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2022-169632電子素子搭載用基板、電子装置および電子モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169632
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】電子素子搭載用基板、電子装置および電子モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20221101BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20221101BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H01L23/12 J
H01L23/36 C
H05K1/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128023
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2019569165の分割
【原出願日】2019-01-30
(31)【優先権主張番号】P 2018013760
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018084163
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】森田 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】北住 登
(72)【発明者】
【氏名】森山 陽介
(57)【要約】      (修正有)
【課題】放熱性に優れた素子搭載用基板、電子装置及び電子モジュールを提供する。
【解決手段】電子素子搭載用基板は、第1主面を有し、第1主面に位置し、絶縁体からなり、長手方向の一端部が第1主面の外縁部に位置した矩形状である電子素子の搭載部11aを有する第1基板11と、第1主面と反対側の第2主面に位置し、第2主面と対向する第3主面および第3主面と反対側の第4主面を有する第2基板12と、第2基板に埋め込まれ、炭素材料からなり、厚み方向における第3主面側に位置した第5主面および第5主面と反対側の第6主面を有する第3基板13と、を有し、平面透視において、第3基板は、搭載部の長手方向の熱伝導より搭載部の長手方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きくなっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を有し、該第1主面に位置し、絶縁体からなり、長手方向の一端部が前記第1主面の外縁部に位置した矩形状である電子素子の搭載部を有する第1基板と、
前記第1主面と反対側の第2主面に位置し、該第2主面と対向する第3主面および該第3主面と反対側の第4主面を有する第2基板と、
該第2基板に埋め込まれ、炭素材料からなり、厚み方向における前記第3主面側に位置した第5主面および該第5主面と反対側の第6主面を有する第3基板とを有しており、
平面透視において、前記第3基板は、前記搭載部の長手方向の熱伝導より前記搭載部の長手方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きいことを特徴とする電子素子搭載用基板。
【請求項2】
前記第2基板が金属であることを特徴とする請求項1に記載の電子素子搭載用基板。
【請求項3】
前記第2基板が絶縁体であることを特徴とする請求項1に記載の電子素子搭載用基板。
【請求項4】
前記搭載部の長手方向の縦断面視において、前記第3基板は、厚み方向に垂直に交わる方向より厚み方向の熱伝導が大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子素子搭載用基板。
【請求項5】
前記第4主面および前記第6主面に位置し、絶縁体からなり、前記第4主面および前記第6主面と対向する第7主面、および該第7主面と反対側の第8主面を有する第4基板を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の電子素子搭載用基板。
【請求項6】
平面透視において、前記第3基板は、前記第1基板の外縁部および前記第4基板の外縁部より内側に位置していることを特徴とする請求項5に記載の電子素子搭載用基板。
【請求項7】
前記第2基板の厚みと前記第3基板の厚みとは、大きさが同じであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電子素子搭載用基板。
【請求項8】
前記第2基板は枠状であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の電子素子搭載用基板。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電子素子搭載用基板と、
該電子素子搭載用基板の搭載部に搭載された電子素子と、
前記電子素子搭載用基板が搭載された配線基板または電子素子収納用パッケージとを有していることを特徴とする電子装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電子装置と、
該電子装置が接続されたモジュール用基板とを有することを特徴とする電子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子搭載用基板、電子装置および電子モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子素子搭載用基板は、第1主面と第2主面と側面とを有する絶縁基板と、絶縁基板の第1主面に設けられた電子素子の搭載部および配線層とを有している。電子素子搭載用基板において、電子素子の搭載部に電子素子を搭載した後、電子素子収納用パッケージに搭載されて電子装置となる(特開2013-175508号公報参照。)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の電子素子搭載用基板は、第1主面を有し、該第1主面に位置し、絶縁体からなり、長手方向の一端部が前記第1主面の外縁部に位置した矩形状である電子素子の搭載部を有する第1基板と、前記第1主面と反対側の第2主面に位置し、該第2主面と対向する第3主面および該第3主面と反対側の第4主面を有する第2基板と、該第2基板に埋め込まれ、炭素材料からなり、厚み方向における前記第3主面側に位置した第5主面および該第5主面と反対側の第6主面を有する第3基板とを有しており、平面透視において、前記第3基板は、前記搭載部の長手方向の熱伝導より前記搭載部の長手方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きくなっている。
【0004】
本開示の電子装置は、上記構成の電子素子搭載用基板と、該電子素子搭載用基板の前記搭載部に搭載された電子素子と、前記電子素子搭載用基板が搭載された配線基板または電子素子収納用パッケージとを有している。
【0005】
本開示の電子モジュールは、上記構成の電子装置と、該電子装置が接続されたモジュール用基板とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】(a)は、第1の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
図2図1に示された電子素子搭載用基板の第1基板と、第2基板と、第3基板とをそれぞれ分解した斜視図である。
図3】(a)は、図1(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は、図1(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図である。
図4】(a)は、図1(a)に示された電子素子搭載用基板に電子素子を搭載した状態を示す上面図であり、(b)は(a)のB-B線における縦断面図である。
図5】(a)は、図1に示した電子素子搭載用基板を用いた電子装置の例を示す上面図であり、(b)は(a)のC-C線における縦断面図である。
図6】(a)は、図1に示した電子素子搭載用基板を用いた電子装置の他の例を示す上面図であり、(b)は(a)のC-C線における縦断面図である。
