(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169737
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】抗RAMP2抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20221101BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221101BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20221101BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20221101BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20221101BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221101BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20221101BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20221101BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221101BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20221101BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221101BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20221101BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221101BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20221101BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20221101BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K16/28
C12P21/08
A61K39/395 N
A61P27/02
A61P35/00
A61P27/06
A61P29/00
A61P17/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P9/00
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136364
(22)【出願日】2022-08-29
(62)【分割の表示】P 2019542293の分割
【原出願日】2018-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2017175311
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501416243
【氏名又は名称】キッズウェル・バイオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】新藤 隆行
(72)【発明者】
【氏名】中村 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】前田 龍
(72)【発明者】
【氏名】中山 洋佑
(57)【要約】 (修正有)
【課題】血管新生抑制作用を有する受容体活性調節タンパク質2(RAMP2)に対する抗体又はその免疫反応性断片、および、そのようなRAMP2に対する抗体又はその免疫反応性断片を有効成分とする血管新生抑制剤を提供する。
【解決手段】in vitroの増殖試験において血管内皮細胞の増殖抑制作用を有する、受容体活性調節タンパク質2(RAMP2)に対する抗体又はその免疫反応性断片、あるいは、アドレノメジュリン添加による動物細胞によるcAMP産生を抑制する作用を有する抗体又はその免疫反応性断片を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
in vitroのアドレノメジュリン添加による血管内皮細胞増殖試験において、血管内皮細胞の増殖抑制作用を有する、受容体活性調節タンパク質2(RAMP2)に特異的に結合する抗体又はその免疫反応性断片。
【請求項2】
前記血管内皮細胞の増殖抑制作用が、35nM以下のIC50値である、請求項1に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
【請求項3】
アドレノメジュリン添加による動物細胞によるcAMP産生を抑制する作用を有する、請求項1又は請求項2に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
【請求項4】
in vitroのアドレノメジュリン添加による動物細胞によるcAMP産生試験において、cAMP産生抑制作用が、2nM以下のIC50値である、請求項3に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
【請求項5】
ヒトCRLRとヒトRAMP2を共発現する細胞に結合する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
【請求項6】
ヒトCRLRとヒトRAMP2を共発現する細胞を用いたCell ELISA試験による結合親和性(EC50)が3.5nM以下である、請求項5に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の抗体又はその免疫反応性断片であって、
配列番号2、12、19、27、29,31,33、35、45,47,49、51,及び53から選択されるいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)及び配列番号4、14,21、37,39,41、43、55,57,59,及び61から選択されるいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)を含む抗体、とRAMP2への結合において競合する抗体又はその免疫反応性断片、あるいは、
配列番号2、12、19、27、29,31,33、35、45,47,49、51,及び53から選択されるいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号4、14,21、37,39,41、43、55,57,59,及び61から選択されるいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するVLを含む抗体、と同じエピトープに結合する抗体又はその免疫反応性断片。
【請求項8】
RAMP2の細胞外領域を構成するアミノ酸配列の一次構造を認識しない、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
【請求項9】
配列番号71~101に記載の各アミノ酸配列からなるペプチドの全てと結合しない、請求項8に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
【請求項10】
LX1IX2DX3YX4YX5MX6X7(配列番号24)で表されるアミノ酸配列であって、ここで、X1はG又はMであり、X2はF又はYであり、X3はA又はVであり、X4は存在しないかHであり、X5はAかVであり、X6はDかEであり、かつ、X7はYかNである、アミノ酸配列からなる重鎖相補性決定領域(CDRH)3を有する重鎖を含む、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
【請求項11】
LMIFDAYYAMDY(配列番号7)又はLGIYDVYHYVMEN(配列番号16)のアミノ酸配列からなるCDRH3を有する重鎖を含む、請求項10に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
【請求項12】
更に、重鎖がGYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、及びRX8NPYNGDX9X10YX11QKFX12G(配列番号66)のアミノ酸配列からなるCDRH2を有する、請求項10又は請求項11に記載の抗体又はその免疫反応性断片、
ここで、X8はN又はIであり、X9はS又はTであり、X10はI、F又はLであり、X11はA又はNであり、X12はQ又はKである。
【請求項13】
更に、X13ASQDIRNYLN(配列番号69)のアミノ酸配列からなる軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、YTSRLX14X15(配列番号70)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及びQQDSKX16PWT(配列番号25)のアミノ酸配列からなるCDRL3を有する軽鎖を含む、請求項12に記載の抗体又はその免疫反応性断片、
ここで、X13はQ又はRであり、X14はE又はHであり、X15はS又はTであり、X16はH又はNである。
【請求項14】
GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、
RNNPYNGDSIYNQKFKG(配列番号6)、RINPYNGDTFYNQKFKG (配列番号15)、RINPYNGDTLYNQKFKG(配列番号22)、RNNPYNGDSIYNEKFQG(配列番号62)、RNNPYNGDSIYAEKFQG(配列番号63)、RINPYNGDTFYNQKFQG(配列番号64)、及びRINPYNGDTFYAQKFQG(配列番号65)からなる群から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなるCDRH2、及び
LMIFDAYYAMDY(配列番号7)又はLGIYDVYHYVMEN(配列番号16)のアミノ酸配列からなるCDRH3を有する、請求項12に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
【請求項15】
更に、RASQDIRNYLN(配列番号8)又はQASQDIRNYLN(配列番号67)のアミノ酸配列からなるCDRL1、
YTSRLHS(配列番号9)又はYTSRLET(配列番号68)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び
QQDSKHPWT(配列番号10)又はQQDSKNPWT(配列番号17)のアミノ酸配列からなるCDRL3を有する、請求項14に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
【請求項16】
以下の(i)~(vii)のいずれか1つの重鎖CDRの組み合わせを有する、請求項14に記載の抗体又はその免疫反応性断片:
(i)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、
RNNPYNGDSIYNQKFKG(配列番号6)のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び
LMIFDAYYAMDY(配列番号7)のアミノ酸配列からなるCDRH3;
(ii)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、
RNNPYNGDSIYNEKFQG(配列番号62)のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び
LMIFDAYYAMDY(配列番号7)のアミノ酸配列からなるCDRH3;
(iii)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、
RNNPYNGDSIYAEKFQG(配列番号63)のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び
LMIFDAYYAMDY(配列番号7)のアミノ酸配列からなるCDRH3
(iv)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、
RINPYNGDTFYNQKFKG (配列番号15)のアミノ酸配列からなるC
DRH2、及び
LGIYDVYHYVMEN(配列番号16)のアミノ酸配列からなるCDRH3;
(v)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、
RINPYNGDTFYNQKFQG(配列番号64)、のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び
LGIYDVYHYVMEN(配列番号16)のアミノ酸配列からなるCDRH3;
(vi)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、
RINPYNGDTFYAQKFQG(配列番号65)のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び
LGIYDVYHYVMEN(配列番号16)のアミノ酸配列からなるCDRH3;又は、
(vii)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、
RINPYNGDTLYNQKFKG(配列番号22)のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び
LGIYDVYHYVMEN(配列番号16)のアミノ酸配列からなるCDRH3。
【請求項17】
更に、以下の(a)~(f)のいずれか1つの軽鎖CDRの組み合わせを有する、請求項16に記載の抗体又はその免疫反応性断片:
(a)RASQDIRNYLN(配列番号8)のアミノ酸配列からなるCDRL1、
YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び
QQDSKHPWT(配列番号10)のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(b)QASQDIRNYLN(配列番号67)のアミノ酸配列からなるCDRL1、
YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び
QQDSKHPWT(配列番号10)のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(c)QASQDIRNYLN(配列番号67)のアミノ酸配列からなるCDRL1、
YTSRLET(配列番号68)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び
QQDSKHPWT(配列番号10)のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(d)RASQDIRNYLN(配列番号8)のアミノ酸配列からなるCDRL1、
YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び
QQDSKNPWT(配列番号17)のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(e)QASQDIRNYLN(配列番号67)のアミノ酸配列からなるCDRL1、
YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び
QQDSKNPWT(配列番号17)のアミノ酸配列からなるCDRL3;又は、
(f)QASQDIRNYLN(配列番号67)のアミノ酸配列からなるCDRL1、
YTSRLET(配列番号68)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び
QQDSKNPWT(配列番号17)のアミノ酸配列からなるCDRL3。
【請求項18】
以下のいずれかである、請求項1~請求項17のいずれか1項に記載の抗体:
VHが、配列番号2、12、19、27、29,31,33、35、45,47,49、51,及び53から選択されるいずれか1つに記載されたアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列を有し、かつ、VLが配列番号4、14,21、37,39,41、43、55,57,59,及び61から選択されるいずれか1つに記載されたアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列を有する抗体又はその免疫反応性断片;あるいは、
VHが、配列番号2、12、19、27、29,31,33、35、45,47,49、51,及び53から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、VLが、配列番号4、14,21、37,39,41、43、55,57,59,及び61から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する抗体又はその免疫反応性断片。
【請求項19】
配列番号2、12、19、27、29,31,33、35、45,47,49、51,及び53から選択されるいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するVHを有する、請求項1~請求項17のいずれか1項に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
【請求項20】
更に、配列番号4、14,21、37,39,41、43、55,57,59,及び61から選択されるいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項19に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
【請求項21】
以下の群から選択されるいずれか1つのVH及びVLの組み合わせを含む、請求項20に記載の抗体又はその免疫反応性断片:
