(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169440
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】薬剤フィーダ、薬剤払出し装置、薬剤フィーダの校正方法、並びに薬剤フィーダの故障検知方法
(51)【国際特許分類】
G01G 23/01 20060101AFI20221101BHJP
B65B 1/30 20060101ALI20221101BHJP
G01G 13/16 20060101ALI20221101BHJP
G01G 13/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G01G23/01 K
B65B1/30 C
G01G13/16 Z
G01G13/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049908
(22)【出願日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2021075385
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】粕屋 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 千晴
(72)【発明者】
【氏名】吉川 克朗
(72)【発明者】
【氏名】宮本 有
(72)【発明者】
【氏名】深森 亮輔
【テーマコード(参考)】
2F046
3E118
【Fターム(参考)】
2F046BA07
2F046CA01
2F046EA01
3E118AA07
3E118AB04
3E118AB07
3E118BA10
3E118BB03
3E118BB10
3E118CA10
3E118CA18
3E118DA03
3E118EA01
3E118EA07
3E118FA07
3E118FA11
(57)【要約】
【課題】重量測定手段の良否を判定する際に、必ずしもロボットが必要でなく、必ずしも複数の重量測定手段を使用する必要がない薬剤払出し装置を提供することを課題とするものである。
【解決手段】散薬が収容される薬剤容器と、薬剤容器を保持する保持部材と、薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し、薬剤容器から散薬を排出し、重量測定手段によって散薬の排出量を検知することが可能な薬剤フィーダにおいて、錘部材42を有し、錘部材42又は重量測定手段又は薬剤容器の少なくともいずれかを昇降させる昇降手段を有するものとする。また、錘部材42の荷重が重量測定手段に付加された状態と、錘部材42の荷重が重量測定手段に付加されていない状態を比較して重量測定手段の校正及び/又は故障検知を行う。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
散薬が収容される薬剤容器と、前記薬剤容器を保持する保持部材と、前記薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し、前記薬剤容器から散薬を排出し、前記重量測定手段によって散薬の排出量を検出することが可能である薬剤フィーダにおいて、
錘部材を有し、前記錘部材又は前記重量測定手段又は前記薬剤容器の少なくともいずれかを昇降させる昇降手段を有し、前記錘部材の荷重が前記重量測定手段に付加された状態と、前記錘部材の荷重が前記重量測定手段に付加されていない状態を比較して前記重量測定手段の校正、及び/又は故障検知を行う、薬剤フィーダ。
【請求項2】
前記昇降手段は、前記錘部材を昇降させるものであり、前記錘部材が昇降して前記校正、及び/又は前記故障検知を行う、請求項1に記載の薬剤フィーダ。
【請求項3】
重量受部を有し、
前記重量受部は、前記保持部材が前記薬剤容器を保持した状態と、前記保持部材から前記薬剤容器が取り外された状態のそれぞれで、前記錘部材の荷重を受けることが可能である、請求項2に記載の薬剤フィーダ。
【請求項4】
前記錘部材と、前記昇降手段と、前記錘部材の荷重を受けることが可能な重量受部を含んで形成される測定手段検査部を有し、
前記測定手段検査部によって前記校正、及び/又は前記故障検知が実行されるものであり、前記測定手段検査部は、前記保持部材の周辺に配される、請求項2又は3に記載の薬剤フィーダ。
【請求項5】
重量受部を有し、
前記昇降手段は、動力源であるモータと、前記モータの稼働によって回転するカムと、前記カムの上に載置される昇降部材を有し、
前記昇降部材は、前記カムの上に載置された状態を維持しつつ前記カムの回転に伴って上下に移動するものであり、
前記昇降部材が前記錘部材を下方から押し上げることで、前記錘部材が前記重量受部に接触した状態から、前記錘部材が前記重量受部に接触しない状態に移行する、請求項2乃至4のいずれかに記載の薬剤フィーダ。
【請求項6】
重量受部を有し、
前記重量受部は、前記保持部材の一部であり、保持した前記薬剤容器の下方側となる位置に形成され、
前記錘部材を昇降させることで、前記錘部材が前記重量受部に載置され、前記錘部材の荷重が前記重量測定手段に付加された状態と、前記錘部材が前記重量受部から上方に離れた状態とが切り替わり、
前記錘部材は、前記重量受部に載置された状態と、前記重量受部から上方に離れた状態のそれぞれで、保持した前記薬剤容器よりも下方側となる位置に配される、請求項2又は3に記載の薬剤フィーダ。
【請求項7】
前記薬剤容器を手動で前記保持部材に保持させることが可能であり、前記保持部材に保持させた前記薬剤容器を手動で取り外すことが可能である、請求項1乃至6のいずれかに記載の薬剤フィーダ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の薬剤フィーダを備えている、薬剤払出し装置。
【請求項9】
散薬を包装する薬剤包装部と、前記薬剤包装部に供給する散薬が投入されるホッパー部材と、ホッパー部材の重量を直接的又は間接的に測定するホッパー側重量測定手段を有し、
前記重量測定手段の検出値に基づいて目標排出量の散薬を排出し、排出された散薬をホッパー部材に投入するものであり、前記ホッパー側重量測定手段の検出値に基づいて前記故障検知を行う、請求項8に記載の薬剤払出し装置。
【請求項10】
散薬が収容される薬剤容器と、前記薬剤容器を保持する保持部材と、前記薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し、前記重量測定手段によって散薬の排出量を検出することが可能な薬剤フィーダの校正方法であって、
錘部材の荷重を前記重量測定手段に付加した状態で前記重量測定手段による重量測定を行う重量取得工程を含み、
前記重量取得工程で取得した重量と、予め記憶された重量とを比較して前記重量測定手段が正常であるか否かを判別する、薬剤フィーダの校正方法。
【請求項11】
散薬が収容される薬剤容器と、前記薬剤容器を保持する保持部材と、前記薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し、前記重量測定手段によって散薬の排出量を検出することが可能な薬剤フィーダの故障検知方法であって、
錘部材の荷重を前記重量測定手段に付加した状態で前記重量測定手段による重量測定を行う重量取得工程を含み、
散薬の排出動作に先立って前記重量取得工程を行い、
散薬の排出動作後にさらに前記重量取得工程を行い、
散薬の排出動作に先立って行った前記重量取得工程で取得した重量と、散薬の排出動作後に行った前記重量取得工程で取得した重量とを比較し、散薬の排出動作の際に前記重量測定手段が故障していなかったか否かを判別する、薬剤フィーダの故障検知方法。
【請求項12】
散薬の排出動作では、前記薬剤容器の散薬排出部を開状態として散薬の排出を行い、散薬の排出量を検出する動作では、散薬排出前の前記薬剤容器の重量を原重量として取得する動作を実行しており、前記薬剤容器の散薬排出部を開状態とする前に、散薬排出前の前記薬剤容器の重量を原重量として取得する動作を実行する、請求項11に記載の薬剤フィーダの故障検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を所定量計量して取り出す薬剤フィーダに関する。また、本発明は、そのような薬剤フィーダを備えた薬剤払出し装置に関する。さらに、本発明は、そのような薬剤フィーダの校正方法や、そのような薬剤フィーダの故障検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大病院や、大規模の薬局では、散薬分包装置や散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置が導入されている。
特許文献1に開示された旧来の薬剤払出し装置は、人手によって薬棚から処方された散薬が入った薬瓶を取り出し、天秤等の秤を使用して処方された特定の散薬の総重量を量り出す作業を行う必要があり、完全自動装置とは言いがたい。
本出願人は、この問題に対処するため、特許文献2に開示された薬剤払出し装置を実用化した。
【0003】
特許文献2に開示された薬剤払出し装置は、薬剤容器を多数保管する容器保管装置と、薬剤容器を搬送させるロボットと、薬剤容器を振動させて薬剤容器から薬剤を排出させる容器載置装置と、分配皿とが内蔵されている。また容器載置装置は薬剤容器の重量を測定する重量測定手段を有している。
そして必要な薬剤容器を自動的に選び出し、ロボットで容器載置装置に載置し、薬剤容器を振動させて薬剤容器から直接分配皿に薬剤を排出する。薬剤を排出する間、重量測定手段で薬剤容器の重量を監視して薬剤の排出量を検知し、排出量が所定量に達すると振動を停止する。
その後、ロボットを駆動して、薬剤容器を他の重量測定手段の上に移動させ、薬剤容器の重量を他の重量検知手段によって再度検知する。
この再重量検知動作は、主として重量測定手段の故障検知を目的として実施されるものである。
即ち、容器載置装置の重量測定手段が検知した薬剤排出後の薬剤容器の重量と、他の重量検知手段によって検知された同じ薬剤容器の重量を比較し、両者が同じであれば、重量測定手段が故障しておらず、両者の間に差異があれば、重量測定手段が故障している可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-85703号公報
【特許文献2】国際公開第2015/076267号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に開示された薬剤払出し装置では、ロボットを使用して薬剤容器を他の重量測定手段に載せ替えて、重量測定手段の良否を判定するので、ロボットを動作させることが必須である。また特許文献2に開示された薬剤払出し装置では、複数の重量測定手段を使用する必要がある。
【0006】
そこで本発明は、重量測定手段の良否を判定する際に、必ずしもロボットが必要でなく、必ずしも複数の重量測定手段を使用する必要がないものとすることが可能な薬剤フィーダを提供することを課題とする。また、そのような薬剤フィーダを備えた薬剤払出し装置を提供することを課題とする。さらにまた、必ずしもロボットが必要でなく、必ずしも複数の重量測定手段を使用する必要がない薬剤フィーダの校正方法、薬剤フィーダの故障検知方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、散薬が収容される薬剤容器と、前記薬剤容器を保持する保持部材と、前記薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し、前記薬剤容器から散薬を排出し、前記重量測定手段によって散薬の排出量を検知することが可能である薬剤フィーダにおいて、錘部材を有し、前記錘部材又は前記重量測定手段又は前記薬剤容器の少なくともいずれかを昇降させる昇降手段を有し、前記錘部材の荷重が前記重量測定手段に付加された状態と、前記錘部材の荷重が前記重量測定手段に付加されていない状態を比較して前記重量測定手段の校正を行う、薬剤フィーダである。
【0008】
本様相の薬剤フィーダによると、外部機器であるロボットや、他の重量測定手段を必ずしも必要とすることなく、重量測定手段の校正や故障検知が可能となる。
【0009】
上記した様相は、前記昇降手段は、前記錘部材を昇降させるものであり、前記錘部材が昇降して前記校正を行うことが好ましい。
【0010】
上記した好ましい様相は、重量受部を有し、前記重量受部は、前記保持部材が前記薬剤容器を保持した状態と、前記保持部材から前記薬剤容器が取り外された状態のそれぞれで、前記錘部材の荷重を受けることが可能であることがさらに好ましい。
【0011】
この様相によると、薬剤容器を保持した状態と、薬剤容器を取り外した状態のいずれにおいても重量測定手段を校正できる。
【0012】
上記した好ましい様相は、前記錘部材と、前記昇降手段と、前記錘部材の荷重を受けることが可能な重量受部を含んで形成される測定手段検査部を有し、前記測定手段検査部によって前記校正が実行されるものであり、前記測定手段検査部は、前記保持部材から側方に離れた位置に配されることがさらに好ましい。
【0013】
このさらに好ましい様相によると、仮に重量測定手段の校正を実行する測定手段検査部が故障したとしても、測定手段検査部の交換やメンテナンスが容易となる。
【0014】
上記した好ましい様相は、重量受部を有し、前記昇降手段は、動力源であるモータと、前記モータの稼働によって回転するカムと、前記カムの上に載置される昇降部材を有し、前記昇降部材は、前記カムの上に載置された状態を維持しつつ前記カムの回転に伴って上下に移動するものであり、前記昇降部材が前記錘部材を下方から押し上げることで、前記錘部材が前記重量受部に接触した状態から、前記錘部材が前記重量受部に接触しない状態に移行することがさらに好ましい。
【0015】
このさらに好ましい様相によると、簡易な構造で重量測定手段の校正が可能である。
【0016】
上記した好ましい様相は、重量受部を有し、前記重量受部は、前記保持部材の一部であり、保持した前記薬剤容器の下方側となる位置に形成され、前記錘部材を昇降させることで、前記錘部材が前記重量受部に載置され、前記錘部材の荷重が前記重量測定手段に付加された状態と、前記錘部材が前記重量受部から上方に離れた状態とが切り替わり、前記錘部材は、前記重量受部に載置された状態と、前記重量受部から上方に離れた状態のそれぞれで、保持した前記薬剤容器よりも下方側となる位置に配される、ことがさらに好ましい。
【0017】
このさらに好ましい様相によると、薬剤フィーダの配置のために必要な領域を省スペース化できるので、好ましい。
【0018】
