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特開2022-169480活動的なスポーツのための断熱パネル張り
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169480
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】活動的なスポーツのための断熱パネル張り
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20221101BHJP
   A41D 1/00 20180101ALI20221101BHJP
   A41D 1/02 20060101ALI20221101BHJP
   A41D 3/00 20060101ALI20221101BHJP
   A41D 27/24 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
A41D13/005
A41D1/00 D
A41D1/02 A
A41D1/02 C
A41D3/00 A
A41D3/00 C
A41D27/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022072346
(22)【出願日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】17/241,445
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516368128
【氏名又は名称】アクシネット・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ジェイ・スクーラ・ザ・サード
【テーマコード(参考)】
3B011
3B030
3B031
3B035
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB11
3B011AC13
3B011AC17
3B030AA01
3B030AB05
3B031AA07
3B031AA08
3B031AA09
3B031AA10
3B031AB01
3B031AB08
3B031AC01
3B031AC12
3B031AE01
3B031AE09
3B031AE11
3B035AA01
3B035AB01
3B035AB05
3B035AB15
3B035AC15
3B035AD03
(57)【要約】
【課題】活動的断熱パネル張り構成要素と、活動的断熱パネル張り構成要素を備える衣服とが提供される。
【解決手段】活動的断熱パネル張り構成要素は、ガセットによって分離された断熱パネルを備える。ガセットは、活動的断熱パネル張り構成要素および/または衣服が弾性材料から製造されない場合であっても、活動的断熱パネル張り構成要素および/または衣服を拡張させるために、外向きの引っ張り力で拡張するように構成される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服への組み込みのために活動的断熱パネル張り構成要素を製造する方法であって、
2つの織物層を部分的に一体に結合するために形成ステッチ線を適用するステップであって、前記形成ステッチ線は、断熱パネル形成区域、および、前記断熱パネル形成区域同士の間に位置付けられるガセット形成区域を定める、ステップと、
前記断熱パネル形成区域を断熱材で満たすステップと、
隣接する断熱パネル形成区域の境界同士を一体にするために、前記ガセット形成区域を折り畳むステップと、
前記断熱パネル形成区域を封止し、前記ガセット形成区域の折り畳みを固定して前記活動的断熱パネル張り構成要素を形成するために、少なくとも1つの仕上げステッチ線を、前記形成ステッチ線に対して略直交して適用するステップであって、前記活動的断熱パネル張り構成要素は、引っ張り力が前記形成ステッチ線に対して直交する方向に加えられるとき、拡張するように構成される、ステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記2つの織物層は、1平方メートル当たり50グラム(gsm)以下の重量を有する非弾性材料から作られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記断熱材は吹き込み断熱材である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記断熱パネル形成区域は幅(D3)を有し、前記ガセット形成区域は幅(D4)を有し、前記幅D3および前記幅D4は不等式D3>2*D4を満たす、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
各々のガセット形成区域は中心ステッチ線を含み、折り畳み動作は前記中心ステッチ線に沿って実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ガセット形成区域を折り畳むステップは、前記隣接する断熱パネル形成区域同士の前記境界を部分的に重ねさせる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記活動的断熱パネル張り構成要素を衣服に結合するステップであって、前記衣服は、ジャケット、パンツ、手袋、または靴のうちの1つである、ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
衣服への組み込みのための活動的断熱パネル張り構成要素であって、
断熱材で満たされる第1の断熱パネルと、
断熱材で満たされる第2の断熱パネルと、
前記第1の断熱パネルと前記第2の断熱パネルとの間に位置付けられ、且つ前記第1の断熱パネルと前記第2の断熱パネルとに取り付けられる第1のガセットであって、前記第1の断熱パネルを前記第2の断熱パネルから離すように引っ張る引っ張り力において拡張するように構成される第1のガセットと、
を備える活動的断熱パネル張り構成要素。
【請求項9】
前記第1の断熱パネルの境界が、2つ以上の位置において前記第2の断熱パネルの境界と結合される、請求項8に記載の活動的断熱パネル張り構成要素。
【請求項10】
前記境界は、前記第1の断熱パネルおよび前記第2の断熱パネルを通じて延びる連続的な仕上げステッチ線と結合される、請求項9に記載の活動的断熱パネル張り構成要素。
【請求項11】
前記第1の断熱パネル、前記第2の断熱パネル、および前記第1のガセットの外面が、材料の2つのシートから形成される、請求項8に記載の活動的断熱パネル張り構成要素。
【請求項12】
断熱材で満たされる第3の断熱パネルと、
前記第2の断熱パネルと前記第3の断熱パネルとの間に位置付けられる第2のガセットと、
をさらに備える、請求項8に記載の活動的断熱パネル張り構成要素。
【請求項13】
前記第3の断熱パネルの境界が前記第2の断熱パネルの境界と重なる、請求項12に記載の活動的断熱パネル張り構成要素。
【請求項14】
前記活動的断熱パネル張り構成要素の周囲の周りに縁取りをさらに備える、請求項8に記載の活動的断熱パネル張り構成要素。
【請求項15】
前側および後側を有し、複数の断熱区分を備える胴部分と、
前記胴部分に取り付けられる右袖と、
前記胴部分に取り付けられる左袖と、
前記胴部分の前記後側に組み込まれ、交互になった断熱パネルおよびガセットを備える活動的断熱パネル張り構成要素と、
を備えるジャケット。
【請求項16】
前記活動的断熱パネル張り構成要素は、前記右袖または前記左袖の少なくとも一方の動きによる引っ張り力の適用において拡張するように構成される、請求項15に記載のジャケット。
【請求項17】
前記活動的断熱パネル張り構成要素の下縁が、前記胴部分に湾曲ステッチ線で取り付けられるときに湾曲させられる、請求項15に記載のジャケット。
【請求項18】
前記湾曲ステッチ線の平均曲率半径が10インチから30インチの間である、請求項17に記載のジャケット。
【請求項19】
前記断熱パネルのいずれかについての最小長さが、襟の上部から前記ジャケットの下部までで測定される前記ジャケットの長さの少なくとも4分の1である、請求項15に記載のジャケット。
【請求項20】
1つまたは複数のガセットに取り付けられる弾性バンドをさらに備える、請求項15に記載のジャケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年4月27日に出願された「Insulated Paneling for Active Sports」という名称の米国特許出願第17/241,445号への優先権を主張し、この特許出願は、本明細書において参照によりその全体において組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
