(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169358
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】組立構造体及びピンリング
(51)【国際特許分類】
F01L 1/04 20060101AFI20221101BHJP
F01L 1/047 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
F01L1/04 D
F01L1/047
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075344
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000185488
【氏名又は名称】株式会社オティックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 亮貴
【テーマコード(参考)】
3G016
【Fターム(参考)】
3G016AA19
3G016BA31
3G016CA15
3G016CA23
3G016CA57
3G016FA27
3G016FA29
3G016FA38
3G016FA39
3G016GA02
(57)【要約】
【課題】ネジ孔への屑の脱落を防ぐことができる、組立構造体及びピンリングを提供すること。
【解決手段】ネジ孔11を備える第1部材10と、貫通孔21を備える第2部材20と、第2部材20の貫通孔21に挿通すると共に第1部材10のネジ孔11に螺合するボルト3と、ネジ孔11の一部と貫通孔21の少なくとも一部とに嵌入すると共にボルト3を内側に挿通させる筒状のピンリング4と、を有する組立構造体1。ネジ孔11は、雌ネジ部111と、雌ネジ部111よりも第2部材20側に配されると共に雌ネジ部111よりも内径の大きい被嵌入部112とを有する。被嵌入部112に、ピンリング4の一部が嵌入している。ピンリング4は、外周面に、周方向に沿って形成された溝部43を有する。溝部43は被嵌入部112内に配置され、溝部43よりも第2部材20側の外周面においてピンリング4が被嵌入部112に圧入されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネジ孔を備える第1部材と、
貫通孔を備える第2部材と、
上記第2部材の上記貫通孔に挿通すると共に上記第1部材の上記ネジ孔に螺合するボルトと、
上記ネジ孔の一部と上記貫通孔の少なくとも一部とに嵌入すると共に上記ボルトを内側に挿通させる筒状のピンリングと、を有する組立構造体であって、
上記ネジ孔は、雌ネジ部と、該雌ネジ部よりも上記第2部材側に配されると共に上記雌ネジ部よりも内径の大きい被嵌入部とを有し、
該被嵌入部に、上記ピンリングの一部が嵌入しており、
上記ピンリングは、外周面に、周方向に沿って形成された溝部を有し、
該溝部は上記被嵌入部内に配置され、上記溝部よりも上記第2部材側の外周面において上記ピンリングが上記被嵌入部に圧入されている、組立構造体。
【請求項2】
上記ネジ孔は、上記第2部材と反対側の端部が閉塞された袋ネジ孔である、請求項1に記載の組立構造体。
【請求項3】
上記ピンリングは、上記溝部から上記第1部材側の端部までの距離が、上記溝部から上記第2部材側の端部までの距離よりも、短い、請求項1又は2に記載の組立構造体。
【請求項4】
第1部材のネジ孔に圧入されると共に、第2部材の貫通孔に嵌入される、筒状のピンリングであって、
該ピンリングの外周面は、周方向に沿って形成された溝部と、該溝部を挟んで互いに反対側に配された第1領域及び第2領域とを有し、
該第2領域の少なくとも一部に、上記ネジ孔に圧入される圧入部を有し、
上記第1領域は、上記圧入部よりも外径が小さい、ピンリング。
【請求項5】