上記した様相は、前記薬剤容器を手動で前記保持部材に保持させることが可能であり、前記保持部材に保持させた前記薬剤容器を手動で取り外すことが可能であることが好ましい。
【0019】
本発明の他の様相は、上記した薬剤フィーダを備えている、薬剤払出し装置である。
【0020】
かかる様相においても、ロボットや、他の重量測定手段を必ずしも必要とすることなく、重量測定手段の校正が可能となる。
【0021】
上記した様相は、散薬を包装する薬剤包装部と、前記薬剤包装部に供給する散薬が投入されるホッパー部材と、ホッパー部材の重量を直接的又は間接的に測定するホッパー側重量測定手段を有し、前記重量測定手段の検出値に基づいて目標排出量の散薬を排出し、排出された散薬をホッパー部材に投入するものであり、前記ホッパー側重量測定手段の検出値に基づいて前記故障検知を行うことが好ましい。
【0022】
かかる様相では、散薬の排出動作の際に重量測定手段が正常であったか否かを判別できため、重量測定手段が故障してしまったことに起因する問題の発生を抑制できる。
【0023】
本発明の他の様相は、散薬が収容される薬剤容器と、前記薬剤容器を保持する保持部材と、前記薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し、前記重量測定手段によって散薬の排出量を検出することが可能な薬剤フィーダの校正方法であって、錘部材の荷重を前記重量測定手段に付加した状態で前記重量測定手段による重量測定を行う重量取得工程を含み、前記重量取得工程で取得した重量と、予め記憶された重量とを比較して前記重量測定手段が正常であるか否かを判別する、薬剤フィーダの校正方法である。
【0024】
本発明の他の様相は、散薬が収容される薬剤容器と、前記薬剤容器を保持する保持部材と、前記薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し、前記重量測定手段によって散薬の排出量を検出することが可能な薬剤フィーダの故障検知方法であって、錘部材の荷重を前記重量測定手段に付加した状態で前記重量測定手段による重量測定を行う重量取得工程を含み、散薬の排出動作に先立って前記重量取得工程を行い、散薬の排出動作後にさらに前記重量取得工程を行い、散薬の排出動作に先立って行った前記重量取得工程で取得した重量と、散薬の排出動作後に行った前記重量取得工程で取得した重量とを比較し、散薬の排出動作の際に前記重量測定手段が故障していなかったか否かを判別する、薬剤フィーダの故障検知方法である。
【0025】
本様相によると、外部機器であるロボットや、他の重量測定手段を必ずしも必要とすることなく、重量測定手段の校正や故障検知が可能となる。
【0026】
上記した様相は、散薬の排出動作では、前記薬剤容器の散薬排出部を開状態として散薬の排出を行い、散薬の排出量を検出する動作では、散薬排出前の前記薬剤容器の重量を原重量として取得する動作を実行しており、前記薬剤容器の散薬排出部を開状態とする前に、散薬排出前の前記薬剤容器の重量を原重量として取得する動作を実行することが好ましい。
【0027】
かかる様相によると、より精度の高い散薬の排出が可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、重量測定手段の良否を判定する際に、必ずしもロボットが必要でなく、必ずしも複数の重量測定手段を使用する必要がないものとすることが可能な薬剤フィーダを提供できる。また、そのような薬剤フィーダを備えた薬剤払出し装置を提供できる。さらにまた、必ずしもロボットが必要でなく、必ずしも複数の重量測定手段を使用する必要がない薬剤フィーダの校正方法、薬剤フィーダの故障検知方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態に係る薬剤払出し装置を示す斜視図であって、上蓋を開いた状態を示す。
【
図2】
図1で示される薬剤払出し装置の分配皿周辺を示す斜視図である。
【
図4】
図3の薬剤フィーダから情報読書手段を省略して示す斜視図である。
【
図5】
図4とは異なる方向から観察した薬剤フィーダを示す斜視図である。
【
図6】薬剤容器を保持部材から取り外した状態の薬剤フィーダ(フィーダ本体)を示す斜視図である。
【
図7】
図6の薬剤フィーダを別方向からみた様子を示す斜視図である。
【
図9】
図8のフィーダ本体をモデル化して示す側面図である。
【
図10】
図4の重量校正部を別方向からみた様子を示す斜視図である。
【
図12】
図10の上側ガイド部材を示す図であり、(a)は、下方側から観察した斜視図であり、(b)は断面図である。
【
図13】
図4の重量校正部を第一の状態から第二の状態に移行する際の動作を模式的に示す説明図であり、(a)~(c)の順に移行する。
【
図14】(a)は、
図11とは異なる実施形態に係る分銅を示す斜視図であり、(b)は、
図11とは異なる実施形態に係る分銅支持部材を示す斜視図である。
【
図15】(a)は、上記の実施形態とは異なる実施形態に係る薬剤フィーダを模式的に示す説明図であり、(b)は、(a)の薬剤フィーダが第一の状態から第二の状態に移行する様子を模式的に示す説明図である。
【
図16】
図2の掻出装置に装着することが可能な校正用器具を模式的に示す図であり、(a)は、掻出装置に装着した状態の斜視図であり、(b)は、(a)の校正用器具を分解して示す説明図である。
【
図17】(a)は、
図16で示される校正用器具に錘部材を支持させる様子を模式的に示す説明図であり、(b)は、
図16で示される校正用器具によって錘部材を振動側水平部の上に載置する様子を模式的に示す説明図である。
【
図18】上記した実施形態とは異なる実施形態に係る薬剤フィーダを模式的に示す説明図であり、(a)は、第一の状態を示し、(b)は、第二の状態を示す。
【
図19】(a)は、上記した実施形態とは異なる重量校正部を薬剤払出し装置に採用した様子を模式的に示す説明図である。(b)は、左図が、第一の状態とした際の一つの錘部材の周辺を模式的に示す説明図であり、右図が、第二の状態とした際の一つの錘部材の周辺を模式的に示す説明図である。
【
図20】上記した実施形態とは異なる実施形態に係る薬剤払出し装置の主要部を模式的に示す説明図であり、薬剤フィーダから分配皿に散薬を排出させて故障検知動作を実行する様子を示す。
【
図21】
図20で示す薬剤払出し装置において、
図20とは異なる故障検知動作を実行する様子を示す図である。
【
図22】上記した実施形態とは異なる実施形態に係る薬剤容器を示す斜視図であり、(a)は、蓋部材を閉状態とした様子を示し、(b)は、蓋部材を開状態とした様子を示す。
【
図23】
図22(a)で示す薬剤容器を示す断面図であり、蓋部材と他の部分とを異なる切断面で切断した様子を示す。
【
図24】薬剤フィーダから分配皿に散薬を排出する排出動作の具体的な手順を模式的に示す説明図であり、(a)~(k)の順で排出動作を実行する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る薬剤払出し装置1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、特に断りがない限り、上下の位置関係は通常の設置状態(
図1の状態)を基準に説明する。
また、理解を容易にするため、先に薬剤払出し装置1の概要と大まかな動作について説明し、その後に各部材や装置を詳細に説明する。
【0031】
本実施形態の薬剤払出し装置1は、
図1で示されるように、筐体2によって囲まれており、その内部は、錠剤手撒き領域300と、散薬分割領域301と、薬剤包装領域302に分かれている。また、筐体2の上部には、揺動自在に形成された上蓋4が設けられており、上蓋4を閉状態とすることで、上蓋4が散薬分割領域301に属する各部材の上方を覆った状態となる。
【0032】
錠剤手撒き領域300には錠剤手撒き装置303が設けられている。
錠剤手撒き装置303は公知であるから、詳細な説明を省略する。この錠剤手撒き装置303は、後述する分配皿3、薬剤フィーダ5等の上方に位置する。
【0033】
薬剤包装領域302には、
図2に概念的に表示した様に薬剤包装装置305が内蔵されている。薬剤包装装置305は、薬剤を一服用分ずつ包装する機械であり、分包紙供給装置306(分包紙供給部)と、分包装置308(シール部)を有する。また薬剤包装装置305には、分包装置308の上方に、薬剤を投入する散薬投入ホッパー310が設けられている。
作図の関係上、散薬投入ホッパー310を分配皿3から離れた位置に図示しているが、実際には、散薬投入ホッパー310の上端は、分配皿3の機材収納開口15にある。
【0034】
薬剤包装装置305は、分包紙供給装置306の本体(図示しない)の装着部に、ロールペーパーを装着して使用する。ロールペーパーは、帯状の分包紙(包装紙)を管状の芯部材に巻いてロール状にしたものである。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態のロールペーパーは、二つ折りされた状態で帯状となった分包紙をロール状にしたものである。
また、薬剤包装装置305は、図示しない印刷機構(印刷部)を有している。
薬剤包装装置305では、ロールペーパーから繰り出された分包紙が印刷機構に導入され、患者名、薬剤名称、服用日時等の情報(処方に関する情報であり、提供する薬剤に関する情報)が印刷される。その後、所定の情報が印刷された分包紙は、上向きに開口された状態にされる。そして、その状態で、散薬投入ホッパー310から落下(供給)された薬剤(散薬)を受け入れる。
さらに、薬剤を受け入れた分包紙が、シール部(分包装置308)に導入され、シール部で縦方向と横方向にシールされ、受け入れた薬剤を順次包装していく。このことにより、薬剤を一服用分内包した薬剤包装が形成され、薬剤包装が装置外部まで搬送される。
このとき、薬剤包装が複数包連続した薬剤包装帯を形成し、装置外部まで搬送する。しかしながら、薬剤包装帯ではなく、一又は複数の個別の薬剤包装を形成し、装置外部まで搬送してもよい。
なお、上記した横方向は、分包紙の繰出方向(送出方向)であり、縦方向は、分包紙の繰出方向と交差する(直交する)方向である。
【0035】
また、上記したロールペーパーの芯部材は、識別子が装着されていてもよい。識別子は、ロールペーパーを個別に識別可能な情報(製造メーカー等に関する情報(メーカー名等)や、製造年月日等に関する情報、当該芯に巻かれたロールペーパーの種類、受注No.、出荷日、納品先の顧客情報、当該ロールペーパーが装着される分包機の機種名、機種コード、その他ID等)が記憶された記憶手段であり、例えば、ICタグ等のメモリであってもよい。また、一次元コード(バーコード)や二次元コードのようなコードであってもよく、コードを採用する場合、ラベルに付されていてもよい。
そして、ロールペーパーを分包紙供給装置306に装着するとき、装着しようとする装置との照合、すなわち、所定のロールペーパーが正しく装置に装着されようとしているか否かを判別する動作を実行してもよい。また、識別子にロールペーパーが未使用であることを識別するための情報を記憶させ、装着する際に、ロールペーパーが未使用か否かを判別する動作を実行してもよい。さらに、ロールペーパー(分包紙ロール)を分包紙供給装置306の本体に装着したときの分包紙の残量に関する情報を記憶させてもよい。また、薬剤を包装する分包動作が実行されたとき、分包動作中の適宜な時点での残量を記憶させてもよい。この残量に関する情報は、例えば、分包動作中に記憶させてもよい。この他、分包動作後に分包動作の終了時の残量を記憶させてもよい。すなわち、薬剤払出し装置1を運用する際、適宜なタイミングで残量に関する情報を記憶させていってもよい。
【0036】
散薬分割領域301は、
図2の様に、分配皿3が設置された領域であり、その周辺に薬剤フィーダ5と、清掃装置7が配置されている。また散薬分割領域301には、掻出装置8が設けられている。
分配皿3及び掻出装置8は公知であり、簡単に説明する。
分配皿3は、「凹溝」とも称され薬剤投入溝13が設けられた円板状の部材である。薬剤投入溝13は、分配皿3の外縁を環状に取り巻いている。分配皿3は、中央に機材収納開口15が設けられている。なお
図2ではその大部分が蓋で覆われている。
機材収納開口15に、前記した散薬投入ホッパー310が設置されている。
分配皿3は、一定速度で回転させることができる。また所定の角度だけ回転させることもできる。
【0037】
掻出装置8は、掻出用アーム11(
図16(b)等参照)の先端に回転板12(
図2参照)を有する。具体的には、掻出用アーム11の先端にモータによって回転駆動可能な取付基台255(
図16(b)等参照)が設けられており、この取付基台255に掻き板等(図示しない)を有する回転板12が取り付けられている。すなわち、回転板12は、モータの動力によって回転する。
掻出装置8の根本部分は、分配皿3の機材収納開口15内のターンテーブル(図示しない)の上に設置されている。そして分配皿3の中央からは、掻出装置8の掻出用アーム11が突出している。この掻出装置8は、ターンテーブルが回転することで全体が旋回可能である。また、掻出用アーム11が上下方向に揺動可能である。なお、掻出装置8は、ターンテーブルを設けず、全体が旋回しないものであって、掻出用アーム11が揺動可能であるものでもよい。
【0038】
ここで、本実施形態の薬剤払出し装置1は、
図2で示されるように、散薬投入ホッパー310の薬剤投入口となる上部開口が分配皿3の内側に位置する。すなわち、散薬投入ホッパー310の外側で分配皿3が環状(円環状)に連続しており、平面視において分配皿3で囲まれた領域に散薬投入ホッパー310が位置する。そして、掻出装置8もまた、分配皿3の内側に位置させている。
そして、掻出装置8によって分配皿3上の散薬を掻き出して散薬投入ホッパー310に投入する際、散薬を分配皿3の内側に向かって掻き出している。すなわち、分配皿3上の散薬を分配皿3の内側に移動させるように、回転板12を回転させて掻き板を移動させている(掻き板が分配皿3の外縁側から内縁側に向かって横断する方向で移動するように、回転板12を回転させている)。
本実施形態では、分配皿3の内側に掻出装置8を設け、分配皿3の内側に向かって散薬を掻き出すことで、分配皿3の外側の部材数を少なくしている。すなわち、分配皿3の外側であり、薬剤フィーダ5の周辺に広いスペースを確保し、フィーダ本体10に対する薬剤容器20の着脱を手作業で行う際に作業をやり易くすると共に、薬剤払出し装置1の装置全体の小型化に寄与している。
【0039】
薬剤フィーダ5は、
図3,
図4,
図5の様に、フィーダ部22に重量校正部21(測定手段検査部)が設けられたものである。また、薬剤フィーダ5は、後述する情報記憶手段65(
図4参照)に対して情報の読み取り及び書き込みが可能な情報読書手段66(
