IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アンタレス・ファーマ・インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特開-離脱力特徴を備える充填シリンジ 図1
  • 特開-離脱力特徴を備える充填シリンジ 図2
  • 特開-離脱力特徴を備える充填シリンジ 図3
  • 特開-離脱力特徴を備える充填シリンジ 図4
  • 特開-離脱力特徴を備える充填シリンジ 図5
  • 特開-離脱力特徴を備える充填シリンジ 図6
  • 特開-離脱力特徴を備える充填シリンジ 図7
  • 特開-離脱力特徴を備える充填シリンジ 図8
  • 特開-離脱力特徴を備える充填シリンジ 図9
  • 特開-離脱力特徴を備える充填シリンジ 図10A
  • 特開-離脱力特徴を備える充填シリンジ 図10B
  • 特開-離脱力特徴を備える充填シリンジ 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169724
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】離脱力特徴を備える充填シリンジ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/46 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
A61M5/46
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022135474
(22)【出願日】2022-08-29
(62)【分割の表示】P 2021017001の分割
【原出願日】2013-03-05
(31)【優先権主張番号】61/607,339
(32)【優先日】2012-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502142703
【氏名又は名称】アンタレス・ファーマ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】ラナン,ジェームス・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】スンド,ジュリアス・シー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】予め充填されるシリンジを含むジェット注射器を提供する。
【解決手段】シリンジは、薬剤を収容する流体チャンバを含む。また、シリンジは、注射アシスト針を含み、また、プランジャは流体チャンバ内で移動可能である。ハウジング12は、針を挿入深さまで挿入することが可能になるように構成される。ハウジングは、引き戻し可能なガード66、および、たとえばロックリングのような干渉素子を含み、これは、引き戻し可能なガードに隣接し、引き戻し可能なガードの運動に干渉する。エネルギー源は、薬剤を流体チャンバから針を通じて注射サイトにジェット注射するための注射圧力を生成するために、プランジャをバイアスする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェット注射器であって、
予め充填されるシリンジを有し、予め充填されるシリンジは、
薬剤を収容する流体チャンバを画定するコンテナ部分と、
前記チャンバの遠位端部に配置される注射アシスト針と、を有し、前記注射アシスト針は、挿入位置を貫通するように構成される注射先端部を備え、また、前記チャンバから注射サイト内へ流体を注射するために前記チャンバに流体連通する流体通路を画定し、
前記予め充填されるシリンジはさらに、前記流体チャンバ内で移動可能なプランジャを有し、
前記ジェット注射器はさらに、前記予め充填されるシリンジを収容するハウジングを有し、前記ハウジングは、表面の下の挿入深さである挿入ポイントまで注射位置を挿入することが可能になるように構成され、
前記ハウジングは引き戻し可能なカードを有し、前記ガードは、前記針が前記ガード内に配置され保護位置と、前記針の先端が挿入ポイントへの挿入のために露出される注射位置との間で移動可能であり、
前記ハウジングはさらに、前記引き戻し可能なガードに隣接する干渉要素を有し、前記干渉要素は、前記引き戻し可能なガードが少なくとも部分的に前記保護位置から前記注射位置に向かって移動するときに、前記引き戻し可能なガードの運動に干渉し、
前記ジェット注射器はさらに、前記予め充填されるシリンジを前記ハウジングに支持するように取り付けるシリンジ支持部と、
エネルギー源と、を有し、前記エネルギー源は、前記流体チャンバから前記針を通って前記注射サイトに薬剤をジェット注射するために、前記流体チャンバ内の薬剤に注射圧力を生成するために選択される力で前記プランジャをバイアスするように構成される、
ジェット注射器。
【請求項2】
請求項1に記載のジェット注射器であって、前記エネルギー源および前記予め充填されるシリンジは、薬剤の注射の間に、注射圧力が約80psiから約1000psiとなるように構成される、ジェット注射器。
【請求項3】
請求項2に記載のジェット注射器であって、前記エネルギー源および前記予め充填されるシリンジは、薬剤の注射の間に、注射圧力が約500psiより小さく且つ約90psiより大きくなるように構成される、ジェット注射器。
【請求項4】
請求項2に記載のジェット注射器であって、前記エネルギー源および前記予め充填されるシリンジは、薬剤の注射の間に、注射圧力が少なくとも約100psiとなるように構成される、ジェット注射器。
【請求項5】
請求項4に記載のジェット注射器であって、前記エネルギー源および前記予め充填されるシリンジは、薬剤の注射の間に、前記注射圧力が約350psiまでとなるように構成される、ジェット注射器。
【請求項6】
請求項1に記載のジェット注射器であって、前記予め充填されるシリンジは、前記注射アシスト針が配置される遠位部分、および前記遠位部分の反対側の近位部分を備え、前記シリンジ支持部は、薬剤のジェット注射の間に、前記予め充填されるシリンジの前記遠位部分が実質的に軸方向に支持されないように、前記予め充填されるシリンジの前記近位部分を軸方向に支持する、ジェット注射器。
【請求項7】
請求項6に記載のジェット注射器であって、前記予め充填されるシリンジの前記コンテナ部分は、吹込みガラスで形成される、ジェット注射器。
【請求項8】
請求項7に記載のジェット注射器であって、前記注射アシスト針は、前記ガラスに接着される、ジェット注射器。
【請求項9】
請求項1に記載のジェット注射器であって、前記干渉要素は、前記ハウジング内に嵌合する寸法の、近位端部から遠位方向に延びる、少なくとも1つの当接アームを備えるリングである、ジェット注射器。
