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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169765
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
A47J27/00 109H
A47J27/00 103Z
A47J27/00 103N
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137831
(22)【出願日】2022-08-31
(62)【分割の表示】P 2018045119の分割
【原出願日】2018-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】市村 一貴
(72)【発明者】
【氏名】石原 杏子
(72)【発明者】
【氏名】内田 毅
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 利弘
(57)【要約】
【課題】昇温工程中でも簡単な制御で沸騰を維持することができる加熱調理器を提供する。
【解決手段】加熱調理器は、内容物を収容する容器と、容器を収納する本体と、容器を覆う蓋体と、容器を加熱する加熱装置と、容器内を減圧する減圧装置と、加熱装置および減圧装置を制御する制御装置と、蓋体の容器側の面に設けられた通気孔と、通気孔と外部とを連通し、減圧装置が設けられた流路と、流路の通気孔と減圧装置との間に設けられ、通気孔と減圧装置との間の流路を開状態と閉状態とに切り替え可能な開閉装置とを備え、制御装置は、内容物を大気圧未満の圧力で沸騰させる減圧沸騰制御が行われるように、加熱装置および減圧装置の駆動を制御し、減圧沸騰制御の後、内容物の沸騰を維持しながら昇温する昇温制御が行われるように、開閉装置によって通気孔と減圧装置との間の流路を閉状態にして加熱装置の駆動を制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器と、
前記容器を収納する本体と、
前記容器を覆う蓋体と、
前記容器を加熱する加熱装置と、
前記容器内を減圧する減圧装置と、
前記加熱装置および前記減圧装置を制御する制御装置と、
前記蓋体の前記容器側の面に設けられた通気孔と、
前記通気孔と外部とを連通し、前記減圧装置が設けられた流路と、
前記流路の前記通気孔と前記減圧装置との間に設けられ、前記通気孔と前記減圧装置との間の前記流路を開状態と閉状態とに切り替え可能な開閉装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記内容物を大気圧未満の圧力で沸騰させる減圧沸騰制御が行われるように、前記加熱装置および前記減圧装置の駆動を制御し、
前記減圧沸騰制御の後、前記内容物の沸騰を維持しながら昇温する昇温制御が行われるように、前記開閉装置によって前記通気孔と前記減圧装置との間の前記流路を閉状態にして前記加熱装置の駆動を制御する
加熱調理器。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記容器内の温度が設定温度に到達するとともに、前記容器内の圧力が設定圧力に到達した際に、前記容器内の温度を前記設定温度に維持するとともに、前記容器内の圧力を前記設定圧力に維持する温調制御が行われるように、前記加熱装置および前記減圧装置の駆動を制御する
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記容器内を密閉または非密閉とするように開閉する蒸気排出弁をさらに備え、
前記制御装置は、
前記設定温度が100℃である場合に、前記蒸気排出弁を開状態とし、
前記設定温度が100℃未満である場合に、前記蒸気排出弁を閉状態とする
請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記容器の温度を計測する温度センサと、
前記容器内の圧力を計測する圧力センサと、
メニューを設定する操作表示装置をさらに備え、
前記制御装置は、
設定された前記メニューに基づき、前記設定温度を設定する温度設定部と、
前記温度センサの計測結果および前記設定温度に基づき、前記容器の温度が前記設定温度に到達したか否かを判定する温度判定部と、
前記メニューに基づき、前記設定圧力を設定する圧力設定部と、
前記圧力センサの計測結果および前記設定圧力に基づき、前記容器内の圧力が前記設定圧力に到達したか否かを判定する圧力判定部とを有する
請求項2または3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記メニューに応じた前記設定温度および前記設定圧力を含む調理シーケンスを記憶する記憶部をさらに有する
請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記操作表示装置は、