運動選手からの物理的な動きを必要とする活動的なスポーツは、様々な環境条件において行われ得る。例えば、スキー、カーリング、およびスケートといった冬のスポーツは、寒い気候または季節において、屋内または屋外で競技され得る。ゴルフなどの伝統的な夏のスポーツは、低い温度でも競技される可能性がある。低温のため、運動選手は、ジャケット、手袋、および/または断熱パンツなど、追加の衣服を着用したいと望む可能性がある。これらの衣服の多くは、活動に参加している間に運動選手に暖かさを提供するために、断熱され得る。
【0003】
本明細書で開示されている態様が作られたことは、これらおよび他の一般的な憂慮すべき事柄に関連してである。また、比較的具体的な問題が検討され得るが、本開示における背景技術または他の場所において特定される具体的な問題を解決することに例が限定されるべきではないことは、理解されるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本技術は、運動選手の動きで拡張することと、同時に運動選手を温かく保つこととの両方を衣服にさせることができる、衣服のための断熱パネル張り、および、衣服における断熱パネル張りに概して関する。態様では、本技術は、衣服への組み込みのために活動的断熱パネル張り構成要素を製造する方法に関する。方法は、2つの織物層を部分的に一体に結合するために形成ステッチ線を適用するステップを含み、形成ステッチ線は、断熱パネル形成区域と、断熱パネル形成区域同士の間に位置付けられるガセット形成区域とを定める。方法は、断熱パネル形成区域を断熱材で満たすステップと、隣接する断熱パネル形成区域の境界同士を一体にするために、ガセット形成区域を折り畳むステップとをさらに含む。方法は、断熱パネル形成区域を封止し、ガセット形成区域の折り畳みを固定して活動的断熱パネル張り構成要素を形成するために、少なくとも1つの仕上げステッチ線を、形成ステッチ線に対して略直交して適用するステップも含み、活動的断熱パネル張り構成要素は、引っ張り力が形成ステッチ線に対して直交する方向に加えられるとき、拡張するように構成される。
【0005】
例では、2つの織物層は、1平方メートル当たり50グラム(gsm)以下の重量を有する非弾性材料から作られる。他の例では、断熱材は吹き込み断熱材である。さらなる例では、断熱パネル形成区域は幅(D3)を有し、ガセット形成区域は幅(D4)を有し、幅D3および幅D4は不等式D3>2*D4を満たす。なおも他の例では、各々のガセット形成区域は中心ステッチ線を含み、折り畳み動作は中心ステッチ線に沿って実施される。さらに他の例では、ガセット形成区域を折り畳むステップは、隣接する断熱パネル形成区域の境界同士を部分的に重ねさせる。さらに他の例では、方法は、活動的断熱パネル張り構成要素を衣服に結合するステップをさらに含み、衣服は、ジャケット、パンツ、手袋、または靴のうちの1つである。
【0006】
他の態様では、本技術は、衣服への組み込みのために活動的断熱パネル張り構成要素に関する。活動的断熱パネル張り構成要素は、断熱材で満たされる第1の断熱パネルと、断熱材で満たされる第2の断熱パネルと、第1の断熱パネルと第2の断熱パネルとの間に位置付けられ、第1の断熱パネルと第2の断熱パネルとに取り付けられる第1のガセットであって、第1の断熱パネルを第2の断熱パネルから離すように引っ張る引っ張り力において拡張するように構成される第1のガセットとを備える。
【0007】
例では、第1の断熱パネルの境界が、2つ以上の位置において第2の断熱パネルの境界と結合される。他の例では、境界は、第1の断熱パネルおよび第2の断熱パネルを通じて延びる連続的な仕上げステッチ線と結合される。さらなる例では、第1の断熱パネル、第2の断熱パネル、および第1のガセットの外面が、材料の2つのシートから形成される。なおも他の例では、活動的断熱パネル張り構成要素は、断熱材で満たされる第3の断熱パネルと、第2の断熱パネルと第3の断熱パネルとの間に位置付けられる第2のガセットとを備える。さらに他の例では、第3の断熱パネルの境界が第2の断熱パネルの境界と重なる。さらになおも他の例では、活動的断熱パネル張り構成要素は、活動的断熱パネル張り構成要素の周囲の周りに縁取りをさらに備える。
【0008】
他の態様では、本技術はジャケットに関する。ジャケットは、前側および後側を有し、複数の断熱区分を備える胴部分と、胴部分に取り付けられる右袖と、胴部分に取り付けられる左袖と、胴部分の後側に組み込まれ、交互になった断熱パネルおよびガセットを備える活動的断熱パネル張り構成要素とを備える。
【0009】
例では、活動的断熱パネル張り構成要素は、右袖または左袖の少なくとも一方の動きによる引っ張り力の適用において拡張するように構成される。他の例では、活動的断熱パネル張り構成要素の下縁が、胴部分に湾曲ステッチ線で取り付けられるときに湾曲させられる。さらなる例では、湾曲ステッチ線の平均曲率半径が10インチから30インチの間である。なおも他の例では、断熱パネルのいずれかについての最小長さが、襟の上部からジャケットの下部までで測定されるジャケットの長さの少なくとも4分の1である。さらに他の例では、ジャケットは、1つまたは複数のガセットに取り付けられる弾性バンドをさらに備える。この概要は、発明を実施するための形態において以下でさらに記載されている単純化された形態における概念の選択を導入するために提供されている。この概要は、請求された主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定するように意図されておらず、請求された主題の範囲を限定するために使用されるようにも意図されていない。例の追加の態様、特徴、および/または利点は、以下の記載において一部で述べられており、一部は記載から明らかとなる、または、本開示の実施によって学習され得る。
【0010】
非限定的および非徹底的な例が、以下の図を参照して記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】例の活動的断熱パネル張り構成要素の斜視図である。
図1B】縁取りが例の活動的断熱パネル張り構成要素の外側境界に取り付けられている例の活動的断熱パネル張り構成要素の図である。
図2A】閉状態での例の活動的断熱パネル張り構成要素の前面図である。
図2B】拡張状態での例の活動的断熱パネル張り構成要素の前面図である。
図3A】例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するときの例のステップの図である。
図3B】例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するときの例のステップの図である。
図4A】例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するときの別の例のステップの図である。
図4B】例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するときの別の例のステップの図である。
図5A】例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するときの別の例のステップの図である。
図5B】例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するときの別の例のステップの図である。
図5C】例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するときの別の例のステップの図である。
図6】例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するときの別の例のステップの図である。
図7A】例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するときの別の例のステップの図である。
図7B】例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するときの別の例のステップの図である。
図8A】例のジャケットの前面図である。
図8B】閉状態での例のジャケットの後面図である。
図8C】拡張状態での例のジャケットの後面図である。
図9】例のジャケットの内部構造の図である。
図10】別の例のジャケットの後面図である。
図11】活動的断熱パネル張り構成要素を製造するための例の方法の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
