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特開2022-169479機械工具上で機械加工されるように適合される、被加工物、特に型をロックするためのピン
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  • 特開-機械工具上で機械加工されるように適合される、被加工物、特に型をロックするためのピン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169479
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】機械工具上で機械加工されるように適合される、被加工物、特に型をロックするためのピン
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20221101BHJP
   B23Q 3/18 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B23Q3/06 304F
B23Q3/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022072339
(22)【出願日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】102021000010523
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】521481131
【氏名又は名称】オフィチーナ・メッカニカ・ロンバルダ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】OFFICINA MECCANICA LOMBARDA S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーア・ロランディ
【テーマコード(参考)】
3C016
【Fターム(参考)】
3C016EA01
3C016HA01
3C016HB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ピンの軸と中空円筒形支持体の軸との間における角度ずれ、および中空円筒形支持体の軸に垂直である平面上におけるずれを相殺可能である、機械工具上で機械加工されるように適合される、被加工物、特に型をロックするためのピンを提供する。
【解決手段】軸(A)の周りに延在する支持体(14)は、被加工物(W)に固定されるピン(12)を受容するように適合される軸方向キャビティ(16)を有し、ピン(12)を軸方向に保持するための保持手段を有する。ピン(12)と被加工物(W)との間に割り込まれる中央揃えリング(25)は、支持体(14)に対してピン(12)の軸に垂直である平面上において摺動することができるように、軸方向キャビティ(16)に収容される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物(W)に固定されるように適合されるタイプの、機械工具上で機械加工されるように適合される前記被加工物(W)をロックするためのピンであって、
軸(A)の周りに延在するとともに、前記ピン(12)を受容するように適合される軸方向キャビティ(16)が設けられる支持体(14)に挿入され、前記支持体(14)には、その周方向溝(18)に係合することによって前記ピン(12)を軸方向に保持するための保持手段が設けられ、
-上記軸方向キャビティ(16)に収容されるとともに、前記被加工物(W)と前記周方向溝(18)が設けられる前記ピン(12)の本体(12m)との間に割り込むように適合される中央揃えリング(25)であって、前記本体に対して前記ピン(12)の軸に垂直である平面上において摺動可能である、前記中央揃えリング(25)と、
-前記中央揃えリング(25)上に遊びを有して嵌合されるとともに、前記周方向溝(18)における前記保持手段(20,22)の係合に続いて、前記軸方向キャビティ(16)の対応する錐台形状入口(16c)に係合するように適合される錐台形状面(27a)を有するロックリング(27)と、を備えることを特徴とする、ピン。
【請求項2】
前記中央揃えリング(25)は、相互に平行であるとともに、それぞれ前記ピン(12)の前記本体(12m)および前記被加工物(W)に当接するように適合される、2つの軸方向に相互に対向する静止面(25a,25b)を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記被加工物(W)に当接することが意図されるとともに、ねじ穴(H)の進入点において前記被加工物(W)上に設けられる対応するカウンターボア(WS)に係合するように適合される、前記静止面のうちの1つ(25b)から一体的に突出する、円筒形突出部(25c)を備えることを特徴とする、請求項2に記載のロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械工具上で機械加工されるように適合される、被加工物、特に型をロックするためのピンに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、機械工具上で機械加工されることが意図される被加工物は、一連のロック装置によって、プラットフォーム(同様に機械工具の作業領域に導入される)上で固定されることがある。
