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特開2022-169435連結バーの取付構造及び乗り物用シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169435
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】連結バーの取付構造及び乗り物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/16 20060101AFI20221101BHJP
   A47C 7/02 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B60N2/16
A47C7/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032306
(22)【出願日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】202141019295
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】516303716
【氏名又は名称】アディエント・エンジニアリング・アンド・アイピー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】尾野寺 晃秀
(72)【発明者】
【氏名】尾原 慧
(72)【発明者】
【氏名】江口 拓志
(72)【発明者】
【氏名】安井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】ニレシュ フィルケ
(72)【発明者】
【氏名】アジト タサガヴェ
(72)【発明者】
【氏名】アビヒナブ チャウベイ
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BB02
3B087BB21
(57)【要約】
【課題】連結バーが分離しにくい連結バーの取付構造を提供する。
【解決手段】連結バー取付構造(KB)は、中間部(8m)に第1の孔(81a1)を有する一対のリンク部材(8)と、一対のリンク部材(8)それぞれを第1の端部側の第1固定部(KBa)において回動自在に支持する一対の乗り物側部材(2)と、一対のリンク部材(8)それぞれを第1固定部(KBa)に対し第1の孔(81a1)を挟んで反対側となる第2の端部側の第2固定部(KBb)において回動自在に支持する一対のサイドフレーム(1)と、両端部が一対のリンク部材(8)それぞれの第1の孔(81a1)に固定された連結バー(9)と、を備える。リンク部材(8)は、中間部(8m)と第1固定部(KBa)との間及び中間部(8m)と第2固定部(KBb)との間それぞれに、他の部位よりも曲げ剛性が小さい曲げ剛性低減部(G)を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間部に第1の孔を有する一対のリンク部材と、
前記一対のリンク部材それぞれを第1の端部側の第1固定部において回動自在に支持する一対の乗り物側部材と、
前記一対のリンク部材それぞれを前記第1固定部に対し前記第1の孔を挟んで反対側となる第2の端部側の第2固定部において回動自在に支持する一対のサイドフレームと、
両端部が前記一対のリンク部材それぞれの前記第1の孔に固定された連結バーと、
を備え、
前記リンク部材は、前記中間部と前記第1固定部との間及び前記中間部と前記第2固定部との間それぞれに、他の部位よりも曲げ剛性が小さい曲げ剛性低減部を有する連結バー取付構造。
【請求項2】
前記一対のリンク部材それぞれの前記第1の孔と同芯となる第2の孔を有し、前記中間部に取り付けられて前記リンク部材と共にリンク体を構成する一対のサポート部材と、
前記連結バーは、前記リンク体における前記第1の孔及び前記第2の孔の両方に挿通して固定されていることを特徴とする請求項1記載の連結バー取付構造。
【請求項3】
前記サポート部材は、前記第2の孔の縁部が筒状に立ち上げられた孔周壁部を有し、前記連結バーは、前記リンク部材の前記第1の孔の周縁部における第1部位及び前記サポート部材における前記孔周壁部の前記第1の孔から遠い側の縁部における第2部位と、溶接により固定されていることを特徴とする請求項2記載の連結バー取付構造。
【請求項4】
前記サポート部材と前記リンク部材とは、前記連結バーの軸線まわりの所定角度範囲である第3部位で溶接されており、前記第2部位と前記第3部位とは、前記軸線まわりにおいて、少なくともそれぞれの中心位置が異なる角度位置にあることを特徴とする請求項3記載の連結バー取付構造。
