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特開2022-169770タンパク質の半減期を増加させる方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169770
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】タンパク質の半減期を増加させる方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/63 20060101AFI20221101BHJP
   C07K 14/535 20060101ALI20221101BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20221101BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20221101BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20221101BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221101BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221101BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20221101BHJP
   C12N 15/27 20060101ALN20221101BHJP
【FI】
C12N15/63 Z
C07K14/535 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P37/02
A61P35/00
A61P35/02
A61K38/16
C12N15/27
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022138031
(22)【出願日】2022-08-31
(62)【分割の表示】P 2019560669の分割
【原出願日】2018-05-05
(31)【優先権主張番号】PCT/KR2017/004730
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】518172990
【氏名又は名称】ユビプロテイン, コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】UBIPROTEIN, CORP.
【住所又は居所原語表記】A-518, Samwhan Hipex 240, Pangyoyeok-ro, Bundang-gu, Seongnam-si, Gyeonggi-do 13493 Repuzblic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ベク,クァン-ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョンゴン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミョン-ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョンミ
(72)【発明者】
【氏名】オ,ス キョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ベ,ソン-リョル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タンパク質の半減期を増加させる方法または半減期の増加したタンパク質を提供する。
【解決手段】タンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法であって、タンパク質または(ポリ)ペプチドにおいてユビキチンのC末端のグリシンと結合するリジンの少なくとも1つをアルギニンで置換することを含み、前記タンパク質は、特定のアミノ酸配列を有するGM-CSFであり、そのN末端から89番目、91番目および102番目のリジン残基の少なくとも1つをアルギニンで置換する、前記方法である。本発明のリジン残基が置換されたタンパク質は、人体内で長期に亘って残留し、治療効果に優れる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質または(ポリ)ペプチドにおいてユビキチン(ubiquitin)のC末端のグリシン(glycine)と結合するリジン(lysine)のうち一つ以上をアルギニン(arginine)で置換することを含む、タンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期(half-life)を増加させる方法。
【請求項2】
前記タンパク質がEGFであることを特徴とする、請求項1に記載のタンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法。
【請求項3】
前記EGFが配列番号1のアミノ酸配列を有し、そのN末端から28および48番目の位置のリジン残基のうち一つ以上をアルギニンで置換することを特徴とする、請求項2に記載のタンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法。
【請求項4】
前記タンパク質がPDGFAであることを特徴とする、請求項1に記載のタンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法。
【請求項5】
前記PDGFAが配列番号6のアミノ酸配列を有し、そのN末端から160、165および206番目の位置のリジン残基のうち一つ以上をアルギニンで置換することを特徴とする、請求項4に記載のタンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法。
【請求項6】
前記タンパク質がPDGFBであることを特徴とする、請求項1に記載のタンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法。
【請求項7】
前記PDGFBが配列番号7のアミノ酸配列を有し、そのN末端から162、167および179番目の位置のリジン残基のうち一つ以上をアルギニンで置換することを特徴とする、請求項6に記載のタンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法。
【請求項8】
前記タンパク質がGM-CSFであることを特徴とする、請求項1に記載のタンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法。
【請求項9】
前記GM-CSFが配列番号20のアミノ酸配列を有し、そのN末端から89、91および102番目の位置のリジン残基のうち一つ以上をアルギニンで置換することを特徴とする、請求項8に記載のタンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法。
【請求項10】
前記タンパク質がFSH-αであることを特徴とする、請求項1に記載のタンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法。
【請求項11】
前記FSH-αが配列番号27のアミノ酸配列を有し、そのN末端から75、99および115番目の位置のリジン残基のうち一つ以上をアルギニンで置換することを特徴とする、請求項10に記載のタンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法。
【請求項12】
前記タンパク質がFSH-βであることを特徴とする、請求項1に記載のタンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法。
【請求項13】
前記FSH-βが配列番号28のアミノ酸配列を有し、そのN末端から67、104および128番目の位置のリジン残基のうち一つ以上をアルギニンで置換することを特徴とする、請求項12に記載のタンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法。
【請求項14】
前記タンパク質がANGPT-1であることを特徴とする、請求項1に記載のタンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法。
【請求項15】
前記ANGPT-1が配列番号41のアミノ酸配列を有し、そのN末端から175、216および414番目の位置のリジン残基のうち一つ以上をアルギニンで置換することを特徴とする、請求項14に記載のタンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法。
【請求項16】
増加した半減期を有するタンパク質であって、前記タンパク質のリジン残基のうち一つ以上がアルギニンで置換され、前記置換されたリジン残基はユビキチンのC末端グリシンと結合することを特徴とする、増加した半減期を有するタンパク質。
【請求項17】
前記増加した半減期を有するタンパク質は、成長ホルモン放出ホルモン(growth hormone releasing hormone、GHRH)、成長ホルモン放出ペプチド(growth hormone releasing peptide)、インターフェロン(interferons、interferon-α or interferon-β)、インターフェロン受容体(interferon receptors)、コロニー刺激因子(colony stimulating factors、CSFs)、グルカゴン様ペプチド(glucagon-like peptides)、インターロイキン(interleukins)、インターロイキン受容体(interleukin receptors)、酵素(enzymes)、インターロイキン結合タンパク質(interleukin binding proteins)、サイトカイン結合タンパク質(cytokine binding proteins)、Gタンパク質共役受容体(G-protein-coupled receptor)、ヒト成長ホルモン(human growth hormone、hGH)、マクロファージ活性因子(macrophage activating factor)、マクロファージペプチド(macrophage peptide)、B細胞因子(B cell factor)、T細胞因子(T cell factor)、タンパク質A(protein A)、アレルギー阻害剤(allergy inhibitor)、細胞壊死糖タンパク質(cell necrosis glycoproteins)、Gタンパク質共役受容体(G-protein-coupled receptor)、免疫毒素(immunotoxin)、リンフォトキシン(lymphotoxin)、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor)、腫瘍抑制因子(tumor suppressors)、転移成長因子(metastasis growth factor)、α-1抗トリプシン(alpha-1 antitrypsin)、アルブミン(albumin)、α-ラクトアルブミン(alpha-lactalbumin)、アポリポタンパク質-E(apolipoprotein-E)、エリスロポエチン(erythropoietin)、高度グリコシル化エリスロポエチン(highly glycosylated erythropoietin)、アンジオポエチン(angiopoietins)、ヘモグロビン(hemoglobin)、トロンビン(thrombin)、トロンビン受容体活性ペプチド(thrombin receptor activating peptide)、トロンボモジュリン(thrombomodulin)、第VII因子(factor VII)、第VIIa因子(factor VIIa)、第VIII因子(factor VIII)、第IX因子(factor IX)、第XIII因子(factor XIII)、プラスミノゲン活性因子(plasminogen activating factor)、ウロキナーゼ(urokinase)、ストレプトキナーゼ(streptokinase)、ヒルジン(hirudin)、タンパク質C(protein C)、C-反応性タンパク質(C-reactive protein)、レニン阻害剤(renin inhibitor)、コラゲナーゼ阻害剤(collagenase inhibitor)、スーパーオキシドディスムターゼ(superoxide dismutase)、レプチン(leptin)、血小板由来成長因子(platelet-derived growth factor)、上皮成長因子(epithelial growth factor)、上皮成長因子(epidermal growth factor)、アンギオスタチン(angiostatin)、アンギオテンシン(angiotensin)、骨成長因子(bone growth factor)、骨刺激タンパク質(bone stimulating protein)、カルシトニン(calcitonin)、インスリン(insulin)、アトリオペプチン(atriopeptin)、軟骨誘導因子(cartilage inducing factor)、フィブリン結合ペプチド(fibrin-binding peptide)、エルカトニン(elcatonin)、結合組織活性因子(connective tissue activating factor)、組織因子経路阻害剤(tissue factor pathway inhibitor)、卵胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone)、黄体形成ホルモン(luteinizing hormone)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(luteinizing hormone releasing hormone)、神経成長因子(nerve growth factors)、副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone)、レラキシン(relaxin)、セクレチン(secretin)、ソマトメジン(somatomedin)、インスリン様成長因子(insulin-like growth factor)、副腎皮質ホルモン(adrenocortical hormone)、グルカゴン(glucagon)、コレシストキニン(cholecystokinin)、膵臓ポリペプチド(pancreatic polypeptide)、ガストリン放出ペプチド(gastrin releasing peptide)、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(corticotropin releasing factor)、甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone)、オートタキシン(autotaxin)、ラクトフェリン(lactoferrin)、ミオスタチン(myostatin)、受容体(receptors)、受容体拮抗薬(receptor antagonists)、細胞表面抗原(cell surface antigens)、ウイルス由来ワクチン抗原(virus derived vaccine antigens)、モノクローナル抗体(monoclonal antibodies)、ポリクローナル抗体(polyclonal antibodies)または抗体フラグメントであることを特徴とする、請求項16に記載の増加した半減期を有するタンパク質。
