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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169701
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/02 20060101AFI20221101BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B25F5/02
B25F5/00 C
B25F5/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133606
(22)【出願日】2022-08-24
(62)【分割の表示】P 2020545997の分割
【原出願日】2019-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2018172611
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 孝
(72)【発明者】
【氏名】山路 峻平
(72)【発明者】
【氏名】水谷 彰良
(72)【発明者】
【氏名】大谷 亮介
(72)【発明者】
【氏名】金子 博貴
(57)【要約】      (修正有)
【課題】粉塵の多い環境で工具が使用される場合であっても、ハウジングに付属品が取り付けられているか否かを正確に検出することが可能な技術を提供する。
【解決手段】工具は、原動機と、前記原動機に接続される動力伝達機構と、前記原動機および前記動力伝達機構を収容するハウジングと、前記動力伝達機構に接続されており、先端工具を保持する先端工具保持部と、前記ハウジングに着脱可能に取り付けられる付属品と、前記付属品の着脱に応じて動作するリンク部材と、前記ハウジングの内部に収容されており、非接触式のセンサ素子を備える検出センサを備えていてもよい。前記検出センサは、前記センサ素子を用いて前記リンク部材の動作を検出してもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と、
前記原動機に接続される動力伝達機構と、
前記原動機および前記動力伝達機構を収容するハウジングと、
前記動力伝達機構に接続されており、先端工具を保持する先端工具保持部と、
前記ハウジングに着脱可能に取り付けられる付属品と、
前記付属品の着脱に応じて動作するリンク部材と、
前記ハウジングの内部に収容されており、非接触式のセンサ素子を備える検出センサを備えており、
前記検出センサが、前記センサ素子を用いて前記リンク部材の動作を検出する、工具。
【請求項2】
前記原動機の動作を制御する制御ユニットをさらに備えており、
前記制御ユニットが、前記検出センサからの検出信号に基づいて、前記原動機の駆動を許可する、請求項1の工具。
【請求項3】
前記リンク部材が、前記ハウジングの内部から外部にかけて延在している、請求項1または2の工具。
【請求項4】
前記検出センサが、
前記センサ素子を収容するセンサケースと、
前記センサケースの内部から外部にかけて延在しており、前記リンク部材の動作に応じて動作するセンサレバーをさらに備えており、
前記センサ素子が、前記センサレバーの動作を検出する、請求項3の工具。
【請求項5】
前記センサ素子が、発光素子と、前記発光素子からの光を受光する受光素子を備えており、
前記センサレバーが、前記発光素子と前記受光素子の間を遮らない第1位置と、前記発光素子と前記受光素子の間を遮る第2位置の間で移動可能であり、
前記付属品が前記ハウジングに取り付けられていない場合に、前記センサレバーが前記第1位置および前記第2位置の一方に位置し、
前記付属品が前記ハウジングに取り付けられた場合に、前記センサレバーが前記第1位置および前記第2位置の他方に位置する、請求項4の工具。
【請求項6】
前記発光素子が、所定の信号パターンを有する発光信号に基づいて発光する、請求項5の工具。
【請求項7】
前記センサレバーが、前記センサケースの内側の側面に摺動可能な形状に形成されており、
前記センサレバーが、
上下方向に長手方向を有し、前後方向に短手方向を有する略平板形状の基部と、
前記センサケースから突出しており、前記リンク部材と当接する当接部を備えており、
前記基部に、前記発光素子と前記受光素子の間を遮らない形状を有する切り欠き部と、前記発光素子と前記受光素子の間を遮る形状を有する遮蔽部が形成されている、請求項5または6の工具。
【請求項8】
前記付属品が、前記先端工具を少なくとも部分的に覆うカバーを備えており、
前記ハウジングが、前記カバーが取り付けられるカバー取り付け部を備えており、
前記リンク部材が、
丸棒形状のシャフトと、
前記シャフトの前端に固定された前方レバーと、
前記シャフトの後端に固定された後方レバーを備えており、
前記シャフトの前記前端は、前記ハウジングに形成された貫通孔を介して前記ハウジングの外部に突出しており、
前記前方レバーは、前記ハウジングの外部で、前記カバー取り付け部の近傍に配置されており、
前記後方レバーは、前記ハウジングの内部で、前記検出センサの下方に配置されている、請求項7の工具。
【請求項9】
前記カバー取り付け部に前記カバーが取り付けられた時に、前記前方レバーが前記カバーによって押圧されて上方に向けて回動し、前記後方レバーも上方に向けて回動し、前記当接部が前記後方レバーによって押圧されて前記センサレバーが上方に向けて移動することで、前記発光素子と前記受光素子の間に前記切り欠き部が配置され、前記発光素子からの光が遮られることなく前記受光素子へ到達する、請求項8の工具。
【請求項10】
前記リンク部材が、前記ハウジングに対して回動可能に支持されており、
前記リンク部材が、前記付属品の着脱に応じて、前記ハウジングに対して回動する、請求項1から6の何れか一項の工具。
【請求項11】
前記原動機が、電動モータであって、
前記リンク部材の長手方向が、前記ハウジングの内部に収容された前記電動モータの出力軸に対して略平行な第1方向に沿って配置されており、
前記リンク部材の回動軸が、前記第1方向に沿って配置されており、
前記センサレバーが、前記第1方向に対して略直交する第2方向に沿って移動可能に、前記センサケースに保持されており、
前記検出センサが、前記センサケースの内部に収容されており、前記センサレバーを前記第1位置から前記第2位置に向けて付勢する弾性部材をさらに備える、請求項10の工具。
【請求項12】
前記電動モータに供給される電力を制御する制御ユニットをさらに備えており、
前記検出センサが、前記電動モータと前記制御ユニットの間に配置されている、請求項11の工具。
【請求項13】
前記ハウジングに着脱可能に取り付けられ、前記電動モータに電力を供給するバッテリをさらに備えており、
前記検出センサが、前記電動モータと前記バッテリの間に配置されている、請求項11または12の工具。
【請求項14】
前記付属品が、前記先端工具を少なくとも部分的に覆うカバーを備える、請求項1から13の何れか一項の工具。
【請求項15】
前記検出センサが、前記センサ素子を収容するセンサケースをさらに備えており、
前記リンク部材が、前記センサケースの内部から外部にかけて延在しており、
前記センサ素子が、前記リンク部材の動作を検出する、請求項1または2の工具。
【請求項16】
前記センサ素子が、発光素子と、前記発光素子からの光を受光する受光素子を備えており、
前記リンク部材が、前記発光素子と前記受光素子の間を遮らない第1位置と、前記発光素子と前記受光素子の間を遮る第2位置の間で移動可能であり、
前記付属品が前記ハウジングに取り付けられていない場合に、前記リンク部材が前記第1位置および前記第2位置の一方に位置し、
前記付属品が前記ハウジングに取り付けられた場合に、前記リンク部材が前記第1位置および前記第2位置の他方に位置する、請求項15の工具。
【請求項17】
前記発光素子が、所定の信号パターンを有する発光信号に基づいて発光する、請求項16の工具。
【請求項18】
前記リンク部材が、
前記センサケースに揺動可能に保持された揺動シャフトと、
前記センサケースの外部に突出する当接アームと、
前記センサケースの内部に収容された検出アームを備えており、
前記当接アームは、
フランジと、
前記フランジから突出する突出部を備えており、
前記検出アームは、前記発光素子と前記受光素子の間を遮る形状を有する遮蔽部を備えている、請求項16または17の工具。
【請求項19】
前記付属品が、前記先端工具を少なくとも部分的に覆うカバーを備えており、
前記ハウジングが、前記カバーが取り付けられるカバー取り付け部を備えており、
前記センサケースが、前記ハウジングの内部で、前記ハウジングの左右方向の中央部近傍に配置されており、
前記センサケースが、前記揺動シャフトが左右方向に沿って配置され、かつ前記突出部が下方を向くように、前記ハウジングに保持されており、
前記当接アームが、前記ハウジングの貫通孔を介して前記ハウジングの外部に突出しており、
前記フランジと前記突出部が、前記ハウジングの外部で、前記カバー取り付け部の近傍に配置されている、請求項18の工具。
【請求項20】
前記付属品が、ユーザが把持可能なハンドルを備えており、
前記ハウジングが、前記ハンドルが取り付けられるハンドル取り付け孔を備えており、
前記センサケースが、前記ハウジングの内部に配置されており、
前記センサケースが、前記揺動シャフトが上下方向に沿って配置され、前記突出部が前記ハンドル取り付け孔に対向するように、前記ハウジングに保持されており、
前記ハンドルが前記ハンドル取り付け孔に取り付けられていない場合に、前記フランジが、前記ハウジングの内面に当接しており、前記突出部が、前記ハンドル取り付け孔に入り込んでいる、請求項18の工具。
【請求項21】
前記リンク部材が、前記センサケースに対して回動可能に支持されており、
前記リンク部材が、前記付属品の着脱に応じて、前記センサケースに対して回動する、請求項15から17の何れか一項の工具。
【請求項22】
前記原動機が、電動モータであって、
前記リンク部材の回動軸と前記センサ素子が、前記ハウジングの内部に収容された前記電動モータの出力軸に対して略直交する方向に並んで配置されている、請求項21の工具。
【請求項23】
前記リンク部材の前記回動軸が、前記電動モータの前記出力軸に対して略平行な第1方向に対して略直交する第2方向に沿って配置されており、
前記リンク部材を前記第1位置から前記第2位置に向けて付勢する弾性部材をさらに備える、請求項22の工具。
【請求項24】
前記検出センサが、前記電動モータの出力軸が伸びる方向に関して、前記先端工具保持部と前記電動モータの間に配置されている、請求項22または23の工具。
【請求項25】
複数の前記検出センサと、
前記複数の前記検出センサに対応する、複数の前記リンク部材を備える、請求項15から24の何れか一項の工具。
【請求項26】
前記付属品が、前記先端工具を少なくとも部分的に覆うカバー、および/または、ユーザが把持可能なハンドルを備える、請求項15から25の何れか一項の工具。
【請求項27】
原動機と、
前記原動機に接続される動力伝達機構と、
前記原動機および前記動力伝達機構を収容するハウジングと、
前記動力伝達機構に接続されており、先端工具を保持する先端工具保持部と、
前記ハウジングに着脱可能に取り付けられる付属品と、
前記付属品の着脱に応じて動作するリンク部材と、
前記ハウジングの内部に収容された検出センサを備えており、
前記リンク部材が、前記付属品の着脱に応じて、前記ハウジングに対して回動し、
前記検出センサが、前記リンク部材の回動動作を検出する、工具。
【請求項28】
前記原動機の動作を制御する制御ユニットをさらに備えており、
前記制御ユニットが、前記検出センサからの検出信号に基づいて、前記原動機の駆動を許可する、請求項27の工具。
【請求項29】
前記リンク部材が、前記ハウジングに対して回動可能に支持されており、
