(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169415
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】ゴルフ用インソール
(51)【国際特許分類】
A43B 17/00 20060101AFI20221101BHJP
A43B 5/00 20220101ALI20221101BHJP
【FI】
A43B17/00 Z
A43B5/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021098321
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】512246927
【氏名又は名称】MUGEN BIONIC株式会社
(72)【発明者】
【氏名】菅田 貴司
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050EA09
4F050HA20
4F050HA56
4F050HA58
4F050JA02
(57)【要約】
【課題】ゴルフスイングにおいて、両足の内側の回転軸である運動軸の傾斜角度の維持と回転を促すインソールを提供する。
【解決手段】インソールの親指付根部Aの厚さを最も低くして、次いで踵内側部B、踵外側部C、小指付根部と徐々に高くすることで、スイング時に運動軸の傾斜角度を維持して、スイングによる遠心力で母指球が浮き上がるのを防止することで、重心位置の小指側への移動を抑制して、母指球を起点として回転をスムーズに促す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のゴルフ用インソールにあって、厚みが親指付根部Aが踵内側部(親指側)B、踵外側部(小指側)C、小指付根部Dよりも低いことを特徴とするインソール。
【請求項2】
請求項1記載のインソールの厚みを、親指付根部A、踵内側部(親指側)B、踵外側部(小指側)C、小指付根部Dと徐々に高くなることを特徴とするインソール。
【請求項3】
親指付根部Aのインソールの厚みが、小指付根部Dより10mm以上低いインソール。
【請求項4】
断面Eと断面Fの傾斜角度を同一とする上記請求項1のインソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフにおけるスイング時の運動軸の傾斜角度の維持と運動軸の回転をサポートするインソールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフで生じるミスショットとして、ボールが大きく右に曲がるスライスや大きく左に曲がるフック、ゴルフクラブのヘッド(先端のボールを打つ部分)でボールの上部を叩いてしまうトップやボールの手前の地面をたたいてしまうダフリなどがある。
【0003】
それらの原因は様々であるが、最も重要で基本的な要因は、太ももの内側の内転筋群を使った運動軸の傾斜角度の維持とその回転がスムーズにできない、または適切な傾斜角度を大きく逸脱してしまうことである。
【0004】
スイングの始動後のバックスイングからトップ(頂点)までの右足(右利きの場合)の内側運動軸の適切な傾斜角度は、
図1が示すように地面から垂直に伸ばした仮想ライン角度を0度とした場合、正面から見て時計回りに概ね5~10度である。
【0005】
またクラブを振り下ろすダウンスイングからフォローまでの左足(右利きの場合)の内側運動軸の適切な傾斜角度は、
図2が示すように地面から垂直に伸ばした仮想ライン角度を0度とした場合、正面から見て反時計回りに概ね7~8度である。
【0006】
つまりゴルフにおいてミスショットを防ぐには、バックスイングから切り返しまでの右足の適切な傾斜角度5~10度の維持とスムーズな回転、ダウンスイングからフォローにかけての左足の適切な傾斜角度7~8度の維持とスムーズな回転である。
【0007】
運動軸の傾斜角度の維持と回転をスムーズにするには、内転筋群を使って回転させることが必要である。しかし日常においては、内転筋はあまり使われないため筋力が低下しやすく、年齢によっても最も衰えやすい筋肉である。そのため内転筋がスイングによる遠心力に耐えれず、母指球部が浮き上がり、小指側に体重移動してしまうことで、運動軸の適切な傾斜角度を維持することが難しい。
【0008】
そのため運動軸をスムーズに回転させるために、左足母指球部(右利きの場合)に擂鉢状が成型されていることを特徴とする特許文献1が開示されている。
【0009】
また踵外側部を高くして体重をつま先部に移動させることを特徴とする特許文献2が開示されている。
【0010】
