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特開2022-169477研磨組成物及び向上した欠陥防止を有する基材を研磨する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169477
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】研磨組成物及び向上した欠陥防止を有する基材を研磨する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20221101BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20221101BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20221101BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
B24B37/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022072274
(22)【出願日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】17/241,377
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】イ・グオ
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158BA05
3C158CA05
3C158CB01
3C158CB02
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA02
3C158DA12
3C158DA17
3C158EB01
3C158EB05
3C158ED10
3C158ED24
3C158ED26
5F057AA02
5F057AA05
5F057AA16
5F057AA28
5F057BA15
5F057BA21
5F057BB03
5F057CA12
5F057DA03
5F057EA01
5F057EA07
5F057EA26
5F057EA29
5F057EA33
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】水性ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、水、砥粒、任意選択的にpH調整剤、任意選択的に殺生物剤、7超のpH及び芳香族基を有する第四級ホスホニウム化合物を含む。
【効果】酸化ケイ素基材上の欠陥低減の向上を可能とし、ケミカルメカニカルポリッシングの間、良好な酸化ケイ素除去速度を可能とする。本ケミカルメカニカルポリッシング組成物は安定である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、砥粒、任意選択的にpH調整剤、任意選択的に殺生物剤、7超のpH及び式(I):
【化6】

[式中、Rは、フェニル、ベンジル及び直鎖又は分岐鎖C~Cアルキルからなる群より選択され、Xは、Br、Cl、I、F及びOHからなる群より選択されるアニオンである]
を有する第四級ホスホニウム化合物からなる、
ケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項2】
水、0.1~40重量%の砥粒、任意選択的にpH調整剤、任意選択的に殺生物剤、7超のpH、0.001~1重量%の式(I):
【化7】

[式中、Rは、フェニル、ベンジル及び直鎖又は分岐鎖C~Cアルキルからなる群より選択され、Xは、Br、Cl、I、F及びOHからなる群より選択されるアニオンである]
を有する第四級ホスホニウム化合物からなる、請求項1記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項3】
水、5~25重量%の砥粒(ここで、砥粒は、コロイダルシリカ砥粒である)、pH調整剤、殺生物剤、8~13のpH、0.01~1重量%の式(I):
【化8】

[式中、Rは、フェニル、ベンジル及び直鎖又は分岐鎖C~Cアルキルからなる群より選択され、Xは、Br、Cl、I、F及びOHからなる群より選択されるアニオンである]
を有する第四級ホスホニウム化合物からなる、請求項1記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項4】
pH調整剤が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニウム塩及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項3記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項5】
第四級ホスホニウム化合物が、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムクロリド、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、メチルトリフェニルホスホニウムクロリド及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項6】
酸化ケイ素を含む基材を提供することと、
水、砥粒、任意選択的にpH調整剤、任意選択的に殺生物剤、7超のpH、式(I):
【化9】