【請求項18】
前記タンパク質が配列番号1を有するEGFであり、そのN末端から28および48番目の位置のリジン残基のうち一つ以上がアルギニンで置換されていることを特徴とする、請求項16に記載の増加した半減期を有するタンパク質。
【請求項19】
前記タンパク質が配列番号6を有するPDGFAであり、そのN末端から160、165および206番目の位置のリジン残基のうち一つ以上がアルギニンで置換されていることを特徴とする、請求項16に記載の増加した半減期を有するタンパク質。
【請求項20】
前記タンパク質が配列番号7を有するPDGFBであり、そのN末端から162、167および179番目の位置のリジン残基のうち一つ以上がアルギニンで置換されていることを特徴とする、請求項16に記載の増加した半減期を有するタンパク質。
【請求項21】
前記タンパク質が配列番号20を有するGM-CSFであり、そのN末端から89、91および102番目の位置のリジン残基のうち一つ以上がアルギニンで置換されていることを特徴とする、請求項16に記載の増加した半減期を有するタンパク質。
【請求項22】
前記タンパク質が配列番号27を有するFSH-αであり、そのN末端から75、99および115番目の位置のリジン残基のうち一つ以上がアルギニンで置換されていることを特徴とする、請求項16に記載の増加した半減期を有するタンパク質。
【請求項23】
前記タンパク質が配列番号28を有するFSH-βであり、そのN末端から67、104および128番目の位置のリジン残基のうち一つ以上がアルギニンで置換されていることを特徴とする、請求項16に記載の増加した半減期を有するタンパク質。
【請求項24】
前記タンパク質が配列番号41を有するANGPT-1であり、そのN末端から175、216および414番目の位置のリジン残基のうち一つ以上がアルギニンで置換されていることを特徴とする、請求項16に記載の増加した半減期を有するタンパク質。
【請求項25】
請求項18に記載のEGFおよび賦形剤を含む、細胞成長、皮膚およびヘアの再生および/または治療のための薬学および/または美容組成物。
【請求項26】
請求項19に記載のPDGFAまたは請求項20に記載のPDGFBおよび賦形剤を含む、細胞成長、血管生成および慢性潰瘍と骨損失の回復のための薬学および/または美容組成物。
【請求項27】
請求項21に記載のGM-CSFおよび薬剤学的に許容される賦形剤を含む、好中球減少症の予防および/または免疫疾患および/または固形癌および血液癌を含む癌および/またはリウマチ関節炎の予防および/または治療用の薬学組成物。
【請求項28】
請求項22に記載のFSH-αまたは請求項23に記載のFSH-βおよび薬剤学的に許容される賦形剤を含む、過排卵誘導のための不妊治療剤および/または固形癌治療用の薬学組成物。
【請求項29】
請求項24に記載のANGPT-1および薬剤学的に許容される賦形剤を含む、糖尿病、心臓疾患および/または敗血症治療用の薬学組成物。
【請求項30】
(a)プロモータ、(b)請求項16~24のいずれか一項に記載のタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および任意のリンカーを含む発現ベクターであって、前記プロモータとヌクレオチド配列が作動的に連結されたものである、発現ベクター。
【請求項31】
請求項30に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質または(ポリ)ペプチドの一つ以上のアミノ酸残基を置換することにより、タンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法に関する。また、このような方法により作製された半減期の増加したタンパク質または(ポリ)ペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
細胞内タンパク質分解は、リソソーム(lysosome)とプロテアソーム(proteasome)による二つの経路を通じてなされる。タンパク質の10~20%を分解するリソソーム経路は、基質特異性および精巧な時間的調節性がない。すなわち、エンドサイトーシス(endocytosis)によって細胞内に取り込まれた細胞表面タンパク質がリソソームにおいて分解されることのように、細胞外または膜タンパク質の大部分を分解する過程である。しかし、真核細胞においてタンパク質が選択的に分解されるためには、ユビキチン(ubiquitin)結合酵素によって標的タンパク質にユビキチンが結合した後にポリユビキチン鎖が形成され、それがプロテアソームにより認識および分解される過程、すなわち、ユビキチン-プロテアソーム経路(ubiquitin-proteasome pathway:UPP)を経なければならない。真核細胞タンパク質中の80~90%以上はこの過程を経て分解され、ユビキチン-プロテアソーム経路は真核細胞内に存在する大部分のタンパク質分解を調節することによって、タンパク質の転換と恒常性を司ると考えられる。
【0003】
ユビキチンは、高度に保存された76個のアミノ酸からなるタンパク質であり、あらゆる真核細胞に存在し、その中でも6、11、27、29、33、48、63番目のアミノ酸残基はリジン(Lysine、Lys、K)であり、48番および63番がポリユビキチン鎖を形成するのに主な役割をする。ユビキチンがタンパク質に標識される過程(ubiquitination)には一連の酵素系(E1、E2、E3)が関与し、標識されたタンパク質はATP-依存性タンパク質分解酵素複合体である26Sプロテアソームによって分解される。ユビキチン-プロテアソーム経路は個別の二つの連続した過程を含み、一方が、基質に多数のユビキチン分子を共有結合で標識する過程であり、他方が、ユビキチンにより標識されたタンパク質が26Sプロテアソーム複合体によって分解される過程である。ユビキチンと基質の結合は、基質分子のリジン残基とユビキチンのC末端のグリシンとの間のイソペプチド結合(isopeptide bond)を通じて起こり、ユビキチン-活性酵素E1、ユビキチン-結合酵素E2、ユビキチンリガーゼE3によってユビキチンと酵素との間にチオールエステルが形成されることによってなされる。その中で、E1(ubiquitin-activating enzyme)は、ATP-依存的な反応でユビキチンを活性化させる。E2(ubiquitin-conjugating enzyme)は、ユビキチン-共役ドメイン内のシステイン(cysteine)残基にE1から活性化されたユビキチンを受け、それをE3リガーゼ(ligase)に伝達するかまたは基質タンパク質に直接伝達する。E3酵素もまた基質タンパク質のリジン残基とユビキチンのグリシン残基との間の安定的なイソペプチド結合を触媒する。基質タンパク質に結合されたユビキチンのC末端リジン残基にまた他のユビキチンが連結されることができ、このような過程を繰り返して基質タンパク質に多数のユビキチン分子が枝を下ろした形で連結されてポリユビキチン鎖を形成すれば、そのタンパク質は、26Sプロテアソームにより認識されて選択的に分解される。
【0004】
一方、インビボにおける治療効果を有する種々のタンパク質および(ポリ)ペプチドが知られている。このようにインビボにおける治療効果を有するタンパク質または(ポリ)ペプチドは、例えば、成長ホルモン放出ホルモン(growth hormone releasing hormone、GHRH)、成長ホルモン放出ペプチド(growth hormone releasing peptide)、インターフェロン(interferons、interferon-α or interferon-β)、インターフェロン受容体(interferon receptors)、コロニー刺激因子(colony stimulating factors、CSFs)、グルカゴン様ペプチド(glucagon-like peptides)、インターロイキン(interleukins)、インターロイキン受容体(interleukin receptors)、酵素(enzymes)、インターロイキン結合タンパク質(interleukin binding proteins)、サイトカイン結合タンパク質(cytokine binding proteins)、Gタンパク質共役受容体(G-protein-coupled receptor)、ヒト成長ホルモン(human growth hormone、hGH)、マクロファージ活性因子(macrophage activating factor)、マクロファージペプチド(macrophage peptide)、B細胞因子(B cell factor)、T細胞因子(T cell factor)、タンパク質A(protein A)、アレルギー阻害剤(allergy inhibitor)、細胞壊死糖タンパク質(cell necrosis glycoproteins)、Gタンパク質共役受容体(G-protein-coupled receptor)、免疫毒素(immunotoxin)、リンフォトキシン(lymphotoxin)、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor)、腫瘍抑制因子(tumor suppressors)、転移成長因子(metastasis growth factor)、α-1抗トリプシン(alpha-1 antitrypsin)、アルブミン(albumin)、α-ラクトアルブミン(alpha-lactalbumin)、アポリポタンパク質-E(apolipoprotein-E)、エリスロポエチン(erythropoietin)、高度グリコシル化エリスロポエチン(highly glycosylated erythropoietin)、アンジオポエチン(angiopoietins)、ヘモグロビン(hemoglobin)、トロンビン(thrombin)、トロンビン受容体活性ペプチド(thrombin receptor activating peptide)、トロンボモジュリン(thrombomodulin)、第VII因子(factor VII)、第VIIa因子(factor VIIa)、第VIII因子(factor VIII)、第IX因子(factor IX)、第XIII因子(factor XIII)、プラスミノゲン活性因子(plasminogen activating factor)、ウロキナーゼ(urokinase)、ストレプトキナーゼ(streptokinase)、ヒルジン(hirudin)、タンパク質C(protein C)、C-反応性タンパク質(C-reactive protein)、レニン阻害剤(renin inhibitor)、コラゲナーゼ阻害剤(collagenase inhibitor)、スーパーオキシドディスムターゼ(superoxide dismutase)、レプチン(leptin)、血小板由来成長因子(platelet-derived growth factor)、上皮成長因子(epithelial growth factor)、上皮成長因子(epidermal growth factor)、アンギオスタチン(angiostatin)、アンギオテンシン(angiotensin)、骨成長因子(bone growth factor)、骨刺激タンパク質(bone stimulating protein)、カルシトニン(calcitonin)、インスリン(insulin)、アトリオペプチン(atriopeptin)、軟骨誘導因子(cartilage inducing factor)、フィブリン結合ペプチド(fibrin-binding peptide)、エルカトニン(elcatonin)、結合組織活性因子(connective tissue activating factor)、組織因子経路阻害剤(tissue factor pathway inhibitor)、卵胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone)、黄体形成ホルモン(luteinizing hormone)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(luteinizing hormone releasing hormone)、神経成長因子(nerve growth factors)、副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone)、レラキシン(relaxin)、セクレチン(secretin)、ソマトメジン(somatomedin)、インスリン様成長因子(insulin-like growth factor)、副腎皮質ホルモン(adrenocortical hormone)、グルカゴン(glucagon)、コレシストキニン(cholecystokinin)、膵臓ポリペプチド(pancreatic polypeptide)、ガストリン放出ペプチド(gastrin releasing peptide)、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(corticotropin releasing factor)、甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone)、オートタキシン(autotaxin)、ラクトフェリン(lactoferrin)、ミオスタチン(myostatin)、受容体(receptors)、受容体拮抗薬(receptor antagonists)、細胞表面抗原(cell surface antigens)、ウイルス由来ワクチン抗原(virus derived vaccine antigens)、モノクローナル抗体(monoclonal antibodies)、ポリクローナル抗体(polyclonal antibodies)および抗体フラグメントを含む。