図3参照)を有する。フィーダ部22は、
図6、
図8の様に、散薬が収容される薬剤容器20と、薬剤容器20を保持するフィーダ本体10とを有している。
フィーダ本体10は、
図9の様に、機構上、容器支持部23(保持部材)と、重量測定部24と、土台部26に分けられる。
容器支持部23は、支持台27と、振動部材16及び加振手段30a,30bを有している。加振手段30a,30bは、圧電素子であり、板状を呈している。
【0040】
支持台27及び振動部材16は、共に側面形状が「L」型の部材であり、水平部と垂直壁部を有している。即ち支持台27は、
図8、
図9の様に、支持側水平部30と、支持側垂直壁部31を有している。振動部材16は、容器保持部としても機能するものであり、振動側水平部32と、振動側垂直壁部33を有している。振動側垂直壁部33には、薬剤容器20と係合する係合部(溝状の係合部48(台形の係合部47)と、係合片50の2つであり、
図7参照)が設けられている。
【0041】
係合部47は、
図7で示されるように、正面視が長方形に近い台形であり、一方の斜辺の下部には膨らみ部58がある。また、この台形形状の斜辺に相当する辺に溝状の係合部48が形成される。
また、係合部47の正面であって、その下部には、略四角形の開口51が設けられている。そして開口51内に係合片50が収容されている。係合片50は、出し入れ機構に接続されており、開口51から出没する。
また、振動側水平部32の一方の辺部には、
図7で示されるように、シャッター開閉機構55が設けられている。シャッター開閉機構55は、薬剤容器20から散薬を定量排出するための開閉機構である。
【0042】
支持台27と、振動部材16の間が、二枚の加振手段30a,30bによって接続されている。振動側水平部32と支持側水平部30との間は実質的に非接触である。従って、加振手段30a,30bに通電すると、振動部材16が振動する。
【0043】
容器支持部23の下部に重量測定部24が配されている。重量測定部24は、重量測定手段25と防振手段18を備えている。重量測定手段25は、公知のロードセルである。防振手段18は防振部材28を有している。
重量測定手段25の検知部に容器支持部23(支持台27、振動部材16、加振手段30a,30b)が接続されている。また土台部26は、重量測定部24の防振部材28を介して、上部の部材(支持台27、振動部材16、加振手段30a,30b)を支持している。
容器支持部23の重量は、重量測定手段25で検知される。防振手段18の重量は、土台部26に掛かるが、重量測定手段25には掛からない。従って、容器支持部23(支持台27、振動部材16、加振手段30a,30b)の重量は、重量測定手段25によって検知される(測定可能である)。
【0044】
薬剤容器20は、散薬が充填される容器であり、その形状は、側面形状が略正方形の直方体である。
薬剤容器20は、
図6、
図8、
図9の様に、正面壁35と、背面壁36と、左右側面壁37と、天面壁38及び底面壁40によって囲まれている。
薬剤容器20の底面壁40であって、正面壁35近傍に開閉可能な散薬排出部がある。
また背面壁36の縦辺と、下部に係合部(係合溝130、係合凹部131、
図6参照)がある。
【0045】
詳細には、背面壁36には、
図6で示されるように、一対の係合溝130と、一つの係合凹部131が設けられている。係合溝130は、背面壁36の左右の縦辺に沿って設けられた内側に向かって開く縦溝である。係合凹部131は、背面壁36の下部に設けられた窪みである。
係合溝130は、係合部48(
図7参照)と係合する部分である。すなわち、薬剤容器20の背面壁36をフィーダ本体10の振動側垂直壁部33に沿って上部から差し込むことにより、係合溝130と係合部48が係合する。
係合凹部131は、係合片50(
図7参照)と係合する部分である。詳細には、係合片50は、薬剤容器20をフィーダ本体10に取り付ける(フィーダ本体10の振動側垂直壁部33に沿って上部から差し込む)とき、開口51に退入した状態となる。そして、薬剤フィーダ5が駆動するとき、開口51から外部に突出し、係合片50が係合凹部131に挿入され、係合片50と係合凹部131が係合する。
【0046】
さらに、2つの左右側面壁37の一方には、情報記憶手段65(情報記録部材であり、本実施形態ではRFIDタグ)が取り付けられている(
図4参照)。この情報記憶手段65には、薬剤容器20に関する情報(薬剤容器20に収容されている散薬に関する情報)が記憶されている。例えば、収容された薬剤を特定する識別情報(薬剤名や各種コード等の情報)や、収容された薬剤の現在の残量に関する残量情報が記憶されている。情報記憶手段65に記憶された情報は、処方データ等と関連付けて使用可能な情報であり、情報記憶手段65に記憶された情報を取得することで、薬剤容器20に収容された散薬の種類を特定する動作等が可能となる。この情報記憶手段65は、ICタグ等のメモリであってもよい。また、一次元コード(バーコード)や二次元コードのようなコードであってもよく、コードを採用する場合、ラベルに付されていてもよい。
【0047】
なお、薬剤フィーダ5は、上記したように、情報記憶手段65に対して情報の読み取り及び書き込みが可能な情報読書手段66(
図3参照)を有する。本実施形態では、この情報読書手段66としてRFIDリーダライタを採用しており、無線通信によって情報記憶手段65に対する情報の読書が可能である。そして、情報記憶手段65からカセット情報を読み取る動作と、薬剤容器20から散薬を払い出した後に残量を書き込む(書き換える)動作が可能となっている。なお、カセット情報は、上記した薬剤容器20に関する情報であり、例えば、薬剤名と残量が挙げられる。
この情報読書手段66は、フィーダ本体10に薬剤容器20が取り付けられた状態において、情報記憶手段65の外側となる位置であり、情報記憶手段65からやや離れた位置に配される(
図3、
図4参照)。なお、情報読書手段66に替わって、情報の読取と書き込みのそれぞれが可能な情報読取手段、情報書込手段等を設けることも考えられる。
【0048】
また、薬剤容器20は、
図7で示されるように、シャッター構造部120を有する。シャッター構造部120は、シャッター部材121と、伝動部材122を有する。薬剤容器20をフィーダ本体10に保持させることで、伝動部材122とシャッター開閉機構55が係合する。そして、シャッター開閉機構55によって伝動部材122が直線移動することで、シャッター部材121が直線移動し、薬剤容器20の下方側に設けられた開口(散薬排出部)外部と連通した開状態となる。また、開状態に移行するときとは逆側にシャッター部材121を移動させることで、開口(散薬排出部)外部と連通しない閉状態となる。そして、薬剤容器20から散薬を排出させる際には、薬剤容器20を閉状態から開状態に移行する。
【0049】
薬剤容器20には散薬が充填され、
図5の様に、フィーダ本体10に固定される。即ち、薬剤容器20の背面壁36(
図6参照)が容器保持部たる振動部材16の振動側垂直壁部33と接し、薬剤容器20の底面壁40の背面壁36側(
図6参照)が振動側水平部32と接し、薬剤容器20の大部分が片持ち状に張り出した状態で、フィーダ本体10に固定される。また薬剤容器20の係合部(係合溝130、係合凹部131であり、
図6参照)が、それぞれ振動部材16の二か所の係合部(溝状の係合部48(台形の係合部47)と、係合片50の2つであり、
図7参照)と係合している。そのため、薬剤容器20は、振動部材16と一体化されており、振動部材16と共に振動する。
【0050】
重量校正部21は、重量測定手段25が正常であるか否かを検知するものである。重量校正部21は、
図4の様に、分銅42(錘部材、校正用錘)と、分銅42が載置される分銅載置部材43(重量受部)と、分銅42を中空に持ち上げる分銅支持部材45(
図10参照)を有している。
分銅載置部材43は、フィーダ本体10の容器支持部23に取付用部材を介して固定されている。従って、分銅載置部材43の重量は、重量測定手段25に付加される。
一方、分銅支持部材45は、フィーダ本体10の土台部26に荷重が付加されるように配されている(
図10、
図11参照)。従って分銅支持部材45の重量は、重量測定手段25に付加されない。
【0051】
本実施形態では、
図2で示されるように、分配皿3の周囲に、薬剤フィーダ5が6基、固定されている。薬剤容器20は、正面壁35側(
図6等参照)が分配皿3に向かって突き出しており、散薬排出部は、薬剤投入溝13の真上の位置にある。
【0052】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、あらかじめ各薬剤フィーダ5の薬剤容器20に異なる薬剤が充填されている。
そして処方箋(処方に関する情報である処方データ)に基づき、特定の薬剤フィーダ5が駆動され、散薬が分配皿3に投入される。具体的には、図示しない制御装置の信号によって、特定の薬剤フィーダ5の加振手段30a,30bに一定周波数の電流を通電して振動を発生させ、この振動によって振動部材16を振動させる。
また振動開始と前後して分配皿3を回転させる。
【0053】
また振動開始と前後して、薬剤容器20の重量が測定される。薬剤容器20の重量は、重量測定手段25の検知重量から、一定値を引いたものである。より具体的には、薬剤容器20の重量は、重量測定手段25の検知重量から、容器支持部23及び重量校正部21の一部を含む部材(重量測定手段25に対して荷重が付加される部材)の重量を引いたものである。散薬排出前の薬剤容器20の重量は、原重量Gとして記憶される。また薬剤容器20の重量は、常時監視される。即ち薬剤容器20の現在の重量は、現重量gとして監視される。
【0054】
振動部材16が振動を開始すると、薬剤容器20が共に振動する。ここで、本実施形態では、薬剤容器20は、二か所に設けられた係合部(係合溝130、係合凹部131であり、
図6参照)によって強固に振動部材16に接合されており、且つ、振動部材16との密着度合いも高いので、薬剤容器20は、振動部材16と同一周波数で振動する。その結果、薬剤容器20に貯留された散薬が、底面壁40に設けられた散薬排出部側(シャッター構造部120側であり、
図7参照)に向かってゆっくりと移動する。
そして散薬は、薬剤容器20の下方側に設けられた開口である散薬排出部から落下し、下の分配皿3の薬剤投入溝13に入る。
【0055】
散薬が落下中であることは、薬剤容器20の重量が減少することによって確認される。即ち本実施形態では、散薬が薬剤容器20から落下中においても、薬剤容器20の現在の重量が、現重量gとして監視され続けている。そして振動部材16に設置直後の薬剤容器20の原重量Gと、現重量gとを比較し、散薬の落下量H(散薬の排出量であり、Gマイナスg)を常時演算している。そして散薬の総落下量H(総排出量)が所望の重量となったところで、振動部材16の振動を停止する。
【0056】
その後の動作は、掻出装置8の回転板12を分配皿3の薬剤投入溝13内に落とす。さらにその後、分配皿3を分配個数に応じた角度だけ回転させ、一服用分の散薬を回転板12の前面側に集める。そして回転板12を回転し、図示しない掻き板によって散薬を分配皿3の外に掻き出して、散薬投入ホッパー310に一服用分ずつ投入する。散薬投入ホッパー310から落下した散薬は、薬剤包装装置305に導入される。
このように、本実施形態の薬剤払出し装置1は、公知の薬剤払い出し装置と同様に、薬剤を一服用分ずつ包装する分包動作が可能となっている。また、容器支持部23は、薬剤容器20から散薬を排出させる散薬排出手段として機能する。
【0057】
上記した一連の薬剤排出動作は、重量校正部21の分銅支持部材45によって分銅42が持ち上げられた状態で行われる。そのため、分銅42の重量は、重量測定手段25に検知されない。
重量測定手段25が正常であるか否かを判別する際には、分銅支持部材45を動作させて分銅を分銅載置部材43に載せる(詳しくは後述する)。その結果、分銅42の重量が、重量測定手段25に掛かり、分銅42の重量が検知される。
ここで分銅42の重量は既知であるから、分銅42を載せたことによる検知重量の増加分が、予め記憶された分銅42の重量の値と等しければ、重量測定手段25が正常であると言える。逆に、分銅42を載せたことによる検知重量の増加分が、分銅42の重量と異なっていれば、重量測定手段25が故障していると言える。すなわち、重量測定手段25の校正では、分銅42を載せたことによる検知重量の増加分(分銅42の重量)を取得する重量取得工程を行う。
【0058】
ところで、薬剤払出し装置1では、薬剤容器20から分配皿3に散薬を排出(供給)する際、排出ムラの発生があるか否かと、排出された量に異常があるか否かを判別することで、一包分(一服用分)の分量が正しいか否かを判別する配分チェック動作を実行する。
詳細に説明すると、散薬の排出時には、上記したように、散薬の落下量Hが常時演算され続けている。そして、この散薬の落下量Hに基づいて、分配皿3への散薬の排出速度(単位時間当たりの排出量)を演算する。ここで、単位時間当たりの排出量が規定値から外れたとき、すなわち、時間当たりの排出量が極端に少なくなったり、逆に極端に多くなったりしたことが検知されたとき、排出ムラが発生したものと判別する。
また、散薬の排出時には、散薬の排出が開始される前と、散薬の排出が完了した後のそれぞれで薬剤容器20に収容された散薬の重量を測定する。そして、排出開始前の散薬の重量から排出完了後の散薬の重量を引いた値が、排出予定量(処方に基づく目標排出量)と同じであったとき、排出量に異常がないものと判別し、反対に同じでなかったとき、排出量に異常があったものと判別する。
排出ムラが発生したと判別された場合や、排出された量に異常があったと判別された場合、その旨を報知する報知動作を実行する。報知動作は、薬剤払出し装置1にスピーカ等の音声発生手段や、ディスプレイ等の表示装置を設け、警告音や音声の出力、メッセージの表示を実行する動作であってもよい。このことは、以下の説明における報知動作においても同様である。
【0059】
続いて、本実施形態の特徴的な部分である重量校正部21について説明する。
本実施形態の重量校正部21は、
図10で示されるように、上記した分銅42及び分銅載置部材43と、昇降装置60(昇降手段)と、上側ガイド部材61と、制御装置62を有している。昇降装置60、上側ガイド部材61、制御装置62は、取付部材63を介して土台部26(
図4参照)に固定されている。つまり、これらの荷重は土台部26に付加される。
【0060】
なお、分銅載置部材43、取付部材63は、それぞれが容器支持部23、土台部26に対して直接、又は他部材を介して間接的に取り付けられている(