【請求項10】
請求項9に記載のジェット注射器であって、前記少なくとも1つの当接アームは、少なくとも1つのテーパー付き部分に軸方向に隣接する係合部分を備える、前記テーパー付き部分は、前記引き戻しガードが少なくとも部分的に前記保護位置から前記注射位置に向かって移動するときに、前記引き戻し可能なガードの運動に抵抗を生じさせるように構成される、ジェット注射器。
【請求項11】
請求項1に記載のジェット注射器であって、前記エネルギー源はスプリングを有する、ジェット注射器。
【請求項12】
請求項11に記載のジェット注射器であって、さらに、注射圧力を生成するために前記スプリングにより前記プランジャに対してバイアスされるラムを有し、前記ラムは、前記スプリングが着座するベル部分を有し、前記ベル部分は、前記装置が発射されるときに、前記スプリングが前記予め充填されるシリンジを囲むように、前記予め充填されるシリンジを受け入れるように構成される中空内部を画定する、ジェット注射器。
【請求項13】
請求項1のジェット注射器であって、さらに、薬剤をジェット注射するために、前記エネルギー源を駆動するように前記エネルギー源に作動的に関連付けられるトリガ機構を有し、前記トリガ機構は、前記引き戻し可能なガードが前記保護位置から引き戻された後に、前記エネルギー源を駆動するように構成される、ジェット注射器。
【請求項14】
請求項13のジェット注射器であって、前記引き戻し可能なガードは、前記ガードが前記注射位置に引き戻されるときに、前記トリガが前記エネルギー源を駆動させるように前記トリガ機構に作動的に関連付けられる、ジェット注射器。
【請求項15】
請求項1のジェット注射器であって、前記干渉素子はスリーブであり、前記スリーブは、前記スリーブの外側表面から外側に延びる係合部分を備え、前記引き戻し可能なガードが少なくとも部分的に前記保護位置から前記注射位置に向かって移動するときに、前記引き戻し可能なガードの運動に抵抗を生じさせるように構成される、ジェット注射器。
【請求項16】
請求項1のジェット注射器であって、前記干渉素子は、前記ハウジングに連結されるラッチ部であって、前記ラッチ部は、前記引き戻し可能なガードが、少なくとも部分的に前記保護位置から前記注射位置に向かって移動するときに、前記引き戻し可能なガードの運動に抵抗を生じさせるように構成される、ジェット注射器。
【請求項17】
請求項1のジェット注射器であって、前記ハウジングは、挿入位置における表面から下の約0.5mmから約5mmの間の挿入深さに前記針を挿入することを可能にするように構成される、ジェット注射器。
【請求項18】
請求項1のジェット注射器であって、前記ハウジングは、挿入位置における表面から下の約11mmから約13mmの間の挿入深さに前記針を挿入することを可能にするように構成される、ジェット注射器。
【請求項19】
請求項1のジェット注射器であって、前記チャンバは、約0.02mLから約4mLの間の薬剤を収容する、ジェット注射器。
【請求項20】
請求項1のジェット注射器であって、前記挿入深さおよび注射圧力は、注射される薬剤の逆流を実質的に防止するのに十分である、ジェット注射器。
【請求項21】
請求項1のジェット注射器であって、さらに、前記予め充填されるシリンジの形状の不規則性を補償するために、前記シリンジ支持部および前記予め充填されるシリンジに関連付けられるシリンジクッションを有する、ジェット注射器。
【請求項22】
ジェット注射器のためのロックリングであって、前記ロックリングは、
ジェット注射器のハウジング内に嵌合するように寸法決めされる本体の近位端部から遠位方向に延びる少なくとも1つの当接アームを有し、前記当接アームは、少なくとも1つのテーパー付き部分、および前記少なくとも1つのテーパー付き部分に軸方向に隣接する少なくとも1つの係合部分を備え、前記係合部分は、注射器の引き戻し可能なガードの運動に抵抗を生じさせるように構成され、
前記ロックリングはさらに、前記本体の前記近位端部から遠位方向に延びる前記少なくとも1つの当接アームに半径方向に隣接する少なくとも1つのフラップ部を有する、ロックリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本願は、2012年3月6日に出願された米国仮出願第61/607339号に基づく優先権を主張し、この出願の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本願はジェット注射器に関し、いくつかの実施形態において、低ジェット注射圧力を使用し、離脱力抵抗を提供するロックリングを備える、針アシストジェット注射器に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]いくつかのジェット注射器は、針ガードを備え、これは針の挿入およびジェット注射のトリガの前に引き戻される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ジェット注射をトリガするには、通常、いくらかの力が必要である。針の挿入およびトリガのために十分な針ガードの移動を保証するために、針の挿入およびトリガ力を克服することを保証するために、優位な針ガード引き戻しの前に離脱力を要求することが望ましいことがある。本発明はこの問題に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0004]いくつかの実施形態において、本発明はジェット注射器に関する。一実施形態において、ジェット注射器は、薬剤を収容する流体チャンバを画定するコンテナ部分を備える予め充填されたシリンジと、チャンバの遠位端部に配置される注射アシスト針とを有し、この注射アシスト針は、挿入位置を穿孔するように構成される注射先端部を備え、また、チャンバから注射サイトに流体を注入するために、チャンバと流体連通する流体通路を画定し、ジェット注射器はさらに、流体チャンバ内で移動可能なプランジャと、予め充填されたシリンジを収容するハウジングと、を有し、ハウジングは、注射位置における針の表面から下の貫通深さである挿入ポイントへの挿入を可能にするように構成され、ハウジングは、針がガード内に位置する保護位置と、挿入ポイントへの挿入のために針の先端が露出される注射位置との間で移動可能な、引込可能なガードを含み、また、ハウジングは、引込要素が少なくとも部分的に保護位置から注射位置に向けて移動するときに、引込可能なガードの運動に干渉する、引込可能なガードに隣接する干渉要素を含み、また、ハウジングは、予め充填されたシリンジをハウジング内に支持的に取り付けるシリンジ支持部を含み、また、ハウジングは、流体チャンバから針を通じて注射サイトへ薬剤をジェット注射するために、流体チャンバ内の薬剤に注射圧力を生成するために選択される力をプランジャに与えるように構成される、エネルギー源を含む。