配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号27に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号37に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号29に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号37に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号29に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号39に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号31に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号39に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号31に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号41に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号33に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号41に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号35に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号43に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号12に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号14に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号45に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号55に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号47に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号55に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号47に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号57に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号49に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号57に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号49に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号59に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号51に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号59に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号51に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号61に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号53に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号61に記載のアミノ酸配列を有するVL;
配列番号19に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号21に記載のアミノ酸配列を有するVL。
【請求項22】
請求項1~請求項21のいずれか1項に記載の抗体又はその免疫反応性断片のアミノ
酸配列をコードする核酸分子。
【請求項23】
以下の群から選択されるいずれか1つのポリヌクレオチドを含有する、請求項22に記載の核酸分子:
配列番号1に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号3に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号26に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号36に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号28に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号36に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号28に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号38に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号30に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号38に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号30に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号40に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号32に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号40に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号34に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号42に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号11に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号13に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号44に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号54に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号46に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号54に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号46に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号56に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号48に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号56に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号48に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号58に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号50に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号58に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号50に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号60に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号52に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号60に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;及び
配列番号18に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号20に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド。
【請求項24】
請求項22又は請求項23に記載の核酸分子を有するベクター。
【請求項25】
請求項24に記載のベクターを有する宿主細胞。
【請求項26】
請求項25に記載の宿主細胞を培養することを含む、請求項1~請求項21のいずれか1項に記載の抗体又はその免疫反応性断片の製造方法。
【請求項27】
請求項1~請求項21のいずれか1項に記載の抗体又はその免疫反応性断片を有効成分として含有する、医薬組成物。
【請求項28】
血管新生抑制剤である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
癌、癌転移、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加齢黄斑変性症、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、血管新生緑内障、炎症性皮膚疾患、関節リウマチ、又は変形性関節症の治療薬又は予防薬である、請求項27に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管新生抑制作用を有する受容体活性調節タンパク質2(RAMP2)に対する抗体又はその免疫反応性断片、および、そのようなRAMP2に対する抗体又はその免疫反応性断片を有効成分とする血管新生抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アドレノメジュリン(以下、「AM」という)はヒト褐色細胞腫から同定された52個のアミノ酸からなるペプチドで主として血管から分泌され血管を拡張させる働きをもつ血管作動性物質として知られている。また、この他にも臓器保護作用、組織再生作用、抗炎症作用などの多彩な作用が報告されている。受容体活性調節タンパク質2(RAMP2)は、1回膜貫通型タンパク質で、7回膜貫通型タンパク質であるカルシトニン受容体様受容体(CRLR)と複合体を形成することでAMの共受容体として機能している。その発現は血管内皮細胞に見られ、オートクライン、パラクラインでAMを受けることで細胞内cAMPが上昇しシグナルを伝達し、血管の恒常性を維持する。
【0003】
AM-RAMP2/CRLRシグナルを阻害することにより、血圧調節などの循環器疾患、さらには血管透過性の調節により炎症や浮腫、血管新生の関わる癌・網膜疾患、臓器移植などの拒絶免疫など、様々な疾患に対して医薬品の可能性が考えられる。このような阻害剤としては、AM部分配列ペプチド(アンタゴニスト)であるAM37-52が報告されている(特許文献1)。AM37-52は、アンタゴニスト活性が弱く、分子量が5kDa以下と小さいため血中動態が悪く医薬品として開発が困難である。
【0004】
その他、RAMP2に対するポリクローナル抗体やその混合物がこれまでに報告されている(特許文献2、3)が、RAMP2抗体(特にはモノクローナル抗体)単独で血管新生を効果的に抑制するには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2016/183479号
【特許文献2】国際公開WO2010/012911号
【特許文献3】国際公開WO2012/029023号
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、AM依存的なRAMP2とCRLR複合体の活性化を阻害する抗RAMP2抗体、特にはHUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)の増殖抑制能を有する抗RAMP2抗体を取得するため、ヒトRAMP2タンパクをコードするペプチド断片を免疫しポリクローナル抗体を作製した。しかしながら、抗血清由来のポリクローナル抗体にはcAMP抑制能は見られなかった。そこで、RAMP2の細胞外ドメインを無細胞合成したタンパクを免疫することにより、抗RAMP2抗体の取得を試みた。抗原として、RAMP2タンパク単体の他、共受容体であるCRLRとの複合タンパク質を使用した結果、優れたcAMP抑制能を有する抗RAMP2抗体が得られた。しかし、これらの抗体はHUVECの増殖を抑制する作用は示さなかった。
【0007】
そこで、本発明者らは、遺伝子導入した過剰発現細胞を抗原として免疫した。ヒトRAMP2遺伝子単独ではAMペプチドの受容体としては機能しないため、RAMP2遺伝子をCRLR遺伝子とともに共発現させた線維芽細胞株NIH-3T3細胞を作製した。
【0008】
しかし、RAMP2タンパクは全長175アミノ酸(20kDa)で、特に細胞外ドメインは102アミノ酸(12kDa)の小さい分子であり、ヒトRAMP2とマウスRAMP2の相同性が高く細胞外ドメインの62%が同一アミノ酸をコードするため、ヒトRAMP2の機能ドメインに対して免疫が成立しにくく、通常のラット、ハムスター、又はマウスへの免疫では良質な抗体が取得できなかった。そこで、過剰免疫により自己に対して免疫反応(自己抗体)を生じるMRL/lprマウスを免疫することにより、機能性に優れた抗RAMP2抗体を含む抗RAMP2抗体の取得に成功した。
【0009】
得られたハイブリドーマから機能性に優れた抗RAMP2抗体をスクリーニングするため、遺伝子導入した過剰発現細胞のCell ELISAを実施した。抗原に使用したマウスNIH-3T3細胞では細胞自身に対する抗体の結合のため、擬陽性が見られる事から、ハムスター卵巣細胞(CHO-K1)にヒトRAMP2-CRLRを遺伝子導入して得られた安定発現細胞(hCR2-CHOK1)をCell ELISAに用いた。
【0010】
Cell ELISAで選択された候補抗体について、hCR2-CHOK1細胞を用いAM添加による細胞内cAMPの上昇を抑制するか否かを指標としてシグナル阻害抗体をスクリーニングした。さらに、選択されたシグナル阻害抗体について生物活性の阻害試験としてAM添加によるHUVECの増殖を阻害できる抗体をスクリーニングし、cAMP阻害作用及びHUVEC増殖抑制作用を有する抗RAMP2抗体を取得することに成功した。
【0011】
よって、本発明は、cAMP阻害作用及びHUVEC増殖抑制作用を有する抗RAMP2抗体に関し、また当該抗体を有効成分として含有する血管新生抑制剤に関する。
(1) in vitroのアドレノメジュリン添加による血管内皮細胞増殖試験において、血管内皮細胞の増殖抑制作用を有する、受容体活性調節タンパク質2(RAMP2)に特異的に結合する抗体又はその免疫反応性断片。
(2) 前記血管内皮細胞の増殖抑制作用が、0.5~5nMのIC50値である、(1)に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
(3) アドレノメジュリン添加による動物細胞によるcAMP産生を抑制する作用を有する、(1)又は(2)に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
(4) in vitroのアドレノメジュリン添加による動物細胞によるcAMP産生試験において、cAMP産生抑制作用が、0.03~0.5nMのIC50値である、(3)に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
(5) 配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)及び配列番号4に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)を含む抗体、配列番号12に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号14に記載のアミノ酸配列を有するVLを含む抗体、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号21に記載のアミノ酸配列を有するVLを含む抗体から選択されるいずれか1種類の抗体とRAMP2への結合において競合する抗体又はその免疫反応性断片、あるいは、
配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するVLを含む抗体、配列番号12に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号14に記載のアミノ酸配列を有するVLを含む抗体、及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号21に記載のアミノ酸配列を有するVLを含む抗体から選択されるいずれか1種類の抗体と同じエピトープに結合する抗体又はその免疫反応性断片。(6) LX1IX2DX3YX4YX5MX6X7(配列番号24)のアミノ酸配列であって、ここで、X1はG又はMであり、X2はF又はYであり、X3はA又はVであり、X4は存在しないかHであり、X5はAかVであり、X6はDかEであり、かつ、X7はYかNであるアミノ酸配列からなる重鎖相補性決定領域(CDRH)3を有する重鎖を含む抗体又はその免疫反応性断片。
(7) LMIFDAYYAMDY(配列番号7)又はLGIYDVYHYVMEN(配
列番号16)のアミノ酸配列からなるCDRH3を有する重鎖を含む、(6)に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
(8) GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、RX8NPYNGDX9X10YNQKFKG(配列番号23)のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び、LX1IX2DX3YX4YX5MX6X7(配列番号24)のアミノ酸配列からなるCDRH3を有する重鎖を含む、(6)に記載の抗体又はその免疫反応性断片、