図4参照)。このとき、分銅載置部材43、取付部材63は、一時締結要素を介して取り付けられる。
ここでいう「一時締結要素」とは、締結要素の一種であり、原則的に破壊せずに取り外
しが可能な締結要素をいい、例えば、ねじ、ボルトナットの組み合わせ等であり、本実施形態では、ねじである。以上のことから、重量校正部21は、薬剤フィーダ5からの取り外しが可能(フィーダ本体10に対して着脱可能)である。
【0061】
分銅42は、
図11で示されるように、外形が略球形となる金属製の錘である。
分銅載置部材43は、平板状の受板部43aと、立板状の取付板部43bが一体に形成された部材である。取付板部43bは、取付対象物(容器支持部23や容器支持部23との間に介在する取付用部材)に添え当てる部分であり、ねじ孔を有する。
【0062】
受板部43aには、係合孔部70が設けられている。係合孔部70は、開口形状が円形の貫通孔であり、受板部43aを厚さ方向(上下方向)に貫通する。また、係合孔部70は、分銅42が通過できず、分銅支持部材45が通過可能な大きさである。
【0063】
昇降装置60は、
図10、
図11で示されるように、動力源(動力部)となるモータ80と、カム81と、分銅支持部材45(昇降部材)と、支持側ガイド部材82を有する。
【0064】
カム81は、モータ80の出力軸に固定され、モータ80の稼働に伴って回転する。本実施形態では、回転中心から外周面までの距離が周方向において変化する偏心カムを採用している。
分銅支持部材45は、
図11で示されるように、上面に窪み部45aを有する縦長の略直方体状の部材である。この窪み部45aは、分銅42が載置される部分であり、換言すると、分銅42の一部と係合する係合部となる。つまり、分銅42の一部(下側部分)が略丁度嵌ることが可能な形状であり、分銅42を載置した際に分銅42の一部と接する湾曲面を有する。この湾曲面は、中心から縁部分に向かって窪み深さが浅くなる。
【0065】
支持側ガイド部材82は、平面視した外形が略四角形状となるように形成された厚板状の部材である。支持側ガイド部材82には、ガイド孔90が設けられている。ガイド孔90は、支持側ガイド部材82を厚さ方向(上下方向)に貫通する貫通孔であり、分銅支持部材45を略丁度挿通することが可能な大きさに形成されている。
【0066】
上側ガイド部材61は、上下方向に厚さを有する厚板状の部材である。上側ガイド部材61の下面には、
図12で示されるように、ガイド凹部93が設けられている。ガイド凹部93は、上側に底部分を有する有底孔であり、略円錐台状(略すり鉢状)となるように窪んだ窪み部分である。
【0067】
制御装置62は、重量校正部21の動作を制御する制御基板であり、薬剤払出し装置1の本体側の制御装置と情報の送受信が可能である。つまり、制御装置62は、CPU等の演算手段と、メモリ等の記憶手段と、I/Оポート等の通信手段を有する。なお、本体側の制御装置等の外部機器との通信は、有線通信としてもよく、無線通信としてもよい。
【0068】
取付部材63は、
図11で示されるように、立板状の取付板部95を有する本体部63aと、制御装置取付部63bを有し、本体部63aに制御装置取付部63bを取り付けた状態で土台部26に対して取り付ける。
【0069】
続いて、重量校正部21の組み立て構造について説明する。
図10で示されるように、取付部材63の本体部63aを挟んだ両側にモータ80とカム81が配される。本体部63aには、本体部63aの一方の主面側に配されるモータ80と、他方の主面側に配される支持側ガイド部材82及び上側ガイド部材61が取り付けられる。このとき、カム81の上方に、支持側ガイド部材82が配され、そのさらに上方に上側ガイド部材61が配される。
【0070】
取付部材63の制御装置取付部63bは、
図10、
図11で示されるように、一部がカム81を回りこむように延びている。このため、カム81は、
図10で示されるように、モータ80と制御装置62の間となる位置に配される。
【0071】
分銅支持部材45は、カム81の上に載置され、ガイド孔90に挿通された状態で配される。また、受板部43aは、支持側ガイド部材82から上方に離れた位置に配され、受板部43aの上側に分銅42が配される。そして、分銅42の上側に上側ガイド部材61が配される。
【0072】
重量校正部21は、
図13で示されるように、モータ80を稼働させることで、上記したように、分銅42の荷重が受板部43aに付加されない第一の状態と、分銅42の荷重が受板部43aに付加される第二の状態を切り替えることができる。
【0073】
第一の状態は、
図13(a)で示されるように、分銅42が分銅支持部材45によって持ち上げられ、受板部43aの上方に位置し、受板部43aと接触しない状態となる。すなわち、分銅42は、係合孔部70の上部開口と接触しない。本実施形態では、このとき、分銅42の下側の一部が、係合孔部70の内側に位置した状態となる。
また、第一の状態では、分銅42の上部が、上側ガイド部材61のガイド凹部93の奥まで入り込んだ状態となる。
【0074】
第一の状態でモータ80が稼働し、カム81が回転すると、
図13(b)、
図13(c)で示されるように、分銅支持部材45が下方に移動すると共に、分銅42が分銅支持部材45に載置された状態のまま下方に移動する。そして、分銅42の一部が係合孔部70の上部開口と接触し、分銅42が受板部43aに載置された状態となる。このことにより、第一の状態(
図13(a)参照)から第二の状態(
図13(c)参照)に移行する。
なお、第二の状態では、分銅支持部材45が分銅42から下方に離れた位置に配された状態、すなわち、分銅42と分銅支持部材45が接触せず、分銅42と分銅支持部材45の上面との間に隙間が形成される状態とすることが好ましい。反対に、分銅42の全ての荷重を受板部43aで受けるように形成するのであれば、第二の状態で分銅42と分銅支持部材45とが接触する状態(隣接配置された状態)としてもよい。
【0075】
第二の状態でもまた、分銅42の上部が、上側ガイド部材61のガイド凹部93の内側に位置した状態となっている。つまり、分銅42が移動可能な範囲内で上下に移動するとき、分銅42の上側の一部がガイド凹部93の内側に位置し、下側の一部が係合孔部70の内側に位置した状態が維持される。言い換えると、第一の状態、第二の状態、これらの移行途中の状態のそれぞれにおいて、分銅42は、一部がガイド凹部93の内側に常時位置し、且つ、一部が係合孔部70の内側に常時位置した状態となる。
【0076】
以上のことから、上側ガイド部材61と、受板部43aは、分銅42の移動時に移動範囲を規制する移動規制手段として機能すると共に、分銅42の脱落を防止する脱落防止手段としても機能する。
なお、分銅支持部材45もまた、移動範囲内で上下方向に移動するとき、いずれかの部分がガイド孔90の内側に位置した状態となる。つまり、支持側ガイド部材82は、分銅支持部材45の移動範囲を規制する移動規制手段として機能すると共に、分銅支持部材45の脱落を防止する脱落防止手段としても機能する。
【0077】
第二の状態から第一の状態に移行する際には、第一の状態から第二の状態に移行する際と同方向にカム81を回転させてもよく、逆方向にカム81を回転させてもよい。
このようにカム81を回転させることで、分銅支持部材45(分銅支持部材45とカム81の接触位置)が上方へ移動し、分銅42が持ち上げられて上方に移動する。
【0078】
本実施形態の重量校正部21によると、フィーダ部22に薬剤容器20を取り付けていない状態と、フィーダ部22に薬剤容器20を取り付けた状態のそれぞれで、重量測定手段25が正常であるか否かを判別することができる。以下、この判別動作を重量測定手段25の校正とも称す。すなわち、重量測定手段25の校正とは、重量測定手段25が正しく重量を検知可能な状態であるのか、又は、何等かの理由で正しく重量を検知できない状態であるのかを確定する動作である。
【0079】
本実施形態では、上記したように、重量測定手段25で分銅42の重量が正しく検知されたことを条件として、重量測定手段25が正しく重量を検知可能な状態であると判別する。すなわち、重量校正部21を第一の状態から第二の状態に移行させると、上記したように、受板部43aに分銅42の荷重が付加される。このとき、分銅載置部材43が容器支持部23に取り付けられているので、受板部43aで分銅42の荷重を受けることで、重量測定手段25によって分銅42の重量が検知可能な状態となる。
【0080】
そこで、第一の状態で重量測定手段25による重量測定を行い、その後に第二の状態に移行させて重量測定手段25による重量測定を行う。そして、第二の状態で実行した2回目の重量測定の検出値(測定値)から、第一の状態で実行した1回目の重量測定の検出値を減算した値が分銅42の重量と同一となったことを条件として、分銅42の重量が正しく検知されていると判別する。
【0081】
この他、薬剤容器20を取り付けていない状態の校正では、例えば、以下の動作を実行してもよい。すなわち、第二の状態にして重量測定手段25による重量測定を行い、検出値から基本重量を差し引いた値を算出する。
ここで、「基本重量」とは、フィーダ部22を構成する部材のうちで重量測定手段25に荷重が掛かる部材の重量と、分銅載置部材43の重量の合計とする。また、「分銅載置部材43の重量」とは、分銅載置部材43に他部材を介して容器支持部23に取り付ける場合、この他部材の重量を含む。
そして、検出値から基本重量を差し引いた値が分銅42の重量と同一となったことを条件として、分銅42の重量が正しく検知されていると判別する。このとき、検出値が、分銅42の重量と基本重量の合計値と同一となったことを条件として、分銅42の重量が正しく検知されていると判別してもよい。
フィーダ部22を構成する部材のうちで重量測定手段25に荷重が掛かる部材の重量や、分銅載置部材43の重量、分銅42の重量は、他の電子天秤等で予め測定しておき、制御装置に記憶させておいてもよい。
【0082】
この他、薬剤容器20を取り付けた状態の校正では、例えば、第二の状態で重量測定手段25による重量測定を行い、検出値から基本重量と薬剤容器20の重量の合計値を差し引いた値を算出する。そして、算出した値が分銅42の重量と同一となったことを条件として、分銅42の重量が正しく検知されていると判別する。このとき、検出値が、分銅42の重量と、基本重量と、薬剤容器20の重量の合計値と同一となったことを条件として、分銅42の重量が正しく検知されていると判別してもよい。
なお、薬剤容器20の重量は、予め測定して制御装置に記憶させておいてもよい。また、薬剤容器20の重量は、内部に薬剤(散薬)が収容されている場合、薬剤容器20そのものの重量と、収容された薬剤の重量の合計値としてもよい。
【0083】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、電源を投入して1日の作業を開始する前に、それぞれの薬剤フィーダ5の重量測定手段25の校正を自動で実行する。
加えて、分包動作を実行することが決定されると、その分包動作の実行前にそれぞれの薬剤フィーダ5の重量測定手段25の校正を自動で行う。なお、分包動作の実行前に行う校正では、全ての薬剤フィーダ5で実行する他、次に実行予定の分包動作で使用される薬剤フィーダ5のみで実行してしてもよい。
【0084】
また、1日の作業開始前に実行する重量測定手段25の校正では、前日の校正で取得又は算出した値と、校正の実行時に取得又は算出した値を比較する動作を実行してもよい。例えば、前日の校正で算出した分銅42の重量の値と、電源投入後に算出した分銅42の重量の値を比較し、これらが同一である場合に、薬剤フィーダ5の重量測定手段25に異常がないものと判別してもよい。反対にこれらが同一でない場合に、薬剤フィーダ5の重量測定手段25に異常があると判別してもよい。
【0085】
本実施形態の薬剤払出し装置1は、校正によって重量測定手段25が正しく重量の測定ができない状態である(重量測定手段25に異常がある)と判別された場合、その旨を報知する報知動作を実行してもよい。また、重量測定手段25の異常(故障)が解消されるまでの間(一定の操作等よって異常が解消されたことが入力されるまでの間)、使用者が誤って薬剤容器20をフィーダ本体10に載置(保持)しても、このフィーダ本体10による薬剤の排出ができない旨を報知する報知動作を実行してもよい。この報知動作は、薬剤容器20をフィーダ本体10に載置される都度、実行される。又は、この動作に加えて、又は替えて、フィーダ本体10が振動動作を実行しないように制御する(振動動作を実行しない設定とする)。
【0086】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、分包動作において薬剤容器20から分配皿3に散薬を排出する際、重量測定手段25が故障してなかったか否かを判別する故障検知動作を実行可能となっている。故障検知動作は、上記した配分チェック動作に加えて実行される動作であってもよい。具体的には、薬剤フィーダ5の薬剤容器20から分配皿3に散薬を排出する際、以下の動作を実行してもよい。
まず、薬剤容器20を保持した薬剤フィーダ5において、重量校正部21を第一の状態とする(ステップ1)。そして、薬剤容器20の重量(及び/又は内蔵された散薬の重量)を取得する(ステップ2)。続いて、重量校正部21を第一の状態から第二の状態に移行させ、分銅42の重量を検知する動作(以下、事前分銅測定動作とも称す)を実行する(ステップ3)。さらに、重量校正部21を第二の状態から第一の状態に移行させ、上記した散薬を分配皿3に排出する動作を実行する(ステップ4)。また、散薬の排出動作の実行後、薬剤容器20の重量(及び/又は内蔵された散薬の重量)を取得する(ステップ5)。さらに、重量校正部21を第一の状態から第二の状態に移行させ、分銅42の重量を検知する動作(以下、事後分銅測定動作とも称す)を実行する(ステップ6)。
【0087】
そして、一連の動作の後、事前分銅測定動作(重量取得工程)と事後分銅測定動作(重量取得工程)のそれぞれで取得した分銅42の重量の値が同じであるとき、重量測定手段25が故障していなかったと判別する。このことにより、分包動作によって散薬が飛散する環境下においても、天秤(重量測定手段25)の異常を検出することが可能となり、延いては、散薬の排出動作(薬剤の払い出し)に異常がなかったか否かを検知できる。また、係る動作によると、分銅42が経年変化した場合等においても、信頼性の高い分包動作が可能となる。
なお、故障検知動作は、上記した重量校正部21によって実行される動作に限らず、後述する重量校正部200,421,521等によって実行される動作であってもよい。また、事前分銅測定動作、事後分銅測定動作は、分銅を薬剤容器に載置して分銅の重量を検知する動作であってもよい。さらにまた、分銅の荷重が重量測定手段25に掛かる状態と掛からない状態を自動で切り替える構成にかぎらず、作業者が手動で分銅を薬剤容器20上やフィーダ本体10のいずれかの部分の上に載置し、分銅の重量を検知する動作を実行することも考えられる。