[式中、Rは、フェニル、ベンジル及び直鎖又は分岐鎖C~Cアルキルからなる群より選択され、Xは、Br、Cl、I、F及びOHからなる群より選択されるアニオンである]
を有する第四級ホスホニウム化合物からなるケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供することと、
研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供することと、
ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面と基材との間の界面に、3~35kPaのダウンフォースで動的接触を生成することと、
ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基材との間の界面又は同界面近傍においてケミカルメカニカルポリッシングパッド上にケミカルメカニカルポリッシング組成物を分散させることとを含み、
酸化ケイ素の一部を基材から除去する、
基材をケミカルメカニカルポリッシングするための方法。
【請求項7】
第四級ホスホニウム化合物が、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムクロリド、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、メチルトリフェニルホスホニウムクロリド及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項6記載の基材をケミカルメカニカルポリッシングする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、アルカリ性研磨組成物及び良好な絶縁体除去速度で向上した欠陥低減を有する基材を研磨する方法に関する。より具体的には、本発明は、アルカリ性研磨組成物及び良好な絶縁体除去速度で向上した欠陥低減を有する基材を研磨する方法に関し、ここで、研磨組成物は、酸化ケイ素の絶縁体を含む基材上の欠陥低減を向上させるために、芳香族基を有する第四級ホスホニウム化合物を含み、酸化ケイ素の少なくとも一部が、基材から除去される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
集積回路及び他の電子デバイスの製造において、導電材料、半導体材料及び絶縁体材料の複数の層が、半導体ウェーハの表面上に堆積され又は半導体ウェーハの表面から除去される。導電材料、半導体材料及び絶縁体材料の薄層を複数の堆積技術により堆積させることができる。現代の処理における一般的な堆積技術は、スパッタリングとしても公知の物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、プラズマ促進化学蒸着(PECVD)及び電気化学めっき(ECP)を含む。
【0003】
材料の層が順次堆積され、除去されるにつれて、ウェーハの最上面は非平坦となる。後続の半導体処理(例えば、金属化)は、ウェーハが平坦な表面を有することが必要であるため、ウェーハを平坦化する必要がある。平坦化は、望ましくない表面トポグラフィ及び表面欠陥、例えば、粗い表面、凝集した材料、結晶格子損傷、スクラッチ及び汚染された層又は材料を除去するのに有用である。
【0004】
ケミカルメカニカル平坦化又はケミカルメカニカルポリッシング(CMP)は、基材、例えば、半導体ウェーハを平坦化するのに使用される一般的な技術である。従来のCMPでは、ウェーハが、キャリアアセンブリ上に実装され、CMP装置内の研磨パッドと接触して位置決めされる。キャリアアセンブリは、制御可能な圧力をウェーハに与え、これを研磨パッドに押し付ける。このパッドを外部駆動力によりウェーハに対して動かす(例えば、回転させる)。それと同時に、研磨組成物(「スラリー」)又は他のポリッシング溶液が、ウェーハと研磨パッドとの間に提供される。このようにして、ウェーハ表面は、パッド表面とスラリーとの化学的及び機械的作用により研磨され、平坦にされる。
【0005】
特定の先端デバイス設計には、より低い使用個所(POU)砥粒重量%での酸化ケイ素除去効率の向上並びに研磨プロセス全体及び製品収率%の改善のためのスクラッチ欠陥の低減を提供するポリッシング組成物が要求される。半導体デバイス上の構造のサイズが縮小し続けるのに伴って、かつては絶縁体材料を研磨する際の平坦化及び欠陥の低減について許容されていた性能基準は、ますます許容されなくなってきている。かつては許容されていたと考えられていたスクラッチは、今日では、収率を制限するようになってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、欠陥、例えば、スクラッチを最小限に抑えながら、望ましい平坦化効率、均一性及び絶縁体除去速度を示す研磨組成物及び研磨方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明は、水、砥粒、任意選択的にpH調整剤、任意選択的に殺生物剤、7超のpH及び式(I):
【化1】

[式中、Rは、フェニル、ベンジル及び直鎖又は分岐鎖C~Cアルキルからなる群より選択され、Xは、Br、Cl、I、F及びOHからなる群より選択されるアニオンである]
を有する第四級ホスホニウム化合物からなる、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供する。
【0008】
また、本発明は、水、0.1~40重量%の砥粒、任意選択的にpH調整剤、任意選択的に殺生物剤、7超のpH、0.001~1重量%の式(I):
【化2】

[式中、Rは、フェニル、ベンジル及び直鎖又は分岐鎖C~Cアルキルからなる群より選択され、Xは、Br、Cl、I、F及びOHからなる群より選択されるアニオンである]
を有する第四級ホスホニウム化合物からなる、ケミカルメカニカルポリッシング組成物も提供する。
【0009】
さらに、本発明は、水、5~25重量%のコロイダルシリカ砥粒、pH調整剤、任意選択的に殺生物剤、8~13のpH、0.01~1重量%の式(I):
【化3】

[式中、Rは、フェニル、ベンジル及び直鎖又は分岐鎖C~Cアルキルからなる群より選択され、Xは、Br、Cl、I、F及びOHからなる群より選択されるアニオンである]
を有する第四級ホスホニウム化合物からなる、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供する。
【0010】
本発明は、酸化ケイ素を含む基材を提供することと、水、砥粒、任意選択的にpH調整剤、任意選択的に殺生物剤、7超のpH、式(I):
【化4】