上記第1領域は、上記第2領域よりも、軸方向の長さが短い、請求項4に記載のピンリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立構造体及びピンリングに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の部材をボルトにて締結して組み立ててなる組立構造体として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1は、カムシャフトの軸受け構造に関し、シリンダヘッドとカムキャップとをボルトにて締結して組み立てられた組立構造体が開示されている。この組立構造体においては、シリンダヘッドとカムキャップとの間の組付け位置を決めるために、ピンリングが用いられている。ピンリングは螺合孔の拡径部(以下、単にネジ孔ともいう。)に圧入されており、ピンリングの内側にボルトが挿通されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ネジ孔にピンリングを圧入する際、ネジ孔の内壁面が削れる場合がある。かかる場合には、バリ等の屑が生じ、屑がネジ孔の中に脱落することが考えられる。そうすると、屑が雌ネジ部とボルトとの間に噛み込む等の不具合を招くことも懸念される。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ネジ孔への屑の脱落を防ぐことができる、組立構造体及びピンリングを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、ネジ孔を備える第1部材と、
貫通孔を備える第2部材と、
上記第2部材の上記貫通孔に挿通すると共に上記第1部材の上記ネジ孔に螺合するボルトと、
上記ネジ孔の一部と上記貫通孔の少なくとも一部とに嵌入すると共に上記ボルトを内側に挿通させる筒状のピンリングと、を有する組立構造体であって、
上記ネジ孔は、雌ネジ部と、該雌ネジ部よりも上記第2部材側に配されると共に上記雌ネジ部よりも内径の大きい被嵌入部とを有し、
該被嵌入部に、上記ピンリングの一部が嵌入しており、
上記ピンリングは、外周面に、周方向に沿って形成された溝部を有し、
該溝部は上記被嵌入部内に配置され、上記溝部よりも上記第2部材側の外周面において上記ピンリングが上記被嵌入部に圧入されている、組立構造体にある。
【0007】
本発明の第2の態様は、第1部材のネジ孔に圧入されると共に、第2部材の貫通孔に嵌入される、筒状のピンリングであって、
該ピンリングの外周面は、周方向に沿って形成された溝部と、該溝部を挟んで互いに反対側に配された第1領域及び第2領域とを有し、
該第2領域の少なくとも一部に、上記ネジ孔に圧入される圧入部を有し、
上記第1領域は、上記圧入部よりも外径が小さい、ピンリングにある。
【発明の効果】
【0008】
上記第1の態様にかかる組立構造体において、上記ピンリングは、外周面に上記溝部を有する。そして、溝部よりも上記第2部材側の外周面においてピンリングが上記被嵌入部に圧入されている。それゆえ、ピンリングを第1部材に圧入する際に、仮にバリ等の屑が発生しても、屑を溝部の中に留まらせることができる。その結果、ネジ孔に屑が脱落することを防ぐことができる。
【0009】
上記第2の態様にかかるピンリングは、外周面が上記溝部を有する。これにより、ピンリングをネジ孔に圧入する際、圧入部において屑が生じたとしても、屑を溝部の中に留まらせることができる。その結果、ネジ孔に屑が脱落することを防ぐことができる。また、上記第1領域は、上記圧入部よりも外径が小さい。それゆえ、ピンリングをネジ孔に圧入する際に、溝部よりも挿入先端側において屑が発生することを防ぐことができる。かかる観点においても、ネジ孔に屑が脱落することを防ぐことができる。
【0010】
以上のごとく、上記態様によれば、ネジ孔への屑の脱落を防ぐことができる、組立構造体及びピンリングを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】実施形態1における、組立構造体の具体例の断面説明図であって、
図4のIII-III線矢視断面相当図。
【
図8】実施形態1における、溝部周辺の拡大断面説明図。
【
図9】実施形態1における、ネジ孔にピンリングを圧入した状態を示す断面説明図。
【
図10】実施形態1における、ピンリングに第2部材の貫通孔を嵌合させた状態を示す断面説明図。
【
図11】実施形態2における、組立構造体の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記第1の態様にかかる組立構造体において、上記ネジ孔は、上記第2部材と反対側の端部が閉塞された袋ネジ孔であるものとすることができる。この場合には、仮にネジ孔に屑が脱落したとすると、ネジ孔に屑が留まることとなる。それゆえ、屑が雌ネジ部とボルトとの間に噛み込まれる等の不具合が、より懸念される。かかる構造において、ピンリングに溝部を設けて、袋ネジ孔に屑が脱落することを防ぐことで、上記の懸念を効果的に解消することができる。
【0013】