【0006】
[0005]いくつかの実施形態において、エネルギー源および予め充填されるシリンジは、薬剤の注射時に、注射圧力が約80psiから1000psiの間であるように構成される。一実施形態において、エネルギー源および予め充填されるシリンジは、薬剤の注射時に、注射圧力が約500psi以下、および90psi以上であるように構成される。他の実施形態において、エネルギー源および予め充填されるシリンジは、薬剤を注射するときに、少なくとも約100psiの注射圧力を生成するように構成される。一実施形態において、エネルギー源および予め充填されるシリンジは、薬剤の注射時に注射圧力が約350psiまでになるように構成される。
【0007】
[0006]いくつかの実施形態において、予め充填されるシリンジは、注射アシスト針が配
置される遠位端部、および遠位端部の反対側の近位端部を備え、また、薬剤のジェット注射の間、予め充填されたシリンジの近位端部を軸方向に支持するシリンジ支持部を有し、予め充填されるシリンジ遠位端部は、実質的に軸方向に支持されない。一実施形態において、予め充填されるシリンジのコンテナ部分は、吹込みガラスにより形成され、他の実施形態において、注射アシスト針はこのガラスに接着される。
【0008】
[0007]ある実施形態において、干渉素子は、ハウジングに嵌合する寸法の、近位端部から遠位方向に延びる少なくとも1つの当接アームを備えるリングであり、当接アームは、少なくとも1つのテーパー付き部分を備える。一実施形態において、少なくとも1つの当接アームは、少なくとも1つのテーパー付き部分に軸方向に隣接する係合部分を備え、これは、引き戻し可能なガードが少なくとも部分的に保護位置から注射位置に向かって移動するときに、引き戻し可能なガードの運動に抵抗を生じさせるように構成される。
【0009】
[0008]一実施形態において、エネルギー源はスプリングを有する。一実施形態において、ジェット注射器はさらに、注射圧力を生成するためにスプリングによりプランジャに対してバイアス力が与えられるアームを含み、このアームは、スプリングが着座するベル部分を有し、このベル部分は、装置が使用されるときに、予め充填されるシリンジを受け入れるように構成される中空の内部を画定し、スプリングが予め充填されるシリンジを囲う。
【0010】
[0009]いくつかの実施形態において、ジェット注射器はさらに、薬剤をジェット注射するためにエネルギー源を駆動するようにエネルギー源に作動的に関連付けられるトリガ機構を含み、トリガ機構は、引込可能なガードが保護位置から引き込まれた後に、エネルギー源を駆動するように構成される。一実施形態において、引込可能なガードは、ガードが注射位置に引き込まれたときに、エネルギー源を駆動するために、トリガ機構に作動的に関連付けられる。
【0011】
[0010]いくつかの実施形態において、干渉素子はスリーブであり、スリーブは、スリーブの外側表面から外側に延びる係合部分を備え、これは、引込可能なガードが少なくとも部分的に保護位置から注射位置に向けて移動するときに、引込可能なガードの運動に抵抗を生じさせるように構成される。他の実施形態において、干渉素子はハウジングに連結されるラッチ部であり、これは、引込可能なガードが少なくとも部分的に保護位置から注射位置に向けて移動するときに、引込可能なガードの運動に抵抗を生じさせるように構成される。
【0012】
[0011]いくつかの実施形態において、ハウジングは、針を貫通深さまで挿入することを可能にするように構成され、貫通深さは、挿入位置の表面から下に約0.5mmから約5mmの間である。
【0013】
[0012]いくつかの実施形態において、ハウジングは、針を貫通深さまで挿入することを可能にするように構成され、貫通深さは、挿入位置の表面から下に約11mmから約13mmの間である。
【0014】
[0013] いくつかの実施形態において、チャンバは約0.02mLから約5mLの薬剤
を収容する。
【0015】
[0014] いくつかの実施形態において、貫通深さおよび注射圧力は、注射される薬剤の
逆流を実質的に防止するのに十分な程度にされる。
【0016】
[0015]他の実施形態において、ジェット注射器はさらに、予め充填されるシリンジの形
状の不規則性を補償する、シリンジ支持部および予め充填されるシリンジに関連付けられるシリンジクッションを含む。
【0017】
[0016]いくつかの実施形態において、本発明は、ジェット注射器のロックリングに関する。他の実施形態において、ロックリングは、ジェット注射器のハウジング内に嵌合する寸法の本体の近位端部から遠位方向に延びる少なくとも1つの当接アームを含み、当接アームは、少なくとも1つのテーパー付き部分を備え、また、少なくとも1つのテーパー付き部分に軸方向に隣接する少なくとも1つの係合部分を備え、係合部分は、ジェット注射器の引込可能なガードの運動に抵抗を生じさせるように構成され、本体の近位端部から遠位方向に延びる少なくとも1つの当接アームに半径方向に隣接する少なくとも1つのフラップ部を備える。
【0018】
[0017]上述の発明の概要は、以下の本発明の実施形態の詳細な説明と同様に、添付の例示的な実施形態の図面とともに参照するときに、よりよい理解を与えるものである。しかし、本発明は、図示される正確な構成および手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による、注射前の注射器を示す、ジェット注射器の一実施形態の側面図である。
図2】線分II―IIの沿って切り出された、図1のジェット注射器の断面図である。
図3図1のジェット注射器の使用のための予め充填されるシリンジの斜視図である。
図4図1のジェット注射器のシリンジクッションの斜視図である。
図5図1のジェット注射器の断面図であり、ジェット注射の開始時点の注射器を示す図である。
図6】一実施形態による、ジェット注射の間に、薬剤を収容するチャンバ内に存在する圧力の経時変化を示すグラフである。
図7】狭い直径の予め充填されるシリンジを使用するように構成される、注射器の他の実施形態の側面図である。
図8】VIII-VIIIの面に沿って切り出された図7の注射器の断面図である。
図9】筋内ジェット注射のための、針を使用する注射器の他の実施形態の断面図である。
図10A】例示的な実施形態による、ジェット注射器の干渉素子の側面図である。
図10B】例示的な実施による、ジェット注射器の干渉素子の斜視図である。
図11】例示的な実施形態による、ジェット注射器の時間変化にわたる離脱力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0031]添付図面を参照して、以下で本発明の様々な実施形態がより完全に説明される。本発明の実施形態の全てではなくいくつかが示される。本発明の様々な実施形態は、多くの異なる形態で実施化することができ、明示される実施形態に限定されるものではない。全体を通じて同様の符号は類似の要素を示す。明示しないかぎり、単数形の表現は単数および複数を含むものとする。