先に手短に検討されているように、冷たい温度または寒い温度においてスポーツに参加する運動選手は、暖かさを保つために、ジャケット、手袋、靴、ブーツ、および/または断熱パンツなどの衣服を着用するように望む可能性がある。現在の衣服は、運動選手を温かく保つのを助けるために断熱されている可能性があるが、衣服はしばしば制約的であり、運動選手の運動の範囲を制限してしまう。例えば、断熱ジャケットの場合、ジャケットは、運動選手の動きを受け入れるために形を伸縮または変化させることができない材料から作られている。結果として、衣服の制約する特質を軽減するために、運動選手は、活動を実施するために短い時間の期間にわたって衣服を脱ぐか、または、運動選手の身体にとって相当に過大とされている衣服を着用するかのいずれかである。例として、ゴルフのスポーツでは、運動選手のゴルフスイングは、従来のジャケットでは妨害または制約される幅広い運動の範囲を必要とする。したがって、運動選手は、ショットの合間にジャケットまたは他の衣服を着用するが、ゴルフスイングをするためにジャケットを脱ぐ。このような脱ぐ過程は、面倒であって苛立たしく、衣服が脱がされたときに運動選手の熱を失わせることになる。
【0013】
他の衣服は、衣服を形成するために弾性材料を利用することで、または、ジャケットの袖と肩部分との間など、衣服の縫い目同士の間に小さい区分の弾性材料を含むことで、これらの制限を克服使用と試みている。しかしながら、弾性材料の使用は、弾性材料が非弾性材料より概して重いため、衣服に相当の重量をしばしば追加してしまう。弾性材料は、非弾性の同等品より耐候性または耐久性もない可能性がある。また、複数の小さい弾性構成要素の組み込みは、製作するために相当の追加的な労力または製造時間を必要とする。
【0014】
本技術は、数ある中でも、運動選手の動きで拡張することと、同時に運動選手を温かく保つこととの両方を衣服にさせることができる、衣服のための断熱パネル張り、および、衣服における断熱パネル張りを提供することで、上記で検討された問題を軽減する。これまでに認められている英知または従来の英知は、弾性材料が柔軟性を提供するために使用されるべきであることを示唆するだろうが、本技術は、その従来の英知に抗して進み、軽量で非弾性の材料を使用させる一方で、拡張可能な衣服を提供する。それによって、運動選手は、衣服を脱ぐ必要なく、または、不適切な大きさとされた衣服を着用する必要なく、それぞれの活動に参加し続けることができる。断熱パネル張りは、断熱パネルと、断熱パネル同士の間に位置付けられるガセットとの革新的な組み合わせの使用を通じて、断熱性と柔軟性とを提供する。断熱パネル張りが外方へ引っ張られるとき、ガセットは拡張し、これによって断熱パネル張りを全体として拡張させることができる。外方への引っ張り力が除去されるとき、断熱パネル張りはその当初の形および位置へと収縮することができる。したがって、断熱パネル張りが衣服へと組み込まれるとき、衣服は、運動選手の動きで拡張し、運動選手の運動が止まるときにその通常の形に戻ることができる。
【0015】
図1Aは、例の活動的断熱パネル張り構成要素100の斜視図を描写している。活動的断熱パネル張り構成要素100は、暖かさと、衣服のための運動の増加した範囲との両方を提供するために、先に記載された衣服などの衣服へと組み込まれる構成要素である。
【0016】
例の活動的断熱パネル張り構成要素100は、第2の材料層104に部分的に取り付けまたは留め付けされる第1の材料層102を備える。第1の材料層102は材料のシートとでき、第2の材料層104も材料のシートとできる。ある例では、第1の材料層102の材料は、第2の材料層104の材料と同じであり得る。第1の材料層102および/または第2の材料層104の一方または両方のために使用される材料は、織物に織られたリップストップ、または、他の軽量に織られた織物など、織物であり得る。ある例では、材料は、1平方メートル当たり50グラム(gsm)未満の重量を有し、好ましくは10gsmから50gsmの間の重量を有し得る点において、比較的軽量であり得る。最も好ましくは、材料は、35gsmなど、25gsmから40gsmの間の重量を有し得る。
【0017】
他の例では、第1の材料層102の材料は、第2の材料層104の材料と異なり得る。例えば、第1の材料層102は、耐久性および耐候性のより高い材料から作られてもよく、その場合、第1の材料層102は衣服の外側にあるように意図される。例えば、第1の層102は耐水性または親水性であってもよい。このような例では、第2の材料層104の材料は、ジャケットの裏打ちなど、内方(着用者の身体の方)を向くように意図されている場合、耐久性がより低い可能性がある。第1の材料層102および第2の材料層104の材料は、伸縮または拡張しない材料であってもよい。材料が非弾性または非伸縮性の材料であっても、活動的断熱パネル張り構成要素100は、後でさらに検討されているように、動きを可能にするための拡張および収縮をなおも提供する。
【0018】
第1の材料層102と第2の材料層104とは、一連のステッチ線106を通じて互いに部分的に留め付けられ得る。ステッチ線106は、図1Aにおいて破線によって指示されている。ステッチ線106は、活動的断熱パネル張り構成要素100の異なる区分同士または部分同士の間に、境界を部分的に定義または提供することができる。描写されている例では、交互の断熱パネル110とガセット112とが形成されている。断熱パネル110は断熱材108で満たされている。断熱材108は、断熱材のシートではなく吹き込み断熱材であり得る。後でさらに検討されているように、断熱パネル110は、ステッチ線106によって2つの側に定められ得る。例の活動的断熱パネル張り構成要素100は5つの断熱パネル110を備えるが、より多くの数またはより少ない数の断熱パネル110が例の活動的断熱パネル張り構成要素100に組み込まれてもよい。例えば、活動的断熱パネル張り構成要素100は、少なくとも3つ、4つ、5つ、またはより多くの断熱パネル110を備えてもよい。追加の断熱パネル110と、対応するガセット112とを備えることで、追加の断熱性および拡張性が達成され得る。
【0019】
描写されている例では、ガセット112が断熱パネルの各々の間に位置付けられる。ガセット112は、第1の材料層102と第2の材料層104とが一緒に取り付けまたは留め付けられて折り畳まれるとき、第1の材料層102および第2の材料層104の折り畳まれた部分から形成される。ガセット112の折り畳みパターンおよび構造は、後でさらに詳細に検討されている。ガセット112は、例の活動的断熱パネル張り構成要素100の拡張を可能にする。
【0020】
例の活動的断熱パネル張り構成要素100の各々の端は、端部分114も備え得る。端部分114は、例の活動的断熱パネル張り構成要素100を衣服により容易に組み込ませることができる取り付け表面または領域を提供する。例えば、端部分114は、より大きな衣服を形成する別の一片の材料に留め付け(例えば、縫い付け)され得る表面を提供する。
【0021】
図1Bは、縁取り116が例の活動的断熱パネル張り構成要素100の外側境界に取り付けられている例の活動的断熱パネル張り構成要素100を描写している。縁取り116は、例の活動的断熱パネル張り構成要素100の縁または境界をさらに封止するために加えられ得る。例えば、断熱パネル110における断熱材が落下するのを防止するために、断熱パネル110は、断熱パネル110の各々の各々の端を縫い付けることなどで、両方の側において封止され得る。断熱パネル110の封止は、例の活動的断熱パネル張り構成要素100の境界の周りに、仕上げステッチ線によって、および/または縁取り116を追加することで、達成され得る。
【0022】
他の例では、縁取り116は備えられなくてもよく、断熱パネル110の端は、例の活動的断熱パネル張り構成要素100が衣服に組み込まれるときに封止されてもよい。例えば、例の活動的断熱パネル張り構成要素100は、衣服に組み込まれるとき、例の活動的断熱パネル張り構成要素100のすべての側において衣服に留め付け(例えば、縫い付け、融着、溶接、接着、鋲留めなど)されてもよい。留め付け工程は、工程の間に断熱パネル110の端を封止することができる。しかしながら、例の活動的断熱パネル張り構成要素100が最終的な衣服とは別に製造される場合、縁取り116は、出荷または輸送のために、例の活動的断熱パネル張り構成要素100の耐久性を増加させることができる。他の例では、仕上げステッチ線が、断熱パネル110の1つまたは複数の端を閉じるために適用されてもよく、追加の材料が縁取りとして追加されない。
【0023】
図2Aは、閉状態での例の活動的断熱パネル張り構成要素100の前面図を描写している。閉状態では、ガセット112は、折り畳まれて断熱パネル110の後に留まっているため、かろうじて視認可能であり得る。図1A図1Bは、閉状態での例の活動的断熱パネル張り構成要素100を同様に描写した。ある例では、前面から見たとき、断熱パネル110の縁同士が互いと接触してガセット112の視認を妨げ得るため、ガセット112を全く視認することができない可能性がある。閉状態にある場合、例の活動的断熱パネル張り構成要素100は、外部の人の力が例の活動的断熱パネル張り構成要素100に加えられないとき、その通常の形状因子またはコンパクトな形状因子にある。
