(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169605
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】薬物放出性医療機器のための除去可能なカバー
(51)【国際特許分類】
A61M 25/14 20060101AFI20221101BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20221101BHJP
【FI】
A61M25/14 518
A61M25/10 520
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022125772
(22)【出願日】2022-08-05
(62)【分割の表示】P 2020210462の分割
【原出願日】2015-10-02
(31)【優先権主張番号】62/059,408
(32)【優先日】2014-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/872,439
(32)【優先日】2015-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/075,574
(32)【優先日】2014-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】エドワード エイチ.カリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ビー.ダンカン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ハイクセン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ ビー.コイナ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ジェイ.クスタシュ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】哺乳類の体内の特定の治療領域への薬剤、特に可溶性薬剤の制御された局所的送達を可能にする機器及び方法を提供する。
【解決手段】外側シースはスプリットして、複数のシースセクション(230,232)を形成し、該セクションは剥き返されて、拡張可能な医療機器の一部又はすべてを露出することができる。医療機器、また、外側シース120は、患者の内部の治療領域への送達のための1種以上の治療剤を含むことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能な医療機器の少なくとも一部を包囲している半径方向に拡張可能なチューブ状シース、
を含む、除去可能な送達シースであって、
作動線に張力を課すことにより前記シースをスプリットして、第一のシースセグメント及び第二のシースセグメントを形成し、そして、
前記第一のシースセグメントを前記拡張可能な医療機器の一部の包囲から解除し、その後に、第二のシースセグメントを拡張可能な医療機器の一部の包囲から解除する、除去可能な送達シース。
【請求項2】
前記拡張可能な医療機器はバルーンである、請求項1記載の除去可能な送達シース。
【請求項3】
前記バルーンは薬物コーティングを含む、請求項2記載の除去可能な送達シース。
【請求項4】
前記シースは疎水性である、請求項1記載の除去可能な送達シース。
【請求項5】
前記シースは親水性である、請求項1記載の除去可能な送達シース。
【請求項6】
前記シースは押出されたポリマーチューブを含む、請求項1記載の除去可能な送達シース。
【請求項7】
前記シースはラップされたポリマー材料を含む、請求項1記載の除去可能な送達シース。
【請求項8】
前記シースは膨張性で高度に配向されたポリマー材料を含む、請求項1記載の除去可能な送達シース。
【請求項9】
前記ポリマー材料はePTFEを含む、請求項8記載の除去可能な送達シース。
【請求項10】
前記作動線に張力を課したときに、前記拡張可能な医療機器の近位末端に向けて第一のシースセグメントを引っ張る、請求項1記載の除去可能な送達シース。
【請求項11】
前記作動線に張力を課したときに、前記拡張可能な医療機器の遠位末端に向けて第一のシースセグメントを引っ張る、請求項1記載の除去可能な送達シース。
【請求項12】
前記作動線は第一のシースセグメントに取り付けられた第一の部分、及び、第二のシースセグメントに取り付けられた第二の部分を含む、請求項1記載の除去可能な送達シース。
【請求項13】
前記拡張可能な医療機器の長手軸に平行である2つのスプリット線に沿って第一のシースセグメントをスプリットする、請求項1記載の除去可能な送達シース。
【請求項14】
手動により作動線に張力を課す、請求項1記載の除去可能な送達シース。
【請求項15】
前記バルーンの弾性コンプライアンスよりも高い弾性コンプライアンスを有しかつ前記バルーンと流体連絡されている第二のバルーンをさらに含み、前記第二のバルーンの膨張時に、前記作動線に張力を課す、請求項2記載の除去可能な送達シース。
【請求項16】
前記作動線の第一の部分の長さは前記作動線の第二の部分の長さよりも短い、請求項12記載の除去可能な送達シース。
【請求項17】
前記第一のシースセグメントの遠位末端及び第二のシースセグメントの遠位末端は長尺部材に固定される、請求項1記載の除去可能な送達シース。
【請求項18】
前記第一のシースセグメント及び第二のシースセグメントは前記拡張可能な医療機器の拡張時に作動する弾性コンプライアンスにより長尺部材に固定される、請求項17記載の除去可能な送達シース。
【請求項19】
前記シースは第一の層及び第二の層を含み、前記作動線に張力を課したときに、第一のシースセグメントはシースの第一の層及びシースの第二の層の間で反転する、請求項1記載の除去可能な送達シース。
【請求項20】
前記作動線は前記拡張可能な医療機器の外側表面と、前記シースの内側表面との間に配置されたリボンを含む、請求項1記載の除去可能な送達シース。
【請求項21】
前記拡張可能な医療機器はステントである、請求項1記載の除去可能な送達シース。
【請求項22】
前記第二のシースセグメントは前記拡張可能な医療機器から除去されない、請求項18記載の除去可能な送達シース。
【請求項23】
拡張可能な医療機器及び該拡張可能な医療機器の少なくとも一部を包囲している半径方向に拡張可能なチューブ状シースを患者内の治療領域へと前進させること、
作動線に張力を課してシースをスプリットし、第一のシースセグメント及び第二のシースセグメントを形成すること、及び、
前記拡張可能な医療機器の一部から第一のシースセグメントを除去すること、
を含む治療方法。
【請求項24】
前記拡張可能な医療機器はバルーンである、請求項23記載の治療方法。
【請求項25】
前記バルーンの外側表面は薬物コーティングを含む、請求項24記載の治療方法。
【請求項26】
前記シースは疎水性である、請求項23記載の治療方法。
【請求項27】
前記シースは押出されたポリマーチューブを含む、請求項23記載の治療方法。
【請求項28】
前記シースはラップされたポリマー材料を含む、請求項23記載の治療方法。
【請求項29】
前記シースはePTFEを含む、請求項23記載の治療方法。
【請求項30】
前記拡張可能な医療機器の少なくとも一部から前記第二のシースセグメントを除去することをさらに含む、請求項23記載の治療方法。
【請求項31】
前記患者から前記第一のシースセグメントを除去する工程に次いで、前記第二のシースセグメントを除去する前に、拡張可能な医療機器を配向させることをさらに含む、請求項30記載の治療方法。
【請求項32】
前記作動線に張力を課したときに、前記拡張可能な医療機器の近位末端に向けて第一のシースセグメントを引っ張る、請求項23記載の治療方法。
【請求項33】
前記作動線は第一のシースセグメントに取り付けられた第一の部分、及び、第二のシースセグメントに取り付けられた第二の部分を含む、請求項23記載の治療方法。
【請求項34】
前記作動線の第一の部分は前記作動線の第二の部分の長さよりも短い長さを有する、請求項33記載の治療方法。
【請求項35】
前記拡張可能な医療機器の長手軸に平行である2つのスプリット線に沿って第一のシースセグメントをスプリットする、請求項24記載の治療方法。
【請求項36】
手動により作動線に張力を課す、請求項23記載の治療方法。
【請求項37】
第二のバルーンをさらに含み、該第二のバルーンの膨張時に作動線に張力を課す、請求項24記載の治療方法。
【請求項38】
前記第一のシースセグメントの遠位末端及び第二のシースセグメントの遠位末端は長尺部材に固定される、請求項23記載の治療方法。
【請求項39】
前記第一のシースセグメント及び第二のシースセグメントは前記拡張可能な医療機器の拡張時に作動する弾性コンプライアンスにより前記長尺部材に固定される、請求項38記載の治療方法。
【請求項40】
前記シースは第一の層及び第二の層を含み、前記作動線に張力を課したときに、第一のシースセグメントはシースの第一の層及びシースの第二の層の間で反転する、請求項23記載の治療方法。
【請求項41】
前記拡張可能な医療機器はステントである、請求項23記載の治療方法。
【請求項42】
前記シースの外側表面は第二の薬物コーティングを含み、前記拡張可能な医療機器の所望の膨張直径への膨張時に、第二の薬物コーティングは治療領域に送達される、請求項24記載の治療方法。
【請求項43】
前記シースの内側層の一部はテクスチャー化されている、請求項2記載の除去可能な送達シース。
【請求項44】
前記シースの内側層の一部は薬物コーティングを含む、請求項43記載の除去可能な送達シース。
【請求項45】
前記拡張可能な医療機器の少なくとも一部を包囲している、複数の半径方向に拡張可能なチューブ状シースをさらに含む、請求項1記載の除去可能な送達シース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、一般に、脈管構造及び類似の解剖学的構造の疾患を治療するための内部人工器官に関し、より詳細には、スプリット可能かつ除去可能な送達シースを使用する治療剤送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
治療すべき疾患が局在化していても、治療剤の全身投与は身体を全体として治療する。限局性疾患の幾つかの場合において、全身投与は望ましくないことがある。なぜなら、薬剤は治療されない身体の部分に望ましくない影響を及ぼし得るか、又は、身体の疾患部分の治療は薬剤の高濃度を要求し、それを全身投与によって達成できない可能性があるからである。
【0003】
したがって、体内の局在部位のみに治療剤を投与することがしばしば望ましい。これが必要とされる場合の一般的な例としては、限局性疾患(例えば、冠状動脈性心疾患)及び閉塞、病変又は体腔内の他の疾患の症例が挙げられる。局在化薬物送達のための幾つかの機器及び方法は知られている。一例では、このような機器は薬物送達バルーンであり、その使用方法は、バルーンカテーテルに取り付けられるバルーンを薬物及び場合によりキャリアマトリックスでコーティングすること、カテーテルを血管に挿入すること、バルーンを所望の場所までトラッキングすること、及び、バルーンを周囲の組織に対して拡張して、薬物を目的の治療領域に局所的に移送させることの工程を含む。
【0004】
局所薬物送達の潜在的な欠点の1つは薬物、キャリアマトリックス及び/又は薬物/キャリアマトリックスの組み合わせの早すぎる又は意図しない放出の可能性である。これは薬物送達機器のトラッキング及び治療領域における配置の間ならびに機器が身体から引き抜かれるときの送達後に起こりうる。このような意図しない放出は薬物の拡散、治療領域に近接する領域との機器の接触、又は、血流による送達機器の表面からの薬物の洗い流しによって生じうる。これは、機器が、治療領域の外側の組織又は血液に放出されることが意図されないタイプ又は投与量の治療剤を含むときに特に懸念される。さらに、薬物はバルーン表面上でリトラクタブルカバーをスライドさせることによって生じる摩擦によって、送達機器の外側表面から早期に放出され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在の局所薬物送達の潜在的な欠点に鑑みて、哺乳類の体内の特定の治療領域への薬剤、特に可溶性薬剤の制御された局所的送達を可能にする機器及び方法であって、所望の投薬が確実に行われるようにしながら、粒状化を回避し、そして目的の治療領域から離れたところで早期の又は意図されない薬剤放出を回避するものが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本開示に係る除去可能な送達シースは拡張可能な医療機器の少なくとも一部を包囲している半径方向に拡張可能なチューブ状シースを含むことができ、ここで、作動線に張力を課すことにより前記シースをスプリットして、第一のシースセグメント及び第二のシースセグメントを形成し、そして、前記第一のシースセグメントを前記拡張可能な医療機器の包囲から解除し、その後に、第二のシースセグメントを拡張可能な医療機器の包囲から解除する。
