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特開2022-169494医用DICOM画像を送信する方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169494
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】医用DICOM画像を送信する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 30/20 20180101AFI20221101BHJP
【FI】
G16H30/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073880
(22)【出願日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】202110458895.3
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】505050027
【氏名又は名称】株式会社ビットストロング
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 啓
(72)【発明者】
【氏名】于 全文
(72)【発明者】
【氏名】周 興祥
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】DICOM画像の送信方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】方法は、指定された医用DICOM画像の患者ID、患者氏名、検査UID、診断装置及び画像IDを取得し、患者IDを検索キーとして使用して、DICOM画像サーバに対して検索を行い、DICOM画像サーバに同じ患者IDが存在していない場合、DICOM画像をサーバに送信し、存在している場合、正確なDICOM画像をサーバに送信する方法及びシステムにするため、患者氏名、診断措置、及び画像IDを用いて、DICOM画像の患者ID、患者氏名、画像IDの判断及び修正を行ってからDICOM画像をサーバに送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用DICOM画像送信方法であって、
指定されたフォルダ内のDICOM画像を読み取って、DICOM画像に対応する患者情報として、患者ID、患者氏名、検査UID、診断装置、及び画像IDを取得すること、
患者IDを検索キーとして使用して、DICOM画像サーバに対して検索を行い、同じ患者IDが存在しているかを判断し、第一判断結果とすること、
前記第一判断結果でDICOM画像サーバに患者IDが存在していない場合、DICOM画像をDICOM画像サーバに送信すること、
前記第一判断結果でDICOM画像サーバに患者IDが存在している場合、DICOM画像に対応する氏名フォーマットがDICOM画像サーバに既存する同じ患者の氏名フォーマットと一致しているかを判断し、第二判断結果とすること、
前記第二判断結果で患者の氏名フォーマットが一致している場合、DICOM画像の検査UIDがDICOM画像サーバに存在しているかを判断し、第三判断結果とすること、
前記第二判断結果で患者の氏名フォーマットが一致していない場合、DICOM画像の患者の氏名フォーマットを修正してから、DICOM画像の検査UIDがDICOM画像サーバに存在しているかを判断し、第三判断結果とすること、
前記第三判断結果でDICOM画像の検査UIDがDICOM画像サーバに存在している場合、DICOM画像の診断装置情報がSCではないかを判断し、第四判断結果とすること、
前記第三判断結果でDICOM画像の検査UIDがDICOM画像サーバに存在していない、あるいは前記第四判断結果でDICOM画像の診断装置情報がSCでない場合、前記第二判断結果を反映してDICOM画像をDICOM画像サーバに送信すること、
前記第四判断結果でDICOM画像の診断装置情報がSCである場合、DICOM画像の画像IDを修正してからDICOM画像をDICOM画像サーバに送信すること
を備える。
【請求項2】
請求項1に記載の医用DICOM画像送信方法であって、
前記患者IDを検索キーとして、DICOM画像サーバに同じ患者IDが存在しているかを判断し、前記第一判断結果とする際に、
DICOM画像に二つの患者IDが存在しているかを判断すること、
二つ患者IDが存在していると、それぞれの患者IDを検索キーとしてDICOM画像サーバに対して検索を行い、それぞれの患者IDがDICOM画像サーバに存在しているかを判断し、前記第一判断結果とすること、
DICOM画像に一つの患者IDが存在していると、患者IDを検索キーとしてDICOM画像サーバに対して検索を行い、前記第一判断結果とすること
を行う。
【請求項3】
請求項2に記載の医用DICOM画像送信方法であって、
