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特開2022-16953大気圧と真空を利用した揚水・発電・冷房装置
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  • 特開-大気圧と真空を利用した揚水・発電・冷房装置 図1
  • 特開-大気圧と真空を利用した揚水・発電・冷房装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016953
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】大気圧と真空を利用した揚水・発電・冷房装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 17/02 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
F03B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020119967
(22)【出願日】2020-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】308005017
【氏名又は名称】古川 武彦
(72)【発明者】
【氏名】古川 武彦
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA10
3H074BB10
3H074CC39
(57)【要約】
【課題】現在、水道の給水などはタンクに貯水した後で行われている。このために送水あるいは給水ポンプを用いているため、動力が必要である。しかし、自然の大気圧と真空を利用することで、約10mを超える揚水を、自動的に行うことが可能とする装置の発明である。また、本発明を利用すれば10mを超える揚水も可能で、給水のほか、灌漑、発電に利用が可能である。しかも、ひとたび装置を稼働させれば、自然の作用で装置が永続する。
【解決手段】大気圧と真空を利用することで、図1に示すように、まず約10mの高さまで揚水が可能となる。さらに、図2に示すように、10m以上の高度への揚水を可能となる。これらの揚水を自動的に行うことが可能である。これらの装置を利用して、給水のほか、発電や冷房が可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内部を真空にするためのバルブ(以下、「真空バルブ」と呼ぶ)と、外部から水を取り込むバルブ(以下、「取込バルブ」と呼ぶ)を備えた筐体を用い、その内部を「真空バルブ」を通じて真空にした後、「取込バルブ」を開けて、大気圧を利用して水を自動的に取り込み、約10mの高さまで水位を上昇させる装置。
筐体の高さは10m以上とし、「真空バルブ」は筐体の最上部に、「取込バルブ」は最下部に設ける。
【請求項2】
筐体の側面に給水および発電用などのためのバルブ(以下、「給水バルブ」と呼ぶ)を設けて、給水や発電などを行う装置。「給水バルブ」には外気が筐体への逆流を防止する構造にする。
【請求項3】
真空化された筐体の「給水バルブ」を開くと、水位が次第に低下するが、同時にその上部の空間には自然に真空が生まれることを利用して、自動的に「取込バルブ」を通じて、自然に水位を回復させる装置。
【請求項4】
請求項2および3で示した装置を用いて、給水や発電を反復・継続して行う装置。
【請求項5】
二つの筐体を上下に連結して、下段の筐体の水を上段の筐体に揚水する装置。上段の筐体は、請求項1と同様の装置を用いる。上段の筐体の上部に「真空バルブ(A)」を、また上段の筐体の下面に「揚水バルブ」と「揚水管」を設ける。
【請求項6】
筐体を多段化し、水を任意の高度まで揚水する装置。
【請求項7】
筐体を冷房として利用する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大気圧と真空を利用した自動的な揚水、発電、冷房に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、水道への給水や灌漑などを行うためには、揚水あるいは給水ポンプなどが用いられている。しかしながら、自然が持つ大気圧による圧力と真空を利用すれば、揚水ポンプを用いなくても、約10mの高さまで揚水が可能であるとの原理を利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
見当たらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、揚水、給水、灌漑、発電などのためには、送水あるいは揚水ポンプを用いて行われているが、当然コストがかかる。したがって、無動力によって自動的に揚水などが可能な装置の開発できれば、既存の揚水や給水システムなどの代替が可能であり、また、揚水を水力発電に用いることおよび冷房も可能なことから、実現を目指した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
地球を取り巻く空気である大気は、窒素や酸素分子などで構成されているため、圧力を有している。その圧力は大気圧と呼ばれ、地表付近で最大で、上空に向かうほど減少している。地上付近の気圧は約1000hPaであり、標準大気では1気圧は1013.25hPaと定義されている。したがって、よく知られているように、この大気圧によって水面は約10mの高さまで持ち上げることが可能である。
【0006】
あらかじめ内部が真空化された筐体に取り込まれた水を外部へ放出(給水)するに伴って、自動的に外部から水が取り込まれることを利用する。なお、この自動的な水の取り込みは、外部への給水時に、筐体の上部に自然に現れる真空に大気圧が加わって実現される。
【0007】
本発明は、あらかじめ真空化された筐体の底部に設けられた「取込バルブ」(図1参照)を開けると、大気圧により筐体内に約10mの水位まで、自然に水が浸入することを利用する。
なお、「取込バルブ」の高さは、大気圧が常時かかっている湖面、貯水池、河川などの地表面に設置する。
【0008】
満水あるいは水の取り込み中に、「給水バルブ」(図1参照)を開くと、水位の低下に伴い、その上部に真空の空間が生まれることを利用して、再び「取込バルブ」から水を取り込むことが可能である。
【0009】
「真空バルブ」は筐体の最上部に設ける(図1参照)。
【0010】
「給水バルブ」には、給水時に外気の逆流を防止するための装置を設ける。
【0011】
水が取り込まれた筐体を部屋の上部に設置して、冷源として利用すれば、冷房機能を有する。
【0012】
単一の筐体では、揚水は約10mが限界であるが、複数の筐体を利用すれば、それ以上の高さまで揚水が可能である。
【0013】
本発明の装置の最大の特徴と利点は、装置がひとたび稼働し始めると、筐体上部に自然に生じる真空を利用して、まったく無動力で、揚水、給水、発電が継続して、動作することである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、無動力で稼働が可能であり、現在の揚水および給水システムの代替となるほか、まったく新しい揚水発電に道を開くことが可能で、その利便性と経済性は計り知れず、画期的である。また、冷房装置としも利用できる。装置は、二酸化炭素を排出しないことから、地球温暖化の抑止にも寄与できる。
【0015】
本発明の装置は、水以外に海水にも適用できるため、海上および船舶上でも可能で、また洋上発電を行うこともできるので、その経済性は大きい。また、油性物にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】1個の筐体を用いて、約10mの揚水を行う場合の説明図である。(実施例1)
図2】上下2個の筐体を用いて、約10m以上の高さへの揚水を行う場合の説明図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0017】
大気圧と真空を利用して、約10mまでの揚水と、さらにそれを超える高度への揚水を自動的に行うことが可能な装置を実現した。
【実施例0018】
図1は、約10mまでの揚水を行うための装置の説明図である。事前に筐体内部を「真空バルブ」を通じて真空化しておき、筐体下部の「取込バルブ」を開くと、水が自然に筐体内に侵入する。途中で「給水バルブ」を開くと、自動的に「取込バルブ」から、水の取り込みが始まる。したがって、ひとたび装置を稼働させると給水と取り込みが自動的に継続する。
【実施例0019】
図2は、約10mを超えて、揚水を行う場合の装置の説明図である。
上段の筐体の内部を「真空バルブ」を通じて、あらかじめ真空化しておき、「揚水バルブ」を閉じておく。下段の筐体が満水の状態に至った時、次のバルブ操作を順次行う。1.下段の筐体の「真空バルブ」、「取込バルブ」、「給水バルブ」を閉じる。2.下段の筐体の「外気バルブ」を開く。3.上段の筐体の「揚水バルブ」を開ける。すると、下段の筐体の水面に大気圧がかかるので、「揚水バルブ」に内接した「揚水管」を通じて、上段の筐体に揚水が始まる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の装置を用いれば、任意の高度まで、自動的に、またほとんど無動力で揚水が可能である。
図1
図2