【請求項5】
乗り物の床に取り付けられると共に、前記床に対し昇降可能なシートクッションフレームを備え、
前記シートクッションフレームは、
中間部に第1の孔を有する一対のリンク部材と、
前記一対のリンク部材それぞれを第1の端部側の第1固定部において回動自在に支持する一対の乗り物側部材と、
幅方向に離隔して配置され、前記一対のリンク部材それぞれを前記第1固定部に対し前記第1の孔を挟んで反対側となる第2の端部側の第2固定部において回動自在に支持する一対のサイドフレームと、
両端部が前記一対のリンク部材それぞれの前記第1の孔に固定された連結バーと、
を備え、
前記リンク部材は、前記中間部と前記第1固定部との間及び前記中間部と前記第2固定部との間それぞれに、他の部位よりも曲げ剛性が小さい曲げ剛性低減部を有していることを特徴とする乗り物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結バーの取付構造及び乗り物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、リフタを備えた乗り物用シートが記載されている。この乗り物用シートは、左右一対のクッションフレームと、左右一対のクッションフレームそれぞれの前方部位とアッパーレール側の部材と連結する左右一対のリンク部材と、左右一対のリンク部材同士を連結するフロント・リフト・シャフトと称される連結バーとを備えている。
この構造において、左右一対のリンク部材は、連結バーにより、クッションフレームに対し軸受を介して回動自在となるように取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6434789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された乗り物用シートは、乗り物用シートの左右方向延びる連結バーが、その直交方向に延在するリンク部材及びクッションフレームに対し連結部において一体的に取り付けられた構造を有する。
この構造は、乗り物が正面衝突した場合のように、連結部に主に加わる衝撃力が連結バーに直交する方向となる場合に高い耐性を有し、連結バーが分離する破壊は生じにくい。
【0005】
一方、この構造は、斜め衝突或いはオフセット衝突のように、連結バーに大きな曲げモーメント或いは捩りモーメントが加わった場合の耐性にはまだ改善の余地があり、これらの衝突でも連結バーが分離しにくい構造が検討されている。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、連結バーが分離しにくい連結バーの取付構造及び乗り物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。
1) 中間部に第1の孔を有する一対のリンク部材と、
前記一対のリンク部材それぞれを第1の端部側の第1固定部において回動自在に支持する一対の乗り物側部材と、
前記一対のリンク部材それぞれを前記第1固定部に対し前記第1の孔を挟んで反対側となる第2の端部側の第2固定部において回動自在に支持する一対のサイドフレームと、
両端部が前記一対のリンク部材それぞれの前記第1の孔に固定された連結バーと、
を備え、
前記リンク部材は、前記中間部と前記第1固定部との間及び前記中間部と前記第2固定部との間それぞれに、他の部位よりも曲げ剛性が小さい曲げ剛性低減部を有する連結バー取付構造である。
2) 前記一対のリンク部材それぞれの前記第1の孔と同芯となる第2の孔を有し、前記中間部に取り付けられて前記リンク部材と共にリンク体を構成する一対のサポート部材と、
前記連結バーは、前記リンク体における前記第1の孔及び前記第2の孔の両方に挿通して固定されていることを特徴とする1)に記載の連結バー取付構造である。
3) 前記サポート部材は、前記第2の孔の縁部が筒状に立ち上げられた孔周壁部を有し、前記連結バーは、前記リンク部材の前記第1の孔の周縁部における第1部位及び前記サポート部材における前記孔周壁部の前記第1の孔から遠い側の縁部における第2部位と、溶接により固定されていることを特徴とする2)に記載の連結バー取付構造である。
4) 前記サポート部材と前記リンク部材とは、前記連結バーの軸線まわりの所定角度範囲である第3部位で溶接されており、前記第2部位と前記第3部位とは、前記軸線まわりにおいて、少なくともそれぞれの中心位置が異なる角度位置にあることを特徴とする3)に記載の連結バー取付構造である。
5) 乗り物の床に取り付けられると共に、前記床に対し昇降可能なシートクッションフレームを備え、
前記シートクッションフレームは、
