(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169783
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】サイクリック蛍光イメージングのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/02 20060101AFI20221101BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20221101BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20221101BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20221101BHJP
G01N 33/533 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
C12Q1/02
C12M1/00 A
G01N33/53 Y
G01N33/48 P
G01N33/533
【審査請求】有
【請求項の数】33
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022139106
(22)【出願日】2022-09-01
(62)【分割の表示】P 2019547251の分割
【原出願日】2017-11-16
(31)【優先権主張番号】62/422,956
(32)【優先日】2016-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517075883
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ワシントン
【氏名又は名称原語表記】University of Washington
【住所又は居所原語表記】4545 Roosevelt Way NE, Suite 400, Seattle, Washington 98105 US
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ティー. チウ
(72)【発明者】
【氏名】チュン-ティン クオ
(72)【発明者】
【氏名】リー ウー
(57)【要約】
【課題】サイクリック蛍光イメージングのためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】細胞または分子を超高速標識および脱標識する方法であって、基板に会合させた細胞または分子を提供するステップと、細胞または分子を検出可能な作用物質と接触させるステップと、細胞または分子の複数の部位を、検出可能な作用物質で標識するステップと、細胞または分子にわたって電圧を印加するステップと、細胞または分子を脱標識するステップであり、細胞または分子上の検出可能な作用物質を除去またはクエンチングすることを含む、ステップとを含む方法が本明細書に記載されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を標識および脱標識する方法であって、
基板に会合させた細胞を提供するステップと、
前記細胞を、検出可能な作用物質と接触させ、それにより、前記細胞の複数の部位を、前記検出可能な作用物質で標識するステップと、
前記細胞と接触させた溶液に電圧を印加し、それにより、前記細胞を脱標識するステップであって、電圧の印加が、1つまたは複数の反応性化学種を生成し、前記細胞の前記複数の部位の少なくとも90%が脱標識される、ステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記標識および脱標識が、20分未満、15分未満、10分未満、9分未満、8分未満、7分未満、6分未満、5分未満、4分未満、または3分未満で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも10回、または少なくとも50回繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞を、複数種の検出可能な作用物質で標識するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数種の検出可能な作用物質で標識された細胞のイメージングを行うステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞上の前記複数種の検出可能な作用物質の少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%が脱標識される、請求項4または5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記細胞から検出される残留蛍光が、5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、または0.1%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数種の検出可能な作用物質が、蛍光により検出可能な作用物質を含む、請求項4または5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数種の検出可能な作用物質が、アフィニティータグに共有結合により付着している、請求項4または5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記アフィニティータグが抗体である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アフィニティータグが核酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記基板がチップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
複数の細胞をさらに含み、前記複数の細胞が、組織を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
流体を前記基板にフローセルを使用して送達するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
細胞を標識および脱標識する方法であって、
基板に会合させた細胞を提供するステップと、
前記細胞を制御された温度に加熱するステップと、
検出可能な作用物質を前記細胞にフローセルを使用して送達するステップと、
前記細胞と前記検出可能な作用物質を接触させるステップと
前記細胞と接触させた溶液に電圧を印加し、それにより前記細胞を脱標識するステップであって、電圧の印加が、1つまたは複数の反応性化学種を生成し、前記細胞の複数の部位の少なくとも90%が脱標識される、ステップと、
を含む方法。
【請求項16】
前記細胞を、複数種の検出可能な作用物質で標識するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記制御された温度が、26℃から60℃、30℃から45℃、35℃から45℃、35℃から40℃、または36.5℃から37.5℃である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記制御された温度が、温度設定点から0.5摂氏温度以内、1摂氏温度以内、2摂氏温度以内、または3摂氏温度以内である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記細胞の複数の部位の少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%が標識される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記複数種の検出可能な作用物質が、蛍光により検出可能な作用物質を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記複数種の検出可能な作用物質が、アフィニティータグに共有結合により付着している、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記アフィニティータグが抗体である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記アフィニティータグが核酸である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記基板がチップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
複数の細胞をさらに含み、前記複数の細胞が、組織を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
細胞を標識および脱標識するためのシステムであって、
細胞が保持されるように構成された基板;
第1の検出可能な作用物質;
前記細胞にわたって流体が通過するように構成されたフローセル;
電源;
前記細胞が温度設定点に加熱されるように構成された温度制御デバイスであり、前記細胞の温度が、温度設定点から3摂氏温度以内に調節される、温度制御デバイス;
第1の検出可能な作用物質が検出されるように構成された検出器;
プロセッサーと非一時的有形コンピューター可読記憶媒体とを含む、前記電源および前記検出器を作動させるように構成されたコンピューティングデバイスであり、前記記憶媒体は、前記プロセッサーにより実行されると、
前記フローセルに前記検出可能な作用物質を前記基板に供給させ、それによって前記細胞を標識し、
前記検出器に前記第1の検出可能な作用物質のシグナルを検出させ、
前記電源に、前記細胞と接触させた溶液に電圧を印加させ、それにより、前記細胞を脱標識させ、ここで電圧の印加が、1つまたは複数の反応性化学種を生成し、前記細胞の複数の部位の少なくとも90%が脱標識される、
という指示のセットを記憶している、コンピューティングデバイス
を含むシステム。
【請求項27】
検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも10個の細胞、検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも100個の細胞、検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも1000個の細胞、または検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも5000個の細胞をイメージングすることができる、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記温度制御デバイスが、前記細胞が少なくとも26℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、または少なくとも60℃の温度に加熱されるように構成されている、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記細胞と接触させた溶液に少なくとも1ボルト、少なくとも3ボルト、少なくとも5ボルト、少なくとも7ボルト、少なくとも8ボルト、少なくとも9ボルト、または少なくとも10ボルトの電圧が印加されるように構成された電源をさらに含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
イメージングデバイスをさらに含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項31】
前記基板がチップを含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項32】
前記コンピューティングデバイスが、前記フローセルを作動させるようにさらに構成されている、請求項26に記載のシステム。
【請求項33】
前記フローセルに接続された流体レザバーをさらに含む、請求項26に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2016年11月16日に出願された米国仮出願番号第62/422,956号の利益を主張しており、この仮出願はその全体が参考として本明細書中に参考として本明細書によって援用される。
【背景技術】
【0002】
背景
分子の標識および検出は、科学研究、臨床処置、および産業的適用において有用であり得る。生物学的状況下で分子を標識することにより、目的の特定の分子を同定することが可能になり得、これは、規定された実験条件下でその分子の存在または非存在を決定することにおいて有用であり得る。実験系における標識された分子の検出を使用して、標識した分子が付随する細胞の特性、例えば、細胞の表現型などを決定することができる。実験系の状態に関するより多くの情報をもたらすために、細胞内の1種類よりも多くの分子を一度に標識することができる。目的の分子の標識および検出のプロセスにおいて使用される方法およびシステムの改善を通じて、科学研究、臨床処置、および工業的適用の状況下でのこれらの方法およびシステムの有用性が増大すると予想される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要旨
細胞または分子を超高速標識および脱標識する方法であって、基板に会合させた細胞または分子を提供するステップと、細胞または分子を検出可能な作用物質と接触させるステップと、細胞または分子の複数の部位を、検出可能な作用物質で標識するステップと、細胞または分子にわたって電圧を印加するステップと、細胞または分子を脱標識するステップであり、細胞または分子上の検出可能な作用物質を除去またはクエンチングすることを含む、ステップとを含む方法が本明細書に記載されている。本明細書には、超高速標識の方法であって、基板に会合させた細胞または分子を提供するステップと、細胞または分子を制御された温度に加熱するステップと、検出可能な作用物質を細胞または分子にフローセルを使用して送達するステップと、細胞または分子を検出可能な作用物質と接触させるステップとを含む方法も記載されている。本明細書には、標識された細胞または分子を脱標識する方法であって、基板に会合させた細胞または分子を提供するステップであり、細胞または分子が複数の検出可能な作用物質で標識されている、ステップと、標識された細胞または分子に電圧を印加するステップと、標識された細胞または分子上の複数の検出可能な作用物質の少なくとも75%を15分未満で脱標識するステップとを含む方法も記載されている。本明細書には、細胞または分子を標識および脱標識するためのシステムであって、細胞または分子が保持されるように構成された基板;第1の検出可能な作用物質;細胞または分子にわたって流体が通過するように構成されたフローセル;電源;細胞または分子が温度設定点に加熱されるように構成された温度制御デバイスであり、細胞または分子の温度が、温度設定点から3摂氏温度以内であるように調節される、温度制御デバイス;第1の検出可能な作用物質が検出されるように構成された検出器;プロセッサーと非一時的有形コンピューター可読記憶媒体とを含む、電源および検出器を作動させるように構成されたコンピューティングデバイスであり、記憶媒体は、プロセッサーにより実行されると、検出器に第1の検出可能な作用物質シグナルを検出させ、電源に、細胞または分子と接触させた溶液に電圧を印加させるという指示のセットを記憶している、コンピューティングデバイスを含むシステムも記載されている。
【0004】
種々の態様では、本明細書に記載の方法は、細胞を標識および脱標識するための方法であって、基板に会合させた細胞を提供するステップと、細胞を、検出可能な作用物質と接触させるステップと、細胞の複数の部位を、検出可能な作用物質で標識するステップと、細胞にわたって電圧を印加するステップと、細胞を脱標識するステップであり、脱標識が、細胞上の検出可能な作用物質を除去またはクエンチングすることを含む、ステップを含む方法を含む。
【0005】
種々の態様では、本明細書に記載の方法は、細胞を標識および脱標識するための方法であって、基板に会合させた細胞を提供するステップと、細胞を、検出可能な作用物質と接触させるステップと、細胞の複数の部位を、検出可能な作用物質で標識するステップと、細胞と接触させた溶液に電圧を印加するステップと、細胞を脱標識するステップとを含む方法を含む。
【0006】
種々の態様では、細胞と接触させた溶液に電圧を印加するステップが、1つまたは複数の反応性化学種を生成する。種々の態様では、細胞を脱標識するステップは、検出可能な作用物質を1つまたは複数の反応性化学種と接触させることを含む。
【0007】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、複数の部位を標識した後、検出可能な作用物質を検出するステップをさらに含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、検出するステップが、検出可能な作用物質を光学的に検出することを含む方法を含み得る。
【0008】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、細胞を20分未満、15分未満、10分未満、9分未満、8分未満、7分未満、6分未満、5分未満、4分未満、または3分未満で標識および脱標識するステップを含み得る。
【0009】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、標識および脱標識する方法を複数回繰り返すことを含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法を、30分のうちに2回、45分のうちに3回、60分のうちに4回、75分のうちに5回、または90分のうちに6回実施することができる。
【0010】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、標識および脱標識する方法を少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも10回、または少なくとも50回のサイクルで繰り返すことを含み得る。
【0011】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、細胞を、複数の検出可能な作用物質で標識するステップまたは複数の検出可能な作用物質で標識された細胞のイメージングを行うステップをさらに含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、複数の検出可能な作用物質を、単独でまたは組み合わせて、細胞と接触させることができる方法を含み得る。
【0012】
細胞を標識および脱標識するための方法の一部の態様では、細胞の温度を、26℃から60℃、30℃から45℃、35℃から45℃、35℃から40℃、36.5℃から37.5℃であるように制御するステップをさらに含み得る。種々の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、温度が、温度設定点から0.5摂氏温度以内、1摂氏温度以内、2摂氏温度以内、または3摂氏温度以内に制御できる方法を含み得る。
【0013】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、検出可能な作用物質が抗体に共有結合により付着しており、標識するステップの間、抗体の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~10μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、検出可能な作用物質がCD4抗体に共有結合により付着しており、標識するステップの間、CD4抗体の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~10μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、検出可能な作用物質がCD3抗体に共有結合により付着しており、標識するステップの間、CD3抗体の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~10μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、検出可能な作用物質がCD28抗体に共有結合により付着しており、標識するステップの間、CD28抗体の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~10μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである方法を含み得る。
【0014】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、検出可能な作用物質が核酸に共有結合により付着しており、標識するステップの間、核酸の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~50μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、検出可能な作用物質がリボ核酸に共有結合により付着しており、標識するステップの間、リボ核酸の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~50μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、検出可能な作用物質がデオキシリボ核酸に共有結合により付着しており、標識するステップの間、デオキシリボ核酸の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~50μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである方法を含み得る。
【0015】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、細胞を、検出可能な作用物質と、10秒~15分、30秒~10分、1分~8分、または2分~6分、5分以下、7.5分以下、または10分以下の時間にわたって接触させるステップをさらに含み得る。
【0016】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、細胞の複数の部位の一部が標識され、一部が、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%である方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、細胞の複数の部位の一部を、検出可能な作用物質を用いて、15分以下、10分以下、7.5分以下、5分以下、4分以下、3分以下、2分以下、または1分以下の時間で標識する方法を含み得る。
【0017】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、細胞上の複数の検出可能な作用物質の飽和度が、標識を20℃で1時間にわたって実施した以外は同じ条件下で標識した第2の細胞と比較して、25%を超える、50%を超える、75%を超える、または90%を超える飽和度である方法を含み得る。
【0018】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、細胞と接触させた溶液に印加される電圧が、1V~100V、1V~50V、1V~25V、または5V~15V、または少なくとも8Vであり得る方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、細胞に電圧が1秒~20分、1秒~15分、10秒~10分、20秒~5分、30秒~3分、または50秒~150秒にわたって印加され得る方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、電圧が直流(DC)、交流(AC)、またはDCとACの組合せであり得る方法を含み得る。
【0019】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、複数の部位の少なくとも90%が、15分未満、10分未満、6分未満、5分未満、4分未満、または3分未満、2分未満、1分未満、または30秒未満の時間で脱標識される方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、細胞上の複数の検出可能な作用物質の少なくとも95%が、10分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、または1分未満で脱標識される方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、細胞上の複数の検出可能な作用物質の少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%が脱標識される方法を含み得る。
【0020】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、細胞から検出される残留蛍光が5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、または0.1%未満である方法を含み得る。
【0021】
標識および脱標識するための方法の一部の態様では、方法は、標識された細胞をクエンチング剤と接触させるステップをさらに含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、クエンチング剤がBlack Hole Quencherである方法を含み得る。
【0022】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、複数の検出可能な作用物質が蛍光により検出可能な作用物質を含み得る方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、複数の検出可能な作用物質がアフィニティータグに共有結合により付着していてよい方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識する方法は、アフィニティータグがアプタマーまたは抗体または核酸であり得る方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、核酸がリボ核酸を含む方法を含み得、一部の態様では、細胞を標識および脱標識する方法は、核酸がデオキシリボ核酸を含む方法を含み得る。
【0023】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、基板がチップを含み得る方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、基板が単一細胞アレイを含み得る方法を含み得、一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、単一細胞アレイが周期的な形式で配置された複数の細胞を含む規則アレイである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、単一細胞アレイが基板の30%よりも多く、40%よりも多く、50%よりも多く、60%よりも多く、70%よりも多く、80%よりも多く、90%よりも多くを覆う複数の細胞の単層を含む不規則アレイである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、基板が平坦な基板であり得る方法を含み得る。
【0024】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、複数の細胞が組織を含み得る方法を含み得る。
【0025】
一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、流体を基板にフローセルを使用して送達するステップをさらに含み得る。一部の態様では、細胞を標識および脱標識するための方法は、フローセルがマイクロ流体デバイスである方法を含み得る。
【0026】
種々の態様では、本明細書に記載の方法は、細胞を標識する方法であって、基板に会合させた細胞を提供するステップと、細胞を制御された温度に加熱するステップと、検出可能な作用物質を、フローセルを使用して細胞に送達するステップと、細胞と検出可能な作用物質を接触させるステップとを含む方法を含む。
【0027】
一部の態様では、細胞を標識する方法は、複数の部位を標識した後、検出可能な作用物質を検出するステップをさらに含む。一部の態様では、細胞を標識する方法は、検出するステップが、検出可能な作用物質を光学的に検出することを含む方法を含み得る。
【0028】
一部の態様では、細胞を標識する方法は、細胞を、複数の検出可能な作用物質で標識するステップをさらに含む。一部の態様では、細胞を標識する方法は、複数の検出可能な作用物質を、単独でまたは組み合わせて、細胞と接触させることができる方法を含み得る。
【0029】
一部の態様では、細胞を標識する方法は、制御された温度が26℃から60℃、30℃から45℃、35℃から45℃、35℃から40℃、36.5℃から37.5℃である方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識する方法は、制御された温度が、温度設定点から0.5摂氏温度以内、1摂氏温度以内、2摂氏温度以内、または3摂氏温度以内である、方法を含み得る。
【0030】
