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特開2022-16964移動体の乗降促しシステムおよび乗降促し方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016964
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】移動体の乗降促しシステムおよび乗降促し方法
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/26 20060101AFI20220118BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B60Q1/26 Z
G08G1/005
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020119982
(22)【出願日】2020-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】綿野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】望月 清隆
(72)【発明者】
【氏名】竹田 新
(72)【発明者】
【氏名】田村 例人
【テーマコード(参考)】
3K339
5H181
【Fターム(参考)】
3K339AA43
3K339BA03
3K339BA22
3K339BA26
3K339EA05
3K339EA10
3K339FA11
3K339GB11
3K339JA22
3K339KA12
3K339KA39
3K339MA01
3K339MA03
3K339MC36
3K339MC49
5H181AA24
5H181AA27
5H181CC02
5H181CC04
5H181HH04
5H181MB11
(57)【要約】
【課題】乗降に要する時間を短くすることができることが可能な移動体の乗降促しシステムを提供する。
【解決手段】乗降促しシステム1は、像を描画する画像形成装置10と、制御部11と、搭乗を促すタイミングと判定したときに搭乗案内開始信号を制御部11へ出力する搭乗判定部13と、を有する。制御部11は、搭乗口Dが開くときに像として降りることを促す第一表示態様を描くように画像形成装置10を駆動させ、搭乗判定部13から搭乗案内開始信号を取得したときに、像として搭乗を促す第二表示態様を描くように画像形成装置10を駆動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の乗降エリアに光により像を描画する画像形成装置と、
前記画像形成装置を制御する制御部と、
人の搭乗を促すタイミングと判定したときに搭乗案内開始信号を前記制御部へ出力する搭乗判定部と、を有し、
前記制御部は、
移動体の搭乗口が開くときに前記像として乗客が降りることを促す第一表示態様を描くように前記画像形成装置を駆動させ、
前記搭乗判定部から前記搭乗案内開始信号を取得したときに、前記像として乗客の搭乗を促す第二表示態様を描くように前記画像形成装置を駆動させる、移動体の乗降促しシステム。
【請求項2】
前記乗降促しシステムは、前記移動体として電車またはバスの乗降を促すものであり、
前記電車または前記バスのドアを撮像するカメラを有し、
前記搭乗判定部は、前記カメラが取得した画像に基づき前記ドアから降りる人が途切れたと判定したときに前記搭乗案内開始信号を前記制御部へ出力する、請求項1に記載の移動体の乗降促しシステム。
【請求項3】
前記乗降促しシステムは、前記移動体として電車またはバスの乗降を促すものであり、
人の降車を知らせるタイミングと判定したときに降車案内開始信号を出力する降車判定部を有し、
前記制御部は、前記降車判定部から前記降車案内開始信号を取得したときに、前記第一表示態様を描くように前記画像形成装置を駆動させる、請求項1に記載の移動体の乗降促しシステム。
【請求項4】
前記電車または前記バスのドアを撮像するカメラを有し、
前記降車判定部は、前記カメラが取得した画像に基づき前記電車または前記バスが停車したと判定したときに前記降車案内開始信号を制御部へ出力する、請求項3に記載の移動体の乗降促しシステム。
【請求項5】
前記第一表示態様は、前記ドアの法線方向における前記像の先端および/または後端を前記移動体のドアから遠ざけるように動かす態様であり、
前記第二表示態様は、前記ドアの法線方向における前記像の先端および/または後端を前記ドアへ近づけるように動かす態様である、請求項1に記載の移動体の乗降促しシステム。
【請求項6】
移動体の乗降エリアに光により像を描画する画像形成装置を用いた移動体の乗降促し方法であって、