【0005】
上皮成長因子(EGF;Epidermal growth factor)は受容体EGFRに結合して細胞成長、増殖、分化を促進し、ヒトEGFは53個のアミノ酸からなる(Exp Cell Res.、284(1):2-13、2003)。また、このようなEGFは、皮膚およびヘアの再生に重要な役割をすることが報告されている(J Dermatol Sci.、72(2):81-86、2013)。
【0006】
血小板由来成長因子(PDGF;Platelet-derived growth factor)は、成長因子のうちの一つであり、細胞成長と分裂を調節し、血管新生に関与し、血小板由来成長因子サブユニットA(Platelet-derived growth factor subunit A)(PDGFA)と血小板由来成長因子サブユニットB(Platelet-derived growth factor subunit B)(PDGFB)が機能を持つヘテロ二量体(hetero-dimers)をなす(Biochim.Biophys.Acta.、989(1):110、1989;EMBO J.、11(12):42514259、1992)。PDGFは合成され、血小板のα顆粒(alpha granules)に貯蔵されており血小板が活性を持つようになれば分泌され、筋肉細胞、活性マクロファージと上皮細胞などの細胞からも産生される(Curr Pharm Des.、19(19):3384-3390、2013)。
【0007】
顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF;Granulocyte-macrophage colony-stimulating factor)は、マクロファージ、T細胞、肥満細胞、ナチュラルキラー細胞、内皮細胞および線維芽細胞によって分泌されるタンパク質であり、白血球の成長因子として機能するサイトカインである。また、幹細胞が顆粒球(好中球、好塩基球、好酸球)と単核球を生産するように刺激し、マクロファージ数を急激に増やして感染反応と対抗することができるようにするので免疫/感染反応に作用する(Med Oncol.、31(1):774、2014;Blood、77(6):1131-1145、1991)。組み換えGM-CSFは、HIV-感染患者にワクチン補助剤として使用することができると報告されている(Hum Vaccin Immunother.、8(11):16541658、2012;Vaccines(Basel).、2(1):160178、2014)。また、非ホジキンリンパ腫、リンパ腫白血病やホジキン患者が骨髄移植治療を受ける時には白血球の数値増加に効果があるが、リウマチ関節炎患者の関節では高く発現するため、GM-CSFが減ると、炎症や損傷を減らすことができると報告されている(Expert Rev Neurother.、13(3):313-335、2013)。
【0008】
卵胞刺激ホルモン(FSH;Follicle-stimulating hormone)は、35.5kDaの糖タンパク質ポリペプチドの形態で二つのポリペプチドであるアルファとベータがヘテロ二量体をなす性腺刺激ホルモン(gonadotrophin)のうちの一つであり、女性の卵胞成長と男性の精子発生を促進し維持する役割をし、脳下垂体前葉の 性腺細胞において合成されて分泌され、身体の生殖過程、発生、成長、思春期の成熟を調節する(Annu Rev Biochem.、50:465-495、1981;Proc Natl Acad Sci USA.、109(31):12491-12496、2012)。一般に、卵胞刺激ホルモンは、不妊治療である体外受精(IVF)の時に過排卵を誘導するために用いられる。また、固形癌の場合、FSHの受容体が腫瘍血管内皮において高く発現して新生血管の再生に関与することが報告されており、FSHと受容体のアンタゴニストを開発する場合に坑癌治療にも使用できる(N Engl J Med.、363(17):1621-1630、2010)。
【0009】
アンジオポエチン(Angiopoietin)は、血管成長因子として血管新生に直接的に関与し、血管を囲む筋肉細胞のシグナル伝達によって微小血管透過性(microvascular permeability)、血管拡張(vasodilation)および血管収縮(vasoconstriction)を調節する(BMC Infect Dis.、10:143、2010;Cancer Lett.、328(1):18-26、2013)。現在4種のangiopoietinsであるANGPT1、ANGPT2、ANGPT3およびANGPT4が知られている(Proc Natl Acad Sci USA.、96(5):1904-1909、1999)。その中でもアンジオポエチン-1(Angiopoietin-1)は、血管成長と血管形成に重要な役割をするタンパク質であり、ANGPT1遺伝子によって暗号化されている。全てのアンジオポエチン(Angiopoietin)は内皮細胞特異的チロシン-タンパク質キナーゼ受容体(tyrosine-protein kinase receptor)と結合し、これは内皮と周囲基質および中間葉の間の相互作用を仲裁するのに重要な役割をする。また、血管の成熟と安定性に寄与し、心臓の初期発達に関与する(Cell Res.、13(5):309-317、2003)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、タンパク質の半減期を増加させる方法を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、アミノ酸配列に存在する一つ以上のリジン残基が置換されたタンパク質であって、増加した半減期を有するタンパク質を提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、増加した半減期を有するタンパク質を含む薬学組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明は、タンパク質のアミノ酸配列に存在する一つ以上のリジン残基を置換することを含む、タンパク質の半減期を増加させる方法を提供する。
【0014】
本発明において、タンパク質のリジン残基は、保存アミノ酸で置換可能である。本発明において、「保存アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が類似した、例えば、電荷または疎水性を有する化学的特性を有する側鎖を有する他のアミノ酸残基によって置換されることを意味する。一般に、保存アミノ酸置換によってタンパク質の機能的特性は実質的に変化しない。類似した化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸グループの例は、1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン;2)脂肪族-ヒドロキシル側鎖:セリンおよびトレオニン;3)アミド-含有側鎖:アスパラギンおよびグルタミン;4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン;5)塩基性側鎖:リジン、アルギニンおよびヒスチジン;6)酸性側鎖:アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩;および7)硫黄-含有側鎖:システインおよびメチオニンを含む。
【0015】
本発明において、タンパク質のリジン残基は、塩基性側鎖を含むアルギニンまたはヒスチジンで置換可能であり、アルギニン残基で置換されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、タンパク質のアミノ酸配列に存在する一つ以上のリジン残基がアルギニンで置換されたタンパク質は、半減期が増加して体内で長期に亘って残留可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】EGF発現ベクターの構造を示す。
図2】EGF遺伝子の大きさとPCR結果を示す。
図3】HEK-293T細胞におけるEGFプラスミドを通じたタンパク質発現を示す。
図4】ユビキチン化アッセイを通じたEGFの分解経路を提示する。
図5】野生型との比較において、リジン残基がアルギニンで置換されたEGF置換体のユビキチン化レベルを示す。
【0018】
図6】タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミド(cycloheximide、CHX)による処理後のEGFの半減期変化を示す。
図7】JAK-STAT、PI3K-AKTおよびMAPK/ERKシグナル誘導のような効果についての結果を示す。
図8】PDGFAとPDGFB発現ベクターの構造を示す。
図9】PDGFAとPDGFBの遺伝子の大きさとPCR結果を示す。
図10】HEK-293T細胞におけるPDGFAとPDGFBのプラスミドを通じたタンパク質発現を示す。
【0019】
図11】ユビキチン化アッセイを通じたPDGFAとPDGFBの分解経路を提示する。
図12】野生型との比較において、リジン残基がアルギニンで置換されたPDGFAとPDGFB置換体のユビキチン化レベルを示す。
図13】タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミド(cycloheximide、CHX)による処理後のPDGFAとPDGFBの半減期の変化を示す。
図14】タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミド(cycloheximide、CHX)による処理後のPDGFAとPDGFBの半減期の変化を示す。
図15】タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミド(cycloheximide、CHX)による処理後のPDGFAとPDGFBの半減期の変化を示す。
【0020】
図16】JAK-STAT、PI3K-AKTおよびMAPK/ERKシグナル誘導のような効果についての結果を示す。
図17】GM-CSF発現ベクターの構造を示す。
図18】GM-CSF遺伝子の大きさとPCR結果を示す。
図19】HEK-293T細胞におけるGM-CSFのプラスミドを通じたタンパク質発現を示す。
図20】ユビキチン化アッセイを通じたGM-CSFの分解経路を提示する。
【0021】
図21】野生型との比較において、リジン残基がアルギニンで置換されたGM-CSF置換体のユビキチン化レベルを示す。
図22】タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミド(cycloheximide、CHX)による処理後のGM-CSFの半減期変化を示す。
図23】タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミド(cycloheximide、CHX)による処理後のGM-CSFの半減期変化を示す。
図24】JAK-STAT、PI3K-AKTおよびMAPK/ERKシグナル誘導のような効果についての結果を示す。
図25】FSH-αとFSH-βの発現ベクターの構造を示す。
【0022】
図26】FSH-αとFSH-βの遺伝子の大きさとPCR結果を示す。
図27】HEK-293T細胞におけるFSH-αとFSH-βのプラスミドを通じたタンパク質発現を示す。
図28】ユビキチン化アッセイを通じたFSH-αとFSH-βの分解経路を提示する。
図29】野生型との比較において、リジン残基がアルギニンで置換されたFSH-αとFSH-βの置換体のユビキチン化レベルを示す。
図30】タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミド(cycloheximide、CHX)による処理後のFSH-αとFSH-βの半減期の変化を示す。
【0023】
図31】タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミド(cycloheximide、CHX)による処理後のFSH-αとFSH-βの半減期の変化を示す。
図32】タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミド(cycloheximide、CHX)による処理後のFSH-αとFSH-βの半減期の変化を示す。
図33】JAK-STAT、PI3K-AKTおよびMAPK/ERKシグナル誘導のような効果についての結果を示す。
図34】ANGPT-1発現ベクターの構造を示す。
図35】ANGPT-1遺伝子の大きさとPCR結果を示す。
【0024】
図36】HEK-293T細胞におけるANGPT-1プラスミドのプラスミドを通じたタンパク質発現を示す。
図37】ユビキチン化アッセイを通じたANGPT-1の分解経路を提示する。
図38】野生型との比較において、リジン残基がアルギニンで置換されたANGPT-1置換体のユビキチン化レベルを示す。
図39】タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミド(cycloheximide、CHX)による処理後のANGPT-1の半減期の変化を示す。
図40】タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミド(cycloheximide、CHX)による処理後のANGPT-1の半減期の変化を示す。