ここで、X1はG又はMであり、X2はF又はYであり、X3はA又はVであり、X4は存在しないかHであり、X5はAかVであり、X6はDかEであり、X7はYかNであり、X8はN又はIであり、X9はS又はTであり、X10はI、F又はLである。
(9) 更に、RASQDIRNYLN(配列番号8)のアミノ酸配列からなる軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及びQQDSKX11PWT(配列番号25)のアミノ酸配列からなるCDRL3を有する軽鎖を含む、(8)に記載の抗体又はその免疫反応性断片、
ここで、X11はH又はNである。
(10) (i)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、
RNNPYNGDSIYNQKFKG(配列番号6)のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び
LMIFDAYYAMDY(配列番号7)のアミノ酸配列からなるCDRH3を有するか、
(ii)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、
RINPYNGDTFYNQKFKG(配列番号15)のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び
LGIYDVYHYVMEN(配列番号16)のアミノ酸配列からなるCDRH3を有するか、又は
(iii)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、
RINPYNGDTLYNQKFKG(配列番号22)のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び
LGIYDVYHYVMEN(配列番号16)のアミノ酸配列からなるCDRH3を有する、(6)に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
(11) 更に、(i)の場合、RASQDIRNYLN(配列番号8)のアミノ酸配列からなるCDRL1、
YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び
QQDSKHPWT(配列番号10)のアミノ酸配列からなるCDRL3を有し、
(ii)の場合、RASQDIRNYLN(配列番号8)のアミノ酸配列からなるCDRL1、
YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び
QQDSKNPWT(配列番号17)のアミノ酸配列からなるCDRL3を有し、
(iii)の場合、RASQDIRNYLN(配列番号8)のアミノ酸配列からなるCDRL1、
YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び
QQDSKNPWT(配列番号17)のアミノ酸配列からなるCDRL3を有する、(10)に記載の抗体又はその免疫反応性断片。
(12) 以下の群から選択されるいずれか1つの抗体又はその免疫反応性断片である、(1)~(11)のいずれか1項に記載の抗体:
VHが、配列番号2に記載されたアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列を有し、かつ、VLが配列番号4に記載されたアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列を有する抗体又はその免疫反応性断片;
VHが、配列番号12に記載されたアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列を有し、かつ、VLが配列番号14に記載されたアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列を有する抗体又はその免疫反応性断片;
VHが、配列番号19に記載されたアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列を有し、かつ、VLが配列番号21に記載されたアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列を有する抗体又はその免疫反応性断片;
VHが、配列番号2のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、VLが、配列番号4のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する抗体又はその免疫反応性断片;
VHが、配列番号12のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、VLが、配列番号14のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する抗体又はその免疫反応性断片;及び
VHが、配列番号19のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、VLが、配列番号21のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する抗体又はその免疫反応性断片。
(13) 以下の群から選択されるいずれか1つの抗体又はその免疫反応性断片である(11)に記載の抗体又はその免疫反応性断片:
配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するVLを含む抗体又はその免疫反応性断片;
配列番号12に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号14に記載のアミノ酸配列を有するVLを含む抗体又はその免疫反応性断片;及び
配列番号19に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号21に記載のアミノ酸配列を有するVLを含む抗体又はその免疫反応性断片。
(14) (1)~(13)のいずれか1項に記載の抗体又はその免疫反応性断片のアミノ酸配列をコードする核酸分子。
(15) 配列番号1に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号3に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;
配列番号11に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号13に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチド;又は
配列番号18に記載のヌクレオチド配列を有するVHをコードするポリヌクレオチド、及び配列番号20に記載のヌクレオチド配列を有するVLをコードするポリヌクレオチドを含有する、(14)に記載の核酸分子。
(16) (14)又は(15)に記載の核酸分子を有するベクター。
(17) (16)に記載のベクターを有する宿主細胞。
(18) (17)の宿主細胞を培養することを含む、(1)~(13)のいずれか1項に記載の抗体又はその免疫反応性断片の製造方法。
(19) (1)~(13)のいずれか1項に記載の抗体又はその免疫反応性断片を有効成分として含有する、医薬組成物。
(20) 血管新生抑制剤である、(19)に記載の医薬組成物。
(21) 癌、癌転移、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加齢黄斑変性症、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、血管新生緑内障、炎症性皮膚疾患、関節リウマチ、又は変形性関節症の治療薬又は予防薬である、(19)に記載の医薬組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の抗体又はその免疫反応性断片は、細胞表面に発現したRAMP2に結合して単
独で血管内皮細胞の増殖を抑制することができることから、新規なメカニズムに基づく血管新生抑制剤、及び血管新生が発症又は増悪化に寄与する疾患又は障害の治療薬又は予防薬を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】hCR2-CHOK1細胞を用いて、AM添加時のcAMP産生に対する各種抗RAMP2抗体(10nM)の抑制効果を表すグラフである。縦軸は、AM添加/抗体非投与(コントロール)のcAMP量(100%)に対する、各群のcAMP量の割合(%)を示す。横軸は、AM及び抗体の添加の有無、及び添加した抗体を示す。
【
図2】hCR2-CHOK1細胞を用いて、各種濃度の25H4-4F9抗体、85H7-2B11抗体、及び33H4-1G3抗体のAM添加によるcAMP産生の抑制能を測定した結果を表すグラフである。縦軸は、抗体非添加時のcAMP量(100%)に対する、各抗体投与時のcAMP量の割合(%)を示す。横軸は、抗体濃度(nM)を示す。
【
図3】AM添加によるHUVEC増殖に対する、各種抗RAMP2抗体(10nM)の抑制作用を示すグラフである。縦軸は、AM添加/抗体非投与(コントロール)のHUVEC細胞数(100%)に対する、各群のHUVEC細胞数の割合(%)を示す。横軸は、AM及び抗体の添加の有無、及び添加した抗体を示す。
【
図4】HUVECを用いて、各種濃度の25H4-4F9抗体、85H7-2B11抗体、及び33H4-1G3抗体のAM添加による増殖の抑制能を測定した結果を表すグラフである。縦軸は、抗体非添加時のHUVEC細胞数(100%)に対する、各抗体投与時のHUVEC細胞数の割合(%)を示す。横軸は、抗体濃度(nM)を示す。
【
図5】25H4-4F9抗体のVH(配列番号2)及び軽鎖可変領域(配列番号4)、85H7-2B11抗体のVH(配列番号12)及び軽鎖可変領域(配列番号14)、及び33H4-1G3抗体のVH(配列番号19)及び軽鎖可変領域(配列番号21)のアミノ酸配列、及びそれらに含まれるCDR部分を示す。
【
図6】取得した抗体が抗RAMP2特異的である事をCell ELISAによって確認した結果を示すグラフである。横軸は、使用した抗体を示す。ドットの白抜きバーはヒトCRLR単独の発現細胞を用いた結果を示し、黒色のバーはヒトCRLRとヒトRAMP2を共発現させた細胞(hCR2-CHOK1)を示す。縦軸は、これら発現細胞への各抗体の結合量(OD450)を示す。
【
図7】実施例1で得られた25H4-4F9(黒四角)、85H7-2B11(黒丸)、及び33H4-1G3(黒三角)、並びに、市販の抗RAMP2抗体である、4E5(白丸)、2F5(白四角)、及びB5(白三角)を用いて、Cell ELISAによる細胞膜表面タンパクに対する結合親和性を解析した結果を示すグラフである。縦軸は結合割合(%)、横軸は抗体濃度(nM)のlog値を表す。各抗体について、結合割合が50%となる抗体濃度をグラフから求めてEC50値とした。
【
図8】実施例1で得られた25H4-4F9、85H7-2B11、及び33H4-1G3、並びに、市販の抗RAMP2抗体である、4E5、2F5、及びB5を被検抗体として、細胞膜表面上の抗原に対する結合をFACSで解析した結果を表すグラフである。各グラフの上部に使用した各被検抗体名を示す。各グラフの縦軸は細胞数(×10
3細胞)、横軸は細胞に結合したR-Phycoerythrin標識二次抗体の蛍光強度を示す。グラフ中、左側に位置するピークはコントロール(各被検抗体非存在下)を示し、右側に位置するピークは各被検抗体存在下を表す。
【
図9】実施例1で得られた25H4-4F9(黒三角)、85H7-2B11(黒丸)、及び33H4-1G3(黒四角)、並びに市販抗体4E5(白丸)の細胞表面上の抗原への結合がビオチン化85H7-2B11抗体と競合するか否かをFACSにより解析した結果を示すグラフである。縦軸は細胞に結合したビオチン化85H7-2B11抗体と結合した蛍光標識の蛍光強度の平均値(MFI)、横軸は使用した各抗体の濃度(μg/mL)を表す。標識化抗体と同じ抗体で競合させた85H7-2B11(黒丸)の結果は、結合が競合していることを示す。
【
図10】25H4-4F9抗体の配列を基にデザインされたヒト化抗体の重鎖(Heavy Chain)及び軽鎖(Light Chain)の可変領域の配列を示す。25H4-4F9抗体のVHの配列h25H4-4F9vh(配列番号2)を基に、h25H4-4F9vh1(配列番号27)、h25H4-4F9vh2(配列番号29)、h25H4-4F9vh3(配列番号31)、h25H4-4F9vh4(配列番号33)、及びh25H4-4F9vh5(配列番号35)をデザインした。また、25H4-4F9抗体のVLの配列h25H4-4F9vk(配列番号4)を基に、h25H4-4F9vk1(配列番号37)、h25H4-4F9vk2(配列番号39)、h25H4-4F9vk3(配列番号41)、及びh25H4-4F9vk4(配列番号43)をデザインした。下線部は各CDR配列を示す。
【
図11】85H7-2B11抗体の配列を基にデザインされたヒト化抗体の重鎖(Heavy Chain)及び軽鎖(Light Chain)の可変領域の配列を示す。85H7-2B11抗体のVHの配列h85H7-2B11vh(配列番号12)を基に、h85H7-2B11vh1(配列番号45)、h85H7-2B11vh2(配列番号47)、h85H7-2B11vh3(配列番号49)、h85H7-2B11vh4(配列番号51)、及びh85H7-2B11vh5(配列番号53)をデザインした。また、85H7-2B11抗体のVLの配列h85H7-2B11vk(配列番号14)を基に、h85H7-2B11vk1(配列番号55)、h85H7-2B11vk2(配列番号57)、h85H7-2B11vk3(配列番号59)、及びh85H7-2B11vk4(配列番号61)をデザインした。下線部は各CDR配列を示す。
【
図12】hCR2-CHOK1細胞を用いて、16.7nMのヒト化25H4-4F9抗体(25H4-4F9v1、25H4-4F9v2、25H4-4F9v3、25H4-4F9v4、25H4-4F9v5、25H4-4F9v6、及び25H4-4F9v8)のAM添加によるcAMP産生の抑制能を測定した結果を表すグラフである。縦軸は、抗体非添加時のcAMP量(100%)に対する、各抗体投与時のcAMP量の割合(%)を示す。横軸は、AM添加の有無及び使用した抗体を示す。
【
図13】hCR2-CHOK1細胞を用いて、16.7nMのヒト化85H7-2B11抗体(85H7-2B11v1、85H7-2B11v2、85H7-2B11v3、85H7-2B11v4、85H7-2B11v5、85H7-2B11v6、85H7-2B11v7、及び85H7-2B11v8)のAM添加によるcAMP産生の抑制能を測定した結果を表すグラフである。縦軸は、抗体非添加時のcAMP量(100%)に対する、各抗体投与時のcAMP量の割合(%)を示す。横軸は、AM添加の有無及び使用した抗体を示す。
【
図14】hCR2-CHOK1細胞を用いて、各種濃度のヒト化25H4-4F9抗体(25H4-4F9v1、25H4-4F9v2、25H4-4F9v3、25H4-4F9v4、25H4-4F9v5、25H4-4F9v6、及び25H4-4F9v8)(上図)、及びヒト化85H7-2B11抗体(85H7-2B11v1、85H7-2B11v2、85H7-2B11v3、85H7-2B11v4、85H7-2B11v5、85H7-2B11v6、85H7-2B11v7、及び85H7-2B11v8)(下図)のAM添加によるcAMP産生の抑制能を測定した結果を表すグラフである。各グラフにおいて縦軸は、抗体非添加時のcAMP量(100%)に対する、各抗体投与時のcAMP量の割合(%)を示す。横軸は、抗体濃度(nM)のlog値を示す。凡例と共に、各抗体のIC50値(グラフにおいてcAMPを50%阻害する濃度)を示す。
【
図15】ヒト化25H4-4F9抗体(25H4-4F9v1、25H4-4F9v2、25H4-4F9v3、25H4-4F9v4、25H4-4F9v5、25H4-4F9v6、及び25H4-4F9v8)(上図)、及びヒト化85H7-2B11抗体(85H7-2B11v1、85H7-2B11v2、85H7-2B11v3、85H7-2B11v4、85H7-2B11v5、85H7-2B11v6、85H7-2B11v7、及び85H7-2B11v8)(下図)を6.7nM用いて、Cell ELISAを行い、細胞膜表面タンパクに対する結合親和性を解析した結果を示すグラフである。縦軸は結合割合(OD450%)、横軸は用いた抗体を表す。
【
図16】ヒト化25H4-4F9抗体(25H4-4F9v1、25H4-4F9v2、25H4-4F9v3、25H4-4F9v4、25H4-4F9v5、25H4-4F9v6、及び25H4-4F9v8)(上図)、及びヒト化85H7-2B11抗体(85H7-2B11v1、85H7-2B11v2、85H7-2B11v3、85H7-2B11v4、85H7-2B11v5、85H7-2B11v6、85H7-2B11v7、及び85H7-2B11v8)(下図)を用いて、Cell ELISAによる細胞膜表面タンパクに対する結合親和性を解析した結果を示すグラフである。縦軸は結合割合(%)、横軸は抗体濃度(nM)のlog値を表す。各抗体について、結合割合が50%となる抗体濃度をグラフから求めてEC50値とした。凡例と共に、各抗体のEC50値(nM)を示す。
【
図17】抗体のエピトープを解析した結果を表すグラフである。縦軸は結合した抗体量をOD450(二次抗体の発色強度)で表す。横軸は結合に用いたRAMP2の細胞外領域に由来する各ペプチドを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(抗体又はその免疫反応性断片)
本発明の抗体は、RAMP2と特異的に結合する。特には、本発明の抗体は細胞膜又は細胞表面上に発現したRAMP2と特異的に結合する。本明細書において、抗体又はその免疫反応性断片が「特異的に」認識する(結合する)とは、その抗体又はその免疫反応性断片が他のタンパク質やペプチドに対する親和性よりも、RAMP2に対して実質的に高い親和性で結合することを意味する。ここで、「実質的に高い親和性で結合する」とは、所望の測定装置または方法によって、目的とする特定のタンパク質やペプチドを他のタンパク質やペプチドから区別して検出することが可能な程度に高い親和性を意味する。例えば、実質的に高い親和性は、ELISA又はEIAにより検出された強度(例えば、蛍光強度)として、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、100倍以上であることを意味していてもよい。