一部の態様では、細胞を標識する方法は、検出可能な作用物質が抗体に共有結合により付着している方法を含み得、細胞を標識する方法は、標識するステップの間、抗体の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~10μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識する方法は、検出可能な作用物質がCD4抗体に共有結合により付着しており、標識するステップの間、CD4抗体の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~10μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識する方法は、検出可能な作用物質がCD3抗体に共有結合により付着しており、標識するステップの間、CD3抗体の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~10μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識する方法は、検出可能な作用物質がCD28抗体に共有結合により付着しており、標識するステップの間、CD28抗体の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~10μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである方法を含み得る。
【0031】
一部の態様では、細胞を標識する方法は、検出可能な作用物質が核酸に共有結合により付着しており、標識するステップの間、核酸の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~50μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識する方法は、検出可能な作用物質がリボ核酸に共有結合により付着しており、標識するステップの間、リボ核酸の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~50μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識する方法は、検出可能な作用物質がデオキシリボ核酸に共有結合により付着しており、標識するステップの間、デオキシリボ核酸の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~50μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである方法を含み得る。
【0032】
一部の態様では、細胞を標識するための方法は、細胞と検出可能な作用物質を、10秒~15分、30秒~10分、1分~8分、または2分~6分、5分以下、7.5分以下、または10分以下の時間にわたって接触させる方法をさらに含む。
【0033】
一部の態様では、細胞を標識するための方法は、細胞の複数の部位の少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%が標識される方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識するための方法は、細胞上の複数の検出可能な作用物質の飽和度が、第2の細胞の標識を20℃で1時間にわたって実施した以外は同じ条件下で標識した第2の細胞の飽和度の、25%を超える、50%を超える、75%を超える、または90%を超える方法を含み得る。
【0034】
一部の態様では、細胞を標識するための方法は、複数の検出可能な作用物質が、蛍光により検出可能な作用物質を含む方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識するための方法は、複数の検出可能な作用物質がアフィニティータグに共有結合により付着している方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識するための方法は、アフィニティータグがアプタマーまたは抗体または核酸である方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識するための方法は、アフィニティータグがリボ核酸を含む方法を含み得、一部の態様では、細胞を標識するための方法は、アフィニティータグがデオキシリボ核酸を含む方法を含み得る。
【0035】
一部の態様では、細胞を標識するための方法は、基板がチップを含む方法を含み得、一部の態様では、細胞を標識するための方法は、基板が単一細胞アレイを含む方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識するための方法は、単一細胞アレイが周期的な形式で配置された複数の細胞を含む規則アレイである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識するための方法は、単一細胞アレイが基板の30%よりも多く、40%よりも多く、50%よりも多く、60%よりも多く、70%よりも多く、80%よりも多く、90%よりも多くを覆う複数の細胞の単層を含むランダムアレイである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を標識するための方法は、基板が平坦な基板であり得る方法を含み得る。
【0036】
一部の態様では、細胞を標識するための方法は、複数の細胞が組織を含む方法を含み得る。
【0037】
一部の態様では、細胞を標識するための方法は、フローセルがマイクロ流体デバイスである方法を含み得る。
【0038】
種々の態様では、本明細書に記載の方法は、標識された細胞を脱標識するための方法であって、基板に会合させた細胞を提供するステップであり、細胞が複数の検出可能な作用物質で標識されている、ステップと、標識された細胞に電圧を印加するステップと、標識された細胞上の複数の検出可能な作用物質の少なくとも75%を15分未満に脱標識するステップとを含む方法を含み得る。
【0039】
種々の態様では、本明細書に記載の方法は、標識された細胞を脱標識するための方法であって、基板に会合させた細胞を提供するステップであり、細胞が複数の検出可能な作用物質で標識されている、ステップと、細胞と接触させた溶液に電圧を印加して1つまたは複数の反応性化学種を生成させるステップと、標識された細胞上の複数の検出可能な作用物質の少なくとも75%を15分未満に脱標識するステップであり、検出可能な作用物質を1つまたは複数の反応性化学種と接触させることを含む、ステップとを含む方法を含み得る。
【0040】
一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、複数の部位の脱標識後、検出可能な作用物質を検出するステップをさらに含み得る。
【0041】
一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、検出するステップが、検出可能な作用物質を光学的に検出することを含む方法を含み得る。
【0042】
一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、印加電圧が1V~100V、1V~50V、1V~25V、5V~15V、少なくとも7V、または少なくとも8Vである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、標識された細胞に電圧を1秒~20分、1秒~15分、10秒~10分、20秒~5分、30秒~3分、または50秒~150秒にわたって印加する方法を含み得る。一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、電圧が、直流(DC)、交流(AC)、またはDCとACの組合せである方法を含み得る。
【0043】
一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、流体の流れを、連続様式、間欠様式、時限様式、または制御様式、またはこれらの組合せで適用する方法を含み得る。
【0044】
一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、細胞の複数の部位の少なくとも95%が、15分未満、10分未満、6分未満、5分未満、4分未満、または3分未満、2分未満、1分未満、または30秒未満の時間で脱標識される方法を含み得る。一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、細胞上の複数の検出可能な作用物質の少なくとも95%が、10分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、または1分未満で脱標識される方法を含み得る。一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、細胞上の複数の検出可能な作用物質の少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%が10分未満で脱標識される方法を含み得る。
【0045】
一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、細胞から検出される残留蛍光が5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、または0.1%未満である方法を含み得る。
【0046】
一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、標識された細胞をクエンチング剤と接触させるステップをさらに含み得る。一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、クエンチング剤がBlack Hole Quencherである方法を含み得る。
【0047】
一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、複数の検出可能な作用物質が、蛍光により検出可能な作用物質を含む方法を含み得る。
【0048】
一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、複数の検出可能な作用物質がアフィニティータグに共有結合により付着している方法を含み得る。一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、アフィニティータグがアプタマーまたは抗体または核酸である方法を含み得る。一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、アフィニティータグがリボ核酸を含む方法を含み得、一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、アフィニティータグがデオキシリボ核酸を含む方法を含み得る。
【0049】
一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、基板がチップを含む方法を含み得る。一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、基板が単一細胞アレイを含む方法を含み得る。一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、単一細胞アレイが周期的な形式で配置された複数の細胞を含む規則アレイである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、単一細胞アレイが基板の30%よりも多く、40%よりも多く、50%よりも多く、60%よりも多く、70%よりも多く、80%よりも多く、90%よりも多くを覆う複数の細胞の単層を含むランダムアレイである方法を含み得る。一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、基板が平坦な基板である方法を含み得る。
【0050】
一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、複数の細胞が組織を含む方法を含み得る。
【0051】
一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、流体を基板にフローセルを使用して送達するステップをさらに含む。一部の態様では、細胞を脱標識するための方法は、フローセルがマイクロ流体デバイスである方法を含み得る。
【0052】
種々の態様では、本明細書に記載のシステムは、細胞を標識および脱標識するためのシステムであって、細胞が保持されるように構成された基板;第1の検出可能な作用物質;細胞にわたって流体が通過するように構成されたフローセル;電源;細胞が温度設定点に加熱されるように構成された温度制御デバイスであり、細胞の温度が、温度設定点から3摂氏温度以内に調節される、温度制御デバイス;第1の検出可能な作用物質が検出されるように構成された検出器;プロセッサーと非一時的有形コンピューター可読記憶媒体とを含む、電源および検出器を作動させるように構成されたコンピューティングデバイスであり、記憶媒体は、プロセッサーにより実行されると、検出器に第1の検出可能な作用物質シグナルを検出させ、電源に、細胞と接触させた溶液に電圧を印加させるという指示のセットを記憶している、コンピューティングデバイスを含むシステムを含み得る。
【0053】
一部の態様では、標識および脱標識するためのシステムは、検出器の空間分解能が、5マイクロメートル未満、4マイクロメートル未満、3マイクロメートル未満、2マイクロメートル未満、1マイクロメートル未満、0.5マイクロメートル未満、または0.1マイクロメートル未満であるシステムを含み得る。
【0054】
一部の態様では、標識および脱標識するためのシステムは、検出器が、10,000未満の検出可能な作用物質、5,000未満の検出可能な作用物質、1,000未満の検出可能な作用物質、500未満の検出可能な作用物質、100未満の検出可能な作用物質、50未満の検出可能な作用物質、または10未満の検出可能な作用物質を検出することが可能なイメージング感度を有するシステムを含み得る。
【0055】
一部の態様では、標識および脱標識するためのシステムは、検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも10個の細胞、検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも100個の細胞、検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも1000個の細胞、検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも5000個の細胞をイメージングすることができるシステムを含み得る。
【0056】
一部の態様では、標識および脱標識するためのシステムは、温度制御デバイスが、細胞の温度を温度設定点から2℃を超えない、1℃を超えない、0.5℃を超えない範囲内に制御するように構成されているシステムを含み得る。一部の態様では、標識および脱標識するためのシステムは、温度制御デバイスが、細胞が少なくとも26℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも60℃の温度に加熱されるように構成されているシステムを含み得る。
【0057】
一部の態様では、標識および脱標識するためのシステムは、細胞と接触させた溶液に少なくとも1ボルト、少なくとも3ボルト、少なくとも5ボルト、少なくとも7ボルト、少なくとも8ボルト、少なくとも9ボルト、少なくとも10ボルトの電圧が印加されるように構成された電源をさらに含み得る。
【0058】
一部の態様では、標識および脱標識するためのシステムは、イメージングデバイスをさらに含み得る。
【0059】
一部の態様では、標識および脱標識するためのシステムは、第1の検出可能な作用物質が蛍光により検出可能な作用物質であるシステムを含み得る。一部の態様では、標識および脱標識するためのシステムは、蛍光により検出可能な作用物質が励起されるように構成された光源をさらに含み得る。
【0060】
一部の態様では、標識および脱標識するためのシステムは、第2の検出可能な作用物質をさらに含み得る。一部の態様では、標識および脱標識するためのシステムは、第2の検出可能な作用物質が検出されるように構成された検出器をさらに含み得る。
【0061】
一部の態様では、標識および脱標識するためのシステムは、基板がチップを含むシステムを含み得る。
【0062】
一部の態様では、標識および脱標識するためのシステムは、コンピューティングデバイスが、フローセルを作動させるようにさらに構成されているシステムをさらに含み得る。
【0063】
一部の態様では、標識および脱標識するためのシステムは、フローセルに接続された流体レザバーをさらに含み得る。一部の態様では、標識および脱標識するためのシステムは、フローセルがマイクロ流体デバイスを含むシステムを含み得る。
【0064】
一部の態様では、標識および脱標識するためのシステムは、基板が器具内に封入されているシステムを含み得る。
【0065】
参照による援用
本明細書において言及されている全ての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願のそれぞれが、参照により組み込まれると具体的にかつ個別に示されている場合と同様に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲において詳細に記載されている。本発明の原理が利用されている例示的な実施形態が記載されている以下の詳細な説明および付属図を参照することにより本発明の特徴および利点のよりよい理解が得られよう。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】
図1は、検出可能な作用物質を用いた細胞または目的の分子への超高速標識の流れ図である。示されている通り、試料(例えば、細胞または目的の分子)をまず設定温度に加熱し、次いで検出可能な作用物質と接触させることもでき、または試料をまず検出可能な作用物質と接触させ、次いで、設定温度に加熱することもできる(図の筋道101-102-103-106と図の筋道101-104-105-106を比較されたい)。
【0068】
【
図2】
図2は、標識後、検出前に試料(例えば、細胞または目的の分子)を冷却するステップを実施する、検出可能な作用物質を用いた細胞または目的の分子への超高速標識の流れ図である。
【0069】
【
図3】
図3は、細胞または目的の分子を脱標識するステップの流れ図である。示されている通り、検出可能な作用物質シグナルを検出することを含み得る、検出可能な作用物質の脱標識を確かめる任意選択のステップを試料(例えば、細胞または目的の分子)の脱標識後に実施することができる。
【0070】
【
図4】
図4は、細胞または目的の分子の超高速標識および超高速脱標識を伴う超高速サイクリック蛍光イメージングの流れ図である。
【0071】
【
図5】
図5は、各サイクルにおいて試料(例えば、細胞または目的の分子)を加熱するステップを繰り返すことができる、細胞または目的の分子の超高速標識および超高速脱標識を伴う超高速サイクリック蛍光イメージングの流れ図である。
【0072】
【
図6】
図6は、各サイクルにおいて試料(例えば、細胞または目的の分子)を加熱するステップを繰り返すことができる、細胞または目的の分子の超高速標識および超高速脱標識を伴う超高速サイクリック蛍光イメージングの流れ図である。
【0073】
【
図7】
図7は、各サイクルにおいて試料(例えば、細胞または目的の分子)を加熱するステップおよび試料を冷却するステップを繰り返すことができる、細胞または目的の分子の超高速標識および超高速脱標識を伴う超高速サイクリック蛍光イメージングの流れ図である。
【0074】
【
図8】
図8は、各サイクルにおいて試料(例えば、細胞または目的の分子)を加熱するステップおよび試料を冷却するステップを繰り返すことができる、細胞または目的の分子の超高速標識および超高速脱標識を伴う超高速サイクリック蛍光イメージングの流れ図である。
【0075】
【
図9】
図9D~9Fは、細胞の超高速標識(または超高速サイクリック染色、SCS、通常の標識法と比較して10倍に増大させた検出可能な作用物質濃度を含み得る)を、標準のプロトコールを使用した標識(
図9A~9C)と比較して示す図である。
図9Aおよび
図9Dの挿入図は、細胞の存在を図示するために画像捕捉後にシグナル獲得を増大させる後処理がなされている。シグナル獲得レベルは、
図9Aおよび
図9Dの挿入図パネル以外は全ての画像パネルについて同一であった。
図9Gは、超高速標識(例えば、10×37℃、5分)を使用して標識した細胞のフローサイトメトリー測定値を示し、超高速標識法により、フローサイトメトリーにおいて細胞によって示される正の蛍光強度が高いことによって示される通り高度に効率的な標識がもたらされると同時に通常の標識法で得られるものと同等の低い非特異的結合が維持されることを示す図である。
【0076】
【
図10】
図10A~10Hは、2つの別々の検出可能な作用物質を用いた細胞を超高速脱標識するステップを示す図である。
【0077】
【
図11】
図11A~11Dは、超高速脱標識法を使用した、脱標識時に印加電圧の影響(
図11A~11B)および所与の電圧で脱標識が起こるスピード(
図11C~11D)を示すグラフである。
図11Aおよび
図11Cでは強度が任意の蛍光単位(au)で表されている。
【0078】
【0079】
【
図13】
図13A~13Tは、PE-抗EpCAMで標識された細胞の、8ボルトで150秒後および180秒後(
図13A~13E)、6ボルトで330秒後および340秒後(
図13F~13J)、5ボルトで480秒後および510秒後(
図13K~13O)、ならびに3ボルトで1020秒後および1080秒後(
図13P~13T)の脱標識を示す図である。
図13E、
図13J、
図13O、および
図13Tは、超高速脱標識プロセスによって細胞自体は変化していないまたは基板から外れていないことを図示する明視野画像である。
【0080】
【
図14】
図14A~14Fは、緩衝液の連続流の下(
図14A~14C)、ならびに緩衝液流の制御適用および時限適用した(
図14D~14F)でのMCF-7細胞の脱標識を示す図である。
【0081】
【
図15】
図15A~15Cは、対照細胞の輝度(
図15A)と9サイクル(それぞれ4ボルトを3分間)の脱標識後の細胞の輝度(
図15B)の間に注目すべき差異がなく、それにより、少なくとも9サイクルの標識および脱標識を細胞に対していかなる注目すべきエピトープ損傷も伴わずに実施できることが実証されることを示す図である。
図15Aおよび
図15Bにおける線に沿った輝度プロファイルにより、
図15Cに示されている2つの代表的な画像輝度レベル間に注目すべき差異がなく、したがって、注目すべきエピトープ損傷は示されないことも実証される。
【0082】
【
図16】
図16は、超高速サイクリック蛍光イメージングのためのシステムを示す図である。
【0083】
【
図17】
図17A~17Dは、CD28細胞表面タンパク質を欠く細胞型であるB細胞単独(
図17Aおよび
図17C)またはB細胞とCD28を発現するT細胞の1:1混合物(
図17Bおよび
図17D)を、通常の標識方法体系(
図17Aおよび
図17B)または超高速標識法体系(
図17Cおよび
図17D)を使用して5分にわたってPE-抗CD28抗体で標識した場合に、抗体特異性が同様であり、非特異的結合のレベルが同様であることを示す図である。パネル挿入図は、細胞の存在を図示するために画像捕捉後にシグナル獲得を増大させる後処理がなされている。シグナル獲得レベルは、
図17Aおよび
図17Cの挿入図以外は全ての画像パネルについて同一であった。
【0084】
【
図18】
図18A~18Bは、通常の標識法と超高速標識法の間で非特異的結合および特異的標識が同等であることを示す、超高速標識法を使用したB細胞およびT細胞の標識後のフローサイトメトリーの結果を示す図である。
図18Aは、通常の標識法を使用して標識したB細胞とT細胞の混合物および超高速標識法を使用して標識したB細胞とT細胞の混合物を示す。
図18Bは、通常の標識法および超高速標識法の両方を使用して別々に標識したB細胞およびT細胞を示す。
【0085】
【
図19】
図19A~19Dは、Black Hole Quencherを用いた脱標識を伴うサイクリック超高速標識を示す図である。
図19Aは、明視野イメージングを使用して、標識された細胞を示し、
図19Bは、蛍光イメージングを使用して、標識された細胞を示す。
図19Cは、Black Hole Quencherを用いた脱標識後の同じ細胞を示す。
図19Dは、別の蛍光抗体(例えば、検出可能な作用物質)を用いた再標識を示す。
【0086】
【
図20】
図20A~20Iは、5種の異なる検出可能な作用物質(PE-抗サイトケラチン、PE-抗MUC1、PE-抗HER2、PE-抗EpCAM、およびPE-抗EGFR)を使用した5サイクルの超高速サイクリック蛍光イメージングならびに標識ステップ間の8Vで5分間の脱標識の画像である。
【0087】
【
図21】
図21A~21Gは、サイクリック蛍光単一細胞標識のための単一細胞アレイを示す図である。単一細胞アレイは、アレイの設計および微細加工に応じて異なる密度およびサイズで生成することができる(
図21A~21F)。
図21Gは、単一細胞アレイ中の懸濁液中の単一細胞を示す。
【0088】
【
図22】
図22A~22Cは、本開示の態様に従った単一細胞アレイの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
詳細な説明
本開示は、細胞または分子を、検出可能な作用物質または複数の検出可能な作用物質に関して、改善された効率で標識(例えば、染色)および脱標識(例えば、脱染、検出可能な作用物質の除去、または検出可能な作用物質によって生じる検出可能なシグナルの低減)を行うための方法およびシステムを提供する。それ自体を目標として分子の標識または脱標識の個々の課題の効率を改善することに加えて、本明細書に開示される方法およびシステムには、検出しようとする分子の数が同時に検出することができる検出可能な作用物質シグナルの数を超える実験系において特定の価値があり得る。そのような状況では、実験を実施することができるスピードは、試料を検出可能な作用物質のセットで標識するステップ、検出可能な作用物質の第1のセットを検出するステップ、検出可能な作用物質の第1のセットで標識された試料を脱標識するステップ、および試料(例えば、目的の分子の第2のセット)を検出可能な作用物質の第2のセットで標識するステップ(全ての細胞または目的の分子が標識され、検出されるように、試料を複数のサイクルで標識および/または脱標識することを伴い得るプロセス)を実施するために必要な時間によって限定される。したがって、細胞または分子を標識および脱標識するステップのそれぞれの効率に対する改善を、細胞または目的の分子を検出可能な作用物質の所与のセットを用いて所与のセットを検出、脱標識、および標識するプロセスの各反復と複合させる。
【0090】
例えば、利用可能な検出システムによって同時に検出することができるよりも、または同時に使用する場合に互いと分離することができるよりも(例えば、蛍光により検出可能な作用物質のスペクトルのオーバーラップの結果として)多数の異なる型の目的の分子を検出しようとする実験は、目的の分子それぞれを標識し、検出するために、脱標識および標識手順を繰り返さなければならないまたはそれに供さなければならない。実験を繰り返すことにより、目的の分子全てを検出するために必要な時間が増大することに加えて、実験的変動性が導入される可能性があると同時に、従来の方法およびシステムを使用して分子を脱標識および標識することには、相当量の時間が必要になる可能性がある。分子の標識、脱標識、および/または検出に必要な時間を改善することができる本明細書に記載の方法およびシステムを使用することにより、穏当な能力の検出システムを使用してさえ、多数の異なる型の分子を単一の実験で検出することを迅速に実現することができる。
【0091】
したがって、本明細書に記載の方法およびシステム(
図1のプロセスに記載されている)は、基板に会合させたまたは基板上の細胞または分子を伴い得る(101、201)。細胞は、初代細胞であっても不死化細胞であってもよく、また、生細胞であっても固定された細胞であってもよい。基板は平面状であってもよく、マルチタイタープレートを含んでいてもよい。細胞または分子(例えば、試料)の温度を調節することができ、したがって、細胞または分子(例えば、試料)は、指定の範囲内(例えば、36.5℃および37.5℃)または許容される温度変動の範囲内(例えば、0.5℃)の温度が維持されると同時に(102、202)、検出可能な作用物質での細胞または分子の標識のスピードが改善されるように第1の検出可能な作用物質(または第1の複数の検出可能な作用物質、103、203参照)と接触している。あるいは、細胞を第1の検出可能な作用物質と接触させた後に(104、205)加熱することができる(105、206)。検出可能な作用物質はフルオロフォアを含んでよく、フルオロフォアは、例えば、ポリマードット、有機色素、またはタンパク質色素であってよい。一部の実施形態では、試料を冷却することができる(例えば、熱放射もしくは熱伝導によって、または冷蔵によって冷却させる、204、207)。次いで、検出可能な作用物質を、蛍光顕微鏡を使用して検出し(106、208)、その後、細胞または目的の分子に会合させた検出可能な作用物質に電圧または電場を印加することにより、5分未満で脱標識することができる(
図3~
図8のプロセスに記載されている通り)(302、405、505、605、705、805)。電圧または電場は、試料にわたって電位を生じさせるために使用することができる電源装置によって生成することができる(例えば、1cm離れており、試料が電極間に位置するように向き付けられた電極間で創出される8ボルトの電位、これは、試料を通じて800ボルト/メートルの電場を含み得る)。電源装置によって生成される電圧を使用して活性酸素種などの反応性化学種を生じさせることができ、これらを検出可能な作用物質と反応させて検出可能な作用物質からの蛍光シグナルをクエンチまたは除去することができる。
図4~
図8にさらに記載されている通り、次いで、1つの実験で分析される分子または試料の態様の総数を増加させると同時にそのようなプロセスが実施される脱染色のスピードおよびレベルを改善するために、追加的な検出可能な作用物質(例えば、第2の検出可能な作用物質、第3の検出可能な作用物質など)または追加的な複数の検出可能な作用物質(例えば、第2の複数の検出可能な作用物質、第3の複数の検出可能な作用物質など)を用いて標識、検出、および脱標識のプロセスを1回、2回、3回、4回、5回、またはそれよりも多く繰り返すことができる。細胞または分子の超高速サイクリック標識および脱標識のプロセスは、本明細書に記載のシステムによって実行することができ、したがって、繰り返し可能な高速マルチプレックス能細胞および分子標識および脱標識のためのプラットフォームがもたらされる。