【0003】
特に、ロック装置の各々は、プラットフォームに対して直角に固定される中空円筒形支持体を備えてもよく、その中空円筒形支持体には、被加工物上へねじ留めされるピンを受容し、軸方向に保持するための保持手段が設けられる。
【0004】
保持手段は、一般に、ピンの挿入および抜出を可能にする、中空円筒形支持体のキャビティを解放する開位置と、中空円筒形支持体に挿入されているピンの周方向溝に係合してそれを軸方向に保持する閉位置との間で、中空円筒形支持体において径方向に摺動し得る要素を備える。
【0005】
知られているように、いくつかの被加工物、特に型は、粗面形成のための初期機械加工、次いで熱処理ステップ(テンパリング)、および最終的に仕上げのための機械加工を施され得る。
【0006】
熱処理中、被加工物は、仕上動作のための続く再配置が阻止されるに至るほど変形されることがあるが、これはピンが対応する中空円筒形支持体ともはや位置合わせされなくなるためである。
【0007】
ピンは、ピンの軸と中空円筒形支持体の軸との間における角度ずれを相殺可能であることが知られている。
【0008】
ピンは、中空円筒形支持体の軸に垂直である平面上におけるずれを相殺可能であることも知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、今まで、上述された起こり得るずれの両方を相殺可能であるピンは知られていない。
【0010】
したがって、本発明の主目標は、熱処理の結果として生じるすべてのずれ、特に、ピンの軸と中空円筒形支持体の軸との間における角度ずれ、および中空円筒形支持体の軸に垂直である平面上におけるずれを相殺可能である、機械工具上で機械加工されるように適合される、被加工物、特に型をロックするためのピンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に続く説明からより明らかになるであろう、上記の目標および他の利点は、添付の請求項1に記載された特徴を有するピンによって達成されるが、添付の従属請求項は、副次的ではあるものの、有利である本発明の他の特徴を規定する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】動作構成における、本発明に係るロックピンと協働するロック装置の軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、動作構成における、本発明に係るロックピンと協働するロック装置の軸方向断面図である図1において非限定的な例示の目的のために図示された、好ましいが排他的ではないその実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明することとする。
【0014】
図面を参照すると、参照番号10は、概して、機械工具およびマシニングセンタ上で機械加工されるように適合される被加工物のためのロック装置を示す。
【0015】
特に、図1を参照して、一連のロック装置10、たとえば4つのロック装置は、機械工具(図示せず)の作業領域に導入されるとともに、慣例的に、長手方向軸がO’で示されるねじ開口部Oのグリッドが設けられるプラットフォームP上において、一般的な被加工物Wを所定位置に位置決めおよびロックするために用いられ得る。
【0016】
ロック装置10の各々は、被加工物Wに固定されるピン12を受容および保持するように適合される。それ自体周知である態様において、ピン12は中空であり、ピン12に挿入されるとともに、長手方向軸がH’で示される、被加工物Wに予め提供されているねじ穴H内にねじ込まれる第1ねじS’によって、被加工物Wに固定される。
【0017】
本発明の範囲外にあり、慣例的であり得るロック装置10は、軸Aの周りに延在する支持体14を備え、支持体14は、ピン12を受容するための軸方向キャビティ16を有する。支持体14は、実質的に円筒形の外形を有し、支持体14には、慣例的に、上記ピンの本体12m上に提供される周方向溝18に係合することによってピン12を軸方向に保持するための保持手段が設けられる。
【0018】
それ自体周知である態様において、支持体14は、支持体14のそれぞれの軸方向台座19に挿入されるとともに、支持体14の長手方向軸Aが対応するねじ開口部Oの長手方向軸O’と同軸であるようにプラットフォームPのねじ開口部Oのうちの1つにねじ込まれる第2ねじS2によって、プラットフォームPに対して垂直に固定される。
【0019】
保持手段は、一般的に、ピン12の挿入および抜出に干渉しない開位置と、それらが支持体14内へ挿入されているピン12の周方向溝18に係合してピンを軸方向に保持する閉位置との間において径方向に移動するために、支持体14のそれぞれの台座24,26において摺動することができる、作動手段(図示せず)によって制御される、ロック要素20,22を備える。