[式中、Rは、フェニル、ベンジル及び直鎖又は分岐鎖C~Cアルキルからなる群より選択され、Xは、Br、Cl、I、F及びOHからなる群より選択されるアニオンである]
を有する第四級ホスホニウム化合物からなるケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供することと、研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供することと、ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面と基材との間の界面に、3~35kPaのダウンフォースで動的接触を生成することと、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基材との間の界面又は同界面近傍においてケミカルメカニカルポリッシングパッド上にケミカルメカニカルポリッシング組成物を分散させることとを含み、酸化ケイ素の一部を基材から除去する、基材をケミカルメカニカルポリッシングするための方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物及び方法により、向上した欠陥低減が可能となり、良好な酸化ケイ素除去速度が可能となり、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は安定である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本明細書全体を通して使用する場合、下記略語は、特に断りない限り、下記意味を有する。L=リットル、mL=ミリリットル、kPa=キロパスカル、Å=オングストローム、nm=ナノメートル、min=分、rpm=回転数毎分、wt%=重量%、RR=除去速度、mmol=ミリモル、Br=ブロミド、Cl=クロリド、I=ヨージド、F=フルオリド、OH=ヒドロキシド、PS=本発明のポリッシングスラリー、PC=比較ポリッシングスラリー。
【0013】
「ケミカルメカニカルポリッシング」又は「CMP」という用語は、基材が化学力及び機械力のみにより研磨されるプロセスを指し、電気バイアスが基材に印加される電気化学メカニカルポリッシング(ECMP)とは区別される。「TEOS」という用語は、テトラエチルオルトシリカート(Si(OC)の分解により形成される酸化ケイ素を意味する。「組成物」及び「スラリー」という用語は、本明細書全体を通して互換的に使用される。「ハロゲン化物」という用語は、クロリド、ブロミド、フルオリド及びヨージドを意味する。「a」及び「an」という用語は、単数形及び複数形の両方を指す。全ての%は、特に断りない限り、重量基準である。全ての数値範囲は、このような数値範囲が合計で100%になるように制約されることが論理的である場合を除いて、閾値を含み、任意の順序で組み合わせ可能である。
【0014】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、酸化ケイ素を含む基材を研磨するのに有用である。ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、水、砥粒、任意選択的にpH調整剤、任意選択的に殺生物剤、7超のpH及び式(I):
【化5】