【0092】
標識の方法
細胞または目的の分子の様相を同定する、数量化する、またはモニターするために、細胞または目的の分子を、検出可能な作用物質または複数の検出可能な作用物質で標識することができる。細胞または分子の標識は、特定の細胞または分子に検出可能な作用物質または複数の検出可能な作用物質を会合させることを含み得、このプロセスには、いくつかの因子が影響を及ぼし得る。細胞または分子の標識に影響を及ぼし得る側面の非限定的な一覧としては、検出可能な作用物質が細胞または分子との接触下に置かれる時間、細胞または分子を標識するために使用される検出可能な作用物質の濃度、検出可能な作用物質に接触させるプロセス中の細胞または分子の温度、検出可能な作用物質の選択、細胞または分子と検出可能な作用物質を接触させる方法、細胞または分子が固定されているか固定されていないか、細胞または分子が基板上に接着しているか、吸着しているか、または別のやり方で固定化されているか、細胞周囲の流体が細胞に対して移動するか、および標識プロセスのステップ間に細胞または分子を洗浄するかどうかが挙げられる。本明細書に開示される方法は、著しく強力な標識を生じさせる標識プロセスのある特定の態様の条件を含み得る(例えば、標準の標識プロトコールと比較して高強度の検出可能な作用物質シグナル、一方で
図17A~17Dに示されている通り標的化される細胞または分子に対する特異性は保持され、一方で、細胞または分子を検出可能な作用物質と接触させる必要がある期間が驚くほど短い。
【0093】
図9A~9Gは、検出可能な作用物質濃度の上昇と細胞標識の温度の上昇の相加効果を示す。5分間の標識後の標識の程度(例えば、検出可能な作用物質シグナルの強度)は、温度を室温(およそ24摂氏温度、
図9A;挿入図は、細胞の存在を図示するための後処理による画像獲得の増大を表す)から37摂氏温度(
図9D;挿入図は、細胞の存在を図示するための後処理による画像獲得の増大を表す)に上昇させると増大した。5分後の標識の程度は、検出可能な作用物質の濃度を室温で10倍に上昇させるとさらに増大した(10×C、
図9E)。5分後の標識の程度は、温度を37摂氏温度(℃)に上昇させ、同時に濃度を通常の標識濃度の10倍に上昇させると、全ての条件よりも有意に改善した(図、
図9Fの「10×C」)。37℃および検出可能な作用物質濃度10倍の条件下での5分後の検出可能なシグナルの量は、細胞または目的の分子を、室温および通常の標識濃度で検出可能な作用物質を用いて標識した場合の標識の程度よりも、これが60分後(
図9B)および120分後(
図9C)のものであっても、大きく、これは、温度の上昇と検出可能な作用物質濃度の上昇の組合せにより、標識の定常状態のレベルに達するために必要なベースライン標識条件(例えば、検出可能な作用物質の通常の標識濃度である室温)よりも短い時間で標識の効率が著しく上昇することを意味する。
図9Gは、最大の細胞標識(例えば、室温で60分後に実現される検出可能な作用物質シグナルの飽和度または標識強度)を、超高速標識条件(例えば、37℃および10倍の検出可能な作用物質シグナル)の下では5分で実現することができることを示す。
【0094】
細胞または分子を別の分子(例えば、検出可能な作用物質)または基板と一時的にまたは永久的に、例えば、優先的局在化または化学結合を通じて会合していてもよい。分子の会合は、生物学的プロセスの一部として、または、分子をその分子に特異的な蛍光標識されたアフィニティータグと接触させることなど、本明細書に開示される方法の一部として生じさせることができる。あるいは、細胞は、基板に接着している場合または基板に意図的に持続的に接触させられている場合(例えば、細胞が基板と接触し続けるように、流体圧力などの力が適用されている場合)、基板に会合させたと言うことができる。
【0095】
アフィニティータグは、別の分子との特異的な会合を形成するために使用される分子である。アフィニティータグは、アプタマー、抗体、または核酸であってよく、フルオロフォアなどの検出可能な作用物質と会合させることができる。一部の実施形態では、アフィニティータグは、検出可能な作用物質と共有結合によって会合させることができる。アプタマーは、オリゴヌクレオチドであってもペプチド分子であってもよく、天然に存在するものであっても人工的に工学的作製されたものであってもよく、また、目的の分子を特異的に標的化するために使用することができる。一部の場合では、アプタマーにより、それが使用されるシステムにおける免疫応答が限定される可能性がある。抗体は、軽鎖および重鎖を含むポリペプチドであってよく、重鎖および軽鎖は可変領域を含んでよい。抗体の各可変領域は、抗体が特異的に会合する分子を決定し得る3つの相補性決定領域(CDR)を含んでよい。核酸は、リボ核酸を含んでもよく、デオキシリボ核酸を含んでもよく、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)において見られるように目的の分子とハイブリダイズすることができる。したがって、核酸アフィニティータグを使用して、本明細書に開示される方法およびシステムにおいて使用される細胞においてmRNAまたはDNAをプローブすることができる。アフィニティータグを使用して、細胞または分子をその検出前に単離することができる。例えば、蛍光アフィニティータグを、細胞または目的の分子をその検出前に選別するための基礎として使用することができる。
【0096】
本明細書に記載の標識の方法(例えば、染色)は、細胞または分子を標識する標準の方法を組み入れることもでき、標準の標識手順の代わりに使用することもできる。通例の標識手順(例えば、標準の標識手順)は、一般に室温(室温は、約20℃以上かつ約25℃以下の範囲内の任意の温度であり得る)またはより低い温度で、検出可能な作用物質をその検出可能な作用物質および検出モダリティに対して製造者により推奨される希釈範囲内の濃度で使用して、少なくとも30分、さらには24時間もの長い期間にわたって実施される。接着培養物中の生細胞および生細胞と会合する分子は、検出可能な作用物質を用いて、室温で60~120分の期間にわたって頻繁に染色される。固定された細胞およびそれらに会合する分子を、一般に、検出可能な作用物質と接触させて、検出可能な作用物質および意図される検出モダリティに対して製造者により推奨される希釈度、2~8摂氏温度(℃)の温度で終夜(例えば、12~24時間)インキュベートする。
【0097】
細胞または目的の分子と接触させる検出可能な作用物質の濃度を上昇させることにより、検出可能な作用物質のシグナルが増大することが予測されるが、一方で、検出可能な作用物質濃度の上昇により、検出可能な作用物質による望ましくない非特異的標識(例えば、特定の細胞または分子への検出可能な作用物質の特異的ターゲティングではなく、検出可能な作用物質と非標的化分子およびストイキオメトリーに基づく細胞の態様の会合)が増大し、それにより、検出可能な作用物質シグナルのあらゆる増大の有用性が低下することも予測されることが、当業者は理解しているものと予想される。さらに、検出可能な作用物質シグナルの増大によって評価される、検出可能な作用物質濃度の上昇に対する増加利益が、検出可能な作用物質濃度が徐々に上昇するごとに減少することも、当業者は理解しているものと予想される。
【0098】
したがって、本明細書に記載されている方法およびシステムを使用して生じる結果は、検出可能な作用物質の濃度の上昇に加えて、温度の上昇により、検出可能な作用物質の非特異的標識を有意に増加させることなく、試料標識のスピード(例えば、従来の標識プロトコールを使用して実現される最大の標識の100%に達するのに必要な時間、
図9Gを参照されたい)を有意に上昇させることができるという点で予想外である(例えば、
図17A~17Dを参照されたい)。
【0099】
試料(例えば、目的の分子または細胞)との接触に使用される検出可能な作用物質のレベルの上昇は、いくつものやり方で数量化することができる。商業的に得られる検出可能な作用物質に関して、超高速標識において使用される検出可能な作用物質の濃度は、供給者によって提案される最低質量、濃度または希釈度の少なくとも5倍(5×)、10倍(10×)、20倍(20×)、25倍(25×)、50倍(50×)、100倍(100×)、または1000倍(1000×)であってよい。一部の実施形態では、試料(例えば、細胞または目的の分子)と接触させる検出可能な作用物質の適量を記載するために検出可能な作用物質の絶対濃度を使用することができる。そのような状況では、検出可能な作用物質の濃度範囲は、例えば、0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、好ましくは0.05μg/ml~10μg/ml、またはなおより好ましくは0.1μg/ml~5μg/mlであってよい。
【0100】
検出可能な作用物質を試料に送達するために使用される検出可能な作用物質を含有する溶液の体積は、標識している間に使用される基板に依存し得る。一般に、検出可能な作用物質は、標識される試料の全ての部位に接触させるべきである。一部の実施形態では、基板は、マイクロ流体デバイスであり、わずか5μl、10μl、15μl、20μl、25μl、30μl、35μl、40μl、50μl、75μl、100μl、150μl、200μl、250μl、または300μlを使用して細胞を標識することができる。一部の実施形態では、基板は96ウェルプレートであり、わずか10μl、15μl、20μl、25μl、30μl、35μl、40μl、50μl、75μl、100μl、150μl、200μl、250μl、または300μlを使用して細胞を標識することができる。一部の実施形態では、基板は384ウェルプレートであり、わずか0.5μl、1μl、2μl、3μl、4μl、5μl、6μl、7μl、8μl、9μl、10μl、15μl、20μl、25μl、30μl、50μl、75μl、100μl、または150μlを使用して細胞を標識することができる。
【0101】
しかし、本開示の方法およびシステムは、細胞または分子の標識(例えば、検出可能な作用物質と、その検出可能な作用物質による細胞または分子の特異的標識に利用可能な部位の少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%の会合)を15分未満、10分未満、9分未満、8分未満、7分未満、6分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、または1分未満で実現することができるように、検出可能な作用物質を用いた細胞または目的の分子の標識の効率を改善するための手段を記載する。
【0102】
細胞は、複数の部位を含み得、これらの部位は、個々のアフィニティータグ(例えば、アプタマー、抗体、または核酸)に特異的であり得る。例えば、部位は、検出可能な作用物質と会合したアフィニティータグによって認識される分子であり得る。試料は、同じアフィニティータグによって認識される複数の部位または複数のアフィニティータグによって認識される複数の部位を含み得る。分子は、単一の型のアフィニティータグを会合させることができる複数の部位を含み得る、または複数の型のアフィニティータグを会合させることができる複数の部位を含み得る。一部の状況では、アフィニティータグに対して全部位が利用可能でない可能性がある(例えば、分子コンフォメーション、分子間相互作用、またはアフィニティータグがそうでなければ会合する部位と接触することが妨げられる他の状況の結果として)。したがって、アフィニティータグによって標識される部位の百分率の評価には、温度、時間、湿度、対流、pH、部位-アフィニティータグ相互作用の障害に関する分子コンフォメーションなどの関係する実験的考察を考慮に入れることができる。
【0103】
具体的には、細胞の温度を、0.25℃以下、0.5℃以下、0.75℃以下、1℃以下、2℃以下、3℃以下、4℃以下、または5℃以下の誤差で26℃以上、30℃以上、31℃以上、32℃以上、33℃以上、34℃以上、35℃以上、36℃以上、37℃以上、38℃以上、39℃以上、40℃以上、45℃以上、50℃以上、55℃以上、60℃以上、または70℃以上であるように保持または制御しながら、細胞または分子を、濃度を上昇させた検出可能な作用物質(製造者により推奨される濃度または希釈度の、例えば、1.5倍、2倍、5倍、7倍、10倍、15倍、20倍)に接触させて、検出可能な作用物質と、その検出可能な作用物質による細胞または分子の特異的標識に利用可能な部位の少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%の会合(例えば、標識の飽和度レベル)を15分未満、10分未満、9分未満、8分未満、7分未満、6分未満、または5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、1分未満で実現することができる。
【0104】
飽和度は、標識された細胞または分子の相対的な検出可能な作用物質シグナルの強度(例えば、標識されていない細胞または分子のシグナルと比べた、室温で飽和度に標識された細胞または分子のシグナルと比べた、または最大限に標識された細胞のシグナルと比べた)を指す場合もあり、アフィニティータグ(検出可能な作用物質に会合させることができる)を会合させることができる、アフィニティータグ(例えば、検出可能な作用物質と会合したアフィニティータグ)によって占められている部位の百分率を指す場合もある。それぞれの場合において、飽和度レベル(例えば、準定常状態最大)は、時間、検出可能な作用物質の濃度、および温度などの変数に応じて実現可能である。飽和度の程度または百分率(例えば、標識後または脱標識後の検出可能な作用物質または検出可能な作用物質シグナルの)の決定に関して、参照条件を使用することができる。例えば、100%飽和度は、20摂氏温度で2時間の標識後に検出可能な作用物質の数または検出可能な作用物質から検出されるシグナル(例えば、1秒当たりの光子の数)を表し得る。同様に、バックグラウンドシグナル(例えば、0%飽和度)は、基準点を使用することによって決定することができる。例えば、標識されていない試料から検出される検出可能な作用物質または検出可能な作用物質シグナルの量を飽和度の基準点として使用することができる。あるいは、対照条件(例えば、アイソタイプ対照、該特定のバイオマーカーを発現しない細胞、フルオロフォアとコンジュゲートした二次抗体を伴わない一次抗体など)または特定の空間領域(例えば、視野内の染色されなかった領域)をバックグラウンド飽和度の基準点として使用することができる。一部の実施形態では、飽和度または検出可能な作用物質シグナル強度の基準点を使用して対照試料または実験試料からの結果を正規化することができる。
【0105】
上記の通り、細胞または分子を標識するための本明細書に開示される方法は、透過処理剤の使用(例えば、Triton X-100、Tween-20、またはサポニンなどの界面活性剤を含む溶液の使用)、遮断剤(例えば、ウシ血清アルブミン、カゼイン、乳、またはウシ胎仔血清、ウサギ血清、ウマ血清、ヤギ血清、ロバ血清、ラット血清、マウス血清、イヌ血清、ブタ血清、サル血清、ニワトリ血清を含めた動物血清の0.1%、0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、または20%溶液、およびBlockAid(商標)のような市販の遮断剤)の使用、指示色素(例えば、フェノールレッド)を伴うまたは伴わない緩衝剤(例えば、塩またはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、クエン酸、ホウ酸、リン酸、酢酸、硫酸、トリス、および炭酸水素のようなイオン、ならびにリン酸緩衝生理食塩水、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、HEPES、ハンクス緩衝生理食塩水、アール平衡塩類溶液のようなリン酸緩衝溶液、ならびにダルベッコ改変イーグル培地、イーグル最小必須培地、RPMI1640を含めた培養培地)の使用、EDTAまたはヘパリンなどのキレート剤、ならびに抗生物質および殺菌剤(例えば、ストレプトマイシン、ペニシリン、アンホテリシンBなど)の使用、L-グルタミン、アルブミン、アジ化ナトリウム、尿素、およびドデシル硫酸ナトリウムのような他の一般的な標識様溶液添加剤の使用などの、標準化された染色または標識プロトコールの態様を含み得る。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、細胞もしくは分子の洗浄または抗原回復の実施を含んでよいが、これらの追加により、完全な細胞または分子の標識に必要な時間が増大する可能性がある。
【0106】
細胞を、検出可能な作用物質で標識した後、検出可能な作用物質を検出することができる。ある特定の状況では、標識の方法を1回よりも多く連続して実施する必要があり得る。例えば、間接免疫蛍光法を使用する場合または2つの異なる分子を試料に会合させることができる場合(例えば、検出可能な作用物質に連結されている抗体、アプタマー、または核酸)または試料に会合させることができる2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、もしくは8つの複数の異なる型の分子が不適合性の標識用溶液の使用を必要とするものである場合、検出前に標識手順を複数回実施することができる。
【0107】
検出可能な作用物質
検出可能な作用物質は、細胞、細胞の様相、または別の分子を同定するために使用することができる分子または分子の群であってよい。検出可能な作用物質を使用して、細胞または目的の分子などの細胞の一部を標識する(例えば、それと会合させる)ことができる。検出可能な作用物質は、刺激されるとシグナル(例えば、フルオロフォア)を生じる分子、色素、タンパク質、ポリマー、もしくはナノ粒子、または刺激下でバックグラウンドシグナル(例えば、自己蛍光分子)を生じる分子および色素を含んでよい。検出可能な作用物質は、細胞もしくは目的の分子または細胞もしくは目的の分子上の部位に特異的に会合させる手段(例えば、抗体、アプタマー、または核酸)と会合させることができる。
【0108】
検出可能な作用物質を、特定の分子、分子の凝集体、または細胞構造を標識するために使用することができる。そのように、検出可能な作用物質を、目的の分子または細胞構造とハイブリダイズさせること、結合させること、または他のやり方で会合させることができるアプタマー、抗体、または核酸(例えば、DNAもしくはRNA)およびタンパク質などのアフィニティータグに会合させる(例えば、共有結合させる)ことができる。アフィニティータグ(例えば、アプタマー、抗体、または核酸)を細胞または分子標的(例えば、以下に列挙されているものを含めた目的の分子)に特異的にターゲティングすることができる。検出可能な作用物質を、細胞または目的の分子に会合させることができるアフィニティータグに直接会合させる(例えば、直接コンジュゲートする)こともでき、間接免疫蛍光法において見られるように、別の分子に特異的に会合させることができる分子(アフィニティータグなど)に会合させることもでき、その別の分子を今度は細胞または目的の分子に特異的に会合させることができる。
【0109】
アプタマーは、DNA、RNA、または修飾されたDNAまたはRNAを含み得、フルオロフォアなどの検出可能な作用物質を特異的な標的分子(例えば、細胞上または細胞内にある)にターゲティングするために使用することができる。アプタマーを酵素によって切断し、したがって、検出可能な作用物質を結合した標的分子から放出させることができる。
【0110】
抗体は、重鎖および軽鎖を有するタンパク質を含んでよく、フルオロフォアなどの検出可能な作用物質に直接結合させることもでき、検出可能な作用物質にリンカー分子などの中間部分を通じて結合させることもできる。同様に、抗体(例えば、一次抗体)を別の抗体(例えば、二次抗体)により特異的に認識させることもできる。一次抗体がビオチンなどのアフィニティータグを含む場合、アビジンまたはストレプトアビジン分子と会合させた検出可能な作用物質を一次抗体と間接的に会合させることができる。アビジンおよびストレプトアビジン分子は最大4つのビオチン分子と結合することができるので、ビオチン化抗体(例えば、目的の分子に特異的なビオチン化抗体)を目的の分子およびビオチン化した検出可能な作用物質とアビジンまたはストレプトアビジン分子の存在下で接触させることにより、分子と会合した検出可能な作用物質の数を増加させることができる。あるいは、検出可能な作用物質(例えば、フルオロフォア)に直接会合させたアビジンまたはストレプトアビジン分子も同様に使用することができる。例えば一次抗体-二次抗体戦略、ビオチン-ストレプトアビジン戦略などの手法を使用することにより、試料からの累積的な検出可能な作用物質シグナルを増幅すること、および標識戦略のカスタマイズを改善することが可能である。
【0111】
あるいは、検出可能な作用物質を、細胞内で発現するまたは細胞に導入される融合タンパク質の形態でタンパク質と会合させることができる。検出可能な作用物質(例えば、フルオロフォア)と融合タンパク質を形成するタンパク質が目的の分子である場合、検出可能な作用物質は目的の分子の一部であってよい。
【0112】
検出可能な作用物質は、蛍光イメージング方法体系によって検出可能であり得る作用物質であってよい。そのように、検出可能な作用物質は、フルオロフォアを含み得る。蛍光により検出可能な作用物質は、発現分子(例えば、蛍光タンパク質)であってもよく、合成構築物(例えば、色素または蛍光ナノ粒子)であってもよい。検出可能な作用物質は、量子ドット、ポリマードット、または同様の蛍光ナノ粒子を含み得る。蛍光により検出可能な作用物質は、小分子(例えば、色素)または蛍光タンパク質であってよい。
【0113】
蛍光により検出可能な作用物質は、巨大分子と会合させることができる。したがって、標識された目的の分子は、蛍光標識されたポリペプチド(例えば、標識されたタンパク質および/またはタンパク質断片)、蛍光標識された核酸分子、蛍光標識された炭水化物、蛍光標識された脂質、蛍光標識された大環状分子、蛍光標識されたポリフェノール、および/または蛍光標識された内在性巨大分子複合体(例えば、一次抗体-二次抗体複合体)を含み得る。
【0114】
検出可能な作用物質は、発色団ポリマードット(例えば、ポリマードット)を含み得る。ポリマードットは、半導性、非半導性またはこれらの組合せであってよく、視覚スペクトル全体を含む、紫外から赤外にわたる波長を有するシグナルを放出するように開発することができる。ポリマードットの合成は、ホウ素-ジピロメテン(4,4-ジフルオロ-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン(diaza-sindacene)、BODIPY)またはその誘導体などの幅の狭い帯放射ポリマードットを含み得る。ポリマードットは、ポリマードットの表面の一部として官能基(例えば、疎水基または親水基)を含めることによって化学的に官能性をもたせることができる。ポリマードットをフルオロフォア(例えば、検出可能な作用物質)として使用することができ、したがって、ポリマードットを生体分子にポリマードット上の官能基を通じて(例えば、クリックケミストリーを使用することによって)バイオコンジュゲートまたは連結または架橋結合させることができる。ポリマードットを、抗体、アプタマー、核酸、または他のアフィニティータグまたはリンカーとコンジュゲートすることができ、今度はこれが、生体分子など(例えば、合成または天然に存在するタンパク質、糖タンパク質、ペプチド、アミノ酸、代謝産物、薬物、毒素、核酸、ヌクレオチド、炭水化物、糖、脂質、脂肪酸など)の分子に向けられ得る。ポリマードットは、限界寸法(例えば、ナノ粒子の半径または直径)が50nmまたはそれ未満、30nmまたはそれ未満、25nmまたはそれ未満、20nmまたはそれ未満、15nmまたはそれ未満、10nmまたはそれ未満、または5nmまたはそれ未満であるナノ粒子であってよい。
【0115】
ポリマードットを含む検出可能な作用物質の脱標識の方法は、Black Hole Quencherなどの蛍光クエンチャーの使用を含み得る。ポリマードットを含む検出可能な作用物質の脱標識の方法はまた、印加電圧、または印加電圧と蛍光クエンチャーの組合せの使用も含み得る。
【0116】
蛍光により検出可能な作用物質としては、キサンテン、シアニン、スクアライン、ナフタレン、クマリン、オキサジアゾール、アントラセン、ピレン、オキサジン、アクリジン、アリールメチン、およびテトラピロールの誘導体などの非タンパク質有機フルオロフォアを挙げることができる。蛍光により検出可能な作用物質としては、ローダミン、エオシン、ロドール(rhodol)、フルオレセイン、チオフルオレセイン、アミノフルオレセイン、カルボキシフルオレセイン、クロロフルオレセイン、メチルフルオレセイン、スルホフルオレセイン、アミノロドール、カルボキシロドール、クロロロドール、メチルロドール、スルホロドール;アミノローダミン、カルボキシローダミン、クロロローダミン、メチルローダミン、スルホローダミン、チオローダミン、シアニン、インドカルボシアニン、オキサカルボシアニン、チアカルボシアニン、メロシアニン、シアニン2、シアニン3、シアニン3.5、シアニン5、シアニン5.5、シアニン7および他のシアニン誘導体(例えば、PE-Cy5.5、PE-Cy7、APC-Cy7など)、ペリジニンおよびその誘導体(例えば、PerCP、PerCP5.5)、オキサジアゾール誘導体、ピリジルオキサゾール、ニトロベンゾオキサジアゾール、ベンズオキサジアゾール、ピレン誘導体、カスケードブルー、オキサジン誘導体、ナイルレッド、ナイルブルー、クレシルバイオレット、オキサジン170、アクリジン誘導体、プロフラビン、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー、アリールメチン誘導体、オーラミン、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン、テトラピロール誘導体、ポルフィン、フタロシアニン、ビリルビン1-ジメチルアミノナフチル-5-スルホン酸、1-アニリノ-8-ナフタレンスルホン酸、2-p-トルイジニル(touidinyl)-6-ナフタレンスルホン酸、3-フェニル-7-イソシアナトクマリン、N-(p-(2-ベンゾオキサゾリル)フェニル)マレイミド、スチルベン、ピレン、6-FAM(フルオレセイン)、6-FAM(NHSエステル)、5(6)-FAM、5-FAM、フルオレセインdT、5-TAMRA-カダベリン(cadavarine)、2-アミノアクリドン、HEX、JOE(NHS Ester)、MAX、TET、ROX、TAMRA、TARMA(商標)(NHS Ester)、TEX 615、ATTO(商標)488、ATTO(商標)532、ATTO(商標)550、ATTO(商標)565、ATTO(商標)Rho101、ATTO(商標)590、ATTO(商標)633、ATTO(商標)647N、ATTO色素の他の誘導体、TYE(商標)563、TYE(商標)665、またはTYE(商標)705、Q570、ホウ素ジピロメテン(BODIPY)色素(BODIPY FL C5、BODIPY FL C5、BOPIDY R6G、BODIPY TMR、BODIPY TR、BODIPY 493/503、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、およびBODIPY 650/655など)、CF610、ヨウ化プロピジウム、Q670、インドシアニングリーン、パシフィックブルー色素、パシフィックグリーン色素、パシフィックオレンジ色素、Hoeschst染色またはその任意の誘導体を挙げることができる。
【0117】