図7図5に示した電子装置をモジュール用基板に搭載した状態を示す断面図である。
図8】(a)~(d)は、第1の実施形態の電子素子搭載用基板の製造方法の一例を示す断面図である。
図9】(a)は、第2の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
図10図9に示された電子素子搭載用基板の第1基板と、第2基板と、第3基板とを分解した斜視図である。
図11】(a)は、図9(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は、図6(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図である。
図12】第2の実施形態の電子素子搭載用基板の製造方法を示す断面図である。
図13】(a)は、第3の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
図14図13に示された電子素子搭載用基板の複数の第3基板を分解した斜視図である。
図15】(a)は、図13(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は、図13(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図である。
図16】第3の実施形態の電子素子搭載用基板の製造方法を示す断面図である。
図17】(a)は、第4の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
図18】(a)は、図17(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は、図17(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示のいくつかの例示的な実施形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態における電子素子搭載用基板1は、図1図4に示された例のように、第1基板11と第2基板12と第3基板13とを含んでいる。電子装置は、図5および図6に示された例のように、電子素子等用基板1と、電子素子搭載用基板の搭載部11aに搭載された電子素子2と、電子素子搭載用基板1が搭載された配線基板とを含んでいる。電子装置は、図7に示された例のように、例えば電子モジュールを構成するモジュール用基板上の接続パッドに接合材を用いて接続される。
【0009】
本実施形態における電子素子搭載用基板1は、第1主面を有し、第1主面に位置し、絶縁体からなり、長手方向の一端部が第1主面の外縁部に位置した矩形状である電子素子2の搭載部11aを有する第1基板11と、第1主面と反対側の第2主面に位置し、第2主面と対向する第3主面および第3主面と反対側の第4主面を有する第2基板12と、第2基板12に埋め込まれ、炭素材料からなり、厚み方向における第3主面側に位置した第5主面および第5主面と反対側の第6主面を有する第3基板13とを有している。平面透視において、第3基板13は、搭載部11aの長手方向の熱伝導より搭載部の長手方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きくなっている。図1図4において、電子素子2は仮想のxyz空間におけるxy平面に実装されている。図1図4において、上方向とは、仮想のz軸の正方向のことをいう。なお、以下の説明における上下の区別は便宜的なものであり、実際に電子素子搭載用基板1等が使用される際の上下を限定するものではない。
【0010】
図1(a)に示す例において、平面透視にて第3基板13の外縁を破線にて示している。金属層14は、図1(a)に示す例において、ハッチングにて示している。
【0011】
第1基板11は、第1主面(図1図3では上面)および第2主面(図1図3では下面)を有している。第1主面と第2主面とは、第1基板11の厚み方向において互いに反対側に位置している。第1基板11は、単層または複数の絶縁層からなり、平面視において、第1主面および第2主面のそれぞれに対して二組の対向する辺(4辺)を有した方形の板状の形状を有している。第1基板11は、長方形状の電子素子2を支持するための支持体として機能し、第1基板11の第1主面に位置した矩形状の搭載部11a上に電子素子2がAu-Sn等の接合部材を介して接着され固定される。
【0012】
第2基板12は、第3主面(図1図3では上面)および第4主面(図1図3では下面)を有している。第3主面と第4主面とは、第2基板12の厚み方向において互いに反対側に位置している。第2基板12は、第2基板12は、単層または複数の絶縁層からなり、平面視において、第3主面および第4主面のそれぞれに対して二組の対向する辺(4辺)を有した枠状を有している。
【0013】
第1基板11は、絶縁体からなり、第2基板12は、絶縁体または金属からなる。
【0014】
金属の場合における第2基板12は、例えば、銅(Cu)、銅-タングステン(Cu-W)、銅-モリブデン(Cu-Mo)等の金属材料を用いることができる。第2基板12は、第3主面から第4主面にかけて貫通する貫通穴12aを有している。貫通穴12aは、第3基板13が埋め込まれる領域である。
【0015】
第1基板11および絶縁体の場合における第2基板12は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス),窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体またはガラスセラミックス焼結体等のセラミックスを用いることができる。第1基板11および第2基板12は、例えば窒化アルミニウム質焼結体である場合であれば、窒化アルミニウム(AlN),酸化エルビニウム(Er23)、酸化イットリウム(Y23)等の原料粉末に適当な有機バインダーおよび溶剤等を添加混合して泥漿物を作製する。この泥漿物を、従来周知のドクターブレード法またはカレンダーロール法等を採用してシート状に成形することによってセラミックグリーンシートを作製する。必要に応じて、セラミックグリーンシートを複数枚積層し、高温(約1800℃)で焼成することによって、単層または複数の絶縁層からなる第1基板11および第2基板12が製作される。
【0016】
第3基板13は、第5主面(図1図3では上面)および第6主面(図1図3では下面)を有している。第5主面と第6主面とは、第3基板13の厚み方向において互いに反対側に位置している。
【0017】
第3基板13は、例えば、炭素材料からなり、六員環が共有結合でつながったグラフェンが積層した構造体として形成される。各面がファンデルワールス力で結合された材料である。
【0018】
第3基板13は、図1図3に示される例のように、第2基板12の貫通穴12a内に埋め込まれている。第3基板13の第5主面は、第2基板12の第3主面側に位置しており、第3基板13の第6主面は、第2基板12の第4主面側に位置している。
【0019】
第1基板11は、熱伝導率に優れた窒化アルミニウム質焼結体が用いられてもよい。絶縁体の場合における第2基板12は、熱伝導率に優れた窒化アルミニウム質焼結体が用いられてもよい。第2基板12と第3基板13とは、第2基板12の貫通穴12aの内側面と第3基板13の外側面とが、例えば、TiCuAg合金、TiSnAgCu合金等の活性ろう材からなる接合材により接着される。接合材は、第2基板12と第3基板13との間に、10μm程度の厚みに配置される。
【0020】
第1基板11と第2基板12とは、第1基板11の第2主面と第2基板12の第3主面とが、第1基板11と第3基板13とは、第1基板11の第2主面と第3基板13の第5主面とが、例えば、TiCuAg合金、TiSnAgCu等の活性ろう材からなる接合材により接着される。接合材は、第1基板11と第2基板12との間および第1基板11と第3基板13との間に、10μm程度の厚みに配置される。
【0021】
第1基板11は、平面視にて、方形状をしている。第2基板12は、平面視にて方形の枠状をしている。第3基板13は、平面視にて、方形状をしている。第1基板11と2基板12とを接着、および第1基板11と第3基板13、第2基板12と第3基板13とを接着することにより、平面視にて、方形状の複合基板が形成される。なお、方形状とは、正方形状、長方形状等の四角形状である。図1図3に示す例において、平面視にて、第1基板11は長方形状をしており、長方形状の複合基板が形成される。