前記リンク部材が、前記ハウジングの内部から外部にかけて延在している、請求項27または28の工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、工具に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2017/051893号には、原動機と、前記原動機に接続される動力伝達機構と、前記原動機および前記動力伝達機構を収容するハウジングと、前記動力伝達機構に接続されており、先端工具を保持する先端工具保持部と、前記ハウジングに着脱可能に取り付けられる付属品と、前記ハウジングの外部に設けられた検出センサを備える工具が開示されている。この工具では、検出センサによって、ハウジングに付属品が取り付けられているか否かを検出することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような工具は、空気中に粉塵が多く含まれる環境で使用されることがある。このような場合に、検出センサがハウジングの外部に設けられていると、粉塵の影響によって検出センサが誤検知をするおそれがある。粉塵の多い環境で工具が使用される場合であっても、ハウジングに付属品が取り付けられているか否かを正確に検出することが可能な技術が期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書は工具を開示する。前記工具は、原動機と、前記原動機に接続される動力伝達機構と、前記原動機および前記動力伝達機構を収容するハウジングと、前記動力伝達機構に接続されており、先端工具を保持する先端工具保持部と、前記ハウジングに着脱可能に取り付けられる付属品と、前記付属品の着脱に応じて動作するリンク部材と、前記ハウジングの内部に収容されており、非接触式のセンサ素子を備える検出センサを備えていてもよい。前記検出センサは、前記センサ素子を用いて前記リンク部材の動作を検出してもよい。
【0005】
上記の構成によれば、検出センサがハウジングの内部に収容されているので、検出センサが粉塵の影響を受けにくい。従って、粉塵の多い環境で工具が使用される場合であっても、ハウジングに付属品が取り付けられているか否かを正確に検出することができる。また、上記の構成によれば、検出センサが非接触式のセンサ素子を用いてリンク部材の動作を検出する。これによって、リンク部材に振動や衝撃が作用する場合であっても、リンク部材を介してセンサ素子に衝撃や振動が作用することを防止することができる。衝撃や振動に起因するセンサ素子での誤検知を防止することができるとともに、センサ素子の耐久性を向上することができる。
【0006】
本明細書は別の工具も開示する。前記工具は、原動機と、前記原動機に接続される動力伝達機構と、前記原動機および前記動力伝達機構を収容するハウジングと、前記動力伝達機構に接続されており、先端工具を保持する先端工具保持部と、前記ハウジングに着脱可能に取り付けられる付属品と、前記付属品の着脱に応じて動作するリンク部材と、前記ハウジングの内部に収容された検出センサを備えていてもよい。前記リンク部材は、前記付属品の着脱に応じて、前記ハウジングに対して回動してもよい。前記検出センサは、前記リンク部材の回動動作を検出してもよい。
【0007】
上記の構成によれば、検出センサがハウジングの内部に収容されているので、検出センサが粉塵の影響を受けにくい。従って、粉塵の多い環境で工具が使用される場合であっても、ハウジングに付属品が取り付けられているか否かを正確に検出することができる。また、上記の構成によれば、付属品の取り付け位置から離れた位置に検出センサが配置されている場合であっても、リンク部材を大型で複雑な機構とする必要がなく、ハウジングの内部の空いたスペースを活用して、付属品の取り付け位置から検出センサの位置まで延在するリンク部材を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のグラインダ2の縦断面図である。
図2】実施例1のグラインダ2の内部の構造を示す斜視図である。
図3】実施例1のグラインダ2において、カバー6が取り付けられていない状態での、カバー検出機構54の斜視図である。
図4】実施例1のグラインダ2の検出センサ58の内部の構造を示す斜視図である。
図5】実施例1のグラインダ2のフォトインタラプタ72の斜視図である。
図6】実施例1のグラインダ2のセンサレバー68の斜視図である。
図7】実施例1のグラインダ2において、カバー6が取り付けられていない状態での、検出センサ58の縦断面図である。
図8】実施例1のグラインダ2において、カバー6が取り付けられた状態での、カバー検出機構54の斜視図である。
図9】実施例1のグラインダ2において、カバー6が取り付けられた状態での、検出センサ58の縦断面図である。
図10】実施例1のグラインダ2の回路構成を模式的に示す図である。
図11】実施例1のグラインダ2のマイコン82が実行する処理を説明するフローチャートである。
図12】実施例1のグラインダ2のマイコン82が実行するカバー判定処理を説明するフローチャートである。
図13】実施例1のグラインダ2における、発光信号の信号パターン90と、受光信号の信号パターン92、94、96、98の例を示す図である。
図14】実施例2のグラインダ102の斜視図である。
図15】実施例2のグラインダ102において、カバー6が取り付けられていない状態での、カバー取り付け部52の近傍の縦断面図である。
図16】実施例2のグラインダ102において、サイドハンドル108が取り付けられていない状態での、ハンドル取り付け部110、112の近傍の横断面図である。
図17】実施例2のグラインダ102の検出ユニット118の斜視図である。
図18】実施例2のグラインダ102において、リンク部材122が遮蔽位置にある状態での、リンク部材122とフォトインタラプタ128の斜視図である。
図19】実施例2のグラインダ102において、リンク部材122が開放位置にある状態での、リンク部材122とフォトインタラプタ128の斜視図である。
図20】実施例2のグラインダ102において、カバー6が取り付けられた状態での、カバー取り付け部52の近傍の縦断面図である。
図21】実施例2のグラインダ102において、サイドハンドル108が取り付けられた状態での、ハンドル取り付け部110、112の近傍の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、以下に開示される追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された工具、その製造方法及び使用方法を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0010】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、上記及び下記の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、独立及び従属クレームに記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0011】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又はクレームに記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0012】
1つまたはそれ以上の実施形態において、工具は、原動機と、前記原動機に接続される動力伝達機構と、前記原動機および前記動力伝達機構を収容するハウジングと、前記動力伝達機構に接続されており、先端工具を保持する先端工具保持部と、前記ハウジングに着脱可能に取り付けられる付属品と、前記付属品の着脱に応じて動作するリンク部材と、前記ハウジングの内部に収容されており、非接触式のセンサ素子を備える検出センサを備えていてもよい。前記検出センサは、前記センサ素子を用いて前記リンク部材の動作を検出してもよい。
【0013】
上記の構成によれば、検出センサがハウジングの内部に収容されているので、検出センサが粉塵の影響を受けにくい。従って、粉塵の多い環境で工具が使用される場合であっても、ハウジングに付属品が取り付けられているか否かを正確に検出することができる。また、上記の構成によれば、検出センサが非接触式のセンサ素子を用いてリンク部材の動作を検出する。これによって、リンク部材に振動や衝撃が作用する場合であっても、リンク部材を介してセンサ素子に衝撃や振動が作用することを防止することができる。衝撃や振動に起因するセンサ素子での誤検知を防止することができるとともに、センサ素子の耐久性を向上することができる。
【0014】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記工具は、前記原動機の動作を制御する制御ユニットをさらに備えていてもよい。前記制御ユニットは、前記検出センサからの検出信号に基づいて、前記原動機の駆動を許可してもよい。
【0015】
上記の構成によれば、付属品がハウジングに取り付けられている場合に限り、原動機の駆動を許可することができる。
【0016】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記リンク部材は、前記ハウジングの内部から外部にかけて延在していてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、ハウジングに取り付けられた時にハウジングの内部に入り込まない付属品について、ハウジングに取り付けられているか否かを検出することができる。
【0018】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記検出センサは、前記センサ素子を収容するセンサケースと、前記センサケースの内部から外部にかけて延在しており、前記リンク部材の動作に応じて動作するセンサレバーをさらに備えていてもよい。前記センサ素子は、前記センサレバーの動作を検出してもよい。
【0019】
上記の構成によれば、検出センサのセンサ素子がセンサケースの内部に収容されているので、仮にハウジングの内部に粉塵が流入した場合でも、センサ素子が粉塵の影響を受けることを抑制することができる。
【0020】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記センサ素子は、発光素子と、前記発光素子からの光を受光する受光素子を備えていてもよい。前記センサレバーは、前記発光素子と前記受光素子の間を遮らない第1位置と、前記発光素子と前記受光素子の間を遮る第2位置の間で移動可能であってもよい。前記付属品が前記ハウジングに取り付けられていない場合に、前記センサレバーは前記第1位置および前記第2位置の一方に位置してもよい。前記付属品が前記ハウジングに取り付けられた場合に、前記センサレバーは前記第1位置および前記第2位置の他方に位置してもよい。
【0021】
上記のように発光素子と受光素子を備えるセンサ素子では、例えば磁石とホール素子を備えるセンサ素子に比べて、金属粉等の外部の環境の影響を受けにくい。上記の構成によれば、付属品の着脱に応じて、センサレバーの位置が第1位置と第2位置の間で切り替わるので、発光素子から受光素子への光の伝達の有無から、ハウジングに付属品が取り付けられているか否かを判定することができる。
【0022】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記発光素子は、所定の信号パターンを有する発光信号に基づいて発光してもよい。
【0023】
付属品の着脱に応じて、センサレバーの位置を第1位置と第2位置の間で切り替える構成では、単に発光素子から受光素子への光の伝達の有無によって、ハウジングに付属品が取り付けられているか否かを判定しようとすると、受光素子にオン故障やオフ故障が生じた場合に、ハウジングに付属品が取り付けられているか否かを誤って判定するおそれがある。上記の構成によれば、センサレバーが第1位置にあり、発光素子から受光素子へ正常に光が伝達する場合には、受光素子での受光信号は、発光素子での発光信号と同様の信号パターンを有することになる。このため、受光素子での受光信号の信号パターンと発光素子での発光信号の信号パターンの比較によって、ハウジングに付属品が取り付けられているか否かを判定することで、検出センサの不具合に起因する誤判定を防止することができる。
【0024】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記センサレバーは、前記センサケースの内側の側面に摺動可能な形状に形成されていてもよい。前記センサレバーは、上下方向に長手方向を有し、前後方向に短手方向を有する略平板形状の基部と、前記センサケースから突出しており、前記リンク部材と当接する当接部を備えていてもよい。前記基部に、前記発光素子と前記受光素子の間を遮らない形状を有する切り欠き部と、前記発光素子と前記受光素子の間を遮る形状を有する遮蔽部が形成されていてもよい。