前記移動体の搭乗口が開き始めたときに、前記画像形成装置によって、前記像として乗客が降りることを促すように第一表示態様を描画し、
前記移動体の搭乗口から降りる人が途切れたときに、前記画像形成装置によって、前記像として乗客の搭乗を促す第二表示態様を描画する、移動体の乗降促し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体の乗降促しシステムおよび乗降促し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1などのように、駅には各種の情報を提供する様々な情報提供装置が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開2015-172850公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電車から降りる人がいるにもかかわらず電車に乗り込もうとする人がいると、電車のドア付近で人の円滑な移動が妨げられ、通常よりも乗降時間が長くなってしまう。
また近年ではスマートフォンなどの情報機器を注視するあまりに電車が来たことに気づかず、遅れたタイミングで電車に乗車する結果、電車を遅延させる事態も生じている。
駅では各種の放送によって人を誘導することが行われているが、このような誘導方法では上記のような問題に対して効果的ではないように思われる。
【0005】
そこで本発明者は、音声に加えて光によって駅での人の行動を誘導することによって、ホーム上における人の行動を整理して電車の駅での停車時間を短くすることを検討した。
本発明は、電車などの移動体の乗降に要する時間を短くすることができることが可能な移動体の乗降促しシステムおよびその方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一側面に係る移動体の乗降促しシステムは、
移動体の乗降エリアに光により像を描画する画像形成装置と、
前記画像形成装置を制御する制御部と、
人の搭乗を促すタイミングと判定したときに搭乗案内開始信号を前記制御部へ出力する搭乗判定部と、を有し、
前記制御部は、
移動体の搭乗口が開くときに前記像として乗客が降りることを促す第一表示態様を描くように前記画像形成装置を駆動させ、
前記搭乗判定部から前記搭乗案内開始信号を取得したときに、前記像として乗客の搭乗を促す第二表示態様を描くように前記画像形成装置を駆動させる。
【0007】
本発明の一側面に係る移動体の乗降促し方法は、
移動体の乗降エリアに光により像を描画する画像形成装置を用いた移動体の乗降促し方法であって、
前記移動体の搭乗口が開き始めたときに、前記画像形成装置によって、前記像として乗客が降りることを促すように第一表示態様を描画し、
前記移動体の搭乗口から降りる人が途切れたときに、前記画像形成装置によって、前記像として乗客の搭乗を促す第二表示態様を描画する。
【0008】
本発明の移動体の乗降促しシステムおよび方法によれば、乗降エリアに描く像によって、今のタイミングは降りることが優先されるタイミングなのか、搭乗してよいタイミングなのかを知らせることができる。これにより、降りることが優先されるタイミングと搭乗してよいタイミングなのかがわかりやすい。多数の人が降りている最中に無理矢理搭乗する人によってスムーズな乗降が阻害される、といった事態が生じにくくなり、移動体の乗降に要する時間を必要最小限にとどめやすい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動体の乗降に要する時間を短くすることができることが可能な移動体の乗降促しシステムおよびその方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施形態に係る移動体の乗降促しシステムが設置された電車の駅を示す図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る移動体の乗降促しシステムのブロック図である。
図3】降車を促す第一表示態様を示す図である。
図4】乗車を促す第二表示態様を示す図である。
図5】ホームおよび電車でのイベントと画像形成装置による像の変化を示すタイムチャートである。
図6】本発明の第二実施形態に係る移動体の乗降促しシステムが設置された駅を示す図である。
図7】本発明の第三実施形態に係る移動体の乗降促しシステムが設置された駅を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態に係る移動体の乗降促しシステム1(以降、単にシステム1と呼ぶ)が設置された駅を示す図である。図1に示した例では、システム1は、電車Tの乗降を促すために用いられている。システム1は、駅に設置された画像形成装置10により駅のホームHへ、降車を知らせる表示および乗車を促す表示を描き、人の乗降を迅速に行わせることで電車TのホームHでの停車時間を短くする。なお図1においては、作図の都合上、ホームH上で電車Tを待っている人物Fについては足の輪郭のみを描いている。