【0007】
本開示に係る治療方法は、拡張可能な医療機器及び該拡張可能な医療機器の少なくとも一部を包囲している半径方向に拡張可能なチューブ状シースを患者内の治療領域へと前進させること、作動線に張力を課してシースをスプリットし、第一のシースセグメント及び第二のシースセグメントを形成すること、及び、前記医療機器から少なくとも1つの第一のシースセグメントを除去すること、を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の簡単な説明
本開示の特徴及び利点は図面との関係で考慮したときに、下記に示す詳細な説明から、より明らかになるであろう。
【0009】
【
図1】
図1A及び
図1Bは本開示に係る医療機器送達システムの側面図及び断面図を示す。
【0010】
【
図2】
図2A及び2Bは本開示に係る医療機器送達システムの斜視図を示す。
【0011】
【
図3】
図3は本開示に係る医療機器送達システムの斜視図を示す。
【0012】
【
図4】
図4A及び4Bは本開示に係る医療機器送達システムの斜視図を示す。
【0013】
【
図5】
図5A及び5Bは本開示に係る医療機器送達システムの斜視図を示す。
【0014】
【
図6】
図6A~6Dは展開の様々な段階における本開示に係る医療機器送達システムの斜視図を示す。そして、
【0015】
【
図7】
図7は本開示に係る様々な医療機器送達システムについての乾燥及び湿潤シミュレート化取扱の間の治療剤の損失のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
例示の実施形態の詳細な説明
当業者は、本開示の様々な態様は意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置により実現されうることが容易に理解されるであろう。 別の言い方をすると、他の方法及び装置は意図した機能を発揮するように本明細書中に取り込まれることができる。本明細書に参照される添付図面はすべてがスケール通りに描かれているわけでなく、本開示の様々な態様を例示するために誇張されていることがあり、その点で、図面は限定するものと解釈されるべきでないことも注意されるべきである。最後に、本開示は様々な原理及び信念に関係付けて記載されうるが、本開示は理論に拘束されるべきでない。
【0017】
用語「内部人工器官機器」、「内部人工器官(endoprosthesis)」、「脈管機器」などは、本明細書及び特許請求の範囲を通して、体腔内に埋め込み及び/又は展開することができる任意の医療機器を指すことができる。様々な実施形態において、内部人工器官は、ステント、ステントグラフト、グラフト、フィルター、オクルーダー、バルーン、リード及びエネルギー伝達機器、展開可能なパッチ、留置カテーテルなどを含むことができる。
【0018】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲を通して、本明細書に記載の送達システムは、一般に、「カバー部材」又は「シース」によって拘束される内部人工器官を含むことができる。カバー部材又はシースは、様々な実施形態において、内部人工器官の周囲に適合されているシート材料を含む。本明細書及び特許請求の範囲を通して使用されるときに、用語「長尺部材」は、カテーテル、ガイドワイヤ、イントロデューサシースなどのシャフト状構造を指すことができる。様々な実施形態において、内部人工器官は本明細書で内側シャフトとも呼ばれるカテーテルに取り付けられ又は載置され、そして拘束された直径で、本明細書で外側シャフトとも呼ばれるイントロデューサシース内にフィットすることができる。
【0019】
さらに、用語「遠位」は医療機器が導入された体内の位置から遠い相対的な位置を指す。同様に、用語「遠位に」は医療機器が導入された体内の位置から離れる方向を指す。
【0020】
用語「近位」は医療機器が導入された体内の位置から近い相対的な位置を指す。同様に、用語「近位に」は医療機器が導入された体内の位置に向けた方向を指す。
【0021】
近位及び遠位という用語を引き続き考慮して、この開示はこれらの用語に関して狭義に解釈されるべきではない。むしろ、本明細書中に記載される機器及び方法は患者の解剖学的構造に対して変更及び/又は調整されてもよい。
【0022】
本明細書中に使用されるときに、用語「拘束」は、(i)拡張可能なインプラントの直径の、自己拡張又は機器によって補助される拡張のいずれかを介して生じる拡張を制限すること、又は、(ii)拡張可能なインプラントを(例えば、貯蔵又は生体適合性の理由で及び/又は拡張可能なインプラント及び/又は脈管構造を保護するために)カバーし又は包囲し、それ以外では拘束されないことを意味する。
【0023】
本明細書で使用されるときに、用語「管(vessel)」は、これらの構築物を利用することができる身体内のあらゆる管腔又は管状構造を指す。これには、限定するわけではないが、血管、動静脈奇形、動脈瘤などの脈管障害、リンパ系の脈管、食道、腸の解剖学的構造、屈曲性の腔、子宮又はその他が挙げられる。本発明の実施形態はまた、管内又は管に関連する悪性疾患(すなわち、ガン)の治療にも適している。
【0024】
図1Aを参照すると、医療機器送達システム100は、例えば、長尺部材102上に取り付けられた医療機器104を含むことができる。長尺部材102は、例えば、近位末端106及び遠位末端108を含むことができる。様々な実施形態において、医療機器送達システム100は近位ガイドワイヤルーメン110を含み、それは長尺部材102の長さを通して延在しており、そしてガイドワイヤポート112で遠位末端108を出ていく。このようなカテーテル及びバルーン配置は、典型的に、「オーバーザワイヤ」形態と呼ばれる。他の実施形態において、長尺部材102は近位末端106と遠位末端108との間の中ほどにあるガイドワイヤポート112を含み、それは、典型的に「急速交換」形態と呼ばれる。
【0025】
医療機器送達システム100 は、また、例えば、近位膨張ポート114を含み、それは、長尺部材102と医療機器104、例えば、バルーン104のルーメンとの流体連絡を可能にする。長尺部材102の長さ及び内側直径及び外側直径は医療機器の所望の用途に基づいて選択される。例えば、長尺部材102は、一般に、円形断面形態を有する。しかしながら、楕円及び他の断面形態も使用することができる。例えば、医療機器送達システム100は直径が0.038”、0.035”、0.018”又は0.014”、0.010”であるガイドワイヤと適合性があることができる。
【0026】
様々な実施形態において、医療機器104はバルーン、例えば、薬物放出性バルーンを含む。本発明に有用であるバルーンはブローモールドされることができ、非形状追従性、形状追従性又は半形状追従性であることができ、様々な形状であることができ、「コンフォーマブル」又は「コンフォーミング」又は「ステアラブル」バルーンであることができる。バルーン104は、例えば、ラップされたフィルムから製造され、繊維巻きされ、様々な長さであり、セグメント化されており、及び/又は、制御された膨張プロファイルを有するバルーンを含むことができる。
【0027】
図1Bを最初に参照すると、
図1Aのバルーン104は構造層122をさらに含むことができる。構造層122は、バルーン104の膨張に適応するために拡張されることができる任意の材料を含むことができる。これらの材料としては、限定するわけではないが、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、他のフルオロポリマー、膨張ポリエチレン(expanded polyethylene)、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリグリコール酸、ポリエステル、ポリアミド(例えば、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン9、ナイロン6/9及びナイロン6/6)、ポリオレフィン、ポリエーテルブロックアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテル、シリコーン、スチレンポリマー、それらのコポリマー及び、それらの混合物が挙げられる。本明細書中に使用されるときに、用語「コポリマー」は2種以上の、例えば、2、3、4、5種などのモノマーから形成される任意のポリマーなどを指すように使用されうる。
【0028】
このような材料の幾つかのコポリマーの例としては、PEBAX(登録商標)の商品名でElf Atochem North America in Philadelphia, Pa.から入手可能なポリエーテル-ブロック-アミドが挙げられる。別の適切なコポリマーはポリエーテルエステルアミドである。適切なポリエステルコポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート、ポリエステルポリエーテル及びポリエステルエラストマーコポリマー、例えば、DuPont in Wilmington, Del.からHYTREL(登録商標)の商品名で入手可能なものが挙げられる。
【0029】
スチレンエンドブロック、及び、ブタジエン、イソプレン、エチレン/ブチレン、エチレン/プロペンなどから形成されるミッドブロックを有するコポリマーなどのブロックコポリマーエラストマーはここで使用できる。他のスチレン系ブロックコポリマーとしては、アクリロニトリル-スチレン及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーが挙げられる。また、ブロックコポリマーがポリエステル又はポリアミドのハードセグメント及びポリエーテルのソフトセグメントから構成されている特定のブロックコポリマー熱可塑性エラストマーであるブロックコポリマーもここで使用されうる。
【0030】
様々な実施形態において、構造層122の表面又は外側形態はテクスチャー化、折り曲げ、フラップ、刻み目、波形、突起、スパイク、スコアラー、窪み、溝、孔、コーティング、粒子など及びそれらの組み合わせにより変性されうる。このような窪み、溝及び/又は孔は使用されることができ、それにより、コーティングが配置されうる有効表面積を増加することができる。これは医療機器及び/又はバルーン104の全体の長さ又はプロファイルを低減することを補助することができる。
【0031】
様々な実施形態において、構造層122は第一の状態でコーティングされる均一のチューブを提供することができ、該第一の状態は第二の状態まで同心的に/均一に拡張するであろう。対照的に、従来の経皮的血管形成術(PTA)用バルーンはしばしば第二の状態(その成形された形状)でコーティングされ、その後、第一の状態にコンパクト化される。構造層122は、マンドレル上で、医療機器送達システム100又はバルーン104とは別個にコーティングされ、その後、増加した製造収率、低コスト及び高均一性をもって、バルーン104上にアセンブルすることができる。より詳細に記載されるであろうとおり、前記構造層122上のコーティングは送達シース120によりカバーされるであろう。
【0032】
バルーン104及び/又は構造層122は一貫した「オンデマンド」送達を用いて、脈管部位に治療剤を送達するように構成されうる。例えば、バルーン104はコーティング124を含むことができる。本明細書中に使用されるときに、用語「コーティング」は基材の表面上に配置された1種以上の材料を指す。コーティング124はバルーン104の表面上に完全に配置されうる。コーティング124は構造層122中に存在する開口部又は孔の内部に、全体として又は部分的に、配置されることもできる。
【0033】