更にスイングフォームを矯正させる目的で、足底内側よりも外側を高くしたことを特徴とする特許文献3が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2021-62164
【特許文献2】特開2018-114271
【特許文献3】特開平8-228802
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1は、左足母指球部を擂鉢状にすることで、スムーズな回転を促すことができるとしている。しかしながら母指球は回転軸の起点になるが、それをするには母指球と連結する親指の地面を掴むような屈折と踏ん張りが必要であり、母指球の沈み込みはその妨げになると思われる。また左足運動軸の傾斜角度を維持して左足母指球を起点に回転するには、右足運動軸の傾斜角度と右足母指球の踏ん張りが大きく影響するため、左足母指球だけではなく右足母指球への対策も必要である。
【0013】
特許文献2において、踵外側部を踵内側部よりも高くすることで、踵骨の外側への移動を抑制して、つま先側に体重を移動するというものであるが、足底の小指側が低いままでは、足の構造上、重心位置が小指側に移動しやすく、解決策としては不十分と思われる。
【0014】
特許文献3において、足底外側を内側よりも高くするだけでは、足首の可動域が制限されるとともに、踵内側に体重が移動してしまうことが予想され、母指球部への体重移動がスムーズに行えないと思われる。
【0015】
本発明は、以上のことを鑑みて、ミスショットを防ぐための左右の足の適切な傾斜角度の維持と、運動軸の回転をスムーズに行うインソールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るゴルフ用インソールは、ゴルフ靴の左右に挿入する一対のインソールであって、左右の母指球領域にあたる親指付根部Aを、踵内側部B、踵外側部C、小指付根部Dよりも低く成型される特徴がある。
【0017】
また、断面E(AからD)と断面F(BからC)の傾斜角度を略同一とし、その傾斜角度は4~8度であることを特徴とする。傾斜角度を同一とすることで、DがA、B、Cよりも高くなり、母指球の浮き上がりと、小指側への体重移動を抑制することができる。
【0018】
また、親指付根部A、踵内側部B、踵外側部C、小指付根部Dの厚みが徐々に高くなる特徴がある。それらの高低差は、AとBで2~5mm、BとCで5~10mm、CとDで1~5mmとなる特徴がある。
【発明の効果】
【0019】
この本発明によれば、バックスイングからトップにかけての右足(右利きの場合)内側の運動軸の傾斜角度と、ダウンスイングからフォローにかけての左足(右利きの場合)内側の運動軸の傾斜角度を安定させることができる。
【0020】
また、左右の母指球に重心が移動しやすく、それを支える親指の地面を掴む屈折や踏み込みをしやすくなることから、スムーズで安定的、且つパワフルなスイングがしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ゴルフのバックスイング時における運動軸の適切な傾斜角度を示している。地面から垂直に伸びる線の角度を0度とした場合、適切な傾斜角度である時計回りに概ね5~10度を示している。
【
図2】ダウンスイングからフォローおける運動軸の適切な傾斜角度を示している。地面から垂直に伸びる線の角度を0度とした場合、適切な傾斜角度である反時計回りに概ね5~8度を示している。それらの値が大き過ぎても小さすぎてもトラブルショットの原因になる。
【
図3】本発明の平面図と親指付根部A、踵内側部B、踵外側部C、小指付根部Dの位置と、AからDの断面EとBからCの断面Fの位置関係。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施例では、ゴルフシューズ内に装着する本願発明の一対のインソールの形状と素材の一例を説明する。
【0023】
男子用インソールの平均的サイズ25.5cmを例にして、断面Eと断面Fの傾斜角度を5度とすると、親指付根部Aの厚さを3mm、踵内側部Bを6mmとし、踵外側部Cを12.7mm、小指付根部Dを13.6mmになるように成型する。
【0024】
傾斜角度の潰れの防止のために、インソールの底部分を硬化性のあるエチレン酢酸ビニルやポリウレタン素材をベース材とする。また疲労軽減を得るために、インソールの中間部分に弾性のあるウレタン素材を貼り合わせるが、親指付根部Aは素材の厚みが薄くなる。更に表面には、摩擦抵抗により足指のグリップがしやすいようにポリエステルやナイロンなどの合成繊維を貼付する。その多層構造の合計が、段[0023]の値になるように調整する。
【符号の説明】
【0025】
A 親指付根部
B 踵内側部(親指側)
C 踵外側部(小指側)
D 小指付根部
E 断面E(AからDの断面線)
F 断面F(BからCの断面線)