情報処理装置(サーバ)である。20a~20dは、それぞれ店舗を示している。ここで店舗20a及び店舗20bは、運営する会社が同一の店舗である。例えば、店舗20aはA社のドラッグストアAA店、店舗20bはA社のドラッグストアBB店である。そして、店舗20cは、店舗20a及び店舗20bの運営会社の関連会社(例えばグループ会社)の店舗である。例えば、店舗20cはA社の関連会社であるB社のドラッグストアCC店である。そして、店舗20dは、店舗20a及び店舗20bの運営会社とは関連がない他の会社(例えば競合他社)の店舗である。例えば、店舗20dはA社の競合他社であるC社のドラッグストアDD店である。なお、各店舗20は、情報処理装置10が提供するサービスへの加入者であり、様々な業界の複数の会社(同業他社)がサービスに登録可能である。
【0012】
各店舗には、監視カメラ21や防犯システム23などが設置されており、盗難などの事案が発生した場合に、その事案に関連する人物22(例えば対象者)の写真が撮影されることが可能である。必ずしも顔24が撮影できるとは限らないが、服装、荷物などの特徴を含む画像を取得できる場合がある。また、各店舗には通信装置25が配置されている。図示の例では、デスクトップ型のパーソナルコンピュータであるが、この例に限らずノートパソコンやスマートフォンなど他の形態の通信装置であってもよい。各店舗と関連付けられた各通信装置25と、情報処理装置10とはネットワークを介して情報を送受信することができる。
【0013】
本実施形態では、ある店舗で発生した事案(盗難など)の被害情報を通信装置25に入力し、その被害情報をネットワーク30を介して情報処理装置10へ送信する。そひて、情報処理装置10で必要な処理を行った後、各店舗と関連付けられた各通信装置25に対して被害に関する速報情報を送信する例を説明する。
【0014】
<装置構成>
続いて、図2(a)及び図2(b)を参照しながら、本発明の一実施形態に係る情報処理装置及び通信装置の構成例を説明する。図2(a)が、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図であり、図2(b)が、本発明の一実施形態に係る通信装置の構成例を示す図である。
【0015】
図2(a)に示すように、情報処理装置10は、サーバ装置であり、CPU101、記憶装置102、及び通信部103を備えている。以降説明する各処理部の動作は、CPU101が記憶装置102に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することにより実現される。記憶装置102は、各種情報を記憶する。例えば、通信装置25から受信した情報や、CPU101により読み出されて実行されるコンピュータプログラムなどを記憶する。通信部103は、ネットワーク30を介して有線又は無線で他の装置と通信する機能を有する。
【0016】
また、図2(b)に示すように、通信装置25は、CPU251、記憶装置252、通信部253、表示部254、及び操作入力部255を備えている。以降説明する各処理部の動作は、CPU251が記憶装置252に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0017】
記憶装置252は、各種情報を記憶する。例えば、情報処理装置10から受信した情報や、CPU251により読み出されて実行されるコンピュータプログラム、操作入力部255を介して入力された情報などを記憶する。通信部253は、ネットワーク30を介して有線又は無線で他の装置と通信する機能を有する。
【0018】
表示部254は各種の画面を表示する。例えば、情報処理装置10から配信されてきた他店舗で発生した事案の被害に関する速報情報を表示したり、自店舗で発生した事案の被害情報の入力を受け付けるための入力画面を表示したりすることができる。操作入力部255は、例えばマウス、キーボード、タッチパネルなどであり、ユーザから各種情報の入力を受け付けることができる。
【0019】
<処理シーケンス>
次に、図3を参照しながら、本発明の一実施形態に係る情報処理システムにおける処理シーケンスの一例を説明する。
【0020】
F301において、店舗20aにおいて、事案(例えば盗難被害)が発生し、店舗20aと関連付けられた通信装置25において被害情報の入力が受け付けられる。入力項目の詳細については後述する。例えば、店員は、防犯システム23によりアラートが発せられたことにより事案の発生を認識することができる。アラート出力時に監視カメラ21により撮影された事案に関連する人物(対象者)の画像が通信装置25へ送られ、被害情報の1つとして使用される。また、必ずしも防犯システム23の作動で事案の発生を認識するものとは限らず、店員が店内の棚の一部が大量に無くなっていることに気づいたことにより事案の発生を認識することも想定される。
【0021】
そして、F302において、通信装置25において入力された被害情報が情報処理装置10へ送信される。情報処理装置10は、通信装置25から受信した被害情報に対して、必要に応じて所定の処理を施した上で、他の店舗20b、20c、20dとそれぞれ関連付けられた各通信装置25に対して事案の発生による被害の速報情報を送信する。このとき送信される速報情報の内容は、送信先に応じて異なっている。送信内容の詳細については後述する。これにより、各店舗20b~20dの店員は事案の発生を知ることができ、自店舗の店員に警戒を促したり、対策を行ったりすることが可能となる。
【0022】
<通信装置の処理>
図4を参照して、図3に示した処理シーケンスに関して本発明の一実施形態に係る通信装置が実施する処理の手順を説明する。