【0025】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、センサケースの内部から外部にかけて延在しており、リンク部材の動作に応じて動作するセンサレバーを実現することができる。
【0026】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記付属品は、前記先端工具を少なくとも部分的に覆うカバーを備えていてもよい。前記ハウジングは、前記カバーが取り付けられるカバー取り付け部を備えていてもよい。前記リンク部材は、丸棒形状のシャフトと、前記シャフトの前端に固定された前方レバーと、前記シャフトの後端に固定された後方レバーを備えていてもよい。前記シャフトの前記前端は、前記ハウジングに形成された貫通孔を介して前記ハウジングの外部に突出していてもよい。前記前方レバーは、前記ハウジングの外部で、前記カバー取り付け部の近傍に配置されていてもよい。前記後方レバーは、前記ハウジングの内部で、前記検出センサの下方に配置されていてもよい。
【0027】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、付属品であるカバーの着脱に応じてセンサレバーを動作させるリンク部材を実現することができる。
【0028】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記工具では、前記カバー取り付け部に前記カバーが取り付けられた時に、前記前方レバーが前記カバーによって押圧されて上方に向けて回動し、前記後方レバーも上方に向けて回動し、前記当接部が前記後方レバーによって押圧されて前記センサレバーが上方に向けて移動することで、前記発光素子と前記受光素子の間に前記切り欠き部が配置され、前記発光素子からの光が遮られることなく前記受光素子へ到達してもよい。
【0029】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、ハウジングへのカバーの着脱を検出センサで検出することができる。
【0030】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記リンク部材は、前記ハウジングに対して回動可能に支持されていてもよい。前記リンク部材は、前記付属品の着脱に応じて、前記ハウジングに対して回動してもよい。
【0031】
上記の構成によれば、付属品の取り付け位置から離れた位置に検出センサが配置されている場合であっても、リンク部材を大型で複雑な機構とする必要がなく、ハウジングの内部の空いたスペースを活用して、付属品の取り付け位置から検出センサの位置まで延在するリンク部材を配置することができる。
【0032】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記原動機は、電動モータであってもよい。前記リンク部材の長手方向は、前記ハウジングの内部に収容された前記電動モータの出力軸に対して略平行な第1方向に沿って配置されていてもよい。前記リンク部材の回動軸は、前記第1方向に沿って配置されていてもよい。前記センサレバーは、前記第1方向に対して略直交する第2方向に沿って移動可能に、前記センサケースに保持されていてもよい。前記検出センサは、前記センサケースの内部に収容されており、前記センサレバーを前記第1位置から前記第2位置に向けて付勢する弾性部材をさらに備えていてもよい。
【0033】
上記の構成によれば、リンク部材や検出センサの構成を簡素化することができる。
【0034】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記工具は、前記電動モータに供給される電力を制御する制御ユニットをさらに備えていてもよい。前記検出センサは、前記電動モータと前記制御ユニットの間に配置されていてもよい。
【0035】
上記の構成によれば、ハウジングの内部の、電動モータと制御ユニットの間の空いたスペースを活用して、検出センサを配置することができる。
【0036】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記工具は、前記ハウジングに着脱可能に取り付けられ、前記電動モータに電力を供給するバッテリをさらに備えていてもよく、前記検出センサが、前記電動モータと前記バッテリの間に配置されていてもよい。
【0037】
上記の構成によれば、ハウジングの内部の、電動モータとバッテリの間の空いたスペースを活用して、検出センサを配置することができる。
【0038】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記付属品は、前記先端工具を少なくとも部分的に覆うカバーであってもよい。
【0039】
上記の構成によれば、先端工具を少なくとも部分的に覆うカバーがハウジングに取り付けられているか否かを、検出センサによって検出することができる。
【0040】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記検出センサは、前記センサ素子を収容するセンサケースをさらに備えていてもよい。前記リンク部材は、前記センサケースの内部から外部にかけて延在していてもよい。前記センサ素子は、前記リンク部材の動作を検出してもよい。
【0041】
上記の構成によれば、センサレバー等の部材を介することなく、センサ素子がリンク部材の動作を直接的に検出するので、検出センサの構成を簡素化することができ、部品点数を低減することができる。
【0042】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記センサ素子は、発光素子と、前記発光素子からの光を受光する受光素子を備えていてもよい。前記リンク部材は、前記発光素子と前記受光素子の間を遮らない第1位置と、前記発光素子と前記受光素子の間を遮る第2位置の間で移動可能であってもよい。前記付属品が前記ハウジングに取り付けられていない場合に、前記リンク部材が前記第1位置および前記第2位置の一方に位置してもよい。前記付属品が前記ハウジングに取り付けられた場合に、前記リンク部材が前記第1位置および前記第2位置の他方に位置してもよい。
【0043】
上記の構成によれば、例えば磁石とホール素子を備えるセンサ素子を用いる場合に比べて、金属粉等の外部の環境の影響を受けにくくすることができる。
【0044】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記発光素子は、所定の信号パターンを有する発光信号に基づいて発光してもよい。
【0045】
上記の構成によれば、検出センサの不具合に起因する誤判定を防止することができる。
【0046】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記リンク部材は、前記センサケースに揺動可能に保持された揺動シャフトと、前記センサケースの外部に突出する当接アームと、前記センサケースの内部に収容された検出アームを備えていてもよい。前記当接アームは、フランジと、前記フランジから突出する突出部を備えていてもよい。前記検出アームは、前記発光素子と前記受光素子の間を遮る形状を有する遮蔽部を備えていてもよい。
【0047】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、付属品の着脱に応じて動作するリンク部材と、リンク部材の動作を検出する検出センサを実現することができる。
【0048】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記付属品は、前記先端工具を少なくとも部分的に覆うカバーを備えていてもよい。前記ハウジングは、前記カバーが取り付けられるカバー取り付け部を備えていてもよい。前記センサケースは、前記ハウジングの内部で、前記ハウジングの左右方向の中央部近傍に配置されていてもよい。前記センサケースは、前記揺動シャフトが左右方向に沿って配置され、かつ前記突出部が下方を向くように、前記ハウジングに保持されていてもよい。前記当接アームは、前記ハウジングの貫通孔を介して前記ハウジングの外部に突出していてもよい。前記フランジと前記突出部は、前記ハウジングの外部で、前記カバー取り付け部の近傍に配置されていてもよい。
【0049】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、ハウジングへのカバーの着脱を検出センサで検出することができる。
【0050】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記付属品は、ユーザが把持可能なハンドルを備えていてもよい。前記ハウジングは、前記ハンドルが取り付けられるハンドル取り付け孔を備えていてもよい。前記センサケースは、前記ハウジングの内部に配置されていてもよい。前記センサケースは、前記揺動シャフトが上下方向に沿って配置され、前記突出部が前記ハンドル取り付け孔に対向するように、前記ハウジングに保持されていてもよい。前記ハンドルが前記ハンドル取り付け孔に取り付けられていない場合に、前記フランジは、前記ハウジングの内面に当接していてもよく、前記突出部は、前記ハンドル取り付け孔に入り込んでいてもよい。
【0051】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、ハウジングへのハンドルの着脱を検出センサで検出することができる。
【0052】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記リンク部材は、前記センサケースに対して回動可能に支持されていてもよい。前記リンク部材は、前記付属品の着脱に応じて、前記センサケースに対して回動してもよい。
【0053】
リンク部材と検出センサが別個にハウジングに取り付けられる構成では、それぞれの取付位置に誤差が生じると、リンク部材とセンサ素子の相対的な位置関係が想定とは異なるものとなり、検出センサが誤判定してしまうおそれがある。上記の構成によれば、リンク部材がセンサケースに取り付けられるので、リンク部材とセンサ素子の相対的な位置関係を精度よく管理することができる。
【0054】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記原動機は、電動モータであってもよい。前記リンク部材の回動軸と前記センサ素子は、前記ハウジングの内部に収容された前記電動モータの出力軸に対して略直交する方向に並んで配置されていてもよい。
【0055】
上記の構成によれば、ハウジングの内部の、電動モータの出力軸の周囲の空いたスペースを活用して、リンク部材と検出センサを配置することができる。
【0056】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記リンク部材の前記回動軸は、前記電動モータの前記出力軸に対して略平行な第1方向に対して略直交する第2方向に沿って配置されていてもよい。前記工具は、前記リンク部材を前記第1位置から前記第2位置に向けて付勢する弾性部材をさらに備えていてもよい。
【0057】
上記の構成によれば、リンク部材や検出センサの構成をより簡素化することができる。
【0058】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記検出センサは、前記電動モータの出力軸が伸びる方向に関して、前記先端工具保持部と前記電動モータの間に配置されていてもよい。
【0059】
上記の構成によれば、ハウジングの内部の、先端工具保持部と電動モータの間の空いたスペースを活用して、検出センサを配置することができる。
【0060】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記工具は、複数の前記検出センサと、前記複数の前記検出センサに対応する、複数の前記リンク部材を備えていてもよい。
【0061】
上記の構成によれば、付属品の取り付け位置が複数存在する場合に、それぞれの取り付け位置において、付属品が取り付けられているか否かを検出することができる。
【0062】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記付属品は、前記先端工具を少なくとも部分的に覆うカバー、および/または、ユーザが把持可能なハンドルを備えていてもよい。
【0063】