前記第一判断結果でDICOM画像サーバに前記患者IDが存在している場合、患者の氏名フォーマットがDICOM画像サーバにある同じ患者の氏名フォーマットと一致しているかを判断し、前記第二判断結果とする際に、
前記第一判断結果でDICOM画像に二つの患者IDが存在し、かつ、DICOM画像サーバに同じ二つの患者IDも存在し、DICOM画像は異常画像と判断すること、
前記第一判断結果で前記のDICOM画像には二つの患者IDが存在し、かつ、DICOM画像サーバに一つ患者IDが存在している場合、DICOM画像サーバ側には存在していない患者IDを削除した後、患者の氏名フォーマットがDICOM画像サーバにある同じ患者の氏名フォーマットが一致しているかを判断し、前記第二判断結果とすること、
前記第一判断結果で前記のDICOM画像には一つの患者IDが存在し、かつ、DICOM画像サーバに同じ一つの患者IDが存在している場合、患者の氏名フォーマットがDICOM画像サーバにある同じ患者の氏名フォーマットと一致しているかを判断し、前記第二判断結果とすること
を行う。
【請求項4】
請求項2に記載の医用DICOM画像送信方法であって、
前記第一判断結果で前記患者IDがDICOM画像サーバには存在していない場合、DICOM画像をDICOM画像サーバに送信する際に、
前記第一判断結果でDICOM画像には二つ患者IDが存在している場合、前記DICOM画像の一つ患者IDを削除してからDICOM画像をDICOM画像サーバに送信すること、
前記第一判断結果で前記患者IDがDICOM画像サーバには存在せず、DICOM画像に一つ患者IDしか存在していない場合、DICOM画像をDICOM画像サーバに送信すること
を行う。
【請求項5】
請求項1に記載の医用DICOM画像送信方法であって、
前記第二判断結果でDICOM画像の画像IDを修正してからこのDICOM画像をDICOM画像サーバに送信する際に、
前記DICOM画像サーバから患者の検査UID対応している全てのDICOM画像の画像IDを取得し、この中から最大の画像IDを求めること、
前記のDICOM画像の画像IDは画像ID+1に変更してからこのDICOM画像をDICOM画像サーバに送信すること
を行う。
【請求項6】
以下のモジュールから構成されている医用DICOM画像送信システムであって、
指定されたフォルダにあるDICOM画像に既存している患者ID、患者氏名、検査UID、診断装置及び画像IDを取得する患者情報の確定モジュールと、
DICOM画像に既存している患者IDを検索キーとしてDICOM画像サーバに同じ患者IDが存在しているかを判断して第一判断結果とする第一判断結果の確定モジュールと、
前記第一判断結果で患者IDがDICOM画像サーバ側に存在していない場合、DICOM画像をそのままDICOM画像サーバ側に送信する第1送信モジュールと、
DICOM画像に既存している患者IDがDICOM画像サーバ側に同じ患者IDが存在している場合、患者の氏名フォーマットがDICOM画像サーバ側に既存している同じ患者の氏名フォーマットと一致しているかを判断して第二判断結果とする第二判断結果の確定モジュールと、
DICOM画像に既存している患者の氏名フォーマットがDICOM画像サーバ側において同じ患者の氏名フォーマットが一致している場合、同じ患者IDの検査UIDはDICOM画像サーバに存在しているかを判定し第三判断結果とし、患者の氏名フォーマットはDICOM画像サーバ側に同じ患者の氏名フォーマットが一致していない場合、このDICOM画像に既存している患者の氏名フォーマットをDICOM画像サーバに既存している同じ患者の氏名フォーマットと同じに修正し第三判断結果とする第三判断結果確定モジュールと、
前記第三判断結果で得たDICOM画像の患者検査UIDがDICOM画像サーバに同じ患者の検査UIDとして既存している場合、このDICOM画像の診断装置情報がSCかを判断し第四判断結果とする第四判断結果確定モジュールと、
前記第三判断結果で得たDICOM画像の患者検査UIDがDICOM画像サーバに同じ患者の検査UIDとして既存していない、あるいはDICOM画像の診断装置情報がSCではない場合、このDICOM画像をそのままDICOM画像サーバに送信する第二画像送信モジュールと、
前記第四判断結果で得たこのDICOM画像の診断装置情報がSCである場合、前記第二判断結果を反映して、このDICOM画像の画像IDを修正してからこのDICOM画像サーバに送信する第三画像送信モジュールと
を備える。
【請求項7】
請求項6に記載の医用DICOM画像送信システムであって、
前記第一判断結果確定モジュールは、
DICOM画像に二つの患者IDが存在しているかを判断する判断ユニットと、
DICOM画像に二つの患者IDが存在している場合、それぞれの患者IDを用いて、DICOM画像サーバに対して検索を行い、それぞれの患者IDがDICOM画像サ-バに存在しているかを判断し、前記第一判断結果とする、第一判断結果のための第一判断ユニットと、