様々な実施形態において、構造層122はバルーン104にコーティング124を均一に適用するための基材としての役割を果たすことができる。幾つかのバルーン材料は均一にコーティングされることに助けとならないことがあるので、構造層122は均一なコーティング124を達成するための足場としての役割を果たすことができる。さらに、もし構造層122がエラストマーを含むならば、構造層122は下層のバルーンの再コンパクト化を補助し(例えば、Campbellらの米国特許第6,120,477号明細書を参照されたい。それをすべての目的でその全体を参照により本明細書中に取り込む)。さらに、構造層122は長尺部材102上での配置の前にコーティング124によりコーティングされうる。このような事前製造され、コーティングされた構造層122で、いかなるバルーンも本開示のバルーン104に変換されうる。このように、様々な実施形態は「オフザシェルフバルーン」又はOEMバルーン上に構造層122を配置し、OEMバルーンを本開示のバルーン104に変換することを含む。
【0034】
コーティング124は、例えば、パクリタキセル賦形剤固体組成物などの賦形剤を含んでよい。例えば、パクリタキセルは様々なガンの治療のため、及び、再狭窄の予防及び治療のための製剤において商業的に販売されている。パクリタキセルは、非晶質、ガラス質及び結晶形態を含む幾つかの異なる物理的形態で存在することが知られており、ここで、結晶形態はさらに多くの異なる多形に分化することができる。さらに、結晶性パクリタキセルは無水物として存在し又は水和形態で存在することができる。結晶性パクリタキセルの認められている融点は、加熱条件及び多形形態によって、約220℃である(Ligginsら、 "Solid-state characterization of paclitaxel", J. Pharm. Sci. 1997、Vol. 86、p1458-1463)。パクリタキセルの特定の形態は固体形態の際の薬物の物理的特性に影響を及ぼし得ることが知られている。特に、表面へのパクリタキセルの付着性は、表面から周囲へのその溶解速度と同様に、その物理的形態によって影響されうる。このように、賦形剤との固体形態でのパクリタキセルの製剤の効果は容易に予測することができない。
【0035】
コーティング124の賦形剤は、例えば、p-アミノ安息香酸、サッカリン、アスコルビン酸、メチルパラベン、カフェイン、サリチル酸カルシウム、ペンテン酸、クレアチニン、エチル尿素、アセトアミノフェン、アスピリン、テオブロミン、トリプトファン、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、テオフィリン、サッカリンナトリウム、アミノアルコール、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、リン酸糖、糖硫酸、酸化エチル、エチルグリコール、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、リン酸塩、硫酸塩、有機酸、エステル、塩、ビタミン、アミノアルコールと有機酸の組み合わせ、及び、それらの置換分子が挙げられる。さらに、賦形剤は、イオン性、非イオン性、脂肪族及び芳香族界面活性剤から選ばれる界面活性剤を含むことができ、PEG脂肪エステル、PEGオメガ-3脂肪酸エステル、エーテル及びアルコール、グリセロール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、PEGグリセリル脂肪酸エステル、PEGソルビタン脂肪酸エステル、糖脂肪酸エステル、PEG糖エステル及びそれらの誘導体を含むことができる。
【0036】
コーティング124は、例えば、1つ以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミド及びエステル基を有する化合物などの添加剤をさらに含むことができる。このような添加剤は親水性であってよい。様々な実施形態において、添加剤は、界面活性剤と、1つ以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミド又はエステル基を有する化合物との組み合わせである。別の実施形態において、添加剤は、アミノアルコールと有機酸との組み合わせである。添加剤はまた、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシル酸、ヒドロキシルエステル又はヒドロキシルアミド、グルコノラクトン又はリボン酸ラクトン、メグルミン/乳酸、メグルミン/ゲンチジン酸、メグルミン/酢酸、ラクトビオン酸、ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート(Tween20 /ソルビトール)、Tween20 /ラクトビオン酸、Tween20 /糖又は糖誘導体、及びN-オクタノイルN-メチルグルカミン、ビタミン又はその誘導体、アミノ酸又はその誘導体、タンパク質又はその誘導体、あるいはアルブミンを含むことができる。添加剤は水性溶媒中に可溶性であってよく、また、有機溶媒中に可溶性である。様々な実施形態において、添加剤は有機酸又はその無水物である。他の実施形態において、添加剤はソルビタンオレエート及びソルビタン脂肪酸エステルから選択される。
【0037】
様々な実施形態において、コーティング124の添加剤は親水性部分及び薬物親和性部分を含むことができ、ここで、添加剤はp-イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、PEGオレエート、PEGステアレート、PEGグリセリルラウレート、Tween20、Tween40、Tween60、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、オレイン酸ポリグリセリル、ミリスチン酸ポリグリセリル、パルミチン酸ポリグリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-6、ミリスチン酸ポリグリセリル-6、パルミチン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、 -10ミリステート、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、パルミチン酸ポリグリセリル-10PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウリルエーテル、オクトキシノール、モノオキシノール、チロキサポール、スクロースモノパルミテート、スクロースモノラウレート、デカノイル-N-メチルグルカミド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトシド、ヘプタノイル-N-メチルグルカミド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-チオグルコシド、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、ノナノイル-N-メチルグルカミド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、オクタノイル-N-メチルグルカミド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、オクチル-β-D-チオグルコピラノシド、シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びメチオニン、無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン酸、2-ピロリドン-5-カルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二無水物、マレイン酸及び無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸、セトチアミン、シクロチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール5-ホスフェート、ニコチンアミドアスコルベート、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、メナジオン重亜硫酸ナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6及びビタミンU(S-メチルメチオニン)、アルブミン、免疫グロブリン、カゼイン、ヘモグロビン、リゾチーム、免疫グロブリン、α-2-マクログロブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フィブリノゲン、リパーゼ、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、ドセシル硫酸ナトリウム、塩化ジアルキルメチルベンジルアンモニウム、及び、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L-アスコルビン酸及びその塩、D-グルコアスコルビン酸及びその塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール、グルコヘプトン酸、グルコン酸、ヒドロキシケトン、ヒドロキシラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グルコン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン(mannoic lactone)、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、14-ヒドロキシ安息香酸プロピル、リシン酢酸塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸、酢酸、任意の有機酸及び有機アミンの塩、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)及びペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマーならびにそれらの誘導体及び組み合わせから選ばれる。
【0038】
様々な実施形態において、コーティング124の賦形剤は有機添加剤である。例えば、有機添加剤はp-アミノ安息香酸、サッカリン、アスコルビン酸、メチルパラベン、カフェイン、サリチル酸カルシウム、ペンテン酸、クレアチニン、エチル尿素、アセトアミノフェン、アスピリン、テオブロミン、トリプトファン、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、テオフィリン及びサッカリンナトリウムのうちの少なくとも1つを含むことができる。適切には、(少なくとも1種の)有機添加剤はp-アミノ安息香酸、メチルパラベン、カフェイン、サリチル酸カルシウム及びコハク酸からなる群より独立して選択される。1つの実施形態において、有機添加剤はコハク酸である。別の実施形態において、有機添加剤はカフェインである。適切には、(少なくとも1種の)有機添加剤はp-アミノ安息香酸、メチルパラベン、カフェイン、サリチル酸カルシウム及びコハク酸からなる群より独立して選択される。1つの実施形態において、有機添加剤はコハク酸である。
【0039】
様々な実施形態において、コーティング124はコーティング層又は組成物中のパクリタキセルの量を決定するために、超高性能液体クロマトグラフィー(UPLC)及び/又は質量分析によって分析することができる。バイナリーコーティング層又は組成物(すなわち、パクリタキセル+1種の有機添加剤のみ)の場合のように、固体コーティング中のパクリタキセルの質量%が既知であるときに、有機添加剤の質量%は100-パクリタキセル wt%であると容易に決定されうる。
【0040】
1つの実施形態において、コーティング124中の治療剤、すなわち、パクリタキセルの質量%は約5 wt. %~約95 wt. %、例えば、約10 wt. %~約95 wt. %、約20 wt. %~約95 wt. %、約30 wt. %~約90 wt. %、約45 wt. %~約85 wt. %、約55 wt. %~約70 wt. %、約40 wt. %~約80 wt. %、約25 wt %~約 95 wt.%、約 30 wt.% ~約85 wt. %、約70 wt. %~約95 wt. %、約70 wt. %~約80 wt. %、又は、約75 wt. %~約80 wt. %である。
【0041】