【0012】
図2は、本実施形態に係るシステム1のブロック図である。図2に示したように、システム1は、画像形成装置10と、制御部11と、カメラ12と、搭乗判定部13と、降車判定部14を備えている。
【0013】
画像形成装置10は、駅に停車する電車Tと対向するホームH上の所定領域Aに光により像を描画する。図1に所定領域Aを破線で示した。画像形成装置10は、ホームHの天井または庇20に設けられ、ホームHに光を投影して像を描画する。画像形成装置10は、後述するように、像として第一表示態様または第二表示態様を描くことができる。
【0014】
制御部11は、搭乗判定部13や降車判定部14の出力に基づき、画像形成装置10を制御する。なお、制御部11、搭乗判定部13、降車判定部14は単一のマイクロプロセッサなど共通の情報処理装置で構成することができる。
【0015】
カメラ12は、駅に停車した電車TのドアDから電車Tの内部およびドアDからホームH側にかけての領域を撮像可能である。カメラ12は、駅に停車した電車TのドアDを通る人を検出する。カメラ12は、可視光を撮像するカメラ12の他に、赤外線を撮像するカメラ12であってもよい。
【0016】
降車判定部14は、人の降車を知らせるタイミングを判定する。降車判定部14は、人の降車を知らせるタイミングと判定したときに、降車案内開始信号を制御部11に出力する。降車判定部14は、例えばカメラ12が撮像した画像を取得し、電車Tが停止したと判定したときに降車案内開始信号を制御部11に出力する。
【0017】
搭乗判定部13は、ドアDから降りる人が途切れたタイミングを判定する。搭乗判定部13は、ドアDから降りる人が途切れたタイミングだと判定したときに、乗車案内開始信号を制御部11に出力する。搭乗判定部13は、例えばカメラ12が撮像した画像を取得し、車内から車外へ向かってドアDを通過する人がいない期間が1秒を超えたタイミングを、ドアDから降りる人が途切れたタイミングと判定する。
【0018】
画像形成装置10は、図3の(A)~図3の(C)に示した第一表示態様を像として描画可能である。また画像形成装置10は、図4の(A)~図4の(C)に示した第二表示態様を像として描画可能である。例えば画像形成装置10は、停車した電車TのドアDと乗車待ちの最前列の人物Fとの間のホームH上の所定領域A(図1)に、第一表示態様または第二表示態様とを表示可能である。なお図3の(A)~(C)および図4の(A)~(C)に示した第一表示態様および第二表示態様は単なる一例であって、本発明はこれに限るものではない。これら像を描くタイミングを図5を用いて説明する。
【0019】
図5は、ホームHおよび電車Tでのイベントと画像形成装置10による像の変化を示すタイムチャートである。図の左側がホームHおよび電車Tでのイベントを示し、図の右側が表示される像を示している。
図5に示したように、電車TがホームHに入線し電車Tが停止する。すると、カメラ12が取得した画像に基づき降車判定部14は、電車Tが停止したと判定し降車開始信号を制御部11へ出力する。
【0020】
すると制御部11は、図3の(A)から(C)に示したように、像として乗客の降車を知らせる第一表示態様を描くように画像形成装置10を駆動させる。図示した例では、画像形成装置10は像として、電車Tから離れる方向に頂部を有する三角形を描画する。図3の(A)において破線は、このタイミングでは描かれていない像(図3の(B)や(C)で描かれる像)を示している。図3の(B)および(C)、図4の(A)~(C)における破線も同様である。
【0021】
図3の(A)は第一表示態様の描画を開始した直後にホームHに描かれる像、図3の(B)は図3の(A)を描画してから0.5秒後にホームHに描かれる像、図3の(C)は図3の(B)を描画してから0.5秒後にホームHに描かれる像を示している。なお、画像形成装置10は、図3の(C)を描いた後に図3の(A)の表示に戻り、以降、第一表示態様の描画が中止されるまで図3の(A)~(C)の描画を繰り返す。
【0022】
画像形成装置10は、この三角形を時間の経過とともに電車Tから離れる方向へ動かすように描画する。つまり第一表示態様は、ドアDの法線方向における像の先端および/または後端をドアDから遠ざけるように動かす態様である。このように電車Tから離れることを示唆する三角形を、電車Tから離れるように描画することにより、電車Tから人が降りてくることを知らせることができる。
【0023】
