(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169397
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】防水ドア枠及び防水ドア枠の施工方法
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20221101BHJP
E06B 1/56 20060101ALI20221101BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20221101BHJP
E06B 1/62 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B1/56 A
E06B7/22 F
E06B1/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075436
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】辻 健夫
(72)【発明者】
【氏名】瑞慶山 智恵
【テーマコード(参考)】
2E011
2E036
2E239
【Fターム(参考)】
2E011JA03
2E011KA02
2E011KA07
2E011KB02
2E011KC02
2E011KC03
2E011KC04
2E011KC08
2E011KD29
2E011KG06
2E011LA02
2E011LF01
2E011LF05
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036CA03
2E036DA02
2E036EB08
2E036EB09
2E036EC03
2E036GA02
2E036HA02
2E036HB13
2E036HB14
2E036HB15
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】
既存枠を用いて防水ドア枠を提供する。
【解決手段】
上枠2と左右の縦枠3、4からなる三方枠であるベース枠Aと、上枠5と左右の縦枠6、7と下枠8からなる防水枠Bと、から形成された防水ドア枠であり、ベース枠Aが開口部に取り付けられており、防水枠Bの上枠5と左右の縦枠6、7からなる三方枠部位がベース枠Aの屋外側及び躯体Cに固定されており、防水枠Bの下枠8が床面FLに設置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース枠と、水密部材を備えた防水枠と、から形成されたドア枠であり、
前記ベース枠が開口部に取り付けられており、
前記防水枠が、前記ベース枠の屋外側に隣り合うように位置して、前記ベース枠に固定されている、
防水ドア枠。
【請求項2】
前記ベース枠は、上枠と左右の縦枠からなる三方枠であり、
前記防水枠は、上枠と左右の縦枠と下枠からなる四方枠であり、
前記防水枠の前記上枠と前記左右の縦枠からなる三方枠部位は、前記ベース枠の屋外側に隣り合うように位置して、前記ベース枠に固定されており、
前記防水枠の前記下枠は床面に設置されている、
請求項1に記載の防水ドア枠。
【請求項3】
前記三方枠部位は、開口部に面する見込部と、前記見込部の反対側に位置する背面部と、を備え、
前記三方枠部位の前記背面部は躯体に固定されており、
前記三方枠部位の屋内側部位は、前記三方枠部位の屋内側見付面と前記三方枠の屋外側見付面が少なくとも部分的に当接した状態で、前記ベース枠の屋外側部位に固定されている、
請求項2に記載の防水ドア枠。
【請求項4】
前記三方枠部位の屋内側見付面が、前記ベース枠の見込部の屋外側部位に連結部材によって固定されている、
請求項3に記載の防水ドア枠。
【請求項5】
前記三方枠部位の前記屋内側見付面は、前記ベース枠の屋外側見付面に当接する当接部分と、非当接部分と、からなり、
前記連結部材は、前記三方枠部位の前記屋内側見付面の前記非当接部分に固定された見付片と、前記ベース枠の前記見込部の前記屋外側部位に固定された見込片とからなる、
請求項4に記載の防水ドア枠。
【請求項6】
前記ベース枠の前記見込部には、前記連結部材を隠蔽するように化粧枠が設けてあり、
前記化粧枠は前記三方枠部位の見込部の屋内側部位と略面一である、
請求項4、5いずれか1項に記載の防水ドア枠。
【請求項7】
前記三方枠部位の前記背面部の前記屋外側部位と前記躯体との間には水密手段が設けてある、
請求項3~6いずれか1項に記載の防水ドア枠。
【請求項8】
前記防水枠の前記下枠は、前記床面内の躯体にアンカー固定されている、
請求項2~7いずれか1項に記載の防水ドア枠。
【請求項9】
前記防水枠は、上枠と左右の縦枠と下枠を接合して形成されており、
少なくとも、前記左右の縦枠と前記下枠の接合部には防水処理が施されている、
請求項1~8いずれか1項に記載の防水ドア枠。
【請求項10】
既設のドア装置において、ドア装置の開口枠から扉体を取り外してベース枠を得る工程と、
前記ベース枠に、前記ベース枠の屋外側に隣り合うように位置させて、防水枠を固定する工程と、
からなる防水ドア枠の施工方法。
【請求項11】
前記ベース枠を得る工程は、既設のドア装置において、扉体と沓摺を取り外して、上枠と左右の縦枠からなる三方枠であるベース枠を得る工程であり、
上枠と左右の縦枠と下枠からなる四方枠の前記上枠と前記左右の縦枠からなる三方枠部位を、前記ベース枠の屋外側に隣り合うように位置させて、前記ベース枠に固定する工程と、
前記四方枠の前記下枠を床面に設置する工程と、
からなる請求項10に記載の防水ドア枠の施工方法。
【請求項12】
前記三方枠部位を前記ベース枠に固定する工程は、
前記三方枠部位の開口部に面する見込部の反対側に位置する背面部を、躯体に固定すること、
前記三方枠部位の屋内側部位を、前記三方枠部位の屋内側見付面と前記三方枠の屋外側見付面が少なくとも部分的に当接した状態で、前記ベース枠の屋外側部位に固定すること、含む、
請求項11に記載の防水ドア枠の施工方法。
【請求項13】
前記三方枠部位の屋内側部位を前記ベース枠の屋外側部位に固定することは、
前記三方枠部位の屋内側見付面を、前記ベース枠の見込部の屋外側部位に連結部材によって固定することを含む、