また、上記組立構造体において、上記ピンリングは、上記溝部から上記第1部材側の端部までの距離が、上記溝部から上記第2部材側の端部までの距離よりも、短いものとすることができる。この場合には、軸方向における圧入部の長さを長くすることができる。それゆえ、ピンリングを安定して第1部材に固定することができる。
【0014】
上記第2の態様にかかるピンリングにおいて、上記第1領域は、上記第2領域よりも、軸方向の長さが短いものとすることができる。この場合には、ピンリングを安定して第1部材に固定することができる。
【0015】
(実施形態1)
組立構造体及びピンリングにかかる実施形態につき、
図1~
図10を参照して説明する。
本形態の組立構造体1は、
図1に示すごとく、ネジ孔11を備える第1部材10と、貫通孔21を備える第2部材20と、ボルト3と、筒状のピンリング4と、を有する。ボルト3は、第2部材20の貫通孔21に挿通すると共に第1部材10のネジ孔11に螺合する。ピンリング4は、ネジ孔11の一部と貫通孔21の少なくとも一部とに嵌入すると共にボルト3を内側に挿通させる。
【0016】
図2に示すごとく、ネジ孔11は、雌ネジ部111と被嵌入部112とを有する。被嵌入部112は、雌ネジ部111よりも第2部材20側に配されると共に雌ネジ部111よりも内径が大きい。
図1に示すごとく、被嵌入部112に、ピンリング4の一部が嵌入している。
【0017】
図1に示すごとく、ピンリング4は、外周面に、周方向に沿って形成された溝部43を有する。溝部43は被嵌入部112内に配置され、溝部43よりも第2部材20側の外周面においてピンリング4が被嵌入部112に圧入されている。
【0018】
図1、
図2に示すごとく、ネジ孔11は、第2部材20と反対側の端部が閉塞された袋ネジ孔である。すなわち、本形態において、ネジ孔11は貫通していない。
【0019】
本形態において、組立構造体1は、
図3、
図4に示すような、カムシャフト51の軸受け構造体である。
軸受け構造体は、カムハウジングCHとカムキャップCCとによってカムシャフト51を回転可能に軸支する構造体である。すなわち、本形態において、カムハウジングCHが第1部材10であり、カムキャップCCが第2部材20である。
【0020】
カムハウジングCHに対して、カムキャップCCが、複数個所において、ボルト3にて締結されている。カムキャップCCは、円弧状の軸押え部201と、軸押え部201の両端側に形成されたフランジ部202とを有する。これらのフランジ部202のそれぞれに、貫通孔21が形成されている。
【0021】
カムハウジングCHは、カムシャフト51を受ける軸受け部101を有する。軸受け部101を挟んで互いに反対側の位置に、それぞれネジ孔11が形成されている。
【0022】
カムハウジングCH、カムキャップCC、ボルト3、ピンリング4は、いずれも金属からなる。具体的には、カムハウジングCH及びカムキャップCCは、例えば、アルミニウム合金ダイカストからなる。ボルト3は、例えば、クロムモリブデン鋼からなる。ピンリング4は、例えば、炭素鋼からなる。
【0023】
なお、カムシャフト51は、長手方向の複数個所において、カムキャップCCに保持されている。
【0024】
本形態のピンリング4は、上述のように、第1部材10のネジ孔11に圧入されると共に、第2部材20の貫通孔21に嵌入される、筒状のピンリングである。
図5に示すごとく、ピンリング4の外周面は、溝部43と、溝部43を挟んで互いに反対側に配された第1領域41及び第2領域42とを有する。
図5、
図7に示すごとく、溝部43は、周方向に沿って形成されている。第2領域42の少なくとも一部に、ネジ孔11に圧入される圧入部421を有する。
図5、
図6に示すごとく、第1領域41は、圧入部421よりも外径が小さい。
【0025】
すなわち、第1領域41の外径d1は、圧入部421の外径d2よりも小さい。本形態において、第2領域42の大部分は一定の外径を有し、圧入部421と同等の外径d2を有する。第1領域41の外径d1は、第2領域42の外径d2よりも、例えば0.1mm以下程度、小さくすることができる。溝部43は、
図7に示すごとく、ピンリング4の外周面の全周にわたって連続して形成されていることが好ましい。ただし、溝部43の形状は、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0026】