上記の構成によれば、先端工具を少なくとも部分的に覆うカバーや、ユーザが把持可能なハンドルが、ハウジングに取り付けられているか否かを、検出センサによって検出することができる
【0064】
1つまたはそれ以上の実施形態において、工具は、原動機と、前記原動機に接続される動力伝達機構と、前記原動機および前記動力伝達機構を収容するハウジングと、前記動力伝達機構に接続されており、先端工具を保持する先端工具保持部と、前記ハウジングに着脱可能に取り付けられる付属品と、前記付属品の着脱に応じて動作するリンク部材と、前記ハウジングの内部に収容された検出センサを備えていてもよい。前記リンク部材は、前記付属品の着脱に応じて、前記ハウジングに対して回動してもよい。前記検出センサは、前記リンク部材の回動動作を検出してもよい。
【0065】
上記の構成によれば、検出センサがハウジングの内部に収容されているので、検出センサが粉塵の影響を受けにくい。従って、粉塵の多い環境で工具が使用される場合であっても、ハウジングに付属品が取り付けられているか否かを正確に検出することができる。また、上記の構成によれば、付属品の取り付け位置から離れた位置に検出センサが配置されている場合であっても、リンク部材を大型で複雑な機構とする必要がなく、ハウジングの内部の空いたスペースを活用して、付属品の取り付け位置から検出センサの位置まで延在するリンク部材を配置することができる。
【0066】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記工具は、前記原動機の動作を制御する制御ユニットをさらに備えていてもよい。前記制御ユニットは、前記検出センサからの検出信号に基づいて、前記原動機の駆動を許可してもよい。
【0067】
上記の構成によれば、付属品がハウジングに取り付けられている場合に限り、原動機の駆動を許可することができる。
【0068】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記リンク部材は、前記ハウジングに対して回動可能に支持されていてもよい。前記リンク部材は、前記ハウジングの内部から外部にかけて延在していてもよい。
【0069】
上記の構成によれば、ハウジングの内部の空いたスペースを活用して、ハウジングの外部の付属品の取り付け位置からハウジングの内部の検出センサの位置まで延在するリンク部材を配置することができる。
【0070】
(実施例1)
図1に示すように、本実施例のグラインダ2は、先端工具である研削ホイール4と、付属品であるカバー6を取り付けた状態で使用される工具である。グラインダ2は、研削ホイール4の回転によって、金属の溶接部等の研削やバリ取りを行うことができる。また、研削ホイール4をワークの材料と作業内容に対応したものに交換し、カバー6を交換後の研削ホイール4に対応したものに交換することにより、コンクリート、ブロック、レンガ、石材等のワークの切断等を行うことができる。なお、以下の説明では、グラインダ2の長手方向を前後方向といい、研削ホイール4の回転軸方向を上下方向といい、前後方向と上下方向に直交する方向を左右方向という。
【0071】
グラインダ2は、本体ハウジング8と、ギヤハウジングカバー9と、ギヤハウジング10と、ベアリングボックス12を備えている。
【0072】
本体ハウジング8の前方内部には、原動機である電動モータ14が収容されている。電動モータ14は、例えば、インナロータ型のブラシレスDCモータである。電動モータ14は、前後方向に伸びる出力軸16を有している。出力軸16は、ベアリング18を介してギヤハウジングカバー9に回転可能に支持されているとともに,ベアリング20を介して本体ハウジング8に回転可能に支持されている。本体ハウジング8の後端には、バッテリ22が取り付けられている。バッテリ22は、例えばリチウムイオンバッテリ等の、再充電可能な二次電池である。バッテリ22は、本体ハウジング8に対して上下方向にスライドさせることで着脱可能な、スライド式のバッテリである。本体ハウジング8の後方内部には、制御基板24が収容されている。バッテリ22から供給される電力は、制御基板24を介して、電動モータ14に供給される。本体ハウジング8の前方の上面には、前後方向にスライド可能なスライドスイッチ26が設けられている。スライドスイッチ26は、ユーザの操作によって、オン位置とオフ位置の間で切り替え可能である。スライドスイッチ26の位置は、本体ハウジング8の内部に収容されたメインスイッチ28によって検出される。メインスイッチ28は、制御基板24に接続されている。スライドスイッチ26がオン位置にある場合、バッテリ22からの電力が制御基板24を介して電動モータ14へ供給されて、電動モータ14が出力軸16を回転させる。スライドスイッチ26がオフ位置にある場合、バッテリ22の電力の電動モータ14への供給が遮断されて、電動モータ14が出力軸16を停止させる。本体ハウジング8の後方の上面には、表示部30が設けられている。表示部30は、グラインダ2の動作状態やバッテリ22の電池残量に応じて表示を変化させることで、グラインダ2の動作状態やバッテリ22の電池残量をユーザに報知する。
【0073】
ギヤハウジング10は、ギヤハウジングカバー9を介して、本体ハウジング8の前方に取り付けられている。ギヤハウジング10の内部には、互いに噛み合うように配置された第1ベベルギヤ32と第2ベベルギヤ34が収容されている。第1ベベルギヤ32は、出力軸16の前方端部に固定されている。第2ベベルギヤ34は、上下方向に伸びるスピンドル36の上方端部に固定されている。以下では、第1ベベルギヤ32と第2ベベルギヤ34を総称して、単にベベルギヤ38ともいう。ベベルギヤ38は、電動モータ14の回転を減速してスピンドル36に伝達する減速機構であり、動力伝達機構ということができる。ギヤハウジング10は、ベアリング40を介して、スピンドル36の上方端部を回転可能に支持している。図2に示すように、ギヤハウジング10の上面には、シャフトロック42が設けられている。ユーザがシャフトロック42を下方に押し込むと、第2ベベルギヤ34の回転が禁止されて、スピンドル36の回転が禁止される。
【0074】
図1に示すように、ベアリングボックス12は、ギヤハウジング10の下方に取り付けられている。ベアリングボックス12は、ベアリング44を介して、スピンドル36を回転可能に支持している。スピンドル36は、上下方向に沿った回転軸に関して、ベアリングボックス12に対して回転可能である。スピンドル36の下方端部には、インナフランジ46とアウタフランジ48を介して、研削ホイール4を取り付け可能である。インナフランジ46は、スピンドル36に嵌合されている。研削ホイール4は、インナフランジ46の下方からスピンドル36に取り付けられて、インナフランジ46に嵌合されている。アウタフランジ48は、スピンドル36の下方端部からスピンドル36に螺着されて、インナフランジ46との間で研削ホイール4を挟持する。グラインダ2において、電動モータ14が回転すると、スピンドル36とともに研削ホイール4が回転軸周りに回転することで、ワークの研削を行うことができる。スピンドル36は、先端工具である研削ホイール4を保持する先端工具保持部ということもできる。なお、以下の説明では、本体ハウジング8、ギヤハウジングカバー9、ギヤハウジング10およびベアリングボックス12を総称して、単にハウジング50ともいう。
【0075】
カバー6は、ベアリングボックス12に形成された略円筒形状のカバー取り付け部52に取り付けられている。カバー6は、グラインダ2に取り付けられた時に、研削ホイール4を少なくとも部分的に覆う形状に形成されている。カバー6は、グラインダ2に取り付けられた時に、スピンドル36を少なくとも部分的に覆う形状を有しているということもできる。カバー6は、研削ホイール4がワークを研削する際に、ユーザ側に切削粉が飛び散ることを防止する。
【0076】
図2に示すように、グラインダ2は、カバー検出機構54を備えている。カバー検出機構54は、リンク部材56と、検出センサ58を備えている。検出センサ58は、本体ハウジング8の内部に収容されている。検出センサ58は、電動モータ14と制御基板24の間に配置されている。検出センサ58は、電動モータ14よりも後方であって、バッテリ22や制御基板24よりも前方の位置に配置されている。
【0077】
図3に示すように、リンク部材56は、丸棒形状のシャフト60と、シャフト60の前端に固定された前方レバー62と、シャフト60の後端に固定された後方レバー64を備えている。図2に示すように、シャフト60は、長手方向がグラインダ2の前後方向に沿うように、本体ハウジング8の内部の前方下方右方に配置されている。シャフト60は、本体ハウジング8に回動可能に支持されている。シャフト60の前端は、ギヤハウジング10に形成された貫通孔10aを介してハウジング50の外部に突出しており、前方レバー62は、ハウジング50の外部に配置されている。前方レバー62は、ベアリングボックス12のカバー取り付け部52の近傍に配置されている。後方レバー64は、本体ハウジング8の内部において、検出センサ58の下方に配置されている。前方レバー62は、カバー6がカバー取り付け部52に取り付けられると、上方に向けて回動する。前方レバー62が回動すると、シャフト60と後方レバー64も一体的に回動する。
【0078】
図3図4に示すように、検出センサ58は、略直方体形状を有しており、下面に開口を有するセンサケース66と、センサケース66の下面の開口から下方に向けて一部が突出したセンサレバー68と、センサケース66内に収容された圧縮バネ70と、センサケース66内に収容されたフォトインタラプタ72を備えている。なお、図示はしていないが、センサケース66の下面の開口には、センサレバー68の周囲に当接しており、センサレバー68が摺動可能なゴム製のシールが設けられている。これによって、センサケース66の内部に粉塵が流入することを防止することができる。
【0079】
図5に示すように、フォトインタラプタ72は、センサ基板74と、センサ基板74に搭載された発光部76および受光部78を備えている。センサ基板74は、センサケース66の内側の後方の側面に固定されている。センサ基板74は、図示しない配線を介して、制御基板24に接続されている。発光部76および受光部78は、センサ基板74の前面に配置されている。発光部76および受光部78は、左右方向に互いに対向して配置されている。発光部76は発光素子76a(図10参照)を内蔵しており、受光部78は受光素子78a(図10参照)を内蔵している。
【0080】
図6に示すように、センサレバー68は、上下方向に長手方向を有し、前後方向に短手方向を有する略平板形状の基部68aと、基部68aの上端に設けられた上側案内部68bと、基部68aの上下方向の中央よりも下方の位置に設けられた下側案内部68cを備えている。上側案内部68bと下側案内部68cは、センサケース66の内側の側面に対して摺動可能な形状に形成されている。基部68aの下端には、丸みを帯びた形状の当接部68dが形成されている。上側案内部68bの上面には、ばね受け部68eが形成されている。基部68aの上下方向の中央よりも上方の位置の後方には、切り欠き部68fが形成されている。切り欠き部68fの上方の基部68aは、遮蔽部68gを構成している。
【0081】
図4に示すように、圧縮バネ70は、センサケース66の内部において、センサレバー68の上方に配置されている。図7に示すように、圧縮バネ70の上端は、センサケース66の内側の天面に形成されたばね受け部66aに当接しており、圧縮バネ70の下端は、センサレバー68のばね受け部68eに当接している。圧縮バネ70は、センサケース66に対してセンサレバー68を下方に向けて付勢する。センサレバー68は、上側案内部68bの下面がフォトインタラプタ72の発光部76および受光部78の上面と当接する下限位置まで、下方に移動可能である。センサレバー68が下限位置にある状態では、発光部76と受光部78の間に基部68aの遮蔽部68gが配置される。この状態では、発光部76からの光は遮蔽部68gに遮られて受光部78へは到達しない。
【0082】
図3に示すように、リンク部材56の後方レバー64は、検出センサ58の当接部68dの下方に位置している。グラインダ2にカバー6が取り付けられておらず、前方レバー62に外力が作用していない状態では、後方レバー64から当接部68dに上向きの力が作用しないので、センサレバー68は下限位置で維持される。
【0083】