図41】PI3K-AKTおよびMAPK/ERKシグナル誘導のような効果についての結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態において、タンパク質はEGFである。配列番号1で表されるEGFのアミノ酸配列において、N末端から28および48番目のリジン残基のうち一つ以上がアルギニン残基で置換される。その結果として、前記半減期が増加したEGFおよびそれを含む細胞成長、皮膚およびヘアの再生および/または治療のための薬学および/または美容組成物が提供される(Exp Cell Res.、284(1):2-13、2003;J Dermatol Sci.、72(2):81-86、2013)。
【0026】
本発明の他の一実施形態において、タンパク質はPDGFAである。配列番号6で表されるPDGFAのアミノ酸配列において、N末端から160、165および206番目のリジン残基のうち一つ以上がアルギニン残基で置換される。また、本発明のまた他の一実施形態において、タンパク質はPDGFBである。配列番号7で表されるPDGFBのアミノ酸配列において、N末端から162、167および179番目のリジン残基のうち一つ以上がアルギニン残基で置換される。その結果として、前記半減期が増加した血小板由来成長因子およびそれを含む細胞成長、血管生成および慢性潰瘍と骨損失の回復のための薬学および/または美容組成物が提供される。
【0027】
本発明のさらに他の一実施形態において、タンパク質はGM-CSFである。配列番号20で表されるGM-CSFのアミノ酸配列において、N末端から89、91および102番目のリジン残基のうち一つ以上がアルギニン残基で置換される。その結果として、半減期が増加したGM-CSFおよびそれを含む好中球減少症の予防および/または免疫疾患および/または固形癌および血液癌を含む癌および/またはリウマチ関節炎の予防および/または治療用の薬学組成物が提供される。
【0028】
本発明のさらに他の一実施形態において、タンパク質はFSHである。配列番号27で表されるFSH-αのアミノ酸配列において、N末端から75、99および115番目のリジン残基のうち一つ以上がアルギニン残基で置換される。また、本発明のさらに他の一実施形態において、タンパク質はFSH-βである。配列番号28で表されるFSH-βのアミノ酸配列において、N末端から67、104および128番目のリジン残基のうち一つ以上がアルギニン残基で置換される。その結果として、半減期が増加したFSHおよびそれを含む過排卵誘導のための不妊治療剤および/または固形癌治療用の薬学組成物が提供される。
【0029】
本発明のさらに他の一実施形態において、タンパク質はANGPT-1である。配列番号41で表されるANGPT-1アミノ酸配列において、N末端から175、216および414番目のリジン残基のうち一つ以上がアルギニン残基で置換される。その結果として、半減期が増加したANGPT-1およびそれを含む糖尿病、心臓疾患および/または敗血症治療用の薬学組成物が提供される。
【0030】
本発明において、タンパク質のアミノ酸配列に存在するリジン残基をアルギニン(arginine、R)残基で置換するために部位特異的突然変異誘発(site-directed mutagenesis)を利用した。この方法は、特定の突然変異を誘発するDNA配列を用いてプライマーを作製した後、特定の条件でPCRを実行することによって特定のアミノ酸残基を置換させたプラスミドDNAを作製する。
【0031】
本発明において、標的タンパク質を免疫沈降分析法によって細胞株内にトランスフェクションし沈降させてユビキチン化レベルを確認し、MG132(プロテアソーム阻害剤)試薬を処理した結果、ユビキチン化レベルが増加したことを通じて、標的タンパク質がユビキチン-プロテアソームによる分解経路を経ることを確認した。
【0032】
本発明において、薬学組成物は、経口(oral)、経皮(transcutaneous)、皮下(subcutaneous)、静脈内(intravenous)または筋肉内投与を含む様々な経路を通じて体内伝達され、注射型製剤として投与できる。また、本発明の薬学組成物は、前記方法により投与された後に迅速な放出、遅延的放出または徐放されるように当業者に周知の方法により剤形化できる。前記剤形は、錠剤(tablet)、ピル(pill)、粉体(powder)、小袋(sachet)、エリキシル剤(elixir)、懸濁液(suspension)、乳液(emulsion)、溶液(solution)、シロップ(syrup)、エアロゾル(aerosol)、ソフトタイプまたはハードタイプのゼラチンカプセル(soft and hard gelatin capsule)、無菌注射可能な溶液(sterile injectable solution)、無菌包装粉体などを含む。好適な担体、賦形剤および希釈剤としては、ラクトース(lactose)、デキストロース(dextrose)、スクロース(sucrose)、マンニトール(mannitol)、キシリトール(xylitol)、エリスリトール(erythritol)、マルチトール(maltitol)、スターチ(starches)、アカシア・ゴム(gum acacia)、アルギン酸塩(alginates)、ゼラチン(gelatin)、リン酸カルシウム(calcium phosphate)、ケイ酸カルシウム(calcium silicate)、セルロース(cellulose)、メチルセルロース(methyl cellulose)、微結晶性セルロース(microcrystalline cellulose)、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone)、水、メチルヒドロキシベンゾエート(methylhydroxybenzoates)、プロピルヒドロキシベンゾエート(propylhydroxybenzoates)、タルク(talc)、ステアリン酸マグネシウム(magnesium stearate)およびミネラルオイルを含む。また、剤形は、充填剤、抗凝集剤(anti-agglutinating agents)、潤滑剤(lubricating agents)、湿潤剤(wetting agents)、着香料(flavoring agents)、乳化剤(emulsifiers)、保存剤(preservative)などをさらに含んでもよい。
【0033】
本発明において、単数の形態は、特に明確に記述しない限り、複数の形態を含む。また、本発明において、「構成される」、「有する」、「からなる」などのような用語は、「含む」と類似の意味を持つものとして解釈される。本発明において、「生理活性(ポリ)ペプチドまたはタンパク質」とは、ヒトを含む哺乳動物への投与時、有用な生物学的活性を表す(ポリ)ペプチドまたはタンパク質を意味する。
【実施例0034】
以下では、実施例に基づいて本発明をより詳しく説明する。下記の実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0035】
実施例1:EGFタンパク質のユビキチン化分析および半減期の増加の確認と細胞内シグナル伝達の確認
1.発現ベクターへのクローニングおよびタンパク質発現の確認
(1)発現ベクタークローニング
EGFをクローニングするためにHeLa細胞(ATCC、CRM-CCL-2TM)からTrizolとクロロホルムを用いて精製されたRNAを抽出した。次にSuperScriptTM First-Strand cDNA Synthesis System(Invitrogen、Grand Island、NY)を用いて一本鎖cDNAを合成した。合成されたcDNAをテンプレート(template)として用いて重合酵素連鎖反応を通じてEGFを増幅した。EGF DNA増幅産物とpcDNA3-myc(5.6kb)を制限酵素であるBamHIとXhoIにより切片を作った後に接合してクローニングし(図1、EGFのアミノ酸配列:配列番号1)、制限酵素により切断後にアガロースゲル電気泳動を通じて確認した(図2)。また、図1のヌクレオチド配列上に下線と太字で表示された部分はクローニング部位を再度確認するために重合酵素連鎖反応を通じて確認する時に用いられたプライマーセットであり、その結果もまたアガロースゲル電気泳動を通じて確認した(図2)。重合酵素連鎖反応の条件は以下のとおりである;初期変性を94℃で3分間反応させた後、変性(denature)反応のために94℃で30秒間、アニーリング(annealing)反応のために52℃で30秒間、延長(extention)反応のために72℃で30秒間を25サイクルで繰り返して実行し、その後、72℃で10分間反応させた。このように作製されたDNAがタンパク質としてろくに発現するかを確認するために、図1のマップに表示されたpcDNA3-mycベクターに存在するmycを抗-myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology、sc-40)抗体を用いてウェスタンブロット(Western blot)を通じてその発現を確認した。それにより、mycに結合されたEGFタンパク質がよく発現したことを確認し、アクチン(actin)で確認したブロット(blot)を通じて適正量がロード(loading)されたことを確認した(図3)。
【0036】
(2)リジン(Lysine、K)残基の置換
部位特異的突然変異誘発(site-directed mutagenesis)を用いてリジン残基をアルギニン(Arginine、R)で置換し、特定の突然変異を誘発するDNA配列を用いてプライマー(EGF K28R FP 5’-GAAGCATTGGACAGGTATGCATGCAAC-3’(配列番号2)、RP 5’-GTTGCATGCATACCTGTCCAATGCTTC-3’(配列番号3);EGF K48R FP 5’-TACCGAGACCTGAGGTGGTGGGAACTG-3’(配列番号4)、RP 5’-CAGTTCCCACCACCTCAGGTCTCGGTA-3’(配列番号5)を作製した後、PCRを実行して特定のアミノ酸残基を置換させたプラスミドDNAを作製した。pcDNA3-myc-EGFをテンプレートとして用い、リジン残基がアルギニンで置換(K→R)されたプラスミドDNAを作製した(表1)。
【0037】
【表1】
【0038】
2.インビボにおけるユビキチン化分析
pcDNA3-myc-EGF WTとpMT123-HA-ユビキチン(J Biol Chem.、279(4)、2368-2376、2004;Cell Research、22、873885、2012;Oncogene、22、12731280、2003;Cell、78、787-798、1994)をコードするプラスミドを用いてHEK 293T細胞(ATCC、CRL-3216)を感染させた。ユビキチン化過程を確認するために、pcDNA3-myc-EGF WT 3μgとpMT123-HA-ユビキチンDNA 1μgを細胞に共トランスフェクション(co-transfection)し、24時間後にMG132(プロテアソーム阻害剤、5μg/ml、Sigma Aldrich)を6時間処理した後、免疫沈降分析を実施した(図4)。また、WTと置換体の間のユビキチン化レベルを比較するために、pcDNA3-myc-EGF WT、pcDNA3-myc-EGF置換体(K28R)およびpcDNA3-myc-EGF置換体(K48R)の各々3μgをpMT123-HA-ユビキチンDNA 1μgと共にHEK 293T細胞(ATCC、CRL-3216)を共トランスフェクション(co-transfection)させ、24時間後に免疫沈降分析を実施した(図5)。
【0039】
免疫沈降のために得られたタンパク質サンプルは、溶解緩衝液(1% Triton X、150mM NaCl、50mM Tris-HCl、pH 8および1mM PMSF(phenylmethanesulfonyl fluoride)で溶解した後、抗-myc(9E10)一次抗体(Santa Cruz Biotechnology、sc-40)と混合して4℃で一晩培養した。免疫沈降体は、タンパク質A/Gビーズ(Santa Cruz Biotechnology)を用いて4℃で2時間反応させて分離した。次に、溶解緩衝液で2回洗浄した。タンパク質サンプルを2X SDS緩衝液と混合した後、100℃で7分間加熱した後、SDS-PAGEを実施して分離した。分離したタンパク質をポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride、PVDF)膜(Millipore)に移動させた後、抗-myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology、sc-40)、抗-HA(Santa Cruz Biotechnology、sc-7392)および抗-β-actin(Santa Cruz Biotechnology、sc-47778)を1:1,000の重量比で含むブロッキング溶液と抗-マウス(Peroxidase-labeled antibody to mouse IgG(H+L)、KPL、074-1806)二次抗体を用いてECLシステム(Western blot detection kit、ABfrontier、Seoul、Korea)で現像した。その結果、抗-myc(9E10、sc-40)で免疫沈降を実施した場合、pcDNA3-myc-EGF WTにはユビキチンが結合してポリユビキチン化が形成されることによって、スメア(smear)ユビキチンが探知されてバンドが濃く現れた(図4、レーン3および4)。また、MG132(プロテアソーム阻害剤、5μg/ml)を6時間処理した場合、ポリユビキチン化の形成が増加してユビキチンが探知されるバンドがさらに濃く現れた(図4、レーン4)。このような結果は、EGFがユビキチンと結合し、ユビキチン-プロテアソームシステムを通じてポリユビキチン化されることを提示する。また、pcDNA3-myc-EGF置換体(K28R)の場合、WTよりバンドが薄く現れた。これは、この置換体にユビキチンが結合できずユビキチンが少なく検出されたことを示す(図5、レーン3)。
【0040】
3.タンパク質生成阻害剤シクロヘキシミド(cycloheximide)(CHX)によるEGFの半減期の確認
pcDNA3-myc-EGF WT、pcDNA3-myc-EGF置換体(K28R)、pcDNA3-myc-EGF置換体(K48R)およびpcDNA3-myc-EGF置換体(K28R+K48R)を各々3μgずつHEK 293T細胞にトランスフェクション(transfection)した。トランスフェクションして48時間後、タンパク質生成阻害剤シクロヘキシミド(CHX)(Sigma-Aldrich)(100μg/ml)を処理し、1時間、2時間、4時間にかけて半減期を測定した。その結果、ヒトEGFの分解が抑制されることを確認した(図6)。ヒトEGFの半減期は2時間以内であるのに対し、ヒトEGF置換体(K28R)、EGF置換体(K48R)、EGF置換体(K28R+K48R)の半減期は4時間以上とWTより長く、その結果をグラフで示した(図6)。