1つの実施形態において、有機添加剤はPABAであり、そしてコーティング124中のパクリタキセルの質量%は約30 wt. %~約90 wt. %、例えば、約40 wt. %~約80 wt. %である。1つの実施形態において、有機添加剤はPABAであり、そして固体組成物又はコーティング層中のパクリタキセル:PABAの比(wt. %)は約3:7~約9:1であり、例えば、約2:3~約4:1である。
【0042】
1つの実施形態において、有機添加剤はメチルパラベンであり、そしてコーティング124中のパクリタキセル質量%は約45 wt. %~約85 wt. %であり、例えば、約55 wt. %~約70 wt. %である。1つの実施形態において、有機添加剤はメチルパラベンであり、そしてパクリタキセル:メチルパラベンの比(wt. %)は約 4:5~約9:1であり、例えば、約1:1~約7:3である。
【0043】
1つの実施形態において、有機添加剤はカフェインであり、そしてコーティング124中のパクリタキセルの質量%は約70 wt. %~約95 wt. %、例えば、約75 wt. %~約90 wt. %である。1つの実施形態において、有機添加剤はカフェインであり、固体組成物又はコーティング層中のパクリタキセル:カフェインの比(wt. %)は約7:3~約95:5であり、例えば、約3:1~約9:1 wt. %である。
【0044】
1つの実施形態において、有機添加剤はサリチル酸カルシウムであり、そしてコーティング124中のパクリタキセルの質量%は約70 wt. %~約90 wt. %であり、例えば、約75 wt. %~約80 wt. %である。1つの実施形態において、有機添加剤はサリチル酸カルシウムであり、そして、固体組成物又はコーティング層中のパクリタキセル:サリチル酸カルシウムの比(wt. %)は約7:3~約9:1であり、例えば、約3:1~約4:1である。
【0045】
1つの実施形態において、有機添加剤はコハク酸であり、そしてコーティング124中のパクリタキセルの質量%は約70 wt. %~約90 wt. %であり、例えば、約75 wt. %から約85 wt. %である。1つの実施形態において、有機添加剤はコハク酸であり、そして、固体組成物又はコーティング層中のパクリタキセル:コハク酸の比(wt. %)は約7:3~約9:1であり、例えば、約3:1 wt. %~約6:1である。
【0046】
1つの実施形態において、有機添加剤はp-アミノ安息香酸(PABA)、サッカリン、アスコルビン酸、メチルパラベン、カフェイン、サリチル酸カルシウム、ペンテン酸、クレアチン、エチル尿素、アセトアミノフェン、アスピリン、テオブロミン、トリプトファン、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、テオフィリン及びサッカリンナトリウムからなる群より選ばれ、そして固体組成物又はコーティング層中のパクリタキセルの質量%は約30 wt. %~約90 wt. %であり、例えば、約50 wt. %~約90 wt. %である。
【0047】
1つの実施形態において、有機添加剤はp-アミノ安息香酸、サッカリン、アスコルビン酸、メチルパラベン、カフェイン、サリチル酸カルシウム、ペンテン酸、クレアチン、エチル尿素、アセトアミノフェン、アスピリン、テオブロミン、トリプトファン、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、テオフィリン及びサッカリンナトリウムからなる群より選ばれ、そしてパクリタキセル:有機添加剤の比(wt. %)は約3:7~約9:1であり、例えば、約1:1~約9:1である。
【0048】
1つの実施形態において、有機添加剤はp-アミノ安息香酸、メチルパラベン、カフェイン、サリチル酸カルシウム及びコハク酸からなる群より選ばれ、そして固体組成物又はコーティング層中のパクリタキセルの質量%は約30 wt. %~約90 wt. %であり、例えば、約50 wt. %~約90 wt. %である。
【0049】
1つの実施形態において、有機添加剤はp-アミノ安息香酸、メチルパラベン、カフェイン、サリチル酸カルシウム及びコハク酸からなる群より選ばれ、そしてパクリタキセル:有機添加剤の比(wt. %)は約3:7~約9:1であり、例えば、約1:1~約9:1である。
【0050】
1つの実施形態において、有機添加剤はトリス(ヒドロキシメチル)-メチルアンモニウムステアレートであり、そしてコーティング層中のパクリタキセルの質量%は約80 wt. %~約99 wt. %である。
【0051】
様々な実施形態において、コーティング124は親水性コーティングをさらに含むことができる。親水性コーティングのための適切な成分としては、限定するわけではないが、イオン性界面活性剤が挙げられ、例えば、塩化ベンゼトニウム(例えば、HYAMINE(登録商標))、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化セタルコニウム、臭化ラウルトリモニウム、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム、セトリミド、臭化セトリモニウム、塩化ステアラアルコニウム、n,n-ジエチルニコチンアミド、コレステロール、サリチル酸カルシウム、サリチル酸メチル、サリチル酸ナトリウム、α-トコフェロール、チアミン、ナイアシンアミド、ジメチルスルホキシド、ポロキサマー(例えば、101, 105, 108, 122, 123, 124, 181, 182, 183, 184, 185, 188, 212, 215, 217, 231, 234, 235, 237, 238, 282, 284, 288, 331, 333, 434, 335, 338, 401, 402, 403及び407)、ソルビタンモノラウレート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG、分子量は400~50,000の範囲にあり、好ましくは700~15,000)、PEG-アミン、PEG-変性生物学的製剤及び/又は分子、PEGアミン(アジドPEGアミン及びPEGジアミンを含む)、ポリオキシアルキレンアミンであるJEFFAMINES(登録商標)、第四級アンモニウム化合物、1,2-ジテトラデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、ポリプロピレングリコール、ヘパリン又はヘパリン誘導体、デキストラン、アガロース、環状オリゴ糖様シクロデキストリン及びその誘導体などの包接複合体、例えば、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)、Captisol(登録商標)(CyDex Pharmaceuticals, Inc.の商標)、ジメチル-β-シクロデキストリン、α-シクロデキストリン(αCD)、アルギン酸塩ポリアクリルアミド、ポリグリシドール、ポリ(ビニルアルコール - コ - エチレン)、ポリ(エチレングリコール-コ-プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアセテート-コ-ビニルアルコール)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ビニルアルコール)、ポリ(アクリロニトリル-コ-アクリルアミド)、ポリ(アクリロニトリル-コ-アクリル酸-コ-アクリルアミド)、ポリアクリル酸、ポリ - リシン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン及びポリスルホン、多糖類及びそのコポリマー、シェロール酸、イプロマイド、尿素が挙げられ、単独又は組み合わせである。他のコーティングは当該技術分野で知られており、例えば、米国特許公開第20100233266号明細書を参照されたく、それをすべての目的でその全体を参照により取り込み、本発明の一部として使用されることもできる。別の実施形態において、コーティング124はヘパリンコーティングであり、それは、例えば、米国特許第4,810,784号及び同第6,559,131号明細書に記載されるとおりである。
【0052】
コーティング124は、例えば、少なくとも1つの治療剤126をさらに含むことができる。用語「薬物」と互換可能に使用される、本明細書で使用される「治療剤」は生物活性応答を誘発する薬剤である。そのような薬剤としては、限定するわけではないが、シロスタゾール、エベロリムス、ジクマロール、ゾタロリムス、カルベジロール、抗血栓剤、例えば、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ及びデキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン、抗炎症剤、例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン及びメサラミン、シロリムス及びエベロリムス(及び関連類似体)、抗新生物/抗増殖/有糸分裂阻害剤、例えば、主要タキサンドメイン結合薬物、例えば、パクリタキセル及びその類似体、エポチロン、ディスコデルモライド、ドセタキセル、パクリタキセルタンパク質結合粒子、例えば、アブラキサン(R)(ABRAXANE(R))(アブラキサン(ABRAXANE)はABRAXIS BIOSCIENCE、LLCの登録商標である)、適切なシクロデキストリン(又はシクロデキストリン様分子)と複合体化したパクリタキセル、ラパマイシン及びその類似体、適切なシクロデキストリン(又はシクロデキストリン様分子)と複合体化したラパマイシン(又はラパマイシン類似体)、17β-エストラジオール、適切なシクロデキストリンと複合体化した17β-エストラジオール、ジクマロール、適切なシクロデキストリンと複合体化したジクマロール、β-ラパコン及びその類似体、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、クラドリビン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン、アンジオペプチン、平滑筋細胞増殖をブロックすることができるモノクローナル抗体及びチミジンキナーゼ阻害剤;溶解剤; 麻酔剤、例えば、リドカイン、ブピバカイン及びロピバカイン; 抗凝固剤、例えば、D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、HSP20を模倣する細胞ペプチドAZX100(Capstone Therapeutics Corp.、USA)、ヘパリン、ヒルジン、アンチトロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、アンチトロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤及びダニ抗血小板ペプチド; 脈管細胞増殖促進剤、例えば、成長因子、転写活性化因子及び翻訳促進剤; 脈管細胞増殖阻害剤、例えば、成長因子抑制剤、成長因子受容体アンタゴニスト、転写リプレッサー、翻訳リプレッサー、複製阻害剤、阻害抗体、成長因子に対する抗体、a)成長因子及び細胞毒からなる機能性分子、b)抗体及び細胞毒からなる機能性分子;プロテインキナーゼ及びチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、チロホスチン、ゲニステイン、キノキサリン);プロスタサイクリン類似体;コレステロール低下剤;アンギオポイエチン; 抗菌剤、例えば、トリクロサン、セファロスポリン、アミノグリコシド及びニトロフラントイン;細胞毒性薬剤、細胞増殖抑制剤及び細胞増殖影響因子;血管拡張剤;内因性血管作用メカニズムを妨害する薬剤;モノクローナル抗体などの白血球補充の阻害剤;サイトカイン;ホルモン、ヨウ化造影剤などの放射線不透過性薬剤、金、バリウム又はそれらの組み合わせが挙げられる。適切には、追加のコーティング層はヘパリンを含む。
【0053】
様々な実施形態において、コーティング124は少なくとも1種の親水性成分を含み、該成分は疎水性治療剤126の溶解点を上げる。本明細書中に使用されるときに、用語「疎水性治療剤の溶解点を上げる」とは室温及び標準大気条件でのニートの脱イオン(DI)水中の治療剤126の最大溶解度を少なくとも10%超える疎水性治療剤126の濃度の増加があることを意味する。これは、通常、向上した溶解度を可能にする追加の薬剤(すなわち、コーティング124中の親水性成分)の存在によるものである。これは、なおも、治療剤126の一部を水中に溶解させない。例えば、パクリタキセルは室温で、ニートのDI水中で溶解度の限度は約0.4 μMである。60%(水中w/v)の濃度のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの添加は、溶液中のパクリタキセルの溶解濃度を約4 mMに上げ、溶解度の10%増加を優に超える(Sharmaら、Journal of Pharmaceutical Sciences 84, 1223 (1995))。