【0022】
第1基板11の基板厚みT1は、例えば、50μm~500μm程度であり、第2基板12の基板厚みT2は、例えば、100μm~2000μm程度である。第3基板13の基板厚みT3は、例えば、100μm~2000μm程度である。第2基板12の厚みT2と第3基板13の厚みT3とは、大きさが同じであり、5%程度の範囲内において同等の厚みで位置している(0.95T2≦T3≦1.05T2)。第1基板11と第2基板12とは、T2>T1であり、第1基板11と第3基板13とは、T3>T1であると、第1基板11の熱を第3基板13に良好に放熱することができる。
【0023】
第1基板11の熱伝導率καは、図2に示す例のように、平面方向におけるx方向とy方向とで略一定であり、第1基板11の厚み方向におけるz方向も平面方向におけるx方向とy方向と同等である(καx≒καy≒καz)。例えば、第1基板11として、窒化アルミニウム質焼結体が用いられる場合、第1基板11は、100~200W/m・K程度の熱伝導率καである基板が用いられる。
【0024】
第2基板12の熱伝導率κβは、図2に示す例のように、平面方向におけるx方向とy方向とで略一定であり、第1基板11の厚み方向におけるz方向も平面方向におけるx方向とy方向と同等である(κβx≒κβy≒κβz)。例えば、第2基板12として、銅が用いられる場合、第2基板11は、400W/m・K程度の熱伝導率κβである基板が用いられる。また、第2基板12として、窒化アルミニウム質焼結体が用いられる場合、第2基板12は、100~200W/m・K程度の熱伝導率κβである基板が用いられる。
【0025】
第3基板13の熱伝導率λは、平面方向におけるx方向とy方向とで大きさが異なっている。図2に示す、第3基板13のそれぞれの方向における熱伝導率λx、λy、λzの関係は、「熱伝導率λx≒熱伝導率λz>>熱伝導率λy」である。第3基板13の熱伝導率λは、平面方向におけるx方向と厚み方向におけるz方向とが同等であり、平面)におけるy方向が異なっている。例えば、第3基板13の熱伝導率λxおよび熱伝導率λzは、1000W/m・K程度であり、第3基板13の熱伝導率λyは、4W/m・K程度である。
【0026】
金属層15は、第1基板11の第1主面に位置している。金属層15は、電子素子2を搭載するための搭載部11a、あるいはボンディングワイヤ等の接続部材3と接続するための接続部として用いられ、電子素子2と配線基板の配線導体とを電気的に接続するためのものである。
【0027】
金属層15は、薄膜層およびめっき層とを含んでいる。薄膜層は、例えば、密着金属層とバリア層とを有している。薄膜層を構成する密着金属層は、第1基板11の第1主面に形成される。密着金属層は、例えば、窒化タンタル、ニッケル-クロム、ニッケル-クロムーシリコン、タングステン-シリコン、モリブデン-シリコン、タングステン、モリブデン、チタン、クロム等から成り、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の薄膜形成技術を採用することにより、第1基板11の第1主面に被着される。例えば真空蒸着法を用いて形成する場合には、第1基板11を真空蒸着装置の成膜室内に設置して、成膜室内の蒸着源に密着金属層と成る金属片を配置し、その後、成膜室内を真空状態(10-2Pa以下の圧力)にするとともに、蒸着源に配置された金属片を加熱して蒸着させ、この蒸着した金属片の分子を第1基板11に被着させることにより、密着金属層と成る薄膜金属の層を形成する。そして、薄膜金属層が形成された第1基板11にフォトリソグラフィ法を用いてレジストパターンを形成した後、エッチングによって余分な薄膜金属層を除去することにより、密着金属層が形成される。密着金属層の上面にはバリア層が被着され、バリア層は密着金属層とめっき層と接合性、濡れ性が良く、密着金属層とめっき層とを強固に接合させるとともに密着金属層とめっき層との相互拡散を防止する作用をなす。バリア層は、例えば、ニッケルークロム、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト等から成り、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の薄膜形成技術により密着金属層の表面に被着される。
【0028】
密着金属層の厚さは0.01~0.5μm程度が良い。0.01μm未満では、第1基板11上に密着金属層を強固に密着させることが困難となる傾向がある。0.5μmを超える場合は密着金属層の成膜時の内部応力によって密着金属層の剥離が生じ易くなる。また、バリア層の厚さは0.05~1μm程度が良い。0.05μm未満では、ピンホール等の欠陥が発生してバリア層としての機能を果たしにくくなる傾向がある。1μmを超える場合は、成膜時の内部応力によりバリア層の剥離が生じ易くなる。
【0029】
めっき層は、電解めっき法または無電解めっき法によって、薄膜層の露出した表面に被着される。めっき層は、ニッケル,銅,金または銀等の耐食性、接続部材との接続性に優れる金属から成るものであり、例えば、厚さ0.5~5μm程度のニッケルめっき層と0.1~3μm程度の金めっき層とが順次被着される。これによって、金属層15が腐食することを効果的に抑制でき、金属層15と配線基板に形成された配線導体との接合を強固にできる。
【0030】
また、バリア層上に、銅(Cu)、金(Au)等の金属層を配置し、めっき層が良好に形成されるようにしても構わない。このような金属層は、薄膜層と同様な方法により形成される。
【0031】
図4に示された例のように、電子素子搭載用基板1の第1主面に位置した搭載部11a上に、長方形状の電子素子2を搭載し、図5および図6に示された例のように、この電子素子搭載用基板1を配線基板もしくは電子素子搭載用パッケージに搭載することによって電子装置を作製できる。電子素子2は、図4図6に示す例において、電子素子2の長手方向が、平面透視において、平面方向における第3基板13の熱伝導率が小さい方向(y方向)に沿って搭載されている。電子素子搭載用基板1に搭載される電子素子2は、例えばLD(Laser Diode)等の発光素子、PD(Photo Diode)等の受光素子である。例えば、電子素子2は、Au-Sn等の接合材によって、一方の金属層15の搭載部11a上に固定された後、ボンディングワイヤ等の接続部材3を介して電子素子2の電極と他方の金属層15とが電気的に接続されることによって電子素子搭載用基板1に搭載される。電子素子2の電極と他方の金属層15とは、図4図6に示す例では、複数の接続部材3により電気的に接続されている。電子素子搭載用基板1が搭載される配線基板もしくは電子素子搭載用パッケージは、例えば、第1基板11と同様に、セラミックス等の絶縁基体を用いることができ、表面に配線導体を有している。そして、電子素子搭載用基板1の金属層15と配線基板もしくは電子素子搭載用パッケージの配線導体とが電気的に接続される。
【0032】
本実施形態の電子装置によれば、上記構成の電子素子搭載用基板1と、電子素子搭載用基板1の搭載部11aに搭載された電子素子2と、電子素子搭載用基板1が搭載された配線基板または電子素子収納用パッケージとを有していることによって、長期信頼性に優れた電子装置とすることができる。
【0033】
本実施形態の電子装置が、図7に示された例のように、配線導体とモジュール用基板の接続パッドに半田等の接合材6を介して接続されて、電子モジュールとなる。これにより、電子素子2とモジュール用基板の接続パッドとが電気的に接続される。
【0034】
本実施形態の電子モジュールによれば、上記構成の電子装置と、電子装置が接続されたモジュール用基板とを有することによって、長期信頼性に優れたものとすることができる。
【0035】
本実施形態の電子素子搭載用基板1によれば、第1主面を有し、第1主面に位置し、絶縁体からなり、長手方向の一端部が第1主面の外縁部に位置した矩形状である電子素子2の搭載部11aを有する第1基板11と、第1主面と反対側の第2主面に位置し、第2主面と対向する第3主面および第3主面と反対側の第4主面を有する第2基板12と、第2基板12に埋め込まれ、炭素材料からなり、厚み方向における第3主面側に位置した第5主面および第5主面と反対側の第6主面を有する第3基板13とを有しており、平面透視において、第3基板13は、搭載部11aの長手方向の熱伝導より搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きくなっている。上記構成により、例えば電子装置の作動時に、電子素子2から発生する熱が、電子素子2の長手方向に対して異なる方向に伝熱し、第2基板12から放熱しやすくなり、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張、特に電子素子2の長手方向への膨張を低減し、第3基板13の第5主面および側面の周囲を第1基板11および第2基板12により保持し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0036】