一部の実施形態では、フルオロフォアは、350nmから1500nmの間の波長で電磁放射線を放出する蛍光剤であり、そのような放出はそのような作用物質を検出するために使用されている。分子、抗体タグ、遺伝子によりコードされる融合タンパク質、または遺伝子によりコードされる蛍光タンパク質を標識する、例えばそれとコンジュゲートするために使用することができる蛍光色素の非限定的な例としては、蛍光タンパク質およびその任意の誘導体(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(eGFP)、RoGFP、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、クローバー、黄色蛍光タンパク質(YFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP))、Discosoma sp.赤色蛍光タンパク質(dsRed)、synapto-pHluorin、およびmアイソフォームタンパク質およびその任意の誘導体(例えば、mCherry、mStrawberry、mKate2、mEmerald、およびmNeonGreenなど)を挙げることができる。同様に、Hoeschst染色などの色素およびその任意の誘導体を使用して細胞および目的の分子を標識することができる。一部の態様では、近赤外色素は、多くの場合、シアニン色素を含む。本開示においてコンジュゲート分子として使用するための蛍光標識の追加的な非限定的な例としては、アクリジンオレンジまたはアクリジンイエロー、Alexa Fluorsおよびその任意の誘導体、7-アクチノマイシンD、8-アニリノナフタレン-1-スルホン酸、オーラミン-ローダミン染色およびその任意の誘導体、ベンズアントロン(bensantrhone)、ビマン、9-10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、5,12-ビス(フェニルエチニル)ナフタセン(naththacene)、ビスベンズイミド、brainbow、カルセイン、カルボキシフルオレセイン(carbodyfluorescein)およびその任意の誘導体、1-クロロ-9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセンおよびその任意の誘導体、ヘプタメチン(hetamethine)色素およびその任意の誘導体、DiOC6、DyLight Fluorsおよびその任意の誘導体、VivoTagおよびその任意の誘導体、ZQ800、インドシアニングリーン(ICG)、エピココノン(epicocconone)、臭化エチジウム、FlAsH-EDT2、Fluo色素およびその任意の誘導体、FluoProbeおよびその任意の誘導体、フルオレセインおよびその任意の誘導体、Furaおよびその任意の誘導体、GelGreenおよびその任意の誘導体、GelRedおよびその任意の誘導体、イミノクマリン、インディアンイエロー、indo-1およびその任意の誘導体、ラウルダン、メロシアニン(mercocyanine)およびその任意の誘導体、ナイル色素およびその任意の誘導体、ペリレン、フロキシン、フィコ色素およびその任意の誘導体、ヨウ化プロピジウム、ピラニン、ローダミンおよびその任意の誘導体、リボグリーン、ルブレン、スチルベンおよびその任意の誘導体、スルホローダミンおよびその任意の誘導体、SYBRおよびその任意の誘導体、テトラフェニルブタジエン、テトラナトリウムトリス、テキサスレッド、チタンイエロー、TSQ、ウンベリフェロン、ビオラントロン、YOYO-1、TOTOおよびその任意の誘導体、親油性の色素(例えば、3,3’-ジオクタデシルオキサカルボンシアニン過塩素酸)、および蛍光ポリマードットおよび量子ドットが挙げられる。他の適切な蛍光標識としては、これだけに限定されないが、テトラメチルローダミン(tetramethyrhodamine)(TRITC)、フルオレセインおよびフルオレセイン色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocyanine)またはFITC、ナフトフルオレセイン、4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン、6-カルボキシフルオレセインまたはFAMなど)、カルセイン、7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)、カルボシアニン、メロシアニン、スチリル色素、オキソノール色素、フィコエリトリンおよびその任意の誘導体、エリスロシン、エオシン、アロフィコシアニン(APC)およびその任意の誘導体、ローダミン色素(例えば、カルボキシテトラメチルローダミンまたはTAMRA、カルボキシローダミン6G、カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、リサミンローダミンB、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミン(TMR)など)、クマリンおよびクマリン色素(例えば、メトキシクマリン、ジアルキルアミノクマリン、ヒドロキシクマリン、アミノメチルクマリン(AMCA)など)、オレゴングリーン色素(例えば、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514など)、テキサスレッド、テキサスレッド-X、スペクトラムレッド、スペクトラムグリーン、ALEXA FLUOR(商標)色素およびそれらの誘導体(例えば、ALEXA FLUOR 350、ALEXA FLUOR 488、ALEXA FLUOR 532、ALEXA FLUOR 546、ALEXA FLUOR 568、ALEXA FLUOR 594、ALEXA FLUOR 633、ALEXA FLUOR 660、ALEXA FLUOR 680など)、IRDye(例えば、IRD40、IRD 700、IRD 800など)などが挙げられる。
【0118】
一部の実施形態では、二次標識または精製のための検出可能な標識および親和性ハンドルのどちらとしても作用し得るビオチンコンジュゲートを使用することができる。市販の蛍光ビオチンコンジュゲートの非限定的な例としては、Atto 425-ビオチン、Atto 488-ビオチン、Atto 520-ビオチン、Atto-550ビオチン、Atto 565-ビオチン、Atto 590-ビオチン、Atto 610-ビオチン、Atto 620-ビオチン、Atto 655-ビオチン、Atto 680-ビオチン、Atto 700-ビオチン、Atto 725-ビオチン、Atto 740-ビオチン、フルオレセインビオチン、ビオチン-4-フルオレセイン、ビオチン-(5-フルオレセイン)コンジュゲート、およびビオチン-B-フィコエリトリン、Alexa Fluor 488ビオシチン、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 549、ルシファーイエロー、カダベリン、ビオチン-Xカダベリン、ルシファーイエロービオシチン、オレゴングリーン488ビオシチン、ビオチン-ローダミンおよびテトラメチルローダミンビオシチンが挙げられる。一部の他の例では、コンジュゲートは、化学発光化合物、コロイド金属、発光化合物、酵素、放射性同位元素、および常磁性標識を含み得る。
【0119】
核酸配列からの検出可能な作用物質の発現を伴う一部の実施形態では、検出可能な作用物質(例えば、標識)は、標識がRNAから翻訳される1つもしくは複数のタンパク質と、または、DNA、もしくはcDNAから転写され、次いでmRNAから翻訳される1つもしくは複数のタンパク質と物理的に接続している融合タンパク質の形態をとってもよく、細胞においてRNA、DNA、またはcDNAから別の遺伝子もしくは遺伝子セグメント(例えば、2Aスキップ配列で分離された)と併せてまたはそれ自体で生じ、創出された直後には別のタンパク質と物理的に接続していない、別々のタンパク質の形態をとってもよい。
【0120】
一部の実施形態では、標識されたタンパク質を細胞小器官または他の細胞構造もしくは分子複合体の構造に組み入れ、したがって、その細胞小器官、構造、または複合体を特異的に標識することができる。他の実施形態では、標識されたタンパク質は、いかなる細胞小器官、構造、または複合体にも永久的には組み入れられないが、1つまたは複数の細胞小器官、構造、または複合体を伴う定性分析または定量分析のためにこれらの細胞小器官、構造、または複合体に会合させるまたは他のやり方で一時的に組み入れることができる。他の実施形態では、目的のタンパク質と同じ転写または翻訳事象中に生じた遊離の標識を、経路活性の存在または程度を評価するために定量的にまたは定性的に評価することができる。
【0121】
目的の分子
目的の分子は、例えば、目的の分子を、検出可能な作用物質で標識することによって検出される試料中の分子であり得る。細胞は、目的の分子または複数の目的の分子を含み得る。目的の分子は、結合していない分子または基板または細胞構造に会合した分子を含み得る。
【0122】
目的の分子は、細胞内に含有される分子の場合もあり、細胞の表面に会合している場合もあり、細胞から分泌され、基板上に捕捉された分子の場合もある。目的の分子は、ペプチド、機能性タンパク質、非機能性タンパク質、脂質、抗体、サイトカイン、有機または無機化合物、または核酸を含み得る。核酸は、DNAまたはRNAまたは核酸複合体(例えば、二本鎖DNA、DNA/RNAハイブリッド、タンパク質/DNA複合体、およびタンパク質/RNA複合体)を含み得る。核酸はまた、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、snoRNA、マイクロRNA、siRNA、snRNA、exRNA、piRNA、およびscaRNAなどの非コードRNAも含み得る。
【0123】
目的の分子は、調査される細胞を含めた細胞によって産生されるもの(例えば、免疫細胞によって産生されるタンパク質)の場合もあり、人工的に創出された分子または人工的に創出された分子の産物の場合もある。例えば、目的の分子は、合成オリゴヌクレオチドまたは核酸プラスミドであり得る。目的の分子(および、ある特定の実施形態では、検出可能な作用物質)は、核酸プラスミドから生じ得る。一部の場合では、目的の分子を単離し、本明細書に記載の方法およびシステムにおいて使用することができる。そのようなある実施形態の非限定的な例は、ミオシン分子の芝生を基板に固定化し、一方で蛍光タグを付したアクチンフィラメント分子をミオシン分子の上を移動できるようにする運動性実験であり得る。
【0124】
分子を、検出可能な作用物質で標識することにより、目的の分子(単数または複数)の数量化または定性分析の手段をもたらすことができる。目的の分子の検出および/または分析(例えば、目的の分子を標識するために使用された検出可能な作用物質を通じた)を実施して、分子濃度、分子の持続性、分子の空間局在化、分子の共局在または凝集、分子の代謝、分子の結合または阻害、分子の修飾(例えば、リン酸化、脱リン酸化、ユビキチン化、SUMO化、糖化、アルキル化、アミド化、脱アミド、グリコシル化、酸化、エステル化、メチル化など)、分子の発現または産生レベル、分子の切断または代謝、およびそのようなパラメータの経時的なおよび/または他の分子に関しての変化を含めた複数の実験的パラメータまたは臨床的パラメータを決定することができる。
【0125】
検出可能な作用物質で標識することができる目的の分子の非限定的な一覧(例えば、蛍光により検出可能な作用物質とコンジュゲートした抗体)としては、4-1BBリガンド(CD137L)、CD221(IGF-1R)、Aiolos、CD223(LAG-3)、抗His Tag、CD226(DNAM-1)、アルギナーゼI、CD227(MUC-1)、BrdU、CD228(MFI2、MTF1)、CD1a(T6)、CD229(Ly-9)、CD1b、CD231(TALLA)、CD1c、CD235a(グリコホリンA)、CD1d、CD235ab(グリコホリンA/B)、CD2(LFA-2)、CD243(ABCB1)、CD3(T3)、CD243(MDR-1)、CD3ε、CD244(2B4)、CD4(T4、L3T4)、CD252(OX-40L、CD134L)、CD5、CD253(TRAIL)、CD6(T12)、CD255(TWEAK)、CD7(gp40)、CD257(BAFF、BLYS)、CD8a(T8、Leu2)、CD258(LIGHT)、CD9(テトラスパニン)、CD261(DR4、TRAIL-R1)、CD10(CALLA)、CD262(DR5、TRAIL-R2)、CD11a(インテグリンαL)、CD263(DcR1、TRAIL-R3)、CD11b(インテグリンαM)、CD266(Fn14/TWEAK受容体)、CD11c、CD267(TACI)、CD11c(インテグリンαX)、CD268(BAFFR、BAFF-R)、CD13(gp150、APN)、CD269(BCMA)、CD14、CD271(NGFR)、CD15(Lewis X)、CD272(BTLA)、CD16(FCγRIII)、CD273(B7-DC、PD-L2)、CD18、CD274(B7-H1、PD-L1)、CD18(インテグリンβ2)、CD275(ICOSL、B7H2、B7-H2)、CD19(B4)、CD275(B7-H2、B7-RP1、ICOSL)、CD20(Bp35、B1)、CD276(B7-H3)、CD21(CR2、C3dR)、CD277、CD22(Siglec-2)、CD278(ICOS)、CD23、CD279(PD-1)、CD24(熱安定性抗原)、CD281(TLR1)、CD25(IL-2Rα)、CD282(TLR2)、CD26(DPP IV外酵素)、CD283(TLR3)、CD27(S152、T14)、CD284(TLR4)、CD28(T44、Tp44)、CD290(TLR10)、CD29(インテグリンβ1)、CD294(CRTH2)、CD30(Ki-1、Ber-H2)、CD286(TLR6)、CD31(PECAM-1)、CD300c、CD32(FCγRII)、CD298、CD33(Siglec-3)、CD300e(IREM-2、CMRF35-A5)、CD34、CD300F(IREM-1)、CD35、CD301(CLEC10A)、CD36(gpIIIb、gpIV)、CD303(BDCA-2)、CD36L1(SCARB1、SR-BI)、CD304(ニューロピリン-1)、CD37、CD305、CD38(T10)、CD307(FcRL5)、CD39(NTPDase-1)、CD309(VEGFR2)、CD40(BP50)、CD314(NKG2D)、CD40リガンド(CD154)、CD317(BST2、テザリン)、CD41/CD61、CD318(CDCP1)、CD41(gpIIb)、CD319(CRACC)、CD41b、CD321(F11R)、CD42b(gpIbα)、CD323(JAM3)、CD43(ロイコシアリン)、CD324(E-カドヘリン)、CD44(Hermes、Pgp-1)、CD325(N-カドヘリン)、CD45、CD326(Ep-CAM)、CD45(LCA、T200)、CD328(Siglec-7)、CD45R(B220)、CD334(FGFR4)、CD45RA、CD335(NKp46)、CD45RB、CD336(NKp44、NCR2)、CD45RO、CD337(NKp30、NCR3)、CD46、CD338(ABCG2)、CD47、CD340(erbB2/HER-2)、CD48(Blast-1)、CD344(Frizzled-4)、CD49a(α1インテグリン)、CD349(Frizzled-9)、CD49b(α2インテグリン)、CD351、CD49c(α3インテグリン)、CD357(GITR)、CD49d(α4インテグリン)、CD360(IL-21R)、CD49e、CD365(Tim-1)、CD49e(α5インテグリン)、CD366(Tim-3)、CD49f(α6インテグリン)、CD369(デクチン-1/CLEC7A)、CD50(ICAM-3)、CD370(CLEC9A/DNGR1)、CD51、CD371(CLEC12A)、CD51/61(α(V)/β(3)インテグリン)、β2-ミクログロブリン、CD52(CAMPATH-1)、4-1BB(CDw137)、CD53(OX44)、4-1BBL(CDw137L)、CD54、A2B5、CD55(崩壊促進因子)、APCDD1(DRAPC1)、CD56(NCAM)、B7-H2(ICOSL、B7H2、CD275)、CD57、B7-H4、CD58、Bcl-6、CD59(プロテクチン、H19)、BrdU(ブロモデオキシウリジン)、CD61(β3インテグリン)、カドヘリン11、CD62E(E-セレクチン)、C3AR、CD62L(L-セレクチン)、C5L2、CD62p(P-セレクチン)、CCL11、CD63、CCR8、CD64(FCγRI)、CCR10、CD66a/c/e、CLEC1B(CLEC2)、CD66b(CD67)、CLEC4A、CD68、CLEC4D、CD69(超初期活性化抗原)、CLEC5A、CD70、CRTAM、CD71(トランスフェリン受容体)、皮膚リンパ球関連抗原(CLA)、CD72(Lyb-2)、CCX-CKR(CCRL1)、CD73、CX3CR1、CD74(MIF受容体)、CXCL5、CD75(ラクトサミン、CDw75)、CXCL9(MIG)、CD77、CXCL16、CD79a、CXCR7、CD79b、DcR3(デコイ受容体3、TR6)、CD80(B7-1)、デルタオピオイド受容体、CD81(TAPA-1)、ドーパミン受容体D1(DRD1)、CD82、DR3(TRAMP)、CD83(HB15)、EGFR、CD84(Ly9b)、リン酸化EGFR(Tyr1068)、CD85a(ILT5)、EphA2、CD85d(ILT4)、erbB3/HER-3、CD85g(ILT7、ILT-7)、ERK1/2 Phospho(Thr202/Tyr204)、CD85h(ILT1)、FcεRIα、CD85j(ILT2)、FcRL4、CD85k(ILT3)、FcRL6、CD86(B7-2)、FOXP3(フォークヘッドボックスタンパク質P3)、CD87(uPA-R)、FPR3(FPRL2)、CD88(C5aR)、ガレクチン-3(Mac-2)、CD89、ガレクチン-9、CD90(Thy-1)、ガングリオシドGD2、CD92、GARP(LRRC32)、CD93、GFP、CD94(KP43)、GITR(TNFRSF18、AITR)、CD95(Fas、APO-1)、GL7、CD96(TACTILE)、GPR19、CD97、GPR56、CD98(4F2)、GPR83、CD99、GPR183(EBI2)、CD99(E2抗原)、グラニュライシン、CD99(ユーイング肉腫マーカー)、グランザイムA(CTLA-3)、CD100、グランザイムB、CD101、グランザイムK、CD102(ICAM-2)、HLA-A2、CD103(インテグリンαIEL)、HLA-A,B,C(MHCクラスI)、CD104(インテグリンβ4)、HLA-B7、CD105(エンドグリン)、HLA-DM、CD106(VCAM-1)、HLA-DQ、CD107a(LAMP-1)、HLA-DRB1、CD107b(LAMP-2)、HLA-DR、DP、CD108(H-SEMA、SEMAL)、HLA-DR、DP、DQ、CD109、HLA-DR(MHCクラスII)、CD111(ネクチン-1)、HLA-E、CD112(ネクチン-2)、HRF、CD114(G-CSFR)、HVEM(TR2)、CD116(GM-CSFRα)、IFN-γ R β鎖、CD117(c-kit)、Ig軽鎖κ、CD119(IFN-γRα)、Ig軽鎖λ、CD120b、IgD、CD122(IL-2Rβ)、IgE、CD123(IL-3Rα)、IgM、CD124(IL-4Rα)、イカロス、CD126(IL-6Rα)、IL-22、CD127(IL-7Rα)、インテグリンβ7、CD129(IL-9R)、IRF2、CD130(gp130)、KIR2DL2/L3(NKAT2)、CD131(IL-3R共通β)、KIR3DL1(NKB1)、CD132(共通γ鎖)、KLRG1(MAFA)、CD134(OX40)、LAMP5、CD135(Flt-3/Flk-2)、LAP(TGF-β1)、CDw137L(4-1BBL)、LOX-1、CD137(4-1BB)、リンホトキシンβ受容体(LT-βR)、CD138(シンデカン-1)、LY6G6D、CD140a(PDGF-Rα)、M-CSF、CD140b(PDGF-Rβ)、肥満細胞トリプターゼ、CD141(トロンボモジュリン)、MERTK、CD142、MICA/MICB、CD143(アンジオテンシン変換酵素)、MR1、CD144(VE-カドヘリン)、MRGX2、CD146、MRP1(ABCC1)、CD147(ニューロセリン)、MRP-14(S100A9)、CD148、MS4A4A、CD150(SLAM)、MUC-13、CD151(PETA-3)、Notch1、CD152(CTLA-4)、Notch2、CD154(CD40リガンド)、Notch4、CD155(PVR、NTAL(LAT2)、CD156c(ADAM10)、NTB-A(NTBA)、CD158、PCNA(増殖している細胞核抗原)、CD158b(KIR2DL2/L3、NKAT2)、パーフォリン、CD158e1(KIR3DL1、NKB1)、ホスホチロシン、CD158f(KIR2DL5)、PNAd、CD160、ポドプラニン、CD161、ROR1、CD162、S100A4、CD163、SCIMP、CD164(MUC-24、MGC-24)、SEMA4A、CD166、シアリルルイスX(二量体)、CD167a(DDR1)、Siglec-9、CD169(シアロアドヘシン、Siglec-1)、SIT、CD170(Siglec-5)、SSEA-1、CD171、SSEA-3、CD172a(SIRPα)、SSEA-4、CD172b(SIRPβ)、SSEA-5、CD172a/b(SIRPα/β)、STAT2、CD172g(SIRPγ)、STRO-1、CD177(NB1)、T-bet、CD178(FasL/CD95L)、TACSTD2(TROP2)、CD179b(Ig λ5)、TCL1、CD180(RP105)、TCR Vα7.2、CD181(CXCR1)、TCR Vα24、CD182(CXCR2)、TCR Vα24-Jα18(iNKT細胞)、CD183(CXCR3)、TCR Vβ1、CD184(CXCR4、フーシン)、TCR Vβ5、CD185(CXCR5)、TCR Vβ5関連、CD186(CXCR6)、TCR Vβ7.1、CD191(CCR1)、TCR Vβ8、CD192(CCR2)、TCR Vβ13.1、CD193(CCR3)、TCR Vδ2、CD194(CCR4)、TICAM-1(TRIF)、CD195(CCR5)、TIGIT(VSTM3)、CD195(CCR5)リン酸化(Ser349)、Tim-4、CD196(CCR6)、TLT-2、CD197(CCR7)、TM4SF20、CD199(CCR9)、TMEM8A、CD2
00(OX2)、TSPAN33、CD200受容体、TRA-1-60-R、CD201(EPCR)、TRA-1-81、CD202b(Tie2/TEK)、TRA-2-49、CD203c(E-NPP3)、TRA-2-54/2J、CD204、TREM-1、CD206(MMR)、TSLPR(TSLP-R)、CD207(ランゲリン)、TSPAN8、CD209(DC-SIGN)、TWEAK(Apo-3リガンド、DR3-L)、CD210(IL-10R)、uPA(PLAU)、CD213α1(IL-13Rα1)、VEGF-165、CD213a2(IL13Rα2)、VEGFR-3(FLT-4)、CD217、Veri-Cells(商標)CD4-Low PBMC、CD217(IL-17AR)、Veri-Cells(商標)PBMC、CD218a(IL-18Rα)、ZAP-70、CD220が挙げられる。
【0126】
一部の観点では、分子を標識することは、その分子を検出することによりそれが含有されるまたはそれが付随する細胞に関する情報をもたらすことができるので、細胞を標識することであるとみなすことができる。例えば、細胞の動きを追跡するため、細胞の表現型を評価するため、細胞の増殖速度または当業者に明らかになる広範囲の他の生物学的メトリクスを数量化するために、所与のタンパク質を同定するために使用される検出可能な作用物質を使用することができる。
細胞および細胞改変
【0127】
細胞を本開示の方法およびシステムにおいて使用することができ、細胞は、真核細胞であっても原核細胞であってもよく、また、任意の種に由来するものであってよい。本開示の方法およびシステムを使用して細胞を標識し、検出し、脱標識し、刺激し、固定し、透過処理し、ゲルに架橋結合させ、次いで、洗浄し、かつ/または溶解させることができる。細胞は、任意の表現型または遺伝子型の初代細胞、不死化細胞、または工学的に作製された細胞であってよい。例えば、細胞は、患者に由来するもの(例えば、白血球)であってもよく、人工多能性幹細胞株などの幹細胞株を含む樹立細胞系に由来するものであってもよい。本明細書に記載の方法およびシステムにおいて使用される細胞の遺伝子型および/または表現型は、異常な状態を表すものであってよく、その理由で選択することができる。開示されている方法およびシステムにおいて使用される細胞は、患者由来の細胞または幹細胞から分化させた細胞などの樹立細胞系に由来する細胞であってもよい。開示されている方法およびシステムにおいて使用される細胞はまた、複数の細胞(例えば、培養物または生体組織中の2つまたはそれよりも多くの個々の細胞)も含み得る。
【0128】
本明細書に記載の方法およびシステムにおいて使用される細胞は、基板上で(基板のウェル中または基板が平面の場合にはその表面上のいずれかで)直接培養することができる。本明細書に記載の方法およびシステムにおいて使用される細胞は、分析のために基板に固定化するまたは他のやり方で会合させることができる(基板のウェル中または基板が平面の場合にはその表面上のいずれかで)。細胞は、基板上に、基板上で空間的に規則正しくなるように位置させることもでき(例えば、例えばマトリックスタンパク質または分子を基板の特定の区画上に置くことによって成長させることができる周期的アレイ)、例えば、各細胞を粘着性パッチ(例えば、1つもしくは複数のマトリックスタンパク質もしくは分子でコーティングされた基板のパッチもしくは領域、または血漿処理された基板のパッチもしくは領域、または細胞または分子の接着が強化または促進されるように他のやり方で処理された基板のパッチもしくは領域)に付着させることによって、または、各細胞をパッチまたはウェルのアレイのウェルに入れることによって固定化することもできる。細胞は、基板上で空間的に不規則であってよい(例えば、ランダムアレイ)。ランダムアレイにおいて見られるように、基板に会合させたまたは基板上で成長させた細胞は、それらが基板の面積の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%を覆っているまたは集密である(例えば、基板の試料領域のカバレッジ)の場合に標識または脱標識することができる。
【0129】
本明細書に記載の方法およびシステムにおいて使用される細胞は、生細胞であっても固定された細胞であってもよい。細胞の固定は、他の固定液の中でも、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、およびパラホルムアルデヒド)、エタノール、メタノール、ホルマリン、アセトン、またはピクリン酸の使用を含み得る。固定液は、単独で、互いと組み合わせて、および/または緩衝剤などの他の試薬と組み合わせて使用することができる。本明細書に記載の方法およびシステムはまた、患者および/または細胞成分の培養物から初代細胞を調達した後、検出可能な作用物質を検出する前に、種々の実験的介入を含み得る。検出可能な作用物質を検出する前に細胞を化学的に固定するまたは極低温で処理することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の検出方法(例えば、顕微鏡、フローサイトメトリー、質量分析など)に供する前に、細胞を固定し、培養物から酵素的にもしくは機械的に取り出すまたは組織から解離させる(または、まず培養物から取り出すもしくは組織から解離させ、次いで固定する)ことができる。検出前に、透過処理剤(例えば、Triton X-100、Tween20、サポニンなどの界面活性剤、メタノールおよびアセトンなどの有機溶媒など)を使用して細胞を透過処理することができる。検出前に、細胞を刺激してタンパク質を分泌させるまたはある特定の経路を活性化することができる。標識、検出、および脱標識の前に、細胞をゲル材料に架橋結合させ、その結果、細胞成分(例えば、タンパク質および核酸)をゲルに架橋結合させ、したがって、細胞および細胞成分の数ならびにそれらの空間的位置を保存することができる。任意選択で、細胞および/または細胞成分を洗浄して、ある特定の他の細胞成分(例えば、脂質または酵素)を除去することができる。細胞を標識するために追加的な検出可能な作用物質を使用する場合には(例えば、検出可能な作用物質とコンジュゲートした、融合した、または他のやり方で会合させた抗体などのアフィニティータグを会合させた検出可能な作用物質)、追加的な検出可能な作用物質を、透過処理の前またはその後に細胞に添加することができる。所与の検出可能な作用物質が細胞の表面上にある場合または検出可能な作用物質が細胞の内部で産生される場合には、透過処理は必要でない可能性がある。
【0130】
細胞は、単層培養物中、基板上で培養することができる。細胞は、患者由来の組織生検材料または動物由来の組織片の一部であってよい。基板上で細胞を標識し、検出し、脱標識し、刺激し、固定し、ゲルに架橋結合させる、または溶解させることができる。全ての流体および試薬を細胞または基板にフローセル(例えば、マイクロ流体デバイス)によって送達することができ、これらの流体および試薬を送達するためのプロセスを自動化することができる。
【0131】
検出可能な作用物質の検出
目的の分子は、会合している検出可能な作用物質を検出することによって検出することができる。所与の検出可能な作用物質を検出するために種々の検出器を使用することができ、その選択は、検出される検出可能な作用物質の同一性および性質に依存し得る。例えば、検出可能な作用物質を光学検出器によって検出することができる。一部の実施形態では、蛍光により検出可能な作用物質をフローサイトメーターによって検出することができる。他の実施形態では、蛍光により検出可能な作用物質を顕微鏡によって検出することができる。他の実施形態では、蛍光により検出可能な作用物質をカメラによって検出することができる。検出可能な作用物質の検出は、細胞または目的の分子を標識または脱標識するプロセスの前、その後、またはその間に実施することができる。
【0132】
検出可能な作用物質を、顕微鏡を使用することによって検出することができる。さらに、検出可能な作用物質が存在するかしないかを光学顕微鏡によって検出することができる。顕微鏡は、蛍光顕微鏡であってよい。蛍光顕微鏡は、一光子または二光子または多光子イメージングであってよい。さらに、顕微鏡を使用して、細胞の細胞小器官または原形質膜における検出可能な作用物質の局在化を検出することができる。例えば、顕微鏡を使用して、細胞の核に局在するフルオロフォアを検出することができる。
【0133】
検出器によって記録されたデータの空間分解能を、例えば、高出力顕微鏡対物レンズ、高画素カメラ画像デコンボリューションアルゴリズム、および光学クリアイメージング媒質(例えば、封入剤および適切な対物レンズ用油)を使用することによって改善することができる。このように、検出の分解能は、わずか5マイクロメートル、4マイクロメートル、3マイクロメートル、2マイクロメートル、1マイクロメートル、0.5マイクロメートル、0.25マイクロメートル、0.1マイクロメートル、またはそれ未満であり得る。
【0134】
蛍光標識(例えば、蛍光により検出可能な作用物質)を有する細胞の検出は、細胞を、マイクロタイタープレート容器中またはマイクロ流体デバイス中または基板上で、フルオロフォアを励起させ、その結果、そのフルオロフォアの理論的な放出スペクトル内の光子を放出させることが可能な波長の光を用いて刺激し、これらの放出された光子を光学検出器を使用して記録することを含み得る。培養物中または組織中の蛍光標識を有する細胞の検出は、それらが培養物中または組織中にある時間の経過にわたって任意の時点で行うことができ、また、実験中に多数回行うことができる(例えば、時間経過にわたって細胞またはそれらの挙動に変化が認められた時)。基板に会合した蛍光標識を有する細胞の検出も、それらが基板に会合している時間の経過にわたって任意の時点で行うことができ、実験中に多数回行うことができる。
【0135】