【0054】
様々な実施形態において、疎水性治療剤126は、目的の組織部位に送達されたときに、薬剤が可溶化剤から解離し、そして組織に結合するように、1種以上の可溶化剤により封鎖され又は複合体化される。そのような可溶化剤は当該技術分野で知られている(例えば、米国特許公開第20080118544号明細書を参照されたい)。
【0055】
治療剤126は様々な構造形態で組織に送達されることができ、限定するわけではないが、該形態としては、限定するわけではないが、ミセル、リポソーム、ミクロ凝集体、ナノスフェア、マイクロスフェア、ミクロ粒子、結晶体、包含複合体、エマルジョン、ゲル、フォーム、クリーム、懸濁液、共融剤、晶析剤及び溶液又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。様々な実施形態において、治療剤126は可溶化した形態で組織に送達される。治療剤126はゲルの形態でも組織に送達されうる。他の実施形態において、治療剤126は可溶化した形態で組織に送達され、それは溶液から固体形態へと沈殿する。なおも他の実施形態において、治療剤126は可溶化した形態及び固体の形態の組み合わせで組織に送達される。
【0056】
バルーン104はコーティング124と構造層122との間に介在する接着層を含むことができる。コーティング124の下にある別個の区別される層である接着層は、コーティング124の構造層122への付着性を改善し、特に、治療されるべき組織への輸送中にコーティングの一体性をさらに維持することができる。1つの実施形態において、接着層は、適切に生体適合性があり、身体組織の刺激を回避するポリマーを含む。このようなポリマーの例としては、限定するわけではないが、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、エチレン-α-オレフィンコポリマー、アクリルポリマー及びコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリビニルメチルエーテル、ポリフッ化ビニリデン及びポリ塩化ビニリデン、フルオロポリマー、例えば、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロカーボンコポリマー、例えば、テトラフルオロエチレンペルフルオロアルキルビニルエーテル(TFE/PAVE)コポリマー、テトラフルオロエチレン(TFE)とペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)のコポリマー、TFEとアセテート、アルコール、アミン、アミド、スルホネート官能基などを含む官能性モノマーとのコポリマー(米国特許第8,658,707号明細書(W.L. Gore and Associates, 参照により本明細書中に取り込む、また、その組み合わせ))、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン-メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、ABS樹脂、ナイロン12及びそのブロックコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリオキシメチレン、ポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、レイヨントリアセテート、セルロース、セルロースアセテート、セルロースブチレート、セロファン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、キチン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸-ポリエチレンオキシドコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、エラストマーポリマー、例えば、シリコーン(例えば、ポリシロキサン及び置換ポリシロキサン)、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリオレフィンエラストマー、EPDMゴム及びそれらの混合物が挙げられる。
【0057】
別の実施形態において、パクリタキセル以外の治療剤を含む追加のコーティング層は、コーティング124と構造層122との間に挿入される。このコーティング層はコーティング124の下にある別個の区別される層であり、パクリタキセルにより提供される利益に追加される治療的利益を提供することができ、すなわち、パクリタキセル-有機添加剤と併用した補助療法を可能にする。例えば、本発明のコーティングは固定化された生物学的活性ヘパリンコーティングで既にコーティングされた医療機器に適用されることができ、一方、既知の分析方法により測定されるときに、両方のコーティングの活性(すなわち、パクリタキセル-有機添加剤組成物の抗増殖効果及びヘパリンのアンチトロンビンIII(ATIII)結合活性)を維持する。このように、ヘパリン結合アンダーコーティングを有する本発明のコート化医療機器は、インプラント後の亜急性血栓症の低減をもたらすという追加の利点を有するようである。1つの実施形態において、追加のコーティング層はパクリタキセル以外の治療剤を含む。別には、パクリタキセル以外の治療剤を含む前記追加のコーティング層はコーティング124の一部又は全部を覆うであろう。上記のように、このようなコーティング層はパクリタキセル-有機添加剤コーティング124を覆う別個の区別される層である。
【0058】
1つの実施形態において、追加のコーティング層は治療剤126を含み、該治療剤はシロスタゾール、エベロリムス、ジクマロール、ゾタロリムス、カルベジロール、抗血栓剤、例えば、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ及びデキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン、抗炎症剤、例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン及びメサラミン、シロリムス及びエベロリムス(及び関連類似体)、抗新生物/抗増殖/有糸分裂阻害剤、例えば、主要タキサンドメイン結合薬物、例えば、パクリタキセル及びその類似体、エポチロン、ディスコデルモライド、ドセタキセル、パクリタキセルタンパク質結合粒子、例えば、アブラキサン(R)(ABRAXANE(R))(アブラキサン(ABRAXANE)はABRAXIS BIOSCIENCE、LLCの登録商標である)、適切なシクロデキストリン(又はシクロデキストリン様分子)と複合体化したパクリタキセル、ラパマイシン及びその類似体、適切なシクロデキストリン(又はシクロデキストリン様分子)と複合体化したラパマイシン(又はラパマイシン類似体)、17β-エストラジオール、適切なシクロデキストリンと複合体化した17β-エストラジオール、ジクマロール、適切なシクロデキストリンと複合体化したジクマロール、β-ラパコン及びその類似体、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、クラドリビン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン、アンジオペプチン、平滑筋細胞増殖をブロックすることができるモノクローナル抗体及びチミジンキナーゼ阻害剤;溶解剤; 麻酔剤、例えば、リドカイン、ブピバカイン及びロピバカイン; 抗凝固剤、例えば、D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、HSP20を模倣する細胞ペプチドAZX100(Capstone Therapeutics Corp.、USA)、ヘパリン、ヒルジン、アンチトロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、アンチトロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤及びダニ抗血小板ペプチド; 脈管細胞増殖促進剤、例えば、成長因子、転写活性化因子及び翻訳促進剤;脈管細胞増殖阻害剤、例えば、成長因子抑制剤、成長因子受容体アンタゴニスト、転写リプレッサー、翻訳リプレッサー、複製阻害剤、阻害抗体、成長因子に対する抗体、a)成長因子及び細胞毒からなる機能性分子、b)抗体及び細胞毒からなる機能性分子;プロテインキナーゼ及びチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、チロホスチン、ゲニステイン、キノキサリン);プロスタサイクリン類似体;コレステロール低下剤;アンギオポイエチン; 抗菌剤、例えば、トリクロサン、セファロスポリン、アミノグリコシド及びニトロフラントイン;細胞毒性薬剤、細胞増殖抑制剤及び細胞増殖影響因子;血管拡張剤;内因性血管作用メカニズムを妨害する薬剤;モノクローナル抗体などの白血球補充の阻害剤;サイトカイン;ホルモン、ヨウ化造影剤などの放射線不透過性薬剤、金もしくはバリウム又はそれらの組み合わせから選ばれる。
【0059】
1つの実施形態において、医療機器はコーティング124の上を覆う保護トップコートをさらに含む。トップコートは、例えば、機器の組み立て及びパッケージングの間に、治療されるべき部位への移動の間に、又は、機器がバルーン又はステントである場合には、コーティング層が押圧されて標的組織と直接接触する前の膨張又は膨張の最初の瞬間に、標的組織と接触する前のコーティング124のパクリタキセル-賦形剤の損失をさらに低減することができる。トップコートは圧潰負荷中に、例えば、バルーン、ステント、ステントグラフト又はグラフトなどの拡張可能な医療機器がその非拡張形態に収縮する前にその拡張形態でコーティングされているとき、特に有用であることができる。コーティングされた機器の収縮形態は、通常、使用前にある期間、貯蔵されるであろう。トップコーティングは、貯蔵の間及び機器が展開されるときの拡張の間にコーティング124の損失を防止することができる。代替的に又は追加的に、トップコートは輸送中に機器に対する摩擦力を低減するために潤滑特性を有してよい。適切には、トップコートは分解性又は可溶性であり、薬物層を保護しながら体内腔でゆっくりと放出するであろう。トップ層はより疎水性の高分子量添加剤を含む場合には、よりゆっくりと浸食されるであろう。Tween20及びオレイン酸ポリグリセリルなどの界面活性剤は長脂肪鎖を有するより疎水性の構造の例である。高分子量添加剤としては、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドンが挙げられる。疎水性薬物自体はトップ層成分として作用することができる。例えば、パクリタキセル又はラパマイシンは疎水性である。それらはトップ層中に使用されうる。一方、トップ層はあまりにもゆっくりと浸食することはできず、又は、標的部位での展開中の薬剤の放出を実際に遅くする可能性がある。