【0023】
S401において、通信装置252のCPU252は、事案が発生したか否かを判定する。例えば、防犯システム23によりアラートが発せられたことにより、事案が発生したと判定することができる。あるいは、通信装置252の表示部254においてユーザによって被害情報の入力画面が開かれたことにより、事案が発生したと判定するようにしてもよい。事案が発生したと判定された場合、S402へ進む。一方、事案が発生していないと判定された場合、待機する。なお、本ステップは省略されてもよい。
【0024】
S402において、通信装置252のCPU252は、通信装置25の操作入力部255を介して、発生した事案に関する被害情報の入力を受け付ける。
【0025】
ここで、図10を参照しながら、被害情報の入力画面の一例を説明する。入力項目は、会社名、店舗名、業種、都道府県、市区町村、発生日、発生時刻、事案種別、人数、性別、年齢、特徴、身長、服装、日本人かそれ以外か、フリーコメント(人物に関して)、フリーコメント(商品に関して)、フリーコメント(社内連絡用)、画像などがある。
【0026】
ここで、会社名は、事案が発生した店舗を運営する会社の名称である。店舗名は、例えば横浜店といったように地名を含んだ店舗を特定する名称である。業種は、例えば(1)商業施設・百貨店、(2)総合スーパー、(3)食品スーパー・食料品・酒販店、(4)コンビニエンスストア、(5)衣料品・靴・鞄・雑貨店、(6)架電量販・パソコン・ゲーム・携帯ショップ、(7)ホームセンター・ディスカウント・カー用品・家具店、(8)ドラッグストア・薬局、(9)スポーツ・釣具・レジャー用品店、(10)眼鏡・時計・貴金属店、(11)本・CD・文具・玩具店、(12)その他、などである。ただし、業種の区分けは一例であり、これらのうちのいくつかを同じ区分にまとめてもよいし、さらに細分化した区分に分類してもよい。
【0027】
都道府県および市区町村は、事案が発生した店舗の所在地である。発生日および発生時刻は、事案が発生した日にちと発生した時刻である。発生日が不明である場合は、不明欄にチェックを入れることができる。事案種別は、例えば、窃盗、返金詐欺、釣銭詐欺又はクレジット詐欺などを含む。人数は、事案の発生に関与した人物(例えば対象者)の人数である。性別、年齢、特徴、身長、服装、日本人かそれ以外かといった項目は、事案の発生に関与した人物(例えば対象者)の情報である。これらの情報は、人数に応じた数だけ入力欄が提示される。図示の例は人数が1人の場合である。
【0028】
フリーコメント(人物に関して)は、店員などの入力者が、事案の発生に関与した人物に関して入力するコメント欄である。例えば「カメラ映像を確認したところ、男女2人組の不審者を確認。...」といった内容である。フリーコメント(商品に関して)は、店員などの入力者が、発生した事案に関連する商品(例えば窃盗被害にあった商品)に関して入力するコメント欄である。例えば「化粧品コーナーの棚1スパン盗難被害に逢いました。...」といった内容である。フリーコメント(社内連絡用)は、事案が発生した店舗を運営する会社の他の店舗や、関連会社の店舗に向けたコメントである。例えば、「店長の●●です。カメラ映像を全スタッフで確認しましたが、どの者も見覚えがないとの事です。写真映像を添付します。...」といった内容である。
【0029】
画像は、監視カメラ21により撮影された、事案の発生に関与した人物(例えば対象者)が映った画像である。例えばファイルを選択ボタンから画像を選択して、インポートすることができる。
【0030】
続いて、図11を参照して、図10に示した各入力項目について補足する。各入力項目のうち、会社名、店舗名、フリーコメント(社内連絡用)、画像は、自店舗の運営会社の他の店舗や関連会社の店舗に対しては公開するものの、他の会社(例えば競合他社)の店舗に対しては非公開の情報である。つまり、他の会社の店舗には、どの会社のどの店舗で起こった事案であるかを特定する情報や、社内連絡のためのコメント情報は配信されることがない。また、画像に関しても、他の会社の店舗では閲覧できないようにしている。ただし、画像については顔部分にモザイク処理をかけることで、顔部分を閲覧できない状態にした上で、他の会社でも閲覧できるようにしてもよい。図11に示すように、図10に示した入力項目(項目1~9、項目14~20、項目24~項目27)は、被害情報の入力時に必須(図11において〇印)又は任意の入力項目(図11において△印)となっている。一方、図11において、項目10~項目13、項目21~項目23に示される、合計数量、合計被害金額、状況、警察への通報、車種、車色、車両ナンバーといった項目は、速報時には入力不要の項目であるが、事後的に入力されることが推奨される項目である。
【0031】
合計数量は、被害を受けた商品の点数である。合計被害金額は、被害を受けた商品の総額である。状況は、例えば事案の発生に関与した人物が「逃走中」であるか、「捕まった」かといった情報である。警察への通報は、通報実施済又は通報未実施といった情報である。車種、車色、車両ナンバーは、事案の発生に関与した人物が逃走に使用した車両に関する情報である。
【0032】
また、項目9の商品カテゴリは、例えば、図13に示すように、メンズ衣料、子供・ベビー用品、インナー・下着、飲食料品、たばこ・喫煙具、生活家電、工具・電動工具、園芸用品、日用品、化粧品、医療・健康機器、CD・DVD・BD等、玩具・ゲーム、スポーツ衣料、レジャー用品、現金・金券等、レディース衣料、靴・鞄、時計・眼鏡・貴金属、酒類、カー・バイク用品、デジタル家電、雑貨・アクセサリ、ペット用品、医薬品、健康食品、書籍、文房具・OA(Office Automation)サプライ、スポーツ用品、釣具、家具・寝具・インテリア、その他商品などである。ただし、商品カテゴリの区分けは一例であり、これらのうちのいくつかを同じ区分にまとめてもよいし、さらに細分化した区分に分類してもよい。図13の例は大分類の一例であり、中分類、小分類を設けてもよい。