【0021】
[0032]図1図2を参照すると、注射器10の実施形態は、ユーザーが注射器10を扱うことを可能にするように構成されるハウジング12を備える。ハウジング12は、図2に示される多くの要素を実質的に収容する外側ハウジング14を含む。シリンジ支持部材16がハウジング12内に収容され、またこれに取り付けられる。シリンジ支持部材16
は、予め充填されるシリンジ18を保持および位置決めするように構成され、シリンジ18は図3に示されている。一実施形態において、シリンジ支持部材16は、スナップ、接着、溶接、または他の公知の取り付け手段により実質的にハウジング12に固定される。予め充填されるシリンジ18は、流体チャンバ22の内側を画定するコンテナ部分20を備え、ここに注射される薬剤が予め充填される。予め充填されるシリンジ18の遠位端部において、注射アシスト針24が配置される。針24は、患者の組織を貫通するために公知のように構成される注射先端26を備え、いくつかの実施形態において、患者の組織は皮膚である。公知のように、針孔が針24を通って延びる。この孔は、流体チャンバ22内の薬剤と流体連通し、薬剤を注射するために針の先端26で開放している。
【0022】
[0033]流体チャンバ22の針24の反対側の近位側において、流体チャンバ22内に薬剤をシールするプランジャ28が配置される。いくつかの実施形態において、シリンジ壁30は、管状部分を有し、いくつかの実施形態において、流体チャンバ22を画定するように、遠位端部で閉鎖され近位端部で開放される。プランジャ28は、管状部分内にスライド可能に受け入れられる。予め充填されるシリンジ18は、プランジャ28が遠位方向に変位するときに、流体チャンバ22の体積が減少し、針24の孔を通ってシリンジ18から薬剤を排出するように構成される。
【0023】
[0034]流体チャンバ22の遠位端部において、針ハブ部分32が配置され、ここに貼りが取り付けられる。一実施形態において、シリンジフランジ34は、シリンジ壁30の近位端部から半径方向に延びる。
【0024】
[0035]一実施形態において、シリンジ18は、フランジ34、壁30、およびハブ部分32を含むシリンジ本体36を備える。一実施形態において、フランジ34、壁30、およびハブ部分32を含むシリンジ本体36は、一体的な構成である。シリンジ本体36に好ましい材料はガラスであるが、他の実施形態において他の材料を使用することもできる。好適な予め充填されるシリンジは、BD Hypak(登録商標)であり、これは様々なサイズおよび容積で入手可能であり、薬剤が充填されて売られている。シリンジ本体36のガラスは、針24に接着される。典型的な薬剤および薬剤のカテゴリは、エピネフリン、アトロピン、スマトリプタン、抗生物質、抗うつ剤、血液凝固阻止剤を含む。予め充填されるシリンジ18を使用することは、注射器10が組み立てられるときに薬剤の扱いを容易にし、予め充填されるシリンジ内で薬剤がどのように維持および作用するかの多くの知見がある。
【0025】
[0036]図4に詳細に示されるシリンジクッション38は、いくつかの実施形態において、エラストマ材料または他の弾性材料から形成される。シリンジクッション38のフランジ40は、半径方向に延び、シリンジ支持部材16の遠位側とシリンジフランジ34との間のインターフェースとして配置および機能する。隆起部42のような高くなった部分は、クッションフランジ40から近位方向に延び、シリンジフランジ34に当接するように構成および寸法決めされる。
【0026】
[0037]吹込みガラスプロセスにより製造される予め充填されるシリンジは、特にシリンジ本体36において、優位な寸法公差および不均一性を備えることがある。クッション38は、不規則な形状に対処するように機能することができ、また、予め充填されるシリンジ18をシリンジ支持部16内に適切に位置決めおよび配置するように機能する。典型的には、1mLの予め充填されるシリンジ上の、吹込みガラスシリンジフランジの軸方向の厚さは、約±0.5mm内である。BD Hypak(登録商標)の1mLの標準的な予め充填されるシリンジは、シリンジフランジ34の厚さは2mm+0.5または-0.4mmであり、1mLロング構成のBD Hypak(登録商標)シリンジは、フランジの軸方向厚さが約1.65mm±0.25mmである。典型的なガラスの予め充填されるシリンジに生じる他
の寸法的な変動は、シリンジ壁30の内径および外形である。これらの変動は、弾性スリーブ部分44により対処することができ、これは、シリンジ支持部16の内側の周りに軸方向に延びる。一実施形態において、シリンジクッション38は、シリンジ支持部材16の内側に受け入れられ、また、シリンジ本体36を受け入れ、いくつかの実施形態において、ぴったりと嵌合する。
【0027】
[0038]一実施形態において、スリーブ部分44は、半径方向内側に延びる突出部46を備え、スリーブ部分44は、表面領域および、組み立て中に予め充填されるシリンジ18の挿入を可能にする構成を備え、シリンジを所定位置に維持するための十分な摩擦力を提供し、注射器10を使用するときに、クッションおよび衝撃吸収を提供する。また、外側の突起部48が、スリーブ部分44に提供され、これは、軸方向の回転を防止するために、シリンジ支持部16の対応する凹部内に受け入れられる。スリーブ部分44の増加した壁厚さが望まれないならば、スリーブ部分44の反対の半径方向側の対応する突起部48の反対側に、凹部領域50をシリンジクッション38の内側および外側に設けることができる。代替的な一実施形態において、シリンジクッション38のフランジ40およびスリーブ部分44の一方または両方は、実質的に滑らかであり、実質的に突出部を備えない。一実施形態において、シリンジクッション38の材料および構成は、プランジャ28上に軸方向の遠位方向に付与される発射力に耐えるために、予め充填されるシリンジ18の全体を支持するのに十分である。したがって、予め充填されるシリンジ18のための全体の支持はシリンジフランジ34上に提供することができ、一方、シリンジ18の遠位端部それ自体は、軸方向に実質的に支持されない。これは、流体チャンバ22内の高くなった圧力により生成される、予め充填されるシリンジ18のガラス本体上のショックに耐えることを助ける。
【0028】