トップコートに有用な他の添加剤は、p-イソノニルフェノキシポリグリシドール、ラウリン酸PEG、Tween20、Tween40、Tween60、PEGオレエート、PEGステアレート、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、ラウリン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル、ミリスチン酸ポリグリセリル、パルミチン酸ポリグリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-6、ミリスチン酸ポリグリセリル-6、パルミチン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、パルミチン酸ポリグリセリル-10PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウリルエーテル、オクトキシノール、モノオキシノール、チロキサポール、スクロースモノパルミテート、スクロースモノラウレート、デカノイル-N-メチルグルカミド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトシド、ヘプタノイル-N-メチルグルカミド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-チオグルコシド、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、ノナノイル-N-メチルグルカミド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、オクタノイル-N-メチルグルカミド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、オクチル-β-D-チオグルコピラノシド;システイン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びメチオニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン酸、2-ピロリドン-5-カルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二無水物、マレイン酸及び無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アセトアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸;セトチアミン;シクロチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール5-ホスフェート、ニコチンアミドアスコルベート、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、メナジオン重亜硫酸ナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6及びビタミンU;アルブミン、免疫グロブリン、カゼイン、ヘモグロビン、リゾチーム、免疫グロブリン、α-2-マクログロブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フィブリノゲン、リパーゼ、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、塩化ジアルキルメチルベンジルアンモニウム、及び、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L-アスコルビン酸及びその塩、D-グルコアスコルビン酸及びその塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール、グルコヘプトン酸、グルコン酸、ヒドロキシケトン、ヒドロキシラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グルコン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン(mannoic lactone)、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、リシン酢酸塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸、酢酸、任意の有機酸及び有機アミンの塩、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)及びペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、PTFE、ePTFE及びそれらの誘導体及び組み合わせなどの治療剤126又はコーティング124と強く相互作用する添加剤が挙げられる。
【0060】
様々な実施形態において、コーティング124はバルーン104と組み合わせた構造要素へと形成されうる。このような構造物は構造層122自体の必要性を無くすが、コーティング124により提供される重要な機能を完全に保存する。このような構造物はまた、製造性を改良し、そしてまた、バルーンなどのほとんどのいかなる拡張性部材とも組み合わせることができる。例えば、医療機器104がバルーンを含む場合には、チューブ状成形体はキャストされ、又は、さもなければ、記載のコーティングの1つ以上の材料から形成され、そしてバルーン104上に配置され、その後、送達シース120が配置される。1つの実施形態において、このようなチューブ状成形体はコーティング材料を粘性状態に溶媒和させ、ゲル押出、キャスティング、モールディング又は溶液キャスティング/成形などの当該技術で既知の方法により所望のチューブ状形状に成形することにより製造される。使用される溶媒は、次いで除去され、チューブを乾燥又は部分乾燥し、バルーン104上に配置するのを容易にする。
【0061】
様々な実施形態において、コーティング124はバルーン104を非常に剛性にすることができる。その剛性のために、バルーン104は蛇行した解剖学的構造を走ることが困難である可能性がある。このため、1つの実施形態において、構造層122及び/又はバルーン104にコーティングを適用した後に、構造層122及び/又はバルーン104、ならびに、該構造層122及び/又はバルーン104を曲げ及び/又は捻ることにより亀裂が生じるコーティング124上に送達シース120はスリップされる。これにより、処置前に粒子が送達シース120を脱離することを防止しながら、バルーン104の形状順応性を改良することができる。他の実施形態において、構造層122及び/又はバルーン104を完全にコーティングする代わりに、コーティング124は「リング」として適用され、それにより、前記「リング」構造層122及び/又はバルーン104の間が形状順応性となるようにし、これにより、構造層122及び/又はバルーン104をコーティングされていない領域で湾曲又は屈曲させることができる。さらに別の実施形態において、「リング」ではなく、コーティング124は、押出されたらせん状に横たえた連続ビードとして構造層122及び/又はバルーン104に適用されることができる。更なる実施形態において、コーティング124は区別されるドット又は他の形状又は区別されるパターンとして構造層122に適用されうる。
【0062】
コーティング124は、例えば、不連続様式で構造層122及び/又はバルーン104に適用されうる。例えば、コーティング124の量又は厚さは基材の表面上で変化しうる。例えば、薬物送達がステントの近位末端及び遠位末端のみで所望される場合には、構造層122及び/又はバルーン104の近位部分及び遠位部分のみに適用されたコーティング124は、特にステント端狭窄の治療又は防止のために望ましいであろう。コーティング124は、同様に、構造層122及び/又はバルーン104の領域上で変化しうる。
【0063】
上記のとおり、様々な実施形態において、医療機器104は拡張可能な送達シース120により包囲されている。送達シース120は、例えば、所望の治療領域への医療機器104のトラッキング及び送達の間に医療機器104が患者の血流中にコーティング124及び/又は治療剤126を実質的に溶出し又は解放することを防止することができる。
【0064】
送達シース120は、例えば、無孔性又は半有孔性ポリマー材料を含むことができる。例えば、送達シース120は、他の材料の中でもとりわけ、延伸PTFE(ePTFE)を含むPTFE、フルオロポリマー、発泡ポリエチレン(expanded polyethylene)、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリグリコール酸、ポリエステル、ポリアミド(例えばナイロン12、ナイロン11、ナイロン9、ナイロン6/9及びナイロン 6/6)、ポリオレフィン、ポリエーテルブロックアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテル、シリコーン、スチレンポリマー、それらのコポリマー及び混合物を含むことができる。本明細書中に使用されるときに、用語「コポリマー」は2種以上のモノマー、例えば、2, 3, 4, 5種などのモノマーから形成される任意のポリマーを指す。このような材料の幾つかのコポリマーの例としてはElf Atochem North America in Philadelphia, Pa.からPEBAX(登録商標)の商品名で入手可能なポリエーテル-ブロック-アミドが挙げられる。
【0065】
様々な実施形態において、送達シース120は、粒状形態のePTFEなどの膨張性ポリマー材料を含むことができる。さらに、送達シース120は高度に配向されたポリマー材料を含む。例えば、送達シース120は高度に配向されたノードを有するポリマー材料を含むことができる。送達シース120は、チューブ状構造を形成するようにラップされた、このような高度に配向されたフィルムを含むことができる。他の実施形態において、送達シース120は、例えば、押出ePTFEチューブなどの押出ポリマーチューブを含むことができる。
【0066】
様々な実施形態において、送達シース120は、2つ以上のセグメントを剥き戻すことによりバルーン104から除去されるように構成されたシースを含む。最初に
図2A及び2Bを参照すると、送達シース120は、第一のスプリット線228a及び第二のスプリット線228bを含むことができる。例えば、第一のスプリット線228a及び第二のスプリット線228bは、特定の方向で特定の位置において、送達シースに張力が課せられたときに送達シース120がスプリットする線に沿った線を含み、それにより、スリーブはスプリット線228a及び228bに沿ってスプリットされうる。様々な実施形態において、送達シース120は、第一のスプリット線228a及び228bが、張力適用時にフィルムが「自然に」スプリットするフィルムに沿った線を表すように、高度に配向されたフィルムを含む。例えば、フィルム内の「自然」スプリット線は材料内のノード及びフィブリルの方向又は配向に沿って整列しうる。様々な実施形態において、送達シース120の材料のノード及びフィブリルは、スプリット線228a及び228bがカテーテル102に比較的に平行になるように配向されている。2つのスプリット線との関係で記載されているが、送達シース120はいかなる数のスプリット線を含んでもよい。
【0067】
スプリット線228a及び228bは、例えば、送達シース120の遠位末端及び近位末端の間の長手方向で進行している比較的に真っ直ぐな線を含むことができる。他の実施形態において、スプリット線228a及び228bは送達シース120の遠位末端及び近位末端の間で概して長手方向に進行している曲線又はらせん状線などの非直線状の線を含むことができる。特定の形状及び形態(例えば、直線状、曲線状、スパイラル状)を参照して記載しているが、スプリット線228A及び228bは任意の形状及び形態の線を含むことができる。
【0068】
送達シース120は、例えば、第一のセグメント230及び第二のセグメント232をさらに含むことができる。様々な実施形態において、第一のセグメント230は第一のスプリット線228a及び第二のスプリット線228bの間の送達シース120の部分を構成する。様々な実施形態において、第二のセグメント232は第一のスプリット線228a及び第二のスプリット線228bの間で、第一のセグメント230の反対側の送達シース120の別の部分を構成することができる。様々な実施形態において、第一のセグメント230及び第二のセグメント232は同様の形状及び形態を含む。例えば、第一のスプリット線228a及び第二のスプリット線228bが送達シース120の長さに沿って延在している比較的に長手方向の線を含む実施形態において、第一のセグメント230及び第二のセグメント232は同様又は同一のセグメントを含む。別の言い方をすると、様々な実施形態において、第一のスプリット線228a及び第二のスプリット線228bは送達シース120を、ほぼ等しいサイズ及び形状を有する第一のセグメント230及び第二のセグメント232に二分割する。他の実施形態において、第一のセグメント230及び第二のセグメント232は異なる形状及びサイズを含むことができる。第一のスプリット線228a及び第二のスプリット線228bに関連して議論されたように、送達シース120は任意の数のセグメントを含むことができる。
【0069】