設定された前記メニューに対応する前記設定温度および前記設定圧力が入力される
請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記温度センサの計測結果に基づき、前記内容物の沸騰を検知する沸騰検知部と、
前記沸騰検知部での検知結果に基づき、前記加熱装置の駆動を制御する加熱制御部と、
前記沸騰検知部での検知結果に基づき、前記減圧装置の駆動を制御する圧力制御部と
を有する
請求項4に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材を調理する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱調理器においては、容器内の圧力を調整して容器内の内容物に対する加熱ムラの改善、および調理時間の短縮化を行うことができる種々の方法が提案されている。例えば、特許文献1には、鍋内の圧力を調整する圧力弁を備え、鍋内を加圧状態とした後に、圧力弁を開いて鍋内を大気圧に戻すことで、沸点の急激な低下による激しい沸騰を引き起こして鍋内を攪拌し、加熱ムラを改善する加熱調理器が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、減圧装置で容器内を減圧し、真空下で容器内の内容物を加熱し、低温で沸騰させることにより、全体を均一に調理するとともに、発生した蒸気の凝縮熱によって内容物の昇温を促進し、調理時間を短縮化する加熱調理器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-81824号公報
【特許文献2】特許第2933847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の加熱調理器では、沸騰を急激に引き起こすには、鍋内の温度を少なくとも100℃程度まで昇温してから加圧しなければならず、昇温中に内容物を沸騰させることができない。
【0006】
また、特許文献2に記載の加熱調理器では、100℃未満の低温で沸騰させることができるが、昇温工程では容器内の圧力変化によって沸点が変化するため、煮汁の温度に応じて容器内の圧力を微調整する必要がある。具体的には、例えば0.2atm程度まで減圧した状態を維持した場合、煮汁は60℃程度で沸騰するため、それ以上温度が上昇しない、あるいは温度上昇に長時間を要することになる。
【0007】
したがって、この場合には、減圧装置の駆動パターンを変更し、容器内の圧力を上昇させる必要がある。しかしながら、昇温中の温度上昇に対して、沸点は線形に変化するものではないため、圧力制御が煩雑となり、沸騰を維持することが困難である。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、昇温工程中でも簡単な制御で沸騰を維持することができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の加熱調理器は、内容物を収容する容器と、前記容器を収納する本体と、前記容器を覆う蓋体と、前記容器を加熱する加熱装置と、前記容器内を減圧する減圧装置と、前記加熱装置および前記減圧装置を制御する制御装置と、前記蓋体の前記容器側の面に設けられた通気孔と、前記通気孔と外部とを連通し、前記減圧装置が設けられた流路と、前記流路の前記通気孔と前記減圧装置との間に設けられ、前記通気孔と前記減圧装置との間の前記流路を開状態と閉状態とに切り替え可能な開閉装置とを備え、前記制御装置は、前記内容物を大気圧未満の圧力で沸騰させる減圧沸騰制御が行われるように、前記加熱装置および前記減圧装置の駆動を制御し、前記減圧沸騰制御の後、前記内容物の沸騰を維持しながら昇温する昇温制御が行われるように、前記開閉装置によって前記通気孔と前記減圧装置との間の前記流路を閉状態にして前記加熱装置の駆動を制御するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明の加熱調理器によれば、減圧沸騰した後に通気孔と減圧装置との間の流路を閉状態にして加熱装置を駆動することにより、昇温工程中でも簡単な制御で沸騰を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る加熱調理器の構成の一例を示す模式断面図である。
図2図1の加熱調理器の構成の一例を示すブロック図である。
図3図1の制御装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4】内容物の温度と飽和蒸気圧との関係を示すグラフである。
図5】容器の温度[℃]および容器内の圧力[atm]と、加熱装置、減圧ポンプ、電磁弁および蒸気排出弁それぞれの動作タイミングとの一例を示す概略図である。