上記のように、故障検知動作では、事前分銅測定動作と事後分銅測定動作のそれぞれで分銅42を載せたことによる検知重量の増加分を取得し、それぞれで取得した重量(増加分の重量)を比較する。事前分銅測定動作と事後分銅測定動作では、上記した校正の場合と同様に、第二の状態で行う重量測定の検出値から第一の状態で行う重量測定の検出値を減算して増加分の重量を取得してもよい。また、第二の状態で行う重量測定の検出値から基本重量と薬剤容器20の重量を減算して増加分の重量を取得してもよい。さらにまた、それぞれで分銅42の重量と基本重量と薬剤容器20の合計値(合計の重量)を取得して比較してもよい。
【0088】
上記した実施形態では、略球状体の分銅42を採用し、略直方体状の分銅支持部材45を採用した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、
図14(a)で示される分銅142(錘部材)であってもよい。この分銅142は、共に略円錐台状となる上部142a及び下部142bと、その間に位置する略円板状の中央部142cを有する。すなわち、分銅142の上側と下側は、テーパ状の部分であり、上方又は下方に向かうにつれて横断面の面積が小さくなる先細りした形状となっている。
また、この分銅142を採用する場合、
図14(a)で示される分銅支持部材145(昇降部材)を採用してもよい。この分銅支持部材145は、上端側に上方に凸となる湾曲面を有し、下端側に下方に凸となる湾曲面を有する縦長の部材であって、縦断面形状が略小判状となる部材である。
【0089】
上記した実施形態では、フィーダ部22の片側側方に重量校正部21を配した例を示したが、本発明は、これに限るものではない。重量校正部21は、他方側側方に配してもよく、後方(フィーダ部22を挟んで分配皿3とは逆側となる位置であり、分配皿3側を前方としたときの後方)に配してもよい。つまり、フィーダ部22の周囲(周囲四方を含む周辺)のうちの一方に配してもよい。このとき、フィーダ部22と隣接する位置に配してもよく、フィーダ部22から水平方向にやや離れた位置に配してもよい。
また、上記した薬剤払出し装置1では、使用者が薬剤容器20を手動でフィーダ本体10に保持させることが可能である。そして、使用者がフィーダ本体10に保持された薬剤容器20を手動で取り外すことが可能となっている。すなわち、フィーダ本体10に保持させる薬剤容器20の交換(変更)を手動で行うことが可能である。
【0090】
薬剤払出し装置1に採用される薬剤フィーダは、上記したものに限らず、
図15で示されるような、重量校正部200(測定手段検査部)を備えた薬剤フィーダ201であってもよい。重量校正部200は、昇降装置202(昇降手段)と、錘部材203(校正用錘)と、重量受部材204(重量受部)を備えている。
【0091】
昇降装置202は、モータ(図示しない)と、モータの稼働に伴って回転するギア210と、容器昇降部211と、錘昇降部212を有する。ギア210は、ピニオンギアであり、容器昇降部211、錘昇降部212は、それぞれ歯切りされた部分であるラック部を有する。そして、ギア210とそれぞれのラック部が係合している。このため、容器昇降部211が上昇すると錘昇降部212が下降し、容器昇降部211が下降すると錘昇降部212が上昇する。
【0092】
容器昇降部211は、平板状の押圧片部211aを有する。この押圧片部211aは、容器支持部23に支持された薬剤容器20に下方から接触する部分である。
錘昇降部212は、平板状の錘支持部212aを有する。錘支持部212aには、
図15(b)で示されるように、錘支持部212aを厚さ方向(上下方向)に貫通する支持用孔230が設けられている。
【0093】
錘部材203は、上方から順に、フランジ部203a、くびれ部203b、本体部203cを有する。フランジ部203aは、支持用孔230を通過できない大きさであり、くびれ部203b及び本体部203cは、支持用孔230を通過可能な大きさである。
【0094】
重量受部材204は、
図15(a)で示されるように、平板状の受板部204aと、立板状の取付板部204bとを有し、支持台27に固定される部材である。
【0095】
ここで、錘昇降部212は、
図15(b)で示されるように、錘部材203を宙づりにした状態で支持可能な部材である。すなわち、錘支持部212aが高位置に配されている状態で、錘部材203を支持用孔230に上方から挿入すると、フランジ部203aが引っ掛かり、フランジ部203aの下面と錘支持部212aの上面が接触した状態なる。このとき、くびれ部203bの少なくとも一部は支持用孔230の内側に位置した状態となり、錘部材203の大部分が錘支持部212aよりも下方に配され、錘部材203の下面が受板部204aの上方に離れた位置に配される。
【0096】
本実施形態の重量校正部200では、錘部材203の荷重が受板部204aに付加されない第一の状態と、錘部材203の荷重が受板部204aに付加される第二の状態の間で切り替えが可能となる。
【0097】
第一の状態では、錘部材203が上記したように宙づりにされた状態で支持され、受板部204aから上方に離れた位置に配される。そして、薬剤容器20が振動部材16の振動側水平部32に載置され、押圧片部211aが薬剤容器20から下方に離れた位置に配される。
【0098】
そして、第一の状態でモータが稼働し、ギア210が回転して容器昇降部211が上昇すると、押圧片部211aが薬剤容器20に下方から接触する。そして、そのまま容器昇降部211が上昇することで、薬剤容器20を上方に移動させ、押圧片部211aが薬剤容器20を持ち上げた状態となる。
このとき、容器昇降部211の上昇に伴って錘昇降部212が下降すると、錘部材203が受板部204aに載置された状態となる。この状態から錘昇降部212がさらに下降すると、錘支持部212aの上面がフランジ部203aの下面より下方に離れた位置に配される。このことにより、第一の状態から第二の状態に移行される。また、第二の状態では、錘昇降部212(昇降装置202)の荷重が受板部204a(重量測定手段25)に付加されない。
【0099】
つまり、第一の状態では、錘部材203の荷重が重量測定手段25に付加されず、薬剤容器20の荷重が重量測定手段25に付加された状態となる。第二の状態では、錘部材203の荷重が重量測定手段25に付加され、薬剤容器20の荷重が重量測定手段25に付加されない状態となる。このため、第二の状態に移行することで、重量測定手段25の校正が可能となる。第一の状態と第二の状態の切り替えは自動で実行可能である。また、第一の状態から第二の状態への移行と、第二の状態から第一の状態への移行では、ギア210が逆方向に回転する。
上記した実施形態では、第二の状態において薬剤容器20を持ち上げたが、必ずしも薬剤容器20を持ち上げなくてもよい。つまり、重量測定手段25の校正は、薬剤容器20を保持したまま実行してもよく、容器昇降部211は、必ずしも設けなくてもよい。
【0100】
ところで、1日の作業開始前に実行される重量測定手段25の校正は、
図16(a)で示される校正用器具250を用いて実行してもよい。
校正用器具250は、掻出装置8に装着して使用する器具であり、
図16(b)のように、装着部材251、軸受部材252、台座部材253、係止部材254を有する。軸受部材252は、玉軸受け等のベアリングであり、係止部材254は、Cリングである。
【0101】
装着部材251は、本体部251aと、連結棒部251bを有する。
本体部251aは、円板状部260と、円環状に連続する周壁部261を有する。周壁部261は、円板状部260の縁端から厚さ方向の一方側に突出するように形成されている。そして、周壁部261に囲まれた部分に、掻出装置8の取付基台255を収容することが可能な窪み部(図示しない)が形成されている。
この装着部材251は、上記した取付基台255に対して装着する部材である。すなわち、取付基台255から回転板12を取り外した状態とし、装着部材251を取付基台255に装着する。本実施形態では、装着部材251の窪み部は、取付基台255を略丁度内嵌することが可能である。また、装着部材251の片側部分(窪み部)には、取付基台255に設けられた突起部分と係合する係合部(図示しない)が設けられている。すなわち、取付基台255側の係合部である突起部分と対となる(互いに係合する)係合部である。これらが係合することで、装着部材251が取付基台255に一体的に装着固定される。
連結棒部251bは、丸棒状の部分であり、上記した窪み部と円板状部260を挟んで逆側となる位置に形成されている。
【0102】
台座部材253は、錘支持部270と、回転防止部271と、立板状の連結板部272とが一体に形成された部材である。
錘支持部270は、平板状の部分であり、支持用孔部270aが設けられている。支持用孔部270aは、錘支持部270を厚さ方向(上下方向)に貫通する。
回転防止部271は、上側板部271aと下側板部271bからなる2つの板状部材を有する。上側板部271aと下側板部271bは、いずれも平板状の部分であり、上下方向で離間対向するように設けられている。
連結板部272は、長手方向の一端側で錘支持部270と連続し、他端側で回転防止部271と連続する。この連結板部272には、連結孔部272aが設けられている。連結孔部272aは、連結板部272を厚さ方向に貫通する貫通孔である。
【0103】
校正用器具250が組み立てられた状態では、連結板部272の一部に軸受部材252が取り付けられ、連結孔部272aと軸受部材252の内孔に連結棒部251bが挿通される。そして、連結棒部251bのうち、連結孔部272aから一部突出した部分であり、挿入方向で先端側となる部分の一部に、係止部材254が装着される。
以上のことから、校正用器具250は、掻出装置8に装着していない状態において、台座部材253と装着部材251とが互いに相対回転可能な状態で連結されている。すなわち、連結棒部251bを回転軸として回転可能となっている。
【0104】
掻出装置8に装着した状態では、
図16(a)で示されるように、掻出用アーム11の延び方向で、取付基台255よりも先端側に錘支持部270が位置し、取付基台255よりも基端側に回転防止部271が位置した状態となる。このとき、回転防止部271の上側板部271aと下側板部271bの間に掻出用アーム11が位置し、上側板部271aと下側板部271bによって掻出用アーム11が挟まれた状態となる。また、取付基台255の厚さ方向における片側側方に、装着部材251と連結板部272が位置した状態となる。
【0105】
校正用器具250を掻出装置8に装着した状態では、上記と同様に、錘支持部270によって錘部材203を宙づりにした状態で支持可能となっている(
図17(a)参照)。
すなわち、校正用器具250を用いた重量測定手段25の校正では、校正対象となる重量測定手段25を備えた薬剤フィーダ5において、予め薬剤容器20を取り外した状態としておく。そして、ターンテーブルを回転させ、掻出装置8の全体(掻出用アーム11及び取付基台255)を旋回させる。このことにより、
図17(b)で示されるように、振動側水平部32の上方に錘部材203が位置した状態となる。続いて、掻出用アーム11を揺動させ、掻出用アーム11の先端側を下方に移動させることで、錘部材203を振動側水平部32の上に載置する。そのまま掻出用アーム11の先端側を下方に移動させることで、重量測定手段25に錘部材203の荷重が付加される状態とし、重量測定手段25の校正を実行する。
【0106】
また、校正終了後、掻出用アーム11を揺動させ、掻出用アーム11の先端側を上方に移動させることで、錘部材203を宙づりにした状態で支持し、重量測定手段25に錘部材203の荷重が付加されない状態とする。続けて、他の重量測定手段25の校正を行う場合は、掻出装置8の全体を旋回させ、上記の動作を実行する。
【0107】
また、薬剤払出し装置1で採用される薬剤フィーダは、上記したものに限らず、
図18で示されるような、重量校正部421(測定手段検査部)を備えた薬剤フィーダ405であってもよい。
本実施形態の薬剤フィーダ405は、容器支持部423(保持部材)が上記した薬剤フィーダ5とは異なる構造となっている。すなわち、振動部材416の振動側水平部432には、上部が開口した凹部である錘配置部443が形成されている。また、錘配置部443の下方側には、錘配置部443と、振動部材416の下方側の空間を連通する部材配置孔446が形成されている。そして、支持台427の支持側水平部430にもまた、支持側水平部430を上下方向に貫通する部材配置孔447が形成されている。
【0108】
振動部材416の部材配置孔446と、支持台427の部材配置孔447は、平面視で少なくとも一部同士が重なるように形成されている。このことから、錘配置部443の下方側に部材配置空間448が形成される。部材配置空間448は、昇降装置460の一部である昇降部材445が配される空間である。
【0109】
昇降装置460は、昇降部材445と、昇降部材445を昇降させる図示しない昇降機構を有する。なお、昇降機構は、動力源となるモータと、モータの回転運動を直線運動に変換する変換機構を有する。変換機構は、昇降部材445の下方に位置するカムであってもよく、昇降部材445に設けた歯切り部分とピニオンギアの組み合わせによるラックアンドピニオン機構でもよい。すなわち、モータが稼働することで、昇降部材445が上下方向に移動する。
【0110】
本実施形態の薬剤フィーダ405では、振動部材416、支持台427の下方側に昇降機構が配されている。そして、この薬剤フィーダ405の重量測定手段(図示しない)には、容器支持部423等の部材の重量が付加される一方で、昇降装置460の荷重が付加されない状態となっている。
【0111】
錘配置部443には、略直方体状の錘部材442(校正用錘)が配置されている。錘配置部443は、容器支持部423が薬剤容器20を保持した状態としたとき、薬剤容器20の下面よりも下方に位置する。このとき、錘配置部443は、上方の全域を薬剤容器20によって覆われる。
【0112】
本実施形態の薬剤フィーダ405は、錘部材442が錘配置部443の底部分から上方に離れた位置に配される第一の状態(
図18(a)参照)と、錘部材442が錘配置部443の底部分に接触する第二の状態(
図18(b)参照)との間で切り替えが可能となっている。そして、薬剤フィーダ405を第一の状態から第二の状態に移行させることで、重量測定手段の校正が可能となる。なお、第一の状態、第二の状態のいずれにおいても、錘部材442は、錘配置部443の内部に配される。