中間部に第1の孔を有する一対のリンク部材と、
前記一対のリンク部材それぞれを第1の端部側の第1固定部において回動自在に支持する一対の乗り物側部材と、
幅方向に離隔して配置され、前記一対のリンク部材それぞれを前記第1固定部に対し前記第1の孔を挟んで反対側となる第2の端部側の第2固定部において回動自在に支持する一対のサイドフレームと、
両端部が前記一対のリンク部材それぞれの前記第1の孔に固定された連結バーと、
を備え、
前記リンク部材は、前記中間部と前記第1固定部との間及び前記中間部と前記第2固定部との間それぞれに、他の部位よりも曲げ剛性が小さい曲げ剛性低減部を有していることを特徴とする乗り物用シートである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、連結バーが分離しにくい、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る乗り物用シートの実施例であるシート91のフレーム構造を示す斜視図である。
図2図2は、図1における連結バー取付構造KBを示す拡大斜視図である。
図3図3は、シート91が有するフロントリンク8の平面図である。
図4図4は、フロントリンク8の側面図である。
図5図5は、図3におけるS5-S5位置での断面図である。
図6図6は、サポートカップ10の平面図である。
図7図7は、図6におけるS7-S7位置での断面図である。
図8図8は、図2におけるS8-S8位置での断面図である。
図9図9は、図2におけるS9-S9位置での断面図である。
図10図10は、連結バー取付構造KBの変形態様を示すモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る乗り物用シートを、実施例であるシート91により説明する。
図1は、シート91のフレーム構造を説明するための斜視図である。以下の説明において、前後左右上下の各方向を、図1に示される矢印によって規定する。これらの方向は、シート91が乗り物として乗用車に搭載された状態の車両の方向に基づいている。左右方向はシート91の幅方向である。
【0011】
図1に示されるように、乗り物の床Fには、前後に延び左右方向に平行に離隔してレール181L,181Rが敷設されている。
レール181Lには、乗り物側部材であるフロントスライダ2L及びリアスライダ3Lが前後移動可能に係合し、レール181Rには、乗り物側部材であるフロントスライダ2R及びリアスライダ3Rが前後移動可能に係合している。
【0012】
図1に示されるように、シート91は、シートクッションフレームFR1及びシートバックフレーム4を有する。シートクッションフレームFR1は、フロントスライダ2であるフロントスライダ2L,2R及びリアスライダ3であるリアスライダ3L,3Rに連結してレール181L,181R上を前後移動可能とされている。
【0013】
シートバックフレーム4は、左右方向に離隔して対向配置されたシートバックフレーム4L,4Rを有する。シートバックフレーム4は、シートクッションフレームFR1の後部において、左右に延びる回動軸線CL4まわりに回動すると共に所定の回動角度位置でロック可能とされている。
【0014】
シートクッションフレームFR1は、サイドフレーム1L,1R、リアリンク5、リア連結バー6、フロントフレーム7、フロントリンク8、及びフロント連結バー9を有する。
サイドフレーム1L,1Rは、前後に延びるフレームであって、左右方向に離隔して対向配置されている。
フロントフレーム7は、左右に延びるように配置され、サイドフレーム1L,1Rの前部を連結している。
【0015】
フロントリンク8は、リンク部材であって左右一対のフロントリンク8L,8Rを含む。フロントリンク8L,8Rは、それぞれサイドフレーム1L,1Rの前部に対し、第1の端部が左右方向に延びる回動軸線CLbまわりに、ボルトB2を用いて回動可能に連結されている。
フロントリンク8L,8Rは、第1の端部とは反対側の第2の端部が、それぞれフロントスライダ2L,2Rに対し、左右方向に延びる回動軸線CLaまわりにボルトB1を用いて回動可能に連結されている。
【0016】
フロントリンク8L,8Rは、それぞれサポートカップ10L,10Rが取り付けられるとともに、左右方向に延びるフロント連結バー9によって連結されている。
詳しくは、フロント連結バー9は、両端部である左端部及び右端部が、それぞれフロントリンク8L,8Rにおける第1の端部と第2の端部との間の中間部位に、回動不能に固定されている。
これにより、フロントリンク8L,8Rは、フロントスライダ2L,2Rに対し、回動軸線CLaまわりに、フロント連結バー9と共に一体的に回動する。