請求項12に記載の防水ドア枠の施工方法。
【請求項14】
前記三方枠部位の前記屋内側見付面の部分を前記ベース枠の屋外側見付面に当接させて、前記屋内側見付面の残りの部分を非当接部分とし、
前記連結部材の見付片を前記非当接部分に固定し、前記連結部材の見込片を前記ベース枠の前記見込部の屋外側部位に固定する、
請求項13に記載の防水ドア枠の施工方法。
【請求項15】
前記ベース枠の前記見込部に、前記三方枠部位の見込部の屋内側部位と略面一になるように化粧枠を設け、前記化粧枠によって前記連結部材を隠蔽する、
請求項13、14いずれか1項に記載の防水ドア枠。
【請求項16】
前記三方枠部位の前記背面部の前記屋外側部位と前記躯体との間に水密手段を設ける、
請求項12~15いずれか1項に記載の防水ドア枠の施工方法。
【請求項17】
前記防水枠の前記下枠を床面に設置する工程は、前記下枠を、前記床面内の躯体にアンカー固定することを含む、
請求項11~16いずれか1項に記載の防水ドア枠の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水ドア枠及び防水ドア枠の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般の鋼製ドアにおいては、既存枠に対してカバー工法を実施することで新しいドア枠及びドア装置を形成することが行われている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、既存枠を用いて防水ドア枠を構成することは行われていない。防水ドア枠には、防水性能や想定水圧に耐え得る強度が要求されることから、既存のカバー工法をそのまま適用して防水ドア枠を得ることは難しい。
【特許文献1】特開平8-260822
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、既存枠を用いて防水ドア枠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が採用した技術手段は、
ベース枠と、水密部材を備えた防水枠と、から形成されたドア枠であり、
前記ベース枠が開口部に取り付けられており、
前記防水枠が、前記ベース枠の屋外側に隣り合うように位置して、前記ベース枠に固定されている、
防水ドア枠、である。
【0006】
1つの態様では、前記ベース枠は、上枠と左右の縦枠からなる三方枠であり、
前記防水枠は、上枠と左右の縦枠と下枠からなる四方枠であり、
前記防水枠の前記上枠と前記左右の縦枠からなる三方枠部位は、前記ベース枠の屋外側に隣り合うように位置して、前記ベース枠に固定されており、
前記防水枠の前記下枠は床面に設置されている。
1つの態様では、前記防水枠の前記下枠は、前記床面内の躯体にアンカー固定されている。
1つの態様では、前記防水枠は、上枠と左右の縦枠と下枠を接合して形成されており、
少なくとも、前記左右の縦枠と前記下枠の接合部には防水処理が施されている。
【0007】
1つの態様では、前記三方枠部位は、開口部に面する見込部と、前記見込部の反対側に位置する背面部と、を備え、
前記三方枠部位の前記背面部は躯体に固定されており、
前記三方枠部位の屋内側部位は、前記三方枠部位の屋内側見付面と前記三方枠の屋外側見付面が少なくとも部分的に当接した状態で、前記ベース枠の屋外側部位に固定されている。
1つの態様では、前記三方枠部位の前記背面部の前記屋外側部位と前記躯体との間には水密手段が設けてある。
【0008】
1つの態様では、前記三方枠部位の屋内側見付面が、前記ベース枠の見込部の屋外側部位に連結部材によって固定されている。
【0009】
1つの態様では、前記三方枠部位の前記屋内側見付面は、前記ベース枠の屋外側見付面に当接する当接部分と、非当接部分と、からなり、
前記連結部材は、前記三方枠部位の前記屋内側見付面の前記非当接部分に固定された見付片と、前記ベース枠の前記見込部の前記屋外側部位に固定された見込片とからなる。
【0010】
1つの態様では、前記ベース枠の前記見込部には、前記連結部材を隠蔽するように化粧枠が設けてあり、
前記化粧枠は前記三方枠部位の見込部の屋内側部位と略面一である。
【0011】
本発明が採用した防水ドア枠の施工方法は、
既設のドア装置において、ドア装置の開口枠から扉体を取り外してベース枠を得る工程と、
前記ベース枠に、前記ベース枠の屋外側に隣り合うように位置させて、防水枠を固定する工程と、
からなる。
【0012】
1つの態様では、前記ベース枠を得る工程は、既設のドア装置において、扉体と沓摺を取り外して、上枠と左右の縦枠からなる三方枠であるベース枠を得る工程であり、
上枠と左右の縦枠と下枠からなる四方枠の前記上枠と前記左右の縦枠からなる三方枠部位を、前記ベース枠の屋外側に隣り合うように位置させて、前記ベース枠に固定する工程と、
前記四方枠の前記下枠を床面に設置する工程と、
からなる。
【0013】
1つの態様では、前記三方枠部位を前記ベース枠に固定する工程は、
前記三方枠部位の開口部に面する見込部の反対側に位置する背面部を、躯体に固定すること、
前記三方枠部位の屋内側部位を、前記三方枠部位の屋内側見付面と前記三方枠の屋外側見付面が少なくとも部分的に当接した状態で、前記ベース枠の屋外側部位に固定すること、含む。
1つの態様では、前記三方枠部位の前記背面部の前記屋外側部位と前記躯体との間に水密手段を設ける。
【0014】
1つの態様では、前記三方枠部位の屋内側部位を前記ベース枠の屋外側部位に固定することは、
前記三方枠部位の屋内側見付面を、前記ベース枠の見込部の屋外側部位に連結部材によって固定することを含む。
1つの態様では、前記三方枠部位の前記屋内側見付面の部分を前記ベース枠の屋外側見付面に当接させて、前記屋内側見付面の残りの部分を非当接部分とし、
前記連結部材の見付片を前記非当接部分に固定し、前記連結部材の見込片を前記ベース枠の前記見込部の屋外側部位に固定する。
【0015】
1つの態様では、前記ベース枠の前記見込部に、前記三方枠部位の見込部の屋内側部位と略面一になるように化粧枠を設け、前記化粧枠によって前記連結部材を隠蔽する。
【0016】