車内の乗客が降り始め、さらに、車内から車外への人の移動が途切れる時間が例えば1秒以上途絶えると、搭乗判定部13は乗車案内開始信号を制御部11に出力する。
すると制御部11は、画像形成装置10に第一表示態様の描画を中断させ、図4の(A)から(C)に示したように、像として乗客の乗車を促す第二表示態様を描くように画像形成装置10を駆動させる。この第二表示態様は第一表示態様とは異なる態様である。図示した例では、画像形成装置10は像として、電車Tに向かう方向に頂部を有する三角形を描画する。
【0024】
図4の(A)は第二表示態様の描画を開始した直後にホームHに描かれる像、図4の(B)は図4の(A)を描画してから0.5秒後にホームHに描かれる像、図4の(C)は図4の(B)を描画してから0.5秒後にホームHに描かれる像を示している。なお、画像形成装置10は、図4の(C)を描いた後に図4の(A)の表示に戻り、以降、第二表示態様の描画が中止されるまで図4の(A)~(C)の描画を繰り返す。
【0025】
画像形成装置10は、この三角形を時間の経過とともに電車Tに近づく方向へ動かすように描画する。つまり第二表示態様は、ドアDの法線方向における像の先端および/または後端をドアDへ近づけるように動かす態様である。このように電車Tに近づくことを示唆する三角形を、電車Tへ近づくように描画することにより、人が電車Tへ乗り込むことを促すことができる。
【0026】
このように本実施形態に係る移動体Tの乗降促しシステム1は、
移動体Tの乗降エリアに光により像を描画する画像形成装置10と、
画像形成装置10を制御する制御部11と、
人の搭乗を促すタイミングと判定したときに搭乗案内開始信号を制御部11へ出力する搭乗判定部13と、を有する。
制御部11は、
移動体Tの搭乗口Dが開くときに像として乗客が降りることを促す第一表示態様を描くように画像形成装置10を駆動させ、
搭乗判定部13から搭乗案内開始信号を取得したときに、像として乗客の搭乗を促す第二表示態様を描くように画像形成装置10を駆動させる。
【0027】
また本実施形態に係る移動体Tの乗降促し方法は、
移動体Tの乗降エリアに光により像を描画する画像形成装置10を用いた乗降促し方法であって、
移動体Tの搭乗口Dが開き始めたときに、画像形成装置10によって、像として乗客が降りることを促すように第一表示態様を描画し、
移動体Tの搭乗口Dから降りる人が途切れたときに、画像形成装置10によって、像として乗客の搭乗を促す第二表示態様を描画する。
【0028】
本実施形態のシステムおよび方法によれば、従来の駅の構内の放送や駅員による音声や笛などの音による合図に加えて、ホームH上(乗降エリアの一例)に描く像によって、今のタイミングは降りることが優先されるタイミングなのか、搭乗してよいタイミングなのかを知らせることができる。また、従来では音を聞き逃してしまうと今がどのタイミングなのかが分からなかったが、本実施形態による第一表示態様や第二表示態様は像として表示され続けているため、今がどのタイミングなのかがすぐに分かる。これにより、降りることが優先されるタイミングと搭乗してよいタイミングなのかがわかりやすい。多数の人が降りている最中に無理矢理搭乗する人によってスムーズな乗降が阻害される、といった事態が生じにくくなり、移動体の乗降に要する時間を必要最小限にとどめやすい。
【0029】
制御部11は、ドアDの前のホームH上の所定の領域に待つ人がいなくなったタイミングで、画像形成装置10による第二表示態様の描画を中止させることが好ましい。例えばカメラ12から取得した画像に基づき、該タイミングを判定することができる。
なお図5に示したように制御部11は画像形成装置10に、ドアDが閉鎖する前に第二表示態様による描画を中止させることが好ましい。ドアDが閉まるタイミングは、乗車してもらいたくないタイミングだからである。
【0030】
なお降車判定部14が判定する人の降車を知らせるタイミングは、上述した例に限られない。電車Tが停車した、電車Tが駅の構内に進入を開始した、電車TのドアDが開き始めた、あるいはこれらのタイミングから所定時間が経過したタイミングで、降車判定部14が降車案内開始信号を制御部11に出力するように構成してもよい。
【0031】
降車判定部14は、例えばカメラ12の画像に基づき、電車Tの停止、電車Tの構内への進入、ドア開放の開始などを判定することができる。
降車判定部14は、音を識別する音識別部により駅の構内の放送や駅員の笛の合図などを判定することができる。音識別部は、例えばマイクと、マイクで取得した電気信号を解析するマイクロプロセッサなどにより構成される。音識別部は、電車Tに設けられていても、駅の構内に設けられていてもよい。
あるいは降車判定部14は、駅の構内の放送を開始させる電気信号を検出する放送検出部により、電車Tの構内への進入を知らせる駅の構内の放送を判定することができる。放送検出部は、駅の放送機器に組み込まれる電子回路などにより構成することができる。