【0015】
本発明の抗体とRAMP2との結合における結合速度定数(Ka1)としては、例えば、1×104Ms-1以上、1×105Ms-1以上、5×105Ms-1以上を挙げることができる。また、本発明の抗体とRAMP2との結合における解離速度定数(Kd1)としては、例えば、1×10-3以下、1×10-4以下を挙げられる。本発明の抗体とRAMP2との結合における結合定数(KD)としては、例えば、1×10-8(M)以下、5×10-8(M)以下、1×10-9(M)以下、5×10-9(M)以下であり得る。本明細書における抗体の結合速度定数(Ka1)、解離速度定数(Kd1)、及び結合定数(KD)はBIACORE(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社,BIACORE-X100)を用いて、製造者提供のマニュアルに従い、SAチップにビオチン化RAMP2を固定後、被検抗体を流し、結合速度定数Ka1、解離速度定数Kd1を測定し、bivalentフィッティングを用いて結合定数KD値を決定することができる。
【0016】
本発明の抗体は、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよいが、好ましくは、モノクローナル抗体である。本発明において、「モノクローナル抗体」は、単一な抗原決定基と反応する、構造がほぼ均一な抗体である。更に、本発明の抗体は、非ヒト動物の抗体、非ヒト動物の抗体のアミノ酸配列とヒト由来の抗体のアミノ酸配列を有する抗体、及び、ヒト抗体を包含する。非ヒト動物の抗体としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ラビット、イヌ、サル、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ニ
ワトリ、アヒル等の抗体を挙げることができ、好ましくは、ハイブリドーマを作製することができる動物の抗体であり、より好ましくはマウス、ラット又はウサギの抗体である。非ヒト動物の抗体のアミノ酸配列とヒト由来の抗体のアミノ酸配列を有する抗体としては、ヒト型キメラ抗体、ヒト化抗体を挙げることができる。上記において、「キメラ抗体」とは、非ヒト動物由来であってRAMP2と特異的に結合する抗体の定常領域をヒトの抗体と同じ定常領域を有するように遺伝子工学的に改変した抗体のことであり、好ましくは、ヒト・マウス・キメラ抗体(欧州特許公開公報EP0125023参照)である。「ヒト化抗体」とは、非ヒト動物由来であってRAMP2と特異的に結合する抗体のH鎖とL鎖の相補認識領域(CDR)以外の一次構造をヒトの抗体に対応する一次構造に遺伝子工学的に改変した抗体のことである。ここで、CDRとは、Kabatら(“Sequences of Proteins of Immunological Interest”,Kabat,E.ら,U.S.Department of Health and Human Services,1983)またはChothiaら(Chothia&Lesk(1987)J.Mol.Biol.,196:901-917)のいずれの定義によるものであってもよい。「ヒト抗体」とは、完全にヒト由来の抗体遺伝子の発現産物であるヒト抗体のことであり、例えば、ヒトの抗体産生に関与する遺伝子を導入したトランスジェニック動物を用いて作製したモノクローナル抗体(欧州特許公開公報EP0546073参照)等を挙げることができる。例えば、本発明の抗体を治療、予防、又は体内に投与することにより用いる診断に使用する場合には、本発明の抗体として好ましくは、ヒト・非ヒト動物のキメラ抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体である。また、好ましくは本発明の抗体は天然に存在しない抗体である。
【0017】
本発明の抗体のイムノグロブリンクラスは特に限定されるものではなく、IgG、IgM、IgA、IgE、IgD、又はIgYのいずれのイムノグロブリンクラス(アイソタイプ)であってもよく、好ましくはIgGである。また、本発明の抗体がIgGの場合、いずれのサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)であってもよい。また、本発明の抗体は、モノスペシフィック、バイスペシフィック(二重特異性抗体)、トリスペシフィック(三重特異性抗体)(例えば、WO1991/003493号)、又はマルチスペシフィック(多重特異性抗体)であってもよい。
【0018】
抗体はその可変領域(特には、CDRs)が結合特性を付与していることが知られており、完全抗体でない抗体断片であってもその結合特性を利用可能であることが当業者に広く知られている。本明細書において、「免疫反応性断片」とは、抗体の一部分(部分断片)を含むタンパク質又はペプチドであって、抗体の抗原への作用(免疫反応性・結合性)を保持するタンパク質又はペプチドを意味する。このような免疫反応性断片としては、例えば、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fab3、一本鎖Fv(以下、「scFv」という)、(タンデム)バイスペシフィック一本鎖Fv(sc(Fv)2)、一本鎖トリプルボディ、ナノボディ、ダイバレントVHH、ペンタバレントVHH、ミニボディ、(二本鎖)ダイアボディ、タンデムダイアボディ、バイスペシフィックトリボディ、バイスペシフィックバイボディ、デュアルアフィニティリターゲティング分子(DART)、トリアボディ(又はトリボディ)、テトラボディ(又は[sc(Fv)2]2)、若しくは(scFv-SA)4)ジスルフィド結合Fv(以下、「dsFv」という)、コンパクトIgG、重鎖抗体、又はそれらの重合体を挙げることができる(Nature Biotechnology, 29(1):5-6 (2011);Maneesh Jain et al., TRENDS in Biotechnology, 25(7)(2007):307-316;及び、Christoph steinら、Antibodies(1):88-123(2012)参照)。本明細書において、免疫反応性断片は、モノスペシフィック、バイスペシフィック(二重特異性)、トリスペシフィック(三重特異性)、及びマルチスペシフィック(多重特異性)のいずれであってもよい。本明細書において、特にそのように解釈することが不整合である場合を除き、「抗体」の語は
抗体の免疫反応性断片をも含むことを意図している。
【0019】
一態様において、本発明は、25H4-4F9抗体、25H4-4F9v1抗体、25H4-4F9v2抗体、25H4-4F9v3抗体、25H4-4F9v4抗体、25H4-4F9v5抗体、25H4-4F9v6抗体、25H4-4F9v8抗体、85H7-2B11抗体、85H7-2B11v1抗体、85H7-2B11v2抗体、85H7-2B11v3抗体、85H7-2B11v4抗体、85H7-2B11v5抗体、85H7-2B11v6抗体、85H7-2B11v7抗体、85H7-2B11v8抗体、又は33H4-1G3抗体に関する。これらの抗体はそれぞれ、表2に示された配列番号に記載のアミノ酸配列からなる重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を有する。
【0020】
一態様において、本発明の抗体は、細胞表面上のRAMP2内の細胞外領域の立体構造を特異的に認識する。例えば、本発明の抗体は、25H4-4F9抗体、25H4-4F9v1抗体、25H4-4F9v2抗体、25H4-4F9v3抗体、25H4-4F9v4抗体、25H4-4F9v5抗体、25H4-4F9v6抗体、25H4-4F9v8抗体、85H7-2B11抗体、85H7-2B11v1抗体、85H7-2B11v2抗体、85H7-2B11v3抗体、85H7-2B11v4抗体、85H7-2B11v5抗体、85H7-2B11v6抗体、85H7-2B11v7抗体、85H7-2B11v8抗体、又は33H4-1G3抗体が結合する、細胞表面上のRAMP2内に存在し得るエピトープを特異的に認識する。
【0021】
また、本発明の抗体は、RAMP2の細胞外領域を構成するアミノ酸配列の一次構造をエピトープとして認識しない。ここで、アミノ酸配列の一次構造をエピトープとして認識しないとは、ホールディングされていない(立体構造を形成していない)直鎖状の当該アミノ酸配列からなるペプチド又はタンパク質とは結合しないことを意味する。より具体的には、本発明の抗体は、RAMP2の細胞外領域を構成するアミノ酸配列である、配列番号71~101に記載の各アミノ酸配列を有するペプチドにいずれとも結合しない。
【0022】
本明細書において、被検抗体が、目的のエピトープ(例えば、上述の特定の抗体が結合するエピトープ)、抗原、又はペプチドと「特異的に結合する(認識する)」か否かは、当該エピトープを有するペプチド若しくはタンパク質、当該抗原、又は当該ペプチドへの当該抗体の結合と、その他のペプチド、タンパク質又はその他の抗原への当該抗体の結合を調べることにより判定することができる。特に、本発明の抗体は、細胞表面上のRAMP2内の細胞外領域の立体構造を特異的に認識することから、前記方法における当該エピトープを有するタンパク質として、細胞表面上に発現させたRAMP2を用いることにより結合特異性を判定することができる。目的のエピトープを有するペプチド若しくはタンパク質、目的の抗原、又は目的のペプチドと結合し、その他のペプチド、タンパク質、又はその他の抗原と結合しない場合、当該被検抗体は目的のエピトープ、抗原、又はペプチドと特異的に結合する(認識する)と判定される。
【0023】
また、本明細書において、被検抗体が、特定のペプチド又はタンパク質と結合しないことは、当該ペプチド若しくはタンパク質への当該抗体の結合を調べることにより判定することができる。
【0024】
別の態様において、本発明の抗体は、25H4-4F9抗体、25H4-4F9v1抗体、25H4-4F9v2抗体、25H4-4F9v3抗体、25H4-4F9v4抗体、25H4-4F9v5抗体、25H4-4F9v6抗体、25H4-4F9v8抗体、85H7-2B11抗体、85H7-2B11v1抗体、85H7-2B11v2抗体、85H7-2B11v3抗体、85H7-2B11v4抗体、85H7-2B11v5抗体、85H7-2B11v6抗体、85H7-2B11v7抗体、85H7-2B11v
8抗体、又は33H4-1G3抗体(本段落において、「25H4-4F9抗体等」という)と、RAMP2(特には、細胞表面上のRAMP2)への結合において競合する。被検抗体が、25H4-4F9抗体等と、RAMP2への結合において競合するか否かは、標識化された25H4-4F9抗体等を被検抗体と共に抗原(RAMP2)に接触させることにより決定することができる。好ましくは、コントロールとして、被検抗体非存在下で標識化25H4-4F9抗体等を単独で抗原(RAMP2)に接触させたものを用いることができる。抗原に結合した標識化25H4-4F9抗体等の標識量を比較して、被検抗体と同時に抗原に接触させた場合の標識化25H4-4F9抗体等の抗原への結合量が被検抗体非存在下で抗原に接触させた場合の標識化25H4-4F9抗体等の抗原への結合量よりも少ない場合には、当該被検抗体は用いた25H4-4F9抗体等と競合すると決定することができる。
【0025】
抗体とタンパク質又はペプチドとの結合の測定方法は、例えば、EIA法、ELISA法、FACS法、共免疫沈降法、プルダウンアッセイ法、ファーウェスタンブロッティング法、ホモバイファンクショナルクロスリンカー若しくはヘテロバイファンクショナルクロスリンカーを利用するクロスリンク法、ラベル転移反応法、相互作用マッピング法、表面プラズモン共鳴法、FRET(Fluorescence resonance energy transfer)法、BIACORE法、AlphaScreen(登録商標)やAlphaLISA(登録商標)などのAlphaPPIアッセイ(PerkinElmer)など、多様な方法が本技術分野において周知であり、目的とする結合の検出に応じて適宜好ましい方法を採用することができる。
【0026】
一態様において、本発明は、VHが、配列番号2、12、19、27、29,31,33、35、45,47,49、51,及び53から選択されるいずれか1つに記載されたアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列を有し、かつ、VLが配列番号4、14,21、37,39,41、43、55,57,59,及び61から選択されるいずれか1つに記載されたアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列を有する抗体又はその免疫反応性断片に関する。本明細書において、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするとは、当業者に通常用いられるハイブリダイゼーション条件でハイブリダイズすることを意味する。例えば、Molecular Cloning,A Laboratory Mannual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)記載の方法によりハイブリダイズするか否かを決定することができる。例えば、ハイブリダイズの条件は、6×SSC(0.9M NaCl,0.09M クエン酸三ナトリウム)または6×SSPE(3M NaCl,0.2M NaH2PO4,20mM EDTA・2Na,pH7.4)中42℃でハイブリダイズさせ、その後42℃で0.5×SSCで洗浄する条件であってもよい。好ましくは、本発明は、VHが、配列番号2、12、19、27、29,31,33、35、45,47,49、51,又は53に記載されたアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列を有し、かつ、それぞれ順に、VLが配列番号4、14,21、37,39,41、43、55,57,59,又は61に記載されたアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列を有する抗体又はその免疫反応性断片である。
【0027】
また、本発明は、VHが、配列番号2、12、19、27、29,31,33、35、45,47,49、51,及び53から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、VLが、配列番号4、14,21、37,39,41、43、55,57,59,及び61から選択されるいずれか1つのアミ
ノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する抗体又はその免疫反応性断片に関する。アミノ酸配列の同一性は、2種類のタンパク質間において,比較対象とするアミノ酸配列範囲における種類が同一なアミノ酸数の割合(%)を意味し、例えば、BLAST、FASTA等の公知のプログラムを用いて決定することができる。本発明の抗体としては、例えば、VHが、配列番号2、12、19、27、29,31,33、35、45,47,49、51,及び53から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列と85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、又は99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、VLが、配列番号4、14,21、37,39,41、43、55,57,59,及び61から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列と85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、又は99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する抗体又はその免疫反応性断片であってもよい。好ましくは、本発明の抗体は、VHが、配列番号2、12、19、27、29,31,33、35、45,47,49、51,及び53から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列と80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、又は99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、それぞれ順に、VLが、配列番号4、14,21、37,39,41、43、55,57,59,及び61から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列と80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、又は99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する抗体又はその免疫反応性断片である。
【0028】
好ましくは、本発明は、本明細書の表2に記載の配列番号に記載された重鎖(VC)と軽鎖(LC)のアミノ酸配列、又はVHとVLのアミノ酸配列、又はCDRH1~3とCDRL1~3のアミノ酸配列の組み合わせを有する抗体である。
【0029】
上述のVH及びVLが、特定のアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列を有する抗体又はその免疫反応性断片、並びに、VH及びVLが、特定のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する抗体又はその免疫反応性断片は、好ましくは、以下に記載されたCDRHs及びCDRLsを有する。
【0030】
一態様において、本発明は、LX1IX2DX3YX4YX5MX6X7(配列番号24)のアミノ酸配列からなる重鎖相補性決定領域(CDRH)3を有する重鎖を含む抗体又はその免疫反応性断片に関する。ここで、X1はG又はMであり、X2はF又はYであり、X3はA又はVであり、X4は存在しないかHであり、X5はAかVであり、X6はDかEであり、X7はYかNである。好ましくは、本発明はLMIFDAYYAMDY(配列番号7)又はLGIYDVYHYVMEN(配列番号16)のアミノ酸配列からなるCDRH3を有する重鎖を含む抗体又はその免疫反応性断片である。抗体において、CDRH3がその特異性決定において重要であることは既に知られている(Xu JLら、Immunity. 2000 Jul;13(1):37-45.)。CDRH3は、好ましくは、LMIFDAYYAMDY(配列番号7)又はLGIYDVYHYVMEN(配列番号16)のアミノ酸配列を有する。