グラインダ2にカバー6が取り付けられると、前方レバー62がカバー6によって押し上げられて、図8に示すように、前方レバー62が上方に向けて回動する。これによって、後方レバー64も上方に向けて回動し、センサレバー68の当接部68dが後方レバー64によって押し上げられる。図9に示すように、センサレバー68が押し上げられた状態では、発光部76と受光部78の間に基部68aの切り欠き部68fが配置される。この状態では、発光部76からの光は遮られることなく受光部78へ到達する。この状態でのセンサレバー68の位置を、上限位置ともいう。
【0084】
なお、グラインダ2からカバー6が取り外されると、圧縮バネ70の付勢力によってセンサレバー68が押し下げられて、図3に示すように、後方レバー64が下方に向けて回動するとともに、前方レバー62も下方に向けて回動する。
【0085】
本実施例のグラインダ2では、研削ホイール4を下方に向けた状態とした時に、センサレバー68には、センサレバー68を上限位置から下限位置に移動させる方向の重力が作用し、前方レバー62および後方レバー64には、前方レバー62および後方レバー64を下方に向けて回動させる方向の重力が作用する。このため、圧縮バネ70の破損や経年劣化に起因して、圧縮バネ70による付勢力がセンサレバー68に作用しない場合であっても、グラインダ2からカバー6が取り外された状態で、研削ホイール4を下方に向けた状態とすると、センサレバー68は自重によって下限位置に移動するとともに、前方レバー62および後方レバー64は自重によって下方に向けて回動する。
【0086】
図10は、グラインダ2の回路構成を示している。制御基板24には、レギュレータ80と、マイコン82と、モータドライバ84と、表示灯86が搭載されている。レギュレータ80は、バッテリ22から供給される電力を所定の電圧に調整する。モータドライバ84は、マイコン82によって制御される複数のスイッチング素子(図示せず)を備えており、電動モータ14に供給される電力を制御する。表示灯86は、複数の発光素子(図示せず)を備えており、表示部30に表示される内容を切り換える。マイコン82は、メインスイッチ28からオン・オフ状態を示す信号を受信する。また、マイコン82は、フォトインタラプタ72の発光素子76aに発光信号を送信するとともに、フォトインタラプタ72の受光素子78aから受光信号を受信する。
【0087】
図11は、マイコン82が行う処理を示すフローチャートである。
【0088】
ステップS2では、マイコン82は、メインスイッチ28がオンになるまで待機する。メインスイッチ28がオンになると、処理はステップS4へ進む。
【0089】
ステップS4では、マイコン82は、図12に示すカバー判定処理を行う。
【0090】
図12に示すカバー判定処理において、ステップS32では、マイコン82は、フォトインタラプタ72の発光素子76aに発光信号を送信する。本実施例では、マイコン82は、所定の周期でH電位とL電位が切り替わるパルス列を有する信号パターン90(図13参照)を、発光信号として送信する。
【0091】
ステップS34では、マイコン82は、フォトインタラプタ72の受光素子78aから受光信号を受信する。
【0092】
ステップS36では、マイコン82は、ステップS32で送信した発光信号と、ステップS34で受信した受光信号の周期が一致するか否かを判定する。
【0093】
図13に示すように、カバー6がカバー取り付け部52に取り付けられており、従って発光部76と受光部78の間が遮られていない場合には、受光信号として、発光信号の信号パターン90と同じ周期のパルス列を有する信号パターン92が受信される。これとは異なり、カバー6がカバー取り付け部52に取り付けられておらず、従って発光部76と受光部78の間が遮られている場合には、受光信号として、L電位で一定の信号パターン94が受信される。なお、受光信号として、H電位で一定の信号パターン96が受信される場合や、発光信号とは異なる周期のパルス列を有する信号パターン98が受信される場合は、フォトインタラプタ72に何らかの異常が生じているものと考えられる。
【0094】
図12のステップS36において、発光信号と受光信号の周期が一致する場合(YESの場合)、マイコン82は、カバー6がカバー取り付け部52に取り付けられていると判断して、処理はステップS38に進む。ステップS38では、マイコン82は、電動モータ14の駆動を許可する。ステップS38の後、図12に示すカバー判定処理は終了する。
【0095】
図12のステップS36において、発光信号と受光信号の周期が一致しない場合(NOの場合)、マイコン82は、カバー6がカバー取り付け部52に取り付けられていないか、あるいはフォトインタラプタ72に異常が生じていると判断して、処理はステップS40に進む。ステップS40では、マイコン82は、電動モータ14の駆動を禁止する。ステップS40の後、図12に示すカバー判定処理は終了する。
【0096】
図11に戻り、ステップS4の次のステップS6では、マイコン82は、電動モータ14の駆動が許可されているか否かを判断する。電動モータ14の駆動が禁止されている場合(NOの場合)、処理はステップS8に進む。
【0097】
ステップS8では、マイコン82は、表示灯86を制御して、表示部30に警告表示を行う。
【0098】
ステップS10では、マイコン82は、メインスイッチ28がオフになるまで待機する。メインスイッチ28がオフになると(YESとなると)、処理はステップS12へ進む。
【0099】
ステップS12では、マイコン82は、表示灯86を制御して、表示部30における警告表示を解除する。ステップS12の後、処理はステップS2へ戻る。
【0100】
ステップS6で電動モータ14の駆動が許可されている場合(YESの場合)、処理はステップS14へ進む。ステップS14では、マイコン82は、モータドライバ84を制御して、電動モータ14の駆動を開始する。これによって、研削ホイール4が回転し、グラインダ2を用いたワークの研削を行うことができる。
【0101】
ステップS16では、マイコン82は、再び図12に示すカバー判定処理を行う。このカバー判定処理の結果、カバー6がカバー取り付け部52にそのまま取り付けられている場合には、電動モータ14の駆動が許可され(図12のステップS38)、カバー6がカバー取り付け部52から取り外された場合には、電動モータ14の駆動が禁止される(図12のステップS40)。
【0102】
ステップS18では、マイコン82は、電動モータ14の駆動が許可されているか否かを判断する。電動モータ14の駆動が禁止されている場合(NOの場合)、処理はステップS20に進む。
【0103】
ステップS20では、マイコン82は、モータドライバ84を制御して、電動モータ14の駆動を停止する。
【0104】
ステップS22では、マイコン82は、表示灯86を制御して、表示部30に警告表示を行う。
【0105】
ステップS24では、マイコン82は、メインスイッチ28がオフになるまで待機する。メインスイッチ28がオフになると(YESとなると)、処理はステップS12へ進む。
【0106】
ステップS12では、マイコン82は、表示灯86を制御して、表示部30における警告表示を解除する。ステップS12の後、処理はステップS2へ戻る。
【0107】
ステップS18で電動モータ14の駆動が許可されている場合(YESの場合)、処理はステップS26へ進む。ステップS26では、マイコン82は、メインスイッチ28がオフになったか否かを判断する。メインスイッチ28がオフになっていない場合(NOの場合)、処理はステップS16へ戻る。
【0108】
ステップS26でメインスイッチ28がオフになると(YESとなると)、処理はステップS28へ進む。ステップS28では、マイコン82は、モータドライバ84を制御して、電動モータ14の駆動を停止する。ステップS28の後、処理はステップS2へ戻る。
【0109】
マイコン82が上記の処理を行うので、グラインダ2は、スライドスイッチ26がオン位置にされた場合に、カバー6が取り付けられている場合に限って、電動モータ14を駆動する。これによって、カバー6が取り付けられていない状態で電動モータ14を駆動してしまう事を防止することができる。
【0110】
なお、上記の処理において、図11のステップS16のカバー判定処理を、常時行うのではなく、所定時間(例えば1分間)が経過するごとに行う構成としてもよい。あるいは、図11のステップS16のカバー判定処理を行わない構成としてもよい。カバー判定処理の実行回数を低減することで、バッテリ22の電力消費を抑制することができる。
【0111】
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ2(工具の例)は、電動モータ14(原動機の例)と、電動モータ14に接続されるベベルギヤ38(動力伝達機構の例)と、電動モータ14およびベベルギヤ38を収容するハウジング50と、ベベルギヤ38に接続されており、研削ホイール4(先端工具の例)を保持するスピンドル36(先端工具保持部の例)と、ハウジング50に着脱可能に取り付けられるカバー6(付属品の例)と、カバー6の着脱に応じて動作するリンク部材56と、ハウジング50の内部に収容されており、フォトインタラプタ72(非接触式のセンサ素子の例)を備える検出センサ58を備えている。検出センサ58は、フォトインタラプタ72を用いてリンク部材56の動作を検出する。
【0112】
上記の構成によれば、検出センサ58がハウジング50の内部に収容されているので、検出センサ58が粉塵の影響を受けにくい。従って、粉塵の多い環境でグラインダ2が使用される場合であっても、ハウジング50にカバー6が取り付けられているか否かを正確に検出することができる。また、上記の構成によれば、検出センサ58が非接触式のセンサ素子であるフォトインタラプタ72を用いてリンク部材56の動作を検出する。これによって、リンク部材56に振動や衝撃が作用する場合であっても、リンク部材56を介してフォトインタラプタ72に衝撃や振動が作用することを防止することができる。衝撃や振動に起因するフォトインタラプタ72での誤検知を防止することができるとともに、フォトインタラプタ72の耐久性を向上することができる。
【0113】
1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ2は、電動モータ14の動作を制御する制御基板24(制御ユニットの例)をさらに備えている。制御基板24は、検出センサ58からの検出信号に基づいて、電動モータ14の駆動を許可する。
【0114】
上記の構成によれば、カバー6がハウジング50に取り付けられている場合に限り、電動モータ14の駆動を許可することができる。
【0115】
1つまたはそれ以上の実施形態において、リンク部材56は、ハウジング50の内部から外部にかけて延在している。
【0116】
上記の構成によれば、ハウジング50に取り付けられた時にハウジング50の内部に入り込まないカバー6について、ハウジング50に取り付けられているか否かを検出することができる。
【0117】
1つまたはそれ以上の実施形態において、検出センサ58は、フォトインタラプタ72を収容するセンサケース66と、センサケース66の内部から外部にかけて延在しており、リンク部材56の動作に応じて動作するセンサレバー68をさらに備えている。フォトインタラプタ72は、センサレバー68の動作を検出する。
【0118】
上記の構成によれば、検出センサ58のフォトインタラプタ72がセンサケース66の内部に収容されているので、ハウジング50の内部に粉塵が流入する場合でも、フォトインタラプタ72が粉塵の影響を受けることを抑制することができる。
【0119】
1つまたはそれ以上の実施形態において、フォトインタラプタ72は、発光素子76aと、発光素子76aからの光を受光する受光素子78aを備えている。センサレバー68は、発光素子76aと受光素子78aの間を遮らない上限位置(第1位置の例)と、発光素子76aと受光素子78aの間を遮る下限位置(第2位置の例)の間で移動可能である。カバー6がハウジング50に取り付けられていない場合に、センサレバー68は下限位置に位置する。カバー6がハウジング50に取り付けられた場合に、センサレバー68は上限位置に位置する。
【0120】
上記のように発光素子76aと受光素子78aを備えるフォトインタラプタ72では、例えば磁石とホール素子を備えるセンサ素子に比べて、金属粉等の外部の環境の影響を受けにくい。上記の構成によれば、カバー6の着脱に応じて、センサレバー68の位置が上限位置と下限位置の間で切り替わるので、発光素子76aから受光素子78aへの光の伝達の有無から、ハウジング50にカバー6が取り付けられているか否かを判定することができる。