図6図3の制御装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器について説明する。図1は、本実施の形態1に係る加熱調理器100の構成の一例を示す模式断面図である。加熱調理器100は、本体1と、本体1に開閉自在に係止された外蓋2とを備えている。
【0013】
[加熱調理器100の構成]
本体1の内側には、容器収納部3が内装固着されている。容器収納部3には、有底筒状で上面が開口した鍋状の容器4が着脱自在に収納されている。容器4内には、被加熱物である食材等の内容物が収容される。容器収納部3の外壁には、加熱装置5が設けられている。加熱装置5は、例えば、容器収納部3にスパイラル状に旋回された加熱コイル5aであり、高周波電流が供給されることにより発生する磁界で容器4を誘導加熱する。加熱装置5の加熱動作は、制御装置50によって制御される。なお、加熱装置5として、この例に限られず、電流が供給されることによって熱を発生するヒータ等が用いられてもよい。
【0014】
容器収納部3の底面の中央部には貫通孔が形成され、貫通孔内に温度センサ6が配置されている。温度センサ6は、圧縮ばね7によって下方から支持され、容器4の底部に接触するように配置される。温度センサ6は、容器4の温度を計測する。
【0015】
容器4には取っ手部8が設けられている。取っ手部8は、容器収納部3に設けられた図示しない保持部上に係止される。これにより、容器4が本体1内に保持される。容器4の上面開口の周囲には、外方に延出するフランジ部4aが形成されている。
【0016】
外蓋2には、容器4の上面開口を覆う蓋体である内蓋9が連結されている。内蓋9の周縁には、シール材である蓋パッキン10が設けられている。蓋パッキン10は、外蓋2を閉じた際に、容器4のフランジ部4aおよび内壁と内蓋9との密閉性が得られるようになっている。
【0017】
内蓋9には蒸気孔11が形成されている。蒸気孔11には蒸気排出弁12が配置されている。蒸気排出弁12は、制御装置50による制御に基づき開閉し、容器4内を密閉または非密閉とする。
【0018】
蒸気排出弁12の下流には、カートリッジ13が配置されている。カートリッジ13は、蒸気排出口14を備え、蒸気排出弁12を介して容器4内の蒸気を蒸気排出口14から排出する。カートリッジ13には、蒸気の排出経路を密閉するためのカートリッジパッキン15が設けられている。
【0019】
内蓋9には、貫通する内蓋通気孔16が設けられている。外蓋2には、外面に開口する外蓋通気孔17と、内蓋通気孔16と外蓋通気孔17との間に設けられた、容器4の内外を連通する連通管18とが形成されている。連通管18は、中空状に形成され、内蓋通気孔16側の端部には、内蓋通気孔16に密閉接続するための経路パッキン19が配置されている。
【0020】
連通管18には、減圧装置である減圧ポンプ20と、開閉装置である電磁弁21が配置されている。減圧ポンプ20は、内蓋通気孔16を介して容器4内の空気を吸引し、吸引した空気を連通管18および外蓋通気孔17を介して外部に排出することにより、容器4内を減圧する。減圧ポンプ20の駆動は、制御装置50によって制御される。電磁弁21は、減圧ポンプ20よりも内蓋通気孔16側に設けられ、連通管18の内蓋通気孔16から減圧ポンプ20に至る流路を開閉する。電磁弁21の開閉動作は、制御装置50によって制御される。
【0021】
なお、外蓋通気孔17は、外蓋2の側面または底面に配置されると好ましい。これは、減圧ポンプ20への水分および異物の侵入を防ぎ、故障を抑制するためである。また、外蓋通気孔17は、容器4内の空気を外部に排気するための排気孔として配置されているが、このような排気孔は、これに限られず、例えば本体1の側面または底部等に配置してもよい。
【0022】
内蓋9には、貫通するセンサ孔22が設けられている。外蓋2には、圧力センサである蓋センサ23と蓋センサパッキン24とが配置されている。蓋センサ23は、センサ孔22を介して容器4内の圧力を計測する。蓋センサパッキン24は、センサ孔22と外蓋2とを密閉するために設けられている。
【0023】
また、本体1には、操作表示装置25が設置されている。操作表示装置25は、ユーザによる操作指示等の入力および動作状態等の表示を行う。なお、操作表示装置25は、本体1に設置される場合に限られず、例えば外蓋2に設置されてもよい。また、操作表示装置25に対する操作および表示等の各種機能は、スマートフォン等の外部の機器によって実現されてもよい。
【0024】
さらに、加熱調理器100は、制御装置50を備えている。制御装置50は、加熱調理器100全体を制御する。特に、本実施の形態1において、制御装置50は、温度センサ6および蓋センサ23の計測結果に基づき、加熱装置5の加熱動作、蒸気排出弁12の開閉動作、減圧ポンプ20の駆動および電磁弁21の開閉動作を制御する。制御装置50は、マイクロコンピュータなどの演算装置上でソフトウェアを実行することにより各種機能が実現され、もしくは各種機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア等で構成されている。なお、制御装置50は、本体1に設けられてもよいし、外蓋2に設けられてもよい。