本明細書に記載の方法およびシステムにより、検出可能な作用物質を高感度で検出することが可能になる。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法およびシステムを使用すると、所与の検出器チャネルにおいてわずか10,000個の検出可能な作用物質分子、5,000個の検出可能な作用物質分子、1,000個の検出可能な作用物質分子、500個の検出可能な作用物質分子、100個の検出可能な作用物質分子、50個の検出可能な作用物質分子、10個の検出可能な作用物質分子、またはさらには1個の検出可能な作用物質分子に至るまでを検出することが可能であり得る。一部の実施形態では、検出することができる検出可能な作用物質の量は、1ng未満、100pg未満、10pg未満、1pg未満、100fg未満、10fg未満、1fg未満、100ag未満、10ag未満、1ag未満、100zg未満、10zg未満、1zg未満、または0.1zg未満であり得る。
【0136】
多数の型の検出可能な作用物質を超高速標識、脱標識、サイクリック超高速標識、または多重化超高速標識に使用することができる。この点において、本明細書に記載の方法およびシステムにおいて同時に使用することができる検出可能な作用物質の数(検出可能な作用物質の異なるクラスまたは型ではなく個々の粒子または分子を指し得る、検出可能な作用物質分子の数とは対照的に)は、1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、または少なくとも15種であり得る。異なる型の検出可能な作用物質は異なるシグナルスペクトルを生じ得、これは、異なる波長範囲にわたって異なる強度を有し得る。単一ラウンドの超高速標識において使用する検出可能な作用物質の型の選択を調整させることにより(任意の他の実験とは独立してまたは超高速サイクリックイメージングの他のステップもしくはラウンドと協調させて)、検出可能な作用物質それぞれを検出し、同時にまたは必要であれば前のラウンドの標識で使用されている他の検出可能な作用物質と区別することができる。一部の実施形態では、脱標識にクエンチング剤を必要とする検出可能な作用物質で標識された試料の脱標識している間、クエンチング剤を控えることができる。例えば、サイクリック蛍光イメージングの1つまたは複数のその後のラウンドで1つまたは複数の目的の分子を検出しようとする状況(例えば、検出の多数のラウンドが少なくとも1つの脱標識のステップで隔てられている場合)では、サイクリック蛍光イメージングの1つまたは複数のその後のラウンドにおいて検出される1つまたは複数の目的の分子を標識するために選択される複数の検出可能な作用物質のうちの1つまたは複数の検出可能な作用物質を、電圧に基づく脱標識に対するその相対的な抵抗性に基づいて選択することができる。非限定的な例として、1回よりも多くの検出のラウンドにおいて検出される分子を標識するために、脱標識にクエンチング剤を必要とする検出可能な作用物質を使用し、介在する脱標識ステップでは必要とされるクエンチング剤を控え、それにより、検出可能な作用物質(例えば、電圧に基づく脱標識に対して感受性であることが分かっている検出可能な作用物質)で標識された他の分子が脱標識された時にも当該分子は標識されたままにさせることを挙げることができる。このような脱標識にクエンチング剤を必要とする検出可能な作用物質の使用は、例えば、ラウンドごとに細胞または目的の分子を追跡する一部の実施形態に含めることができる。したがって、その後の標識のラウンドにおいて使用される検出可能な作用物質(単数または複数)の型の協調を、前の脱標識のラウンドで脱標識されていないまたは完全には脱標識されていない検出可能な作用物質の型と協調させることができる。
【0137】
検出感度を最大にするための提供を、検出可能な作用物質シグナルを測定し、記録するためのシステムに組み入れることができる。例えば、検出している間の試料および検出器からの環境光、検出可能な作用物質と接触させた後の試料、ブロッキング緩衝液および試薬の使用、ならびに、例えば固定液および自己蛍光マトリックスの使用を回避することによる自己蛍光の限定。
【0138】
基板
本開示の種々の態様は、細胞を会合させることができ、そこで細胞を標識し、脱標識し、かつ/または検出することができる、細胞を標識および脱標識するプロセスの効率を改善することができる基板を提供することを含む。基板に会合させた細胞を加熱し、冷却し、電圧を印加し、細胞に対して移動する流体の流れに供する(例えば、チャネル内に流体を流すことによってまたは基板を振とうもしくは撹拌することによって)こともできる。基板は平面であってよい。基板は、ペトリ皿であってよい。基板は、流体またはマイクロ流体システムまたはデバイスの一部であってよく、例えば、流路またはウェルのアレイの床を形成する。基板は、単一の容器または複数の容器を含んでよく、容器は、培養ウェルまたはウェルプレート(例えば、マイクロタイタープレート、96ウェルプレート、または384ウェルプレート)であってよい。容器の底部は、平ら、円形、円錐形、錘体路、または本方法を実施するための任意の適切な立体配置であってよい。ウェルの横断面は、環状、四角形、長方形、三角形、台形、または任意の他の適切な断面の立体配置であってよい。標識している間の抗体または他の親和性作用物質の濃度を上昇させることにより、費用が増大する可能性があり、したがって、標識している間に必要な体積が最小になるサイズのウェルまたは容器またはチャネルを含む基板を使用することが、標識の全体的な費用に関して有利であり得る。親和性作用物質を導入するために流体またはマイクロ流体デバイスを使用することにより、溶液が自動化されたワークフローで急速に交換され得るので、標識している間に必要な体積を減少させることができ、また、標識のスピードを上昇させることができる。流体の流れ(例えば、細胞に対する流体の移動)の存在によっても、細胞の標識および/または脱標識を促進することができる。
【0139】
細胞または目的の分子と基板の会合は、細胞接着、架橋結合、抗体に媒介される捕捉、共有結合、非特異的吸収、または流体的に誘導される会合(例えば、正もしくは負の流体圧力による)、機械的に誘導される会合(例えば、撹拌もしくは遠心分離による)、電気的に誘導される会合(例えば、電気泳動もしくは誘電泳動もしくはこれらの組合せによる)、または磁気的に誘導される会合(例えば、磁気材料もしくは粒子の使用による)を含み得る。細胞または複数の細胞と基板の会合は、一般的な接着性、重力、遠心分離、流体の流れ、流体圧力、摩擦、または表面張力(例えば、基板上で成長させたのではなく、基板上に置かれた組織)、または電気力もしくは誘電力もしくは磁力を含み得る。細胞、組織、または分子などの試料と基板の会合は、一過性であってもよく(例えば、基板上に置かれた組織)、永久的であってもよく(例えば、基板に架橋結合した付着細胞)、または条件付であってもよい(例えば、基板に付着したままにするのに二価イオンを必要とする固定されていない付着細胞)。
【0140】
基板は、単一細胞アレイを含んでよい(
図21)。単一細胞アレイは、規則アレイであってもランダムアレイであってもよい。規則アレイを含む本開示のシステムおよび方法の複数の実施形態は、周期的に配置されていてよい。ランダムアレイは、接着領域の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%のカバレッジを含んでよい。
【0141】
本開示の単一細胞アレイの使用は、一部の態様では、細胞が液相中に輸送されるにしたがって単一細胞を封じ込めるまたは物理的トラッピングするまたは表面付着させるステップ、ならびに、この相の流れの進路を追跡するステップ、物理的に規定された位置に移行させるステップ、および、続く流れに基づく力または表面接着力によって、規定された位置に存続させるステップを含む方法を伴う。別の場合では、流体の流れの進路が入口から出口に関して連続していることに起因して細胞が逐次的にトラップされる。別の場合では、入口と出口の間に細胞が同時に経る流れの進路が多数あることに起因して、多数の流体の流れの進路およびそれに釣り合った多数の単一細胞が並行様式でトラップ/隔離される。一部の場合では、アレイは、種々の潜在的な寸法および形状および表面性質を有するチャンバーを有してよい。寸法および形状および表面性質は、並流トラップ設計に影響を及ぼし得る。一部の態様では、デバイスのチャンバーはウェルであってよい。デバイスは、溶液から単一の粒子/細胞をトラップすることができるものであり(例えば、ビーズ、細胞など)、多数のウェルが並行に配置されてデバイスを形成していてよい。
【0142】
一部の態様では、核酸を分析するために、単一細胞アレイを当業者に公知の方法と共に使用することができる。一部の態様では、核酸の分析は、蛍光in-situハイブリダイゼーション(FISH)またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含み得る。単一分析物アレイを使用するPCRを実施する場合では、全てのチャンバーを流体中の単一の分析物で満たすことができる。各チャンバーを密閉することができ(例えば、油を使用して)、単一の分析物それぞれに対して並行してPCRを実施することができる。単一分析物アレイの個々のウェルまたはチャンバー中に含有される分析物は様々な技法を使用して検出することができる。例えば、ウェルまたはチャンバー中の分析物を顕微鏡を使用してイメージングすることができる。一部の態様では、顕微鏡は、明視野顕微鏡を含み得る。一部の態様では、顕微鏡は、蛍光顕微鏡を含み得る。いずれの顕微鏡の場合でも、試料をステージ上に置くことができる。一部の態様では、ステージを手動で作動させることができる。他の場合では、ステージは、コンピュータープログラムによって制御され得る自動変換ステージであってよい。いずれの顕微鏡の場合でも、画像をCCDカメラによって獲得することができる。
【0143】
基板は、コーティングされた表面またはコーティングされていない表面または化学的パターン(例えば、接着性パッチの周期的アレイ)もしくは組織分布的パターン(例えば、周期的アレイもしくは高くなったもしくは低くなった領域もしくはウェル)のいずれかを有するパターン形成された表面を含んでよく、その選択は、基板上に提供される細胞または分子の情報に基づくものであってよい。コーティングは、化学物質、生体分子、核酸、タンパク質、捕捉剤、ペプチド、脂質、炭水化物、ゲル、ポリマー、伝導体、半導体、不導体、有機分子、または無機分子を含み得る。基板材料または基板コーティングは、細胞をはね返すまたは固着させるその能力に関して選択することができる(例えば、ゼラチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、ラミニン、アグリカン、オステオネクチン、エラスチン、フィブリノーゲン、フィブリリン、テネイシン、または他の細胞外マトリックス化合物)。基板またはそのコーティングをなす材料(単数または複数)は、システムにより細胞と会合するまたは細胞から分泌される所望の分子をはね返すまたは捕捉することを可能にする特性に関して選択することができる。基板はフィルムであってよく、また、基板はグラフェンなどの伝導体を含んでよい。基板は組織分布的パターン形成を有してもよい。
【0144】
基板は、細胞接着が促進されるように設計することができる、または、基板には、その表面上に細胞を固定化するために種々の機構を使用することができる。例えば、吸引または流体圧力の供給源に接続された穴(または複数の穴)を有する基板を使用して、細胞が存在する場合に穴を通じて負の流体圧力を引き抜くことによって(例えば、真空)生細胞または固定された細胞を穴に固定することができる。基板は、細胞と会合するもしくは細胞から分泌される分子の捕捉が最大であるように設計することができる;または、基板は、例えば、物理的立体配置(例えば、マイクロ流体デバイスの流路における幾何学的配置もしくは基板の組織分布的特徴)、基板および/またはそのコーティングが由来する妥当な材料の選択(例えば、基板の領域に局在しているもしくは培養領域を覆っている特定の接着タンパク質、もしくは疎水性もしくは親水性の表面化学もしくはハイドロゲル)、または、吸引または流体圧力(例えば、負圧または正圧)などの機能的能力を通じて、細胞に付随するまたは細胞から分泌される分子の非特異的結合が最小限であるように設計することができる。
【0145】
基板自体は、金属、金属合金または非金属を含んでよく、細胞に対して、電場または印加される電圧が増強されるまたは改変されるように設計することができる。基板はまた、電場または印加される電圧への影響がわずかであるように設計することもできる(例えば、不導性の非磁気材料製の基板)。基板はまた、細胞に印加される電圧または電場を形づくるもしくは施すこと、測定を実施すること(例えば、細胞増殖もしくは遊走の測定)および/または刺激を送達すること(例えば、細胞の表現型を改変するためもしくは電気穿孔などの技術的目的で)に役立つ伝導性材料を含むように設計することもできる。基板は、電圧もしくは電場を創出もしくは改変する目的でまたは細胞もしくは分子に分子(例えば、磁気タグを含むアフィニティータグ)を適用する目的で磁石(例えば、永久磁気または電磁石)を含み得る。基板はまた、細胞を加熱する手段および/または細胞にわたって電圧を創出させる手段も含み得る。基板はまた、細胞または細胞周囲の温度を測定する手段も含み得る。基板はまた、細胞に印加される電圧または電場の量を測定する手段も含み得る。基板はまた、印加電圧によって生成する活性酸素種などの反応性化学種の量を測定する手段も含み得る。基板はまた、検出可能な作用物質および緩衝液などの試薬を送達および除去するためのフローセル(例えば、マイクロフルイディクスデバイス)も含み得る。基板は、細胞のイメージングを可能にするまたは増強するために、ガラスまたは透明なプラスチックなどの透明な材料を含み得る。
【0146】
基板は、検出器(例えば、バイオアナライザまたは近傍の検出器のトレイ)に永久的に付着させたものであってもよく、取り外し可能な単位であってもよい。基板は、多重化戦略において使用するための積み重ね可能なもの(例えば、積み重ね可能マルチタイタープレート)であってよい。
【0147】
フローセル
本開示の方法およびシステムは、基板に接続したフローセル(例えば、流体管理システム)も含み得る。流体管理システムは、流体を試料細胞(例えば、基板などの生物学的な細胞の環境)に供給するためおよび/または流体を試料細胞の環境(例えば、生物学的な細胞の環境)から除去するために使用する流路を含み得る。フローセルは、蠕動ポンプ、注入ポンプ、シリンジポンプ、マイクロポンプ(例えば、微小電気機械システム、もしくはMEMSポンプ)、真空ポンプ、機械的ポンプ、または重力ポンプを含み得る。フローセルは、基板に組み込むことができるまたは基板から取り外し可能であってよいまたは基板の外側にあってよく、試薬(例えば、固定液、細胞透過処理剤、洗浄緩衝液、検出可能な作用物質、廃液、細胞培養培地、架橋剤、細胞刺激薬、捕捉分子、薬物など)を含有させるために使用することができるレザバー、バイアル、チューブ、弁、管材料、流路、および分岐のシステムを含み得る。フローセルおよびそれに付随する特徴(例えば、ポンプおよび弁)は、コンピュータープロセッサーにより作動させ、自動化することができる。
【0148】
流体管理システムは、流体またはマイクロ流体システムを含んでいてもよく、これは、基板に永久的に会合されているか、または基板に対して取り外し可能であるか、または基板の一部であるか、または基板の外側にあるかのいずれかである。例えば、マイクロ流体デバイスは、基板に組み込まれていてもよく、もしくは基板の一部であり、または上部の区画を基板上に固定すること(例えば、吸引によってまたはクリップ、ねじ、もしくは他のロック機構によって)によって創出されるチャンバーも含み得る。
【0149】
フローセルによって細胞に供給される流体は、細胞培養培地、アゴニスト、アンタゴニスト、薬物、刺激薬、酸、塩基、緩衝液、固定液、細胞透過処理剤、捕捉剤、架橋結合化学物質、核酸ハイブリダイゼーションまたは脱ハイブリダイゼーション剤、および検出可能な作用物質を含み得る。フローセルを使用して、これらなどの物質および溶液を細胞に、細胞の培養、細胞の刺激、細胞によって産生される分子の捕捉、細胞の固定、細胞の透過処理、ゲルへの架橋結合、細胞の包埋、細胞の付着、細胞の脱付着、細胞の洗浄、細胞への水分補給、細胞の標識、または細胞の脱標識の目的で供給することができる。
【0150】
温度制御器具
本開示の方法およびシステムは、本明細書に記載の方法およびシステムにおいて使用される細胞および/または流体の温度を調節するための温度制御器具(温度制御デバイスを含んでよい)を含み得る。したがって、標的温度または温度設定点を規定することにより、制御された(例えば、調節された)温度を細胞に適用することができる。試料(例えば、細胞、分子、または検出可能な作用物質)の温度を制御することにより、細胞、分子、または検出可能な作用物質が標識および/または脱標識されるスピードを有意に改善することができる。
【0151】
一部の実施形態では、例えば、基板の個々の容器にわたって温度の均一性を改善するために、複数の温度制御デバイスを使用することができる。温度制御デバイスは、試料間、群間、アッセイ間、および実験間で一貫した実験条件を維持するために使用することができ、また、標識効率または脱標識効率のいずれかを改善するために使用することができる。細胞または分子を標識するプロセス中の細胞およびアフィニティータグまたは検出可能な作用物質(例えば、検出可能な標識)の温度を上昇させることにより、細胞または分子の標識に必要な時間を減少させることが可能である。細胞または分子を脱標識するプロセス中の細胞およびアフィニティータグまたは検出可能な作用物質(例えば、検出可能な標識)の温度を上昇または低下させることにより、細胞もしくは分子の脱標識に必要な時間を減少させること、または細胞もしくは分子が脱標識される効率または程度を改善することも可能である。
【0152】
温度制御デバイスは、試料周囲または試料(例えば、細胞、分子、または検出可能な作用物質)の温度を上昇させるための加熱用要素を含み得る。加熱用要素は、電気的な加熱用要素、対流性の加熱用要素、空気による加熱用要素、ペルチェ加熱用要素、抵抗性加熱用要素、燃焼による加熱用要素、誘導加熱用要素(誘導コイルなどを含む基板と使用することができる)、化学的加熱用要素、または光による加熱用要素(例えば、赤外線)を含み得る。加熱用要素機構の選択は、付近で創出される印加される電圧または電場への影響、試料(例えば、細胞または目的の分子)中の規定された温度を、変動またはノイズをほとんどまたは全く伴わずに精密かつ正確に誘導する能力、および所与の適用に対する適合性に関する考察に基づくことができる。温度制御デバイスは、試料周囲(例えば、細胞、分子、または検出可能な作用物質)の温度を低下させるための冷却素子も含み得る。冷却素子は、例えば、ペルチェデバイスを含み得る。
【0153】
温度制御デバイスは、温度を経時的に変動させることができるシステムを含み得る。温度制御デバイスまたは複数の温度制御デバイスを、細胞、細胞の切片、基板、または基板の切片の温度を、経時的に、独立にまたは他の実験条件(例えば、電圧もしくは電場の印加、細胞の脱標識、細胞の標識、検出可能な作用物質の細胞への送達、または細胞および/もしくはそれに会合した検出可能な作用物質の検出)と協調して変動させるように規定することができる(手動でまたはデジタルで)。このように、細胞、分子、または基板の加熱および/または冷却はサイクル性であってよい。
【0154】
温度制御デバイスは、ヒートシンクまたは冷却素子、例えば、冷蔵単位なども含み得る。
【0155】
温度制御デバイスは、熱電対および/またはペルチェ熱ポンプを含み得る。温度制御デバイスを使用して(例えば、手動でまたはコンピュータープロセッサーを用いて実行可能なプログラムによって)、細胞または目的の分子の温度を、温度制御デバイス(温度を上昇させる手段、温度を検出する手段、および/もしくは温度を低下させる手段を含み得る)を基板に組み入れることによってまたは温度制御デバイスを細胞もしくは目的の分子の近傍に位置付けることによってまたは基板もしくは目的の細胞の周囲の温度を制御することによって制御することができる。コンピュータープロセッサーの制御フィードバックループ、熱電対などの温度検出用要素、および加熱用要素または冷却素子を通じて、試料(例えば、細胞、分子、または検出可能な作用物質)の温度を0.25℃以下、0.5℃以下、0.75℃以下、1℃以下、2℃以下、3℃以下、4℃以下、または5℃以下の変動で制御することができ、この変動は、温度設定点と比べて測定することができる。
【0156】
温度設定点は、実験(例えば、標識、脱標識、または検出)を実施する標的温度であってよい。温度設定点は、コンピューターのメモリに記憶されたプログラミングされたプロトコールによって規定することもでき、ユーザーが手動で規定することもできる(例えば、タッチスクリーンまたはキーボードなどのインプットインターフェースを通じて)。
【0157】
標識している間に細胞を加熱することによる標識効率の上昇は、主観的な参照温度(例えば、室温を13摂氏温度上回る)と比べたものであってもよく、所与の大気条件での温度の範囲(例えば、1気圧で30摂氏温度から80℃の間)に基づいて規定することもできる。したがって、温度制御デバイス(または複数の温度制御デバイス)を使用して、細胞または目的の分子を少なくとも26℃、少なくとも30℃、少なくとも31℃、少なくとも32℃、少なくとも33℃、少なくとも34℃、少なくとも35℃、少なくとも36℃、少なくとも37℃、少なくとも38℃、少なくとも39℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃、少なくとも少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、または少なくとも80℃の温度に加熱することができる。
【0158】
脱標識の方法
細胞または目的の分子(例えば、試料)を、検出可能な作用物質で標識することに加えて、本明細書に記載の方法およびシステムにより、それ自体の結果としてまたはサイクリック蛍光イメージングプロトコールの一部として、細胞または目的の分子の脱標識の効率を改善することができる(例えば、
図3~
図8に記載されている通り)。
【0159】
脱標識は、検出可能な作用物質の破壊、検出可能な作用物質の化学修飾(例えば、酸化などの化学反応によって)、細胞、目的の分子、もしくはアフィニティータグ(例えば、アプタマー、抗体もしくは核酸)からの検出可能な作用物質の解離、細胞もしくは目的の分子からのアフィニティータグの検出可能な作用物質を伴った解離、または検出可能な作用物質のシグナルの永久的もしくは一時的な低減を含み得る。脱標識は、試料の脱染色、検出可能な作用物質を検出不可能にするもしくは検出可能の程度を低くする検出可能な作用物質の化学反応、検出可能な作用物質の光退色もしくは光クエンチングもしくは光スイッチング、または検出可能な作用物質シグナルのクエンチング剤を用いたクエンチングを含み得る。
【0160】
各標識実験において検出することができる異なる型の検出可能な作用物質の数は、検出器の性能または検出スキームによって限定される可能性がある。したがって、検出器または検出スキームによって一度に検出することができるよりも多くの細胞、細胞(もしくは複数の細胞)の様相、または分子を分析する必要がある実験的試験では、細胞または目的の分子の残りの分析されていない細胞または分子を、検出可能な作用物質で測定することができる追加的な実験が必要になる。新しい細胞または目的の分子に向けられる検出可能な作用物質を用いて実験を繰り返すことは時間集約的かつリソース集約的プロセスであり得るので、試料(例えば、細胞または目的の分子)を脱標識および再標識できることにより、実験の効率を上昇させることが可能になる。さらに、細胞または分子の脱標識に必要な時間を減少させることは、そのような実験の効率を上昇させることに関して極めて重要な側面である。
【0161】
超高速脱標識のプロセスは、
図3に記載されているステップを含み得る。具体的には、超高速脱標識は、基板に会合させたまたは基板と接触させた、検出可能な作用物質で標識された細胞または目的の分子を提供するステップを含み得(301)、これは、細胞をマルチタイタープレートまたは組織培養プレート上で所望の状態で培養または維持することを伴い得る。超高速脱標識は、細胞、分子、または検出可能な作用物質に、例えば、試料にわたって電圧が印加されるように置かれた、電圧を生成する電極を用いて電圧を印加するステップ(302)、および、任意選択で、上記の検出方法を使用して検出可能な作用物質を検出して、検出可能な作用物質シグナルが減弱したことまたはなくなったもしくは実質的になくなったことを確かめるステップ(例えば、電圧印加中に創出される活性酸素種への曝露によって生じ得る検出可能な作用物質の破壊または阻害を通じて)(303)をさらに含み得る。
【0162】
図10A~10Hは、染色されたMCF-7細胞の脱標識の結果を示す。
図10A~10HのMCF-7細胞は、本開示の方法に記載されている通り、脱標識を行う前に2つの異なる検出可能な作用物質(PE-抗EpCAMおよびPE-抗サイトケラチン)で染色したものである。標識された細胞(
図10Aおよび
図10E)は、細胞および/または検出可能な作用物質と接触させた溶液に8ボルトの電圧を印加することによって急速に脱標識することができる。30秒間の非光退色電圧印加後(
図10Bおよび
図10F)、検出可能な作用物質シグナル(例えば、フィコエリトリンシグナル)は有意に低減した。わずか60秒間電圧を印加した後(
図10Cおよび
図10G)、検出可能な作用物質シグナルは強烈に低減した。
図10Dおよび
図10Hは、超高速脱標識プロセスによって細胞自体は変化していないまたは基板から外れていないことを図示する明視野画像である。
【0163】
図11A~11Dは、検出可能な作用物質シグナル(PE-抗EpCAM)クエンチングまたは除去に対する電圧印加の驚くべき非線形効果を例示する(
図11Aおよび
図11B)。0ボルトから1ボルトの間では、5分処理後の検出可能な作用物質シグナルの低減は15%未満であるが、印加電圧を3ボルトで5分間に増大させると、検出可能な作用物質シグナルは80%よりも大きく低減する。8ボルトの電圧を5分間印加すると、検出可能な作用物質は、もはや検出可能でなくなる。
図11Cおよび
図11Dにおいて見られる通り、8ボルトの電圧を用いた検出可能な作用物質シグナルのクエンチングは非常に急速に起こる。脱標識の90秒までに、検出可能な作用物質シグナルは99%よりも大きく低減していた。
【0164】
脱標識および脱染色は、検出可能な作用物質によって生じるシグナルを低減させるプロセスを指し得る。脱標識は、検出可能な作用物質の破壊、検出可能な作用物質を、破壊および除去せずに、シグナルを生じさせることができないようにすること(一時的にもしくは永久的に)、または検出可能な作用物質を分子もしくは細胞から分離し、その結果、検出可能な作用物質からのシグナルを検出することができなくなるようにすることを含み得る。
【0165】
検出可能な作用物質(または複数の検出可能な作用物質)からのシグナル(または複数のシグナル)を低減するために、脱標識を実施することができる。同様に、細胞または目的の分子に会合し得る検出可能なシグナルを創出するまたはその量を増強するために、標識を実施することができる。細胞の脱標識および標識は、当該記載の方法により提供される高速脱標識および標識法または高い標識および脱標識効率または両方を利用することによって細胞または複数の分子の脱標識および標識(例えば、脱染および染色)の各プロセスの効率または各プロセスもしくは繰り返しサイクルの性能を増大させながら、独立にまたは連続して実施することができる。
【0166】
分子の脱標識は、検出可能な作用物質のシグナルを低減することを伴い得る。具体的には、検出可能な作用物質および/もしくはそれが会合した細胞に/それにわたって、ならびに/または検出可能な作用物質と接触させた溶液に電圧を印加すると、検出可能な作用物質の脱標識を驚くべき効率で実現することができる(当技術分野で公知の技法と比較して)(
図3の302に記載されている通り;
図10A~10H、
図11A~11D、
図12A~12C、
図13A~13T、
図14A~14F、および
図15A~15Cも参照されたい)。少なくとも1ボルト、2ボルト、3ボルト、4ボルト、5ボルト、6ボルト、7ボルト、8ボルト、9ボルト、10ボルト、15ボルト、20ボルト、25ボルト、50ボルト、75ボルト、または100ボルトの電圧を検出可能な作用物質および/もしくは検出可能な作用物質が会合している細胞に、ならびに/または検出可能な作用物質と接触させた溶液に印加すると、検出可能な作用物質シグナルの少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%の低減を実現することができる。クエンチング(例えば、検出可能な作用物質を検出可能な作用物質が会合している分子から除去せずに、検出可能な作用物質からのシグナルを低減する脱標識プロセス)または検出可能な作用物質の破壊(例えば、検出可能な作用物質を、シグナルを生じることができないようにする)を伴い得る細胞または目的の分子の脱標識の効率の改善を、少なくとも少なくとも1ボルト、少なくとも2ボルト、少なくとも3ボルト、少なくとも4ボルト、少なくとも5ボルト、6ボルト、少なくとも7ボルト、少なくとも8ボルト、少なくとも9ボルト、少なくとも10ボルト、少なくとも15ボルト、少なくとも25ボルト、少なくとも50ボルト、少なくとも75ボルト、または少なくとも100ボルトの電圧を検出可能な作用物質または検出可能な作用物質が会合している細胞もしくは分子または検出可能な作用物質と接触させた溶液に印加することによって実現することができる。一部の実施形態では、電圧を細胞、目的の分子、または細胞もしくは目的の分子と接触させた溶液に30秒以下、45秒以下、60秒以下、75秒以下、90秒以下、2分以下、2.5分以下、3分以下、3.5分以下、4分以下、4.5分以下、5分以下、または10分以下にわたって印加することができる。試料(例えば、細胞、分子、または検出可能な作用物質)の脱標識は、当該記載の方法を使用して20分未満、15分、10分未満、9分未満、8分未満、7分未満、6分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、1.5分未満、1分未満、0.75分未満または0.5分未満で上記の程度まで実現することができる。脱標識効率のさらなる改善は、試料(例えば、細胞、分子、もしくは検出可能な作用物質)を26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、45℃、50℃、60℃、70℃、もしくは80℃を上回るまで加熱することによって、および/または流体の流れを試料(例えば、細胞、分子、もしくは検出可能な作用物質)にわたって導入することによって、および/または脱標識している間に試料を物理的に撹拌すること(例えば、振とうもしくは回転)によって実現することができる。検出可能な作用物質の検出は、脱標識の前、その後、またはその間に実施することができる。