【0041】
4.細胞内におけるEGFとEGF置換体によるシグナル伝達の確認
EGFは、成長因子としてRas-Raf-MEK1/2-Erkシグナル伝達(signaling)によってErk1/2を活性化させることが報告されている(Journal of Cell Science 117、4619-4628、2004)。
【0042】
本実施例では、細胞内におけるEGFとEGF置換体によるシグナル伝達過程を確認した。先ず、pcDNA3-myc-EGF WT、pcDNA3-myc-EGF置換体(K28R)、pcDNA3-myc-EGF置換体(K48R)を各々3μgずつ用いてHeLa細胞をトランスフェクションした。感染して2日経過後、細胞からタンパク質を抽出して各々定量化し、細胞内シグナル伝達過程を確認するためにウェスタンブロットを実行した。このために、各々、pcDNA3-myc-EGF WT、pcDNA3-myc-EGF置換体(K28R)、pcDNA3-myc-EGF置換体(K48R)で感染したHeLa細胞から分離したタンパク質をポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride、PVDF)膜に移動させた後、抗-myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology、sc-40)、抗-STAT3(Santa Cruz Biotechnology、sc-21876)、抗-リン酸化-STAT3(Y705、cell signaling 9131S)、抗-AKT(H-136、Santa Cruz Biotechnology、sc-8312)、抗-リン酸化-AKT(S473、cell signaling 9271S)、抗-Erk1/2(9B3、Abfrontier LF-MA0134)、抗-リン酸化-Erk1/2(Thr202/Tyr204、Abfrontier LF-PA0090)および抗-β-アクチン(Santa Cruz Biotechnology、sc-47778)を1:1000~1:3000の重量比で含むブロッキング溶液と抗-ウサギ(goat anti-rabbit IgG-HRP、Santa Cruz Biotechnology、sc-2004)と抗-マウス(Peroxidase-labeled antibody to mouse IgG(H+L)、KPL、074-1806)二次抗体を用いてECLシステム(Western blot detection kit、ABfrontier、Seoul、Korea)で現像した。その結果、pcDNA3-myc-EGF置換体(K28R)、pcDNA3-myc-EGF置換体(K48R)は、HeLa細胞内でpcDNA3-myc-EGF WTと同一であるかまたは増加したリン酸化-STAT3、リン酸化-AKTとリン酸化-Erk1/2のシグナル伝達を示した(図7)。
【0043】
実施例2:PDGFタンパク質のユビキチン化分析および半減期増加の確認と細胞内シグナル伝達の確認
1.発現ベクターへのクローニングおよびタンパク質発現の確認
(1)発現ベクタークローニング
重合酵素連鎖反応によるPDGFAとPDGFB DNA増幅産物とpcDNA3-myc(5.6kb)を制限酵素であるBamHIとXhoIにより切片を作った後に接合してクローニングした(図8、PDGFAとPDGFBのアミノ酸配列:配列番号6と配列番号7)。その結果は、制限酵素により切断後にアガロースゲル電気泳動を通じて確認した(図9)。また、図8のヌクレオチド配列上に下線と太字で表示された部分はクローニング部位を再度確認するために重合酵素連鎖反応を通じて確認する時に用いられたプライマーセットの一部であり、その結果はアガロースゲル電気泳動を通じて確認した(図9)。重合酵素連鎖反応の条件は以下のとおりである;初期変性を94℃で3分間反応させた後、変性反応のために94℃で30秒間、アニーリング反応のために60℃で30秒間、延長反応のために72℃で45秒間を25サイクルで繰り返して実行し、その後、72℃で10分間反応させた。このように作製されたDNAがタンパク質としてろくに発現するかを確認するために、図8のマップに表示されたpcDNA3-mycベクターに存在するmycを抗-myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology、sc-40)抗体を用いてウェスタンブロットを通じてその発現を確認した。mycに結合されたPDGFAとPDGFBタンパク質がよく発現したことを確認し、アクチンで確認したブロットを通じて適正量がロードされたことを確認した(図10)。
【0044】
(2)リジン(Lysine、K)残基の置換
部位特異的突然変異誘発(site-directed mutagenesis)を用いてリジン残基をアルギニン(Arginine、R)で置換し、特定の突然変異を誘発するDNA配列を用いてプライマー(PDGFA K160R FP 5’-GAATACGTCAGGAGGAAGCCAAAATTA-3’(配列番号8)、RP 5’-TAATTTTGGCTTCCTCCTGACGTATTC-3’(配列番号9);PDGFA K165R FP 5’-AAGCCAAAATTAAGAGAAGTCCAGGTG-3’(配列番号10)、RP 5’-CACCTGGACTTCTCTTAATTTTGGCTT-3’(配列番号11);PDGFA K206R FP 5’-AAACGGAAAAGAAGAAGGTTAAAACCC-3’(配列番号12)、RP 5’-GGGTTTTAACCTTCTTCTTTTCCGTTT-3’(配列番号13)、(PDGFB K162R FP 5’-ATTGTGCGGAAGAGGCCAATCTTT-3’(配列番号14)、RP 5’-AAAGATTGGCCTCTTCCGCACAAT-3’(配列番号15);PDGFB K167R FP 5’-CCAATCTTTAAGAGGGCCACGGTG-3’(配列番号16)、RP 5’-CACCGTGGCCCTCTTAAAGATTGG-3’(配列番号17);PDGFB K179R FP 5’-CACCTGGCATGCAGGTGTGAGACA-3’(配列番号18)、RP 5’-TGTCTCACACCTGCATGCCAGGTG-3’(配列番号19)を作製した後、PCRを実行して特定のアミノ酸残基を置換させたプラスミドDNAを作製した。pcDNA3-myc-PDGFAをテンプレートとして用い、リジン残基がアルギニンで置換(K→R)された3個のプラスミドDNAを作製した(表2)。
【0045】
【表2】
【0046】
2.インビボにおけるユビキチン化分析
pcDNA3-myc-PDGFA WTとpMT123-HA-ユビキチン(J Biol Chem.、279(4)、2368-2376、2004;Cell Research、22、873885、2012;Oncogene、22、12731280、2003;Cell、78、787-798、1994)をコードするプラスミドを用いてHEK 293T細胞(ATCC、CRL-3216)を感染させた。ユビキチン化過程を確認するために、pcDNA3-myc-PDGFA WT 3μgとpMT123-HA-ユビキチンDNA 1μgを細胞に共トランスフェクション(co-transfection)し、24時間後にMG132(プロテアソーム阻害剤、5μg/ml)を6時間処理した後、免疫沈降分析を実施した(図4)。また、WTと置換体の間のユビキチン化レベルを比較するために、pcDNA3-myc-PDGFA WT、pcDNA3-myc-PDGFA置換体(K160R)、pcDNA3-myc-PDGFA置換体(K165R)およびpcDNA3-myc-PDGFA置換体(K206R)と、pcDNA3-myc-PDGFB WT、pcDNA3-myc-PDGFB置換体(K162R)、pcDNA3-myc-PDGFB置換体(K167R)およびpcDNA3-myc-PDGFB置換体(K179R)の各々3μgをpMT123-HA-ユビキチンDNA 1μgと共にHEK 293T細胞(ATCC、CRL-3216)を共トランスフェクション(co-transfection)し、24時間後に免疫沈降分析を実施した(図11)。
免疫沈降のために得られたタンパク質サンプルは、溶解緩衝液(1% Triton X、150mM NaCl、50mM Tris-HCl、pH 8および1mM PMSF(phenylmethanesulfonyl fluoride)で溶解した後、抗-myc(9E10)一次抗体(Santa Cruz Biotechnology、sc-40)と混合して4℃で一晩培養した。免疫沈降体は、タンパク質A/Gビーズ(Santa Cruz Biotechnology)を用いて4℃で2時間反応させて分離した。次に、溶解緩衝液で2回洗浄した。タンパク質サンプルを2X SDS緩衝液と混合した後、100℃で7分間加熱した後、SDS-PAGEを実施して分離した。分離したタンパク質をポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride、PVDF)膜(Millipore)に移動させた後、抗-myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology、sc-40)、抗-HA(Santa Cruz Biotechnology、sc-7392)および抗-β-アクチン(Santa Cruz Biotechnology、sc-47778)を1:1,000の重量比で含むブロッキング溶液と抗-マウス(Peroxidase-labeled antibody to mouse IgG(H+L)、KPL、074-1806)二次抗体を用いてECLシステム(Western blot detection kit、ABfrontier、Seoul、Korea)で現像した。その結果、抗-myc(9E10、sc-40)で免疫沈降を実施した場合、pcDNA3-myc-PDGFA WTとpcDNA3-myc-PDGFB WTにはユビキチンが結合してポリユビキチン化が形成されることによって、スメア(smear)ユビキチンが探知されてバンドが濃く現れた(図4、レーン3、4、7および8)。また、MG132(プロテアソーム阻害剤、5μg/ml)を6時間処理した場合、ポリユビキチン化の形成が増加してユビキチンが探知されるバンドがさらに濃く現れた(図4、レーン4および8)。このような結果は、PDGFAとPDGFBがユビキチンと結合し、ユビキチン-プロテアソームシステムを通じてポリユビキチン化されることを提示する。また、pcDNA3-myc-PDGFA置換体(K160R)、pcDNA3-myc-PDGFA置換体(K165R)、pcDNA3-myc-PDGFA置換体(K206R)、pcDNA3-myc-PDGFB置換体(K162R)、pcDNA3-myc-PDGFB置換体(K167R)およびpcDNA3-myc-PDGFB置換体(K179R)の場合、WTよりバンドが薄く現れた。これは、これらの置換体にユビキチンが結合できずユビキチンが少なく検出されたことを示す(図12、レーン3~5および8~10)。
【0047】
3.タンパク質生成阻害剤cycloheximide(CHX)によるPDGFの半減期の確認
pcDNA3-myc-PDGFA WT、pcDNA3-myc-PDGFA置換体(K160R)、pcDNA3-myc-PDGFA置換体(K165R)およびpcDNA3-myc-PDGFA置換体(K206R)と、pcDNA3-myc-PDGFB WT、pcDNA3-myc-PDGFB置換体(K162R)、pcDNA3-myc-PDGFB置換体(K167R)およびpcDNA3-myc-PDGFB置換体(K179R)を各々3μgずつHEK 293T細胞にトランスフェクション(transfection)した。トランスフェクションして48時間後、タンパク質生成阻害剤シクロヘキシミド(CHX)(Sigma-Aldrich)(100μg/ml)を処理し、30分、60分および90分と、15分、30分および60分にかけて半減期を測定した。その結果、ヒトPDGFAとPDGFBの分解が抑制されることを確認した(図6)。ヒトPDGFAは60分後に分解されるのに対し、ヒトPDGFA置換体(K160R)、PDGFA置換体(K165R)およびPDGFA置換体(K206R)は90分以上でも分解されないことが分かり、ヒトPDGFBは30分で分解されるのに対し、ヒトPDGFB置換体(K162R)、PDGFB置換体(K167R)およびPDGFB置換体(K179R)は60分以上でも分解されないことが分かり、その結果をグラフで示した(図13、14および15)。
【0048】
4.細胞内におけるPDGFとPDGF置換体によるシグナル伝達の確認
PDGFは、成長因子としてRas-Raf-MEK1/2-Erkシグナル伝達によってErk1/2を活性化させることが報告されている(Journal of Cell Science 117、4619-4628、2004)。
【0049】