【0025】
(制御装置50)
図2は、図1の加熱調理器100の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、制御装置50には、蒸気排出弁12、減圧ポンプ20、電磁弁21、温度センサ6、蓋センサ23および操作表示装置25、ならびに、加熱コイル5aに高周波電流を供給するインバータ部30が電気的に接続されている。
【0026】
図3は、図1の制御装置50の構成の一例を示す機能ブロック図である。図3に示すように、制御装置50は、温度設定部51、温度判定部52、沸騰検知部53、圧力設定部54、圧力判定部55、加熱制御部56、圧力制御部57および記憶部58を備えている。
【0027】
温度設定部51は、操作表示装置25に対する操作によって入力されたメニューと、記憶部58に記憶された調理シーケンスとに基づき、設定温度Tを設定する。温度判定部52は、温度センサ6による計測結果に基づき、容器4の内容物の温度を判定する。沸騰検知部53は、温度センサ6による計測結果に基づき、容器4の内容物が沸騰したか否かを判定する。
【0028】
圧力設定部54は、操作表示装置25に対する操作によって入力されたメニューと、記憶部58に記憶された調理シーケンスとに基づき、設定圧力Pを設定する。圧力判定部55は、蓋センサ23による計測結果に基づき、容器4内の圧力を判定する。
【0029】
加熱制御部56は、温度設定部51によって設定された設定温度Tに基づき、加熱装置5を制御する。また、加熱制御部56は、温度判定部52による判定結果に基づき、加熱装置5を制御する。さらに、加熱制御部56は、沸騰検知部53による検知結果に基づき、加熱装置5を制御する。
【0030】
圧力制御部57は、圧力設定部54によって設定された設定圧力Pに基づき、減圧ポンプ20、電磁弁21および蒸気排出弁12を制御する。また、圧力制御部57は、圧力判定部55による判定結果に基づき、減圧ポンプ20、電磁弁21および蒸気排出弁12を制御する。さらに、圧力制御部57は、沸騰検知部53による検知結果に基づき、減圧ポンプ20、電磁弁21および蒸気排出弁12を制御する。
【0031】
記憶部58は、メニュー毎の調理シーケンスを含むテーブルを予め記憶する。記憶部58は、温度設定部51および圧力設定部54からの要求に応じて、記憶されたテーブルから必要な調理シーケンスを読み出し、それぞれに供給する。
【0032】
調理シーケンスは、メニューに応じて設定温度T[℃]、設定圧力P[atm]、減圧ポンプ20の駆動パターン、および設定温度Tを維持する設定時間等を含む情報である。設定温度Tは、温調行程において調整される一定の温度である。設定温度Tは、100℃以下の温度とする。設定圧力Pは、温調行程において調整される一定の温度である。設定圧力Pは、大気圧1.0atm以下の圧力とする。
【0033】
このような調理シーケンスは、例えばメニュー毎に設定されテーブル化されて記憶部58に予め記憶されている。なお、ユーザが直接設定温度T、設定圧力P、設定時間等は、調理シーケンスによって設定される場合に限られず、例えば、ユーザによってそれぞれが直接設定されてもよい。
【0034】
[加熱調理器100の動作]
次に、上記構成を有する加熱調理器100の動作について説明する。例えば、加熱調理器である炊飯器では、一般に、米の糊化温度以下(35℃~65℃)で水を吸水させる吸水工程を設けている。そして、吸水後に昇温して沸騰状態を維持することで、容器内での対流が促進されるため、水分を十分に含んだおいしい仕上がりを得ることができる。しかし、容器内の温度が低い場合には沸騰しないため、加熱面に近い底面付近と加熱面から遠い水面付近とでは、温度差が生じやすく、仕上がりにムラが生じる。これに対して、容器内の内容物を沸騰させて対流を促進させることで、仕上がりのムラを軽減することができ、炊飯後の仕上がりを均一にし、食味を向上することができる。
【0035】
また、容器内の内容物を沸騰させることで、炊飯以外の調理においても加熱ムラを軽減し、仕上がりを均一にすることができる。
特に、無水調理のように煮汁が少ない状態で昇温する調理の場合、昇温時に煮汁に浸っている底面付近の内容物と、煮汁に浸かっていない底面から遠い位置の内容物とでは、加熱ムラが生じやすい。すなわち、底面から遠い内容物を十分に加熱すると、底面付近の内容物が煮崩れするといった問題が生じる。しかし、昇温過程でも沸騰させることにより、煮汁に浸かっていない部分まで蒸気を届けることができるため、食品へ蒸気の凝縮潜熱も与えることができ、全体の加熱ムラを抑えて食味を向上することができる。
【0036】