【0033】
また、図11に示すように、項目1~項目5は、入力が行われる店舗と関連付けられた通信装置25とっては既知の情報であることから、自動的に入力される項目である。そして、項目6~項目10、項目12~項目18、項目20~項目22は予め定められた選択肢の中から選択する形式の項目である。例えばプルダウンメニューから選択する。また、項目11、項目19、項目23~26は、自由度が高い項目なので直接記入による入力とする。項目27の画像は、図10において説明したように監視カメラ21により撮影された画像ファイルからインポートして貼り付ける形式である。
【0034】
なお、説明した各入力項目は一例であり、その一部が含まれていなくてもよいし、他の入力項目が含まれてもよい。また、自動入力、選択入力、記入入力のいずれを適用するかについても、説明した一例に限定されるものではない。
【0035】
続いて図4に戻り、S403において、通信装置252のCPU252は、通信装置25の通信部253を介して、S402で入力された、発生した事案に関する被害情報を情報処理装置10へ登録する。以上で図4の一連の処理が終了する。
【0036】
<情報処理装置の処理>
次に、図5を参照して、図3に示した処理シーケンスに関して本発明の一実施形態に係る情報処理装置が実施する処理の手順を説明する。
【0037】
S501において、情報処理装置10のCPU101は、通信部103を介して通信装置25から被害情報が登録されたか否かを判定する。被害情報が登録されたと判定された場合、S502へ進む。一方、被害情報が登録されていないと判定された場合、待機する。
【0038】
S502において、CPU101は、情報処理装置10による速報情報の送信先に応じた速報情報を作成する。より具体的には、第1の速報情報と、第1の速報情報よりも情報量が少ない第2の速報情報とを作成する。
【0039】
S503において、CPU101は、通信装置25と関連付けられた店舗を運営する会社と同じ会社の他の店舗と関連付けられた通信装置及び関連会社の店舗と関連付けられた通信装置の何れかが送信先であるか否かを判定する。本ステップがYesである場合、S503へ進む。一方、本ステップがNoである場合、S504へ進む。なお、S503でYesの場合とは、図3の例では送信先が店舗20b(店舗20aと同一会社の他の店舗)の通信装置、店舗20c(関連会社の店舗)の通信装置である場合である。一方、S503でNoの場合とは、図3の例では送信先が店舗20d(競合他社の店舗)の通信装置である場合である。
【0040】
S504において、CPU101は、通信部103を介して、第1の速報情報を送信する。ここで、第1の速報情報とは、情報処理装置10がS501で受信した被害情報のうちの所定の情報(例えば第三者には開示したくない情報)を閲覧可能な情報である。所定の情報は、例えば、図11を参照して説明した入力項目のうちの会社名、店舗名、社内連絡、画像である。送信先が自社店舗又は関連会社の店舗であるため、これらの情報も送信する。
【0041】
S505において、CPU101は、通信部103を介して、第1の速報情報よりも情報量が少ない第2の速報情報を送信する。第2の速報情報とは、情報処理装置10がS501で受信した被害情報のうちの所定の情報を閲覧不可能な情報である。この場合、送信先が他社(例えば競合他社)の店舗であるため、所定の情報は送信しない。なお、画像に関しては、事案に関連する人物の画像そのものを閲覧不可能にしてもよいが、その画像の顔画像部分にモザイク処理を施し、個人を特定できない状態であれば、顔以外を閲覧可能な状態で送信してもよい。
【0042】
S505において、CPU101は、すべての送信先に速報情報の送信を完了したか否かを判定する。送信を完了した場合、一連の処理を終了する。一方、送信を完了していない場合、S503に戻る。以上で図5の一連の処理が終了する。
【0043】
<速報受信メールの一例>
続いて、図6および図7を参照して、図5の処理で送信された速報情報を受信した通信装置で確認できる速報受信メールの一例を説明する。
【0044】
まず、図6は、速報を受信する通信装置がスマートフォンの場合の受信メールの一例を示す図である。そして、事案が発生した店舗を運営する会社とは別の会社(例えば競合)の通信装置で、速報情報を受信した場合の例である。図示の例から明らかなように、事案が発生した店舗を運営する会社名、店舗名、フリーコメント(社内連絡)、事案に関与した人物の画像の情報が含まれておらず、閲覧不可能な状態で速報を受信している。なお、手601の指を用いてスワイプ操作を行うことにより、折りたたまれた情報が開き、フリーコメント(商品に関して)、フリーコメント(人物に関して)といった情報を閲覧することができる。
【0045】
これに対して、図7は、速報を受信する通信装置がパーソナルコンピュータの場合の受信メールの一例を示す図である。そして、事案が発生した店舗と同じ運営会社の店舗の通信装置で、あるいは関連会社の店舗の通信装置で、速報情報を受信した場合の例である。図示の例から明らかなように、会社名、店舗名、フリーコメント(社内連絡)、事案に関与した人物の画像の情報も通知されており、閲覧可能である。図示の例では、画像のURLが記載されており、このURLをクリックすることで情報処理装置10に記憶されている画像にアクセスすることで画像を閲覧することができる。なお、速報が送信された送信先の通信装置には画像データは残ることはなく、あくまで情報処理装置10に記憶された画像にアクセスする形態である。