特に電子素子2として高出力のLD等の光素子を搭載する場合には、光を精度よく放出することができる光学装置用の電子素子搭載用基板1とすることができる。
【0037】
電子素子2の搭載部11aの長手方向の縦断面視において、第3基板13は、図1図6に示す例のように、厚み方向に垂直に交わる方向より厚み方向の熱伝導率が大きくなっていると、電子素子2から発生する熱が、電子素子2の搭載部11aの長手方向よりも厚み方向に放熱しやすくなり、第2基板12に伝わる熱を減らすことができ、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張、特に電子素子2の長手方向への膨張を低減し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0038】
また、電子素子搭載用基板1は、図1図6に示される例のように、長方形状の電子素子2に沿って、平面視にて、電子素子2の搭載部11aの長手方向側が長くなるような長方形状であると、電子素子2の長手方向に対して垂直に交わる方向における電子素子搭載用基板1の幅が短くなり、電子素子2の長手方向に対して異なる方向に放熱した熱が外部に良好に放熱されやすくすることができる。
【0039】
平面透視において、第2基板12の枠部の幅(第2基板12の外縁と第3基板13の外縁との間隔)は、50μm以上としておいてもよい。第1基板11の外周部分と第2基板12との接合を良好なものとし、第2基板12の内側にて第1基板11と第3基板13とを良好に接合して、放熱性に優れた電子素子搭載用基板1とすることができる。
【0040】
本実施形態における電子素子搭載用基板1は、薄型で高出力の電子装置において使用することができ、電子素子搭載用基板1における信頼性を向上することができる。例えば、電子素子2として、LD等の光素子を搭載する場合、薄型で指向性にすぐれた光学装置用の電子素子搭載用基板1として用いることができる。
【0041】
第2基板12が金属であると、例えば電子装置の作動時に、電子素子2から発生する熱が、電子素子2の長手方向に対して異なる方向に伝熱し、第2基板12に伝わった熱が第2基板12からより放熱しやすくなり、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張、特に電子素子2の長手方向への膨張を低減し、第3基板13の第5主面および側面の周囲を第1基板11および第2基板12により保持し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0042】
第2基板12が絶縁体であると、第1基板11と第2基板12の強度、熱膨張率が近いものとなり、第3基板13の第5主面および側面の周囲を絶縁体からなる第1基板11と第2基板12とで良好に保持し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0043】
第1基板11と第2基板12とが実質的に同一材料の絶縁体から形成されている場合、第1基板11の熱伝導率καと第2基板12の熱伝導率κβとは、同等である材料を用いてもよい(κα≒κβ)。例えば、第1基板11と第2基板12とが実質的に同一材料の窒化アルミニウム質焼結体からなる場合、第1基板11と第2基板12の強度、熱膨張率が同等となるので、第3基板13の第5主面および側面の周囲を絶縁体からなる第1基板11と第2基板12とにより良好に保持し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0044】
第2基板12の厚みT2と第3基板13の厚みT3との大きさが同じであると、第3基板13の側面全体から第2基板12へと良好に伝熱させることができ、第1基板11の外縁部で第2基板12の厚みと第3基板13の厚みの大きさの違いによる歪みが小さくなり、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0045】
なお、第2基板12の厚みT2と第3基板13の厚みT3との大きさが同じであるとは、上述のように、第2基板12の厚みT2と第3基板13の厚みT3とが5%程度の範囲内において同等の厚みで位置していることを示している(0.95T2≦T3≦1.05T2)。
【0046】
第2基板12は枠状であると、第1基板11の第2主面外縁部と第3基板13の側面を良好に保持し、第3基板13の側面全体から第2基板12への伝熱および第1基板11の外縁部全体からから第2基板12への伝熱を良好なものとし、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0047】
第1の実施形態における電子素子搭載用基板1は、例えば、以下の製造方法により製作することができる。
【0048】
最初に、図8(a)に示される例のように、第1基板11と第2基板12と第3基板13とを準備する。次に、図8(b)に示される例のように、第2基板12の貫通穴12a内に第3基板13を埋め込む。第2基板12の貫通穴12aの内側面と第3基板13の外側面とをTiSnAgCu合金等からなる活性ろう材等の接合材により接合する。第1基板11は、平面度が10μm以下に形成されてもよい。次に、図8(c)に示される例のように、第1基板11の第2主面と第2基板12の第3主面とを、第1基板11の第2主面と第3基板13の第5主面とをTiSnAgCu合金等からなる活性ろう材等の接合材により接合して複合基板を形成する。この際、接合材の厚みは、10μm程度に設けられる。次に、第1基板11の第1主面に金属層15を形成する。この際、金属層15は、複合基板内に設けられた第3基板13のx方向(熱伝導率λx>>熱伝導率λy)と搭載部11aの長手方向とが垂直に交わるように配置して形成することによって、図8(d)に示される例のように、電子素子搭載用基板1が形成される。
【0049】
なお、第1基板11と第2基板12と第3基板13とを同時に接合しても構わない。例えば、第2基板12の貫通穴12内に第3基板13を埋め込むとともに、第1基板11を第2基板12および第3基板13に接合して形成してもよい。この場合、例えば、第1基板11側および第2基板12側より圧力を印加しつつ接合等することにより、第1基板11、第2基板12、第3基板13とが良好に接合され、信頼性に優れた電子素子搭載用基板1とすることができる。
【0050】
本実施形態の電子素子搭載用基板1の熱伝導率は、例えば、レーザーフラッシュ法等の分析方法により測定することができる。また、第3基板13の熱伝導率を測定する場合には、第2基板12と第3基板13とを接合する接合材を除去し、第3基板13に対して、レーザーフラッシュ法等の分析方法により測定することができる。
【0051】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態による電子素子搭載用基板について、図9図12を参照しつつ説明する。
【0052】
第2の実施形態における電子装置において、上記した実施形態の電子装置と異なる点は、第2基板12の第4主面および第3基板13の第6主面に位置し、絶縁体からなり、第4主面および第6主面と対向する第7主面、および厚み方向において第7主面と反対側の第8主面を有する第4基板14を有しており、第4基板14が第2基板12の第4主面および第3基板13の第6主面に接合、すなわち、第2基板12および第3基板13が、第1基板11と第4基板14との間に位置している点である。また、第4基板14の第8主面(図9図12では、電子素子搭載用基板1の下面)には、接合層16が位置している。
【0053】
図9に示す例において、平面透視にて第3基板13の外縁を破線にて示している。金属層15および接合層16は、図9に示す例において、ハッチングにて示している。
【0054】