【0031】
好ましくは、本発明の抗体又はその免疫反応性断片は、GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1を有する。
また、好ましくは、本発明の抗体又はその免疫反応性断片は、RX8NPYNGDX9X10YX11QKFX12G(配列番号66)又はRX8NPYNGDX9X10YNQKFKG(配列番号23)のアミノ酸配列からなるCDRH2を有する。ここで、X8はN又はIであり、X9はS又はTであり、X10はI、F又はLであり、X11はA又はNであり、X12はQ又はKである。CDRH2は、好ましくは、RNNPYNGDSIYNQKFKG(配列番号6)、RINPYNGDTFYNQKFKG (配列番号15)、RINPYNGDTLYNQKFKG(配列番号22)、RNNPYNGDSIY
NEKFQG(配列番号62)、RNNPYNGDSIYAEKFQG(配列番号63)、RINPYNGDTFYNQKFQG(配列番号64)、又はRINPYNGDTFYAQKFQG(配列番号65)のアミノ酸配列を有する。
【0032】
更に好ましくは、本発明の抗体又はその免疫反応性断片は、X13ASQDIRNYLN(配列番号69)のアミノ酸配列からなる軽鎖相補性決定領域(CDRL)1を有する。ここで、X13はQ又はRである。CDRL1は、好ましくは、RASQDIRNYLN(配列番号8)又はQASQDIRNYLN(配列番号67)のアミノ酸配列を有する。
【0033】
また、本発明の抗体又はその免疫反応性断片は、YTSRLX14X15(配列番号70)のアミノ酸配列からなるCDRL2を有する。ここで、X14はE又はHであり、X15はS又はTである。CDRL2は、好ましくは、YTSRLHS(配列番号9)又はYTSRLET(配列番号68)のアミノ酸配列を有する。
【0034】
また、本発明の抗体又はその免疫反応性断片は、及びQQDSKX16PWT(配列番号25)のアミノ酸配列からなるCDRL3を有する。ここで、X16はH又はNである。CDRL3は、好ましくはQQDSKHPWT(配列番号10)又はQQDSKNPWT(配列番号17)のアミノ酸配列を有する。
【0035】
一例において、本発明の抗体は以下の(i)~(vii)のいずれか1つの重鎖CDRの組み合わせを有する:
(i)配列番号5のアミノ酸配列からなるCDRH1、配列番号6のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列番号7のアミノ酸配列からなるCDRH3;
(ii)配列番号5のアミノ酸配列からなるCDRH1、配列番号62のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列番号7のアミノ酸配列からなるCDRH3;
(iii)配列番号5のアミノ酸配列からなるCDRH1、配列番号63のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列番号7のアミノ酸配列からなるCDRH3;
(iv)配列番号5のアミノ酸配列からなるCDRH1、配列番号15のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列番号16のアミノ酸配列からなるCDRH3;
(v)配列番号5のアミノ酸配列からなるCDRH1、配列番号64のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列番号16のアミノ酸配列からなるCDRH3;
(vi)配列番号5のアミノ酸配列からなるCDRH1、配列番号65のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列番号16のアミノ酸配列からなるCDRH3;又は、
(vii)配列番号5のアミノ酸配列からなるCDRH1、RINPYNGDTLYNQKFKG(配列番号22)のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列番号16のアミノ酸配列からなるCDRH3。
【0036】
更に、本発明の抗体は、以下の(a)~(f)のいずれか1つの軽鎖CDRの組み合わせを有していてもよい:
(a)配列番号8のアミノ酸配列からなるCDRL1、配列番号9のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び配列番号10のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(b)QASQDIRNYLN(配列番号67)のアミノ酸配列からなるCDRL1、配列番号9のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び配列番号10のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(c)配列番号67のアミノ酸配列からなるCDRL1、配列番号68のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び配列番号10のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(d)配列番号8のアミノ酸配列からなるCDRL1、配列番号9のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び配列番号17のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(e)配列番号67のアミノ酸配列からなるCDRL1、配列番号9のアミノ酸配列から
なるCDRL2、及び配列番号17のアミノ酸配列からなるCDRL3;又は、
(f)配列番号67のアミノ酸配列からなるCDRL1、配列番号68のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び配列番号17のアミノ酸配列からなるCDRL3。
【0037】
例えば、本発明は、以下のCDRの組み合わせを有する抗体又はその免疫反応性断片を含む:
【0038】
【0039】
本明細書において、アミノ酸は一文字表記で表される。具体的には、Aはアラニン、Lはロイシン、Rはアルギニン、Kはリシン、Nはアスパラギン、Mはメチオニン、Dはアスパラギン酸、Fはフェニルアラニン、Cはシステイン、Pはプロリン、Qはグルタミン、Sはセリン、Eはグルタミン酸、Tはトレオニン、Gはグリシン、Wはトリプトファン、Hはヒスチジン、Yはチロシン、Iはイソロイシン、Vはバリンを表す。
【0040】
本発明の抗体及びその免疫反応性断片は、in vitroのアドレノメジュリン添加による血管内皮細胞増殖試験において、血管内皮細胞の増殖抑制作用を有する。被検抗体又はその免疫反応性断片がin vitroのアドレノメジュリン添加による血管内皮細胞増殖試験において、血管内皮細胞の増殖抑制作用を有するか否かは、適切な培地中で数時間程度前培養した血管内皮細胞に被検抗体又はその免疫反応性断片を添加し、AMを終濃度50~200nMとなるように添加して、2~7日培養した後における血管内皮細胞の増殖を観察することにより行うことができる。血管内皮細胞の増殖は、細胞数をカウントしてもよいし、細胞数の指標となるOD450等を測定してもよい。被検抗体又はその免疫反応性断片を添加せずに培養した血管内皮細胞数と比較して、被検抗体又はその免疫反応性断片の存在下で培養した血管内皮細胞数が少ない場合、当該被検抗体又はその免疫反応性断片は、in vitroのアドレノメジュリン添加による血管内皮細胞増殖試験において、血管内皮細胞の増殖抑制作用を有すると判定される。また、被検抗体又はその免疫反応性断片を添加せずに培養した血管内皮細胞数を100として、被検抗体又はその免疫反応性断片の存在下で培養した血管内皮細胞数が50となる、被検抗体又はその免疫反応性断片の濃度をIC50値(M)として求めてもよい。例えば、本発明の抗体は、IC50値が35nM以下、30nM以下、25nM以下、20nM以下、15nM以下、10nM以下、5nM以下、4nM以下、3nM以下、2nM以下、若しくは1.6nM以下であってもよい。IC50値の下限値は特に定められる必要はないが、例えば、0.1nM以上、0.2nM以上、0.3nM以上、0.4nM以上、0.5nM以上、0.6nM以上、0.7nM以上、若しくは0.8nM以上であってもよい。また、IC50値としては、これらの上限値及び下限値の任意の組み合わせの範囲であってもよく、例えば、0.1~35nM、0.8~32.7nM、0.2~30nM、0.3~25nM、0.4~20nM、0.5~15nM、0.5~10nM、0.5~5nM、0.8~1.6nMであってもよい。また、これらのIC50値の場合、当該被検抗体又はその免疫反応性断片は、in vitroのアドレノメジュリン添加による血管内皮細胞増殖試験において、血管内皮細胞の増殖抑制作用を有すると判定してもよい。
【0041】
好ましくは、本発明の抗体又はその免疫反応性断片は、in vitroのアドレノメジュリン添加による血管内皮細胞増殖試験において、血管内皮細胞の増殖抑制作用に加えて、アドレノメジュリン添加による動物細胞によるcAMP産生を抑制する作用を有する。被検抗体又はその免疫反応性断片がアドレノメジュリン添加による動物細胞によるcAMP産生を抑制する作用を有するか否かは、アドレノメジュリン添加によりcAMPを産生する動物細胞(例えば、hCR2-CHOK1細胞)を適切な培地で一晩培養し、被検抗体又はその免疫反応性断片を添加し、終濃度50~300pMのAMを添加し、cAMPを測定することにより決定することができる。cAMPは、市販のキット(例えば、LANCE Ultra cAMP kit(Perkinelmer社)など)を用いて測定することができる。抗体非添加の細胞によるcAMP産生と比較して、被検抗体又はその免疫反応性断片添加の細胞によるcAMP産生が少ない場合、当該抗体又はその免疫反応性断片は、アドレノメジュリン添加による動物細胞によるcAMP産生を抑制する作用を有すると判定される。また、被検抗体又はその免疫反応性断片を添加せずに培養した細胞が産生するcAMPを100として、被検抗体又はその免疫反応性断片の存在下で培養した細胞が産生するcAMPが50となる、被検抗体又はその免疫反応性断片の濃度をIC50値(M)として求めてもよい。例えば、本発明の抗体は、IC50値が、2nM
以下、1.5nM以下、1nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM以下、若しくは0.15nM以下であってもよい。IC50値の下限値は特に定められる必要はないが、例えば、0.01nM以上、0.02nM以上、若しくは0.03nM以上であってもよい。また、IC50値としては、これらの上限値及び下限値の任意の組み合わせの範囲であってもよく、例えば、0.01~2nM、0.01~1.5nM、0.01~1nM、0.01~0.5nM、0.03~1.35nM、又は0.03~0.15nMであってもよい。また、これらのIC50値の場合、当該被検抗体又はその免疫反応性断片は、アドレノメジュリン添加による動物細胞によるcAMP産生を抑制する作用を有すると判定してもよい。
【0042】
好ましくは、本発明の抗体又はその免疫反応性断片は、in vitroでヒトCRLRとヒトRAMP2を共発現する細胞に結合する。本明細書において、「ヒトCRLRとヒトRAMP2を共発現する細胞」は、ヒトCRLRとヒトRAMP2を細胞遺伝子導入して得られた安定発現細胞であって、ヒトCRLRとヒトRAMP2を共発現する細胞あれば特に限定されるものではないが、好ましくは、ハムスター卵巣細胞(CHO-K1)又はNIH3T3細胞にヒトCRLRとヒトRAMP2を遺伝子導入して得られた安定発現細胞株(hCR2-CHOK1又はhCR2-NIH3T3)である。ヒトCRLRとヒトRAMP2を共発現する細胞は、ヒトCRLR(NM_005795)及びヒトRAMP2(NM_005854)を遺伝子導入用のベクターにタンデムに組み込み、目的の細胞に遺伝子導入することにより得ることができる。安定発現株は、予めベクターに挿入されていた薬剤耐性遺伝子に対応する薬剤存在下で選択培養することにより得ることができる。
【0043】
例えば、本発明の抗体は、ヒトCRLRとヒトRAMP2を共発現する細胞を用いたCell ELISA試験による結合親和性(EC50)が3.5nM以下であってもよい。例えば、被検抗体のイムノグロブリンクラスがIgGの場合、Cell ELISA試験は、以下の方法により行うことができる。適切な培地中のヒトCRLRとヒトRAMP2を共発現する細胞を1×103~1×105cells/wellで96well培養プレートに添加して一晩培養した後、4%パラホルムアルデヒド溶液を添加して4℃で数十分間静置することにより細胞を固定し、洗浄した後1%BSA-PBSで1時間以上のブロッキング処理を行う。精製した各被検抗体を適宜段階希釈して添加し、二次抗体として標識化抗IgG抗体を反応させ、当該標識に合致する試薬を反応させて、標識による発光強度や発色強度を測定することにより結合量を決定することができる。EC50値は最大結合量の50%と結合する抗体濃度として求めることができる。例えば、本発明の抗体は、EC50値が、4nM以下、3.5nM以下、3.19nM以下、3nM以下、2.5nM以下、2nM以下、1.5nM以下、1nM以下、若しくは0.5nM以下であってもよい。EC50値の下限値は特に定められる必要はないが、例えば、0.01nM以上、0.03nM以上、0.05nM以上、若しくは0.14nM以上であってもよい。また、EC50値としては、これらの上限値及び下限値の任意の組み合わせの範囲であってもよく、例えば、0.01~4nM、0.03~3nM、0.05~2nM、又は0.14~3.19nMであってもよい。また、これらのEC50値の場合、当該被検抗体又はその免疫反応性断片は、in vitroでヒトCRLRとヒトRAMP2を共発現する細胞に結合すると判定してもよい。
【0044】
(核酸分子)
別の態様において、本発明は、上述の本発明の抗体又はその免疫反応性断片をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子に関する。具体的には、本発明の核酸分子は、VHとして、配列番号2、12、19、27、29,31,33、35、45,47,49、51,及び53から選択されるいずれか1つに記載のアミノ酸をコードするポリヌクレオチドを有し、かつ、VLとして配列番号4、14,21、37,39,41、43、55
,57,59,及び61から選択されるいずれか1つに記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子であってもよい。例えば、本発明の核酸分子は、VHとして配列番号2及びVLとして配列番号4に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号27及びVLとして配列番号37に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号29及びVLとして配列番号37に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号29及びVLとして配列番号39に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号31及びVLとして配列番号39に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号31及びVLとして配列番号41に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号33及びVLとして配列番号41に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号35及びVLとして配列番号43に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号12及びVLとして配列番号14に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号45及びVLとして配列番号55に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号12及びVLとして配列番号14に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号47及びVLとして配列番号55に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号47及びVLとして配列番号57に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号49及びVLとして配列番号57に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号49及びVLとして配列番号59に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号51及びVLとして配列番号59に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号51及びVLとして配列番号61に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;VHとして配列番号53及びVLとして配列番号61に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子;並びに、VHとして配列番号19及びVLとして配列番号21に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを有する核酸分子であってもよい。
【0045】