【0113】
すなわち、第一の状態では、錘部材442が昇降部材445によって持ち上げられた状態となる。このとき、錘部材442の下側部分が昇降部材445の上側部分に接触し、錘部材442が昇降部材445に載置される。このため、錘部材442の荷重が昇降部材445に付加される一方で、振動部材416に付加されない状態となる。つまり、錘部材442の荷重が薬剤フィーダ405の重量測定手段に付加されず、錘部材442の荷重が重量測定手段によって測定されない状態となる。
この第一の状態から昇降部材445が下方に移動していくと、昇降部材445の移動に伴って錘部材442が下方に移動していく。そして、錘部材442の下側部分が錘配置部443の底部分に上方から接触する。
【0114】
ここで、錘部材442は、振動部材416の部材配置孔446に上方から挿入不可能な大きさ(及び/又は形状)となっている。このため、引き続き昇降部材445が下方に移動していくと、昇降部材445が錘部材442から下方に離れた位置に配される。その一方で、錘部材442は、錘配置部443の底部分に載置された状態となる。このことにより、第一の状態から第二の状態への移行が完了する。すなわち、錘部材442の荷重が薬剤フィーダ405の重量測定手段に付加され、錘部材442の荷重が重量測定手段によって測定される状態となる。
以上のように、第一の状態から第二の状態に移行させることが可能であるので、上記と同様に、重量測定手段が正しく重量を検知可能な状態であるか否かを判別する動作(重量測定手段の校正、故障検知)が可能となる。例えば、重量測定手段の校正では、第一の状態において、薬剤フィーダ405の重量測定手段による重量測定を行う。その後に、第二の状態に移行させ、薬剤フィーダ405の重量測定手段による重量測定を行う。そして、第二の状態で実行した重量測定の検出値(測定値)から、第一の状態で実行した重量測定の検出値を減算した値が錘部材442の重量と同一となったことを条件として、錘部材442の重量が正しく検知されていると判別する。すなわち、重量測定手段が正しく重量を検知可能な状態であると判別する。
【0115】
第二の状態から第一の状態に移行させる際には、上記とは逆に、昇降部材445を上方に移動させる。このことにより、昇降部材445の上側部分が錘部材442の下側部分に下方側から接触した状態となり、そのまま昇降部材445を押し上げて上方へ移動させることで、昇降部材445が持ち上げられた状態となる。
【0116】
また、上記した重量校正部21に替わって、動力源となるモータと、トルクリミッターと、線状部材であるワイヤーを有し、ワイヤーによって容器支持部23の一部を上方に引っ張る引張動作が可能な重量校正部(図示しない)を設けてもよい。
すなわち、ワイヤーの長手方向の一端側を、フィーダ部22を構成する部材のうちで重量測定手段25に荷重が掛かる部材(容器支持部23等であり、以下、固定対象部材とも称す)に対して固定する。その一方で、モータとトルクリミッターを上蓋4や上部ユニット(錠剤手撒き装置303)の下側部分に固定する。
そして、引張動作では、モータを可動してワイヤーを巻き取ることで、ワイヤーの一端が固定された固定対象部材を引っ張り、固定対象部材に鉛直上方へ向かう力を付与する。このとき、モータと、ワイヤーの一端側との間にトルクリミッターを介在させることで、固定対象部材に規定の大きさの力を付与する。
【0117】
重量測定手段25の校正は、引張動作を実行していない状態での重量測定手段25の検出値と、引張動作の実行中の重量測定手段25の検出値をそれぞれ取得する。そして、引張動作を実行していない状態の検出値から、引張動作の実行中の検出値を減算し、減算した値が規定の値となったことを条件として、重量測定手段25が正しく重量を検知可能な状態であると判別する
【0118】
なお、薬剤容器20を保持させた状態で重量測定手段25の校正を実行する場合、ワイヤーは、薬剤容器20に固定してもよい。また、この場合、引張動作を実行していない状態での測定と、引張動作の実行中での測定では、重量が同じ薬剤容器20を保持させる。ここでいう「重量が同じ薬剤容器20」とは、内部に薬剤を収容している場合、収容した薬剤の重量を加算した薬剤容器20の重量が同じであることをいう。
【0119】
上記した実施形態の薬剤払出し装置1は、複数(6つ)の薬剤フィーダ5を設け、それぞれの薬剤フィーダ5が個別に重量校正部21を有するものとした。すなわち、一つの重量校正部21が、一つの重量測定手段25に錘(分銅42)の荷重を付加可能とした。
しかしながら、
図19で示される重量校正部521(測定手段検査部)のように、複数の重量測定手段25に錘の荷重を付加することが可能なものでもよい。
【0120】
本実施形態では、複数のフィーダ部22に対し、一つの重量校正部521を対応付けて薬剤フィーダを構成している。
本実施形態の重量校正部521は、
図19で示されるように、モータ(図示しない)と、巻き取りプーリ501と、ワイヤー502と、複数の滑車部材503と、複数の錘部材504(校正用錘)を有している。巻き取りプーリ501と滑車部材503は、上蓋4又は上部ユニット(錠剤手撒き装置303)の下側部分に固定する。また、モータを稼働することで、巻き取りプーリ501によってワイヤー502の巻き取りが可能となる。
なお、
図19(a)では、滑車部材503、錘部材504は、作図の都合上、一部にのみ符号を付し、他への符号を省略する。
【0121】
また、それぞれのフィーダ部22の上方に、それぞれ別の滑車部材503及び錘部材504が配されている。そして、ワイヤー502が巻き取りプーリ501にしっかり巻き取られた状態と、ワイヤー502の巻き取りを緩めた状態とを切り替えることで、錘部材504が薬剤容器20の上面から上方に離れた位置に配された第一の状態と、錘部材504が薬剤容器20に載置された第二の状態を切り替えることができる。
【0122】
ここで、
図19(b)で示されるように、錘部材504は、内部空間部510を有している。内部空間部510は、下方が開放され、環状に連続する周壁部分で周囲を囲まれた空間である。また、錘部材504の上部には、外部と内部空間部510を連通するワイヤー挿通孔511が設けられている。ワイヤー挿通孔511は、内部空間部510よりも細く形成されている。
【0123】
ワイヤー502のうち、滑車部材503から垂れ下がる部分の先端には、掛止部材512が取り付けられている。掛止部材512は、錘部材504の下側から内部空間部510内に入れることが可能であり、ワイヤー挿通孔511を通過できない大きさ(及び/又は形状)となっている。そして、
図19(b)で示されるように、内部空間部510内に掛止部材512を配した状態とし、滑車部材503から垂れ下がるワイヤー502が、ワイヤー挿通孔511を経て内部空間部510内まで延び、掛止部材512と連続した状態としている。
【0124】
したがって、第一の状態であるときにワイヤー502の巻き取りが緩められると、掛止部材512が下方に移動し、それに伴って錘部材504が下方に移動していく。そして、錘部材504の下端部分が薬剤容器20に上方から接触する。この状態で掛止部材512がさらに下方に移動することで、掛止部材512が内部空間部510で錘部材504の上部から下方に離れた状態となり、内部空間部510の天井壁部分に接触しない状態となる。このことから、錘部材504が薬剤容器20に載置され、第二の状態に移行する。
第二の状態では、錘部材504の荷重が重量測定手段25に付加される一方で、掛止部材512とワイヤー502の荷重が重量測定手段25に付加されない状態となる。
【0125】
反対に、第二の状態でワイヤー502を巻き取ることで、掛止部材512が上方に移動し、内部空間部510内で錘部材504の上部に下方側から接触する。そして、掛止部材512がそのまま上方に移動することで、錘部材504が上方に移動し、錘部材504の下端部分が薬剤容器20から上方に離れた状態となり、第一の状態に移行する。
上記のように、第一の状態から第二の状態に移行させることが可能であるので、上記と同様に、フィーダ部22の重量測定手段が正しく重量を検知可能な状態であるか否かを判別する動作(重量測定手段の校正、故障検知)が可能となる。例えば、重量測定手段の校正では、第一の状態において、フィーダ部22の重量測定手段による重量測定を行う。その後に、第二の状態に移行させ、フィーダ部22の重量測定手段による重量測定を行う。そして、第二の状態で実行した重量測定の検出値(測定値)から、第一の状態で実行した重量測定の検出値を減算した値が錘部材504の重量と同一となったことを条件として、錘部材504の重量が正しく検知されていると判別する。すなわち、重量測定手段が正しく重量を検知可能な状態であると判別する。
【0126】
本実施形態の重量校正部521では、複数の錘部材504を同時に昇降することが可能である。すなわち、複数のフィーダ部22の重量測定手段25に、それぞれ別の錘部材504の荷重が付加される状態と、複数の重量測定手段25に錘部材504の荷重が付加されない状態の切り替えが可能である。
また、上記した掛止部材512に替わって、ワイヤー502の先端(滑車部材503から垂れ下がる部分の先端)に、電磁石等の錘保持手段を設けてもよい。すなわち、電磁石に通電して錘を吸着し、錘を持ち上げることで第一の状態としてもよい。また、錘を薬剤容器20に載置した状態で電磁石への通電を停止し、錘を保持しない状態とした上で、ワイヤー502の先端をやや上方に移動して第二の状態としてもよい。
さらにまた、上記した例では、フィーダ部22の薬剤容器20に錘部材504を載置した。すなわち、薬剤容器20を錘部材504の荷重を受ける重量受部としても機能させたが、校正を行う際にそれぞれのフィーダ部22で薬剤容器20を予め取り外しておき、容器支持部23に錘部材504を載置してもよい。
【0127】
また、上記した薬剤フィーダは、昇降装置によって容器支持部23が上下に昇降するように形成してもよい。このとき、容器支持部23は、薬剤容器20を支持した状態のまま昇降させてもよい。そして、薬剤容器20及び容器支持部23が上方に位置するとき、これらの荷重が重量測定手段25に付加されず、上側に位置する支持側水平部30の下面と重量測定手段25の間に大きな空隙が形成されるようにしてもよい。
この場合、人が手で錘部材を重量測定手段25に載置することで、重量測定手段25の校正が可能となる。
【0128】
上記した実施形態では、フィーダ部22の片側側方に重量校正部21を配し、分銅42を分銅載置部材43に載置して重量測定手段25の校正を実行する例を示した。しかしながら、薬剤払出し装置1に採用可能な薬剤フィーダ5は、これに限るものではない。
例えば、フィーダ部22の両側方にそれぞれカムを配した昇降装置を設け、分銅等の錘部材を上下させ、錘部材が振動側水平部32に載置された状態と、錘部材が振動側水平部32から上方に離れた位置に配された状態を切り替えてもよい。
この場合、フィーダ本体10から薬剤容器20を取り外して重量測定手段25の校正を実行する。そして、フィーダ部22の片側側方から他方側側方まで延びる部材であり、錘部材を支持する錘支持部材を昇降装置の本体から着脱可能に形成する。すなわち、フィーダ本体10に薬剤容器20を支持させる際には、錘支持部材を取り外した状態とする。錘支持部材は、上記のように錘部材を宙づりにした状態で支持可能としてもよい。
【0129】
上記した実施形態の薬剤払出し装置1では、複数(例えば3つ)の薬剤フィーダ5の下方に、この複数の薬剤フィーダ5の荷重が付加される下側重量測定手段を設けてもよい。
このような構成によると、複数の薬剤フィーダ5の全てで薬剤容器20の重量が正しく検知されているか否かを判別することが可能となる。
すなわち、それぞれの薬剤フィーダ5で薬剤容器20の重量を測定し、複数(3つ)の薬剤容器20の重量の合計値を算出する。また、下側重量測定手段によって検出した値から、薬剤容器20以外の部材(それぞれのフィーダ本体10や重量校正部21の重量の値等)を減算することで、複数(3つ)の薬剤容器20の重量の合計値を算出する。
さらに、複数の重量測定手段25の検出値に基づいて算出した複数(3つ)の薬剤容器20の重量の合計値と、下側重量測定手段の検出値に基づいて算出した複数(3つ)の薬剤容器20の重量の合計値とを比較する。そして、比較動作の結果、合計値にずれが生じていない場合、複数(3つ)の薬剤フィーダ5の全てで薬剤容器20の重量が正しく検知されていると判別する。また、反対にずれが生じていた場合、複数(3つ)の薬剤フィーダ5のいずれかで薬剤容器20の重量が正しく測定されていないものと判別する。
以上のように、上記構成によると、薬剤容器20を移動させることなく、薬剤容器20の重量の二重チェックが可能となる。なお、同様に、複数の重量測定手段25でそれぞれ別の分銅42の重量測定を行ってその合計値を算出すると共に、下側重量測定手段で複数の分銅42の重量の合計値を算出し、これらを比較して重量測定手段25の校正を実行してもよい。
【0130】
上記した薬剤払出し装置1は、外部の上位制御装置と共に、薬剤払出しシステムを構築して運用してもよい。このとき、薬剤払出し装置1と上位制御装置との間で信号の送受信を可能とする。また、上位制御装置は、ディスプレイ等の表示装置を有する構成とする。
そして、1日の作業を開始する前に薬剤払出し装置1の電源を投入したとき(以下作業開始時とも称す)、薬剤フィーダ5の校正が必要か否かの判定作業を実行してもよい。
【0131】
具体的に説明すると、作業開始時において、それぞれの薬剤フィーダ5に測定用容器(測定用部材)を保持させた状態としておく。なお、それぞれの測定用容器は、予め行った測定等によって重量を取得しておき、制御装置に記憶させておく。
そして、それぞれの薬剤フィーダ5において、重量測定手段25のゼロ点と測定用容器の重量の検出値を比較する比較動作を実行する。例えば、それぞれの薬剤フィーダ5において、保持している測定用容器の重量の検出値から、予め記憶した保持している測定用容器の重量の値を引いた値を算出する。
続いて、それぞれの薬剤フィーダ5で実行された比較動作で算出した値を比較する。そして、それぞれの薬剤フィーダ5で算出された値が全て同一でない場合に、薬剤払出し装置1から上位制御装置に対してその旨を示す信号を送信する。上位制御装置は、この信号を受信すると、使用者に重量測定手段25の校正を実行するように促す報知動作を実行する。
すなわち、それぞれの薬剤フィーダ5で算出した値が全て同一でない場合に、薬剤フィーダ5の校正が必要であると判定し、薬剤フィーダ5の校正を促す報知動作を実行する。
【0132】