[0039]予め充填されるシリンジ18の遠位端部を半径方向に位置決めするため、いくつかの実施形態において、シリンジ支持部16は狭い孔部分51を備え、いくつかの実施形態において、これは、シリンジ壁30の外側に当接するように構成される。これは、針24が患者の皮膚に挿入されるときに有利である。狭い孔部分51は、エラストマのような弾性材料から形成することができ、プラスチック材料のいくつかの実施形態において、シリンジ支持部16の他の部分と一体的に形成することができる。
【0029】
[0040]図2を参照すると、一実施形態において、トリガ機構52がハウジング12内に収容される。トリガ機構52は、スナップ、接着、溶接、または他の公知の取り付け手段により外側ハウジング14に取り付けることができる内側ハウジング54を含む。トリガ突起部56は、内側ハウジング54の近位端部から内側に延び、また、外側に弾性的にバイアスされる。トリガ突起部56は、ブロック的にラム60の凹部58内に受け入れられ、装置の発射前にラム60の軸方向の運動を防止する。ラム60は、エネルギー源により注射器10の遠位端部に向かって付勢され、いくつかの実施形態において、エネルギー源は圧縮スプリング62であるが、エラストマスプリングまたは圧縮ガススプリングなどの他の好適なエネルギー源を代替的に使用することができる。一実施形態において、圧縮スプリングはコイルスプリングである。
【0030】
[0041] ラッチハウジング64のようなトリガ機構52のトリガ部材は、内側ハウジン
グの外側に設けられ、トリガ突起部56をブロック式に凹部58内に保持し、注射器10の早まった発射を防止する。ラッチハウジング64は、外側ハウジング14の内側で内側ハウジング54に対してスライド可能であり、いくつかの実施形態において、軸方向にスライド可能であり、また、いくつかの実施形態において、ラッチハウジング64は内側ハウジング54を囲う。
【0031】
[0042]ハウジング12は、外側ハウジング14に対して移動可能な針ガード66を備え
る。針ガード66は、図1、2に保護位置で示され、針24がガード66内に配置されている。針ガード66は、引込可能であり、一実施形態において、近位方向に注射位置に向かって針ガード66は外側ハウジング14内に引込可能であり、注射位置において、針先端26および針24の端部は、図5に示されるように患者への挿入のために露出される。一実施形態において、注射位置において、ガードの近位方向の運動は実質的に防止される。
【0032】
[0043]一実施形態において、針ガードが少なくとも部分的に保護位置から注射位置に向かって移動するときに、干渉素子134は針ガードの運動に干渉する。
【0033】
[0044]一実施形態において、ハウジング12は、針ガード66に隣接する干渉素子134を備え、たとえばロックリングを備え、干渉素子134は、針ガードが少なくとも部分的に保護位置から注射位置に向かって移動するときに、針ガードの運動に干渉する。干渉素子は、離脱力146を超えるまで、針ガードの運動を防止する。干渉素子134は、図10A図10Bに示される。一実施形態において、干渉素子134は、外側ハウジング14内に嵌合するように、近位端部138から遠位方向に延びる少なくとも1つの当接アーム136を備えるリングの一部として含まれ、当接アーム136は、少なくとも1つのテーパー付き部分140を備える。当接アーム136は、係合部分142を備え、少なくとも1つのテーパー付き部分140に軸方向に隣接し、針ガード66が保護位置から注射位置に向かって少なくとも部分的に移動するときに、針ガード66の運動に抵抗を生じさせるように構成される。干渉素子134は、1つより多くの当接アーム136を備えることができ、また、対応する1つより多くの係合部分142を備えることができ、いくつかの実施形態は、係合部分142を備える1つだけの当接アーム136を含む。干渉素子は、少なくとも1つのフラップ部144を含むことができ、フラップ部144は、干渉素子134の近位端部138から遠位方向に延びる少なくとも1つの当接アーム136に半径方向に隣接する。
【0034】
[0045]干渉素子134はハウジング12に連結することができ、ハウジング12から別体のスリーブ内に統合され、またはラッチを含む。
【0035】
[0046]図11を参照すると、針ガード66が保護位置から注射位置に向かって少なくとも部分的に移動されるときに、係合部分142により生じる針ガード66の抵抗を克服するために離脱力146が必要とされる。図11を参照すると、離脱力146は、針ガード66の引き戻しを最初に行うときに針ガード66上に作用する引き戻しに対する抵抗である。離脱力146は、薬剤のジェット注射を生じさせるのに必要なトリガ力148から区別される力であり、また、針ガード66を伸展位置にバイアスするスプリング72により提供される力よりも大きい。また、離脱力146は、装置内の他の係合要素上をスライドする引き戻し運動の針ガード66の摩擦により生じる力よりも大きい。一実施形態において、離脱力146は制御され、また一回のみ使用可能とされる。
【0036】
[0047]図2を参照すると、ガード66が遠位方向に変位するとき、ガード66がラッチハウジング64を遠位方向にスライドさせ、凹部58からトリガ突起部56を解放するように、針ガード66はラッチハウジング64に関連付けられる。一実施形態において、ラッチハウジング64は、装置10を使用(注射)する前に、ラム60とブロック関係に位置決めされるトリガ突起部56をバイアスおよび維持するように関連付けられるように、内側ハウジング54と当接するラッチ部分68を備える。ガード66の注射位置への引き戻しにより近位方向にラッチがスライドするとき、ラッチ部分68は、ラム60の凹部58内にトリガ突起部56を曲げるように接触する、内側ハウジング54の部分を越えてスライドし、トリガ突起部56が凹部58から半径方向外側に移動しブロック関係から解放されることを可能にする。これが起こると、スプリング62は、ラム60をプランジャ2
8に対してバイアスし、ジェット注射器10を射出させる。いくつかの実施形態において、ラッチハウジング64は、ラッチ部分68に隣接するトリガ開口部70を画定し、これは、トリガ突起部56から半径方向外側に配置される表面のような、内側ハウジング54の一部を受け入れるように構成される。
【0037】
[0048]いくつかの実施形態において、ガード66は、圧縮コイルスプリング72により保護位置に向けて遠位方向に弾性的にバイアスされる。また、針ガード66は、針24が通ることを可能にする軸開口部74を備え、これは望まれる注射器のタイプに応じてサイズが決められる。本実施形態の構成により、ユーザーは、注射器10の遠位端部を患者の皮膚に対して押すことができ、注射器が押されるのと実質的に同一のスピードで挿入位置において皮膚内に針24を押すことができる。針24が挿入ポイントに挿入深さで完全に挿入されると、トリガ機構52は、注射位置にジェット注射を開始する。
【0038】