【0046】
<速報情報の表示画面での閲覧例>
図6及び図7では、受信メールの一例を説明したが、通信装置25の表示部254において速報情報(或いは速報後に情報追加された被害情報)を直接閲覧することも可能である。閲覧の方法としては、例えば通信装置25が情報処理装置10にアクセスして情報を取得することで閲覧することができる。
【0047】
図8及び図9を参照して、速報情報の閲覧画面の一例を説明する。図8は、速報情報の履歴画面を示す。図8において、IDで管理された各速報情報が時系列に一覧表示されている。例えば、会社名や店舗名、画像(サムネイル)が表示されているID19、22、25の速報情報は、自店舗を運営する会社の他の店舗による速報情報であるか、或いは、関連会社の店舗の速報情報である。操作ボタン801をクリックすると詳細画面に遷移する。図9は、操作ボタン801をクリックした場合に遷移する速報情報の詳細画面の一例である。これにより、図6図7に示したような受信メールの情報を、表形式でより見やすく提示することができる。
【0048】
なお、図9における合計数量、合計被害金額、車特徴、車色、車両ナンバーといった情報は、速報後に詳細登録されたことに応じて閲覧可能となる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態では、ある店舗で盗難などの事案が発生した場合に、事案が発生した店舗の通信装置において被害情報の入力を受け付け、その被害情報を情報処理装置(サーバ)へ送信し、配信先に応じた速報情報を他の店舗の通信装置へ送信する。
【0050】
これにより、店舗間で被害情報を容易に共有することが可能となる。特に、競合他社に対しても被害情報を速報として送信することができるので、同業の店舗間で広く情報を共有することができ、警戒や対策を行いやすくなる。
【0051】
[変形例]
なお、上記の例によれば、情報処理装置10が提供するサービスの加入者に対して被害の発生を広く迅速に伝達することができるが、サービスの加入者が希望するエリアで発生した事案を受信できるよう配信してもよい。この場合、サービスの加入者が通信装置25を操作して、受信希望エリアを指定可能に構成する。
【0052】
例えば、速報の送信先を所定のエリア(例えば同じ都道府県内、同じ市区町村、或いは、関東地方などの特定の地方エリア)に存在する店舗に限定してもよい。これにより、サービスの加入者によって異なる近隣店舗の定義にあわせて被害の速報を伝達することができるため、近隣店舗が警戒することができ、大量窃盗などの発生を未然に防止できる可能性を高めることができる。
【0053】
また、同じ業種や、同じ商品カテゴリに該当する被害情報の速報だけを受信するように各通信装置25において設定を変更できるように構成してもよい。これにより、必要な情報を適切に受信することが可能となる。
【0054】
また、情報処理装置10は、複数の通信装置からこれまでに受信した複数の被害情報に基づいて、事案が発生したエリア(例えば同じ都道府県内、同じ市区町村、或いは、関東地方などの特定の地方エリア)ごとに、事案の発生件数を統計情報としてさらに作成してもよい。例えば自店舗が存在する都道府県において、各市区町村に事案の発生件数をグラフ表示又はマップ表示の形態で表示可能に構成してもよい。なお、表示は、各通信装置25の表示部254上で行う。あるいは情報処理装置10に別途表示部を設けてもよく、その表示部で表示可能であってもよい。
【0055】
グラフ表示では、例えば横軸方向に各エリア(都道府県又は市区町村)、縦軸に発生件数とした棒グラフを表示してもよい。マップ表示では、例えば地図上でエリアごとに発生件数に応じた色分け表示を行ってもよい。これにより、発生件数が多いエリアを容易に把握することができる。また、盗難日、時間帯、曜日ごとに発生件数を整理して表示可能に構成してもよい。これにより、盗難が発生しやすい時間帯や曜日、季節などの傾向を把握することが可能になる。
【0056】
さらに、事案が発生した店舗の通信装置25は、操作入力部255を介して入力された被害情報に基づいて、事案に関連する帳票データを自動的に作成してもよい。ここでいう帳票データは、事案が発生した店舗による当該店舗を運営する会社への事案に関する報告書データ、対象者の情報をまとめた報告書データ、警察へ提出する被害届データ、及び保険会社へ提出する受付票データの少なくとも1つを含む。入力情報から自動的に所定のフォーマットのデータが作成できるため、被害情報の後処理が容易になり、店舗の担当者の負担を軽減することが可能となる。
【0057】
なお帳票データの作成は、通信装置25上で行ってもよいし、通信装置25から被害情報を受信した情報処理装置10上で行い、それを通信装置25がダウンロードする形態であってもよい。
【0058】
(実施形態2)
本実施形態では、窃盗などの事案が発生した店舗の監視カメラで撮影された画像を使用して、事案の発生に関与した人物が近隣店舗に設置された監視カメラで検知された場合に、アラートを出力する例を説明する。
【0059】
本実施形態に係る情報処理システムの構成、通信装置や情報処理装置の構成は、実施形態1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0060】
実施形態1で説明したように、監視カメラ21により撮影された、事案の発生に関与した人物(例えば対象者)の画像が、店舗の通信装置25から情報処理装置10へ送信され、情報処理装置10の記憶装置102に記憶されている。この記憶装置102に記憶されている画像情報と、各店舗の監視カメラ21により都度撮影された画像とを照合することにより、怪しい人物が来店したときにアラートを出力することが可能である。