【0017】
リアリンク5は、リンク部材であって、左右一対のリアリンク5L,5Rを含み、それぞれサイドフレーム1L,1Rの後部に対し、リア連結バー6によって、第1の端部が左右に延びる回動軸線CLdまわりに回動可能に連結されている。
リアリンク5L,5Rは、第1の端部とは反対側の第2の端部が、それぞれリアスライダ3L,3Rに対し、左右に延びる回動軸線CLcまわりに回動可能に連結されている。
【0018】
シートクッションフレームFR1は、シート91を昇降させるリフタ機構(不図示)を有する。
リフタ機構は、乗員の操作によって、シート91の昇降動作のロック及びロック解除と、ロック解除状態におけるシート91のリフト量であるリアリンク5L,5Rの回動量とを調整する。
【0019】
上述の構成により、シート91は、床Fに対し前後方向の移動が可能であると共に、回動軸線CLa,CLcまわりのフロントリンク8L,8R及びリアリンク5L,5Rの回動によって回動を伴う昇降(図1の矢印DRa参照)が可能となっている。
【0020】
次に、フロントリンク8L,8Rとフロント連結バー9とが固定された連結バー取付構造KBを説明する。左右の連結バー取付構造KBは対称である。そこで、以下、A部である右側の連結バー取付構造KBを、図2図9を参照して説明する。
【0021】
図2は、図1におけるA部の拡大図である。
図3は、フロントリンク8の平面図であり、図4は、フロントリンク8の側面図であり、図5は、図3におけるS5-S5位置での断面図である。
図6は、サポートカップ10の平面図であり、図7は、図6におけるS7-S7位置での断面図である。
図8は、図2におけるS8-S8位置での断面図であり、図9は、図2におけるS9-S9位置での断面図である。
以下の説明において、各部材の符号は左右の区別をせずにL,Rを除いた符号とする。例えば、フロントリンク8Rは、フロントリンク8とする。
【0022】
図2に示されるように、連結バー取付構造KBは、フロントリンク8,フロント連結バー9,及びサポートカップ10を含んで構成されている。
まず、フロントリンク8について詳述する。
【0023】
図3図5に示されるように、フロントリンク8は、外形の一部が円弧状とされた基部81と、基部81の第1の側(図3の左側)から径方向外側に延出した第1腕部82と、第1の側とは反対の第2の側(図3の右側)から径方向外側に延出した第2腕部83とを有する金属製部材である。この例において、第2腕部83の方が第1腕部82よりも長く延出している。基部81は、フロントリンク8の中間部8mとなる。
基部81は、図4及び図5の上方に円形に突出した突出部81aを有する。突出部81aの中央には、第1の孔として内径Ddの円形の貫通孔81a1が形成されている。
基部81は、円弧状部分とされた対向する一対の周縁には、突出部81aの突出方向と同じ方向に起立するよう折り曲げられたフランジ部81b,81cを有する。
【0024】
第1腕部82は、第1の端部側となる先端側に突出部81aとは反対方向に突出した絞り部82aを有する。絞り部82aには貫通孔82a1が形成されている。
フロントリンク8は、第1固定部KBaとなる貫通孔82a1にボルトB1の軸部が挿通され、不図示のナットなどによってフロントスライダ2に対し回動自在に取り付けられる。
第1腕部82の先端側を除く対向する縁部には、それぞれフランジ部81b,81cと同じ方向に起立するよう折り曲げられたフランジ部82b,82cを有する。フランジ部82b,82cは、フランジ部81b,81cとそれぞれほぼ同じ高さで折り曲げられている。
【0025】
第2腕部83は、第2の端部側となる先端側に突出部81aとは反対方向に突出した絞り部83aを有する。絞り部83aには、第2固定部KBbとなる貫通孔83a1が形成されている。
フロントリンク8は、貫通孔83a1にボルトB2の軸部が挿通され、不図示のナットなどによってサイドフレーム1に対し回動自在に取り付けられる。
第2腕部83の先端側を除く対向する縁部には、それぞれフランジ部81b,81cと同じ方向に起立するよう折り曲げられたフランジ部83b,83cを有する。フランジ部83b,83cは、フランジ部81b,81cとそれぞれほぼ同じ高さで折り曲げられている。
【0026】
フランジ部81b,81cとフランジ部82b,82cとは、同じ高さで連結していない。詳しくは、フランジ部81b,81cとフランジ部82b,82cとの間に、それぞれ実質的に折り曲げ部分のないフランジ切り欠き部K12,K12が形成されている。
同様に、フランジ部81b,81cとフランジ部83b,83cとは同じ高さで連結していない。詳しくは、フランジ部81b,81cとフランジ部83b,83cとの間に、それぞれ実質的に折り曲げ部分のないフランジ切り欠き部K13,K13が形成されている。