DICOM画像に一つの患者IDが存在している場合、それぞれの患者IDを用いて、DICOM画像サーバに対して検索を行い、この患者IDがDICOM画像サ-バに存在しているかを判断し、前記第一判断結果とする、第一判断結果のための第二判断ユニットと
を備える。
【請求項8】
請求項7に記載の医用DICOM画像送信システムであって、
前記第二判断結果確定モジュールは、
DICOM画像に二つの患者IDが存在し、かつ、DICOM画像サーバに同じ二つの患者IDが存在するとき、DICOM画像が異常DICOM画像であると判定するDICOM画像異常判断ユニットと、
前記第一判断結果で得たDICOM画像に二つの患者IDが存在し、かつ、DICOM画像サーバ側には一つの患者IDしか存在していない場合、このDICOM画像からDICOM画像サーバ側に存在していない患者IDを削除した後、残っている患者IDを用いてDICOM画像サーバに同じ患者の氏名フォーマットが一致しているかを判断して前記第二判断結果とする、第二判断結果のための第一判断ユニットと、
前記第一判断結果で得たDICOM画像に一つの患者IDが存在して、DICOM画像サーバ側に同じ1つの患者IDが存在している場合、患者の氏名フォーマットがDICOM画像サーバにある同じ患者の氏名フォーマットと一致しているかを判断し、前記第二判断結果とする、第二判断結果のための第二判断ユニットと
を備える。
【請求項9】
請求項7に記載の医用DICOM画像送信システムであって、
前記第一画像送信モジュールは、
前記第一判断結果で得たDICOM画像に既存している患者IDがDICOM画像サーバに存在せず、かつ、DICOM画像に二つの患者IDが存在している場合、一つの患者IDを削除した後にDICOM画像をDICOM画像サーバに送信する第一画像送信ユニットと、
前記第一判断結果で得たDICOM画像に既存している患者IDがDICOM画像サーバに存在せず、かつ、DICOM画像に一つの患者IDが存在している場合、このDICOM画像をそのままDICOM画像サーバに送信する第二画像送信ユニットと
を備える。
【請求項10】
請求項6に記載の医用DICOM画像送信システムであって、
前記第三画像送信モジュールは、
DICOM画像の検査UIDを用いて、DICOM画像サーバから検査UIDに含まれているすべてのDICOM画像の画像IDの中、最大画像IDを求める最大DICOM画像ID確定ユニットと、
前記第二判断結果を反映して、DICOM画像の画像IDの値は、最大画像IDに変更するDICOM画像ID作成ユニットと、
DICOM画像サーバに画像IDの変更したDICOM画像を送信する第三画像送信ユニットと
を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも画像データを含む医用データの送信方法及びシステムに関し、特にDICOM規格による通信プロトコルを用いたクライアント装置とDICOM画像サーバ装置とのDICOM画像送信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
PACSシステム(Picture Arching and Communication System)は、近年、デジタル画像技術、コンピュータ技術、ネットワーク技術の進歩により急速に発展しており、医用画像の取得、表示、保存、送信、管理のためのシステムである。高度な画像処理技術と通信技術とをサポートする手段として、PACSシステムは、病院の現在の読影や診断能力を大幅に向上させ、作業効率を向上させることができ、また、コスト削減、手動フィルム管理の欠点の克服、及び医師による患者の治療及び診断レベルを高める。
【0003】
病院では、他の病院や診療所の患者、または医師が持ってきたDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)のCDまたはDVDの画像読み取り端末で生成されたDICOM二次画像(SC: Second Capture)は、PACSシステムに送信され、DICOM画像サーバに保存され、医師は読影及び診断を行う。
【0004】
各メーカーの診断装置により作成されたDICOM画像については、DICOM画像の中の患者氏名や患者IDなどの情報について、作成方法が違う場合がある。患者の姓と名の間が「=」で区切られている場合があり、また姓と名の間がスペース記号「 」で区切られている場合があり、さらに姓と名の間が「^」で区切れている場合もある。
【0005】
また、一つのDICOM画像には患者IDが二つ存在しているケースがあり、このようなDICOM画像をそのままDICOMサーバに送信すると、もしDICOM画像サーバに既に患者IDが存在する場合、同じ患者のDICOM画像にある患者のIDを混乱させることになる。
【0006】