そこで、本実施の形態1では、容器4内の内容物を100℃未満の低温時においても沸騰させ、さらに、昇温過程でも沸騰を維持する。これにより、容器4内での対流が促進され、内容物全体の加熱ムラが抑制される。そして、加熱ムラが抑制されることにより、容器4内の内容物が均一に加熱され、食材の仕上がりが安定するため、おいしさを向上させることができる。
【0037】
沸騰は、容器4内で調理される煮汁等の内容物の沸点よりも高い温度まで容器4の底部が加熱されることで起こる。これは、内容物の沸点と加熱面との差分のエネルギーが、蒸発するためのエネルギーとして消費されるためである。したがって、昇温時に沸騰を維持するためには、容器4内を減圧した状態で、内容物を蒸発させるためのエネルギーを与え続ける必要がある。
【0038】
図4は、内容物の温度と飽和蒸気圧との関係を示すグラフである。図4のグラフは、内容物の温度に対する飽和蒸気圧、すなわち、内容物が沸騰する際の圧力と沸点との関係を示す。図4に示すように、昇温時に圧力を一定に保持することにより、容器4内の内容物の沸点が一定となるため、容器4の温度は上昇しない。
【0039】
しかし、容器4内を大気圧未満で一定の温度に温度調整(以下、「温調」と称する)した場合に内容物が沸騰すると、容器4内に蒸気が発生し、発生した蒸気によって容器4内の圧力が上昇する。そのため、圧力の上昇に伴って沸点も上昇するため、次第に沸騰しなくなり、沸騰を維持することができない。したがって、一定の温度に温調した状態で沸騰を維持するためには、容器4内の圧力を一定に保持する必要がある。しかし、図4に示すように、沸点は、圧力上昇に対して線形に変化するものではないため、一定の温度で沸騰を維持するためには、減圧ポンプ20による容器4内の減圧制御が複雑になる。
【0040】
本実施の形態1では、減圧低温状態で容器4内の内容物を沸騰させた後、沸騰によって発生する蒸気による圧力上昇を利用し、容器4を加熱し続けることにより、沸騰状態を維持しながら昇温を行う。
【0041】
(基本動作)
本実施の形態1に係る加熱調理器100の基本動作について、図1および図2を参照しながら説明する。ここでは、加熱装置5として加熱コイル5aが用いられる場合を例にとって説明する。
【0042】
まず、ユーザによって、任意のメニューを調理するのに必要な米、肉、魚、野菜、水および調味料等の材料が容器4内に投入される。その後、ユーザが取っ手部8を把持することにより、容器4が容器収納部3に載置され、外蓋2が閉じられる。これにより、内蓋9の蓋パッキン10が容器4のフランジ部4aに圧接され、容器4内が密閉される。
【0043】
次に、ユーザによる操作表示装置25に対する操作によってメニューが選択され、図示しないスイッチがオンとされると、制御装置50に調理開始指示が与えられ、調理が開始される。このとき、制御装置50には、選択されたメニューに応じた調理シーケンスが、指示として与えられる。
【0044】
調理シーケンスが制御装置50に与えられると、加熱コイル5aには、インバータ部30から高周波電流が供給され、高周波磁界が発生する。容器4の加熱コイル対向面は、発生した高周波磁界によって加熱コイル5aと磁気結合して励磁され、容器4の底面に渦電流が誘起される。そして、誘起された渦電流と、容器4の抵抗とによりジュール熱が生じ、容器4の底面が発熱し、容器4の内容物に対する加熱が行われる。
【0045】
一方、電磁弁21は、調理開始時には「開」とされており、減圧ポンプ20と容器4内とが連通している。調理が開始されると、減圧ポンプ20が駆動され、容器4内の空気が内蓋通気孔16および連通管18を介して外蓋通気孔17から外部へ排出される。これにより、容器4内の圧力が徐々に低下する。このとき、容器4内の圧力をできるだけ低くすることで、より低温から沸騰させることができる。
【0046】
そして、容器4の温度が、容器4内の圧力P’で沸騰する温度T’となると、容器4内に収容された内容物が沸騰し、減圧低温沸騰が開始される。なお、圧力P’は大気圧1.0atmよりも低い圧力である。
【0047】
減圧低温沸騰後、減圧ポンプ20の駆動が停止されるとともに電磁弁21が「閉」とされ、加熱のみが継続される。この場合、沸騰時に発生する蒸気によって容器4内の圧力が徐々に上昇し、内容物が沸騰を維持したまま昇温する。そして、容器4の温度が設定温度Tに到達した後、インバータ部30が制御され、温調が設定温度Tで開始される。このとき、減圧ポンプ20および電磁弁21が制御されることにより、設定圧力Pが強制減圧圧力を超えないように間欠的に減圧が行われ、設定圧力Pが維持される。なお、設定温度Tが100[℃]の場合、蒸気排出弁12が「開」とされ、減圧ポンプ20は駆動しない。
【0048】
指示された設定時間が経過すると、調理が終了し、インバータ部30および減圧ポンプ20の駆動が停止され、加熱および減圧が停止する。また、電磁弁21が「開」とされる。
【0049】