[式中、Rは、フェニル、ベンジル及び直鎖又は分岐鎖C~Cアルキルからなる群より選択され、Xは、Br、Cl、I、F及びOHからなる群より選択されるアニオンである]
を有し、欠陥を低減しかつ基材からの酸化ケイ素の除去速度を向上させるための第四級ホスホニウム化合物からなる。
【0015】
本明細書で使用される「向上した酸化ケイ素除去速度」という用語は、芳香族基を有する第四級ホスホニウム化合物を含有するケミカルメカニカルポリッシング組成物により基材を研磨することにより生じる酸化ケイ素の除去速度(Å/分で測定される除去速度)を述べるものであり、少なくとも下記式が満たされることを意味する。
A>A
【0016】
式中、Aは、例で説明された研磨条件下で測定されたときの、基材を研磨する本発明の方法に使用される、特許請求された第四級ホスホニウム化合物を含有するケミカルメカニカルポリッシング組成物についての酸化ケイ素除去速度(Å/分)であり、Aは、シリカ砥粒のみが存在する同一条件下で得られる酸化ケイ素除去速度(Å/分)である。
【0017】
本明細書で使用される「改善された研磨欠陥性性能」という用語は、本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物に式(I)を有する化合物を含ませることにより得られる欠陥性性能を述べるものであり、少なくとも下記式が満たされることを意味する。
X<X
【0018】
式中、Xは、例で説明された研磨条件下で測定されたときの、本発明の方法に使用される物質を含有するケミカルメカニカルポリッシング組成物についての欠陥性(すなわち、ポストCMP/フッ化水素(HF)スクラッチ又は欠陥)であり、Xは、シリカ砥粒のみが存在する同一条件下で得られる欠陥性(すなわち、ポストCMP/フッ化水素スクラッチ又は欠陥)である。
【0019】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、0.001~1重量%、より好ましくは、0.01~1重量%、最も好ましくは、0.1~0.5重量%の量で、第四級ホスホニウム化合物を含む。
【0020】
例示的な第四級ホスホニウム化合物は、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムクロリド、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド及びメチルトリフェニルホスホニウムクロリドである。このような第四級ホスホニウム化合物の混合物を本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物に含ませることができる。
【0021】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物に含有される水は、好ましくは、偶発的な不純物を制限するために、脱イオン水及び蒸留水のうちの少なくとも一種である。
【0022】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、砥粒0.1~40重量%、好ましくは、砥粒5~30重量%、より好ましくは、10~20重量%を含有する。好ましく使用される砥粒は、<200nm、より好ましくは、75~150nm、最も好ましくは、100~150nmの平均粒径を有する。
【0023】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物に使用するための砥粒は、例えば、無機酸化物、無機水酸化物、無機水酸化物酸化物、金属ホウ化物、金属炭化物、金属窒化物、ポリマー粒子及びこれらの少なくとも1つを含む混合物を含む。適切な無機酸化物は、例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、セリア(CeO)、酸化マンガン(MnO)、酸化チタン(TiO)又はこれらの組み合わせを含む。これらの無機酸化物の改質形態、例えば、有機ポリマー被覆無機酸化物粒子及び無機被覆粒子も、所望により利用することができる。適切な金属炭化物、ホウ化物及び窒化物は、例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭窒化ケイ素(SiCN)、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、ホウ化アルミニウム、炭化タンタル、炭化チタン又はこれらの組み合わせを含む。
【0024】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物に使用するための好ましい砥粒は、コロイダルシリカである。好ましくは、使用されるコロイダルシリカは、沈降シリカ及び凝集シリカの少なくとも一種を含有する。好ましくは、使用されるコロイダルシリカは、<200nm、より好ましくは、75~150nm、最も好ましくは、100~150nmの平均粒径を有し、ケミカルメカニカルポリッシング組成物の0.1~40重量%、好ましくは、5~30重量%、より好ましくは、10~20重量%を占める。市販のコロイダルシリカの例は、139nmの平均粒径を有するKlebosol(商標) II 1630コロイダルシリカ、145nmの平均粒径を有するKlebosol(商標) II 1630コロイダルシリカ及び130nmの粒径を有するKlebosol(商標) II 1730コロイダルシリカである。これらは全て、Merck KgAA, Darmstadt, Germanyにより製造され、全て、DuPontから入手可能である。
【0025】
任意選択的に、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、殺生物剤、例えば、International Flavors & Fragrances, Inc.によりそれぞれ製造された、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの有効成分を含有するKORDEK(商標)MLX(9.5~9.9%のメチル-4-イソチアゾリン-3-オン、89.1~89.5%の水及び≦1.0%の関連反応生成物)又はKATHON(商標)ICP III(KATHON及びKORDEKは、International Flavors & Fragrances, Inc.の商標である)を含有する。
【0026】
殺生物剤が、本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物に含まれる場合、殺生物剤は、0.001重量%~0.1重量%、好ましくは、0.001重量%~0.05重量%、より好ましくは、0.001重量%~0.01重量%、さらにより好ましくは、0.001重量%~0.005重量%の量で含まれる。
【0027】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、7超、好ましくは、7~12、より好ましくは、10~11のpHを有する。
【0028】
使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、pHを好ましい範囲内に維持するために、任意選択的に、1種以上のpH調整剤を含むことができる。好ましくは、pH調整剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びアンモニウム塩、例えば、ハロゲン化物又は硝酸塩のうちの1種以上から選択される。