さらに、医師はクライアントを読影する時、DICOM二次画像を作成してDICOM画像サーバに送信して保存する場合もある。その際、DICOM画像サーバに同じ患者の同じ検査(Study)がすでに存在する場合、DICOM画像サーバがこのDICOM二次画像を受信すると、このDICOM二次画像が既存の検査に入って、その後この患者の検査画像を読影する時、DICOM画像の並び順番を混乱させる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2022-508152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、DICOM画像サーバ側で混乱が生じないようなDICOM画像の保存を可能にするDICOM画像の送信方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る医用DICOM画像送信方法は、指定されたフォルダ内のDICOM画像を読み取って、DICOM画像に対応する患者情報として、患者ID、患者氏名、検査UID、診断装置、及び画像IDを取得すること、患者IDを検索キーとして使用して、DICOM画像サーバに対して検索を行い、同じ患者IDが存在しているかを判断し、第一判断結果とすること、第一判断結果でDICOM画像サーバに患者IDが存在していない場合、DICOM画像をDICOM画像サーバに送信すること、第一判断結果でDICOM画像サーバに患者IDが存在している場合、DICOM画像に対応する氏名フォーマットがDICOM画像サーバに既存する同じ患者の氏名フォーマットと一致しているかを判断し、第二判断結果とすること、第二判断結果で患者の氏名フォーマットが一致している場合、DICOM画像の検査UIDがDICOM画像サーバに存在しているかを判断し、第三判断結果とすること、第二判断結果で患者氏名のフォーマットが一致していない場合、DICOM画像の患者の氏名フォーマットを修正してから、DICOM画像の検査UIDがDICOM画像サーバに存在しているかを判断し、第三判断結果とすること、第三判断結果でDICOM画像の検査UIDがDICOM画像サーバに存在している場合、DICOM画像の診断装置情報がSCではないかを判断し、第四判断結果とすること、第三判断結果でDICOM画像の検査UIDがDICOM画像サーバに存在していない、あるいは第四判断結果でDICOM画像の診断装置情報がSCでない場合、第二判断結果を反映してDICOM画像をDICOM画像サーバに送信すること、第四判断結果でDICOM画像の診断装置情報がSCである場合、DICOM画像の画像IDを修正してからDICOM画像をDICOM画像サーバに送信することを備える。結果的に、元のDICOM画像又は修正によって生成されたDICOM二次画像がDICOM画像サーバに送信され記録されるので、DICOM画像閲覧ソフトウェアを利用して患者IDを照会するときに、最終的に整理されたDICOM二次画像を閲覧することができる。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る医用DICOM画像送信システムは、以下のモジュールから構成され、指定されたフォルダにあるDICOM画像に既存している患者ID、患者氏名、検査UID、診断装置及び画像IDを取得する患者情報の確定モジュールと、DICOM画像に既存している患者IDを検索キーとしてDICOM画像サーバに同じ患者IDが存在しているかを判断して第一判断結果とする第一判断結果の確定モジュールと、第一判断結果で患者IDがDICOM画像サーバ側に存在していない場合、DICOM画像をそのままDICOM画像サーバ側に送信する第1送信モジュールと、DICOM画像に既存している患者IDがDICOM画像サーバ側に同じ患者IDが存在している場合、患者の氏名フォーマットがDICOM画像サーバ側に既存している同じ患者の氏名フォーマットと一致しているかを判断して第二判断結果とする第二判断結果の確定モジュールと、DICOM画像に既存している患者の氏名フォーマットがDICOM画像サーバ側において同じ患者の氏名フォーマットが一致している場合、同じ患者IDの検査UIDはDICOM画像サーバに存在しているかを判定し第三判断結果とし、患者氏名のフォーマットはDICOM画像サーバ側に同じ患者の氏名のフォーマットが一致していない場合、このDICOM画像に既存している患者の氏名フォーマットをDICOM画像サーバに既存している同じ患者の氏名フォーマットと同じに修正し第三判断結果とする第三判断結果確定モジュールと、第三判断結果で得たDICOM画像の患者検査UIDがDICOM画像サーバに同じ患者の検査UIDとして既存している場合、このDICOM画像の診断装置情報がSCかを判断し第四判断結果とする第四判断結果確定モジュールと、第三判断結果で得たDICOM画像の患者検査UIDがDICOM画像サーバに同じ患者の検査UIDとして既存していない、あるいはDICOM画像の診断装置情報がSCではない場合、このDICOM画像をそのままDICOM画像サーバに送信する第二画像送信モジュールと、第四判断結果で得たこのDICOM画像の診断装置情報がSCである場合、第二判断結果を反映して、このDICOM画像の画像IDを修正してからこのDICOM画像サーバに送信する第三画像送信モジュールとを備える。