このように、本実施の形態1では、減圧低温沸騰をさせた後、昇温工程中は圧力制御を行わず、容器4を密閉状態とする。このとき、内容物が沸騰しているため、容器内で蒸気が発生し、発生した蒸気によって容器4内の圧力が上昇し、その結果、沸点も上昇する。また、容器4は、加熱装置5によって加熱が継続されているため、沸点が上昇すると、容器4内の温度はその沸点まで上昇し、再度容器4内の圧力が上昇して沸点が上昇する。以降、昇温を続ける限り、容器4内の圧力が大気圧に到達するまでこれを繰り返す形となる。これにより、容器4内の圧力は、昇温中もその時点における温度の飽和蒸気圧で変化するため、沸騰を維持しながら昇温をすることができる。
【0050】
なお、沸騰が起こらない状態で減圧ポンプ20が停止され、電磁弁21が閉塞された状態で昇温が行われると、加熱による膨張によっても圧力が上昇するため、沸騰が起こらないまま昇温することになる。また、沸騰後、減圧ポンプ20が停止され、電磁弁21が閉塞されて、徐々にリークをして昇温すれば、容器4内の圧力が必要以上上昇して沸騰が起こらなくなる可能性がある。そのため、沸騰状態を維持し続けるためには、沸騰後に減圧ポンプ20を停止させ、電磁弁21を閉塞し、昇温中は電磁弁21を動作させないことが好ましい。
【0051】
図5は、本実施の形態1に係る加熱調理器100の調理制御について説明するための概略図である。図5は、容器4の温度[℃]および容器4内の圧力[atm]と、加熱装置5、減圧ポンプ20、電磁弁21および蒸気排出弁12それぞれの動作タイミングとの一例を示す。図5に示すように、加熱調理器100には、調理の際の工程として、第1昇温工程、減圧工程、減圧沸騰工程、第2昇温工程および温調工程が設定されている。この例では、調理の際に、容器4内の圧力を圧力P’まで減圧して沸騰させ、その後、沸騰を維持しながら容器4を設定温度Tまで昇温させる場合について説明する。
【0052】
(第1昇温工程、減圧工程)
第1昇温工程は、容器4内の内容物が沸騰するまで昇温する工程である。減圧工程は、容器4内の圧力を圧力P’まで減圧する工程である。第1昇温工程と減圧工程とは、同時に行われる。
【0053】
調理開始後、加熱制御部56は、温度センサ6で計測された容器4の温度が設定温度T[℃]となるように加熱装置5を駆動し、容器4の加熱を開始する。また、圧力制御部57は、蒸気排出弁12を閉にして減圧ポンプ20を駆動し、容器4内の減圧を開始する。なお、調理開始時において、電磁弁21は「開」とされている。
【0054】
圧力制御部57は、容器4内の内容物が沸騰するまで減圧を続ける。このとき、容器4内の圧力が、沸騰前に減圧ポンプ20の性能上の最低圧力に到達した場合でも、内容物が沸騰するまで減圧を継続する。なお、本実施の形態では、第1昇温工程による加熱と減圧工程による減圧とを同時に開始しているが、これに限られず、減圧の開始後に加熱を開始してもよいし、設定温度Tよりも低い温度まで加熱をしてから減圧を開始してもよい。そして、時点t1において、容器4内の圧力が圧力P’となり、内容物の温度が温度T’となると、工程が減圧沸騰工程に移行する。
【0055】
(減圧沸騰工程)
減圧沸騰工程は、減圧された圧力P’に対応する温度T’で内容物を沸騰させる工程である。容器4内の圧力が圧力P’まで減圧された状態で、当該圧力P’に対応する沸点である温度T’まで容器4内の内容物の温度が昇温すると、内容物の沸騰が開始される。内容物が沸騰した状態で、減圧ポンプ20を駆動して容器4内の圧力P’を維持した場合、容器4内の内容物の温度は上昇しない、もしくは非常に緩やかに上昇する。
【0056】
時点t2において、沸騰検知部53は沸騰を検知すると、減圧ポンプ20を停止させるとともに、電磁弁21を「開」から「閉」に切り替え、容器4を密閉状態にする。そして、工程が第2昇温工程に移行する。なお、内容物の沸騰検知として、従来から用いられている各種公知の方法が用いられる。具体的には、例えば、容器4内の空間温度を計測する容器内空間温度センサを設け、容器内空間温度センサの計測温度と温度センサ6で計測された容器4の温度との温度差が設定値以下になった場合に、沸騰検知部53は、沸騰を検知することができる。
【0057】
(第2昇温工程)
第2昇温工程は、容器4内の内容物の沸騰を維持した状態で昇温する工程である。電磁弁21が「閉」とされ、容器4が密閉されると、内容物の沸騰によって発生する蒸気により、容器4内の圧力が徐々に上昇する。また、容器4内の圧力上昇に伴って内容物の沸点が上昇するため、加熱装置5による容器4の加熱を継続する。これにより、容器4の内容物は沸騰を維持しながら昇温する。そして、時点t3において、容器4内の圧力が設定圧力Pとなり、容器4の温度が設定温度Tとなると、工程が温調工程に移行する。
【0058】