あるいは、電車TのドアDを開放させる電気信号を取得するドア開放検知部の出力に基づき、降車判定部14はドア開放の開始を判定することができる。ドア開放検知部は、電車Tのドア開放機構に組み込まれる電子回路などにより構成することができる。
あるいはドアDに設けられ、ドアDの開状態と閉状態とで異なる信号を出力するドアセンサの出力に基づき、降車判定部14はドア開放の開始を判定することができる。ドアセンサは、接触式のスイッチなどにより構成することができる。
【0032】
なお搭乗判定部13がドアDから降りる人が途切れたタイミングと判定する手法は上述した例に限られない。例えばドアDから離れた領域を含む電車Tの中にいる人が移動しない期間が1秒を超えたタイミングをドアDから降りる人が途切れたタイミングと判定してもよい。あるいは、搭乗判定部13は、制御部11が降車開始信号を取得してから所定時間が経過したときに、ドアDから降りる人が途切れたタイミングと判定してもよい。あるいは搭乗判定部13は、ドアDの開放から所定時間が経過したときに、ドアDから降りる人が途切れたタイミングと判定してもよい。
【0033】
なお降車判定部14および搭乗判定部13のいずれもカメラ12の画像以外の情報に基づき各々のタイミングを判定するように構成されている場合には、システムはカメラ12を備えていなくてもよい。
【0034】
また、第一表示態様や第二表示態様は図3の(A)~(C)および図4の(A)~(C)に図示した態様に限られない。例えば、第一表示態様と第二表示態様は、形状、色、点滅周期の少なくとも一つが異なっており、両者を識別可能であればよい。例えば第一表示態様として赤色の像を描画し、第二表示態様として青色の像を描画するように構成してもよい。このような構成とすれば、赤色の光と青色の光を発する光源で簡単に画像形成装置10を構成することができる。また上述した三角形の他に矢印を像として描画してもよい。
【0035】
<第二実施形態>
図6は、本発明の第二実施形態に係る移動体の乗降促しシステム101が設置された駅を示す図である。上述した第一実施形態では、画像形成装置10がホームHの庇20に設置された例を説明したが、本発明はこの例に限られない。
【0036】
図6に示したように画像形成装置110は電車Tの側面に設けられ、ホームHに光を投影して第一表示態様および第二表示態様を描画するように構成されていてもよい。この場合、画像形成装置110は例えば電車Tの側面であってドアDの近傍に設けることができる。編成の異なる車両が停車するとドアDの位置が異なる場合があり、ホームHに画像形成装置110を設置した場合には都度描画領域を変更したりする必要が生じるが、電車Tに画像形成装置110を設ける場合には常にドアD付近に描画することができる。
【0037】
電車Tの側面に画像形成装置110を設ける場合には、なるべく低い位置に設けることが好ましい。例えば路面からの高さが1メートル、より好ましくは50センチメートル以内に画像形成装置110を設けることが好ましい。路面と画像形成装置110との距離が近いほど、画像形成装置110が投影する光がそれほど減衰しないうちに路面に到達するので、画像形成装置110は像をより鮮明に描くことができる。また、画像形成装置110が投影する光が、人物Fなどによって邪魔されることなく路面に到達しやすい。
【0038】
<第三実施形態>
あるいは図7の第三実施形態に係る移動体の乗降促しシステム201として示したように、画像形成装置210は、ホームHに面一の画面を有し、画面に像を表示する、ホームHに埋め込まれたディスプレイであってもよい。このような構成によれば、人物Fによって光が遮られたり、光量が不足して像が不鮮明になるといった不都合が生じにくい。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0040】
上述した説明では、本発明のシステムおよび方法を電車に適用した例を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、多人数が利用するバス、船、飛行機、あるいは飛行可能な移動体などに本発明を適用することができる。これらのうち、特に電車とバスでは乗降が一度に同じドアによって行われる事態がよく生じるため、本発明を電車とバスに適用することが好ましい。
【符号の説明】
【0041】
1,101,201 移動体の乗降促しシステム
10,110,210 画像形成装置
11 制御部
12 カメラ
13 搭乗判定部
14 降車判定部
20 庇
A (像が描画される)所定領域
D ドア
F 人物
T 電車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7