第2の実施形態における電子素子搭載用基板1によれば、上記した実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、電子素子2の長手方向の膨張方向に対して異なる方向に伝熱し、第2基板12から放熱しやすくすることで、電子素子2の長手方向への膨張を低減し、第3基板13の六面全体を第1基板11、第2基板12、第4基板14とにより保持し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0055】
第2の実施形態の電子素子搭載用基板1において、第1基板11の第2主面と第2基板12の第3主面および第3基板13の第5主面とがTiCuAg合金、TiSnAgCu合金等からなる活性ろう材等の接合材により接合されている。また、第4基板14の第7主面と第2基板12の第4主面および第3基板13の第6主面とがTiCuAg合金、TiSnAgCu合金等からなる活性ろう材等の接合材により接合されている。
【0056】
第2の実施形態の電子素子搭載用基板1においても、第1の実施形態と同様に、第1基板11、平面視にて、方形状をしている。第2基板12は、平面視にて方形の枠状をしている。第3基板13は、平面視にて、方形状をしている。第4基板14は、第1基板11と同様に、平面視にて方形状をしている。第1基板11、第2基板12、第3基板13、第4基板14とを接着することにより、方形状の複合基板が形成される。図9図12に示す例において、第1基板11と第4基板14とは長方形状をしており、長方形状の複合基板が形成される。
【0057】
第4基板14は、上述の第1基板11と同様の材料および方法により製作することができる。第4基板11の熱伝導率κγは、図10に示す例のように、第1基板11と同様に、平面方向におけるx方向とy方向とで略一定であり、第4基板14の厚み方向におけるz方向も平面方向におけるx方向とy方向と同等である(κγx≒κγy≒κγz)。例えば、第4基板14として、窒化アルミニウム質焼結体が用いられる場合、第4基板14は、100~200W/m・K程度の熱伝導率κγである基板が用いられる。
【0058】
第2基板12および第3基板13が、第1基板11および第4基板14の間に位置していることから、第1基板11と第2基板12および第3基板13との熱膨張の違いによる電子素子搭載用基板1の歪みが抑制され、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0059】
第1基板11と第4基板14とが実質的に同一材料の絶縁体から形成されている場合、第1基板11の熱伝導率καと第4基板14の熱伝導率κγとは、同等である材料を用いてもよい(κα≒κγ)。特に、第4基板14が、第1基板11と実質的に同一材料の絶縁体を用いている、すなわち、例えば、第1基板11として、150W/m・Kの窒化アルミニウム質焼結体を用いている場合、第4基板14として、150W/m・Kの窒化アルミニウム質焼結体を用いていると、より効果的に電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0060】
また、第4基板11の厚みは、第1基板11の基板厚みT1と同様に、例えば、50μm~500μm程度である。第1基板11の厚みT1と第4基板14の厚みT43とは、10%程度の範囲内において同等の厚みである(0.90T1≦T4≦1.10T1)と、より効果的に電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。例えば、第1基板11の厚みが100μmである場合、第4基板14の厚みは、100μm(90μm~110μm)であってもよい。
【0061】
第1基板11と第4基板14が絶縁体であり、第2基板12が金属であると、例えば電子装置の作動時に、電子素子2から発生する熱が、第2基板12に伝わった熱が第2基板12からより良好に放熱しやすくなり、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張、特に電子素子2の長手方向への膨張を低減し、第3基板13の第5主面および側面の周囲を第1基板11および第2基板12により保持し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0062】
第1基板11と第2基板12と第4基板14が絶縁体であると、第1基板11と第2基板12と第4基板14の強度、熱膨張率が近いものとなり、第3基板13の六面全体を絶縁体からなる第1基板11と第2基板12と第4基板14で良好に保持し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0063】
また、第1基板11と第2基板12と第4基板14が実質的に同一材料の絶縁体から形成されている場合、第1基板11の熱伝導率καと第2基板12の熱伝導率κβと第4基板14の熱伝導率κγとは、同等である材料を用いてもよい(κα≒κβ≒κγ)。例えば、第1基板11と第2基板12と第4基板14が実質的に同一材料の窒化アルミニウム質焼結体からなる場合、第1基板11と第2基板12と第4基板14の強度、熱膨張率が同等となるので、第3基板13の六面全体を絶縁体からなる第1基板11と第2基板12と第4基板14により良好に保持し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0064】
第2基板12の厚みT2と第3基板13の厚みT3とは、大きさが同じであると、第3基板13の側面全体から第2基板12へと良好に伝熱させることができ、第1基板11の外縁部および第4基板14の外縁部で第2基板12の厚みと第3基板13の厚みの大きさの違いによる歪みが小さくなり、電子素子2の位置ずれ、配線基板または電子素子収納用パッケージへの搭載、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0065】
なお、第2基板12の厚みT2と第3基板13の厚みT3との大きさが同じであるとは、第1の実施形態と同様に、第2基板12の厚みT2と第3基板13の厚みT3とが5%程度の範囲内において同等の厚みで位置していることを示している(0.95T2≦T3≦1.05T2)。
【0066】
平面透視において、第3基板13は、図9図12に示す例のように、第1基板11の外縁部および第4基板14の外縁部より内側に位置していると、第1基板11と第2基板12と第4基板14とにより、第3基板13の六面全体を良好に保持し、第3基板13の側面から第2基板12への伝熱および第3基板13の第6主面から第4基板14への伝熱を良好なものとすることができ、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0067】
また、図9図12に示す例のように、第4基板14は、第8主面側に接合層16を位置させておいても構わない。第4基板14に位置する接合層16は、例えば、電子素子搭載用基板1と配線基板または電子素子搭載用パッケージに位置した導体層との接合等に用いることができる。接合層16は、上述の金属層15と同様な方法により製作することができる。また、接合層16は、第4基板14の下面の略全面に位置させておくことで、電子素子搭載用基板1から配線基板または電子素子搭載用パッケージへの放熱性を良好なものとすることができる。
【0068】
第2の実施形態における電子素子搭載用基板1は、例えば、以下の製造方法により製作することができる。
【0069】
最初に、図12(a)に示される例のように、第1基板11、第2基板12、第3基板13、第4基板14を準備する。次に、図12(b)に示される例のように、第2基板12の貫通穴12a内に第3基板13を埋め込む。第2基板12の貫通穴12aの内側面と第3基板13の外側面とをTiSnAgCu合金等からなる活性ろう材等の接合材により接合する。第1基板11および第4基板14は、平面度が10μm以下に形成されてもよい。次に、図12(c)に示される例のように、第1基板11と第2基板12および第3基板13、第4基板11と第2基板12および第3基板13とをそれぞれTiSnAgCu合金等からなる活性ろう材等の接合材により接合して複合基板を形成する。第1基板11と第4基板14とは、第2基板12および第3基板13とに同時に接合してもよい。この際、接合材の厚みは、それぞれ10μm程度である。次に、第1基板11の第1主面に金属層15を形成する。この際、金属層15は、複合基板内に設けられた第2基板12のx方向(熱伝導率λx>>熱伝導率λy)と搭載部11aの長手方向とが垂直に交わるように配置して形成する。そして、第4基板14の第8主面に接合層16を形成することによって、図12(d)に示される例のように、電子素子搭載用基板1が形成される。