[0049]図5を参照すると、一実施形態において、予め充填されるシリンジ18および針24は、注射中に発射エネルギー源により、患者の皮膚内に自動的に移動されることはない。ユーザーは好ましくは、針24を挿入するために、装置全体を穏やかに押し、いくつかの実施形態において、このプロセスにおいて皮膚に対してガードを引き戻す。一実施形態において、予め充填されるシリンジ18は、ハウジング12内で実質的に静止し、また、一実施形態において、ハウジング12に実質的に固定される。このようにして、本願発明は、注射の時にシリンジの穏やかな扱いを提供し、また、十分な力のあるスプリング62または他のエネルギー源の使用を可能にし、相対的にもろく複雑な形状の予め充填されたシリンジに損傷を与えるリスクをなくジェット注射を生成することを可能にし、また、たとえば、高粘性溶液の注射を可能にし、このような場合、シリンジをハウジング内で前方に移動させ患者に挿入する従来技術の注射器において、フランジなどにおいて、シリンジを破損するリスクがある。予め充填されるシリンジのガラス本体において、しばしば残留応力が存在し、この構成は、使用中にさらされる追加の応力を低減し、さらに、シリンジを保護する。また、この構成により可能な針の穏やかな挿入により、予め充填されるシリンジのミスアライメントは動作的に優位でなくなる。
【0039】
[0050]一実施形態において、ガード66の注射位置は、針24の端部の予め決定される長さがガード66から露出するようにされる。いくつかの実施形態において、開口部74が十分に大きな直径であり、注射装置10が圧されたときに、患者の皮膚が開口部74内に伸展可能であり、ガード66の遠位端部を越えて突き出すことのない針を使用でき、一方で、所定の深さまで皮膚に挿入できる。多くの実施形態において、針先端部26がガード66の遠位端部を越えて延びる距離76は、針の挿入深さに概ね近くなる。
【0040】
[0051] 皮下注射のような一実施形態において、ガード66は、針24を皮膚内の挿入
深さまで挿入可能に構成され、挿入深さは皮膚表面の下の約5mmまでである。他の実施形態において、挿入深さは約4mm未満であり、一実施形態においては約3mm未満である。一実施形態において、挿入深さは、少なくとも約0.5mmであり、一実施形態において少なくとも約1mmである。他の実施形態において、針が皮膚に接触するガード66またはガード66の遠位表面を越えて延びる距離は約5mmまでであり、一実施形態において、約4mmまでであり、他の実施形態においては約3mmまでである。いくつかの実施形態において、伸展距離76は、少なくとも約0.5mmであり、一実施形態においては少なくとも約1mmであり、他の実施形態においては少なくとも約2mmである。一実施形態において、先端26は、注射位置において皮膚に接触するガード66の部分を越えて約2.5mmの距離76だけ延びる。
【0041】
[0052] 筋内注射のような他の実施形態において、注射器は、針24が皮膚内の貫通深
さに患者内に挿入されるように構成され、または、代替的に針ガードの遠位表面を越えて
約15mmの距離まで挿入されるように構成される。一実施形態において、この距離は約10mmから約14mmの間である。たとえばエピネフリンのジェット注射の実施形態において、挿入深さまたはガードを越えて延びる距離は、約11mmから17.0mmの間であり、他の実施形態において、約13mmから約15mmの間である。この長さの針のジェット注射は、非ジェット注射の場合と比べて、患者組織内への薬剤の投与を改善する。他の露出される針の長さは、皮膚の下の異なる深さをジェット注射のために選択することができ、いくつかの実施形態において、全体の挿入長さは約0.5mmから約20mmの間である。いくつかの実施形態において、針ガードは、一実施形態において針24の全体をカバーする(図2参照)保護位置から、注射位置に引き戻すように構成され、注射位置において、針24の端部の所望の長さが露出される(図5参照)。
【0042】
[0053]いくつかの実施形態において、スプリング62および予め充填されるシリンジ18は、薬剤をジェット注射するように構成される。したがって、スプリング62は、針24からジェットとして薬剤を発射するのに十分なレベルの高さで流体チャンバ22内の圧力を高めるのに十分な力をプランジャ28に付与する。ジェット注射は、針の先端26から離れた位置に薬剤を運ぶ十分な速度および力で注射するものと理解される。注射圧力が非常に低い手動および自動注射器タイプの注射において、患者内で針の先端から薬剤が出て、典型的には針の周りに塊状に薬剤を投与する。一方、本ジェット注射装置10では、薬剤は遠位方向または他の方向にジェット注射され、高められた圧力のジェットにより概ね半径方向にジェット注射され、これは、注射後の薬剤の分配を優位に改善し、また、大きな塊を形成するのを防止し、大きな塊は、針の周りから患者の外へ薬剤が漏れさせることがあり、または、針が抜かれたのちの穴から薬剤を外へ漏れさせることがある。
【0043】
[0054]図6のグラフを参照すると、符号78は、装置10を発射するときの時間のポイントを示し、符号80は薬剤注射の完了時間のポイントを示し、いくつかの実施形態において、プランジャ28がコンテナ部分20の前方壁に当たったときを示す。符号82は、注射のときの最初のピーク圧力を示し、符号84は、注射のときの最後の低い圧力を示す。一実施形態のスプリング62は線形バネ定数を備え、注射アシスト針は、注射を開始する前に皮膚を刺すのに使用され、注射の開始78から注射が完了するまで圧力は実質的に線形に下降する。注射の最後80の最終圧力84は、ラム60の発射ストロークの最後であっても十分に高く、薬剤はジェット注入され、針の先端26の周りで塊が非常に小さくまたは塊が形成されない。
【0044】
[0055]一実施形態において、注射中のピーク圧力は約1000psiより小さく、一実施形態において、約500psiより小さく、他の実施形態において、約350psiより小さい。注射の最後80において、流体チャンバ22内の薬剤に付与される圧力84は、一実施形態において、少なくとも約80psiであり、一実施形態において、少なくとも約90psiであり、他の実施形態において少なくとも約100psiである。本発明の一実施形態において、最初の圧力82は、330psi付近であり、最終圧力は約180psiであり、他の実施形態では、初期圧力82は約300psiであり、注射の最後80において110psi付近まで下降する。これらの実施形態で使用される針は、約26ゲージから28ゲージであり、いくつかの実施形態においては27ゲージ付近である。しかし、他の要素が協働的に所望の注射を可能にするように構成される場合、代替的な他の針ゲージを使用することができる。たとえばエピネフリンの注射のための一実施形態において、針のいくつかの実施形態は20ゲージから25ゲージであり、他の実施形態においては22ゲージである。一実施形態において、注射器10の要素は、皮下注射サイトへ薬剤をジェット注射するように構成される。