【0024】
図2Bは、拡張状態での例の活動的断熱パネル張り構成要素100の前面図を描写している。例の活動的断熱パネル張り構成要素100は、力が加えられて、例の活動的断熱パネル張り構成要素100を、黒矢印によって指示されているような方向へと外方へ引っ張るとき、拡張状態に入ることができる。引っ張り力は、端部分114のうちの1つまたは複数を、例の活動的断熱パネル張り構成要素100の中心から外方へ引っ張ることで適用され得る。力の方向は、ガセット112および断熱パネル110の交互のパターンを通過する線と略平行である方向と見なされ得る。
【0025】
引っ張り力の適用はガセット112を拡張させ、これは、例の活動的断熱パネル張り構成要素100の拡張を可能にする。ガセット112の拡張は、引っ張り力に応答してガセット112が少なくとも部分的に折り畳み解除するために起こる。例の活動的断熱パネル張り構成要素100が拡張状態にあるとき、ガセット112は、例の活動的断熱パネル張り構成要素100が閉状態にあるときよりも視認可能である。ある例では、ガセット112における中心ステッチが視認可能であってもよい。
【0026】
例の活動的断熱パネル張り構成要素100が衣服に組み込まれているとき、引っ張り力が人によって加えられ得る。例えば、端部分114が衣服に取り付けられている場合、運動選手が動くときに端部分114において引っ張り力が加えられ得る。活動的断熱パネル張り構成要素100が手袋の一部分に組み込まれている例では、運動選手が自身の拳を握りしめるとき、その行為は、活動的断熱パネル張り構成要素100を拡張させて拡張状態にさせる引っ張り力を端部分114にもたらすことができる。同様に、図8A図8C図9、および図10を参照して以下でさらに詳細に検討されているように、例の活動的断熱パネル張り構成要素100がジャケットに組み込まれている例では、ゴルフスイングの運動は、例の活動的断熱パネル張り構成要素100に引っ張り力を加える可能性がある。ガセット112が引っ張り力に応答して拡張するため、活動的断熱パネル張り構成要素100を伴う衣服は、例の活動的断熱パネル張り構成要素100のない等価の衣服より制約が少ない。
【0027】
図3A図3Bは、例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するときの例のステップを描写している。より具体的には、図3Aは、一連のステッチ線306を介して一体に結合されている第1の材料層302および第2の材料層304の側面図を描写している。図3Bは、同じ特徴の前面図を描写している。図3A図3Bとは同時に検討されている。第1の材料層302は、材料のシートなど、材料の連続した層として形成され得る。第2の材料層304は、同様に、材料のシートなど、材料の連続した層として形成され得る。先に検討されているように、第1の材料層302と第2の材料層304とは、同じ材料または異なる材料から形成され得る。
【0028】
複数のステッチ線306が、第1の材料層302を第2の材料層304に結合するために、または、第1の材料層302を第2の材料層304に部分的に取り付けるために、第1の材料層302および第2の材料層304を通じて適用される。ステッチ線306は、結合された第1の材料層302および第2の材料層304において異なる構造を定義または作成する。例えば、通路または管が、断熱パネル310を形成する各々の部分のために形成される。断熱パネル310を形成する、または形成することになる部分の各々は、図3Bにおいて「A」が印されている(この印は、同じく図4図7を通じて一貫している)。
【0029】
ステッチ線306はガセット312も定め、ガセット312を形成するのを助ける。ステッチ線306は、ガセット312のための折り畳み位置を定めることができる。ガセット312を形成する、または形成することになる部分の各々は、図3Bにおいて「B」が印されている(この印は、同じく図4図7を通じて一貫している)。端部分314にもBが印されている。各々のガセット312は、3つのステッチ線306を含み得る。ステッチ線306のうちの2つは、ガセット312の境界を定める。もう1つのステッチ線306は、ガセットの中心領域に形成され得る。
【0030】
区域AおよびBがそれぞれ、断熱パネルについては参照符号310で印され、ガセットについては参照符号312で印されているが、図3A図3Bに描写されている製造段階において、断熱パネル310およびガセット312はまだ完全に形成されていないことは理解されるべきである。例えば、区域Aはまだ断熱材で満たされておらず、区域Bはガセットを形成するようにまだ折り畳まれていない。したがって、断熱パネル310を形成するための各々の区域Aは断熱パネル形成区域と称されてもよく、ガセット312を形成するための各々の区域Bはガセット形成区域と称されてもよい。同様に、ステッチ線306は、異なる区域の形成をもたらすため、形成ステッチ線306と称されてもよい。
【0031】
例の境界ステッチ線306Bおよび中心ステッチ線306Cが、図3Bで特定されている。境界ステッチ線306Bは、断熱パネル形成区域の境界と、ガセット形成区域の境界とを定める。例えば、隣接する断熱パネル形成区域とガセット形成区域とは、共通の境界ステッチ線306Bを共有する。境界ステッチ線306Bは、断熱パネル形成区域およびガセット形成区域の輪郭を描いている。中心ステッチ線306Cは、ガセット312の中間に位置付けることができ、または、別の言い方をすれば、ガセット312の境界を定める境界ステッチ線306Bから等距離に位置付けることができる。他の例では、中心ステッチ線306Cは、ガセット312のための異なる折り畳み位置を定めるために中心からずれていてもよく、これは、異なる種類の実施に適する異なる機能的な拡張特性を提供することができる。
【0032】
図3Bは、例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するときに利用され得るいくつかの寸法も描写している。製造のこの段階(例えば、折り畳む前)におけるパネル張り構成要素の幅が寸法D1によって指示されており、長さが寸法D2によって指示されている。ある例では、長さが幅以上であり得る。他の例では、幅が長さより大きくなり得る。形成ステッチ線306は、実質的にパネル張り構成要素の幅にわたって延び得る。例えば、形成ステッチ線306の長さは、パネル張り構成要素の幅(D1)の少なくとも90%であり得る。
【0033】
断熱パネル310のための区域Aの幅(例えば、区域Aを定める境界ステッチ線306B同士の間の距離)は、寸法D3によって指示されている。ガセット312のための区域Bの幅(例えば、区域Bを定める境界ステッチ線306B同士の間の距離)は、寸法D4によって指示されている。区域Bを定める境界ステッチ線306Bと中心ステッチ線306Cとの間の距離は、寸法D5によって指示されている。
【0034】
描写されている例では、断熱パネル310のための区域Aの幅は、ガセット312のための区域Bの幅より大きい(つまり、D3>D4)。D3をD4より大きくすることで、追加的な断熱特性が、結果的にできるパネル張り構成要素によって提供される。区域Aの幅(D3)は、最終的なパネル張り構成要素が、異なる幅を有する断熱パネルを備えるように、変更または変化してもよい。
【0035】
ある例では、少なくとも2:1の断熱パネルの幅とガセットの幅との比が利用され得る(例えば、D3>2*D4)。パネルの幅とガセットの幅との比の他の例は、0.1*D3<D4<0.5*D3の範囲内にあり得る。ガセット312のための区域Bの幅(D4)を増加させることで、いくつかの追加的な拡張特性をパネル張り構成要素に提供することもできる。例えば、より太いガセット312は、より細いガセット312よりさらに拡張することができる。しかしながら、ガセット312の幅にはいくつかの制限がある可能性があり得、その場合、追加の織物の長さは、パネル張り構成要素の他の寸法のため、追加の拡張を提供しない。ある例では、ガセット312の幅(D4)は、構成要素の幅(D1)の半分未満または3分の1未満であり得る(例えば、D4<D1/2またはD4<D1/3)。中心ステッチ線306Cが区域Bを定める境界ステッチ線306B同士の間で中心付けられる例では、寸法D5は寸法D4の半分である。ある特定の非限定的な例では、D1は約11インチであり、D2は約14.5インチであり、D3は約2インチであり、D4は約0.75インチであり、D5は約0.375インチである。
【0036】