【0167】
分子または細胞の脱標識は、連続的な流体の流れ、間欠的な流体の流れ、時限的な流体の流れ、および制御された流体の流れ、またはこれらの組合せの存在下で実施することができる。例えば、標識された細胞を連続的な流体の流れの存在下で(
図14A~
図14Cに記載されている通り)、または流体の流れの制御適用および時限適用の存在下で(
図14D~
図14F)で脱標識した。
【0168】
試料(例えば、細胞、分子、または検出可能な作用物質)を脱標識(例えば、クエンチ)する際、試料は、検出可能なシグナル(例えば、検出可能な作用物質シグナル)を生じさせることができるいくらかの検出可能な作用物質を含有し得る。これは、残留する検出可能な作用物質シグナルと記載することができ、蛍光により検出可能な作用物質の場合では、残留蛍光と記載することができる。残留する検出可能な作用物質シグナル(例えば、残留蛍光)は、例えば、脱標識前もしくは標識前の検出可能な作用物質シグナルと比べて、脱標識されていない、第2の同様に標識された試料と比べて、標識前の細胞または分子からのバックグラウンドシグナル(例えば、自己蛍光)と比べて、脱標識の前のラウンド後の残留する検出可能なシグナルもしくは残留蛍光と比べて、検出可能なシグナルの飽和度レベル(例えば、検出可能な作用物質を用いて20摂氏温度で1時間にわたって標識した後の蛍光)と比べて、または細胞の部位の百分率(例えば、所与の検出可能な作用物質を特異的に会合させることができる部位の百分率)として決定することができる。脱標識前の検出可能な作用物質の蛍光の測定値のような残留蛍光は、検出可能な作用物質シグナルの強度(例えば、1秒当たりの光子の数および/または検出可能な作用物質から放出される光子の相対的なエネルギー)に対して決定することができる。超高速脱標識後の残留蛍光は、5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、または0.1%未満であってよい。残留蛍光が所望のレベルに達したかを確かめるために、脱標識された細胞の一部を、検証のために脱標識後に検出またはイメージングすることもでき、脱標識している間に検出またはイメージングすることもでき、したがって、所望の残留蛍光シグナルに達した後、脱標識プロセスを終結させることができる。
【0169】
この結果は、細胞もしくは検出可能な作用物質または細胞もしくは検出可能な作用物質と接触させた溶液への電圧または電場の印加、化学的なシグナルクエンチャー(例えば、Sigma-Aldrichから入手可能なBlack Hole Quencher(登録商標)、例えば、BHQ-1、BHQ-2、またはBHQ-3)の使用、光退色、検出可能な作用物質とアフィニティータグまたは目的の分子を接続しているリンカーの切断(例えば、ジスルフィド連結の化学的切断、リンカーの加水分解、リンカーのグルコース切断、光によるリンカーの切断、DNAリンカーの熱誘導性切断、DNA/PNA(ペプチド核酸)鎖交換(例えば、リンカー溶解に関して)、DNAリンカーを変化させるpH誘導性構造変化、酵素に基づくDNAリンカー切断、DNAアプタマーに基づく切断系(アデノシン三リン酸の存在下で)など)、検出可能な作用物質の化学反応もしくは化学的還元もしくは化学的酸化、検出可能な作用物質の光スイッチングもしくは光クエンチング(例えば、光を用いたポリマードットの光スイッチングまたはクエンチング)、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)検出可能な作用物質のクエンチャーとの架橋結合、検出可能な作用物質の電気化学的酸化、またはストリッピング緩衝液を用いた抗体アフィニティータグのストリッピングを含めた、それぞれが本開示の方法およびシステムに使用することができるいくつもの非排他的機構によって得ることができる。これらの機構は、互いと相補的であり得、したがって、組み合わせて脱標識の性能および効率をさらに増大させることができる。
【0170】
脱標識は、流体の流れの存在下で実施することができ、これにより、脱標識のスピードおよび/もしくは効率ならびに/または脱標識の程度を所与の期間にわたって増強することができる。例えば、化学反応に基づく脱標識または検出可能な作用物質と接触させた溶液に電圧を印加した際の検出可能な作用物質の電気化学的酸化の場合では、流体の流れにより、反応性化学種または酸素種の検出可能な作用物質への輸送が増強され、したがって、脱標識のスピードおよび/または効率または脱標識の程度が改善される。流体の流れは、例えば、流路またはフローセル中を、細胞もしくは目的の分子にわたって、または検出可能な作用物質もしくは細胞に対して流体を流すことによって導入することができる。流体の流れは、検出可能な作用物質または細胞もしくは目的の分子に対する任意の流体運動であってよく、例えば、流体の撹拌または振とうによって導入することができる。
【0171】
脱標識のための電圧の生成
分子または細胞の脱標識を補助するために、電圧、電流、または電場を生成することができる(
図2のステップ202に記載されている通り)。電圧、電流、または電場の生成はマクスウェルの方程式を使用して記載することができ、試料(例えば、細胞、分子、または検出可能な作用物質)が受ける電圧、電場強度、電流の方向性、または他のパラメータは、超高速脱標識手順において使用するための超高速脱標識プロトコールおよび/またはシステムの設計についてのこれらの関係を使用して規定することができる。電圧は、試料が所望の電圧または時間依存的電圧パターンに曝露されるように、電極間(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つの電極)で特異的に印加することができる。電圧は、最も効率的な脱標識条件を実現するために試料が所望の電圧または時間依存的電圧パターンに曝露されるように、1つの電極に印加することもできる(例えば、反応性化学種または活性酸素種を生成させるため)。細胞または目的の分子に印加される電圧または電場は、直流(DC)、交流(AC)、またはACとDCの組合せであってよい。すなわち、電圧または電場の極性または方向性は、印加中に変化させることができる。印加される電圧または電場の大きさおよび/または極性および/または方向性は、正弦波パターン、鋸歯状パターン、勾配パターン、階段関数パターン、方形波パターン、電圧または電場の極性もしくは方向性の変化を含むこれらのパターンの実施形態、またはそれらの任意の組合せを含み得る。電圧または電場は、脱標識している間、一定であってもよく、パルス状または断続的に印加することもできる。
【0172】
電圧または電場は、電源装置に付着させた単一の電極または複数の電極によって生成することができる。電圧は、電源装置に付着させた単一の電極によって、2つの電極間でまたは複数の電極間で生成することができる。電圧または電流または電場を生じさせる電極の数および配置は、電圧パターンまたは電場の形状、および細胞、分子、または検出可能な作用物質が受ける電圧または電流または電場(例えば、電圧または電場強度および/または極性および/または方向性に関して、また、マクスウェルの方程式と一致して)の両方に影響を及ぼし得る。
【0173】
電極は、伝導体または半導体を含んでよく、金属、非金属、合金、またはこれらの組合せで構成されてよい。一部の場合では、電極を細胞が位置する基板に組み込むことができ、他の場合では、電極を顕微鏡または流体器具に組み込むことができる。あるいは、電極は、独立型であってよい。一部の実施形態では、電極は、白金電極、金電極、ロジウム電極、銅電極、亜鉛電極、鉛電極、銀電極、チタン電極、黄銅電極、パラジウム電極、グラファイトおよび炭素電極、または混合金属酸化物電極であってよい。
【0174】
電極を器具または基板(例えば、チップまたは細胞アレイ)に組み込む場合、電極の位置付けを、細胞、分子、または検出可能な作用物質が妥当な電圧、電流、または電場の幾何学的形状、方向性、および強度を受けるように設計することができる。さらに、電極を基板または器具に組み込むことにより、実験間の変動性の量が減少し、実験前に電圧または電場生成システムを較正するために必要な時間および計算が低減する。電極を基板または器具に組み込むことにより、脱標識のために電極で生成される活性酸素種などの反応性化学種が細胞もしくは目的の分子または検出可能な作用物質に到達するまでの時間を低減することができる。
【0175】
電極を基板または器具に組み込む場合であっても、電極の位置付けを補正するための機構を基板または器具に組み入れることができる。例えば、電極を、ギア(例えば、試料プラットフォームまたはトレイを動かすためのギア)を含み得る可動アームまたはプラットフォームに付着させることができ、電極を基板もしくは器具または検出可能な作用物質と接触させた溶液に接続することができる。そのような可動アームまたはプラットフォームは、手動でまたは微調整機構(例えば、ラックアンドピニオンギア機構)によって調整することができる。一部の実施形態では、電極をそれが接続している基板または器具から引き離すことができる。電圧または電場供給源(例えば、電極)は、試料から少なくとも1mm、試料から少なくとも5mm、試料から少なくとも1cm、試料から少なくとも2cm、試料から少なくとも3cm、試料から少なくとも4cm、または試料から少なくとも5cmのところに位置させることができる。試料から少なくとも1cmの距離では、脱標識のために、少なくとも0.5V、少なくとも1V、少なくとも2V、少なくとも3V、少なくとも4V、少なくとも5V、少なくとも6V、少なくとも7V、少なくとも8V、少なくとも9V、少なくとも10V、少なくとも15V、少なくとも20V、少なくとも25V、少なくとも50V、または少なくとも100Vの電圧を細胞または細胞と接触させた溶液に印加することができる。試料から少なくとも1mmの距離では、脱標識のために、少なくとも0.5V、少なくとも1V、少なくとも2V、少なくとも3V、少なくとも4V、少なくとも5V、少なくとも6V、少なくとも7V、少なくとも8V、少なくとも9V、少なくとも10V、少なくとも15V、少なくとも20V、少なくとも25V、少なくとも50V、または少なくとも100Vの電圧を細胞または細胞と接触させた溶液に印加することができる。それを通して電圧を印加する電極を細胞/検出可能な作用物質と接触させた溶液に浸漬することができ、電極は、最も遠くの細胞または検出可能な作用物質から少なくとも1mm、最も遠くの細胞または検出可能な作用物質から少なくとも5mm、最も遠くの細胞または検出可能な作用物質から少なくとも1cm、最も遠くの細胞または検出可能な作用物質から少なくとも2cm、最も遠くの細胞または検出可能な作用物質から少なくとも3cm、最も遠くの細胞または検出可能な作用物質から少なくとも4cm、最も遠くの細胞または検出可能な作用物質から少なくとも5cm、最も遠くの細胞または検出可能な作用物質から少なくとも10cm、最も遠くの細胞または検出可能な作用物質から少なくとも20cm、最も遠くの細胞または検出可能な作用物質から少なくとも30cmのところに位置させる。最も遠くの細胞または検出可能な作用物質から少なくとも1cmの距離では、脱標識のために、少なくとも0.5V、少なくとも1V、少なくとも2V、少なくとも3V、少なくとも4V、少なくとも5V、少なくとも6V、少なくとも7V、少なくとも8V、少なくとも9V、少なくとも10V、少なくとも15V、少なくとも20V、少なくとも25V、少なくとも50V、または少なくとも100Vの電圧を検出可能な作用物質または検出可能な作用物質と接触させた溶液に印加することができる。最も遠くの細胞または検出可能な作用物質から少なくとも1mmの距離では、脱標識のために、少なくとも0.5V、少なくとも1V、少なくとも2V、少なくとも3V、少なくとも4V、少なくとも5V、少なくとも6V、少なくとも7V、少なくとも8V、少なくとも9V、少なくとも10V、少なくとも15V、少なくとも20V、少なくとも25V、少なくとも50V、または少なくとも100Vの電圧を検出可能な作用物質または検出可能な作用物質と接触させた溶液に印加することができる。
【0176】
電極が独立型である場合、試料(例えば、細胞、分子、または検出可能な作用物質)に対する電極の位置付けに、より大きな柔軟性をもたらすことができる。基板の幾何学的形状またはサイズ、流体システム、または検出システムが、実験全体を通して電極を置いたままにすることを許容するものではない実施形態では、独立型電極が、使用していない時または使用のモダリティが変化した時に容易に取り出すことまたは再度位置付けることができるので、有用であり得る。
【0177】
電圧または電場を生成するための手段が単一の電極を含む場合、電極を負電荷の供給源として使用することができ、局所環境に位置する伝導体などの別のアースを使用することができる(例えば、イメージング器具または支持構造のフレーム、電極付近に位置する配線、または流体システムに使用される緩衝液などの電極に対して局所的な流体)。電極を正電荷の供給源として使用することもできる。電極における電気化学的反応の発生を通じた活性酸素種などの反応性化学種の供給源として電極を使用することもできる。一部の実施形態では、基板、流体、コンピューターフレームまたは計器収納などの金属物体を電極またはアースとして使用することができる。
【0178】
電場は、磁石または磁気要素によって誘導することもできる。電場を創出するために使用される磁石は永久磁石であっても電磁石であってもよい。
【0179】
電場自体は、任意の形状または配向のものであってよく、試料(例えば、細胞、分子、または検出可能な作用物質)を通過するように創出することができる(例えば、試料に対する電極の位置付けまたは電場の大きさによって)。一部の実施形態では、脱標識している間に、電極の位置付けを調整することまたは電極もしくは磁石に供給される電流の大きさもしくは方向を変更することによって電場の方向性を調整するまたは逆転させることができる。
【0180】
サイクリック脱標識および標識
標識された細胞を順次またはサイクルで少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも10回、または少なくとも50回、標識および脱標識または脱標識および標識することができる。例えば、
図15A~15Cに記載されている通り、細胞に対する注目すべきエピトープ損傷を伴わずに少なくとも9サイクルの標識および脱標識を行うことができる。サイクリック標識および脱標識は脱標識(例えば、上記の通り)および標識(例えば、上記の通り)の方法を順次実施することによって実現することができ、より大きな数の分子をアッセイするためまたはより多くの検出可能な作用物質の組合せを利用するために、細胞または分子の脱標識および標識の複合プロセスを周期的に(例えば、多数のラウンドで繰り返し)実施することができる。一部の実施形態では、脱標識ステップと標識ステップの間に洗浄ステップを実施することができるが、洗浄ステップは必須ではなく、一部の実施形態では、脱標識ステップと標識ステップの間に洗浄ステップを含めずに、より高い効率を実現することができる。他の実施形態では、細胞周囲の外来分子を標識前に洗い落とすために洗浄ステップが望ましい場合がある。さらに別の実施形態では、新しい検出可能な作用物質が同時に導入される標識ステップは、洗浄ステップとしての機能を果たし得る。このように、細胞または目的の分子を15分未満、14分未満、13分未満、12分未満、11分未満、10分未満、9分未満、8分未満、7分未満、6分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、または1分未満で脱標識および標識することができる。
【0181】
図16は、超高速サイクリック蛍光イメージングのためのシステムを示す。コンピュータープロセッサー1601により、ユーザーインプットで、試料トレイ1606が開くように信号を送ることにより染色を開始することができる。ユーザーが細胞を伴う基板1602を試料トレイに挿入した後、ユーザーはコンピュータープロセッサーにコマンドをインプットすることによってまたはトレイを押して閉じることによってトレイギアにトレイを閉じるよう信号を送る。コンピュータープロセッサー1601により、フローセル1607に対して、試薬レザバー1608から固定液および透過処理剤が基板上の細胞1602に送達されるよう命令が下された後、フローセル1607に対して、これらの試薬が基板および細胞1602から除去されるように命令が下されるプログラムを実行する。あるいは、ユーザーは、いかなる細胞も伴わない基板を試料トレイ1606に挿入することができ、その後、ユーザーは、コンピュータープロセッサーにコマンドをインプットすること(例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーン、もしくは他のユーザーインターフェースを介して)によってまたはトレイを押して閉じることによってトレイギアにトレイを閉じるよう信号を送る。コンピュータープロセッサー1601により、フローセル1607に対して、細胞レザバーまたは容器から基板に細胞が送達され、基板上に細胞が会合したまたは固定化された(例えば、接着させた)後、試薬レザバー1608から固定液および/または透過処理剤および/または洗浄液が基板1602に会合させたまたは固定化された細胞に送達されるように命令が下された後、フローセルに対してこれらの試薬が基板および細胞1602から除去されるように命令が下されるプログラムを実行する。さらに別の実施形態では、ユーザーは細胞が会合していない基板を試料トレイ1606に挿入することができ、その後、ユーザーは、コンピュータープロセッサーにコマンドをインプットすることまたはトレイを押して閉じることによってトレイギアにトレイを閉じるよう信号を送る。コンピュータープロセッサー1601により、フローセル1607に対して、予め固定および/または透過処理された細胞が細胞レザバーまたは容器から基板に送達され、細胞が基板に会合するまたは固定化されるように命令が下されるプログラムを実行する。次いで、コンピュータープロセッサー1601によりそのオンボード記憶装置から、温度制御デバイス1604を初期化することによって基板および細胞1602を加熱するプログラムを実行する。熱電対1603によりもたらされるフィードバックを通じて、コンピュータープロセッサーにより基板および細胞の温度が許容範囲内に制御される。次いで、コンピュータープロセッサー1601によりフローセル1607が初期化されて検出可能な作用物質の第1のセットが試薬レザバーサブシステム1608からフローセル1607のチャネルを通って基板上の細胞1602に送達される。あるいは、コンピュータープロセッサー1601により、フローセル1607による検出可能な作用物質の第1のセットの基板上の細胞1602への送達が完了した後、基板および細胞1602を加熱するプログラムを実行することができる。細胞を10分未満にわたって標識した後(例えば、
図1および
図2に記載され、
図9A~9Gに例示されている通り)、コンピュータープロセッサー1601により、フローセル1607に対して、細胞および基板から検出可能な試薬が除去されるよう命令が下される。コンピュータープロセッサー1609により、検出器1607に対して、細胞をイメージングするよう命令が下される。任意選択で、コンピュータープロセッサー1609により、イメージング前に細胞および基板がより低い温度または室温に冷却されるように命令が下される。次いで、コンピュータープロセッサー1601により、電圧発生装置1605に対して、5ボルト以上の電圧が6分以下にわたって生成され、それにより細胞が脱標識されるよう命令が下される(上および
図3に記載され、
図10A~10H、
図12A~12C、
図18A~18B、および
図19A~19Dにおいて例示されている通り)。任意選択で、コンピュータープロセッサー1601により、温度制御デバイス1604に対して、電圧印加の前またはその間に設定温度に達するよう命令が下され得る。次いで、コンピュータープロセッサー1601により、フローセル1607に対して、検出可能な作用物質の第2のセットが細胞に送達され、細胞が第2のマーカーのセットで標識されるよう命令が下される。任意選択で、コンピュータープロセッサー1601により、検出器1607に対して、電圧印加中またはその後に細胞をイメージングして十分な脱標識を確かめるよう命令が下され得る。前と同様に、コンピュータープロセッサー1601により、検出器1609に対して、超高速標識が完了したら細胞をイメージングするよう命令が下され、その後、電圧発生装置1605に対して、電圧を印加し細胞の2度目の脱標識がなされるように指示される。
【0182】
サイクリック脱標識および標識の任意のラウンド中の任意の時点で検出可能な作用物質および/または細胞構造を(例えば、光学蛍光顕微鏡で)検出することができる。すなわち、標識または脱標識の任意のラウンドの前、その後、またはその間に検出可能な作用物質を検出することができる。一部の実施形態では、各標識ステップ後、各脱標識ステップ前に試料を検出ステップに供することができる(例えば、検出可能な作用物質をレーザーで刺激し、検出可能な作用物質から放出される光子を検出する)。一部の実施形態では、例えば、検出可能な作用物質からのシグナル(単数または複数)が減弱したことを確かめるため、またはその後の検出事象を正規化することができるベースラインを決定するために、脱標識ステップ後、次の標識ステップ前に別の検出ステップを実施することができる。この目的のためには、試料のサブセット(例えば、細胞または目的の分子の一部)に対して検出を行うことが十分であり得る。
【0183】
一部の実施形態では、細胞または分子を、ある特定の検出可能な作用物質で標識するためには、例えば、細胞を蛍光抗体でおよび蛍光核酸で標識することにおいて、異なる条件(例えば、検出可能な作用物質の温度または濃度)が必要になり得る。これらの場合には、それぞれが標識の当該ラウンドにおいて使用される検出可能な作用物質に適した実験条件(例えば、温度、検出可能な作用物質と接触している時間、試料と接触している間の検出可能な作用物質の濃度など)を含む標識の多数のラウンドを脱標識および/または検出のラウンドごとに実施することができる。同様に、個々の検出可能な作用物質の最適な脱標識には、検出可能な作用物質の個々の組合せ(例えば、電圧の印加に加えてBlack Hole Quencherの使用)それぞれに異なる実験条件が必要になる場合があり、したがって、標識および/または検出の各ラウンドに対して多数のラウンドの脱標識を実施することができる。
【0184】
一部の実施形態では、試料が、検出器または検出システムで再設定せずに検出することができるよりも多くの検出可能な作用物質で標識される場合がある。したがって、標識ステップは、検出器または検出システムを再設定することを含み得る。検出器または検出システムの再設定は、逐次的な標識ステップの間、逐次的な脱標識ステップの間、または標識ステップと脱標識ステップの間に行うこともできる。例えば、各細胞上の検出可能な作用物質を検出することができるように、顕微鏡上のフィルターキューブを変えることができる。別の例として、各細胞上の検出可能な作用物質を検出することができるように、励起源(例えば、波長または強度などの出力光が異なるLEDまたはレーザー)またはカメラ(例えば、異なる波長の光に対する感度が異なる、または画素サイズおよび画素感度もしくは量子効率が異なる)を変えることができる。これらなどの状況では、標識および/または脱標識の各ラウンドに対して多数のラウンドの検出を本明細書に記載の方法の一部として実施することができる。次いで、同じ検出チャネルを細胞の脱標識および再標識に再使用することができる。
【0185】
検出可能な作用物質の検出を細胞または分子の標識または脱標識のいずれかの前、その間、またはその後に行うことができ、細胞の標識および/または脱標識を周期的に実施することができるので、検出可能な作用物質の検出を所与の細胞または分子に対して実験の経過にわたって多数回、検出可能な作用物質を介して行うことができる。
【0186】
図4~
図6に記載されている方法に加えて、超高速サイクリック蛍光イメージングは、試料(例えば、細胞または目的の分子、707、807)を冷却するステップを含んでよく、当該ステップは、例えば、試料に熱を受動的に放射させること、流体(例えば、試料および/もしくは基板と接触している液体、試料および/もしくは基板と接触しているもしくは試料と接触している流体と接触している空気もしくは液体窒素の蒸気相などの気体)への曝露もしくは対流、または試料および/もしくはその環境(例えば、試料もしくは基板と接触している基板および/もしくは気相)を冷蔵することを含み得る。一部の実施形態では、試料の冷却は、設定点温度(例えば、20℃、25℃、30℃)を規定し、温度を設定点温度から0.25℃以内、0.5℃以内、1℃以内、2℃以内、3℃以内、4℃以内、および5℃以内に制御することを含み得る。一部の実施形態では、温度制御デバイスは、試料または試薬を冷却する手段(例えば、試料を冷却する手段として試料と接触させて置かれる、試薬レザバー中の流体)を含み得る。
【0187】
サイクリック超高速蛍光標識および脱標識(
図7および
図8の一部の実施形態に記載されている)または超高速蛍光標識(
図2に記載されている)の冷却ステップは、試料(例えば、細胞、目的の分子、または検出可能な作用物質、702、803)を加熱する直前、試料を検出可能な作用物質と接触させる(103、104、203、205、403、503、603、703、802)直前、検出可能な作用物質からのシグナルを検出する直前(例えば、103と106の間、203と208の間、403と404の間、503と504の間、603と604の間、703と704の間、または803と804の間)、または試料に電圧または電場を印加する直前(例えば、301と302の間、504と505の間、604と605の間、704と705の間、または804と805の間)に行うことができる。細胞、分子、または検出可能な作用物質を冷却することを含み得る冷却ステップは、任意選択で検出可能なシグナルが実質的に存在しないこと(例えば、実質的な低減)を確かめる直前(例えば、302と303の間、405と406の間、505と506の間、605と606の間、705と706の間、または805と806の間)に行うこともできる。
【0188】
試料の標識および/または脱標識は、独立した方法としてまたは超高速サイクリック蛍光イメージングの一部としてのいずれでも、試料に機械力を適用することを含み得る。試料に機械力を適用することは、一部の実施形態では、試料の上に流体を流すことまたは細胞および/もしくは試料と接触している基板もしくは流体を撹拌することを含み得る。そのような機械力の適用は、超高速標識、脱標識、またはサイクリック蛍光イメージングの任意の時点で行うことができ、検出可能な作用物質と試料の接触を改善するまたは検出可能な作用物質の洗浄/除去を改善するまたは脱標識を改善する目的で実施することができる。試料の上の流体の流れは、標識している間の物質移動(例えば、物質輸送)を改善すること(例えば、検出可能な作用物質の細胞または目的の分子への輸送を改善することによって)または脱標識している間の物質移動(例えば、物質輸送)を改善すること(例えば、活性酸素種などの反応性化学種の電極領域から細胞/検出可能な作用物質への輸送を改善することによって)においても有用であり得る。したがって、本明細書に記載の超高速標識、脱標識、イメージング、またはサイクリック蛍光イメージング法の任意の時点で流体の流れを伴うステップを組み入れることができる。流体を流すステップはフローセルの使用を伴い得る。
【0189】
多重化および自動化
分子のサイクリック脱標識、標識、および検出のプロセスを自動化および/または多重化して、プロセスの効率をさらに改善することができる。そのような多重化方法では、それぞれが細胞または目的の分子を含有する複数の基板を立て続けに処理すること(例えば、標識し、脱標識し、洗浄し、刺激し、検出するなど)ができる。多重化を容易にするために、基板を積み重ね、基板を各ステップのための位置に個別に移動させることができる可動試料トレイを通じて、標識および/または脱標識プロセスの個々のステップ(例えば、加熱、標識、検出、電圧または電場の印加など)のための位置に移動させる。この基板の各ステップのための位置への移動は、試料トレイを作動させるギアを含んでよく、ギアは、コンピュータープロセッサーにより予め確立されたプログラムの一部として作動させることができ、そして当該プログラムは実験に使用される個々のプロトコールまたは検出可能な作用物質のためにカスタマイズすることができる。一部の実施形態では、標識および検出、または検出および脱標識などの多数のステップを、ステップ間に基板を移動させる必要なく、同じ場所で行うことができる。
【0190】
ユーザーからの追加的な介入を伴わずに細胞(または目的の分子)が標識され、脱標識され、検出可能な作用物質(または複数の検出可能な作用物質)が検出されるように、フローセル(単数または複数)、電圧または電場発生装置(単数または複数)、温度制御デバイス(単数または複数)、移動式顕微鏡ステージ(単数または複数)およびフィルターキューブ(単数または複数)、ならびに検出器(単数または複数)の活性化および不活性化のプロセスを自動化することができる。これらのプロセスは上記の方法に従って周期的に実施することができるので、本明細書に記載の方法およびシステムを使用することにより、検出可能な作用物質の多数のセットを使用して細胞を標識することができ、驚くほど短い期間で検出することができる。したがって、一部の実施形態では、システムは、ユーザーがプログラム(例えば、試料の標識、脱標識、または標識および脱標識の方法を実施する予めプログラミングされたまたはユーザー規定プログラム)を開始し、プログラムの他のステップは全てシステムにより自動的に実施される解放型または閉鎖型システムを含み得る。一部の実施形態では、ユーザー介入は実験の開始時(例えば、基板および/または細胞および/または検出可能な試薬の挿入、プログラムまたはコンピュータープロセッサーの開始時)および終了時(例えば、コンピュータープロセッサーからの結果を得、試薬/使い捨てをシステムから除去した時)にのみ必要になる。