【0121】
1つまたはそれ以上の実施形態において、発光素子76aは、所定の信号パターン100を有する発光信号に基づいて発光する。
【0122】
カバー6の着脱に応じて、センサレバー68の位置を上限位置と下限位置の間で切り替える構成では、単に発光素子76aから受光素子78aへの光の伝達の有無によって、ハウジング50にカバー6が取り付けられているか否かを判定しようとすると、受光素子78aにオン故障やオフ故障が生じた場合に、ハウジング50にカバー6が取り付けられているか否かを誤って判定するおそれがある。上記の構成によれば、センサレバー68が上限位置にあり、発光素子76aから受光素子78aへ正常に光が伝達する場合には、受光素子78aでの受光信号は、発光素子76aでの発光信号と同様の信号パターン92を有することになる。このため、受光素子78aでの受光信号の信号パターン92,94,96,98と発光素子76aでの発光信号の信号パターン90の比較によって、ハウジング50にカバー6が取り付けられているか否かを判定することで、検出センサ58の不具合に起因する誤判定を防止することができる。
【0123】
1つまたはそれ以上の実施形態において、センサレバー68は、センサケース66の内側の側面に摺動可能な形状に形成されている。センサレバー68は、上下方向に長手方向を有し、前後方向に短手方向を有する略平板形状の基部68aと、センサケース66から突出しており、リンク部材56と当接する当接部68dを備えている。基部68aには、発光素子76aと受光素子78aの間を遮らない形状を有する切り欠き部68fと、発光素子76aと受光素子78aの間を遮る形状を有する遮蔽部68gが形成されている。
【0124】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、センサケース66の内部から外部にかけて延在しており、リンク部材56の動作に応じて動作するセンサレバー68を実現することができる。
【0125】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ハウジング50は、カバー6が取り付けられるカバー取り付け部52を備えている。リンク部材56は、丸棒形状のシャフト60と、シャフト60の前端に固定された前方レバー62と、シャフト60の後端に固定された後方レバー64を備えている。シャフト60の前端は、ハウジング50に形成された貫通孔10aを介してハウジング50の外部に突出している。前方レバー62は、ハウジング50の外部で、カバー取り付け部52の近傍に配置されている。後方レバー64は、ハウジング50の内部で、検出センサ58の下方に配置されている。
【0126】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、付属品であるカバー6の着脱に応じてセンサレバー68を動作させるリンク部材56を実現することができる。
【0127】
1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ2では、カバー取り付け部52にカバー6が取り付けられた時に、前方レバー62がカバー6によって押圧されて上方に向けて回動し、後方レバー64も上方に向けて回動し、当接部68dが後方レバー64によって押圧されてセンサレバー68が上方に向けて移動することで、発光素子76aと受光素子78aの間に切り欠き部68fが配置され、発光素子76aからの光が遮られることなく受光素子78aへ到達する。
【0128】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、ハウジング50へのカバー6の着脱を検出センサ58で検出することができる。
【0129】
1つまたはそれ以上の実施形態において、リンク部材56は、ハウジング50に対して回動可能に支持されている。リンク部材56は、カバー6の着脱に応じて、ハウジング50に対して回動する。
【0130】
上記の構成によれば、カバー6の取り付け位置から離れた位置に検出センサ58が配置されている場合であっても、リンク部材56を大型で複雑な機構とする必要がなく、ハウジング50の内部の空いたスペースを活用して、カバー6の取り付け位置から検出センサ58の位置まで延在するリンク部材56を配置することができる。
【0131】
1つまたはそれ以上の実施形態において、リンク部材56の長手方向は、ハウジング50の内部に収容された電動モータ14の出力軸16に対して平行な前後方向(第1方向の例)に沿って配置されている。リンク部材56の回動軸は、前後方向に沿って配置されている。センサレバー68は、前後方向に対して直交する上下方向(第2方向の例)に沿って移動可能に、センサケース66に保持されている。検出センサ58は、センサケース66の内部に収容されており、センサレバー68を上限位置から下限位置に向けて付勢する圧縮バネ70(弾性部材の例)をさらに備えている。
【0132】
上記の構成によれば、リンク部材56や検出センサ58の構成を簡素化することができる。
【0133】
1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ2は、電動モータ14に供給される電力を制御する制御基板24(制御ユニットの例)をさらに備えている。検出センサ58は、電動モータ14と制御基板24の間に配置されている。
【0134】
上記の構成によれば、ハウジング50の内部の、電動モータ14と制御基板24の間の空いたスペースを活用して、検出センサ58を配置することができる。
【0135】
1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ2は、ハウジング50に着脱可能に取り付けられ、電動モータ14に電力を供給するバッテリ22をさらに備えている。検出センサ58は、電動モータ14とバッテリ22の間に配置されている。
【0136】
上記の構成によれば、ハウジング50の内部の、電動モータ14とバッテリ22の間の空いたスペースを活用して、検出センサ58を配置することができる。
【0137】
1つまたはそれ以上の実施形態において、付属品であるカバー6は、研削ホイール4を少なくとも部分的に覆っている。
【0138】
上記の構成によれば、研削ホイール4を少なくとも部分的に覆うカバー6がハウジング50に取り付けられているか否かを、検出センサ58によって検出することができる。
【0139】
1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ2(工具の例)は、電動モータ14(原動機の例)と、電動モータ14に接続されるベベルギヤ38(動力伝達機構の例)と、電動モータ14およびベベルギヤ38を収容するハウジング50と、ベベルギヤ38に接続されており、研削ホイール4(先端工具の例)を保持するスピンドル36(先端工具保持部の例)と、ハウジング50に着脱可能に取り付けられるカバー6(付属品の例)と、カバー6の着脱に応じて動作するリンク部材56と、ハウジング50の内部に収容された検出センサ58を備えている。リンク部材56は、カバー6の着脱に応じて、ハウジング50に対して回動する。検出センサ58は、リンク部材56の回動動作を検出する。
【0140】
上記の構成によれば、検出センサ58がハウジング50の内部に収容されているので、検出センサ58が粉塵の影響を受けにくい。従って、粉塵の多い環境でグラインダ2が使用される場合であっても、ハウジング50にカバー6が取り付けられているか否かを正確に検出することができる。また、上記の構成によれば、カバー6の取り付け位置から離れた位置に検出センサ58が配置されている場合であっても、リンク部材56を大型で複雑な機構とする必要がなく、ハウジング50の内部の空いたスペースを活用して、カバー6の取り付け位置から検出センサ58の位置まで延在するリンク部材56を配置することができる。
【0141】
1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ2は、電動モータ14の動作を制御する制御基板24(制御ユニットの例)をさらに備えている。制御基板24は、検出センサ58からの検出信号に基づいて、電動モータ14の駆動を許可する。
【0142】
上記の構成によれば、カバー6がハウジング50に取り付けられている場合に限り、電動モータ14の駆動を許可することができる。
【0143】
1つまたはそれ以上の実施形態において、リンク部材56は、ハウジング50に対して回動可能に支持されている。リンク部材56は、ハウジング50の内部から外部にかけて延在している。
【0144】
上記の構成によれば、ハウジング50の内部の空いたスペースを活用して、ハウジング50の外部のカバー6の取り付け位置からハウジング50の内部の検出センサ58の位置まで延在するリンク部材56を配置することができる。
【0145】
上記の実施例では、センサレバー68が上限位置にあるときに、発光部76と受光部78の間に切り欠き部68fが配置されて、発光素子76aと受光素子78aの間が遮られず、センサレバー68が下限位置にあるときに、発光部76と受光部78の間に遮蔽部68gが配置されて、発光素子76aと受光素子78aの間が遮られる構成について説明した。これとは異なり、例えばセンサレバー68を、切り欠き部68fと遮蔽部68gの位置を入れ替えた形状としてもよい。この場合、センサレバー68が上限位置にあるときに、発光部76と受光部78の間に遮蔽部68gが配置されて、発光素子76aと受光素子78aの間が遮られ、センサレバー68が下限位置にあるときに、発光部76と受光部78の間に切り欠き部68fが配置されて、発光素子76aと受光素子78aの間が遮られない。
【0146】
(実施例2)
図14に示すように、本実施例のグラインダ102は、実施例1のグラインダ2と略同様の構成を備えている。以下では、本実施例のグラインダ102について、実施例1のグラインダ2と相違する点について説明する。
【0147】
本実施例のグラインダ102では、ハウジング50は、本体ハウジング8と、ギヤハウジングカバー9と、ギヤハウジング10と、ベアリングボックス12に加えて、スペーサハウジング104を備えている。スペーサハウジング104は、ギヤハウジングカバー9とギヤハウジング10の間に設けられている。
【0148】
本実施例のグラインダ102は、カバー検出機構54を備えていない。代わりに、図15に示すように、グラインダ102は、カバー検出ユニット106を備えている。カバー検出ユニット106は、スペーサハウジング104に設けられている。カバー検出ユニット106は、カバー取り付け部52にカバー6が取り付けられているか否かを検出する。
【0149】
図14に示すように、グラインダ102は、付属品として、カバー6に加えて、サイドハンドル108を備えている。サイドハンドル108は、ギヤハウジング10に着脱可能に取り付けられている。ユーザがグラインダ102を使用する際には、一方の手で本体ハウジング8を把持し、他方の手でサイドハンドル108を把持することで、ユーザはグラインダ102を安定して保持することができる。
【0150】
図16に示すように、ギヤハウジング10には、ハンドル取り付け部110、112が設けられている。ハンドル取り付け部110は、ギヤハウジング10の右面に配置されており、ハンドル取り付け部112は、ギヤハウジング10の左面に配置されている。ハンドル取り付け部110、112は、ハンドル取り付け孔110a、112aを備えている、ハンドル取り付け孔110a、112aは、ギヤハウジング10を外部から内部まで貫通しており、内周面にサイドハンドル108のネジ部108a(図21参照)の雄ネジに対応する雌ネジが形成されている。サイドハンドル108は、ハンドル取り付け孔110aにネジ部108aを螺合させてハンドル取り付け部110に取り付けることもできるし、ハンドル取り付け孔112aにネジ部108aを螺合させてハンドル取り付け部112に取り付けることもできる。
【0151】
スペーサハウジング104には、ハンドル検出ユニット114、116が設けられている。ハンドル検出ユニット114は、ハンドル取り付け部110に対応して配置されている。ハンドル検出ユニット114は、ハンドル取り付け部110にサイドハンドル108が取り付けられているか否かを検出する。ハンドル検出ユニット116は、ハンドル取り付け部112に対応して配置されている。ハンドル検出ユニット116は、ハンドル取り付け部112にサイドハンドル108が取り付けられているか否かを検出する。