【0045】
[0056]流体チャンバ22に収容されここから注射される薬剤の量は、一実施形態において、約0.02mLから約4mLであり、いくつかの実施形態においては、約3mL未満
であり、他の実施形態においては1mL程度である。具体的な薬剤および投与要求により、より大きな容積を選択することもできる。一実施形態において、所望の量の薬剤が予め収容された予め充填されるシリンジは、ジェット注射器10の残りの部分内に組み立てられる。一実施形態において、予め充填されるシリンジは、約1mLの薬剤を収容する。
【0046】
[0057]一実施形態において、注射速度は約0.75mL/秒より小さく、一実施形態においては、好ましくは約0.6mL/秒より小さく、一実施形態においては、少なくとも約0.2mL/秒であり、一実施形態においては、少なくとも約0.3mL/秒であり、他の実施形態においては、少なくとも約0.4mL/秒である。一実施形態において、薬剤の全体の注射は、約4秒未満で完了し、一実施形態においては、約3秒未満で完了し、他の実施形態においては、約2.5秒未満で完了する。一実施形態において、薬剤の注射は、少なくとも約1秒かかり、一実施形態においては、少なくとも約1.5秒かかり、他の実施形態においては、少なくとも約1.75秒かかる。一実施形態において、注射器10は、約0.5mL/秒の速度で、約2秒で1mLの注射を完了する。
【0047】
[0058]米国特許第6,391,003号明細書は、26ゲージおよび27ゲージの針を使用して、ガラスカートリッジ内の薬剤に付与され得る圧力のいくつかの実験結果を開示している。以下の表は、予め充填されるガラスのシリンジとともに使用することができる異なるピーク圧力の注射を示している。
【0048】
【表1】
【0049】
[0060]実質的に薬剤の漏れがなく特定の所望の深さにジェット注射を達成するために、患者の皮膚内へのより短い針の侵入とともにより高い圧力および流速が使用されることが予見される。
【0050】
[0061] いくつかの実施形態において、本装置のジェット注射を使用し、実質的に漏れ
がなく、皮膚の異なる部分へ薬剤を注射するために短い針を使用できることが分かった。針ガード66から約2.5mm延びる針24、27ゲージの針24、300psi付近のピークで100psi付近の終端圧力となる流体チャンバ22内の圧力、約0.5mL/秒の流速を使用し、1mLの薬剤は、漏れなくテスト注射の100%近くが首尾よく注射されることが分かった。したがって、本発明の針アシストジェット注射器10は、信頼性をもって患者の皮膚の厚さまたは患者の年齢、体重、複雑な短い針により非ジェット注射の他の典型的な要因に関係なく、非常に短い針を使用する薬剤のジェット注射を可能にする。
【0051】
[0062]図7、8は、本発明の他の実施形態を示し、図2の実施形態よりも長く小さな径を備える予め充填されるシリンジを使用する構成である。図2の実施形態において、発射スプリング62は、発射ストロークの間に予め充填されるシリンジ18のボア内に延び、注射器86のより狭い予め充填されるシリンジ88は、スプリングを収容するための十分な空間を提供しない。したがって、注射器86のラム90はベル部分92を含み、ベル部
分92は、注射器86が使用されるときに、予め充填されるシリンジ88の近位端部およびシリンジ支持部96を受け入れるように構成される中空内部94を画定する。同様に、ベル受け入れ空間98は、発射の間にベル部分92を受け入れるために、予め充填されるシリンジ88の外側およびシリンジ支持部96の周りに画定される。ベル部分92は、半径方向外側に延びるスプリングシート100を含み、これはスプリング102を着座させるように構成および配置される。トリガ機構が駆動されて装置86が発射されるとき、スプリング102は、シート100に作用し、ラム90をプランジャ104に対して押し、流体チャンバ106から薬剤をジェット注射する。結果として、発射の後、スプリング102は、予め充填されるシリンジ88を半径方向に囲む。外側ハウジング108は、ベル部分92および大きな直径のスプリング102を収容するために、注射器10の外側ハウジング14よりも幅広である。
【0052】
[0063]1mLの容量を備える利用可能な長いシリンジの構成は、直径8.15mmの円筒形のシリンジ本体部分を備え、これは、いくつかの実施形態において、図7、8の注射器に使用され、一方、同一の容量を備える利用可能な短いシリンジの構成は、直径10.85mmの円筒形のシリンジ本体部分を備え、これは、いくつかの実施形態において、図1、2の注射器において使用される。ベル部分92を備える実施形態は、幅広/幅狭のシリンジとともに使用でき、いくつかの実施形態において、予め充填されるシリンジは、約10mm未満の円筒形壁の外側直径を備え、他の実施形態においては約9mm未満の円筒形壁の外側直径を備える。
【0053】
[0064]また、注射器86は、針ガード66の周りに嵌合
するキャップ110を含み、キャップ110は、針ガード66の引き戻しおよび装置86のトリガを防止するために、外側ハウジング108と関連付けられる。追加的に、キャップ110は、針先端部26をシールし、装置86の使用前に取り外すことができる。一実施形態において、キャップ110は、スナップ嵌め式に針ガード66の上に嵌るように構成され、針ガード66の拡大直径部分114と関連付けられる狭い直径部分112を含むことにより実現する。
【0054】
[0065]追加的に、注射器86は、シリンジクッションキャップ116を採用し、これはシリンジクッション118からシリンジフランジ34の外側の周りに延び、予め充填されるシリンジ88の捕獲および保持を助ける。一実施形態において、クッションキャップ122は、クッション118に接続され、また、いくつかの実施形態においては、これと一体的な構造とされる。針24が患者に挿入されるときに、本体120の近位端部を半径方向に位置決めおよび保持するために、クッションキャップ122は、シリンジ本体120の遠位端部に当接する。図2の実施形態と同様に、シリンジ支持部96は、実質的に固定される位置にハウジングと関連付けられ、シリンジ支持部96の突起部126を捕獲する取り付け部分124などにより実現する。
【0055】
[0066]図9を参照すると、注射器128は、針ガード130を備え、トリガ機構52がジェット注射を発射する前に、図1、2、5の注射器の場合よりも、注射器ハウジングのさらに奥に引き戻すように構成される。この図の注射器は、トリガ機構52が解放されている注射器をまさに発射するときの位置を示している。針がガード130を越えて延びる距離76またはガード130の皮膚に接触する遠位表面を越えて延びる距離76は、いくつかの実施形態において、約12.5mmから約13mmである。一実施形態において、好ましくは、装置が発射され、患者から取り外された後に、ガードは、バイアススプリング72などにより保護位置に再び延びるように構成され、また、当業界で公知のように注射器の再使用を防止するために、ロック部材132によりその位置にロックされる。