【0011】
本発明の医用DICOM画像送信方法及システムによれば、送信したいDICOM画像の患者ID、氏名フォーマット、診断装置情報、画像IDについて一致性を判断し、必要な場合、これらの情報をそれぞれ変更してから、DICOM画像サーバに送信し、サーバ側で正確なDICOM画像を保存することができる。具体的には、送信したDICOM画像において患者ID、画像ID等が統一的に変更されるので、DICOMのビュアーなどのツールによってこの患者の検査DICOM画像を表示すると、新しく送信したDICOM画像の配列又は並び表示を混乱させることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】DICOM画像管理システムの概要を説明する概念図である。
図2】(A)は、DICOM画像サーバを説明する概念図であり、(B)は、端末PCを説明する概念図である。
図3】医療用DICOM画像送信方法のフローチャートである。
図4】医療用DICOM画像送信システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を用いて本実施例に係る医用DICOM画像送信方法及びシステムについて説明する。本発明の実施形態を説明する全図において、同一機能を有するものは同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0014】
本発明は、患者がCDやDVDで医療機関に持ち込んだDICOM画像、あるいは医療機関の医師が読影端末で作成したDICOM画像をDICOM画像サーバに対して送信するためのDICOM画像送信方法及びシステムを提供することを目的とする。
【0015】
本発明は、以下の問題を解決するためのものである。送信しようとするDICOM画像には二つの患者IDが存在し、かつ、DICOM画像サーバに同じ患者の患者IDも存在している場合、DICOM画像からサーバ側に存在していない患者IDを削除したDICOM画像をサーバに送信し、サーバにこのDICOM画像を保存する。
【0016】
送信しようとするDICOM画像には二つの患者IDが存在し、かつ、DICOM画像サーバに同じ患者の患者IDが存在していない場合、DICOM画像から一つの患者IDを削除してからサーバに送信し、サーバにこのDICOM画像を保存する。
【0017】
送信しようとするDICOM画像に既存の患者の氏名フォーマットがDICOM画像サーバにある同じ患者の氏名フォーマットと一致していない場合、この患者の氏名フォーマットをサーバ側と一致するように変更してからサーバに送信し、サーバにこのDICOM画像を保存する。
【0018】
医師が端末で作成した2次DICOM画像の場合、つまりSC(Second Capture)の場合、DICOM画像サーバに同じ患者の検査UID(Unique ID)が既存しているときは、このDICOM画像の画像IDを修正してからサーバに送信し、サーバにこのDICOM画像を保存する。この後、読影端末でこの患者のDICOM画像を読影する際には、DICOM画像の配列又は並び混乱の問題がなくなる。
【0019】
[システム概要]
図1は、DICOM画像管理システム100の概要を説明する概念図である。DICOM画像管理システム100は、DICOM画像サーバ10と、クライアントである多数の端末PC20とを備え、DICOM画像サーバ10は、ネットワーク50を介して、多数の端末PC20と通信可能に接続されている。
【0020】
図2(A)は、DICOM画像サーバ10を説明する概念図である。DICOM画像サーバ10は、例えばサービス提供事業者の施設内に設置され、端末PC20から医療関連情報を集める。DICOM画像サーバ10は、主制御装置11と、記憶装置12と、ユーザインターフェース装置13と、通信装置15とを有する。DICOM画像サーバ10は、図1に示すネットワーク50を経由して端末PC20と通信する。記憶装置12には、DICOM画像サーバ10を動作させるプログラム12aと、端末PC20から収集したDICOM画像を集積した医療情報管理データベース12bとが格納され、DICOM画像管理システム100の運用を可能にする。
【0021】
図2(B)は、端末PC20を説明する概念図である。端末PC20は、病院その他の医療機関、診断設備を有する検査機関等に設置され、検査や治療に際して取得した画像及びこれに付帯する情報を、DICOM画像として、情報を適宜修正しつつDICOM画像サーバ10に送信する。端末PC20は、主制御装置21と、記憶装置22と、ユーザインターフェース装置23と、通信装置25とを有する。記憶装置12には、端末PC20を動作させるプログラム23aが格納されている。
【0022】
[基本的な動作]