本実施例では、細胞内におけるPDGFとPDGF置換体によるシグナル伝達過程を確認した。先ず、pcDNA3-myc-PDGFA WT、pcDNA3-myc-PDGFA置換体(K160R)、pcDNA3-myc-PDGFA置換体(K165R)およびpcDNA3-myc-PDGFA置換体(K206R)と、pcDNA3-myc-PDGFB WT、pcDNA3-myc-PDGFB置換体(K162R)、pcDNA3-myc-PDGFB置換体(K167R)およびpcDNA3-myc-PDGFB置換体(K179R)を各々3μgずつ用いてHeLa細胞をトランスフェクションした。感染して2日経過後、細胞からタンパク質を抽出して各々定量化し、細胞内シグナル伝達過程を確認するためにウェスタンブロットを実行した。このために、各々、pcDNA3-myc-PDGFA WT、pcDNA3-myc-PDGFA置換体(K160R)、pcDNA3-myc-PDGFA置換体(K165R)およびpcDNA3-myc-PDGFA置換体(K206R)と、pcDNA3-myc-PDGFB WT、pcDNA3-myc-PDGFB置換体(K162R)、pcDNA3-myc-PDGFB置換体(K167R)およびpcDNA3-myc-PDGFB置換体(K179R)で感染したHeLa細胞から分離したタンパク質をポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride、PVDF)膜に移動させた後、抗-myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology、sc-40)、抗-STAT3(Santa Cruz Biotechnology、sc-21876)、抗-リン酸化-STAT3(Y705、cell signaling 9131S)、抗-AKT(H-136、Santa Cruz Biotechnology、sc-8312)、抗-リン酸化-AKT(S473、cell signaling 9271S)、抗-Erk1/2(9B3、Abfrontier LF-MA0134)、抗-リン酸化-Erk1/2(Thr202/Tyr204、Abfrontier LF-PA0090)および抗-β-アクチン(Santa Cruz Biotechnology、sc-47778)を1:1000~1:3000の重量比で含むブロッキング溶液と抗-ウサギ(goat anti-rabbit IgG-HRP、Santa Cruz Biotechnology、sc-2004)と抗-マウス(Peroxidase-labeled antibody to mouse IgG(H+L)、KPL、074-1806)二次抗体を用いてECLシステム(Western blot detection kit、ABfrontier、Seoul、Korea)で現像した。その結果、pcDNA3-myc-PDGFA置換体(K160R)、pcDNA3-myc-PDGFA置換体(K165R)およびpcDNA3-myc-PDGFA置換体(K206R)は、HeLa細胞内でpcDNA3-myc-PDGFA WTと同一であるかまたは増加したリン酸化-STAT3シグナル伝達を示し、pcDNA3-myc-PDGFB置換体(K162R)、pcDNA3-myc-PDGFB置換体(K167R)およびpcDNA3-myc-PDGFB置換体(K179R)は、HeLa細胞内でリン酸化-AKTとリン酸化-Erk1/2シグナル伝達を示した(図16)。
【0050】
実施例3:GM-CSFタンパク質のユビキチン化分析および半減期増加の確認と細胞内シグナル伝達の確認
1.発現ベクターへのクローニングおよびタンパク質発現の確認
(1)発現ベクタークローニング
重合酵素連鎖反応によるGM-CSF DNA増幅産物とpcDNA3-myc(5.6kb)を制限酵素であるBamHIとXhoIにより切片を作った後に接合してクローニングし(図17、GM-CSFのアミノ酸配列:配列番号20)、その結果は制限酵素により切断後にアガロースゲル電気泳動を通じて確認した(図18)。また、図17のヌクレオチド配列上に下線と太字で表示された部分はクローニング部位を再度確認するために重合酵素連鎖反応を通じて確認する時に用いられたプライマーセットの一部であり、その結果はアガロースゲル電気泳動を通じて確認した(図18)。重合酵素連鎖反応の条件は以下のとおりである;初期変性を94℃で3分間反応させた後、変性反応のために94℃で30秒間、アニーリング反応のために60℃で30秒間、延長反応のために72℃で30秒間を25サイクルで繰り返して実行し、その後、72℃で10分間反応させた。このように作製されたDNAがタンパク質としてろくに発現するかを確認するために、図17のマップに表示されたpcDNA3-mycベクターに存在するmycを抗-myc(9E10、sc-40)抗体を用いてウェスタンブロットを通じてその発現を確認し、それにより、mycに結合されたGM-CSFタンパク質がよく発現したことを確認し、アクチンで確認したブロットを通じて適正量がロードされたことを確認した(図19)。
【0051】
(2)リジン(Lysine、K)残基の置換
部位特異的突然変異誘発(site-directed mutagenesis)を用いてリジン残基をアルギニンで置換し、特定の突然変異を誘発するDNA配列を用いてプライマー(GM-CSF K89R FP 5’-GGCAGCCTCACCAGGCTCAAGGGCC-3’(配列番号21)、RP 5’-GGCCCTTGAGCCTGGTGAGGCTGCC-3’(配列番号22);GM-CSF K91R FP 5’-CTC ACCAAGCTCAGGGGCCCCTTGACC-3’(配列番号23)、RP 5’-GGTCAAGGGGCCCCTGAGCTTGGTGAG-3’(配列番号24);GM-CSF K102R FP 5’-GCTAGCCACTACAGACAGCACTGCCCT-3’(配列番号25)、RP 5’-AGGGCAGTGCTGTCTGTAGTGGCTAGC-3’(配列番号26)を作製した後、特定の条件でPCRを実行することによって特定のアミノ酸残基を置換させたプラスミドDNAを作製した。pcDNA3-myc-GM-CSFをテンプレートとして用い、リジン残基がアルギニンで置換(K→R)された3個のプラスミドDNAを作製した(表3)。
【0052】
【表3】
【0053】
2.インビボにおけるユビキチン化分析
pcDNA3-myc-GM-CSF WTとpMT123-HA-ユビキチンDNAをコードするプラスミドを用いてHEK 293T細胞を感染させた。ユビキチン化過程を確認するために、pcDNA3-myc-GM-CSF WT 3μgとpMT123-HA-ユビキチンDNA 1μgを細胞に共トランスフェクション(co-transfection)させ、24時間後にMG132(プロテアソーム阻害剤、5μg/ml)を6時間処理した後、免疫沈降分析を実施した(図20)。また、WTと置換体の間のユビキチン化レベルを比較するために、pcDNA3-myc-GM-CSF WT、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K89R)、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K91R)およびpcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K102R)の各々3μgをpMT123-HA-ユビキチンDNA 1μgと共にHEK 293T細胞(ATCC、CRL-3216)を共トランスフェクション(co-transfection)し、24時間後に免疫沈降分析を実施した(図21)。
【0054】
免疫沈降のために得られたサンプルは、溶解緩衝液(1% Triton X、150mM NaCl、50mM Tris-HCl、pH 8および1mM PMSF(phenylmethanesulfonyl fluoride)で溶解した後、抗-myc(9E10)一次抗体と混合して4℃で一晩培養した。免疫沈降体は、タンパク質A/Gビーズ(Santa Cruz Biotechnology)を用いて4℃で2時間反応させて分離した。次に、溶解緩衝液で2回洗浄した。免疫ブロット法は、タンパク質サンプルを2X SDS緩衝液と混合した後、100℃で7分間加熱した後、SDS-PAGEを実施して分離した。分離したタンパク質をPVDF膜に移動させた後、抗-myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology、sc-40)、抗-HA(Santa Cruz Biotechnology、sc-7392)および抗-β-アクチン(Santa Cruz Biotechnology、sc-47778)を1:1000の重量比で含むブロッキング溶液と抗-マウス(Peroxidase-labeled antibody to mouse IgG(H+L)、KPL、074-1806)二次抗体を用いてECLシステム(Western blot detection kit、ABfrontier、Seoul、Korea)で現像した。
【0055】
その結果、抗-myc(9E10、sc-40)で免疫沈降を実施した場合、pcDNA3-myc-GM-CSF WTにはユビキチンが結合してポリユビキチン化が形成されることによって、スメアユビキチンが探知されてバンドが濃く現れた(図20、レーン3および4)。また、MG132(プロテアソーム阻害剤、5μg/ml)を6時間処理した場合、ポリユビキチン化の形成が増加してユビキチンが探知されるバンドがさらに濃く現れた(図20、レーン4)。また、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K89R)、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K91R)、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K102R)の場合、WTよりバンドが薄く、pcDNA3-myc-GM-CSF WT、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K89R)、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K91R)、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K102R)がユビキチンと結合できずユビキチンが少なく検出された(図21、レーン3、4および5)。以上の結果は、GM-CSFがユビキチンと結合し、ユビキチン-プロテアソームシステムを通じてポリユビキチン化されて分解されることを示す。
【0056】
3.タンパク質生成阻害剤シクロヘキシミド(CHX)によるGM-CSFの半減期の確認
pcDNA3-myc-GM-CSF WT、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K89R)、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K91R)、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K102R)を各々3μgずつHEK 293T細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションして48時間後、タンパク質生成阻害剤シクロヘキシミド(CHX)(Sigma-Aldrich)(100μg/ml)を処理し、30分、60分、90分にかけて半減期を測定してみた結果、ヒトGM-CSFの分解が抑制されることを確認した(図22および23)。ヒトGM-CSFの半減期は30分以内であるのに対し、ヒトpcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K91R)、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K102R)の半減期は60分および90分以上としてWTより長く、その結果をグラフで示した(図22および23)。
【0057】
4.細胞内におけるGM-CSFとGM-CSF置換体によるシグナル伝達の確認
GM-CSFによる細胞内役割は、JAK/STAT、MAPKおよびPI3K/AKTシグナル伝達によって作用することが報告されている(Blood、119(15):3383-3393、2012)。
【0058】
本実施例では、細胞内におけるGM-CSFとGM-CSF置換体によるシグナル伝達過程を確認した。pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K89R)、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K91R)、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K102R)を各々3μgずつ用いてHeLa細胞を感染して2日経過後、感染した細胞からタンパク質を抽出して各々定量化し、細胞内シグナル伝達過程を確認するためにウェスタンブロットを実施した。この過程でpcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K89R)、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K91R)、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K102R)で感染したHeLa細胞から分離したタンパク質をPVDF膜に移動させた後、抗-myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology、sc-40)、抗-STAT3(Santa Cruz Biotechnology、sc-21876)、抗-リン酸化-STAT3(Y705、cell signaling 9131S)、抗-AKT(H-136、Santa Cruz Biotechnology、sc-8312)、抗-リン酸化-AKT(S473、cell signaling 9271S)、抗-Erk1/2(9B3、Abfrontier LF-MA0134)、抗-リン酸化-Erk1/2(Thr202/Tyr204、Abfrontier LF-PA0090)および抗-β-アクチン(Santa Cruz Biotechnology、sc-47778)を1:1000~1:3000の重量比で含むブロッキング溶液と抗-ウサギ(goat anti-rabbit IgG-HRP、Santa Cruz Biotechnology、sc-2004)と抗-マウス(Peroxidase-labeled antibody to mouse IgG(H+L)、KPL、074-1806)二次抗体を用いてECLシステム(Western blot detection kit、ABfrontier、Seoul、Korea)で現像した。その結果、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K89R)、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K91R)、pcDNA3-myc-GM-CSF置換体(K102R)は、HeLa細胞内でpcDNA3-myc-GM-CSF WTと同一であるかまたは増加したリン酸化-STAT3とリン酸化-AKTシグナル伝達を示した(図24)。
【0059】
実施例4:FSHタンパク質のユビキチン化分析および半減期増加の確認と細胞内シグナル伝達の確認
1.発現ベクターへのクローニングおよびタンパク質発現の確認
(1)発現ベクタークローニング