図4A図4Cは、例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するときの別の例のステップを描写している。より具体的には、図4Aは、一体に結合され、断熱パネル形成区域を断熱材308で満たした後の、第1の材料層302および第2の材料層304の側面図を描写している。図4Bは、同じ特徴の前面図を描写している。第1の材料層302と第2の材料層304とが、図3A図3Bを参照して先に検討されているように、ステッチ線306によって結合された後、断熱材308が追加され得る。断熱材は、断熱パネル310のための各々の区域Aによって形成される管または通路へと吹き込まれ得る。断熱材は、高い断熱特性をなおも有する軽量な断熱材であり得る。例えば、軽量は断熱材は不織断熱材であり得る。1つの例の断熱材は、Ziran Thermolite Poly Down Blown Insulation FL-3である。
【0037】
図4Aにおいて見られるように、断熱パネル形成区域(区域A)を断熱材308で満たすことで、加えられた断熱材308の量に基づかれる厚さと、断熱パネル310を形成するために使用される区域Aの幅(D3)とを有する断熱パネル310をもたらす。しかしながら、ガセット312を形成するためのガセット形成区域(区域B)は、図4Aでも示されているように、この製造ステップでは平坦なままとなり得る。他の例では、図4Aでは描写されていないが、区域Bも断熱材308で少なくとも部分的に満たされてもよい。例えば、ステッチ線306が適用された後、区域Bは2つのより小さい管または通路を備える。それらの管または通路は、断熱材308で少なくとも部分的に満たされてもよい。区域Bのそれらのより小さい管は、ガセット312を形成するように区域Bにおける材料の折り畳みを可能とするために、区域Aの管より少ない度合いまで(例えば、全体で可能な充填のより少ないパーセンテージまで)満たされてもよい。ある例では、断熱材で満たされると、断熱パネル形成区域は0.2~1.0インチの間の厚さを有し、ガセット形成区域は0.15インチ未満の厚さを有し得る。
【0038】
図5A図5Cは、例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するときの別の例のステップを描写している。より具体的には、図5Aは、ガセット312を形成するガセット形成区域(区域B)についての折り畳みの開始におけるパネル張り構成要素の側面図を描写している。初期の折り畳み段階は、ある区域Aの縁を、隣接する区域Aの縁へと持って行くために、区域Bを中心ステッチ線306に沿って折り畳むことを含む。例えば、描写されているように、区域Bは、区域Aの上縁がその上の区域Aの下縁に接するように折り畳まれる。図5Bは、折り畳みが完了させられた後のパネル張り構成要素の側面図を示している。見て取れるように、隣接する区域Aまたは断熱パネル310の縁同士は、互いと近接させられている。
【0039】
区域Aの縁が、図5Bに示されているように、隣接する区域Aの縁と重なり得る。折り畳まれた区域Bは、どちらの区域Aの縁が他のものと重なるかに応じて、一方の方向または他方の方向において指す、または延びることになる。異なる区域Aまたは断熱パネル310への参照は、(パネル張り構成要素の長さに沿っての)パネル張り構成要素の中心に対するそれらの場所に関連して行われ得る。例えば、特定のガセット形成区域313(区域B)が図5Aに印されている。そのガセット形成区域313は、符号311Cおよび311Pとして印されている2つの隣接する断熱パネル形成区域(区域A)を有する。特定されたガセット形成区域313に対する断熱パネル形成区域311Cは、ガセット形成区域313からパネル張り構成要素の中心の方であるため、中心断熱パネル形成区域311Cと称される。特定されたガセット形成区域313に対する断熱パネル形成区域311Pは、ガセット形成区域313からパネル張り構成要素の周辺の方(例えば、中心から離れる方)であるため、周辺断熱パネル形成区域311Pと称される。
【0040】
図5Bに描写されている例の折り畳み動作において、ガセット形成区域313の折り畳みは、中心断熱パネル形成区域311Cの境界を周辺断熱パネル形成区域311Pの境界に重ねさせる。別の言い方をすれば、中心断熱パネル形成区域311Cの境界は、周辺断熱パネル形成区域311Pの境界の上に(パネル張り構成要素の前に向けて)ある。このような構成は、結果的にできたガセットを、パネル張り構成要素の中心に向けて拡張させる。理解されるように、折り畳み動作は、周辺断熱パネル形成区域311Pの境界を中心断熱パネル形成区域311Cの境界に重ねさせる場合、結果的にできたガセットは、パネル張り構成要素の周辺を向くように指すことになる。
【0041】
ガセットが指す方向は、ガセットがどのように拡張および収縮するかについての何らかの機能的効果に、ガセットがどのように折り畳み解除するかをさせることができる。結果として、ある例では、ガセット区域のすべての折り畳みについて、それぞれの中心断熱パネル形成区域はそれぞれの周辺断熱パネル形成区域と重なることができ、これによって、すべてのガセットはパネル張り構成要素の中心の方を指す。このような構成は、パネル張り構成要素のより対称的な拡張および収縮を向上または生成することができる、パネル張り構成要素にわたっての対称性を提供する。他の例では、ガセット区域のすべての折り畳みについて、それぞれの周辺断熱パネル形成区域はそれぞれの中心断熱パネル形成区域と重なることができ、これによって、すべてのガセットはパネル張り構成要素の周辺の方を指す。このような構成も、パネル張り構成要素のより対称的な拡張および収縮を向上または生成することができる、パネル張り構成要素にわたっての対称性を提供する。
【0042】
図5Cは、折り畳みが完了させられた後のパネル張り構成要素の前面図を描写している。図5Cから見られるように、ガセット312を形成するガセット形成区域(区域B)は、もはや視認できない可能性がある、または、折り畳みステップの後に前面からは最小限にしか視認できない可能性がある。
【0043】
図6は、例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するときの別の例のステップを描写している。より具体的には、図6は、先に検討されている折り畳みが完了させられ、仕上げステッチ線318が加えられた後のパネル張り構成要素の前面図を描写している。図5A図5Cに関して先に検討されている折り畳みが完了させられた後、1つまたは複数の連続的な仕上げステッチ線318が加えられてもよい。仕上げステッチ線318は、断熱材308で満たされた管または通路を封止する。仕上げステッチ線318は、折り畳みの間に一体にさせられる区域Aの縁同士を付着することで、折り畳みを永久的にするように折り畳みを固定もする。例えば、仕上げステッチ線318において、区域Aの縁同士が一体に結合され、ガセット312が形成される。したがって、ガセット形成区域(区域B)の折り畳みが仕上げステッチ線318において固定される。したがって、隣接する区域Aの境界同士は2つの位置で結合されるが、境界同士は、追加の仕上げステッチ線318が使用される追加の位置において結合されてもよい。
【0044】
仕上げステッチ線318は、寸法D6によって指示されている距離によって、パネル張り構成要素の外側縁から余白が取られてもよい。余白距離D6は、パネル張り構成要素に適用され得る縁取りの種類、および/または、パネル張り構成要素を衣服へ取り付けるか、またはそうでなければ組み込むのに望まれる表面積の大きさに基づいて、設定され得る。ある例では、寸法D6は約1/4インチとできるが、値D6は、パネル張り構成要素の全体の大きさに基づかれてもよい。
【0045】
図7A図7Bは、例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するときの別の例のステップを描写している。具体的には、図7Aは、縁取り316がパネル張り構成要素に加えられた後のパネル張り構成要素の側面図を描写している。図7Bは、縁取り316が追加させられた後のパネル張り構成要素の前面図を描写している。仕上げステッチ線318が追加された後、図6を参照して先に記載されているように、縁取り316がパネル張り構成要素に取り付けられてもよい。ある例では、縁取り316は、仕上げステッチ線318の前に加えられてもよい、または、仕上げステッチ線318の代わりに加えられてもよい。
【0046】
縁取り316は、パネル張り構成要素の周囲全体の周り(パネル張り構成要素の外側の縁または辺のすべての周り)に取り付けることができる。他の例では、縁取り316は、パネル張り構成要素の辺のすべてには取り付けられなくてもよい。例えば、縁取り316は、パネル張り構成要素の長さで延びる辺の対のみに取り付けられてもよい。代替で、縁取り316は、パネル張り構成要素の幅で延びる辺の対のみに取り付けられてもよい。
【0047】
縁取り316は、パネル張り構成要素の前および後において、図6に描写されている距離D6のおおよそまたはほとんどの距離で、パネル張り構成要素において内方に延びてもよい。縁取り316は、第1の材料層302および/または第2の材料層304として使用されている材料と同じまたは異なる材料から作られ得る。ある例では、縁取り316は、第1の材料層302および/または第2の材料層304より重たい重量の材料から作られ得る。