【0061】
具体的には、各店舗に設置されている監視カメラ21で撮影された人物の画像を通信装置25を介して情報処理装置10へ送信する。そして、情報処理装置10が、記憶装置102に記憶されている画像情報と、通信装置25から送信されてきた画像情報とを照合し、例えば画像の類似度が所定値以上である場合に、アラート情報を通信装置25へ送信する。そして、通信装置25は、アラート情報を受信したことに応じてアラートを出力する。アラートの出力方法は、例えばアラートメールやアラート音声などの通知を利用することができる。アラートは、例えば店内のパトライト(登録商標)の点灯や店内アナウンスであってもよい。アラートに気づいた店舗の店員は、警戒又は対策を行うことができ、したがって被害を未然に防止できる可能性を高めることができる。
【0062】
実施形態1で説明したように、事案の発生に関与したであろう人物の画像は、他社の店舗の通信装置では画像全体を閲覧することができないか、顔部分にモザイクがかけられた状態でのみ閲覧可能に構成される。本実施形態に係る照合処理では、監視カメラ21により撮影された画像を各店舗の通信装置25を介して情報処理装置10に送信して情報処理装置10で照合を行うので、事案の発生に関与したであろう人物の画像(或いは画像中の顔部分)は、閲覧できない状態を維持することができる。
【0063】
なお、情報処理装置10での照合処理の方法は、通信装置25から都度送信されてくる画像中の人物の顔部分の輝度値と、記憶装置102にこれまで記憶されてきた被害の発生に関与したであろう人物の顔部分の輝度値との類似度を算出し、類似度が所定値以上であるかを判定する方法を用いることができる。あるいは、画像に顔部分がうまく映っていないことも想定されるので、顔同士の照合ではなく、画像に映っている服装や荷物、靴などの情報を用いて照合処理を行うように構成してもよい。
【0064】
(実施形態3)
本実施形態では、事前に商品のマスタデータを情報処理装置にインポートしておき、商品名の一部又は全部あるいはJANコード等を入力することで、データベースから該当する商品を検索し、その商品の被害情報を提示する例を説明する。
【0065】
本実施形態に係る情報処理システムの構成、通信装置や情報処理装置の構成は、実施形態1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0066】
図12は、本実施形態に係る商品のマスタデータの一例を示す図である。マスタデータは、例えば「JANコード」、「商品名+(型番)」、「メーカー名」、「大分類」、「中分類」、「小分類」、「NB/PB」の各項目を含む。型番は存在する場合には記載する。NBはナショナルブランドの略である。NBは、商品を製造するメーカーによるブランドであり、商品の企画から製造までをメーカーが行うことで作られるブランドである。一方、PBはプライベートブランドの略である。PBは、小売業者や卸業者などが開発したブランドであり、商品の企画・開発は小売業者などが行い、メーカーは主に製造のみを担当することで作られるブランドである。
【0067】
図12の1行目の例では、JANコードが4902XXXXXX57、商品名がXXXコーヒー、メーカーがA社、大分類が飲食料品、中分類が飲料、小分類がコーヒー、NB/PBの別がNBとなっている。ここで、大分類の一例を図13に示す。図13の詳細については実施形態1で既に説明した通りである。
【0068】
図12に示すような商品のマスタデータを予め情報処理装置10のデータベースに登録しておく。そして、店舗などにおける被害情報の登録時に、実施形態1において図10の入力画面を参照して説明した入力情報に加えて、さらに、商品のマスタデータに示した各項目のうち、例えばJANコード及び/又は商品名の情報の入力を受け付けるように構成する。これにより、事後的に通信装置25を介して特定の商品の被害情報を検索することが可能となる。
【0069】
ここで、図14は、本実施形態に係る被害情報の入力画面の一例を説明する。図14は、図11に示した入力画面の変形例である。図11の項目から、「フリーコメント(商品に関して)」を削除し、商品情報の各項目(JANコード、商品名、メーカー、大分類、中分類、小分類、NB又はPB、被害に遭った数量、被害に遭った合計金額)を追加した構成となっている。商品情報の各項目は、直接入力もしくはプルダウンメニューからの選択入力により入力できる。被害に遭った合計金額の入力内容は、自店舗の運営会社の他の店舗や関連会社の店舗に対しては公開するものの、他の会社(例えば競合他社)の店舗に対しては非公開の情報である。各店舗の通信装置25を用いて、図14に示すような入力画面を介して被害情報を登録する。
【0070】
収集された被害情報を閲覧したい各店舗の店員等は、通信装置25を介して情報処理装置10にアクセスし、検索用画面を介して検索のための入力を行う。例えば、通信装置25に表示された検索用画面を介して対象とする商品のJANコードを入力したり、商品名の少なくとも一部を入力したりすることで、該当する商品を情報処理装置10のデータベースから検索し、その商品に関する過去の被害情報や、被害の統計情報(例えば時期、エリアごとの被害発生件数や被害数量などの統計情報)を取得することができる。
【0071】