重合酵素連鎖反応によるFSH-αとFSH-βのDNA増幅産物とpcDNA3-myc(5.6kb)を制限酵素であるBamHIとXhoIにより切片を作った後に接合してクローニングし(図25、FSH-αのアミノ酸配列:配列番号27およびFSH-βのアミノ酸配列:配列番号28)、その結果は制限酵素により切断後にアガロースゲル電気泳動を通じて確認した(図26)。また、図25のヌクレオチド配列上に下線と太字で表示された部分はクローニング部位を再度確認するために重合酵素連鎖反応を通じて確認する時に用いられたプライマーセットの一部であり、その結果はアガロースゲル電気泳動を通じて確認した(図26)。重合酵素連鎖反応の条件は以下のとおりである;初期変性を94℃で3分間反応させた後、変性反応のために94℃で30秒間、アニーリング反応のために56℃で30秒間、延長反応のために72℃で1分間を25サイクルで繰り返して実行し、その後、72℃で10分間反応させた。このように作製されたDNAがタンパク質としてろくに発現するかを確認するために、図29のマップに表示されたpcDNA3-mycベクターに存在するmycを抗-myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology、sc-40)抗体を用いてウェスタンブロットを通じてその発現を確認した。mycに結合されたFSH-αとFSH-βタンパク質がよく発現したことを確認し、アクチンで確認したブロットを通じて適正量がロードされたことを確認した(図27)。
【0060】
(2)リジン(Lysine、K)残基の置換
部位特異的突然変異誘発(site-directed mutagenesis)を用いてリジン残基をアルギニンで置換し、特定の突然変異を誘発するDNA配列を用いてプライマー(FSH-αK75R FP 5’-ATGTTGGTCCAAAGGAACGTCACC-3’(配列番号29)、RP 5’-GGTGACGTTCCTTTGGACCAACAT-3’(配列番号30)、FSH-αK99R FP 5’-ATGGGGGGTTTCAGAGTGGAGAAC-3’(配列番号31)、RP 5’-GTTCTCCACTCTGAAACCCCCCAT-3’(配列番号32)、FSH-αK115R FP 5’-TGTTATTATCACAGATCTTAACTCGAG-3’(配列番号33)、RP 5’-CTCGAGTTAAGATCTGTGATAATAACA-3’(配列番号34)、FSH-βK67R FP 5’-GGCCCAAAATCCAGAGAACATGTACCTT-3’(配列番号35)、RP 5’-AAGGTACATGTTCTCTGGATTTTGGGCC-3’(配列番号36)、FSH-βK104R FP 5’-GTCACTGTGGCAGGTGTGACAGCGA-3’(配列番号37)、RP 5’-TCGCTGTCACACCTGCCACAGTGAC-3’(配列番号38)、FSH-βK128R FP 5’-GGTGAAATGAGAGAAACGCGTACGCGG-3’(配列番号39)、RP 5’-CCGCGTACGCGTTTCTCTCATTTCACC-3’(配列番号40)を作製した後、特定の条件でPCRを実行することによって特定のアミノ酸残基を置換させたプラスミドDNAを作製した。pcDNA3-myc-FSH-αとpcDNA3-myc-FSH-βをテンプレートとして用い、リジン残基がアルギニンで置換(K→R)された各々3個のプラスミドDNAを作製した(表4)。
【0061】
【表4】
【0062】
2.インビボにおけるユビキチン化分析
pcDNA3-myc-FSH-αWTとpMT123-HA-ユビキチンDNAをコードするプラスミドを用いてHEK293T細胞を感染させた。ユビキチン化過程を確認するために、pcDNA3-myc-FSH-αWTおよびpcDNA3-myc-FSH-βWTの各々3μgとpMT123-HA-ユビキチンDNA 1μgを細胞に共トランスフェクション(co-transfection)し、24時間後にMG132(プロテアソーム阻害剤、5μg/ml)を6時間処理した後、免疫沈降分析を実施した(図28)。また、WTと置換体の間のユビキチン化レベルを比較するために、pcDNA3-myc-FSH-αWT、pcDNA3-myc-FSH-α置換体(K75R)、pcDNA3-myc-FSH-α置換体(K99R)およびpcDNA3-myc-FSH-α置換体(K115R)と、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K67R)、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K104R)、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K128R)の各々3μgをpMT123-HA-ユビキチンDNA 1μgと共にHEK 293T細胞(ATCC、CRL-3216)を共トランスフェクション(co-transfection)し、24時間後に免疫沈降分析を実施した(図28)。
【0063】
免疫沈降のために得られたサンプルは、溶解緩衝液(1% Triton X、150mM NaCl、50mM Tris-HCl、pH 8および1mM PMSF(phenylmethanesulfonyl fluoride)で溶解した後、抗-myc(9E10)一次抗体と混合して4℃で一晩培養した。免疫沈降体は、タンパク質A/Gビーズ(Santa Cruz Biotechnology)を用いて4℃で2時間反応させて分離した。次に、溶解緩衝液で2回洗浄した。免疫ブロット法は、タンパク質サンプルを2X SDS緩衝液と混合した後、100℃で7分間加熱した後、SDS-PAGEを実施して分離した。分離したタンパク質をPVDF膜に移動させた後、抗-myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology、sc-40)、抗-HA(Santa Cruz Biotechnology、sc-7392)および抗-β-アクチン(Santa Cruz Biotechnology、sc-47778)を1:1000の重量比で含むブロッキング溶液と抗-マウス(Peroxidase-labeled antibody to mouse IgG(H+L)、KPL、074-1806)二次抗体を用いてECLシステム(Western blot detection kit、ABfrontier、Seoul、Korea)で現像した。
【0064】
その結果、抗-myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology、sc-40)で免疫沈降を実施した場合、pcDNA3-myc-FSH-αWTおよびpcDNA3-myc-FSH-βWTにはユビキチンが結合してポリユビキチン化が形成されることによって、スメアユビキチンが探知されてバンドが濃く現れた(図28、レーン3、4およびレーン7、8)。また、MG132(プロテアソーム阻害剤、5μg/ml)を6時間処理した場合、ポリユビキチン化の形成が増加してユビキチンが探知されるバンドがさらに濃く現れた(図28、レーン4および8)。また、pcDNA3-myc-FSH-α置換体(K99R)、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K67R)、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K104R)、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K128R)の場合、WTよりバンドが薄く、pcDNA3-myc-FSH-α置換体(K99R)、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K67R)、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K104R)、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K128R)がユビキチンと結合できずユビキチンが少なく検出された(図29、レーン4および8~10)。以上の結果は、FSHがユビキチンと結合し、ユビキチン-プロテアソームシステムを通じてポリユビキチン化されて分解されることを示す。
【0065】
3.タンパク質生成阻害剤シクロヘキシミド(CHX)によるFSH-αおよびFSH-βの半減期の確認
pcDNA3-myc-FSH-αWT、pcDNA3-myc-FSH-α置換体(K75R)、pcDNA3-myc-FSH-α置換体(K99R)、pcDNA3-myc-FSH-α置換体(K115R)、およびpcDNA3-myc-FSH-βWT、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K67R)、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K104R)、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K128R)を3μgずつHeLa細胞にトランスフェクション(transfection)した。トランスフェクションして48時間後、タンパク質生成阻害剤シクロヘキシミド(CHX)(Sigma-Aldrich)(100μg/ml)で処理し、30分、60分、90分にかけて半減期を測定した。その結果、ヒトFSHの分解が抑制されることを確認した(図27)。ヒトFSH-αの半減期は45分であるのに対し、ヒトpcDNA3-myc-FSH-α置換体(K99R)の半減期は90分以上とWTより長く、ヒトFSH-βの半減期は30分以内であるのに対し、ヒトpcDNA3-myc-FSH-β置換体(K104R)の半減期は60分以上、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K67R)、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K128R)の半減期は90分以上とWTより長く、その結果をグラフで示した(図30、31および32)。
【0066】
4.細胞内におけるFSHとFSH置換体によるシグナル伝達の確認
FSHシグナル伝達は、細胞内cAMPを増加させ、それによってPKAが活性になると、CREBPのような転写因子などのリン酸化を調節し、また、Erk、PI3K/AKTシグナル伝達と関連することが報告されている(Front Endocrinol(Lausanne)、6:142、2015;Biochem J.、473(11):1483-1501、2016)。
【0067】
本実施例では、細胞内におけるFSH-αとFSH-α置換体およびFSH-βとFSH-β置換体によるシグナル伝達過程を確認した。pcDNA3-myc-FSH-αWT、pcDNA3-myc-FSH-α置換体(K75R)、pcDNA3-myc-FSH-α置換体(K99R)、pcDNA3-myc-FSH-α置換体(K115R)、およびpcDNA3-myc-FSH-βWT、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K67R)、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K104R)、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K128R)を各々3μgずつ用いてHeLa細胞を感染させた。感染して2日経過後、細胞からタンパク質を抽出して各々定量化し、細胞内シグナル伝達過程を確認するためにウェスタンブロットを実施した。この過程でpcDNA3-myc-FSH-α置換体(K75R)、pcDNA3-myc-FSH-α置換体(K99R)、pcDNA3-myc-FSH-α置換体(K115R)で感染したHeLa細胞から分離したタンパク質をポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride、PVDF)膜に移動させた後、抗-myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology、sc-40)、抗-STAT3(Santa Cruz Biotechnology、sc-21876)、抗-リン酸化-STAT3(Y705、cell signaling 9131S)、抗-AKT(H-136、Santa Cruz Biotechnology、sc-8312)、抗-リン酸化-AKT(S473、cell signaling 9271S)、抗-Erk1/2(9B3、Abfrontier LF-MA0134)、抗-リン酸化-Erk1/2(Thr202/Tyr204、Abfrontier LF-PA0090)および抗-β-アクチン(Santa Cruz Biotechnology、sc-47778)を1:1000~1:3000の重量比で含むブロッキング溶液と抗-ウサギ(goat anti-rabbit IgG-HRP、Santa Cruz Biotechnology、sc-2004)と抗-マウス(Peroxidase-labeled antibody to mouse IgG(H+L)、KPL、074-1806)二次抗体を用いてECLシステム(Western blot detection kit、ABfrontier、Seoul、Korea)で現像した。その結果、pcDNA3-myc-FSH-α置換体(K75R)、pcDNA3-myc-FSH-α置換体(K99R)、pcDNA3-myc-FSH-α置換体(K115R)は、HeLa細胞内でpcDNA3-myc-FSH-αWTと同一であるかまたは増加したリン酸化-AKTシグナル伝達を示し、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K67R)、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K104R)、pcDNA3-myc-FSH-β置換体(K128R)は、HeLa細胞内でpcDNA3-myc-FSH-βWTと同一であるかまたは増加したリン酸化-STAT3、リン酸化-AKTおよびリン酸化-Erk1/2シグナル伝達を示した(図33)。
【0068】
実施例5:ANGPT-1タンパク質のユビキチン化分析および半減期増加の確認と細胞内シグナル伝達の確認
1.発現ベクターへのクローニングおよびタンパク質発現の確認
(1)発現ベクタークローニング