【0191】
本明細書に記載の方法の多重化および自動化により付与される細胞の標識、脱標識、およびイメージングの効率の改善により、細胞の染色および脱染色および検出プロトコールのスループットを平均で1分当たり少なくとも10ウェル、1分当たり少なくとも20ウェル、1分当たり少なくとも30ウェル、1時間当たり少なくとも40ウェル、1時間当たり少なくとも50ウェル、1時間当たり少なくとも100ウェル、1秒当たり少なくとも10個の細胞、1秒当たり少なくとも100個の細胞、1秒当たり少なくとも1000個の細胞、1秒当たり少なくとも2500個の細胞、1秒当たり少なくとも5000個の細胞、検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも10個の細胞、検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも100個の細胞、検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも1000個の細胞、検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも2500個の細胞、または検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも5000個の細胞に改善することができる。
【0192】
データ処理
本明細書に記載の器具および方法は、デジタル処理デバイス、またはその使用を含み得る。デジタル処理デバイスは、デバイスの機能を実行する1つまたは複数のハードウェア中央処理装置(CPU)を含み得る。デジタル処理デバイスは、実行可能な指示が実施されるように構成されたオペレーティングシステムをさらに含み得る。一部の実施形態では、デジタル処理デバイスは、任意選択でコンピューターネットワークに接続されている、任意選択でインターネットに接続されており、したがってWorld Wide Webにアクセスする、または任意選択でクラウドコンピューティング基盤に接続されている。他の実施形態では、デジタル処理デバイスは、任意選択でイントラネットに接続されている。他の実施形態では、デジタル処理デバイスは、任意選択でデータ記憶デバイスに接続されている。
【0193】
本明細書における説明と一致して、適切なデジタル処理デバイスは、非限定的な例として、サーバーコンピューター、デスクトップコンピューター、および携帯型コンピューティングデバイスを含み得る。デジタル処理デバイスは、実行可能な指示が実施されるように構成されたオペレーティングシステムを含み得る。オペレーティングシステムは、例えば、デバイスのハードウェアを管理し、アプリケーションを実行するためのサービスを提供することができる、プログラムおよびデータを含めたソフトウェアであってよい。
【0194】
一部の実施形態では、デバイスは、記憶および/またはメモリデバイスを含み得る。記憶および/またはメモリデバイスは、データまたはプログラムを一時的にまたは永久的に記憶させるために使用される1つまたは複数の物理的器具であり得る。一部の実施形態では、デバイスは、揮発性メモリであり、記憶された情報を維持するための電力を必要とする。他の実施形態では、デバイスは非揮発性メモリであり、記憶された情報はデジタル処理デバイスに電力が供給されていなくても保持される。デバイスは、非限定的な例として、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリデバイス、磁気ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、およびクラウドコンピューティングに基づくストレージを含む、記憶デバイスであってよい。記憶および/またはメモリデバイスは、本明細書に開示されるものなどのデバイスの組合せであってもよい。
【0195】
デジタル処理デバイスは、視覚情報をユーザーに送るためのディスプレイを含み得る。一部の実施形態では、ディスプレイは、タッチスクリーンを含む。デジタル処理デバイスは、ユーザーから情報を受け取るためのインプットデバイスも含み得る。例えば、インプットデバイスは、キーボード、マウス、タッチスクリーンなどであってよい。
【0196】
非一過性コンピューター可読記憶媒体
一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステム、器具、および方法は、任意選択でネットワーク接続されたデジタル処理デバイスのオペレーティングシステムによって実行可能な指示を含むプログラムをコードする1つまたは複数の非一過性コンピューター可読記憶媒体を含み得る。コンピューター可読記憶媒体としては、非限定的な例として、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリデバイス、ソリッドステートメモリ、磁気ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、クラウドコンピューティングシステムおよびサービスなどを挙げることができる。一部の場合では、プログラムおよび指示は、媒体に永久的に、実質的に永久的に、半永久的に、または非一時的にコードされている。
【0197】
コンピュータープログラム
本明細書に開示されるシステム、器具、および方法は、少なくとも1つのコンピュータープログラム、またはその使用を含み得る。コンピュータープログラムは、指定の課題が実施されるように書かれた、デジタル処理デバイスのCPUで実行可能な一連の指示を含む。一部の実施形態では、コンピューター可読指示は、例えば、特定の課題を実施するまたは特定の抽象データ型を実行するファンクション、オブジェクト、アプリケーションプログラミングインターフェース(Application Programming Interface)(API)、データ構造などのプログラムモジュールとして実行される。本明細書に提示される開示を踏まえて、ある特定の実施形態では、コンピュータープログラムは種々の原語の種々のバージョンで書かれることが当業者は理解しているものと予想される。
【0198】
別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての科学技術用語は、特許請求された主題が属する分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は単に例示的かつ説明的なものであり、特許請求されたいかなる主題も限定するものではないことが理解されるべきである。本出願では、単数形の使用は、他に特に指定がなければ複数を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈により明確に別段の規定がなされない限り、複数の指示対象を包含することに留意しなければならない。本出願では、「または(or)」の使用は、別段の指定のない限り「および/または(and/or)」を意味する。さらに、「含む(including)」という用語ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定的なものではない。
【0199】
本明細書で使用される場合、範囲および量は、「約」特定の値または範囲として表される場合がある。約は、正確な量も含む。したがって、「約5μL」は、「約5μL」を意味し、「5μL」も意味する。一般に、「約」という用語は、実験的誤差の範囲内に入ることが予測される量を包含する。
【0200】
本明細書で使用される節の見出しは、単に構成目的のものであり、記載の主題を限定するものとは解釈されない。
【実施例0201】
以下の実施例は、本開示の一部の態様をさらに記載するために含まれ、本発明の範囲を限定するために使用されるものではない。
【0202】
(実施例1)
基板上の細胞の固定および標識
この実施例では、
図1および
図2において説明されており、
図4に例示されている、検出可能な作用物質を用いた細胞の固定および超高速標識を記載する。
【0203】
MCF-7細胞を、37℃、5%CO
2で、ペトリ皿上、10%ウシ胎仔血清および1%ペニシリン(50U ml
-1)-ストレプトマイシン(5μg ml
-1)を補充したイーグル最小必須培地(L-グルタミンを伴う)中に播種し、80%集密になるまで成長させた。次いで、細胞をPBSで洗浄し、4%パラホルムアルデヒド/PBSを用いて室温で15分にわたって固定した後、PBSで3回洗浄した。細胞を37℃に加熱し(
図1のステップ102の通り)、1μg/mlのPE-抗ヒトCD326(EpCAM)抗体を細胞に適用した(
図1のステップ103の通り)。遊離の、PEとコンジュゲートした抗体を洗い落とした後、標識された細胞を、Xeランプ源を備えた蛍光顕微鏡(Nikon Eclipse TE2000)を使用して周囲条件下で検出した(
図1のステップ106の通り)。蛍光シグナルを556nmのロングパスフィルターおよび585/42nmのバンドパスフィルターによってフィルターにかけ、コンピューターソフトウェア一式を使用して、PE染色された細胞の画像を記録し、解析した。
【0204】
固定されたMCF-7細胞の5分にわたる超高速標識により、従来の標識プロトコール(例えば、室温、すなわち約24℃で、超高速標識プロトコールと比べて1:10の検出可能な作用物質の希釈度を使用して標識する)を使用して標識された細胞の平均輝度の6倍を超える平均輝度がもたらされた。
図9Gは、超高速標識(例えば、10×、37℃、5分間)を使用した標識された細胞のフローサイトメトリーを用いたシグナル強度を示し、フローサイトメトリーにおいて細胞によって示される正の蛍光強度が高いことから明らかである通り、超高速標識法により、高度に効率的な標識がもたらされることを示す。同時に、超高速標識では、通常の標識法を用いて得られるものと同等の低い非特異的結合が維持される。
【0205】
(実施例2)
印加電圧を用いた細胞の脱標識
この実施例では、
図3において説明されており、
図10A~10H、
図11A~11D、
図12A~12C、
図13A~13T、
図14A~14F、および
図15A~15Cに例示されている、印加電圧を使用した細胞の超高速脱標識を記載する。
【0206】
実施例1の通りペトリ皿で80%集密になるまで培養し、PE-抗EpCAMを用いて標識したMCF-7細胞を、基板が、電圧を生成し、電場を放出することができ、細胞を浸した1×PBS(pH7.3)溶液と接触しており、基板の両側または流体の入口および出口に置いた白金電極の対の間であるように向き付けた(301)。電極の一方は電源装置に接続し、他方はアース針金に接続し、このように電気回路を形成した。基板上の細胞と接触させた溶液を8ボルトの電圧に60秒間曝露させた(302)。電源装置を切断し、任意選択で、検出可能な作用物質の脱標識を確かめるために、脱標識された細胞を伴う基板を、イメージングのために、周囲条件下で、Xeランプ源を備えた蛍光顕微鏡上の位置に移動させた。実施例1の通り細胞をイメージングし、解析して、検出可能な作用物質シグナルが99%低減したことを確かめた(303)。
【0207】
8ボルトでの超高速脱標識により、検出可能な作用物質シグナル強度が60秒後に脱標識されていなかった試料からのシグナルの10%未満に(
図11Cおよび
図11Dを参照されたい)、ならびに90秒後に脱標識されていなかった試料からのシグナルの1%未満に低減した(
図11Cおよび
図11Dを参照されたい)。
【0208】
(実施例3)
超高速標識の非特異的結合
この実施例では、
図17A~17Dに示されている、超高速標識の非特異的結合を記載する。
【0209】
超高速標識法および通常の標識法をB細胞およびB細胞/T細胞混合物に対して実施して、超高速標識の結果生じる非特異的バックグラウンドシグナルを通常の標識と比較して評価した。通常の標識法を使用して標識された細胞は、0.125μg/mLの抗CD28 PE-抗体を用いて室温で5分間処理した。超高速標識法を用いて標識された細胞は、1.25μg/mLの抗CD28 PE-抗体を用いて37℃で5分間処理した。次いで、細胞を、ランプ源を備えたNikon Eclipse TE2000蛍光顕微鏡を使用して周囲条件下でイメージングした。試料から検出されたシグナルを556nmのロングパスフィルターおよび585/42nmのバンドパスフィルターを用いてフィルターにかけ、コンピューターソフトウェア一式を使用して、PE染色された細胞の画像を記録し、解析した。
【0210】
結果から、B細胞のみの懸濁液およびB細胞/T細胞混合懸濁液のどちらにおいても、B細胞の非特異的染色が最小であり、通常の標識法と超高速標識法で同等であったことが示される(
図17A~17D参照、
図17Aおよび
図17Bと
図17C、および
図17Dを比較されたい)。B細胞はPE-抗体に結合するタンパク質を発現せず、したがって、陰性対照としての機能を果たし、非特異的染色のレベルを決定するためのものであること;T細胞はPE-抗体に結合するタンパク質を発現し、したがって、陽性対照としての機能を果たすことに留意されたい。
図17Aおよび
図17Cの挿入図は、細胞の存在を図示するために画像の獲得をin silicoで同じ量だけ増大させた画像の後処理を表す。したがって、超高速標識法を用いて染色された細胞における非特異的なバックグラウンド染色(例えば、非特異的な検出可能な作用物質シグナル)は最小であることが見いだされた。
【0211】
(実施例4)
Black Hole Quencherを用いた細胞の脱標識
この実施例では、
図19A~19Dに示されている、検出可能な作用物質シグナルクエンチャーを使用した、標識された細胞の超高速脱標識を記載する。
【0212】
細胞を、検出可能な作用物質としてPE-抗EpCAMの代わりにストレプトアビジンとコンジュゲートしたポリマードット抗体を使用したことを例外として、実施例1の通り標識した。ストレプトアビジンとコンジュゲートしたポリマードットを最終濃度5ppmで使用した。細胞を、ビオチン化抗EpCAMで標識した後、ストレプトアビジンとコンジュゲートしたポリマードットと接触させた。
図19Aおよび
図19Bは、それぞれ、ビオチン-抗EpCAMを用いて標識した後の細胞およびストレプトアビジン-ポリマードットを用いて標識した後の細胞の明視野および蛍光画像を示す。およそ2nm距離でのクエンチング反応で600nmを中心に広範な吸収スペクトルを持つクエンチャーであるBHQ2-NH2 Black Hole QuencherをDMSO中、2mMのストック濃度に調製し、1×PBS(pH7.3)で希釈して最終濃度を60μMにした後、細胞に90秒間適用した。細胞を1×PBSで洗浄し、任意選択で、イメージングして(実施例2および
図3、ステップ303の通り)、検出可能な作用物質シグナルが95%低減したことを確かめた(
図19Cを参照されたい)。次いで、細胞を、PE-抗EpCAMを使用して再染色した(
図19Dを参照されたい)。
【0213】
(実施例5)
細胞の超高速標識および脱標識
この実施例では、
図4に記載され、
図20A~20Iにおいて例示されている、細胞の超高速標識、検出、および脱標識を記載する。
【0214】
MCF-7細胞を、37℃、5%CO
2で、ペトリ皿上、10%ウシ胎仔血清および1%ペニシリン(50U ml
-1)-ストレプトマイシン(5μg ml
-1)を補充したイーグル最小必須培地(L-グルタミンを伴う)中に播種し、80%集密になるまで成長させた。次いで、細胞をPBSで洗浄し、4%パラホルムアルデヒド/PBSを用いて室温で15分にわたって固定した後、PBSで3回洗浄した。細胞を37℃に加熱した後(
図4のステップ402の通り)、実施例1と同様の実験標識条件を使用して1μg/mlの濃度のPE-抗サイトケラチンと5分間接触させた(ステップ403参照)。次いで、細胞を、Xeランプ源を備える蛍光顕微鏡を使用して周囲条件下でイメージングした(404)。試料から検出されたシグナルを、556nmのロングパスフィルターおよび585/42nmのバンドパスフィルターを用いてフィルターにかけ、コンピューターソフトウェア一式を使用して、PE染色された細胞の画像を記録し、解析した。標識からの代表的な結果は
図20Aにおいて見ることができる(上のパネル、明視野;下のパネル、蛍光検出)。次いで、細胞に8ボルトの強度の電圧を5分間かけた(ステップ405)。この後、細胞を再度イメージングして、検出可能な作用物質の脱標識を確認した(ステップ406および
図20B)。
【0215】
(実施例6)
細胞の超高速サイクリック標識および脱標識
この実施例では、
図4において説明されており、
図20A~20Iにおいて例示されている、細胞の反復的なサイクリック標識、検出、および脱標識を記載する。
【0216】
MCF-7細胞を標識、脱標識、および再標識するためのプロトコールで超高速標識および脱標識法を周期的に適用する利点をアッセイした。実施例5に記載の超高速標識法を使用して、細胞を1μg/mlのPE-抗サイトケラチンを用いて標識し、イメージングした。次いで、細胞を実施例5に記載の通り超高速脱標識にかけた後、超高速標識ステップおよび脱標識ステップをさらに4回繰り返した(
図20C~
図20I)。
【0217】
すなわち、細胞を、4%パラホルムアルデヒド/PBSを用いて室温で15分にわたって固定し、洗浄し、加熱し、実施例5に記載されている方法に従ってPE-抗サイトケラチンと接触させた後、顕微鏡でイメージングした(
図20A)。次いで、細胞を8ボルトの電圧に5分間曝露させて(実施例5の方法と同様に)細胞を脱標識し、細胞をイメージングして脱標識を確認した(
図20B)。次いで、細胞を、1μg/mlのPE-抗MUC1抗体および標識の第1のラウンドと同一の条件を使用してもう一度標識した(例えば、試料を37℃の温度にし、5分にわたって標識した)。次いで、試料を、PE-抗サイトケラチン検出に使用したものと同じ設定を使用してイメージングした後(
図20C)、試料を脱標識し、イメージングした(
図20D)。同じ試料をPE-抗HER2を用いて標識(
図20E)および脱標識(
図20F)するため、同じ試料をPE-抗EpCAMを用いて標識(
図20G)および脱標識(
図20H)するため、ならびに同じ試料をPE-抗EGFRを用いて標識(
図20I)するために、脱標識、標識、および検出のプロセスを繰り返した。実験結果から、検出可能な作用物質に関する細胞の標識、検出、および脱標識のプロセスを10~15分またはそれ未満で実現することができることが示され、これにより、細胞の逐次的な標識および脱標識を、費用効果が有意により大きく、時間集約および労力集約が有意により少ないものにすることができることが示唆される。
【0218】
(実施例7)
細胞の多重化超高速サイクリック蛍光イメージング
この実施例では、上および
図4および
図20A~20Iに記載されている、細胞の自動化された多重化超高速標識、検出、および脱標識を記載する。
【0219】
目的の細胞を含有する基板のスタックを、蛍光顕微鏡(青色LED(480nmの放出波長付近に集中)およびシャッターを備えた落射蛍光顕微鏡ならびに556nmのロングパスフィルターおよび585/42nmのバンドパスフィルターを備えた光学検出器)、電圧または電場供給源(電源装置に接続されている)、両方が基板と接触下に置かれ得るように熱電対に接続された加熱用要素、ならびに、蠕動ポンプ、固定液、緩衝液、および各検出可能な作用物質用の試薬レザバー、廃棄流体レザバー、および基板、ポンプ、およびレザバーを接続する複数の流体チャネルおよび弁で構成されるマイクロ流体システムに接続された分析機器トレイに置くことにより、細胞を多重化超高速サイクリック蛍光イメージングにかける。サイクルごとに適用される検出可能な作用物質の所望の数量、検出可能な作用物質の励起源、検出可能な作用物質と試料の接触時間、検出方法(例えば、分析される基板のウェル、細胞の光励起への曝露時間、検出器の積分時間、フィルターの位置など)、ならびに標識および脱標識のラウンド数を含めたパラメータを、ユーザーインターフェースを通じてコンピューターにインプットする。ユーザーにより開始されると、コンピューターにより、マイクロ流体デバイスに20μlの4%パラホルムアルデヒド/PBSおよび0.25%Triton X-100(細胞透過処理剤)を流体レザバーの1つから基板上の細胞に送達させるプログラムが実行される。15分後、コンピューターにより、マイクロ流体デバイスに対して、パラホルムアルデヒドを廃棄レザバーに除去し、150μMのBlockAid(商標)20μlを含有する洗浄緩衝液を基板に5分にわたって送達するよう命令が下される。次いで、コンピュータープロセッサーにより、加熱用要素(および熱電対を伴う負のフィードバックループ)が自動的に開始されて、基板上の細胞が37℃に加熱され、次いで、マイクロ流体システムが使用されて、1μg/mlのPE-抗EpCAM、1μg/mlのAPC-抗サイトケラチン、1μg/mlのFITC-抗MUC1、1μg/mlのAlexaFluor594-抗HER2、および1μg/mlのPE-Cy7-抗EGFRを含有するPBS 20μlが基板上の細胞に送達される。検出可能な作用物質と細胞が5分間接触した後、コンピュータープロセッサーからのコマンドで検出可能な作用物質を含有する上清がマイクロ流体デバイスによって廃棄レザバーに除去される。細胞が、蛍光顕微鏡を使用してイメージングされる。異なるように着色された抗体が、コンピュータープロセッサーによって実行されるプログラムによって規定される異なるフィルターキューブを使用することによってイメージングされる。次いで、システムの試料トレイギア機構により、基板が、電源が収納されている器具の電気的に遮蔽された領域に移動し、8ボルトの電圧に60秒間曝露される。これが起こるにしたがい、第2の基板が位置に移動し、第1の基板の標識に使用されたものと同じ方法を使用して5分にわたって標識される。他の基板上の細胞がイメージングまたは脱標識されるにしたがい、第1の基板が検出可能な作用物質の第2のセット(1μg/mlのPE-抗E-カドヘリン、1μg/mlのAPC-CD49d、1μg/mlのPE-Cy7-抗CD11b、1μg/mlのAlexaFluor594-抗ckit、1μg/mlのFITC-抗EpCAM、1μg/mlのBODIPY R6G-抗CD68、1μg/mlのCy5.5-APC-抗CD45)で標識され、再度イメージングされる。同時に第1の試料の標識および第2の試料の脱標識を行うことが可能なシステムが利用できない場合、第2の試料を同時に処理せずに単一の試料について標識ステップおよび脱標識ステップを続けて実施する。実験に必要な全ての検出可能な作用物質で全ての基板上の全ての細胞が標識され、検出されるまでプロセスをこのように継続する。
【0220】
多重標識された細胞の脱標識で、細胞を標識するために使用された検出可能な作用物質の1つを脱標識するためにクエンチング剤が必要な場合、検出可能な作用物質を必要とする超高速サイクリック標識プロトコールのステップが、コンピュータープロセッサーによってプログラムが開始される前にユーザーによりユーザーインターフェースを介して規定され、プロセッサーにより、フローセルに対して、妥当なステップの時点でクエンチング剤を妥当な試薬レザバーから妥当な基板(例えば、妥当な基板のウェル)に送達するよう命令が下される。
【0221】
本発明の好ましい実施形態が本明細書において示され、記載されているが、当業者には、そのような実施形態は、単に例として提供されていることが明らかになると予想される。当業者は、本発明から逸脱することなく多数の変形、変化および置換をすぐに思いつくと予想される。本明細書に記載の発明の実施形態に対する種々の代替を本発明の実施において使用できることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲により本発明の範囲が規定されること、ならびに、それにより、これらの特許請求の範囲内の方法および構造およびそれらの等価物が包含されることが意図されている。
【0222】
(実施例8)
流体の連続流の下での細胞の脱標識
この実施例では、
図14A~
図14Cに記載されている、流体の連続流の下での細胞の脱標識を記載する。
【0223】
MCF-7細胞を、37℃、5%CO
2で、ペトリ皿上、10%ウシ胎仔血清および1%ペニシリン(50U ml
-1)-ストレプトマイシン(5μg ml
-1)を補充したイーグル最小必須培地(L-グルタミンを伴う)中に播種し、80%集密になるまで成長させた。次いで、細胞をPBSで洗浄し、4%パラホルムアルデヒド/PBSを用いて室温で15分にわたって固定した後、PBSで3回洗浄した。細胞を37℃に加熱し(
図1のステップ102の通り)、1μg/mlのPE-抗ヒトCD326(EpCAM)抗体を細胞に適用した(
図1のステップ103の通り)。遊離の、PEとコンジュゲートした抗体を洗い落とした後、標識された細胞を、Xeランプ源を備えた蛍光顕微鏡(Nikon Eclipse TE2000)を使用して周囲条件で検出した(
図1のステップ106の通り)。蛍光シグナルを556nmのロングパスフィルターおよび585/42nmのバンドパスフィルターによってフィルターにかけ、コンピューターソフトウェア一式を使用して、PE染色された細胞の画像を記録し、解析した(
図14B)。
【0224】
次いで、PE-抗EpCAMで標識されたMCF-7細胞に5Vの強度の電圧を180秒間かけ、緩衝液の連続流をチャネルに適用した。
図14Cは、MCF-7細胞が高効率で脱標識されたことを示す。
【0225】
(実施例9)
流体の制御流および時限流下での細胞の脱標識
この実施例では、
図14D~
図14Fに記載されている、流体の制御流および時限流下での細胞の脱標識を記載する。
【0226】
MCF-7細胞を、37℃、5%CO
2で、ペトリ皿上、10%ウシ胎仔血清および1%ペニシリン(50U ml
-1)-ストレプトマイシン(5μg ml
-1)を補充したイーグル最小必須培地(L-グルタミンを伴う)中に播種し、80%集密になるまで成長させた。次いで、細胞をPBSで洗浄し、4%パラホルムアルデヒド/PBSを用いて室温で15分にわたって固定した後、PBSで3回洗浄した。細胞を37℃に加熱し(
図1のステップ102の通り)、1μg/mlのPE-抗ヒトCD326(EpCAM)抗体を細胞に適用した(
図1のステップ103の通り)。遊離の、PEとコンジュゲートした抗体を洗い落とした後、標識された細胞を、Xeランプ源を備えた蛍光顕微鏡(Nikon Eclipse TE2000)を使用して周囲条件で検出した(
図1のステップ106の通り)。蛍光シグナルを556nmのロングパスフィルターおよび585/42nmのバンドパスフィルターによってフィルターにかけ、コンピューターソフトウェア一式を使用して、PE染色された細胞の画像を記録し、解析した(
図14E)。
【0227】
次いで、PE-抗EpCAMで標識されたMCF-7細胞に4Vの強度の電圧を180秒間かけ、緩衝液のチャネル内への制御適用および時限適用を行った。
図14Fは、MCF-7細胞が高い有効性で脱標識されたことを示す。
【0228】
(実施例10)
エピトープ損傷を伴わない細胞の標識および脱標識
この実施例では、
図15A~
図15Cにおいて例示されている、注目すべきエピトープ損傷を伴わない9サイクルの細胞の標識および脱標識を記載する。この実施例では、少なくとも9サイクルの標識および脱標識(すなわち、10サイクルのイメージング)を細胞に対する注目すべきエピトープ損傷を誘導することなく行うことができることが実証される。
【0229】
MCF-7細胞を、37℃、5%CO
2で、ペトリ皿上、10%ウシ胎仔血清および1%ペニシリン(50U ml
-1)-ストレプトマイシン(5μg ml
-1)を補充したイーグル最小必須培地(L-グルタミンを伴う)中に播種し、80%集密になるまで成長させた。次いで、細胞をPBSで洗浄し、4%パラホルムアルデヒド/PBSを用いて室温で15分にわたって固定した後、PBSで3回洗浄した。細胞を37℃に加熱し(
図1のステップ102の通り)、0.1μg/mlのPE-抗ヒトCD326(EpCAM)抗体を細胞に適用した(
図1のステップ103の通り)。遊離の、PEとコンジュゲートした抗体を洗い落とした後、標識された細胞を、Xeランプ源を備えた蛍光顕微鏡(Nikon Eclipse TE2000)を使用して周囲条件で検出した(
図1のステップ106の通り)。蛍光シグナルを556nmのロングパスフィルターおよび585/42nmのバンドパスフィルターによってフィルターにかけ、コンピューターソフトウェア一式を使用して、PE染色された細胞の画像を記録し、解析した(
図15B)。
【0230】
MCF-7細胞を9サイクルの脱標識に供した(それぞれ4Vで3分間、その後、細胞を、0.1μg/mlのPE-抗EpCAM抗体で標識した)。
図15Bに示されている通り、明視野画像および蛍光顕微鏡により、
図15Aに示されている対照(電圧印加なし)と比較した場合、輝度に有意差は示されず、したがって、細胞に対する注目すべきエピトープ損傷は示されなかった。
【0231】
図15Aおよび
図15Bにおける線に沿った輝度プロファイルにより、2つの代表的な画像の輝度レベル間に注目すべき差異はないことも実証され、(
図15C)、したがって、注目すべきエピトープ損傷は示されなかった。
【0232】
(実施例11)
サイクリック蛍光単一細胞イメージングのための単一細胞アレイの生成
この実施例では、
図21において例示されている、細胞を標識および脱標識する方法で使用するための単一細胞アレイの生成を記載する。この実施例では、サイクリック蛍光単一細胞イメージングのための単一細胞アレイの調製および使用が実証される。
【0233】
ガラス基板をまず、PEG(ポリエチレングリコール)コーティングなどの細胞の吸収に抵抗性の層でコーティングする。このコーティングの適用後、パターン形成技法を使用して、単一細胞が各パッチに強力に付着した(すなわち、パッチ当たり1個の細胞)パッチのアレイを創出する。細胞の吸収に抵抗性であるコーティングのバックグラウンドで創出されたこのパッチのアレイは、写真平板(
図21において使用されている通り)または当技術分野において記載されているソフトリソグラフィーなどの広範囲の確立された方法を使用して生成することができる。単一細胞を付着させるパッチの表面も、APTES(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)(
図21において使用されている通り)またはポリ-L-リシンなどの広範囲の表面化学から選択することができる。
【0234】