上記した一連の動作は、作業開始時に上位制御装置から薬剤払出し装置1に送信された信号に基づいて実行される動作であってもよい。すなわち、薬剤払出し装置1の電源を入れることで、自動で実行される動作であってもよい。この他、分包動作の実行毎、所定回数(複数回)の分包動作を実行する毎、所定時間の経過毎、といった具合に定期的に上位制御装置から信号を送信し、実行される動作であってもよい。
測定用容器は、空の薬剤容器20や、散薬が収容された薬剤容器20であってもよい。すなわち、分包動作で使用される薬剤容器20であってもよい。また、それぞれの薬剤フィーダ5で保持される測定用容器は、重さが異なるものであってもよい。
【0133】
上記した薬剤払出し装置1は、電源を常時入れた状態で運用してもよい。また、薬剤払出し装置1の本体の電源を切った状態としても、薬剤フィーダ5の電源が常時入った状態となるようにしてもよい。これらの場合、それぞれの薬剤フィーダ5の重量測定手段25の検出値を常時監視し続けることで、重量測定手段25に異常があるか否かを検知する動作を実行してもよい。すなわち、時間当たりの重量の値の変化が予測される変化ではなかった場合(規定値が維持されなかった等)に、重量測定手段25に異常があると判別してもよい。
つまり、時間を横軸とし、検出値(重量の値)を縦軸とした波形グラフにおいて、波形が所定の範囲を外れて大きく乱れた場合、重量測定手段25に異常があると判別してもよい。同様に、重量測定手段25の検出値を常時監視し続けることで、薬剤容器20が取り外されたか否か、外乱振動が発生しているか否か等を検知してもよい。
なお、異常が検知された場合、その旨を報知する報知動作を実行してもよい。また、その際、薬剤払出し装置1に設けられた表示装置等に上記のグラフ等、時間の経過に対する検出値の変化を示す情報を表示してもよい。
【0134】
上記した薬剤払出し装置1では、
図20で示されるように、散薬投入ホッパー310の重量を検知することが可能なホッパー側重量測定手段600を設けてもよい。このホッパー側重量測定手段600は、分包装置308の一部であり、散薬投入ホッパー310を固定する台部材に設けてもよい。また、散薬投入ホッパー310の重量を検知する際には、ホッパー側重量測定手段600の検出値から、ホッパー側重量測定手段600に荷重が掛かる部材のうちで、散薬投入ホッパー310とは異なる部材の重量を引くことで、重量の値を取得してもよい。また、散薬投入ホッパー310の上部開口を閉塞する上側蓋部材と、下部開口を閉塞する下側蓋部材とを設けてもよい。この場合、上側蓋部材と下側蓋部材は、それぞれの開口の開状態と閉状態を切り替え可能な部材とする。さらに下側蓋部材は、散薬投入ホッパー310と一体に設けてもよい。そして、下側蓋部材を閉状態とし、散薬投入ホッパー310に散薬を投入することで、散薬投入ホッパー310の内部に散薬を一時的に留めることが可能なものとしてもよい。このとき、散薬投入ホッパー310に投入された散薬の重量をホッパー側重量測定手段600によって検知可能とする。
【0135】
ホッパー側重量測定手段600を設ける構成とした場合、以下のような故障検知動作を実行してもよい。
具体的に説明すると、上記したように、薬剤フィーダ5の薬剤容器20から分配皿3に散薬を排出する。これと前後して、処方データに基づき、一包分の散薬の重量を取得する。例えば、21包分として分配皿3に63gの散薬を排出した場合、一包分の散薬の重量は、3g(63/21)となる。
そして、下側蓋部材によって下部開口を閉状態とした散薬投入ホッパー310に対し、通常の分包動作と同様に一包分の散薬を投入する。続いて、ホッパー側重量測定手段600の検出値に基づいて、散薬投入ホッパー310に投入された散薬の重量を取得する。
【0136】
続いて、予め取得した一包分の散薬の重量と、ホッパー側重量測定手段600に基づいて取得した散薬投入ホッパー310に投入された散薬の重量を比較する。そして、比較動作の結果、これらが同一である場合、重量測定手段25が故障していなかったと判別する。反対に、比較した重量が同一でなかった場合、重量測定手段25が故障していたと判別する。
ここで、
図20で示されるように、一つの薬剤フィーダ5から散薬が排出されたのであれば、この薬剤フィーダ5の重量測定手段25が故障していたか否かが判別される。対して、複数の薬剤フィーダ5から散薬が排出されたのであれば、複数の薬剤フィーダ5の全てで重量測定手段25が故障していなかったか否かが判別される。すなわち、比較した重量が同一であった場合、複数の薬剤フィーダ5の全てで重量測定手段25が故障していなかったと判別される。対して、比較した重量が同一でなかった場合、いずれか一以上の薬剤フィーダ5に属する重量測定手段25が故障していたと判別する。
なお、上記した一包分の重量は、重量測定手段25の検出値に基づいて算出される値であってもよい。すなわち、重量測定手段25の検出値に基づいて総排出量を算出し、総排出量から一包分の重量を算出してもよい。
【0137】
また、故障検知動作によって重量測定手段25が故障していたと判別された場合、その旨を報知する報知動作を実行してもよい。また、報知動作では、重量測定手段25の校正を促す動作を含んでいてもよい。例えば、故障検知動作で故障していると判別された(又は故障が疑われる)薬剤フィーダ5の校正を促す動作を実行してもよく、薬剤払出し装置1に属する(分配皿3に対応付けられた)全ての薬剤フィーダ5の校正を促す動作を実行してもよい。
【0138】
また、故障検知動作は、
図21で示されるように、薬剤フィーダ5から分配皿3に排出した散薬を一点あるいは極狭い領域に積み上げて実行する動作であってもよい。
すなわち、この故障検知動作が開始されると、薬剤フィーダ5から分配皿3に一服用分の散薬が排出される。この間、分配皿3の回転を停止させるか、あるいは、分配皿3を極小さな回転速度で回転させる。このため、排出された散薬が分配皿3の一点あるいは極狭い領域に積み上げられて散薬集合610が形成される。つまり、散薬集合610は、分配皿3の一部となる狭い範囲に山のように積み上がった散薬の集まり(散薬の山)である。
【0139】
複数の薬剤フィーダ5の重量測定手段25を対象に故障検知動作を実行する場合、それぞれから一包分の散薬を排出し、分配皿3の複数個所に散薬集合610を形成する。これと前後して、処方データに基づき、それぞれの薬剤フィーダ5から排出される散薬の一包分の重量、すなわち、それぞれの散薬集合610を作成する際に目標排出量となる重量を取得する。
続いて、分配皿3を小さな速度で回転させ、一の散薬集合610aを散薬投入ホッパー310に近接する位置まで移動させた後、この散薬集合610aを散薬投入ホッパー310に投入する。このとき、散薬投入ホッパー310の下部開口を閉状態としておき、ホッパー側重量測定手段600の検出値に基づいて、散薬投入ホッパー310に投入された散薬の重量を取得する。
【0140】
そして、散薬投入ホッパー310に投入した散薬(散薬集合610a)の重量と、投入した散薬の目標排出量(散薬集合610aを形成する際の目標排出量)であった一包分の重量を比較する。そして、比較動作の結果、これらが同一である場合、この散薬を排出した薬剤フィーダ5の重量測定手段25が故障していなかったと判別する。反対にこれらが同一でなかった場合、この散薬を排出した薬剤フィーダ5の重量測定手段25が故障していたものと判別する。
例えば、一の薬剤フィーダ5で目標排出量を3gとして散薬を排出して散薬集合610aを作成したのであれば、散薬投入ホッパー310に投入された散薬の重量が3gであるのか否かを判別する。そして、3gであった場合、一の薬剤フィーダ5に属する重量測定手段25が故障していなかったと判別する、といった具合である。
【0141】
続いて、散薬投入ホッパー310の下部開口を開状態とし、散薬投入ホッパー310内から散薬(散薬集合610a)を排出する。その後、分配皿3を小さな速度で回転させることで、他の一の散薬集合610bを散薬投入ホッパー310に近接する位置まで移動させ、この散薬集合610bを散薬投入ホッパー310に投入する。なお、この投入動作に先立って散薬投入ホッパー310の下部開口を閉状態としておく。そして、上記と同様に、ホッパー側重量測定手段600の検出値に基づいて、散薬投入ホッパー310に投入された散薬(散薬集合610b)の重量を取得する。
【0142】
そして、上記と同様に、散薬投入ホッパー310に投入した散薬(散薬集合610b)の重量と、投入した散薬の目標排出量(散薬集合610aを形成する際の目標排出量)であった一包分の重量を比較する。このことにより、この散薬を排出した薬剤フィーダ5の重量測定手段25が故障していなかったと判別する。以下同様に、複数の薬剤フィーダ5のそれぞれに対し、重量測定手段25が故障していたか否かを判別していく。
この故障検知動作は、複数の薬剤フィーダ5の重量測定手段25を対象とする動作に限らず、一つの薬剤フィーダ5の重量測定手段25を対象とする動作としてもよい。
なお、上記した故障検知動作では、重量測定手段25の検出値に基づいて算出した値(排出量)と、ホッパー側重量測定手段600の検出値に基づいて算出した値(投入量)を比較する動作を実行してもよい。
また、上記の例では、薬剤フィーダ5から分配皿3に排出した散薬を使用して故障検知動作を実行した。しかしながら、故障検知動作は、散薬に替わって、清掃用の薬品(清掃剤)、食品、賦形剤等を使用してもよい。すなわち、薬剤とは異なる粉体を使用してもよい。賦形剤は、製剤前の分量を増やすために加えられる添加剤であり、所謂増量剤である。また、ここでいう「食品」は、澱粉、重曹等、人が経口摂取しても問題のないものを含むものとし、以下も同様である。散薬に替わってこれらを使用する場合、これらを上記の薬剤容器20に収容した検知動作用容器を使用する。
【0143】
上記したように、ホッパー側重量測定手段600を設けた構成とした場合、以下のようなホッパーの取付判別動作を実行してもよい。
このホッパーの取付判別動作は、散薬投入ホッパー310が台部材に装着されているか否かを判別する動作である。詳細には、散薬投入ホッパー310を着脱する際の重量変化をホッパー側重量測定手段600によって検知する。すなわち、ホッパー側重量測定手段600の検出値に基づき、散薬投入ホッパー310の荷重がホッパー側重量測定手段600に付加されているか否かを判別する。そして、散薬投入ホッパー310の荷重が付加されていると判別された場合、散薬投入ホッパー310が取り付けられた状態であるとする。反対に、散薬投入ホッパー310の荷重が付加されていないと判別された場合、散薬投入ホッパー310が取り外された状態であるとする。
上記したホッパーの取付判別動作によると、散薬投入ホッパー310を検知するためのセンサや、散薬投入ホッパー310に検知用の配線等を設けることなく、散薬投入ホッパー310の装着の有無を検知できる。
【0144】
上記したように、ホッパー側重量測定手段600を設けた構成とした場合、以下のようなホッパーの清掃動作を実行してもよい。
まず、ホッパーの基本的な清掃動作について説明する。上記した薬剤払出し装置1では、分包動作の実行後であって、続いて行う分包動作の実行前に散薬投入ホッパー310の清掃動作を実行する。
散薬投入ホッパー310の清掃動作として、下部開口を閉状態とした散薬投入ホッパー310内に清掃用の薬品又は食品(以下、単に清掃剤とする)を投入し、その後に上部開口を閉状態とし、散薬投入ホッパー310内の吸引を行う吸引清掃動作がある。吸引清掃動作では、吸引の後半で下側蓋部材を開閉させてもよく、この際に、エアーノズルから下側蓋部材の外側に空気を吹き付けてもよい。また、清掃動作として、図示しない集塵装置により、散薬投入ホッパー310に付着した薬剤等を除去する集塵動作がある。なお、集塵装置は、負圧を発生させて空気と共に塵を吸い込むものであり、特に限定されるものではないが、バキュームポンプや集塵袋を備えたものでもよい。さらにまた、清掃動作として、バイブレータやノッカー等により、散薬投入ホッパー310を叩打する、又は振動させる振動清掃動作がある。薬剤払出し装置1の清掃動作では、吸引清掃動作、集塵動作、振動清掃動作から選択される一以上を実行する。
【0145】
ここで、散薬投入ホッパー310に付着する散薬には、種類によって清掃動作で落ち難いものがある。また、薬剤払出し装置1の設置場所の湿度等に起因して清掃動作で散薬が落ち難い場合がある。
そこで、本実施形態の薬剤払出し装置1では、分包動作を実行した後に清掃動作を実行する際、分包動作の実行前、分包動作の実行後(清掃動作の実行前)、清掃動作の実行後のそれぞれで、散薬投入ホッパー310の重量を測定する動作を実行する。すなわち、散薬投入ホッパー310に散薬が付着すると、ホッパー側重量測定手段600によって測定される散薬投入ホッパー310の重量の値が大きくなる。そこで、分包動作の前後の重量差を取得する(検出値を比較する)ことで、分包動作によって散薬投入ホッパー310に散薬がどの程度付着したのか判別できる。また、分包動作の実行前の重量の値と、清掃動作の実行後の重量の値とを比較することで、清掃動作が適切に実行できたか否か、すなわち、散薬が落とし切れているか否かを判別できる。このことから、分包動作前と清掃動作後の検出値を比較することで清掃動作の評価が可能となる。
【0146】
そして、薬剤払出し装置1では、上記したホッパー側重量測定手段600の検出値に基づいて清掃動作を実行する。例えば、分包動作前と分包動作後の検出値を比較し、多量の散薬が付着していた場合、清掃剤の量を多くする、叩打の強さを強くする、叩打の回数を多くする、集塵装置の吸い込み強さを強くする、吸い込み時間を長くする等して清掃動作を実行する。反対に、散薬があまり付着していなかった場合、清掃剤の量を少なくする、叩打の強さを弱くする・・・等して清掃動作を実行する。つまり、ホッパー側重量測定手段600の検出値に基づいて、実行する清掃動作の内容(清掃剤の量、吸引動作等の各種動作の実行長さ(実行時間)、叩打の回数、間隔、強さ、集塵動作の強さ等)を変更する。また、上記したホッパー側重量測定手段600の検出値に基づいて、清掃動作の後に再度清掃動作を実行するのか否かを決定する。そして、再度清掃動作を実行する場合、続いて行う清掃動作の内容もまた、ホッパー側重量測定手段600の検出値に基づいて決定する。言い換えると、ホッパー側重量測定手段600の検出値に基づき、清掃動作の実行回数が決定され、一又は複数回実行するそれぞれの清掃動作の内容が決定される。清掃動作の実行回数は、1度の清掃動作の実行毎に続けて清掃動作を実行するか否かを決定する他、初回の清掃動作の実行前に何回実行するかを決定してもよく、二回目以降の清掃動作の実行前に後何回実行するかを決定してもよい。清掃動作の内容も同様に、1度の清掃動作の実行毎に続けて行う清掃動作の内容を決定する他、適宜のタイミングで実行内容を決定してもよい。
【0147】