重合酵素連鎖反応によるANGPT-1 DNA増幅産物とpcDNA3-myc(5.6kb)を制限酵素であるBamHIとXhoIにより切片を作った後に接合してクローニングし(図34、ANGPT-1のアミノ酸配列:配列番号41)、その結果は制限酵素により切断後にアガロースゲル電気泳動を通じて確認した(図35)。また、図34のヌクレオチド配列上に下線と太字で表示された部分はクローニング部位を再度確認するために重合酵素連鎖反応を通じて確認する時に用いられたプライマーセットの一部であり、その結果はアガロースゲル電気泳動を通じて確認した(図35)。重合酵素連鎖反応の条件は以下のとおりである;初期変性を94℃で3分間反応させた後、変性反応のために94℃で30秒間、アニーリング反応のために60℃で30秒間、延長反応のために72℃で1分30秒間を25サイクルで繰り返して実行し、その後、72℃で10分間反応させた。このように作製されたDNAがタンパク質としてろくに発現するかを確認するために、図34のマップに表示されたpcDNA3-mycベクターに存在するmycを抗-myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology、sc-40)抗体を用いてウェスタンブロットを通じてその発現を確認した。mycに結合されたANGPT-1タンパク質がよく発現したことを確認し、アクチンで確認したブロットを通じて適正量がロードされたことを確認した(図36)。
【0069】
(2)リジン(Lysine、K)残基の置換
部位特異的突然変異誘発(site-directed mutagenesis)を用いてリジン残基をアルギニンで置換し、特定の突然変異を誘発するDNA配列を用いてプライマー(ANGPT-1 K175R FP 5’-ACCTACAAGCTAGAGAGGCAACTTCTTCAA-3’(配列番号42)、RP 5’-TTGAAGAAGTTGCCTCTCTAGCTTGTAGGT-3’(配列番号43)、ANGPT-1 K216R FP 5’-ACCTTAAAGGAAGAGAGAGAGAACCTTCAA-3’(配列番号44)、RP 5’-TTGAAGGTTCTCTCTCTCTTCCTTTAAGGT-3’(配列番号45)、ANGPT-1 K414R FP 5’-GGGACAGCAGGAAGACAGAGCAGC-3’(配列番号46)、RP 5’-GCTGCTCTGTCTTCCTGCTGTCCC-3’(配列番号47)を作製した後、特定の条件でPCRを実行することによって特定のアミノ酸残基を置換させたプラスミドDNAを作製した。pcDNA3-myc-ANGPT-1をテンプレートとして用い、リジン残基がアルギニンで置換(K→R)された3個のプラスミドDNAを作製した(表5)。
【0070】
【表5】
【0071】
2.インビボにおけるユビキチン化分析
pcDNA3-myc-ANGPT-1 WTとpMT123-HA-ユビキチンDNAをコードするプラスミドを用いてHEK 293T細胞を感染させた。ユビキチン化過程を確認するために、pcDNA3-myc-ANGPT-1 WT 3μgとpMT123-HA-ユビキチンDNA 1μgを細胞に共トランスフェクション(co-transfection)し、24時間後にMG132(プロテアソーム阻害剤、5μg/ml)を6時間処理した後、免疫沈降分析を実施した(図37)。また、WTと置換体の間のユビキチン化レベルを比較するために、pcDNA3-myc-ANGPT-1 WT、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K175R)、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K216R)およびpcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K414R)の各々3μgをpMT123-HA-ユビキチンDNA 1μgと共にHEK 293T細胞(ATCC、CRL-3216)を共トランスフェクション(co-transfection)し、24時間後に免疫沈降分析を実施した(図38)。
【0072】
免疫沈降のために得られたサンプルは、溶解緩衝液(1% Triton X、150mM NaCl、50mM Tris-HCl、pH 8および1mM PMSF(phenylmethanesulfonyl fluoride)で溶解した後、抗-myc(9E10)一次抗体と混合して4℃で一晩培養した。免疫沈降体は、タンパク質A/Gビーズ(Santa Cruz Biotechnology)を用いて4℃で2時間反応させて分離した。次に、溶解緩衝液で2回洗浄した。免疫ブロット法は、タンパク質サンプルを2X SDS緩衝液と混合した後、100℃で7分間加熱した後、SDS-PAGEを実施して分離した。分離したタンパク質をPVDF膜に移動させた後、抗-myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology、sc-40)、抗-HA(Santa Cruz Biotechnology、sc-7392)および抗-β-アクチン(Santa Cruz Biotechnology、sc-47778)を1:1000の重量比で含むブロッキング溶液と抗-マウス(Peroxidase-labeled antibody to mouse IgG(H+L)、KPL、074-1806)二次抗体を用いてECLシステム(Western blot detection kit、ABfrontier、Seoul、Korea)で現像した。
【0073】
その結果、抗-myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology、sc-40)で免疫沈降を実施した場合、pcDNA3-myc-ANGPT-1 WTにはユビキチンが結合してポリユビキチン化が形成されることによって、スメアユビキチンが探知されてバンドが濃く現れた(図37、レーン3および4)。また、MG132(プロテアソーム阻害剤、5μg/ml)を6時間処理した場合、ポリユビキチン化の形成が増加してユビキチンが探知されるバンドがさらに濃く現れた(図37、レーン4)。また、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K175R)、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K216R)、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K414R)の場合、WTよりバンドが薄く、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K175R)、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K216R)、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K414R)がユビキチンと結合できずユビキチンが少なく検出された(図38、レーン3~5)。以上の結果は、ANGPT-1がユビキチンと結合し、ユビキチン-プロテアソームシステムを通じてポリユビキチン化されて分解されることを示す。
【0074】
3.タンパク質生成阻害剤シクロヘキシミド(CHX)によるANGPT-1の半減期の確認
pcDNA3-myc-ANGPT-1 WT、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K175R)、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K216R)、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K414R)を3μgずつHEK 293T細胞にトランスフェクション(transfection)した。トランスフェクションして48時間後、タンパク質生成阻害剤シクロヘキシミド(CHX)(Sigma-Aldrich)(100μg/ml)を処理し、30分、60分および90分にかけて半減期を測定した。その結果、ヒトANGPT-1の分解が抑制されることを確認した(図39および40)。ヒトANGPT-1の半減期は20分以内であるのに対し、ヒトpcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K216R)の半減期は30分以上としてWTより長く、その結果はグラフで示した(図39および40)。
【0075】
4.細胞内におけるANGPT-1とANGPT-1置換体によるシグナル伝達の確認
ANGPT-1は、細胞内ANGPTTIEシグナル伝達経路によってMAPKおよびPI3K/AKTシグナル伝達を活性化し、その後、内皮細胞間の相互作用および細胞成長に関与することが報告されている(Nat Rev Cancer、10(8):575-585、2010)。
【0076】
本実施例では、細胞内におけるANGPT-1とANGPT-1置換体によるシグナル伝達過程を確認した。pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K175R)、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K216R)、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K414R)を各々5μgずつ用いてHeLa細胞を感染させた。感染して2日経過後、細胞からタンパク質を抽出して各々定量化し、細胞内シグナル伝達過程を確認するためにウェスタンブロットを実施した。この過程でpcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K175R)、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K216R)、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K414R)で感染したHeLa細胞から分離したタンパク質をポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride、PVDF)膜に移動させた後、抗-myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology、sc-40)、抗-STAT3(Santa Cruz Biotechnology、sc-21876)、抗-リン酸化-STAT3(Y705、cell signaling 9131S)、抗-AKT(H-136、Santa Cruz Biotechnology、sc-8312)、抗-リン酸化-AKT(S473、cell signaling 9271S)、抗-Erk1/2(9B3、Abfrontier LF-MA0134)、抗-リン酸化-Erk1/2(Thr202/Tyr204、Abfrontier LF-PA0090)および抗-β-アクチン(Santa Cruz Biotechnology、sc-47778)を1:1000~1:3000の重量比で含むブロッキング溶液と抗-ウサギ(goat anti-rabbit IgG-HRP、Santa Cruz Biotechnology、sc-2004)と抗-マウス(Peroxidase-labeled antibody to mouse IgG(H+L)、KPL、074-1806)二次抗体を用いてECLシステム(Western blot detection kit、ABfrontier、Seoul、Korea)で現像した。その結果、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K175R)、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K216R)、pcDNA3-myc-ANGPT-1置換体(K414R)は、HeLa細胞内でpcDNA3-myc-ANGPT-1 WTと同一であるかまたは増加したリン酸化-AKTおよびリン酸化-Erk1/2シグナル伝達を示した(図41)。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によると、半減期が増加したタンパク質または(ポリ)ペプチドが提供される。したがって、本発明は、治療剤として利用できるタンパク質または(ポリ)ペプチドに関し、製薬産業および美容産業に有用に利用できるものである。
図1
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【配列表】
2022169770000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2022-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質または(ポリ)ペプチドの半減期を増加させる方法であって、
タンパク質または(ポリ)ペプチドにおいてユビキチンのC末端のグリシンと結合するリジンの少なくとも1つをアルギニンで置換することを含み、
前記タンパク質は、配列番号20のアミノ酸配列を有するGM-CSFであり、そのN末端から89番目、91番目および102番目のリジン残基の少なくとも1つをアルギニンで置換する、
前記方法。
【請求項2】
増加した半減期を有するタンパク質であって、前記タンパク質のリジン残基の少なくとも1つがアルギニンで置換され、前記置換されたリジン残基はユビキチンのC末端のグリシンと結合し、
前記タンパク質は、配列番号20のアミノ酸配列を有するGM-CSFであり、そのN末端から89番目、91番目および102番目のリジン残基の少なくとも1つがアルギニンで置換されている、
前記タンパク質。
【請求項3】
好中球減少症の予防、および/または免疫疾患および/または固形癌および血液癌を含む癌および/またはリウマチ関節炎の予防および/または治療のための医薬組成物であって、
請求項2に記載のGM-CSF;および
薬剤学的に許容される賦形剤
を含む、前記医薬組成物。
【請求項4】
(a)プロモータ;
(b)請求項2に記載のタンパク質をコードするヌクレオチド配列;および
任意のリンカー
を含み、
前記プロモータとヌクレオチド配列が互いに作動的に連結されたものである、
発現ベクター。
【請求項5】
請求項4に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【外国語明細書】