前記防水枠の前記下枠を床面に設置する工程は、前記下枠を、前記床面内の躯体にアンカー固定することを含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、既存枠を用いて防水ドア枠を提供することが可能となる。
既存枠を用いることで(既存枠の上枠と縦枠を残し、沓摺だけを外すことで)、既存枠周辺の付帯工事を低減することができ、工期の短縮も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る防水ドア装置を屋外側から見た正面図である。
【
図2】本実施形態に係る防水ドア装置の縦断面図である。
【
図3】本実施形態に係る防水ドア装置の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[A]防水ドア装置の全体構成
図1は、本実施形態に係る防水ドアを屋外側から見た正面図、
図2は、本実施形態に係る防水ドア装置の縦断面図、
図3は、本実施形態に係る防水ドア装置の横断面図である。本明細書において、屋外側、屋内側という文言は、開口部を挟んで屋外側、屋内側に位置する場合に加えて、ある部材の部分の相対的な位置を特定する場合にも用いる点に留意されたい。また、防水ドアが設置される開口部の設置場所によっては、屋外側、屋内側という文言は、室外側、室内側と同義である点にも留意されたい。
【0020】
防水ドアは、四周状の防水ドア枠と、防水ドア枠を開閉する扉体1と、からなる。本実施形態に係る防水ドア枠は、ベース枠Aと、防水枠Bと、から形成されたドア枠であり、ベース枠Aが開口部に取り付けられており、防水枠Bがベース枠Aの屋外側に位置してベース枠Aに固定されている。すなわち、本実施形態に係る防水ドア枠は、屋内側のベース枠Aと、屋外側の防水枠Bと、から構成されている。
【0021】
ベース枠Aは、上枠2と左右の縦枠3、4からなる鋼製の三方枠であり、本実施形態では、上枠2、左右の縦枠3、4の中空部には充填材(モルタル等)が充填されている。防水枠Bは、上枠5と左右の縦枠6、7と下枠(沓摺)8からなる鋼製の四方枠であり、上枠5、左右の縦枠6、7、下枠8の中空部には充填材として例示するモルタルMが充填されている。なお、所望の強度が確保されていれば、必ずしも、上枠5、左右の縦枠6、7に充填材(モルタル等)を充填しなくてもよい。防水枠Bの上枠5と左右の縦枠6、7からなる三方枠部位がベース枠Aの屋外側に固定されており、防水枠Bの下枠8が床面FLに設置されている。
【0022】
扉体1は、屋外側見付面10、屋内側見付面11、上面12、下面13、戸先側端面14、戸尻側端面15を備えた鋼製扉である。扉体1は、戸尻側部位が防水ドア枠の戸尻側部位(防水枠の戸尻側縦枠7)に丁番Hを用いて回動可能に取り付けられた開き扉である。防水ドア枠の防水枠Bには、四周状に亘って水密部材9が設けてあり、扉体1の閉鎖姿勢時に、扉体1の屋内側部位の四周状の周縁部(屋内側見付面11の四周縁)ないし角部が水密部材9に圧接するようになっている。水密部材9は、防水ゴムや弾性樹脂等の弾性部材から形成されている。図示の態様では、片開きのドア装置を示しており、本明細書は、片開きのドア装置のドア枠に基づいて説明するが、本発明に係るドア枠は、2枚の扉体から両開きや親子開きのドア装置のドア枠にも適用される。この場合、ベース枠Aの左右の縦枠、防水枠Bの左右の縦枠の一方の縦枠が第1扉体の戸尻側縦枠、他方の縦枠が第2扉体の戸尻側縦枠となることが当業者に理解される。
【0023】
[B]ベース枠の構成
[B―1]ベース枠の上枠
図4を参照しつつ、ベース枠Aの上枠2の構成について説明する。ベース枠Aの上枠2は、開口部の上方に位置して、開口幅方向に延びる長尺部材であり、屋外側見付面20と、屋内側見付面21と、屋外側見付面20と屋内側見付面21の下端間に亘って屋内外方向に延びる見込部(下面部)と、を備え、見込部は、屋外側水平面22と、屋内側水平面23と、屋外側水平面22と屋内側水平面23との間の下向き凸部と、からなり、下向き凸部は、屋外側見付部分24と、屋内側見付部分25と、中央水平面26と、からなる。屋外側見付面20の上端には屋内側に向かって水平状に延びる屋外側水平辺27が一体形成されており、屋内側見付面21の上端には屋外側に向かって水平に延びる屋内側水平辺28が一体形成されている。
【0024】
[B―2]ベース枠の戸先側縦枠
図5を参照しつつ、ベース枠Aの戸先側縦枠3の構成について説明する。ベース枠Aの戸先側縦枠3は、開口部の戸先側に位置して、高さ方向に延びる長尺部材であり、屋外側見付面30と、屋内側見付面31と、屋外側見付面30と屋内側見付面31の開口幅方向の内端間に亘って屋内外方向に延びる見込部と、を備え、見込部は、屋外側見込面32と、屋内側見込面33と、屋外側見込面32と屋内側見込面33との間の凸部と、からなり、凸部は、屋外側見付部分34と、屋内側見付部分35と、中央見込面36と、からなる。屋外側見付面30の外端には屋内側に向かって見込方向に延びる屋外側見込辺37が一体形成されており、屋内側見付面31の外端には屋外側に向かって見込方向に延びる屋内側見込辺38が一体形成されている。
【0025】
[B―3]ベース枠の戸尻側縦枠
図6を参照しつつ、ベース枠Aの戸尻側縦枠4の構成について説明する。ベース枠Aの戸尻側縦枠4は、開口部の戸尻側に位置して、高さ方向に延びる長尺部材であり、屋外側見付面40と、屋内側見付面41と、屋外側見付面40と屋内側見付面41の開口幅方向の内端間に亘って屋内外方向に延びる見込部と、を備え、見込部は、屋外側見込面42と、屋内側見込面43と、屋外側見込面42と屋内側見込面43との間の凸部と、からなり、凸部は、屋外側見付部分44と、屋内側見付部分45と、中央見込面46と、からなる。屋外側見付面40の外端には屋内側に向かって見込方向に延びる屋外側見込辺47が一体形成されており、屋内側見付面41の外端には屋外側に向かって見込方向に延びる屋内側見込辺48が一体形成されている。
【0026】
[C]ベース枠の取付構造
図2、
図4に示すように、ベース枠Aの上枠2において、屋外側水平辺27と屋内側水平辺28との間には、幅方向に間隔を存して複数の連結片29が固定されており、上枠2は連結片29を介して躯体Cに固定されている。上枠2と躯体Cとの隙間には充填材として例示するモルタルMが充填されており、充填されたモルタルMの屋外側に位置して屋外側水平辺27と躯体Cとの隙間に水密手段としてのシーリング材S´が設けてあり、充填されたモルタルMの屋内側に位置して屋内側水平辺28と躯体Cとの隙間に水密手段としてのシーリング材S´が設けてある。なお、屋内側のシーリング材S´は設けなくてもよい。