【0070】
なお、第3基板13は、側面を第2基板12に覆われており、第5主面および第6主面が第1基板11および第4基板14に覆われているので、第1基板11の第1主面への金属層15となる薄膜層の形成、および薄膜層上へのめっき層の形成、あるいは第4基板14の第8主面へ接合層16の形成の際に、第3基板13が露出することがなく、電子素子搭載用基板1の製作時に炭素材料からなる第3基板13が剥き出しにならないため、薬品等による変質を低減することができる。また、電子装置の使用時において、第3基板13が露出することがないので、外気による変質を抑制することが出来るの。なお、平面透視において、第2基板12の枠部の幅(第2基板12の外縁と第3基板13の外縁との間隔)は、50μm以上としておいてもよい。
【0071】
なお、第1基板11、第2基板12、第3基板13、第4基板14を同時に接合しても構わない。例えば、第2基板12の貫通穴12内に第3基板13を埋め込むとともに、第1基板11および第4基板14を第2基板12および第3基板13に接合して形成してもよい。この場合、例えば、第1基板11側および第4基板14側より圧力を印加しつつ接合等することにより、第1基板11、第2基板12、第3基板13、第4基板14が良好に接合され、信頼性に優れた電子素子搭載用基板1とすることができる。また、第1基板11、第2基板12、第3基板13、第4基板14とを同時に接合することで、製作時において、第3基板13の露出を抑制し、外気による変質を抑制することが出来る。
【0072】
第2の実施形態の電子素子搭載用基板1は、その他は上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様の製造方法を用いて製作することができる。
【0073】
また、第2の実施形態の電子素子搭載用基板1は、第1の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、長方形状の電子素子2に沿って、平面視にて、電子素子2の長手方向側が長くなるような長方形状であると、電子素子2の長手方向に対して垂直に交わる方向における電子素子搭載用基板1の幅が短くなり、電子素子2の長手方向に対して異なる方向に放熱した熱が外部に良好に放熱されやすくすることができる。
【0074】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態による電子装置について、図13図16を参照しつつ説明する。
【0075】
第3の実施形態における電子素子搭載用基板1において、上記した実施形態の電子素子搭載用基板1と異なる点は、第2基板12の貫通穴12a内に電子素子搭載用基板1の厚み方向(図13図16ではz方向)に複数の第3基板13(131,132,133)が重ねられている点である。複数の第3基板13(131,132,133)は、厚み方向に隣接する第3基板13同士(131と132、132と133)が、それぞれの平面方向における熱伝導率λが異なって配置している。
【0076】
図13に示す例において、平面透視にて第3基板13の外縁を破線にて示している。金属層15および接合層16は、図13に示す例において、ハッチングにて示している。
【0077】
第3の実施形態における電子素子搭載用基板1によれば、上記した実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、電子素子2の長手方向の膨張方向に対して異なる方向に伝熱し、第2基板12から放熱しやすくすることで、電子素子2の長手方向への膨張を低減し、第3基板13の六面全体を第1基板11、第2基板12、第4基板14とにより保持し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0078】
また、第1基板11と第4基板14との間に、平面方向における熱伝導率λが異なる複数の第3基板13が重ねられていることから、使用時において電子素子搭載用基板1の歪みが抑制され、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0079】
第3の実施形態の電子素子搭載用基板1において、第1基板11の第2主面と第2基板12の第3主面および第3基板131の第5主面とがTiCuAg合金、TiSnAgCu合金等からなる活性ろう材等の接合材により接合されている。また、第4基板14の第7主面と第2基板12の第4主面および第3基板133の第6主面とがTiCuAg合金、TiSnAgCu合金等からなる活性ろう材等の接合材により接合されている。
【0080】
第3の実施形態の電子素子搭載用基板1においても、第1の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、第1基板11、平面視にて、方形状をしている。第2基板12は、平面視にて方形の枠状をしている。第3基板13は、平面視にて、方形状をしている。第4基板14は、第1基板11と同様に、平面視にて方形状をしている。第1基板11、第2基板12、第3基板13、第4基板14を接着することにより、方形状の複合基板が形成される。図13図16に示す例において、第1基板11と第4基板14とは長方形状をしており、長方形状の複合基板が形成される。
【0081】
第1基板11の基板厚みT1と第4基板14の基板厚みT4は、上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、例えば、50μm~500μm程度であり、第2基板12の基板厚みT2および第3基板13(131,132,133)の厚みT3は、上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、例えば、100μm~2000μm程度である。第1基板11と第3基板13とは、T3>T1,第1基板11の熱を第2基板12に良好に放熱することができるとなる。
【0082】
第2基板12の厚みT2と第3基板13(131,132,133)の厚みT3との大きさが同じであると、第3基板13の側面全体から第2基板12へと良好に伝熱させることができ、第1基板11の外縁部で第2基板12の厚みと第3基板13の厚みの大きさの違いによる歪みが小さくなり、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0083】
なお、第2基板12の厚みT2と第3基板13(131,132,133)厚みT3との大きさが同じであるとは、第2基板12の厚みT2と第3基板13(131,132,133)の厚みT3とが5%程度の範囲内において同等の厚みで位置していることを示している(0.95T2≦T3≦1.05T2)。
【0084】
第1基板11の熱伝導率καおよび第4基板14の熱伝導率κγは、上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、それぞれの基板での平面方向におけるx方向とy方向とで略一定であり、第1基板11および第4基板14の厚み方向におけるz方向も平面方向におけるx方向とy方向と同等である(καx≒καy≒καz、κγx≒κγy≒κγz)。例えば、第1基板11および第4基板14として、窒化アルミニウム質焼結体が用いられる場合、第1基板11および第4基板14は、100~200W/m・K程度の熱伝導率κである基板が用いられる。
【0085】
第1基板11の熱伝導率καと第4基板14の熱伝導率κγとは、上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、熱伝導率が同等である材料を用いてもよい(κα≒κγ)。
【0086】
第3基板13(131,132,133)の熱伝導率λは、平面方向におけるx方向とy方向とで大きさが異なっている。複数の第2基板12(131,132,133)のそれぞれの熱伝導率λは、例えば、図14に示す例のように、以下のようになっている。
【0087】
第3基板131(上面側) :
熱伝導率λx1≒熱伝導率λz1>>熱伝導率λy1
第3基板132(中間) :
熱伝導率λy2≒熱伝導率λz2>>熱伝導率λx2
第3基板133(下面側) :
熱伝導率λx3≒熱伝導率λz3>>熱伝導率λy3