例えば、本発明の核酸分子は、以下の配列を有するポリヌクレオチドを含んでいてもよい:配列番号1に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号3に記載のヌクレオチド配列;配列番号26に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号36に記載のヌクレオチド配列;配列番号28に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号36に記載のヌクレオチド配列;配列番号28に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号38に記載のヌクレオチド配列;配列番号30に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号38に記載のヌクレオチド配列;配列番号30に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号40に記載のヌクレオチド配列;配列番号32に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号40に記載のヌクレオチド配列;配列番号34に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号42に記載のヌクレオチド配列;配列番号11に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号13に記載のヌクレオチド配列;配列番号44に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号54に記載のヌクレオチド配列;配列番号46に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号54に記載のヌクレオチド配列;配列番号46に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号56に記載のヌクレオチド配列;配列番号48に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号56に記載のヌクレオチド配列;配列番号48に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号58に記載のヌクレオチド配列;配列番号50に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号58に記載のヌクレオチド配列;配列番号50に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号60に記載のヌクレオチド配列;配列番号52に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号60に記載のヌクレオチド配列;又は配列番号18に記載のヌクレオチド配列、及び配列番号20に記載のヌクレオチド配
列。
【0046】
更に、本発明は、前記核酸分子を有するベクターを包含する。このようなベクターとしては、抗体の発現に利用可能なベクターであれば特に制限されるものではなく、適切なウイルスベクター又はプラスミドベクターなどを使用する宿主に応じて選択することができる。別の態様において、本発明は、前記ベクターを含有する宿主細胞に関する。宿主細胞としては、抗体の発現に利用可能な宿主細胞であれば特に制限されるものではなく、哺乳類細胞(マウス細胞、ラット細胞、ウサギ細胞、ヒト細胞など)、酵母、微生物(大腸菌など)を挙げることができる。
【0047】
また、別の態様において、本発明は、上述の本発明の抗体又はその免疫反応性断片を有効成分として含有する医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物の対象疾患は、血管新生が発症又は増悪化に寄与する疾患又は障害であり、例えば、癌、癌転移、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加齢黄斑変性症、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、血管新生緑内障、炎症性皮膚疾患、関節リウマチ、又は変形性関節症を挙げることができる。よって、本発明の医薬組成物は、これらの疾患又は障害の予防薬、治療薬、進行抑制剤又は改善薬とすることができる。あるいは、本発明は、前記医薬組成物を製造するための、本発明の抗体又はその免疫反応性断片の使用に関する。
【0048】
本発明の医薬組成物は、患者に投与することができる製剤であれば経口又は非経口のいかなる製剤を採用してもよい。非経口投与のための組成物としては、例えば、注射剤、点鼻剤、坐剤、貼布剤、軟膏等を挙げることができる。好ましくは、注射剤である。本発明の医薬組成物の剤形は、例えば、液剤又は凍結乾燥製剤を挙げることができる。本発明の医薬組成物を注射剤として使用する場合、必要に応じて、プロピレングリコール、エチレンジアミン等の溶解補助剤、リン酸塩等の緩衝材、塩化ナトリウム、グリセリン等の等張化剤、亜硫酸塩等の安定剤、フェノール等の保存剤、リドカイン等の無痛化剤等の添加物(「医薬品添加物事典」薬事日報社、「Handbook of Pharmaceutical Excipients Fifth Edition」APhA Publications社参照)を加えることができる。また、本発明の医薬組成物を注射剤として使用する場合、保存容器としては、アンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ、ペン型注射器用カートリッジ、及び、点滴用バッグ等を挙げることができる。
【0049】
(抗体の取得)
本発明の抗体は、ヒトCRLR及びヒトRAMP2を発現している細胞を免疫原として、必要に応じて免疫賦活剤(例えば、鉱油若しくはアルミニウム沈殿物と加熱死菌若しくはリポ多糖体、フロインドの完全アジュバント、または、フロインドの不完全アジュバント等)とともに、免疫反応を生じる非ヒト動物を免疫することにより作製することができる。免疫動物としては、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ラビット、イヌ、サル、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、アヒル等ハイブリドーマを作製することが可能な動物であれば特に限定はないが、好ましくは、マウスまたはラットであり、より好ましくはマウスであり、最も好ましくはMRL/lprマウスである。免疫原となる細胞は、目的とする抗原以外への抗体産生を抑制するため、免疫動物と同種の細胞であることが望ましい。動物への免疫原の投与は、例えば、1×106cellsを1回または適当な間隔をあけて数回(通常1~6週毎に1回の免疫を合計2~10回程度)、皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、皮内注射、筋肉内注射または足蹠注射により行うことができる。最後の免疫から1~2週間後に、免疫した動物の眼窩または尾静脈から採血を行い、その血清を用いて抗体価の測定を行う。本発明の抗体は、十分な抗体価を示す動物の血清から精製することにより得ることができる。
【0050】
モノクローナル抗体は、上記方法により免疫した免疫感作動物から得た抗体産生細胞と
、骨髄腫系細胞(ミエローマ細胞)を融合することにより得られるハイブリドーマを培養することにより得ることができる。当該融合方法としては、例えば、ミルステインらの方法(Galfre,G.&Milstein,C.(1981)Methods Enzymol.,73:3-46)を挙げることができる。使用する抗体産生細胞は、上記方法により免疫し血清が十分な抗体価を示したマウスまたはラットの脾臓、膵臓、リンパ節、末梢血より採取することができる。使用する骨髄腫系細胞は、例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ラビット又はヒト等の哺乳動物に由来する細胞であって、in vitroで増殖可能な細胞であれば特に限定はない。このような細胞としては、例えば、P3-X63Ag8(X63)(Nature,256,495,1975)、P3/NS1/1-Ag4-1(NS1)(Eur.J.Immunol.,6,292,1976)、P3X63Ag8U1(P3U1)(Curr.Top.Microbiol.Immunol.,81,1,1978)、P3X63Ag8.653(653)(J.Immunol.,123,1548,1979)、Sp2/0-Ag14(Sp2/O)(Nature,276,269,1978)、Sp2/O/FO-2(FO-2)(J.Immunol.Methods,35,1,1980)、SP2ab等を挙げることができ、好ましくは、抗体産生細胞と同種動物由来の細胞であり、より好ましくは、抗体産生細胞と同系統の動物由来の細胞である。
【0051】
培養後、培養上清を採取し、ヒトCRLRとヒトRAMP2を共発現する細胞(例えば、hCR2-CHOK1細胞)を用いたCell ELISAにより、RAMP2に結合するクローンを選択する。選択されたクローンについて、限界希釈法を1~5回繰り返すことにより単一細胞化を行い、当該単一細胞化されたクローンが産生する抗体のうち、更に、Cell ELISAで選択された候補抗体を、AM添加によるヒトCRLRとヒトRAMP2を共発現する細胞(例えば、hCR2-CHOK1細胞)の細胞内cAMPの上昇を抑制するか否かを指標としてシグナル阻害抗体をスクリーニングする。選択されたシグナル阻害抗体について生物活性の阻害試験としてAM添加によるHUVECの増殖を阻害できる抗体をスクリーニングし、cAMP阻害作用及びHUVEC増殖抑制作用を有する抗RAMP2抗体を取得することができる。
【0052】
得られた抗体は、均一にまで精製することができる。抗体の分離、精製は通常のタンパク質で使用されている分離、精製方法を使用することができる。例えば、アフィニティークロマトグラフィ等のカラムクロマトグラフィ、フィルター、限外濾過、塩析、透析、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動等を適宜選択、組み合わせることにより、抗体を分離、精製することができる(Antibodies:A Laboratory Manual.Ed Harlow and David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory,1988)。アフィニティークロマトグラフィに用いるカラムとしては、例えば、プロテインAカラム、プロテインGカラムを挙げることができる。更に、抗体のクラスによらず、RAMP2(又はヒトCRLR及びヒトRAMP2)固相化カラム、イオン交換クロマトグラフィ、疎水相互作用クロマトグラフィ等を用いることもできる。
【0053】
あるいは、例えば、抗体ファージライブラリーを利用することによりRAMP2に結合する抗体を得ることができる(富塚ら,Nature Genet.,15,146-156(1997))。抗体ファージライブラリーを利用する場合、例えば、ヒトCRLR及びヒトRAMP2を発現している細胞を固相に固定化し、ファージ抗体ライブラリーを反応させて、非結合のファージを洗浄除去した後、結合したファージを回収することにより、所望のクローンを得ることができる(パンニング)。
【0054】
あるいは、本明細書記載のアミノ酸配列を参照して、目的の抗体又はその免疫反応性断片のアミノ酸配列をデザインし、当該デザインされたアミノ酸配列をコードするDNAを
調製して、発現ベクターに組み込み、適当な宿主細胞に当該ベクターを導入して発現させることにより得た抗体から、上述の方法に従ってRAMP2への特異性が高い抗体をスクリーニングすることにより得ることができる。
【0055】
(ヒト型キメラ抗体作製)
本発明の抗体がヒト型キメラ抗体の場合、RAMP2を特異的に認識する非ヒト動物モノクローナル抗体のVH及びVLをコードするDNAを調製し、これをヒト免疫グロブリンの定常領域cDNAと結合して発現ベクターに組み込み、適当な宿主細胞に当該ベクターを導入して発現させることにより得ることができる(Morrison,S.L.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81,6851-6855,1984)。
【0056】
(ヒト化抗体作製)
本発明の抗体がヒト化抗体の場合は、RAMP2を特異的に認識する非ヒト動物モノクローナル抗体のVH及びVLのCDRをコードするアミノ酸配列をヒト抗体のVH及びVLのFramework Region(FR)に移植したV領域をコードするDNAを構築し、構築したDNAをヒト由来免疫グロブリンの定常領域cDNAと結合して発現ベクターに組み込み、適当な宿主細胞に当該ベクターを導入して発現させることにより得ることができる(L.Rieohmannら,Nature,332,323,1988:Kettleborough,C.A.ら,Protein Eng.,4,773-783,1991;Clark M.,Immunol.Today.,21,397-402,2000参照)。非ヒト動物モノクローナル抗体のCDRは、上述の方法によって得られた非ヒト動物モノクローナル抗体のVH及びVLをコードするDNA配列から予測されるアミノ酸配列と、既知の抗体のVH及びVLの全アミノ酸配列とを比較して得ることができる。既知の抗体のアミノ酸配列は、例えば、プロテイン・データ・バンク等のデータベースに登録されている抗体のアミノ酸配列より得ることができる。また、ヒト化抗体のFRとしては、移植後の抗体が本発明の効果を奏するものであれば特に限定は無いが、好ましくは、ヒト化抗体の可変領域(以下、「V領域」という)がCDRが由来する非ヒト動物モノクローナル抗体のV領域と類似の立体構造となるヒト抗体のFR、又は、使用する非ヒト動物モノクローナル抗体のFRのアミノ酸配列と同一性が高いヒト抗体FRである。ヒト化抗体において、ヒト抗体に由来するFRを構成するアミノ酸の一部(特には、立体的にCDRと近接した位置に存在するアミノ酸)は、必要に応じてCDRが由来する非ヒト動物モノクローナル抗体のFR配列に置換されていてもよい(Queenら、米国特許第5585089号参照)。使用するヒト化抗体のV領域をコードするDNA配列は、非ヒト動物モノクローナル抗体のCDRのアミノ酸配列とヒト抗体のFRのアミノ酸配列を結合したアミノ酸配列に対応するDNA配列として設計する。ヒト化抗体のV領域をコードするDNAは、設計したDNA配列を基に、当業者周知の方法によって作製することができる。
【0057】
(ヒト抗体)
ヒト抗体は、例えば、ヒト抗体ファージライブラリー又はヒト抗体産生トランスジェニックマウスを利用することにより得ることができる(富塚ら,Nature Genet.,15,146-156(1997))。ヒト抗体ファージライブラリーを利用する場合、例えば、ヒトCRLR及びヒトRAMP2を発現している細胞を固相に固定化し、ファージ抗体ライブラリーを反応させて、非結合のファージを洗浄除去した後、結合したファージを回収することにより、所望のクローンを得ることができる(パンニング)。ヒト抗体産生トランスジェニックマウスは、内因性免疫グロブリン(Ig)遺伝子をノックアウトしたマウスにヒト抗体のIg遺伝子を導入したマウスである。ヒト抗体産生トランスジェニックマウスを免疫動物として、上述の本発明の抗体作製方法に準じて抗原(好ましくは、ヒトCRLR及びヒトRAMP2を発現している細胞)を免疫することにより、R
AMP2を特異的に認識するヒト抗体を得ることができる。
【0058】
(核酸、ベクター、宿主細胞)
本発明の核酸は、上述において得られた抗体を産生するハイブリドーマからクローニングするか、あるいは、上述において得られた抗体またはその免疫反応性断片のアミノ酸配列を基に、適宜核酸配列を設計することにより得ることができる。本発明のベクターは、得られた核酸を適宜発現に適したベクターに組み込むことにより得ることができる。本発明のベクターは、本発明の核酸の他、発現に必要な領域(プロモーター、エンハンサー、ターミネーター等)を含んでいてもよい。また、本発明の宿主細胞は、本発明のベクターを適切な細胞株(例えば、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、大腸菌等の微生物)に導入することにより得ることができる。
【0059】
(医薬組成物(治療薬、予防薬)及び治療方法)
本発明の抗体又はその免疫反応性断片は、必要により精製した後、常法に従って製剤化することにより、医薬組成物として用いることができる。また、本発明は、医薬組成物を製造するための、本発明の抗体又はその免疫反応性断片の使用を含む。あるいは、本発明は、本発明の抗体又はその免疫反応性断片の、血管新生が発症又は増悪化に寄与する疾患又は障害の治療若しくは予防のための使用を含む。更に、本発明は、本発明の抗体又はその免疫反応性断片の有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む、血管新生が発症又は増悪化に寄与する疾患又は障害の治療方法若しくは予防方法に関する。
【0060】
例えば、本発明の医薬組成物(治療薬若しくは予防薬)は、注射剤として利用することができ、静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、硝子体内注射剤、点滴注射剤などの剤形を包含する。このような注射剤は、公知の方法に従って、例えば、上記抗体等を通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖、ショ糖、マンニトール、その他の補助薬を含む等張液等が用いることができ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、ポリソルベート20、HCO-50(polyoxyethylene(50mol)adduct of hydrogenated castor oil)〕等を添加することができる。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などを用いることができ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等を添加することができる。調製された注射液は、通常、適当なアンプル、バイアル、シリンジに充填される。また、本発明の抗体又はその免疫反応性断片に適当な賦形剤を添加することにより、凍結乾燥製剤を調製し、用時、注射用水、生理食塩水などで溶解して注射液とすることもできる。なお、一般的に抗体などのタンパク質の経口投与は消化器により分解されるため困難とされるが、抗体断片や修飾した抗体断片と剤形の創意工夫により、経口投与の可能性もある。経口投与の製剤としては、例えば、カプセル剤、錠剤、シロップ剤、顆粒剤等を挙げることができる。
【0061】