【0027】
図3、
図5に示すように、ベース枠Aの戸先側縦枠3において、屋外側見込辺37と屋内側見込辺38との間には、高さ方向に間隔を存して複数の連結片39が固定されており、戸先側縦枠3は連結片39を介して躯体Cに固定されている。戸先側縦枠3と躯体Cとの隙間には充填材として例示するモルタルMが充填されており、充填されたモルタルMの屋外側に位置して屋外側見込辺37と躯体Cとの隙間に水密手段としてのシーリング材S´が設けてあり、充填されたモルタルMの屋内側に位置して屋内側見込辺38と躯体Cとの隙間に水密手段としてのシーリング材S´が設けてある。なお、屋内側のシーリング材S´は設けなくてもよい。
【0028】
図3、
図6に示すように、ベース枠Aの戸尻側縦枠4において、屋外側見込辺47と屋内側見込辺48との間には、高さ方向に間隔を存して複数の連結片49が固定されており、戸尻側縦枠4は連結片49を介して躯体Cに固定されている。戸尻側縦枠4と躯体Cとの隙間には充填材として例示するモルタルMが充填されており、充填されたモルタルMの屋外側に位置して屋外側見込辺47と躯体Cとの隙間に水密手段としてのシーリング材S´が設けてあり、充填されたモルタルMの屋内側に位置して屋内側見込辺48と躯体Cとの隙間に水密手段としてのシーリング材S´が設けてある。なお、屋内側のシーリング材S´は設けなくてもよい。
【0029】
本実施形態において、ベース枠Aの上枠2、戸先側縦枠3、戸尻側縦枠4の見込寸法は同じであり、ベース枠Aが開口部に取り付けられた状態において、屋外側見付面20、30、40は面一であり、屋内側見付面21、31、41は面一である。ベース枠Aの屋内側見付面21、31、41は、本実施形態に係る防水ドア枠(ベース枠Aと防水枠Bからなる)の屋内側見付面を形成する一方、ベース枠Aの屋外側見付面20、30、40は、ベース枠Aの屋外側に取り付けられた防水枠Bに隠蔽され、外部に露出しない。本実施形態に係るベース枠Aは三方枠であって、戸先側縦枠3と戸尻側縦枠4の下端部位間を接続する下枠ないし沓摺を備えていない。
【0030】
[D]防水枠の構成
[D―1]防水枠の上枠
図4を参照しつつ、防水枠Bの上枠5の構成について説明する。防水枠Bの上枠5は、開口部の上方に位置して、開口幅方向に延びる長尺部材であり、屋外側見付面50と、屋外側見付面50よりも大きい高さ寸法(これには限定されず、例えば同じ高さ寸法でもよい)の屋内側見付面51と、屋外側見付面50と屋内側見付面51の下端間に亘って屋内外方向に延びる見込部(下面部)と、を備え、見込部は、屋外側見付面50の下端から屋内側に向かって水平に延びる屋外側下面52と、屋外側下面52よりも下方に位置して屋内側見付面51の下端から屋外側に向かって水平に延びる屋内側下面53と、屋外側下面52の屋内側端部と屋内側下面53の屋外側端部との段差部に形成され、屋外側に向かって開口する溝部54と、からなる。
【0031】
屋外側見付面50の上端には屋内側に向かって水平状に延びる屋外側水平辺55が一体形成されており、屋内側見付面51の上端には屋外側に向かって水平に延びる屋内側水平辺56が一体形成されており、屋外側水平辺55と屋内側水平辺56との間には、開口幅方向に間隔を存して複数の連結片57が固定されている。
【0032】
[D―2]防水枠の戸先側縦枠
図5を参照しつつ、防水枠Bの戸先側縦枠6の構成について説明する。防水枠Bの戸先側縦枠6は、開口部の戸先側に位置して、開口高方向に延びる長尺部材であり、屋外側見付面60と、屋外側見付面60よりも大きい見付寸法(これには限定されず、例えば同じ見付寸法でもよい)の屋内側見付面61と、屋外側見付面60と屋内側見付面61の内端間に亘って屋内外方向に延びる見込部と、を備え、見込部は、屋外側見付面60の内端から屋内側に向かって見込方向に延びる屋外側見込面62と、屋外側見込面62よりも内方に位置して屋内側見付面61の内端から屋外側に向かって見込方向に延びる屋内側見込面63と、屋外側見込面62の屋内側端部と屋内側見込面63の屋外側端部との段差部に形成され、屋外側に向かって開口する溝部64と、からなる。
【0033】
屋外側見付面60の外端には屋内側に向かって見込方向に延びる屋外側見込辺65が一体形成されており、屋内側見付面61の外端には屋外側に向かって見込方向に延びる屋内側見込辺66が一体形成されており、屋外側見込辺65と屋内側見込辺66との間には、開口高方向に間隔を存して複数の連結片67が固定されている。
【0034】
[D―3]防水枠の戸尻側縦枠
図6を参照しつつ、防水枠Bの戸尻側縦枠7の構成について説明する。防水枠Bの戸尻側縦枠7は、開口部の戸尻側に位置して、開口高方向に延びる長尺部材であり、屋外側見付面70と、屋外側見付面70よりも大きい見付寸法(これには限定されず、例えば同じ見付寸法でもよい)の屋内側見付面71と、屋外側見付面70と屋内側見付面71の内端間に亘って屋内外方向に延びる見込部と、を備え、見込部は、屋外側見付面70の内端から屋内側に向かって見込方向に延びる屋外側見込面72と、屋外側見込面72よりも内方に位置して屋内側見付面71の内端から屋外側に向かって見込方向に延びる屋内側見込面73と、屋外側見込面72の屋内側端部と屋内側見込面73の屋外側端部との段差部に形成され、屋外側に向かって開口する溝部74と、からなる。
【0035】
屋外側見付面70の外端には屋内側に向かって見込方向に延びる屋外側見込辺75が一体形成されており、屋内側見付面71の外端には屋外側に向かって見込方向に延びる屋内側見込辺76が一体形成されており、屋外側見込辺75と屋内側見込辺76との間には、開口高方向に間隔を存して複数の連結片77が固定されている。
【0036】
[D―4]防水枠の下枠