【0027】
フランジ切り欠き部K12,K13の曲げ剛性は、基部81におけるフランジ部81b,81cが形成されている第1の部位、第1腕部82におけるフランジ部82b,82cが形成されている第2の部位、及び第2腕部83におけるフランジ部83b,83cが形成されている第3の部位の曲げ剛性に対して小さい。すなわち、フランジ切り欠き部K12,K13は、他の部位よりも曲げ剛性が小さい曲げ剛性低減部Gとなっている。
【0028】
貫通孔81a1は、フロント連結バー9が挿通可能であり、内径Ddはフロント連結バー9の外径De(図8参照)とほぼ同じに形成されている。
【0029】
次に、サポート部材であるサポートカップ10について詳述する。
図6及び図7に示されるように、サポートカップ10は、基部10a,孔周壁部10c,及び外周壁部10bを有する。
基部10aは、第2の孔である中心孔10a1を有する略円盤状の一部が欠落した形状を呈する。詳しくは、基部10aは、外周縁と中心孔10a1とに繋がる所定の角度範囲が欠落した切り欠き部10dを有して平面視で略C字状を呈する金属製部材である。
孔周壁部10cは、中心孔10a1の縁部に軸線CL10方向に立ち上がるように形成された筒状の部位である。孔周壁部10cの内面は、中心孔10a1の内周面10c1となっている。
外周壁部10bは、基部10aの周縁において、孔周壁部10cと同じ方向に、孔周壁部10cよりも高く立ち上がるように形成されている。
【0030】
外周壁部10bは、切り欠き部10dと中心を挟んで反対側となる部分の所定角度範囲が、高さが孔周壁部10cよりも低い切り込み部10b1とされている。所定角度範囲は、例えば60°である。
また、基部10aは、切り欠き部10dと中心を挟んで反対側となる部位に、貫通孔10eを有する。
切り欠き部10d,切り込み部10b1,及び貫通孔10eが設けられることで、サポートカップ10の質量が低減する、また、組み立て作業者が、サポートカップ10の軸線まわりの向きを容易に把握できるので、サポートカップ10をフロントリンク8に対し誤った向きで装着する誤装着が防止される。
【0031】
サポートカップ10の外径Da(図6参照)は、フロントリンク8の基部81におけるフランジ部81b,81cの内径Db(図3参照)と、同じ又はわずかに小さく設定されている。
また、サポートカップ10の中心孔10a1の内径Dc(図6参照)は、フロントリンク8の貫通孔81a1の内径Dd(図3参照)とほぼ同じである。中心孔10a1は、フロント連結バー9が挿通可能であり、内径Ddは、フロント連結バー9の外径De(図8参照)とほぼ同じに形成されている。
【0032】
図8及び図9に示されるように、サポートカップ10は、フロントリンク8に対し、基部10aがフロントリンク8に対し遠い側となる向きで、外周壁部10bがフランジ部81b,81cの内側に嵌り込むように組み合わされる。サポートカップ10をフロントリンク8に組み合わせた状態で、中心孔10a1の軸線CL10と、貫通孔81a1の軸線CL8(図5参照)とは実質的に一致した同芯となる。
そのため、フロント連結バー9は、中心孔10a1及び貫通孔81a1の両方を貫いて挿通できる。
【0033】
連結バー取付構造KBは、図2図8,及び図9に示されるように、サポートカップ10の外周壁部10bとフロントリンク8のフランジ部81b,81cそれぞれとが溶接されて、それぞれ溶接ビードM1,M2が形成されている。
また、サポートカップ10の孔周壁部10cにおけるフロントリンク8から遠い側の周縁部と、フロント連結バー9の外周面とが溶接されて、溶接ビードM3が形成されている。
【0034】
また、連結バー取付構造KBは、図8に示されるように、フロントリンク8の突出部81aと、貫通孔81a1から突出したフロント連結バー9の外周面とが、第1腕部82及び第2腕部83が延出形成された方向と直交する方向の第1部位において溶接され、溶接ビードM4,M5が形成されている。
【0035】
図8及び図9に示されるように、連結バー取付構造KBにおいて、フロントリンク8の基部81とサポートカップ10とは、フランジ部81b,81cと外周壁部10bとの係合及び溶接によって一体化され、リンク体T8を構成している。
これにより、リンク体T8自体の曲げ剛性は、フロントリンク8の基部81単体での曲げ剛性と比較して顕著に向上している。
【0036】
また、連結バー取付構造KBにおいて、フロント連結バー9は、フロントリンク8及びサポートカップ10と溶接されて、リンク体T8に支持されている。