ここで、図15は、本実施形態に係る検索用画面の一例、及び検索結果の表示の一例を示す図である。検索用画面は、商品カテゴリ(大分類、中分類、小分類)、商品名、メーカー名、JANコード、NB/PBといった入力項目を含む。商品カテゴリ(大分類、中分類、小分類)、NB/PBは、プルダウンメニューから選択できるように構成してもよい。商品カテゴリについては、大分類を選択した後に中分類のプルダウンメニューからの選択が可能になり、中分類を選択した後に小分類のプルダウンメニューからの選択が可能になるように構成してもよい。商品名、メーカー名、JANコードは直接入力により文字入力を受け付けることができるようにしてもよい。文字の入力途中に、商品のマスタデータから候補の一覧を表示し、その一覧から選択できるように構成してもよい。
【0072】
例えば、メーカー名としてA社を指定して検索を行うことで、A社の過去の被害情報、その統計情報を取得できるように構成してもよい。同様に、商品カテゴリが大分類を指定して検索を行うことで、例えば図13に示した大分類に含まれる飲食料品に関する過去の被害情報、その統計情報を取得できるように構成してもよい。図15の検索結果の表示例は、大分類として飲食料品を指定した場合の検索結果である。図12に示したようなJANコード、商品名、メーカー名、大分類、中分類、小分類、NB/PBとともに、その商品の被害数量の情報が表示されている。
【0073】
あるいは、これらの組み合わせを指定して検索を行うことで、A社の飲食料品に関する過去の被害情報、その統計情報を取得できるように構成してもよい。これにより、商品単体だけではなく、特定の会社や、商品カテゴリに絞った検索を行うことが可能となる。よって、被害が発生しやすい商品カテゴリの傾向を把握したりすることも可能となる。
【0074】
また、図12の商品のマスタデータに含まれるNB/PBの項目を参照し、PBの商品に関しては、PBに関連する会社の店舗間でのみで情報を共有できるように構成してもよい。例えば、無関係の他社が検索を行った場合には、一部の情報だけを表示するようにしてもよい。図15の検索結果の例では、PBに該当する商品のJANコード、商品名、メーカー名、小分類の情報は表示していないように構成し、大分類、中分類、被害数量といった一部の情報のみを表示している。PBに該当する商品の被害情報の検索結果の表示例は、図示の例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0075】
なお、図15の例では、被害数量を表示したが、被害数量だけではなく、被害発生エリア、被害発生日時など、被害に関する様々な統計情報を表示してもよい。
【0076】
以上説明したように、本実施形態では、事前に商品のマスタデータを情報処理装置にインポートしておき、商品名の一部又は全部あるいはJANコード等を入力することで、データベースから該当する商品を検索し、その商品の被害情報を提示することができる。これにより、どの商品で盗難が発生しやすいかといった情報を様々な視点で調べることが可能となるので、より適切な防犯対策と行うことが可能となる。
【0077】
(実施形態4)
本実施形態では、盗難などの被害情報を共有することに留まらず、盗品売買の情報も共有する例を説明する。
【0078】
本実施形態に係る情報処理システムの構成、通信装置や情報処理装置の構成は、実施形態1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0079】
販売会社の店舗で盗難の被害に遭った商品が、中古買取販売会社で売却されて現金化されるといったことが行われ得る。そのため、中古買取販売会社には盗難品ではないかと疑われる商品(例えば新品未開封の大量の商品など)が持ち込まれることがある。一方、商品の販売会社は、中古買取販売会社(例えばリサイクル会社)をグループ会社、子会社として経営していることがある。このような時、中古買取販売会社の店員が、持ち込まれた不審な商品と、その数量の情報とを、盗品売買の情報として、中古買取販売会社の店舗と関連付けられた通信装置25を介して情報処理装置10(サーバ)に登録できるように構成する。これにより、販売会社の店舗において、販売会社の店舗と関連付けられた通信装置25を介して、情報処理装置10(サーバ)から盗品売買の情報を取得することが可能となる。収集された情報を解析することで、盗品売買の情報として登録されやすい傾向がある商品の情報を認識することも可能となる。よって、販売会社において取り扱っている商品のうち、盗難されやすい商品を認識することができるため、当該商品の監視を強化するといった対策を行うことが可能となり、さらなる盗難発生を未然に防止することが可能となる。
【0080】
なお、盗品売買の情報が登録されたことに応じて、情報処理装置10(サーバ)から販売会社の店舗と関連付けられた通信装置25へアラートメールなどのアラート通知を送信するように構成してもよい。この時、グループ会社や子会社など、関連のある会社により登録された盗品売買の情報のみ、アラート通知を送信するようにしてもよい。
【0081】
また、販売会社と、当該販売会社に関連する中古買取販売会社といったような関係に留まらず、相互に関連の無いような多数のサービス加入者の間で盗品売買の情報を共有できるように構成してもよい。これにより、様々な種類の商品の盗品売買の情報を共有することが可能となる。
【0082】
なお、本実施形態では、実施形態1、2のように被害情報を共有することに加えて、盗品売買の情報も共有する例を説明したが、盗品情報の情報のみを共有する場合にも本発明を適用することができる。すなわち、本実施形態で説明した盗品売買の情報の共有だけを情報処理システムで実現するように構成してもよい。
【0083】
(実施形態5)