図2を参照しつつ、防水枠Bの下枠8の構成について説明する。防水枠Bの下枠8は、開口部の下方に位置して、開口幅方向に延びる長尺部材であり、屋外側見付面80と、屋内側見付面81と、屋外側見付面80と屋内側見付面81の上端間に亘って屋内外方向に延びる上面部と、を備え、上面部は、屋外側見付面80から屋内側に向かって緩やかに上向き傾斜状に延びる屋外側傾斜面82と、屋外側傾斜面82よりも上側の高さで水平に延びる屋内側水平面83と、屋外側傾斜面82の屋内側端部と屋内側水平面83の屋外側端部との段差部に形成され、屋外側に向かって開口する溝部84と、からなる。
【0037】
屋外側見付面80の下端には屋内側に向かって水平状に延びる屋外側水平辺85が一体形成されており、屋内側見付面81の下端には屋外側に向かって水平に延びる屋内側水平辺86が一体形成されており、屋外側水平辺85と屋内側水平辺86との間には、開口幅方向に間隔を存して複数の連結片87が固定されている。下枠8の内部空間には充填材として例示するモルタルMが充填されている。下枠8の形状や納まりは図示の態様に限定されない。
【0038】
[D―5]防水枠の全体構成
防水枠Bは、上枠5と、戸先側縦枠6と、戸尻側縦枠7と、下枠8からなる四方枠として用意される。防水枠Bの上枠5、戸先側縦枠6、戸尻側縦枠7、下枠8の見込寸法は略同じであり、屋外側見付面50、60、70、80は略面一であり、屋内側見付面51、61、71、81は略面一である。防水枠Bの上枠5、戸先側縦枠6、戸尻側縦枠7、下枠8を接合(典型的には溶接)して形成されており、接合部には防水処理が施されている。防水処理は、少なくとも、戸先側縦枠6の下端部位と下枠8との接合部、戸尻側縦枠7の下端部位と下枠8との接合部に適用されていればよい。屋外側に向かって開口する溝部54、64、74、84は四周状に連続しており、水密部材9が四周状に嵌め込まれる。防水枠Bの上枠5、戸先側縦枠6、戸尻側縦枠7、下枠8の屋外側見付面50、60、70、80が防水ドア枠の屋外側見付面を形成している。
【0039】
[E]防水枠の取付構造
防水枠Bの上枠5と左右の縦枠6、7からなる三方枠部位は、ベース枠Aの屋外側に隣り合うように位置して、ベース枠A及び躯体Cに固定されており、防水枠Bの下枠8は床面に設置されている。
【0040】
防水枠Bの三方枠部位(上枠5、左右の縦枠6、7)は、開口部に面する見込部と、見込部の反対側に位置する背面部と、を備え、防水枠Bの三方枠部位(上枠5、左右の縦枠6、7)の背面部が躯体Cに固定されており、防水枠Bの三方枠部位(上枠5、左右の縦枠6、7)の背面部と躯体Cとの間に形成された隙間に充填材として例示するモルタルMが充填されており、モルタルMの屋外側に水密手段としてのシーリング材Sが設けてある。
【0041】
防水枠Bの三方枠部位(上枠5、左右の縦枠6、7)の屋内側部位は、防水枠Bの三方枠部位(上枠5、左右の縦枠6、7)の屋内側見付面51、61、71とベース枠Aの屋外側見付面20、30、40が少なくとも部分的に当接した状態で、ベース枠Aの屋外側部位に固定されている。本実施形態では、防水枠Bの三方枠部位(上枠5、左右の縦枠6、7)の屋内側見付面51、61、71が、それぞれ、ベース枠Aの見込部の屋外側部位(屋外側水平面22、屋外側見込面32、42)に連結部材16によって固定されている、以下に、防水枠Bの取付構造の取付構造について、より具体的に説明する。
【0042】
[E―1]防水枠の上枠の取付構造
図2、
図4に示すように、防水枠Bの上枠5は、背面部(上側部位)が躯体Cに固定され、屋内側部位がベース枠Aの上枠2の屋外側部位に固定される。防水枠Bの上枠5の屋内側見付面51の上側部位510が、ベース枠Aの上枠2の屋外側見付面20の下側部位に当接しており、防水枠Bの上枠5の屋内側見付面51の下側部位511は、ベース枠Aの上枠2の屋外側見付面20の下端よりも下方に位置している。すなわち、防水枠Bの上枠5の屋内側見付面51は、ベース枠Aの上枠2の屋外側見付面20に当接する当接部分(上側部位510)と、非当接部分(下側部位511)と、からなる。本実施形態に係る防水枠Bの上枠5の屋内側見付面51の高さ寸法は、ベース枠Aの上枠2の屋外側見付面20の高さ寸法よりも大きいが、これには限定されず、例えば、屋内側見付面51の高さ寸法と屋外側見付面20の高さ寸法が略同じでもよい。また、屋内側見付面51の高さ寸法を大きくすることで、ベース枠Aの上枠2の屋外側見付面20の全面に屋内側見付面51の上側部位510が当接するようにしてもよい。
【0043】
本実施形態に係る連結部材16は、見込片160と、見付片161と、から断面視L形状を備えたアングル材であり、見込片160が水平姿勢で上枠2の屋外側水平面22の屋外側部位に当接して固定され、見込片160の屋外側端部から垂下する見付片161が上枠5の屋内側見付面51の下側部位(非当接部)511に当接して固定されている。連結部材16の見付片161の下端は、上枠5の屋内側見付面51の下端(上枠5の屋内側下面53)と略同じか、少し上方に位置している。
【0044】
本実施形態では、連結部材16は複数の短尺部材として用意され、それぞれ、開口幅方向に間隔を存して複数個設けられ、各連結部材16の見込片160が上枠2の屋外側水平面22の屋外側部位に固定(典型的には溶接)され、見付片161が上枠5の屋内側見付面51の下側部位511に固定(典型的には溶接)される。連結部材16は、短尺部材でも、上枠2、上枠5の長さ方向(開口幅方向)に延びる長尺部材でもよく、長さ寸法や個数は限定されない。
【0045】
防水枠Bの上枠5の見込部(下面部)と反対側の背面部(上側部位)には、屋外側水平辺55と、屋内側水平辺56と、屋外側水平辺55と屋内側水平辺56との間に、開口幅方向に間隔を存して設けた複数本の連結片57が位置している。防水枠Bの上枠5と左右の縦枠6、7からなる三方枠部位を、ベース枠Aの屋外側に隣り合うように位置させた時に、防水枠Bの上枠5の背面部と躯体Cとの間には隙間が形成され、防水枠Bの上枠5の背面部と躯体Cは隙間を存した状態でアンカー固定される。この隙間には充填材として例示するモルタルMが充填されており、モルタルMの屋外側に位置して、躯体Cと上枠5の屋外側水平辺55との間に水密手段としてのシーリング材Sが設けてある。防水枠Bの上枠5の屋外側見付面50は防水ドア枠の屋外側見付面の上側部位を形成している。
【0046】