様々な実施形態において、第一のセグメント230は第一の作動線240を含む。第一の作動線は、例えば、第一のスプリット線228a及び第二のスプリット線228bに沿った引き裂き又はスプリットを開始しそして制御するように構成されうる。例えば、送達シース120の除去が所望されるときに、第一の作動線240を引いて、第一のスプリット線228a及び第二のスプリット線228bを引き裂くことができ、それで、第一のセグメント230を送達シース120から分離させ、そして長尺部材102の近位末端106に向けて剥き返すことができる。第一の作動線240は、例えば、第一のセグメント230の端部に取り付けられたストリング、スレッド、リボン又はワイヤを含むことができる。別の実施形態において、第一の作動線240は第一のセグメント230のテーパー化又は長尺部分を含む。第一のセグメント230を剥き返すことができる第一の作動線240の任意の形態は本開示の範囲内である。
【0070】
様々な実施形態において、第一の作動線240は長尺部材102の近位末端106から遠位末端108に進み、第一のポータル350を通して長尺部材102を出ていく。第一の作動線240を長尺部材102の近位末端106に向けて引っ張るときに、第一のセグメント230は第一のスプリット線228a及び第二のスプリット線228bに沿ってバルーン104の外側表面から剥離され、バルーン104の部分を露出する。
【0071】
第一の作動線240と同様に、第二の作動線242を長尺部材102の近位末端106に向けて引っ張り、バルーン104から第二のセグメント232を剥離しうる。様々な実施形態において、第二の作動線242は第一の作動線240の後に作動される。これは外側送達シース120の完全な反転を回避するためである。バルーンの1つの末端から反対末端に向けてシース又はスリーブの全直径が反転されるときに完全な反転が起こる。このような形態において、スリーブ又はシースは単一のスリーブとして無傷のまま残り、そしてスリーブ又はシースセグメントの形態のポータル350及び/又は252を通してリトラクトされることができない。
【0072】
様々な実施形態において、第一の作動線240は第二の作動線242よりも短い長さを有する。このような実施形態において、第一の作動線240及び第二の作動線242の両方は同時に作動されうる。第二の作動線242は第一の作動線240よりも長いので、第二のセグメント232は第一の作動線230の後に剥き返し始めるであろう。第一の作動線240及び第二の作動線242は第一のセグメント230及び第二のセグメント232を互いに独立に剥き返すことができる任意の形態を含むことができる。
【0073】
図3を参照すると、第一のセグメント230及び/又は第二のセグメント232は、例えば、表面334をさらに含むことができる。様々な実施形態において、表面334はテクスチャー、突起、スパイク、スコアラー、くぼみ、溝、コーティング、粒子などを含むことができる。表面334は、例えば、治療剤が送達されようとしている(送達された)組織を変性し、本発明のシステムの配置を制御し、そして流体移動を指向させることができる。さらに、表面334は治療剤をより深く組織の上に、及び/又は、より深い組織の中への移行の増加を助けることができる。さらに、表面334のコーティングは前記シース材料の微視的な湿潤化を補助することができる。様々な実施形態において、表面334は架橋ポリビニルアルコールのコーティングを含む(米国特許第7,871,659号明細書を参照されたい)。別の実施形態において、表面334の前記コーティングは米国特許第4,810,784号及び同第6,559,131号明細書(その両方をすべての目的でそのすべてを参照により本明細書中に取り込む)に記載されるとおりのヘパリンコーティングを含むことができる。
【0074】
図4A及び4Bを参照すると、作動線240及び242は表面334などの送達シース120の内側表面及びバルーン104の外側表面の間に配置されることができる。様々な実施形態において、作動線240及び242に張力を課すと、第一のセグメント230及び第二のセグメント232を内側に反転することができ、それにより、その部分は表面334及びバルーン104の外側表面との間を進行する。これは他の実施形態と対照的であり、ここで、他の実施形態では、
図3A及び3Bに例示されるとおり、第一のセグメント230及び第二のセグメント232は外側に剥き返され、そして表面334及びバルーン104の外側部分の間で進行していない。
【0075】
図5A及び5Bを参照すると、作動線240及び242は送達シース120内に配置されることができる。様々な実施形態において、作動線240及び242は送達シース120の層内に配置されていることができ、それにより、張力が作動線240及び242に課されたときに、第一のセグメント230及び第二のセグメント232は送達シース120の内部で剥離される。別の言い方をすると、送達シース120は、第一のセグメント230及び第二のセグメント232が作動線240及び242により剥離されたときにそれ自体の上に折り曲がる。
【0076】
図6A~6Dを参照すると、送達シース120は二次バルーン660の膨張により第一のセグメント230及び第二のセグメント232に変換されうる。例えば、バルーン104の十分な膨張時に、二次バルーン660は膨張し始める。様々な実施形態において、二次バルーン660はバルーン104の弾性コンプライアンスよりも高い弾性コンプライアンスを有し、それにより、二次バルーン660は、バルーン104が完全に膨張されるまで、所望の膨張直径を超えて膨張しない。二次バルーン660は二次シース662により包囲されうる。様々な実施形態において、第一の作動線240及び第二の作動線242は二次シース662に取り付けられる。このような実施形態において、二次バルーン660が予め決められた膨張レベルを超えて膨張するときに、二次シース662はリトラクトを開始し、第一の作動線240及び第二の作動線242に張力を課す。この張力は送達シース120をスプリット線228a及び228bに沿ってスプリットさせ、そして二次バルーン660に向けて反転させる。
【0077】
特定の形態との関係で前パラグラフにおいて記載されてきたが、第一のセグメント230及び第二のセグメント232がスプリットされ、剥き返されそしてバルーン104から除去されうる作動線240及び第二の作動線242の任意の形態は本開示の範囲内にある。
【0078】
別の実施形態において、送達シース120は放射線不透明マーカーを含み又は該マーカーによりマークされ、又は、その全体が放射線不透明であるように作られることができる。このような放射線不透明性インジケータは本発明の拡張可能な医療機器を適切に進行させそして配置させるように臨床医により使用される。
【0079】
別の実施形態において、ステント又はステントグラフトなどの拡張可能な機器をバルーン104に取り付け、そして拡張可能な機器を拡張しそして配置する身体内の部位に送達することができる。この用途の利点は、前記拡張可能な機器が送達されるのと同時に治療領域に治療剤を送達することができることである。これにより、臨床医がステント送達バルーン及び薬物送達バルーンの間で切り替える必要性を無くす。1つの実施形態において、ステントはステンレススチールなどのバルーン拡張性材料から製造されている。別の実施形態において、ステントはニチノールなどの自己拡張性材料から製造されている。別の実施形態において、ステントは生分解性ポリマーなどの生分解性材料、金属又は合金から製造されている。別の実施形態において、ステントはグラフトに取り付けられている。様々な実施形態において、グラフトはePTFEを含む。
【0080】
本開示の医療機器送達システムは広範な用途に適することができ、該用途としては、例えば、身体内でのある範囲の医療処置用途が挙げられる。例示の用途としては、移送薬物のためのカテーテルバルーンとしての使用、又は、インプラントされた血管グラフト、ステント、ステント-グラフト、永久もしくは一時人工器官もしくは他のタイプのメディカルインプラントの配置又は「タッチアップ」、身体内の標的組織の治療、及び、血管、泌尿器管、腸管、鼻腔、神経鞘、椎間板領域、骨空洞、食道、子宮内腔、膵臓及び胆管、直腸などの任意の身体腔、空間又は中空器官通路、ならびに、インプラントされた血管グラフト、ステント、人工器官又は他のタイプのメディカルインプラントを有する事前に介入された身体空間の治療が挙げられる。追加の例としては、血管から塞栓及び血栓などの障害物を取り除くために、閉塞した身体通路への開存性を回復させるための拡張装置として、通路又は空間を閉塞又は充填するための手段を選択的に送達するための閉塞装置として、及び、カテーテルのような経腔的器具のセンタリング機構として使用されるバルーンが挙げられる。1つの実施形態において、本開示により提供される医療機器送達システムはステント再狭窄を治療し、又は、以前に配置された薬物溶出性構造物が破損した組織部位を治療するために使用されうる。別の実施形態において、本開示の医療機器送達システムは動静脈アクセス部位、例えば、腎臓透析の間に使用される部位を確立又は維持するために使用することができる。1つの実施形態において、本開示に係る送達システムは末梢動脈の閉塞性疾患を有する患者の経皮的血管形成術(PTA)のために使用されるメディカルバルーンを含むことができる。別の実施形態において、本開示に係る送達システムは冠状動脈狭窄又は閉塞を治療するために使用することができる。
【0081】
他の実施形態において、本開示に係る送達システムは放射状に円形である形態以外の形態で施用されうる。例えば、このようなシステムは創傷ドレッシング、インプラント可能なパッチ(血管及びヘルニアパッチを含む)、経皮パッチ、フィルター、様々な機器送達コンポーネント、オクルーダー及び整形外科用インプラントなどの平面状機器との関係で使用されうる。1つの実施形態において、このようなシステムはインプラント可能なリード(例えば、心臓又は神経刺激リード)中に取り込まれることができ、但し、リードは拡張可能な部材と適合性があり、例えば、拡張可能な部材が配置可能であるルーメン又はポケットを特徴とする。
【0082】
別の実施形態において、本開示の送達システムは機器の近傍に配置されたバルーンなどの閉鎖機器と組み合わせることができる。この閉鎖機器は治療領域から離れる薬物の移動を軽減することができる。1つの実施形態において、このシステムにより分離された体液はシステムの除去の前に吸引により身体から抜き出されることができる。
【0083】
様々な実施形態において、医療機器送達システム100を使用して、患者の脈管構造への治療を提供することができる。例えば、治療方法は、拡張可能な医療機器(バルーン104など)及び拡張可能な医療機器の少なくとも一部を包囲している半径方向に拡張可能なシース(例えば、送達シース120)を患者内の治療領域へと進行させることを含むことができる。さらに、この方法は、作動線(例えば、第一の作動線240及び/又は第二の作動線242)に張力を課して、2本のスプリット線(例えば、スプリット線228a及び228b)に沿って送達シースをスプリットして、第一のシースセグメント及び第二のシースセグメント(例えば、第一のセグメント230及び第二のセグメント232)を形成することを含むことができる。様々な実施形態において、この方法は、患者から第一のシースセグメントを除去することをさらに含む。上記のとおり、張力は手動で、二次バルーンによって、又は、任意の他の適切な方法で作動線に課すことができる。
【0084】
様々な実施形態において、患者の脈管構造を治療する方法は、第一のシースセグメントを除去する工程に続いて、第二のシースセグメントを患者から除去する工程の前に拡張可能な医療機器を配向させることをさらに含む。このような実施形態では、シースセグメントは、機器(例えば、バルーン104)が患者内の所定の所望の治療領域に配置されるまで除去されない。
【0085】
1つの実施形態において、バルーン104の拡張直径は約4 mm、約5 mm、約6 mm、約 7mm、約8 mm、約9 mm又は約 10 mmの直径であり、長さは約30~約150 mmの範囲である。別の実施形態において、カテーテルは長さが約90~約150cmの範囲である。別の実施形態において、バルーン104は身体の脈管、体腔又はダクトに導入される前に約5、6、7、8、9又は10 フレンチ(French)(Fr) のサイズである。
【0086】