本実施形態では、窃盗や万引き以外にも、気付いたら商品が無くなっていたという事案を対象とする。窃盗や万引きによる被害とは限らない商品ロスに気づいた場合、それらと区別して品減事案として情報処理装置10(サーバ)に登録可能にする例を説明する。窃盗や万引きによる被害とは限らない商品ロスとしては、例えば単なる管理上のミスに起因するロス、取引業者の不正に起因するロス、従業員の不正に起因するロスなどが挙げられる。
【0084】
本実施形態に係る情報処理システムの構成、通信装置や情報処理装置の構成は、実施形態1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0085】
店舗の店員が、品減事案に気づいた場合、通信装置25を介して、ロスが発生した商品を個々に特定する識別情報(例えばJANコード)を当該商品と関連付けて、情報処理装置10(サーバ)に登録する。これにより、情報処理装置10(サーバ)は複数の会社・店舗で発生した商品ロスの数量の情報が収集できるため、その収集結果に基づいて、どの商品でロスが発生しやすいかといった傾向を解析することが可能となる。
【0086】
店舗の店員が、通信装置25を介して、情報処理装置10(サーバ)にアクセスして特定の商品の情報を入力することで、情報処理装置10(サーバ)からその商品の商品ロスの過去の傾向情報を取得できるように構成する。例えば、商品名やJANコードなどの商品に関する情報を検索窓に入力することで、入力された情報に関連する商品ロスの傾向情報を情報処理装置10(サーバ)が返すように構成する。傾向情報の表示は、例えば、その商品のロス量の時系列的な表示とすることができる。なお、数値表示ではなく、棒グラフのようなグラフ表示とすることでより直感的に認識しやすい表示形態で表示してもよい。
【0087】
これにより、どの商品でロスが発生しやすいかといった傾向を把握することが可能となる。
【0088】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
10:情報処理装置
20a~20d:店舗
21:監視カメラ
22:人物
23:防犯システム
24:顔
25:通信装置
30:ネットワーク
101,251:CPU
102,252:記憶装置
103,253:通信部
254:表示部
255:操作入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置と情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記通信装置は、
前記通信装置と関連付けられた店舗において発生した事案に関する被害情報の入力を受け付ける入力受付手段と、
前記入力受付手段により受け付けられた前記被害情報を前記情報処理装置へ送信する被害情報送信手段と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記通信装置から前記被害情報を受信する被害情報受信手段と、
前記被害情報に基づいて速報情報を作成する制御手段と、
前記速報情報を他の通信装置へ送信する速報情報送信手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記速報情報の送信先に応じて、第1の速報情報と、前記第1の速報情報よりも情報量が少ない第2の速報情報とを作成し、
前記情報処理装置は、前記他の通信装置のユーザが希望するエリアの指定と、業種の指定とを、前記他の通信装置を介して受け付け可能であり、
前記速報情報送信手段は、前記他の通信装置について指定されたエリアに該当する前記速報情報であって且つ指定された業種に該当する速報情報を前記他の通信装置へ送信することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記速報情報送信手段は、
前記通信装置と関連付けられた前記店舗を運営する会社と同じ会社の他の店舗と関連付けられた通信装置及び関連会社の店舗と関連付けられた通信装置の何れかが送信先である場合、前記第1の速報情報を送信し、
前記通信装置と関連付けられた前記店舗を運営する会社と関連しない他の会社の店舗と関連付けられた通信装置が送信先である場合、前記第2の速報情報を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1の速報情報は、所定の情報を閲覧可能な情報であり、
前記第2の速報情報は、前記所定の情報を閲覧不可能な情報である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記所定の情報は、前記被害情報のうちの、前記店舗の名称、前記店舗を運営する会社の名称、前記会社内部への連絡事項を含むことを特徴とする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記所定の情報は、前記事案の発生に関与した人物の画像の顔画像部分の画像、又は、前記顔画像部分にモザイク処理が施された前記人物の画像を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記被害情報のうちの一部が自動入力され、
前記被害情報のうちの他の一部が選択入力され、
前記被害情報のうちのさらに他の一部が記入入力される