第3基板131と第2基板133の熱伝導率λは、平面方向におけるx方向と厚み方向におけるz方向とで同等であり、平面方向におけるy方向が異なっている。第3基板132の熱伝導率λは、平面方向におけるy方向と厚み方向におけるz方向とで同等であり、平面方向におけるx方向が異なっている。例えば、上面側の第3基板131の熱伝導率λx1および熱伝導率λz1は、1000W/m・K程度であり、第3基板131の熱伝導率λy1は、4W/m・K程度である。中間の第3基板132の熱伝導率λy2および熱伝導率λz2は、1000W/m・K程度であり、第3基板132の熱伝導率λx2は、4W/m・K程度である。下面側の第3基板133の熱伝導率λx3および熱伝導率λz3は、1000W/m・K程度であり、第3基板133の熱伝導率λy3は、4W/m・K程度である。
【0088】
上面側の第3基板131の第3主面は、第1基板11の第1主面に配置される搭載部11aの長手方向の熱伝導より搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きくなるように、第1基板11の第2主面に接着されている。
【0089】
隣接する第3基板13同士(第3基板131と第3基板132、または第3基板132と第3基板133)は、図14に示される例のように、少なくとも平面透視にて90度回転した配置となっており、隣接する第3基板13同士(第3基板131と第3基板132、または第3基板132と第3基板133)の熱伝導率が大きくなる方向同士が垂直に交わるようにしてもよい。これにより、第3基板133から第4基板14への伝熱が面全体として放熱しやすくなり、第2基板12に伝わる熱を減らすことができ、電子素子2の長手方向への膨張を低減し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0090】
なお、第3基板131の第3主面と第3基板133の第4主面とに接合される第1基板11および第4基板14は、上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、それぞれ同一材料の基板が用いられてもよい。例えば、第1基板11が、熱伝導率が150W/m・Kの窒化アルミニウム質焼結体からなる場合、第4基板14は、熱伝導率が150W/m・Kの窒化アルミニウム質焼結体からなってもよい。第3基板131の第3主面と第3基板133の第4主面とに接合される第1基板11の材料と第4基板14との材料が同一としておくことにより、電子素子搭載用基板1の歪みを良好に低減することができる。
【0091】
また、第3基板131の第3主面と第3基板133の第4主面とに接合される第1基板11と第4基板14とは、上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、それぞれの厚みの差が10%以内であってもよく、同一の厚みの基板が用いられてもよい。例えば、第1基板11の厚みが、100μmである場合、第4基板14の厚みは、100μm(90μm~110μm)であってもよい。第3基板131の第3主面と第3基板133の第4主面とに接合される第1基板11の基板厚みと第4基板14の基板厚みとを同等にしておくことにより、電子素子搭載用基板1の歪みを良好に低減することができる。
【0092】
また、第1基板11と第4基板14との間に配置される複数の第3基板13(131,132,133)は、それぞれの厚みの差が10%以内であってもよく、同一の厚みの基板が用いられてもよい。例えば、上面側の第3基板131の厚みが、1000μmである場合、中間の第3基板132の厚みは、1000μm(900μm~1100μm)であり、下面側の第3基板133の厚みは、1000μm(900μm~1100μm)であってもよい。複数の第3基板13(131,132,133)のそれぞれの厚みを同等にしておくことにより、電子素子搭載用基板1の歪みを良好に低減することができる。
【0093】
上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、第1基板11と第4基板14が絶縁体であり、第2基板12が金属であると、例えば電子装置の作動時に、電子素子2から発生する熱が、第2基板12に伝わった熱が第2基板12からより良好に放熱しやすくなり、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張、特に電子素子2の長手方向への膨張を低減し、第3基板13の第5主面および側面の周囲を第1基板11および第2基板12により保持し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0094】
上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、第1基板11と第2基板12と第4基板14が絶縁体であると、第1基板11と第2基板12と第4基板14の強度、熱膨張率が近いものとなり、第3基板13の六面全体を絶縁体からなる第1基板11と第2基板12と第4基板14で良好に保持し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0095】
また、第1基板11と第2基板12と第4基板14が、上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、実質的に同一材料の絶縁体から形成されている場合、例えば、第1基板11と第2基板12と第4基板14が実質的に同一材料の窒化アルミニウム質焼結体からなる場合、第1基板11と第2基板12と第4基板14の強度、熱膨張率が同等となるので、第3基板13の六面全体を絶縁体からなる第1基板11と第2基板12と第4基板14により良好に保持し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0096】
また、図13図15図16に示す例のように、第4基板14において、下面側に接合層16を位置させても構わない。第4基板14に位置する接合層16は、例えば、電子素子搭載用基板1と配線基板または電子素子搭載用パッケージに位置した導体層との接合等に用いることができる。接合層16は、上述の金属層15と同様な方法により製作することができる。また、接合増16は、第4基板14の下面の略全面に位置しておくことで、電子素子搭載用基板1から配線基板または電子素子搭載用パッケージへの放熱性を良好なものとすることができる。
【0097】
第3の実施形態における電子素子搭載用基板1は、例えば、以下の製造方法により製作することができる。
【0098】
最初に、図16(a)に示される例のように、第1基板11と第2基板12と複数枚からなる第3基板13(131,132,133)と第4基板14とを準備する。なお、複数枚からなる第3基板13は、隣接する第3基板13同士が、それぞれの平面方向における熱伝導率λが異なって配置している。次に、図16(b)に示される例のように、第2基板12の貫通穴12a内に第3基板13(131,132,133)を埋め込む。第2基板12の貫通穴12aの内側面と第3基板13(131,132,133)の外側面とをTiSnAgCu合金等からなる活性ろう材等の接合材により接合する。第1基板11および第4基板14は、平面度が10μm以下に形成されてもよい。次に、図16(c)に示される例のように、第1基板11と第2基板12および第3基板13(131)、第4基板14と第2基板12および第3基板13(133)とをそれぞれTiSnAgCu合金等からなる活性ろう材等の接合材により接合する。第1基板11と第2基板12および第3基板13(131,132,133)、第4基板14と第2基板12および第3基板13(131,132,133)とは同時に接合してもよい。この際、接合材の厚みは、それぞれ10μm程度に設けられる。次に、第1基板11の第1主面に金属層15を形成する。この際、金属層15は、複合基板内に設けられた第2基板121のx方向(熱伝導率λx>>熱伝導率λy)と搭載部11aの長手方向とが垂直に交わるように配置して形成する。そして、第4基板14の第8主面に接合層16を形成することによって、図16(d)に示される例のように、電子素子搭載用基板1が形成される。
【0099】