本発明の医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するような投薬単位の剤形に調製されることが好適である。このような投薬単位の剤形としては、注射剤(アンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ)が例示され、投薬単位剤形当たり通常5~500mg、5~100mg、10~250mgの本発明の抗体又はその免疫反応性断片を含有していても良い。
【0062】
本発明の抗体や医薬組成物(治療薬若しくは予防薬)の投与は、局所的であってもよく、全身的であってもよい。投与方法には特に制限はなく、上述のとおり非経口的又は経口的に投与される。非経口的投与経路としては、眼内、皮下、腹腔内、血中(静脈内、若し
くは動脈内)又は脊髄液への注射又は点滴等が挙げられ、好ましくは、眼内又は血中への投与である。本発明の医薬組成物(治療薬若しくは予防薬)は、一時的に投与してもよいし、持続的又は断続的に投与してもよい。例えば、投与は、1分間~2週間の持続投与することもできる。また、本発明の抗体は、単独で投与されてもよいし、他の薬剤と共に併用により投与されてもよい。あるいは、本発明の抗体は当該他の薬剤が結合した抗体-薬剤コンジュゲート(ADC)であってもよい。他の薬剤としては、血管新生が発症又は増悪化に寄与する疾患又は障害への治療効果が知られている薬剤などを用いることができる。
【0063】
本発明の医薬組成物の投与量は、所望の治療効果又は予防効果が得られる投与量であれば特に限定は無く、症状、性別、年齢等により適宜決定することができる。本発明の医薬組成物の投与量は、例えば、血管新生が発症又は増悪化に寄与する疾患又は障害の治療効果又は予防効果を指標として決定することができる。例えば、血管新生が発症又は増悪化に寄与する疾患又は障害の患者の予防および/または治療のために使用する場合には、本発明の医薬組成物の有効成分の1回量として、通常0.01~20mg/kg体重程度、好ましくは0.1~10mg/kg体重程度、さらに好ましくは0.1~5mg/kg体重程度を、1月1~10回程度、好ましくは1月1~5回程度、静脈注射により投与するのが好都合である。他の非経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することができる。症状が特に重い場合には、その症状に応じて増量または投与回数を増加させてもよい。
【実施例0064】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本願全体を通して引用される全文献は参照によりそのまま本願に組み込まれる。また、本願は日本国特許出願第2017-175311号からの優先権を主張する。本願が優先権を主張する日本国特許出願第2017-175311号記載の内容は全て参照によりそのまま本願に組み込まれる。
【0065】
(実施例1)抗RAMP2抗体の産生
ハイブリドーマの作製にあたり、抗原として用いる細胞を以下の方法により調製した。ヒトCRLR(NM_005795)及びヒトRAMP2(NM_005854)をThermo社のpCHO1.0ベクターにタンデムに組み込み、Lipofectamine2000(Thermo社)を使用してNIH-3T3細胞(ATCC:CRL-1658)に遺伝子導入した(hCR2-NIH3T3)。安定発現株を作製するため、10μg/mL Puromycinと100nM Methotrexateを含むD-MEM培地(和光純薬、日本)で選択培養を行った。
【0066】
得られたhCR2-NIH3T3細胞を、MRL/lprマウス1匹あたり1×106cellsとなるように調製し、週一回で5週間腹腔内投与して抗原による免疫を行った。免疫前後の血清を採取し、Cell ELISAで抗原特異的な抗体価の上昇を確認した。抗体価の上昇確認後、最終免疫として1×106cellsのhCR2-NIH3T3細胞を抗原として再度免疫した。
【0067】
細胞融合はマウスミエローマ細胞としてSP2ab細胞株を用い、脾臓及びリンパ節由来の細胞とPEG法により融合し、96well培養プレートに播種した。融合翌日からHAT含有10%FBS-TIL培地を添加し、3日毎に培地交換を行いハイブリドーマを作製した。
【0068】
抗ヒトRAMP2抗体の産生株をスクリーニングするために、NIH-3T3細胞と同様の方法で作製したhCRLR/hRAMP2発現CHO-K1細胞(hCR2-CHO
K1)を96well培養プレートに播種した。4%PFAにより固定化し、1%BSA-PBSでブロッキング後、培養上清を添加して、二次抗体としてGoat Anti-mouse-IgG-HRP(SouthernBiotech社)を反応させた。TMB solution(eBioscience社)による発色で陽性wellをピックアップし、候補ハイブリドーマとした。
【0069】
候補ハイブリドーマのうち、3株をASF104培地(味の素株式会社、日本)に馴化した後、培養上清を回収し、ProteinA誘導体Ab-Capcher ExTra(プロテノバ株式会社、日本)でIgG抗体を精製し抗RAMP2抗体、25H4-4F9抗体、85H7-2B11抗体、及び33H4-1G3抗体を得た。
【0070】
(実施例2)cAMP抑制試験
hCR2-CHOK1細胞を用いて、得られた抗RAMP2抗体のcAMPの抑制試験を実施した。コントロール抗体として、公知の市販抗体(Novus bio社、4E5、CatNo.NBP2-01853;Abnova社、2F5、CatNo.H00010266-M05;及びSantacruz社、B5、CatNo.sc-365240)を用いた。測定にはHalf area 96well プレートを使用した。2500cellsのhCR2-CHOK1細胞を10%FBS含有D-MEM/Ham‘s
F-12(和光純薬、日本)で一晩培養し、終濃度が0.001nM、0.01nM、0.1nM、1nM、10nM、100nM、及び1000nMとなるように、各抗体(25H4-4F9、85H7-2B11、33H4-1G3、4E5、2F5、及びB5)を添加し、終濃度150pMのヒトAM(株式会社ペプチド研究所、日本)を添加した。cAMPは、LANCE Ultra cAMP kit(Perkinelmer社)を用いて、製造者のマニュアルに従って測定した。コントロールとして、抗体非添加/AM添加、及び抗体非添加/AM非添加のhCR2-CHOK1細胞によるcAMP産生を同様に測定した。
【0071】
抗体を10nM添加した時のcAMP抑制を表す結果を
図1に示す。
図1は、抗体非添加の場合のcAMP濃度を100とした場合の各抗体添加群のcAMP濃度の割合を示す。コントロール抗体はほとんどcAMP産生を抑制しなかったのに対し、25H4-4F9抗体、85H7-2B11抗体、及び33H4-1G3抗体は、AM非添加群と同等までcAMP産生を抑制した。また、各抗体の濃度とcAMP抑制率との関係を
図2に示す。25H4-4F9抗体、85H7-2B11抗体、及び33H4-1G3抗体のcAMP抑制に対するIC50値は、それぞれ、0.15nM、0.03nM、及び0.045nMであった。
【0072】
(実施例3)HUVECの増殖抑制試験
増殖因子を除いた2%FBS含有Humedia-EG2培地中のHUVEC(KURABO社)を96well培養プレートに1well当たり2500cellsで播種し、3時間の前培養により接着させた。終濃度が0.0001nM、0.001nM、0.01nM、0.1nM、1nM、10nM、100nM、及び1000nMとなるように、各抗体(25H4-4F9、85H7-2B11、33H4-1G3、4E5、2F5、及びB5)を添加し、終濃度100nMのAMを添加して、96時間後におけるHUVECの増殖を観察することで、HUVECの増殖抑制試験を行った。細胞数の測定にはCell Counting Kit-8(DOJINDO社)を用い、増殖因子を除いた2%FBS含有Humedia-EG2培地で10倍希釈した溶液を100μL添加し、CO2インキュベーターで4時間発色させ、OD450として計測した。
【0073】
抗体を10nM添加した時の増殖抑制を表す結果を
図3に示す。
図3は、抗体非添加の場合のOD450(HUVEC細胞数)を100とした場合の各抗体添加群のOD450
(HUVEC細胞数)の割合を示す。コントロール抗体はほとんどHUVECの増殖を抑制しなかったのに対し、25H4-4F9抗体、85H7-2B11抗体、及び33H4-1G3抗体は、30%程度にまで増殖を抑制した。また、各抗体の濃度とHUVEC増殖抑制率との関係を
図4に示す。25H4-4F9抗体、85H7-2B11抗体、及び33H4-1G3抗体のHUVEC増殖抑制に対するIC50値は、それぞれ、1.2nM、0.8nM、及び1.6nMであった。
【0074】
(実施例4)配列解析
各抗体産生ハイブリドーマのセルペレットからSV-Total RNA Isolation kit(Promega社)を用いてRNAを抽出し、Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kit(Roche社)によりcDNAを合成して、ハイブリドーマの抗体配列を解析した。既存マウスのCDR配列よりwobble primer(縮重プライマー)を設計し、重鎖・軽鎖それぞれの配列をタカラバイオ社のEx Taq polymeraseを用いて増幅した。得られた塩基配列からアミノ酸配列を決定し、KABAT法によりCDR領域を特定した。
【0075】
決定された25H4-4F9抗体のVH(配列番号2)及びVL(配列番号4)、85H7-2B11抗体のVH(配列番号12)及びVL(配列番号14)、及び33H4-1G3抗体のVH(配列番号19)及びVL(配列番号21)の配列を
図5に示す。また、決定された各CDR配列を以下に示す。
25H4-4F9抗体 重鎖CDR配列:
CDRH1:GYFMN(配列番号5)
CDRH2:RNNPYNGDSIYNQKFKG(配列番号6)
CDRH3:LMIFDAYYAMDY(配列番号7)
25H4-4F9抗体 軽鎖CDR配列:
CDRL1:RASQDIRNYLN(配列番号8)
CDRL2:YTSRLHS(配列番号9)
CDRL3:QQDSKHPWT(配列番号10)
85H7-2B11抗体 重鎖CDR配列:
CDRH1:GYFMN(配列番号5)
CDRH2:RINPYNGDTFYNQKFKG(配列番号15)
CDRH3:LGIYDVYHYVMEN(配列番号16)
85H7-2B11抗体 軽鎖CDR配列:
CDRL1:RASQDIRNYLN(配列番号8)
CDRL2:YTSRLHS(配列番号9)
CDRL3:QQDSKNPWT(配列番号17)
33H4-1G3抗体 重鎖CDR配列:
CDRH1:GYFMN(配列番号5)
CDRH2:RINPYNGDTLYNQKFKG(配列番号22)
CDRH3:LGIYDVYHYVMEN(配列番号16)
33H4-1G3抗体 軽鎖CDR配列:
CDRL1:RASQDIRNYLN(配列番号8)
CDRL2:YTSRLHS(配列番号9)
CDRL3:QQDSKNPWT(配列番号17)
【0076】
(実施例5)抗RAMP2特異的な抗体の確認
取得した抗体が抗RAMP2特異的である事をCell ELISAによって確認した
。具体的には、実施例1に準じて、ハムスター卵巣細胞(CHO-K1)に、ヒトCRLR及びヒトRAMP2を遺伝子導入した。ヒトCRLR及びヒトRAMP2を遺伝子導入した細胞と、ヒトCRLRのみを遺伝子導入した細胞との間で、抗体の結合性を比較した。
【0077】
結果を
図6に示す。25H4-4F9抗体、85H7-2B11抗体、及び33H4-1G3抗体は、ヒトCRLRのみを発現させたCHO-K1細胞にはほとんど結合せず、ヒトCRLRとヒトRAMP2を共発現させたCHO-K1細胞には特異的に結合する事を示している。
【0078】
(実施例6)Cell ELISAによる細胞膜表面タンパクに対する結合親和性解析
10%FCS含有DMEM/F-12培地中のhCR2-CHOK1細胞を1×104cells/wellで96well培養プレート(BD-FALCON社)に添加し、一晩培養した。等量の4%パラホルムアルデヒド溶液(MUTO化学)を添加し4℃で20分間静置して細胞を固定し、PBSTで洗浄した後、1%BSA-PBSで1時間以上のブロッキング処理を行った。抗体としては、実施例1で得られた25H4-4F9、85H7-2B11、及び33H4-1G3、並びに、市販の抗RAMP2抗体である、4E5、2F5、及びB5を用いた。精製した各抗体を67.5nMから1/2段階希釈して添加し、二次抗体としてGoat Anti-mouse-IgG-HRP(SouthernBiotech社)を反応させた。TMB solution(eBioscience社)を加えて発色させた後、2NのH2SO4溶液を添加して反応を停止した。OD450は、iMark(BioRAD社)を用いて測定した。得られた結合データから、GraphPad Prism7を用いて結合親和性(EC50)を算出した。
【0079】
図7に示すように実施例1で得られた25H4-4F9、85H7-2B11、及び33H4-1G3は、市販抗体である4E5、2F5、及びB5と比較して明らかに優れた結合活性を示した。縦軸は同一試験において得られた抗体の最大結合量(OD値)を100%として、最大結合量に対する割合として算出した。各抗体の結合親和性を表すEC50は、25H4-4F9が0.40nM、85H7-2B11が0.14nM、33H4-1G3が0.30nMだった。市販抗体は、いずれも結合能が低いことから正常な結合曲線が描けず、EC50値としては、は4E5が37.7nM以上、2F5とB5は66.7nM以上であった。
【0080】
(実施例7)FACSによる細胞膜表面タンパクに対する結合解析
各抗体(実施例1で得られた25H4-4F9、85H7-2B11、及び33H4-1G3、並びに、市販の抗RAMP2抗体である、4E5、2F5、及びB5)のhCR2-CHOK1細胞の膜表面RAMP2タンパクに対する結合能をフローサイトメーター(ACEA社)にて測定した。3×105cellsの剥離したhCR2-CHOK1細胞と3μg/mLの抗体溶液50μLを96ウェルV底プレート(Thermo Fishcer Scientific社)に加え、氷上で1時間静置し抗体を結合させた。FACSバッファー(1%BSA/0.05%NaN3/PBS)にて3回洗浄し、2.5μg/mLに調製したR-Phycoerythrin-conjugated Affinipure F(ab’)2 Fragment Goat Anti-Mouse
IgG(H+L)(Jackson Immunoresearch Laboratories社)を加え、氷上遮光下で30分間静置し二次抗体を結合させた。一回洗浄した後、500μLのFACSバッファーに懸濁して、実施例7と同様の方法でFACSにより蛍光を測定した。
【0081】
図8に示すように、実施例1で得られた25H4-4F9、85H7-2B11、及び33H4-1G3は、全て細胞膜表面タンパクに結合した。また、市販抗体のうち4E5
は細胞膜表面タンパクへの結合が認められたが、市販抗体2F5とB5は結合が観察されなかった。
【0082】
(実施例8)FACSによるエピトープの競合解析
ビオチン化した85H7-2B11とビオチン化していない各抗体(実施例1で得られた25H4-4F9、85H7-2B11、及び33H4-1G3、並びに市販抗体4E5)をhCR2-CHOK1に同時に反応させることにより、抗原に対する競合試験を行った。製造者のマニュアルに従って、Biotin Labeling kit-NH2(Dojindo社)を用いて85H7-2B11抗体をビオチン化した。ビオチン化85H7-2B11抗体3μg/mLとビオチン化していない各抗体の0、0.1、0.3、1、3、10、及び30μg/mLをhCR2-CHOK1細胞に加え、氷上で1時間静置し、競合条件下で抗体を結合させた。3回洗浄の後、2.5μg/mLに調製したStreptavidin-Fluorescein Isothiocyanate(Biolegend社)を加え、氷上遮光下で30分間静置し二次抗体を結合させた。一回洗浄の後、500μLのFACSバッファーに懸濁して、実施例7と同様の方法でFACSにより蛍光を測定した。
【0083】
図9に示すように25H4-4F9、85H7-2B11、及び33H4-1G3は抗原に対する結合において85H7-2B11と競合したが、市販抗体の4E5は85H7-2B11と競合しなかった。
【0084】
(実施例9)ヒト化抗体のデザイン
25H4-4F9及び85H7-2B11抗体について、ヒト化抗体(ヒト化25H4-4F9、ヒト化85H7-2B11抗体)をデザインした。ヒト化配列のデザインは、Xoma corporationで考案された方法(US Patent5,766,886;MODIFIED ANTIBODY VARIABLE DOMAINS、特許期間満了)に従い、アミノ酸配列の設計を行った。25H4-4F9マウス抗体重鎖及びVLまたは85H7-2B11マウス抗体重鎖及びVLのアミノ酸配列を用いてヒト免疫グロブリンGERMLINEデータベース(NCBI:IGBLAST)で相同性検索を行い、最も高い相同性を示したアミノ酸配列(25H4-4F9重鎖:IGHV1-69-2*01、IGHV1-18*04及びIGHJ6*01、25H4-4F9軽鎖:IGKV1-33*01及びIGKJ2*01、85H7-2B11重鎖:IGHV1-46*01、IGHV1-18*04及びIGHJ6*01、85H7-2B11軽鎖:IGKV1-33*01及びIGKJ2*01、なお、25H4-4F9と85H7-2B11のVLのアミノ酸配列は一か所を除いて相同であるため、同一配列をフレームワークとして選択した)をヒト化抗体のフレームワークとした。これらフレームワークの各アミノ酸残基につき、マウスの配列をヒトの配列に変更した場合に抗体の3次元構造や抗原への結合性が失われてしまうリスクを3段階(HIGH,MODERATE,LOW)で評価し、LOWリスクのアミノ酸残基をはじめにヒト型のアミノ酸配列に変換し、その後、MODERATE及びHIGHリスクのアミノ酸残基の変換を行い、各抗体の重鎖については5種類(vh1~vh5)、軽鎖は4種類(vk1~vk4)の配列をデザインした。さらに、重鎖と軽鎖を組み合わせて、各抗体につき計8種類のヒト化抗体を作製した。
【0085】
デザインされた25H4-4F9のVH及びVLの配列を
図10に、デザインされた85H7-2B11のVH及びVLの配列を
図11に示す。また、作製したヒト化抗体における重鎖と軽鎖及びVH,VL,CDRの配列の組み合わせを以下の表2に示す。
【0086】
【0087】
(実施例10)リコンビナントヒト化抗体の作製