なお、第2昇温工程において、加熱制御部56は、加熱装置5への入力電流を高くしてもよい。入力電流を減圧沸騰工程から維持した場合でも、容器4は徐々に昇温するが、沸騰が起きた場合、沸騰によって蒸発潜熱が奪われる。そのため、同じ入力で沸騰しない場合と比較して、昇温速度が低下する。内容物の量および食材の種類によっては、昇温が非常に遅くなり、調理時間の増加および野菜の軟化不足となる可能性がある。そのため、入力電流を高くすることで、沸騰がより促進されて内容物の昇温が促進されて加熱ムラが抑制されるので、食味が向上する。
【0059】
容器4が設定温度Tに到達するまで、電磁弁21および蒸気排出弁12は「閉」とする。なお、蒸気排出弁12を「開」として容器4内に少量の空気を導入することで、容器4内の圧力を上昇させて減圧沸騰時の昇温速度を増加させることもできる。しかしながら、圧力が上昇した分だけ沸点も上昇するため、同じ入力でも沸騰の強さが弱くなる。また、圧力上昇量が多い場合には、沸騰の維持が困難となり、減圧ポンプ20を再度駆動する必要が生じるため、圧力制御部57による制御が複雑化する可能性がある。
【0060】
(温調工程)
温調工程は、容器4の温度が設定温度Tを維持するように、温度を調整する工程である。容器4の温度が設定温度Tに到達し、工程が温調工程に移行すると、加熱制御部56は、容器4の温度が設定温度Tを維持するように加熱装置5を制御する。すなわち、加熱制御部56は、温度センサ6で計測された容器4の温度が設定温度Tを含む一定の温度範囲内に収まるように加熱装置5を制御する。なお、ここでは、「設定温度Tを含む一定の温度範囲内に収まる」ことが「設定温度Tを維持する」ことを意味するものとする。
【0061】
ここで、設定温度Tが100℃の場合には、蒸気排出弁12を開にして、蒸気を逃がすようにする。また、設定温度Tが100℃未満の場合、内容物が沸騰することによって容器4内では蒸気が発生している。そのため、容器4内の圧力が上昇するものの、容器4の温度が一定の温度に温調され、上昇した圧力に対応する沸点まで温度が上昇しないことから、次第に沸騰が起こらなくなる。
【0062】
そこで、設定温度Tが100℃未満の場合、圧力制御部57は、温調工程に移行した後に、容器4内の圧力が設定圧力Pを維持するよう、減圧ポンプ20を間欠的に駆動し、減圧を繰り返す。具体的には、圧力制御部57は、圧力判定部55の判定の結果、蓋センサ23で計測された圧力が設定圧力P前後の強制減圧圧力以上となった場合に、電磁弁21を「開」とし、減圧ポンプ20と容器4内とを連通させる。そして、圧力制御部57は、減圧ポンプ20を例えば5秒といった設定時間だけ駆動し、再度、電磁弁21を「閉」として減圧ポンプ20を停止させるという動作を繰り返す。
【0063】
すなわち、圧力制御部57は、容器4内の圧力が設定圧力Pを含む一定の圧力範囲内に収まるように、減圧ポンプ20および電磁弁21を制御する。なお、ここでは、「設定圧力Pを含む一定の圧力範囲内に収まる」ことが「設定圧力Pを維持する」ことを意味するものとする。
【0064】
このように、温調工程では、当該工程に対して予め設定された設定時間が終了するまで、温度および圧力の調整が繰り返される。そして、設定時間が終了すると、調理制御が終了する。なお、図5の温調工程における実線は、設定温度Tを100℃とした場合の動作状態を示し、点線は、設定温度Tを100℃未満とした場合の動作状態を示す。
【0065】
図6は、図3の制御装置50による処理の流れの一例を示すフローチャートである。ステップS1において、制御装置50にメニューに応じた調理シーケンスが与えられると、圧力制御部57は、電磁弁21を「開」とするとともに、蒸気排出弁12を「閉」とする。次に、ステップS10において、加熱制御部56は、加熱装置5を制御して加熱処理を開始する。また、ステップS20において、圧力制御部57は、減圧ポンプ20を駆動し、減圧処理を開始する。
【0066】
ステップS2において、沸騰検知部53は、温度センサ6による計測結果に基づき、容器4の内容物が沸騰したか否かを検知する。容器4の内容物が沸騰したことを検知した場合(ステップS2;Yes)には、処理がステップS11およびステップS21に移行する。一方、容器4の内容物が沸騰していないことを検知した場合(ステップS2;No)には、処理がステップS2に戻り、沸騰するまでステップS2の処理が繰り返される。
【0067】
ステップS2において沸騰が検知されると、ステップS11において、加熱制御部56は、加熱装置5を制御し、入力電流を増加させる。そして、ステップS12において、温度判定部52は、温度センサ6の計測結果と温度設定部51により設定された設定温度Tとに基づき、容器4の内容物が設定温度Tに到達したか否かを判定する。
【0068】
容器4の内容物が設定温度Tに到達したと判定された場合(ステップS12;Yes)には、ステップS3において温調が開始される。また、容器4の内容物が設定温度Tに到達していないと判定された場合(ステップS12;No)には、処理がステップS12に戻り、容器4の内容物が設定温度Tに到達するまで、ステップS12の処理が繰り返される。