【0152】
図15に示すカバー検出ユニット106と、図16に示すハンドル検出ユニット114、116は、いずれも、同様の構成を備えている。以下では、カバー検出ユニット106と、ハンドル検出ユニット114、116を総称して、単に検出ユニット118ともいう。以下では、図17図19を参照しながら、検出ユニット118の構成について説明する。
【0153】
図17に示すように、検出ユニット118は、検出センサ120と、リンク部材122と、圧縮バネ124を備えている。検出センサ120は、センサケース126と、フォトインタラプタ128を備えている。図18図19に示すように、フォトインタラプタ128は、センサ基板128cと、センサ基板128cに搭載された発光素子128aおよび受光素子128bを備えている。発光素子128aと受光素子128bは、互いに対向して配置されている。センサ基板128cは、発光素子128aと受光素子128bがセンサケース126内に収容されるように、センサケース126に保持されている。センサ基板128cは、図示しない配線を介して、制御基板24に接続されている。制御基板24のマイコン82は、実施例1と同様の処理によって、フォトインタラプタ128の発光素子128aに発光信号を送信するとともに、フォトインタラプタ128の受光素子128bから受光信号を受信する。
【0154】
リンク部材122は、揺動シャフト122aと、当接アーム122bと、検出アーム122cを備えている。揺動シャフト122aは、センサケース126に揺動可能に保持されている。リンク部材122は、当接アーム122bがセンサケース126の外部に突出し、検出アーム122cがセンサケース126の内部に収容されるように、センサケース126に保持されている。当接アーム122bは、フランジ122dと、フランジ122dから突出する突出部122eを備えている。検出アーム122cは、発光素子128aと受光素子128bの間を遮る形状を有する遮蔽部122fを備えている。リンク部材122は、遮蔽部122fが発光素子128aと受光素子128bの間を遮るように配置される遮蔽位置(図18参照)と、遮蔽部122fが発光素子128aと受光素子128bの間を遮らないように配置される開放位置(図19参照)の間で、揺動可能である。なお、リンク部材122が貫通するセンサケース126の開口部にシール部材(図示せず)を設けてもよい。センサケース126の開口部にシール部材を設けることで、センサケース126の外部から内部へ粉塵が侵入してフォトインタラプタ128の動作に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0155】
図17に示すように、圧縮バネ124は、センサケース126の外部に形成された突起126aに取り付けられている。圧縮バネ124は、リンク部材122が開放位置(図19参照)から遮蔽位置(図18参照)に向けて揺動するように、リンク部材122をセンサケース126に対して付勢する。
【0156】
図15に示すように、カバー検出ユニット106は、スペーサハウジング104の左右方向の中央部近傍であって、スペーサハウジング104の下部に配置されている。カバー検出ユニット106は、リンク部材122の揺動シャフト122aが左右方向に沿って配置され、かつ突出部122eが下方を向くように、スペーサハウジング104に保持される。カバー検出ユニット106では、検出センサ120がスペーサハウジング104の内部に収容されており、リンク部材122の当接アーム122bがギヤハウジング10の貫通孔10bを介してハウジング50の外部に突出しており、フランジ122dと突出部122eがハウジング50の外部に配置されている。なお、カバー検出ユニット106では、リンク部材122のフランジ122dは、ギヤハウジング10と干渉しないように、前方の部分が切り欠かれている。
【0157】
図15に示すように、カバー取り付け部52にカバー6が取り付けられていない状態では、リンク部材122は遮蔽位置にあり、遮蔽部122fが発光素子128aと受光素子128bの間を遮るように配置されている。この場合、制御基板24は、カバー6がカバー取り付け部52に取り付けられていないと判断する。
【0158】
図20に示すように、カバー取り付け部52にカバー6が取り付けられると、リンク部材122の突出部122eがカバー6の上端に当接して押圧される。これによって、リンク部材122が遮蔽位置から開放位置に揺動して、遮蔽部122fが発光素子128aと受光素子128bの間を遮らないように配置される。この場合、制御基板24は、カバー6がカバー取り付け部52に取り付けられていると判断する。なお、この状態から、カバー6がカバー取り付け部52から取り外されると、圧縮バネ124の付勢力によってリンク部材122が開放位置から遮蔽位置に揺動して、図15に示す状態に戻る。
【0159】
図16に示すように、ハンドル検出ユニット114は、スペーサハウジング104の右部に配置されている。ハンドル検出ユニット114は、リンク部材122の揺動シャフト122aが上下方向に沿って配置され、かつ突出部122eが右方を向くように、スペーサハウジング104に保持される。ハンドル検出ユニット114では、検出センサ120がスペーサハウジング104の内部に収容されており、リンク部材122のフランジ122dと突出部122eがギヤハウジング10の内部に配置されている。ハンドル検出ユニット114では、突出部122eは、ハンドル取り付け孔110aに入り込んでおり、フランジ122dは、ギヤハウジング10の内面に当接する。
【0160】
ハンドル検出ユニット116は、スペーサハウジング104の左部に配置されている。ハンドル検出ユニット116は、リンク部材122の揺動シャフト122aが上下方向に沿って配置され、かつ突出部122eが左方を向くように、スペーサハウジング104に保持される。ハンドル検出ユニット116では、検出センサ120がスペーサハウジング104の内部に収容されており、リンク部材122のフランジ122dと突出部122eがギヤハウジング10の内部に配置されている。ハンドル検出ユニット116では、突出部122eは、ハンドル取り付け孔112aに入り込んでおり、フランジ122dは、ギヤハウジング10の内面に当接する。
【0161】
図16に示すように、ハンドル取り付け部110、112のいずれにもサイドハンドル108が取り付けられていない状態では、ハンドル検出ユニット114、116のそれぞれにおいて、リンク部材122は遮蔽位置にあり、遮蔽部122fが発光素子128aと受光素子128bの間を遮るように配置されている。この場合、制御基板24は、サイドハンドル108がハンドル取り付け部110、112のいずれにも取り付けられていないと判断する。
【0162】
図21に示すように、ハンドル取り付け部110、112の一方、例えばハンドル取り付け部112にサイドハンドル108が取り付けられると、ハンドル検出ユニット116のリンク部材122の突出部122eがサイドハンドル108のネジ部108aに当接して押圧される。これによって、ハンドル検出ユニット116では、リンク部材122が遮蔽位置から開放位置に揺動して、遮蔽部122fが発光素子128aと受光素子128bの間を遮らないように配置される。この場合、制御基板24は、サイドハンドル108がハンドル取り付け部112に取り付けられていると判断する。なお、この状態から、サイドハンドル108がハンドル取り付け部112から取り外されると、ハンドル検出ユニット116では、圧縮バネ124の付勢力によってリンク部材122が開放位置から遮蔽位置に揺動して、図16に示す状態に戻る。
【0163】
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ102(工具の例)は、電動モータ14(原動機の例)と、電動モータ14に接続されるベベルギヤ38(動力伝達機構の例)と、電動モータ14およびベベルギヤ38を収容するハウジング50と、ベベルギヤ38に接続されており、研削ホイール4(先端工具の例)を保持するスピンドル36(先端工具保持部の例)と、ハウジング50に着脱可能に取り付けられるカバー6やサイドハンドル108(付属品の例)と、カバー6やサイドハンドル108の着脱に応じて動作するリンク部材122と、ハウジング50の内部に収容されており、フォトインタラプタ128(非接触式のセンサ素子の例)を備える検出センサ120を備えている。検出センサ120は、フォトインタラプタ128を用いてリンク部材122の動作を検出する。
【0164】
上記の構成によれば、検出センサ120がハウジング50の内部に収容されているので、検出センサ120が粉塵の影響を受けにくい。従って、粉塵の多い環境でグラインダ102が使用される場合であっても、ハウジング50にカバー6やサイドハンドル108が取り付けられているか否かを正確に検出することができる。また、上記の構成によれば、検出センサ120が非接触式のセンサ素子であるフォトインタラプタ128を用いてリンク部材122の動作を検出する。これによって、リンク部材122に振動や衝撃が作用する場合であっても、リンク部材122を介してフォトインタラプタ128に衝撃や振動が作用することを防止することができる。衝撃や振動に起因するフォトインタラプタ128での誤検知を防止することができるとともに、フォトインタラプタ128の耐久性を向上することができる。
【0165】
1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ102は、電動モータ14の動作を制御する制御基板24(制御ユニットの例)をさらに備えている。制御基板24は、検出センサ120からの検出信号に基づいて、電動モータ14の駆動を許可する。
【0166】
上記の構成によれば、カバー6やサイドハンドル108がハウジング50に取り付けられている場合に限り、電動モータ14の駆動を許可することができる。
【0167】
1つまたはそれ以上の実施形態において、カバー検出ユニット106のリンク部材122は、ハウジング50の内部から外部にかけて延在している。
【0168】
上記の構成によれば、ハウジング50に取り付けられた時にハウジング50の内部に入り込まないカバー6について、ハウジング50に取り付けられているか否かを検出することができる。
【0169】
1つまたはそれ以上の実施形態において、検出センサ120は、フォトインタラプタ128を収容するセンサケース126をさらに備えている。リンク部材122は、センサケース126の内部から外部にかけて延在している。フォトインタラプタ128は、リンク部材122の動作を検出する。
【0170】
上記の構成によれば、実施例1のセンサレバー68等の部材を介することなく、フォトインタラプタ128がリンク部材122の動作を直接的に検出するので、検出センサ120の構成を簡素化することができ、部品点数を低減することができる。
【0171】
1つまたはそれ以上の実施形態において、フォトインタラプタ128は、発光素子128aと、発光素子128aからの光を受光する受光素子128bを備えている。リンク部材122は、発光素子128aと受光素子128bの間を遮らない開放位置(第1位置の例)と、発光素子128aと受光素子128bの間を遮る遮蔽位置(第2位置の例)の間で移動可能である。カバー6やサイドハンドル108がハウジング50に取り付けられていない場合に、リンク部材122は遮蔽位置に位置する。カバー6やサイドハンドル108がハウジング50に取り付けられた場合に、リンク部材122は開放位置に位置する。
【0172】
上記の構成によれば、例えば磁石とホール素子を備えるセンサ素子を用いる場合に比べて、金属粉等の外部の環境の影響を受けにくくすることができる。
【0173】
1つまたはそれ以上の実施形態において、発光素子128aは、所定の信号パターンを有する発光信号に基づいて発光する。
【0174】
上記の構成によれば、検出センサ120の不具合に起因する誤判定を防止することができる。
【0175】
1つまたはそれ以上の実施形態において、リンク部材122は、センサケース126に揺動可能に保持された揺動シャフト122aと、センサケース126の外部に突出する当接アーム122bと、センサケース126の内部に収容された検出アーム122cを備えている。当接アーム122bは、フランジ122dと、フランジ122dから突出する突出部122eを備えている。検出アーム122cは、発光素子128aと受光素子128bの間を遮る形状を有する遮蔽部122fを備えている。