【0048】
「ステッチ線」という用語は、パネル張り構成要素のための結合線および封止線を記載するために上記で使用されているが、ステッチ線という用語が縫うことだけに限定されないことは理解されるべきである。例えば、本明細書で使用されているように、ステッチ線は、縫い付け、溶接、融着、接着など、織物などの2つの材料片を結合するための任意の種類の方法を含み得る。
【0049】
図8Aは、例のジャケット800の前面図を描写している。ジャケット800は、胴部分802と、胴部分802に取り付けられた右袖804と、胴部分802に取り付けられた左袖806とを備える。襟808が胴部分802に少なくとも部分的に取り付けられる。ジャケット800の全長で延びるジッパ812が含まれ得る。他の例では、ジッパ812は、クオータージップまたはハーフジップのジャケットを形成するために、ジャケット800の4分の1または半分で延び得る。1つまたは複数のポケット810がジャケットの胴部分に組み込まれてもよい。
【0050】
ジャケットの前側または胸側は断熱区分816を含んでもよい。断熱区分816は、概して横に(例えば、左から右へと、または、右から左へと、身体を横切って)延び得る。例えば、断熱区分816のうちの1つまたは複数の横寸法は、断熱区分816の高さまたは鉛直寸法より大きくてもよい。ある例では、断熱区分816は、図8Aに示されたようなキルトパターンを形成するために、材料の2つのシートの間に(吹き込み断熱材ではなく)断熱材料のシートを組み込み、ステッチ線を適用することで製造され得る。断熱区分816の外側材料は、先に検討された活動的断熱パネル張り構成要素のための第1の材料層および/または第2の材料層として使用される材料と同じであってもよい。
【0051】
右袖804および左袖806も断熱区分818を備えてもよい。断熱区分818は、胴部分802における断熱区分816と同様に製造され得る、および、断熱区分816と同様の特性を共有し得る。右袖804および左袖806は袖口814もそれぞれ備え得る。袖口814は、着用者の手首により良好に密着または形成するように、弾性材料から作られてもよい。
【0052】
図8Bは、ジャケット800の後に組み込まれる活動的断熱パネル張り構成要素850を有する例のジャケット800の後面図を描写している。図8Bは、着用者が比較的安静にしており、活動的断熱パネル張り構成要素850に引っ張り力を発揮していないときなど、閉状態での活動的断熱パネル張り構成要素850を描写している。図8Cは、活動的断熱パネル張り構成要素850が拡張状態にある状態での例のジャケット800の後面図を描写している。活動的断熱パネル張り構成要素850は、着用者が、自身の腕を動かすとき、または、図8Cにおいて黒矢印によって指示されている方向に引っ張り力をもたらす行為を実施するとき、拡張状態になり得る。引っ張り力は、活動的断熱パネル張り構成要素850の形成ステッチ線に対して直交する方向になると見なすことができる。例えば、直用者が自身の胴の前で地震の腕を交差させるとき、引っ張り力が活動的断熱パネル張り構成要素850の縁に発揮され、活動的断熱パネル張り構成要素850を拡張させる。このような行為は、着用者が、数ある種類の活動の中でも、ゴルフスイングを行うときに起こる可能性がある。拡張の量は、活動的断熱パネル張り構成要素850の縁が最大拡張の大きさまでどれだけ遠くに互いから引き離されるかに依存する。
【0053】
活動的断熱パネル張り構成要素850は、複数の断熱パネル852と複数のガセット854とを備える。ガセット854は、断熱パネル852の各々の対の間に位置付けられている。先に検討されているように、ガセット854は、引っ張り力が発揮されるとき、活動的断熱パネル張り構成要素850を拡張させることができる。ガセット854は、活動的断熱パネル張り構成要素850を拡張させ、最終的にはジャケット800を拡張させるために、引っ張り力に応答して拡張または折り畳み解除する。したがって、着用者は、活動的断熱パネル張り構成要素850のないジャケットと比較して、ジャケット800からの制約が実質的により少ない状態で、活動に参加することができる。
【0054】
描写されている例では、活動的断熱パネル張り構成要素850は、5つの断熱パネル852と、4つのガセット854とを備える。断熱パネル852は、鉛直方向(例えば、頭からつま先への方向、または、つま先から頭への方向)においてそれぞれ拡張する。例えば、断熱パネル852の各々の最も長い寸法は鉛直方向にあり、断熱パネル852の各々の長さは、断熱パネル852の各々の幅の少なくとも4倍である。ガセット854は、それぞれのガセット854が間に位置付けられる断熱パネル852の対と同様の長さを共有する。
【0055】
活動的断熱パネル張り構成要素850は、様々な場所においてジャケット800の他の部分に取り付けまたは結合される。例えば、活動的断熱パネル張り構成要素850の上部は、襟808に少なくとも部分的に結合される。外側の断熱パネル852が、活動的断熱パネル張り構成要素850の上部における袖804、806の一部分に結合されてもよい。活動的断熱パネル張り構成要素850の横縁(例えば、各々の袖に向かう)において、活動的断熱パネル張り構成要素850は、胴部分802の後側において追加の断熱区分820に取り付けられる。断熱区分820は、ジャケット800の胴部分の前側または下方後側における断熱区分816と同様であり得る。断熱区分820は、断熱パネル852の長さに対して略直交している方向に延び得る。
【0056】
活動的断熱パネル張り構成要素850の下部において、湾曲ステッチ線822が、活動的断熱パネル張り構成要素850を下方胴部分802と結合するために使用され得る。湾曲ステッチ線822が使用されている例では、活動的断熱パネル張り構成要素850の下方の縁または境界も湾曲させられ、湾曲ステッチ線822と共通の曲率半径を共有し得る。湾曲ステッチ線822は、ジャケット800の後にわたって、部分的にジャケットの前へと延びてもよい。例えば、湾曲ステッチ線822は図8Aにも示されている。湾曲ステッチ線822は、ポケット810において途切れ得る、および/または、他のステッチ線がポケット810と一致する。後の断熱区分820および816はジャケット800の前にも延びてもよい。湾曲ステッチ線822と、活動的断熱パネル張り構成要素850の湾曲した下縁とを有することは、着用者が行為を完了したとき、ジャケット800のより少ない制約およびより自然な感触を可能にする。
【0057】
湾曲ステッチ線822および活動的断熱パネル張り構成要素850の湾曲した下縁のおかげで、活動的断熱パネル張り構成要素850の断熱パネル852は異なる長さを有する。ある例では、断熱パネル852のいずれかについての最小長さは、(襟の上部から胴部分の下部までで測定される)ジャケット800の長さの3分の1または4分の1であり得る。着用者の背中の中間までなど、断熱パネル852にいくらか実質的な長さを持たせることで、より良好な拡張およびより少ない制約が達成され得る。例えば、断熱パネル852が短すぎる場合、ジャケット800は着用者にとってなおもいくらか制約的となり得る。
【0058】
いくつかの例では、追加的な活動的断熱パネル張り構成要素を袖804、806の1つまたは複数へと組み込むことで、追加的な柔軟性がジャケット800に加えられてもよい。例えば、活動的断熱パネル張り構成要素が、袖804、806のさらなる柔軟性を可能とするために、肘の近くなど、各々の袖の中間に向けて組み込まれてもよい。代替または追加で、活動的断熱パネル張り構成要素が、袖と胴部分との間の連結位置において(例えば、肩部において)組み込まれてもよい。活動的断熱パネル張り構成要素の一端が袖804または806に連結されてもよく、他端が拡張を可能とするために胴部分802に連結されてもよい。
【0059】
図9は、例のジャケット800の内部構造を描写している。示された内部構造は、部分的に完成したジャケット800についてであり、襟808が活動的断熱パネル張り構成要素850に部分的に結合されている。活動的断熱パネル張り構成要素850の横縁を、図8Bの断熱区分820など、胴部分の残りの部分に結合するステッチ線は、図9においても見られる。湾曲ステッチ線822および活動的断熱パネル張り構成要素850の下縁について、曲率半径(R)も描写されている(正確な縮尺ではない)。ある例では、平均曲率半径(R)は、10インチ、12インチ、または14インチより大きく、30インチ未満であり得る。
【0060】