例えば、第1基板11および第4基板14として、厚みが0.15mmであり、熱伝導率が170W/m・Kの窒化アルミニウム質焼結体を用い、第2基板12として、厚みが3mmの銅基板を用い、第3基板13(131,132,133)として、厚みがそれぞれの厚みが1mmであるグラフェンを重ねた構造体を用いて、総厚みを3.3mmであり、10mmSQの電子素子搭載用基板1を作製した。この電子素子搭載用基板1に対して、上述のレーザーフラッシュ法により、熱伝導率を測定したところ、第3の実施形態における電子素子搭載用基板1の熱伝導率は、650W/m・Kであった。
【0100】
なお、第3基板13(131,132,133)は、側面を第2基板12に覆われており、第5主面および第6主面が第1基板11および第4基板14に覆われているので、第1基板11の第1主面への金属層15となる薄膜層の形成、および薄膜層金属層15上へのめっき層の形成、あるいは第4基板14の第8主面へ接合層の形成の際に、第3基板13(131,132,133)が露出することがなく、電子素子搭載用基板1の製作時に炭素材料からなる第3基板13(131,132,133)が剥き出しにならないため、薬品等による変質を低減することができる。また、電子装置の使用時において、第3基板13が露出することがないので、外気による変質を抑制することが出来る。なお、平面透視において、第2基板12の枠部の幅(第2基板12の外縁と第3基板13(131,132,133)の外縁との間隔)は、50μm以上としてもよい。
【0101】
なお、第1基板11、第2基板12、第3基板13(131,132,133)、第4基板14を同時に接合しても構わない。例えば、第2基板12の貫通穴12内に第3基板13(131,132,133)を埋め込むとともに、第1基板11および第4基板14を第2基板12および第3基板13(131,132,133)に接合して形成してもよい。この場合、例えば、第1基板11側および第4基板14側より圧力を印加しつつ接合等することにより、第1基板11、第2基板12、第3基板13(131,132,133)、第4基板14が良好に接合され、信頼性に優れた電子素子搭載用基板1とすることができる。また、第1基板11、第2基板12、第3基板13(131,132,133)、第4基板14とを同時に接合することで、製作時において、第3基板13(131,132,133)の露出を抑制し、外気による変質を抑制することが出来る。
【0102】
第3の実施形態の電子素子搭載用基板1は、その他は上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様の製造方法を用いて製作することができる。
【0103】
また、第3の実施形態の電子素子搭載用基板1は、第1の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、長方形状の電子素子2に沿って、平面視にて、電子素子2の長手方向側に長くなるような長方形状であると、電子素子2の長手方向に対して垂直に交わる方向における電子素子搭載用基板1の幅が短くなり、電子素子2の長手方向に対して異なる方向に放熱した熱が外部に良好に放熱されやすくすることができる。
【0104】
第1基板11の第1主面に設けた金属層15は、上述の例では、薄膜法により形成しているが、従来周知のコファイア法またはポストファイア法等を用いた金属層であっても構わない。このような金属層15を用いる場合は、金属層15は、第1基板11と第2基板12との接合前にあらかじめ第1基板11の第1主面に設けられる。なお、第1基板11の平面度を良好なものとするために、上述の第1の実施形態に示されたように、第1基板11の第1主面に設けた金属層15は、薄膜法により形成する方法でもよい。
【0105】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態による電子装置について、図17および図18を参照しつつ説明する。
【0106】
第4の実施形態における電子素子搭載用基板1において、上記した実施形態の電子素子搭載用基板1と異なる点は、平面透視において、第2基板12の枠部の幅が、電子素子2の搭載部11aの長手方向と長手方向に垂直に交わる方向において異なる点である。
【0107】
図17に示す例において、平面透視にて第3基板13の外縁を破線にて示している。金属層15および接合層15は、図17に示す例において、ハッチングにて示している。
【0108】
第4の実施形態における電子素子搭載用基板1によれば、上記した実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、電子素子2の長手方向の膨張方向に対して、異なる方向に伝熱し、第2基板12から放熱しやすくすることで、電子素子2の長手方向への膨張を低減し、第3基板13の六面全体を第1基板11、第2基板12、第4基板14とにより保持し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。また、電子素子2の搭載部11aの長手方向に対して、長手方向に垂直に交わる方向において、第2基板12の枠部の幅が大きくなっており、電子素子2の長手方向の膨張方向に対して、異なる方向に伝熱し、第2基板12からより放熱しやすくすることができる。
【0109】
また、電子素子2の長手方向に垂直に交わる方向において、第1基板11と第2基板12との接合面積、第4基板14と第2基板12との接合面積を広く位置すると、第1基板11と第2基板12との接合および第4基板14と第2基板12との接合とを良好なものとし、電子素子2の熱が伝熱しやすい電子素子2の長手方向に垂直に交わる方向における電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0110】
なお、平面透視において、電子素子2の長手方向に垂直に交わる方向における第3基板13の幅は、少なくとも電子素子2の幅よりも広くなる。電子素子2の長手方向に垂直に交わる方向における第3基板13の幅は、少なくとも電子素子2の幅の2倍以上で、かつ第3基板11の厚み以上であると、第3基板13から第4基板14側へ伝熱させることで第2基板12側への伝熱が抑制されるので、電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0111】
なお、第4の実施形態の電子素子搭載用基板1は、平面透視において、第2基板12の小さい側における枠部の幅(第2基板12の外縁と第3基板13の外縁との間隔)は、50μm以上としておいてもよい。第1基板11の外周部分と第2基板12との接合を良好なものとし、第2基板12の内側にて第1基板11と第3基板13とを良好に接合して、放熱性に優れた電子素子搭載用基板1とすることができる。
【0112】
第2基板12の厚みT2と第3基板13の厚みT3との大きさが同じであると、第3基板13の側面全体から第2基板12へと良好に伝熱させることができ、第1基板11の外縁部で第2基板12の厚みと第3基板13の厚みの大きさの違いによる歪みが小さくなり、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0113】
なお、第2基板12の厚みT2と第3基板13の厚みT3との大きさが同じであるとは、上述のように、第2基板12の厚みT2と第3基板13の厚みT3とが5%程度の範囲内において同等の厚みで位置していることを示している(0.95T2≦T3≦1.05T2)。
【0114】
第1基板11の熱伝導率καと第4基板14の熱伝導率κγとは、第1の実施形態の電子素子搭載用基板1および第2の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、熱伝導率が同等である材料を用いてもよい(κα≒κγ)。
【0115】
第4の実施形態の電子素子搭載用基板1は、その他は上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様の製造方法を用いて製作することができる。
【0116】
本開示は、上述の実施形態の例に限定されるものではなく、種々の変更は可能である。例えば、第1基板11、第2基板12、第3基板13、第4基板14とを接着させた複合基板の角部に切欠き部または面取り部を有している方形状であっても構わない。
【0117】
また、第4の実施形態の電子素子搭載用基板1において、第3の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、第3基板13が、電子素子搭載用基板1の厚み方向)に複数の第3基板13(131,132,133)が重ねられているものでも構わない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18