表面を細胞吸収に抵抗性の層(例えば、PEG)でコーティングし、個々の細胞を付着させる「粘着性」パッチをパターン形成する代わりに、まずガラスへの細胞付着のために「粘着性」パッチをパターン形成し、その後、「粘着性」パッチに占有されていない領域にわたって細胞吸収に抵抗性の表面化学の層を適用することも効率的であり得る。この目標を実現するために、PEG分子を露出したSi-OH基(「粘着性」パッチで覆われていない)に付着させることを含めたいくつかの方法が利用可能である。
【0235】
さらに、「粘着性」パッチは、適用の必要性、ならびに微細加工の方法の両方に応じて、平らな表面であってもよく、くぼんでいてもよい(例えば、ウェルのように)。くぼんだパッチは、当技術分野で公知の微細加工のツールおよびパターン形成された表面化学を使用して容易に創出することができ、細胞が流体の流れによって引き起こされる脱離からさらに保護される利点をもたらすものである。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
細胞を標識および脱標識する方法であって、
基板に会合させた細胞を提供するステップと、
前記細胞を、検出可能な作用物質と接触させるステップと、
前記細胞の複数の部位を、前記検出可能な作用物質で標識するステップと、
前記細胞にわたって電圧を印加するステップと、
前記細胞を脱標識するステップであり、脱標識が、前記細胞上の前記検出可能な作用物質を除去またはクエンチングすることを含む、ステップ
を含む方法。
(項目2)
細胞を標識および脱標識する方法であって、
基板に会合させた細胞を提供するステップと、
前記細胞を、検出可能な作用物質と接触させるステップと、
前記細胞の複数の部位を、前記検出可能な作用物質で標識するステップと、
前記細胞と接触させた溶液に電圧を印加するステップと、
前記細胞を脱標識するステップと
を含む方法。
(項目3)
前記細胞と接触させた溶液に電圧を印加するステップが、1つまたは複数の反応性化学種を生成する、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記細胞を脱標識するステップが、前記検出可能な作用物質を1つまたは複数の反応性化学種と接触させることを含む、項目1または2に記載の方法。
(項目5)
前記複数の部位を標識した後、前記検出可能な作用物質を検出するステップをさらに含む、項目1または2に記載の方法。
(項目6)
前記検出するステップが、前記検出可能な作用物質を光学的に検出することを含む、項目1から5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記標識および脱標識が、20分未満、15分未満、10分未満、9分未満、8分未満、7分未満、6分未満、5分未満、4分未満、または3分未満で実施される、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも10回、または少なくとも50回繰り返される、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
30分のうちに2回、45分のうちに3回、60分のうちに4回、75分のうちに5回、または90分のうちに6回実施される、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記細胞を、複数の検出可能な作用物質で標識するステップをさらに含む、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
複数の検出可能な作用物質で標識された細胞のイメージングを行うステップをさらに含む、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記複数の検出可能な作用物質を、単独でまたは組み合わせて、前記細胞に接触させる、項目10または11に記載の方法。
(項目13)
前記細胞の温度を、26℃から60℃、30℃から45℃、35℃から45℃、35℃から40℃、36.5℃から37.5℃であるように制御するステップをさらに含む、項目1から12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記温度が、温度設定点から0.5摂氏温度以内、1摂氏温度以内、2摂氏温度以内、または3摂氏温度以内に制御される、項目12または13に記載の方法。
(項目15)
前記検出可能な作用物質が、抗体に共有結合により付着しており、前記標識するステップの間、前記抗体の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~10μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである、項目1から14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記検出可能な作用物質が、CD4抗体に共有結合により付着しており、前記標識するステップの間、前記CD4抗体の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~10μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記検出可能な作用物質が、CD3抗体に共有結合により付着しており、前記標識するステップの間、前記CD3抗体の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~10μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記検出可能な作用物質が、CD28抗体に共有結合により付着しており、前記標識するステップの間、前記CD28抗体の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~10μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである、項目15に記載の方法。
(項目19)
前記検出可能な作用物質が、核酸に共有結合により付着しており、前記標識するステップの間、前記核酸の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~50μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである、項目1から14のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記検出可能な作用物質が、リボ核酸に共有結合により付着しており、前記標識するステップの間、前記リボ核酸の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~50μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記検出可能な作用物質が、デオキシリボ核酸に共有結合により付着しており、前記標識するステップの間、前記デオキシリボ核酸の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~50μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである、項目19に記載の方法。
(項目22)
前記細胞を、前記検出可能な作用物質と、10秒~15分、30秒~10分、1分~8分、または2分~6分、5分以下、7.5分以下、または10分以下の時間にわたって接触させるステップをさらに含む、項目1から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記細胞の複数の部位の一部が標識され、前記一部が、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%である、項目1から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記細胞の複数の部位の一部を、前記検出可能な作用物質を用いて、15分以下、10分以下、7.5分以下、5分以下、4分以下、3分以下、2分以下、または1分以下の時間で標識する、項目22に記載の方法。
(項目25)
前記細胞上の前記複数の検出可能な作用物質の飽和度が、標識を20℃で1時間にわたって実施した以外は同じ条件下で標識した第2の細胞と比較して、25%を超える、50%を超える、75%を超える、または90%を超える飽和度である、項目1から24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記細胞と接触させた溶液に印加される電圧が、1V~100V、1V~50V、1V~25V、もしくは5V~15V、または少なくとも8Vである、項目1から25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記細胞に電圧を1秒~20分、10秒~10分、20秒~5分、30秒~3分、または50秒~150秒にわたって印加する、項目24に記載の方法。
(項目28)
前記電圧が、直流(DC)、交流(AC)、またはDCとACの組合せである、項目1から27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
流体の連続流、間欠流、時限流、または制御流、またはこれらの組合せを、標識された細胞に適用する、項目1から28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記複数の部位の少なくとも90%が15分未満、10分未満、6分未満、5分未満、4分未満、または3分未満、2分未満、1分未満、または30秒未満の時間で脱標識される、項目1から29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記細胞上の前記複数の検出可能な作用物質の少なくとも95%が、10分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、または1分未満で脱標識される、項目1から30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記細胞上の前記複数の検出可能な作用物質の少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%が脱標識される、項目1から31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記細胞から検出される残留蛍光が、5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、または0.1%未満である、項目1から32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
標識された細胞をクエンチング剤と接触させるステップをさらに含む、項目1から33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記クエンチング剤がBlack Hole Quencherである、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記複数の検出可能な作用物質が、蛍光により検出可能な作用物質を含む、項目1から35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記複数の検出可能な作用物質が、アフィニティータグに共有結合により付着している、項目1から36のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記アフィニティータグがアプタマーである、項目1から37のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
前記アフィニティータグが抗体である、項目1から37のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記アフィニティータグが核酸である、項目1から37のいずれか一項に記載の方法。
(項目41)
前記アフィニティータグがリボ核酸を含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記アフィニティータグがデオキシリボ核酸を含む、項目40に記載の方法。
(項目43)
前記基板がチップを含む、項目1から42のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
前記基板が単一細胞アレイを含む、項目1から43のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
前記単一細胞アレイが、周期的な形式で配置された複数の細胞を含む規則アレイである、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記単一細胞アレイが、前記基板の30%よりも多く、40%よりも多く、50%よりも多く、60%よりも多く、70%よりも多く、80%よりも多く、90%よりも多くを覆う複数の細胞の単層を含む不規則アレイである、項目1から45のいずれか一項に記載の方法。
(項目47)
前記複数の細胞が、組織を含む、項目1から46のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
流体を前記基板にフローセルを使用して送達するステップをさらに含む、項目1から47のいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
前記フローセルが、マイクロ流体デバイスである、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記基板が平坦な基板である、項目1から49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
細胞を標識する方法であって、
基板に会合させた細胞を提供するステップと、
前記細胞を制御された温度に加熱するステップと、
検出可能な作用物質を前記細胞にフローセルを使用して送達するステップと、
前記細胞と前記検出可能な作用物質を接触させるステップと
を含む方法。
(項目52)
複数の部位を標識した後、前記検出可能な作用物質を検出するステップをさらに含む、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記検出するステップが、前記検出可能な作用物質を光学的に検出することを含む、項目51または52に記載の方法。
(項目54)
前記細胞を、複数の検出可能な作用物質で標識するステップをさらに含む、項目51から53のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記複数の検出可能な作用物質を、単独でまたは組み合わせて、前記細胞に接触させる、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記制御された温度が、26℃から60℃、30℃から45℃、35℃から45℃、35℃から40℃、36.5℃から37.5℃である、項目51から55のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記制御された温度が、温度設定点から0.5摂氏温度以内、1摂氏温度以内、2摂氏温度以内、または3摂氏温度以内である、項目52または56に記載の方法。
(項目58)
前記検出可能な作用物質が、抗体に共有結合により付着しており、前記標識するステップの間、前記抗体の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~10μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである、項目51から57のいずれか一項に記載の方法。
(項目59)
前記検出可能な作用物質が、CD4抗体に共有結合により付着しており、前記標識するステップの間、前記CD4抗体の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~10μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記検出可能な作用物質が、CD3抗体に共有結合により付着しており、前記標識するステップの間、前記CD3抗体の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~10μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記検出可能な作用物質が、CD28抗体に共有結合により付着しており、前記標識するステップの間、前記CD28抗体の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~10μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである、項目59に記載の方法。
(項目62)
前記検出可能な作用物質が、核酸に共有結合により付着しており、前記標識するステップの間、前記核酸の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~50μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである、項目52から58のいずれか一項に記載の方法。
(項目63)
前記検出可能な作用物質が、リボ核酸に共有結合により付着しており、前記標識するステップの間、前記リボ核酸の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~50μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記検出可能な作用物質が、デオキシリボ核酸に共有結合により付着しており、前記標識するステップの間、前記デオキシリボ核酸の濃度が0.01μg/ml~500μg/ml、0.01μg/ml~100μg/ml、0.05μg/ml~50μg/ml、または0.1μg/ml~5μg/mlである、項目62に記載の方法。
(項目65)
前記細胞と前記検出可能な作用物質を、10秒~15分、30秒~10分、1分~8分、または2分~6分、5分以下、7.5分以下、または10分以下の時間にわたって接触させる、項目51から64のいずれか一項に記載の方法。
(項目66)
前記細胞の複数の部位の少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%が標識される、項目51から65のいずれか一項に記載の方法。
(項目67)
前記細胞上の前記複数の検出可能な作用物質の飽和度が、
第2の細胞の標識を20℃で1時間にわたって実施した以外は同じ条件下で標識した前記第2の細胞の飽和度の、25%を超える、50%を超える、75%を超える、または90%を超える、項目65に記載の方法。
(項目68)
前記複数の検出可能な作用物質が、蛍光により検出可能な作用物質を含む、項目51から67のいずれか一項に記載の方法。
(項目69)
前記複数の検出可能な作用物質が、アフィニティータグに共有結合により付着している、項目51から68のいずれか一項に記載の方法。
(項目70)
前記アフィニティータグがアプタマーである、項目51から69のいずれか一項に記載の方法。
(項目71)
前記アフィニティータグが抗体である、項目51から70のいずれか一項に記載の方法。
(項目72)
前記アフィニティータグが核酸である、項目51から70のいずれか一項に記載の方法。
(項目73)
前記アフィニティータグがリボ核酸を含む、項目72に記載の方法。
(項目74)
前記アフィニティータグがデオキシリボ核酸を含む、項目72に記載の方法。
(項目75)
前記基板がチップを含む、項目51から74のいずれか一項に記載の方法。
(項目76)
前記基板が単一細胞アレイを含む、項目51から75のいずれか一項に記載の方法。
(項目77)
前記単一細胞アレイが、周期的な形式で配置された複数の細胞を含む規則アレイである、項目76に記載の方法。
(項目78)
前記単一細胞アレイが、前記基板の30%よりも多く、40%よりも多く、50%よりも多く、60%よりも多く、70%よりも多く、80%よりも多く、90%よりも多くを覆う複数の細胞の単層を含むランダムアレイである、項目77に記載の方法。
(項目79)
前記複数の細胞が、組織を含む、項目51から78のいずれか一項に記載の方法。
(項目80)
前記フローセルが、マイクロ流体デバイスである、項目51から79のいずれか一項に記載の方法。
(項目81)
前記基板が平坦な基板である、項目51から80のいずれか一項に記載の方法。
(項目82)
標識された細胞を脱標識する方法であって、
基板に会合させた細胞を提供するステップであり、前記細胞が複数の検出可能な作用物質で標識されている、ステップと、
標識された細胞に電圧を印加するステップと、
前記標識された細胞上の前記複数の検出可能な作用物質の少なくとも75%を15分未満に脱標識するステップと
を含む方法。
(項目83)
標識された細胞を脱標識する方法であって、
基板に会合させた細胞を提供するステップであり、前記細胞が複数の検出可能な作用物質で標識されている、ステップと、
前記細胞と接触させた溶液に電圧を印加するステップと、
前記標識された細胞上の前記複数の検出可能な作用物質の少なくとも75%を15分未満に脱標識するステップと
を含む方法。
(項目84)
前記細胞と接触させた溶液に電圧を印加するステップが、1つまたは複数の反応性化学種を生成する、項目82または83に記載の方法。
(項目85)
前記細胞を脱標識するステップが、前記検出可能な作用物質を1つまたは複数の反応性化学種と接触させることを含む、項目82または83に記載の方法。
(項目86)
複数の部位の脱標識後に前記検出可能な作用物質を検出するステップをさらに含む、項目82または85に記載の方法。
(項目87)
前記検出するステップが、前記検出可能な作用物質を光学的に検出することを含む、項目82から86のいずれか一項に記載の方法。
(項目88)
印加電圧が、1V~100V、1V~50V、1V~25V、5V~15V、少なくとも7V、または少なくとも8Vである、項目82から87のいずれか一項に記載の方法。
(項目89)
前記標識された細胞に電圧を1秒~20分、10秒~10分、20秒~5分、30秒~3分、または50秒~150秒にわたって印加する、項目82から88のいずれか一項に記載の方法。
(項目90)
前記電圧が、直流(DC)、交流(AC)、またはDCとACの組合せである、項目82から89のいずれか一項に記載の方法。
(項目91)
前記細胞の複数の部位の少なくとも95%が、15分未満、10分未満、6分未満、5分未満、4分未満、または3分未満、2分未満、1分未満、または30秒未満の時間で脱標識される、項目82から90のいずれか一項に記載の方法。
(項目92)
前記細胞上の前記複数の検出可能な作用物質の少なくとも95%が、10分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、または1分未満で脱標識される、項目82から91のいずれか一項に記載の方法。
(項目93)
前記細胞上の複数の前記検出可能な作用物質の少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%が10分未満で脱標識される、項目82から92のいずれか一項に記載の方法。
(項目94)
前記細胞から検出される残留蛍光が、5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、または0.1%未満である、項目82から93のいずれか一項に記載の方法。
(項目95)
標識された細胞をクエンチング剤と接触させるステップをさらに含む、項目82から94のいずれか一項に記載の方法。
(項目96)
前記クエンチング剤がBlack Hole Quencherである、項目95に記載の方法。
(項目97)
前記複数の検出可能な作用物質が、蛍光により検出可能な作用物質を含む、項目82から96のいずれか一項に記載の方法。
(項目98)
前記複数の検出可能な作用物質が、アフィニティータグに共有結合により付着している、項目82から97のいずれか一項に記載の方法。
(項目99)
前記アフィニティータグがアプタマーである、項目82から98のいずれか一項に記載の方法。
(項目100)
前記アフィニティータグが抗体である、項目82から96のいずれか一項に記載の方法。
(項目101)
前記アフィニティータグが核酸である、項目82から96のいずれか一項に記載の方法。
(項目102)
前記アフィニティータグがリボ核酸を含む、項目101に記載の方法。
(項目103)
前記アフィニティータグがデオキシリボ核酸を含む、項目101に記載の方法。
(項目104)
前記基板がチップを含む、項目82から103のいずれか一項に記載の方法。
(項目105)
前記基板が単一細胞アレイを含む、項目82から104のいずれか一項に記載の方法。
(項目106)
前記単一細胞アレイが、周期的な形式で配置された複数の細胞を含む規則アレイである、項目105に記載の方法。
(項目107)
前記単一細胞アレイが、前記基板の30%よりも多く、40%よりも多く、50%よりも多く、60%よりも多く、70%よりも多く、80%よりも多く、90%よりも多くを覆う複数の細胞の単層を含むランダムアレイである、項目105に記載の方法。
(項目108)
前記複数の細胞が、組織を含む、項目82から107のいずれか一項に記載の方法。
(項目109)
流体を前記基板にフローセルを使用して送達するステップをさらに含む、項目82から108のいずれか一項に記載の方法。
(項目110)
前記フローセルが、マイクロ流体デバイスである、項目109に記載の方法。
(項目111)
前記基板が平坦な基板である、項目82から110のいずれか一項に記載の方法。
(項目112)
細胞を標識および脱標識するためのシステムであって、
細胞が保持されるように構成された基板;
第1の検出可能な作用物質;
前記細胞にわたって流体が通過するように構成されたフローセル;
電源;
前記細胞が温度設定点に加熱されるように構成された温度制御デバイスであり、前記細胞の温度が、温度設定点から3摂氏温度以内に調節される、温度制御デバイス;
第1の検出可能な作用物質が検出されるように構成された検出器;
プロセッサーと非一時的有形コンピューター可読記憶媒体とを含む、前記電源および前記検出器を作動させるように構成されたコンピューティングデバイスであり、前記記憶媒体は、前記プロセッサーにより実行されると、
前記検出器に前記第1の検出可能な作用物質シグナルを検出させ、
前記電源に、前記細胞と接触させた溶液に電圧を印加させる
という指示のセットを記憶している、コンピューティングデバイス
を含むシステム。
(項目113)
前記検出器の空間分解能が、5マイクロメートル未満、4マイクロメートル未満、3マイクロメートル未満、2マイクロメートル未満、1マイクロメートル未満、0.5マイクロメートル未満、または0.1マイクロメートル未満である、項目112に記載のシステム。
(項目114)
前記検出器が、10,000未満の検出可能な作用物質、5,000未満の検出可能な作用物質、1,000未満の検出可能な作用物質、500未満の検出可能な作用物質、100未満の検出可能な作用物質、50未満の検出可能な作用物質、または10未満の検出可能な作用物質を検出することが可能なイメージング感度を有する、項目112または113に記載のシステム。
(項目115)
検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも10個の細胞、検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも100個の細胞、検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも1000個の細胞、検出チャネル当たり1秒当たり少なくとも5000個の細胞をイメージングすることができる、項目112から114のいずれか一項に記載のシステム。
(項目116)
前記温度制御デバイスが、前記細胞の温度を温度設定点から2℃を超えない、1℃を超えない、0.5℃を超えない範囲内に制御するように構成されている、項目112から115のいずれか一項に記載のシステム。
(項目117)
前記温度制御デバイスが、前記細胞が少なくとも26℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも60℃の温度に加熱されるように構成されている、項目112から116のいずれか一項に記載のシステム。
(項目118)
前記細胞と接触させた溶液に少なくとも1ボルト、少なくとも3ボルト、少なくとも5ボルト、少なくとも7ボルト、少なくとも8ボルト、少なくとも9ボルト、少なくとも10ボルトの電圧が印加されるように構成された電源をさらに含む、項目112から117のいずれか一項に記載のシステム。
(項目119)
イメージングデバイスをさらに含む、項目112から118のいずれか一項に記載のシステム。
(項目120)
前記第1の検出可能な作用物質が、蛍光により検出可能な作用物質である、項目112から119のいずれか一項に記載のシステム。
(項目121)
前記蛍光により検出可能な作用物質が励起されるように構成された光源をさらに含む、項目112から120のいずれか一項に記載のシステム。
(項目122)
第2の検出可能な作用物質をさらに含む、項目112から121のいずれか一項に記載のシステム。
(項目123)
前記第2の検出可能な作用物質が検出されるように構成された検出器をさらに含む、項目112から122のいずれか一項に記載のシステム。
(項目124)
前記基板がチップを含む、項目112から123のいずれか一項に記載のシステム。
(項目125)
前記コンピューティングデバイスが、前記フローセルを作動させるようにさらに構成されている、項目112から124のいずれか一項に記載のシステム。
(項目126)
前記フローセルに接続された流体レザバーをさらに含む、項目112から125のいずれか一項に記載のシステム。
(項目127)
前記フローセルがマイクロ流体デバイスを含む、項目112から126のいずれか一項に記載のシステム。
(項目128)
前記基板が器具内に封入されている、項目112から127のいずれか一項に記載のシステム。