【0056】
[0067]他の実施形態において、ガード長さ、針先端部に対するガード注射位置の配置(
保護位置と注射位置との間のガードの行程を含む)、およびシリンジ本体から針の長さは、装置が発射される前に、より浅いまたはより深い挿入を可能にするように選択することができ、それぞれより小さなまたは大きな距離76を提供する。一実施形態において、ガードは、患者への挿入深さのよりよい制御のために、実質的に発射位置からスライドして戻らないようにされる。
【0057】
[0068]全ての参照文献はそれぞれ参照により本稿にその全体が組み込まれる。米国特許出願第2001/0144594号明細書、米国特許第8021335号明細書、6391003号明細書は、全体が本稿で説明されるかのように、参照により本稿に組み込まれる。
【0058】
[0069]本発明の説明的な実施形態が本稿で開示され、当業者により多数の修正形態および他の実施形態が理解されることを理解されたい。たとえば、様々な実施形態の特徴は、他の実施形態に用いることができ、たとえば図7、8の針およびガードキャップは、図1の実施形態に適用可能である。それゆえ、添付の特許請求の範囲は、本発明の趣旨および範囲内で生じるそのようなあらゆる修正形態および実施形態を包含することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射装置であって、
予め充填されるシリンジを有し、予め充填されるシリンジは、
薬剤を収容する流体チャンバを画定するコンテナ部分と、
前記薬剤を前記流体チャンバから注射サイト内へ射出するように構成された針と、
前記流体チャンバ内で移動可能なプランジャを有と、を有し、
前記注射装置はさらに、前記予め充填されるシリンジを収容するハウジングを有し、前記ハウジングは、表面の下の挿入深さである挿入ポイントまで前記針を挿入することが可能になるように構成され、
前記ハウジングは引き戻し可能なガードを有し、前記引き戻し可能なガードは、前記針が前記ガード内に配置される保護位置と、前記針の先端が挿入ポイントへの挿入のために露出される注射位置との間で移動可能であり、
前記注射装置は、前記引き戻し可能なガードを前記保護位置に向けてバイアスするように構成されたバイアス要素と、
エネルギー源と、を有し、前記エネルギー源は、前記流体チャンバから前記針を通って前記注射サイトに薬剤を注射するために、前記流体チャンバ内の薬剤に注射圧力を生成するために選択される力で前記プランジャをバイアスするように構成され、
前記注射装置はさらに、前記引き戻し可能なガードに隣接する干渉要素を有し、前記干渉要素は、少なくとも1つの当接アームを備えるラッチであり、前記当接アームは、少なくとも1つのテーパー付き部分と、前記少なくとも1つのテーパー付き部分に軸方向に隣接する係合部分とを備え、前記係合部分は、前記テーパー付き部分の傾斜に対して角度を持つ表面を有し、前記係合部分の前記角度を持つ表面は、前記テーパー付き部分の近位端部から、長手方向軸に対して半径方向外側に延び、前記係合部分は、前記引き戻し可能なガードが少なくとも部分的に前記保護位置から前記注射位置に向かって移動するときに、前記引き戻し可能なガードの運動に抵抗を生じさせるように構成され、
トリガ力は、前記プランジャが前記流体チャンバ内で移動し、前記薬剤を前記流体チャンバから出射させるように、前記注射装置を駆動するのに必要とされる力であり、
離脱力は、前記引き戻し可能なガードの前記保護位置から前記注射位置への運動への抵抗を克服するために、前記引き戻し可能なガードに付与されるように構成され、
前記離脱力は、前記トリガ力以上である、
注射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の注射装置であって、
前記トリガ力は、前記流体チャンバから前記注射サイト内へ流体の注入を生じさせるために前記注射装置に付与され、前記トリガ力は、前記離脱力から区別される、
注射装置。
【請求項3】
請求項1に記載の注射装置であって、
前記離脱力は、前記引き戻し可能なガードが前記保護位置から前記注射位置に移動するときの前記引き戻し可能なガードと前記注射装置との間の摩擦からの摩擦力よりも大きい、
注射装置。
【請求項4】
請求項1に記載の注射装置であって、
前記離脱力は、前記引き戻し可能なガードの前記注射位置に向かう最初の動作の間に付与される、
注射装置。
【請求項5】
請求項1に記載の注射装置であって、
前記離脱力は、前記注射装置に前記トリガ力が付与される前に付与される、
注射装置。
【請求項6】
請求項1に記載の注射装置であって、さらに、
予め充填された前記シリンジを前記ハウジング内に支持的に取り付けるシリンジ支持部を含む、
注射装置。
【請求項7】
請求項6に記載の注射装置であって、
前記予め充填されたシリンジは、注射アシスト針が配置される遠位端部、および前記遠位端部の反対側の近位端部を備え、
前記シリンジ支持部は、前記薬剤の注射の間、前記予め充填されたシリンジの前記近位端部を軸方向に支持し、前記予め充填されるシリンジの前記遠位端部は実質的に軸方向に支持されない、
注射装置。
【請求項8】
請求項1に記載の注射装置であって、前記エネルギー源はスプリングを有する、
注射装置。
【請求項9】
請求項1に記載の注射装置であって、さらに、
前記薬剤を注射するために前記エネルギー源を駆動するように前記エネルギー源に作動的に関連付けられるトリガ機構を含み、
前記離脱力は、最初に前記ガードの引き戻しを生じさせるときに、前記ガードに作用する引き戻しに対する抵抗であり、
前記トリガ機構は、前記離脱力が克服された後に前記エネルギー源を駆動するように構成されている、
注射装置。
【請求項10】
請求項9に記載の注射装置であって、
前記トリガ機構は、前記ガードが前記保護位置から引き戻された後に前記エネルギー源を駆動するように構成されている、
注射装置。
【請求項11】
請求項9に記載の注射装置であって、
前記離脱力が克服された後に前記トリガ機構が前記エネルギー源を駆動させるように、前記ガードは前記トリガ機構に作動的に関連付けられている、
注射装置。
【請求項12】
請求項1に記載の注射装置であって、
前記挿入深さおよび注射圧力は、注射される薬剤の逆流を防止する、
注射装置。
【請求項13】
請求項1に記載の注射装置であって、
前記離脱力は、前記ガードの最初の引き戻しを生じさせる時に前記ガードに作用する、
注射装置。
【外国語明細書】