ピンリング4は、略円筒形状を有する。そして、軸方向の両端部の外周側に、面取り部44を有する。なお、本明細書において、ピンリング4の貫通方向を、軸方向Zという。また、軸方向Zにおいて、第2領域42に対して第1領域41が配される側を先端側、その反対側を基端側というものとする。ピンリング4の内径は、ボルト3の脚部の外径よりも大きい(
図1参照)。
【0027】
図5に示すごとく、ピンリング4において、第1領域41は、第2領域42よりも、軸方向Zの長さが短い。すなわち、溝部43は、ピンリング4の軸方向Zにおける中央よりも先端側に形成されている。換言すると、ピンリング4は、溝部43から第1部材10(カムハウジングCH)側の端部までの距離L1が、溝部43から第2部材20(カムキャップCC)側の端部までの距離L2よりも、短い。
【0028】
ピンリング4は、
図1、
図8、
図9に示すごとく、先端側からネジ孔11の被嵌入部112に嵌入される。このとき、ピンリング4の外周面の第1領域41は、被嵌入部112に圧接されないが、第2領域42の一部において、被嵌入部112に圧接する。この第2領域42における、被嵌入部112に圧接される箇所が、圧入部421である。また、
図8に示すごとく、ピンリング4の外周面の第1領域41と、被嵌入部112の内周面との間には、若干のクリアランスCが形成されている。このクリアランスCは、例えば、0.1mm以下とする。
【0029】
そして、
図1に示すごとく、第2領域42における基端側の一部は、被嵌入部112に嵌入せず、ネジ孔11から突出している。そして、ピンリング4における、ネジ孔11から突出した部分が、カムキャップCCの貫通孔21の一部に挿入されている。
【0030】
ネジ孔11の被嵌入部112及び貫通孔21は、それぞれ、略円柱形状の空間となっている。貫通孔21の内径は、被嵌入部112の内径よりも、若干大きい。それゆえ、ピンリング4の第2領域42は、被嵌入部112には圧入されているが、貫通孔21には圧入されていない。
【0031】
次に、本形態の組立構造体1の組み立て方法の一例につき、説明する。
まず、
図2、
図9に示すごとく、第1部材10(カムハウジングCH)のネジ孔11における被嵌入部112に、ピンリング4を先端側から圧入する。このとき、
図9に示すごとく、ピンリング4の第1領域41の全体と、溝部43と、第2領域42の一部とが、被嵌入部112内に配置されるようにする。
【0032】
被嵌入部112へのピンリング4の圧入時には、ピンリング4の外周面の第2領域42が、被嵌入部112の内周面に対して強い加圧力にて圧接しながら摺動する。それゆえ、被嵌入部112の内周面が削れてバリが生じることがある。このバリが被嵌入部112から脱落して屑となり、ネジ孔11に落下することが懸念される。しかし、ピンリング4の外周面における第2領域42の先端側に、溝部43が設けてある。それゆえ、屑が生じたとしても、溝部43に屑が留まることとなる。その結果、ネジ孔11の雌ネジ部111付近に屑が落下することを防ぐことができる。
【0033】
被嵌入部112へピンリング4を圧入した状態においては、ピンリング4の基端部が、ネジ孔11から突出している。それゆえ、
図10に示すごとく、ネジ孔11から突出したピンリング4の一部が、第2部材20であるカムキャップCCの貫通孔21に挿入されるように、カムキャップCCをカムハウジングCHに対して配置する。これにより、カムハウジングCHとカムキャップCCとの位置決めを容易かつ正確に行うことができる。すなわち、ピンリング4は、カムハウジングCHとカムキャップCCとの組付け時における位置決め手段として機能する。
【0034】
その後、
図1に示すごとく、ボルト3を、カムキャップCCの貫通孔21及びピンリング4の内側に挿通させて、ネジ孔11の雌ネジ部111に螺合させる。これにより、カムハウジングCHにカムキャップCCをボルト3にて締結した状態の、組立構造体1が得られる。
【0035】
次に、本形態の作用効果につき説明する。
上記組立構造体1において、ピンリング4は、外周面に溝部43を有する。そして、溝部43よりも基端側の外周面においてピンリング4が被嵌入部112に圧入されている。それゆえ、ピンリング4を第1部材10に圧入する際に、仮にバリ等の屑が発生しても、屑を溝部43の中に留まらせることができる。その結果、ネジ孔11に屑が脱落することを防ぐことができる。
【0036】
また、ピンリング4の外周面の第1領域41は、圧入部421よりも外径が小さい。それゆえ、ピンリング4をネジ孔11に圧入する際に、溝部43よりも挿入先端側において屑が発生することを防ぐことができる。かかる観点においても、ネジ孔11に屑が脱落することを防ぐことができる。