【0020】
ロック要素の数および形状は、必要性に応じて異なっていてもよい。例示の目的のために本明細書で記載された実施形態においては、環状扇形のような形状にされ得る、相互に対向する位置における2つのロック要素が存在する。
【0021】
作動手段は、ねじ山付き要素などを備え得る。
それ自体周知である態様において、溝18は、下向き領域、すなわちピン12の自由端の側において、錐台形状環状壁18cによって範囲を定められ、錐台形状環状壁18cは、所定位置にロックされるとき、ロック要素20,22のそれぞれの錐台形状内側縁部20c,22cによって係合される。
【0022】
本発明によれば、軸方向キャビティ16には中央揃えリング25が収容され、中央揃えリング25は、ピン12と被加工物Wとの間に割り込むように、かつ支持体14に対してピン12の軸に垂直である平面上で摺動可能であるように、第1ねじS’上に遊びを有して嵌合される。
【0023】
好都合には、この中央揃えリング25は、相互に平行であるとともにそれぞれピン12および被加工物Wに当接するように適合される、2つの軸方向に相互に対向する静止面25aおよび25bを有する。
【0024】
接触面25bにおいて、中央揃えリング25から一体的に円筒形突出部25cが生じ、円筒形突出部25cは、ねじ穴Hの進入点において被加工物W上に設けられるとともに、長手方向軸がWS’で示される、対応するカウンターボアに係合するように適合される。
【0025】
さらに、中央揃えリング25上にはロックリング27が遊びを有して嵌合され、ロックリング27は、中央揃えの目的のために中央キャビティ16の対応する錐台形状入口16cに係合するように適合される錐台形状面27aを有する。
【0026】
動作において、それ自体周知である態様において、必要なロック装置10の数がそれらの位置とともに確立されると、各々についてねじ穴Hが被加工物Wに形成され、そこに第1ねじS’によってピン12が固定され、ロックリング27が、同様に遊びを有して第1ねじS’上に嵌合される中央揃えリング25上に正しく取り付けられていることを保証する。また、慣例的な態様において、支持体14が、第2ねじS2によって、プラットフォームPのねじ開口部Oのうちの1つに固定される。
【0027】
被加工物Wは、次いで仕上動作のために続けて機械加工されるために、テンパリングなどの熱処理を受けることがあるため、被加工物Wは、ねじ穴Hの長手方向軸H’の配向をその公称配向に対して変えるような形状変形を被る場合がある。
【0028】
図1を特に参照すると、起こり得るねじ穴Hの変形が例として示されており、ここで、長手方向軸H’は、ねじ開口部Oの長手方向軸O’に実質的に同軸であるべき理想的な配向に対して、図の左手側に向かって大きな角度ずれを受けている。
【0029】
この時点で、ロック要素20,22は軸方向キャビティを実質的に開放する開構成にあり、被加工物WはプラットフォームPに固定された支持体14上に置かれ、ピン12を軸方向キャビティ16内へ挿入する。
【0030】
この後、ロック装置10は、ピン12の周りでロック要素20,22を閉鎖するように締め付けられる。ロック要素20,22の錐台形状内側縁部20c,22cは、ピン12を円筒形支持体14の内部に向かって軸方向に付勢するように溝18の錐台形状環状壁18cに係合し、ロックリング27の錐台形状部分27aは錐台形状入口16cに係合し、したがって軸方向キャビティ16における後者とピン12との完璧な中央揃えを保証する。
【0031】
図1に図示されるように、ロック要素20,22の内面は、溝18と接触しない。この態様において、ロック要素20,22によって実行される軸方向閉クランプ作用は、たった今説明されたような中央揃え作用には干渉せず、よって、先に説明された形状変形を相殺するために、第1ねじS’の、したがって被加工物Wの横移動を可能にする。
【0032】
実際に、従来の固定システムによって、被加工物上および固定モジュール上の両方に張力を発生させることはできるが、その代わりに、ピン12とロックリング27との間に構成される中央揃えリング25が自由に浮遊することによって可能となる横移動によれば、これらの張力を自動的に打ち消すことができる。
【0033】
実際に、本発明は設定された目標を十分に達成することもわかった。
特に、ピンは、熱処理の結果として生じたすべてのずれ、特に、ピンの軸と中空円筒形支持体の軸との間における角度ずれ、および中空円筒形支持体の軸に垂直である平面上におけるずれを相殺可能である。
【0034】
本発明の好ましい実施形態が記載されたが、言うまでもなく、当業者は、請求項の保護の範囲内で様々な修正および変形を行い得る。
【0035】
さらに、すべての細部は、他の技術的に等価な要素によって置き換えられてもよい。
実際に、特定の使用と互換性がある、使用され、提供される材料、ならびに偶発的な形状および寸法は、要件に応じて任意であり得る。
図1
【外国語明細書】