弾性バンド856がジャケット800の内部に組み込まれてもよい。弾性バンド856は、拡張状態から閉状態への活動的断熱パネル張り構成要素850の収縮を支援するために組み込まれ得る。例えば、着用者が活動的断熱パネル張り構成要素850において引っ張り、活動的断熱パネル張り構成要素850を拡張させる行為を完了するとき、活動的断熱パネル張り構成要素850は、完全に閉じない、またはそれ自体で収縮しない可能性がある。例として、ガセット854が部分的に折り畳み解除または拡張するとき、ガセット854は、引っ張り力が除去されたときにすぐに再び折り畳みまたは収縮しない可能性がある。収縮を支援し、その閉状態へと戻るためにガセット854および活動的断熱パネル張り構成要素850を支援するために、弾性バンドは、活動的断熱パネル張り構成要素850および/またはジャケット800に組み込まれてもよい。
【0061】
弾性バンド856は、ジャケット800における様々な位置に取り付けられる。弾性バンド856の端は、袖が取り付けられる袖縫い目または袖ぐり860に取り付けられ得る。弾性バンド856は、1つまたは複数のガセット854に取り付けられてもよい。例えば、描写されている例では、弾性バンド856は、活動的断熱パネル張り構成要素850においてガセット854の各々に取り付けられる。弾性バンド856は、数ある取り付けの形態の中でも、当業者によって理解される一連の縫い目であるバータック858で、ガセットに取り付けまたは結合させることができる。2つのバータック858が各々のガセット854のために使用されてもよく、バータック858は、例えば1/4インチのバータックであり得る。バータック858は、弾性バンド856とガセット854の平坦部分とを通じて適用され得る。弾性バンド856は、図9に示されているようなバータック858で端部分(例えば、活動的断熱パネル張り構成要素850が胴部分802の残りの部分に連結する場所)に取り付けられてもよい。注目すべきことに、描写されている例では、弾性バンド856は断熱パネル852のいずれにも取り付けられていない。弾性バンド856は、ある例では、0.5インチから3インチの間の幅を有し得る。
【0062】
ガセット854は、同じ方向または異なる方向においてすべて折り畳まれ得る。例えば、活動的断熱パネル張り構成要素850の中心の一方の側におけるガセット854は、ある方向に折り畳むことができ、中心の他方の側におけるガセット854は、異なる方向に折り畳むことができる。例えば、すべてのガセット854は、中心に向けて、または、中心から離れる方に、折り畳むことができる。
【0063】
図10は、別の例のジャケット1000の後面図を描写している。例のジャケット1000は、先に記載されている例のジャケットと同様の特徴を多く含む。例えば、例のジャケット1000は、右袖1004と、左袖1006と、袖口1014と、襟1008とを備える。ジャケット1000の胴部分は断熱区分1016を備え、袖は断熱区分1018を備える。
【0064】
例のジャケット1000は活動的断熱パネル張り構成要素1050も備える。活動的断熱パネル張り構成要素1050は、複数の断熱パネル1052と複数のガセット1054とを備える。先に検討されている他の活動的断熱パネル張り構成要素のように、活動的断熱パネル張り構成要素1050のガセット1054は、断熱パネル1052同士の間に位置付けられている。例の活動的断熱パネル張り構成要素1050は、先に検討されているパネル張り構成要素より多くの断熱パネル1052も備える。図10における例の活動的断熱パネル張り構成要素1050は、17枚の断熱パネル1052を備える。
【0065】
活動的断熱パネル張り構成要素1050は、活動的断熱パネル張り構成要素1050の下方の縁において、ステッチ線1021によってジャケットに組み込まれている。活動的断熱パネル張り構成要素1050の上縁は、活動的断熱パネル張り構成要素1050を襟1008から離間させる離間パネル1062に取り付けられている。例えば、離間パネル1062の上側は襟1008に取り付けることができ、離間パネル1062の右側は右袖1004に取り付けることができ、離間パネル1062の左側は左袖1006に取り付けることができ、離間パネル1062の下部は活動的断熱パネル張り構成要素1050に取り付けることができる。離間パネル1062は、ある例において追加の快適性を提供するために、活動的断熱パネル張り構成要素1050を着用者の首からずらすことができる。
【0066】
「ジャケット」という用語は、図8A図8C図9、および図10における例の衣服を説明するために使用されているが、ジャケットという用語は、任意の種類の上半身の衣服であると理解されるべきであり、コート、シャツ、ベスト、パーカー、クオータージップの衣服、ハーフジップの衣服などを含む。同様に、ジャケットは、長袖のジャケットであるように示されているが、半袖のジャケットであってもよい。
【0067】
具体的な衣服およびその意図されている用途に応じて、衣服を形成するために使用される材料は、撥水性、通気性など、異なる特性を有することができる。例えば、疎水性の被覆が、積層の外側層に当たる水滴をはじくのを助ける耐久撥水(DWR)処理を提供するために、外側層における最終的な処理として使用されてもよい。耐水性の織物が、外側材料層のためなどに使用されてもよい。本明細書で使用されているように、「耐水性の織物」とは、水に対して実質的に不浸透性である織物である。ある例では、「耐水性の織物」という用語は、1,000mmより大きい耐水性を有する織物として定められてもよく、これはmm単位の水の量であり、水が浸み込んでくる前に織物の上方で保留できる。しかしながら、この閾値より上の値および下の値が使用されてもよい。「耐候性の織物」も、材料層のうちの1つまたは複数として利用されてもよい。本明細書で使用されているように、「耐候性の織物」とは、水および/または風に対して概して耐久性のある織物である。ある例では、耐候性の織物は、水に対して実質的に不浸透性であり、低い率の水蒸気の透過を呈する織物を備え得る。水蒸気透過率は、水蒸気が所与の物質を通じて移動する率である。
【0068】
先に検討されているジャケットは、軽量で非弾性の織物の使用を主に考えているが、本明細書では、90g/m2~149g/m2、さらには150g/m2~250g/m2、またはそれ以上の範囲での重量を伴う織物など、より重い非弾性の織物が、追加の重量または耐久性が望まれ得る異なる用途でのジャケットまたは衣服のために使用されてもよいことも考えられている。外側層を形成する織物などの織物は、例えばDWR化学品など、防水加工およびダウンプルーフ加工の化学品で処理されてもよい。寒い天候用の衣服が、ダウンまたは合成熱繊維で満たされ得るため、これらの処理の上側は、充填物が繊維から突き出るのを防止し、環境からの水分が衣服の内部に入るのを防止するものである。織物におけるこれらの化学処理の下側は、これらの処理が、通気された寒い天候用の衣服が着用されている構成にあるとき、発汗から発生させられる水分が蒸発するのを妨げる障壁を作り出す可能性がある。
【0069】
あるより特定の例として、ある用途について、ジャケットまたは衣服は、試験方法: JIS L1092:2009、7.1.2節の方法Bの高静水圧試験に従って測定されるような水浸透に対して良好な耐性を有し得る。つまり、ジャケットまたは衣服が雨または雪の用途のためである例では、相当の量の水がジャケットまたは衣服の外側からジャケットの内側へと浸透することはない。例えば、ジャケットまたは衣服は、10,000mm超、20,000mm超、さらには30,000mm超の耐水性を有し得る。一例では、ジャケットまたは衣服は、約10,000mmから約40,000mmまでの範囲にある耐水性を有し得る。例えば、ジャケットまたは衣服は、約15,000mmから約35,000mmまでの範囲にある耐水性を有し得る。他の例では、ジャケットまたは衣服は、約21,000mmから約31,000mmまでの範囲にあり、ある例では約28,000mmから約30,000mmまでの範囲にある耐水性を有し得る。
【0070】
ある用途では、ジャケットまたは衣服は、試験方法: JIS L1092:2012、方法B-1の酢酸カリウム方法に従って測定されるような良好な水分ウィッキング特性も有して、または代替で有して製造されてもよい。水蒸気は、ジャケットまたは衣服の内側からジャケットまたは衣服の外側へと離れるようにウィッキングされ、水蒸気透過性と称されてもよい。ある例では、用途に応じて、ジャケットまたは衣服は、8,000g/m2/24hr超、10,000g/m2/24hr超、および/または15,000g/m2/24hr超の水蒸気透過性を有し得る。ある用途では、ジャケットまたは衣服は、約8,000から約20,000g/m2/24hrまでの範囲にある水蒸気透過性を有し得る。例えば、ジャケットまたは衣服は、約10,000から約18,000g/m2/24hrまでの範囲にある水保護性を有し得る。他の例では、ジャケットまたは衣服は、約12,000から約15,000g/m2/24hrまでの範囲、より具体的には、約14,000から約15,000g/m2/24hrまでの範囲にある水保護性を有する。ある例では、水蒸気透過性に対する耐水性の比が、約1.00に対して約1.00であり、好ましくは、約1.00:1.00~約5.00:1.00の範囲内にある。一例では、水蒸気透過性に対する耐水性の比は、約1.00に対して約2.00である。他の例では、水蒸気透過性に対する耐水性の比は、約1.00に対して約3.00である。