また、清掃動作を実行した後、すでに実行した清掃動作の評価に関する情報(以下、清掃評価情報とも称す)を制御装置等の記憶手段に記憶させてもよい。清掃評価情報は、清掃対象となる散薬の種類の情報、実行時の湿度の情報、実行した清掃動作の内容に関する情報等と関連付けて記憶される情報であってもよい。そして、清掃動作が実行される度、清掃評価情報やその関連情報に基づき、よりよい評価となるように内容を変更して清掃動作を実行してもよい。このような構成によると、薬剤払出し装置1の運用を長く続ける程に清掃動作の精度が向上する。
【0148】
上記したように、掻出装置8は、取付基台255に回転板12を取り付けて使用する。ここで、ホッパー側重量測定手段600を設けた構成とした場合、以下のような装着判別動作を実行してもよい。
装着判別動作は、掻出装置8に後付けで装着する部材(本実施形態では回転板12)が正しく装着されているか否かを判別する動作である。具体的には、散薬投入ホッパー310の下部開口を閉状態とし、分配皿3から一包分の散薬を散薬投入ホッパー310に投入する動作を実行する。そして、ホッパー側重量測定手段600によって散薬投入ホッパー310に投入した散薬の重量が正しく検知されたことを条件として、掻出装置8に回転板12が正しく装着されていると判別する。反対に、散薬投入ホッパー310に投入した散薬の重量が正しく検知されなかった場合に、掻出装置8に回転板12が正しく装着されていない状態であると判別する。
装着判別動作は、分包動作の実行時に並行して実行される動作であってもよい。すなわち、分包動作において分配皿3から散薬投入ホッパー310に散薬を投入したとき、回転板12が正しく装着されているか否かを判別してもよい。この場合、回転板12が正しく装着されていない状態であると判別された場合、実行中の分包動作を中止してもよい。また、回転板12が正しく装着されていない旨を報知する報知動作を実行してもよい。
なお、装着判別動作は、分包動作とは別に実行される動作であってもよく、例えば、分包動作の実行前に薬剤フィーダ5から分配皿3に散薬を排出して実行してもよい。また、装着判別動作は、上記した故障検知動作と並行して実行される動作であってもよい。すなわち、散薬投入ホッパー310に投入した散薬の重量が正しく検知された場合、回転板12が正しく装着されており、この散薬を排出した薬剤フィーダ5の重量測定手段25が故障していなかったと判別する。対して、散薬の重量が正しく検知されなかった場合、回転板12が正しく装着されていないか、散薬を排出した薬剤フィーダ5の重量測定手段25が故障していたものと判別する。
【0149】
なお、本発明の薬剤フィーダは、上記した薬剤容器20に替わって、
図22で示される薬剤容器680を採用してもよい。この薬剤容器680は、上記した薬剤容器20と同様に、フィーダ本体10に対して着脱可能な構造となっている。つまり、上記したフィーダ本体10と共に薬剤フィーダを構成する。
【0150】
この薬剤容器680もまた、正面壁691と、背面壁692と、2つの側面壁693と、天面壁694及び底面壁695に囲まれている。ここで、2つの側面壁693は、正面壁691と背面壁692よりも面積が大きい大面積側側面となる。対して、正面壁691と背面壁692は、小面積側側面となる。つまり、薬剤容器680は、正面壁691側からみると、細長い箱状の部材である。つまり、薬剤容器680は、幅に対して高さが高い(幅が狭く高さが高い)縦長の容器である。また、側面形状が略正方形の直方体である。
また、薬剤容器680は、底面壁695のうちで正面壁691の近傍となる位置には、開閉可能な薬剤排出部697(散薬排出部、
図23参照)がある。そして、薬剤容器680は、シャッター構造部712を有している。
【0151】
シャッター構造部712は、閉鎖壁を有するシャッター部材712aと、伝動部材(図示しない)を有している。上記した実施形態と同様に、伝動部材が直線移動することで、シャッター部材712aが移動し、薬剤排出部697を開閉する。すなわち、上記した実施形態と同様に、伝動部材の背面壁692側の一部分が外部に露出した状態となっており(詳細な図示を省略する)、薬剤容器680をフィーダ本体10に保持させることで、シャッター開閉機構55と係合する。
【0152】
本実施形態の薬剤容器680は、
図23で示されるように、蓋部材701が各壁のうちで天面壁694を構成している点が、上記した薬剤容器20とは異なる。つまり、上記した薬剤容器20は、蓋部材が左右側面壁37を構成しており、大面積側側面を開放することで散薬の充填が可能となっている。これに対し、薬剤容器680は、上面が開口した箱体に対して蓋部材701が取り付けられ、蓋部材701がヒンジによって揺動可能となっている。そして、蓋部材701を開状態とすることで上側から散薬の充填が可能であり、閉状態とすることで薬剤容器680を密閉することが可能である。なお、本実施形態の薬剤容器680は、フィーダ本体10に保持させた状態のまま散薬の充填が可能となる。
【0153】
なお、本実施形態の蓋部材701は、
図23で示されるように、蓋本体部702と小蓋部703を有している。そして、小蓋部703が蓋本体部702の下側(閉状態としたときの下側)に取り付けられ、ヒンジによって揺動可能となっている。
ここで、蓋部材701は、乾燥剤等を収容可能な蓋内収容部704を有している。本実施形態の蓋内収容部704は、調湿剤を配置する空間となっている。そして、小蓋部703を揺動させることで蓋内収容部704の開閉が可能となる。すなわち、蓋内収容部704は、蓋本体部702と小蓋部703の間に形成される空間である。詳細には、蓋部材701を閉状態とし、小蓋部703を閉状態としたとき、小蓋部703の大部分の上方に位置する空間である。
【0154】
この薬剤容器680は、内部に仕切板部710(仕切り部材)を有する。仕切板部710は、散薬を貯留する貯留空間739と、散薬通過路740の境界に配された平板状の部分である。なお、散薬通過路740は、散薬を排出する際に散薬が通過する部分であり、仕切板部710の下側に位置する空間であって、仕切板部710と底面壁695の間の部分を含む空間である。
【0155】
仕切板部710は、薬剤容器680をフィーダ本体10に保持させたとき、水平姿勢となる部分である。この仕切板部710には、複数の小孔が設けられており、これらの小孔が仕切板部710を上下方向(厚さ方向)に貫通している。また、仕切板部710と隣接する部分に、大傾斜部715と小傾斜部716を有している。
【0156】
大傾斜部715と、小傾斜部716は、薬剤容器680をフィーダ本体10に保持させた際、共に仕切板部710に向かって傾斜する傾斜面を形成する。大傾斜部715は、小傾斜部716よりも長く、それぞれの傾斜角度は同等である。つまり、大傾斜部715と小傾斜部716の間の空間(貯留空間739の下側部分)は、仕切板部710に向かって収斂する。
【0157】
薬剤容器680から薬剤を排出する際には、フィーダ本体10に薬剤容器680を保持させた状態で薬剤排出部697を開状態とし、薬剤容器680を振動させる。このとき、薬剤容器680内の散薬は、散薬通過路740の散薬が排出によって少なくなると、仕切板部710の上側の空間である貯留空間739から散薬通過路740に移動し、薬剤排出部697に向かって進む。そして、薬剤排出部697から排出される。
ここで、薬剤容器680を振動させると、薬剤容器680内の散薬は、仕切板部710の上側の空間である貯留空間739内で攪拌される。この際、貯留された散薬の一部が大傾斜部715を上る方向に移動し、仕切板部710よりも上方向で、仕切板部710側へと移動することとなる。このため、仕切板部710の小孔(スリット)上において、散薬による上方から下方に押し付ける力が掛かり難く、攪拌によって流れる散薬が適切に小孔(スリット)から落下するので、散薬の円滑な排出が可能となる。
【0158】
ここで、上記した薬剤払出し装置1(
図1等参照)では、薬剤フィーダ5の薬剤容器20から分配皿3に散薬を排出するとき、上記したように、排出に先立って事前分銅測定動作を実行する。そして、重量校正部21を第二の状態から第一の状態に移行させ、散薬を分配皿3に排出する動作を実行する。そして、散薬の排出動作の実行後、薬剤容器20の重量(及び/又は内蔵された散薬の重量)を取得する。さらに、事後分銅測定動作を実行している。
【0159】
また、散薬の排出動作では、上記したように、薬剤容器20の重量を測定する動作を実行する。すなわち、フィーダ部22における振動部材16の振動開始と前後して、薬剤容器20の重量が測定され、散薬の落下中においても薬剤容器20の現在の重量を現重量gとして監視し続ける。そして、振動部材16に設置直後の薬剤容器20の原重量Gと現重量gとを比較して散薬の落下量Hを常時演算し、散薬の総落下量Hが所望の重量となったところで、振動部材16の振動を停止している。
【0160】
ここで、上記した散薬の排出動作では、薬剤容器20の下方側に設けられた開口を開状態とする前の重量を薬剤容器20の原重量Gとして取得してもよい(ゼロ点としてもよい)。散薬の落下量Hが一定以上となり、所望の重量に近づいた(又は所望の重量となった)とき、振動部材16の振動を停止し、薬剤容器20の開口を開状態としたまま所定時間だけ待機する待機動作を実行してもよい。このとき、原重量Gと待機動作を実行後に取得した現重量gを比較して演算した散薬の落下量Hを、最終的に分配皿3に排出した散薬の量(散薬の排出量)としてもよい。
以下、このような排出動作で分配皿3に散薬を排出する際の具体的な手順につき、薬剤容器20をフィーダ本体10に取り付けて保持させ、散薬の排出動作を実行した後、薬剤容器20をフィーダ本体10から取り外す場合を例に挙げて詳細に説明する。
【0161】
まず、
図24で示されるように、薬剤容器20をフィーダ本体10に取り付けて保持させる(ステップ1、
図24(a)参照)。次に、重量校正部21を第一の状態から第二の状態に移行させ、分銅42の重量を検知する動作(事前分銅測定動作)を実行する(ステップ2、
図24(b)参照)。次に、重量校正部21を第二の状態から第一の状態に移行させる(ステップ3、
図24(c)参照)。次に、薬剤容器20を開状態とする前の重量を薬剤容器20の原重量Gとして取得し、ゼロ点取りを行う(ステップ4、
図24(d)参照)。次に、薬剤容器20を開状態とする(ステップ5、
図24(e)参照)。振動部材16を振動させて散薬の排出(払い出し)を行う(ステップ6、
図24(f)参照)。待機動作を実行し、原重量Gと待機動作後に取得した現重量gを比較して最終的な散薬の排出量を取得する(ステップ7、
図24(g)参照)。薬剤容器20の開口を閉状態とする(ステップ8、
図24(h)参照)。重量校正部21を第一の状態から第二の状態に移行させ、分銅42の重量を検知する動作(事後分銅測定動作)を実行する(ステップ9、
図24(i)参照)。なお、このとき、上記と同様に、事前分銅測定動作と事後分銅測定動作のそれぞれで取得した分銅42の重量の値が同じであるとき、重量測定手段25が故障していなかったと判別する。続いて、重量校正部21を第二の状態から第一の状態に移行させる(ステップ10、
図24(j)参照)。薬剤容器20をフィーダ本体10から取り外す(ステップ11、
図24(k)参照)。
【0162】
上記したように散薬の排出動作を実行することで、意図しない散薬の落下に起因する散薬の排出量の測定誤差(払い出し誤差)の発生を抑制できる。
詳細に説明すると、薬剤容器20を開状態とすると、開状態に移行させる動作に伴ってシャッター部材121等に付着した薬剤が落下してしまう可能性がある。また、薬剤容器20内の散薬排出部(開口)近傍からの薬剤の落下が万一発生してしまうことも考えられる。したがって、薬剤容器20を開状態とする前にゼロ点取りを行うことで、これらのような意図しない散薬の落下に起因する落下分の誤差の発生を抑制できる。
すなわち、シャッター部材121を開いて開状態とした後にゼロ点取りを行うと、開状態に移行させる際に上記した薬剤(散薬)の落下が発生してしまった場合、排出した薬剤の重量が分包量(本来排出すべき排出量)と相違してしまう可能性がある。つまり、ゼロ点取りの前に落下してしまった散薬の分だけ排出量が多くなってしまう可能性がある。
これに対し、上記の手順で散薬の排出動作を実行することで、より正確な散薬の排出が可能となる。つまり、上記した実施形態によると、故障検知動作によって重量測定手段が故障することに起因する問題の発生が可能であり、且つ、排出量の測定誤差の発生を防止(抑制)可能であるため、精度の高い散薬の排出が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本願発明は、薬剤を調剤する装置、又は、薬剤を調剤する装置に関する校正方法、並びに、薬剤を調剤する装置に関する故障検知方法であり、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」という持続可能な開発目標(SDGs)の第3の目標を達成し得るものである。
本発明の薬剤払出し装置は、薬剤師のような有資格者が実施すべき散薬秤量等の散薬監査作業を無くすことで、テクニシャン等の非薬剤師においても実施できる装置である。具体的には、作業者は薬剤であることを意識することなく、処方情報に基づいて指定された薬剤容器の番号、または棚等に配置されている場合はランプ等で指定された薬剤容器を取り出して、薬剤払出し装置に載置するだけで、処方に必要な分包作業を確実に実行し完了できるものである。これにより、有資格者である薬剤師は調剤作業という対物業務から、患者と向き合う対人業務にシフトできると共に、必要な調剤作業を非薬剤師等で実施できることから、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」という持続可能な開発目標(SDGs)の第3の目標を達成し得るものである。このことは、本発明の薬剤フィーダを採用した薬剤払出し装置や、本発明の薬剤フィーダの校正方法、薬剤フィーダの故障検知方法が実行される薬剤払出し装置においても同様である。
また本発明は、人件費を低減し、経済生産性を向上させることができる。これによっても、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献できる。
【符号の説明】
【0164】
1;薬剤払出し装置、5,201,405;薬剤フィーダ、20,680;薬剤容器、21,200,421,521;重量校正部(測定手段検査部)、23,423;容器支持部(保持部材)、25;重量測定手段、42,142;分銅(錘部材)、43;分銅載置部材(重量受部)、45,145;分銅支持部材(昇降部材)、60,202;昇降装置(昇降手段)、80;モータ、81;カム、203,442,504;錘部材、204;重量受部材(重量受部)、310;散薬投入ホッパー(ホッパー部材)、600;ホッパー側重量測定手段