ある実施形態において、除去可能な送達シースはシース送達の間に脈管壁と接触するように内側層(ルーメン対面層)の少なくとも一部がテクスチャー化されている。他の実施形態では、複数の除去可能な送達シースはバルーン上で利用され、複数の除去可能な送達シースのうちの少なくとも1つは薬物コーティングを含む。ある実施形態において、除去可能な送達シースの内側層(ルーメン対面層)の少なくとも一部は薬物層を含む。様々な実施形態において、薬物コーティングを含む複数の除去可能な送達シースのうちの2つを除去することは、脈管壁と接触しているシースの内側層を十分に露出させ、さらなる医療処置のために脈管壁を調製する。様々な実施形態では、除去可能な送達シースの内側層(ルーメン対面層)は薬物コーティングを含み、拡張可能な医療機器を所望の膨張直径に膨張させ、作動線に張力を課すと、第一のシースセグメントはシースの第一の層とシースの第二の層との間で反転し、脈管壁と十分に接触するように配置され、また、さらなる治療のために脈管壁を調製する。別の実施形態では、除去可能な送達シースの内側表面は薬物コーティングを含み、拡張可能な医療機器を所望の膨張直径まで膨張させ、作動線に張力が課されると、第一のセグメントは、シースの第一の層と第二のシース層の間で反転し、薬物をシースの内側表面から治療領域に送達する。
【実施例0087】
例1
本例は、本発明による、メディカルバルーンに適用されたスプリット可能で、リトラクト可能なバルーンカバーの構造物を記載する。
【0088】
下記の特性を有する延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを得た:幅120mm、単位面積当たりの質量:約2.43 g/m2、厚さ:約0.0089mm、密度:約0.27 g/cc、長手方向マトリックス引張強さ:約649 MPa、横断方向マトリックス引張強さ:約10.5 MPa、及び、イソプロピルアルコール(IPA)バブルポイント:約4.83 kPa。
【0089】
30cm長さ及び6.4mm直径であるステンレススチールマンドレルを得た。5層のePTFEフィルムをマンドレルの周囲に包囲し、ePTFEフィブリルは一般にマンドレルの長手方向に平行に配向されている。ePTFEの得られたチューブは長さが120mmであった。
【0090】
下記の特性を有する第二のePTFEフィルムを得た。幅:25.4mm、単位面積当たりの質量:約 2.66 g/m2、厚さ:約.0064 mm、密度:約0.42 g/cc、長手方向マトリックス引張強さ:約655 MPa、横断方向マトリックス引張強さ:約16.6 MPa、及び、IPAバブルポイント:約140.0 kPaである。
【0091】
マンドレルの長手軸に対して45°の角度で120mm ePTFEチューブの上に第二のePTFEフィルムをらせん状にラップし、各々の順次の層は前の層に約50%だけオーバーラップさせ、そのようにして、120mmチューブを完全にオーバーラップした。ラッピングしている間に、第二のフィルムをチューブに適用しているときに、該フィルムが約15mmの幅にまでネックダウンするように張力を課した。フィルム4層がチューブをオーバーラップするまでラッピングを継続した。
【0092】
オーバーラップされた120mmePTFEチューブ及びマンドレルを380℃にて4分間熱処理した。室温への冷却後に、第二のePTFEフィルムを除去し、当初の120mmチューブをマンドレル上に残した。チューブのフィルム層が互いに接着していることを確認した後に、チューブをマンドレルから取り外した。チューブの末端をトリミングして、きれいな縁を形成した。
【0093】
5mm直径×40mm長さのナイロンバルーンを有する非親水性の経皮的血管形成術 (PTA)バルーンカテーテルを得た(BMT-035 08QL-504A, Bavaria Medizin Technologie, GmbH)。カテーテルのバルーン部分の上に供給されたパッケージングスリーブはバルーンを近位的にスライドした。剛性の0.089mm直径のPTFE-コート化スチールワイヤマンドレルをバルーンカテーテルの遠位ガイドワイヤルーメン中に導入した。120mmのePTFEチューブの1つの末端を長手方向に直径を横切って10mm長さでスリットして、2つの10mm長さの半チューブ状フラップを形成した。フラップを把持して、チューブを近位方向に、すなわち、カテーテルハブに向けて、バルーン上で引っ張った。フラップの近位縁は近位バルーンシールを20mm超えた位置に配置され、このようにして、バルーン上のカバーを形成した。
【0094】
10mm幅の上記の第二のタイプのePTFEフィルムを、カバーの近位末端の最後の5mm、及び、カバーの末端に近い5mmのベアバルーンカテーテルシャフトにわたって横方向にラップし、それにより、カテーテルシャフトにカバーを固定した。Loctite 7701プライマー、その後、Loctite 4981接着剤(Loctite Corporation, Dusseldorf, GmbH)をラップされたフィルムに適用し、そして乾燥し、カテーテルシャフトにカバーを接着した。
【0095】
カバーの遠位末端を10mmの長さで直径を横切って長手方向にスリットし、2つの等しい幅の半チューブ状フラップを形成した。フラップを180°で離れるように引っ張り、バルーンショルダーの遠位末端までスリットを伝播させ、2つの展開タブを形成した。バルーンカテーテルの遠位末端及びバルーン遠位ショルダーに隣接しているカバーの重なり部分をLoctite 7701によりプライミングした。小さい液滴のLoctite 4981接着剤をカテーテル先端から約1mmのカテーテルの片側に配置し、そして対応する展開タブをカテーテルに対して15秒間押圧し、それをカテーテルに結合した。この工程をカテーテルの反対側で繰り返し、他方の展開タブをカテーテルに接着した。
【0096】
パッケージングスリーブを遠位方向に進行させ、そして格納シースとして機能するようにバルーンの近位末端の近傍に配置した。1つのタブの末端が他方のタブの末端に対して10mm近位となるようにして展開タブをカバー上で近位方向に反転させ、Loctite 7701プライマー及びLoctite 4981接着剤を用いて、格納シースに接着させた。これにより、より遠位に取り付けられた展開タブにおいて10mmの弛み部を形成した。
【0097】
バルーンを6 atm (約85 psi)の公称膨張圧力(NIP)まで膨張し、そしてバルーンカバーはバルーンの表面上で無傷のままであった。格納シースをカテーテルシャフトに沿って近位方向に変位させ、より近位に取り付けられた展開タブに対する張力を形成した。格納シースのさらなる近位方向の変位により、バルーンの遠位部分からのバルーンカバーの片側の剥離をもたらした。収納シースの継続した近位方向変位は第二の、より遠位に取り付けられた展開タブに対して張力を形成し、次いで、バルーンカバーのもう一方の側の剥離をもたらした。パッケージングシースのさらなる変位により、全バルーンがカバーされなくなるまで、千鳥状様式で、両方のタブを継続的にスプリットしそして剥き返しした。
【0098】
例2
本例はメディカルバルーンに応用されるスプリット式格納バルーンカバーの構造を記載し、ここで、カバー材料は親水性となるように処理されており、すべて本発明によるものである。
【0099】
スプリット式格納バルーンカバーは例1により組み立て、そして下記の方法を用いて親水性コーティングにより処理した。バルーン上に配置される前に、バルーンカバーを100%IPA浴に30秒間完全に浸漬させ、脱イオン(DI)水中に2%ポリビニルアルコール(g/mL)を含む浴に移し、そして20分間滞留させた。その後、バルーンカバーをDI水中で15分間リンスした。リンス完了時に、バルーンカバーを2%グルタルアルデヒド(mL/mL)及び1% 塩酸(mL/mL)をDI水中に含む浴に移した。バルーンカバーはこの浴中に15分間残り、その後、DI水リンスにさらに15分間移した。バルーンカバーを周囲空気中で約2時間乾燥し、次いで、例1に記載のとおりのバルーン上に配置した。
【0100】
例3
本例において、薬物コーティングを保護することにおけるバルーンカバーの有効性を本発明によりカバーされたバルーン及びカバーされていない対照バルーンをシミュレート化取扱及び展開条件に付すことにより評価した。
【0101】
9つの5mm直径×40mm 長さのPTAバルーンカテーテルを得た(BMT-035 08QL-504A, Bavaria Medizin Technologie, GmbH)。すべてのバルーンをパクリタキセル (Paclitaxel/S, Code N.: 3064055, Indena USA Inc., Seattle, WA)及び尿素(Urea U4884, Sigma-Aldrich Co. LLC, St. Louis, MO) によりコーティングした。パクリタキセル及び尿素を乾燥比7:1で質量基準で混合し、そしてメタノール(CHROMASOLV(登録商標)、HPLC用、≧99.9%, Sigma-Aldrich Co, LLC, St. Louis MO)中に可溶化し、約3%固定分を有する混合物を得た。各バルーンカテーテルを0.089mm マンドレル上に配置し、その後、それを万力にクランプし、カテーテルの軸回転を可能にした。その後、バルーンを約30 psiに膨張させ、そしてカテーテルをその軸に関して60回転/分(RPM)で回転し、一方、100μlのパクリタキセル/尿素溶液を、回転しているバルーンの長さに沿って進行しているC100μlピペットを用いてバルーン表面上にディスペンスした。適用されたパクリタキセルの質量を配合物中の%固形分及びディスペンスした体積から計算した。これは約2.004 mgの質量のパクリタキセルが各バルーン上に堆積されることとなった。
【0102】
3つのバルーンを例1に記載されるとおりに製造されたスプリット式格納バルーンカバーによりカバーした。3つのバルーンを例2に記載されるとおりに製造されたスプリット式格納用親水性バルーンカバーによりカバーした。3つのバルーンは対照として機能するようにカバーされていなかった。
【0103】
使用前の乾燥取扱の間の薬物コーティングの損失を潜在的にもたらす条件をシミュレートするために、6つのカバーされたバルーン及び3つのカバーされていないバルーンをクリーンで、乾燥した、15mlの遠心分離チューブの壁に対して30秒間各々手で叩いた。バルーンを、その後、取り出し、そして遠心分離チューブの内容物を取り出し、合計パクリタキセル含有分を得るために、UV検知による超高速液体クロマトグラフィー(UPLC-UV)を用いて分析した。
【0104】
治療部位に進行している間にバルーンから薬物損失をもたらす条件をシミュレートするために、各バルーンを、その後、クリーンな、DI水を含む15ml遠心分離チューブに30秒間浸漬させた。溶液中のパクリタキセルの量をUPLC-UVにより測定した。
【0105】
乾燥及び湿潤シミュレート化取扱試験の両方において、本発明のスプリット式格納バルーンカバーを取り込んだ機器はカバーしていない対照バルーンと比較して、改良された薬物コーティング保持性を示した。各バルーン上にコーティングされた初期量の百分率で測定される、乾燥及び湿潤シミュレート化取扱試験の間に回収したパクリタキセルの割合を
図7にグラフで描き、そして表1にまとめた。
【表1】
【0106】
本発明の特定の実施形態を本明細書中に示しそして記載してきたが、本発明はこのように例示及び記載に限定されるべきでない。変化及び変更は以下の特許請求の範囲において本発明の一部として取り込まれそして具現化されうることは明らかなはずである。
【0107】
機器及び/又は方法の構造及び機能の詳細とともに様々な代替実施形態を含めて多くの特性化及び利点は上記の記載で示してきた。本開示は例示のみを意図し、それ自体が網羅的であることが意図されない。様々な変更は、特に構造、材料、要素、成分、形状、及び、本発明の原理の範囲内の組み合わせを含む部品の配置の点で、添付の特許請求の範囲が表現している広く一般的な用語により示される全体の範囲にまで行うことができることは当業者に明らかであろう。これらの様々な変更が添付の特許請求の範囲の主旨及び範囲から逸脱しない程度まで、これらの変更は包含されることが意図される。
前記作動線は第一のシースセグメントに取り付けられた第一の部分、及び、第二のシースセグメントに取り付けられた第二の部分を含む、請求項1記載の除去可能な送達シース。
前記バルーンの弾性コンプライアンスよりも高い弾性コンプライアンスを有しかつ前記バルーンと流体連絡されている第二のバルーンをさらに含み、前記第二のバルーンの膨張時に、前記作動線に張力が課される、請求項2記載の除去可能な送達シース。
前記第一のシースセグメント及び第二のシースセグメントは前記拡張可能な医療機器の拡張時に作動する弾性コンプライアンスにより長尺部材に固定される、請求項17記載の除去可能な送達シース。
前記シースは第一の層及び第二の層を含み、前記作動線に張力が課されたときに、第一のシースセグメントはシースの第一の層及びシースの第二の層の間で反転する、請求項1記載の除去可能な送達シース。