図3は、図1に示すDICOM画像管理システム100の動作、つまり医用DICOM画像送信方法を説明する図である。
【0023】
端末PC20において、主制御装置21は、記憶装置22において医師等であるオペレータによって指定されたフォルダにある全てのDICOM画像から、患者のID、患者氏名、検査UID、診断装置、画像IDを取得する(ステップ101)。
【0024】
端末PC20の主制御装置21は、DICOM画像の患者IDを検索キーとして、DICOM画像サーバ10の医療情報管理データベース12bに対して検索を行い、DICOM画像サーバ10に同じ患者IDが存在しているかを判断し、第一判断結果とする(ステップ102)。患者IDの検索は、端末PC20がDICOM画像サーバ10の記憶装置12又は医療情報管理データベース12bにアクセスして、患者IDを抽出することによって可能になるが、DICOM画像サーバ10自身が検索を行い、該当する患者IDを返信することもできる。第一判断結果で、この患者IDが存在していない場合、処理はステップ103に進み、この患者IDが存在している場合、処理はステップ104に進む。
【0025】
ステップ103で、端末PC20の主制御装置21は、DICOM画像サーバ10に対して、通信装置15,25等を介して、DICOM画像を送信する。
【0026】
ステップ104で、端末PC20の主制御装置21は、DICOM画像の患者の氏名フォーマットが、DICOM画像サーバ10の記憶装置12に保管されている同じ患者IDの患者の氏名フォーマットと一致しているかを判断し、第二判断結果とする。この判断は、端末PC20が行ってもよいが、DICOM画像サーバ10が行ってもよい。第二判断結果で、この患者の氏名フォーマットが一致している場合、処理はステップ105に進み、この患者の氏名フォーマットが一致していない場合、処理はステップ106に進む。
【0027】
ステップ105で、端末PC20の主制御装置21は、同じ患者の検査UIDがDICOM画像サーバ10に存在しているかを判断し、第三判断結果とする。この判断は、端末PC20が行ってもよいが、DICOM画像サーバ10が行ってもよい。第三判断結果で、この患者の同じ検査UIDがDICOM画像サーバ10側に存在している場合、処理はステップ107に進み、この患者の同じ検査UIDが存在していない場合、処理はステップ108に進む。
【0028】
ステップ106で、端末PC20の主制御装置21は、DICOM画像の患者の氏名フォーマットをDICOM画像サーバ10に既存している同じ患者又は患者IDの氏名フォーマットと同じように修正してから、処理をステップ105に進める。
【0029】
ステップ107で、端末PC20の主制御装置21は、DICOM画像の診断装置情報がSCでないかを判断し、第四判断結果とする。第四判断結果でこのDICOM画像の診断装置情報がSCではない場合、処理はステップ108に進み、SCである場合、処理はステップ109に進む。
【0030】
ステップ108で、端末PC20の主制御装置21は、第二判断結果を反映して、つまり患者IDやこれに付帯する氏名フォーマットを一致させた状態で、DICOM画像をDICOM画像サーバ10に送信する。
【0031】
ステップ109で、端末PC20の主制御装置21は、第二判断結果を反映して、つまり患者IDやこれに付帯する氏名フォーマットを一致させた状態で、かつ、DICOM画像の画像IDを修正してから、このDICOM画像をDICOM画像サーバ10に送信する。
【0032】
ステップ102では、具体的に以下の処理を行う。端末PC20の主制御装置21は、DICOM画像について、二つの患者IDが存在しているかを判断する。二つの患者IDが存在している場合、端末PC20の主制御装置21は、それぞれの患者IDを検索キーとして、DICOM画像サーバ10に同じ患者IDが存在しているかを判断して第一判断結果とする。DICOM画像について、一つの患者IDが存在している場合、この患者IDを検索キーとして、DICOM画像サーバ10に同じ患者IDが存在しているかを判断して第一判断結果とする。
【0033】
ステップ103では、具体的に以下の処理を行う。第一判断結果でDICOM画像の情報に二つ患者IDが存在し、DICOM画像サーバ10に同じ患者IDが存在していない場合、端末PC20の主制御装置21は、DICOM画像から一つの患者IDを削除して、修正したDICOM画像をDICOM画像サーバ10に送信する。
【0034】
ステップ104では、具体的に以下の処理を行う。第一判断結果でDICOM画像の情報に二つの患者IDが存在し、DICOM画像サーバ10に同じ二つの患者IDが存在している場合、端末PC20の主制御装置21は、このDICOM画像が異常画像と判定する。DICOM画像に二つの患者IDが存在し、DICOM画像サーバ10に一致する一つの患者IDが存在している場合、端末PC20の主制御装置21は、DICOM画像からDICOM画像サーバ10に存在していない患者IDを削除する。その後、端末PC20の主制御装置21は、残った患者IDを用いて、DICOM画像サーバ10を参照し同じ患者の氏名フォーマットが一致しているかを判断し、第二判断結果とする。第一判断結果ではDICOM画像には一つの患者IDが存在し、DICOM画像サーバ10には一致する一つの患者IDが存在している場合、端末PC20の主制御装置21は、DICOM画像サーバ10を参照し、同じ患者又は患者IDの氏名フォーマットが一致しているかを判断し、第二判断結果とする。