防水枠Bの上枠5をベース枠Aの上枠2の屋外側部位に固定した状態において、上枠5の見込部(下面部)は、上枠2の見込部(下面部)よりも下方に位置している。本実施形態では、防水枠Bの上枠5の屋内側下面53と面一になるように、ベース枠Aの上枠2の下面部には、板状の化粧枠17が取り付けられている。ベース枠Aと防水枠Bからなる防水ドア枠の上枠の下面部の屋外側部位が上枠5の屋内側下面53から形成され、上枠の下面部の屋内側部位が化粧枠17から形成されている。化粧枠17は、上枠2の下面部の全幅(開口幅方向)に亘って延びる長尺部材であり、化粧枠17によって、上枠2と上枠5の連結部位(連結部材16を含む)が隠蔽されている。
【0047】
化粧枠17は、屋外側部位が、上枠2の下面部の屋内側水平面22の屋外側部位に螺子で連結した第1支持部材18に螺子で連結されており、屋内側部位が、上枠2の下面部の下向き凸部の屋内側見付部分25に螺子で連結した第2支持部材19に螺子で連結されている。図示の態様では、第1支持部材18がいわゆるZ型、第2支持部材19がいわゆるL型であるが、第1支持部材18、第2支持部材19の形状は図示の態様に限定されない。第1支持部材18、第2支持部材19は、短尺部材でも、上枠2、上枠5の長さ方向(開口幅方向)に延びる長尺部材でもよく、長さ寸法や個数は限定されない。なお、1つの態様では、第2支持部材19は、開口幅方向に延びる1本の長尺部材、あるいは、複数の長尺部材を、端部同士を当接ないし近接させて上枠2の下面部に取り付けられる。
【0048】
[E―2]防水枠の戸先側縦枠の取付構造
図3、
図5に示すように、防水枠Bの戸先側縦枠6は、背面部が躯体Cに固定され、ベース枠Aの屋外側部位が戸先側縦枠3の屋外側部位に固定される。防水枠Bの戸先側縦枠6の屋内側見付面61の見付方向の外側部位610が、ベース枠Aの戸先側縦枠3の屋外側見付面30の見付方向の内側部位に当接しており、防水枠Bの戸先側縦枠6の屋内側見付面61の見付方向の内側部位611は、ベース枠Aの戸先側縦枠3の屋外側見付面30の内端(屋外側見込面32)よりも内方に位置している。すなわち、防水枠Bの戸先側縦枠6の屋内側見付面61は、ベース枠Aの戸先側縦枠3の屋外側見付面30に当接する当接部分(外側部位610)と、非当接部分(内側部位611)と、からなる。本実施形態に係る防水枠Bの戸先側縦枠6の屋内側見付面61の見付寸法は、ベース枠Aの戸先側縦枠3の屋外側見付面30の見付寸法よりも大きいが、これには限定されず、例えば、屋内側見付面61の見付寸法と屋外側見付面30の見付寸法が略同じでもよい。また、屋内側見付面61の見付寸法を大きくすることで、ベース枠Aの戸先側縦枠3の屋外側見付面30の全面に屋内側見付面61の外側部位610が当接するようにしてもよい。
【0049】
本実施形態に係る連結部材16は、見込片160と、見付片161と、から断面視L形状を備えたアングル材であり、見込片160が戸先側縦枠3の屋外側見込面32の屋外側部位に当接して固定され、見込片160の屋外側端部から見付方向に内側に延びる見付片161が戸先側縦枠6の屋内側見付面61の内側部位(非当接部)611に当接して固定されている。連結部材16の見付片161の先端は、戸先側縦枠6の屋内側見込面63から突出しないような位置にある。
【0050】
本実施形態では、連結部材16は複数の短尺部材として用意され、それぞれ、開口高方向に間隔を存して複数個設けられ、各連結部材16の見込片160が戸先側縦枠3の屋外側見込面32の屋外側部位に固定(典型的には溶接)され、見付片161が戸先側縦枠6の屋内側見付面61の内側部位611に固定(典型的には溶接)される。連結部材16は、短尺部材でも、戸先側縦枠3、戸先側縦枠6の高さ方向(開口高方向)に延びる長尺部材でもよく、長さ寸法や個数は限定されない。
【0051】
防水枠Bの戸先側縦枠6の見込部と反対側の背面部には、屋外側見込辺65と、屋内側見込辺66と、屋外側見込辺65と屋内側見込辺66との間に、開口高方向に間隔を存して設けた複数本の連結片67が位置している。防水枠Bの上枠5と左右の縦枠6、7からなる三方枠部位を、ベース枠Aの屋外側に隣り合うように位置させた時に、防水枠Bの戸先側縦枠6の背面部と躯体Cとの間には隙間が形成され、防水枠Bの戸先側縦枠6の背面部と躯体Cは隙間を存した状態でアンカー固定される。この隙間には充填材として例示するモルタルMが充填されており、モルタルMの屋外側に位置して、躯体Cと戸先側縦枠6の屋外側見込辺65との間に水密手段としてのシーリング材Sが設けてある。防水枠Bの戸先側縦枠6の屋外側見付面60は防水ドア枠の屋外側見付面の戸先側部位を形成している。
【0052】
防水枠Bの戸先側縦枠6をベース枠Aの戸先側縦枠3の屋外側部位に固定した状態において、戸先側縦枠6の見込部は、戸先側縦枠3の見込部よりも見付方向において内方に位置している。本実施形態では、防水枠Bの戸先側縦枠6の屋内側見込面63と面一になるように、ベース枠Aの戸先側縦枠3の見込部に板状の化粧枠17が取り付けられている。ベース枠Aと防水枠Bからなる防水ドア枠の戸先側縦枠の見込部の屋外側部位が戸先側縦枠6の屋内側見込面63から形成され、戸先側縦枠の見込部の屋内側部位が化粧枠17から形成されている。化粧枠17は、戸先側縦枠3の見込部の全高(開口高方向)に亘って延びる長尺部材であり、化粧枠17によって、戸先側縦枠3と戸先側縦枠6の連結部位(連結部材16を含む)が隠蔽されている。
【0053】
化粧枠17は、屋外側部位が、戸先側縦枠3の見込部の屋内側見込面32の屋外側部位に螺子で連結した第1支持部材18に螺子で連結されており、屋内側部位が、戸先側縦枠3の見込部の凸部の屋内側見付部分35に螺子で連結した第2支持部材19に螺子で連結されている。図示の態様では、第1支持部材18がいわゆるZ型、第2支持部材19がいわゆるL型であるが、第1支持部材18、第2支持部材19の形状は図示の態様に限定されない。第1支持部材18、第2支持部材19は、短尺部材でも、戸先側縦枠3、戸先側縦枠6の高さ方向(開口高方向)に延びる長尺部材でもよく、長さ寸法や個数は限定されない。なお、1つの態様では、第2支持部材19は、開口高方向に延びる1本の長尺部材、あるいは、複数の長尺部材を、端部同士を当接ないし近接させて戸先側縦枠3の見込部に取り付けられる。
【0054】
[E―3]防水枠の戸尻側縦枠の取付構造
図3、