【0071】
図11は、例の活動的断熱パネル張り構成要素を製造するための例の方法1100を描写している。動作1102において、一連の形成ステッチ線が、2つの織物層を部分的に一体に結合するために適用される。形成ステッチ線は、縫い付け、裁縫、または他の結合技術によって適用され得る。2つの織物層は、先に検討されている第1の材料層302と第2の材料層304とを備え得る。形成ステッチ線は、先に検討されている形成ステッチ線306を含み得る。動作1102において適用された形成ステッチ線は、一連の断熱パネル形成区域(例えば、図3Bにおける区域A)と、ガセット形成区域(例えば、図3Bにおける区域B)とを定める。例えば、ステッチ線は、異なる種類の区域の輪郭を描く境界ステッチ線を含み得る。形成ステッチ線は、ガセット形成区域の各々において中心ステッチ線も含み得る。一連の断熱パネル形成区域は、断熱材が2つの織物層の間に加えられ得るように、通路または管を形成することができる。
【0072】
動作1104において、断熱パネル形成区域が断熱材で満たされる。例えば、断熱材は2つの織物層の間に加えられる。断熱材は、断熱パネル形成区域によって形成される管または通路へと吹き込まれる吹き込み断熱材であり得る。
【0073】
動作1106において、隣接する断熱パネル形成区域の境界同士を一体にするために、ガセット形成区域が折り畳まれる。例えば、ガセット形成区域は、隣接する断熱パネル形成区域の境界同士を一体にするために、中心ステッチ線に沿って折り畳まれ得る。隣接する断熱パネル形成区域の境界同士は互いと重なってもよい。例えば、中心断熱パネル形成区域は、それぞれの周辺断熱パネル形成区域と重なることができる。他の例では、周辺断熱パネル形成区域は、それぞれの中心断熱パネル形成区域と重なることができる。
【0074】
動作1108において、折り畳み動作1106の後、1つまたは複数の仕上げステッチ線が適用される。仕上げステッチ線は、先に検討されている仕上げステッチ線318であり得る。仕上げステッチ線は、動作1102において適用された形成ステッチ線に対して略直交し得る。例えば、1つまたは複数の仕上げステッチ線と1つまたは複数の形成ステッチ線との間の角度は90度±45度であり得る。
【0075】
仕上げステッチ線は、断熱材で満たされた断熱パネル形成区域を封止することができる。断熱パネル形成区域を封止することは、断熱材が断熱パネル形成区域から落下するのを実質的に防止する。形成ステッチ線は、ガセット形成区域の折り畳みまたは折り重ねを固定することもできる。例えば、仕上げステッチ線は、断熱パネル形成区域の重なる境界を通じた縫い付けを提供することができ、これは、仕上げステッチ線の位置において折り畳みを固定する。仕上げステッチ線の適用は、活動的断熱パネル張り構成要素をもたらす可能性がある。
【0076】
動作1110において、縁取りが活動的断熱パネル張り構成要素に取り付けまたは結合され得る。縁取りは、活動的断熱パネル張り構成要素の周辺もしくは周囲の周りに、および/または、先に検討されているように、パネル張り構成要素の1つもしくは複数の辺に、取り付けられ得る。
【0077】
動作1112において、活動的断熱パネル張り構成要素は、衣服に結合、取り付け、またはそうでなければ組み込まれる。例えば、活動的断熱パネル張り構成要素は、活動的断熱パネル張り構成要素の組み合わされた拡張および断熱材の構成要素から便益を得る数ある種類の衣服の中でも、ジャケット、パンツ、手袋、および/または靴に結合され得る。例として、活動的断熱パネル張り構成要素は、先に記載されているジャケットなど、ジャケットの胴部分の後側に結合され得る。活動的断熱パネル張り構成要素を結合することは、活動的断熱パネル張り構成要素を、本明細書で検討されている数ある取り付け構成の中でも、ジャケットの胴部分および/または襟に取り付けることを含み得る。
【0078】
動作1112は、弾性バンドを活動的断熱パネル張り構成要素および/または衣服に取り付けることも含み得る。弾性バンドは、活動的断熱パネル張り構成要素のガセットのうちの1つまたは複数に、ならびに、袖縫い目など、衣服における1つまたは複数の場所に、取り付けられ得る。弾性バンドは、バータックまたは他の取り付け機構を介して取り付けられ得る。
【0079】
特定の装置および過程が、特定の機能を実施するとして本開示を通じて提唱されてきたが、当業者は、これらの装置が例示の目的のために提供されており、他の装置が、本明細書で開示されている機能を、本開示の範囲から逸脱することなく実施するために用いられ得ることを理解するものである。また、本開示のある態様が、本開示の態様によるシステムおよび方法のブロック図および/または動作の図示を参照して、上記で説明されている。ブロックでの機能、動作、および/または行為は、それぞれの流れ図に示されている順番以外で行われてもよい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、含まれる機能性および実施に応じて、実質的の同時に、または、逆の順番で、実行または実施されてもよい。
【0080】
本開示は、可能な実施形態のうちの一部だけが示されている添付の図面を参照して、本技術のいくつかの実施形態を記載している。しかしながら、他の態様が、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書で述べられている実施形態に限定されるとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底した完全なものとなり、可能な実施形態の範囲が当業者に完全に伝えられるように提供された。さらに、本明細書で使用されているように、「要素A、要素B、または要素Cのうちの少なくとも1つ」という文言は、要素A、要素B、要素C、要素Aおよび要素B、要素Aおよび要素C、要素Bおよび要素C、ならびに、要素A、要素B、および要素Cのいずれかを伝えるように意図されている。さらに、当業者は、「約」または「実質的」などの用語が、本明細書で利用されている測定技術を考慮して、伝えられる度合いを理解するものである。このような用語が、明確に定義されない可能性がある程度まで、または当業者によって理解されない可能性がある程度まで、「約」という用語は±10パーセントを意味する。
【0081】
特定の実施形態が本明細書において記載されているが、本技術の範囲はそれらの特定の実施形態に限定されない。さらに、異なる例および実施形態が別々に記載され得るが、このような実施形態および例は、本明細書に記載されている技術を実施するとき、互いと組み合わされてもよい。当業者は、本技術の範囲および精神の中にある他の実施形態または改善を認識するものである。そのため、特定の構造、行為、または媒体が、例示の実施形態としてのみ開示されている。本技術の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその任意の等価物によって定められる。
【符号の説明】
【0082】
100 活動的断熱パネル張り構成要素
102 第1の材料層
104 第2の材料層
106 ステッチ線
108 断熱材
110 断熱パネル
112 ガセット
114 端部分
116 縁取り
302 第1の材料層
304 第2の材料層
306 形成ステッチ線
306B 境界ステッチ線
306C 中心ステッチ線
308 断熱材
310 断熱パネル
311C 中心断熱パネル形成区域
311P 周辺断熱パネル形成区域
312 ガセット
313 ガセット形成区域
314 端部分
316 縁取り
318 仕上げステッチ線
800 ジャケット
802 胴部分
804 右袖
806 左袖
808 襟
810 ポケット
812 ジッパ
814 袖口
816、818、820 断熱区分
822 湾曲ステッチ線
850 活動的断熱パネル張り構成要素
852 断熱パネル
854 複数のガセット
856 弾性バンド
858 バータック
860 袖ぐり
1000 ジャケット
1004 右袖
1006 左袖
1008 襟
1014 袖口
1016 断熱区分
1018 断熱区分
1021 ステッチ線
1050 活動的断熱パネル張り構成要素
1052 断熱パネル
1054 ガセット
1062 離間パネル
A 断熱パネル形成区域
B ガセット形成区域
D1 パネル張り構成要素の幅
D2 パネル張り構成要素の長さ
D3 区域Aの幅
D4 区域Bの幅
D5 境界ステッチ線306と中心ステッチ線306との間の距離
D6 余白距離
R 曲率半径
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
【外国語明細書】