【0035】
ステップ109では、具体的に以下の処理を行う。端末PC20の主制御装置21は、DICOM画像サーバ10からDICOM画像の検査UID対応している全てのDICOM画像の画像IDを取得し、その中から最大画像IDを求める。端末PC20の主制御装置21は、第二判断結果を反映しつつ、つまり患者IDやこれに付帯する氏名フォーマットを一致させた状態で、DICOM画像の画像IDは最大画像ID+1になるように変更してから、変更後のDICOM画像をDICOM画像サーバ10に送信する。
【0036】
[機能的な構造]
図4は、図1に示すDICOM画像管理システム100の機能的な構造を説明する図である。DICOM画像管理システム100は、端末PC20やDICOM画像サーバ10のハードウェア上でプログラムを動作させることによって実現される機能単位として、以下の処理モジュールを有する。
【0037】
DICOM画像管理システム100において、患者情報確定モジュール201では、オペレータによって指定されたフォルダにある全部のDICOM画像を読み込み、DICOM画像の患者ID、患者氏名、検査UID、診断装置及び画像IDを取得する。
【0038】
第一判断結果確定モジュール202では、DICOM画像に付帯する患者IDを検索キーとして、DICOM画像サーバ10に対して検索を行い、DICOM画像サーバ10に同じ患者IDが存在しているかを判断し、第一判断結果とする。
【0039】
第一画像送信モジュール203では、DICOM画像の患者IDがDICOM画像サーバ10に存在していない場合、このDICOM画像をDICOM画像サーバ10に送信する。
【0040】
第二判断結果確定モジュール204では、第一判断結果で得たようにDICOM画像サーバ10にDICOM画像の患者IDが存在している場合、この患者IDについて患者の氏名フォーマットがDICOM画像サーバ10にある同じ患者の氏名フォーマットと一致しているかを判断し、第二判断結果とする。
【0041】
第三判断結果確定モジュール205では、第二判断結果で得た患者の氏名フォーマットが一致している場合、このDICOM画像の検査UIDがDICOM画像サーバ10に存在しているかを判断し、第三判断結果とする。第三判断結果確定モジュール205では、第二判断結果で得た患者の氏名フォーマットが一致していない場合、DICOM画像の患者の氏名フォーマットを修正した後、このDICOM画像の検査UIDがDICOM画像サーバ10に存在しているかを判断し、第三判断結果とする。
【0042】
第四判断結果確定モジュール206では、第三判断結果で、DICOM画像サーバ10にDICOM画像の検査UIDが存在している場合、このDICOM画像の画像IDはSCではないかを判断し、第四判断結果とする。
【0043】
第二画像送信モジュール207では、第三判断結果でDICOM画像サーバ10にDICOM画像の検査UIDが存在していない、かつ、第四判断結果でDICOM画像サーバ10にはDICOM画像の診断装置情報がSCではない場合、このDICOM画像をそのまま変更することなくDICOM画像サーバ10に送信する。
【0044】
第三画像送信モジュール208では、第四判断結果で得たDICOM画像の診断装置情報がSCである場合、第二判断結果を反映してこのDICOM画像の画像IDを変更してから、DICOM画像サーバ10に送信する。
【0045】
第一判断結果確定モジュール202は、判断ユニットと、第一判断結果第一確定ユニットと、第一判断結果第二確定ユニットとを含み、具体的に以下の処理を行う。判断ユニットでは、DICOM画像に二つの患者IDが存在しているかを判断する。第一判断結果第一確定ユニットでは、DICOM画像に二つの患者IDが存在している場合、それぞれの患者IDを用いてDICOM画像サーバ10に対して検索を行い、第一判断結果とする。第一判断結果第二確定ユニットでは、DICOM画像に一つの患者IDが存在している場合、この患者IDを用いてDICOM画像サーバ10に対して検索を行い、第一判断結果とする。
【0046】