リコンビナント抗体を作製するために重鎖をコードする遺伝子配列(配列番号102,104,106,108,110,120,122,124,126,及び128)及び軽鎖をコードする遺伝子配列(配列番号112,114,116,118,130,132,134,及び136)を哺乳類発現ベクターpcDNA3.4(Thermo)にクローニングした。重鎖及び軽鎖をクローニングしたベクターを重量比1:1になるように混合し、10μgから30μgのベクターDNAを用いて、哺乳類細胞CHO-S(Thermo)にトランスフェクションした。トランスフェクションは、ExpiFectamineTMCHO Transfection Kit(Thermo)を用い、10mLから30mLの細胞懸濁液を14日間フラスコによる旋回培養を行った。14日間培養した培養液から遠心操作により細胞を除き、0.45μmのフィルターを通した培養上清をProteinAレジン(Amsphere A3;JSR Life Sciences)により精製した。ProteinAレジンと培養上清を4℃で一晩混合し、リコンビナント抗体を結合させた後、20mMリン酸緩衝液pH7.0で洗浄した。レジンに結合したリコンビナント抗体を0.1M Glycine-HCl pH3.2のElution bufferで溶出し、1/50容量の1M Tris-HCl pH9.0で中和した。中和後、30kDaの限外濾過膜(Amicon Ultra:ミリポア)を用いてリン酸緩衝液にBufferを置換し、280nmの吸光度を測定してリコンビナント抗体の濃度を決定した。
【0088】
(実施例11)ヒト化抗体のcAMP抑制試験
hCR2-CHOK1細胞を用いて、ヒト化抗体のcAMPの抑制試験を実施した。測定にはマウス抗体の活性測定と同様に、Perkinelmer社製のHalf area 96wellプレートを使用し、2500cellsのhCR2-CHOK1細胞を10%FBS含有D-MEM/Ham’s F-12(和光純薬、日本)中で一晩培養し、各抗体(ヒト化25H4-4F9、ヒト化85H7-2B11、4E5、2F5、及びB5)を添加し、終濃度150pMのヒトAM(株式会社ペプチド研究所、日本)を添加した。cAMPは、LANCE Ultra cAMP kit(Perkinelmer社)を用いて、製造者のマニュアルに従って測定した。コントロールとして、抗体非添加/AM添加、及び抗体非添加/AM非添加のhCR2-CHOK1細胞によるcAMP産生を同様に測定した。
【0089】
図12及び
図13は、それぞれヒト化25H4-4F9抗体及びヒト化85H7-2B11抗体を16.7nM添加した時のcAMP抑制率を示す。cAMP抑制率は、抗体非添加の場合のcAMP濃度を100とした場合の各抗体添加群のcAMP濃度の割合で示した。コントロールとして用いた市販抗体(4E5、2F5、及びB5)はほとんどcAMP産生を抑制しなかったのに対し、ヒト化25H4-4F9抗体、及びヒト化85H7-2B11抗体は、AM非添加群と同等までcAMP産生を抑制した。
【0090】
また、各抗体の濃度とcAMP抑制率との関係を
図14に示す。ヒト化25H4-4F9抗体、及びヒト化85H7-2B11抗体のcAMP抑制に対するIC50値は、それぞれ、h25H4-4F9v1が0.17nM、h25H4-4F9v2が0.14nM、h25H4-4F9v3が0.26nM、h25H4-4F9v4が0.17nM、h25H4-4F9v5が0.50nM、h25H4-4F9v6が1.35nM、h25H4-4F9v8が1.07nM、そして、h85H7-2B11v1が0.07nM、h85H7-2B11v2が0.11nM、h85H7-2B11v3が0.08nM、h85H7-2B11v4が0.13nM、h85H7-2B11v5が0.14nM、h85H7-2B11v6が0.18nM、h85H7-2B11v7が0.12nM、h85H7-2B11v8が0.18nMであった。
【0091】
(実施例12)ヒト化抗体のCell ELISAによる結合親和性解析
96wellプレート(BD-FALCON社)に10%FCS含有DMEM/F-12培地(和光純薬)中のhCR2-CHOK1細胞を1×104cells/wellで添加し、一晩培養した。等量の4%パラホルムアルデヒド溶液(MUTO化学)を添加し、4℃で20分間静置して細胞を固定し、PBSTで洗浄した後、1%BSA-PBSで1時間以上のブロッキング処理を行った。精製抗体を67nMから1/10段階希釈して添加し、二次抗体として40.0ng/mLのGoat-Anti-Human-IgG-Fc-Fragment-HRP-conjugated(Bethyl社)を100μL添加して反応させた。TMB solution(eBioscience社)により発色させ、2NのH2SO4溶液で反応を停止してiMark(BioRAD社)を用いてOD450を測定した。得られた結合データについて、GraphPad Prism7を用いて結合親和性(EC50)を算出した。
【0092】
図15に示すように、抗体を6.7nM添加した際の結合は、ヒト化25H4-4F9及びヒト化85H7-2B11において、市販抗体の4E5、2F5、及びB5と比較して明らかに優れていた。
【0093】
また、各濃度での結合を
図16に示す。各抗体の結合活性(EC50)は、それぞれh25H4-4F9v1が0.73nM、h25H4-4F9v2が1.05nM、h25H4-4F9v3が0.83nM、h25H4-4F9v4が1.83nM、h25H4-4F9v5が2.32nM、h25H4-4F9v6が3.19nM、h25H4-4F9v8が3.03nM、そして、h85H7-2B11v1が0.18nM、h85H7-2B11v2が0.24nM、h85H7-2B11v3が0.23nM、h85H7-2B11v4が0.22nM、h85H7-2B11v5が0.25nM、h85H7-2B11v6が0.24nM、h85H7-2B11v7が0.23nM、h85H7-2B11v8が0.20nMであった。
【0094】
(実施例13)ヒト化抗体のHUVECの増殖抑制試験
ヒト化抗体のHUVEC増殖抑制能について、実施例3と同様の方法で調べた。96well培養プレートに2,500cells/wellでHUVECを播種し、3時間の前培養により接着させた。その後、各濃度のヒト化25H4-4F9、及びヒト化85H7-2B11を添加し、終濃度100nMのAMを添加し、96時間後におけるHUVECの増殖を観察して、HUVECの増殖抑制能を確認した。細胞数の測定にはCell Counting Kit-8(DOJINDO社)を用いた。増殖因子を除いた2%FBS含有Humedia-EG2培地で10倍希釈した発色溶液を100μL添加し、CO2インキュベーターで4時間発色させOD450として計測した。
【0095】
抗体非添加の場合のOD450(HUVEC細胞数)を100として、各抗体の添加濃度の割合からHUVEC増殖抑制率(IC50)を算出した。その結果、ヒト化25H4-4F9抗体、及びヒト化85H7-2B11抗体のIC50値は、それぞれh25H4-4F9v1が16.0nM、h25H4-4F9v2が10.9nM、そして、h85H7-2B11v1が5.1nM、h85H7-2B11v2が9.5nM、h85H7-2B11v3が1.5nM、h85H7-2B11v4が1.4nM、h85H7-2B11v5が21.4nM、h85H7-2B11v6が14.8nM、h85H7-2B11v7が32.7nM、h85H7-2B11v8が22.6nMであった。
【0096】
(実施例14)抗体のエピトープ解析
85H7-2B11抗体が認識する特定のエピトープ一次配列が存在するか否かを決定するために、ヒトRAMP2タンパクの細胞外領域について、12アミノ酸が重複するよ
うに3アミノ酸ずらした以下の31個の13~15アミノ酸からなるペプチド断片(配列番号71~101)を作製し、それらのペプチドに対する抗体の結合能をELISA法により調べた。ペプチドとタンパクの固相は1.0μg/mLの十分量を用い、結合には85H7-2B11抗体を20ng/mLで反応させた。二次抗体としてGoat Anti-mouse-IgG-HRPを50.0ng/mLで反応させ、結合した抗体をTMB溶液で発色させ、2NのH2SO4溶液で反応を停止した後にOD450を測定した。QPLPTTGTPGSEGGT(配列番号71)
PTTGTPGSEGGTVKN(配列番号72)
GTPGSEGGTVKNYET(配列番号73)
GSEGGTVKNYETAVQ(配列番号74)
GGTVKNYETAVQFSW(配列番号75)
VKNYETAVQFSWNHY(配列番号76)
YETAVQFSWNHYKDQ(配列番号77)
AVQFSWNHYKDQMDP(配列番号78)
FSWNHYKDQMDPIEK(配列番号79)
NHYKDQMDPIEKDWS(配列番号80)
KDQMDPIEKDWSDWA(配列番号81)
MDPIEKDWSDWAMIS(配列番号82)
IEKDWSDWAMISRPY(配列番号83)
DWSDWAMISRPYSTL(配列番号84)
DWAMISRPYSTLRDS(配列番号85)
MISRPYSTLRDSLEH(配列番号86)
RPYSTLRDSLEHFAE(配列番号87)
STLRDSLEHFAELFD(配列番号88)
RDSLEHFAELFDLGF(配列番号89)
LEHFAELFDLGFPNP(配列番号90)
FAELFDLGFPNPLAE(配列番号91)
LFDLGFPNPLAERII(配列番号92)
LGFPNPLAERIIFET(配列番号93)
PNPLAERIIFETHQI(配列番号94)
LAERIIFETHQIHFA(配列番号95)
RIIFETHQIHFANSS(配列番号96)
FETHQIHFANSSLVQ(配列番号97)
HQIHFANSSLVQPTF(配列番号98)
HFANSSLVQPTFSDP(配列番号99)
NSSLVQPTFSDPPED(配列番号100)
LVQPTFSDPPEDV(配列番号101)
【0097】
図17に示すように、等量のヒトRAMP2タンパクに対しては十分量の85H7-2B11抗体が結合した。一方で、85H7-2B11抗体はいずれのヒトRAMP2ペプチド断片にも結合しなかった。このことから、85H7-2B11抗体がRAMP2タンパク質の特定の一次構造ではなく、立体構造などの高次構造により構成されるエピトープを認識していることが示された。また、実施例8の結果から、本発明の抗体が抗原への結合において互いに競合することから、本発明の抗体はいずれもRAMP2タンパク質の特定の一次構造ではなく、立体構造などの高次構造により構成されるエピトープを認識すると考えられた。これらの結果から、HUVECの増殖を抑制するためには、RAMP2タンパク質の特定の一次構造ではなく、細胞外の立体構造により構成されるエピトープを認識することが重要であることが示された。
本抗体は、ヒトアドレノメジュリン受容体であるヒトRAMP2の機能を特異的に抑制できることから、RAMP2に関連する疾患の予防、診断又は治療方法の提供や、該疾患の予防薬、診断薬又は治療薬の開発において重要な役割を果たす事が期待される。
in vitroのアドレノメジュリン添加による血管内皮細胞増殖試験において、血管内皮細胞の増殖抑制作用を有する、受容体活性調節タンパク質2(RAMP2)に特異的に結合する抗体又はその免疫反応性断片であって、
以下の(i)~(xi)のうちいずれか1つの相補性決定領域(CDR)の組み合わせを有する抗体とRAMP2への結合において競合する抗体又はその免疫反応性断片:
(i)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなる重鎖相補性決定領域(CDRH)1、RNNPYNGDSIYNQKFKG(配列番号6)のアミノ酸配列からなるCDRH2、LMIFDAYYAMDY(配列番号7)のアミノ酸配列からなるCDRH3、RASQDIRNYLN(配列番号8)のアミノ酸配列からなる軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び、QQDSKHPWT(配列番号10)のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(ii)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、RNNPYNGDSIYNEKFQG(配列番号62)のアミノ酸配列からなるCDRH2、LMIFDAYYAMDY(配列番号7)のアミノ酸配列からなるCDRH3、RASQDIRNYLN(配列番号8)のアミノ酸配列からなるCDRL1、YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び、QQDSKHPWT(配列番号10)のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(iii)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、RNNPYNGDSIYNEKFQG(配列番号62)のアミノ酸配列からなるCDRH2、LMIFDAYYAMDY(配列番号7)のアミノ酸配列からなるCDRH3、QASQDIRNYLN(配列番号67)のアミノ酸配列からなるCDRL1、YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び、QQDSKHPWT(配列番号10)のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(iv)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、RNNPYNGDSIYAEKFQG(配列番号63)のアミノ酸配列からなるCDRH2、LMIFDAYYAMDY(配列番号7)のアミノ酸配列からなるCDRH3、QASQDIRNYLN(配列番号67)のアミノ酸配列からなるCDRL1、YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び、QQDSKHPWT(配列番号10)のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(v)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、RNNPYNGDSIYAEKFQG(配列番号63)のアミノ酸配列からなるCDRH2、LMIFDAYYAMDY(配列番号7)のアミノ酸配列からなるCDRH3、QASQDIRNYLN(配列番号67)のアミノ酸配列からなるCDRL1、YTSRLET(配列番号68)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び、QQDSKHPWT(配列番号10)のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(vi)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、RINPYNGDTFYNQKFKG(配列番号15)のアミノ酸配列からなるCDRH2、LGIYDVYHYVMEN(配列番号16)のアミノ酸配列からなるCDRH3、RASQDIRNYLN(配列番号8)のアミノ酸配列からなるCDRL1、YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び、QQDSKNPWT(配列番号17)のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(vii)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、RINPYNGDTFYNQKFQG(配列番号64)のアミノ酸配列からなるCDRH2、LGIYDVYHYVMEN(配列番号16)のアミノ酸配列からなるCDRH3、RASQDIRNYLN(配列番号8)のアミノ酸配列からなるCDRL1、YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び、QQDSKNPWT(配列番号17)のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(viii)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、RINPYNGDTFYNQKFQG(配列番号64)のアミノ酸配列からなるCDRH2、LGIYDVYHYVMEN(配列番号16)のアミノ酸配列からなるCDRH3、QASQDIRNYLN(配列番号67)のアミノ酸配列からなるCDRL1、YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び、QQDSKNPWT(配列番号17)のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(ix)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、RINPYNGDTFYAQKFQG(配列番号65)のアミノ酸配列からなるCDRH2、LGIYDVYHYVMEN(配列番号16)のアミノ酸配列からなるCDRH3、QASQDIRNYLN(配列番号67)のアミノ酸配列からなるCDRL1、YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び、QQDSKNPWT(配列番号17)のアミノ酸配列からなるCDRL3;
(x)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、RINPYNGDTFYAQKFQG(配列番号65)のアミノ酸配列からなるCDRH2、LGIYDVYHYVMEN(配列番号16)のアミノ酸配列からなるCDRH3、QASQDIRNYLN(配列番号67)のアミノ酸配列からなるCDRL1、YTSRLET(配列番号68)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び、QQDSKNPWT(配列番号17)のアミノ酸配列からなるCDRL3;及び
(xi)GYFMN(配列番号5)のアミノ酸配列からなるCDRH1、RINPYNGDTLYNQKFKG(配列番号22)のアミノ酸配列からなるCDRH2、LGIYDVYHYVMEN(配列番号16)のアミノ酸配列からなるCDRH3、RASQDIRNYLN(配列番号8)のアミノ酸配列からなるCDRL1、YTSRLHS(配列番号9)のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び、QQDSKNPWT(配列番号17)のアミノ酸配列からなるCDRL3。