【0069】
一方、ステップS2において沸騰が検知されると、圧力制御部57は、ステップS21において減圧ポンプ20を停止させるとともに、ステップS22において電磁弁21を「閉」とし、容器4を密閉する。ステップS23において、圧力判定部55は、蓋センサ23の計測結果と圧力設定部54により設定された設定圧力Pとに基づき、容器4内の圧力が設定圧力Pに到達したか否かを判定する。
【0070】
容器4の圧力が設定圧力Pに到達したと判定された場合(ステップS23;Yes)には、ステップS3において温調が開始される。また、容器4の圧力が設定圧力Pに到達していないと判定された場合(ステップS23;No)には、処理がステップS23に戻り、容器4の圧力が設定圧力Pに到達するまで、ステップS23の処理が繰り返される。
【0071】
温調が開始されると、加熱制御部56は、ステップS13において、加熱装置5を制御し、入力電流を低下させる。そして、ステップS14において、温度設定部51は、設定温度Tが100[℃]であるか否かを判定する。設定温度Tが100[℃]である場合(ステップS14;Yes)、圧力制御部57は、ステップS15において、蒸気排出弁12を「開」とする。また、設定温度Tが100[℃]でない場合(ステップS14;No)には、処理がステップS4に移行する。
【0072】
一方、温調が開始されると、ステップS24において、圧力判定部55は、容器4の圧力が強制減圧圧力以上であるか否かを判定する。容器4の圧力が強制減圧圧力以上である場合(ステップS24;Yes)、圧力制御部57は、電磁弁21を「開」とするとともに、減圧ポンプ20を駆動し、強制減圧を行う。そして、圧力制御部57は、設定時間だけ強制減圧を行った後、ステップS26において、電磁弁21を「閉」とするとともに、減圧ポンプ20を停止させ、減圧を停止する。一方、容器4の圧力が強制減圧圧力未満である場合(ステップS24;No)には、処理がステップS4に移行する。
【0073】
次に、ステップS4において、設定時間が経過したか否かが判定される。設定時間が経過した場合(ステップS4;Yes)には、一連の処理が終了する。一方、設定時間が経過していない場合(ステップS4;No)には、処理がステップS13およびステップS24に移行し、温調が継続される。
【0074】
以上のように、本実施の形態1に係る加熱調理器100では、制御装置50は、加熱装置5および減圧ポンプ20を駆動し、内容物を大気圧未満の圧力で沸騰させる減圧沸騰工程と、減圧沸騰工程後、減圧ポンプ20を停止させて加熱する第2昇温工程とを行う。加熱調理器100では、減圧沸騰工程において、容器4内の内容物が大気圧未満の圧力で沸騰する。その後、第2昇温工程において、内容物の沸騰により水蒸気が発生し、発生した水蒸気により、容器4内の圧力が上昇する。容器4内の圧力が上昇することにより、内容物の沸点が上昇するが、容器4は加熱されているため、内容物が沸点に到達することにより、内容物が沸騰する。そして、内容物が沸騰することにより、容器4内の圧力がさらに上昇する。このように、本実施の形態1では、容器4内を減圧して内容物を沸騰させ、沸騰を維持した状態で昇温するため、昇温工程中でも簡単な制御で沸騰を維持することができる。
【0075】
また、加熱調理器100では、第2昇温工程において、電磁弁21を常に閉状態とすることにより、容器4が密閉される。これにより、内容物の沸騰により発生する蒸気によって容器4内の圧力が上昇し、加熱装置5による加熱によって容器4内が昇温するため、沸騰を維持した状態で容器4を昇温することができる。
【0076】
さらに、加熱調理器100において、制御装置50は、容器4内の温度が設定温度Tに到達するとともに、容器4内の圧力が設定圧力Pに到達した際に、容器4内の温度を設定温度Tに維持するとともに、圧力を設定圧力Pに維持する温調工程をさらに有している。これにより、設定温度Tでの沸騰が維持されるため、内容物全体の加熱ムラを抑制することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 本体、2 外蓋、3 容器収納部、4 容器、4a フランジ部、5 加熱装置、5a 加熱コイル、6 温度センサ、7 圧縮ばね、8 取っ手部、9 内蓋、10 蓋パッキン、11 蒸気孔、12 蒸気排出弁、13 カートリッジ、14 蒸気排出口、15 カートリッジパッキン、16 内蓋通気孔、17 外蓋通気孔、18 連通管、19 経路パッキン、20 減圧ポンプ、21 電磁弁、22 センサ孔、23 蓋センサ、24 蓋センサパッキン、25 操作表示装置、30 インバータ部、50 制御装置、51 温度設定部、52 温度判定部、53 沸騰検知部、54 圧力設定部、55 圧力判定部、56 加熱制御部、57 圧力制御部、58 記憶部、100 加熱調理器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6