【0029】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法において研磨される基材は、酸化ケイ素を含む。基材中の酸化ケイ素は、ホウリンシリカートガラス(BPSG)、プラズマ強化テトラエチルオルトシリカート(PETEOS)、熱酸化物、ドーピングされていないシリカートガラス、高密度プラズマ(HDP)酸化物を含むが、これらに限定されない。
【0030】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシングパッドは、当技術分野において公知の任意の適切な研磨パッドとすることができる。ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、任意選択的に、織布及び不織布研磨パッドから選択することができる。ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、種々の密度、硬度、厚み、圧縮性及び弾性率の任意の適切なポリマー製とすることができる。ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、所望に応じて、溝をつけ、穿孔することができる。
【0031】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物に含有される式(I)を有する第四級ホスホニウム化合物により、改善された研磨欠陥性性能がもたらされる。好ましくは、ケミカルメカニカルポリッシング組成物中に式(I)を有する第四級ホスホニウム化合物を含有させると、例で説明された研磨条件下で測定されたときの、研磨欠陥性(すなわち、ポストCMP/フッ化水素スクラッチ)に>50%の低下がもたらされる。すなわち、好ましくは、少なくとも下記式が満される。
(X-X)/X 100>50
【0032】
式中、Xは、例で説明された研磨条件下で測定されたときの、式(I)で示される第四級ホスホニウム化合物を含有し、本発明の方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物についての研磨欠陥性(すなわち、ポストCMP/フッ化水素スクラッチ又は欠陥)であり、Xは、シリカ砥粒のみ又はシリカ砥粒及び対称第四級ホスホニウム化合物が存在する同一条件下で得られる研磨欠陥性(すなわち、ポストCMP/フッ化水素スクラッチ又は欠陥)である。
【0033】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物により、低名目研磨パッド圧力、例えば、3~35kPaでの操作が可能となる。低名目研磨パッド圧力によって、スクラッチ及び他の望ましくない研磨欠陥を低減することにより研磨性能が改善され、壊れやすい素材への損傷が最小限に抑えられる。
【実施例0034】
下記例は、本発明を例証することを意図しており、その範囲を限定することを意図するものではない。
【0035】
下記例において、特に断りない限り、温度及び圧力の条件は、周囲温度及び標準圧力である。
【0036】
下記例において、下記材料を使用した。
【0037】
研磨除去速度実験を8インチのブランケットウェーハで行った。Applied Materials Mirra(登録商標)ポリッシャーを例1~2に使用し、Applied Materials Reflexion(登録商標)ポリッシャーを例3~4に使用した。研磨例1~2はVisionPad 5000/K7(商標)ポリウレタン研磨パッドを使用し、研磨例3~4はIC1010ポリウレタン研磨パッド(両方とも、Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.から市販されている)を使用し、20.7kPa(3psi)のダウンフォース、例1~2においては150mL/分、例3~4においては250mL/分のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物流量、93rpmのテーブル回転速度及び87rpmのキャリア回転速度で行った。除去速度は、KLA-Tencor FX200測定ツールを使用して、研磨前後の膜厚を測定することにより求めた。例で報告された欠陥性性能は、フッ化水素研磨後洗浄(「Pst HF」)後に走査型電子顕微鏡を使用して求めた。Pst-HF洗浄後の全てのTEOSウェーハを、KLA-Tencorから入手可能なSurfscan(登録商標)SP2欠陥検査システムを使用して検査した。ウェーハ上のそれらの座標を含む欠陥情報をKLARFに記録し(KLA結果ファイル)、ついで、これをKLA-Tencorから入手可能なeDR-5200欠陥レビューシステムに移した。100個の欠陥画像のランダムサンプルを選択し、eDR-5200システムにより検討した。これらの100個の画像は、種々の欠陥タイプ、例えば、チャッターマーク(スクラッチ)、粒子及びパッド研磨くずに分類した。これらの100個の画像からの分類結果に基づいて、ウェーハ上のスクラッチの総数を求めた。
【0038】
例1
ケミカルメカニカルポリッシング組成物、TEOS RR及び欠陥低減
水性ケミカルメカニカルポリッシングスラリーを以下の表1に示されるように調製した。2重量%のKOH水溶液を各スラリーに加え、所望のpHを維持した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
本発明のスラリーでは、比較例のスラリーと比較して、顕著なTEOS RRを示し、欠陥カウントが低減し、スクラッチが低減した。
【0042】
例2
ケミカルメカニカルポリッシング組成物、TEOS RR及び欠陥低減
水性ケミカルメカニカルポリッシングスラリーを以下の表3に示されるように調製した。2重量%のKOH水溶液を各スラリーに加え、所望のpHを維持した。
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
テトラフェニルホスホニウムクロリドを含んだ本発明のスラリーは、2つの比較例と比較して、TEOS RRが向上し、欠陥及びスクラッチが低減した。
【0046】
例3
ケミカルメカニカルポリッシング組成物、TEOS RR及びスクラッチ低減
水性ケミカルメカニカルポリッシングスラリーを以下の表3に示されるように調製した。2重量%のKOH水溶液を各スラリーに加え、所望のpHを維持した。
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
本発明のスラリーでは、第四級ホスホニウム化合物を含まない比較例スラリーと比較して、TEOS RRが顕著に向上し、スクラッチが低減し、スクラッチが低減した。
【0050】
例4
ケミカルメカニカルポリッシング組成物の安定性
水性ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、それらの安定性を試験するために調製した。該組成物のpHを10.7に維持した。サンプルを室温及び圧力の静的条件で2週間放置し、ついで、目視でチェックした。
【0051】
【表7】
【0052】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、第四級ホスホニウム化合物が0.0021~0.0028mmolの濃度で安定であった。
【外国語明細書】