第二判断結果確定モジュール204は、異常DICOM画像判断ユニットと、第二判断結果第一確定ユニットと、第二判断結果第二確定ユニットとを含み、具体的に以下の処理を行う。異常DICOM画像判断ユニットでは、DICOM画像に二つの患者IDが存在して、かつ、DICOM画像サーバ10に同じ二つの患者IDも存在している場合、DICOM画像が異常と判断する。第二判断結果第一確定ユニットでは、DICOM画像に二つの患者IDが存在して、かつ、DICOM画像サーバ10には一つの患者IDが存在している場合、DICOM画像からDICOM画像サーバ10には存在していない患者IDを削除した後、患者の氏名フォーマットについてDICOM画像サーバ10にある同じ患者の氏名フォーマットと一致しているかを判断し、第二判断結果とする。第二判断結果第二確定ユニットでは、DICOM画像に一人の患者IDが存在して、かつ、DICOM画像サーバ10に同じ患者IDが存在している場合、この患者の氏名フォーマットについて、DICOM画像サーバ10の同じ患者の氏名フォーマットと一致しているかを判断し、第二判断結果とする。
【0047】
第一画像送信モジュール203は、第一DICOM画像送信ユニットと、第二DICOM画像送信ユニットとを含み、具体的に以下の処理を行う。第一DICOM画像送信ユニットでは、第一判断結果で得たDICOM画像に二つの患者IDが存在して、DICOM画像サーバ10に同じ患者IDが存在していない場合、DICOM画像から一つの患者IDを削除してから、このDICOM画像をDICOM画像サーバ10に送信する。第二DICOM画像送信ユニットでは、第一判断結果で得たDICOM画像に一つの患者IDが存在して、DICOM画像サーバ10には同じ患者IDが存在していない場合、このDICOM画像をそのまま変更することなくDICOM画像サーバ10に送信する。
【0048】
第三画像送信モジュール208は、最大画像ID確定ユニットと画像送信ユニットとを含み、具体的に以下の処理を行う。最大画像ID確定ユニットでは、DICOM画像サーバ10にあるDICOM画像の検査UIDと同じ検査UIDの全てDICOM画像から最大画像IDを求める。DICOM画像IDの変更ユニットでは、DICOM画像の画像IDを最大画像ID+1の値にする変更を行う。画像送信ユニットは、画像IDが変更されたDICOM画像をDICOM画像サーバ10に送信する。
【0049】
[実施例]
図3等を参照して、具体的な実現技術方法を説明する。
【0050】
(1)端末PC20の記憶装置22において、フォルダ"C:¥¥DicomImage"には、1個DICOM画像ファイル"0001.dcm"が存在している。このDICOM画像ファイルを読み込み、
患者ID(0010,0020)(patient ID)、
患者氏名(0010,0010)(patient'sname)、
検査UID(0020,000D)(study instance UID)、
診断装置(0008,0060)(modality)、
画像ID(0020,0013)(image number)
を取得する。取得した情報としては、このDICOM画像の患者IDが、"00000001"、患者氏名が、"Test=talo"、検査UIDが、"1.2.840.113820.862123.26.20141103173532"、診断装置が、"SC"、画像IDが、"01"である。
【0051】
(2)患者ID"00000001"を検索キーとして、DICOM画像サーバに対して検索を行い、検索結果として同じ患者IDはDICOM画像サーバ側に存在し、患者の氏名が、"Test=talo"である。また、このDICOM画像の検査UID"1.2.840.113820.862123.26.20141103173532"は、DICOM画像サーバ側に同じ検査UIDも存在して、この検査UIDは対応しているDICOM画像の数が、8枚であり、画像の診断装置情報が、"XA"、最大画像IDが、"08"である。
【0052】
(3)このDICOM画像の患者氏名の姓と名の間の区切りが、"^"で、DICOM画像サーバ側にある同じ検査のDICOM画像の姓と名の間の区切りが、"="になる、患者の氏名フォーマットが一致するため、このDICOM画像の氏名は、"Test=talo"のように変更する。また、このDICOM画像の診断装置が、"SC"であり、DICOM画像サーバ側に同じ検査UIDの全て画像の最大画像IDは、8であるため、このDICOM画像の画像IDを、"9"に変更して、からこのDICOM画像ファイルをDICOM画像サーバに送信する。
【0053】
上記実施形態では、医用DICOM画像送信方法及びシステムの具体例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0054】
10…DICOM画像サーバ、11…主制御装置、12…記憶装置、20…端末PC、21…主制御装置、22…記憶装置、50…ネットワーク、100…DICOM画像管理システム、101,102,103,104,105,106,107,108,109…ステップ、201…患者情報確定モジュール、202…第一判断結果確定モジュール、203…第一画像送信モジュール、204…第二判断結果確定モジュール、205…第三判断結果確定モジュール、206…第四判断結果確定モジュール、207…第二画像送信モジュール、208…第三画像送信モジュール
図1
図2
図3
図4