【0037】
それゆえ、ピンリング4をネジ孔11に圧入したのちに、バキューム若しくはブロアーにて、ネジ孔11内の屑を除去する工程等を設ける必要もなくなる。その結果、生産効率の向上にもつながる。
【0038】
本形態において、ネジ孔11は、先端側の端部が閉塞された袋ネジ孔である。それゆえ、仮にネジ孔11に屑が脱落したとすると、ネジ孔11に屑が留まることとなる。それゆえ、屑が雌ネジ部111とボルト3との間に噛み込まれる等の不具合が、より懸念される。かかる構造において、ピンリング4に溝部43を設けて、袋ネジ孔に屑が脱落することを防ぐことで、上記の懸念を効果的に解消することができる。
【0039】
また、組立構造体1において、ピンリング4は、溝部43から先端部までの距離L1が、溝部43から基端部までの距離L2よりも、短い。それゆえ、軸方向Zにおける圧入部421の長さを長くすることができる。それゆえ、ピンリング4を安定して第1部材10に固定することができる。
【0040】
以上のごとく、本形態によれば、ネジ孔への屑の脱落を防ぐことができる、組立構造体及びピンリングを提供することができる。
【0041】
(実施形態2)
本形態は、
図11に示すごとく、第1部材10をカムキャップCCとし、第2部材20をポンププロテクターPPとした、組立構造体1の形態である。
【0042】
本形態においては、第1部材10であるカムキャップCCの基端側に、第2部材20であるポンププロテクターPPが取り付けられている。ポンププロテクターPPは、燃料噴射用の燃料ポンプ52と共に、複数のボルト3にてカムキャップCCに固定されている。ポンププロテクターPPは、カムキャップCCに固定される被固定部203と、被固定部203から立設して、燃料ポンプ52の周囲の少なくとも一部を覆うカバー部204とを有する。ポンププロテクターPPは、例えば、鋳鉄等にて構成することができる。
【0043】
カムキャップCCの基端部に、複数のネジ孔11が開口している。これらのネジ孔11に対応する位置に、ポンププロテクターPPに貫通孔21が形成されている。また、燃料ポンプ52は、本体部520から突出した複数のフランジ部521に、それぞれ挿通孔522が設けてある。
【0044】
そして、カムキャップCCのネジ孔11にピンリング4の先端側の一部が圧入され、ポンププロテクターPPの貫通孔21にピンリング4の基端側の一部が嵌入している。ボルト3は、燃料ポンプ52の挿通孔522及びポンププロテクターPPの貫通孔21に挿通されると共に、カムキャップCCのネジ孔11に螺合される。これにより、ポンププロテクターPPと燃料ポンプ52とが、ボルト3にて、カムキャップCCに共締めされる。
ピンリング4の形状、構造、及びピンリング4の周辺のネジ孔11及び貫通孔21の形状、構造等は、実施形態1と同様とすることができる。
【0045】
なお、カムキャップCCは、カムハウジングCHとの間にカムシャフト51を保持した状態でカムハウジングCHに固定されている。カムシャフト51には、カム511が固定されている。カムキャップCC及びポンププロテクターPPには、燃料ポンプ52とカム511との間を連通させる開口部が設けてある。
【0046】
燃料ポンプ52は、軸方向Zに進退するプランジャ523を有する。プランジャ523の先端が、カム511に当接している。そして、カム511の回転によって、燃料ポンプ52のプランジャ523が進退するよう構成されている。
【0047】
その他は、実施形態1と同様である。なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0048】
上記のような、カムキャップCCとポンププロテクターPPと燃料ポンプ52とを組み立ててなる組立構造体1においても、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0049】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
例えば、第1部材及び第2部材は、それぞれ、上記実施形態に示したものに限らず、種々の部材を適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 組立構造体
10 第1部材
11 ネジ孔
111 雌ネジ部
112 被嵌入部
20 第2部材
21 貫通孔
3 ボルト
4 ピンリング
41 第1領域
42 第2領域
43 溝部