フロントリンク8が支持されている軸方向範囲は、フロントリンク8の貫通孔81a1の厚さとサポートカップ10の孔周壁部10cの内周面10c1の軸方向長さとを合わせた範囲である。
これにより、連結バー取付構造KBは、フロント連結バー9によってリンク体T8に加わる軸線CL9(図8参照)の方向の力及び軸線CL9に直交する方向の力に対して高い剛性を有する。
【0037】
また、連結バー取付構造KBは、フロント連結バー9に加わる曲げモーメント及び捩りモーメントに対しても高い剛性を有する。
連結バー取付構造KBにおいて、溶接ビードM1及び溶接ビードM2は、第1の直径方向において互いに対応する2つの領域を含む第3部位に形成される。すなわち、溶接ビードM1の周方向位置は、溶接ビードM2の周方向位置に対し180°ずれている。溶接ビードM3は、その周方向範囲の中心の周方向位置が、溶接ビードM1及び溶接ビードM2それぞれの周方向範囲の中心の角度位置と異なるように第2部位に形成されている。
第2部位の第2の径方向位置は、第3部位の第1の径方向に対し、例えば90°ずれて設定される。
これにより、連結バー取付構造KBは、任意の方向の曲げモーメントに対して、その方向によらず高い剛性を有する。
【0038】
連結バー取付構造KBにおいて、フロント連結バー9は溶接によってサポートカップ10と一体化しており、サポートカップ10は、フロント連結バー9の外径よりも十分に大きい外径の外周壁部10bがフロントリンク8のフランジ部81b,81cと溶接により一体化されている。そのため、連結バー取付構造KBは、高い捩り剛性を有する。
【0039】
一方、フロントリンク8は、フランジ切り欠き部K12,K13を有する。フランジ切り欠き部K12,K13は、既述のように第1の部位,第2の部位,及び第3の部位よりも曲げ剛性が小さい。
そのため、連結バー取付構造KBに対し、外部から衝撃力が加わって大きな曲げモーメント或いは捩りモーメントが生じた場合に、図10に示されるように、フランジ切り欠き部K12,K13が優先して変形してエネルギを吸収する。従って、フロント連結バー9がリンク体T8から分離する破壊が生じにくい。
【0040】
すなわち、連結バー取付構造KBを有するシート91を搭載した乗り物が斜め衝突或いはオフセット衝突をして連結バー取付構造KBに大きな曲げモーメント或いは捩りモーメントが付与された場合に、フロント連結バー9が連結バー取付構造KBから分離する破壊は極めて生じにくくなっている。
【0041】
サポートカップ10に切り欠き部10dが形成されているため、フロント連結バー9のリンク体T8への挿通状態が外部から視認可能となっている。これにより、乗り物の通常状態はもとより、乗り物が衝突した後の状態でのフロント連結バー9の固定の不具合有無を視認把握できる。
【0042】
以上詳述のように、連結バー取付構造KBは、フロント連結バー9がフロントリンク8から分離しにくくなっている。
【0043】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形可能である。
連結バー取付構造KBは、シート91の前部のフロント連結バー9の取付構造として説明したが、リア連結バー6のリアリンク5への取付構造に適用してもよい。
シート91が搭載される乗り物は、自動車に限定されるものではなく、航空機、船舶、鉄道車両など種々のものが該当する。
【符号の説明】
【0044】
1L,1R サイドフレーム
2,2L,2R フロントスライダ
3,3L,3R リアスライダ
4,4L,4R シートバックフレーム
5,5L,5R リアリンク
6 リア連結バー
7 フロントフレーム
8,8L,8R フロントリンク
8m 中間部
81 基部
81a 突出部
81a1 貫通孔
81b,82c フランジ部
82 第1腕部
82a 絞り部
82a1 貫通孔
82b,82c フランジ部
83 第2腕部
83a 絞り部
83a1 貫通孔
83b,83c フランジ部
9 フロント連結バー
10,10L,10R サポートカップ
10a 基部
10a1 中心孔
10b 外周壁部
10b1 切り込み部
10c 孔周壁部
10c1 内周面
10d 切り欠き部
10e 貫通孔
91 シート
181L,181R レール
B1,B2 ボルト
CLa,CLb,CLc,CLd 回動軸線
CL8,CL9,CL10 軸線
Da,De 外径
Db,Dc,Dd 内径
F 床
FR1 シートクッションフレーム
G 曲げ剛性低減部
KB 連結バー取付構造
KBa 第1固定部
KBb 第2固定部
K12,K13 フランジ切り欠き部
M1,M2,M3,M4,M5 溶接ビード
T8 リンク体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10