図6に示すように、防水枠Bの戸尻側縦枠7は、背面部が躯体Cに固定され、屋内側部位がベース枠Aの戸尻側縦枠4の屋外側部位に固定される。防水枠Bの戸尻側縦枠7の屋内側見付面71の見付方向の外側部位710が、ベース枠Aの戸尻側縦枠4の屋外側見付面40の見付方向の内側部位に当接しており、防水枠Bの戸尻側縦枠7の屋内側見付面71の見付方向の内側部位711は、ベース枠Aの戸尻側縦枠4の屋外側見付面40の内端(屋外側見込面42)よりも内方に位置している。すなわち、防水枠Bの戸尻側縦枠7の屋内側見付面71は、ベース枠Aの戸尻側縦枠4の屋外側見付面40に当接する当接部分(外側部位710)と、非当接部分(内側部位711)と、からなる。本実施形態に係る防水枠Bの戸尻側縦枠7の屋内側見付面71の見付寸法は、ベース枠Aの戸尻側縦枠4の屋外側見付面40の見付寸法よりも大きいが、これには限定されず、例えば、屋内側見付面71の見付寸法と屋外側見付面40の見付寸法が略同じでもよい。また、屋内側見付面71の見付寸法を大きくすることで、ベース枠Aの戸尻側縦枠4の屋外側見付面40の全面に屋内側見付面71の外側部位710が当接するようにしてもよい。
【0055】
本実施形態に係る連結部材16は、見込片160と、見付片161と、から断面視L形状を備えたアングル材であり、見込片160が戸尻側縦枠4の屋外側見込面42の屋外側部位に当接して固定され、見込片160の屋外側端部から見付方向に内側に延びる見付片161が戸尻側縦枠7の屋内側見付面71の内側部位(非当接部)711に当接して固定されている。連結部材16の見付片161の先端は、戸尻側縦枠7の屋内側見込面73から突出しないような位置にある。
【0056】
本実施形態では、連結部材16は複数の短尺部材として用意され、それぞれ、開口高方向に間隔を存して複数個設けられ、各連結部材16の見込片160が戸尻側縦枠4の屋外側見込面42の屋外側部位に固定(典型的には溶接)され、見付片161が戸尻側縦枠7の屋内側見付面71の内側部位711に固定(典型的には溶接)される。連結部材16は、短尺部材でも、戸尻側縦枠4、戸尻側縦枠7の高さ方向(開口高方向)に延びる長尺部材でもよく、長さ寸法や個数は限定されない。
【0057】
防水枠Bの戸尻側縦枠7の見込部と反対側の背面部には、屋外側見込辺75と、屋内側見込辺76と、屋外側見込辺75と屋内側見込辺76との間に、開口高方向に間隔を存して設けた複数本の連結片77が位置している。防水枠Bの上枠5と左右の縦枠6、7からなる三方枠部位を、ベース枠Aの屋外側に隣り合うように位置させた時に、防水枠Bの戸尻側縦枠7の背面部と躯体Cとの間には隙間が形成され、防水枠Bの戸尻側縦枠7の背面部と躯体Cは隙間を存した状態でアンカー固定される。この隙間には充填材として例示するモルタルMが充填されており、モルタルMの屋外側に位置して、躯体Cと戸尻側縦枠7の屋外側見込辺75との間に水密手段としてのシーリング材Sが設けてある。防水枠Bの戸尻側縦枠7の屋外側見付面70は防水ドア枠の屋外側見付面の戸尻側部位を形成している。
【0058】
防水枠Bの戸尻側縦枠7をベース枠Aの戸尻側縦枠4の屋外側部位に固定した状態において、戸尻側縦枠7の見込部は、戸尻側縦枠4の見込部よりも見付方向において内方に位置している。本実施形態では、防水枠Bの戸尻側縦枠7の屋内側見込面73と面一になるように、ベース枠Aの戸尻側縦枠4の見込部に板状の化粧枠17が取り付けられている。ベース枠Aと防水枠Bからなる防水ドア枠の戸尻側縦枠の見込部の屋外側部位が戸尻側縦枠7の屋内側見込面73から形成され、戸尻側縦枠の見込部の屋内側部位が化粧枠17から形成されている。化粧枠17は、戸尻側縦枠4の見込部の全高(開口高方向)に亘って延びる長尺部材であり、化粧枠17によって、戸尻側縦枠4と戸尻側縦枠7の連結部位(連結部材16を含む)が隠蔽されている。
【0059】
化粧枠17は、屋外側部位が、戸尻側縦枠4の見込部の屋内側見込面42の屋外側部位に螺子で連結した第1支持部材18に螺子で連結されており、屋内側部位が、戸尻側縦枠4の見込部の凸部の屋内側見付部分45に螺子で連結した第2支持部材19に螺子で連結されている。図示の態様では、第1支持部材18がいわゆるZ型、第2支持部材19がいわゆるL型であるが、第1支持部材18、第2支持部材19の形状は図示の態様に限定されない。第1支持部材18、第2支持部材19は、短尺部材でも、戸尻側縦枠4、戸尻側縦枠7の高さ方向(開口高方向)に延びる長尺部材でもよく、長さ寸法や個数は限定されない。なお、1つの態様では、第2支持部材19は、開口高方向に延びる1本の長尺部材、あるいは、複数の長尺部材を、端部同士を当接ないし近接させて戸尻側縦枠4の見込部に取り付けられる。
【0060】
[E―4]防水枠の下枠の取付構造
図2に示すように、防水枠Bの下枠8は、下側の連結片87を介して躯体Cにアンカー固定されている。図示の態様では、屋内側床面FL1と屋外側床面FL2との間で高さが異なっており、下枠8と床面内の躯体Cとの隙間には充填材として例示するモルタルMが充填されている。図示の態様では、屋内側床面FL1と屋外側床面FL2との間で高さが異なっており、屋外側床面FL2が低くなっている。本実施形態では、下枠8の屋内側見付面81の大部分が床面FL1内に位置している。下枠8の屋外側見付面80の下端部位と屋外側床面FL2との間には、水密手段として例示するシーリング材Sが設けてある。
【0061】
[F]防水ドア枠の施工方法
本実施形態に係る防水ドア枠は、既設のドア装置を改修することで得ることができる。
図7は既設のドア装置のドア枠を例示する縦断面図である。本実施形態に係るベース枠Aは、既設のドア装置のドア枠に基づいて得ることができる。より具体的には、既設のドア枠は、上枠2、戸先側縦枠3、戸尻側縦枠4、下枠(沓摺)8´からなる四方枠であり、既設のドア枠から下枠(沓摺)8´を取り除くことで本実施形態に係るベース枠Aを得ることができる。
【0062】
すなわち、本実施形態に係る防水ドア枠の施工方法は、
(1)既設のドア装置において、扉体と沓摺8´を取り外して、上枠2と左右の縦枠3、4からなる三方枠であるベース枠Aを得る第1工程と、
(2)上枠5と左右の縦枠6、7と下枠8からなる防水枠Bの上枠5と左右の縦枠6、7からなる三方枠部位を、ベース枠Aの屋外側に隣り合うように位置させて、ベース枠A及び躯体Cに固定する第2工程と、
(3)防水枠Bの下枠8を床面に設置する第3工程と、