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記通信装置を含む複数の通信装置から受信した複数の被害情報に基づいて、前記事案が発生したエリアごとに、前記事案の発生件数を統計情報としてさらに作成することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記統計情報は、前記複数の通信装置の各々においてグラフ表示又はマップ表示の形態で閲覧可能であることを特徴とする請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記通信装置から受信した前記被害情報に基づいて、前記事案に関連する帳票データをさらに作成することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記帳票データは、前記事案が発生した店舗による当該店舗を運営する会社への前記事案に関する報告書データ、警察へ提出する被害届データ、及び保険会社へ提出する受付票データの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記事案は、窃盗、返金詐欺、釣銭詐欺、又はクレジット詐欺のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記通信装置は、
前記通信装置と関連付けられた撮影装置により撮影された画像を前記情報処理装置へ送信する画像送信手段をさらに備え、
前記情報処理装置は、
前記情報処理装置に蓄積された過去に事案の発生に関与した人物の画像と、前記通信装置から受信した画像とを照合する照合手段と、
前記照合手段により人物が照合された場合、前記通信装置へアラートを送信するアラート送信手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記情報処理装置は、商品カテゴリの指定を、前記他の通信装置を介してさらに受け付け可能であり、
前記速報情報送信手段は、指定されたエリア、指定された業種及び指定された商品カテゴリに該当する速報情報を前記他の通信装置へ送信することを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記情報処理装置は、
商品のデータベースを保持する保持手段と、
前記他の通信装置を介して商品名の一部又は全部あるいはJANコードの情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記商品名の一部又は全部あるいはJANコードに基づいて前記データベースから該当する商品を検索し、当該商品の被害情報を前記他の通信装置に対して提示する提示手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項15】
通信装置と通信可能な情報処理装置であって、
前記通信装置と関連付けられた店舗において発生した事案に関する被害情報を、前記通信装置から受信する被害情報受信手段と、
前記被害情報に基づいて速報情報を作成する制御手段と、
前記速報情報を他の通信装置へ送信する速報情報送信手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記速報情報の送信先に応じて、第1の速報情報と、前記第1の速報情報よりも情報量が少ない第2の速報情報とを作成し、
前記情報処理装置は、前記他の通信装置のユーザが希望するエリアの指定と、業種の指定とを、前記他の通信装置を介して受け付け可能であり、
前記速報情報送信手段は、前記他の通信装置について指定されたエリアに該当する前記速報情報であって且つ指定された業種に該当する速報情報を前記他の通信装置へ送信することを特徴とする情報処理装置。
【請求項16】
通信装置と通信可能な情報処理装置の制御方法であって、
前記通信装置と関連付けられた店舗において発生した事案に関する被害情報を、前記通信装置から受信する被害情報受信工程と、
前記被害情報に基づいて速報情報を作成する制御工程と、
前記速報情報を他の通信装置へ送信する速報情報送信工程と、
を有し、
前記制御工程では、前記速報情報の送信先に応じて、第1の速報情報と、前記第1の速報情報よりも情報量が少ない第2の速報情報とを作成し、
前記制御方法は、
前記他の通信装置のユーザが希望するエリアの指定と、業種の指定とを、前記他の通信装置を介して受け付ける受付工程をさらに有し、
前記速報情報送信工程では、前記他の通信装置について指定されたエリアに該当する前記速報情報であって且つ指定された業種に該当する速報情報を前記他の通信装置へ送信することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項17】
請求項16に記載の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記の目的を達成する本発明に係る情報処理システムは、
通信装置と情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記通信装置は、
前記通信装置と関連付けられた店舗において発生した事案に関する被害情報の入力を受け付ける入力受付手段と、
前記入力受付手段により受け付けられた前記被害情報を前記情報処理装置へ送信する被害情報送信手段と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記通信装置から前記被害情報を受信する被害情報受信手段と、
前記被害情報に基づいて速報情報を作成する制御手段と、
前記速報情報を他の通信装置へ送信する速報情報送信手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記速報情報の送信先に応じて、第1の速報情報と、前記第1の速報情報よりも情報量が少ない第2の速報情報とを作成し、
前記情報処理装置は、前記他の通信装置のユーザが希望するエリアの指定と、業種の指定とを、前記他の通信装置を介して受け付け可能であり、
前記速報情報送信手段は、前記他の通信装置について指定されたエリアに該当する前記速報情報であって且つ指定された業種に該当する速報情報を前記他の通信装置へ送信することを特徴とする。