【0176】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、カバー6やサイドハンドル108の着脱に応じて動作するリンク部材122と、リンク部材122の動作を検出する検出センサ120を実現することができる。
【0177】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ハウジング50は、カバー6が取り付けられるカバー取り付け部52を備えている。カバー検出ユニット106に関して、センサケース126は、ハウジング50の内部で、ハウジング50の左右方向の中央部近傍に配置されている。センサケース126は、揺動シャフト122aが左右方向に沿って配置され、かつ突出部122eが下方を向くように、ハウジング50に保持されている。当接アーム122bは、ハウジング50の貫通孔10bを介してハウジング50の外部に突出している。フランジ122dと突出部122eは、ハウジング50の外部で、カバー取り付け部52の近傍に配置されている。
【0178】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、ハウジング50へのカバー6の着脱を検出センサ120で検出することができる。
【0179】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ハウジング50は、サイドハンドル108が取り付けられるハンドル取り付け孔110a,112aを備えている。ハンドル検出ユニット114,116に関して、センサケース126は、ハウジング50の内部に配置されている。センサケース126は、揺動シャフト122aが上下方向に沿って配置され、突出部122eがハンドル取り付け孔110a,112aに対向するように、ハウジング50に保持されている。サイドハンドル108がハンドル取り付け孔110a,112aに取り付けられていない場合に、フランジ122dは、ハウジング50の内面に当接しており、突出部122eは、ハンドル取り付け孔110a,112aに入り込んでいる。
【0180】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、ハウジング50へのサイドハンドル108の着脱を検出センサ120で検出することができる。
【0181】
1つまたはそれ以上の実施形態において、リンク部材122は、センサケース126に対して回動可能に支持されている。リンク部材122は、カバー6やサイドハンドル108の着脱に応じて、センサケース126に対して回動する。
【0182】
リンク部材122と検出センサ120が別個にハウジング50に取り付けられる構成では、それぞれの取付位置に誤差が生じると、リンク部材122とフォトインタラプタ128の相対的な位置関係が想定とは異なるものとなり、検出センサ120が誤判定してしまうおそれがある。上記の構成によれば、リンク部材122がセンサケース126に取り付けられるので、リンク部材122とフォトインタラプタ128の相対的な位置関係を精度よく管理することができる。
【0183】
1つまたはそれ以上の実施形態において、カバー検出ユニット106では、リンク部材122の回動軸とフォトインタラプタ128は、上下方向(ハウジング50の内部に収容された電動モータ14の出力軸16に対して略直交する方向の例)に並んで配置されている。ハンドル検出ユニット114、116では、リンク部材122の回動軸とフォトインタラプタ128は、左右方向(電動モータ14の出力軸16に対して略直交する方向の例)に並んで配置されている。
【0184】
上記の構成によれば、ハウジング50の内部の、電動モータ14の出力軸16の周囲の空いたスペースを活用して、リンク部材122と検出センサ120を配置することができる。
【0185】
1つまたはそれ以上の実施形態において、カバー検出ユニット106では、リンク部材122の回動軸は、電動モータ14の出力軸16に対して平行な前後方向(第1方向の例)に対して直交する左右方向(第2方向の例)に沿って配置されている。グラインダ102のカバー検出ユニット106は、リンク部材122を開放位置から遮蔽位置に向けて付勢する圧縮バネ124(弾性部材の例)を備えている。ハンドル検出ユニット114、116では、リンク部材122の回動軸は、電動モータ14の出力軸16に対して平行な前後方向(第1方向の例)に対して直交する上下方向(第2方向の例)に沿って配置されている。グラインダ102のハンドル検出ユニット114、116は、リンク部材122を開放位置から遮蔽位置に向けて付勢する圧縮バネ124(弾性部材の例)を備えている。
【0186】
上記の構成によれば、リンク部材122や検出センサ120の構成をより簡素化することができる。
【0187】
1つまたはそれ以上の実施形態において、検出センサ120は、前後方向(電動モータ14の出力軸16が伸びる方向の例)に関して、スピンドル36と電動モータ14の間に配置されている。
【0188】
上記の構成によれば、ハウジング50の内部の、スピンドル36と電動モータ14の間の空いたスペースを活用して、検出センサ120を配置することができる。
【0189】
1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ102は、カバー検出ユニット106とハンドル検出ユニット114、116に対応して、複数の検出センサ120と、複数の検出センサ120に対応する、複数のリンク部材122を備えている。
【0190】
上記の構成によれば、カバー取り付け部52やハンドル取り付け部110、112のそれぞれにおいて、カバー6やサイドハンドル108が取り付けられているか否かを検出することができる。
【0191】
1つまたはそれ以上の実施形態において、付属品であるカバー6は、研削ホイール4を少なくとも部分的に覆っており、付属品であるサイドハンドル108は、ユーザが把持可能なハンドルである。
【0192】
上記の構成によれば、研削ホイール4を少なくとも部分的に覆うカバー6や、ユーザが把持可能なサイドハンドル108が、ハウジング50に取り付けられているか否かを、検出センサ120によって検出することができる
【0193】
1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ102(工具の例)は、電動モータ14(原動機の例)と、電動モータ14に接続されるベベルギヤ38(動力伝達機構の例)と、電動モータ14およびベベルギヤ38を収容するハウジング50と、ベベルギヤ38に接続されており、研削ホイール4(先端工具の例)を保持するスピンドル36(先端工具保持部の例)と、ハウジング50に着脱可能に取り付けられるカバー6やサイドハンドル108(付属品の例)と、カバー6やサイドハンドル108の着脱に応じて動作するリンク部材122と、ハウジング50の内部に収容された検出センサ120を備えている。リンク部材122は、カバー6やサイドハンドル108の着脱に応じて、ハウジング50に対して回動する。検出センサ120は、リンク部材122の回動動作を検出する。
【0194】
上記の構成によれば、検出センサ120がハウジング50の内部に収容されているので、検出センサ120が粉塵の影響を受けにくい。従って、粉塵の多い環境でグラインダ102が使用される場合であっても、ハウジング50にカバー6やサイドハンドル108が取り付けられているか否かを正確に検出することができる。また、上記の構成によれば、カバー6やサイドハンドル108の取り付け位置から離れた位置に検出センサ120が配置されている場合であっても、リンク部材122を大型で複雑な機構とする必要がなく、ハウジング50の内部の空いたスペースを活用して、カバー6やサイドハンドル108の取り付け位置から検出センサ120の位置まで延在するリンク部材122を配置することができる。
【0195】
1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ102は、電動モータ14の動作を制御する制御基板24(制御ユニットの例)をさらに備えている。制御基板24は、検出センサ120からの検出信号に基づいて、電動モータ14の駆動を許可する。
【0196】
上記の構成によれば、カバー6やサイドハンドル108がハウジング50に取り付けられている場合に限り、電動モータ14の駆動を許可することができる。
【0197】
(変形例)
上記の実施例では、非接触式のセンサ素子として、発光素子76a、128aと受光素子78a、128bを備えるフォトインタラプタ72、128を用いる構成について説明した。これとは異なり、非接触式のセンサ素子として、例えばセンサレバー68やリンク部材122に固定されたマグネット(図示せず)からの磁気を検出するホール素子(図示せず)を用いてもよい。
【0198】
上記の実施例では、電動モータ14が、インナロータ型のブラシレスDCモータである構成について説明したが、電動モータ14は、例えば、アウタロータ型のブラシレスDCモータとしてもよい。あるいは、電動モータ14は、ブラシ付きDCモータとしてもよい。あるいは、電動モータ14は、ACモータ等の他の種類のモータであってもよい。
【0199】
上記の実施例では、グラインダ2が、バッテリ22から直流電力を供給されて動作する構成について説明したが、グラインダ2は、電源コード(図示せず)から交流電力を供給されて動作する構成としてもよい。
【0200】
上記の実施例では、工具がグラインダ2であり、原動機が電動モータ14であり、先端工具が研削ホイール4であり、先端工具保持部がスピンドル36であり、付属品がカバー6やサイドハンドル108である場合を例として説明したが、工具は他の種類の工具であってもよいし、原動機は他の種類の原動機であってもよいし、先端工具は他の種類の先端工具であってもよいし、先端工具保持部は他の種類の先端工具保持部であってもよいし、付属品は他の種類の付属品であってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2022-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と、
前記原動機に接続される動力伝達機構と、
前記原動機および前記動力伝達機構を収容するハウジングと、
前記動力伝達機構に接続されており、先端工具を保持する先端工具保持部と、
前記ハウジングに着脱可能に取り付けられる付属品と、
前記付属品の着脱に応じて動作するリンク部材と、
前記ハウジングの内部に収容されており、前記リンク部材の動作に応じて、前記原動機の駆動を禁止する状態と許可する状態の間で切り替わる切換手段を備えており、
前記リンク部材が、前記付属品の着脱に応じて、前記ハウジングに対して回動する回動部材を備えている、工具。
【請求項2】
前記リンク部材が、伝達部材をさらに備えており、
前記原動機の出力軸に沿う方向を前後方向とした場合に、前記伝達部材の前端が、前記原動機の前端よりも前方に配置されており、前記伝達部材の後端が、前記原動機の後端よりも後方に配置されている、請求項1の工具
【請求項3】
原動機と、
前記原動機に接続される動力伝達機構と、
前記原動機および前記動力伝達機構を収容するハウジングと、
前記動力伝達機構に接続されており、先端工具を保持する先端工具保持部と、
前記ハウジングに着脱可能に取り付けられる付属品と、
前記付属品の着脱に応じて動作するリンク部材と、
前記ハウジングの内部に収容されており、前記リンク部材の動作に応じて、前記原動機の駆動を禁止する状態と許可する状態の間で切り替わる切換手段を備えており、
前記リンク部材が、伝達部材を備えており、
前記原動機の出力軸に沿う方向を前後方向とした場合に、前記伝達部材の前端が、前記原動機の前端よりも前方に配置されており、前記伝達部材の後端が、前記原動機の後端よりも後方に配置されている、工具。
【請求項4】
前記原動機の動作を制御する制御ユニットをさらに備えており、
前記原動機の前記出力軸に沿う方向を前後方向とした場合に、前記制御ユニットが、前記伝達部材の後端よりも後方に配置されている、請求項2または3の工具
【請求項5】
前記原動機が、電動モータである、請求項1から4の何れか一項の工具。
【請求項6】
前記ハウジングに着脱可能に取り付けられ、前記電動モータに電力を供給するバッテリをさらに備えている、請求項5の工具。
【請求項7】
前記付属品が、前記先端工具を少なくとも部分的に覆うカバー、および/または、ユーザが把持可能なハンドルを備える、請求項1から6の何れか一項の工具。