からなる。第2工程と第3工程の順序は問わず、また、第2工程と第3工程が実質的に同時に実行されてもよい。
【0063】
第1工程において、沓摺8´を取り外す工程は、1つの態様では、沓摺8´全体を取り外す工程であるが、沓摺8´の部分(例えば、開口幅方向の両端を残して取り除く)を取り外す工程であってもよい。沓摺8´を取り外す工程においては、床面FLの斫り作業が含まれ得ることが当業者に理解される。
【0064】
第2工程、第3工程において、防水枠Bの上枠5、戸先側縦枠6、戸尻側縦枠7、下枠8を接合(典型的には溶接)して形成された四方状の防水枠Bが用意される。少なくとも、戸先側縦枠6の下端部位と下枠8との接合部、戸尻側縦枠7の下端部位と下枠8との接合部には防水処理が施されている。防水枠Bは工場で組み立てられて、防水枠Bとして現場に搬入される。なお、連結部材16は、現場において取り付けられる(典型的には溶接によって取り付けられる)。
【0065】
第2工程において、防水枠Bの上枠5と左右の縦枠6、7からなる三方枠部位をベース枠A及び躯体Cに固定する工程は、防水枠Bの三方枠部位を、ベース枠Aの屋外側に隣り合うように位置させて、防水枠Bの三方枠部位の屋内側部位を、当該三方枠部位の屋内側見付面51、61、71とベース枠Aの屋外側見付面20、30、40が少なくとも部分的に当接した状態で、連結部材16によってベース枠Aの屋外側部位に固定すること、前記三方枠部位の開口部に面する見込部の反対側に位置する背面部を、躯体Cに固定すること、含む。防水枠Bの三方枠部位の屋内側部位をベース枠Aの屋外側部位に固定することは、前記三方枠部位の屋内側見付面51、61、71を、ベース枠Aの見込部の屋外側部位(屋外側水平面22、屋外側見込面32、屋外側見込面42)に連結部材16によって固定することを含む。第2工程について、以下に、より詳細に説明する。
【0066】
防水枠Bの三方枠部位の屋内側見付面51、61、71を、それぞれ、ベース枠Aの屋外側見付面20、30、40に少なくとも部分的に当接させる。この時、前記三方枠部位の屋内側見付面51、61、71は、ベース枠Aの屋外側見付面20、30、40に当接する当接部分(上側部位510、外側部位610、外側部位710)と、非当接部分(下側部位511、内側部位611、内側部位711)と、からなる。
【0067】
防水枠Bの三方枠部位の屋内側見付面51、61、71を、それぞれ、ベース枠Aの屋外側見付面20、30、40に当接させた状態で、記三方枠部位の背面部と躯体Cは離間して隙間が形成されており、隙間が形成された状態で前記三方枠部位の背面部を、躯体Cにアンカー固定する。
【0068】
見込片160と見付片161とから断面視L形状を備えた連結部材16を用意し、連結部材16の見付片161を、防水枠Bの三方枠部位の屋内側見付面51、61、71の非当接部分(下側部位511、内側部位611、内側部位711)に固定(典型的には溶接)し、見込片160を、ベース枠Aの見込部の屋外側部位(屋外側水平面22、屋外側見込面32、屋外側見込面42)に固定(典型的には溶接)する。
【0069】
防水枠Bの三方枠部位の内部空間に、充填材として例示するモルタルMが充填される。躯体Cにアンカー固定された前記三方枠部位の背面部と躯体Cとの間には隙間が形成されており、充填材として例示するモルタルMによって当該隙間を充填し、充填されたモルタルMの屋外側に位置して背面部の屋外側部位(屋外側水平辺55、屋外側見込辺65、屋外側見込片75)と躯体Cとの隙間に水密手段としてのシーリング材Sを設ける。
【0070】
ベース枠Aの見込部に、第1支持部材18、第2支持部材19をそれぞれ螺子で取り付け、化粧枠17の屋外側部位を第1支持部材18に螺子で固定し、屋内側部位を第2支持部材19に螺子で固定する。防水ドア枠の有効開口は、既設のドア枠を改修して得られたベース枠Aで囲まれる開口に比べて少し小さいものの(化粧枠17を取り付けた分だけ)、既設のドア枠の開口と略同じである。
【0071】
第3工程において、防水枠Bの下枠8を床面に設置する工程は、下枠8を、床面内の躯体Cにアンカー固定することを含む。下枠8内には充填材として例示するモルタルMが充填される。下枠8と床面内の躯体Cとの間の空間には填材として例示するモルタルMが充填される。下枠8の屋外側見付面80の上端部位と屋外側の床面との間には、水密手段として例示するシーリング材Sが設けてある。
【0072】
防水ドア枠の三方枠部位の屋外側見付面50、60、70の外側には、躯体Cとの間に位置して正面視において三方状のシーリング材Sが設けてある(
図1参照)。三方状のシーリング材Sの下端は、下枠8の屋外側見付面80の上端部位に設けたシーリング材Sの長さ方向(開口幅方向)端部と接触することで、四周状のシーリング材Sを形成している。屋外側に向かって開口する溝部54、64、74、84は四周状に連続しており、四周状の溝部54、64、74、84に水密部材9を四周状に嵌め込む。水密部材9を取り付けるタイミングは問わない。
【符号の説明】
【0073】
1 扉体
A ベース枠
2 ベース枠の上枠
20 屋外側見付面
22 屋外側水平面(見込部の屋外側部位)
3 ベース枠の戸先側縦枠
30 屋外側見付面
32 屋外側見込面(見込部の屋外側部位)
4 ベース枠の戸尻側縦枠
40 屋外側見付面
42 屋外側見込面(見込部の屋外側部位)
B 防水枠
5 防水枠の上枠
51 屋内側見付面
510 上側部位(当接部分)
511 下側部位(非当接部分)
55 屋外側水平辺(背面部)
56 屋内側水平辺(背面部)
57 連結片(背面部)
6 防水枠の戸先側縦枠
61 屋内側見付面
610 外側部位(当接部分)
611 内側部位(非当接部分)
65 屋外側見込辺(背面部)
66 屋内側見込辺(背面部)
67 連結片(背面部)
7 防水枠の戸尻側縦枠
71 屋外側見付面
710 外側部位(当接部分)
711 内側部位(非当接部分)
75 屋外側見込辺(背面部)
76 屋内側見込辺(背面部)
77 連結片(背面部)
8 防水枠の下枠(沓摺)
8´ 既設のドア枠の下枠(沓摺)
9 水密部材
16 連結部材
160 見込片
161 見付片
17 化粧枠
S シーリング材(水密手段)
FL1 屋内側床面(床面)
FL2 屋外側床面(床面)